JP7003103B2 - 干渉補償型の2電極テストストリップ - Google Patents
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Description
性成分として含有する試薬で覆われている。第2作用電極は、酵素系以外を除く同じ試薬で覆われている。両電極の試薬層は、電極上方のキュピラリー測定チャンバーを満たす同じ血液被験試料で湿潤する。第1相で、カウンター電極としての基準電極と、酵素を含まない試薬で覆われた第2作用電極との間に、電圧を印加する。次いで、応答電流を測定する。その後、カウンター電極としての基準電極と、酵素系を含む試薬を備えた第1作用電極との間に、電圧を印加する。次いで、同様に電流を測定する。血液被験試料中に還元剤または電気活性成分が存在すれば、それはメディエーターを還元するか、あるいは作用電極において直接酸化されるであろう。両方の場合とも、干渉バックグラウンド電流が両方の作用電極に生じる。他方で、グルコースとの反応は酵素を含有する試薬で覆われた電極において起きるにすぎない。最終結果を得るために、次いで両方の作用電極で測定された電流の差を計算する。その計算により、電極からの干渉作用が互いに消去され、したがってグルコース反応からの応答のみが残る。この方法の限界は、両方の作用電極が個々のノイズを計算結果に加えることである。通常は、生じる誤差は個々の誤差の幾何学的な和である。したがって、達成できる検査精度が制限される。この解決法の他の欠点は、2より多い電極を備えたテストストリップが製造法の複雑さおよびコストを増大させることである。類似の方法で、EP 2 767 826 A1は、2つの作用電極および基準電極を含む連続グル
コースセンサーを提唱した;その場合、第1作用電極はセンサー膜の活性酵素部分で覆われ、これに対し第2作用電極はセンサー膜の不活性酵素部分または非酵素部分で覆われている。
(i)電極対は他の電極から電気絶縁された2つの電極からなり、
(ii)活性化学マトリックスはその酵素活性を含み、不活性化学マトリックスはその酵素活性を含まず、かつ
(iii)電極対の第1電極は活性化学マトリックスに接触しており、電極対の第2電極は不活性化学マトリックスに接触している、
センサー素子に関する。
プ形状をもつことができる。ある態様において、基材はフレキシブル基材である。ある態様において、基材は1、2またはそれ以上の層をもつ層セットアップ、ある態様においてはフレキシブル層セットアップを含む。基材は一般に、いずれか任意の基材材料、たとえばプラスチック材料および/または積層材料および/または紙材料および/またはセラミック材料で作製できる。代わりに、またはさらに、他の材料、たとえば金属または薄膜セットアップを使用できる。
ある態様において、その液体は本明細書のいずれかの箇所で詳述する被験試料である。ある態様において、分析物は有機分子、さらなる態様においては本発明に従って検査化学物質の存在下で酸化還元反応を受けることができる有機分子である。ある態様において、分析物は対象の代謝の分子、すなわち対象の少なくとも1つの組織において行なわれる少なくとも1つの化学反応において産生および/または消費される分子である。また、ある態様において、分析物は低分子量化合物、さらなる態様においては5000u(1000Da;1.66×10-24kg)未満、さらなる態様においては1000u未満、さらなる態様においては500uの分子質量をもつ化合物である。すなわち、ある態様において、分析物は生体高分子ではない。さらなる態様において、分析物はマレート、エタノール、アスコルビン酸、コレステロール、グリセロール、尿素、3-ヒドロキシブチレート、ラクテート、ピルベート、ケトン類、クレアチニンなどからなるリストから選択される;さらに、さらなる態様において、分析物はグルコースである。さらなる態様において、分析物は血糖(血中グルコース)である。ある態様において、分析物は血糖であり、決定すべき実際の濃度は少なくとも10mg/dL、少なくとも50mg/dL、少なくとも60mg/dL、少なくとも70mg/dL、少なくとも80mg/dL、少なくとも90mg/dL、または少なくとも100mg/dLである。ある態様において、分析物はグルコースであり、決定すべき実際の濃度は0mg/dL~800mg/dL、またはさらなる態様においては10mg/dL~600mg/dL、またはさらなる態様においては50mg/dL~300mg/dLの範囲である。
よく、あるいはそれを含むことができる。電極場のうち1以上が1以上の適宜な接点リード線(contact lead)(導電路とも呼ばれる)を介して接触していてもよい。ある態様において、電極は厳密に1つの連続した表面領域をもち、それを化学マトリックスおよび/または体液と接触するように適合させることができる。それぞれの電極を少なくとも1つの
接点リード線により電気的に接続することができる。同じタイプの電極が1以上備えられている場合、それらの電極を1以上の接点リード線により接続することができる。よって、同じタイプの2以上の電極を1つの同じ接点リード線により電気的に接続することができる。あるいは、電極を接続するために別個の接点リード線、たとえば、電極当たり少なくとも1つの別個の接点リード線を備えることができる。ある態様において、電極はその電極において電気化学反応が起きる形態である。さらなる態様において、電極はその電極において酸化反応および/または還元反応が起きる形態である。
対象は哺乳動物であり、さらなる態様においてはマウス、ラット、ネコ、イヌ、ハムスター、モルモット、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシまたはウマである。さらに、さらなる態様において、対象は霊長類である。さらなる態様において、対象はヒトである。ある態様において、対象は少なくとも1種類の分析物の、正常からの測定可能な偏差に関連する疾患または状態に罹患しているか、あるいは罹患している疑いがある。
できる。具体的には、J. Hoenes et al.: The Technology Behind Glucose Meters: Test
Strips, Diabetes Technology & Therapeutics, Volume 10, Supplement 1, 2008, S-10
to S-26を参照できる。ただし、他のタイプの化学マトリックスも可能である。
って、ある態様において、検出反応は酸化還元反応である。さらなる態様において、検出反応は、酸化還元等価物および/または電子を、中間体および/または生成物として生成する。さらなる態様において、電気化学的特性は還元または酸化された本明細書に記載する指示試薬の濃度であり、すなわち、ある態様においては測定可能な特性は検査化学物質中に含まれる指示試薬の酸化還元状態である。前記に定める電気化学的特性を測定値として読み取ることができる物理信号に変換する方法は当技術分野で周知であり、たとえばEP
0 821 234、EP 0 974 303およびUS 2005/0023152に記載されている。ある態様において
、電気化学的特性には分析物の濃度の指標となる電流測定応答または電量測定応答が含まれる。たとえば、U.S. Pat. No. 5,108,564、4,919,770および6,054,039を参照。
ヌクレオチド(NAD,CAS NO:53-84-9)、またはフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD,CAS NO:146-14-5)である。本発明の検査化学マトリックス中に含有させる酸化還元補因子は意図するデヒドロゲナーゼの特性に依存することは理解されるであろう。たとえば、PQQを本発明の組成物中においてPQQ依存性デヒドロゲナーゼと組み合わせ、NADを本発明の組成物中においてNAD依存性デヒドロ
ゲナーゼと組み合わせ、FADを本発明の組成物中においてFAD依存性デヒドロゲナーゼと組み合わせる。本発明による酸化還元補因子は、ある態様において、PQQ、NADまたはFADの誘導体であってもよい。NADの代表的誘導体はWO 2007/012494に開示されたものであり、それを開示されたNAD/NADHおよび/またはNADP/NADPH誘導体に関して本明細書に援用する。さらなる態様において、本発明による酸化還元補因子はWO 2007/012494に開示されたcarbaNADである。
その溶媒または溶媒混合物を、その後、残りの組成物が本質的にその溶媒または溶媒混合物を含まないように適切な処理により除去する。ある態様において本発明により考慮される適切な処理には、熱処理、蒸発法、凍結乾燥などが含まれる。ある態様において、考慮される処理は熱処理、特に下記の条件下での熱処理である:約60℃以上で約20~45分間、または約95℃で約1~2分間、熱循環下での熱処理;化学マトリックスの厚さ20~200マイクロメーター以下;1バールまたは0.1バールの圧力。さらに、化学マトリックスを乾燥条件下に維持するために、ある態様において、貯蔵を乾燥剤(drying agent、すなわちdesiccant)の存在下で実施することは理解されるであろう。適切な乾燥剤には、ある態様において、シリカゲル、ゼオライト、炭酸カルシウムまたは硫酸マグネシウムが含まれる。
ゲナーゼ活性は、本明細書中でいずれかの箇所に述べるように、ハイドライド(H-)を酸化還元等価物としてアクセプター分子へ、ある態様においては酸化還元補因子へ伝達することにより、基質の酸化を触媒する。代表的なデヒドロゲナーゼ活性は、酸化還元補因子(または時には補酵素と呼ぶ)、たとえばピロロキノリンキノン(PQQ)、ニコチンアミド-アデニン-ジヌクレオチド(NAD)もしくはその誘導体、またはフラビン補因子、たとえばフラビン-アデニン-ジヌクレオチド(FAD)もしくはフラビン モノヌクレオチド(FMN)に依存するものである。代表的なデヒドロゲナーゼ活性は、特に酵素である乳酸デヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.27または1.1.1.28)、グルコースデヒドロゲナーゼ(後記を参照)、アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号 EC番号1.1.1.1または1.1.1.2)、L-アミノ酸デヒドロゲナーゼ(EC番号1.4.1.5)、グリセリンデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.6)、マレイン酸デヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.37)、3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.30)、ソルビトールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.14)、またはコレステロールデヒドロゲナーゼのものである。
a)被験試料を、(i)その分析物の存在下で活性である酵素活性に依存して少なくとも1つの電気化学的特性を変化させる活性化学マトリックスに接触させ、活性化学マトリックスは第1電極に接触している;かつ(ii)不活性化学マトリックスに接触させ、不活性化学マトリックスは第2電極に接触している;
b)第1電極および第2電極ならびに活性化学マトリックスおよび不活性化学マトリックスを含む電気回路を閉じ、続いてその少なくとも1つの電気化学的特性の第1値を決定する;
c)b)の電気回路の電気極性を逆転させ、続いてその少なくとも1つの電気化学的特性の第2値を決定する;そして
d)第1値および第2値に基づいてその少なくとも1種類の分析物を検出する。
本発明の方法は、ある極性における少なくとも1つの電気化学的特性の数値の少なくとも1回の測定、および逆の極性におけるその少なくとも1つの電気化学的特性の数値の少なくとも1回の測定を必要とする。結果の精度を高めるためにその測定を反復できることは、当業者に理解される。さらに、追加工程、たとえばある態様においては1回以上の測定、および/または第1極性と第2極性での測定間における電圧フリー休止(voltage free break)を含むことができる。ある態様において、その休止は少なくとも0.5秒、さらなる態様においては少なくとも1秒、さらに、さらなる態様においては少なくとも2秒、またはさらなる態様においては少なくとも3秒、持続するように設定される。ある態様において、その測定および/または電圧フリー休止の時間範囲は0.1秒~10秒、さらなる態様においては1秒~8秒、さらなる態様においては2~5秒である。1回より多い測定サイクルを適用する場合、測定および/または電圧フリー休止もその測定サイクルに含めることができるのは当業者に理解される。
極性および第2極性を適用して測定した値の重み付き差(weighted difference)を計算す
ることを含み、その際、加重係数(weighting factor)は撹乱条件下で、すなわちある態様においては干渉化合物の存在下で検量データを決定することにより得られる。
i)センサー素子のための容器:センサー素子は少なくとも2つの電極ならびに活性化学マトリックスおよび不活性化学マトリックスを含み、活性化学マトリックスはその分析物の存在下で活性である酵素活性に依存して少なくとも1つの電気化学的特性を変化させ、第1電極は活性化学マトリックスに接触しており;第2電極は不活性化学マトリックスに接触している;ならびに
ii)本発明の方法に従ってセンサー素子に含まれる少なくとも1種類の指示試薬の電気化学的特性を決定するための手段。
i)少なくとも2つの電極ならびに活性化学マトリックスおよび不活性化学マトリックスを含むセンサー素子:活性化学マトリックスはその分析物の存在下で活性である酵素活性に依存して少なくとも1つの電気化学的特性を変化させ、第1電極は活性化学マトリックスに接触しており;第2電極は不活性化学マトリックスに接触している;ならびに
ii)a)のセンサー素子のための容器、および本発明の方法に従ってセンサー素子に含まれる少なくとも1種類の指示試薬の電気化学的特性を決定するための手段を含む、検査デバイス。
本発明はさらに、そのプログラムをコンピューターまたはコンピューターネットワークで実行した際に本発明による方法を本明細書に含まれる態様のうち1以上で実施するためのコンピューター実行可能な指示を含む、コンピュータープログラムを開示および提唱する。具体的には、コンピュータープログラムをコンピューター可読データキャリアに記憶させることができる。よって、具体的には、前記で指示した方法の工程a)~d)のうち1つ、1より多数、または全部ですら、コンピューターまたはコンピューターネットワークを用いて、ある態様においてはコンピュータープログラムを用いて実施できる。
- 少なくとも1つのプロセッサーを含むコンピューターまたはコンピューターネットワークであって、そのプロセッサーが本明細書に開示する態様の1つによる方法を実施するように適合されたもの;
- コンピューターローディング可能なデータ構造であって、そのデータ構造をコンピューターで実行した際に本明細書に記載する態様の1つによる方法を実施するように適合させたもの;
- コンピュータープログラムであって、そのプログラムをコンピューターで実行した際に本明細書に記載する態様の1つによる方法を実施するように適合されたコンピュータープログラム;
- プログラム手段を含むコンピュータープログラムであって、そのコンピュータープログラムをコンピューターまたはコンピューターネットワークで実行した際に本明細書に記載する態様の1つによる方法を実施するためのもの;
- 上記の態様によるプログラム手段を含むコンピュータープログラムであって、そのプログラム手段がコンピューター可読記憶媒体に記憶されたもの;
- 記憶媒体であって、データ構造がその記憶媒体に記憶され、そのデータ構造がコンピューターまたはコンピューターネットワークのメイン記憶および/またはワーキング記憶にローディングされた後、本明細書に記載する態様の1つによる方法を実施するように適合されたもの;ならびに
- プログラムコード手段を備えたコンピュータープログラムプロダクトであって、そのプログラムコード手段は記憶媒体に記憶でき、または記憶されており、そのプログラムコード手段をコンピューターまたはコンピューターネットワークで実行した場合に本明細書に記載する態様の1つによる方法を実施するためのもの。
本発明の知見をまとめると、下記の態様が考慮される:
態様1: 少なくとも1種類の分析物を決定するためのセンサー素子であって、一対の電極ならびに少なくとも活性化学マトリックスおよび不活性化学マトリックスを含み、活性化学マトリックスはその分析物の存在下で活性である酵素活性に依存して少なくとも1つの電気化学的特性を変化させ、
(i)電極対は他の電極から電気絶縁された2つの電極からなり、
(ii)活性化学マトリックスはその酵素活性を含み、不活性化学マトリックスはその酵素活性を含まず、かつ
(iii)電極対の第1電極は活性化学マトリックスに接触しており、電極対の第2電極は不活性化学マトリックスに接触している。
態様3: 活性化学マトリックスはその酵素活性を保有するポリペプチドを含み、不活性化学マトリックスはその酵素活性を保有しないポリペプチドを含む、態様1または2の
センサー素子。
態様5: 厳密に一対の電極を含む、態様1~4のいずれか1つのセンサー素子。
態様7: その酵素活性を保有するポリペプチドがグルコースデヒドロゲナーゼである、態様1~6のいずれか1つのセンサー素子。
態様9: センサー素子が対面センサー素子である、態様1~8のいずれか1つのセンサー素子。
a)被験試料を、(i)その分析物の存在下で活性である酵素活性に依存して少なくとも1つの電気化学的特性を変化させる活性化学マトリックスに接触させ、活性化学マトリックスは第1電極に接触している;かつ(ii)不活性化学マトリックスに接触させ、不活性化学マトリックスは第2電極に接触している;
b)第1電極および第2電極ならびに活性化学マトリックスおよび不活性化学マトリックスを含む電気回路を閉じ、続いてその少なくとも1つの電気化学的特性の第1値を決定する;
c)b)の電気回路の電気極性を逆転させ、続いてその少なくとも1つの電気化学的特性の第2値を決定する;そして
d)第1値および第2値に基づいてその少なくとも1種類の分析物を検出する。
態様12: 工程b)が、電気回路に電圧を印加することを含む、態様10または11の方法。
態様14: 工程b)で印加した電圧が工程c)で印加した電圧レベルと本質的に同じである、態様10~13のいずれか1つの方法。
i)センサー素子のための容器:センサー素子は少なくとも2つの電極ならびに活性化学マトリックスおよび不活性化学マトリックスを含み、活性化学マトリックスはその分析物の存在下で活性である酵素活性に依存して少なくとも1つの電気化学的特性を変化させ、第1電極は活性化学マトリックスに接触しており;第2電極は不活性化学マトリックスに接触している;ならびに
ii)態様10~14のいずれか1つによる方法に従ってセンサー素子に含まれる少なくとも1種類の指示試薬の電気化学的特性を決定するための手段。
(i)少なくとも2つの電極ならびに活性化学マトリックスおよび不活性化学マトリックスを含むセンサー素子:活性化学マトリックスはその分析物の存在下で活性である酵素活性に依存して少なくとも1つの電気化学的特性を変化させ、第1電極は活性化学マトリックスに接触しており;第2電極は不活性化学マトリックスに接触している;ならびに
(ii)a)のセンサー素子のための容器、および態様10~14のいずれか1つの方法に従ってセンサー素子に含まれる化学マトリックスの電気化学的特性を決定するための手段を含む、検査デバイス。
態様18: 少なくとも1種類の分析物を検出するための、態様1~9のいずれか1つによるセンサー素子、態様15による検査デバイス、または態様16もしくは17による検査システムの使用。
態様20: (i)電極対の第1電極といずれかの追加電極との間の抵抗、および(ii)電極対の第2電極といずれかの追加電極との間の抵抗が、両方とも、被験試料をセンサー素子に適用した後に少なくとも25kΩになるように、電極対はセンサー素子に存在する可能性のあるいずれの追加電極からも電気絶縁されている、態様1~9および19のいずれか1つのセンサー素子。
図3に、センサー素子110の他の代表的態様の断面模式図を描く。この代表的態様において、センサー素子110は対面構造でデザインされている。対面センサー素子110は、図1または2のセンサー素子と同じ素子を含むが、活性化学マトリックス116に接触した第1電極112と不活性化学マトリックス118に接触した第2電極114は、向き合った方向に配置されている。第1電極112および第2電極114は両方とも、それらの各支持層としての基材124上にある。試料は第1電極112と第2電極114の間の試料チャンバー154内に置くことができ、電極112、114の両方と接触する。試料チャンバーは、試料が毛管作用により試料チャンバーに流入してそれを満たすことができるキャピラリー寸法をもつことができる。ポテンショスタット152を用いて、規定した極性および大きさの電圧を第1電極112および第2電極114に印加する。
ィルム形成剤、緩衝化合物、界面活性剤および安定剤などを含有していた;用いた酸化還元メディエーターはニトロソアニリンであった。活性化学マトリックス116中に用いた酵素はグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)であり、FADを補因子として用いた;不活性化学マトリックス118においては、GDHをアルブミンに置き換えた。試料チャンバーの寸法は0.2mm×2mm×10mmであった;したがって、第1電極112と第2電極114の間の距離は0.2mmであった。
図6の例において、三角波電圧信号(triangular voltage signal)を電極に印加する。
グルコース溶液とグルコースおよび干渉化合物アスコルビン酸を含有する溶液を用いた結果を比較する。酵素電極、すなわち活性化学マトリックスに接触している電極を正に分極させた場合、グルコースと干渉物質からの応答を識別できない。これに対し、逆の極性では、それを明瞭に分離できる。両方の極性からの電流応答を、被験物質(たとえば、グルコース)および干渉物質(たとえば、アスコルビン酸)を含有する適切な検量と組み合わせて分析することにより、干渉物質から大幅に独立した信号を計算することができる。
図7は、干渉補償型の対面電極における統計学的電流-電圧実験の結果を示す。この場合、-600から+600mVまでの範囲で50mV毎の異なる電圧について、その都度新たなディスポーザブルテストストリップで電流測定を実施した。用いた指示試薬はニトロソアニリン酸化還元指示薬であり、酵素はグルコースデヒドロゲナーゼであった。グルコース含有試料が酵素含有試薬と接触すると、ニトロソアニリンは還元されてフェニレンジアミンになり、それは正に分極した電極上で酸化可能である。酵素を含有しない第2電極では、ニトロソアニリンは負に分極した電極上で直接還元される。よって、この方向の電極分極については両方の電極が電子伝達を支持し、生じる電流を測定することができる。分極を逆転させると、負に帯電した電子のみがニトロソアニリンを還元することにより電子伝達を支持することができる。その時点で正に分極した無酵素電極にはフェニレンジアミンが存在せず、したがって電子伝達は支持されない。結果的に電流を測定できない。
図8は、逆極性試験相を実施する検査シーケンスの例を示す。
検査シーケンスの最初の部分(図8の1000ミリ秒~4000ミリ秒)では、極性は酵素含有電極を正に分極させる。印加電圧は+500mVである。グルコース含有試料をテストストリップに添加すると、電流計電流応答を測定することができる。正電極上では、酵素反応により生成したフェニレンジアミンが電子を電極へ伝達する。負に分極した電極上では、ニトロソアニリンが還元されて電極から電子を受け取る。第2測定相(図8の4000ミリ秒~7000ミリ秒)では、ゼロ電圧を電極に印加する。分極しなければ、用いた電極システムについて電極反応は起きない。したがって、酸化還元反応生成物が電極反応帯域から再拡散する時間があり、よって電極が逆の極性に分極した際に、第1工程で生成した反応生成物から生じる電流応答が最小限に抑えられる。第3電流測定工程(図8の7000ミリ秒~10000ミリ秒)として、逆の極性を印加する(ここでは酵素含有電極により規定される作用電極に関して-500mV)。この例では、グルコース含有試料溶液(120mg/dL)を、グルコースおよびアスコルビン酸含有試料(30mg/dLおよび30mg/dL)について得られた結果と比較している。正分極(図8の1000ミリ秒~4000ミリ秒)ではこれら2種類の試料を明瞭に識別できず、これに対し逆の極性(図8の7000ミリ秒~10000ミリ秒)を用いると明瞭な差が見られることが分かる。
110 センサー素子
112 第1電極
114 第2電極
116 活性化学マトリックス
118 不活性化学マトリックス
120 第1電極の接点素子
122 第2電極の接点素子
124 基材(支持体)
126 被験試料
130 検査システム
132 検査デバイス
134 制御素子
136 ディスプレイ
138 第1電極の接点素子を接続する接点素子
140 第2電極の接点素子を接続する接点素子
142 インターフェイス
144 評価ユニット
146 容器
148 測定ユニット
150 ケーシング
152 ポテンショスタット
154 試料チャンバー
Claims (13)
- 少なくとも1種類の分析物を決定するためのセンサー素子(110)であって、一対の電極(112,114)、少なくとも活性化学マトリックスおよび不活性化学マトリックス(116,118)を含み、前記活性化学マトリックス(116)は前記分析物の存在下で活性である酵素活性に依存して少なくとも1つの電気化学的特性を変化させ、
(i)前記電極対(112,114)は、前記センサー素子(110)中に存在する可能性のあるいずれの追加電極からも電気絶縁された2つの電極からなり、
(ii)前記活性化学マトリックス(116)は前記酵素活性を含み、前記不活性化学マトリックス(118)は前記酵素活性を含まず、および
(iii)前記電極対の第1電極(112)は前記活性化学マトリックス(116)に接触しており、前記電極対の第2電極(114)は前記不活性化学マトリックス(118)に接触しており、
前記第1電極(112)と前記第2電極(114)が、体液の試料を受容するようにおよび/または体液の試料を毛管力により輸送するように適合させたキャピラリー素子の反対側に配置され、
前記第1電極(112)および前記第2電極(114)が、層厚が最大で20%異なる化学マトリックス(116,118)で覆われており、
前記不活性化学マトリックス(118)は前記活性化学マトリックス(116)と類似の拡散特性を有する、 前記センサー素子。 - 活性化学マトリックス(116)の組成が前記酵素活性の存在によってのみ不活性化学マトリックス(118)の組成と異なる、請求項1に記載のセンサー素子(110)。
- 前記第1電極(112)と前記第2電極(114)が並行して配列される、請求項1または2に記載のセンサー素子(110)。
- 前記センサー素子(110)が対面センサー素子である、請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサー素子(110)。
- 前記第1電極(112)および前記第2電極(114)は両方とも、それらの各支持層としての基材(124)上にあり、前記第1電極(112)および前記第2電極(114)が向き合った方向に配置される、請求項1~4のいずれか1項に記載のセンサー素子(110)。
- 前記化学マトリックス(116,118)がさらに少なくとも1種類の酸化還元補因子を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のセンサー素子(110)。
- 厳密に一対の電極(112、114)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のセンサー素子(110)。
- 前記第1電極(112)および前記第2電極(114)が、被験試料をセンサー素子に適用した後に電気回路の一部になるように適合させたものである、請求項1~7のいずれか1項に記載のセンサー素子(110)。
- 少なくとも1種類の分析物がグルコースであり、酵素活性がグルコースデヒドロゲナーゼ活性である、請求項1~8のいずれか1項に記載のセンサー素子(110)。
- 前記センサー素子(110)が基準電極を含まない、請求項1~9のいずれか1項に記載のセンサー素子(110)。
- 被験試料中の少なくとも1種類の分析物を検出するための検査デバイス(132)であって、
(i)請求項1~10のいずれか1項に記載のセンサー素子(110)のための容器、ならびに、
(ii)下記工程:
a)被験試料を(i)活性化学マトリックス(116);および(ii)不活性化学マトリックス(118)に接触させる;
b)第1電極(112)、第2電極(114)、前記活性化学マトリックス(116)および前記不活性化学マトリックス(118)を含む電気回路を閉じ、続いてその少なくとも1つの電気化学的特性の第1値を決定する;
c)前記工程b)の電気回路の電気極性を逆転させ、続いてその少なくとも1つの電気化学的特性の第2値を決定する;ならびに、
d)前記第1値および前記第2値に基づいて前記少なくとも1種類の分析物を検出する;
を含む方法に従って、前記センサー素子(110)に含まれる前記活性化学マトリックス(116)の電気化学的特性を決定するための手段、
を含む、前記検査デバイス。 - (i)請求項1~10のいずれか1項に記載のセンサー素子(110)、ならびに
(ii)前記i)のセンサー素子(110)のための容器、および請求項11に記載の方法に従って、前記センサー素子(110)に含まれる化学マトリックスの電気化学的特性を決定するための手段を含む、検査デバイス、
を含む、検査システム。 - 少なくとも1種類の分析物を検出するための、請求項1~10のいずれか1項に記載のセンサー素子(110)、請求項11に記載の検査デバイス、または請求項12に記載の検査システムの使用。
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