JP7004023B2 - 積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、スキンパック用の積層フィルムに関する。
底材と蓋材との間に被包装物を挟んで密着した状態でヒートシールされているスキンパック包装体が利用されている。そのようなスキンパック包装体の一例が、例えば特開2016-222259号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1には、スキンパック包装機において、蓋材を構成する積層フィルムのロールをセットしておき、底材を構成する成形トレーに被包装物を収容した状態で積層フィルムを繰り出してヒートシールすることによりスキンパック包装体を作製することが開示されている。
しかし、積層フィルムが巻き取られてロール状態で保管される場合、保管中に巻き締まりが生じて縮径すると、ブロッキングが生じやすくなる。ブロッキングが生じると、積層フィルムを繰り出す際に大きな力が必要となるため好ましくない。また、場合によっては積層フィルムを繰り出すことができなくなったり、無理に繰り出そうとすると積層フィルムがちぎれたりする可能性がある。
特開2016-222259号公報
保管中にブロッキングが生じにくく適正な状態を維持しやすい積層フィルムの実現が望まれる。
本発明に係る積層フィルムは、
スキンパック用の積層フィルムであって、
シーラント層と、中間層と、を少なくとも含み、
JIS C3005:2014 4.25に準拠して測定された架橋度が43%以上であり、
前記シーラント層における粗さ曲線要素の平均長さ(RSm1)が80μm以上850μm以下である。
この構成によれば、架橋度が43%以上であることで、耐熱性及び高温での機械的特性に優れた、スキンパック用に適した積層フィルムとすることができる。
その一方で、43%以上と架橋度が高いと、保管中にブロッキングが生じやすくなる傾向がある。
この点、上記の構成では、シーラント層における粗さ曲線要素の平均長さ(RSm1)を80μm以上とすることで、シーラント層の表面の滑りを良くして、保管中にブロッキングを生じにくくすることができる。また、シーラント層における粗さ曲線要素の平均長さ(RSm1)を850μm以下とすることで、シーラント層の表面の滑りが必要以上に良くなることを抑制し、保管中におけるズレ防止を図ることができる。従って、保管中におけるブロッキングやズレの発生を抑制でき、適正な状態を維持しやすい積層フィルムを実現することができる。
以下、本発明の好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。
一態様として、
前記シーラント層が、ポリオレフィン系樹脂、アイオノマー樹脂、及びエチレン系共重合体のうち少なくとも一種を含むことが好ましい。
この構成によれば、ヒートシール性に優れたシーラント層を適切に形成することができる。
一態様として、
前記中間層が、アイオノマー樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、及びエチレン-(メタ)アクリル酸共重合体のうち少なくとも一種を含むことが好ましい。
この構成によれば、中間層に含まれる樹脂種に応じて、積層フィルムに各種の特性を付与することができる。
一態様として、
外層をさらに含み、
前記外層における粗さ曲線要素の平均長さ(RSm2)が80μm以上であることが好ましい。
この構成によれば、シーラント層に加え、外層における粗さ曲線要素の平均長さ(RSm2)も80μm以上とすることで、シーラント層及び外層の両表面の滑りを良くして、より一層ブロッキングを生じにくくすることができる。
一態様として、
前記外層が、ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。
この構成によれば、機械的特性に優れた外層を適切に形成することができる。
一態様として、
1層以上のバリア層をさらに含むことが好ましい。
この構成によれば、積層フィルムにガスバリア性を付与することができ、スキンパック用に用いた場合に被包装物の経時劣化を良好に抑制できる。
一態様として、
前記バリア層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアミド系樹脂、及びポリエステル系樹脂のうち少なくとも一種を含むことが好ましい。
この構成によれば、ガスバリア性に優れたバリア層を適切に形成することができる。
一態様として、
巻き取られてロール状態で保管されることが好ましい。
この構成によれば、そのままの状態でスキンパック包装機にセットして使用することができる。また、巻き取られてロール状態で保管される場合には、保管中に巻き締まりが生じて縮径することによって特にブロッキングが生じやすくなる。よって、そのような構成において本発明を適用することで、保管中におけるブロッキングの発生を有効に抑制できて特に好ましい。
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
スキンパック包装体の模式断面図 積層フィルムの模式斜視図
積層フィルムの実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、図1に示すスキンパック包装体10において、蓋材30として用いられる積層フィルム1を例として説明する。スキンパック包装体10は、底材20と蓋材30とを備えている。底材20と蓋材30との間に被包装物40が包装されている。底材20と蓋材30とは、間に被包装物40を挟んで密着した状態でヒートシールされている。スキンパック包装体10は、被包装物40を密封状態で一定期間に亘って保存することができ、その後、底材20と蓋材30とを剥離して被包装物40を取り出すことができる。
底材20は、スキンパック用に使用可能なものであれば特に制限なく用いることができる。底材20は、例えば表皮層とシーラント層とを備えている。
表皮層は、底材20における最表面側の表皮を形成する層であり、一定の強度を有する公知の樹脂層で構成することができる。表皮層は、特に限定されないが、具体的には、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びポリスチレン系樹脂等で構成することができる。表皮層は、単層で構成されても良いし、多層であっても良い。また、表皮層は、発泡層であっても良いし、非発泡層であっても良い。
シーラント層は、蓋材30(積層フィルム1)のシーラント層2と接着される層である。シーラント層2は、一定のシール性を発揮する公知の樹脂層で構成することができる。シーラント層2は、特に限定されないが、具体的には、例えばポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂等で構成することができる。
底材20の厚みは、特に限定されないが、例えば0.03mm以上1.0mm以下とすることができ、0.04mm以上0.95mm以下とすることが好ましい。
蓋材30は、積層フィルム1で構成されている。本実施形態の積層フィルム1は、シーラント層2と中間層とを少なくとも含んでいる。本実施形態では、積層フィルム1は、中間層として、第一中間層3と第二中間層7とを含んでいる。また、本実施形態の積層フィルム1は、バリア層5と外層8と第一接着層4と第二接着層6とを含んでいる。図2に示すように、これらは、シーラント層2→第一中間層3→第一接着層4→バリア層5→第二接着層6→第二中間層7→外層8の順に積層されている。
シーラント層2は、底材20のシーラント層と接着される層である。シーラント層2は、一定のシール性を発揮する公知の樹脂層で構成することができる。シーラント層2は、ポリオレフィン系樹脂、アイオノマー樹脂、及びエチレン系共重合体のうち少なくとも一種を含んで構成されることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂等を用いることができる。ポリエチレン系樹脂としては、具体的には、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、及び超低密度ポリエチレン(VLDPE)等が例示される。ポリプロピレン系樹脂としては、具体的には、例えばランダムコポリマーポリプロピレン、ブロックコポリマーポリプロピレン、及びホモポリマーポリプロピレン等が例示される。
アイオノマー樹脂は、重合体を金属イオンで分子間架橋した樹脂であり、例えばエチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、又は、エチレン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体を金属イオンで分子間架橋した、エチレン系アイオノマー樹脂が例示される。架橋のために用いる金属イオンとしては、例えば亜鉛イオン(Zn2+)、ナトリウムイオン(Na)、及びカリウムイオン(K)等が例示される。
エチレン系共重合体としては、例えばエチレン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-(メタ)アクリル酸共重合体等が例示される。
第一中間層3は、例えば柔軟性を損なうことなく耐ピンホール性を付与するために設けることができる。第一中間層3は、例えばポリオレフィン系樹脂、アイオノマー樹脂、及びエチレン系共重合体等で構成することができる。ポリオレフィン系樹脂、アイオノマー樹脂、及びエチレン系共重合体としては、シーラント層2の構成材料として上述した各種の樹脂種を用いることができる。
第一接着層4は、第一中間層3とバリア層5との層間接着性を高めるために設けることができる。第一接着層4は、各種の接着性樹脂で構成することができる。第一接着層4は、例えばポリオレフィン系樹脂等で構成することができる。具体的には、例えばポリエチレン系共重合体、ポリプロピレン系共重合体、及びブテン系共重合体が例示され、これらは、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びブロック共重合体であって良い。
バリア層5は、例えば柔軟性を損なうことなく酸素ガスバリア性を付与するために設けることができる。バリア層5は、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアミド系樹脂、及びポリエステル系樹脂のうち少なくとも一種を含んで構成されることが好ましい。ポリアミド系樹脂としては、例えばナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-6,10、ナイロン-6T、及びナイロン-6I等を用いることができる。ポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等を用いることができる。
第二接着層6は、バリア層5と第二中間層7との層間接着性を高めるために設けることができる。第二接着層6は、各種の接着性樹脂で構成することができ、第一接着層4と同様のものを用いることができる。
第二中間層7は、例えば柔軟性を損なうことなく耐ピンホール性を付与するために設けることができる。第二中間層7は、第一中間層3と同様のものを用いることができる。
外層8は、底材20とヒートシールされた際に最も外側に配置される層である。外層8は、各種の熱可塑性樹脂で構成することができる。外層8は、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、及び熱可塑性エラストマー等で構成することができる。これらの中では、ポリオレフィン系樹脂を好ましく用いることができ、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂が好ましい。
蓋材30の厚みは、特に限定されないが、例えば0.03mm以上0.5mm以下とすることができる。
底材20及び蓋材30(積層フィルム1)をそれぞれ構成する多層フィルムは、特に限定されないが、例えば共押出法、押出ラミネート法、及び熱ラミネート法等の各方法によって製膜することができる。
被包装物40は、例えば生肉、惣菜、食肉加工品、水産加工品、調理済食品、日用品、文房具等であって良い。被包装物40は、単一種のみであっても良いし、複数種が混在していても良い。
スキンパック包装体10を得るには、例えば底材20上に被包装物40を載置し、ロール状の積層フィルム1(蓋材30)を繰り出して加熱して軟化させ、これを真空成型又は圧空成型することによって底材20及び被包装物40の外面に被着させる。そして、底材20と蓋材30との間を真空脱気しながら積層フィルム1(蓋材30)のシーラント層2と底材20のシーラント層とをヒートシールすることで、底材20と蓋材30との間に被包装物40を挟んで密着した状態でヒートシールされているスキンパック包装体10を得ることができる。
なお、蓋材30は、ヒートシールの際に上記のように加熱されるため、耐熱性や高温での機械的特性に優れたものを用いることが好ましい。このような観点から、蓋材30としては、JIS C3005:2014 4.25に準拠して測定された架橋度(ゲル分率)が43%以上であるものを用いることが好ましい。ここで、架橋度(ゲル分率)の評価方法は、フィルムの構成樹脂を溶剤で溶かした際に架橋部分がゲルとして残るという現象に基づくものである。すなわち、溶剤で溶かす前の試料の質量に対するゲル部分の質量の比(百分率)を「ゲル分率」として、これを架橋の進行の程度を表す指標とするというものである。具体的には、110℃に加熱したキシレン中で試料を24時間浸漬保持し、その後、試料を取り出して、温度100℃、真空度1.3kPa以下で24時間以上乾燥させる。キシレンに浸漬する前の試料の質量M1と、キシレンに浸漬後乾燥させた試料の質量M2をそれぞれ測定し、浸漬前質量に対する乾燥後質量の百分率(100×M2/M1)を「ゲル分率(%)」とし、これに基づいて架橋度を評価する。
架橋度が43%以上の蓋材30を用いることで、架橋による強固な3次元構造が形成されているため、蓋材30の耐熱性を向上させることができるとともに、高温での機械的特性を向上させることができる。蓋材30の架橋度(ゲル分率)は、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。
蓋材30に対する架橋処理は、高エネルギー線を照射することによって行うことができる。照射する高エネルギー線としては、放射線(α線、β線、γ線、X線、中性子線等)や電子線(EB)が例示される。そして、蓋材30の架橋度(ゲル分率)は、蓋材30に対する高エネルギー線照射の際の吸収線量を調整することによって調整することができる。上述したように架橋度が43%以上の蓋材30を得るには、例えば吸収線量60kGy程度で高エネルギー線照射を施せば良い。
このような架橋処理を行い、架橋度を43%以上とすることで、耐熱性及び高温での機械的特性に優れた積層フィルム1(蓋材30)とすることができる。しかしその一方で、43%以上と架橋度が高いと、ロール状態での積層フィルム1の保管中に全体が縮径して、ブロッキングが生じやすくなる傾向がある。特に、第一中間層3や第二中間層7がアイオノマー樹脂を含む場合には、その傾向が顕著となる。
そこで、本実施形態の積層フィルム1は、シーラント層2における粗さ曲線要素の平均長さ(RSm1)が80μm以上850μm以下であることを特徴の1つとする。なお、粗さ曲線要素の平均長さ(Rsm)は、JIS B 0601に準拠して測定することができる。シーラント層2における粗さ曲線要素の平均長さ(RSm1)を80μm以上とすることで、シーラント層2の表面の滑りを良くして、ロール状態での積層フィルム1の保管中にブロッキングを生じにくくすることができる。また、シーラント層2における粗さ曲線要素の平均長さ(RSm1)を850μm以下とすることで、シーラント層2の表面の滑りが必要以上に良くなることを抑制し、ロール状態での積層フィルム1の保管中におけるズレ防止を図ることができる。従って、ロール状態での積層フィルム1の保管中におけるブロッキングやズレの発生を抑制することができる。適正な状態を維持しやすい積層フィルム1を実現することができる。
シーラント層2における粗さ曲線要素の平均長さ(RSm1)は、100μm以上であることが好ましく、120μm以上であることがより好ましい。また、シーラント層2における粗さ曲線要素の平均長さ(RSm1)は、830μm以下であることが好ましく、810μm以下であることがより好ましい。
また、積層フィルム1は、外層8における粗さ曲線要素の平均長さ(RSm2)が80μm以上であることを特徴の1つとする。外層8における粗さ曲線要素の平均長さ(RSm2)を80μm以上とすることで、外層8の表面の滑りを良くして、この点からも、ロール状態での積層フィルム1の保管中にブロッキングを生じにくくすることができる。外層8における粗さ曲線要素の平均長さ(RSm2)は、100μm以上であることが好ましく、120μm以上であることがより好ましい。また、外層8における粗さ曲線要素の平均長さ(RSm2)は、830μm以下であることが好ましく、810μm以下であることがより好ましい。
シーラント層2や外層8における粗さ曲線要素の平均長さ(RSm1,RSm2)は、それらにアンチブロッキング剤を添加するとともに、そのアンチブロッキング剤の添加量を調整することによって調整することができる。
アンチブロッキング剤としては、例えば無機粒子や有機粒子等を用いることができる。無機粒子としては、例えばシリカ、ゼオライト、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、雲母、ガラス等の粒子が例示される。有機粒子としては、例えばアクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、及びこれらの共重合体等の粒子が例示される。好ましくは無機粒子であり、より好ましくはシリカ又はゼオライトであり、さらに好ましくはシリカである。なお、シリカとしては、天然シリカ及び合成シリカのいずれを使用しても良い。また、アンチブロッキング剤は、一種のみを単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。
シーラント層2や外層8に対するアンチブロッキング剤の添加量は、500ppm以上30000ppm以下であることが好ましい。アンチブロッキング剤の添加量を500ppm以上とすることで、シーラント層2や外層8における粗さ曲線要素の平均長さ(RSm1,RSm2)を概ね80μm以上とすることができる。また、アンチブロッキング剤の添加量を30000ppm以下とすることで、シーラント層2や外層8における粗さ曲線要素の平均長さ(RSm1,RSm2)を概ね850μm以下とすることができる。このように、アンチブロッキング剤の添加量を500ppm以上30000ppm以下に調整することで、シーラント層2や外層8における粗さ曲線要素の平均長さ(RSm1,RSm2)を概ね80μm以上850μm以下に調整することができる。これにより、上述したように、ロール状態での積層フィルム1の保管中におけるブロッキングやズレの発生を抑制することができ、適正な状態を維持しやすい積層フィルム1を実現することができる。
以下に複数の試験例を示し、本発明についてより具体的に説明する。但し、以下に記載する具体的な試験例によって本発明の範囲が限定される訳ではない。
[試験例1]
シーラント層2、第一中間層3、第一接着層4、バリア層5、第二接着層6、第二中間層7、及び外層8を含む7層構成の積層フィルム1を準備した。各層を構成する樹脂材料は以下のとおりとした。
・シーラント層2;エチレン-酢酸ビニル共重合体(三井・ダウポリケミカル株式会社製エバフレックスV5714C)
・第一中間層3 ;アイオノマー樹脂(三井デュポンポリケミカル株式会社製ハイミラン1601)
・第一接着層4 ;変性ポリオレフィン樹脂(三井化学株式会社製アドマーNF536)
・バリア層5 ;エチレン-ビニルアルコール共重合体(クラレ株式会社製J171B)
・第二接着層6 ;変性ポリオレフィン樹脂(三井化学株式会社製アドマーNF536)
・第二中間層7 ;アイオノマー樹脂(三井デュポンポリケミカル株式会社製ハイミラン1601)
・外層8 ;直鎖状低密度ポリエチレン(プライムポリマー株式会社製エボリューSP0540)
なお、シーラント層2には、アンチブロッキング剤として、1000ppmのシリカを添加した。7層構成の積層フィルム1に対して、照射電圧160kV、吸収線量175kGyで電子線照射処理を施し、架橋処理を行った。得られた積層フィルム1について、JIS B 0601に準拠して粗さ曲線要素の平均長さ(Rsm1)を測定したところ、90μmであった。また、JIS C3005:2014 4.25に準拠してゲル分率を測定したところ、78%であった。
[試験例2]
シーラント層2に対するアンチブロッキング剤(シリカ)の添加量を2500ppmとしたことを除いては試験例1と同様にして、7層構成の積層フィルム1を得た。粗さ曲線要素の平均長さ(Rsm1)は、150μmであった。
[試験例3]
シーラント層2に対するアンチブロッキング剤(シリカ)の添加量を5000ppmとしたことを除いては試験例1と同様にして、7層構成の積層フィルム1を得た。粗さ曲線要素の平均長さ(Rsm1)は、210μmであった。
[試験例4]
シーラント層2に対するアンチブロッキング剤(シリカ)の添加量を10000ppmとしたことを除いては試験例1と同様にして、7層構成の積層フィルム1を得た。粗さ曲線要素の平均長さ(Rsm1)は、320μmであった。
[試験例5]
シーラント層2に対するアンチブロッキング剤(シリカ)の添加量を15000ppmとしたことを除いては試験例1と同様にして、7層構成の積層フィルム1を得た。粗さ曲線要素の平均長さ(Rsm1)は、480μmであった。
[試験例6]
シーラント層2に対するアンチブロッキング剤(シリカ)の添加量を18000ppmとしたことを除いては試験例1と同様にして、7層構成の積層フィルム1を得た。粗さ曲線要素の平均長さ(Rsm1)は、535μmであった。
[試験例7]
シーラント層2に対するアンチブロッキング剤(シリカ)の添加量を20000ppmとしたことを除いては試験例1と同様にして、7層構成の積層フィルム1を得た。粗さ曲線要素の平均長さ(Rsm1)は、560μmであった。
[試験例8]
シーラント層2に対してアンチブロッキング剤(シリカ)を添加しなかったことを除いては試験例1と同様にして、7層構成の積層フィルム1を得た。粗さ曲線要素の平均長さ(Rsm1)は、75μmであった。
[試験例9~16]
バリア層5に代えて、直鎖状低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン株式会社ユメリット4040FC)で構成される第三中間層を設けたことを除いては試験例1~8と同様にして、それぞれ、7層構成の積層フィルム1を得た。ゲル分率は、72%であった。
[試験例17]
積層フィルム1に対する架橋処理(電子線照射処理)の際の吸収線量を120kGyとしたことを除いては試験例3と同様にして、7層構成の積層フィルム1を得た。ゲル分率は、70%であった。
[試験例18]
積層フィルム1に対する架橋処理(電子線照射処理)の際の吸収線量を90kGyとしたことを除いては試験例3と同様にして、7層構成の積層フィルム1を得た。ゲル分率は、60%であった。
[試験例19]
積層フィルム1に対する架橋処理(電子線照射処理)の際の吸収線量を15kGyとしたことを除いては試験例3と同様にして、7層構成の積層フィルム1を得た。ゲル分率は、35%であった。
[試験例20]
積層フィルム1に対する架橋処理(電子線照射処理)を行わなかったことを除いては試験例3と同様にして、7層構成の積層フィルム1を得た。ゲル分率は、17%であった。
各試験例において得られた積層フィルム1を巻き取ってロール状とし、それぞれ倉庫で保管した。30日後、ロール状の積層フィルム1を取り出し、巻きズレの有無と、繰り出し性について評価した。
巻きズレに関しては、目視観察により、以下の基準に従って判定した。
〇:ロール状の積層フィルム1にズレが生じていた
×:ロール状の積層フィルム1にズレは生じていなかった
繰り出し性に関しては、実演時の感覚評価により、以下の基準に従って判定した。
A:引っ掛かりなく繰り出すことが可能
B:バリ感を伴うものの、何とか繰り出し可能
C:バリ感が強く、繰り出すには大きな力が必要
D:繰り出せない(無理に繰り出すとちぎれる)
また、以下に示すようにして、各試験例において得られた積層フィルム1を硬質トレーと組み合わせて、スキンパック包装体を製造した。
<硬質トレーの製造>
外層を構成する樹脂として、ポリプロピレン(住友化学株式会社製FH1016)を準備した。酸素バリア層を構成する樹脂として、EVOH(日本合成株式会社製BF3203B)を準備した。接着層を構成する樹脂として、ポリオレフィン系接着性樹脂(三菱ケミカル株式会社製ER313-E1)を準備した。次いで、外層、接着層、酸素バリア層、接着層、及び外層を、この順で共押出成形することにより、硬質トレーを製造した。得られた硬質トレーは、外層(厚さ=364μm)、接着層(厚さ=20μm)、酸素バリア層(厚さ=32μm)、接着層(厚さ=20μm)、及び外層(厚さ=364μm)が厚さ方向に記載の順に積層された構成で、全体の厚さは800μmであった。
<スキンパック包装体の製造>
得られた硬質トレー上に、レディミールを配置した。レディミールの上から、各試験例で得られた積層フィルム(130℃に加熱したもの)を被せ、チャンバー内でレディミールの収納部を真空引きすることで、積層フィルムをレディミールに密着固定させつつ、積層フィルムと硬質トレーとをヒートシールした。レディミールとしては、スモークチーズ(球状、5g)と鶏肉の唐揚げ(塊状、40g)とを用いた。このようにして、収納部にレディミールが収納されたスキンパック包装体を製造した。それぞれのスキンパック包装体について、スキンパック包装体の被包装物(レディミール)への追従性を評価した。
追従性は、目視観察により、以下の基準に従って判定した。なお、「浮き」とは、スキンパック包装体と被包装物(レディミール)との間の隙間を意味する。
A:良好
B:浮きはあるものの小さい
C:浮きが大きい
D:追従していない
以上の結果を表1に示す。
Figure 0007004023000001
これらの結果から、シーラント層2における粗さ曲線要素の平均長さ(RSm1)を80μm以上850μm以下(特に、80μm以上550μm以下)とすることで、ロール状態での積層フィルム1の保管中におけるブロッキングやズレの発生を、有効に抑制できることが確認された。
本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
1 積層フィルム
2 シーラント層
3 第一中間層
4 第一接着層
5 バリア層
6 第二接着層
7 第二中間層
8 外層
10 スキンパック包装体
20 底材
30 蓋材
40 被包装物

Claims (7)

  1. スキンパック用の積層フィルムであって、
    シーラント層と、中間層と、を少なくとも含み、
    JIS C3005:2014 4.25に準拠して測定された架橋度が43%以上であり、
    前記シーラント層に、500ppm以上18000ppm以下のアンチブロッキング剤が添加されており、
    前記シーラント層における粗さ曲線要素の平均長さ(RSm1)が80μm以上535μm以下であり、
    巻き取られてロール状態で保管される、積層フィルム。
  2. 前記シーラント層が、ポリオレフィン系樹脂、アイオノマー樹脂、及びエチレン系共重合体のうち少なくとも一種を含む、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記中間層が、アイオノマー樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、及びエチレン-(メタ)アクリル酸共重合体のうち少なくとも一種を含む、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 外層をさらに含み、
    前記外層における粗さ曲線要素の平均長さ(RSm2)が80μm以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  5. 前記外層が、ポリオレフィン系樹脂を含む、請求項4に記載の積層フィルム。
  6. 1層以上のバリア層をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  7. 前記バリア層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアミド系樹脂、及びポリエステル系樹脂のうち少なくとも一種を含む、請求項6に記載の積層フィルム。
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