以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。
また、本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。したがって、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域又はドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域又はソース電極)の間にチャネル領域を有しており、チャネル領域を介して、ソースとドレインとの間に電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
また、本明細書等において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも高い状態をいう。例えば、nチャネル型のトランジスタのオフ電流とは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低いときのドレイン電流を言う場合がある。
トランジスタのオフ電流は、Vgsに依存する場合がある。したがって、トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、トランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを言う場合がある。トランジスタのオフ電流は、所定のVgsにおけるオフ状態、所定の範囲内のVgsにおけるオフ状態、又は、十分に低減されたオフ電流が得られるVgsにおけるオフ状態、等におけるオフ電流を指す場合がある。
一例として、しきい値電圧Vthが0.5Vであり、Vgsが0.5Vにおけるドレイン電流が1×10-9Aであり、Vgsが0.1Vにおけるドレイン電流が1×10-13Aであり、Vgsが-0.5Vにおけるドレイン電流が1×10-19Aであり、Vgsが-0.8Vにおけるドレイン電流が1×10-22Aであるようなnチャネル型トランジスタを想定する。当該トランジスタのドレイン電流は、Vgsが-0.5Vにおいて、又は、Vgsが-0.5V乃至-0.8Vの範囲において、1×10-19A以下であるから、当該トランジスタのオフ電流は1×10-19A以下である、と言う場合がある。当該トランジスタのドレイン電流が1×10-22A以下となるVgsが存在するため、当該トランジスタのオフ電流は1×10-22A以下である、と言う場合がある。
また、本明細書等では、チャネル幅Wを有するトランジスタのオフ電流を、チャネル幅Wあたりを流れる電流値で表す場合がある。また、所定のチャネル幅(例えば1μm)あたりを流れる電流値で表す場合がある。後者の場合、オフ電流の単位は、電流/長さの次元を持つ単位(例えば、A/μm)で表される場合がある。
トランジスタのオフ電流は、温度に依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、室温、60℃、85℃、95℃、又は125℃におけるオフ電流を表す場合がある。又は、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証される温度、又は、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)におけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、室温、60℃、85℃、95℃、125℃、当該トランジスタが含まれる半導体装置の信頼性が保証される温度、又は、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを指す場合がある。
トランジスタのオフ電流は、ドレインとソースの間の電圧Vdsに依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、Vdsが0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、12V、16V、又は20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。又は、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVds、又は、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVdsにおけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、Vdsが0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、12V、16V、20V、当該トランジスタが含まれる半導体装置の信頼性が保証されるVds、又は、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVds、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを指す場合がある。
上記オフ電流の説明において、ドレインをソースと読み替えてもよい。つまり、オフ電流は、トランジスタがオフ状態にあるときのソースを流れる電流を言う場合もある。
また、本明細書等では、オフ電流と同じ意味で、リーク電流と記載する場合がある。また、本明細書等において、オフ電流とは、例えば、トランジスタがオフ状態にあるときに、ソースとドレインとの間に流れる電流を指す場合がある。
なお、電圧とは2点間における電位差のことをいい、電位とはある一点における静電場の中にある単位電荷が持つ静電エネルギー(電気的な位置エネルギー)のことをいう。ただし、一般的に、ある一点における電位と基準となる電位(例えば接地電位)との電位差のことを、単に電位もしくは電圧と呼び、電位と電圧が同義語として用いられることが多い。このため、本明細書では特に指定する場合を除き、電位を電圧と読み替えてもよいし、電圧を電位と読み替えてもよいこととする。
(実施の形態1)
本実施の形態では、タッチパネル入力方法について、図1乃至図6を用いて説明する。
図1(A)は、電子機器700を示している。電子機器700は、筐体20と、前面パネル21と、を有している。前面パネル21は、表示パネル11と、複数のタッチセンサ13と、複数のスイッチ14と、複数のスイッチ15と、カバー16と、センサ22と、スイッチ23とを有している。
図1(B)は、前面パネル21の詳細について説明する。前面パネル21は、表示パネル11を有している。表示パネル11は表示領域70を有している。表示パネル11と重なる位置にタッチパネル12が配置されている。表示パネル11は、四つの辺を有している例を示しているが、表示パネル11が有する辺の数は三つ以上であればよい。また、表示パネル11が有するそれぞれの辺に沿ってタッチセンサ13[1]乃至13[4]が前面パネル21に配置されている。
タッチセンサ13[1]の両端にはスイッチ14[1]とスイッチ15[1]が配置されている。スイッチ14[1]とスイッチ15[1]は同じ機能を有し、タッチセンサ13[1]の制御に関連付けられている。上記と同様に、タッチセンサ13[2]乃至13[4]の両端にはそれぞれスイッチ14[2]乃至14[4]と、スイッチ15[2]乃至15[4]とが配置されている。
例としてタッチセンサ13[1]とタッチセンサ13[2]とは平行でない異なる辺に配置され、かつ、それぞれの辺の一部が接続している。言い替えると、タッチセンサ13[1]とタッチセンサ13[2]とは交差している辺それぞれに配置される。したがって、スイッチ14[1]と、スイッチ15[1]とは、タッチセンサ13[1]の両端に位置し、スイッチ14[2]と、スイッチ15[2]とは、タッチセンサ13[2]の両端に位置しており、さらにスイッチ14[1]と、スイッチ15[2]とは、近傍に位置している。ここで示した近傍とは、スイッチ14[1]と、スイッチ15[2]との最短の距離が30mm以内に配置されていることが好ましい。もしくは、スイッチ14[1]と、スイッチ15[2]との最短の距離が20mm以内であると、さらに好ましい。
センサ22は、外光を検出する機能を有し、外光に応じて表示領域70の輝度を制御する機能を有している。スイッチ23は、電子機器700の電源のオンとオフを制御する機能を有している。ただし、スイッチ23は複数の機能を有していてもよい。例えば、指定された時間以上、スイッチ23を長押しされたときは電源制御の機能を有し、短時間押されたときや、ダブルクリックのように、短時間で複数回押されたときは、表示領域70の情報を更新してもよいし、アプリケーションプログラムを起動してもよい。スイッチ23には、上記で説明した以外にも複数の操作方法を機能として割り当てることができる。
図1(B)には記載していないが、前面パネル21は、タッチセンサ13[1]乃至13[4]、スイッチ14[1]乃至14[4]と、スイッチ15[1]乃至15[4]、及びセンサ22などの電子部品が配置されていない領域に、外光により発電される太陽電池を配置してもよい。太陽電池を設けることで、前記電子部品などで使用する電力として利用することができる。
表示領域70と重なる位置には、誤接触防止用カバー(以下、カバー16として説明する)が配置されている。脳性まひなどの影響によって指先が震える人や、上肢、手、指先の動作が十分でない高齢者、もしくは幼児などが、電子機器700を用いてタッチパネルから入力するときにカバー16を用いることで、カバーで覆われた領域は誤接触を防止することができる。よって、操作者は、簡便に、確実に目的の入力を行うことができる。例えばカバーには、開口領域16aと、複数の開口領域16bと、を有していることが好ましい。
一例として文字入力を行うときは、開口領域16bと重なる位置に、表示領域70は文字を表示させることができる。操作者は、入力したい文字の表示オブジェクトを選択するために、開口領域16bと重なり合う位置のタッチパネル12をタッチする。電子機器700の有する制御プログラムは、プロセッサを介してタッチを検知した場所に表示されている表示オブジェクトを認識することができる。したがって制御プログラムは、表示オブジェクトに関連付けられた文字の種類を検出することができる。
検出された文字は、開口領域16aに表示することができる。例えば、図1(B)では開口領域16bに表示オブジェクト「A」「B」「C」が配置されている例を示している。操作者が、「A」「B」「C」と順にタッチしたとき、開口領域16aに「A」「B」「C」と表示される機能を有していることが好ましい。
開口領域16aは、開口領域16bよりも大きく開口された領域を有し、操作者は、タッチ操作で自由に操作することができる。例えば、入力された文字列を、タッチ操作で修正することができる。また、開口領域16aに表示されたアプリケーションプログラムが関連付けられた表示オブジェクト(以下、アイコンとして説明する)などをタッチ操作することで、アプリケーションプログラムの起動をさせることができる。
図1(B)では、タッチセンサ13[1]乃至13[4]を、前面パネル21に設けた例を示した。ただし、タッチセンサ13[1]乃至13[4]の配置は、前面パネル21に限定されなくてもよい。表示パネル11の上に、タッチパネル12と、タッチセンサ13[1]乃至13[4]とが、配置されていてもよい。または、タッチパネル12と、タッチセンサ13[1]乃至13[4]とが一つのタッチパネルとして形成され、それぞれの領域に応じて機能を与えてもよい。もしくは、表示パネル11上に複数のタッチセンサとして形成し、それぞれを独立して制御してもよい。
図2は、図1で示した電子機器700の構成を示す。電子機器700は、プロセッサ711と、記憶装置712と、通信モジュール713と、入力装置714と、出力装置715と、スイッチモジュール716と、タッチセンサモジュール717と、表示モジュール718とを有している。
スイッチモジュール716は、スイッチ制御部716aと、複数のスイッチ716bを有している。スイッチ716bは、論理回路716cと、スイッチ14と、スイッチ15と、を有している。図1(B)では、タッチセンサ13[1]に対して、スイッチ14[1]と、スイッチ15[1]と二つのスイッチが関連付けられた例を示している。スイッチの数は、必要に応じて適宜設ければよい。したがって、スイッチの数はn個まで設けることができる。nは1以上の整数とする。
また論理回路716cは、論理和の機能を有している。したがって、スイッチ14[1]及びスイッチ15[1]のいずれかのスイッチが選択されたときに、スイッチ制御部716aに選択信号が通知される。論理回路716cは論理和を用いることが好ましいが、論理積を用いてもよい。論理積を用いたときは、例として示した二つのスイッチ14[1]及びスイッチ15[1]の両方が選択されたときに、スイッチ制御部716aに選択信号が通知される。
一例としてスイッチ14及びスイッチ15は押しボタン式スイッチが好ましいが、光学式スイッチ、タッチセンサ、熱センサ、赤外線センサなどを利用することができる。もしくは、リレースイッチのように電気的接続もしくは遮断することで状態の変化を検出する機能を有する電子部品を利用してもよい。
タッチセンサモジュール717は、タッチ制御部717aと、タッチセンサ13[1]乃至タッチセンサ13[4]を有している。図1(B)で示した例では、タッチ制御部717aが、タッチセンサ13[1]乃至タッチセンサ13[4]のタッチ検出を制御している。もしくは、タッチセンサ13[1]乃至タッチセンサ13[4]のそれぞれにタッチ制御部717aを設けてもよい。
表示モジュール718は、表示装置17と、タッチパネル12と、を有している。表示装置17は、ディスプレイコントローラ718aと、フレームメモリ718bと、表示パネル11と、を有している。表示パネル11は、表示領域70を有している。表示領域70は、反射型の表示素子を有した表示部718dと、発光型の表示素子を有した表示部718eと、を有している。表示パネル11が、二つの表示部を有した例を示したが、いずれか一の表示部を有していればよい。また、透過型の表示素子を有した表示部を有していてもよい。表示パネル11は、実施の形態2以降で詳細な説明をする。また、表示パネル11に用いるトランジスタについては、実施の形態5にて詳細な説明をする。
入力装置714は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、ジョイスティック、キーボード、ハードウェアボタン、ポインティングデバイス、撮像装置、音声入力装置、視点入力装置、姿勢検出装置、及び太陽電池などがある。
出力装置715は、外部記憶装置、外付け表示装置などがある。
記憶装置712は、制御プログラム、アプリケーションプログラム、及びデータが保持されている。制御プログラム又はアプリケーションプログラムは、プロセッサを介して記憶装置712と、通信モジュール713と、入力装置714と、出力装置715と、タッチセンサモジュール717と、表示モジュール718と、を使用することができる。記憶装置712は、電子機器700の電源が切られても、データが保持することができる。再度、電子機器700の電源が起動されたときに、プログラムの起動時間を早くすることができる。
記憶装置712又は表示モジュール718が有するフレームメモリ718bは、内蔵メモリ(不揮発性メモリ、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、NOSRAM、DOSRAMなど)もしくは外部から挿入された不揮発性メモリであることが望ましい。もしくは通信モジュールでダウンロードしたプログラムや、データを一時的に記憶するワークメモリ(不揮発性メモリ、SRAM、DRAM、NOSRAM、DOSRAMなど)でもよい。
不揮発性メモリであるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリは、フローティングゲートと呼ばれるものを、チャネルとゲートの間に設け、フローティングゲートに電荷を蓄えることにより、データを保持する。しかしながら、従来のEEPROMやフラッシュメモリは、フローティングゲートへの電荷の注入や除去の際に高い電圧を必要とし、また、そのせいもあって、ゲート絶縁膜の劣化が避けられず、無制限に書き込みや消去を繰り返せなかった。
NOSRAM及びDOSRAMは、トランジスタのオフ電流が小さいことが知られている金属酸化物を半導体層に用いたトランジスタを用いることで、電源が切られても、データを保持できるメモリの構成である。NOSRAM及びDOSRAMに用いるトランジスタについては、実施の形態5にて詳細な説明をする。
図3(A)は、表示領域70に複数のアイコンが表示された例を示している。図1(B)で示したような文字入力を行うときと異なり、アイコンなどの表示オブジェクトは、開口領域16bと重なる位置に配置されていないことがある。
しかし、アイコンや、アプリケーションプログラムが実行中の表示画面では、メニュー画面、又は選択ボタンなどの表示オブジェクトなどが表示されていることがある。一例としては図3(A)で示したように、カバー16の下に、選択したいアイコンの表示や、表示オブジェクトが隠れてしまうことがある。したがって、電子機器700がカバー16を備えたときは、開口領域16bと、アイコンなどを含む表示オブジェクトの表示位置が異なるため、容易にタッチして選択することが難しい。
図3(A)及び図3(B)は、カバー16の下に隠されてタッチすることが難しいアイコンを選択する方法を、例を用いて説明する。
図3(A)では、表示領域70にアイコン17a乃至アイコン17eが表示された例を示している。アイコン17bを選択し起動させたいとき、操作者はタッチセンサ13[2]を最初にタッチする。よって、タッチ制御部717aは、タッチセンサ13[2]がタッチされたことを検出することができる。電子機器700の有する制御プログラムは、タッチ制御部717aからプロセッサ711を介して、タッチ制御部717aが検出したタッチ座標18aを受け取ることができる。
制御プログラムは、プロセッサ711を介してタッチ座標18aを表示モジュール718に与えることができる。よって、表示領域70にタッチ座標18aによって選択された選択領域18bを表示することができる。選択領域18bは、タッチ座標18aから、タッチセンサ13[2]の長辺に対し垂直な方向に延在する領域である。図3(A)では、Y軸上の中から、目的のアイコン17bが表示された位置を抽出したことになる。
選択した位置を解除したいときは、タッチセンサ13[2]の両端に配置したスイッチ14[2]とスイッチ15[2]のいずれかをタッチすることで、選択を解除することができる。利用者の利き手によって使用しやすい位置にスイッチ14[2]とスイッチ15[2]とが配置されていることが好ましい。電子機器700の大きさによってスイッチを配置する数は適宜選択することができる。
タッチ座標18aは、複数の座標であることが好ましい。例えば、選択領域18bの表示幅は、タッチセンサ13[2]の長軸方向における最大座標と最小座標の差を表示幅として用いてもよい。このとき、スイッチ14[2]が配置された側のタッチセンサ13[2]の端部を座標原点X[2]として利用することができる。もしくは、タッチで検出した幅の中心を基準にして、操作者もしくは、制御プログラムによって指定された幅にて表示をしてもよい。アイコンの大きさなど表示オブジェクトの大きさに適した幅を選択することが好ましい。
選択された表示領域は、表示階調を変化させることができる。表示階調は、指定された係数をかける、又は指定された階調を加えることで、選択後の階調を算出してもよい。もしくは、色調を変化させてもよい。色調を変化させる場合には、一例として、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)(以下、RGBと表記する)を用いた加法混色法で表示された表示階調は、いずれか一もしくは複数の色の階調を増減させることで変化させることができる。
もしくは、RGBで表される表示階調に、第4の色を加えることで色調を変化させてもよい。第4の色は、RGBのいずれか一もしくは複数でもよいし、もしくは、シアン、マゼンタ、イエローのいずれか一もしくは複数でもよい。又は、白を加えることで色調を変化させてもよい。
次に、図3(B)では、X軸上の中から目的のアイコン17bが表示された位置を選択する。操作者は、タッチセンサ13[3]をタッチする。よって、タッチ制御部717aは、タッチセンサ13[3]がタッチされたことを検出することができる。制御プログラムは、タッチ制御部717aからプロセッサ711を介して、タッチ制御部717aが検出したタッチ座標18cを受け取ることができる。
制御プログラムは、プロセッサ711を介してタッチ座標18cを表示モジュール718に与えることができる。よって、表示領域70にタッチ座標18cによって選択された選択領域18dを表示することができる。選択領域18dは、タッチセンサ13[3]の長辺と垂直に交差する方向に向けて、選択領域18dを表示することができる。したがって、タッチ座標18aと、タッチ座標18cとを用いて、表示領域70の中から選択領域19を選択することができる。
選択した辺の選択した位置を解除したいときは、タッチセンサ13[2]の両端に配置したスイッチ14[2]又はスイッチ15[2]のいずれか一をタッチすることで、選択を解除することができる。上記とは異なる辺の選択した位置を解除したいときは、タッチセンサ13[3]の両端に配置したスイッチ14[3]又はスイッチ15[3]のいずれか一をタッチすることで、選択を解除することができる。いずれか一の選択領域が解除されたときは、選択領域19も同時に解除される。また、選択領域を解除するために押されるスイッチ14又はスイッチ15は、誤接触防止のために、押されている期間の設定と管理ができることが好ましい。
したがって、選択領域19に重なり合う位置に表示されたアイコン17bが、タッチセンサ13[2]と、タッチセンサ13[3]によって選択することができる。アイコン17bが選択領域19で認識されたことを、アイコンの階調又は色調の変更、アイコンの点滅、アイコンのアウトラインを点滅など、操作者に選択されたことがわかるように明示されていることが好ましい。
アイコン17bに関連付けられたアプリケーションプログラムを実行するための実行コマンドは、複数の方法を用いて生成することができる。例えば、スイッチ23を押すことによって選択されたアイコンに関連付けられたアプリケーションプログラムが実行される。又は、スイッチ14[2]及びスイッチ15[3]の二つのスイッチを同時に押すことでアプリケーションプログラムが実行されてもよい。もしくは、選択領域19を選択された状態で、開口領域16a又は開口領域16bに位置するタッチパネル12のいずれか一にタッチすることでアプリケーションプログラムが実行されてもよい。
スイッチ14[1]とスイッチ15[1]、スイッチ14[2]とスイッチ15[2]、スイッチ14[3]とスイッチ15[3]、及びスイッチ14[4]とスイッチ15[4]は、ペアで一つのスイッチとして機能している。したがって、スイッチ14[2]及びスイッチ15[3]の組み合わせは、選択解除の機能とは異なる機能を与えてもよい。
図3ではタッチセンサ13[1]及びタッチセンサ13[3]、タッチセンサ13[2]及びタッチセンサ13[4]は、同じ機能を有した例を示している。いずれかのタッチセンサがタッチを検知することで、上記に示したカバーの下に表示されているアイコンなどを選択することができる。さらに、操作者によって、それぞれのタッチセンサの有効もしくは無効を設定することができることが好ましい。スイッチ14もしくはスイッチ15に関しても、それぞれのスイッチが有効もしくは無効を設定することができることが好ましい。
図4に示す電子機器701は、図1の電子機器700とは異なる構成を有している。電子機器701は、電子機器700aと、電子機器700bと、カバー16とを有している。電子機器700aは、筐体20と、前面パネル21と、を有している。前面パネル21は、複数のタッチセンサ13と、複数のスイッチ14と、複数のスイッチ15と、センサ22と、スイッチ23と、を有している。筐体20は、通信モジュール24を有している。電子機器700bは、タブレットや、スマートフォン、ノート型パーソナルコンピュータなどの電子機器を利用することができる。
電子機器700aは、筐体20の内部に電子機器700bを収納する機能を有している。前面パネル21は、表示領域70の表示を行うための開口領域11cを有している。また、開口領域11cと重なる位置にカバー16が配置される。カバー16は操作者によって着脱できる機能を有している。
電子機器700bは、表示モジュール718と、通信モジュール24aと、を有している。表示モジュール718は、表示装置17と、タッチパネル12と、を有している。表示装置17は表示パネル11を有し、表示パネル11と重なる位置にタッチパネル12が配置されている。
電子機器700aの有するスイッチ23と、電子機器700aに収納された電子機器700bの有するスイッチ23aは、重なるように配置されていることが好ましい。もしくは、スイッチ23と、スイッチ23aと、が重ならない場合でも、電子機器700aのスイッチ23が押されたときに、電子機器700bのスイッチ23aが押される機構を有することが好ましい。もしくは、通信モジュールを介してスイッチ23によって検出されたコマンドが送信されてもよい。
電子機器700aに収納された電子機器700bの表示領域70は、電子機器700aの開口領域11cに重なる位置に配置される。電子機器700aが有する通信モジュール24と、電子機器700bが有する通信モジュール24aは、搬送波を利用することで無線による情報の伝達をすることができる。よって、図4に示した電子機器700aに収納された電子機器700bであっても、図1と同じようにタッチセンサ13をタッチすることで、電子機器700bの表示部へ、選択領域を表示することができる。
通信モジュール24及び通信モジュール24aは、搬送波25及び25aを用いて、操作情報、センサデータ、プログラムなどを送受信することができる。通信モジュール24及び通信モジュール24aは、無線LAN(Local Area Network)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等のIEEEにより通信規格化された仕様を利用することができる。
図5は、図4の電子機器700a及び電子機器700bの構成について説明をする。図1(A)の構成と異なる点は、図1(A)の電子機器700が、図5(A)の電子機器700a及び図5(B)の電子機器700bに分かれて構成されている。
図5(A)で示した電子機器700aは、通信モジュール24と、スイッチモジュール716と、タッチセンサモジュール717と、を有している。図5(B)で示した電子機器700bは、プロセッサ711と、記憶装置712と、通信モジュール24aと、入力装置714と、出力装置715と、表示モジュール718と、を有している。スイッチ23aは、入力装置714に含まれていることが好ましい。
電子機器700aが、図1乃至図3で示したタッチ入力方法を提供することにより、タッチセンサ13と、スイッチ14と、スイッチ15との検出情報が、通信モジュール24を介して電子機器700bに与えられる。電子機器700bは、通信モジュール24aを介して与えられた、タッチセンサ13と、スイッチ14と、スイッチ15との検出情報が、プロセッサ711を介して、表示モジュール718に与えられる。電子機器700aの検出情報は、電子機器700bのプロセッサ711を介さずに表示モジュール718に与えられてもよい。
電子機器700bは、検出情報を用いて、選択領域18b及び選択領域18dの表示及び、選択領域の表示を解除することができる。したがって、電子機器700bが有する制御プログラムは選択領域19を選択することができ、表示領域70に表示されているアイコンなどに関連付けられているアプリケーションプログラムを起動させることができる。
又は筐体20の形状を変えることで、据え置き型の入力装置、金融機関向けのATMや、券売機、商品の販売に使用される自販機などに利用することができる。防塵、防水機能を備えれば、屋外で用いる電子機器、水中で用いる電子機器、宇宙空間の作業で用いられる電子機器などに利用することができる。
図6は、タッチパネル入力方法を、フローチャートに従って説明する。
ST1001は、前面パネルに設けられたタッチセンサ13[1]乃至13[4]のいずれか一でタッチを検知したか検索を行うステップである。
ST1002は、スイッチ14又はスイッチ15のいずれか一のスイッチが押され、選択解除信号が検出されたかを判断するステップである。選択解除信号が検出されたとき、ST1002aに移行する。選択解除信号が検出されないときは、ST1003へ移行する。
ST1002aは、スイッチ14又はスイッチ15の選択解除信号が、Y軸方向のタッチ座標を検出するタッチセンサへの選択解除なのかを判断するステップである。Y軸方向のタッチ座標の検出をするタッチセンサに関連付けられて配置されたスイッチ14又はスイッチ15であれば、ST1002bに移行する。X軸方向のタッチ座標を検出するタッチセンサに関連付けられて配置されたスイッチ14又はスイッチ15であれば、ST1002cに移行する。
ST1002bは、Y軸方向のタッチ座標を解除するステップである。Y軸方向のタッチ座標の選択を解除した後でST1001に移行する。X軸方向のタッチ座標及びY軸方向のタッチ座標が選択され選択領域19を有しているときは、Y軸方向のタッチ座標の選択を解除したときは、選択領域19も解除する。
ST1002cは、X軸方向のタッチ座標を解除するステップである。X軸方向のタッチ座標の選択を解除した後でST1001に移行する。X軸方向のタッチ座標及びY軸方向のタッチ座標が選択され選択領域19を有しているときは、X軸方向のタッチ座標の選択を解除したときは、選択領域19も解除する。
ST1003は、タッチセンサ13がタッチを検知したかを判断するステップである。タッチを検知していなければ、ST1001に移行する。タッチが検知されたと判断されたときは、ST1004へ移行する。
ST1004は、Y軸方向のタッチセンサでタッチを検知したのかを判断するステップである。Y軸方向に配置されたタッチセンサ13[2]又はタッチセンサ13[4]であれば、ST1004aに移行する。X軸に配置されたタッチセンサ13[1]又はタッチセンサ13[3]であれば、ST1004bに移行する。
ST1004aは、Y軸に配置されたタッチセンサ13[2]又はタッチセンサ13[4]から、タッチを検知したタッチ座標を取得するステップである。タッチ座標は、座標原点X[2]又はX[4]からの最小値と最大値とをそれぞれ取得することが好ましい。
ST1004bは、X軸に配置されたタッチセンサ13[1]又はタッチセンサ13[3]から、タッチを検知したタッチ座標を取得するステップである。タッチ座標は、座標原点X[1]又はX[3]からの最小値と最大値とをそれぞれ取得することが好ましい。
ST1005は、X軸とY軸が交差する選択領域19が形成されたのか確認をするステップである。選択領域19が形成されたときは、ST1006に移行する。選択領域19が形成されていないときは、ST1001に移行する。プロセッサ711は、選択領域19に重なる位置にアイコンなどの表示オブジェクトが配置されているかを確認する。表示オブジェクトが、配置されていないときは、ST1001に移行する。
ST1006は、実行コマンドを受け付けたか確認をする。このとき、アイコンが選択領域19で認識されたことを、アイコンの階調又は色調の変更、アイコンの点滅、アイコンのアウトラインを点滅など、操作者に選択されたことがわかるように明示されていることが好ましい。実行コマンドを受け付けたときは、ST1007に移行する。実行コマンドを受け付けてないときは、ST1001に移行する。操作者が選択したい表示オブジェクトとは異なる表示オブジェクトに変更したいときは、ST1001に移行する。
ST1007は、選択領域19と重なる位置に表示オブジェクトが配置され、さらに実行コマンドを受け付けたときのステップである。プロセッサ711は、Y軸方向の選択領域18b、X軸方向の選択領域18d、及び選択領域19を解除し、アプリケーションプログラムを起動する。
上記のタッチ入力方法を利用することで、タッチパネル12の上にカバー16が配置されていても、アプリケーションプログラムの実行や操作を行うことができる。もしくは、タッチパネル12を有しない電子機器においても、アプリケーションプログラムの実行や操作を行うことができる。またアプリケーションプログラム内の不特定な位置に配置される表示オブジェクトを選択し、かつ実行することができる。また、電子機器が有する表示装置17が、タッチパネルを有さなくても、タッチパネルを有しているときと同じように、操作ができる、新規なタッチ入力方法を提供することができる。また、操作性を向上させた電子機器を提供することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1の表示装置にハイブリッドディスプレイを適用した例について説明する。
ハイブリッド表示とは、1つのパネルにおいて、反射光と、自発光とを併用して、色調又は光強度を互いに補完して、文字又は画像を表示する方法である。又は、ハイブリッド表示とは、同一画素又は同一副画素において複数の表示素子から、それぞれの光を用いて、文字又は画像を表示する方法である。ただし、ハイブリッド表示を行っているハイブリッドディスプレイを局所的にみると、複数の表示素子のいずれか一を用いて表示する画素又は副画素と、複数の表示素子の二以上を用いて表示する画素又は副画素と、を有する場合がある。
なお、本明細書等において、上記構成のいずれか1つ又は複数の表現を満たすものを、ハイブリッド表示という。
また、ハイブリッドディスプレイは、同一画素又は同一副画素に複数の表示素子を有する。なお、複数の表示素子としては、例えば、光を反射する反射型素子と、光を射出する自発光素子とが挙げられる。なお、反射型素子と、自発光素子とは、それぞれ独立に制御することができる。ハイブリッドディスプレイは、表示部において、反射光、及び自発光のいずれか一方又は双方を用いて、文字又は画像を表示する機能を有する。
本発明の一態様の表示装置は、可視光を反射する第1の表示素子が設けられた画素を有することができる。又は、可視光を発する第2の表示素子が設けられた画素を有することができる。又は、第1の表示素子及び第2の表示素子が設けられた画素を有することができる。
本実施の形態では、可視光を反射する第1の表示素子と、可視光を発する第2の表示素子とを有する表示装置について説明する。
表示装置は、第1の表示素子が反射する第1の光と、第2の表示素子が発する第2の光のうち、いずれか一方、又は両方により、画像を表示する機能を有する。又は、表示装置は、第1の表示素子が反射する第1の光の光量と、第2の表示素子が発する第2の光の光量と、をそれぞれ制御することにより、階調を表現する機能を有する。
また、表示装置は、第1の表示素子の反射光の光量を制御することにより階調を表現する第1の画素と、第2の表示素子からの発光の光量を制御することにより階調を表現する第2の画素を有する構成とすることが好ましい。第1の画素及び第2の画素は、例えばそれぞれマトリクス状に複数配置され、表示部を構成する。
また、第1の画素と第2の画素は、同数且つ同ピッチで、表示領域内に配置されていることが好ましい。このとき、隣接する第1の画素と第2の画素を合わせて、画素ユニットと呼ぶことができる。これにより、後述するように複数の第1の画素のみで表示された画像と、複数の第2の画素のみで表示された画像、ならびに複数の第1の画素及び複数の第2の画素の両方で表示された画像のそれぞれは、同じ表示領域に表示することができる。
第1の画素が有する第1の表示素子には、外光を反射して表示する素子を用いることができる。このような素子は、光源を持たないため、表示の際の消費電力を極めて小さくすることが可能となる。
第1の表示素子には、代表的には反射型の液晶素子を用いることができる。又は、第1の表示素子として、シャッター方式のMEMS(Micro Electro Mechanical System)素子、光干渉方式のMEMS素子の他、マイクロカプセル方式、電気泳動方式、エレクトロウェッティング方式、電子粉流体(登録商標)方式等を適用した素子などを用いることができる。
第2の画素が有する第2の表示素子は光源を有し、その光源からの光を利用して表示する素子を用いることができる。特に、電界を印加することにより発光性の物質から発光を取り出すことのできる、電界発光素子を用いることが好ましい。このような画素が射出する光は、その輝度や色度が外光に左右されることがないため、色再現性が高く(色域が広く)、且つコントラストの高い、つまり鮮やかな表示を行うことができる。
第2の表示素子には、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)、LED(Light Emitting Diode)、QLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)、半導体レーザなどの自発光性の発光素子を用いることができる。又は、第2の画素が有する表示素子として、光源であるバックライトと、バックライトからの光の透過光の光量を制御する透過型の液晶素子とを組み合わせたものを用いてもよい。
第1の画素は、例えば白色(W)を呈する副画素、又は例えば赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の光をそれぞれ呈する副画素を有する構成とすることができる。また、第2の画素も同様に、例えば白色(W)を呈する副画素、又は例えば赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の光をそれぞれ呈する副画素を有する構成とすることができる。なお、第1の画素及び第2の画素がそれぞれ有する副画素は、4色以上であってもよい。副画素の種類が多いほど、消費電力を低減することが可能で、また色再現性を高めることができる。
本発明の一態様は、第1の画素で画像を表示する第1のモード、第2の画素で画像を表示する第2のモード、及び第1の画素及び第2の画素で画像を表示する第3のモードを切り替えることができる。また、第1の画素及び第2の画素のそれぞれに異なる画像信号を入力し、合成画像を表示することもできる。
第1のモードは、第1の表示素子による反射光を用いて画像を表示するモードである。第1のモードは光源が不要であるため、極めて低消費電力な駆動モードである。例えば、外光の照度が十分高く、且つ外光が白色光又はその近傍の光である場合に有効である。第1のモードは、例えば本や書類などの文字情報を表示することに適した表示モードである。また、反射光を用いるため、目に優しい表示を行うことができ、目が疲れにくいという効果を奏する。
第2のモードでは、第2の表示素子による発光を利用して画像を表示するモードである。そのため、外光の照度や色度によらず、極めて鮮やかな(コントラストが高く、且つ色再現性の高い)表示を行うことができる。例えば、夜間や暗い室内など、外光の照度が極めて小さい場合などに有効である。また外光が暗い場合、明るい表示を行うと使用者が眩しく感じてしまう場合がある。これを防ぐために、第2のモードでは輝度を抑えた表示を行うことが好ましい。またこれにより、眩しさを抑えることに加え、消費電力も低減することができる。第2のモードは、鮮やかな画像や滑らかな動画などを表示することに適したモードである。
第3のモードでは、第1の表示素子による反射光と、第2の表示素子による発光の両方を利用して表示を行うモードである。
具体的には、第1の画素が呈する光と、第1の画素と隣接する第2の画素が呈する光を混色させることにより、1つの色を表現するように駆動する。第1のモードよりも鮮やかな表示をしつつ、第2のモードよりも消費電力を抑えることができる。例えば、室内照明下や、朝方や夕方の時間帯など、外光の照度が比較的低い場合や、外光の色度が白色ではない場合などに有効である。
以下では、本発明の一態様のより具体的な例について、図面を参照して説明する。
[表示装置の構成例]
図7は、本発明の一態様の表示装置が有する表示領域70を説明する図である。表示領域70は、マトリクス状に配置された複数の画素ユニット75を有する。画素ユニット75は、画素76と、画素77を有する。
図7では、画素76及び画素77が、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色に対応する表示素子を有する場合の例を示している。
画素76は、赤色(R)に対応する表示素子76R、緑色(G)に対応する表示素子76G、青色(B)に対応する表示素子76Bを有する。表示素子76R、76G、76Bはそれぞれ、光源の光を利用した第2の表示素子である。
画素77は、赤色(R)に対応する表示素子77R、緑色(G)に対応する表示素子77G、青色(B)に対応する表示素子77Bを有する。表示素子77R、77G、77Bはそれぞれ、外光の反射を利用した第1の表示素子である。
以上が表示装置の構成例についての説明である。
[画素ユニットの構成例]
続いて、図8(A)、(B)、(C)を用いて画素ユニット75について説明する。図8(A)、(B)、(C)は、画素ユニット75の構成例を示す模式図である。
画素76は、表示素子76R、表示素子76G、表示素子76Bを有する。表示素子76Rは、光源を有し、画素76に入力される第2の階調値に含まれる赤色に対応する階調値に応じた輝度の赤色の光R2を、表示面側に射出する。表示素子76G、表示素子76Bも同様に、それぞれ緑色の光G2又は青色の光B2を、表示面側に射出する。
画素77は、表示素子77R、表示素子77G、表示素子77Bを有する。表示素子77Rは、外光を反射し、画素77に入力される第1の階調値に含まれる赤色に対応する階調値に応じた輝度の赤色の光R1を、表示面側に射出する。表示素子77G、表示素子77Bも同様に、それぞれ緑色の光G1又は青色の光B1を、表示面側に射出する。
〔第1のモード〕
図8(A)は、外光を反射する表示素子77R、表示素子77G、表示素子77Bを駆動して画像を表示する動作モードの例を示している。図8(A)に示すように、画素ユニット75は、例えば外光の照度が十分に高い場合などでは、画素76を駆動させずに、画素77からの光(光R1、光G1、および光B1)のみを混色させることにより、所定の色の光79を表示面側に射出することもできる。これにより、極めて低消費電力な駆動を行うことができる。
〔第2のモード〕
図8(B)は、表示素子76R、表示素子76G、表示素子76Bを駆動して画像を表示する動作モードの例を示している。図8(B)に示すように、画素ユニット75は、例えば外光の照度が極めて小さい場合などでは、画素77を駆動させずに、画素76からの光(光R2、光G2、および光B2)のみを混色させることにより、所定の色の光79を表示面側に射出することもできる。これにより鮮やかな表示を行うことができる。また外光の照度が小さい場合に輝度を低くすることで、使用者が感じる眩しさを抑えると共に消費電力を低減できる。
〔第3のモード〕
図8(C)は、外光を反射する表示素子77R、表示素子77G、表示素子77Bと、光を発する表示素子76R、表示素子76G、表示素子76Bの両方を駆動して画像を表示する動作モードの例を示している。図8(C)に示すように、画素ユニット75は、光R1、光G1、光B1、光R2、光G2、及び光B2の6つの光を混色させることにより、所定の色の光79を表示面側に射出することができる。
したがって、実施の形態1で示した表示パネル11は、反射型の表示素子を有した表示部718dと、発光型の表示素子を有した表示部718eとを有しているため、選択領域を表示するのに好適である。例えば、反射型の表示素子で表示領域70の表示を行っているときに、発光型の表示素子で、選択領域を表示することができる。また、発光型の表示素子で表示領域70の表示を行っているときに、反射型の表示素子で、選択領域を表示してもよい。もしくは、反射型の表示素子の階調データを変更することで選択領域を表示してもよいし、発光型の表示素子の階調データを変更することで選択領域を表示してもよい。
以上が画素ユニット75の構成例についての説明である。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
以下では、実施の形態2で説明したハイブリッドディスプレイの構成の具体例について説明する。以下で例示する表示パネルは、反射型の液晶素子と、発光素子の両方を有し、透過モードと反射モードの両方の表示を行うことのできる、表示パネルである。
[構成例]
図9(A)は、表示装置400の構成の一例を示すブロック図である。表示装置400は、表示部362にマトリクス状に配列した複数の画素410を有する。また表示装置400は、回路GDと、回路SDを有する。また、方向Rに配列した複数の画素410、回路GDと電気的に接続する複数の配線GD1、複数の配線GD2、複数の配線ANO、及び複数の配線CSCOMを有する。また、方向Cに配列した複数の画素410、回路SDと電気的に接続する複数の配線S1、及び複数の配線S2を有する。
なお、ここでは簡単のために回路GDと回路SDを1つずつ有する構成を示したが、液晶素子を駆動する回路GD及び回路SDと、発光素子を駆動する回路GD及び回路SDとを、別々に設けてもよい。
画素410は、反射型の液晶素子と、発光素子を有する。画素410において、液晶素子と発光素子とは、互いに重なる部分を有する。
図9(B1)は、画素410が有する導電層311bの構成例を示す。導電層311bは、画素410における液晶素子の反射電極として機能する。また導電層311bには、開口451が設けられている。
図9(B1)には、導電層311bと重なる領域に位置する発光素子360を破線で示している。発光素子360は、導電層311bが有する開口451と重ねて配置されている。これにより、発光素子360が発する光は、開口451を介して表示面側に射出される。
図9(B1)では、方向Rに隣接する画素410が異なる色に対応する画素である。このとき、図9(B1)に示すように、方向Rに隣接する2つの画素において、開口451が一列に配列されないように、導電層311bの異なる位置に設けられていることが好ましい。これにより、2つの発光素子360を離すことが可能で、発光素子360が発する光が隣接する画素410が有する着色層に入射してしまう現象(クロストークともいう)を抑制することができる。また、隣接する2つの発光素子360を離して配置することができるため、発光素子360のEL層をマスク等により作り分ける場合であっても、高い精細度の表示装置を実現できる。
また、図9(B2)に示すような配列としてもよい。
非開口部の総面積に対する開口451の総面積の比の値が大きすぎると、液晶素子を用いた表示が暗くなってしまう。また、非開口部の総面積に対する開口451の総面積の比の値が小さすぎると、発光素子360を用いた表示が暗くなってしまう。
また、反射電極として機能する導電層311bに設ける開口451の面積が小さすぎると、発光素子360が射出する光から取り出せる光の効率が低下してしまう。
開口451の形状は、例えば多角形、四角形、楕円形、円形又は十字等の形状とすることができる。また、細長い筋状、スリット状、市松模様状の形状としてもよい。また、開口451を隣接する画素に寄せて配置してもよい。好ましくは、開口451を同じ色を表示する他の画素に寄せて配置する。これにより、クロストークを抑制できる。
[回路構成例]
図10は、画素410の構成例を示す回路図である。図10では、隣接する2つの画素410を示している。
画素410は、スイッチSW1、容量素子C1、液晶素子340、スイッチSW2、トランジスタM、容量素子C2、及び発光素子360等を有する。また、画素410には、配線GD1、配線GD2、配線ANO、配線CSCOM、配線S1、及び配線S2が電気的に接続されている。また、図10では、液晶素子340と電気的に接続する配線VCOM1、及び発光素子360と電気的に接続する配線VCOM2を示している。
図10では、スイッチSW1及びスイッチSW2に、トランジスタを用いた場合の例を示している。
スイッチSW1は、ゲートが配線GD1と接続され、ソース又はドレインの一方が配線S1と接続され、ソース又はドレインの他方が容量素子C1の一方の電極、及び液晶素子340の一方の電極と接続されている。容量素子C1は、他方の電極が配線CSCOMと接続されている。液晶素子340は、他方の電極が配線VCOM1と接続されている。
また、スイッチSW2は、ゲートが配線GD2と接続され、ソース又はドレインの一方が配線S2と接続され、ソース又はドレインの他方が、容量素子C2の一方の電極、トランジスタMのゲートと接続されている。容量素子C2は、他方の電極がトランジスタMのソース又はドレインの一方、及び配線ANOと接続されている。トランジスタMは、ソース又はドレインの他方が発光素子360の一方の電極と接続されている。発光素子360は、他方の電極が配線VCOM2と接続されている。
図10では、トランジスタMが半導体を挟む2つのゲートを有し、これらが接続されている例を示している。これにより、トランジスタMが流すことのできる電流を増大させることができる。
配線GD1には、スイッチSW1を導通状態又は非導通状態に制御する信号を与えることができる。配線VCOM1には、所定の電位を与えることができる。配線S1には、液晶素子340が有する液晶の配向状態を制御する信号を与えることができる。配線CSCOMには、所定の電位を与えることができる。
配線GD2には、スイッチSW2を導通状態又は非導通状態に制御する信号を与えることができる。配線VCOM2及び配線ANOには、発光素子360が発光する電位差が生じる電位をそれぞれ与えることができる。配線S2には、トランジスタMの導通状態を制御する信号を与えることができる。
図10に示す画素410は、例えば、反射モードの表示を行う場合には、配線GD1及び配線S1に与える信号により駆動し、液晶素子340による光学変調を利用して表示することができる。また、透過モードで表示を行う場合には、配線GD2及び配線S2に与える信号により駆動し、発光素子360を発光させて表示することができる。また、両方のモードで駆動する場合には、配線GD1、配線GD2、配線S1及び配線S2のそれぞれに与える信号により駆動することができる。
なお、図10では一つの画素410に、一つの液晶素子340と一つの発光素子360とを有する例を示したが、これに限られない。図11(A)は、一つの画素410に一つの液晶素子340と4つの発光素子360(発光素子360r、360g、360b、360w)を有する例を示している。
図11(A)では図10の例に加えて、画素410に配線GD3及び配線S3が接続されている。
図11(A)に示す例では、例えば4つの発光素子360を、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、及び白色(W)を呈する発光素子を用いることができる。また液晶素子340として、白色を呈する反射型の液晶素子を用いることができる。これにより、反射モードの表示を行う場合には、反射率の高い白色の表示を行うことができる。また透過モードで表示を行う場合には、演色性の高い表示を低い電力で行うことができる。
また、図11(B)には、画素410の構成例を示している。画素410は、電極311が有する開口部と重なる発光素子360wと、電極311の周囲に配置された発光素子360r、発光素子360g、及び発光素子360bとを有する。発光素子360r、発光素子360g、及び発光素子360bは、発光面積がほぼ同等であることが好ましい。
[表示パネルの構成例]
図12は、本発明の一態様の表示パネル300の斜視概略図である。表示パネル300は、基板351と基板361とが貼り合わされた構成を有する。図12では、基板361を破線で明示している。
表示パネル300は、表示部362、回路364、配線365等を有する。基板351には、例えば回路364、配線365、及び画素電極として機能する導電層311b等が設けられる。また図12では基板351上にIC373とFPC372が実装されている例を示している。そのため、図12に示す構成は、表示パネル300とFPC372及びIC373を有する表示モジュールと言うこともできる。
回路364は、例えば走査線駆動回路として機能する回路を用いることができる。
配線365は、表示部や回路364に信号や電力を供給する機能を有する。当該信号や電力は、FPC372を介して外部、又はIC373から配線365に入力される。
また、図12では、COG(Chip On Glass)方式等により、基板351にIC373が設けられている例を示している。IC373は、例えば走査線駆動回路、又は信号線駆動回路などとしての機能を有するICを適用できる。なお表示パネル300が走査線駆動回路及び信号線駆動回路として機能する回路を備える場合や、走査線駆動回路や信号線駆動回路として機能する回路を外部に設け、FPC372を介して表示パネル300を駆動するための信号を入力する場合などでは、IC373を設けない構成としてもよい。また、IC373を、COF(Chip On Film)方式等により、FPC372に実装してもよい。
図12には、表示部362の一部の拡大図を示している。表示部362には、複数の表示素子が有する導電層311bがマトリクス状に配置されている。導電層311bは、可視光を反射する機能を有し、後述する液晶素子340の反射電極として機能する。
また、図12に示すように、導電層311bは開口を有する。さらに導電層311bよりも基板351側に、発光素子360を有する。発光素子360からの光は、導電層311bの開口を介して基板361側に射出される。
また、基板361上には入力装置366を設けることができる。例えば、シート状の静電容量方式のタッチセンサを表示部362に重ねて設ける構成とすればよい。又は、基板361と基板351との間にタッチセンサを設けてもよい。基板361と基板351との間にタッチセンサを設ける場合は、静電容量方式のタッチセンサのほか、光電変換素子を用いた光学式のタッチセンサを適用してもよい。
[断面構成例1]
図13に、図12で例示した表示パネルの、FPC372を含む領域の一部、回路364を含む領域の一部及び表示部362を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
表示パネルは、基板351と基板361の間に、絶縁層220を有する。また基板351と絶縁層220の間に、発光素子360、トランジスタ201、トランジスタ205、トランジスタ206、着色層134等を有する。また絶縁層220と基板361の間に、液晶素子340、着色層135等を有する。また基板361と絶縁層220は接着層143を介して接着され、基板351と絶縁層220は接着層142を介して接着されている。
トランジスタ206は、液晶素子340と電気的に接続し、トランジスタ205は、発光素子360と電気的に接続する。トランジスタ205とトランジスタ206は、いずれも絶縁層220の基板351側の面上に形成されているため、これらを同一の工程を用いて作製することができる。
基板361には、着色層135、遮光層136、絶縁層125、及び液晶素子340の共通電極として機能する導電層313、配向膜133b、絶縁層117等が設けられている。絶縁層117は、液晶素子340のセルギャップを保持するためのスペーサとして機能する。
絶縁層220の基板351側には、絶縁層211、絶縁層212、絶縁層213、絶縁層214、絶縁層215等の絶縁層が設けられている。絶縁層211は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層212、絶縁層213、及び絶縁層214は、各トランジスタを覆って設けられている。また絶縁層214を覆って絶縁層215が設けられている。絶縁層214及び絶縁層215は、平坦化層としての機能を有する。なお、ここではトランジスタ等を覆う絶縁層として、絶縁層212、絶縁層213、絶縁層214の3層を有する場合について示しているが、これに限られず4層以上であってもよいし、単層、又は2層であってもよい。また平坦化層として機能する絶縁層214は、不要であれば設けなくてもよい。
また、トランジスタ201、トランジスタ205、及びトランジスタ206は、一部がゲートとして機能する導電層221、一部がソース又はドレインとして機能する導電層222、半導体層231を有する。ここでは、同一の導電膜を加工して得られる複数の層に、同じハッチングパターンを付している。
液晶素子340は反射型の液晶素子である。液晶素子340は、導電層370、液晶312、導電層313が積層された積層構造を有する。また、導電層370の基板351側に接して、可視光を反射する導電層311bが設けられている。導電層311bは開口251を有する。また、導電層370及び導電層313は可視光を透過する材料を含む。また、液晶312と導電層370の間に配向膜133aが設けられ、液晶312と導電層313の間に配向膜133bが設けられている。
基板361の外側の面には、光拡散板129及び偏光板140を配置する。偏光板140としては直線偏光板を用いてもよいが、円偏光板を用いることもできる。円偏光板としては、例えば直線偏光板と1/4波長位相差板を積層したものを用いることができる。これにより、外光反射を抑制することができる。また、外光反射を抑制するために光拡散板129が設けられる。また、偏光板の種類に応じて、液晶素子340に用いる液晶素子のセルギャップ、配向、駆動電圧等を調整することで、所望のコントラストが実現されるようにすればよい。
液晶素子340において、導電層311bは可視光を反射する機能を有し、導電層313は可視光を透過する機能を有する。基板361側から入射した光は、偏光板140により偏光され、導電層313、液晶312を透過し、導電層311bで反射する。そして、液晶312及び導電層313を再度透過して、偏光板140に達する。このとき、導電層311bと導電層313の間に与える電圧によって液晶の配向を制御し、光の光学変調を制御することができる。すなわち、偏光板140を介して射出される光の強度を制御することができる。また光は着色層135によって特定の波長領域以外の光が吸収されることにより、取り出される光は、例えば赤色を呈する光となる。
発光素子360は、ボトムエミッション型の発光素子である。発光素子360は、絶縁層220側から導電層191、EL層192、及び導電層193bの順に積層された積層構造を有する。また導電層193bを覆って導電層193aが設けられている。導電層193bは可視光を反射する材料を含み、導電層191及び導電層193aは可視光を透過する材料を含む。発光素子360が発する光は、着色層134、絶縁層220、開口251、導電層313等を介して、基板361側に射出される。
ここで、図13に示すように、開口251には可視光を透過する導電層370が設けられていることが好ましい。これにより、開口251と重なる領域においてもそれ以外の領域と同様に液晶312が配向するため、これらの領域の境界部で液晶の配向不良が生じ、意図しない光が漏れてしまうことを抑制できる。
導電層191の端部を覆う絶縁層216上には、絶縁層217が設けられている。絶縁層217は、絶縁層220と基板351が必要以上に接近することを抑制するスペーサとしての機能を有する。またEL層192や導電層193aを遮蔽マスク(メタルマスク)を用いて形成する場合には、当該遮蔽マスクが被形成面に接触することを抑制する機能を有していてもよい。なお、絶縁層217は不要であれば設けなくてもよい。
トランジスタ205のソース又はドレインの一方は、導電層224を介して発光素子360の導電層191と電気的に接続されている。
トランジスタ206のソース又はドレインの一方は、接続部207を介して導電層311bと電気的に接続されている。導電層311bと導電層370は接して設けられ、これらは電気的に接続されている。ここで、接続部207は、絶縁層220に設けられた開口を介して、絶縁層220の両面に設けられる導電層同士を接続する部分である。
基板351と基板361が重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部204は、接続層242を介してFPC372と電気的に接続されている。接続部204は接続部207と同様の構成を有している。接続部204の上面は、導電層370と同一の導電膜を加工して得られた導電層が露出している。これにより、接続部204とFPC372とを接続層242を介して電気的に接続することができる。
接着層143が設けられる一部の領域には、接続部252が設けられている。接続部252において、導電層370と同一の導電膜を加工して得られた導電層と、導電層313の一部が、接続体243により電気的に接続されている。したがって、基板361側に形成された導電層313に、基板351側に接続されたFPC372から入力される信号又は電位を、接続部252を介して供給することができる。
接続体243としては、例えば導電性の粒子を用いることができる。導電性の粒子としては、有機樹脂又はシリカなどの粒子の表面を金属材料で被覆したものを用いることができる。金属材料としてニッケルや金を用いると接触抵抗を低減できるため好ましい。またニッケルをさらに金で被覆するなど、2種類以上の金属材料を層状に被覆させた粒子を用いることが好ましい。また接続体243として、弾性変形、又は塑性変形する材料を用いることが好ましい。このとき導電性の粒子である接続体243は、図13に示すように上下方向に潰れた形状となる場合がある。こうすることで、接続体243と、これと電気的に接続する導電層との接触面積が増大し、接触抵抗を低減できるほか、接続不良などの不具合の発生を抑制することができる。
接続体243は、接着層143に覆われるように配置することが好ましい。例えば、硬化前の接着層143に接続体243を分散させておけばよい。
図13では、回路364の例としてトランジスタ201が設けられている例を示している。
図13では、トランジスタ201及びトランジスタ205の例として、チャネルが形成される半導体層231を2つのゲートで挟持する構成が適用されている。一方のゲートは導電層221により、他方のゲートは絶縁層212を介して半導体層231と重なる導電層223により構成されている。このような構成とすることで、トランジスタのしきい値電圧を制御することができる。このとき、2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。このようなトランジスタは他のトランジスタと比較して電界効果移動度を高めることが可能であり、オン電流を増大させることができる。その結果、高速駆動が可能な回路を作製することができる。さらには、回路部の占有面積を縮小することが可能となる。オン電流の大きなトランジスタを適用することで、表示パネルを大型化、又は高精細化したときに配線数が増大したとしても、各配線における信号遅延を低減することが可能であり、表示ムラを抑制することができる。
なお、回路364が有するトランジスタと、表示部362が有するトランジスタは、同じ構造であってもよい。また回路364が有する複数のトランジスタは、全て同じ構造であってもよいし、異なる構造のトランジスタを組み合わせて用いてもよい。また、表示部362が有する複数のトランジスタは、全て同じ構造であってもよいし、異なる構造のトランジスタを組み合わせて用いてもよい。
各トランジスタを覆う絶縁層212、絶縁層213のうち少なくとも一方は、水や水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。すなわち、絶縁層212又は絶縁層213はバリア膜として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに対して外部から不純物が拡散することを効果的に抑制することが可能となり、信頼性の高い表示パネルを実現できる。
基板361側において、着色層135、遮光層136を覆って絶縁層125が設けられている。絶縁層125は、平坦化層としての機能を有していてもよい。絶縁層125により、導電層313の表面を概略平坦にできるため、液晶312の配向状態を均一にできる。
[断面構成例2]
図14に示す表示パネルは、図13に示す構成において各トランジスタにトップゲート型のトランジスタを適用した場合の例である。このように、トップゲート型のトランジスタを適用することにより、寄生容量が低減できるため、表示のフレーム周波数を高めることができる。
本発明の一態様の表示装置が有するトランジスタは、ゲート電極として機能する導電層と、半導体層と、ソース電極として機能する導電層と、ドレイン電極として機能する導電層と、ゲート絶縁層として機能する絶縁層と、を有する。
なお、トランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型又はボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。又は、チャネルの上下にゲート電極が設けられていてもよい。
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
また、トランジスタに用いる半導体材料としては、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である金属酸化物を用いることができる。代表的には、インジウムを含む酸化物半導体などを用いることができる。
シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい酸化物半導体を用いたトランジスタは、その低いオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量素子に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。
半導体層は、例えばインジウム、亜鉛及びM(アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、スズ、ネオジム又はハフニウム等の金属)を含むIn-M-Zn系酸化物、In-M系酸化物、M-Zn系酸化物、又はIn-Zn酸化物で表記される膜とすることができる。
半導体層を構成する酸化物半導体がIn-M-Zn系酸化物の場合、In-M-Zn系酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比はそれぞれ、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
また、上記材料等で形成した金属酸化物は、不純物や酸素欠損などを制御することで透光性を有する導電体として作用させることができる。したがって、上述した半導体層に加え、トランジスタの他の構成要素であるソース電極、ドレイン電極及びゲート電極などを透光性を有する導電体で形成することで、透光性を有するトランジスタを構成することができる。当該透光性を有するトランジスタを表示装置の画素に用いることで、表示素子を透過する光、又は表示素子が発する光が当該トランジスタを透過することができるため、開口率を向上させることができる。
例えば、図15に示す断面構成例1の変形例のように、トランジスタ205、206及び接続部207を構成する要素を透光性を有する導電体で形成することができる。断面構成例1から、さらに導電層311bを省くことで発光素子360から発する光は、トランジスタ205、206及び接続部207の一部又は全体を透過することができる。また、基板361側から入射し、液晶312を透過した光は、導電層193bで反射させることができる。なお、トランジスタ205、206の信頼性を向上させるため、ゲート電極として作用する導電層及びバックゲート電極として作用する導電層の一方又は両方は、金属などの透光性を有さない層で形成してもよい。
トランジスタのチャネルが形成される半導体にシリコンを用いてもよい。シリコンとしてアモルファスシリコンを用いてもよいが、特に結晶性を有するシリコンを用いることが好ましい。例えば、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンなどを用いることが好ましい。特に、多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温で形成でき、且つアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備える。
上述した表示パネル300は、大きく分けて発光素子及びトランジスタ等を有する領域601と、液晶素子等を有する領域602を有する。以下に図16(A)乃至(C)を用いて表示パネル300の作製方法を簡単に説明する。
表示パネル300は、剥離工程(図16(B)参照)を用いることで、比較的容易に作製することができる。まず、基板352上に剥離層173及び樹脂層175を設け、樹脂層175上に領域601を完成させる(図16(A)参照)。
次に、レーザ光160を加工領域(剥離層173及び樹脂層175を含む領域)に照射し(図16(B)参照)、基板352及び剥離層173を取り除く。
次に、アッシング処理により樹脂層175を取り除き、導電層370等を露出させる。そして、表示部となる領域に配向膜133aを形成し、液晶312を挟むように別途形成した領域602の残りの構成要素を接着層143を用いて貼り合わせる(図16(C)参照)。以上の工程で表示パネル300を完成させることができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、表示装置が有する画素の構成の一例について、図17及び図18を用いて説明を行う。図17は、発光表示装置の構成の一例を示し、図18は液晶表示装置の構成の一例を示す。
[画素について]
まず、発光表示装置の画素について、図17(A1)、図17(A2)、及び図17(B)を用いて説明する。
図17(A1)に、画素900を表示面側から見たときの上面概略図を示す。図17(A1)に示す画素900は、3つの副画素を有する。各副画素には、発光素子930EL(図17(A1)(A2)には図示しない)、トランジスタ910、及びトランジスタ912が設けられている。また、図17(A1)に示す各副画素では、発光素子930ELの発光領域(発光領域916R、発光領域916G、又は発光領域916B)を示している。なお、発光素子930ELは、トランジスタ910及びトランジスタ912側に光を射出する、所謂ボトムエミッション型の発光素子とする。
また、画素900は、配線902、配線904、及び配線906等を有する。配線902は、例えば走査線として機能する。配線904は、例えば信号線として機能する。配線906は、例えば発光素子に電位を供給する電源線として機能する。また、配線902と配線904とは、互いに交差する部分を有する。また、配線902と配線906とは、互いに交差する部分を有する。なお、ここでは、配線902と配線904、及び配線902と配線906とが交差する構成について例示したが、これに限定されず、配線904と配線906とが交差する構成としてもよい。
トランジスタ910は、選択トランジスタとして機能する。トランジスタ910のゲートは、配線902と電気的に接続されている。トランジスタ910のソース又はドレインの一方は、配線904と電気的に接続されている。
トランジスタ912は、発光素子に流れる電流を制御するトランジスタである。トランジスタ912のゲートは、トランジスタ910のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。トランジスタ912のソース又はドレインの一方は配線906と電気的に接続され、他方は発光素子930ELの一対の電極の一方と電気的に接続されている。
図17(A1)では、発光領域916R、発光領域916G、及び発光領域916Bが、それぞれ縦方向に長い短冊状の形状を有し、横方向にストライプ状に配列している。
ここで、配線902、配線904、及び配線906は遮光性を有する。またこれ以外の層、すなわち、トランジスタ910、トランジスタ912、トランジスタに接続する配線、コンタクト、容量等を構成する各層には、透光性を有する膜を用いると好適である。図17(A2)は、図17(A1)に示す画素900を、可視光を透過する透過領域900tと、可視光を遮る遮光領域900sと、に分けて明示した例である。このように、透光性を有する膜を用いてトランジスタを作製することで、各配線が設けられる部分以外を透過領域900tとすることができる。また、発光素子の発光領域を、トランジスタ、トランジスタに接続する配線、コンタクト、容量などと重ねることができるため、画素の開口率を高めることができる。
なお、画素の面積に対する透過領域の面積の割合が高いほど、発光素子の光取り出し効率を高めることができる。例えば、画素の面積に対する、透過領域の面積の割合は、1%以上95%以下、好ましくは10%以上90%以下、より好ましくは20%以上80%以下とすることができる。特に40%以上又は50%以上とすることが好ましく、60%以上80%以下であるとより好ましい。
また、図17(A2)に示す一点鎖線A-Bの切断面に相当する断面図を図17(B)に示す。なお、図17(B)では、上面図において図示していない、発光素子930EL、容量素子913、及び駆動回路部901などの断面も合わせて図示している。駆動回路部901としては、走査線駆動回路部又は信号線駆動回路部として用いることができる。また、駆動回路部901は、トランジスタ911を有する。
図17(B)に示すように、発光素子930ELからの光は、破線の矢印に示す方向に射出される。発光素子930ELの光は、トランジスタ910、トランジスタ912、及び容量素子913等を介して外部に取り出される。したがって、容量素子913を構成する膜などについても、透光性を有すると好ましい。容量素子913が有する透光性の領域の面積が広いほど、発光素子930ELから射出される光の減衰を抑制することができる。
なお、駆動回路部901において、トランジスタ911については、遮光性であってもよい。駆動回路部901のトランジスタ911などを遮光性とすることで、駆動回路部の信頼性や、駆動能力を高めることができる。すなわち、トランジスタ911を構成するゲート電極、ソース電極、及びドレイン電極に、遮光性を有する導電膜を用いることが好ましい。またこれらに接続される配線も同様に、遮光性を有する導電膜を用いることが好ましい。
次に、液晶表示装置の画素の一例について図18(A1)、図18(A2)、及び図18(B)と、を用いて説明する。
図18(A1)に、画素900の上面概略図を示す。図18(A1)に示す画素900は、4つの副画素を有する。図18(A1)では、画素900において、副画素が縦に2つ、横に2つ配列している例を示している。各副画素には、透過型の液晶素子930LC(図18(A1)(A2)には図示しない)及びトランジスタ914等が設けられている。図18(A1)では、画素900に、配線902及び配線904が、それぞれ2本ずつ設けられている。図18(A1)に示す各副画素では、液晶素子の表示領域(表示領域918R、表示領域918G、表示領域918B、及び表示領域918W)を示している。バックライトユニット(BLU)から射出される光は、トランジスタ914等を介して、液晶素子930LCに入射される。
また、画素900は、配線902及び配線904等を有する。配線902は、例えば走査線として機能する。配線904は、例えば信号線として機能する。配線902と配線904とは、互いに交差する部分を有する。
トランジスタ914は、選択トランジスタとして機能する。トランジスタ914のゲートは、配線902と電気的に接続されている。トランジスタ914のソース又はドレインの一方は、配線904と電気的に接続されており、他方は、液晶素子930LCと電気的に接続されている。
ここで、配線902及び配線904は遮光性を有する。またこれ以外の層、すなわち、トランジスタ914、トランジスタ914に接続する配線、コンタクト、容量等を構成する各層には、透光性を有する膜を用いると好適である。図18(A2)は、図18(A1)に示す画素900を、可視光を透過する透過領域900tと、可視光を遮る遮光領域900sと、に分けて明示した例である。このように、透光性を有する膜を用いてトランジスタを作製することで、各配線が設けられる部分以外を透過領域900tとすることができる。液晶素子の透過領域をトランジスタ、トランジスタに接続する配線、コンタクト、容量等と重ねることができるため、画素の開口率を高めることができる。
なお、画素の面積に対する透過領域の面積の割合が高いほど、透過光の光量を増大させることができる。例えば、画素の面積に対する、透過領域の面積の割合は、1%以上95%以下、好ましくは10%以上90%以下、より好ましくは20%以上80%以下とすることができる。特に40%以上又は50%以上とすることが好ましく、60%以上80%以下であるとより好ましい。
また、図18(A2)に示す一点鎖線C-Dの切断面に相当する断面図を図18(B)に示す。なお、図18(B)では、上面図において図示していない、液晶素子930LC、着色膜932CF、遮光膜932BM、容量素子915、駆動回路部901等の断面も合わせて図示している。駆動回路部901としては、走査線駆動回路部又は信号線駆動回路部として用いることができる。また、駆動回路部901は、トランジスタ911を有する。
図18(B)に示すように、バックライトユニット(BLU)からの光は、破線の矢印に示す方向に射出される。バックライトユニット(BLU)の光は、トランジスタ914、及び容量素子915等を介して外部に取り出される。したがって、トランジスタ914、及び容量素子915を構成する膜などについても、透光性を有すると好ましい。トランジスタ914、容量素子915等が有する透光性の領域の面積が広いほど、バックライトユニット(BLU)の光を効率良く使用することができる。
なお、図18(B)に示すように、バックライトユニット(BLU)からの光は、着色膜932CFを介して外部に取り出してもよい。着色膜932CFを介して取り出すことで、所望の色に着色することができる。着色膜932CFとしては、赤(R)、緑(G)、青(B)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黄色(Y)等から選択することができる。
また、図17及び図18に示すトランジスタ、配線、容量素子等には、以下に示す材料を用いることができる。
トランジスタが有する半導体膜は、透光性を有する半導体材料を用いて形成することができる。透光性を有する半導体材料としては、金属酸化物、又は酸化物半導体(Oxide Semiconductor)等が挙げられる。酸化物半導体は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウム及び亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウムなどから選ばれた一種、又は複数種が含まれていてもよい。
トランジスタが有する導電膜は、透光性を有する導電性材料を用いて形成することができる。透光性を有する導電性材料は、インジウム、亜鉛、錫の中から選ばれた一種、又は複数種を含むことが好ましい。具体的には、In酸化物、In-Sn酸化物(ITO:Indium Tin Oxideともいう)、In-Zn酸化物、In-W酸化物、In-W-Zn酸化物、In-Ti酸化物、In-Sn-Ti酸化物、In-Sn-Si酸化物、Zn酸化物、Ga-Zn酸化物などが挙げられる。
また、トランジスタが有する導電膜に、不純物元素を含有させる等して低抵抗化させた酸化物半導体を用いてもよい。当該低抵抗化させた酸化物半導体は、酸化物導電体(OC:Oxide Conductor)ということができる。
例えば、酸化物導電体は、酸化物半導体に酸素欠損を形成し、当該酸素欠損に水素を添加することで、伝導帯近傍にドナー準位が形成される。酸化物半導体にドナー準位が形成されることで、酸化物半導体は、導電性が高くなり導電体化する。
なお、酸化物半導体は、エネルギーギャップが大きい(例えば、エネルギーギャップが2.5eV以上である)ため、可視光に対して透光性を有する。また、上述したように酸化物導電体は、伝導帯近傍にドナー準位を有する酸化物半導体である。したがって、酸化物導電体は、ドナー準位による吸収の影響は小さく、可視光に対して酸化物半導体と同程度の透光性を有する。
また、酸化物導電体は、トランジスタが有する半導体膜に含まれる金属元素を一種類以上有することが好ましい。同一の金属元素を有する酸化物半導体を、トランジスタを構成する層のうち2層以上に用いることで、製造装置(例えば、成膜装置、加工装置等)を2以上の工程で共通で用いることが可能となるため、製造コストを抑制することができる。
本実施の形態に示す表示装置が有する画素の構成とすることで、発光素子及びバックライトユニットのいずれか一方又は双方から射出される光を効率よく使用することができる。したがって、消費電力が抑制された、優れた表示装置を提供することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態5)
〔トランジスタ〕
トランジスタは、ゲート電極として機能する導電層と、半導体層と、ソース電極として機能する導電層と、ドレイン電極として機能する導電層と、ゲート絶縁層として機能する絶縁層と、を有する。
図12では、ボトムゲート構造のトランジスタを適用した場合を示している。
なお、本発明の一態様の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型又はボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。又は、チャネルの上下にゲート電極が設けられていてもよい。
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
また、トランジスタに用いる半導体材料としては、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である金属酸化物を用いることができる。代表的には、インジウムを含む金属酸化物などであり、例えば、後述するCAC-OSなどを用いることができる。
シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい金属酸化物を用いたトランジスタは、その低いオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量素子に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。
半導体層は、例えばインジウム、亜鉛及びM(アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、スズ、ネオジム又はハフニウム等の金属)を含むIn-M-Zn系酸化物で表記される膜とすることができる。
半導体層を構成する金属酸化物がIn-M-Zn系酸化物の場合、In-M-Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比はそれぞれ、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
本実施の形態で例示したボトムゲート構造のトランジスタは、作製工程を削減できるため好ましい。またこのとき金属酸化物を用いることで、多結晶シリコンよりも低温で形成できる、半導体層よりも下層の配線や電極の材料、基板の材料として、耐熱性の低い材料を用いることが可能なため、材料の選択の幅を広げることができる。例えば、極めて大面積のガラス基板などを好適に用いることができる。
半導体層としては、キャリア密度の低い金属酸化物膜を用いる。例えば、半導体層は、キャリア密度が1×1017/cm3以下、好ましくは1×1015/cm3以下、さらに好ましくは1×1013/cm3以下、より好ましくは1×1011/cm3以下、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上のキャリア密度の金属酸化物を用いることができる。そのような金属酸化物を、高純度真性又は実質的に高純度真性な金属酸化物と呼ぶ。これにより不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低いため、安定な特性を有する金属酸化物であるといえる。
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、半導体層のキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
半導体層を構成する金属酸化物において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、半導体層において酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、半導体層におけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
また、アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、金属酸化物と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため半導体層における二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
また、半導体層を構成する金属酸化物に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている金属酸化物を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため半導体層における二次イオン質量分析法により得られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm3以下にすることが好ましい。
また、半導体層は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、c軸に配向した結晶を有するCAAC-OS(C-Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor、又は、C-Axis Aligned and A-B-plane Anchored Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶構造、微結晶構造、又は非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC-OSは最も欠陥準位密度が低い。
非晶質構造の金属酸化物膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。又は、非晶質構造の酸化物膜は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さない。
なお、半導体層が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC-OSの領域、単結晶構造の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば上述した領域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、又は積層構造を有する場合がある。
<CAC-OSの構成>
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(Cloud-Aligned Composite)-OSの構成について説明する。
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い表現での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductor又は単にOSともいう)などに分類される。例えば、トランジスタの活性層に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、OS FETと記載する場合においては、金属酸化物又は酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
本明細書において、金属酸化物が、導電体の機能を有する領域と、誘電体の機能を有する領域とが混合し、金属酸化物全体では半導体として機能する場合、CAC(Cloud-Aligned Composite)-OS(Oxide Semiconductor)、又はCAC-metal oxideと定義する。
つまり、CAC-OSとは、例えば、酸化物半導体を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、0.5nm以上3nm以下、又はその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、酸化物半導体において、一つあるいはそれ以上の元素が偏在し、該元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、0.5nm以上3nm以下、又はその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、又はパッチ状ともいう。
特定の元素が偏在した領域は、該元素が有する性質により、物理特性が決定する。例えば、金属酸化物を構成する元素の中でも比較的、絶縁体となる傾向がある元素が偏在した領域は、誘電体領域となる。一方、金属酸化物を構成する元素の中でも比較的、導体となる傾向がある元素が偏在した領域は、導電体領域となる。また、導電体領域、及び誘電体領域がモザイク状に混合することで、材料としては、半導体として機能する。
つまり、本発明の一態様における金属酸化物は、物理特性が異なる材料が混合した、マトリックス複合材(matrix composite)、又は金属マトリックス複合材(metal matrix composite)の一種である。
なお、酸化物半導体は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウム及び亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、元素M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウムなどから選ばれた一種、又は複数種)が含まれていてもよい。
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OS(CAC-OSの中でもIn-Ga-Zn酸化物を、特にCAC-IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化物(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、又はインジウム亜鉛酸化物(以下、InX2ZnY2OZ2(X2、Y2、及びZ2は0よりも大きい実数)とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とする。)、又はガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4OZ4(X4、Y4、及びZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状となり、モザイク状のInOX1、又はInX2ZnY2OZ2が、膜中に均一に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
つまり、CAC-OSは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、又はInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合酸化物半導体である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、及びOによる1つの化合物をいう場合がある。代表例として、InGaO3(ZnO)m1(m1は自然数)、又はIn(1+x0)Ga(1-x0)O3(ZnO)m0(-1≦x0≦1、m0は任意数)で表される結晶性の化合物が挙げられる。
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、又はCAAC構造を有する。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa-b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
一方、CAC-OSは、酸化物半導体の材料構成に関する。CAC-OSとは、In、Ga、Zn、及びOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状領域が観察され、一部にInを主成分とするナノ粒子状領域が観察され、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。したがって、CAC-OSにおいて、結晶構造は副次的な要素である。
なお、CAC-OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含まない。
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、又はInOX1が主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウムなどから選ばれた一種、又は複数種が含まれている場合、CAC-OSは、一部に該元素を主成分とするナノ粒子状領域が観察され、一部にInを主成分とするナノ粒子状領域が観察され、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。
<CAC-OSの解析>
続いて、各種測定方法を用い、基板上に成膜した酸化物半導体について測定を行った結果について説明する。
≪試料の構成と作製方法≫
以下では、本発明の一態様に係る9個の試料について説明する。各試料は、それぞれ、酸化物半導体を成膜する際の基板温度、及び酸素ガス流量比を異なる条件で作製する。なお、試料は、基板と、基板上の酸化物半導体と、を有する構造である。
各試料の作製方法について、説明する。
まず、基板として、ガラス基板を用いる。続いて、スパッタリング装置を用いて、ガラス基板上に酸化物半導体として、厚さ100nmのIn-Ga-Zn酸化物を形成する。成膜条件は、チャンバー内の圧力を0.6Paとし、ターゲットには、酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])を用いる。また、スパッタリング装置内に設置された酸化物ターゲットに2500WのAC電力を供給する。
なお、酸化物を成膜する際の条件として、基板温度を、加熱しない温度(以下、室温又はR.T.ともいう。)、130℃、又は170℃とした。また、Arと酸素の混合ガスに対する酸素ガスの流量比(以下、酸素ガス流量比ともいう。)を、10%、30%、又は100%とすることで、9個の試料を作製する。
≪X線回折による解析≫
本項目では、9個の試料に対し、X線回折(XRD:X-ray diffraction)測定を行った結果について説明する。なお、XRD装置として、Bruker社製D8 ADVANCEを用いた。また、条件は、Out-of-plane法によるθ/2θスキャンにて、走査範囲を15deg.乃至50deg.、ステップ幅を0.02deg.、走査速度を3.0deg./分とした。
図19にOut-of-plane法を用いてXRDスペクトルを測定した結果を示す。なお、図19において、上段には成膜時の基板温度条件が170℃の試料における測定結果、中段には成膜時の基板温度条件が130℃の試料における測定結果、下段には成膜時の基板温度条件がR.T.の試料における測定結果を示す。また、左側の列には酸素ガス流量比の条件が10%の試料における測定結果、中央の列には酸素ガス流量比の条件が30%の試料における測定結果、右側の列には酸素ガス流量比の条件が100%の試料における測定結果、を示す。
図19に示すXRDスペクトルは、成膜時の基板温度を高くする、又は、成膜時の酸素ガス流量比の割合を大きくすることで、2θ=31°付近のピーク強度が高くなる。なお、2θ=31°付近のピークは、被形成面又は上面に略垂直方向に対してc軸に配向した結晶性IGZO化合物(CAAC(c-axis aligned crystalline)-IGZOともいう。)であることに由来することが分かっている。
また、図19に示すXRDスペクトルは、成膜時の基板温度が低い、又は、酸素ガス流量比が小さいほど、明確なピークが現れなかった。したがって、成膜時の基板温度が低い、又は、酸素ガス流量比が小さい試料は、測定領域のa-b面方向、及びc軸方向の配向は見られないことが分かる。
≪電子顕微鏡による解析≫
本項目では、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料を、HAADF(High-Angle Annular Dark Field)-STEM(Scanning Transmission Electron Microscope)によって観察、及び解析した結果について説明する(以下、HAADF-STEMによって取得した像は、TEM像ともいう。)。
HAADF-STEMによって取得した平面像(以下、平面TEM像ともいう。)、及び断面像(以下、断面TEM像ともいう。)の画像解析を行った結果について説明する。なお、TEM像は、球面収差補正機能を用いて観察した。なお、HAADF-STEM像の撮影には、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM-ARM200Fを用いて、加速電圧200kV、ビーム径約0.1nmφの電子線を照射して行った。
図20(A)は、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料の平面TEM像である。図20(B)は、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料の断面TEM像である。
≪電子線回折パターンの解析≫
本項目では、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料に、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照射することで、電子線回折パターンを取得した結果について説明する。
図20(A)に示す、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料の平面TEM像において、黒点a1、黒点a2、黒点a3、黒点a4、及び黒点a5で示す電子線回折パターンを観察する。なお、電子線回折パターンの観察は、電子線を照射しながら0秒の位置から35秒の位置まで一定の速度で移動させながら行う。黒点a1の結果を図20(C)、黒点a2の結果を図20(D)、黒点a3の結果を図20(E)、黒点a4の結果を図20(F)、及び黒点a5の結果を図20(G)に示す。
図20(C)、図20(D)、図20(E)、図20(F)、及び図20(G)より、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測できる。また、リング状の領域に複数のスポットが観測できる。
また、図20(B)に示す、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料の断面TEM像において、黒点b1、黒点b2、黒点b3、黒点b4、及び黒点b5で示す電子線回折パターンを観察する。黒点b1の結果を図20(H)、黒点b2の結果を図20(I)、黒点b3の結果を図20(J)、黒点b4の結果を図20(K)、及び黒点b5の結果を図20(L)に示す。
図20(H)、図20(I)、図20(J)、図20(K)、及び図20(L)より、リング状に輝度の高い領域が観測できる。また、リング状の領域に複数のスポットが観測できる。
ここで、例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC-OSに対し、試料面に平行にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、InGaZnO4の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる回折パターンが見られる。つまり、CAAC-OSは、c軸配向性を有し、c軸が被形成面又は上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、リング状の回折パターンが確認される。つまり、CAAC-OSは、a軸及びb軸は配向性を有さないことがわかる。
また、微結晶を有する酸化物半導体(nano crystalline oxide semiconductor。以下、nc-OSという。)に対し、大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。また、nc-OSに対し、小さいプローブ径の電子線(例えば50nm未満)を用いるナノビーム電子線回折を行うと、輝点(スポット)が観測される。また、nc-OSに対しナノビーム電子線回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。さらに、リング状の領域に複数の輝点が観測される場合がある。
成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料の電子線回折パターンは、リング状に輝度の高い領域と、該リング領域に複数の輝点を有する。したがって、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料は、電子線回折パターンが、nc-OSになり、平面方向、及び断面方向において、配向性は有さない。
以上より、成膜時の基板温度が低い、又は、酸素ガス流量比が小さい酸化物半導体は、アモルファス構造の酸化物半導体膜とも、単結晶構造の酸化物半導体膜とも明確に異なる性質を有すると推定できる。
≪元素分析≫
本項目では、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用い、EDXマッピングを取得し、評価することによって、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料の元素分析を行った結果について説明する。なお、EDX測定には、元素分析装置として日本電子株式会社製エネルギー分散型X線分析装置JED-2300Tを用いる。なお、試料から放出されたX線の検出にはSiドリフト検出器を用いる。
EDX測定では、試料の分析対象領域の各点に電子線照射を行い、これにより発生する試料の特性X線のエネルギーと発生回数を測定し、各点に対応するEDXスペクトルを得る。本実施の形態では、各点のEDXスペクトルのピークを、In原子のL殻への電子遷移、Ga原子のK殻への電子遷移、Zn原子のK殻への電子遷移及びO原子のK殻への電子遷移に帰属させ、各点におけるそれぞれの原子の比率を算出する。これを試料の分析対象領域について行うことにより、各原子の比率の分布が示されたEDXマッピングを得ることができる。
図21には、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料の断面におけるEDXマッピングを示す。図21(A)は、Ga原子のEDXマッピング(全原子に対するGa原子の比率は1.18乃至18.64[atomic%]の範囲とする。)である。図21(B)は、In原子のEDXマッピング(全原子に対するIn原子の比率は9.28乃至33.74[atomic%]の範囲とする。)である。図21(C)は、Zn原子のEDXマッピング(全原子に対するZn原子の比率は6.69乃至24.99[atomic%]の範囲とする。)である。また、図21(A)、図21(B)、及び図21(C)は、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料の断面において、同範囲の領域を示している。なお、EDXマッピングは、範囲における、測定元素が多いほど明るくなり、測定元素が少ないほど暗くなるように、明暗で元素の割合を示している。また、図21に示すEDXマッピングの倍率は720万倍である。
図21(A)、図21(B)、及び図21(C)に示すEDXマッピングでは、画像に相対的な明暗の分布が見られ、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料において、各原子が分布を持って存在している様子が確認できる。ここで、図21(A)、図21(B)、及び図21(C)に示す実線で囲む範囲と破線で囲む範囲に注目する。
図21(A)では、実線で囲む範囲は、相対的に暗い領域を多く含み、破線で囲む範囲は、相対的に明るい領域を多く含む。また、図21(B)では実線で囲む範囲は、相対的に明るい領域を多く含み、破線で囲む範囲は、相対的に暗い領域を多く含む。
つまり、実線で囲む範囲はIn原子が相対的に多い領域であり、破線で囲む範囲はIn原子が相対的に少ない領域である。ここで、図21(C)では、実線で囲む範囲において、右側は相対的に明るい領域であり、左側は相対的に暗い領域である。したがって、実線で囲む範囲は、InX2ZnY2OZ2、又はInOX1などが主成分である領域である。
また、実線で囲む範囲はGa原子が相対的に少ない領域であり、破線で囲む範囲はGa原子が相対的に多い領域である。図21(C)では、破線で囲む範囲において、左上の領域は、相対的に明るい領域であり、右下側の領域は、相対的に暗い領域である。したがって、破線で囲む範囲は、GaOX3、又はGaX4ZnY4OZ4などが主成分である領域である。
また、図21(A)、図21(B)、及び図21(C)より、In原子の分布は、Ga原子よりも、比較的、均一に分布しており、InOX1が主成分である領域は、InX2ZnY2OZ2が主成分となる領域を介して、互いに繋がって形成されているように見える。このように、InX2ZnY2OZ2、又はInOX1が主成分である領域は、クラウド状に広がって形成されている。
このように、GaOX3などが主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、又はInOX1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有するIn-Ga-Zn酸化物を、CAC-OSと呼称することができる。
また、CAC-OSにおける結晶構造は、nc構造を有する。CAC-OSが有するnc構造は、電子線回折像において、単結晶、多結晶、又はCAAC構造を含むIGZOに起因する輝点(スポット)以外にも、数か所以上の輝点(スポット)を有する。又は、数か所以上の輝点(スポット)に加え、リング状に輝度の高い領域が現れるとして結晶構造が定義される。
また、図21(A)、図21(B)、及び図21(C)より、GaOX3などが主成分である領域、及びInX2ZnY2OZ2、又はInOX1が主成分である領域のサイズは、0.5nm以上10nm以下、又は1nm以上3nm以下で観察される。なお、好ましくは、EDXマッピングにおいて、各元素が主成分である領域の径は、1nm以上2nm以下とする。
以上より、CAC-OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC-OSは、GaOX3などが主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、又はInOX1が主成分である領域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
ここで、InX2ZnY2OZ2、又はInOX1が主成分である領域は、GaOX3などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、InX2ZnY2OZ2、又はInOX1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、酸化物半導体としての導電性が発現する。したがって、InX2ZnY2OZ2、又はInOX1が主成分である領域が、酸化物半導体中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
一方、GaOX3などが主成分である領域は、InX2ZnY2OZ2、又はInOX1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaOX3などが主成分である領域が、酸化物半導体中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なスイッチング動作を実現できる。
したがって、CAC-OSを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する絶縁性と、InX2ZnY2OZ2、又はInOX1に起因する導電性とが、相補的に作用することにより、高いオン電流(Ion)、及び高い電界効果移動度(μ)を実現することができる。
また、CAC-OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。したがって、CAC-OSは、ディスプレイをはじめとする様々な半導体装置に最適である。
また、半導体層にCAC-OSを有するトランジスタは電界効果移動度が高く、且つ駆動能力が高いので、該トランジスタを、駆動回路、代表的にはゲート信号を生成するゲート線駆動回路に用いることで、額縁幅の狭い(狭額縁ともいう)表示装置を提供することができる。また、該トランジスタを、表示装置が有する信号線からの信号の供給を行う信号線駆動回路(特に、信号線駆動回路が有するシフトレジスタの出力端子に接続されるデマルチプレクサ)に用いることで、表示装置に接続される配線数が少ない表示装置を提供することができる。
また、半導体層にCAC-OSを有するトランジスタは低温ポリシリコンを用いたトランジスタのように、レーザ結晶化工程が不要である。これのため、大面積基板を用いた表示装置であっても、製造コストを低減することが可能である。さらに、ウルトラハイビジョン(「4K解像度」、「4K2K」、「4K」)、スーパーハイビジョン(「8K解像度」、「8K4K」、「8K」)のよう高解像度であり、且つ大型の表示装置において、半導体層にCAC-OSを有するトランジスタを駆動回路及び表示部に用いることで、短時間での書き込みが可能であり、表示不良を低減することが可能であり好ましい。
又は、トランジスタのチャネルが形成される半導体にシリコンを用いてもよい。シリコンとしてアモルファスシリコンを用いてもよいが、特に結晶性を有するシリコンを用いることが好ましい。例えば、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンなどを用いることが好ましい。特に、多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温で形成でき、且つアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備える。
本実施の形態で例示したボトムゲート構造のトランジスタは、作製工程を削減できるため好ましい。またこのときアモルファスシリコンを用いることで、多結晶シリコンよりも低温で形成できるため、半導体層よりも下層の配線や電極の材料、基板の材料として、耐熱性の低い材料を用いることが可能なため、材料の選択の幅を広げることができる。例えば、極めて大面積のガラス基板などを好適に用いることができる。一方、トップゲート型のトランジスタは、自己整合的に不純物領域を形成しやすいため、特性のばらつきなどを低減することができるため好ましい。このとき、特に、多結晶シリコンや単結晶シリコンなどを用いる場合に適している。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。