JP7002397B2 - 温度センサ - Google Patents

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Description

本発明は、温度を測定するための感温素子を用いた温度センサに関する。
温度センサは、例えば、自動車の排気管内に配置され、排気管を流れる排ガスの温度を測定するために用いられる。例えば、特許文献1の温度センサにおいては、金属シース(金属管)内に挿通された金属芯線に感温素子が接続されており、感温素子は、金属シースの先端に取り付けられた金属カバー内に配置されている。また、感温素子は、金属シース内に充填された充填材(絶縁材)によって金属シースに固定されている。
特開2012-52959号公報
温度センサには、排ガス等の測定対象ガスの温度の変化を迅速に検出する応答性が要求される。この応答性を向上させるためには、測定環境下の測定対象ガスとサーミスタ等の感温素子との伝熱性を良くすることが考えられる。しかし、従来の温度センサにおいては、感温素子は、充填材を介して金属カバーに覆われている。そのため、金属カバーが断熱材として機能し、測定環境下の測定対象ガスと感温素子との間で伝熱が生じにくい。そのため、感温素子の温度が変化しにくく、感温素子の温度が測定対象ガスの温度になるまでに時間を要し、温度センサの応答性を阻害する。
また、温度センサの応答性を改善するためには、特許文献1等において用いられる金属カバーを廃止することも考えられる。しかし、この場合には、感温素子を適切に保護しないと、感温素子が測定対象ガスに晒されるおそれがあり、感温素子が、測定対象ガスに含まれる還元性ガス等によって劣化するおそれがある。そのため、金属カバーを廃止するためには、温度センサに特別な工夫をしなければ、温度センサの測定対象ガスに対する耐久性を確保することができない。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、応答性を向上させることができるとともに、耐久性を高く維持することができる温度センサを提供しようとして得られたものである。
本発明の一態様は、先端が開口先端部(20)として開口された金属管(2)と、
前記開口先端部に配置され、測定環境下の測定対象ガス(G)の温度を測定するための感温素子(3)と、
白金及び白金合金の少なくとも一方を含有して前記感温素子の表面に接触するリード先端部(310)を有するとともに、前記金属管内に配置された一対のリード線(31)と、
前記金属管内に配置され、前記金属管と一対の前記リード線とを絶縁するとともに、一対の前記リード線を前記金属管に支持するためのセラミック材料からなる絶縁支持材(4)と、
前記開口先端部に、前記感温素子、前記リード先端部、及び前記絶縁支持材の先端面(401)を覆う状態で配置され、前記測定対象ガスを透過させない性質を有するコート材(5)と、を備え
前記コート材は、酸化物と、前記酸化物中に分散された、白金、白金合金及び白金含有酸化物のうちの少なくとも1種とを含有する、温度センサ(1)にある。
前記一態様の温度センサにおいては、金属管の先端が開口先端部として開口しており、開口先端部に配置された感温素子は、コート材によって覆われている。そして、金属管の開口先端部には、感温素子を覆うための金属カバー(曲面状の先端部)が設けられていない。この構成により、温度センサの先端部と測定環境下の測定対象ガスとの間における、熱放射、熱伝達(熱対流)等の伝熱が生じやすくすることができる。そのため、感温素子の温度が、測定対象ガスの温度になるまでの時間を短縮することができ、温度センサの応答性を向上させることができる。
また、金属管の開口先端部には、感温素子、一対のリード線のリード先端部、及び絶縁支持材の先端面を覆う状態で、コート材が配置されている。このコート材は、酸化物と、酸化物中に分散された白金、白金合金及び白金含有酸化物のうちの少なくとも1種とを含有する。また、一対のリード線のリード先端部は、白金及び白金合金の少なくとも一方を含有する。「白金含有酸化物」とは、白金と酸化物とが混合されたもののことをいう。また、白金含有酸化物には、白金以外の金属が含有されていてもよい。
この構成により、コート材が、一対のリード線のリード先端部に接触する状態において、コート材がリード先端部から離れにくくすることができる。これにより、コート材と絶縁支持材の先端面との界面を伝って感温素子へと侵入しようとする測定対象ガスは、コート材とリード先端部との界面へ侵入することが難しくなる。また、コート材は、測定対象ガスを透過させない性質を有する。
さらに、コート材とリード先端部との界面が密着することにより、コート材と感温素子との界面の密着性も保たれ、コート材が感温素子から離れにくくすることもできる。そのため、測定対象ガスが感温素子に接触しにくくすることができる。その結果、感温素子が、測定対象ガスに晒されて劣化することが抑制され、温度センサの測定対象ガスに対する耐久性(信頼性)を高く維持することができる。
それ故、前記一態様の温度センサによれば、その応答性を向上させることができるとともに、その耐久性(信頼性)を高く維持することができる。
感温素子が金属管の開口先端部に配置されている構成は、感温素子が開口先端部の周辺に存在すればよいことを示す。例えば、感温素子の一部は、金属管の開口先端部の先端側に配置され、感温素子の残部は、開口先端部の基端側に配置されていてもよい。また、感温素子の全体が、開口先端部の先端側に配置されていてもよい。
リード線は、絶縁支持材に支持された第1線部と、絶縁支持材から突出するリード先端部としての第2線部とが溶接等によって接合されたものであってもよい。この場合には、第1線部と第2線部とは異なる金属材料から構成することができる。また、リード線の全体が、白金及び白金合金の少なくとも一方を含有していてもよい。
なお、本発明の一態様において示す各構成要素のカッコ書きの符号は、実施形態における図中の符号との対応関係を示すが、各構成要素を実施形態の内容のみに限定するものではない。
実施形態にかかる、温度センサの主要部を示す断面図。 実施形態にかかる、温度センサの全体を示す断面図。 実施形態にかかる、温度センサの主要部を示す、図1のIII-III矢視断面図。 実施形態にかかる、リード線のリード先端部とコート材との接合状態を模式的に示す説明図。 実施形態にかかる、他の温度センサの主要部を示す断面図。 実施形態にかかる、他の温度センサの主要部を示す断面図。 実施形態にかかる、他の温度センサの主要部を示す、図1のIII-III矢視断面相当図。 実施形態にかかる、温度センサの主要部の製造方法を示すフローチャート。 実施形態にかかる、温度センサの製造過程であって、シース成形体を準備した状態を示す断面図。 実施形態にかかる、温度センサの製造過程であって、一対のリード線を形成し、一対のリード線の間に感温素子を配置した状態を示す断面図。 実施形態にかかる、温度センサの製造過程であって、感温素子及び一対のリード線の先端部をコート材用のスラリーに浸漬させた状態を示す断面図。
前述した温度センサにかかる好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
<実施形態>
本形態の温度センサ1は、図1に示すように、金属管2、感温素子3、一対のリード線31、絶縁支持材4及びコート材5を備える。金属管2は、その先端が開口先端部20として開口されたものである。感温素子3は、開口先端部20に配置されており、測定環境下の測定対象ガスGの温度を測定するためのものである。一対のリード線31は、白金(Pt)及び白金合金の少なくとも一方を含有して感温素子3の表面に接触するリード先端部310をそれぞれ有する。一対のリード線31におけるリード先端部310を除く部分の多くは、金属管2内に配置されている。
絶縁支持材4は、金属管2内に配置されており、金属管2と一対のリード線31とを絶縁するとともに、一対のリード線31を金属管2に支持するためのセラミック材料からなる。コート材5は、金属管2の開口先端部20に、感温素子3、リード先端部310、及び絶縁支持材4の先端面401を覆う状態で配置されており、測定対象ガスGを透過させない性質を有する。コート材5は、酸化物と、酸化物中に分散された、白金、白金合金及び白金含有酸化物のうちの少なくとも1種とを含有する。
本形態の温度センサ1においては、金属管2の中心軸線に沿った方向を軸方向Lという。また、軸方向Lにおいて、金属管2に感温素子3が配置された側を先端側L1といい、先端側L1と反対側を基端側L2という。
以下に、本形態の温度センサ1について詳説する。
(温度センサ1)
温度センサ1は、車載用のものであり、自動車における内燃機関(エンジン)の吸気管内又は排気管内を流れる流体の温度を測定するために使用される。本形態の温度センサ1は、排気管に配置され、排気管内を流れる排ガスの温度を測定するために用いられる。排ガスの温度は、電子制御ユニット(ECU)によって内燃機関の燃焼制御を行う際に利用される。排ガスの温度は、例えば、排気管に配置された排気浄化触媒の温度を検知するために利用することができる。また、本形態の温度センサ1は、排気浄化触媒の温度を、1000℃を超える高温域の目標温度に制御するために用いることができる。
(感温素子3)
本形態の感温素子3は、サーミスタ材料としての酸化物半導体の焼結体を用いて構成されたサーミスタ素子である。サーミスタ素子は、温度の上昇に対して電気抵抗値が減少するNTC(negative temperature coefficient)サーミスタとすることができる。これ以外にも、サーミスタ素子は、所定温度を超えると温度の上昇に対して急激に電気抵抗値が増大するPTC(positive temperature coefficient)サーミスタ、又は所定温度を超えると急激に電気抵抗値が減少するCTR(critical temperature resistor)サーミスタとすることもできる。
感温素子3は、半導体を構成する材料として、ペロブスカイト構造を有する酸化物半導体の組成物によって構成されている。また、感温素子3は、酸化物半導体の焼結体として形成されている。本形態の感温素子3を構成する組成物は、YCrMnO3とY23とを含む複合酸化物(金属酸化物の複合体)からなる。
また、感温素子3は、白金、銅、ニッケル等を用いて構成された、温度が上昇するに伴って電気抵抗値が増加する測温抵抗素子としてもよい。
(リード線31)
図1に示すように、一対のリード線31は、導電性を有する種々の金属材料から構成されている。本形態の一対のリード線31は、絶縁支持材4に支持された一対の第1線部311と、絶縁支持材4から突出する一対のリード先端部310としての第2線部312とが、溶接等によって互いに接合されたものである。第1線部311と第2線部312とは、互いに異なる材料によって構成されている。
第1線部311は、金属管2及び絶縁支持材4とともにシースピンとして形成されたものである。第1線部311はステンレス又はインコネル(登録商標、ニッケル基を含む超合金)によって構成されている。第2線部312は、白金(Pt)又は白金-ロジウム(Pt-Rh)合金によって構成されている。第1線部311と第2線部312とは、互いに突き合わされた状態で接合されている。第1線部311と第2線部312とは、互いに重ね合わされた状態で接合されていてもよい。
第1線部311は、SUS310Sの線、鉄とニッケルとの合金からなるインバー線、スーパーインバー線、ニッケル線、ニッケルクロム線、鉄クロム線等によって構成することもできる。リード先端部310としての第2線部312を構成する白金合金は、Pt-Rh合金の他にも、白金と、白金族金属におけるRu(ルテニウム)、Pd(パラジウム)、Os(オスミウム)及びIr(イリジウム)のうちの少なくとも1種との合金とすることができる。
また、一対のリード線31の全体は、同じ金属材料によって構成されていてもよい。この場合には、各リード線31は、白金線、又は白金と他の金属との合金からなる白金合金線によって構成することができる。白金合金線は、特に、白金と、白金族金属におけるRu、Rh、Pd、Os及びIrのうちの少なくとも1種との合金によって構成することができる。
一対のリード線31のリード先端部310とは、一対のリード線31における、絶縁支持材4から先端側L1に突出して、感温素子3に接触する部分のことをいう。本形態のリード先端部310は、第2線部312によって形成されている。
本形態のリード先端部310は、白金及び溶媒を含む白金ペーストと用いて感温素子3の表面に接合されている。感温素子3及びリード先端部310の表面に配置されたコート材5が焼結されるときに、白金ペースト中の溶媒が揮発して、感温素子3とリード先端部310とが接合される。
リード先端部310は、感温素子3に接合されずに、感温素子3の表面に圧接されていてもよい。この場合には、感温素子3を一対のリード先端部310の間に挿入する際に、一対のリード先端部310が感温素子3に圧接されるようにすることができる。また、コート材5によって、感温素子3及び一対のリード先端部310を覆うときに、一対のリード先端部310が感温素子3に圧接されるようにすることもできる。
(金属管2)
図2に示すように、金属管2は、シース管とも呼ばれ、金属材料から構成されている。金属管2は、円筒形状に形成されている。金属管2は、感温素子3が配置された先端側管部21の外径及び内径が最も小さく、先端側管部21よりも基端側L2に位置する基端側管部22の外径及び内径が、先端側管部21の外径及び内径よりも大きく形成されている。金属管2は、インコネル(登録商標)の管によって構成することができる。これ以外にも、金属管2は、SUS310Sの管、オーステナイト系ステンレス鋼の管、フェライト系クロム鋼の管、耐熱性コバルト合金、ニッケル合金の管、鉄クロム合金の管によって構成することもできる。金属管2は、温度センサ1の製造を容易にするために、複数の管材を、適宜、溶接等によって繋ぎ合わせて形成することができる。
(ハウジング11)
図2に示すように、金属管2は、排気管に取り付けられるハウジング11に装着されている。ハウジング11は、一対のリード線31及びコネクタ12のターミナル13を配置するための配置穴111と、温度センサ1を排気管に取り付けるための外周ネジ112と、ハウジング11にコネクタ12を連結するための連結部113とを有する。配置穴111には、コネクタ12のターミナル13の先端部131が挿入される。
(コネクタ12)
図2に示すように、絶縁性の樹脂等からなるコネクタ12には、リード線31が溶接によって接続されたターミナル(接続端子)13が設けられている。ターミナル13の先端部131は、リード線31が接続されるよう、コネクタ12から突出している。ターミナル13の基端部132は、温度センサ1の動作を制御する制御装置10に接続される。制御装置10は、エンジン制御ユニットとすることができ、エンジン制御ユニットとは別のセンサ制御ユニット(SCU)とすることもできる。ターミナル13は、導電性の金属材料によって構成されている。
(絶縁支持材4)
図1及び図2に示すように、絶縁支持材4は、酸化マグネシウム(MgO)等の絶縁性の金属酸化物によって構成されている。絶縁支持材4は、酸化アルミニウム(Al23)等によって構成することもできる。絶縁支持材4は、金属管2の先端側管部21に配置された、酸化マグネシウム等のセラミック粒子によって構成されている。絶縁支持材4を構成する複数のセラミック粒子は、互いに圧縮されて密着している。
絶縁支持材4は、金属管2の先端側管部21に充填されており、金属管2の基端側管部22には充填されていない。言い換えれば、絶縁支持材4は、金属管2の先端側管部21に、軸方向Lに連続して一体的に配置されている。
絶縁支持材4が金属管2の先端側管部21に充填されていることにより、金属管2の先端側管部21において、一対のリード線31が金属管2に強固に支持される。絶縁支持材4は、一対のリード線31の外周と金属管2の先端側管部21の内周とに接触している。絶縁支持材4は、金属管2の先端側管部21の内周における先端位置まで配置されている。
金属管2、一対のリード線31の第1線部311及び絶縁支持材4は、シースピンとして形成されたものとしてもよい。この場合、絶縁支持材4を構成するセラミック粒子は、シースピンの縮径加工をする際に互いに密着されている。
(コート材5)
図1及び図3に示すように、本形態の温度センサ1の金属管2の先端部には金属カバーが設けられていない。コート材5は、感温素子3に一対のリード線31が接触する状態を維持するための機能と、金属カバーの代わりとして、温度センサ1の検知先端部101の最外周部として測定対象ガスGの透過を防止する機能とを有する。
コート材5は、測定対象ガスGが接触する、温度センサ1の検知先端部101における最外周部に配置されている。最外周部とは、測定対象ガスGに直接晒される外周側の部分であることを意味する。金属カバーの代わりにコート材5が設けられていることにより、測定対象ガスGと感温素子3との間の伝熱性を改善し、温度センサ1の応答性を向上させることができる。
なお、温度センサ1の検知先端部101には、コート材5を保護するために、コート材5の周囲を覆う保護カバーを配置することもできる。この場合においても、コート材5は、最外周部に配置され、コート材5には測定対象ガスGが接触する。
コート材5は、金属酸化物と、金属酸化物中に分散された白金とによって構成することができる。また、コート材5は、金属酸化物と、金属酸化物中に分散された白金合金とによって構成することもできる。また、コート材5は、金属酸化物と、金属酸化物中に分散された白金含有酸化物とによって構成することもできる。また、コート材5の金属酸化物中には、白金、白金合金及び白金含有酸化物のうちの2種以上が混合して分散されていてもよい。「白金含有酸化物」とは、白金と酸化物とが混合されたもののことをいう。白金含有酸化物は、白金と酸化物とが粒子の状態で一体化しているものとすることができる。また、白金含有酸化物の粒子には、白金以外の金属が含まれていてもよい。
コート材5は、複数の金属酸化物の粒子(粒状物)の中に、白金、白金合金、白金含有酸化物等の複数の粒子が分散されて焼結されたものとすることができる。また、コート材5は、金属酸化物と、白金、白金合金、白金含有酸化物等とが含まれる複数の粒子が焼結されたものとすることもできる。この場合には、複数の粒子が用いられることにより、金属酸化物中に白金等が分散されることになる。
コート材5における、白金及び白金合金の少なくとも一方に含まれる白金の含有量は、0.001~30質量%の範囲内にある。白金の含有量とは、コート材5の全体における、白金元素の総合含有量のことをいう。コート材5における白金の含有量は、0.05質量%以上とすることが好ましい。コート材5における白金の含有量が0.001質量%未満である場合には、酸化物中に白金又は白金合金が十分に分散されず、コート材5がリード先端部310から離れやすくなる。一方、コート材5における白金の含有量が30質量%超過である場合には、酸化物中に分散される白金又は白金合金の量が多くなり、コート材5がリード先端部310から離れやすくなる。
コート材5における酸化物は、Al23を含有するものである。コート材5における酸化物は、Al23(アルミナ)よって構成することができる。また、コート材5における酸化物は、Al23と、ZrO2(ジルコニア)、SiO2(シリカ)、Y23(イットリア)、Al23-SiO2(アルミナ・シリカ)及びZrSiO4(ジルコン)うちの少なくとも1種とによって構成することもできる。コート材5における酸化物は、複数の粒子が焼結されて一体化したものとすることができる。「Al23-SiO2」は、Al23とSiO2とが混合された複合粒子のことを示す。
コート材5における酸化物は、Al23の粒子と、ZrO2等の他の金属酸化物の粒子とによって構成されていてもよく、各材料が混合された複合粒子によって構成されていてもよい。
また、コート材5における酸化物は、感温素子3を構成する組成物を含有することが好ましい。この場合には、感温素子3とコート材5とに同じ物質が含まれることになり、感温素子3とコート材5との密着性を高め、コート材5が感温素子3から離れにくくすることができる。
本形態の感温素子3は、YCrMnO3とY23とを含む複合酸化物によって構成されており、コート材5における酸化物は、Al23等の他に、YCrMnO3とY23とを含む複合酸化物を含有する。この複合酸化物は、Al23等の粒子の中に別の粒子として存在し、Al23の粒子の中に分散されている。また、この複合酸化物は、Al23等と混合された粒子として存在していてもよい。また、言い換えれば、YCrMnO3とY23との複合粒子が、Al23等の粒子の中に分散されていてもよく、YCrMnO3の粒子とY23の粒子とが、Al23の粒子の中に分散されていてもよい。
コート材5を構成する白金合金は、Pt-Rh(白金-ロジウム合金)、Pt-Pd(白金-パラジウム合金)、Pt-Ir(白金-イリジウム合金)、Pt-Ru(白金-ルテニウム合金)、Pt-Os(白金-オスミウム合金)、Pt-Ni(白金-ニッケル合金)、Pt-W(白金-タングステン合金)、Pt-Nb(白金-ニオブ合金)、Pt-Ta(白金-タンタル合金)、Pt-Hf(白金-合金)、Pt-Ti(白金-チタン合金)、Pt-Au(白金-金合金)、Pt-Mo(白金-モリブデン合金)、Pt-Co(白金-コバルト合金)及びPt-Ir-Ti(白金-イリジウム-チタン合金)のうちの少なくとも1種とすることができる。
また、コート材5を構成する白金含有酸化物は、Pt-ZrO2(白金-ジルコニア粒子)及びPt-Rh-ZrO2(白金-ロジウム-ジルコニア粒子)の少なくとも一方とすることができる。
コート材5は、金属酸化物の粒子と、白金の粒子、白金合金の粒子及び白金含有酸化物のうちの少なくとも1種とが焼結された焼結体として形成されている。コート材5は、その他の添加物、例えば、無機バインダー(結合剤)等を含有していてもよい。
コート材5は、金属酸化物の粒子と、白金の粒子、白金合金の粒子及び白金含有酸化物のうちの少なくとも1種と、水等の溶媒とを含有するスラリーを用いて形成される。そして、スラリーが、焼結のために加熱されるときに、溶媒が揮発され、金属酸化物の粒子と、白金の粒子、白金合金の粒子及び白金含有酸化物の粒子のうちの少なくとも1種とが焼結体を形成する。
金属酸化物の粒子と、白金の粒子、白金合金の粒子及び白金含有酸化物の粒子のうちの少なくとも1種とが焼結されるときに、各粒子の間の隙間が埋められることによって、コート材5が、測定対象ガスGを透過させない性質を得ることができる。
また、コート材5を形成するためのスラリーが無機バインダーを含有する場合には、各粒子の間の隙間が無機バインダーによって埋められることによって、コート材5が、測定対象ガスGを透過させない性質を得ることもできる。
図4には、リード線31のリード先端部310とコート材5との接合状態を模式的に示す。
コート材5は、1000~1100℃の高温に加熱されることによって、感温素子3、リード先端部310及び絶縁支持材4の先端面401と密着して焼結される。このとき、リード先端部310に含まれる白金及び白金合金の少なくとも一方と、コート材5のスラリーに含まれる白金、白金合金及び白金含有酸化物のうちの少なくとも1種とは、コート材5に含まれる酸化物中の酸素を介して結合される。
コート材5のスラリーが高温に加熱されるときには、スラリーに含まれるAl23中の酸素は白金と化学結合しようとする性質を有する。そして、コート材5におけるAl23中の酸素と、コート材5における白金(白金合金又は白金含有酸化物に含まれる白金であってもよい。)が化学結合する。また、コート材5とリード先端部310との界面Kにおいては、コート材5におけるAl23中の酸素が、リード先端部310における白金(白金合金に含まれる白金であってもよい。)と化学結合しようとする。
これにより、コート材5とリード先端部310との界面Kにおける濡れ性が向上し、コート材5とリード先端部310とが反応焼結することになる。そのため、コート材5とリード先端部310との界面Kの隙間が埋められ、コート材5とリード先端部310との界面Kへ測定対象ガスGが侵入することができなくなる。
また、図1に示すように、コート材5に含まれる酸化物は、絶縁支持材4の先端面401における酸化物と焼結される。これにより、コート材5と絶縁支持材4の先端面401とが結合され、コート材5と絶縁支持材4の先端面401との界面へ測定対象ガスGが侵入しにくくなる。
また、コート材5に含まれる、感温素子3の組成物と同じ成分である酸化物半導体は、感温素子3を構成する酸化物半導体と結合される。これにより、コート材5と感温素子3との界面へ測定対象ガスGが侵入しにくくなる。
このように、酸化物としてのAl23の粒子の中に、白金及びYCrMnO3+Y23が分散されたコート材5を用いることにより、コート材5と感温素子3との密着性を向上させることができ、感温素子3を測定対象ガスGから保護することができる。
コート材5は、金属酸化物を主原料として形成されていることにより、耐熱性に優れており、1000℃に加熱されたときでも性状に変化が生じない耐熱性を有する。また、金属管2、感温素子3及び一対のリード線31は、金属材料又は酸化物半導体によって構成されていることにより、1000℃に加熱されたときでも性状に変化が生じない耐熱性を有する。さらに、本形態のコート材5、金属管2、感温素子3及び一対のリード線31は、1050℃においても性状が変化しない耐熱性を有する。
そして、本形態の温度センサ1の使用可能温度は常温(20℃)~1200℃に設定されている。金属カバーを用いた従来の温度センサにおいては、感温素子3と一対のリード線31とが、その使用可能温度が900℃までとなっている。この従来の温度センサにおいては、感温素子3とリード先端部310との間に剥離が生じるおそれがあることを理由に、使用可能温度が900℃までと制限されている。
一方、本形態の温度センサ1においては、コート材5の工夫によって、コート材5がリード先端部310に化学結合され、コート材5とリード先端部310との間に隙間が形成されないようにしている。これにより、感温素子3とリード先端部310との間に剥離が生じにくくすることができ、温度センサ1の使用可能温度の上限値を高くすることができる。
(感温素子3、リード線31、コート材5等の配置関係)
図1に示すように、本形態の絶縁支持材4の先端面401は、金属管2の先端面201よりも基端側L2に位置している。なお、図5に示すように、金属管2の先端面201と絶縁支持材4の先端面401とは、軸方向Lにおけるほぼ同じ位置にあってもよい。また、同図に示すように、各リード線31は、同一材料からなる連続した1本の金属線とすることもできる。
また、図6に示すように、感温素子3の一部は、金属管2の先端面201よりも基端側L2に位置していてもよい。この場合には、感温素子3の一部が金属管2の開口先端部20の先端側L1に配置され、感温素子3の残部が開口先端部20の基端側L2に配置される。
また、図1及び図3に示すように、感温素子3は、絶縁支持材4の先端面401に接触して配置されている。感温素子3は、互いに平行な一対の主面302Aを有する板形状、言い換えればチップ型に形成されている。主面302Aとは、複数の面のうちの表面積が最も大きな面のことをいう。
本形態のリード線31のリード先端部310としての第2線部312は、平面316Aと曲面316Bとを有する形状、言い換えれば、略半円状の断面形状に形成されている。そして、リード線31の平面316Aが感温素子3の主面302Aと対面している。なお、金属管2内の絶縁支持材4に支持された、リード線31の第1線部311は、通常通り、丸線、言い換えれば、円状の断面形状に形成されている。
リード線31の第2線部312は、図7に示すように、四角状の断面形状に形成されていてもよい。この場合には、感温素子3の主面302Aには、第2線部312の側面317が接触する。また、一対のリード線31同士の断面積及び断面形状は、必ずしも同じにする必要はない。また、一対のリード線31の幅は、感温素子3の幅よりも小さくすることができ、感温素子3の幅と同じにすることもでき、感温素子3の幅よりも大きくすることもできる。「幅」とは、温度センサ1の軸方向Lと、感温素子3と一対のリード線31とが対向する方向とに直交する方向の幅のことをいう。また、リード線31の断面積は、感温素子3の断面積よりも小さくすることができ、感温素子3の断面積と同じにすることもでき、感温素子3の断面積よりも大きくすることもできる。
図1に示すように、一対のリード線31は、金属管2内から金属管2の外部まで形成されている。リード線31の第2線部312は、金属管2の先端面201から先端側L1に突出した位置に配置されている。この構成により、一対のリード線31の第2線部312の間に、感温素子3を配置することが容易であり、温度センサ1の製造を容易にすることができる。
コート材5は、絶縁支持材4の先端面401と金属管2の先端面201とを連続して覆っている。これにより、コート材5は、絶縁支持材4の先端面401だけでなく、金属管2の先端面201にも固着させることができる。そのため、温度センサ1の検知先端部101におけるコート材5の固着状態をより強固にすることができる。
感温素子3の先端面301は、測定対象ガスGの温度を測定する際に、測定対象ガスGの温度の変化を最も早く検知する部分となる。そのため、感温素子3の先端面301におけるコート材5の厚みはできるだけ薄くすることが好ましい。感温素子3の先端面301におけるコート材5の厚みは、例えば、10~200μmに設定することができる。この場合には、感温素子3の温度を測定対象ガスGの温度に迅速に追従させることができる。
図3に示すように、感温素子3と一対のリード線31のリード先端部310とが対面する表面は、良好な接触状態を形成するよう平坦状にすることができる。より具体的には、感温素子3と一対のリード先端部310とにおける、互いに対面する表面としての主面302Aと平面316Aとは、全体がほぼ均一に接触するよう、平坦面として形成することができる。
また、感温素子3と一対のリード先端部310とにおける、互いに対面する表面である主面302A及び平面316Aの表面粗さ(面粗度)は、JIS B0601-1970(ISO468-1982)に準拠するRmaxとして、1~3μmの範囲内に設定することができる。
(製造方法)
次に、本形態の温度センサ1の主要部を製造する方法について、図8のフローチャートを参照して説明する。
図9に示すように、金属管2、一対のリード線31の第1線部311及び絶縁支持材4が設けられたシース成形体71を準備する(図8のステップS1)。本製造方法におけるシース成形体71の金属管2とは、金属管2の先端側管部21のことを示す。シース成形体71は、金属管2内に、一対のリード線31の第1線部311が挿通されるとともに、金属管2内における隙間が絶縁支持材4によって充填されたものである。
次いで、図10に示すように、一対のリード線31のリード先端部310としての第2線部312の間に感温素子3を挟み込む状態で、この第2線部312を、シース成形体71における一対のリード線31の第1線部311に、レーザ溶接によって接合する(ステップS2)。こうして、金属管2の開口先端部20において、一対のリード線31の第2線部312の間に感温素子3が配置された状態の、温度センサ1の中間体が形成される。
なお、一対のリード線31の第2線部312を、シース成形体71における一対のリード線31の第1線部311に接合した後、この第2線部312の間に感温素子3を差し込んで配置してもよい。
次いで、図11に示すように、温度センサ1の中間体の検知先端部101を、コート材5を構成するスラリー50中に浸漬させる(ステップS3)。このとき、金属管2の先端面201がスラリー50に接触するように、感温素子3及び一対のリード線31のリード先端部310をスラリー50中に浸漬させる。
なお、温度センサ1の中間体の検知先端部101をスラリー50中に浸漬させる代わりに、スラリー50を検知先端部101に塗布、吹き付け、蒸着等によって付着させることもできる。
次いで、温度センサ1の中間体の検知先端部101をスラリー50中から取り出したときには、感温素子3、一対のリード線31のリード先端部310、絶縁支持材4の先端面401及び金属管2の先端面201にスラリー50が付着する。そして、これらがスラリー50によって覆われる。
次いで、温度センサ1の中間体の検知先端部101を1000~1100℃に加熱し、この検知先端部101に付着したスラリー50を乾燥させ、スラリー50中の溶媒を揮発させるとともに、スラリー50中の酸化物、白金等が焼結される(ステップS4)。そして、スラリー50中の酸化物、白金等が、コート材5として、感温素子3、一対のリード線31のリード先端部310、絶縁支持材4の先端面401及び金属管2の先端面201に固着される。こうして、感温素子3及び一対のリード先端部310がコート材5によって覆われた温度センサ1の組付体が形成される。
(作用効果)
本形態の温度センサ1においては、金属管2の先端が開口先端部20として開口しており、開口先端部20に配置された感温素子3は、最外周部を形成するコート材5によって覆われている。そして、金属管2の開口先端部20には、感温素子3を覆うための金属カバー(曲面状の先端部)が設けられていない。この構成により、温度センサ1の検知先端部101と測定環境下の測定対象ガスGとの間における、熱放射、熱伝達(熱対流)等の伝熱が生じやすくすることができる。そのため、感温素子3の温度が、測定対象ガスGの温度になるまでの時間を短縮することができ、温度センサ1の応答性を向上させることができる。
また、金属管2の開口先端部20には、感温素子3、一対のリード線31のリード先端部310、絶縁支持材4の先端面401及び金属管2の先端面201を覆う状態で、コート材5が配置されている。コート材5には、Al23を含有する酸化物と、酸化物中に分散された白金成分とが含まれ、リード先端部310には、白金成分が含まれる。なお、白金成分とは、白金、白金合金、又は白金含有酸化物に含まれる白金のことをいう。
そして、コート材5と一対のリード先端部310との界面Kにおいては、コート材5に含まれるAl23の酸素が、コート材5に含まれる白金成分と、リード先端部310に含まれる白金成分とに化学結合して、コート材5に含まれる白金成分とリード先端部310に含まれる白金成分とを繋ぎ合わせる役目を果たす。これにより、コート材5がリード先端部310から離れにくくすることができる。また、コート材5と感温素子3との界面においては、コート材5に含まれる酸化物半導体と感温素子3を構成する酸化物半導体とが結合されることにより、コート材5が感温素子3から離れにくくすることができる。
温度センサ1の検知先端部101が、使用時において、例えば1000℃以上の測定対象ガスGに晒される際に、この測定ガスG中に水素等の還元性ガスが含まれることがある。感温素子3を構成する、YCrMnO3+Y23等の酸素を含有する酸化物半導体は、水素等の還元性ガスと接触すると、酸化物半導体における酸素が還元性ガスによって還元される。そして、還元性ガスによって酸化物半導体における酸素が奪われるときには、感温素子3が劣化することになる。
本形態の温度センサ1の検知先端部101においては、測定対象ガスGが、コート材5と金属管2の先端面201との間の界面へ侵入しようとする。このとき、コート材5における酸化物と絶縁支持材4を構成する酸化物とが結合していることにより、コート材5と絶縁支持材4の先端面401との界面への測定対象ガスGの侵入が抑制される。
仮に、コート材5と絶縁支持材4の先端面401との界面へ測定対象ガスGが侵入するときでも、測定対象ガスGは、コート材5とリード先端部310との界面K及びコート材5と感温素子3との界面へ侵入することが抑制される。また、コート材5は、測定対象ガスGを透過させない性質を有する。
さらに、コート材5とリード先端部310との界面Kが密着することにより、コート材5と感温素子3との界面の密着性も保たれ、コート材5が感温素子3から離れにくくすることもできる。そのため、測定対象ガスGが感温素子3に接触しにくくすることができる。その結果、感温素子3が、酸素を含有する酸化物半導体から構成されている場合でも、測定対象ガスGに含まれる水素等の還元性ガスが、感温素子3の酸化物半導体中の酸素を奪うことが抑制される。これにより、感温素子3が、測定対象ガスGに晒されて劣化することが抑制され、温度センサ1の測定対象ガスGに対する耐久性(信頼性)を高く維持することができる。
また、コート材5の主成分が酸化物であることにより、コート材5の耐熱性を確保することができる。そのため、温度センサ1の熱に対する耐久性(信頼性)も高く維持することができる。
それ故、本形態の温度センサ1によれば、その応答性を向上させることができるとともに、その耐久性(信頼性)を高く維持することができる。
<確認試験>
本確認試験においては、コート材5を構成する種々の材料の組成について、耐還元性を評価する試験を行った。
本確認試験においては、種々のコート材5が設けられた温度センサ1である試験品1~30と、比較のためのコート材が設けられた温度センサである比較品1,2とについて試験を行った。試験品1~30のコート材5は、いずれも酸化物及び白金成分を含有するものであり、比較品1,2のコート材は、酸化物を含有し白金成分を含有しないものである
試験品1~30及び比較品1,2の温度センサにおける感温素子3は、YCrMnO3とY23とからなる複合酸化物によって構成し、一対のリード線31のリード先端部310は、白金によって構成した。また、金属管2は、インコネル(登録商標)によって構成し、絶縁支持材4は、酸化マグネシウム(MgO)によって構成した。また、試験品1~30において、コート材5中の白金の含有量は0.05質量%とし、コート材5中の白金含有酸化物の含有量は0.05質量%とした。
また、本確認試験においては、水素を4体積%含有するとともに残部が窒素からなる試験ガスを用いた。また、試験ガスの温度は、1050℃とした。また、試験品1~30及び比較品1,2の温度センサの検知先端部は、試験ガスが0.1L/min流れる環境下に配置した。
耐還元性の評価は、試験品1~30及び比較品1,2の温度センサについて抵抗値を測定して求めた抵抗変化率に基づいて行った。本確認試験においては、試験品1~30及び比較品1,2の温度センサの検知先端部を試験ガス中に100時間放置する前後において、試験品1~30及び比較品1,2の温度センサにおける一対のリード線31間の抵抗値を測定した。抵抗変化率は、各温度センサの検知先端部が試験ガス中に晒された後に、各温度センサについての抵抗値がどれだけ大きくなったかを示す。抵抗変化率ΔRは、初期の抵抗値をR0、100時間放置後の抵抗値をR1としたとき、ΔR=(R1-R0)/R0×100[%]として求めた。
感温素子3が還元性ガスによって劣化した場合には、感温素子3を構成する酸化物半導体における酸素が奪われ、一対のリード線31を介して測定される感温素子3の抵抗値が高くなる。そのため、抵抗変化率を評価することにより、試験品1~30及び比較品1,2の温度センサの耐還元性を評価することができる。
確認試験を行った結果を表1に示す。同表において、コート材5が、酸化物及び白金成分を含有する試験品1~30については、耐還元性としての抵抗変化率がほとんど変化しないことが確認された。一方、コート材が白金成分を含有しない比較品1,2については、抵抗変化率が大きく変化することが確認された。
Figure 0007002397000001
同表において、Al23-ZrO2等の「-」は、Al23とZrO2とが複合粒子を形成していることを意味する。また、Al23+YCrMnO3+Y23等の「+」は、Al23の粒子とYCrMnO3の粒子とY23の粒子とが混合されていることを意味する。
試験品1~30については、コート材5を構成する酸化物の中に白金成分が分散されていることにより、還元性ガスを含む試験ガスが、感温素子3にほとんど接触しなかったために、抵抗変化率がほとんど変化しなかったものと考えられる。なお、試験品1~30に含まれない、白金合金又は白金含有酸化物を含有する場合についても、同様の結果が得られることが推測される。一方、比較品1,2については、コート材を構成する酸化物の中に白金成分が分散されていないことにより、還元性ガスを含む試験ガスが感温素子3に接触したために、抵抗変化率が大きく変化したものと考えられる。
以上の確認試験により、酸化物中に白金成分が分散されたコート材によれば、耐還元性が改善され、温度センサ1の測定対象ガスGに対する耐久性が高く維持されることが分かった。
本発明は、実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさらに異なる実施形態を構成することが可能である。また、本発明は、様々な変形例、均等範囲内の変形例等を含む。
1 温度センサ
2 金属管
20 開口先端部
3 感温素子
31 リード線
4 絶縁支持材
5 コート材

Claims (9)

  1. 先端が開口先端部(20)として開口された金属管(2)と、
    前記開口先端部に配置され、測定環境下の測定対象ガス(G)の温度を測定するための感温素子(3)と、
    白金及び白金合金の少なくとも一方を含有して前記感温素子の表面に接触するリード先端部(310)を有するとともに、前記金属管内に配置された一対のリード線(31)と、
    前記金属管内に配置され、前記金属管と一対の前記リード線とを絶縁するとともに、一対の前記リード線を前記金属管に支持するためのセラミック材料からなる絶縁支持材(4)と、
    前記開口先端部に、前記感温素子、前記リード先端部、及び前記絶縁支持材の先端面(401)を覆う状態で配置され、前記測定対象ガスを透過させない性質を有するコート材(5)と、を備え
    前記コート材は、酸化物と、前記酸化物中に分散された、白金、白金合金及び白金含有酸化物のうちの少なくとも1種とを含有する、温度センサ(1)。
  2. 前記コート材は、前記測定対象ガスが接触する、前記温度センサの検知先端部(101)における最外周部に配置されている、請求項1に記載の温度センサ。
  3. 前記リード先端部に含まれる白金及び白金合金の少なくとも一方と、前記コート材に含まれる白金、白金合金及び白金含有酸化物のうちの少なくとも1種とは、前記コート材に含まれる酸化物中の酸素を介して結合されている、請求項1又は2に記載の温度センサ。
  4. 前記コート材における、白金、白金合金及び白金含有酸化物のうちの少なくとも1種に含まれる白金の含有量は、0.001~30質量%の範囲内にある、請求項1~3のいずれか1項に記載の温度センサ。
  5. 前記酸化物は、Al23を含有するとともに、任意の成分として、ZrO2、SiO2、Y23、Al23-SiO2、及びZrSiO4のうちの少なくとも1種を含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の温度センサ。
  6. 前記酸化物は、前記感温素子を構成する組成物を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の温度センサ。
  7. 前記組成物は、YCrMnO3とY23とを含む複合酸化物である、請求項6に記載の温度センサ。
  8. 前記コート材を構成する白金合金は、Pt-Rh、Pt-Pd、Pt-Ir、Pt-Ru、Pt-Os、Pt-Ni、Pt-W、Pt-Nb、Pt-Ta、Pt-Hf、Pt-Ti、Pt-Au、Pt-Mo、Pt-Co及びPt-Ir-Tiのうちの少なくとも1種であり、
    前記コート材を構成する白金含有酸化物は、Pt-ZrO2、及びPt-Rh-ZrO2の少なくとも一方である、請求項1~7のいずれか1項に記載の温度センサ。
  9. 前記リード先端部を構成する白金合金は、白金と、Ru、Rh、Pd、Os及びIrのうちの少なくとも1種との合金である、請求項1~8のいずれか1項に記載の温度センサ。
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