以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は車両のテールゲートを示す正面図を、図2は図1のテールゲートを側方から見た側面図を、図3はセンサユニットの表側を示す斜視図を、図4はセンサユニットの裏側を示す斜視図を、図5はケーブルセンサの先端側を拡大した斜視図を、図6は図3および図4のA-A線に沿う断面図を、図7は図3および図4のB-B線に沿う断面図を、図8は図3および図4のC-C線に沿う断面図をそれぞれ示している。
図1および図2に示される車両10は、所謂ハッチバックタイプの車両であり、当該車両10の後方側には、大きな荷物を車室内に出し入れし得る開口部11が形成されている。開口部11は、車両10の天井部の後方側に設けられたヒンジ(図示せず)を中心に回動されるテールゲート(開閉体)12により、図2の実線矢印および破線矢印のように開閉される。
また、本実施の形態に係る車両10には、パワーテールゲート装置(自動開閉装置)13が搭載されている。パワーテールゲート装置13は、テールゲート12を開閉させる減速機付きのアクチュエータ(ACT)13aと、操作スイッチ(図示せず)の操作信号に基づいてアクチュエータ13aを制御するコントローラ(ECU)13bと、障害物BLの接触を検出する一対のセンサユニット20と、を備えている。
図1に示されるように、センサユニット20は、テールゲート12の車幅方向両側(図中左右側)にそれぞれ装着されている。より具体的には、一対のセンサユニット20は、テールゲート12の車幅方向両側の縁部12aの湾曲形状に沿って設けられている。つまり、一対のセンサユニット20は、縁部12aの湾曲形状に倣って湾曲状態とされ、当該湾曲状態のもとで、テールゲート12にそれぞれ固定されている。
これにより、開口部11とテールゲート12との間において、障害物BLがセンサユニット20に接触されると、当該センサユニット20を形成するケーブルセンサ30(図3および図4参照)が直ぐに弾性変形される。
そして、一対のセンサユニット20は、それぞれコントローラ13bに電気的に接続され、ケーブルセンサ30の弾性変形時に発生する検出信号は、コントローラ13bに入力される。コントローラ13bは、センサユニット20からの検出信号の入力に基づき、操作スイッチの操作に依らず閉駆動されているテールゲート12を開駆動(反転駆動)させるか、または閉駆動されているテールゲート12をその場で停止(緊急停止)させる。これにより、障害物BLの挟み込みが未然に防止される。
ここで、図5および図6に示されるように、ケーブルセンサ30には一対の電極31b,31cが設けられ、その先端側(図5中右側)には抵抗Rが電気的に接続されている。これにより、ケーブルセンサ30が弾性変形されていない状態では、一対の電極31b,31cは互いに接触されず、コントローラ13bには、抵抗Rの抵抗値が入力される。つまり、コントローラ13bは、抵抗Rの抵抗値が入力されている場合には、障害物BLの挟み込みが無いと判断して、テールゲート12の閉駆動を継続して実行する。
これに対し、センサユニット20に障害物BLが接触して、ケーブルセンサ30が弾性変形されると、一対の電極31b,31cが互いに接触されて短絡される。すると、コントローラ13bには、抵抗Rを介さない抵抗値(無限大)が入力されるようになる。これにより、コントローラ13bは抵抗値の変化を検出して、当該抵抗値の変化をトリガにテールゲート12を開駆動させるか、またはテールゲート12をその場で停止させる制御を実行する。
図3ないし図8に示されるように、センサユニット20は、長尺の紐状に形成され、かつ障害物BL(図2参照)の接触により弾性変形されるケーブルセンサ30と、当該ケーブルセンサ30をテールゲート12(図1および図2参照)に固定するためのセンサブラケット(ブラケット)40と、を備えている。
そして、センサユニット20を形成するケーブルセンサ30は、センサブラケット40を介して、テールゲート12の縁部12a(図1および図2参照)に沿うよう設けられている。これにより、複雑な形状のテールゲート12であっても、障害物BLの挟み込みを確実に防止することができる。
ここで、テールゲート12は、本発明における固定対象物を構成している。また、図3および図4においては、ケーブルセンサ30を判り易くするために、当該ケーブルセンサ30に淡色の網掛けを施している。なお、図4における濃色の網掛け部分は、後述するホットメルト接着剤を示している。
図6に示されるように、ケーブルセンサ30は、センサ本体31と、当該センサ本体31を保持するセンサホルダ32と、から形成されている。また、図3および図4に示されるように、ケーブルセンサ30の基端側には、一対の電極31b,31cの基端側が配置され、これらの電極31b,31cの基端部分には、コントローラ13b(図1および図2参照)のメス型コネクタ(図示せず)に装着されるオス型コネクタ30aが設けられている。
図6に示されるように、センサ本体31は、可撓性を有する絶縁ゴム材等よりなる中空の絶縁チューブ31aを備えている。絶縁チューブ31aは外力の付加により弾性変形され、絶縁チューブ31aの径方向内側(内部)には、一対の電極31b,31cが互いに非接触の状態で螺旋状に保持されている。これらの電極31b,31cは、可撓性を有する導電ゴム等よりなる導電チューブ31dを備え、その内部には複数の銅線を束ねてなる導電線31eが設けられている。
そして、図6に示されるように、絶縁チューブ31aの内径寸法は、一対の電極31b,31cの直径寸法の約3倍の大きさとなっている。言い換えれば、絶縁チューブ31aの軸心を中心に互いに対向する一対の電極31b,31cの間には、電極が約1本入る程度の微小な隙間Sが形成されている。
このように、絶縁チューブ31aの内部には、一対の電極31b,31cが径方向に対向配置されるとともに長手方向に螺旋状に固定され、かつ一対の電極31b,31c間には、電極が約1本入る程度の微小な隙間Sが確保されている。これにより、センサ本体31のどの部分が障害物BL(図2参照)により弾性変形されたとしても、略同じ条件(外力)で一対の電極31b,31cは互いに接触して短絡される。
ここで、テールゲート12に用いられるセンサユニット20では、絶縁チューブ31aの直径寸法は約5.0mm程度となっている。したがって、センサユニット20のテールゲート12に対する取り回しや、検出感度を考慮すると、直径寸法が1.0mm程度の一対の電極31b,31cを、絶縁チューブ31aの内部に螺旋状に設けるのが望ましい。
例えば、本実施の形態では、センサ本体31を半径が4.0mmの小径の支柱に巻き掛けた場合でも、一対の電極31b,31cは互いに短絡されなかった。これに対し、比較例として、例えば同じ絶縁チューブの内部に4本の同じ電極を平行に設けたものでは、センサ本体を半径が7.5mmの大径の支柱に巻き掛けた場合でも各電極は短絡された。
このように、本実施の形態、つまり、絶縁チューブ31aの内部に一対の電極31b,31cを螺旋状に設けたものにおいては、鋭角から鈍角までの比較的広い角度範囲で湾曲された縁部12aを有するテールゲート12に対して、十分に対応可能となっている。
図3ないし図8に示されるように、センサホルダ32は、可撓性を有する絶縁ゴム材を押し出し成形等することで長尺の紐状に形成され、内部にセンサ本体31が収容された中空のセンサ収容部32aと、センサブラケット40のセンサ固定部41(図6参照)に固定される土台部32bと、を備えている。なお、図6ないし図8では、センサ収容部32aと土台部32bとの境界部分に破線を施している。
センサホルダ32の長手方向と交差する方向、つまりセンサホルダ32の短手方向に沿うセンサ収容部32aの断面形状は、略円形形状に形成されている。また、センサ収容部32aの肉厚は、絶縁チューブ31aの肉厚よりも薄い肉厚となっている。すなわち、センサ収容部32aにおいても、外力の付加(障害物BLの接触)により容易に弾性変形可能となっている。
したがって、絶縁チューブ31aに保持された一対の電極31b,31cは、センサ収容部32aおよび絶縁チューブ31aの弾性変形により互いに容易に接触(短絡)され、よって、センサ本体31の十分な検出性能(感度)が確保されている。
土台部32bは、センサ収容部32aの長手方向に沿うよう当該センサ収容部32aに一体に設けられている。土台部32bは、センサ収容部32aをセンサブラケット40のセンサ固定部41に固定する機能を有しており、センサ収容部32aおよびセンサ本体31は、土台部32bを介してセンサ固定部41に固定されている。
また、土台部32bにおけるセンサホルダ32の短手方向に沿う断面形状は、略台形形状に形成され、その短手方向両側面には、それぞれ傾斜面32cが形成されている。これらの傾斜面32cは、センサホルダ32の幅方向(図6中左右方向)から互いに対向するよう配置されている。また、一対の傾斜面32cは、センサ収容部32aからセンサ固定部41に向かうに連れて、土台部32bの幅寸法を大きくするよう傾斜されている。
なお、一対の傾斜面32cは、ケーブルセンサ30をセンサブラケット40に組み付ける際に、作業者により把持される部分となっている。具体的には、作業者が一対の傾斜面32cを把持しつつ、ケーブルセンサ30をセンサブラケット40に向けて所定圧で押圧することで、ケーブルセンサ30の位置決め突起32dがセンサブラケット40の貫通穴41aに差し込まれる。
ここで、位置決め突起32dは貫通穴41aに圧入されるが、そのとき作業者は、一対の傾斜面32cを介して中実の土台部32bを把持している。したがって、センサ本体31に無理な力が掛かることは無い。よって、センサ本体31を損傷させるようなことが無く、歩留まりを向上させることが可能となっている。
土台部32bのセンサ収容部32aが設けられた側とは反対側(図6中下側)には、センサブラケット40に向けて突出された位置決め突起32dが一体に設けられている。この位置決め突起32dは、断面が略長方形形状に形成され、センサブラケット40の貫通穴41aに差し込まれる部分となっている。つまり、位置決め突起32dは、ケーブルセンサ30をセンサブラケット40に対して位置決めする機能を備えている。
位置決め突起32dの幅寸法(図6中左右方向の寸法)は、土台部32bの幅寸法よりも小さくなっており、かつ位置決め突起32dの土台部32bからの突出高さは、センサブラケット40におけるセンサ固定部41の厚み寸法と略同じ大きさとなっている。これにより、位置決め突起32dを貫通穴41aにしっかりと差し込むことができ、かつ容易に外れないようになっている。さらには、位置決め突起32dは、貫通穴41aの裏側(図6中下側)に大きく突出することが無い。よって、センサユニット20の厚みが増大することも抑えられている。
また、位置決め突起32dは、図6ないし図8に示されるように、土台部32bの長手方向全域に亘って設けられている。つまり、位置決め突起32dは、センサホルダ32を押し出し成形等する際に一緒に形成される。なお、図6ないし図8では、土台部32bと位置決め突起32dとの境界部分に破線を施している。
位置決め突起32dの土台部32bが設けられている側とは反対側、つまり位置決め突起32dの先端側には、センサホルダ32の長手方向と交差する方向に広がった装着面32eが設けられている。この装着面32eには、ホットメルト接着剤よりなる引っ掛け部(脱落防止部材)33が装着されるようになっている。
センサホルダ32の装着面32eに装着される引っ掛け部33は、図示しないグルーガン(Glue-gun)等の加熱により溶融され、かつ冷却により硬化されたホットメルト接着剤、つまり熱溶融型接着剤によって形成されている。具体的には、ホットメルト接着剤には、本実施の形態では、エチレン酢酸ビニル(EVA)からなる熱可塑性プラスチックが用いられている。ただし、他の素材よりなる熱可塑性プラスチックをホットメルト接着剤として用いることもできる。
図6に示される引っ掛け部33は、硬化された後のホットメルト接着剤であって、センサホルダ32の装着面32eに強固に固定される。また、引っ掛け部33は、貫通穴41aのセンサホルダ32が設けられている側とは反対側(図6中下側)に設けられたテーパ部41dに引っ掛けられるようになっている。つまり、引っ掛け部33は、貫通穴41aに引っ掛けられている。このように、引っ掛け部33は、位置決め突起32dの貫通穴41aからの脱落を防止している。
さらには、引っ掛け部33をセンサブラケット40のテーパ部41dに引っ掛けることで、引っ掛け部33(ホットメルト接着剤)を、センサ固定部41の裏側(図6中下側)に大きく突出させないようにしている。これによっても、センサユニット20の厚みが増大することが抑制されている。
ここで、引っ掛け部33は、図4に示されるように、ケーブルセンサ30を形成するセンサホルダ32の長手方向端部寄りの部分にそれぞれ設けられている。これにより、図3の破線円(1),(2)の部分、つまりセンサホルダ32の長手方向両端の部分において、センサ固定部41に対する十分な固定強度を得ることができる。よって、ケーブルセンサ30がセンサブラケット40から外れることが確実に防止される。
図5に示されるように、センサホルダ32の端末(ケーブルセンサ30の先端側)には、モールド樹脂部32fが一体に設けられている。モールド樹脂部32fは、センサホルダ32の一部を構成しており、絶縁チューブ31a(図6参照)の端部および一対の電極31b,31cの端部を覆っている。さらには、モールド樹脂部32fの内部には、絶縁体よりなるセパレータSPと、1つの抵抗Rと、2つのかしめ部材SWとが設けられている。
このように、モールド樹脂部32fは、絶縁チューブ31aの端部,一対の電極31b,31cの端部,セパレータSP,抵抗R,一対のかしめ部材SWが、それぞれ外部に露出されるのを防止して、これらの構成部品を保護する機能を備えている。
ここで、抵抗Rの両端部には、長尺接続部P1と短尺接続部P2とが設けられている。そして、長尺接続部P1を短尺接続部P2に対して180度折り返すことで、長尺接続部P1および短尺接続部P2は、一対の電極31b,31cの導電線31eに対して、一対のかしめ部材SWによりそれぞれ電気的に接続されている。このように、一対の電極31b,31cの端部は、抵抗Rを介して互いに電気的に接続されている。
なお、一対のかしめ部材SWは、電工ペンチ等のかしめ治具(図示せず)によりかしめられるもので、これにより抵抗Rは、一対の電極31b,31cのそれぞれの導電線31eに強固に電気的に接続される。また、一対のかしめ部材SWは、セパレータSPを中心にその両側に対称となるようにそれぞれ配置され、当該セパレータSPの部分において互いに短絡されることが防止されている。
そして、モールド樹脂部32fは、セパレータSPや抵抗R等が組み付けられたセンサホルダ32の端部を金型(図示せず)にセットして、当該金型内に溶融されたゴム材料等を射出することで形成される。すなわち、セパレータSPや抵抗R等の構成部品は、モールド樹脂部32fの内部にインサート成形により埋設されている。
ここで、モールド樹脂部32fは、センサホルダ32と同じゴム材料により形成され、十分な柔軟性を有している。ただし、例えば、モールド樹脂部32fの内部に埋設されたセパレータSPや抵抗R等をより確実に保護すべく、センサホルダ32よりも高い硬度のゴム材料で形成することもできる。
図3,図4,図6ないし図8に示されるように、センサブラケット40は、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することで、2つの湾曲部CVを備えた略板状に形成されている。具体的には、2つの湾曲部CVは、テールゲート12の縁部12a(図1および図2参照)の湾曲形状に倣って設けられている。このように、センサブラケット40はプラスチック製であり、センサブラケット40の硬度の方が、ケーブルセンサ30の硬度よりも高くなっている。
センサブラケット40は、センサ固定部41および車体固定部42を備えている。センサ固定部41および車体固定部42は何れも略平板状に形成され、センサブラケット40をテールゲート12に固定した状態で、センサ固定部41は車室外側に配置され、車体固定部42は車室内側に配置される。ここで、車体固定部42には、固定ボルト(図示せず)がそれぞれ挿通される3つのボルト孔42aが設けられている。これにより、車体固定部42はテールゲート12にがたつくこと無く強固に固定される。
センサ固定部41は、ケーブルセンサ30が装着される部分となっている。図4に示されるように、センサ固定部41には、その長手方向に沿うようにして長尺の貫通穴41aが形成されている。貫通穴41aは、図6に示されるように、センサ固定部41の表側と裏側とを貫通しており、当該貫通穴41aには、ケーブルセンサ30の位置決め突起32dが差し込まれるようになっている。
図4に示されるように、センサ固定部41の裏側で、かつ貫通穴41aの長手方向端部寄りの部分には、貫通穴41aを塞ぐようにして橋渡し部41bがそれぞれ設けられている。これらの橋渡し部41bは、貫通穴41aが設けられたセンサ固定部41の強度を高める機能を備えている。
また、センサ固定部41の裏側で、かつ貫通穴41aの長手方向に沿う橋渡し部41bよりも中央側の部分には、合計3つの補強リブ41cが設けられている。これらの補強リブ41cにおいても、橋渡し部41bと同様に貫通穴41aを跨ぐようにして設けられ、貫通穴41aが設けられたセンサ固定部41の強度を高めている。
図4および図6に示されるように、センサ固定部41の裏側で、かつ貫通穴41aの長手方向両側には、テーパ部41dが設けられている。このテーパ部41dは、貫通穴41aの幅方向両側にそれぞれ設けられ、貫通穴41aのセンサホルダ32が設けられている側とは反対側(図6中下側)の開口部分を広げている。これにより、一対のテーパ部41dには、引っ掛け部33が引っ掛かっている。つまり、一対のテーパ部41dは、引っ掛け部33のセンサホルダ32が設けられている側への移動を規制するようになっている。
ここで、図7に示されるように、貫通穴41aと橋渡し部41bとに囲まれたスペースには、センサホルダ32の位置決め突起32dが、略隙間無く入り込んでいる。ただし、ケーブルセンサ30をセンサブラケット40に組み付けた状態において、位置決め突起32dと橋渡し部41bとの間には、若干の隙間Gが形成されている。
このように、位置決め突起32dと橋渡し部41bとの間に隙間Gを形成することで、両者の寸法誤差を吸収可能とし、ケーブルセンサ30をセンサブラケット40に対してがたつくこと無くしっかりと固定できるようにしている。また、隙間Gの他の機能には、センサホルダ32(ゴム製)とセンサブラケット40(プラスチック製)との熱膨張率の相違による体積変化の吸収がある。
さらに、図4および図8に示されるように、センサ固定部41の裏側で、かつ貫通穴41aの殆どの部分は開口されている。したがって、ケーブルセンサ30をセンサブラケット40に組み付ける際に、位置決め突起32dの貫通穴41aに対する差し込み具合を、作業者は容易に確認可能となっている。よって、センサユニット20の組み立て性の向上が図られている。
図6に示されるように、センサ固定部41と車体固定部42との間には、傾斜壁部43が設けられている。これにより、センサ固定部41と車体固定部42との間に、所定の高さ寸法の段差部DSが形成されている。このように、センサ固定部41および車体固定部42との間に高低差を付けることで、ケーブルセンサ30をテールゲート12における縁部12a(図1および図2参照)の近傍に配置可能としている。よって、障害物BL(図2参照)の挟み込み検知の感度が十分に確保されている。
また、段差部DSが設けられているが、ケーブルセンサ30をセンサ固定部41に組み付けた状態で、センサ収容部32a(センサ本体31)は、車体固定部42よりも上方に大きく突出されている。これによっても、障害物BL(図2参照)の挟み込み検知の感度が十分に確保されている。
ここで、図4に示されるように、センサホルダ32の基端側(図中右側)から引き出されたセンサ本体31は、センサブラケット40の裏側において、蛇行するようにして固定されている。具体的には、センサホルダ32の基端側から引き出されたセンサ本体31は、第1ホットメルト接着部HM1および第2ホットメルト接着部HM2によって、センサブラケット40の裏側に固定されている。
なお、これらの第1,第2ホットメルト接着部HM1,HM2に加えて、一対の引っ掛け部33(ホットメルト接着剤)は、センサユニット20をテールゲート12に装着した状態において、センサブラケット40とテールゲート12との間に配置される。よって、紫外線を浴びることによる劣化等が確実に防止されて、第1,第2ホットメルト接着部HM1,HM2および一対の引っ掛け部33の接着性能を、長期に亘って維持可能となっている。
次に、以上のように形成されたセンサユニット20の製造方法、特に、ケーブルセンサ30のセンサブラケット40への組み付け手順について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
[準備工程]
まず、別々の製造工程で製造または組み立てられたケーブルセンサ30およびセンサブラケット40を準備する。
また、第1,第2ホットメルト接着部HM1,HM2および引っ掛け部33を形成するスティック状のホットメルト接着剤(図示せず)と、当該ホットメルト接着剤を加熱して溶融させるグルーガン(図示せず)と、を準備する。
これにより、[準備工程]が完了する。
[差し込み工程]
次に、ケーブルセンサ30の位置決め突起32dを、センサブラケット40の貫通穴41aに臨ませて、位置決め突起32dを貫通穴41aに差し込んでいく。このとき、ケーブルセンサ30の先端側(図3中右側,図4中左側)から、位置決め突起32dを貫通穴41aに徐々に差し込むようにする。これにより、ケーブルセンサ30の一部の部分的に応力が集中したり「シワ」が寄ったりすることが防止される。
また、位置決め突起32dを確実に貫通穴41aに差し込むためにも、作業者は、土台部32bの一対の傾斜面32cを把持しつつ、センサブラケット40に向けて所定圧で押圧するようにする。これにより、図6ないし図8に示されるように、位置決め突起32dが貫通穴41aに対して圧入によって完全に入り込み、土台部32bとセンサ固定部41の表側とが、略隙間無く密着される。
これにより、[差し込み工程]が完了する。
[脱落部材装着工程]
次に、グルーガンにスティック状のホットメルト接着剤をセットし、かつグルーガンの電源を入れる。そして、ケーブルセンサ30が仮固定されたセンサブラケット40の裏側で、かつ貫通穴41a上にグルーガンを臨ませる。そして、貫通穴41aの長手方向両側の部分(図4中左右側)で、かつテーパ部41dがある部分に、溶融されたホットメルト接着剤を塗布(充填)する。
このとき、グルーガンのトリガー(図示せず)を調整して、図6に示されるように、引っ掛け部33となるホットメルト接着剤の塗布量を、テーパ部41dを覆うようにしつつ、センサ固定部41の裏側に大きく突出しないように調整する。その後、ホットメルト接着剤を、冷風等を当てることにより冷却して硬化させる。
よって、ケーブルセンサ30の長手方向端部寄りの部分に、引っ掛け部33が形成され、ケーブルセンサ30のセンサブラケット40に対する本固定が終了する。
なお、ケーブルセンサ30の長手方向端部寄りの部分のみに引っ掛け部33を形成するに限らず、例えば、ケーブルセンサ30がセンサブラケット40の湾曲部CV(図4参照)の近傍で浮いてしまうような場合には、当該部分に引っ掛け部を追加で形成するようにしても構わない。
これにより、[脱落部材装着工程]が終了する。
引き続きグルーガンを操作することにより、図4に示されるように、第1ホットメルト接着部HM1および第2ホットメルト接着部HM2を形成する。これにより、センサホルダ32の基端側から引き出されたセンサ本体31を、センサブラケット40の裏側に固定する。
このようにして、最終的にセンサユニット20が完成する。
以上詳述したように、実施の形態1によれば、ケーブルセンサ30に、センサブラケット40に向けて突出された位置決め突起32dが設けられ、センサブラケット40に、位置決め突起32dが差し込まれる貫通穴41aが設けられ、貫通穴41aのケーブルセンサ30が設けられている側とは反対側に、位置決め突起32dに装着されて、位置決め突起32dの貫通穴41aからの脱落を防止する引っ掛け部33が設けられ、引っ掛け部33が、少なくともケーブルセンサ30の長手方向端部寄りの部分に設けられている。
これにより、複雑な形状のセンサブラケット40であっても、ケーブルセンサ30の長手方向端部寄りの部分が外れることが確実に防止される。したがって、ケーブルセンサ30のセンサブラケット40に対する固定強度を高めて、頻繁なメンテナンスを不要にでき、ひいては信頼性を向上させることが可能となる。
また、実施の形態1によれば、引っ掛け部33が、加熱により溶融されかつ冷却により硬化されるホットメルト接着剤によって形成され、貫通穴41aに引っ掛けられている。したがって、低コストでかつ容易に、ケーブルセンサ30をセンサブラケット40に固定することができる。
さらに、実施の形態1によれば、従前のように両面テープを用いること無く、土台部32bをセンサ固定部41に密着させることができるので、両者間には隙間が形成されず、見栄えを良くすることができる。また、土台部32bとセンサ固定部41との間に隙間が形成されないので、埃やゴミ等が挟まったりすることも防止することができる。
次に、本発明の実施の形態2ないし実施の形態5(他の4種類)について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
図9は実施の形態2のセンサユニットを示す断面図を、図10は実施の形態3のセンサユニットを示す断面図を、図11は実施の形態4のセンサユニットを示す断面図を、図12は実施の形態5のセンサユニットを示す断面図をそれぞれ示している。
[実施の形態2]
図9に示されるように、実施の形態2のセンサユニット50では、実施の形態1のセンサユニット20(図6参照)に比して、位置決め突起32dの引っ掛け部33(ホットメルト接着剤)が装着される装着面32eに、引っ掛け部33の装着強度(接着強度)を高める複数の第1凹凸51が設けられている点のみが異なっている。
具体的には、複数の第1凹凸51は、断面が略三角形形状に形成された3つの凹部51aと、断面が略台形形状に形成された4つの凸部51bと、を備えている。これらの凹部51aおよび凸部51bは、何れも位置決め突起32dの長手方向全域に延びて設けられている。これにより、実施の形態1に比して、装着面32eの表面粗さが粗くなって、引っ掛け部33の位置決め突起32dに対する接着強度が高められる。
なお、装着面32eの表面粗さを粗くする方法としては、図9に示されるような目視し得る大きさの複数の第1凹凸51を設けるに限らず、断面が円弧形状や四角形形状に形成された微細でかつ目視不能な複数の第1凹凸を設ける方法もある。
以上のように形成された実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2では、装着面32eに対する引っ掛け部33の装着強度を、より高めることが可能となり、ひいてはケーブルセンサ30のセンサブラケット40に対する固定強度を、より高めることができる。
[実施の形態3]
図10に示されるように、実施の形態3のセンサユニット60では、実施の形態1のセンサユニット20(図6参照)に比して、まず、土台部32bの一対の傾斜面32cを廃止するとともに、一対の押圧凸部61を設けた点が異なっている。また、実施の形態1に比して、位置決め突起32dの高さ寸法を高くして、当該位置決め突起32dを、貫通穴41aの内部全域に入り込むようにした点、テーパ部41dが設けられていない点が異なっている。さらには、実施の形態1に比して、脱落防止部材として、金属製の差し込みピン62を採用した点が異なっている。
具体的には、差し込みピン62は、位置決め突起32dに差し込まれるピン部63と、当該ピン部63の軸方向と交差する方向に突出され、センサブラケット40に引っ掛けられるフランジ部64と、を備えている。また、ピン部63の長さ寸法は、位置決め突起32dの高さ寸法よりも長い長さ寸法に設定されており、これによりピン部63の先端側は、土台部32bにまで食い込んでいる。さらには、ピン部63の外周部分には、位置決め突起32dに対するピン部63の抜け止め強度を高める複数の第2凹凸65が設けられている。
そして、ケーブルセンサ30をセンサブラケット40に本固定するには、図10の矢印M1に示されるように、一対の押圧凸部61を所定の大きさの押圧力でセンサ固定部41に向けて押圧しつつ、矢印M2に示されるように、差し込みピン62のピン部63を位置決め突起32dに差し込むようにする。これにより、ピン部63が位置決め突起32dに食い込むようにして差し込まれ、ケーブルセンサ30がセンサブラケット40に本固定される。
このとき、差し込みピン62のフランジ部64がセンサブラケット40に引っ掛けられ、かつピン部63の外周部分に設けられた複数の第2凹凸65により差し込みピン62の位置決め突起32dに対する抜け止め強度が高められているので、ケーブルセンサ30はセンサブラケット40から容易には外れることが無い。
さらには、ピン部63が位置決め突起32dに食い込んだことで、矢印M3に示されるように、位置決め突起32dが貫通穴41aに対して膨らむ。これにより、位置決め突起32dの貫通穴41aに対する固定強度(抜け止め強度)が高められている。
以上のように形成された実施の形態3においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態3では、脱落防止部材を、ピン部63とフランジ部64とを備えた差し込みピン62で構成したので、作業者の作業経験の長短に依らず、センサユニット60の見栄えを統一する(一定にする)ことができる。つまり、実施の形態1においては、作業者の作業経験の長短に依っては、ホットメルト接着剤の塗布状態(仕上がり状態)に差が生じ易く、見栄えも変わり易い。
[実施の形態4]
図11に示されるように、実施の形態4のセンサユニット70では、実施の形態1のセンサユニット20(図6参照)に比して、まず、土台部32bの高さが低くなっており、かつ一対の傾斜面32cを廃止した点が異なっている。また、実施の形態1に比して、位置決め突起32dに、貫通穴41aの軸方向に窪んだ窪み部71を設けた点が異なっている。さらには、実施の形態1に比して、貫通穴41aに、当該貫通穴41aの径方向内側に突出された一対の突起部72を設けた点が異なっている。また、実施の形態1に比して、脱落防止部材として、プラスチック製の差し込み部材73を採用した点が異なっている。
具体的には、差し込み部材73は、窪み部71に差し込まれる差し込み部74と、当該差し込み部74の軸方向と交差する方向に突出された傘部75と、を備えている。また、差し込み部74の外周部分には、窪み部71に対する差し込み部74の抜け止め強度を高める複数の第3凹凸としてのねじ山76が設けられている。すなわち、差し込み部材73は「雄ねじ」によって構成されている。
さらに、差し込み部74の外径寸法φ1は、窪み部71の幅寸法W1よりも大きい寸法に設定されている(φ1>W1)。また、位置決め突起32dの幅寸法W2は、一対の突起部72の間隔寸法W3よりも小さい寸法に設定されている(W2<W3)。
そして、ケーブルセンサ30をセンサブラケット40に本固定するには、まず、一対の突起部72の間に位置決め突起32dを差し込む。このとき、位置決め突起32dの幅寸法W2は、一対の突起部72の間隔寸法W3よりも小さいため、容易に差し込むことができる。よって、上述の実施の形態1のような作業者による押圧作業が不要となっている。
次いで、図11の矢印M4に示されるように、差し込み部材73の差し込み部74を、位置決め突起32dの窪み部71に臨ませる。その後、破線矢印R1に示されるように、ドライバ等の締結工具を用いて差し込み部材73を回転させる。これにより、ねじ山76を備えた差し込み部74が、窪み部71に対してねじ込まれるようにして差し込まれていく。
このとき、差し込み部74の外径寸法φ1の方が、窪み部71の幅寸法W1よりも大きいので、位置決め突起32dは、一対の突起部72に向けて膨らむようにして弾性変形される。これにより、位置決め突起32dに一対の突起部72が食い込んで、ケーブルセンサ30がセンサブラケット40に本固定される。
なお、脱落防止部材としては、通常の「雄ねじ」の形状に形成された差し込み部材73に換えて、図11の破線円で囲まれたねじ頭の無い所謂「イモネジ(六角穴付止めねじ)」の形状に形成された差し込み部材77を用いることもできる。
ここで、差し込み部材77には、六角穴78が設けられ、当該六角穴78には、差し込み部材77を回転させる六角レンチ(図示せず)が差し込まれるようになっている。また、差し込み部材77の外周部分にも、窪み部71に対する差し込み部材77の抜け止め強度を高める複数の第3凹凸としてのねじ山79が設けられている。この場合、差し込み部材77自身が、本発明における差し込み部を構成することになる。
以上のように形成された実施の形態4においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態4では、上述した実施の形態3と同様に、脱落防止部材を、ホットメルト接着剤では無く差し込み部材73(差し込み部材77)で構成したので、作業者の作業経験の長短に依らず、センサユニット70の見栄えを統一することができる。
[実施の形態5]
図12に示されるように、実施の形態5のセンサユニット80では、実施の形態1のセンサユニット20(図6参照)に比して、まず、センサホルダ32が導電性を有するゴム材で形成され、センサ収容部32aに保持されるセンサ本体81の検知方式が異なっている。また、実施の形態1に比して、脱落防止部材として、位置決め突起32dに一体に設けられた弾性変形部82を採用した点が異なっている。さらに、実施の形態1に比して、貫通穴41aのセンサ本体81が設けられている側とは反対側に、弾性変形部82が引っ掛けられる引っ掛け壁83を設けた点が異なっている。
具体的には、センサ本体81は、人体等の障害物BLが近接したことをコントローラ13b(図1および図2参照)に検出させる非接触タイプの近接センサとなっている。センサ本体81は電極からなり、人体等の障害物BLが図12の二点鎖線円で示される検出領域に入ると、障害物BLがセンサユニット80に近付いたことを示す電気信号の変化が、コントローラ13bに出力される。
ここで、センサ本体81には、微弱な電気信号がコントローラ13bから流れた状態となっている。そして、この状態で障害物BLがセンサ本体81に近付くと、障害物BLとセンサ本体81との間の静電容量が変化して、センサ本体81に流れている電気信号が立ち上がるようになっている。
この電気信号の変化をコントローラ13bに検出させることで、コントローラ13bは、障害物BLがセンサユニット80に近付いたことを検出する。すなわち、電極により形成されるセンサ本体81は、静電容量センサとなっている。なお、センサ本体81(電極)は、例えば複数の銅線を束ねた導電線(配線コード)により形成されている。
また、センサホルダ32に設けられた弾性変形部82は、外力の付加により弾性変形自在であり、センサホルダ32と同じ材質により形成されている。弾性変形部82は、位置決め突起32dの長手方向に沿うよう当該位置決め突起32dに一体化されている。すなわち、弾性変形部82は、センサホルダ32を押し出し成形する際に、位置決め突起32dとともに一緒に形成される。
位置決め突起32dの長手方向と交差する方向に沿う弾性変形部82の幅寸法W4は、貫通穴41aの幅寸法W5よりも大きくなっている(W4>W5)。つまり、弾性変形部82の幅寸法W4の方が、位置決め突起32dの幅寸法よりも大きくなっている。
これにより、図12に示されるように、ケーブルセンサ30をセンサブラケット40に固定した状態で、弾性変形部82は、センサブラケット40の引っ掛け壁83に引っ掛けられて、位置決め突起32dの貫通穴41aからの脱落が防止される。
ここで、弾性変形部82の位置決め突起32dが設けられている側とは反対側には、弾性変形部82の貫通穴41aへの挿通作業を容易にする一対のテーパ面TPが形成されている。これにより、弾性変形部82を貫通穴41aに容易に挿通することができ、ケーブルセンサ30をセンサブラケット40に容易に固定することができる。
具体的には、ケーブルセンサ30をセンサブラケット40に固定するには、作業者は一対の傾斜面32cを押さえつつ、弾性変形部82の一対のテーパ面TPを貫通穴41aに挿通させるようにする。ここで、作業者は、押し付け強さを強くすることで、弾性変形部82を弾性変形させつつ貫通穴41aに挿通させるようにする。その後、土台部32bがセンサ固定部41に密着するまで押し続け、これにより、弾性変形部82が引っ掛け壁83に引っ掛けられる。よって、ケーブルセンサ30のセンサブラケット40への固定工程が完了する。
以上のように形成された実施の形態5においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態5では、センサ本体81を非接触タイプの近接センサとしたので、障害物BLの接触を未然に防ぐことができ、より信頼性を高めることが可能となる。また、脱落防止部材としての弾性変形部82を、センサホルダ32(位置決め突起32d)に一体成形により一体化したので、部品点数を削減することができる。
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態1ないし実施の形態4では、絶縁チューブ31aの内部に一対の電極31b,31cを螺旋状に固定したものを示したが、本発明はこれに限らず、電極の太さや必要とされる検出性能等に応じて、4本や6本等の電極を螺旋状に設けたり平行に設けたりしても良い。
さらに、上記各実施の形態では、センサユニット20,50,60,70,80を、車両10のテールゲート12に固定した場合を示したが、本発明はこれに限らず、車両のサンルーフや車両の側方にあるスライドドアに固定しても良いし、車両10への適用に限らず、建物の出入り口を開閉するための自動ドア装置等にも適用することができる。
その他、上記各実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記各実施の形態に限定されない。