JP7005020B2 - 筋分化誘導剤 - Google Patents

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Description

本発明は、筋分化誘導剤及びそれを有効成分とする筋萎縮又は筋損傷を伴う障害又は疾患の治療又は予防用組成物又は筋再生促進用組成物に関する。
近年、主要先進国の多くは、平均寿命が男女共に80歳を超える超高齢化社会の時代に突入している。例えば、日本の2015年における平均寿命は、男性が80.50歳、女性が86.83歳となっている。このような高齢者人口の増加は、世界的に今後20年以上は続くと予測されている。
多くの国が超高齢化社会を迎える中で、高齢化に伴う様々な問題が表面化している。例えば、加齢による歩行等の日常生活動作の制限や、それによるQOLの著しい低下、またそれに伴う家族の介護負担の問題、及び医療費の増大等の社会問題が挙げられる。したがって、老化による運動能力低下の抑制や日常生活動作の改善は、超高齢化社会が抱える重要課題となっている。
老化による運動能力の低下は、筋線維の減少や筋委縮による骨格筋量と筋力の低下を原因とする。一般に骨格筋量は、タンパク質の合成量と分解量のバランスによって制御されている(非特許文献1)。例えば、骨折時のギプス固定やベッドレスト等の筋不活動状態ではタンパク質合成が抑制される一方で、分解は促進されることから筋タンパク質含有量が低下するため、結果として骨格筋量が減少し、筋肉が萎縮してしまう。このような長期にわたる筋肉の不使用によって生じる廃用性筋萎縮は、老化のみならず、微小重力下の宇宙飛行(非特許文献2)や、尾部懸垂(非特許文献3)等による筋不動化や、カヘキシア(非特許文献4)、サルコペニア(非特許文献5)、ステロイド投与(非特許文献6)等によっても生じ得る。
高齢者における筋線維の減少や筋萎縮を軽減し又は改善させる方法は、前記課題の解決策として極めて重要であり、その開発は急務となっている。また、筋分化誘導を制御できれば、筋ジストロフィーのような筋萎縮や筋損傷を伴う筋原性疾患に対しても有効な治療法となることが期待される。
一般に、筋萎縮に対する治療としては、運動療法によって適度な負荷(resistance)を筋細胞に付与し、タンパク質合成を活性化させて筋肉の肥大を誘導する方法がある。筋肉トレーニングは、その好例である。しかし、運動を伴う治療方法は、寝たきりの高齢者や重度の筋萎縮を伴う筋原性疾患の患者には、その実行自体が困難である。また、高齢者は加齢により筋分化能が低下していることから、運動療法のみでの筋委縮の抑制や骨格筋量の増大は期待できない。それ故、筋細胞に過度の負荷を課すことなく、薬物によって筋分化を誘導し、高齢者であっても筋萎縮を軽減、又は抑制することのできる治療法が望まれている。
Sandri, M., Physiology (Bethesda), 2008, 23: 160-170 Nikawa, T. et al., 2004, FASEB J, 18: 522-524 Suzuki, N. et al., 2007,J Clin Invest, 117: 2468-2476 Zhou, X. et al., 2010, Cell, 142: 531-543 Altun, M. et al., 2010, J Biol Chem, 285: 39597-39608 Shimizu, N. et al., 2011, Cell Metab, 13: 170-182
本発明は、筋細胞に過度の負荷を課すことなく筋分化を誘導することで、高齢者や筋原性疾患患者であっても筋萎縮や筋損傷による筋量又は筋力の低下を軽減し、又は抑制することのできる薬剤を開発し、提供することである。
本発明者らは、マウスの血中miRNAを網羅的に解析する過程で、若齢マウスで高発現し、老齢マウスでは発現が低いmiRNAとしてmiR-199a-3pを得た。その筋分化への誘導活性を調べたところ、強い筋分化活性を有することが明らかとなった。またmiR-199の発現によって、筋肉特異的に発現することが知られていたmiR-1の発現も上昇することも判明した。さらに、筋損傷を付与したマウスにmiR-199を投与した場合、対照と比較して筋線維横断面積が有意に増大し、筋再生が促進された。この効果は、老齢マウスでも同様であった。miR-199は、発生初期に終脳等で一過的に発現することが知られていたが、筋細胞における機能については、これまでほとんど報告されていなかった。しかし、今回、本発明者の研究により、miR-199がLIN28BやSuz12を標的分子として、筋分化の誘導を最上流で制御しているマスター因子であることが示唆された。また、miR-199の投与により筋ジストロフィーモデルマウスにおける筋力の回復が確認され、筋細胞の改善が示唆された。本発明は、当該新たな知見に基づくものであって、以下を提供する。
(1)miR-199又はそれをコードするmiR-199遺伝子を包含するDNAからなる筋分化誘導剤。
(2)miR-199がmiR-199-3pである、(1)に記載の筋分化誘導剤。
(3)miR-199がmiR-199aである、(1)又は(2)に記載の筋分化誘導剤。
(4)前記miR-199が以下の(a)~(c)に示す塩基配列からなる、(3)に記載の筋分化誘導剤。
(a)配列番号1で示す塩基配列
(b)配列番号1で示す塩基配列において1~3個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列
(c)配列番号1で示す塩基配列に対して85%以上の塩基同一性を有する塩基配列
(5)前記miR-199遺伝子が発現ベクターに発現可能な状態で包含されている、(1)~(4)のいずれかに記載の筋分化誘導剤。
(6)(1)~(5)のいずれかに記載の筋分化誘導剤を有効成分として含む筋萎縮又は筋損傷を伴う障害又は疾患の治療又は予防用組成物。
(7)前記筋委縮又は筋損傷を伴う疾患が筋原性疾患である、(6)に記載の治療又は予防用組成物。
(8)前記筋原性疾患が筋ジストロフィーである、(7)に記載の治療又は予防用組成物。
(9)(1)~(5)のいずれかに記載の筋分化誘導剤を有効成分として含む筋再生促進用組成物。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2016-201786号の開示内容を包含する。
本発明の筋分化誘導剤を有効成分とする筋萎縮を伴う障害又は疾患の治療又は予防用組成物又は筋再生促進用組成物は、筋萎縮と筋力低下を伴う障害や疾患や、筋損傷部位における筋再生促進において、筋細胞に負荷を課すことなく筋萎縮の進行を抑制し、筋力回復又は筋力増強が可能となる。またリハビリテーション等の運動療法が困難な高齢者に対しても筋委縮や筋力低下の有用な治療剤又は予防剤となり得る。
様々なmiRNA(let-7e、miR-1、miR-26a、miR-125b、miR-133a、miR-133b、miR-214)及び本発明の筋分化誘導剤を構成するmiR-199a-3pのマウス筋芽細胞株C2C12細胞に対する筋分化誘導活性を示す図である。この図では、筋分化誘導活性を、筋分化マーカータンパク質であるmyogenin(A)及びMyh1(B)の発現量で検証している。 miR-199a-3p導入後のC2C12細胞における筋分化関連miRNA(miR-1)の発現量を示す図である。この図では、miR-199a-3p非導入の陰性対照(Neg)における発現量を1としたときの相対値を示している。199sは市販のmiR-199a-3pであるMISSION miRNA mimicのHMI0338を、また199#4は本実施例において調製したmiR-199a-3pであるmiR-199a-3p#4を示す。 199sを導入したC2C12細胞における様々なmiRNA(miR-1、miR-133a、miR-26a、let-7g、miR-214)の発現量を陰性対照と比較したときの相対値である。 miR-199a-3pとその標的候補遺伝子であるLin28b遺伝子及びSuz12遺伝子の塩基配列アラインメントを示す図である。マウスmiR-199a-3pは、Lin28b遺伝子上にAで示す81位~102位、及びBで示す983位~1004位の2カ所を、またSuz12遺伝子上にCで示す973位~994位の1カ所を、候補標的部位として有する。 C2C12細胞にmiR-199a-3pを導入したときのLin28b遺伝子及びSuz12遺伝子における発現抑制を示すウェスタンブロット図である。 Suz12に対するsiRNA(siSuz12#1&siSuz12#2)存在下での、Myh1遺伝子及びmyogenin(Myog)遺伝子の発現量を示す図である。 Lin28bに対するsiRNA(siLin28#3)存在下での、筋型クレアチンキナーゼ(Ckm)遺伝子及びMyh1遺伝子の発現量を示す図である。 マウス長趾伸筋由来の初代培養細胞にmiR-199a-3pを導入したときの筋分化誘導活性を示す図である。Aは、miR-199a-3p(199s及び199#4)を導入した初代培養細胞(c5~c8)におけるmiR-1の発現量を示している。Bは、c5~c8におけるCkm、Myog、Mef2c及びMyh4の発現量の平均値を示している。 Cは、siLin28b存在下でのCkmの発現量を示している。 miR-199a-3pによるin vivoでの筋分化誘導の結果を示す図である。Aは、実施例6の実験スケジュールを示している。Bは各筋分化マーカーの発現量を示す。図中、NCは陰性対照を示す。 miR-199a-3pによるin vivoでの筋再生促進活性を示す図である。Aは実施例7の実験スケジュールを、またB及びCは8週齢のC57/BL6Jマウスにおける筋再生結果を示している。 miR-199a-3pによるin vivoでの筋再生促進活性を示す図である。D及びEは、2年齢のICRマウスにおける筋再生結果を示している。 miR-199a-3pの導入によるヒト筋衛星細胞の筋分化誘導を示す図である。 miR-199a-3p又は対照用siControlを投与した正常マウス(B10)と筋ジストロフィーモデルマウス(mdx)におけるグリップテストの結果を示している。図中、siCはsiControlを、また199#4はmiR-199a-3pを、それぞれ示す。 miR-199a-3p又は対照用siControlを投与した正常マウス(B10)と筋ジストロフィーモデルマウス(mdx)における血漿中の筋特異的miRNA(miR-1及びmiR-133a)量を示している。AはmiR-1の、またBはmiR-133aの血漿中の発現量である。図中、siCはsiControlを、また199#4はmiR-199a-3pを、それぞれ示す。 miR-199a-3p又は対照用siControlを投与した正常マウス(B10)と筋ジストロフィーモデルマウス(mdx)における血漿中のクレアチンキナーゼ(CK)活性を示している。図中、siCはsiControlを、また199#4はmiR-199a-3pを、それぞれ示す。
1.筋分化誘導剤
1-1.概要
本発明の第1の態様は、筋分化誘導剤である。本発明の筋分化誘導剤は、生体内で発現しているmiRNAの1つであるmiR-199又はそれをコードするmiR-199遺伝子を包含するDNAからなる核酸分子で構成される。本発明の筋分化誘導剤は、筋分化誘導用組成物として、後述する第2又は第3態様に記載の筋再生促進用組成物又は筋萎縮を伴う障害又は疾患の治療又は予防用組成物の有効成分となる。
1-2.用語の定義
本明細書において頻用する下記用語について定義する。
本明細書において「筋分化」とは、筋芽細胞が筋細胞に分化することをいう。また「筋細胞」とは、骨格筋を構成する細胞、すなわち筋線維を意味する。
本明細書において「筋分化誘導剤」とは、筋芽細胞に作用して筋細胞への分化を誘導し、また筋細胞を増加させる剤をいう。「筋細胞の増加」とは、筋肥大の促進、筋萎縮の抑制、筋力の増加若しくは筋力の維持のいずれか又はそれらの組合せを指す。
本明細書において「筋肥大」とは、内在タンパク質量の増加に伴う単一筋線維重量又は断面積の増加による筋重量の増加といい、「筋肥大の促進」とは、単一筋線維中の内在タンパク質量の増加を促進することによって、その筋線維重量又は断面積の増加による筋重量の増加を促進することをいう。また「筋萎縮」とは、単一筋線維重量又は断面積が部分的に減少した筋力低下を伴う状態を意味し、「筋萎縮の軽減」とは、単一筋線維重量又は断面積の減少を阻止する又は減少の速度を遅くすること、あるいは減少した単一筋線維重量又は断面積を増加させることをいう。「筋力」とは、筋肉を収縮させる力(筋張力)であり、「筋力の増加又は維持」とは、その力が増加又は維持されることをいう。
「miRNA(microRNA)」とは、細胞内に存在する長さ21~23塩基長の一本鎖ノンコーディングRNAである。miRNAは、pri-miRNAと呼ばれる前々駆体状態でゲノムから転写された後、核内でDroshaと呼ばれるエンドヌクレアーゼによりpre-miRNAと呼ばれる前駆体にプロセシングされる。さらに核外でDicerと呼ばれるエンドヌクレアーゼの働きによって切断加工され、miRNA及びmiRNA*(miRNAスター)からなる中間体の二本鎖miRNA(miRNA/miRNA*)となる。miRNA/miRNA*は、タンパク質因子複合体であるRISC(RNA-induced silencing complex)に取り込まれ、最終的に一方のRNA鎖であるmiRNAが成熟体のmiRNA(成熟miRNA)として機能する(Bartel DP, 2004, Cell, 116:281-297、Kawamata T., et al., 2009, Nat Struct Mol Biol., 16(9):953-960)。成熟miRNAは、RISC内で標的遺伝子のmRNAと結合してその翻訳を阻害することによって、標的遺伝子の発現を抑制的に調節することが知られている。したがって、細胞内には、通常、前駆体としてのpri-miRNA及びpre-miRNA、並びに成熟miRNAが存在し得る。本明細書においてmiRNAは、miRNA前駆体及び成熟miRNAのいずれも包含する概念ではあるが、特に断りのない場合には成熟miRNAを意味するものとする。
なお、従来、miRNAスター鎖は分解されやすく、miRNA鎖が成熟miRNAとして機能するとされていたが、機能性を有するmiRNAスター鎖が多く存在することも明らかになってきたことから、miRNA/miRNA*に変えて、pre-miRNAのヘアピン構造中における5'側と3'側の位置を意味するmiRNA-5p/miRNA-3pで表記するようになっている。そこで、本明細書においても、この方法に従って表記する。
1-3.構成
本態様の筋分化誘導剤は、miR-199又はそれをコードするmiR-199遺伝子を包含するDNAからなる核酸分子で構成されている。
「miR-199」は、脊椎動物特異的miRNAの1つであり、様々な癌の発生及び進展、心筋細胞保護、又は骨格形成のような多種多様な細胞機構及び発生機構に関与することが知られている(Park KM, et al., 2016, Am J Physiol Heart Circ Physiol, 311(2):H371-383; Pencheva N., et al., 2012, Cell, 151(5): 1068-1082; Alemdehy M.F., et al., 2015, Blood, 25(25):3937-3948; Chen B.F., et al., 2014, Sci Rep, 4:6413)。筋肉におけるmiR-199の関連としては、発生初期にmiR-199の発現が一過的に増加し、その後、速やかに消失することは知られていた(Lee Y.B., et al., 2009, Nucleic Acids Res. 37(1):123-128)。しかし、筋分化や筋原性疾患等の疾患との関連性については報告がなく、具体的な機能については不明であった。
他の多くのmiRNAと同様、miR-199にも前述のようなmiR-199-5p及びmiR-199-3pが存在する。このうちmiR-199-3pは主に後脳で、またmiR-199-5pは主に体肢芽で、発現していることが知られていた(Lee Y.B., et al., 2009, Nucleic Acids Res. 37(1):123-128)。本発明の筋分化誘導剤を構成するmiR-199は、miR-199-5p及びmiR-199-3pのいずれであってもよいが、好ましくは主発現部位が筋肉組織のmiR-199-3pである。
また、miR-199には、同一生物種においてmiR-199a及びmiR-199bのようなパラログが知られている。本発明の筋分化誘導剤を構成するmiR-199はいずれのパラログであってもよい。
本発明の筋分化誘導剤を構成するmiR-199は、野生型miR-199、又は野生型miR-199と同等以上の活性を有する変異型miR-199を包含する。
野生型miR-199には、例えば、配列番号1で示す塩基配列からなる、ヒト野生型成熟miR-199a-3p(hsa-miR-199a-3p)又はヒト野生型成熟miR-199b-3p(hsa-miR-199b-3p)のようなヒト野生型miR-199、又は配列番号2で示す塩基配列からなる、ヒト野生型成熟miR-199a-5p(hsa-miR-199a-5p)が挙げられる。さらに、ヒト野生型miR-199と同様の活性を有する他生物種由来の野生型miR-199オルソログも含まれる。一般にmiR-199は生物種間で極めて高度に保存されており、特に哺乳動物における野生型miR-199オルソログのほとんどは、ヒト野生型miR-199と100%の塩基同一性を有するか、又は一塩基の欠失若しくは置換を有することが知られている。例えば、マウス(Mus musclus)、ウマ(Equus caballus)、イノシシ(Sus scrofa)、及びウシ(Bos taurus)の野生型成熟miR-199a-3pは、ヒト野生型成熟miR-199a-3pと100%塩基同一性を有する。また、ヒツジ(Ovis aries)、及びヤギ(Capra hircus)の野生型成熟miR-199a-3pは、配列番号3で示すようにヒト野生型成熟miR-199a-3pの3'末端が1塩基欠失した塩基配列を有する。さらに、哺乳動物以外であっても、ヒト野生型miR-199とは極めて高い塩基同一性を有している。例えば、配列番号4で示すニワトリ(Gallus gallus)の野生型miR-199-3pは、ヒト野生型miR-199a-3pと86%の塩基同一性を、配列番号5で示すカエル(Xenopus tropicalis)の野生型miR-199a-3pは、ヒト野生型miR-199a-3pと95%の塩基同一性を、また、タイセイヨウサケ(Salmo salar)、コイ(Cyprinus carpio)及びアメリカナマズ(Ictalurus punctatus)は、ヤギやヒツジの野生型miR-199a-3pと100%の塩基同一性を、ゼブラフィッシュ(Danio rerio)は、カエルの野生型miR-199a-3pと100%の塩基同一性を有している。以上に例示した塩基配列からも明らかなように、配列番号6で示す塩基配列は、miR-199の活性領域であり、種を問わず同一である。種間における高度な配列同一性から、各生物種のmiR-199活性には互換性があり、いずれの生物種のmiR-199を用いても同一の活性及び同一の効果を示すと考えられている。
変異型miR-199には、野生型miR-199の塩基配列において1~3個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなるRNAや、野生型miR-199の塩基配列に対して85%以上、90%以上、又は95%以上の塩基同一性を有する塩基配列からなるRNA、そして野生型miR-199の塩基配列の全部又は一部に対して相補的な塩基配列からなる核酸断片と高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなるRNAが挙げられる。本明細書において「塩基同一性」とは、野生型miRNA-199と変異型miR-199の塩基配列を整列(アラインメント)し、必要に応じて、いずれかの塩基配列にギャップを導入して、両者の塩基一致度が最も高くなるようにしたときの、一方のmiRNAの全塩基数に対する他方のmiRNAの同一塩基の割合(%)をいう。%同一性は、相同性検索プログラムBLAST(Basic local alignment search tool;Altschul, S. F. et al,J. Mol. Biol., 215, 403-410, 1990)検索等の公知のプログラムを用いて容易に決定できる。また、本明細書において「高ストリンジェントな条件」とは、非特異的なハイブリッドが形成されない、高温かつ低塩濃度の条件をいう。例えば、ハイブリダイゼーション後の洗浄において、60℃~68℃で1×SSC以下、好ましくは65℃~70℃で0.1×SSC以下の条件をいう。
「miR-199遺伝子」は、前記miR-199をコードする遺伝子である。miR-199遺伝子は、前記miR-199を構成する塩基配列においてウラシル(U)をチミン(T)に置き換えたポリヌクレオチドを含むDNA、例えば、miR-199のpre-miRNA(pre-miR-199)のようなmiR-199前駆体をコードする遺伝子が該当する。具体的には、配列番号7で示す塩基配列からなるヒト野生型pre-miR-199aが挙げられる。
前記miR-199遺伝子は発現ベクターに発現可能な状態で包含されていることが好ましい。
「発現ベクター」とは、内部に含まれる目的の遺伝子や遺伝子断片の発現を制御できる発現単位をいう。「発現可能な状態」とは、所定条件下で目的の遺伝子等が宿主細胞内で転写され得る状態をいう。具体的には、プロモーターの制御下に目的の遺伝子等を配置した状態が該当する。プロモーターが活性化すると、その制御下に配置された目的の遺伝子等の発現が誘導される。発現ベクターは、宿主細胞内で複製かつ発現が可能な様々な発現ベクターを利用することができる。例として、ウイルスベクター、プラスミドベクター等が挙げられる。ウイルスベクターには、レトロウイルス(レンチウイルスを含む)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、センダイウイルス等に由来する種々のベクターが含まれる。これらの発現ベクターは、各メーカーからの市販品を利用することもできる。ただし、miR-199は筋分化においてマスター因子として機能し得ることから、恒常的な過剰発現は、筋分化のみならず生体に重篤な副作用をもたらす可能性がある。したがって、miR-199遺伝子、又はmiR-199遺伝子を発現可能な状態で包含する発現ベクターからなる筋分化誘導剤を生体に投与する場合には、miR-199遺伝子が一過的に発現するようにしておくことが好ましい。例えば、発現ベクターに含まれるプロモーターを細胞内で発現時期を制御できる発現誘導型プロモーターにする方法が挙げられる。
2.筋萎縮又は筋損傷を伴う障害又は疾患の治療又は予防用組成物
2-1.概要
本発明の第2の態様は、筋萎縮又は筋損傷を伴う障害又は疾患の治療又は予防用組成物(以下、本明細書では単に「治療予防用組成物」と表記する)に関する。前記第1態様に記載の核酸分子で構成される筋分化誘導剤は、それを包含する組成物として利用することができる。本発明の治療予防用組成物は、第1態様に記載の筋分化誘導剤を有効成分として含み、筋委縮又は筋損傷を伴う障害や疾患を有する、又は将来的に有する可能性のある、被験体に投与することで、それらの障害や疾患を治療又は予防するための組成物である。
2-2.構成
本発明の治療予防用組成物は、構成成分として有効成分及び担体を含む。以下それぞれの構成成分について説明をする。
2-2-1.有効成分
本態様の治療予防用組成物は、前記第1態様に記載の筋分化誘導剤を有効成分として含む。本発明の治療予防用組成物は、第1態様に記載の筋分化誘導剤を一又は二以上含むことができる。例えば、ヒト野生型miR-199a-3pとヒト変異型miR-199a-3pの2種類の筋分化誘導剤を有効成分として含んでいてもよい。また、筋分化を誘導することが知られている公知の他の筋分化誘導剤、例えばmiR-1、miR-133a、miR-26a、及びmiR-214等と組み合わせることができる。
治療予防用組成物が包含する第1態様に記載の筋分化誘導剤の量(含有量)は、その治療予防用組成物に包含される筋分化誘導剤の種類及び/又はその有効量(投与量又は摂取量)、障害又は疾患の種類、治療予防用組成物の剤形、並びに後述する担体又は添加物の種類によって異なるため、それぞれの条件を勘案して適宜定めればよい。本明細書において「有効量」とは、治療予防用組成物において筋分化誘導剤が有効成分としての機能を発揮する上で必要な量であって、かつそれを適用する生体に対して有害な作用をほとんど又は全く付与しない量をいう。この有効量は、被験体の情報、投与経路、及び投与回数等の様々な条件によって変化し得る。本明細書において「被験体」とは、本発明の治療予防用組成物、筋分化誘導剤又は筋再生促進用組成物の適用対象となる生体をいう。例えば、ヒト、家畜(ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ニワトリ、ダチョウ等)、競走馬、愛玩動物(イヌ、ネコ、ウサギ等)、実験動物(マウス、ラット、モルモット、サル等)等が該当する。好ましくはヒト、家畜、競走馬である。また、「被験体の情報」とは、治療予防用組成物を適用する生体の様々な個体情報をいう。例えば、全身の健康状態、他の疾患・病害に罹患している場合にはその種類や重症度、年齢、体重、性別、食生活、薬剤感受性、併用薬物の有無及び治療に対する耐性等を含む。筋分化誘導剤の最終的な有効量、及びそれに基づいて算出される適用量は、個々の前記被験体の情報等に応じて、最終的には医師、又は獣医師等の判断によって決定される。このように本発明の治療予防用組成物における筋分化誘導剤の含有量は、条件より異なる。筋分化誘導剤の薬理効果を得る上で、治療予防用組成物の大量投与が必要な場合、被験体に対する負担軽減のために数回に分割して投与することもできる。例えば、通常成人1日当たりの筋分化誘導剤の有効量を、1日1回又は数回に分けて、数日から1週間、1ヶ月間、数ヶ月間、半年間、又は1年間にわたり投与してもよい。
2-2-2.担体
本発明の治療予防用組成物は、薬学的に許容可能な担体を含む。「薬学的に許容可能な担体」とは、製剤技術分野において通常使用する添加剤をいう。例えば、溶媒、賦形剤が挙げられる。
溶媒には、例えば、水若しくはそれ以外の薬学的に許容し得る水溶液、又は薬学的に許容される有機溶剤のいずれであってもよい。水溶液には、例えば、バッファ(緩衝液)、生理食塩水、ブドウ糖又はその他の補助剤を含む等張液が挙げられる。バッファは、前記有効成分である骨格筋前駆細胞を含む溶液中のpHを維持するために使用される。具体的にはPBS、HEPES、MOPS、Tricine等が挙げられる。バッファ等の溶媒については、Green, M.R. and Sambrook, J., 2012, Molecular Cloning: A Laboratory Manual Fourth Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yorkの記載を参考にすればよい。
前記補助剤は、例えば、D-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、塩化ナトリウム、その他にも低濃度の非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等が該当する。有機溶剤には、例えば、エタノールが挙げられる。
賦形剤は、主に剤形の形成を容易にし、また剤形及び有効成分である筋分化誘導剤の薬理効果を維持するために用いられるもので、必要に応じて使用する。賦形剤には、結合剤、崩壊剤、充填剤、乳化剤、流動添加調節剤、滑沢剤、可溶化剤、懸濁剤、希釈剤、分散剤、界面活性剤、無痛化剤、安定剤、吸収促進剤、増量剤、保湿剤、吸着剤、保存剤、抗酸化剤、緩衝剤、等張化剤、ヒト血清アルブミン等を適宜含むこともできる。
具体例として、結合剤には、例えば、植物デンプンを用いたデンプン糊、ペクチン、キサンタンガム、単シロップ、グルコース液、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セラック、パラフィン、ポリビニルピロリドン又はそれらの組み合わせが挙げられる。
崩壊剤には、例えば、前記デンプンや、乳糖、カルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、アガー、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、アルギン酸若しくはアルギン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド又はそれらの塩が挙げられる。
充填剤には、ワセリン、前記糖及び/又はリン酸カルシウムが例として挙げられる。
乳化剤には、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルが例として挙げられる。
2-3.剤形及び投与法
本発明の治療予防用組成物の剤形は、治療予防用組成物の剤形は、投与法及び/又は処方条件によって異なるが、有効成分である第1態様に記載の筋分化誘導剤又は他の付加的な有効成分を分解等によって不活化させることなく、投与後に生体内でその薬理効果を発揮し得る形態であれば特に限定しない。
一般に投与法は、経口投与と非経口投与に大別することができる。本発明の治療予防用組成物は、どちらの投与方法であってもよいが、有効成分である筋分化誘導剤がRNA又はDNAの核酸で構成されていることから非経口投与が好ましい。したがって、治療予防用組成物もそれぞれの投与法に適した剤形にすればよい。
非経口投与は、全身投与、組織内投与、経表皮投与、経粘膜投与及び経直腸的投与にさらに細分されるが、本発明の治療予防用組成物は、筋芽細胞や筋細胞に対して作用する性質上、筋肉組織内への局所投与か、血管内投与若しくはリンパ管内投与のような循環系を介した全身投与が好ましい。好ましくは筋肉組織への直接的な局所投与である。前記全身又は組織内投与に適した剤形としては、注射剤のような液剤が好ましい。注射剤は、例えば、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、pH調節剤等の賦形剤と適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製剤化され、単位用量アンプル又は多用量容器の状態で提供される。
静脈注射のような血管内投与は、血流を介して本発明の治療予防用組成物における有効成分である筋分化誘導剤を全身に行き渡らせることが可能な点で便利である。ただし、核酸を構成成分とする筋分化誘導剤が血液中のヌクレアーゼで分解されずに標的細胞である筋芽細胞や筋細胞の存在する筋肉組織にまで送達されるように工夫することが好ましい。例えば、miR-199又はmiR-199遺伝子を包含したDNAをアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター粒子内に取り込ませることにより血液中のヌクレアーゼ分解を免れ、目的の筋肉組織にまで送達させることができる。
経表皮投与又は経粘膜投与により、本発明の治療予防用組成物を筋肉組織内に導入する場合、それらの投与法に適した剤形として、液剤(塗布剤、点眼剤、点鼻剤、吸引剤を含む)、懸濁剤(乳剤、クリーム剤を含む)、粉剤(点鼻剤、吸引剤を含む)、ペースト剤、ゲル剤、軟膏剤、硬膏剤等を挙げることができる。
経口投与で本発明の治療予防用組成物を投与する場合には、固形剤(錠剤、丸剤、舌下剤、カプセル剤、ドロップ剤、トローチ剤を含む)、顆粒剤、粉剤、散剤、液剤(内用水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤を含む)等の剤形にすればよい。固形剤は、必要に応じて当該技術分野で公知の剤皮を施した剤形、例えば、糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶錠、フィルムコーティング錠、二重錠、多層錠にすることができる。
本態様の治療予防用組成物は、筋萎縮を伴う障害又は疾患の治療又は予防用として、また筋損傷部位における筋再生促進用として適用されることから、適用対象部位は原則骨格筋である。
2-4.対象障害及び疾患
本態様の治療予防用組成物の治療又は予防の対象となる障害又は疾患は、筋萎縮又は筋損傷と筋力低下を伴う障害又は疾患である。本明細書において「治療」とは、障害又は罹患した疾患及び/又はそれに伴う症状の緩和又は治癒をいう。また本明細書において「予防」とは、障害の発生又は疾患の罹患を未然に防ぐことをいう。
筋萎縮を伴う障害には、例えば、ギプス固定やベッドレスト等の筋不活動状態によって生じる廃用性筋萎縮、悪性腫瘍、呼吸器等の慢性疾患に伴うカヘキシア、老化(サルコペア)、ステロイド投与による副作用、及び宇宙空間での生活等の微小重力下における筋萎縮が挙げられる。
また、筋萎縮又は筋損傷と筋力低下を伴う疾患には、骨格筋に生じる異常により筋力低下等の筋症状を呈する筋原性疾患が挙げられる。筋断裂等の物理的な要因による筋傷害は含まない。筋原性疾患は、病因によって炎症性筋疾患と非炎症性筋疾患に大別することができる。
「炎症性筋疾患」は、自己免疫性の炎症性筋疾患であり、主に四肢筋や体幹筋、頸筋、咽頭筋等の筋力低下をきたす。炎症性筋疾患の具体例として、多発筋炎(polymyositis:PM)、皮膚筋炎(dermatomyositis:DM)、封入体筋炎(inclusion body myositis: IBM)、抗合成酵素症候群(anti-synthetase syndrome: ASS)、及び免疫介在性壊死性ミオパチー(筋症)(Immune-mediated necrotizing myopathy:iNM)が挙げられる。
「非炎症性筋疾患」は、非自己免疫性の炎症性筋疾患であり、そのほとんどは遺伝的な変異を原因とする先天性筋疾患(遺伝性筋疾患(hMD):hereditary/genetic muscle disease)である。非炎症性筋疾患の具体例として、筋ジストロフィー(デュシャン型、ベッカー型、エメリ・ドレフュス型、肢帯型、顔面肩甲上腕型、眼咽頭型、先天性の各種筋ジストロフィーを含む)、ミオパチー(先天性、遠位型、甲状腺機能低下性、ステロイドミオパチー等を含む)、筋萎縮性側索硬化症、ダノン病、筋無力症候群、ミトコンドリア病、ミオグロビン尿症、糖原病、周期性四肢麻痺等が含まれる。
3.筋再生促進用組成物
3-1.概要
本発明の第3の態様は、筋再生促進用組成物に関する。前記第1態様に記載の筋分化誘導剤は、前記第2態様の治療予防用組成物の他にも、その用途に応じて様々な組成物として利用することができる。本発明の筋再生促進用組成物は、第1態様に記載の筋分化誘導剤を有効成分として含み、第2態様の筋萎縮を伴う障害又は疾患の治療又は予防用とは異なる用途として、筋断裂等の物理的な要因によって損傷した骨格筋の再生を促進するための組成物として利用する。
本明細書において、「骨格筋の損傷」とは、骨格筋細胞の細胞膜が脆弱化して、該細胞が壊死すること、又は骨格筋細胞の物理的欠損をいう。細胞の壊死は、筋原性疾患の筋細胞等で認められる現象ではあるが、ここでは怪我や運動負荷による物理的刺激を受けた筋細胞で生じる現象を意味する。
3-2.構成、及び剤形及び投与法
本発明の筋再生促進用組成物の基本構成は、第2態様に記載の治療予防用組成物に準ずる。すなわち、第2態様に記載の治療予防用組成物が、筋萎縮を伴う障害又は疾患を有する被験体を適用対象とするのに対して、本発明の筋再生促進用組成物は、創傷により骨格筋を損傷した被験体や老化や衰弱等により骨格筋が減少した被験体が適用対象となる。つまり、第3態様の治療予防用組成物とは、その用途のみが異なる。したがって、第3態様に準ずる構成、及び剤形及び投与法に関しては、具体的な説明を省略する。
3-3.適用対象
本発明の骨格筋再生促進剤は、過度の運動による物理的負荷や創傷により骨格筋の一部が損傷した場合、又は老化により筋細胞の減少や筋委縮が増加した場合に、筋芽細胞から筋細胞への筋分化を促進することで、損傷箇所の骨格筋を補填又は充填し、筋肉量を元の水準に回復させることができる。したがって、適用対象は、事故や手術等により骨格筋の一部を損傷した被験体、老化による骨格筋が減少した被験体が適用対象となる。
以下、本発明について、具体例を挙げて説明する。ただし、以下の実施例は、本発明の例示に過ぎず、本発明の各条件は、実施例に記載の条件等には限定はされない。各実施例における基本的な実験手法は、Green, M.R. and Sambrook, J., 2012(前述)に記載の方法に従った。
<材料及び方法>
以下に記載する各実施例で使用した実験材料及び実験方法を説明する。
1.培養細胞株と細胞培養
培養細胞株には、マウス筋芽細胞株C2C12細胞、マウス初代筋芽細胞、及びヒト筋衛星細胞を用いた。
C2C12細胞(理研セルバンク)は、10%ウシ胎児血清(FBS;Thermo Fisher Scientific社)及び1% penicillin/streptomycin(Wako社)含有Dulbecco's modified Eagle's medium(DMEM)培地(Wako社)を用いて、5%CO2下にて37℃で培養した。C2C12細胞の筋管細胞への分化誘導は、2%ウマ血清含有DMEMを用いて、5%CO2下で30℃にて培養して行った。
マウス初代筋芽細胞は、マウス長趾伸筋(Extensor digitorum longus muscle:EDL筋)から樹立した。マウスから採取したEDLを0.2% COLLAGENASE TYPE 1(Worthington biochemical社)含有DMEM GlutaMax培地(Thermo Fisher Scientific社)に浸し、37℃にて約2時間培養を行った。前記培地を入れた5% BSA/PBSコーティング済みのディッシュ(Sterilin社)上で、筋肉をほぐすことにより単一繊維(single fiber)を単離した。単一繊維は、20%ウシ胎児血清、1% chicken embryonic extract(US biological社)、1% penicillin/streptomycin(Wako社)及び5ng/mL bFGF(Cell Signaling Technology(CST)社)含有DMEM GlutaMax培地を用いて、5%CO2下にて37℃で培養し、単一繊維から細胞を遊離させた。なお、培養には、1mg/mLマトリゲル(BDBiosciences社)でコーティングしたプラスチック培養ディッシュ又はマルチウェルプレート(TPP社)を用いた。また、マウス初代筋芽細胞の筋管細胞への分化誘導は、2%ウマ血清及び1% penicillin/streptomycin含有DMEM GlutaMax培地を用いて、5% CO2下にて37℃で行った。
ヒト筋衛星細胞(ScienCellTMResearch Laboratories社)は、Skeletal Muscle Cell Medium(ScienCellTMResearch Laboratories社)を用いて、5%CO2下、37℃で培養した。
なお、培養にはpoly-L-lysine(ScienCellTM社)でコーティング処理を行ったプラスチック培養フラスコ(Greiner社)又はマルチウェルプレート(TPP社)を用いた。
2.miRNA及びsiRNAの調製
実施例で使用したmiRNA又はsiRNAは、市販のMISSION miRNA mimic(Sigma社)、又は配列設計した塩基配列情報に基づいてSigma社にて化学合成した合成miRNA又は合成siRNAを用いた。
MISSION miRNA mimicは、Negative Control(HMC0002)、miR-1(HMI0046)、miR-133a(HMI0196)、miR-133b(HMI0198)、miR-26a(HMI0415)、miR-125b(HMI0112)、miR-199a-3p(HMI0338)、miR-214(HMI0379)、let-7e(HMI0013)を用いた。()内は製品番号を示す。
また、合成miRNAとsiRNAは、以下の配列を有するものを用いた。
・miR-199a-3p#4 s :5'-acaguagucugcacauugguua-3':(配列番号8)
・miR-199a-3p#4 as:5'-accaaugugcagacuacucauu-3':(配列番号9)
・siControl s: 5'-uucuccgaacgugucacguuu-3': (配列番号10)
・siControl as: 5'-acgugacacguucggagaauu-3': (配列番号11)
・siSuz12P s: 5'-acucguccaggaagaagagaauuu-3':(配列番号12)
・siSuz12P as :5'-uaaauucucuucuuccuggacgagu-3':(配列番号13)
・siSuz12M s: 5'-gagaauuuaauggaaugauuuu-3':(配列番号14)
・siSuz12M as : 5'-aaucauuccauuaaauucucuu-3':(配列番号15)
・siLin28b#1 s: 5'-ggauucaucuccaugauaauu-3': (配列番号16)
・siLin28b#1 as :5'-uuaucauggagaugaauccuu-3': (配列番号17)
・siLin28b#2 s: 5'-aggauuuagaagcuugaaauu-3': (配列番号18)
・siLin28b#2 as :5'-uuucaagcuucuaaauccuuu-3': (配列番号19)
・siLin28b#3 s: 5'-guggaauuuacauuuaaaauu-3': (配列番号20)
・siLin28b#3 as :5'-uuuuaaauguaaauuccacuu-3': (配列番号21)
・siLin28b#4 s: 5'-gagccaguggaauuuacauuu-3': (配列番号22)
・siLin28b#4 as :5'-auguaaauuccacuggcucuu-3': (配列番号23)
同一名のセンス鎖(s)とアンチセンス鎖(as)を等量混合して、アニーリングさせたものを以降の実験に用いた。
3.筋細胞へのmiRNA/siRNAの導入
前記「1.培養細胞株と細胞培養」で培養した各細胞へのmiRNA又はsiRNAの導入には、エレクトロポレーション法を用いた。
C2C12細胞は、70~80%コンフルエントに達したものをD-PBS(-)(Wako社)で洗浄した後、細胞を剥離、分散させるために0.25% Tripsin/EDTA(Sigma社)を滴下して、37℃で3分間インキュベーションした。得られた細胞懸濁液を1000Gで室温にて3分間遠心分離し、上清を除去した後に、Amaxa Cell Line Nucleofector Kit V(Lonza社)のNucleaofector Solution Vを用いて、1×106 cells/100μLの細胞懸濁液を調製した。細胞懸濁液100μLに90pmolのMISSION miRNA mimic(Sigma社)又は合成miRNA若しくは合成siRNAを加えた後、その混合液を前記Kit専用キュベットに移して、Nucleofector 2b(Lonza社)(使用プログラム: B-032)を用いてエレクトロポレーションを行い、miRNA又はsiRNAを細胞内に導入した。エレクトロポレーション後、細胞は500μLのC2C12細胞用の分化誘導培地(2%ウマ血清含有DMEM)で懸濁し、1ウェルあたり0.2×106 cellsで24ウェルプレートに細胞を播種し、5%CO2下、30℃で培養し、分化誘導を行った。
マウス初代筋芽細胞は、70~80%コンフルエントに達したものをD-PBS(-)(Wako社)で洗浄した後、細胞を剥離、分散させるために0.05% Tripsin/EDTA(Thermo Fisher Scientific社)を滴下して、37℃で3分間インキュベーションした。得られた細胞懸濁液を1800Gで室温にて5分間遠心分離し、上清を除去した後に、C2C12細胞と同様の方法でエレクトロポレーションを行い、miRNA又はsiRNAを細胞内に導入した。エレクトロポレーション後、細胞は500μLのマウス初代筋芽細胞用の増殖培地(20%ウシ胎児血清、1% chicken embryonic extract、1% penicillin/streptomycin及び5ng/mL bFGF含有DMEM GlutaMax培地)で懸濁し、1ウェルあたり0.2×106 cellsで24ウェルプレートに細胞を播種し、5% CO2下、30℃で培養し、分化誘導を行った。
ヒト筋衛星細胞は、70~80%コンフルエントに達したものをD-PBS(-)(Wako社)で洗浄した後、細胞を剥離、分散させるために4mLのD-PBS(-)及び1mLのTripsin/EDTA solution(ScienCell社)を培養フラスコに滴下して、37℃で2分間インキュベーションした。得られた細胞懸濁液を2.5mLのFBS(Thermo Fisher Scientific社)を入れた15mL Falcon tube(Thermo Fisher Scientific社)に移した後、再度フラスコを37℃で2分間インキュベーションして、残存する細胞をさらに分散させた。続いて、2.5 mLのTrypsin neutralization solution(ScienCell社)を滴下し、得られた細胞懸濁液を前記15mL Falcon tubeに移した。1000Gで室温にて5分間遠心分離し、上清を除去した後に、C2C12細胞と同様の方法でエレクトロポレーションを行い、miRNA又はsiRNAを細胞内に導入した。エレクトロポレーション後、細胞は500μLのヒト筋衛星細胞用増殖培地(Skeletal Muscle Cell Medium)で懸濁し、1ウェルあたり0.2x106 cellsで24ウェルプレートに播種し、5% CO2下、37℃で培養を行った。
4.マウス前脛骨筋への筋損傷とmiRNAの筋肉注射
実験用動物には8~9週齢オスのC57BL/6J(日本チャールズリバー社)、又は生後2年以上成育させた自然老化ICRマウス(日本クレア社)を用いた。
マウスへの筋損傷付与は、マウスの後左肢の前脛骨筋へ50μLの1.2%(w/v)塩化バリウム(BaCl2)(Wako社)溶液を、26ゲージ針付1mLシリンジ(テルモ社)を用いて筋肉注射により行った。損傷部位へのRNA投与は、筋損傷付与(塩化バリウム投与)の翌日に、AteloGene(登録商標) Local Use(高研社)キットを用いて、AtelloGene(登録商標)と10μM miR-199a-3p mimic又はsiControl(対照RNA)を等量ずつ混ぜた混和液をそれぞれ用意し、その混和液50μLを各マウスの損傷部位へ筋肉注射することにより行った。
5.筋組織の染色
筋損傷付与後10日目のマウスから前脛骨筋を摘出し、液体窒素で冷却したイソペンタン(Wako社)中で、急速冷凍した。クライオスタットCM1900(Leica社)を用いて、厚さ10μmの前脛骨筋の横断凍結切片を作製し、HE染色を行った。染色した筋組織は、Axiovert 40 CFL(Carl Zeiss社)及びAxiovision Rel 4.6 software(Carl Zeiss社)を用いて観察した。ImageJ softwareを用いて、損傷から再生した筋肉の指標である中心核を有する筋線維の横断面積を測定した。マウス一個体あたり、少なくとも700本(老齢マウスは少なくとも100本)の筋線維の横断面積を測定した。siControlとmiR-199a-3p mimic投与群との間の統計学的な有意差の有無は、student's t-testによって検定した。
6.総RNA抽出及びRT-qPCR解析
細胞由来、及び筋損傷3日目の前脛骨筋由来の総RNAは、TRI Reagent(MRC社)を用いて抽出した。cDNAは、cDNA合成用プライマーとしてOligo dT15 primer(Promega社)及び逆転写酵素としてSuperScript III(Thermo Fisher Scientific社)を用いて、添付のプロトコルに従い、総RNA中のmRNAから合成した。合成したcDNA、Fast SYBR Green Master Mix(Roche社)そして各遺伝子に対するPerfect Real Time primers(TAKARA社)を用いて、StepOne Plus Real-Time PCR system(Thermo Fisher Scientific社)によるqPCR(定量PCR)解析を行った。得られたデータは、培養細胞の場合はGapdh遺伝子を、筋組織サンプルの場合はActb遺伝子を、それぞれ内在性標準遺伝子としたComparative CT法(ΔΔCT法)解析によって相対的な発現量を測定した。
プライマーは、TAKARA BIO社のプライマーペアMyog(MA127738)、Myh1(MA149010)、MyoD (MA128901)、Gapdh(MA050371)、Myh4(MA116815)、Myf5(MA075089)、Mef2c(MA107825)、Ckm(MA112761)、Actb(MA050368)、MEF2C(HA103691)、MYH4(HA155834)、GAPDH(HA067812)を使用した。各プライマーセット名に続く()内の記号はTAKARA BIO社の製品番号を示す。
また、筋分化関連のmiRNAにおける成熟miRNAの発現レベルを調べるために、TaqMan(登録商標)MicroRNA Assays(Thermo Fisher Scientific社)とTaqMan MicroRNA Reverse Transcription Kit(Thermo Fisher Scientific社)を用いて添付のプロトコルに従いcDNA合成を行った。合成したcDNAに対してTaqMan Fast Advanced Master Mix (Thermo Fisher Scientific社)とTaqMan MicroRNA Assays(Thermo scientific社)そしてStepOne Plus Real-Time PCR system(Thermo Fisher Scientific社)を用いて、添付のプロトコルに従いqPCR解析を行った。内部標準遺伝子を用いたΔΔCt法解析によって、データの正常化して、発現量を測定した。
TaqMan MicroRNA assayに使用した筋分化関連のmiRNAは、Thermo Fisher Scientific社のmiR-1a-3p(2222)、miR-133a-3p(2246)、miR-214-3p(2306)、miR-26a-5p(405)、let-7g(2282)、及びmiR-199a-3p(2304)であり、また内部標準遺伝子にU6 snRNA(1973)を用いた。miRNA名に続く()内の記号はThermo Fisher Scientific社の製品番号を示す。
7.Western blot解析
各細胞由来の細胞抽出液は、protease inhibitor(Complete Mini; Roche社)含有RIPA Lysis and Extraction buffer(Thermo Fisher Scientific社)を用いて調製した。得られた細胞抽出液中のタンパク質は、SDS-ポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動法(SDS-PAGE)により分子量に応じて分離した後、ゲル中のタンパク質を電気泳動的にPVDFメンブレン(ミリポア社)に転写した。続いて、5% スキムミルク(Wako社)及び0.1% Tween20(ナカライテスク社)含有TBS(20mM Tris, 500mM NaCl, pH7.5)を用いて転写後のメンブレンをブロッキングした。ブロッキング後のメンブレンは、5% BSA(sigma社)(あるいは1% スキムミルク)及び0.1%Tween20含有TBSで希釈した一次抗体液に浸し、4℃にて一晩振盪させた。一次抗体には、Anti-Suz12(#3737、1000倍希釈、CST社)、Anti-Lin28b(#5422、1000倍希釈、CST社)、Anti-Myosin heavy chain(MF20)(#MAB4470、200倍希釈、R&D systems社)、及びAnti-α-Tubulin(#F2168、5000倍希釈、Sigma社)を使用した。メンブレンを洗浄後、1%スキムミルク及び0.1% Tween20含有TBSで5000倍に希釈したHRP標識ヤギ抗マウスIgG(又はHRP標識ヤギ抗ウサギIgG)(Sigma社)を用いて、室温にて30分間二次抗体反応を行った。再度メンブレンを洗浄後、ECL Prime Western Blotting Detection Reagent(GE healthcare社)を用いて発光反応を行い、LAS500(GE healthcare社)を用いて露光及びバンドの検出を行った。
<実施例1:miR-199a-3pによるマウス筋芽細胞の筋分化誘導>
(目的)
本発明の筋分化誘導剤を構成するmiR-199a-3pの筋芽細胞に対する筋分化誘導活性を検証した。
(方法及び結果)
マウス筋芽細胞株C2C12細胞にmiR-199a-3p、miR-1、miR-133a、miR-26a、miR-214、miR-125a、miR-133b及びLet-7eの各miRNAをエレクトロポレーションにより導入後、筋分化用培地(2%HS/DMEM)に播種して30℃にて3日間培養した細胞の総RNAを用いて、筋分化マーカータンパク質Myogenin(Myog)及びMyh1の発現量をRT-qPCRで検証した。
結果を図1に示す。AはMyogの、またBはMyh1の発現量である。両マーカーにおいてmiR-199a-3pを導入したC2C12細胞は、他のmiRNAを導入したC2C12細胞よりも筋分化マーカーの発現量が顕著に高いことが示された。この結果は、miR-199a-3pが筋芽細胞に対して高い分化誘導活性を有することを示唆している。
<実施例2:miR-199a-3pによる筋分化関連miRNAの発現量>
(目的)
本発明の筋分化誘導剤を構成するmiR-199a-3p導入後のC2C12細胞における筋分化関連miRNAの発現量を検証した。
(方法及び結果)
miR-199a-3p導入後のC2C12細胞におけるmiR-1、miR-133a、miR-26a、let-7g及びmiR-214の発現量をU6 snRNAを内部標準遺伝子に用いてΔΔCt法解析により測定した。導入したmiR-199a-3pには、MISSION miRNA mimicのmiR-199a-3p(HMI0338)(「199s」と略称する)及びmiR-199a-3p#4(「199#4」と略称する)を用いた。
結果を図2に示す。図2-1に示すように、199s及び199#4のmiR-1の発現量は、対照(neg)におけるそれに対して、いずれも有意に高かった。また、図2-2に示すように199sを導入したC2C12細胞では、対照(neg)と比較して、miR-1、miR-133aの発現が顕著に増加していた。この結果は、miR-199a-3pが筋分化においてmiR-1の上位で機能していることを示唆している。
<実施例3:miR-199a-3pによる標的候補遺伝子の発現抑制>
(目的)
miR-199a-3pの塩基配列からmiR-199a-3pの標的候補遺伝子は、Lin28b遺伝子、及びSuz12遺伝子と推定された。図3-1で示すように、マウスmiR-199a-3pは、Lin28b遺伝子上に2カ所(A:81位~102位、及びB:983位~1004位)、またSuz12遺伝子上に1カ所(C:973位~994位)の候補標的部位を有する。そこで、C2C12細胞にmiR-199a-3pを導入したときに、細胞内で標的候補遺伝子であるLin28b遺伝子及びSuz12遺伝子の発現が抑制されるか否かについて検証した。
(方法及び結果)
C2C12細胞にmiR-199a-3pを導入して培養した後、常法に従い細胞抽出液を調製した。その細胞抽出液に対してウェスタンブロットを行い、Lin28bタンパク質及びSuz12タンパク質のそれぞれに対する抗体を用いてそれらの発現量を検出した。
結果を図3-2に示す。miR-199a-3pの導入(199s、199#4)により、対照(ng)と比較してLin28b及びSuz12のタンパク質量の減少が認められた。この結果は、miR-199a-3pの標的遺伝子が、Lin28b遺伝子及びSuz12遺伝子であることを示唆している。
<実施例4:miR-199a-3pの標的遺伝子と筋分化関連遺伝子の関係>
(目的)
miR-199a-3pの標的遺伝子であるLin28b及びSuz12の発現抑制による筋分化関連遺伝子の発現量について検証した。
(方法及び結果)
Lin28b及びSuz12の発現抑制には、それぞれに対するsiRNAを用いた。また筋分化関連遺伝子は、Myog、Myh1、及びCkmとした。C2C12細胞に各siRNA導入後、筋分化用培地に播種し、30℃で3日間培養後、細胞から抽出した総RNAを用いて、RT-qPCRを実施した。
結果を図4に示す。図4-1はSuz12に対するsiRNA(siSuz12#1&siSuz12#2)存在下でのMyh1及びMyogの発現量を、また図4-2はLin28bに対するsiRNA(siLin28#3)存在下でのCkm及びMyh1の発現量を、示している。
図4-1から Myh1及びMyogの発現量は、siSuz12#1又はsiSuz12#2によるSuz12の発現抑制により有意に増加した。また図4-2からCkm及びMyh1の発現量はsiLin28#3によるLin28bの発現抑制により有意に増加した。
以上の結果は、Lin28b及びSuz12が筋分化を抑制的に制御していること、及びLin28b及びSuz12の発現を抑制することで、その抑制が解除されることを示唆している。つまり、miR-199a-3pは、標的遺伝子であるLin28b及びSuz12の発現抑制を介して、筋分化を誘導できることが示唆された。
<実施例5:マウス初代筋芽細胞へのmiR-199a-3pの導入による筋分化誘導>
(目的)
マウス長趾伸筋由来の初代培養細胞にmiR-199a-3pを導入した場合にもマウス筋芽細胞株C2C12細胞と同様の効果が得られるか検証した。
(方法と結果)
2匹のマウスから初代培養細胞を調製して、それをng用、199s用、及び199#4用に3等分して1回のculture群とし、それを独立に4回(c5~c8)おこなった。miR-199a-3pとして199s又は199#4を導入後、2日間増殖培地で培養した後に分化誘導を行った。分化誘導の1日後に細胞からRNAを回収し、RT-qPCRによりmiR-1の発現量、並びに筋分化マーカーのCkm、Myog、Mef2c及びMyh4の発現量を測定した。
結果を、図5に示す。図5-1のAは、miR-199a-3p(199s及び199#4)を導入した初代培養細胞の各群におけるmiR-1の発現量を、RT-qPCRで測定したときの結果を示す。初代培養細胞が非常に不安定なため、同じ実験でも調製したculture群ごとに発現レベルが異なるものの、全てのculture群で同様の発現パターンが認められる。また、図5-1のBは、Ckm、Myog、Mef2c及びMyh4の各群における発現量の平均値で示す。さらに、図5-2のCは、siLin28b存在下でのCkmの発現量をRT-qPCRで測定したときの結果を示す。
<実施例6:miR-199a-3pによるin vivoでの筋分化誘導>
(目的)
筋損傷を付与したマウスに本発明の筋分化誘導剤を構成するmiR-199a-3pを導入したときの筋分化誘導について検証した。
(方法と結果)
8週齢のC57/BL6Jマウスの前脛骨筋(TA muscle)にBaCl2投与によって筋損傷を与えた。24時間後、miR-199a-3pを同部位に投与した。その48時間後、TA muscleを摘出し、その総RNAを用いたRT-qPCR解析により、筋分化マーカーMyog、Myod1、及びMyf5の発現を調べた。
結果を図6に示す。Aは、本実施例の実験スケジュールを示している。Bは各筋分化マーカーの発現量を示す。対照(NC)と比較して、miR-199a-3p導入によって、Myogの発現が有意に上昇した(n=8)。この結果から、miR-199a-3pは、in vivoにおいても筋分化誘導活性を有することが明らかになった。Myf5、及びMyod1の発現では、有意差は認められなかったが、これはMyogの発現時期とMyf5、Myod1の発現時期の相違に起因すると考えられる。一般に、筋分化過程においてMyf5やMyod1の発現は、休止状態にある筋衛星細胞が刺激によって活性化筋衛星細胞になった後に活性化されるのに対して、Myogの発現は、筋芽細胞から筋管細胞の分化ステージに入った後に活性化されることが知られている。本実施形態では、Myogの発現時期に実験を行ったことからMyf5、Myod1の発現が十分に活性化されず、有意差が認められなかったと推察される。ただし、miR-199a-3pを導入した細胞では、Myf5、Myod1の発現量が増加する傾向があることは、図6Bから明らかである。
<実施例7:miR-199a-3pによるin vivoでの筋再生促進活性>
(目的)
miR-199a-3pが老齢マウスに対しても筋再生促進活性を有することを検証した。
(方法と結果)
8週齢のC57/BL6Jマウス及び2年齢のICRマウスの前脛骨筋(TA muscle)にBaCl2投与によって筋損傷を与えた。24時間後、miR-199a-3pを同部位に投与した。その9日後、TA muscleの凍結切片を作製しHE染色により、再生過程にある筋線維の横断面積を測定した。再生過程にある筋線維は中心に核を持っており、カウントの際はそれを目印とした。1個体当り測定した筋線維数は、8週齢で700繊維<、2年齢マウスで100繊維<である。
結果を7に示す。図7-1において、Aは本実施例の実験スケジュールを示している。B及びCは8週齢のC57/BL6Jマウスの、また図7-2におけるD及びEは2年齢のICRマウスの結果を示している。
B及びDは、再生過程にある前脛骨筋の筋線維横断面積の平均値を示している(n=3)。またC及びEは、筋線維横断面積ごとの筋線維数を示している(n=3)。筋損傷後のmiR-199a-3p投与によって、8週齢マウス及び2年齢マウスのいずれも筋線維横断面積が有意に広くなっており、筋再生が促進されたことが示された。また、2年齢という老齢マウスでも8週齢マウスと同程度の筋再生が行われたことから、本発明の筋分化誘導剤を構成するmiR-199a-3pは、高齢個体に対しても有効であることが示唆された。
<実施例8:ヒト筋衛星細胞へのmiR-199a-3pの導入による筋分化誘導>
(目的)
ヒト筋衛星細胞(Human Skeletal Muscle Satellite Cells)にmiR-199a-3pを導入した場合にもマウス筋芽細胞株と同様の効果が得られることを検証した。
(方法と結果)
miR-199a-3pを導入して3日間増殖培地で培養後、細胞からRNAを回収し、RT-qPCRにより筋分化マーカーMEF2C及びMYH4の発現を調べた。
結果を図8に示す。miR-199a-3pをヒト筋衛星細胞に導入した場合もマウス筋芽細胞株や初代筋芽細胞と同様に、miR-199a-3p(199s及び199#4)は筋分化誘導できることが立証された。
<実施例9:miR-199a-3pの投与によるmdxマウスの筋力改善>
(目的)
miR-199a-3pを投与した筋ジストロフィーモデルマウス(mdxマウス)における筋力の改善をグリップテストで検証する。
(方法と結果)
7週齢の雄mdxマウス、及び同腹雄正常マウス(B10)の尾静脈にmiR-199a-3pとして199#4を、また対照用としてsiControlを、それぞれ1匹当たり1.6μg/Kg B.W.の投与量でAteloGene(登録商標) Systemic Use(高研社)キットを用いて投与した。
導入1週間後に、小動物握力測定装置(メルクエスト社:GPM-100B)を用いて、グリップテストによりマウスの握力を測定した。具体的には、マウスの前足を測定バーに掴ませた後、マウスが水平方向になるように尾を引っ張り、マウスが前足を測定バーから離す直前の数値を握力値として得た。テストに用いた各試験群の匹数は、正常マウスB10にsiControlを投与した群(B10-siC):11匹、正常マウスB10に199#4を投与した群(B10-199#4):11匹、mdxマウスにsiControlを投与した群(mdx-siC):9匹、そしてmdxマウスに199#4を投与した群(mdx-199#4):10匹とした。
結果を図9に示す。この図は、正常マウス群(B10-siC、及びB10-199#4)における測定値を1としたときのmdxマウス群(mdx-siC、及びmdx-199#4)のそれぞれの相対値を示している。筋ジストロフィー様の症状を呈するmdxマウスを用いたmdx-siC群及びmdx-199#4群では、正常マウスのB10群と比較すると、基礎握力が6~7割ほどしかない。しかし、同じmdxマウスでも199#4を投与したmdx-199#4群では、対照用のmdx-siC群と比較して、握力が有意に向上することが明らかとなった。この結果は、miR-199a-3pの投与により、筋力が増強されることを立証しており、またmiR-199a-3pが筋ジストロフィーの治療剤の有効成分となり得ることを示唆している。
<実施例10:miR-199a-3p投入後のmdxマウスにおける筋特異的miRNAの血中レベルの検証>
(目的)
筋ジストロフィー患者そしてmdxマウスでは、健常者や正常マウスと比較して、筋特異的な3種のmiRNA(miR-1、miR-133a、miR-206)の量が血清中で統計学的有意に増加していることが知られている(Matsuzaka Y, et al., PLoS One. 2016 Dec 15;11(12):e0167811.)。そこで、miR-199a-3p投与によって筋力が回復したmdxマウスの血中で、それらのmiRNAの改善について検証する。
(方法及び結果)
実施例9でmiR-199a-3pを投与した各マウスから、筋力測定後に抗凝固剤EDTAを用いて心採血を行い、さらに採取した全血から常法により血漿を得た。続いて、Plasma/serum circulating and exosoal RNA purification mini kit(NORGEN社)を用いて、添付のプロトコルに従い、各マウスの血漿200μLからRNAを抽出した。なお、RNA抽出時に外部標準遺伝子としてcel-miR-39を添加した。
筋特異的な2種のmiRNA(miR-1、及びmiR-133a)に対するTaqMan assay(Thermo Fisher Scientific社)及びFastStart Universal Probe Master (Rox) (Roche社)を用いてRT-qPCRを行った。続いて、cel-miR-39、及びB10-siCを内部標準遺伝子に用いて、ΔΔCt法解析によりデータを解析後、Welch’s t-testにより統計検定を行った。
結果を図10に示す。血漿中のmiR-1(A)、及びmiR-133a(B)の量は、正常マウス群(B10-siC、及びB10-199#4)では、低い値であったが、対照用siControlを導入したmdxマウス群(mdx-siC)では、従来の血清における知見と同様に著しく高い値を示した。しかし、miR-199a-3pとして199#4を導入したmdxマウス群(mdx-199#4)では、miR-1及びmiR-133a共に、mdx-siCと比較して血漿中の量が統計学的に有意に低下することが明らかとなった。これは、miR-199a-3pによるmdxマウスの筋力回復を生化学的に支持する結果であり、miR-199a-3pが筋ジストロフィー患者における筋力回復と血中の筋特異的miRNA量の抑制にも効果を有することを示唆している。
<実施例11:miR-199a-3p投入後のmdxマウスにおける血中CK活性の検証>
(目的)
筋ジストロフィー患者では、骨格筋の筋線維が変性又は壊死することにより、筋細胞中に含まれるクレアチンキナーゼが血液中に漏出する。それ故に、筋ジストロフィー患者は、健常者と比較して、血中クレアチンキナーゼ活性(CK活性)の値が統計学的に有意に高いことが知られている(Allen D.G., et al., 2016, Physiol Rev. Jan;96(1):253-305)。そこで、mdxマウスにmiR-199a-3pを投与した場合の、血中のCK活性について検証する。
(方法及び結果)
血漿CK活性は、実施例10で採取した血漿を用いて、Creatine Kinase Activity Assay Kit (Colorimetric) (Abcam社)により、添付のプロトコルに従って測定した。使用測定装置には、SYNERGY H1 microplate reader (BioTek社)を、解析ソフトにはGen5 2.07を用い、データを解析後、Welch’s t-testにより統計検定を行った。
結果を図11に示す。血漿中のCK活性は、正常マウス群(B10-siC、及びB10-199#4)では、低い値であったが、対照用siControlを導入したmdxマウス群(mdx-siC)では、高い値を示した。これは、mdx-siCでも、筋ジストロフィー患者と同様に骨格筋損傷により、筋細胞中のクレアチンキナーゼが血中に漏出していることを示している。一方、miR-199a-3pとして199#4を投与したmdxマウス群(mdx-199#4)では、mdx-siCと比較して、血漿中のCK活性が統計学的に有意に低下することが明らかとなった。この結果は、miR-199a-3pが筋ジストロフィー患者における血中のCK活性の抑制にも効果を有することを示唆している。また、それは同時に、miR-199a-3pが、筋ジストロフィー患者における筋細胞の変性や壊死を抑制する有効成分となり得ることも示唆している。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (7)

  1. miR-199-3p又はそれをコードするmiR-199-3p遺伝子を包含するDNAからなる筋分化誘導剤。
  2. 前記miR-199-3p配列番号1に示す塩基配列からなる、請求項に記載の筋分化誘導剤
  3. 前記miR-199-3p遺伝子が発現ベクターに発現可能な状態で包含されている、請求項1又は2に記載の筋分化誘導剤。
  4. 請求項1~のいずれか一項に記載の筋分化誘導剤を有効成分として含む筋萎縮又は筋損傷を伴う障害又は疾患の治療又は予防用組成物。
  5. 前記筋委縮又は筋損傷を伴う疾患が筋原性疾患である、請求項に記載の治療又は予防用組成物。
  6. 前記筋原性疾患が筋ジストロフィーである、請求項に記載の治療又は予防用組成物。
  7. 請求項1~のいずれか一項に記載の筋分化誘導剤を有効成分として含む筋再生促進用組成物。
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