JP2023023494A - 生肉用スキンパック包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】包装した生肉を熟成させて、その美味しさを向上させることができ、従来よりも生肉の保存期間を延長できる包装体の提供。【解決手段】蓋材1及び底材8を備えた生肉用スキンパック包装体10であって、蓋材1が多層フィルムからなり、前記多層フィルムの熱機械分析時に2000μmの変位を示す温度が130℃以上であり、蓋材1の酸素透過量が100cc/(m2・day・atm)以下、底材8の酸素透過量が300cc/(m2・day・atm)以下であり、蓋材1及び底材8を用いて試験肉をスキンパック包装することにより作製した試験用包装体を保管し、保管開始から1日後の前記試験肉中のグルタミン酸の含有量G1と、保管開始から7日後の前記試験肉中のグルタミン酸の含有量G7と、から算出されるグルタミン酸の保持率HGが、150質量%以上である、生肉用スキンパック包装体10。【選択図】図2

Description

本発明は、生肉用スキンパック包装体に関する。
食用の生肉は、例えば、樹脂トレーに載せられた状態で、酸素バリア性が低い透明樹脂フィルムを用いて樹脂トレーごと包装されたり、袋状の包装体で包装されて、小売りされる(特許文献1参照)。そして、このように包装された生肉は、包装体中で熟成が進行することが知られている。
特許第6370290号公報
一方で、包装された生肉は、熟成により美味しさが増すことに加え、保存期間が長くなることが望まれているが、従来の生肉用の包装体は、この点で改善の余地が残されている。
本発明は、包装した生肉を熟成させて、その美味しさを向上させることができ、従来よりも生肉の保存期間を延長できる包装体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1].蓋材及び底材を備えた生肉用スキンパック包装体であって、前記蓋材が、樹脂フィルムからなり、JIS K 7196に準拠した、前記樹脂フィルムの熱機械分析時に、2000μmの変位を示す温度が130℃以上であり、温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記蓋材の酸素透過量が、100cc/(m・day・atm)以下であり、温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記底材の酸素透過量が、300cc/(m・day・atm)以下であり、屠殺後の食用肉豚から取得した枝肉を、空気雰囲気下、4℃で2日間1次保管し、1次保管後の前記枝肉から取得した部分肉を、酸素透過量が10cc/(m・day・atm)以下である酸素バリアフィルムで真空包装して、空気雰囲気下、4℃で5日間2次保管し、2次保管後の前記部分肉から質量0.3kgのロース部位の試験肉を切り出し、前記蓋材及び底材を用いて、前記試験肉をスキンパック包装することにより、複数個の試験用包装体を作製し、前記複数個の試験用包装体を、空気雰囲気下、4℃で3次保管し、3次保管開始から1日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中のグルタミン酸の含有量Gを測定し、3次保管開始から7日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中のグルタミン酸の含有量Gを測定したとき、下記式(F
(F) H=G/G×100
で算出されるグルタミン酸の保持率Hが、150質量%以上である、生肉用スキンパック包装体。
[2].3次保管開始から1日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉表面の黄色度Yを測定し、3次保管開始から14日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉表面の黄色度Y14を測定したとき、下記式(F
(F) H=Y14/Y×100
で算出される黄色度の保持率Hが、60%以上である、[1]に記載の生肉用スキンパック包装体。
[3].3次保管開始から14日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中の大腸菌群数が、0cfu/gである、[1]又は[2]に記載の生肉用スキンパック包装体。
[4].3次保管開始から14日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中の一般生菌数が、1×10cfu/g以下である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の生肉用スキンパック包装体。
[5].前記樹脂フィルムが、吸収線量16~300kGyの条件で電子線照射されたものである、[1]~[4]のいずれか一項に記載の生肉用スキンパック包装体。
[6].前記樹脂フィルムの前記熱機械分析時に、温度が100℃での変位が330μm以下である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の生肉用スキンパック包装体。
[7].前記樹脂フィルムが、ポリエチレンを含む外層と、アイオノマーを含み、前記外層に隣接する機能層と、酸素バリア層と、エチレン-酢酸ビニル共重合体を含むシーラント層と、を備えた多層フィルムである、[1]~[6]のいずれか一項に記載の生肉用スキンパック包装体。
本発明によれば、包装した生肉を熟成させて、その美味しさを向上させることができ、従来よりも生肉の保存期間を延長できる包装体が提供される。
本発明の一実施形態に係る生肉用スキンパック包装体を構成する多層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る生肉用スキンパック包装体の一例を模式的に示す断面図である。
◎生肉用スキンパック包装体
本発明の一実施形態に係る生肉用スキンパック包装体(本明細書においては、単に「包装体」又は「第1実施形態の包装体」と称することがある)は、蓋材及び底材を備え、前記蓋材が、樹脂フィルムからなり、JIS K 7196に準拠した、前記樹脂フィルムの熱機械分析時に、2000μmの変位を示す温度が130℃以上であり、温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記蓋材の酸素透過量が、100cc/(m・day・atm)以下であり、温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記底材の酸素透過量が、300cc/(m・day・atm)以下であり、屠殺後の食用肉豚から取得した枝肉を、空気雰囲気下、4℃で2日間1次保管し、1次保管後の前記枝肉から取得した部分肉を、酸素透過量が10cc/(m・day・atm)以下である酸素バリアフィルムで真空包装して、空気雰囲気下、4℃で5日間2次保管し、2次保管後の前記部分肉から質量0.3kgのロース部位の試験肉を切り出し、前記蓋材及び底材を用いて、前記試験肉をスキンパック包装することにより、複数個の試験用包装体を作製し、前記複数個の試験用包装体を、空気雰囲気下、4℃で3次保管し、3次保管開始から1日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中のグルタミン酸の含有量Gを測定し、3次保管開始から7日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中のグルタミン酸の含有量Gを測定したとき、下記式(F
(F) H=G/G×100
で算出されるグルタミン酸の保持率Hが、150質量%以上である。
本実施形態の生肉用スキンパック包装体においては、前記樹脂フィルムの熱機械分析時に、2000μmの変位を示す温度が130℃以上であることにより、被包装物(収容物)に対する蓋材の追従性が高く、蓋材が包装対象物に対して高い密着性を示す。したがって、本実施形態の生肉用スキンパック包装体は、スキンパック包装体として好ましい特性を有する。
さらに、本実施形態の生肉用スキンパック包装体においては、蓋材及び底材の酸素透過量が一定水準以下となっている。これにより、本実施形態の生肉用スキンパック包装体においては、被包装物に対する酸素遮断性が高い。その結果、被包装物である生肉の保存期間が、従来よりも延長される。さらに、従来の包装された生肉では、通常、その熟成を進行させるための微生物を、生肉の包装時に新たに付着させるが、本実施形態の生肉用スキンパック包装体においては、包装された生肉は、その保存中に、生肉に元来付着している微生物の作用によって熟成が進行するため、生肉の包装時に新たに微生物を付着させる必要がない。
生肉中のグルタミン酸(Glutamic acid、CNO)は、生肉の旨味に関わる成分である。すなわち、グルタミン酸の含有量が適度に多い生肉は、より強く旨味を感じるために、美味しさの点で優れている。本実施形態の生肉用スキンパック包装体においては、前記グルタミン酸の保持率Hが150質量%以上であり、保存中の生肉のグルタミン酸の含有量が適度に高水準で維持されることにより、生肉の熟成によって、生肉の美味しさを向上させることができる。これに対して、前記グルタミン酸の保持率Hが過度に低いか又は高い場合には、グルタミン酸の含有量の変動の影響を避けることができず、生肉の熟成によって、生肉の美味しさを向上させることができない。
本明細書において、「スキンパック」としては、厚紙、段ボール、底フィルム、トレー等の上に収容物を配置し、その上に加熱したフィルムを被せ、チャンバー内で真空引きすることで、フィルムが収容物に密着固定する包装を意味する。製品の形状に沿って、まるで肌のようにフィルムが製品本体と密着する特徴が、「スキンパック」との名称の由来となっている。
<<底材>>
前記底材は、その酸素透過量が300cc/(m・day・atm)以下であり、前記試験用包装体を作製可能なものであれば、特に限定されない。
前記底材は、公知のものであってもよい。
温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記底材の酸素透過量は、300cc/(m・day・atm)以下であり、260cc/(m・day・atm)以下であることが好ましく、例えば、200cc/(m・day・atm)以下、150cc/(m・day・atm)以下、100cc/(m・day・atm)以下、及び50cc/(m・day・atm)以下のいずれかであってもよい。
一方、前記酸素透過量は、0cc/(m・day・atm)以上である。
温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記底材の酸素透過量は、JIS K 7126-2:2006に準拠して測定できる。
底材の酸素透過量は、例えば、底材の含有成分の種類と含有量、底材の厚さ等を調節することで、より容易に調節できる。
底材の厚さは、100μm以上であることが好ましく、110μm以上であることがより好ましく、120μm以上であることがさらに好ましい。底材の厚さが前記下限値以上であることで、底材の強度がより向上する。
底材の厚さは、6000μm以下であることが好ましい。底材の厚さが前記上限値以下であることで、底材の厚さが過剰となることが抑制される。
底材の厚さは、上述のいずれかの下限値と、上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。
底材においては、その種類によらず、すべての層が透明性を有し、底材が透明性を有していてもよいし、すべての層又は一部の層が透明性を有さず、底材が透明性を有していなくてもよい。透明な底材を用いて構成された生肉用スキンパック包装体においては、底材を介して、収容物である生肉を容易に視認できる。
底材のより詳細な構成と、その製造方法については、別途詳細に説明する。
<<樹脂フィルム(蓋材)>>
前記樹脂フィルム(蓋材)は、上述の、熱機械分析時の2000μmの変位を示す温度と、前記酸素透過量と、の条件を満たし、前記試験用包装体を作製可能なものであれば、特に限定されない。
前記樹脂フィルムの、熱機械分析(TMA)時における、2000μmの変位を示す温度が130℃以上であることにより、前記樹脂フィルムの耐熱性が向上し、その結果、前記樹脂フィルムの収容物への追従性が向上する。
前記樹脂フィルムの熱機械分析時において、2000μmの変位を示す温度は、例えば、140℃以上、170℃以上、及び180℃以上のいずれかであってもよい。前記温度が前記下限値以上であることで、前記樹脂フィルムの耐熱性がより向上し、その結果、前記樹脂フィルムの収容物への追従性がより向上する。
前記温度は、200℃以下であることが好ましく、190℃以下であることがより好ましい。前記温度が前記上限値以下であることで、前記樹脂フィルムの耐熱性が過剰となることが抑制される。
前記温度は、例えば、130~200℃、130~190℃、140~200℃、140~190℃、170~200℃、170~190℃、180~200℃、及び180~190℃のいずれかであってもよい。
前記樹脂フィルムの熱機械分析時において、温度が100℃での変位は、330μm以下であることが好ましく、40~328μmであることがより好ましく、45~326μmであることがさらに好ましく、例えば、50~324μm、55~322μm、及び55~320μmのいずれかであってもよい。前記変位が前記上限値以下であることで、前記樹脂フィルムの溶融張力が向上し、その結果、前記樹脂フィルムの収容物への追従性がより向上する。前記変位が前記下限値以上であることで、前記樹脂フィルムの溶融張力が過剰となることが抑制される。
前記樹脂フィルムの熱機械分析は、JIS K 7196に準拠して、標準試料と、分析対象の試料と、を一定速度で昇温したときの熱膨張量の差から、試料の熱膨張量を測定することにより、行うことができる。
前記樹脂フィルムの熱機械分析は、例えば、幅4mm、長さ50mm、厚さ120μmの試料を用い、この試料のフィルム流れ方向(MD)における変位(熱膨張量)を測定することで、行うことができる。
前記樹脂フィルムの熱機械分析時において、2000μmの変位を示す温度と、温度が100℃での変位は、例えば、前記樹脂フィルムを電子線照射されたものとし、このときの電子線照射の条件を調節することで、調節できる。例えば、前記樹脂フィルムが後述する多層フィルムである場合には、この多層フィルム中の外層又は機能層への電子線照射の条件を調節することで、前記温度及び変位をより容易に調節できる。
前記樹脂フィルムは、吸収線量16~300kGyの条件で電子線照射されたものであることが好ましく、吸収線量18~250kGyの条件で電子線照射されたものであることがより好ましく、例えば、吸収線量20~250kGy、22~250kGy、及び24~250kGyのいずれかの条件で電子線照射されたものであってもよい。前記吸収線量がこのような範囲であることで、前記樹脂フィルムの熱機械分析時において、2000μmの変位を示す温度と、温度が100℃での変位が、いずれも上述の数値範囲内となる前記樹脂フィルムが、より容易に得られる。一方、前記吸収線量が前記下限値以上であることで、前記樹脂フィルム(特に、前記樹脂フィルムが後述する多層フィルムである場合には、この多層フィルム中の外層及び機能層)の架橋密度がより向上し、その結果、前記樹脂フィルム全体として、耐熱性及び溶融張力がより向上する。前記吸収線量が前記上限値以下であることで、前記樹脂フィルムの強度が過剰となることが抑制される。
電子線照射により前記樹脂フィルム(特に、前記樹脂フィルムが後述する多層フィルムである場合には、この多層フィルム中の外層及び機能層)の架橋密度が向上する理由は定かではないが、以下のように推測される。すなわち、前記樹脂フィルムに電子線が照射されると、樹脂(例えば、ポリエチレン、アイオノマー)中の炭素-水素結合が切断され、切断された結合末端にラジカルが発生する。発生したラジカルは、分子鎖の分子運動により、他の樹脂の分子鎖(例えば、他のポリエチレン分子鎖、他のアイオノマー分子鎖)に接触し、水素原子を引き抜いて、他の樹脂の分子鎖(例えば、他のポリエチレン分子鎖、他のアイオノマー分子鎖)中の炭素原子と結合し、その結果、架橋構造が形成されるものと推測される。
電子線照射時の加速電圧は、100~300kVであることが好ましく、120~280kVであることがより好ましく、140~260kVであることがさらに好ましい。電子線照射時の加速電圧がこのような範囲であることで、前記樹脂フィルムの熱機械分析時において、2000μmの変位を示す温度と、温度が100℃での変位が、いずれも上述の数値範囲内となる前記樹脂フィルムが、より容易に得られる。一方、電子線照射時の加速電圧が前記下限値以上であることで、前記樹脂フィルム(特に、前記樹脂フィルムが後述する多層フィルムである場合には、この多層フィルム中の外層及び機能層)の架橋密度がより向上し、その結果、前記樹脂フィルム全体として、耐熱性及び溶融張力がより向上する。電子線照射時の加速電圧が前記上限値以下であることで、前記樹脂フィルムの強度が過剰となることが抑制される。
前記樹脂フィルムのゲル分率は、38%以上であることが好ましく、39~90%であることがより好ましく、40~85%であることがさらに好ましく、例えば、41~82%、42~82%、及び43~82%のいずれかであってもよい。前記樹脂フィルムのゲル分率が前記下限値以上であることで、前記樹脂フィルムの耐熱性及び溶融張力が向上し、その結果、収容物への追従性が向上する。前記樹脂フィルムのゲル分率が前記上限値以下であることで、前記樹脂フィルムの強度が過剰となることが抑制される。
前記樹脂フィルムのゲル分率は、フィルムの架橋部分が溶媒に溶解しないことを利用して、JIS K 6769に準拠して測定できる。すなわち、樹脂フィルムをキシレン等の有機溶媒中に浸漬し、溶解せずに残った不溶フィルムを乾燥させ、次いで、得られた乾燥物の質量を測定し、溶解前の樹脂フィルムの質量と、前記不溶フィルムの乾燥物の質量と、からゲル分率を算出できる。より具体的には、例えば、樹脂フィルム(質量Xg)を、ステンレス製金網(質量Yg)で包み、加熱した溶媒中に浸漬し、次いで、ステンレス製金網で包まれた樹脂フィルム(換言すると、前記不溶フィルム)を取り出す。次いで、これを真空乾燥させ、乾燥後のステンレス製金網で包まれた樹脂フィルム(換言すると、前記不溶フィルム)の質量(Zg)を測定する。そして、下記式(1):
樹脂フィルムのゲル分率(質量%)=(Z-Y)/X×100 (1)
により、樹脂フィルムのゲル分率を算出する。
前記樹脂フィルムのゲル分率は、例えば、前記樹脂フィルム(特に、前記樹脂フィルムが後述する多層フィルムである場合には、この多層フィルム中の外層又は機能層)を電子線照射されたものとし、このときの電子線照射の条件を調節することで、調節できる。この場合の電子線照射時の条件としては、上述の、前記樹脂フィルムの熱機械分析時において、2000μmの変位を示す温度と、温度が100℃での変位と、を調節するときと同様の、吸収線量と、電子線照射の加速電圧と、を採用できる。
前記樹脂フィルムは、上述の、熱機械分析時に2000μmの変位を示す温度と、ゲル分率と、の両方の条件を満たすもの、すなわち、前記樹脂フィルムとしては、その熱機械分析時に2000μmの変位を示す温度が130℃以上であり、かつ、ゲル分率が38%以上であるものであってもよい。
温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記樹脂フィルム(蓋材)の酸素透過量は、100cc/(m・day・atm)以下であり、80cc/(m・day・atm)以下であることが好ましく、60cc/(m・day・atm)以下であることがより好ましく、40cc/(m・day・atm)以下であることがさらに好ましく、20cc/(m・day・atm)以下であることが特に好ましく、例えば、10cc/(m・day・atm)以下であってもよい。
一方、前記酸素透過量は、0cc/(m・day・atm)以上である。
温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記樹脂フィルム(蓋材)の酸素透過量は、JIS K 7126-2:2006に準拠して測定できる。
前記樹脂フィルム(蓋材)の酸素透過量は、例えば、前記樹脂フィルムの含有成分の種類と含有量、前記樹脂フィルムの厚さ等を調節することで、より容易に調節できる。
前記樹脂フィルム(蓋材)の厚さは、60μm以上であることが好ましく、70~400μmであることがより好ましく、80~300μmであることがさらに好ましく、例えば、100~200μmであってもよい。前記樹脂フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、前記樹脂フィルムの強度がより向上する。前記樹脂フィルムの厚さが前記上限値以下であることで、前記樹脂フィルムの厚さが過剰となることが抑制される。
前記樹脂フィルムは、複数の層が積層されて構成された積層フィルムであることが好ましい。
積層フィルムである前記樹脂フィルムで好ましいものとしては、例えば、ポリエチレンを含む外層と、アイオノマーを含み、前記外層に隣接する機能層と、酸素バリア層と、エチレン-酢酸ビニル共重合体を含むシーラント層と、を備えた多層フィルムが挙げられる。
前記樹脂フィルム(蓋材)においては、その種類によらず、すべての層が透明性を有し、前記樹脂フィルムが透明性を有すること、すなわち、前記樹脂フィルムは透明樹脂フィルムであることが好ましい。このような樹脂フィルムを用いて構成された生肉用スキンパック包装体においては、樹脂フィルム(蓋材)を介して、収容物である生肉を容易に視認できる。
前記樹脂フィルム(蓋材)のより詳細な構成と、その製造方法については、別途詳細に説明する。
本実施形態における前記蓋材及び底材を用いて、試験肉をスキンパック包装することにより、複数個の試験用包装体を作製し、これら試験用包装体を用いて保管試験を行ったとき、前記式(F)で算出されるグルタミン酸の保持率Hは、150質量%以上であり、152~990質量%であることが好ましく、例えば、151~1000質量%、及び153~980質量%のいずれかであってもよいし、154~970質量%、及び155~960質量%のいずれかであってもよいし、156~950質量%であってもよい。
前記試験用包装体は、屠殺後の食用肉豚から取得した枝肉を、空気雰囲気下、4℃で2日間(48時間)1次保管し、1次保管後の前記枝肉から部分肉を取得し、前記部分肉を、酸素透過量が10cc/(m・day・atm)以下である酸素バリアフィルムで真空包装して、空気雰囲気下、4℃で5日間(120時間)2次保管し、2次保管後の前記部分肉から質量0.3kgのロース部位の試験肉を切り出し、前記蓋材及び底材を用いて、前記試験肉をスキンパック包装することにより、作製できる。
前記枝肉は、包装することなく、1次保管を行う。
1次保管後の前記枝肉の真空包装時に用いる前記酸素バリアフィルムは、その酸素透過量が10cc/(m・day・atm)以下であれば、特に限定されない。前記酸素バリアフィルムの酸素透過量は、0cc/(m・day・atm)以上である。
前記酸素バリアフィルムの酸素透過量は、JIS K 7126-2:2006に準拠して測定された値である。
前記酸素バリアフィルムは、1層で構成された単層フィルムであってもよいし、2層以上で構成された積層フィルムであってもよい。
前記酸素バリアフィルムは、ポリ塩化ビニリデン層(ポリ塩化ビニリデンからなる層)を備えた積層フィルムであることが好ましい。
前記積層フィルムとしては、例えば、ポリエチレン(PE)層、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)層、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)層、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)層及び超低密度ポリエチレン(VLDPE)層がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されたものが挙げられる。
このような積層フィルムにおいて、積層フィルム全体の厚さに対する、前記ポリエチレン層の厚さの割合は、2~50%であることが好ましく、ポリ塩化ビニリデン層の厚さの割合は、2~50%であることが好ましく、超低密度ポリエチレン層の厚さの割合は、2~50%であることが好ましく、1層のエチレン-酢酸ビニル共重合体層の厚さの割合は、2~50%であることが好ましい。
前記酸素バリアフィルムの厚さは、30~80μmであることが好ましい。
前記酸素バリアフィルムで真空包装する前記部分肉の質量は、5~50kgであることが好ましい。
前記部分肉の真空包装において、酸素バリアフィルムの加熱シール時のシール温度は、80~140℃であることが好ましい。
前記加熱シール時のシール時間は、前記シール温度に応じて、適宜調節できるが、通常は、2~20秒であることが好ましい。
前記加熱シール時の真空引きによる、前記部分肉が配置されている領域の圧力(真空度)は、5000Pa(50mbar)以下であることが好ましい。
このような条件で包装した前記部分肉は、その2次保管中に品質のばらつきが高度に抑制される。
前記枝肉から前記試験肉を切り出した後、前記試験用包装体は、例えば、後述する本実施形態の生肉用スキンパック包装体の製造方法により、作製できる。
3次保管開始からt日後(tは0より大きい数である)の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中のグルタミン酸の含有量Gは、例えば、高速液体クロマトグラフ法により測定できる。より具体的には、例えば、高速液体クロマトグラフ法により、グルタミン酸の量を特定するための検量線を予め作成しておき、グルタミン酸が含まれ得る試料を前記試験肉から採取し、この試料から少なくとも一部の不要物を除去した精製試料を調製し、高速液体クロマトグラフ法により、この精製試料中のグルタミン酸を定量して、得られた定量値から、前記検量線のデータを利用して、前記Gを算出できる。
また、前記Gは、例えば、ガスクロマトグラフ法でも測定できる。この場合には、前記高速液体クロマトグラフ法の場合と同様に、ガスクロマトグラフ法により、グルタミン酸の量を特定するための検量線を予め作成しておき、グルタミン酸が含まれ得る試料を前記試験肉から採取し、この試料から少なくとも一部の不要物を除去した精製試料を調製し、ガスクロマトグラフ法により、この精製試料中のグルタミン酸を定量して、得られた定量値から、前記検量線のデータを利用して、前記Gを算出できる。
前記Gの測定に用いる試験用包装体は、3次保管開始から前記Gの測定時まで未開封のものである。すなわち、開封済みの試験用包装体は、3次保管を行わない。
本実施形態においては、3次保管開始から14日後(t=14)の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中の大腸菌群数は、0cfu/gであることが好ましい。前記生肉用スキンパック包装体においては、被包装物である生肉に対する酸素遮断性が高いため、試験肉中の大腸菌群数の増大が抑制され、包装された生肉の保存期間が、従来よりも延長される。
本実施形態においては、3次保管開始から14日後(t=14)の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中の一般生菌数は、1×10cfu/g以下であることが好ましく、8.5×10cfu/g以下であることがより好ましく、8.2×10cfu/g以下であることがさらに好ましい。前記生肉用スキンパック包装体においては、被包装物である生肉に対する酸素遮断性が高いため、試験肉中の一般生菌数の増大が抑制され、包装された生肉の保存期間が、従来よりも延長される。
本実施形態においては、前記試験用包装体を用いて保管試験を行い、3次保管開始から1日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中のイノシン酸の含有量Iを測定し、3次保管開始から7日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中のイノシン酸の含有量Iを測定したとき、下記式(F
(F) H=I/I×100
で算出されるイノシン酸の保持率Hが、50~150質量%であってもよい。
生肉中のイノシン酸(inosine 5’-monophosphate、C1013P)は、生肉の旨味に関わる成分である。すなわち、イノシン酸の含有量が適度に多い生肉は、より強く旨味を感じるために、美味しさの点で優れている。本実施形態の生肉用スキンパック包装体においては、前記イノシン酸の保持率Hが50~150質量%である場合、保存中の生肉のイノシン酸の含有量が適度に高水準で維持されることにより、生肉の熟成によって、生肉の美味しさをより向上させることができる。
3次保管開始からt日後(tは0より大きい数である)の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中のイノシン酸の含有量I(例えば、前記I、I)は、上述のグルタミン酸の含有量G(例えば、前記G、G)と同時に測定できる。
前記Iは、例えば、測定対象がグルタミン酸ではなくイノシン酸である点を除けば、前記Gの場合と同じ方法で、ガスクロマトグラフ法により測定できる。この場合、同一の試料から、前記Gと前記Iを測定してもよい。
前記Hは、50~150質量%であることが好ましく、例えば、51~149質量%、52~148質量%、及び53~147質量%のいずれかであってもよいし、54~146質量%、55~145質量%、及び56~144質量%のいずれかであってもよいし、57~143質量%であってもよい。
本実施形態においては、前記試験用包装体を用いて保管試験を行い、3次保管開始から1日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉表面の黄色度Yを測定し、3次保管開始から14日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉表面の黄色度Y14を測定したとき、下記式(F
(F) H=Y14/Y×100
で算出される黄色度の保持率Hが、60%以上であってもよい。
生肉表面の黄色度は、生肉の退色を表す指標であり、黄色度の保持率が高い生肉ほど、退色しておらず、黄色度の保持率が低い生肉ほど、退色していることを意味する。本実施形態の生肉用スキンパック包装体においては、前記黄色度の保持率Hが60%以上である場合、保存中の生肉の黄色度が適度に高水準で維持されており、生肉の退色がより抑制されている。
3次保管開始からt日後(tは0より大きい数である)の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉表面の黄色度Y(例えば、前記Y)は、上述のグルタミン酸の含有量G(例えば、前記G)及びイノシン酸の含有量I(例えば、前記I)と同時に測定できる。
前記Yは、色差計を用いて、JIS-Z8722に準拠して測定することができる。この場合、同一の試料から、前記Iと前記Yを測定してもよい。
前記Hは、60~800質量%であることが好ましく、例えば、61~790質量%、62~780質量%、及び63~770質量%のいずれかであってもよいし、64~760質量%、65~750質量%、及び66~740質量%のいずれかであってもよいし、67~730質量%、68~720質量%、及び69~710質量%のいずれかであってもよい。
本実施形態の生肉用スキンパック包装体は、前記H、H及びHのうち、少なくとも前記Hが上述の条件を満たしていればよく、前記Hと、前記H及びHのいずれか一方又は両方と、が上述の条件を満たしていることが好ましく、前記H、H及びHがすべて、上述の条件を満たしていることがより好ましい。
すなわち、好ましい前記生肉用スキンパック包装体としては、例えば、蓋材及び底材を備え、前記蓋材が、樹脂フィルムからなり、JIS K 7196に準拠した、前記樹脂フィルムの熱機械分析時に、2000μmの変位を示す温度が130℃以上であり、温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記蓋材の酸素透過量が、100cc/(m・day・atm)以下であり、温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記底材の酸素透過量が、300cc/(m・day・atm)以下であり、屠殺後の食用肉豚から取得した枝肉を、空気雰囲気下、4℃で2日間1次保管し、1次保管後の前記枝肉から取得した部分肉を、酸素透過量が10cc/(m・day・atm)以下である酸素バリアフィルムで真空包装して、空気雰囲気下、4℃で5日間2次保管し、2次保管後の前記部分肉から質量0.3kgのロース部位の試験肉を切り出し、前記蓋材及び底材を用いて、前記試験肉をスキンパック包装することにより、複数個の試験用包装体を作製し、前記複数個の試験用包装体を、空気雰囲気下、4℃で3次保管し、3次保管開始から1日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中のグルタミン酸の含有量Gを測定し、3次保管開始から7日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中のグルタミン酸の含有量Gを測定したとき、下記式(F
(F) H=G/G×100
で算出されるグルタミン酸の保持率Hが、150質量%以上であり、かつ、
3次保管開始から1日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中のイノシン酸の含有量Iを測定し、3次保管開始から7日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中のイノシン酸の含有量Iを測定したとき、下記式(F
(F) H=I/I×100
で算出されるイノシン酸の保持率Hが、50~150質量%であるか、又は、
3次保管開始から1日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉表面の黄色度Yを測定し、3次保管開始から14日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉表面の黄色度Y14を測定したとき、下記式(F
(F) H=Y14/Y×100
で算出される黄色度の保持率Hが、60%以上である、生肉用スキンパック包装体が挙げられる。
より好ましい前記生肉用スキンパック包装体としては、例えば、蓋材及び底材を備え、前記蓋材が、樹脂フィルムからなり、JIS K 7196に準拠した、前記樹脂フィルムの熱機械分析時に、2000μmの変位を示す温度が130℃以上であり、温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記蓋材の酸素透過量が、100cc/(m・day・atm)以下であり、温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記底材の酸素透過量が、300cc/(m・day・atm)以下であり、屠殺後の食用肉豚から取得した枝肉を、空気雰囲気下、4℃で2日間1次保管し、1次保管後の前記枝肉から取得した部分肉を、酸素透過量が10cc/(m・day・atm)以下である酸素バリアフィルムで真空包装して、空気雰囲気下、4℃で5日間2次保管し、2次保管後の前記部分肉から質量0.3kgのロース部位の試験肉を切り出し、前記蓋材及び底材を用いて、前記試験肉をスキンパック包装することにより、複数個の試験用包装体を作製し、前記複数個の試験用包装体を、空気雰囲気下、4℃で3次保管し、3次保管開始から1日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中のグルタミン酸の含有量Gを測定し、3次保管開始から7日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中のグルタミン酸の含有量Gを測定したとき、下記式(F
(F) H=G/G×100
で算出されるグルタミン酸の保持率Hが、150質量%以上であり、かつ、
3次保管開始から1日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中のイノシン酸の含有量Iを測定し、3次保管開始から7日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中のイノシン酸の含有量Iを測定したとき、下記式(F
(F) H=I/I×100
で算出されるイノシン酸の保持率Hが、50~150質量%であり、かつ、
3次保管開始から1日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉表面の黄色度Yを測定し、3次保管開始から14日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉表面の黄色度Yを測定したとき、下記式(F
(F) H=Y14/Y×100
で算出される黄色度の保持率Hが、60%以上である、生肉用スキンパック包装体が挙げられる。
前記試験用包装体において、前記G、I及びY(換言すると、前記H、H及びH)は、例えば、試験用包装体中の蓋材又は底材の構成を調節することにより、調節できる。例えば、前記樹脂フィルムの熱機械分析時における、2000μmの変位を示す温度を調節して、前記試験肉に対する蓋材の追従性(密着性)を調節することで、前記G、I及びYを調節できる。
また、前記G、I及びYは、蓋材及び底材の酸素透過量を調節し、前記試験肉の熟成度を調節することでも、調節できる。
前記試験用包装体中の試験肉において、グルタミン酸及びイノシン酸が生成するメカニズム、並びに退色のメカニズムは、互いに異なる。本実施形態においては、試験用包装体中の蓋材又は底材の構成を調節することにより、これらグルタミン酸及びイノシン酸の生成量、並びに黄色度を、互いに独立に調節可能である。
以下、図面を参照しながら、本発明についてより詳細に説明する。なお、以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
<<樹脂フィルム(蓋材)の一実施形態>>
図1は、本実施形態における樹脂フィルム(蓋材)のうち、前記多層フィルム(積層フィルム)の一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す多層フィルム1は、外層12と、外層12に隣接する機能層13と、酸素バリア層14と、シーラント層11と、を備えている。多層フィルム1において、外層12は一方の最表層であり、シーラント層11は他方の最表層である。
さらに、多層フィルム1は、シーラント層11側から外層12側へ向けて、シーラント層11上に配置された耐ピンホール層16と、耐ピンホール層16と酸素バリア層14との間に配置された接着層15と、酸素バリア層14と機能層13との間に配置された接着層15と、を備えている。
すなわち、多層フィルム1は、シーラント層11、耐ピンホール層16、接着層15、酸素バリア層14、接着層15、機能層13及び外層12がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
<シーラント層>
シーラント層11は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)を含む。シーラント層11がエチレン-酢酸ビニル共重合体を含んでいることにより、多層フィルム1の、被着体との擬似接着性発現によるイージーピール性が向上する。
シーラント層11は、エチレン-酢酸ビニル共重合体のみを含んでいてもよい(すなわち、エチレン-酢酸ビニル共重合体からなるものであってもよい)し、エチレン-酢酸ビニル共重合体と、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、エチレン-酢酸ビニル共重合体と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
シーラント層11が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、エチレン-酢酸ビニル共重合体に該当しない樹脂である。
樹脂成分である前記他の成分は、1種のモノマーの重合体である単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーの重合体である共重合体であってもよい。
樹脂成分である前記他の成分として、より具体的には、例えば、エチレン-メタクリル酸共重合体、アイオノマー、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン-プロピレン共重合体等のオレフィン系共重合体等が挙げられる。これら他の成分(樹脂成分)を含むシーラント層11は、被着体との擬似接着性発現によるイージーピール性がより向上する。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
シーラント層11が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
シーラント層11における、シーラント層11の総質量に対する、エチレン-酢酸ビニル共重合体の含有量の割合は、65~100質量%であることが好ましく、70~100質量%であることがより好ましく、75~100質量%であることがさらに好ましく、例えば、85~100質量%であってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、被着体との擬似接着性発現によるイージーピール性がより向上する。
前記割合は、通常、後述するシーラント層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、エチレン-酢酸ビニル共重合体の含有量(質量部)の割合、と同じである。
本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15~25℃の温度等が挙げられる。
シーラント層11は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。シーラント層11が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
本明細書においては、シーラント層11の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
シーラント層11の厚さは、特に限定されないが、4~96μmであることが好ましく、7~93μmであることがより好ましく、10~90μmであることがさらに好ましく、例えば、10~70μm、10~50μm、及び10~30μmのいずれかであってもよい。シーラント層11の厚さが前記下限値以上であることで、シーラント層11の強度がより高くなる。シーラント層11の厚さが前記上限値以下であることで、シーラント層11の厚さが過剰となることが抑制されるとともに、多層フィルム1を加熱によりシールしたときに、シール強度がより高くなる。
ここで、「シーラント層11の厚さ」とは、シーラント層11全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなるシーラント層11の厚さとは、シーラント層11を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
シーラント層11の、外層12側とは反対側の露出面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)11aは、シール面である。
<外層>
外層12は、ポリエチレン(PE)を含む。外層12がポリエチレンを含んでいることにより、多層フィルム1に対して、外層12側の外部から電子線照射することにより、外層12の架橋密度を向上させることができる。その結果、多層フィルム1を用いて構成されたスキンパック包装体の収容物への追従性が向上する。
外層12は、ポリエチレンのみを含んでいてもよい(すなわち、ポリエチレンからなるものであってもよい)し、ポリエチレンと、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、ポリエチレンと、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
外層12が含むポリエチレンは、密度が0.945g/cm以下の低密度ポリエチレンであることが好ましく、密度が0.943g/cm以下の低密度ポリエチレンであることがより好ましく、密度が0.941g/cm以下の低密度ポリエチレンであることがさらに好ましい。このような低密度のポリエチレン(LDPE)を含むことで、多層フィルム1に対して、外層12側の外部から電子線照射することにより、外層12の架橋密度をより向上させることができる。
外層12が含むポリエチレンは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
外層12が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、ポリエチレン以外の樹脂である。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、シーラント層11が含む他の成分として先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
外層12が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
外層12における、外層12の総質量に対する、ポリエチレンの含有量の割合は、50質量%以上であることが好ましく、55~100質量%であることがより好ましく、60~100質量%であることがさらに好ましく、例えば、70~100質量%、及び85~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、多層フィルム1に対して、外層12側の外部から電子線照射することにより、外層12の架橋密度をより向上させることができる。
前記割合は、通常、後述する外層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、ポリエチレンの含有量(質量部)の割合、と同じである。
外層12は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。外層12が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
外層12の厚さは、特に限定されないが、4~146μmであることが好ましく、7~143μmであることがより好ましく、10~140μmであることがさらに好ましく、例えば、10~110μm、10~80μm、及び10~50μmのいずれかであってもよい。外層12の厚さが前記下限値以上であることで、多層フィルム1に対して、外層12側の外部から電子線照射することにより、外層12の架橋密度をより向上させることができる。外層12の厚さが前記上限値以下であることで、外層12の厚さが過剰となることが抑制される。
ここで、「外層12の厚さ」とは、外層12全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる外層12の厚さとは、外層12を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
多層フィルム1の厚さに対する、外層12の厚さの割合は、特に限定されないが、10%以上であることが好ましく、12~88%であることがより好ましく、14~86%であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、多層フィルム1に対して、外層12側の外部から電子線照射することにより得られる効果が、より高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、外層12の厚さが過剰となることが抑制される。
<機能層>
機能層13は、アイオノマーを含み、外層12に隣接している。機能層13がアイオノマーを含んでいることにより、多層フィルム1に対して、外層12側の外部から電子線照射した場合に、機能層13の架橋密度を向上させることができる。その結果、多層フィルム1を用いて構成されたスキンパック包装体の収容物への追従性が、より向上する。
機能層13は、アイオノマーのみを含んでいてもよい(すなわち、アイオノマーからなるものであってもよい)し、アイオノマーと、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、アイオノマーと、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
機能層13が含む前記アイオノマーとしては、例えば、エチレンと少量のアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体が、その中の酸部分と、金属イオンと、の塩形成によって、イオン橋かけ構造を有している樹脂が挙げられる。
前記金属イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、亜鉛イオン等が挙げられる。本明細書において、金属イオンがナトリウムイオンである場合のアイオノマーをナトリウム系アイオノマーと称し、金属イオンが亜鉛イオンである場合のアイオノマーを亜鉛系アイオノマーと称することがある。
機能層13が含むアイオノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
機能層13が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、アイオノマー以外の樹脂である。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、シーラント層11が含む他の成分として先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
機能層13が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
機能層13における、機能層13の総質量に対する、アイオノマーの含有量の割合は、50質量%以上であることが好ましく、55~100質量%であることがより好ましく、60~100質量%であることがさらに好ましく、例えば、70~100質量%、及び85~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、多層フィルム1に対して、外層12側の外部から電子線照射することにより、機能層13の架橋密度をより向上させることができる。
前記割合は、通常、後述する機能層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、アイオノマーの含有量(質量部)の割合、と同じである。
機能層13は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。機能層13が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
機能層13の厚さは、4~146μmであることが好ましく、7~143μmであることがより好ましく、10~140μmであることがさらに好ましく、例えば、10~110μm、10~80μm、10~50μm、及び10~30μmのいずれかであってもよい。機能層13の厚さが前記下限値以上であることで、多層フィルム1に対して、外層12側の外部から電子線照射することにより、機能層13の架橋密度をより向上させることができる。機能層13の厚さが前記上限値以下であることで、機能層13の厚さが過剰となることが抑制される。
ここで、「機能層13の厚さ」とは、機能層13全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる機能層13の厚さとは、機能層13を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
多層フィルム1の厚さに対する、機能層13の厚さの割合は、特に限定されないが、10%以上であることが好ましく、11~89%であることがより好ましく、12~88%であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、多層フィルム1に対して、外層12側の外部から電子線照射することにより得られる効果が、より高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、機能層13の厚さが過剰となることが抑制される。
<酸素バリア層>
酸素バリア層14は、多層フィルム1に強い酸素バリア性(換言すると、酸素ガスの透過を抑制する性質)を付与する。
酸素バリア層14は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH、別名:エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物)を含んでいることが好ましい。このような酸素バリア層14を備えた多層フィルム1の酸素バリア性は、より高くなる。
酸素バリア層14は、エチレン-ビニルアルコール共重合体のみを含んでいてもよい(すなわち、エチレン-ビニルアルコール共重合体からなるものであってもよい)し、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
酸素バリア層14が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、エチレン-ビニルアルコール共重合体以外の樹脂である。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、シーラント層11が含む他の成分として先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
酸素バリア層14が含む他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
酸素バリア層14における、酸素バリア層14の総質量に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量の割合は、50~100質量%であることが好ましく、60~100質量%であることがより好ましく、70~100質量%であることがさらに好ましく、例えば、85~100質量%であってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、多層フィルム1の酸素バリア性がより高くなる。
前記割合は、通常、後述する酸素バリア層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量(質量部)の割合、と同じである。
酸素バリア層14は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。酸素バリア層14が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
酸素バリア層14の厚さは、2~100μmであることが好ましく、3~90μmであることがより好ましく、4~80μmであることがさらに好ましく、例えば、4~60μm、4~40μm、及び4~20μmのいずれかであってもよい。酸素バリア層14の厚さが前記下限値以上であることで、多層フィルム1の酸素バリア性がより高くなる。酸素バリア層14の厚さが前記上限値以下であることで、酸素バリア層14の厚さが過剰となることが抑制される。
ここで、「酸素バリア層14の厚さ」とは、酸素バリア層14全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる酸素バリア層14の厚さとは、酸素バリア層14を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
多層フィルム1の厚さに対する、酸素バリア層14の厚さの割合は、特に限定されないが、1%以上であることが好ましく、2~30%であることがより好ましく、3~25%であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、多層フィルム1の酸素バリア性がより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、酸素バリア層14の厚さが過剰となることが抑制される。
食品用のスキンパック包装体の場合、食品の酸化劣化を抑制するために、スキンパック包装体を構成する多層フィルムには、酸素バリア層を備えていることが求められる。しかし、酸素バリア層の存在によって、スキンパック包装体の食品への追従性(シワを生じることなく食品に密着する性質)が低下するという問題点があった。これに対して、外層12及び機能層13を備えた本実施形態の多層フィルム1を用いて構成されたスキンパック包装体では、このような問題点が改善されている。その理由は、外層12及び機能層13の存在により、多層フィルム1の耐熱性及び溶融張力が向上しており、その結果、多層フィルム1は、収容物への追従性に優れているためである。
<接着層>
接着層15は、接着剤を含む。
接着層15は、その両面に隣接する2層を接着する。多層フィルム1において、耐ピンホール層16と酸素バリア層14との間に配置されている接着層15は、耐ピンホール層16と酸素バリア層14とを接着し、酸素バリア層14と機能層13との間に配置されている接着層15は、酸素バリア層14と機能層13とを接着している。本明細書においては、これら2層の接着層15を互いに区別するために、必要に応じて、耐ピンホール層16と酸素バリア層14との間に配置されている接着層15を第1接着層151と称し、酸素バリア層14と機能層13との間に配置されている接着層15を第2接着層152と称することがある。
これら2層の接着層15(第1接着層151及び第2接着層152)は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
接着層15が含む前記接着剤は、接着対象の2層を十分な強度で接着できるものであれば、特に限定されない。
前記接着剤としては、例えば、オレフィン系樹脂(すなわち、1種又は2種以上のモノマーであるオレフィンの重合体)等の接着性樹脂が挙げられる。
接着層15が含む前記オレフィン系樹脂として、より具体的には、例えば、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、ブテン系共重合体等が挙げられる。
前記エチレン系共重合体とは、エチレンと、エチレン以外のモノマーと、の共重合体である。
前記プロピレン系共重合体とは、プロピレンと、プロピレン以外のモノマーと、の共重合体である。
前記ブテン系共重合体とは、ブテンと、ブテン以外のモノマーと、の共重合体である。
接着層15が含む前記エチレン系共重合体としては、例えば、エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。
エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体としては、例えば、無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、アイオノマー(ION)、エチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
前記アイオノマーとしては、例えば、機能層13が含むものとして先に挙げたアイオノマーと、同じものが挙げられる。
接着層15が含む前記プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレンとビニル基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。
プロピレンとビニル基含有モノマーとの共重合体としては、例えば、無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリプロピレン、プロピレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
接着層15が含む前記ブテン系共重合体としては、例えば、1-ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、2-ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、これら共重合体の変性物(変性共重合体)等が挙げられる。
接着層15は、接着剤のみを含んでいてもよい(すなわち、接着剤からなるものであってもよい)し、接着剤と、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、接着剤と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
接着層15が含む接着剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
接着層15が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
接着層15が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
接着層15における、接着層15の総質量に対する、接着剤の含有量の割合は、例えば、50~100質量%であってもよい。
前記割合は、通常、後述する接着層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、接着剤の含有量(質量部)の割合、と同じである。
接着層15は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。接着層15が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
接着層15の厚さは、4~96μmであることが好ましく、5~93μmであることがより好ましく、例えば、5~80μm、5~60μm、5~40μm、及び5~20μmのいずれかであってもよい。接着層15の厚さが前記下限値以上であることで、接着対象の2層の接着強度がより高くなる。接着層15の厚さが前記上限値以下であることで、接着層15の厚さが過剰となることが抑制される。
ここで、「接着層15の厚さ」とは、接着層15全体の厚さ(例えば、耐ピンホール層16と酸素バリア層14との間に配置されている接着層15全体の厚さ、酸素バリア層14と機能層13との間に配置されている接着層15全体の厚さ)を意味し、例えば、複数層からなる接着層15の厚さとは、接着層15を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
<耐ピンホール層>
多層フィルム1は、耐ピンホール層16を備えていなくてもよいが、耐ピンホール層16を備えていることにより、その耐ピンホール性がより高くなる。そして、この多層フィルム1を用いて構成された包装体においては、その加熱処理時における強度の低下を抑制できる。
耐ピンホール層16は、アイオノマーを含んでいることが好ましい。耐ピンホール層16がアイオノマーを含んでいることにより、多層フィルム1の耐ピンホール性がより高くなるとともに、多層フィルム1に対して、外層12側の外部から電子線照射した場合に、耐ピンホール層16の架橋密度を向上させることができる。その結果、多層フィルム1を用いて構成されたスキンパック包装体の収容物への追従性が、より向上する。
耐ピンホール層16は、アイオノマーのみを含んでいてもよい(すなわち、アイオノマーからなるものであってもよい)し、アイオノマーと、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、アイオノマーと、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
耐ピンホール層16が含むアイオノマーとしては、例えば、機能層13が含むものとして先に挙げたアイオノマーと、同じものが挙げられる。
耐ピンホール層16が含むアイオノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
耐ピンホール層16が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、アイオノマー以外の樹脂である。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、シーラント層11が含む他の成分として先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
耐ピンホール層16が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
耐ピンホール層16における、耐ピンホール層16の総質量に対する、アイオノマーの含有量の割合は、50質量%以上であることが好ましく、55~100質量%であることがより好ましく、60~100質量%であることがさらに好ましく、例えば、70~100質量%、及び85~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、多層フィルム1の、アイオノマーを含んでいることにより得られる効果が、より高くなる。
前記割合は、通常、後述する耐ピンホール層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、アイオノマーの含有量(質量部)の割合、と同じである。
耐ピンホール層16は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。耐ピンホール層16が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
耐ピンホール層16の厚さは、4~146μmであることが好ましく、7~143μmであることがより好ましく、10~140μmであることがさらに好ましく、例えば、10~110μm、10~80μm、及び10~50μmのいずれかであってもよい。耐ピンホール層16の厚さが前記下限値以上であることで、多層フィルム1の耐ピンホール性がより高くなる。耐ピンホール層16の厚さが前記上限値以下であることで、耐ピンホール層16の厚さが過剰となることが抑制される。
ここで、「耐ピンホール層16の厚さ」とは、耐ピンホール層16全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる耐ピンホール層16の厚さとは、耐ピンホール層16を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
多層フィルム1の厚さに対する、耐ピンホール層16の厚さの割合は、特に限定されないが、10%以上であることが好ましく、11~89%であることがより好ましく、12~88%であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、多層フィルム1の耐ピンホール性がより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、耐ピンホール層16の厚さが過剰となることが抑制される。
<他の層>
多層フィルム1は、本発明の効果を損なわない範囲内において、シーラント層11と、外層12と、機能層13と、酸素バリア層14と、接着層15と、耐ピンホール層16と、のいずれにも該当しない、他の層を備えていてもよい。
前記他の層の種類及び配置位置は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
多層フィルム1が備えている前記他の層は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記他の層は、その1種あたり、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。前記他の層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
前記他の層の厚さは、その種類に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
多層フィルム1は、前記他の層を備えている場合、前記他の層をそれ以外の層と接着するための接着層(例えば、接着層15等)をさらに備えていてもよい。
多層フィルム1の厚さは、先に説明した前記樹脂フィルム(蓋材)の厚さと同じである。
本実施形態における多層フィルムは、上述のものに限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、前記多層フィルムは、耐ピンホール層と、接着層と、機能層と、のいずれか1種又は2種以上を備えていなくてもよい。ただし、前記多層フィルムは、図1に示すように、シーラント層と、耐ピンホール層と、接着層と、酸素バリア層と、接着層と、機能層と、外層と、をこの順に備えていることが好ましい。
<<樹脂フィルム(蓋材)の製造方法>>
前記樹脂フィルム(蓋材)は、その種類に応じて、公知の方法で製造できる。
例えば、前記多層フィルム等の積層フィルムは、数台の押出機を用いて、各層の形成材料となる樹脂や樹脂組成物等を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法等により、製造できる。
また、前記積層フィルムは、その中のいずれかの層の形成材料となる樹脂や樹脂組成物等を、積層フィルムを構成するための別の層の表面にコーティングして、必要に応じて乾燥させることにより、積層フィルム中の積層構造を形成し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
また、前記積層フィルムは、そのうちのいずれか2層以上を構成するための2枚以上のフィルムをあらかじめ別々に作製しておき、接着剤を用いてこれらフィルムを、ドライラミネート法、押出ラミネート法、ホットメルトラミネート法及びウェットラミネート法のいずれかによって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。このとき、接着剤として、前記接着層を形成可能なものを用いてもよい。
また、前記積層フィルムは、上記のように、あらかじめ別々に作製しておいた2枚以上のフィルムを、接着剤を用いずに、サーマル(熱)ラミネート法等によって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
前記積層フィルムを製造するときには、ここまでに挙げた、積層フィルム中のいずれかの層(フィルム)の形成方法を、2以上組み合わせてもよい。
製造方法がいずれの場合であっても、前記積層フィルム中のいずれかの層の形成材料となる前記樹脂組成物は、形成する層が目的とする成分(構成材料)を、目的とする含有量で含むように、含有成分の種類と含有量を調節して、製造すればよい。例えば、前記樹脂組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、この樹脂組成物から形成された層中の、前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
シーラント層(図1に示す多層フィルム1においては、シーラント層11)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「シーラント層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記エチレン-酢酸ビニル共重合体と、必要に応じて前記他の成分と、を含むものが挙げられる。
外層(図1に示す多層フィルム1においては、外層12)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「外層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記ポリエチレンと、必要に応じて前記他の成分と、を含むものが挙げられる。
機能層(図1に示す多層フィルム1においては、機能層13)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「機能層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記アイオノマーと、必要に応じて前記他の成分と、を含むものが挙げられる。
酸素バリア層(図1に示す多層フィルム1においては、酸素バリア層14)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「酸素バリア層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記エチレン-ビニルアルコール共重合体と、必要に応じて前記他の成分と、を含むものが挙げられる。
耐ピンホール層(図1に示す多層フィルム1においては、耐ピンホール層16)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「耐ピンホール層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記アイオノマーと、必要に応じて前記他の成分と、を含むものが挙げられる。
接着層(図1に示す多層フィルム1においては、接着層15)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「接着層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記接着剤と、必要に応じて前記他の成分と、を含むものが挙げられる。
<<底材の一実施形態>>
底材は、複数の層が積層されて構成された積層体であることが好ましい。
積層体である底材で好ましいものとしては、例えば、発泡樹脂層と、前記発泡樹脂層上に設けられた非発泡樹脂層と、を備えた樹脂積層体が挙げられる。
前記発泡樹脂層は、公知のものであってよい。
前記発泡樹脂層としては、例えば、ポリスチレン系樹脂(PSP)の発泡体を含む樹脂層等が挙げられる。
前記発泡樹脂層の密度は、特に限定されないが、0.05~0.5g/cmであることが好ましい。
前記発泡樹脂層の発泡率は、特に限定されないが、2~20倍であることが好ましい。 前記発泡樹脂層の厚さは、特に限定されないが、500~6000μmであることが好ましい。
前記非発泡樹脂層としては、例えば、イージーピール層と、酸素バリア層と、耐ピンホール層と、接着層と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された底材用多層フィルムが挙げられる。前記底材用多層フィルムにおいて、イージーピール層は一方の最表層であり、接着層は他方の最表層である。
前記底材用多層フィルムは、例えば、前記イージーピール層と前記酸素バリア層との間に、これら2層を接着するための中間接着層を備えていてもよい。
また、前記底材用多層フィルムは、例えば、前記酸素バリア層と前記耐ピンホール層との間に、これら2層を接着するための中間接着層を備えていてもよい。
すなわち、前記底材用多層フィルムは、イージーピール層と、中間接着層と、酸素バリア層と、中間接着層と、耐ピンホール層と、接着層と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されていてもよい。
本明細書においては、これら2層の中間接着層を互いに区別するために、必要に応じて、前記イージーピール層と前記酸素バリア層との間に配置されている中間接着層を第1中間接着層と称し、前記酸素バリア層と前記耐ピンホール層との間に配置されている中間接着層を第2中間接着層と称することがある。
これら2層の中間接着層(第1中間接着層、第2中間接着層)は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
<イージーピール層>
底材用多層フィルムにおける前記イージーピール層としては、凝集破壊による剥離性を示すものが挙げられる。
凝集破壊による剥離性を示すイージーピール層としては、例えば、非相溶性の2種のポリオレフィンを含むものが挙げられる。
底材用多層フィルムにおけるイージーピール層が含む、非相溶性の2種のポリオレフィンとしては、例えば、エチレンから誘導された構成単位を少なくとも有するエチレン系重合体と、プロピレンから誘導された構成単位を少なくとも有するプロピレン系重合体と、が挙げられる。
すなわち、前記イージーピール層としては、例えば、エチレンから誘導された構成単位を少なくとも有するエチレン系重合体、並びに、プロピレンから誘導された構成単位を少なくとも有するプロピレン系重合体、を含むものが挙げられる。
底材用多層フィルムにおけるイージーピール層が含む前記エチレン系重合体としては、エチレンの単独重合体と、エチレン系共重合体と、が挙げられる。
前記エチレンの単独重合体としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。
前記エチレン系共重合体は、エチレンから誘導された構成単位と、エチレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有する。
前記エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、アイオノマー(ION)等が挙げられる。
前記アイオノマーとしては、例えば、先に説明した多層フィルム1中の機能層13が含むものとして先に挙げたアイオノマーと、同じものが挙げられる。
底材用多層フィルムにおけるイージーピール層は、前記エチレン系重合体として、低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。このようなイージーピール層のイージーピール性は、より良好である。
底材用多層フィルムにおけるイージーピール層が含む、前記プロピレン系重合体としては、プロピレンの単独重合体(すなわちポリプロピレン又はホモポリプロピレン、hPP)と、プロピレン系共重合体と、が挙げられる。
前記プロピレン系共重合体は、プロピレンから誘導された構成単位と、プロピレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有する。
前記プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体(別名:ポリプロピレンランダムコポリマー、rPP)、プロピレン-エチレンブロック共重合体(別名:ポリプロピレンブロックコポリマー、bPP)等が挙げられる。
底材用多層フィルムにおけるイージーピール層は、前記プロピレン系重合体として、ポリプロピレンを含むことが好ましい。このようなイージーピール層のイージーピール性は、より良好である。
底材用多層フィルムにおけるイージーピール層が含む、イージーピール性を発現する成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。例えば、イージーピール性を発現する成分が、上述の非相溶性の2種のポリオレフィンである場合、イージーピール層が含むこれらポリオレフィンは、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
底材用多層フィルム中の前記イージーピール層において、前記エチレン系重合体及びプロピレン系重合体の合計含有量(質量部)に対する、前記エチレン系重合体の含有量(質量部)の割合は、10~90質量%であることが好ましく、例えば、30~90質量%、45~90質量%、及び60~90質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、イージーピール層のイージーピール性がより良好となる。前記割合が前記上限値以下であることで、ピール強度がより安定する。
前記割合は、通常、後述する底材用イージーピール層形成用組成物における、前記エチレン系重合体及びプロピレン系重合体の合計含有量(質量部)に対する、前記エチレン系重合体の含有量(質量部)の割合、と同じである。
底材用多層フィルムにおけるイージーピール層は、イージーピール性を損なわない範囲で、イージーピール性を発現する成分(例えば、上述の非相溶性の2種のポリオレフィン)以外に、他の成分を含んでいてもよい。
前記イージーピール層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
底材用多層フィルム中のイージーピール層において、イージーピール層の総質量に対する、イージーピール性を発現する成分の含有量の割合(例えば、上述の非相溶性の2種のポリオレフィンの合計含有量の割合)は、50~100質量%であることが好ましく、70~100質量%であることがより好ましく、例えば、80~100質量%、90~100質量%、95~100質量%、97~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、イージーピール層のイージーピール性がより良好となる。
前記割合は、通常、後述する底材用イージーピール層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、イージーピール性を発現する成分の含有量(質量部)の割合、と同じである。
底材用多層フィルムにおけるイージーピール層が含む前記他の成分としては、例えば、防曇剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。
底材用多層フィルムにおけるイージーピール層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。前記イージーピール層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
底材用多層フィルムにおけるイージーピール層の厚さは、2~50μmであることが好ましい。前記イージーピール層の厚さが前記下限値以上であることで、前記イージーピール層のシール強度が適度に高くなる。前記イージーピール層の厚さが前記上限値以下であることで、イージーピール性がより高くなる。
ここで、「イージーピール層の厚さ」とは、イージーピール層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなるイージーピール層の厚さとは、イージーピール層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
底材用多層フィルムの厚さに対する、前記イージーピール層の厚さの割合は、特に限定されないが、5~40%であることが好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記イージーピール層のシール強度が適度に高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、イージーピール性がより高くなる。
<酸素バリア層>
前記酸素バリア層は、底材用多層フィルムに酸素バリア性(換言すると、酸素ガスの透過を抑制する性質)を付与する。
底材用多層フィルムにおける前記酸素バリア層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH、別名:エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物)又はポリアミドを含んでいることが好ましい。
前記ポリアミドとしては、例えば、4-ナイロン、6-ナイロン、7-ナイロン、11-ナイロン、12-ナイロン、46-ナイロン、66-ナイロン、69-ナイロン、610-ナイロン、611-ナイロン、612-ナイロン、6T-ナイロン、6Iナイロン、6-ナイロンと66-ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/66)、6-ナイロンと610-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと611-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと12-ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/12)、6-ナイロンと612ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと6T-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと66-ナイロンと610-ナイロンとのコポリマー、6-ナイロンと66-ナイロンと12-ナイロンとのコポリマー(ナイロン6/66/12)、6-ナイロンと66-ナイロンと612-ナイロンとのコポリマー、66-ナイロンと6T-ナイロンとのコポリマー、66-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー、6T-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー、66-ナイロンと6T-ナイロンと6I-ナイロンとのコポリマー等が挙げられる。
前記ポリアミドは、耐熱性、機械的強度、及び入手の容易さ等の点においては、6-ナイロン(本明細書においては、「Ny6」と略記することがある)、12-ナイロン、66-ナイロン、ナイロン6/66、ナイロン6/12又はナイロン6/66/12であることが好ましい。
底材用多層フィルムにおける酸素バリア層が含むポリアミドは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
底材用多層フィルムにおける酸素バリア層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体及びポリアミドのいずれか一方又は両方のみを含んでいてもよい(すなわち、エチレン-ビニルアルコール共重合体及びポリアミドのいずれか一方又は両方からなるものであってもよい)し、エチレン-ビニルアルコール共重合体及びポリアミドのいずれか一方又は両方と、これら以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、エチレン-ビニルアルコール共重合体及びポリアミドのいずれか一方又は両方と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
底材用多層フィルムにおける酸素バリア層が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。 樹脂成分である前記他の成分は、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、ポリアミドと、のいずれにも該当しない樹脂である。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、先に説明した多層フィルム1中のシーラント層11が含む他の成分として先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
底材用多層フィルムにおける酸素バリア層が含む他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
底材用多層フィルム中の酸素バリア層における、前記酸素バリア層の総質量に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体及びポリアミドの合計含有量の割合は、50~100質量%であることが好ましく、60~100質量%であることがより好ましく、例えば、70~100質量%、及び85~100質量%のいずれかであってもよい。
前記割合は、通常、後述する底材用酸素バリア層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体及びポリアミドの合計含有量(質量部)の割合、と同じである。
底材用多層フィルムにおける酸素バリア層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。前記酸素バリア層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
底材用多層フィルムにおける酸素バリア層の厚さは、2~20μmであることが好ましい。前記酸素バリア層の厚さが前記下限値以上であることで、前記酸素バリア層の酸素バリア性がより高くなる。前記酸素バリア層の厚さが前記上限値以下であることで、前記酸素バリア層の厚さが過剰となることが抑制される。
ここで、「酸素バリア層の厚さ」とは、酸素バリア層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる酸素バリア層の厚さとは、酸素バリア層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
底材用多層フィルムの厚さに対する、前記酸素バリア層の厚さの割合は、特に限定されないが、5~15%であることが好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、底材用多層フィルムの酸素バリア性がより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、前記酸素バリア層の厚さが過剰となることが抑制される。
<耐ピンホール層>
前記耐ピンホール層は、底材用多層フィルムにおいてピンホールの発生を抑制するなど、底材用多層フィルムの構造を保護するための層である。
底材用多層フィルムにおける前記耐ピンホール層は、ポリオレフィンを含んでいることが好ましい。
前記ポリオレフィンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン等が挙げられる。
底材用多層フィルムにおける耐ピンホール層は、ポリオレフィンのみを含んでいてもよい(すなわち、ポリオレフィンからなるものであってもよい)し、ポリオレフィンと、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、ポリオレフィンと、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
底材用多層フィルムにおける耐ピンホール層が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
樹脂成分である前記他の成分は、ポリオレフィン以外の樹脂である。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、先に説明した多層フィルム1中のシーラント層11が含む他の成分として先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
底材用多層フィルムにおける耐ピンホール層が含む他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
底材用多層フィルム中の耐ピンホール層における、前記耐ピンホール層の総質量に対する、ポリオレフィンの含有量の割合は、50~100質量%であることが好ましく、60~100質量%であることがより好ましく、例えば、70~100質量%、及び85~100質量%のいずれかであってもよい。
前記割合は、通常、後述する底材用耐ピンホール層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、ポリオレフィンの含有量(質量部)の割合、と同じである。
底材用多層フィルムにおける耐ピンホール層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。前記耐ピンホール層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
底材用多層フィルムにおける耐ピンホール層の厚さは、2~50μmであることが好ましい。前記耐ピンホール層の厚さが前記下限値以上であることで、前記耐ピンホール層の保護能がより高くなる。前記耐ピンホール層の厚さが前記上限値以下であることで、前記耐ピンホール層の厚さが過剰となることが抑制される。
ここで、「耐ピンホール層の厚さ」とは、耐ピンホール層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる耐ピンホール層の厚さとは、耐ピンホール層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
底材用多層フィルムの厚さに対する、前記耐ピンホール層の厚さの割合は、特に限定されないが、5~40%であることが好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、底材用多層フィルムの耐ピンホール性がより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、前記耐ピンホール層の厚さが過剰となることが抑制される。
<接着層>
前記接着層は、底材用多層フィルムを前記発泡樹脂層に接着するための層であり、接着剤を含む。
前記接着剤は、接着性樹脂であることが好ましく、エチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂であることがより好ましい。
前記エチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂は、エチレンから誘導された構成単位と、酢酸ビニルから誘導された構成単位と、を有し、これら以外の他の構成単位を有していてもよいし、有していなくてもよい。
前記エチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂で好ましいものとしては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体部分ケン化物等が挙げられる。
底材用多層フィルムにおける接着層は、接着剤のみを含んでいてもよい(すなわち、接着剤からなるものであってもよい)し、接着剤と、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、接着剤と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
底材用多層フィルムにおける接着層が含む接着剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
底材用多層フィルムにおける接着層が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
底材用多層フィルムにおける接着層が含む他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
底材用多層フィルム中の接着層における、前記接着層の総質量に対する、接着剤の含有量の割合は、例えば、50~100質量%であってもよい。
前記割合は、通常、後述する底材用接着層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、接着剤の含有量(質量部)の割合、と同じである。
底材用多層フィルムにおける接着層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。前記接着層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
底材用多層フィルムにおける接着層の厚さは、2~40μmであることが好ましい。前記接着層の厚さが前記下限値以上であることで、接着対象の2層の接着強度がより高くなる。前記接着層の厚さが前記上限値以下であることで、前記接着層の厚さが過剰となることが抑制される。
ここで、「接着層の厚さ」とは、接着層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる接着層の厚さとは、接着層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
底材用多層フィルムの厚さに対する、前記接着層の厚さの割合は、特に限定されないが、5~40%であることが好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、接着対象の2層の接着強度がより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、前記接着層の厚さが過剰となることが抑制される。
<第1中間接着層、第2中間接着層>
前記第1中間接着層及び第2中間接着層は、接着剤を含む。
前記接着剤は、接着性樹脂であることが好ましい。
前記接着性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
前記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンから誘導された構成単位を有する樹脂であり、酸性基を有する酸変性ポリオレフィン(例えば、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン)等の変性ポリオレフィンであってもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、ブテン系共重合体、これら共重合体の変性物(換言すると変性共重合体)等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂は、接着性がより向上する点では、ランダム共重合体、グラフト共重合体又はブロック共重合体であることが好ましい。
前記エチレン系共重合体としては、例えば、前記イージーピール層が含むものとして先に説明したエチレン系共重合体、その変性物(変性共重合体)等が挙げられる。
前記プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、その変性物(変性共重合体)等が挙げられる。このようなプロピレン系共重合体として、より具体的には、例えば、無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリプロピレン、プロピレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
前記ブテン系共重合体としては、例えば、1-ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、2-ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、これら共重合体の変性物(変性共重合体)等が挙げられる。
前記第1中間接着層及び第2中間接着層は、接着剤のみを含んでいてもよい(すなわち、接着剤からなるものであってもよい)し、接着剤と、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、接着剤と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
前記第1中間接着層及び第2中間接着層が含む接着剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記第1中間接着層及び第2中間接着層が含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、樹脂成分及び非樹脂成分のいずれであってもよい。
前記第1中間接着層及び第2中間接着層が含む他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
底材用多層フィルム中の前記第1中間接着層における、前記第1中間接着層の総質量に対する、接着剤の含有量の割合は、例えば、50~100質量%であってもよい。
前記割合は、通常、後述する底材用第1中間接着層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、接着剤の含有量(質量部)の割合、と同じである。
底材用多層フィルム中の前記第2中間接着層における、前記第2中間接着層の総質量に対する、接着剤の含有量の割合は、例えば、50~100質量%であってもよい。
前記割合は、通常、後述する底材用第2中間接着層形成用組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、接着剤の含有量(質量部)の割合、と同じである。
底材用多層フィルムにおける前記第1中間接着層及び第2中間接着層は、いずれも1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。前記第1中間接着層又は第2中間接着層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
底材用多層フィルムにおける前記第1中間接着層及び第2中間接着層の厚さは、それぞれ独立に、2~15μmであることが好ましい。前記第1中間接着層及び第2中間接着層の厚さが前記下限値以上であることで、接着対象の2層の接着強度がより高くなる。前記第1中間接着層及び第2中間接着層の厚さが前記上限値以下であることで、前記第1中間接着層及び第2中間接着層の厚さが過剰となることが抑制される。
ここで、「第1中間接着層の厚さ」とは、第1中間接着層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる第1中間接着層の厚さとは、第1中間接着層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。これは、第2中間接着層でも同じである。
底材用多層フィルムの厚さに対する、前記第1中間接着層及び第2中間接着層の厚さの割合は、それぞれ、特に限定されないが、3~20%であることが好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、接着対象の2層の接着強度がより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、前記第1中間接着層及び第2中間接着層の厚さが過剰となることが抑制される。
<他の層>
底材用多層フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲内において、前記イージーピール層と、前記第1中間接着層と、前記酸素バリア層と、前記第2中間接着層と、前記耐ピンホール層と、前記接着層と、のいずれにも該当しない、他の層を備えていてもよい。
底材用多層フィルムにおける前記他の層の種類及び配置位置は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
底材用多層フィルムが備えている前記他の層は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
底材用多層フィルムにおける前記他の層は、その1種あたり、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。前記他の層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
底材用多層フィルムにおける前記他の層の厚さは、その種類に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
底材用多層フィルムは、前記他の層を備えている場合、前記他の層をそれ以外の層と接着するための中間接着層をさらに備えていてもよく、その場合の中間接着層としては、例えば、上述の第1中間接着層又は第2中間接着層と同様のものが挙げられる。
底材用多層フィルム等の前記非発泡樹脂層の厚さは、特に限定されないが、40~120μmであることが好ましい。
<<底材の製造方法>>
前記底材は、その種類に応じて、公知の方法で製造できる。
例えば、底材が、上述の発泡樹脂層と非発泡樹脂層を備えた樹脂積層体である場合には、発泡樹脂層の一方の面と、前記非発泡樹脂層の一方の面(非発泡樹脂層が前記底材用多層フィルムである場合には、その中の前記接着層)と、を加熱ラミネートにより貼り合わせることで、底材を製造できる。このときの加熱ラミネートは、例えば、実施例で後述するように溶融圧着ラミネート法で行ってもよいし、押出ラミネート法で行ってもよい。非発泡樹脂層のうち、前記底材用多層フィルムは、例えば、各層の形成材料となる樹脂又は樹脂組成物の種類が異なる点以外は、上述の樹脂フィルム(蓋材)の場合と同じ方法で製造できる。
製造方法がいずれの場合であっても、前記底材用多層フィルム中のいずれかの層の形成材料となる前記樹脂組成物は、形成する層が目的とする成分(構成材料)を、目的とする含有量で含むように、含有成分の種類と含有量を調節して、製造すればよい。例えば、前記樹脂組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、この樹脂組成物から形成された層中の、前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
底材用多層フィルムにおけるイージーピール層を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「底材用イージーピール層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記ポリオレフィンと、必要に応じて前記他の成分と、を含むものが挙げられる。
底材用多層フィルムにおける酸素バリア層を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「底材用酸素バリア層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体及びポリアミドのいずれか一方又は両方と、必要に応じて前記他の成分と、を含むものが挙げられる。
底材用多層フィルムにおける耐ピンホール層を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「底材用耐ピンホール層形成用組成物」と称することがある)としては、例えば、前記ポリオレフィンと、必要に応じて前記他の成分と、を含むものが挙げられる。
底材用多層フィルムにおける、接着層を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「底材用接着層形成用組成物」と称することがある)、第1中間接着層を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「底材用第1中間接着層形成用組成物」と称することがある)、第2中間接着層を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「底材用第2中間接着層形成用組成物」と称することがある)としては、いずれも、例えば、前記接着剤と、必要に応じて前記他の成分と、を含むものが挙げられる。
<<生肉用スキンパック包装体の一実施形態>>
図2は、本実施形態の生肉用スキンパック包装体の一例を模式的に示す断面図である。 なお、図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここに示す生肉用スキンパック包装体10は、図1に示す多層フィルム(蓋材)1と、底材8と、を備えて構成されている。
なお、図2においては、多層フィルム1中の各層の区別を省略している。
生肉用スキンパック包装体10においては、多層フィルム(蓋材)1の熱機械分析時に、2000μmの変位を示す温度が130℃以上である。
生肉用スキンパック包装体10においては、温度23℃、相対湿度60%の条件下での、多層フィルム(蓋材)1の酸素透過量が、100cc/(m・day・atm)以下である。
生肉用スキンパック包装体10においては、多層フィルム(蓋材)1の前記熱機械分析時に、温度が100℃での変位が330μm以下であることが好ましい。
生肉用スキンパック包装体10においては、多層フィルム(蓋材)1が、吸収線量16~300kGyの条件で電子線照射されたものであることが好ましい。
生肉用スキンパック包装体10においては、温度23℃、相対湿度60%の条件下での、底材8の酸素透過量が、300cc/(m・day・atm)以下である。
生肉用スキンパック包装体10が前記試験用包装体である場合、生肉用スキンパック包装体10を用いて算出される前記Hは、150質量%以上である。そして、この生肉用スキンパック包装体10を空気雰囲気下、4℃で保管したとき、前記Hは、50~150質量%であることが好ましく、前記Hは、60%以上であることが好ましい。また、保管開始から14日後の未開封の生肉用スキンパック包装体10における前記試験肉中の大腸菌群数は、0cfu/gであることが好ましい。さらに、保管開始から14日後の未開封の生肉用スキンパック包装体10における前記試験肉中の一般生菌数は、1×10cfu/g以下であることが好ましい。
生肉用スキンパック包装体10は、多層フィルム1を用いていることで、収容物である生肉9への追従性に優れている。
また、生肉用スキンパック包装体10は、多層フィルム(蓋材)1及び底材8を用いていることで、生肉9に対する酸素遮断性が高く、生肉9の保存期間が、従来の包装体の場合よりも長い。
また、生肉用スキンパック包装体10は、多層フィルム(蓋材)1及び底材8を用いていることで、保存中の生肉9のイノシン酸の含有量を適度に高水準に維持することにより、生肉を美味しい状態で保存できる。
底材8の一方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)8aは、シール面であり、前記第1面8aの一部と、多層フィルム1中のシーラント層11の第1面11aの一部と、がシールにより密着している。図2中、底材8の第1面8aと、多層フィルム1中のシーラント層11の第1面11aと、が直接接触している部位が、シール部である。その結果、底材8の第1面8aと、シーラント層11の第1面11aと、の間に、収納部10aが形成されている。そして、この収納部10a内に、生肉9が密封されている。
底材8が前記底材用多層フィルムである場合には、底材8の第1面8aは、前記イージーピール層の前記酸素バリア層側とは反対側の面である。
図2においては、生肉用スキンパック包装体10の収納部10a内において、生肉9と多層フィルム1との間、並びに、生肉9と底材8との間には、一部隙間が見られるが、これら隙間は、生肉9を収納した状態の生肉用スキンパック包装体10において、存在しないこともある。
前記グルタミン酸の含有量G(例えば、G、G)、前記グルタミン酸の含有量I(例えば、I、I)、及び黄色度Y(例えば、Y、Y14)の測定に供する前記試験用包装体は、ここに示す生肉用スキンパック包装体10に相当する。そして、試験用包装体中の試験肉は、ここに示す生肉9に相当する。
本実施形態の生肉用スキンパック包装体は、上述のものに限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、図2においては、蓋材として、図1に示す多層フィルム1を用いて構成された生肉用スキンパック包装体10を示しているが、本実施形態の包装体は、他の蓋材を用いて構成されていてもよい。
<<生肉用スキンパック包装体の製造方法>>
本実施形態の生肉用スキンパック包装体は、例えば、前記底材の前記蓋材とシールする側の面上に生肉を載置し、前記底材の前記面と、前記生肉とに、これらの上部から前記蓋材を被せ、前記底材と前記蓋材との間の前記生肉が配置されている領域を真空引きすることで、前記蓋材を前記生肉に密着固定させつつ、前記生肉が配置されていない領域において、前記底材と前記蓋材とを加熱シールすることにより、製造できる。
前記試験用包装体も、同じ方法で製造できる。
加熱シール時のシール温度は、特に限定されないが、100~170℃であることが好ましい。前記シール温度が前記下限値以上であることで、イージーピール性を有しながら、シール強度がより高くなる。前記シール温度が前記上限値以下であることで、包装体の開封が、より容易となる。
加熱シール時のシール時間は、前記シール温度に応じて、適宜調節できるが、通常は、10~30秒であることが好ましい。前記シール時間が前記下限値以上であることで、イージーピール性を有しながら、シール強度がより高くなる。前記シール時間が前記上限値以下であることで、包装体の開封が、より容易となる。
加熱シール時の真空引きによる、前記生肉が配置されている領域の圧力は、5000Pa(50mbar)以下であることが好ましい。前記圧力が前記上限値以下であることで、蓋材の生肉への追従性(密着性)がより高く、保存適性がより優れているスキンパック包装体が得られる。
◎包装体
生肉がスキンパック包装された本発明の一実施形態に係る包装体(本明細書においては、「第2実施形態の包装体」と称することがある)としては、蓋材及び底材を備えており、前記蓋材が、樹脂フィルムからなり、JIS K 7196に準拠した、前記樹脂フィルムの熱機械分析時に、2000μmの変位を示す温度が130℃以上であり、温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記蓋材の酸素透過量が、100cc/(m・day・atm)以下であり、温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記底材の酸素透過量が、300cc/(m・day・atm)以下であり、前記生肉が、屠殺後の食用肉豚から取得したロース部位から切り出したものであり、前記蓋材及び底材を用いて、前記生肉をスキンパック包装することにより、前記包装体を作製し、前記包装体を、空気雰囲気下、4℃で保管し、前記包装体の作製から1日後の、保管中の未開封の前記包装体における前記生肉中のグルタミン酸の含有量G’を測定し、前記包装体の作製から7日後の、保管中の未開封の前記包装体における前記生肉中のグルタミン酸の含有量G’を測定したとき、下記式(F’)
(F’) H’=G’/G’×100
で算出されるグルタミン酸の保持率H’が、150質量%以上である、包装体が挙げられる。
前記第2実施形態の包装体における前記蓋材及び底材は、それぞれ、先に説明した生肉用スキンパック包装体(第1実施形態の包装体)における前記蓋材及び底材と同じである。
第2実施形態の包装体は、特定範囲の生肉がスキンパック包装されている点を除けば、第1実施形態の包装体と同じであり、第1実施形態の包装体の場合と同じ方法で製造できる。
第2実施形態の包装体における前記生肉は、屠殺後の食用肉豚から取得したロース部位から切り出したものであれば、特に限定されない。例えば、前記生肉には、第1実施形態の包装体における前記試験肉も含まれる。
第2実施形態の包装体の作製からt日後(tは0より大きい数である)の、保管中の未開封の前記包装体における前記生肉中のグルタミン酸の含有量G’は、その測定対象である生肉が異なり得る点を除けば、第1実施形態の包装体における前記Gの場合と同じ方法で測定できる。例えば、第2実施形態の包装体における前記G’及びG’は、それぞれ、第1実施形態の包装体における前記G及びGの場合と同じ方法で測定できる。
第2実施形態の包装体における前記H’は、150質量%以上であり、例えば、第1実施形態の包装体における前記Hと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第2実施形態の包装体においては、前記生肉のグルタミン酸の含有量が適度に高水準で維持されており、生肉の熟成によって、生肉の美味しさが向上している。
第2実施形態の包装体を、空気雰囲気下、4℃で保管し、前記包装体の作製から1日後の、保管中の未開封の前記包装体における前記生肉中のイノシン酸の含有量I’を測定し、前記包装体の作製から7日後の、保管中の未開封の前記包装体における前記生肉中のイノシン酸の含有量I’を測定したとき、下記式(F’)
(F’) H’=I’/I’×100
で算出されるイノシン酸の保持率H’が、50~150質量%であってもよい。第2実施形態の包装体においては、前記イノシン酸の保持率H’が50~150質量%である場合、保管中の生肉のイノシン酸の含有量が適度に高水準で維持されており、生肉の熟成によって、生肉の美味しさがより向上している。
第2実施形態の包装体の作製からt日後(tは0より大きい数である)の、保管中の未開封の前記包装体における前記生肉中のイノシン酸の含有量I’は、その測定対象である生肉が異なり得る点を除けば、第1実施形態の包装体における前記Iの場合と同じ方法で測定できる。例えば、第2実施形態の包装体における前記I’及びI’は、それぞれ、第1実施形態の包装体における前記I及びIの場合と同じ方法で測定できる。
第2実施形態の包装体における前記H’は、例えば、第1実施形態の包装体における前記Hと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第2実施形態の包装体を、空気雰囲気下、4℃で保管し、前記包装体の作製から1日後の、保管中の未開封の前記包装体における前記生肉表面の黄色度Y’を測定し、前記包装体の作製から14日後の、保管中の未開封の前記包装体における前記生肉表面の黄色度Y14’を測定したとき、下記式(F’)
(F’) H’=Y14’/Y’×100
で算出される黄色度の保持率H’が、60%以上であってもよい。第2実施形態の包装体においては、前記黄色度の保持率H’が60%以上である場合、保存中の生肉の黄色度が適度に高水準で維持されており、生肉の退色がより抑制されている。
第2実施形態の包装体の作製からt日後(tは0より大きい数である)の、保管中の未開封の前記包装体における前記生肉表面の黄色度Y’は、その測定対象である生肉が異なり得る点を除けば、第1実施形態の包装体における前記Yの場合と同じ方法で測定できる。例えば、第2実施形態の包装体における前記Y’及びY14’は、それぞれ、第1実施形態の包装体における前記Y及びY14の場合と同じ方法で測定できる。
第2実施形態の包装体における前記H’は、例えば、第1実施形態の包装体における前記Hと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第2実施形態の包装体は、前記H’、H’及びH’のうち、少なくとも前記H’が上述の条件を満たしていればよく、前記H’と、前記H’及びH’のいずれか一方又は両方と、が上述の条件を満たしていることが好ましく、前記H’、H’及びH’がすべて、上述の条件を満たしていることがより好ましい。
すなわち、好ましい第2実施形態の包装体としては、例えば、蓋材及び底材を備え、生肉がスキンパック包装された包装体であって、前記蓋材が、樹脂フィルムからなり、JIS K 7196に準拠した、前記樹脂フィルムの熱機械分析時に、2000μmの変位を示す温度が130℃以上であり、温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記蓋材の酸素透過量が、100cc/(m・day・atm)以下であり、温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記底材の酸素透過量が、300cc/(m・day・atm)以下であり、前記生肉が、屠殺後の食用肉豚から取得したロース部位から切り出したものであり、前記蓋材及び底材を用いて、前記生肉をスキンパック包装することにより、前記包装体を作製し、前記包装体を、空気雰囲気下、4℃で保管し、前記包装体の作製から1日後の、保管中の未開封の前記包装体における前記生肉中のグルタミン酸の含有量G’を測定し、前記包装体の作製から7日後の、保管中の未開封の前記包装体における前記生肉中のグルタミン酸の含有量G’を測定したとき、下記式(F’)
(F’) H’=G’/G’×100
で算出されるグルタミン酸の保持率H’が、150質量%以上であり、かつ、
前記包装体の作製から1日後の、保管中の未開封の前記包装体における前記生肉中のイノシン酸の含有量I’を測定し、前記包装体の作製から7日後の、保管中の未開封の前記包装体における前記生肉中のイノシン酸の含有量I’を測定したとき、下記式(F’)
(F’) H’=I’/I’×100
で算出されるイノシン酸の保持率H’が、50~150質量%であるか、又は、
前記包装体の作製から1日後の、保管中の未開封の前記包装体における前記生肉表面の黄色度Y’を測定し、前記包装体の作製から14日後の、保管中の未開封の前記包装体における前記生肉表面の黄色度Y14’を測定したとき、下記式(F’)
(F’) H’=Y14’/Y’×100
で算出される黄色度の保持率H’が、60%以上である、包装体が挙げられる。
より好ましい第2実施形態の包装体としては、例えば、蓋材及び底材を備え、生肉がスキンパック包装された包装体であって、前記蓋材が、樹脂フィルムからなり、JIS K 7196に準拠した、前記樹脂フィルムの熱機械分析時に、2000μmの変位を示す温度が130℃以上であり、温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記蓋材の酸素透過量が、100cc/(m・day・atm)以下であり、温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記底材の酸素透過量が、300cc/(m・day・atm)以下であり、前記生肉が、屠殺後の食用肉豚から取得したロース部位から切り出したものであり、前記蓋材及び底材を用いて、前記生肉をスキンパック包装することにより、前記包装体を作製し、前記包装体を、空気雰囲気下、4℃で保管し、前記包装体の作製から1日後の、保管中の未開封の前記包装体における前記生肉中のグルタミン酸の含有量G’を測定し、前記包装体の作製から7日後の、保管中の未開封の前記包装体における前記生肉中のグルタミン酸の含有量G’を測定したとき、下記式(F’)
(F’) H’=G’/G’×100
で算出されるグルタミン酸の保持率H’が、150質量%以上であり、かつ、
前記包装体の作製から1日後の、保管中の未開封の前記包装体における前記生肉中のイノシン酸の含有量I’を測定し、前記包装体の作製から7日後の、保管中の未開封の前記包装体における前記生肉中のイノシン酸の含有量I’を測定したとき、下記式(F’)
(F’) H’=I’/I’×100
で算出されるイノシン酸の保持率H’が、50~150質量%であり、かつ、
前記包装体の作製から1日後の、保管中の未開封の前記包装体における前記生肉表面の黄色度Y’を測定し、前記包装体の作製から14日後の、保管中の未開封の前記包装体における前記生肉表面の黄色度Y14’を測定したとき、下記式(F’)
(F’) H’=Y14’/Y’×100
で算出される黄色度の保持率H’が、60%以上である、包装体が挙げられる。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<<多層フィルム(蓋材)の製造>>
以下に示す手順により、図1に示す構成の多層フィルムを製造した。
すなわち、シーラント層を構成する樹脂として、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA、三井ダウポリケミカル社製「V5714C」)を用意した。
外層を構成する樹脂として、低密度ポリエチレン(LDPE、密度0.922g/cm、宇部丸善ポリエチレン社製「F222NH」)を用意した。
機能層及び耐ピンホール層を構成する樹脂として、ナトリウム系アイオノマー(ION、三井デュポンポリケミカル社製「1601」)を用意した。
酸素バリア層を構成する樹脂として、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH、日本合成社製「GH3804B」)を用意した。
接着層(第1接着層及び第2接着層)を構成する接着剤(接着性樹脂)として、無水マレイン酸変性ポリエチレン(変性PE、三井化学社製「NF536」)を用意した。
ダイの温度を250℃とし、前記EVAと、前記IONと、前記変性PEと、前記EVOHと、前記変性PEと、前記IONと、前記LDPEとを、この順で共押出しすること(共押出Tダイ法)により、シーラント層(厚さ20μm)、耐ピンホール層(厚さ24μm)、接着層(第1接着層、厚さ7μm)、酸素バリア層(厚さ8μm)、接着層(第2接着層、厚さ7μm)、機能層(厚さ14μm)及び外層(厚さ20μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された多層フィルム(厚さ100μm)を製造した。
次いで、上記で得られた多層フィルムに対して、その外層側の外部から、吸収線量175kGy、加速電圧150kVの条件で、電子線を照射した。
以上により、目的とする電子線照射済みの多層フィルム(以下、「蓋材(I)」と称することがある)を得た。
<<多層フィルム(蓋材)の評価>>
<2000μmの変位を示す温度、温度が100℃での変位の特定>
上記で得られた、電子線照射済みの多層フィルム(蓋材(I))について、熱分析装置(SII社製「EXSTAR6000」)を用いて、JIS K 7196に準拠して、熱機械分析を行った。具体的には、ダンベルで試験片を打ち抜き、打ち抜いたサンプルをチャックにセットできる大きさ(幅4mm、長さ50mm、厚さ120μm)にカットし、チャックに挟み(チャック間距離10mm)、フィルム流れ方向(MD)における変位(熱膨張量)を測定した。そして、得られた熱機械分析曲線から、2000μmの変位を示す温度(℃)と、温度が100℃での変位(μm)を求めた。結果を表1に示す。
<ゲル分率の測定>
上記で得られた、電子線照射済みの多層フィルム(蓋材(I))について、JIS K 6769に準拠して、ゲル分率を測定した。
すなわち、多層フィルムから、大きさが3cm×3cm(約0.09g)である試験片を切り出し、この試験片を400メッシュステンレス鋼製金網(100g)で包み、110℃のキシレン(18mL)中に24時間浸漬した。
次いで、前記試験片を、前記金網ごと前記キシレン中から取り出し、1.7kPaの圧力下で、110℃で24時間真空乾燥させることで、浸漬後の前記試験片の乾燥物を得た。得られた前記乾燥物の質量を測定し、電子線照射済みの多層フィルムのゲル分率(%)を求めた。結果を表1に示す。
<酸素透過量の測定>
上記で得られた、電子線照射済みの多層フィルム(蓋材(I))について、温度23℃、相対湿度60%の条件下で、JIS K 7126-2:2006に準拠して酸素透過量(cc/(m・day・atm))を測定した。結果を表1に示す。
<<底材の製造>>
<底材用多層フィルムの製造>
以下に示す手順により、底材用多層フィルムを製造した。
すなわち、イージーピール層を構成する樹脂として、低密度ポリエチレン(LDPE、住友化学社製「L211」)と、ポリプロピレン(PP、住友化学社製「FS2011DG2」)を用意した。
耐ピンホール層を構成する樹脂として、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)(宇部丸善ポリエチレン社製「ユメリット(登録商標)1520F」、密度0.913g/cm)を用意した。
酸素バリア層を構成する樹脂として、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH、クラレ社製「J171B」、密度:1180kg/m、MFR:4.2g/10min)を用意した。
第1中間接着層を構成する樹脂として、酸変性ポリプロピレン(酸変性PP、接着性樹脂、三井化学社製「アドマーQF551」)を用意した。
第2中間接着層を構成する樹脂として、酸変性ポリエチレン(酸変性PE、接着性樹脂、三井化学社製「アドマーNF536」)を用意した。
接着層を構成する樹脂として、エチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂(EVA系樹脂、接着性樹脂、東ソー社製「メルセン(登録商標)MX02D」を用意した。
前記LDPE(70質量部)と前記PP(30質量部)を常温下で混合することにより、底材用イージーピール層形成用組成物を製造した。
ダイの温度を250℃とし、前記底材用イージーピール層形成用組成物と、前記酸変性PPと、前記EVOHと、前記酸変性PEと、前記mLLDPEと、前記EVA系樹脂とを、この順で共押出しすること(共押出Tダイ法)により、イージーピール層(厚さ25.9μm)、第1中間接着層(厚さ5.6μm)、酸素バリア層(厚さ8.4μm)、第2中間接着層(厚さ5.6μm)、耐ピンホール層(厚さ10.5μm)及び接着層(厚さ14μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された底材用多層フィルム(厚さ70μm)を製造した。
<底材の製造>
ポリスチレン系樹脂(PSP)の発泡体を含む発泡樹脂シート(中央化学社製、厚さ3000μm)を用い、その一方の面に、上記で得られた底材用多層フィルムの接着層の露出面を加熱ラミネートにより貼り合わせることで、底材(以下、「底材(α)」と称することがある)を得た。前記発泡樹脂シートと底材用多層フィルムとの加熱ラミネートは、溶融圧着ロールを備えたロール装置を用いて、溶融圧着ラミネートにより行った。溶融圧着ロールは、加熱ロールと、この加熱ロールに対向して設けられた対向ロールと、を有して構成されており、加熱ロールと対向ロールとの間で、発泡樹脂シートと底材用多層フィルムを180℃で溶融圧着することにより、これらを貼り合わせた。
<<底材の評価>>
<酸素透過量の測定>
上記で得られた底材(底材(α))について、温度23℃、相対湿度60%の条件下で、JIS K 7126-2:2006に準拠して酸素透過量(cc/(m・day・atm))を測定した。結果を表2に示す。
<<生肉用スキンパック包装体(試験用包装体)の製造>>
屠殺後の肉豚から枝肉を取得し、これを空気雰囲気下、4℃で2日間1次保管した。次いで、この1次保管後の前記枝肉から部分肉を取得し、この部分肉(25kg)を酸素バリアフィルムで真空包装して、空気雰囲気下、4℃で5日間2次保管した。前記酸素バリアフィルムは、ポリエチレン層、エチレン-酢酸ビニル共重合体層、ポリ塩化ビニリデン層、エチレン-酢酸ビニル共重合体層及び超低密度ポリエチレン層がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されたもの(厚さ50μm、大きさ30cm×50cm)であり、JIS K 7126-2:2006に準拠して測定されたその酸素透過量が10cc/(m・day・atm)以下のものである。真空包装は、加熱シール時のシール温度を120℃、シール時間を3秒とし、前記部分肉が配置されている領域の圧力を30mbar(3000Pa)とすることで行った。
次いで、この2次保管後の真空包装体中の前記部分肉から、質量0.3kgのロース部位の試験肉を切り出した。そして、上記で得られた蓋材(I)中のシーラント層と、底材(α)中のイージーピール層と、を対向させ、これら蓋材(I)と底材(α)との間に前記試験肉を配置し、この試験肉の配置箇所を真空引きしながら、前記蓋材(I)及び底材(α)の周縁部を、シール温度150℃、シール時間10秒の条件で加熱シールすることにより、試験肉のスキンパック包装体である試験用包装体を作製した。真空引きの際は、試験肉の配置箇所の圧力を30mbar(3000Pa)とした。底材(α)としては、大きさが20cm×20cmであるものを用いた。
同じ手順により、前記試験用包装体を複数個作製した。
<<生肉用スキンパック包装体(試験用包装体)の評価>>
<Hの算出>
これら試験用包装体を、空気雰囲気下、4℃で3次保管した。3次保管開始から1日後の未開封の試験用包装体から試験肉を取り出し、直ちにこの試験肉中のグルタミン酸の含有量Gを測定した。さらに、3次保管開始から7日後の未開封の試験用包装体から試験肉を取り出し、直ちにこの試験肉中のグルタミン酸の含有量Gを測定した。G及びGの測定は、いずれも高速液体クロマトグラフ法により行った。そして、前記式(F)により、試験肉でのグルタミン酸の保持率H(質量%)を算出した。結果を表3に示す。
<Hの算出>
上記のG及びGの測定時に、同時に、前記試験肉中のイノシン酸の含有量I及びIを測定した。I及びIの測定は、いずれもガスクロマトグラフ法により行った。そして、前記式(F)により、試験肉でのグルタミン酸の保持率H(質量%)を算出した。結果を表3に示す。
<Hの算出>
上記のIの測定時に、同時に、さらに前記試験肉表面の黄色度Yを測定した。さらに、3次保管開始から14日後の未開封の試験用包装体から試験肉を取り出し、直ちにこの試験肉表面の黄色度Y14を測定した。Y及びY14の測定は、色差計(日本電色工業社製「NF-333」)を用いて、JIS-Z8722に準拠して行った。そして、前記式(F)により、試験肉での黄色度の保持率H(質量%)を算出した。結果を表3に示す。
<一般生菌数の測定>
3次保管開始から14日後の未開封の試験用包装体から試験肉を取り出し、直ちにこの試験肉中の一般生菌数(cfu/g)を測定した。一般生菌数の測定は、標準寒天培地混釈法により行った。結果を表3に示す。
<大腸菌群数の測定>
上記の一般生菌数の測定時に、同時に、試験肉中の大腸菌群数(3次保管開始から14日後の試験肉中の大腸菌群数)(cfu/g)を測定した。大腸菌群数の測定は、デスオキシコーレイト寒天培地混釈法により行った。結果を表3に示す。
<追従性の評価>
3次保管開始から14日後の未開封の試験用包装体を目視観察し、下記基準に従って、蓋材の試験肉への追従性を評価した。結果を表3に示す。
[評価基準]
A:蓋材の試験肉からの浮きが全く無いか又は極めて少なく、追従性が高い。
B:Aよりも劣るが、蓋材の試験肉からの浮きが少なく、追従性が良好である。
C:蓋材の試験肉からの浮きが多く、追従性が低い。
D:蓋材が試験肉に追従していない。
<<多層フィルム(蓋材)の製造及び評価、底材の製造及び評価、生肉用スキンパック包装体の製造及び評価>>
[実施例2]
多層フィルムに対する電子線の照射時に、吸収線量を175kGyに代えて120kGyとした点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、電子線照射済みの多層フィルム(以下、「蓋材(II)」と称することがある)を製造し、評価した。
この電子線照射済みの多層フィルム(蓋材(II))を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、生肉用スキンパック包装体(試験用包装体)を製造し、評価した。
結果を表1~3に示す。
[実施例3]
多層フィルムに対する電子線の照射時に、吸収線量を175kGyに代えて90kGyとした点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、電子線照射済みの多層フィルム(以下、「蓋材(III)」と称することがある)を製造し、評価した。
この電子線照射済みの多層フィルム(蓋材(III))を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、生肉用スキンパック包装体(試験用包装体)を製造し、評価した。
結果を表1~3に示す。
[比較例1]
多層フィルムに対する電子線の照射時に、吸収線量を175kGyに代えて15kGyとした点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、電子線照射済みの多層フィルム(以下、「蓋材(IV)」と称することがある)を製造し、評価した。
この電子線照射済みの多層フィルム(蓋材(IV))を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、生肉用スキンパック包装体(試験用包装体)を製造し、評価した。
結果を表1~3に示す。
[実施例4]
<<底材の製造及び評価>>
酸素バリア層を構成する樹脂として、前記EVOH(クラレ社製「J171B」)に代えて、6-ナイロン(Ny6、宇部興産社製「1030B2」、融点225℃)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、底材用多層フィルムを製造した。
本実施例で製造した底材用多層フィルムは、イージーピール層(厚さ25.9μm)、第1中間接着層(厚さ5.6μm)、酸素バリア層(厚さ8.4μm)、第2中間接着層(厚さ5.6μm)、耐ピンホール層(厚さ10.5μm)及び接着層(厚さ14μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された底材用多層フィルム(厚さ70μm)である。
そして、この底材用多層フィルムを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、底材(以下、「底材(β)」と称することがある)を製造し、評価した。結果を表2に示す。
<<生肉用スキンパック包装体の製造及び評価>>
上記で得られた底材(β)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、生肉用スキンパック包装体(試験用包装体)を製造し、評価した。結果を表3に示す。
<<多層フィルム(蓋材)の製造及び評価、底材の製造及び評価、生肉用スキンパック包装体の製造及び評価>>
[比較例2]
多層フィルムに対する電子線の照射を行わなかった点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、蓋材(電子線非照射の多層フィルム、以下、「蓋材(V)」と称することがある)を製造し、評価した。
この電子線非照射の多層フィルム(蓋材(V))を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、生肉用スキンパック包装体(試験用包装体)を製造し、評価した。
結果を表1~3に示す。
[比較例3]
<<底材の製造及び評価>>
酸素バリア層を構成する樹脂として、前記EVOH(クラレ社製「J171B」)に代えて、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE、宇部丸善ポリエチレン社製「4040FC」、融点126℃)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、底材用多層フィルムを製造した。
本比較例で製造した底材用多層フィルムは、イージーピール層(厚さ25.9μm)、第1中間接着層(厚さ5.6μm)、酸素バリア層(厚さ8.4μm)、第2中間接着層(厚さ5.6μm)、耐ピンホール層(厚さ10.5μm)及び接着層(厚さ14μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された底材用多層フィルム(厚さ70μm)である。
そして、この底材用多層フィルムを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、底材(以下、「底材(γ)」と称することがある)を製造し、評価した。結果を表2に示す。
<<生肉用スキンパック包装体の製造及び評価>>
上記で得られた底材(γ)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、生肉用スキンパック包装体(試験用包装体)を製造し、評価した。結果を表3に示す。
[比較例4]
<<多層フィルム(蓋材)の製造及び評価>>
酸素バリア層を構成する樹脂として、前記EVOH(日本合成社製「GH3804B」)に代えて、6-ナイロン(Ny6、宇部興産社製「1030B2」、融点225℃)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、電子線照射済みの多層フィルム(以下、「蓋材(VI)」と称することがある)を製造した。
本比較例で製造した、電子線照射済みの多層フィルム(蓋材(VI))は、シーラント層(厚さ20μm)、耐ピンホール層(厚さ24μm)、接着層(第1接着層、厚さ7μm)、酸素バリア層(厚さ8μm)、接着層(第2接着層、厚さ7μm)、機能層(厚さ14μm)及び外層(厚さ20μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された多層フィルム(厚さ100μm)に対して、その外層側の外部から、吸収線量175kGy、加速電圧150kVの条件で、電子線を照射して得られたものである。そして、この電子線照射済みの多層フィルム(蓋材(VI))について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
<<生肉用スキンパック包装体の製造及び評価>>
上記で得られた蓋材(VI)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、生肉用スキンパック包装体(試験用包装体)を製造し、評価した。結果を表3に示す。
<<生肉用スキンパック包装体の製造及び評価>>
[比較例5]
実施例1の場合と同じ方法で得られた試験肉(0.3kg)を用い、PSPトレー(エフピコ社製「FLB」)上に、前記試験肉を配置した。次いで、試験肉の上から樹脂フィルム(三菱ケミカル社製「ダイアラップ」)を被せて、トレーラップ包装を作製し、これを試験用包装体とした。
同じ手順により、前記試験用包装体を複数個作製した。
そして、この試験用包装体(生肉用スキンパック包装体)について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表3に示す。
Figure 2023023494000002
Figure 2023023494000003
Figure 2023023494000004
上記結果から明らかなように、実施例1~4においては、スキンパック包装された生肉(試験用包装体中の試験肉)でのグルタミン酸の保持率Hが160~210質量%であり、生肉の保存時に生肉の旨味が維持されていた。
さらに、実施例1~4においては、3次保管開始から14日後において、生肉中の一般生菌数が7.7×10cfu/g以下(2.4×10~7.7×10cfu/g)であり、低水準に抑制されており、大腸菌群数が0(大腸菌群を未検出)であった。
このように、実施例1~4のスキンパック包装体は、生肉を熟成させて、その美味しさを向上させており、さらに、従来よりも生肉の保存期間の延長を可能としていた。
実施例1~4のスキンパック包装体においては、蓋材の前記酸素透過量が7cc/(m・day・atm)であり、底材の前記酸素透過量が250cc/(m・day・atm)以下(2~250cc/(m・day・atm))であった。
実施例1~4のスキンパック包装体においては、蓋材の生肉への追従性が優れており、スキンパック包装体として好ましい特性を有していた。
実施例1~4の蓋材においては、前記吸収線量が90kGy以上(90~175kGy)であり、前記熱機械分析時の2000μmの変位を示す温度が135℃以上(135~185℃)であり、前記熱機械分析時の、温度が100℃での変位が124μm以下(70~124μm)であり、ゲル分率が61%以上(61~79%)であった。
また、実施例1~4においては、スキンパック包装された生肉(試験用包装体中の試験肉)でのイノシン酸の保持率Hが55~82質量%であり、生肉の保存時に生肉の旨味が維持されていた。
さらに、実施例1~4においては、スキンパック包装された生肉(試験用包装体中の試験肉)での黄色度の保持率Hが72~92質量%であり、生肉の退色が抑制されていた。
このように、実施例1~4のスキンパック包装体は、生肉を熟成させて、その美味しさを顕著に向上させていた。
これに対して、比較例1のスキンパック包装体においては、蓋材の生肉への追従性が良好であったが、実施例1~4のスキンパック包装体よりも劣っていた。
比較例1の蓋材(多層フィルム)は、電子線照射の吸収線量が低く、その結果、蓋材の前記熱機械分析時の2000μmの変位を示す温度が低く、前記熱機械分析の、温度が100℃での変位が大きく、ゲル分率が低かった。
比較例2においては、蓋材の生肉への追従性が低く、スキンパック包装体として好ましい特性を有していなかった。
比較例2の蓋材(多層フィルム)は、電子線の照射を行っておらず、その結果、前記熱機械分析時の2000μmの変位を示す温度が低く、前記熱機械分析時の、温度が100℃での変位が大きく、ゲル分率が低かった。
比較例3においては、スキンパック包装された生肉(試験用包装体中の試験肉)でのグルタミン酸の保持率Hが過度に低く、生肉の保存時に生肉の旨味が維持されていなかった。
さらに、比較例3においては、3次保管開始から14日後において、生肉中の一般生菌数が高水準で、生肉が食用に適さなくなっていた。
このように、比較例3のスキンパック包装体は、生肉の熟成によって、生肉の美味しさを向上させることができず、さらに、生肉の保存期間を延長できなかった。
比較例3のスキンパック包装体においては、底材の前記酸素透過量が500cc/(m・day・atm)であり、多かった。
比較例4においても、スキンパック包装された生肉(試験用包装体中の試験肉)でのグルタミン酸の保持率Hが過度に低く、生肉の保存時に生肉の旨味が維持されていなかった。
さらに、比較例4においても、3次保管開始から14日後において、生肉中の一般生菌数が高水準で、生肉が食用に適さなくなっていた。
このように、比較例4のスキンパック包装体も、生肉の熟成によって、生肉の美味しさを向上させることができず、さらに、生肉の保存期間を延長できなかった。
比較例4のスキンパック包装体においては、蓋材の前記酸素透過量が145cc/(m・day・atm)であり、多かった。
比較例5においても、スキンパック包装された生肉(試験用包装体中の試験肉)でのグルタミン酸の保持率Hが過度に低く、生肉の保存時に生肉の旨味が維持されていなかった。
さらに、比較例5においては、3次保管開始から7日後において、すでに生肉中の一般生菌数が1.0×10cfu/gよりも多くなっており、高水準であって、生肉が食用に適さなくなっていた。そのため、比較例5においては、3次保管開始から14日後の試験肉中の一般生菌数(cfu/g)と大腸菌群数(cfu/g)を測定せず、蓋材の試験肉への追従性も評価しなかった。
なお、比較例3~5においては、スキンパック包装された生肉(試験用包装体中の試験肉)でのイノシン酸の保持率Hも過度に低く、また、黄色度の保持率Hは過度に低かった。
本発明は、生肉を熟成させて、その美味しさを向上させ、さらに生肉の保存期間を延長するための包装体として利用可能である。
1・・・多層フィルム(蓋材)
11・・・シーラント層
12・・・外層
13・・・機能層
14・・・酸素バリア層
15・・・接着層
151・・・第1接着層
152・・・第2接着層
16・・・耐ピンホール層
10・・・生肉用スキンパック包装体(試験用包装体)
8・・・底材
9・・・生肉(試験肉)

Claims (7)

  1. 蓋材及び底材を備えた生肉用スキンパック包装体であって、
    前記蓋材が、樹脂フィルムからなり、
    JIS K 7196に準拠した、前記樹脂フィルムの熱機械分析時に、2000μmの変位を示す温度が130℃以上であり、
    温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記蓋材の酸素透過量が、100cc/(m・day・atm)以下であり、
    温度23℃、相対湿度60%の条件下での、前記底材の酸素透過量が、300cc/(m・day・atm)以下であり、
    屠殺後の食用肉豚から取得した枝肉を、空気雰囲気下、4℃で2日間1次保管し、1次保管後の前記枝肉から取得した部分肉を、酸素透過量が10cc/(m・day・atm)以下である酸素バリアフィルムで真空包装して、空気雰囲気下、4℃で5日間2次保管し、2次保管後の前記部分肉から質量0.3kgのロース部位の試験肉を切り出し、前記蓋材及び底材を用いて、前記試験肉をスキンパック包装することにより、複数個の試験用包装体を作製し、前記複数個の試験用包装体を、空気雰囲気下、4℃で3次保管し、3次保管開始から1日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中のグルタミン酸の含有量Gを測定し、3次保管開始から7日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中のグルタミン酸の含有量Gを測定したとき、下記式(F
    (F) H=G/G×100
    で算出されるグルタミン酸の保持率Hが、150質量%以上である、生肉用スキンパック包装体。
  2. 3次保管開始から1日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉表面の黄色度Yを測定し、3次保管開始から14日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉表面の黄色度Y14を測定したとき、下記式(F
    (F) H=Y14/Y×100
    で算出される黄色度の保持率Hが、60%以上である、請求項1に記載の生肉用スキンパック包装体。
  3. 3次保管開始から14日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中の大腸菌群数が、0cfu/gである、請求項1又は2に記載の生肉用スキンパック包装体。
  4. 3次保管開始から14日後の未開封の前記試験用包装体における前記試験肉中の一般生菌数が、1×10cfu/g以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の生肉用スキンパック包装体。
  5. 前記樹脂フィルムが、吸収線量16~300kGyの条件で電子線照射されたものである、請求項1~4のいずれか一項に記載の生肉用スキンパック包装体。
  6. 前記樹脂フィルムの前記熱機械分析時に、温度が100℃での変位が330μm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の生肉用スキンパック包装体。
  7. 前記樹脂フィルムが、
    ポリエチレンを含む外層と、
    アイオノマーを含み、前記外層に隣接する機能層と、
    酸素バリア層と、
    エチレン-酢酸ビニル共重合体を含むシーラント層と、を備えた多層フィルムである、請求項1~6のいずれか一項に記載の生肉用スキンパック包装体。
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