JP6998777B2 - イオン源装置、及び荷電粒子線治療装置 - Google Patents

イオン源装置、及び荷電粒子線治療装置 Download PDF

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本発明は、イオン源装置、及び荷電粒子線治療装置に関する。
従来、加速器の内部に設けられるイオン源装置(いわゆる内部イオン源)として、例えば、特許文献1に記載された装置が知られている。特許文献1に記載のイオン源装置は、内部空間を有する導電性の本体部と、本体部の内部空間に配置されたフィラメントと、本体部の内部空間で発生したイオンを内部空間から引き出す引出部と、を備える。
特開2014-049414号公報
上述のようなイオン源装置で生じたイオンは、加速器で加速されて荷電粒子線として出射される。このような荷電粒子線は、ビーム電流を調整することが求められる場合がある。このため、イオン源装置のイオンの引出量を調整することが求められる場合がある。ここで、イオンの引出量を調整する方法として、本体部内のプラズマ密度の調整を行う方法が挙げられる。しかしながら、プラズマという熱現象を介した制御は、応答性が低く、イオンの引出量の調整に時間がかかるという問題がある。
そこで本発明は、イオンの引出量を速やかに調整することができるイオン源装置、及び荷電粒子線治療装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係るイオン源装置は、加速器の内部に設けられるイオン源装置であって、内部空間を有する導電性の本体部と、本体部の内部空間に配置された陰極と、本体部の内部空間で発生したイオンを内部空間から引き出す引出部と、本体部にバイアス電圧を印加するバイアス電源と、を備える。
本発明に係るイオン源装置は、内部空間を有する導電性の本体部と、本体部の内部空間に配置された陰極と、を備えている。従って、本体部は、内部空間にて陰極で電子を発生させ、当該電子からイオンを発生させる。引出部は、本体部との間で高周波の電場を形成することで、本体部の内部空間で発生したイオンを内部空間から引き出す。ここで、バイアス電源は、本体部にバイアス電圧を印加する。本体部と引出部との間の電場は、バイアス電圧によって速やかに変調される。これにより、引出部は、変調された電場に応じた引出量でイオンを引き出すことができる。以上により、イオン源装置は、イオンの引出量を速やかに調整することができる。
イオン源装置において、バイアス電源は、イオンを加速器で加速することによって出射された荷電粒子線の線量を検出する検出部の検出結果に基づいて、バイアス電圧を本体部に印加してよい。これにより、バイアス電源は、荷電粒子線の線量を検出する検出部の検出結果を、印加するバイアス電圧にフィードバックすることができる。これにより、荷電粒子線のビーム電流を速やかに制御することが可能となる。
本発明に係る荷電粒子線治療装置は、イオンを加速して荷電粒子線を出射する加速器と、加速器の内部に設けられ、イオンを供給するイオン源装置と、被照射体に荷電粒子線を照射する照射部と、を備える荷電粒子線治療装置であって、イオン源装置は、内部空間を有する導電性の本体部と、本体部の内部空間に配置された陰極と、本体部との間で高周波の電場を形成することで、本体部の内部空間で発生したイオンを内部空間から引き出す引出部と、本体部にバイアス電圧を印加するバイアス電源と、を備える。
この荷電粒子線治療装置によれば、上述のイオン源装置と同様な作用・効果を得ることができる。
本発明によれば、イオンの引出量を速やかに調整することができるイオン源装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るイオン源装置が採用される荷電粒子線治療装置を示す概略構成図である。 図1の荷電粒子線治療装置の照射部付近の概略構成図である。 腫瘍に対して設定された層を示す図である。 加速器の概略断面図である。 イオン源装置の概略構成図である。 (a)は、イオン源における電子の発生を説明するための図であり、(b)は、イオン源における電子の運動を説明するための図である。 (a)は、イオン源における電子の衝突を説明するための図であり、(b)は、イオン源における水素イオンの発生を説明するための図である。 (a)は、バイアス電圧を印加せず、引出電圧のみが印加されたときの電場を示すグラフであり、(b)は、プラスのバイアス電圧が印加されたときの電場を示すグラフであり、(c)は、マイナスのバイアス電圧が印加されたときの電場を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態に係るイオン源装置について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係るイオン源装置50が採用される荷電粒子線治療装置1を示す概略構成図である。荷電粒子線治療装置1は、放射線療法によるがん治療等に利用される装置である。荷電粒子線治療装置1は、イオンを生成するイオン源装置50と、イオン源装置50で生成した荷電粒子を加速して荷電粒子線として出射する加速器3と、荷電粒子線を被照射体へ照射する照射部2と、加速器3から出射された荷電粒子線を照射部2へ輸送するビーム輸送ライン21と、を備えている。照射部2は、治療台4を取り囲むように設けられた回転ガントリ5に取り付けられている。照射部2は、回転ガントリ5によって治療台4の周りに回転可能とされている。
図2は、図1の荷電粒子線治療装置の照射部付近の概略構成図である。なお、以下の説明においては、「X軸方向」、「Y軸方向」、「Z軸方向」という語を用いて説明する。「Z軸方向」とは、荷電粒子線Bの基軸AXが延びる方向であり、荷電粒子線Bの照射の深さ方向である。なお、「基軸AX」とは、後述の走査電磁石6で偏向しなかった場合の荷電粒子線Bの照射軸とする。図2では、基軸AXに沿って荷電粒子線Bが照射されている様子を示している。「X軸方向」とは、Z軸方向と直交する平面内における一の方向である。「Y軸方向」とは、Z軸方向と直交する平面内においてX軸方向と直交する方向である。Z軸方向が請求項における照射軸方向に対応し、X軸方向が請求項における第1方向に該当し、Y軸方向が請求項における第2方向に該当するものとする。
まず、図2を参照して、本実施形態に係る荷電粒子線治療装置1の概略構成について説明する。荷電粒子線治療装置1はスキャニング法に係る照射装置である。なお、スキャニング方式は特に限定されず、ラインスキャニング、ラスタースキャニング、スポットスキャニング等を採用してよい。図2に示されるように、荷電粒子線治療装置1は、加速器3と、照射部2と、ビーム輸送ライン21と、制御部7と、を備えている。
加速器3は、荷電粒子を加速して予め設定されたエネルギーの荷電粒子線Bを出射する装置である。加速器3として、例えば、サイクロトロン、シンクロサイクロトロン、ライナック等が挙げられる。なお、加速器3として予め定めたエネルギーの荷電粒子線Bを出射するサイクロトロンを採用する場合、エネルギー調整部20を採用することで、照射部2へ送られる荷電粒子線のエネルギーを調整(低下)させることが可能となる。この加速器3は、制御部7に接続されており、供給される電流が制御される。加速器3で発生した荷電粒子線Bは、ビーム輸送ライン21によって照射部2へ輸送される。ビーム輸送ライン21は、加速器3と、エネルギー調整部20と、照射部2と、を接続し、加速器3から出射された荷電粒子線を照射部2へ輸送する。
照射部2は、患者15の体内の腫瘍(被照射体)14に対し、荷電粒子線Bを照射するものである。荷電粒子線Bとは、電荷をもった粒子を高速に加速したものであり、例えば陽子線、重粒子(重イオン)線、電子線等が挙げられる。具体的に、照射部2は、イオン源(不図示)で生成した荷電粒子を加速する加速器3から出射されてビーム輸送ライン21で輸送された荷電粒子線Bを腫瘍14へ照射する装置である。照射部2は、走査電磁石6、四極電磁石8、プロファイルモニタ11、ドーズモニタ12、ポジションモニタ13a,13b、コリメータ40、及びディグレーダ30を備えている。走査電磁石6、各モニタ11,12,13a,13b、四極電磁石8、及びディグレーダ30は、収容体としての照射ノズル9に収容されている。このように、照射ノズル9に各主構成要素を収容することによって照射部2が構成されている。なお、四極電磁石8、プロファイルモニタ11、ドーズモニタ12、ポジションモニタ13a,13b、及びディグレーダ30は省略してもよい。
走査電磁石(スキャニング部)6は、X軸方向走査電磁石6a及びY軸方向走査電磁石6bを含む。X軸方向走査電磁石6a及びY軸方向走査電磁石6bは、それぞれ一対の電磁石から構成され、制御部7から供給される電流に応じて一対の電磁石間の磁場を変化させ、当該電磁石間を通過する荷電粒子線Bを走査する。走査電磁石6によってX軸方向走査電磁石6aは、X軸方向に荷電粒子線Bを走査し、Y軸方向走査電磁石6bは、Y軸方向に荷電粒子線Bを走査する。これらの走査電磁石6は、基軸AX上であって、加速器3よりも荷電粒子線Bの下流側にこの順で配置されている。なお、走査電磁石6は、治療計画装置100で予め計画された走査経路で荷電粒子線Bが照射されるように、荷電粒子線Bを走査する。
四極電磁石8は、X軸方向四極電磁石8a及びY軸方向四極電磁石8bを含む。X軸方向四極電磁石8a及びY軸方向四極電磁石8bは、制御部7から供給される電流に応じて荷電粒子線Bを絞って収束させる。X軸方向四極電磁石8aは、X軸方向において荷電粒子線Bを収束させ、Y軸方向四極電磁石8bは、Y軸方向において荷電粒子線Bを収束させる。四極電磁石8に供給する電流を変化させて絞り量(収束量)を変化させることにより、荷電粒子線Bのビームサイズを変化させることができる。四極電磁石8は、基軸AX上であって加速器3と走査電磁石6との間にこの順で配置されている。なお、ビームサイズとは、XY平面における荷電粒子線Bの大きさである。また、ビーム形状とは、XY平面における荷電粒子線Bの形状である。
プロファイルモニタ11は、初期設定の際の位置合わせのために、荷電粒子線Bのビーム形状及び位置を検出する。プロファイルモニタ11は、基軸AX上であって四極電磁石8と走査電磁石6との間に配置されている。ドーズモニタ12は、荷電粒子線Bの線量を検出する。ドーズモニタ12は、基軸AX上であって走査電磁石6に対して下流側に配置されている。ポジションモニタ13a,13bは、荷電粒子線Bのビーム形状及び位置を検出監視する。ポジションモニタ13a,13bは、基軸AX上であって、ドーズモニタ12よりも荷電粒子線Bの下流側に配置されている。各モニタ11,12,13a,13bは、検出した検出結果を制御部7に出力する。
ディグレーダ30は、通過する荷電粒子線Bのエネルギーを低下させて当該荷電粒子線Bのエネルギーの微調整を行う。本実施形態では、ディグレーダ30は、照射ノズル9の先端部9aに設けられている。なお、照射ノズル9の先端部9aとは、荷電粒子線Bの下流側の端部である。
コリメータ40は、少なくとも走査電磁石6よりも荷電粒子線Bの下流側に設けられ、荷電粒子線Bの一部を遮蔽し、一部を通過させる部材である。ここでは、コリメータ40は、ポジションモニタ13a,13bの下流側に設けられている。コリメータ40は、当該コリメータ40を移動させるコリメータ駆動部41と接続されている。
制御部7は、例えばCPU、ROM、及びRAM等により構成されている。この制御部7は、各モニタ11,12,13a,13bから出力された検出結果に基づいて、加速器3、走査電磁石6、四極電磁石8、及びコリメータ駆動部51を制御する。
また、荷電粒子線治療装置1の制御部7は、荷電粒子線治療の治療計画を行う治療計画装置100と接続されている。治療計画装置100は、治療前に患者15の腫瘍14をCT等で測定し、腫瘍14の各位置における線量分布(照射すべき荷電粒子線の線量分布)を計画する。具体的には、治療計画装置100は、腫瘍14に対して治療計画マップを作成する。治療計画装置100は、作成した治療計画マップを制御部7へ送信する。治療計画装置100が作成した治療計画マップでは、荷電粒子線Bがどのような走査経路を描くかが計画されている。
スキャニング法による荷電粒子線の照射を行う場合、腫瘍14をZ軸方向に複数の層に仮想的に分割し、一の層において荷電粒子線を治療計画において定めた走査経路に従うように走査して照射する。そして、当該一の層における荷電粒子線の照射が完了した後に、隣接する次の層における荷電粒子線Bの照射を行う。
図2に示す荷電粒子線治療装置1により、スキャニング法によって荷電粒子線Bの照射を行う場合、通過する荷電粒子線Bが収束するように四極電磁石8を作動状態(ON)とする。
続いて、加速器3から荷電粒子線Bを出射する。出射された荷電粒子線Bは、走査電磁石6の制御によって治療計画において定めた走査経路に従うように走査される。これにより、荷電粒子線Bは、腫瘍14に対してZ軸方向に設定された一の層における照射範囲内を走査されつつ照射されることとなる。一の層に対する照射が完了したら、次の層へ荷電粒子線Bを照射する。
制御部7の制御に応じた走査電磁石6の荷電粒子線照射イメージについて、図3(a)及び(b)を参照して説明する。図3(a)は、深さ方向において複数の層に仮想的にスライスされた被照射体を、図3(b)は、深さ方向から見た一の層における荷電粒子線の走査イメージを、それぞれ示している。
図3(a)に示すように、被照射体は照射の深さ方向において複数の層に仮想的にスライスされており、本例では、深い(荷電粒子線Bの飛程が長い)層から順に、層L、層L、…層Ln-1、層L、層Ln+1、…層LN-1、層LとN層に仮想的にスライスされている。また、図3(b)に示すように、荷電粒子線Bは、走査経路TLに沿ったビーム軌道を描きながら、連続照射(ラインスキャニング又はラスタースキャニング)の場合は層Lの走査経路TLに沿って連続的に照射され、スポットスキャニングの場合は層Lの複数の照射スポットに対して照射される。すなわち、制御部7に制御された照射部2から出射した荷電粒子線Bは、走査経路TL上を移動する。
次に、図4~図7を参照して、イオン源装置50について詳細に説明する。図4は、加速器3の概略断面図である。加速器3としてサイクロトロンが例示されている。図4に示すように、イオン源装置50は、円盤形状の加速器3の中心に位置しており、加速器3の中心軸Cに沿って延在する柱状の支持体53によって支持されている。
加速器3は、中心軸Cを中心として配置された円環状のコイル54と、コイル54の空芯部位に配置されたRFキャビティ55と、中空のヨーク57と、制御部7と、を備えている。ヨーク57は、磁性体の金属からなる中空の円盤型ブロックであり、内部にコイル54及びRFキャビティ55が配置されている。
加速器3は、コイル54に電流を供給して強力な磁場(矢印B)を生じさせることにより、イオン源装置50から供給されるイオンをRFキャビティ55の内部の空間Gで加速させ、荷電粒子線を出力する。強力な磁場とは、例えば1T[テスラ]以上の磁場である。加速器3の内部では、例えば1T~10T程度の磁場が形成される。
図5は、イオン源装置50の概略構成図である。図5に示すように、イオン源装置50は、本体部60と、フィラメント61と、引出部63と、フィラメント電源64と、アーク電源66と、バイアス電源67と、引出電源68と、制御部7と、を備える。なお、フィラメント電源64、アーク電源66、バイアス電源67、引出電源68、及び制御部7は、ヨーク57の外部に設けられる。なお、本実施形態では、熱陰極方式のイオン源装置を例示している。ただし、電界方式によるイオン源装置を採用してもよく、その場合は陰極として冷陰極が用いられる。
本体部60は、内部空間Sを有する導電性の部材である。本体部60は、内部空間Sにてイオンを発生させる部材である。本体部60のより詳細な構成については、図6及び図7を参照してより詳細に説明する。
フィラメント61は、本体部60の内部空間Sに配置された部材である。フィラメント61は、電流を流して発熱させることにより、本体部60の内部空間Sに電子(熱電子)eを放出するための部材である。フィラメント61は、例えばTa(タンタル)製の金属板から構成され、金属板を湾曲させて形成されている。具体的には、フィラメント61は、一枚の金属板を下向きに開口するように湾曲させて形成されている。
引出部63は、本体部60の内部空間Sで発生したイオンを内部空間Sから引き出す電極である。引出部63は、本体部60から外部へ離間して配置される。引出部63は、本体部60のスリット60a(後述)と対向するように離間して配置される。
フィラメント電源64は、フィラメント61に電流を供給する電源である。アーク電源66は、本体部60とフィラメント61との間にアーク電圧を印加する電源である。バイアス電源67は、本体部60にバイアス電圧を印加する電源である。フィラメント電源64は交流の電源であり、アーク電源66及びバイアス電源67は、直流の電源である。
フィラメント電源64は、配線L1を介してフィラメント61の一方の端部に接続され、配線L2を介してフィラメント61の他方の端部に接続される。アーク電源66に接続される配線L3は、配線L2に接続される。従って、アーク電源66は、配線L3及び配線L2を介してフィラメントの端部に接続される。バイアス電源67に接続される配線L5は、配線L4に接続される。従って、バイアス電源67は、配線L5及び配線L4を介して本体部60に接続され、配線L6を介してグランドに接地される。
引出電源68は、引出部63に引出電圧を印加する電源である。引出電源68は、高周波の電源である。従って、引出電源68は、引出部63と本体部60との間に高周波電場を形成する。引出電源68は、配線L7を介して引出部63に接続される。
制御部7は、フィラメント電源64、アーク電源66、バイアス電源67及び引出電源68を制御する。制御部7は、各電源の起動のタイミングを制御することができる。また、制御部7は、荷電粒子線の線量を検出するドーズモニタ12(図2参照)に接続されている。制御部7は、ドーズモニタ12の検出量が一定となるように、バイアス電圧に対してフィードバックすることができる。従って、バイアス電源67は、荷電粒子線の線量を検出するドーズモニタ(検出部)12の検出結果に基づいて、バイアス電圧を本体部60に印加することができる。
図6及び図7は、イオン源装置50の本体部60周辺の構成及び動作を説明するための概略図である。まず、図6(a)を参照して本体部60の構成についてより詳細に説明する。なお、以下の説明においては、イオンとして水素イオンを発生する場合の例について説明する。
図6(a)に示されるように、本体部60は、上端が閉じられた導電性の円筒部材である。本体部60内の上端側には、アンチカソード62が配置されている。本体部60の下端側は開口しており、下端側から挿入されてフィラメント61が配置されている。
本体部60の側面には、水素イオン(プロトン)Hを引き出すためのスリット10aが形成されている。スリット10aから引き出された水素イオンHは、本体部60の周りを回転する軌道を進みながら加速する。本体部60は、水素イオンHの回転軌道に応じて、スリット10aの位置する中腹部分がくびれた形状に形成されている。なお、本体部60の形状は上述したものに限られない。
アンチカソード62は、本体部60内に電子eを維持するための電極である。アンチカソード62は、本体部60内において磁場方向でフィラメント61と対向するように配置され、図示しない環状の絶縁体を介して本体部60に固定されている。アンチカソード62は、フィラメント61との間で電子eを磁場方向に往復運動させることで、本体部60内に電子eを維持する。
また、イオン源装置50の外部には、本体部60内に水素ガスを導入するための水素タンク65が設けられている(図7(b)参照)。水素タンク65はヨーク57の外部に配置されており、支持体53の内部を通じて本体部60内に水素ガスが導入される。
次に、イオン源装置50におけるイオンの発生について説明する。図6(a)は、イオン源装置50における電子eの発生を説明するための図である。図6(a)に示されるように、まず、イオン源装置50では、制御部7がフィラメント電源64を制御してフィラメント61に電流を供給する。フィラメント61は、電流の供給により発熱し、先端の湾曲部61a等から電子(熱電子)eを放出する。
図6(b)は、イオン源装置50における電子eの運動を説明するための図である。制御部7は、アーク電源66を制御して本体部60とフィラメント61との間に電圧(アーク電圧)を印加する。これにより、フィラメント61から放出された電子eは本体部60に引き寄せられるが、イオン源装置50の内外にはコイル54によって生成された強力な磁場が存在するので、電子eは磁場に捕らわれて磁場方向(矢印Bの方向)に加速しながら運動する。
図7(a)は、イオン源装置50における電子eの衝突を説明するための図である。図7(a)に示されるように、イオン源装置50では、矢印Bの方向に運動する電子eがアンチカソード62に衝突することで、アンチカソード62から新たな電子eが発生する。アンチカソード62から発生した電子eは、磁場方向に沿って矢印Bと反対の向きに加速しながら運動する。このようにして電子eは、フィラメント61とアンチカソード62との間を往復運動する。
図7(b)は、イオン源における水素イオンの発生を説明するための図である。図7(b)に示されるように、イオン源装置50では、本体部60の内部空間Sにて電子eが往復運動している状態で、水素ガスを水素タンク65から本体部60の内部空間Sに導入する。制御部7は、水素ガスの導入も制御する。これにより、本体部60内では、電子eと水素分子Hとの衝突により、水素イオンHが生成され、水素イオンHと電子eとが混在するプラズマPが発生する。
制御部7は、引出電源68を制御して引出部63に引出電圧を印加する。本体部60と引出部63との間に高周波電場が形成される。
引出部63は、引出電圧が印加されることで本体部60内のプラズマPの中から水素イオンHを引き出す。水素イオンHはスリット10aを通じて引き出され、本体部60の周囲を回転しながら加速される。加速器3は、引出部63によって本体部60内から連続的に引き出された水素イオンHを、磁場及び電場によって加速することで荷電粒子線を形成する。
ここで、本体部60、フィラメント電源64、アーク電源66などの構成要素は、電気的に浮いた状態となっている。「浮いた状態」とは、詳細には、接地されずに電位を印加されている状態であることを意味する。本体部60などの構成要素は周辺の構造物に対して絶縁された状態で配置されており、且つ、構成要素とグランドとの間にバイアス電源67が設けられていることで、構成要素が電気的に浮いた状態となっている。このような構成要素に対し、制御部7は、バイアス電源67を制御してバイアス電圧を付与する。バイアス電圧は約0~±5kVの範囲で調整可能である。このように、電気的に浮いた状態の構成要素にバイアス電圧が印加されることで、本体部60と引出部63との間の電場を変調させることができる。
例えば、図8に本体部60と引出部63との間の電場と時間の関係を示すグラフである。図8(a)は、バイアス電圧を印加せず、引出電圧のみが印加されたときの電場を示す。図8(b)は、プラスのバイアス電圧が印加されたときの電場を示す。図8(c)は、マイナスのバイアス電圧が印加されたときの電場を示す。各図において、本体部60からイオンが引き出される引出タイミングは「T」で示されている。図8(b)に示すように、本体部60にプラスのバイアス電圧が印加されると、引出タイミングTにおける電場が高くなる。図8(c)に示すように、本体部60にマイナスのバイアス電圧が印加されると、引出タイミングTにおける電場が低くなる。
図8(b)に示す状態では、図8(a)の状態よりも電場強度が上昇し、引出タイミングTが延長される。これにより、イオンの引出量を増加させることができる。その結果、荷電粒子線のビーム電流を増大させることができる。図8(c)に示す状態では、図8(a)の状態よりも電場強度が低下し、引出タイミングTが短くなる。これにより、イオンの引出量を低下させることができる。その結果、荷電粒子線のビーム電流を低下させることができる。
制御部7は、ドーズモニタ12によって荷電粒子線の線量の低下を検出した場合、プラスのバイアス電圧を印加することで、荷電粒子線のビーム電流を増大させ、ドーズモニタ12の検出量が一定となるように制御できる。制御部7は、ドーズモニタ12によって荷電粒子線の線量の増加を検出した場合、マイナスのバイアス電圧を印加することで、荷電粒子線のビーム電流を低下させ、ドーズモニタ12の検出量が一定となるように制御できる。制御部7は、ドーズモニタ12の検出量に応じて、バイアス電圧の印加をOFFとするタイミングも、適宜制御する。
次に、本実施形態に係るイオン源装置50の作用・効果について説明する。
本実施形態に係るイオン源装置50は、内部空間Sを有する導電性の本体部60と、本体部60の内部空間Sに配置されたフィラメント61と、を備えている。従って、本体部60は、内部空間Sにてフィラメント61で電子を発生させ、当該電子からイオンを発生させる。引出部63は、本体部60との間で高周波の電場を形成することで、本体部60の内部空間Sで発生したイオンを内部空間Sから引き出す。ここで、バイアス電源67は、本体部60にバイアス電圧を印加する。本体部60と引出部63との間の電場は、バイアス電圧によって速やかに変調される。これにより、引出部63は、変調された電場に応じた引出量でイオンを引き出すことができる。以上により、イオン源装置50は、イオンの引出量を速やかに調整することができる。
引出電源68による高周波の引出電圧は固定されるため、引出電源68のパラメータの制御によって、イオンの引出量を調整することができない。一方、イオンの引出量を調整するために本体部60内のプラズマ密度の調整を行う場合、プラズマという熱現象を介した制御であるため応答性が低く、イオンの引出量の調整に時間がかかり、調整の安定性も低いという問題が生じる。これに対し、本実施形態に係るイオン源装置50によれば、本体部60の内部空間Sのプラズマの状態を大きく変えることなく、イオンの引出量を安定的に速やかに変えることができる。従って、荷電粒子線のビーム電流を高い安定性にて、高速で調整することができる。特に、ラインスキャニングで治療が行われる場合、高速且つ安定的なビーム電流の変調が要求されるため、本実施形態のイオン源装置50が特に有効である。
イオン源装置50において、バイアス電源67は、イオンを加速器3で加速することによって出射された荷電粒子線の線量を検出するドーズモニタ12の検出結果に基づいて、バイアス電圧を本体部60に印加する。これにより、バイアス電源67は、荷電粒子線の線量を検出するドーズモニタ12の検出結果を、印加するバイアス電圧にフィードバックすることができる。これにより、荷電粒子線のビーム電流を速やかに制御することが可能となる。
本実施形態に係る荷電粒子線治療装置1は、イオンを加速して荷電粒子線を出射する加速器3と、加速器3の内部に設けられ、イオンを供給するイオン源装置50と、被照射体に荷電粒子線を照射する照射部2と、を備える荷電粒子線治療装置1であって、イオン源装置50は、内部空間を有する導電性の本体部60と、本体部60の内部空間に配置されたフィラメント61と、本体部60との間で高周波の電場を形成することで、本体部60の内部空間で発生したイオンを内部空間から引き出す引出部63と、本体部60にバイアス電圧を印加するバイアス電源67と、を備える。
この荷電粒子線治療装置1によれば、上述のイオン源装置50と同様な作用・効果を得ることができる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述のイオン源装置の各構成要素の形状や配置は一例に過ぎず、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更してもよい。
1…荷電粒子線治療装置、3…加速器、12…ドーズモニタ(検出部)、50…イオン源装置、60…本体部、61…フィラメント(陰極)、63…引出部、67…バイアス電源。

Claims (3)

  1. 加速器の内部に設けられるイオン源装置であって、
    内部空間を有する導電性の本体部と、
    前記本体部の前記内部空間に配置された陰極と、
    前記本体部との間で高周波の電場を形成することで、前記本体部の前記内部空間で発生した前記イオンを前記内部空間から引き出す引出部と、
    前記本体部にバイアス電圧を印加するバイアス電源と、を備える、イオン源装置。
  2. 前記バイアス電源は、前記イオンを前記加速器で加速することによって出射された荷電粒子線の線量を検出する検出部の検出結果に基づいて、前記バイアス電圧を前記本体部に印加する、請求項1に記載のイオン源装置。
  3. イオンを加速して荷電粒子線を出射する加速器と、
    前記加速器の内部に設けられ、前記イオンを供給するイオン源装置と、
    被照射体に前記荷電粒子線を照射する照射部と、を備える荷電粒子線治療装置であって、
    前記イオン源装置は、
    内部空間を有する導電性の本体部と、
    前記本体部の前記内部空間に配置された陰極と、
    前記本体部との間で高周波の電場を形成することで、前記本体部の前記内部空間で発生した前記イオンを前記内部空間から引き出す引出部と、
    前記本体部にバイアス電圧を印加するバイアス電源と、を備える、荷電粒子線治療装置。
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