JP7005042B2 - 廃プラスチック油化処理装置 - Google Patents
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Description
このポリエチレンテレフタレートを熱分解すると、ポリエステル分解成分として、テレフタル酸が生じる。このテレフタル酸は昇華性を有しており、廃プラスチックの熱分解温度では昇華する。このため、昇華したテレフタル酸は、他の熱分解物、すなわち再生油と共に、ガス状態で再生油の回収工程に送られる。
そこで、この発明は、原料となる廃プラスチックにポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂が含まれている場合であっても、配管の閉塞が抑制され、廃プラスチックを分解して再生油を製造することを継続して行うことを可能とすることを目的とする。
[1]廃プラスチックを熱分解して分解ガスを生成させる熱分解釜、及び熱分解釜で得られた分解ガスを冷却して液化させ、再生油を得る凝縮器を有する廃プラスチック油化処理装置であり、前記廃プラスチックには、ポリエステル樹脂が含まれ、前記熱分解釜には、前記廃プラスチックが供給され、前記熱分解釜の上方に還流塔が設けられ、前記還流塔は、その頭頂部から出る分解ガスを前記凝縮器に送る第1回収ラインを有すると共に、前記還流塔の途中から前記分解ガスの一部を抜き出す抜き出しラインが設けられ、この抜き出しラインから抜き出された前記分解ガスを送り込む分離槽が設けられ、前記分離槽で、送り込まれた前記分解ガスに含まれる、前記ポリエステル樹脂由来のポリカルボン酸が分離される廃プラスチック油化処理装置。
[3]前記凝縮器で得られる再生油を貯蔵する再生油貯蔵槽、及びその上方に再生油循環冷却器が設けられ、前記再生油貯蔵槽内の再生油を冷却するため、前記再生油貯蔵槽から前記再生油循環冷却器及び前記凝縮器を経由して、前記再生油貯蔵槽に戻す冷却循環ラインが形成され、前記再生油循環冷却器で冷却された再生油の一部を前記還流塔の頭頂部に戻す再生油返送ラインを有すると共に、生成再生油として回収する第2回収ラインを有する[1]又は[2]に記載の廃プラスチック油化処理装置。
[6]前記凝縮器で得られる再生油を再生油貯蔵槽で貯蔵し、前記再生油貯蔵槽の上方に設けられた再生油循環冷却器、及び前記凝縮器を経由して、前記再生油貯蔵槽に戻す冷却循環ラインに通すことにより、前記再生油貯蔵槽内の再生油を冷却し、前記再生油循環冷却器で冷却された再生油の一部を、再生油返送ラインを通して前記還流塔の頭頂部に戻すと共に、第2回収ラインを通して、再生油を回収する[4]又は[5]に記載の再生油の製造方法。
まず、処理対象の前記廃プラスチックを、洗浄機等で洗浄し、次いで乾燥する。これにより、前記廃プラスチックに付着しているゴミを除くことができると共に、次工程での液化をより容易に行うことができる。この洗浄機としては、((株)カネミヤ製:Bun-Sen)等を上げることができる。また、乾燥方法としては、熱分解釜11aの廃熱を利用して乾燥を行うことができる。
このとき、撹拌機11cは、熱分解釜11aの底部に沿った形状を有し、当該底部付近の内容物が滞留しないように撹拌可能な撹拌羽根を有することが好ましい。このようにすることにより、溶融廃プラスチックの熱分解により生じる炭化物や高沸点物質等の熱分解残渣を熱分解釜11aの底部の周縁部に集めることができる。また、撹拌機11cの撹拌羽根の形状を、撹拌機11cが回転することにより、釜内の液を下方に押すような力が働く形状とすると、熱分解残渣を熱分解釜11aの底部の周縁部に集めることがより容易となる。
なお、図1においては、凝縮器13と気液分離装置13bを分離した別々の装置として表したが、凝縮器13の出口部分に気液分離機能を付与した一体型のものでもよい。
この抜き出しライン23は、274℃以上に保温することがよく、280℃以上に保温することが好ましい。274℃未満とすると、抜き出しライン23中にテレフタル酸等のポリエステル樹脂分解成分が析出し、ラインを閉塞するおそれが生じる。なお、保温温度の上限は、ポリエステル樹脂分解成分の析出を抑制できればよく、熱効率の観点から、300℃くらいで十分である。
[実施例1]
図1に記載のフローを用いて、廃プラスチックの油化処理を行った。
まず、廃プラスチック(ポリエチレン:90重量%、ポリエチレンテレフタレート:10重量%)を洗浄装置((株)カネミヤ製:Bun-Sen)にて水洗し、汚れを落とした。次いで、熱分解釜11aの排熱を利用して、70℃~80℃の温風を得、これを吹きかけ、乾燥させた。
この一軸押出機で溶融された溶融廃プラスチックは熱分解釜11aに連続供給される。この熱分解炉11の熱分解釜11aは、内径が1m、高さが1.2mの中央部が円柱状、上部及び下部が楕円状であり、かつ、底部が図1に示すように、熱分解釜11aの内部に向けて円錐状に盛り上がっている。そして、この熱分解釜11aの下部に燃焼炉11bが配され、これにより熱分解釜11aが加熱される。この熱分解釜11aは、内温が380~400℃となるように調節される。
この還流塔12内部では、上部で分解ガスの一部が液化し、還流状態が生じる。これは、還流塔12の上部に向かうにしたがって、分解ガスが放冷して温度が下がるためと、後述するように再生油貯蔵槽14に貯められた再生油の一部を冷却して、還流塔12上部に供給し、分解ガスと直接接触させるからである。
凝縮器13によって冷却された分解ガスは、気液分離装置13bで気液に分離され、液体成分は、再生油として再生油貯蔵槽14に貯蔵される。この再生油は、水を冷媒とする再生油循環冷却器15、凝縮塔13を経由する循環冷却ラインを通ってさらに冷却される。
還流塔12に供給される再生油の量は、50kg/hであり、還流塔12から凝縮器13に送られる再生油の量は、153.6kg/hである。
分離槽18において、抜き出された分解ガスの一部は、液化及び昇華して、再生油、ワックス分等の液化成分やテレフタル酸等の固形化成分が溜まる。そして、再生油やワックス分等の液化成分は、ガス状態の分解ガスと共に、分解油循環冷却器19に送られ、分離槽18に戻されるという循環冷却ラインに載せられ、冷却され、液化成分の冷却と分解ガスの液化が行われる。これらにより、分離槽18にてテレフタル酸等のポリエステル樹脂分解成分の固形化が生じ、テレフタル酸等のポリエステル樹脂分解成分を分解油やワックス等の液体から分離することができる。
そして、分離槽18から分解油循環冷却器19に送られる成分の一部が熱分解釜11aと還流塔12とを連絡する還流ライン24に戻され、再生油の再還流、ワックス分の再分解に供される。この戻す量は、11.9kg/hである。
実施例1において、還流塔からの抜き出しライン23、分離槽18を含む循環ライン、分解油返送ライン26を設けなかった以外は、実施例1と同様に再生油生成実験を行った。
その結果、4時間経過後に、第1回収ラインがテレフタル酸による閉塞が生じた。
11a 熱分解釜
11b 燃焼炉
11c 撹拌機
11d バーナー
12 還流塔
13 凝縮器
13b 気液分離装置
14 再生油貯蔵槽
15 再生油循環冷却器
16 再生油冷却器
17 製品タンク
18 分離槽
21 第1回収ライン
22 再生油返送ライン
22 回収ライン
23 抜き出しライン
24 還流ライン
26 分解油返送ライン
M 溶融廃プラスチック
Claims (4)
- 廃プラスチックを熱分解して分解ガスを生成させる熱分解釜、及び熱分解釜で得られた分解ガスを冷却して液化させ、再生油を得る凝縮器を有する廃プラスチック油化処理装置であり、
前記廃プラスチックには、ポリエステル樹脂が含まれ、
前記熱分解釜には、前記廃プラスチックが供給され、
前記熱分解釜の上方に還流塔が設けられ、
前記還流塔は、その頭頂部から出る分解ガスを前記凝縮器に送る第1回収ラインを有すると共に、前記還流塔の途中から前記分解ガスの一部を抜き出す抜き出しラインが設けられ、
この抜き出しラインから抜き出された前記分解ガスを送り込む分離槽が設けられ、
前記分離槽で、送り込まれた前記分解ガスに含まれる、前記ポリエステル樹脂由来のポリカルボン酸が分離される廃プラスチック油化処理装置。 - 前記凝縮器で得られる再生油を貯蔵する再生油貯蔵槽、及びその上方に再生油循環冷却器が設けられ、
前記再生油貯蔵槽内の再生油を冷却するため、前記再生油貯蔵槽から前記再生油循環冷却器及び前記凝縮器を経由して、前記再生油貯蔵槽に戻す冷却循環ラインが形成され、
前記再生油循環冷却器で冷却された再生油の一部を前記還流塔の頭頂部に戻す再生油返送ラインを有すると共に、生成再生油として回収する第2回収ラインを有する請求項1に記載の廃プラスチック油化処理装置。 - 廃プラスチックを熱分解釜で熱分解して分解ガスを生成させ、次いで、熱分解釜で得られた分解ガスを凝縮器で冷却して液化させ、再生油を製造する方法であり、
前記廃プラスチックには、ポリエステル樹脂が含まれ、
前記熱分解釜には、前記廃プラスチックが供給され、
前記熱分解釜で得られた分解ガスを、熱分解釜の上方に設けられた還流塔に送り、
前記還流塔の頭頂部から出る分解ガスを、第1回収ラインを通して前記凝縮器に送ると共に、前記還流塔の途中に設けられた抜き出しラインから前記分解ガスの一部を抜き出し、
この抜き出しラインから抜き出された前記分解ガスを分離槽に送り込み、
前記分離槽で、前記の送り込まれた前記分解ガスに含まれる、前記ポリエステル樹脂由来のポリカルボン酸を分離する再生油の製造方法。 - 前記凝縮器で得られる再生油を再生油貯蔵槽で貯蔵し、
前記再生油貯蔵槽の上方に設けられた再生油循環冷却器、及び前記凝縮器を経由して、前記再生油貯蔵槽に戻す冷却循環ラインに通すことにより、前記再生油貯蔵槽内の再生油を冷却し、
前記再生油循環冷却器で冷却された再生油の一部を、再生油返送ラインを通して前記還流塔の頭頂部に戻すと共に、第2回収ラインを通して、再生油を回収する請求項3に記載の再生油の製造方法。
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