JP7002093B2 - パラジウムの回収方法及びパラジウム回収設備 - Google Patents
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Description
パラジウムは高価であるため、触媒金属コロイドの廃液や水洗水からパラジウムを回収することが行われる。廃液や水洗水からパラジウムを回収する方法の一つに、捕集剤を用いる方法がある。捕集剤としてはイオン交換樹脂や活性炭が使用される。イオン交換樹脂や活性炭は、廃液や水洗水に分散しているパラジウムコロイド粒子を吸着して捕集する。
しかし、イオン交換樹脂や活性炭は、パラジウムコロイド粒子の吸着量が少ない、吸着速度が遅い等の問題があり、パラジウムの回収効率が悪い。たとえば、イオン交換樹脂の場合、捕集されるパラジウムは、イオン交換樹脂の質量の2割程度である。また、一般的に使用されている活性炭の場合、捕集されるパラジウムは、活性炭の質量の1割以下である。
上記特許文献1では、前記活性炭によって低濃度のメッキ洗浄液中に含まれるパラジウムを効率良く吸着できるとされ、Pd-SN触媒模擬廃液についての吸着量が測定されている。しかし、その吸着量は、前記活性炭の質量の3割未満であり、充分とはいえない。
[1]パラジウムコロイド粒子が分散した水性媒体と、N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体及び(メタ)アクリルアミド(共)重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の捕集剤とを接触させ、前記水性媒体と前記捕集剤とを分離する、パラジウムの回収方法。
[2]前記N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体及び(メタ)アクリルアミド(共)重合体がそれぞれ架橋構造を有する、[1]に記載のパラジウムの回収方法。
[3]前記水性媒体が水溶性のパラジウム化合物を含み、
前記N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体及び(メタ)アクリルアミド(共)重合体がそれぞれアミノ基を有する、[1]又は[2]に記載のパラジウムの回収方法。
[4]N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体及び(メタ)アクリルアミド(共)重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種であって水性媒体に溶解しない捕集剤が内部で流動可能に収容された容器と、パラジウムコロイド粒子が分散した水性媒体を前記容器に送液する装置とを備えるパラジウム回収設備。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
重合体における「単位」とは、重合や架橋に使用された単量体や架橋剤に由来する構造である。この構造は、重合後の反応によって変化していてもよい。
「(共)重合体」は、単独重合体又は共重合体を示す。
捕集剤としては、N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体のみを用いてもよく、(メタ)アクリルアミド(共)重合体のみを用いてもよく、N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体及び(メタ)アクリルアミド(共)重合体の両方を用いてもよい。
捕集剤の使用形態は、特に限定されず、たとえば粒状、繊維状、微粉状、含水ゲル、膜状等が挙げられる。
N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体は、N-ビニルカルボン酸アミド単位を含む。N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体は、必要に応じて、多官能単量体単位をさらに含んでいてもよい。N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体は、必要に応じて、N-ビニルカルボン酸アミド及び多官能単量体以外の他の単量体単位をさらに含んでいてもよい。
N-ビニルカルボン酸アミドとして具体的には、N-ビニルホルムアミド(R=水素原子)、N-ビニルアセトアミド(R=CH3)、N-ビニルプロピオン酸アミド(R=C2H5)、N-ビニル酪酸アミド(R=C3H7)等が例示される。これらの中では、重合体の分子量を自由に調整できる点から、N-ビニルホルムアミドが好ましい。
多官能単量体は、架橋反応し得る官能基を2以上有する。前記官能基としてば、ラジカル重合性基((メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等)、エポキシ基、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子等)、ハロホルミル基、酸無水物基等が挙げられる。
多官能単量体としては、メチレンビスアクリルアミド等のアルキレンビスアクリルアミド、N,N’-アクリロイルエチレンジアミン、N,N’-ジビニルエチレン尿素、N,N’-ジビニルプロピレン尿素、エチリデン-ビス-3-(N-ビニルピロリドン)、N,N’-ジビニル-2,2’-ジイミダゾリルブタン、1,1’-ビス(3,3’-ビニルベンズイミダゾリン-2-オン)-1,4-ブタン、ジアクリル酸エチレングリコ-ル、ジメタクリル酸エチレングリコ-ル、ジアクリル酸ポリエチレングリコ-ル(ジアクリル酸ジエチレングリコ-ル、ジアクリル酸テトラエチレングリコ-ル等)、ジメタクリル酸ポリエチレングリコ-ル(ジメタクリル酸ジエチレングリコ-ル、ジメタクリル酸テトラエチレングリコ-ル等)、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、アクリル酸ビニル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ジビニルジオキサン及びペンタエリトリチルトリアリルエーテル、エピクロロヒドリン、ジブロモエタン、ジクロロエタン、シュウ酸ジクロリド、マロン酸ジクロリド、コハク酸ジクロリド、アジピン酸ジクロリド、1,5-ヘキサジエン-3,4-ジオール、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ピロメリット酸無水物等が挙げられる。
多官能単量体としては、架橋部分の安定性の点で、エピクロロヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、メチレンビスアクリルアミド及びジブロモエタンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
「(メタ)アクリルアミド」はアクリルアミド又はメタクリルアミドを示す。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリル酸エステル」、「(メタ)アクリロニトリル」も同様である。
架橋構造を有さないN-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体は、水性媒体に溶解しても、Pdコロイド粒子を高濃度に捕集すると沈殿し、水性媒体から分離できる。しかし、Pdコロイド粒子を捕集していない、又は捕集していても1分子あたりの捕集量が低いと、沈殿しないため、水性媒体から分離しにくい。重合体が水性媒体中に残存することは、Pdの回収の観点では問題にならないが、COD(化学的酸素要求量)が高くなるため、Pd回収後の水性媒体の処理の観点からは好ましくない。
以上のような問題が生じない状況であれば、水溶性のN-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体が捕集剤に含まれていてもよい。また、以上のような問題が生じない量の水溶性のN-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体が捕集剤に含まれていてもよい。
N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体は、25℃において水100gに対する溶解量が0.005g未満であることが好ましい。
Pdコロイド粒子は、酸素と接触すると溶解し、クロリド錯体、シアノ錯体、亜硫酸錯体等の水溶性のPd化合物を形成する。捕集剤がアミノ基を有すると、Pdコロイド粒子だけでなく、水溶性のPd化合物も捕集できる。
アミノ基を有する単量体としては、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリルアミドの塩又は4級化物、ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの塩又は4級化物、アリルアミン等が挙げられる。
N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体を加水分解すると、N-ビニルカルボン酸アミド単位等に含まれるアミド基がアミノ基に変換され、アミノ基を有する単位となる。例えばN-ビニルカルボン酸アミド単位の加水分解によりビニルアミン単位が生成する。加水分解は、加水分解後の重合体中にN-ビニルカルボン酸アミド単位が残存するように行う。
N-ビニルカルボン酸アミド単位の含有量は100モル%であってもよい。N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体が他の単量体単位を含む場合には、他の単量体単位とのバランスを考慮して適宜設定できる。
多官能単量体単位の含有量は、N-ビニルカルボン酸アミド単位の合計質量に対し、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。多官能単量体単位の含有量が前記上限値以下であると、架橋N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体を水性媒体中で十分に膨潤させることができ、Pdの捕集効率を上げることができる。
アミノ基を有する単位の含有量は、N-ビニルカルボン酸アミド単位とのバランスを考慮すると、全単位の合計モル量に対し、80モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましい。
重量平均分子量は、ゲルパーミッションクロマトグラフィ(GPC)により測定される標準プルラン(多糖類)換算の値である。
N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体は、例えば、N-ビニルカルボン酸アミド、及び必要に応じて多官能単量体及び他の単量体のいずれか一方又は両方を重合し、必要に応じて、得られた重合体に対し、多官能単量体による架橋処理、及び加水分解処理のいずれか一方又は両方の処理を行うことにより製造できる。
N-ビニルカルボン酸アミドの割合は、全単量体の合計モル量に対し、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、50モル%以上がさらに好ましく、60モル%以上が特に好ましく、70モル%以上が最も好ましく、100モル%であってもよい。
多官能単量体を用いる場合、多官能単量体の割合は、N-ビニルカルボン酸アミドの合計質量に対し、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましい。また、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
たとえば重合方法としては、通常のラジカル重合法を用いることができ、塊状重合、水溶液重合、逆相懸濁重合、逆相乳化重合等のいずれも選択できる。
重合体の加水分解は通常、酸又は塩基の存在下で行う。酸としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸等が挙げられる。塩基としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
重合体の加水分解は、加水分解後の重合体中に、N-ビニルカルボン酸アミド単位が残存するように行う。重合体中、加水分解されずに残存するN-ビニルカルボン酸アミド単位の含有量は、全単位の合計モル量に対し、99.9~10モル%が好ましく、99.9~60モル%がより好ましい。
残存するN-ビニルカルボン酸アミド単位の含有量は、加水分解前の重合体中のN-ビニルカルボン酸アミド単位に対する酸又は塩基の量、加水分解の温度及び時間等により調整できる。
(メタ)アクリルアミド(共)重合体は、(メタ)アクリルアミドの単独重合体又は共重合体である。したがって、(メタ)アクリルアミド(共)重合体は、(メタ)アクリルアミド単位を含み、必要に応じて、(メタ)アクリルアミド以外の他の単量体単位をさらに含んでいてもよい。
他の単量体としては、前記N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体における他の単量体と同様のものが挙げられる(ただし(メタ)アクリルアミドを除く。)。
(メタ)アクリルアミド(共)重合体は、N-ビニルカルボン酸アミドの代わりに(メタ)アクリルアミドを用いている以外は、N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体と同様であり、好ましい態様も同様である。
工程iでは、Pdコロイド粒子が分散した水性媒体と、捕集剤とを接触させる。これにより、水性媒体中のPdコロイド粒子が捕集剤に捕集される。
有機溶剤としては、メタノ-ル、エタノ-ル、イソプロパノ-ル、エチレングリコ-ル、ジエチレングリコ-ル、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N-メチルピロリドン、ジエチルエ-テル、シクロヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
たとえば前記水性媒体は、水溶性のPd化合物をさらに含んでもよい。捕集剤が、アミノ基を有する場合、Pdコロイド粒子だけでなく、水溶性のPd化合物も捕集できる。
前記水性媒体は、Pd以外の金属(スズ、コバルト、ニッケル、亜鉛等)のイオンや化合物等をさらに含んでもよい。
Pdコロイド粒子の粒子径は、通常、1~250nm程度である。該粒子径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置により測定される体積基準の平均粒子径である。
従来、Pdコロイド粒子が分散した水性媒体からのPd回収に使用されている活性炭や陰イオン交換樹脂の場合、Pdコロイド粒子の濃度が低いと(たとえば10質量ppm以下であると)、回収効率がさらに悪くなる。これに対し、本発明では、Pdコロイド粒子の濃度が低い場合でも、優れた回収効率でPdを回収できる。そのため、捕集剤と接触させる水性媒体としては、触媒付与工程と触媒活性化工程との間で使用された水洗水のような、Pdコロイド粒子の濃度が低いものが好適である。
(a)水性媒体に捕集剤を投入する方法、
(b)捕集剤として水性媒体に溶解しないもの(以下、「水不溶性捕集剤」ともいう。)を用い、流動床、膜分離活性汚泥法(MBR法)に近い形態で捕集剤を懸濁させた領域に水性媒体を通液する方法、
(c)捕集剤として水不溶性捕集剤を用い、捕集剤を充填した容器(カラム、充填塔等)に水性媒体を通液する方法、
等が挙げられる。
水不溶性捕集剤は、典型的には、25℃において水100gに対する溶解量が0.005g未満である。
水性媒体に水不溶性捕集剤を投入する場合、上記の量より過剰量の水不溶性捕集剤を投入し、水不溶性捕集剤を回収する際に上記量の範囲内に入るようにしてもよい。
(b)又は(c)の方法の場合、水性媒体の通液条件は、当該領域又は容器と同じ容量の水溶液を通液するのに要する時間を1分以上とすることが好ましく、10分以上とすることがより好ましい。
水性媒体と捕集剤とを接触させる時間(水性媒体と捕集剤とが接触した時点から次の工程iiで水性媒体と捕集剤とを分離するまでの時間)は、1分以上が好ましく、10分以上がより好ましい。
工程iiでは、工程iで接触させた水性媒体と捕集剤とを分離する。これにより、捕集剤に捕集されたPdコロイド粒子が、捕集剤とともに水性媒体から回収される。
水性媒体と捕集剤との分離は、公知の方法を利用して実施できる。
たとえば、工程iで水性媒体中に捕集剤を投入した場合であって、Pdコロイド粒子を捕集していない状態の捕集剤が水性媒体に溶解するものである場合は、捕集剤がPdコロイド粒子を捕集することで水性媒体中に析出する。そのため、ろ過(減圧ろ過、加圧ろ過)、遠心分離、遠心沈殿等の固液分離操作により、Pdコロイド粒子を捕集した捕集剤を分離できる。
捕集剤が水不溶性捕集剤である場合は、Pdコロイド粒子を捕集しているか否かにかかわらず、前記のような固液分離操作により捕集剤を分離できる。
工程iで、捕集剤として水不溶性捕集剤を懸濁させた部分に前記水性媒体を通液する方法(流動床法、MBR法と同様の技術)では膜分離法が使用できる。
工程iで、捕集剤を充填した容器に前記水性媒体を通液した場合は、通液を停止し、容器内の水性媒体を排液した後、容器から捕集剤を回収すればよい。
第一の態様のPd回収設備において、前記水不溶性捕集剤は、容器に固定されておらず、前記容器に前記溶液を送液し、前記容器内を流通させた際に流動する。
容器としては、例えば流動槽、多段流動槽等が挙げられる。
前記溶液を容器に送液する装置としては、例えば前記容器に接続された配管と、前記配管に取り付けられた送液ポンプとを備える装置が挙げられる。
本例のPd回収設備20は、Pdコロイド粒子を含む溶液の貯槽21と、流動槽23(容器)と、第一の流路25と、第一の流路25に設けられた送液ポンプ27と、第二の流路29と、を備える。
流動槽23は、円筒状の胴部と、胴部の上方に配置された上部と、胴部の下方に配置された下部とを備え、胴部には前記水不溶性捕集剤が流動可能に収容されている。胴部と上部との境界部分、及び胴部と下部との境界部分にはそれぞれ、網23a、23bが設けられている。この網23a、23bによって、胴部内の前記水不溶性捕集剤が流出しないようになっている。
第一の流路25の上流端は貯槽21に接続され、下流端は流動槽23の下部に接続されている。送液ポンプ27を動作させることにより、貯槽21内の前記溶液を、第一の流路25を介して流動槽23に送液できるようになっている。つまりこの例では、第一の流路25及び送液ポンプ27が、前記溶液を容器に送液する装置として機能する。
第二の流路29の上流端は流動槽23の上部に接続されており、流動槽23を通過した溶液が流動槽23から流出するようになっている。
貯槽21に前記溶液が収容された状態で送液ポンプ27を動作させ、前記溶液を流動槽23に送液すると、流動槽23内で前記水不溶性捕集剤が流動するとともに、前記溶液と前記水不溶性捕集剤とが接触し、前記溶液中のPdコロイド粒子が前記水不溶性捕集剤に捕集される。前記溶液は、Pdコロイド粒子の濃度が低減されて流動槽23から排出される。前記水不溶性捕集剤はそのまま流動槽23内に残留する。結果、前記溶液と前記水不溶性捕集剤とが分離される。
工程iiの後、回収された捕集剤からPdを回収する工程を行ってもよい。捕集剤からのPdの回収は、たとえば、捕集剤を焼却することにより実施できる。
本発明のPdの回収方法及びPd回収設備にあっては、捕集剤としてPdコロイド粒子が分散した水性媒体と、N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体及び(メタ)アクリルアミド(共)重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることで、Pdコロイド粒子が分散した水性媒体からPdを効率良く回収できる。たとえば、捕集剤の質量の1倍以上のPdを捕集できる。
ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)樹脂へ、(1)脱脂(洗浄)工程、(2)エッチング(表面粗化)工程、(3)中和工程、(4)Pd触媒付与工程、(5)Pd触媒活性化工程を行った後のキャタリスト廃液(水性媒体:水、Pdコロイド粒子濃度90ppm、スズ濃度8000ppm、塩酸濃度8質量%のPd/スズコロイド)を用意した。
室温下、前記キャタリスト廃液100mLに、撹拌しながら重量平均分子量約50万の粉末状のポリN-ビニルホルムアミド(PNVF)を3mg添加した。
添加した時点で、黒色の析出物が生成した。
添加後、1時間撹拌し、その後、キャタリスト廃液を孔径0.2μmのフィルターでろ過し、ろ液中のPd濃度を測定した所、0.1ppm未満であった。
前記PNVFに代えて、前記PNVF中のN-ビニルホルムアミド単位100モル%に対して3モル%のジメタクリル酸ポリエチレングリコールを使用して架橋したPNVF(架橋PNVF)を5mg使用した以外は実施例1と同様の操作を行った。
ろ液中のPd濃度は0.1ppm未満であった。
なお、架橋PNVFは、25℃において水100gに対する溶解量が0gであった。
前記PNVFに代えて、重量平均分子量約200万のポリアクリルアミドを7mg使用した以外は実施例1と同様の操作を行った。
ろ液中のPd濃度を測定した所、0.1ppm未満であった。
実施例1のキャタリスト廃液に、空気を流速100mL/min、60分間吹き込み、Pdコロイド粒子の一部を、水性媒体に可溶なPd化合物(Pdクロリド錯体)に変換した。変換後のキャタリスト廃液中のPdコロイド粒子濃度は70ppm、Pdクロリド錯体濃度は33ppmであった。実施例1で使用したキャタリスト廃液に代えて、変換後のキャタリスト廃液を用い、実施例1で使用したPNVFに代えて、重量平均分子量約200万のビニルアミン/N-ビニルホルムアミド共重合体(ビニルアミン単位/N-ビニルホルムアミド=0.4/0.6(モル比);三菱ケミカル社製「KP8040」)を4mg用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。
ろ液中のPd濃度を測定した所、0.1ppm未満であった。
実施例1~4それぞれで使用したキャタリスト廃液に代えて、各キャタリスト廃液100mLに水を加えて250mLとした希釈液を用いた以外は実施例1~4と同様の操作を行った。
ろ液中のPd濃度を測定した所、すべての例で、0.1ppm未満であった。
実施例1で使用したキャタリスト廃液に代えて、前記キャタリスト廃液100mLに水を加えて1000mLとした希釈液を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。
ろ液中のPd濃度を測定した所、0.1ppm未満であった。
前記PNVFに代えて、活性炭(日本エンバイロケミカルズ社製「粒状白鷺KL」)50mgを使用した以外は実施例1と同様の操作を行った。
ろ液中のPd濃度を測定した所、12ppmであった。
前記PNVFに代えて、陰イオン交換樹脂(オルガノ社製「IRA98」;スチレン系、弱塩基性・MR形、官能基:-N(CH3)2)50mgを使用した以外は実施例1と同様の操作を行った。
ろ液中のPd濃度を測定した所、10ppmであった。
キャタリスト廃液を2.5倍、あるいは10倍希釈してPdコロイド粒子の濃度を低くした実施例5~9においても、実施例1~4と同様に、ろ液中のPd濃度が0.1ppm未満となっていた。
一方、捕集剤として活性炭を用いた比較例1や陰イオン交換樹脂を用いた比較例2では、実施例1~9に比べて多量の捕集剤を使用したにもかかわらず、ろ液中のPd濃度が10ppm以上であり、Pdコロイド粒子が捕集されずに残っていた。
21 貯槽
23 流動槽
25 第一の流路
27 送液ポンプ
29 第二の流路
Claims (4)
- パラジウムコロイド粒子が分散した水性媒体と、N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体及び(メタ)アクリルアミド重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の捕集剤(単量体成分を含有する塩水中で分散剤存在下、懸濁重合して得た重合体を除く)とを接触させ、前記水性媒体と前記捕集剤とを分離する、パラジウムの回収方法。
- 前記N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体及び(メタ)アクリルアミド重合体がそれぞれ架橋構造を有する、請求項1に記載のパラジウムの回収方法。
- 前記水性媒体が水溶性のパラジウム化合物を含み、
前記N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体及び(メタ)アクリルアミド重合体がそれぞれアミノ基を有する、請求項1又は2に記載のパラジウムの回収方法。 - N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体及び(メタ)アクリルアミド重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種であって水性媒体に溶解しない捕集剤(単量体成分を含有する塩水中で分散剤存在下、懸濁重合して得た重合体を除く)が内部で流動可能に収容された容器と、パラジウムコロイド粒子が分散した水性媒体を前記容器に送液する装置とを備えるパラジウム回収設備。
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