JP2021006471A - 生肉輸送方法、輸送用生肉包装体 - Google Patents
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Abstract
Description
なお、本明細書において「食肉」は鳥獣の生肉であり、塩漬、加熱、燻煙、発酵、乾燥等が施された加工品を含まない。本明細書においては食肉を生肉とも言う。
パックセンターから小売店へ供給される生肉パック商品は、樹脂トレーに載せた生肉をポリエチレンフィルム等の酸素バリア性が低い透明樹脂フィルムを用いて樹脂トレーごと包装(シュリンク包装等)したもの(以下、非バリア包装商品)や、酸素バリア性が高い樹脂フィルムを用い真空引きしながら深絞り包装,スキンパック包装等を行なったもの(以下、バリア包装商品)がある。
日本国内の消費者は鮮赤色を呈している生肉を好む傾向がある。日本国内においては、鮮赤色を呈している生肉は、オキシミオグロビンの生成が不充分で暗赤色を呈する状態の生肉や、オキシミオグロビンが酸化されたメトミオグロビンの増加により褐色を呈する状態の生肉に比べて商品価値が高い。
一方、バリア包装商品は、非バリア包装商品に比べてパックセンターから小売店への輸送中の生肉の菌数増加を格段に少なく抑えることができる。しかしながら、バリア包装商品の生肉は酸素との接触が殆ど無いため、鮮赤色を発色させることができないまま、小売店での陳列販売に供することとなる。
第1の態様の生肉輸送方法は、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m2・day以上のフィルムを用いて生肉を包装した生肉包装体を輸送用外装体に収容し前記輸送用外装体の内部の酸素濃度を0%以上18%未満に保った状態で輸送した後、前記生肉包装体を前記輸送用外装体から取り出して大気接触させる。
前記輸送用外装体は、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m2・day未満のフィルムであっても良い。
第2の態様の輸送用生肉包装体は、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m2・day以上の一次包装フィルムを用いて生肉を包装した生肉包装体が、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m2・day未満の二次包装フィルムを用いて包装され、前記二次包装フィルムの内側の酸素濃度が0%以上18%未満である。
なお、以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1に示す輸送用生肉包装体10は、一次包装フィルムを含む一次包装材を用いて生肉を包装した生肉包装体20を、一次包装フィルムに比べて酸素バリア性が高い二次包装フィルムによって形成された二次包装袋30に複数収容し、二次包装袋30内側の酸素濃度を0%以上18%未満としたものである。
二次包装袋30は生肉包装体20を通過させて収容するための開口部(収容用開口部)が封止され、袋内外への空気の自由流通を可能にする孔等の開口部が存在しない袋である。
なお、本明細書において、二次包装袋30内側の酸素濃度は二次包装袋30内側の容積に対する酸素濃度を指す。
二次包装フィルムは、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m2・day未満の樹脂フィルムである。
但し、輸送用生肉包装体10は、二次包装袋30内側の酸素濃度が0%以上18%未満の状態を保ったまま生肉の輸送に使用する。
図2に示す生肉包装体20は、底フィルム、厚紙、トレー等の底材21の収容物載置面21aの中央部に配置された生肉Mを一次包装フィルム50によって覆ってスキンパック包装したものである。
図2に示す生肉包装体20において、一次包装フィルム50及び底材21は、生肉Mを包装する一次包装材を構成する。
トレーは、収容物載置面21aを形成する底板部を有する。
底材21は、底フィルム、厚紙等のシート材、あるいはトレーを採用できる。
また、一次包装フィルム50における生肉Mに密着された部分の周りの周囲部分は、底材21の収容物載置面21aにおける生肉Mの周囲全周にシールされている。
生肉Mをスキンパック包装した生肉包装体20を製造するには、まず、一次包装フィルム50は、加熱軟化させた状態で、生肉M及び底材21の収容物載置面21aに対して、シーラント層51が形成する主面58(図2参照。以下、接合面、とも言う)が臨む向きで被せる。
図3に示すように、一次包装フィルム50は多層フィルムである。
一次包装フィルム50は、シーラント層51と、アイオノマーを含む第1機能層52と、第1接着剤層53と、ポリエチレンを含む接着用中間樹脂層54と、第2接着剤層55と、アイオノマーを含む第2機能層56と、ポリエチレンを含む保護層57とがこの順で積層、一体化されたものである。
一次包装フィルム50において、保護層57は一方の最表層であり、シーラント層51は他方の最表層である。
シーラント層51の厚みは、一次包装フィルム50総厚の2〜90%であることが好ましい。
第1機能層52の厚みは、一次包装フィルム50総厚の2〜90%であることが好ましい。
接着用中間樹脂層54の厚みは、一次包装フィルム50総厚の2〜50%であることが好ましい。
第2機能層56の厚みは、一次包装フィルム50総厚の2〜90%であることが好ましい。
保護層57の厚みは、一次包装フィルム50総厚の2〜90%であることが好ましい。
シーラント層51は、エチレン酢酸ビニル共重合体を含む。シーラント層51がエチレン酢酸ビニル共重合体を含むことにより、被着体との擬似接着性発現によるイージーピール性が向上する。
シーラント層51は、エチレン酢酸ビニル共重合体のみを含んでいてもよい(すなわち、エチレン酢酸ビニル共重合体からなるものであってもよい)し、エチレン酢酸ビニル共重合体と、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、エチレン酢酸ビニル共重合体と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
樹脂成分である前記他の成分は、エチレン酢酸ビニル共重合体以外の樹脂である。
樹脂成分である前記他の成分は、1種のモノマーの重合体である単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーの重合体である共重合体であってもよい。
樹脂成分である前記他の成分として、より具体的には、例えば、エチレンメタクリル酸共重合体、アイオノマー、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレンプロピレン共重合体等のオレフィン系共重合体等が挙げられる。これら他の成分(樹脂成分)を含むシーラント層51は、被着体との擬似接着性発現によるイージーピール性がより向上する。
前記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
ここで、「シーラント層51の厚さ」とは、シーラント層51全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなるシーラント層51の厚さとは、シーラント層51を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
本明細書において、第1機能層52及び第2機能層56に共通の事項を説明する場合に、第1機能層52及び第2機能層56を、機能層、と総称する場合がある。
これら2箇所の機能層52、56は、互いに同一の構成であってもよいし、異なっていてもよい。
一次包装フィルム50は、保護層57側から電子線照射を行った場合、2つの機能層52、53のうち少なくとも保護層57に近い側の第2機能層56の架橋密度を向上させることができれば良い。
一次包装フィルム50は、第1機能層52にかえて例えばエチレン酢酸ビニル共重合体を含むシーラント層を有する構成、すなわち複数層のシーラント層が積層された構成のシーラント層を有する構成も採用可能である。
機能層52、56が含むアイオノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
樹脂成分である前記他の成分は、アイオノマー以外の樹脂である。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、シーラント層51が含む他の成分として先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
ここで、「機能層の厚さ」とは、機能層52、56全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる機能層52、56の厚さとは、機能層52、56のそれぞれについてその全ての構成層の厚さの合計を意味する。
接着用中間樹脂層54はポリエチレンを含む。
接着用中間樹脂層54はポリエチレンを含むことにより、一次包装フィルム50に保護層57側から電子線を照射した場合に、接着用中間樹脂層54の架橋密度を向上させることができる。
接着用中間樹脂層54は、ポリエチレンのみを含んでいてもよい(すなわち、ポリエチレンからなるものであってもよい)し、ポリエチレンと、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、ポリエチレンと、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
樹脂成分である前記他の成分は、ポリエチレン以外の樹脂である。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、シーラント層51が含む他の成分として先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
接着用中間樹脂層54が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
接着用中間樹脂層54の厚さは、2μm以上140μm以下であることが好ましく、3μm以上135μm以下であることがより好ましく、4μm以上130μm以下であることがさらに好ましい。保護層57の厚さが前記下限値以上であることで、一次包装フィルム50に保護層57側から電子線照射を行った場合に、接着用中間樹脂層54の架橋密度をより向上させることができる。接着用中間樹脂層54の厚さが前記上限値以下であることで、接着用中間樹脂層54が過剰な厚さとなることが抑制される。
保護層57は、ポリエチレンを含む。保護層57がポリエチレンを含むことにより、一次包装フィルム50に保護層57側から電子線を照射した場合に、保護層57の架橋密度を向上させることができる。
保護層57は、ポリエチレンのみを含んでいてもよい(すなわち、ポリエチレンからなるものであってもよい)し、ポリエチレンと、それ以外の成分(本明細書においては、「他の成分」と称することがある)を含んでいてもよい(すなわち、ポリエチレンと、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
樹脂成分である前記他の成分は、ポリエチレン以外の樹脂である。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、シーラント層51が含む他の成分として先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
ここで、「保護層57の厚さ」とは、保護層57全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる保護層57の厚さとは、保護層57を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
本明細書において、第1接着剤層53及び第2接着剤層55に共通の事項を説明する場合に、第1接着剤層53及び第2接着剤層55を、接着剤層、と総称する場合がある。
接着剤層53、55は、接着剤を含む。
接着剤層53、55は、その両面に隣接する2層を接着する。
一次包装フィルム50において、第1接着剤層53は第1機能層52と接着用中間樹脂層54とを接着している。第2接着剤層55は、接着用中間樹脂層54と第2機能層56とを接着している。
これら2箇所の接着剤層53、55は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記接着剤としては、例えば、オレフィン系樹脂(すなわち、1種又は2種以上のモノマーであるオレフィンの重合体)等の接着樹脂が挙げられる。
前記エチレン系共重合体とは、エチレンと、エチレン以外のモノマーと、の共重合体である。
前記プロピレン系共重合体とは、プロピレンと、プロピレン以外のモノマーと、の共重合体である。
前記ブテン系共重合体とは、ブテンと、ブテン以外のモノマーと、の共重合体である。
エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体としては、例えば、無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、アイオノマー、エチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。前記アイオノマーとは、エチレンと少量のアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体を、酸部分と金属イオンとの塩形成によってイオン橋かけ構造にしたものを意味する。
ここで、「接着剤層の厚さ」とは、接着剤層53、55の個々の総厚を意味する。
一次包装フィルム50は、例えば、数台の押出機を用いて、各層の形成材料となる樹脂や樹脂組成物等を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法等により、製造できる。
一次包装フィルム50は、保護層57側からの電子線照射による保護層57及び第2機能層56の体積収縮に伴い面方向寸法が若干縮小する。
接着用中間樹脂層54にも架橋密度の向上に伴う体積収縮も一次包装フィルム50の面方向寸法の縮小に寄与する。
一次包装フィルム50は、シーラント層51、第1機能層52、第1接着剤層53、接着用中間樹脂層54、第2接着剤層55、第2機能層56、保護層57、のいずれにも該当しない、他の層を備えていてもよい。
前記他の層は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
また、一次包装フィルム50は、前記他の層を備えている場合、前記他の層をそれ以外の層と接着するための接着剤層をさらに備えていてもよい。
生肉包装体は、底材21と一次包装フィルム50とを用いて生肉Mをスキンパック包装したものに限定されず、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m2・day以上の一次包装フィルムを含む一次包装材を用いて生肉を包装し、一次包装フィルムを介して一次包装材の内外への酸素移動が可能な構成であれば良い。
生肉包装体は、シュリンク包装、深絞り包装、真空パック等、種々の包装形態を採用可能である。
一次包装フィルムは、上述のものに限定されず、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m2・day以上で生肉Mの包装に使用可能なものであれば良く、図3に例示した一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
次に、輸送用生肉包装体10(図1参照)の包装袋10を構成する二次包装フィルム60について説明する。
図4に例示した二次包装フィルム60は、図3の一次包装フィルム50について、接着用中間樹脂層54を酸素バリア層61に変更したものである。
図4において、図3の一次包装フィルム50の構成層と構成材料が同様の層については共通の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
二次包装フィルム60において、保護層57は一方の最表層であり、シーラント層51は他方の最表層である。
シーラント層51の厚みは、二次包装フィルム60総厚の2〜90%であることが好ましい。
第1機能層52の厚みは、二次包装フィルム60総厚の2〜90%であることが好ましい。
酸素バリア層61の厚みは、二次包装フィルム60総厚の2〜50%であることが好ましい。
第2機能層56の厚みは、二次包装フィルム60総厚の2〜90%であることが好ましい。
保護層57の厚みは、二次包装フィルム60総厚の2〜90%であることが好ましい。
二次包装フィルム60は、酸素バリア層61を含む。二次包装フィルム60は、酸素バリア層61を含むことにより、強い酸素バリア性(換言すると、酸素ガスの透過を抑制する性質)を付与することができる。
二次包装フィルム60は、酸素バリア層61を含むことにより、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量を800cc/m2・day未満とすることができる。
樹脂成分である前記他の成分は、EVOH以外の樹脂である。
非樹脂成分である前記他の成分としては、例えば、シーラント層51が含む他の成分として先に挙げた添加剤と同じものが挙げられる。
ここで、「酸素バリア層61の厚さ」とは、酸素バリア層61全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる酸素バリア層61の厚さとは、酸素バリア層61を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
二次包装フィルムは、例えば酸素バリア層が片面側のみあるいは両面側の最表層を形成する構成も採用可能である。
最表層を形成する酸素バリア層を有する二次包装フィルムは、例えば、二次包装フィルムの一方の面側の最表層を形成する基材樹脂層に酸素バリア層が直接あるいは中間樹脂層を介して積層一体化された構成のものも採用可能である。二次包装フィルムの一方の面側の最表層を形成する基材樹脂層の形成樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。
二次包装フィルムは、例えば、図4に例示した層構造において酸素バリア層61をポリエチレンからなる中間樹脂層(例えば接着用中間樹脂層)に変更した構成した構成も採用可能である。
ポリアミドは脂肪族骨格を含むものを特に好適に用いることができる。
図1に示す輸送用生肉包装体10の二次包装袋30は、その全体が二次包装フィルム60によって形成されている。二次包装袋30は1枚の二次包装フィルム60によって形成されたもの、複数枚の二次包装フィルム60によって形成されたもの、のいずれも採用可能である。
図1に示す二次包装袋30の開口部封止部31は、二次包装フィルム60における収容用開口部を介して両側に位置する部分同士をヒートシールして気密に密閉封止したものである。二次包装フィルム60における二次包装袋30の収容用開口部の両側に位置する部分は、シーラント層51が形成する主面である接合面62が二次包装袋30内側に位置する向きで配置されている。図1に示す二次包装袋30の開口部封止部31は、二次包装フィルム60における二次包装袋30の収容用開口部を介して両側に位置する部分同士をシーラント層51同士のヒートシールによって気密に密閉封止したものである。
輸送用生肉包装体10は、二次包装袋30にその密閉前の開放状態の収容用開口部から生肉包装体20を収容した後、二次包装袋30内の空気を脱気および/または脱酸素剤を投入して酸素濃度を下げ、次いで二次包装袋30の収容用開口部を密閉封止して製造する。
二次包装袋30は、その内側の空気を脱気し収容用開口部を密閉封止し、開口封止部31を形成することによって、袋内側の容積に対する酸素濃度が0%以上18%未満の状態を確保する。
但し、輸送用生肉包装体10は、図1の構成に限定されず、例えば、二次包装袋30内に複数の生肉包装体20をランダムに収容した構成や、生肉包装体20の縦横配列段を1段のみ収容した構成も採用可能である。二次包装袋30内に生肉包装体20の縦横配列段を1段のみ収容した構成では、複数の生肉包装体20をランダムに収容した構成や、縦横配列段を多段に積み上げて収容した構成に比べて、脱気後の二次包装袋30内の空隙率を減少でき、脱気による二次包装袋30内の酸素濃度の低減に有利である。
輸送用生肉包装体10を使用する生肉輸送方法は、生肉包装体20を二次包装袋30内に収容し且つ二次包装袋30内側を酸素濃度が0%以上18%未満の状態にした輸送用生肉包装体10を用意し、輸送用生肉包装体10を二次包装袋30内側の酸素濃度が0%以上18%未満の状態を保ったまま出発地から目的地まで輸送する。そして、輸送用生肉包装体10が目的地に到着した後、二次包装袋30から生肉包装体20を取り出して大気接触させる。
輸送用生肉包装体10の輸送は、例えばトラックに搭載された冷蔵庫または冷凍庫に入れて冷蔵または冷凍状態で行うことが好適である。
輸送用生肉包装体10は、段ボール箱等の外装箱に入れて輸送しても良いし、トラックに搭載された冷蔵庫または冷凍庫に外装箱を用いずに収容して輸送しても良い。
輸送用生肉包装体10の二次包装袋30内では、生肉包装体20の一次包装材の一次包装フィルム50を酸素が透過することで、生肉包装体20の一次包装材内側の酸素濃度を一次包装材外側の酸素濃度と同じにすることが可能である。
製造する輸送用生肉包装体10の二次包装袋30内の酸素濃度は、0%以上18%未満が好ましく、0〜16%が依り好ましく、0〜14%がさらに好ましい。
目的地に到着した輸送用生肉包装体10の二次包装袋30から生肉包装体20を取り出して大気接触させると、生肉包装体20の生肉Mを一次包装フィルム50を介して大気接触させることができ、生肉Mの鮮赤色の発色を促進できる。
一次包装フィルム50は25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m2・day以上であることが好ましく、1000cc/m2・day以上であることが依り好ましく、1200cc/m2・day以上であることがさらに好ましい。
生肉包装体20の一次包装フィルム50は、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が4000cc/m2・day以下の樹脂フィルムを好適に採用できる。
輸送中の輸送用生肉包装体10の二次包装袋30内の酸素濃度を0%以上18%未満に保ち生肉Mのオキシミオグロビン増加を抑制することは、生肉を大気接触状態で輸送した場合に比べて、生肉が小売店等にて大気接触状態で陳列してから褐色を呈するまでの時間を長くできる。その結果、生肉が鮮赤色を呈し商品価値が高い状態にある時間を長くすることができる。
生肉包装体20を出発地から目的地まで輸送する生肉輸送方法は、例えば、真空ポンプ等の減圧装置が接続された減圧装置付き冷蔵庫を使用し、生肉包装体20を収容した減圧装置付き冷蔵庫を輸送することによって実現しても良い。減圧装置付き冷蔵庫を使用する生肉輸送方法は、生肉包装体20を収容した減圧装置付き冷蔵庫を、減圧装置によって庫内容積に対して0%以上18%未満の酸素濃度(庫内酸素濃度)を保ち、且つ10℃以下の庫内温度を維持した状態で輸送する。
減圧装置付き冷蔵庫(あるいは冷凍庫)の輸送はトラック等の車両を用いて行うことが好適である。
減圧装置付き冷蔵庫(あるいは冷凍庫)は、生肉包装体を収容する輸送用外装体の役割を果たす。
脱酸素装置は、例えば、冷蔵庫の庫内から吸引した空気を、白金触媒、還元銅触媒と言った酸素除去用触媒に接触させて除去した後、庫内へ戻す構成のもの等を挙げることができる。
脱酸素装置付き冷蔵庫(あるいは冷凍庫)は、生肉包装体を収容する輸送用外装体の役割を果たす。
生肉包装体は、一次包装フィルムの酸素透過量が互いに異なる複数種類を作製した。
二次包装袋は、二次包装袋を形成する二次包装フィルムの酸素透過量が互いに異なる複数種類を選択使用し、一次包装フィルムの酸素透過量及び二次包装フィルムの酸素透過量の組み合わせが互いに異なる11種類(表1の実施例1〜8、比較例1〜3)の輸送用生肉包装体を得た。但し、輸送用生肉包装体は、二次包装袋に脱酸素剤を投入し開口部をヒートシールして作製した。脱酸素剤は、二次包装袋の開口部のヒートシール完了から24時間後の袋内酸素濃度が1%以下になるように適量を二次包装袋に投入した。
各輸送用生肉包装体は、2℃の環境下で5日間(保管期間)保管し、5日の保管期間経過時点で二次包装袋を開封し、発色の有無確認(目視確認)及びパネラーによる臭気評価を行なった。
その結果を表1に纏めて示した。
生肉包装体は、具体的には、10cm×15cmのポリスチレン発泡トレイである底材と、一次包装フィルムとを用いて生肉をスキンパック包装したものである。
一次包装フィルムは、図3に例示した層構造に準拠して、シーラント層51、第1機能層52、第1接着剤層53、接着用中間樹脂層54、第2接着剤層55、第2機能層56、保護層57がこの順で積層、一体化された構成のものを採用した。
一次包装フィルムは、具体的には、エチレン酢酸ビニル共重合体からなるシーラント層と、アイオノマーからなる第1機能層と、第1接着剤層と、ポリエチレンからなる接着用中間樹脂層と、第2接着剤層と、アイオノマーをからなる第2機能層と、ポリエチレンからなる保護層とがこの順で積層、一体化されたものを用いた。
一次包装フィルムの各層の厚み(層厚)の一次包装フィルム総厚に占める割合(%)は、シーラント層が20%、第1機能層が14%、第1接着剤層が7%、接着用中間樹脂層が8%、第2接着剤層が7%、第2機能層が24%、保護層20%である。
一次包装フィルムは、その各層の層厚の一次包装フィルム総厚に占める割合(%)が一次包装フィルム総厚に依らず一定になるように、総厚が互いに異なる5種類を形成して用意した。
総厚が互いに異なる5種類の一次包装フィルムの酸素透過量(cc/m2・day)は、一次包装フィルム総厚が大きいほど少なく、一次包装フィルム総厚が小さいほど多いことを把握した。
表1の実施例1〜6,8の「2次包装フィルム構成」欄に左側から順に記載したPE、ION、AD、EVOH、AD、ION、EVAは、順に、ポリエチレンからなる保護層、アイオノマーからなる第2機能層、第2接着剤層、EVOHからなる酸素バリア層、第1接着剤層、アイオノマーからなる第1機能層、エチレン酢酸ビニル共重合体からなるシーラント層を指す。
第1二次包装フィルムの各層の厚み(層厚)の第1二次包装フィルム総厚に占める割合(%)は、シーラント層が20%、第1機能層が14%、第1接着剤層が7%、酸素バリア層が8%、第2接着剤層が7%、第2機能層が24%、保護層20%である。
第1二次包装フィルムは、その各層の層厚の一次包装フィルム総厚に占める割合(%)が一次包装フィルム総厚に依らず一定になるように、総厚が互いに異なる4種類を形成して用意した。
表1の「二次包装フィルム」欄の「酸素透過量(cc/m2・day)」欄に示すように、総厚が互いに異なる4種類の第1二次包装フィルムの酸素透過量(cc/m2・day)は、第1二次包装フィルム総厚が大きいほど少なく、第1二次包装フィルム総厚が小さいほど多いことを把握した。
表1の実施例7、比較例1〜3の「2次包装フィルム構成」欄に左側から順に記載したPE、ION、AD、PE、AD、ION、EVAは、順に、ポリエチレンからなる保護層、アイオノマーからなる第2機能層、第2接着剤層、ポリエチレンからなる接着用中間樹脂層、第1接着剤層、アイオノマーからなる第1機能層、エチレン酢酸ビニル共重合体からなるシーラント層を指す。
第2二次包装フィルムの各層の厚み(層厚)の第2二次包装フィルム総厚に占める割合(%)は、シーラント層が20%、第1機能層が14%、第1接着剤層が7%、接着用中間樹脂層が8%、第2接着剤層が7%、第2機能層が24%、保護層20%である。
第2二次包装フィルムは、その各層の層厚の第2二次包装フィルム総厚に占める割合(%)が第2二次包装フィルム総厚に依らず一定になるように、総厚が互いに異なる3種類を形成して用意した。
輸送用生肉包装体は、第1二次包装フィルムを使用した実施例1〜6、8の輸送用生肉包装体と、第2二次包装フィルムを使用した実施例7、比較例1〜3の輸送用生肉包装体とを作製した。
なお、生肉包装体の一次包装フィルムは透明なものを使用している。生肉包装体内の生肉は、一次包装フィルムを撤去しなくても、生肉包装体外側から一次包装フィルムを介して目視確認できる。
その結果、表1に示すように、実施例1〜8は全て鮮赤色の発色を確認できた。
なお、実施例1〜8の輸送用生肉包装体について、二次包装袋を開封直後の生肉包装体内の生肉は暗赤色を呈していた。
二次包装袋の開封後の発色有無確認は、二次包装袋の開封から1時間における生肉の暗赤色から鮮赤色への発色の有無を確認するものである。
比較例1〜3の輸送用生肉包装体の二次包装袋の開封直後の生肉は褐色を呈しており、二次包装袋の開封から1時間の時間範囲において鮮赤色への発色は生じなかった。
表1の「二次包装解除後の臭気」欄の「腐敗」は腐敗臭の発生、「新鮮」は10人のパネラーのうち腐敗臭等の異臭を感じたパネラーが1人未満である場合を示す。
表1に示すように、実施例1〜7の臭気評価はいずれも「新鮮」であった。実施例8及び比較例1〜3のの臭気評価は「腐敗」であった。
この点、生肉包装体の一次包装フィルムは、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が4000cc/m2・day以下の樹脂フィルムを使用することが好適と考えられる。
一次包装フィルムは、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m2・day以下のものであれば良く、上述の実施形態に例示したものに限定されない。
二次包装フィルムは、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m2・day未満のものであれば良く、上述の実施形態に例示したものに限定されない。
生肉包装体を収容する輸送用外装体は、生肉包装体を収容し、且つ内側の酸素濃度を0%以上18%未満に保つことが可能な容器(袋を含む)であれば良く、二次包装フィルムによって構成された二次包装袋に限定されず、種々構成を採用可能である。
第1の態様の生肉輸送方法は、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m2・day以上のフィルムを用いて生肉を包装した生肉包装体を輸送用外装体に収容し前記輸送用外装体の内部の酸素濃度を0%以上18%未満に保った状態で輸送した後、前記生肉包装体を前記輸送用外装体から取り出して大気接触させる生肉輸送方法であって、前記生肉包装体は、前記生肉と前記生肉が配置される底材と前記フィルムとを有し、ポリエチレンを含む保護層及びエチレン系アイオノマーを含む機能層を有し且つ電子線の照射により前記保護層及び前記機能層の架橋密度を高めた前記フィルムを使用し、前記フィルムと前記底材との間を真空引きして前記フィルムを前記生肉及び前記底材に密着させ前記生肉を前記フィルムによって包装したものを用いる。
前記輸送用外装体は、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m2・day未満のフィルムであっても良い。
第2の態様の輸送用生肉包装体は、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m2・day以上の一次包装フィルムを用いて生肉を包装した生肉包装体が、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m2・day未満の二次包装フィルムを用いて包装され、前記二次包装フィルムの内側の酸素濃度が0%以上18%未満であり、前記生肉包装体は、前記生肉と前記生肉が配置された底材と前記一次包装フィルムとを有し、前記一次包装フィルムはポリエチレンを含む保護層及びエチレン系アイオノマーを含む機能層を有し前記生肉に密着されている。
前記一次包装フィルムは電子線の照射により前記保護層及び前記機能層の架橋密度を高めたものであっても良い。
第1の態様の生肉輸送方法は、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m2・day以上3000cc/m 2 ・day以下のフィルムを用いて生肉を包装した生肉包装体を輸送用外装体に収容し前記輸送用外装体の内部の酸素濃度を0%以上18%未満に保った状態で輸送した後、前記生肉包装体を前記輸送用外装体から取り出して大気接触させる生肉輸送方法であって、前記輸送用外装体は、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m 2 ・day未満のフィルムによって形成された二次包装袋であり、前記二次包装袋のヒートシールされた開口部のヒートシール完了から24時間後の袋内酸素濃度を1%以下とする脱酸素剤が投入されており、前記生肉包装体は、前記生肉と前記生肉が配置される底材と前記フィルムとを有し、ポリエチレンを含む保護層及びエチレン系アイオノマーを含む機能層を有し且つ電子線の照射により前記保護層及び前記機能層の架橋密度を高めた前記フィルムを使用し、前記フィルムと前記底材との間を真空引きして前記フィルムを前記生肉及び前記底材に密着させ前記生肉を前記フィルムによって包装したものを用いる。
第2の態様の輸送用生肉包装体は、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m2・day以上3000cc/m 2 ・day以下の一次包装フィルムを用いて生肉を包装した生肉包装体が、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m2・day未満の二次包装フィルムによって形成された二次包装袋を用いて包装され、前記二次包装袋の内側の酸素濃度が0%以上18%未満であり、前記二次包装フィルムの内側には前記二次包装袋のヒートシールされた開口部のヒートシール完了から24時間後の袋内酸素濃度を1%以下とする脱酸素剤が投入されており、
前記生肉包装体は、前記生肉と前記生肉が配置された底材と前記一次包装フィルムとを有し、前記一次包装フィルムはポリエチレンを含む保護層及びエチレン系アイオノマーを含む機能層を有し前記生肉に密着されている。
前記一次包装フィルムは電子線の照射により前記保護層及び前記機能層の架橋密度を高めたものであっても良い。
Claims (3)
- 25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m2・day以上のフィルムを用いて生肉を包装した生肉包装体を輸送用外装体に収容し前記輸送用外装体の内部の酸素濃度を0%以上18%未満に保った状態で輸送した後、前記生肉包装体を前記輸送用外装体から取り出して大気接触させる生肉輸送方法。
- 前記輸送用外装体が、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m2・day未満のフィルムである請求項1に記載の生肉輸送方法。
- 25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m2・day以上の一次包装フィルムを用いて生肉を包装した生肉包装体が、25℃、60%RHの条件下における酸素透過量が800cc/m2・day未満の二次包装フィルムを用いて包装され、前記二次包装フィルムの内側の酸素濃度が0%以上18%未満である輸送用生肉包装体。
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