JP2004292479A - ホウ素吸着ゲルおよびホウ素含有排水の処理方法 - Google Patents

ホウ素吸着ゲルおよびホウ素含有排水の処理方法 Download PDF

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啓司 山下
Sachiko Ochi
佐智子 大地
Kazunobu Yamada
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Abstract

【課題】ホウ素含有排水からホウ素を効率よく除去することが可能で、さらに、スラッジの発生量を抑制することのできる安価なホウ素吸着ゲルおよびこれを用いたホウ素含有排水の処理方法を提供する。
【解決手段】熱応答性またはpH応答性などの刺激応答性を有する高分子とホウ素吸着能を有する高分子とが架橋体または相互に侵入した網状体の三次元構造をなしていることを特徴とするホウ素吸着ゲルと、膨潤状態のホウ素吸着ゲルをホウ素含有排水と接触させて該ゲルにホウ素を吸着させた後、該ゲルが応答する刺激を与えて該ゲルを収縮させ、収縮したゲルを取除くことからなるホウ素含有排水の処理方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、刺激応答性を有するホウ素吸着ゲルおよびこれを用いたホウ素含有排水の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ホウ素化合物は、染料、顔料、医薬、化粧品原料、防腐剤、写真、石鹸、ガラス、メッキ等の分野で幅広く用いられており、これらの製造工程から排出される排水中にはホウ素化合物が含まれている。また、原子力発電所から発生する放射性廃液や地熱発電水、あるいは石炭火力発電所の排煙脱硫排水、ごみ焼却洗煙排水等にもホウ素化合物が含まれている。
【0003】
ホウ素は、植物にとって必須の元素とされながらも、過剰の付与は、その生長を阻害することが知られており、国内でも1〜2mg/L以下という極めて厳しい排水基準を条例により制定しているところもある。
【0004】
このようなホウ素含有排水を処理する方法としては、従来より硫酸アルミニウムや消石灰等により不溶性沈殿物として除去する方法(第1の方法)、アニオン交換樹脂やホウ素選択イオン交換樹脂により吸着する方法(第2の方法)、溶剤により抽出する方法(第3の方法)、逆浸透膜により処理する方法(第4の方法)が知られている。
このうち第2、第3の方法は、ホウ素が糖類やアルコール類等の水酸基含有化合物と錯体を形成する性質を利用したものであり、第2の方法においては、水酸基を含む官能基を不溶性の高分子に導入した樹脂として、例えばメチルグルカミン基を導入したホウ素選択イオン交換樹脂、セルロースやキトサン誘導体を用いたホウ素吸着材などが提案されている。また第3の方法においては抽出剤としての水酸基を有する溶剤として、例えば2−エチルヘキサノール、脂肪族1,3−ジオール、脂肪族1,2−ジオールなどのアルコール類が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
また、凝集沈殿法と陰イオン交換樹脂またはホウ素選択性イオン交換樹脂によるホウ素除去を組み合わせた方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
さらに、低濃度のホウ素排水を希土類元素の含水酸化物を用いることによって処理する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【非特許文献1】
「用水と廃水」(株)産業用水調査会 発行、1999、VOL.41、No.10、pp53−58
【特許文献1】
特開昭58−193786号公報
【特許文献2】
特公平3−22238号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の技術においてはそれぞれ以下のような問題点があった。第1の方法においては、ホウ素の除去効率が低いため、処理液中のホウ素濃度を低く抑えるためには、硫酸アルミニウム等の凝集剤の添加量を増加させる必要があり、大量のスラッジが発生するという問題があった。
【0009】
第2の方法においては、ホウ素選択イオン交換樹脂は高価で、一般に再生して繰り返し利用されるが、樹脂を再生して使用する場合、その再生廃液の処理は第1の方法で行われるため、第1の方法と同様の問題が発生していた。
【0010】
第3の溶剤による抽出方法では、排水処理に適用する場合には、抽出溶剤の水中への溶解による有機汚染の問題があるため、ホウ素を抽出した廃水の後処理として溶剤処理を行う必要があった。
【0011】
さらに、第4の方法においては、一般に使用されている逆浸透膜では、ホウ素化合物に対する除去率が50〜60%と低く、排水規制値以下に処理するには多段の装置を必要とし、イニシャルコストが過大になる等の問題点があった。
【0012】
凝集沈殿法と樹脂を組み合わせる方法においても初段の凝集沈殿法での除去効率が低いため、後段の吸着樹脂への負荷が高くなり、廃液の処理量が十分ではないという問題点があった。また、樹脂の再生廃液処理に凝集沈殿法を用いた場合にも、再生廃液処理水は高濃度のホウ素を含んでいるため、この処理水を再度樹脂塔へ戻して処理する必要があった。このため、この方法においても、設備が大きくなる等の問題が残っており、何れの方法においても凝集沈殿法でのホウ素の除去効率を高める必要があった。
【0013】
希土類元素の含水酸化物を用いる方法では、含水酸化物という水不溶性の固体を用いているため、処理効率が悪く、ホウ素を低濃度まで処理するには大量添加または長時間の反応(攪拌)が必要であり、発生スラッジの沈降性が悪いという問題点があった。
【0014】
一方、上記したようにホウ素には糖類やアルコール類等の水酸基含有化合物と錯体を形成する性質があるものの、水酸基含有化合物をそのままで利用しても、そのような水酸基含有化合物は一般に水溶性であるため水溶液からのホウ素の分離が困難であった。逆に、難溶性の多糖類やアルコール類を使用した場合においては、水溶性のものに比較して水酸基の数が少なくなるため、ホウ素の除去効率が低下するという問題点があった。
【0015】
本発明は、上記問題点に鑑み、ホウ素含有排水からホウ素を効率よく除去することが可能で、さらに、スラッジの発生量を抑制することのできる安価なホウ素吸着ゲルおよびこれを用いたホウ素含有排水の処理方法を目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討した結果、ホウ素吸着性高分子を刺激応答性高分子で架橋ないし相互侵入高分子網目(IPN)化することで、通常の使用状態では膨潤させて短時間で効率よくホウ素を吸着除去することが可能で、しかも、熱やpH等の刺激による収縮を利用して得られるスラッジ量の低減を図ることができるなど取り扱いが容易になることを見いだし本発明に到達した。
【0017】
すなわち、本発明の第一は、刺激応答性を有する高分子とホウ素吸着能を有する高分子とが三次元構造をなしていることを特徴とするホウ素吸着ゲルを要旨とするものであり、好ましくは三次元構造が、架橋体または相互に侵入した網状体であるものであり、また好ましくは刺激応答性が、温度応答性またはpH応答性であるものである。
【0018】
また、本発明の第二は、ホウ素含有排水と本発明の第一のホウ素吸着ゲルとを接触させ、該ゲルにホウ素を吸着させることによりホウ素含有排水からホウ素を除去することを特徴とするホウ素含有排水の処理方法を要旨とするものであり、好ましくは膨潤状態のホウ素吸着ゲルをホウ素含有排水と接触させて該ゲルにホウ素を吸着させた後、該ゲルが応答する刺激を与えて該ゲルを収縮させ、収縮したゲルを取除くことからなるホウ素含有排水の処理方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で対象とするホウ素含有排水としては、前述の種々の工程から排出される排水、ホウ素を吸着した樹脂からの再生廃液、その他のホウ素化合物を含有する排水があげられる。本発明で処理することのできる排水中のホウ素濃度としては、特に限定されるものではないが、2〜100mg/L程度で最も本発明の効果が得られる。
【0020】
本発明のホウ素吸着ゲルに用いられるホウ素吸着能を有する高分子としては、構成単量体単位中に水酸基を含有する高分子が好適に用いられる。さらには、構成単量体単位中の主鎖または側鎖に1,2−ジオールまたは1.3−ジオール単位を含有する天然または合成高分子がより好ましく用いられる。このような水酸基含有高分子としては、例えば、澱粉、ヒドロキシエチル澱粉等の澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、アルギン酸、カラギーナン等の海草由来多糖類、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、グルコマンナン等の植物由来多糖類、プルラン、ジェランガム、キサンタンガム、カードラン等の微生物産生多糖類、ポリ(2−グルコシルオキシエチルメタクリレート)等の糖含有合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルビニルエーテル)、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)等の水酸基含有合成高分子が挙げられる。これらの中でもアルギン酸、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン等の多糖類やポリビニルアルコール等の、1,2−ジオールまたは1.3−ジオール単位を含有する高分子が好適に用いられる。
【0021】
本発明のホウ素吸着ゲルに用いられる刺激応答性を有する高分子とは、熱、pH、電場、磁場、光等の刺激により相転移して膨潤・収縮を起こす高分子である。このうち熱応答性ゲルを与える高分子としては、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)に代表されるポリ(2−N−アルキルアクリルアミド)、ポリメチルビニルエーテルに代表されるポリアルキルビニルエーテル、ポリエチレングリコール等が挙げられる。またpH応答性ゲルを与える高分子としてはポリアクリル酸等が挙げられる。電場応答性ゲルを与える高分子としては、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる(Kimら、Nature、354巻、291頁、1991年)。熱応答性高分子と光感受性分子色素を組み合わせることで光応答性を発現することもできる(Suzukiら、Nature、346巻、345頁、1990年)。
【0022】
排水中のホウ素吸着除去は既存の排水処理設備で行われる場合が多いため、上記の刺激応答性のうち、熱応答性およびpH応答性ゲルが、より少ない設備投資でホウ素吸着除去を実施できるため好ましく用いることができる。さらには熱応答性ゲルが、排水処理後のpH再調整が不要で簡便であるため、最も好ましく用いることができる。
【0023】
熱応答性を有する高分子のうち、ポリ(N−アルキルアクリルアミド)は、N−アルキルアクリルアミドを水中または有機溶媒中でラジカル開始剤によりラジカル重合することにより製造できる。ポリ(N−アルキルアクリルアミド)の具体例としては、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N−n−プロピルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−イソブチルアクリルアミド)、ポリ(N−シクロヘキシルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)、ポリ(N−アクリロイルピペリジン)、およびこれらの共重合体等が挙げられる。このうち、膨潤・収縮の相転移が制御容易な30℃付近で起こる点および入手容易な点から、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)が最も好適に用いられる。
【0024】
ポリ(アルキルビニルエーテル)は有機溶媒中で酸触媒によりアルキルビニルエーテルをカチオン重合することにより製造できる。ポリ(アルキルビニルエーテル)の具体例としては、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリ(2−メトキシエチルビニルエーテル)、ポリ(2−エトキシエチルビニルエーテル)、およびこれらの共重合体等が挙げられる。また、ポリエチレングリコールはアルカリ触媒によりエチレンオキシドをアニオン重合することにより製造できる。
上記の刺激応答性を有する高分子のうち、重合系中の不純物の影響を受けにくく工業的に容易に重合可能であることから、ポリ(N−アルキルアクリルアミド)が好適に用いることができる。
【0025】
本発明のホウ素吸着ゲルにおけるホウ素吸着能を有する高分子と刺激応答性を有する高分子との配合比率は、前者/後者が10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がさらに好ましく、30/70〜70/30が最も好ましい。ホウ素吸着能を有する高分子の配合比率が10%未満では絶対的なホウ素吸着量が少ないために好ましくない。また刺激応答性を有する高分子の配合比率が10%未満の場合は、膨潤・収縮の相転移における体積変化が少なすぎるために好ましくない。
【0026】
本発明のホウ素吸着ゲルは、上記したホウ素吸着能を有する高分子と、刺激応答性を有する高分子とが三次元構造をしているものである。そのような三次元構造としては、ホウ素吸着能を有する高分子が刺激応答性を有する高分子により架橋ないし相互侵入網目化されていることが好ましい。
本発明のホウ素吸着ゲルの架橋状態としては、均一架橋が好ましい。中心部または外側部に架橋構造が偏っている場合は全体としての体積変化が小さくなる。またゲルの架橋密度としては、その指標とされる刺激による膨潤・収縮における体積比が1/100〜1/2の範囲であることが好ましく、1/50〜1/4の範囲であることがさらに好ましい。体積比を1/100より顕著にさせることは事実上困難であり、体積比が1/2より小さいと本発明の目的とするスラッジの低減が図れないためこのましくない。
また、ゲルの架橋方法としては、共有結合、イオン結合、水素結合等を用いた架橋があげられる。
【0027】
本発明のホウ素吸着ゲル粒子の大きさとしては、収縮時の外径が0.01〜5mmであることが好ましく、0.1〜2mmがさらに好ましい。ゲル粒子が小さいほど膨潤・収縮の相転移における体積変化が速いことが知られており、外径5mmを超えると体積変化が遅すぎて実用的でなくなる。逆に外径が0.01mm未満のものは製造が困難であると共に、微粒子となるため取り扱いも困難になる。
【0028】
次に本発明のホウ素吸着ゲルの作製方法について説明する。
上記したホウ素吸着能を有する高分子が刺激応答性を有する高分子により架橋ないし相互侵入網目化されホウ素吸着ゲルが作製できればよく、特に限定されるものではない。好ましくは、架橋方法として、共有結合、イオン結合、水素結合等を用いた架橋があげられる。共有結合の例としては、重合時に架橋剤を添加する方法や、光あるいは放射線照射で生成するラジカルによる高分子間反応を利用する方法が挙げられる。イオン結合の例としては多価イオンによるポリカルボン酸、ポリオール、ポリアミン等の架橋が挙げられる。水素結合によるゲル形成の例としては寒天等の多糖類やゼラチン等のタンパク質が挙げられる。本発明においては熱やpH等の外部刺激によるホウ素イオンの吸脱着を対象としているため、より強固な共有結合による架橋が好ましい。
共有結合による架橋方法としては、上述のように架橋剤を用いた重合時架橋法や光あるいは放射線照射法等による後架橋法が挙げられるが、前者の場合、刺激応答性高分子を得ることができる重合方法であればいかなる重合方法も用いることができる。例えば、刺激応答性高分子がポリ(N−アクリルアミド)の場合はラジカル重合法が好適に用いられ、この場合の重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物や、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、等の通常のラジカル重合開始剤が用いられる。また刺激応答性高分子がポリアルキルビニルエーテル系の場合はカチオン重合が好適に用いられ、この場合の重合開始剤としては、無機酸やカルボン酸等のプロトン酸、ハロゲン化亜鉛、ハロゲン化錫、ハロゲン化アルミニウム等のルイス酸、等の通常のカチオン重合開始剤が用いられる他、プロトン酸+ルイス酸、ルイス塩基+ルイス酸といったリビングカチオン重合開始剤も好適に用いられる。
【0029】
上記重合時架橋法に用いることのできる架橋剤としては、メチレンビスアクリルアミド等のビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン等のジビニル化合物、ジメタクリロイルテトラエチレングリコール等のジメタクリレート類、ジビニルエーテル類、等の多官能化合物が例示されるが、刺激応答性高分子の原料単量体の重合反応性と架橋剤の重合反応性が近いものを選択することが好ましい。また架橋剤の添加量は原料単量体に対して0.1〜10モル%が好ましく、0.2〜5モル%がさらに好ましい。
【0030】
上記重合時架橋法における重合方法としては、水中または極性有機溶媒中に溶解または膨潤したホウ素吸着性高分子に、刺激応答性高分子の原料モノマーと上記架橋剤を少量の重合開始剤と共に均一に含浸した状態で重合し、IPN化する方法が均一架橋を与えやすいため、好ましく用いられる。
【0031】
次に本発明の第二のホウ素含有排水の処理方法について説明する。
本発明の処理方法においては、ホウ素含有排水と本発明の第一のホウ素吸着ゲルとを接触させる必要があるが、接触方式としては、反応槽での混合攪拌後に沈降分離を行う方法、反応塔方式などが考えられるが、該ゲルの長所を生かすためには反応槽形式が望ましい。ホウ素含有排水へのホウ素吸着ゲルの添加量は、大量に添加するほど処理精度は良くなるが、当然スラッジ量も多くなるので、通常は、ホウ素に対して0.05〜10当量添加するのが好ましく、0.1〜2当量の範囲で添加するのが適当である。
ホウ素含有排水とホウ素吸着ゲルとを接触させる際、ホウ素吸着ゲルは膨潤された状態であることが望ましい。
また、pHは、5〜11、好ましくは6〜9に調整することが望ましい。ただし、使用する高分子種類によっては、pHにより溶解するものもあるため、留意が必要である。pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、鉱酸などがあげられるが、取り扱いの容易さの観点から、水溶液が好ましい。これらの反応時間は、1〜120分、好ましくは5〜60分であるが、通常は30分程度で十分である。
【0032】
次に、本発明では熱やpH等の外部刺激によるホウ素吸着ゲルの収縮をさせることが望ましいが、与える刺激としては、熱応答の場合は相転移温度±5℃以上の差を利用することが好ましく、pH応答の場合は相転移pH±1以上の差を利用することが好ましい。与える刺激の差が上記未満であると膨潤・収縮の相転移における体積変化が不十分となり、吸脱着の効率が低下するため好ましくない。例えば、n−イソプロピルアクリルアミドを単量体とする高分子を原料として用いた場合には、水温を35℃以上とすることで、ホウ素除去用ゲルの含水率のみを減少させることができる。このことによって、ゲルの分離をより容易に行うことができ、しかも発生スラッジ量を低減することができる。
【0033】
その後、ホウ素を吸着し充分収縮したゲルを固液分離して除去する。固液分離の方法としては特に限定されるものではなく、一般に行われている方法で行えばよく、例えば、沈降分離、浮上分離、ろ過、遠心分離等があげられる。刺激を与えることによって収縮し、含水率を減じることが可能である。分離されたゲルは、そのまま処分してもよいし、以下に述べる方法により再生処理を行い、繰り返し利用してもよい。本方式は、硫酸アルミニウムや消石灰、希土類元素の含水酸化物等を用いてホウ素を不溶性沈殿物として除去する従来法と併用してもよく、この場合は、添加するこれらの薬剤の量によって、ホウ素吸着ゲルの添加量を案分すればよい。
【0034】
本発明のホウ素吸着ゲルで排水中のホウ素を吸着除去すると、ゲルのホウ素吸着能が低下してくる。この場合には、該ゲルを酸溶液に浸漬することにより、吸着量の回復を図ることができる。酸溶液に該ゲルを浸漬すると、ホウ素が水酸基から脱離され、酸溶液中に溶出する。この操作によって、当初のホウ素含有排水よりも高濃度のホウ素を含有する酸溶液が得られる。この高濃度ホウ素含有液は、別途、従来技術により処理を行えばよい。ホウ素が高濃度に含有されるため、当初のホウ素含有排水よりも、効率よく除去ができる。使用する酸溶液は、PH5以下のものであればよく、例えば、塩酸、硝酸などの鉱酸、酢酸などの有機酸があげられる。有機酸は、処理水のCODを悪化させる原因にもなることが予想されるので、鉱酸の方がより望ましい。また、酸溶液への浸漬時間は、15分以上が望ましい。より安定して再生するには、1規定程度の酸を用いることが望ましいが、pHにより変性する高分子もあるため、留意が必要である。
【0035】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1
アルギン酸4.45g(25mmol)、N−イソプロピルアクリルアミド2.83g(25mmol)、架橋剤のメチレンビスアクリルアミド0.039g(0.25mmol)、および開始剤の過硫酸アンモニウム0.17g(0.75mmol)をジメチルスルホキシド2.7mLに溶解し、ここへ純水10.6gを加えて、60℃で24時間重合を行った。生成物を粉砕し、水洗後、凍結乾燥して、収率78%で本発明のホウ素吸着ゲルを得た。得られたゲルを目開き0.1mmのふるいでふるい分けし、ふるい上に残ったものを次のホウ素吸着試験に使用した。
【0036】
ホウ素20mg/Lを含むモデル液100mLに、上で得たホウ素吸着ゲルを所定量添加し、20℃で1時間振とう処理を行った。その後、液の温度を50℃にした後、濾紙(孔径1μm)により濾過し、濾過水中のホウ素濃度を分析した。また、20℃と50℃での体積比も調べた。結果を表に示す。
【0037】
実施例2
アルギン酸の代わりにグアーガムを用いた以外は実施例1と同様にして重合を行った。生成物を水洗し、収率83%で本発明のホウ素吸着ゲルを得た。実施例1と同様、目開き0.1mmのふるいでふるい分けし、ふるい上に残ったものについて実施例1と同様にしてホウ素吸着試験を行い、また、20℃と50℃での体積比も調べた。結果を表1に示す。
【0038】
実施例3
アルギン酸の代わりにCMCを用いた以外は実施例1と同様にして重合を行った。生成物を水洗し、収率81%で本発明のホウ素吸着ゲルを得た。実施例1と同様、目開き0.1mmのふるいでふるい分けし、ふるい上に残ったものについて実施例1と同様にしてホウ素吸着試験を行い、また、20℃と50℃での体積比も調べた。結果を表1に示す。
【0039】
比較例1
アルギン酸の代わりにポリアクリル酸を用いた以外は実施例1と同様にして重合を行った。生成物を水洗し、収率81%で高分子ゲルを得た。また実施例1と同様にしてホウ素吸着試験を行った。結果を表1に示す。
【0040】
比較例2
アルギン酸単体について実施例1と同様にしてホウ素吸着試験を行った。結果を表に示す。
【0041】
【表1】
Figure 2004292479
【0042】
上記の実施例により、ホウ素吸着能を有する高分子と刺激応答性を有する高分子とを3次元架橋化することで、熱等の刺激によってホウ素を吸脱着できることが明らかになった。比較例で示したように、刺激応答性を有する高分子がない場合(比較例2)は、吸脱着が行えない。また、アクリル酸のように単量体構成単位中に水酸基を有していない(比較例1)とホウ素吸着能が発現しない。また、熱刺激を与えることによって、ゲル体積は0.05〜0.2にまで減少し、スラッジ量が大幅に低減し得ることが明らかになった。
【0043】
実施例4
実施例1で使用したホウ素吸着ゲルを回収し、1N塩酸溶液10mlに20分間浸漬した。その結果、酸溶液中のホウ素濃度は158mg/L、ホウ素の回収率は88%であった。再生したゲルを用いて再度実施例1と同様の吸着試験を行ったところ、原液のホウ素濃度19.0mg/Lに対し処理液濃度2.8mg/Lが得られた。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、安価な材料で容易にホウ素吸着ゲルが作成できる。しかも短時間で効率よくホウ素を除去することが可能で、しかも得られるスラッジ量を大幅に低減させることができる。

Claims (5)

  1. 刺激応答性を有する高分子とホウ素吸着能を有する高分子とが三次元構造をなしていることを特徴とするホウ素吸着ゲル。
  2. 三次元構造が、架橋体または相互に侵入した網状体である請求項1記載のホウ素吸着ゲル。
  3. 刺激応答性が、熱応答性またはpH応答性である請求項1または2記載のホウ素吸着ゲル。
  4. ホウ素含有排水と請求項1〜3のいずれかに記載のホウ素吸着ゲルとを接触させ、該ゲルにホウ素を吸着させることによりホウ素含有排水からホウ素を除去することを特徴とするホウ素含有排水の処理方法。
  5. 膨潤状態のホウ素吸着ゲルをホウ素含有排水と接触させて該ゲルにホウ素を吸着させた後、該ゲルが応答する刺激を与えて該ゲルを収縮させ、収縮したゲルを取除くことからなる請求項4記載のホウ素含有排水の処理方法。
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