JP6998729B2 - 地盤改良剤組成物及びその利用 - Google Patents

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Description

本明細書は、地盤改良剤組成物及びその利用に関する。
軟弱な地盤等に注入して当該地盤を改良する地盤改良用の薬剤としては、従来から水ガラス系の地盤改良剤がよく知られており、掘削作業時の一時的な補強から建築構造物の地盤改良といった恒久的な目的に至るまで幅広く使用されている。
しかし、水ガラス系の地盤改良剤から得られるゲル物は、耐久性の点で課題が指摘されている。また、薬液が硫酸成分を含むため、地盤中でコンクリート等の構造物の劣化を促進する懸念がある。
水ガラス系以外の地盤改良剤として、アクリル酸塩含有水溶液からなるアクリル系地盤改良剤が挙げられる。例えば、特許文献1には、(メタ)アクリル酸の一価又は二価の金属塩、三価金属塩、酸化剤、還元力の異なる2種以上の還元剤及び水を含有する注入材用組成物が記載されている。特許文献2には、(メタ)アクリル酸の一価又は二価の金属塩水溶液、アルミニウム水溶性塩の水溶液、及び重亜硫酸水溶液を含む(メタ)アクリル酸系薬液が開示されている。特許文献3には、(メタ)アクリル酸金属塩、前記(メタ)アクリル酸金属塩以外の多価金属塩化合物、酸化剤、特定の還元剤及び水を含有する地盤注入剤組成物が開示されている。
特開2001-241288号公報 特開2006-104795号公報 特開2016-130286号公報
本発明者らによれば、特許文献1~3に開示される地盤改良剤では、地盤強度の改善及びその耐久性という点では効果的であるが、使用する環境によっては、鉄等の構造物の腐食が観察される場合があった。
本明細書は、ゲル物に良好な強度及び耐久性を付与するとともに、改良地盤の腐食の抑制性にも優れる地盤改良剤組成物及びその利用を提供する。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(メタ)アクリル酸金属塩の硬化を利用する地盤改良剤組成物において、塩基度60%以上の多価金属塩化合物を用いることで良好な強度及び耐久性を有するゲル物が得られるとともに、改良地盤中の各種の金属製部材や構造物などの金属製要素の腐食も抑制できるという知見を得た。こうした知見に基づき、本明細書は以下の手段を提供する。
[1]地盤改良剤組成物であって、
以下の(A)~(D)成分:
(A)(メタ)アクリル酸金属塩
(B)塩基度60%以上の多価金属塩化合物
(C)重合開始剤
(D)水
を含み、
前記(A)成分及び前記(B)成分の総量が2.0質量%以上15質量%以下である、組成物。
[2]前記多価金属塩化合物は、アルミニウム塩化合物である、[1]に記載の組成物。
[3]前記(C)成分は、炭素数15以下の有機過酸化物である、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]地盤改良方法であって、
(A)(メタ)アクリル酸金属塩
(B)塩基度60%以上の多価金属塩化合物
(C)重合開始剤
(D)水を含み、
前記(A)成分及び前記(B)成分の総量が2.0質量%以上15質量%以下である、組成物を地盤に導入する工程、
を備える、方法。
[5]前記地盤改良方法は、注入固化工法である、[4]に記載の方法。
本明細書は、地盤改良剤組成物及び地盤改良方法等に関する。本明細書に開示される地盤改良剤組成物(以下、単に、本組成物ともいう。)によれば、(メタ)アクリル酸金属塩とともに塩基度60%以上の多価金属塩化合物を含むために、ゲル物に強度及び耐久性を付与できるほか、改良地盤における鉄等の金属製要素の腐食を抑制できる。これらのことから、本組成物は、堀削作業時の一時的な種々の地盤補強などの地盤改良から、種々の地盤改良等といった恒久的地盤改良までの種々の用途にわたって広く適用することができる。
本明細書に開示される地盤改良方法(以下、本方法ともいう。)等も本組成物によるものと同様の作用を生じさせることができる。
本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリルアミドは、アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミドを意味する。
本明細書において、「地盤改良剤」とは、種々の目的のための地盤改良に用いる剤を包含する。ここで「地盤改良」は、例えば、漏水防止、止水、液状化抑制、地盤強化(補強)のほか、例えば、工法としては、山岳トンネル工法又はその補助工法(先受工法、各種補強工法)、地山固結工法、止水工法、注入固化処理工法(又は薬液注入工法)、ジェットグラウト工法等が挙げられる。
以下、本組成物及び本方法等の実施態様について詳細に説明する。
<地盤改良剤組成物>
本組成物は、(A)成分:(メタ)アクリル酸金属塩、(B)成分:多価金属塩化合物、(C)成分:重合開始剤、(D)成分:水、を含有することができる。
<(A)成分:(メタ)アクリル酸金属塩>
(メタ)アクリル酸金属塩としては、例えば、(メタ)アクリル酸のリチウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩及びバリウム塩等のアルカリ土類金属塩;マグネシウム塩、アルミニウム塩、ジルコニウム塩等が挙げられ、これらの1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、良好な強度と耐変形性を有するゲル物が得られる点で、金属塩の種類としてはカルシウム塩及びマグネシウム塩が好ましく、マグネシウム塩であることがより好ましい。
本組成物を調製するにあたって、(メタ)アクリル酸金属塩は水溶液として使用するのが好ましい。その際の濃度は特に限定するものではなく、(メタ)アクリル酸塩が析出しない程度、すなわち、飽和に近い45質量%濃度以下の範囲で適宜設定することができる。本組成物における(メタ)アクリル酸金属塩の濃度を考慮すると、例えば、2質量%以上とするのが好ましく、特にアルカリ土類金属塩の場合は3質量%以上とするのがより好ましく、さらに好ましくは4質量%以上であり、なお好ましくは5質量%以上である。その上限濃度は、例えば、40質量%以下とすることができ、また例えば35質量%以下とすることができ、また例えば30質量%以下とすることができ、また例えば15質量%以下とすることができる。
本組成物中の(メタ)アクリル酸金属塩の濃度としては、特に限定するものではないが、例えば0.5質量%以上が好ましく、また例えば1.0質量%以上、また例えば2.0質量%以上、また例えば3.0質量%以上である。(メタ)アクリル酸金属塩の濃度が、0.5質量%以上であれば、得られるゲル物の強度が十分なものとなる。また、(メタ)アクリル酸金属塩の濃度は、特に限定するものではないが、例えば、14.5質量%以下であり、また例えば、14質量%以下であり、また例えば、13質量%以下であり、また例えば、12質量%以下であり、また例えば、10質量%以下であり、また例えば、8.0質量%以下であり、また例えば、5.0質量%以下である。同濃度が14.5質量%以下であれば、地盤への良好な浸透性を確保することができる。(メタ)アクリル酸金属塩の濃度の範囲は、これらの下限濃度及び上限濃度を組み合わせて設定することができるが、例えば、0.5質量%以上14.5質量%以下であり、また例えば、1.0質量%以上14.5質量%以下であり、また例えば、2.0質量%以上14.5質量%以下であり、
また例えば、3.0質量%以上14.5質量%以下であり、また例えば、4.0質量%以上10質量%以下である。なお、本組成物中における(メタ)アクリル酸金属塩の濃度は、後述する多価金属塩化合物の濃度との総量によっても規定される。
<(B)成分:多価金属塩化合物> 多価金属塩化合物は、(メタ)アクリル酸金属塩以外の多価金属塩化合物であって、二価又は三価以上の多価金属塩化合物(以下、単に、本多価金属塩化合物ともいう。)である。本多価金属塩化合物は、(メタ)アクリル酸の重合時に架橋剤として作用することができる。
本多価金属塩化合物に関し、二価の金属としては、特に限定するものではないが、例えば、マグネシウム、カルシウム及びバリウム等が挙げられる。三価以上の金属としては、
特に限定するものではないが、アルミニウム、ジルコニウム、チタン及びセリウム等が挙げられる。これらのなかでも、ゲル物の強度を制御し易い点から三価の金属塩化合物が好ましい。
具体的な化合物としては、例えば、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、ミョウバン、ナトリウムミョウバン、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム(塩基性塩化アルミニウム)、ポリ硫酸塩化アルミニウム(塩基性硫酸塩化アルミニウム)、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、乳酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ酢酸ジルコニウム、
硫酸ジルコニウム、オキシ硫酸ジルコニウムなどのジルコニウム塩、塩化チタン及び硝酸セリウム等が挙げられ、これらの中でもアルミニウム塩及びジルコニウム塩がより好ましく、さらに好ましくはアルミニウム塩である。
本多価金属塩化合物としては、こうした金属塩1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、本多価金属塩化合物は、塩基性塩であることが好ましい。塩基性塩であることで、架橋剤として作用するとともに、効果的に腐食抑制能を向上させることができる。
例えば、本多価金属塩化合物中、塩基性塩である多価金属塩化合物は以下の一般式(1)として表される。この一般式において、本多価金属化合物の塩基度(%)は、n1/(n1+n2)×100(%)で表される。
[M(OH)n1n2(1)
(ただし、Mは2価以上の金属を表し、Bは1種又は2種以上の塩基を表し、mは、1以上の整数、n1及びn2は、それぞれ0以上の数を表し、かつ、M、OH及びBについて化学量論的に整合する数を表し、lは1以上の整数を表す。)
ここで、本多価金属塩化合物として好適であるポリ塩化アルミニウムは、さらに、以下の式で表される。塩基度(%)は、n1/3×100(%)で表される。
[Al(OH)n1Cln2(ただし、n2=3―n1である。)
本多価金属塩化合物は、その塩基度について特に限定するものではないが、例えば、60%以上であることが好ましい。塩基度が60%未満であると、本組成物の腐食性を抑制できず、改良地盤に存在する基材、地下配管及び杭などの腐食の抑制が困難となる。好適には、例えば、同65%以上であり、また例えば、同70%以上である。また、塩基度は、90%以下であることが好適である。90%を越えると、概して多価金属塩化合物の安定性が低下して水溶性化合物として取得し難くなる。また、地盤中のアルカリなどにより析出して架橋剤としての機能が低下する場合もある。好適には、例えば、85%以下である。
本多価金属塩化合物の塩基度の範囲は、特に限定するものではなく、これら既述の下限及び上限を適宜組み合わせることで設定することができるが、例えば、同60%以上85%以下であり、また例えば、同70%以上85%以下である。
本多価金属塩化合物の本組成物中の濃度は特に限定するものではない。本多価金属塩化合物が含む金属の酸化物、すなわち、本多価金属塩化合物に対応する金属酸化物に換算して、0.5質量%以上であることが好ましく、また例えば、同1.0質量%以上であり、また例えば、同2.0質量%以上である。本多価金属塩化合物の濃度が、同0.5質量%以上であれば、得られるゲル物の強度が十分なものとなり、腐食性を抑制することができる。また、本多価金属塩化合物の濃度は、特に限定するものではないが、例えば、対応金属酸化物換算で14.5質量%以下であることが好ましく、また例えば、同14質量%以下であり、また例えば、同13質量%以下であり、また例えば、同10質量%以下である。本多価金属塩化合物の濃度が同14.5質量%以下であれば、地盤への良好な浸透性を確保することができる。本多価金属塩化合物の濃度の範囲は、これらの下限濃度及び上限濃度を組み合わせて設定することができるが、例えば、対応金属酸化物換算で0.5質量%以上14.5質量%以下であり、また例えば、1.0質量%以上10質量%以下であり、2.0質量%以上10質量%以下とすることができる。
<(A)成分及び(B)成分の総濃度>
本組成物における、(A)成分である(メタ)アクリル酸金属塩と、(B)成分である本多価金属塩化合物(対応金属酸化物換算したものとして)の総濃度は、特に限定するものではないが、得られるゲル物の強度、耐久性及び腐食性を考慮すると、例えば、2.0質量%以上であることが好ましい。さらに好適なゲル物の強度等の観点からは、同総濃度は、また例えば、3.0質量%以上であり、また例えば、4.0質量%以上であり、また例えば、5.0質量%以上であり、また例えば、6.0質量%以上である。特に限定するものではないが、同総濃度は、15質量%以下であることが好ましい。同総濃度は、また例えば、13質量%以下であり、また例えば、10質量%以下であり、また例えば、8.0質量%以下であり、また例えば、6.0質量%以下である。同総濃度が15質量%以下であれば、地盤への良好な浸透性を確保することができる。同総濃度の範囲は、これらの下限及び上限をそれぞれ組み合わせて得られる各種濃度範囲とすることができるが、例えば、2.0質量%以上15質量%以下であり、また例えば、3.0質量%以上10質量%以下であり、また例えば、4.0質量%以上8.0質量%以下である。
<(C)成分:重合開始剤>
重合開始剤は、本組成物中の(メタ)アクリル酸金属塩を重合させる等のために添加される、(メタ)アクリル酸に適用される各種公知の重合開始剤を用いることができる。例えば、可使時間、地盤注入後から硬化(ゲル化)までの硬化時間のコントロール等の観点から、アゾ開始剤、ペルオキソ二硫酸塩等の無機過酸化物、過カルボン酸類、ヒドロペルオキシド等の有機過酸化物などを用いることができる。無機過酸化物及び有機過酸化物を用いる場合には、適宜還元剤を併用することができる。
アゾ開始剤としては、例えば、概して、レドックス系開始剤より分解が遅く、可使時間が、例えば、数日単位程度まで確保することもできる。アゾ開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビス〔2-(イミダゾリン-2-イル) プロパン〕、2,2’-アゾビス〔2-(イミダゾリン-2-イル)プロパン〕ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス〔2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン〕ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス〔2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕、4,4’-アゾビス(4-シアノバレロ酸)などを挙げることができる。これら中でも、適度な可使時間を得やすい点から、2,2’-アゾビス〔2-(イミダゾリン-2-イル)プロパン] 、2,2’-アゾビス〔2-(イミダゾリン-2-イル)プロパン〕ジヒドロクロリドが好ましい。アゾ開始剤は、1種又は2種以上組み合わせて使用できる。
無機過酸化物としては、特段の制限はなく、公知の無機過酸化物を使用することができる。例えば、過炭酸ソーダ、過ホウ酸ソーダ、過酸化ナトリウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム及び過酸化水素等の過酸化物、並びに過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等の無機過硫酸塩化合物が挙げられる。無機過酸化物は、1種又は2種以上組み合わせて使用できる。
有機過酸化物としては、特段の制限はなく、公知の無機過酸化物を使用することができる。有機過酸化物は、地盤や土壌の性質、例えば、地盤・土壌中の酸化ケイ素化合物の存在やその量に基づくと考えられる土壌の粘土性及び/又は陽イオン交換容量に影響されずに(A)成分であるビニル系不飽和単量体等の重合性単量体のラジカル重合・硬化を促進して、ゲル物の生成を促進することができる。
有機過酸化物は、特に限定するものではないが、本組成物の組成や使用環境を考慮すると、親水性が高いものであることが好ましい。当該観点からすると、例えば、全体として炭素数15以下である有機過酸化物を用いることができ、また例えば、炭素数10以下の有機過酸化物、また例えば、炭素数8以下の有機過酸化物を用いることができる。なお、
有機過酸化物の炭素数は、また例えば2以上とすることができ、また例えば、3以上とすることができる。有機過酸化物の全体の炭素数の好適な範囲は、既述の上限及び下限を適宜組み合わせることで設定できるが、例えば、2以上10以下であり、また例えば、3以上8以下である。
また、有機過酸化物は、親水性であることが好ましいが、例えば、ケトンペルオキシド類、ヒドロペルオキシド類、過カルボン酸類、ジアシルペルオキシド類などは概して水溶解性が高い傾向がある。中でも、ヒドロペルオキシド類は、水溶解性が一層高い傾向がある。
有機過酸化物としては、例えば、ジアシルぺルオキシド、ぺルオキシジカーボネート、
ぺルオキシエステル、テトラメチルブチルぺルオキシネオデカノエート、ビス(4-ブチルシクロヘキシル)ぺルオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)ぺルオキシカーボネート、ブチルぺルオキシネオデカノエート、ジプロピルぺルオキシジカーボネート、ジイソプロピルぺルオキシジカーボネート、ジエトキシエチルぺルオキシジカーボネート、ジエトキシヘキシルぺルオキシジカーボネート、ヘキシルぺルオキシジカーボネート、ジメトキシブチルぺルオキシジカーボネート、ビス(3-メトキシ-3-メトキシブチル)ぺルオキシジカーボネート、ジブチルぺルオキシジカーボネート、ジセチルぺルオキシジカーボネート、ジミリスチルぺルオキシジカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルぺルオキシピバレート、ヘキシルぺルオキシピバレート、ブチルぺルオキシピバレート、トリメチルヘキサノイルぺルオキシド、ジメチルヒドロキシブチルぺルオキシネオデカノエート、アミルぺルオキシネオデカノエート、ブチルぺルオキシネオデカノエート、t-ブチルぺルオキシネオヘプタノエート、アミルぺルオキシピバレート、t-ブチルぺルオキシピバレート、t-アミルぺルオキシ-2-エチルヘキサノエート、ラウリルぺルオキシド、ジラウロイルぺルオキシド、ジデカイルぺルオキシドの他、t-ブチルヒドロペルオキシド、p-クミルヒドロペルオキシド、t-アミルヒドロペルオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類、過酢酸および過安息香酸などの過カルボン酸類、メチルエチルケトンペルオキシドまたは過酸化ベンゾイル(ベンゾイルぺルオキシド)などが挙げられる。水溶解性の観点からは、t-ブチルヒドロペルオキシド、p-クミルヒドロペルオキシド、t-アミルヒドロペルオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類、メチルエチルケトンペルオキシドなどのケトンペルオキシド類、過酢酸および過安息香酸などの過カルボン酸類、過酸化ベンゾイルなどのジアシルペルオキシド類が好ましい。有機過酸化物は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(還元剤)
無機過酸化物及び有機過酸化物と併用できる還元剤としては、特段の制限はなく、公知の還元剤を使用することができる。具体的な化合物としては、チオ硫酸ナトリウム及びチオ硫酸カリウム等のチオ硫酸塩化合物、重亜硫酸ナトリウム及び重亜硫酸カリウム等の重亜硫酸塩化合物、次亜硫酸ナトリウム及び次亜硫酸カリウム等の次亜リン酸化合物、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸カリウム等の亜硫酸化合物、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム(ロンガリット)などのヒドロキシメタンスルフィン酸塩、アスコルビン酸ナトリウムなどのアスコルビン酸又はその塩、エリソルビン酸ナトリウムなどのエリソルビン酸又はその塩、第一鉄塩、二硫化チオ尿素のほか、硫酸銅、並びに、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、ジメチルアミノプロピオニトリル、ジメチルアミノプロパノール、ピペラジン及びモルホリン等のアミン類等が挙げられる。これらの還元剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合開始剤の濃度や使用量は、(メタ)アクリル酸金属塩の種類及び濃度、多価金属塩化合物の種類及び濃度、pH、水温等の条件、硬化時間等の設定値を考慮し、本組成物の用途によって適宜選択すれば良い。また、レドックス系開始剤の場合には、酸化剤と還元剤の組み合わせも適宜選択することができる。
本組成物中における重合開始剤(還元剤を併用する場合は還元剤量は除く。)の濃度は、例えば、0.1mM以上200mM以下程度とすることができ、また例えば、1mM以上100mM以下であり、また例えば、1mM以上20mM以下である。また、還元剤を併用する場合の無機過酸化物及び有機過酸化物の本組成物における濃度は、例えば、0.1mM以上100mM以下程度とすることができ、また例えば、1mM以上100mM以下であり、また例えば、1mM以上20mM以下である。また、還元剤の本組成物における濃度は、例えば、1mM以上100mM以下程度とすることができ、また例えば、1mM以上40mM以下である。
<(D)成分:水>
本組成物は、水を含有している。本組成物は、水溶液又は懸濁液等の形態で地盤等に適用される。本組成物において水は、各種成分を溶解又は分散して、地盤へのこれらの成分の運搬媒体等として機能することができる。また、水は、可使時間等の調整剤として機能することもできる。なお、本組成物は、水の他に、上記した各種成分を溶解し分散する有機溶媒を、本組成物の効果を損なわない範囲で含むことができる。
本組成物中における水は、概して、本組成物中における(A)成分ないし(C)成分、さらに必要に応じて含まれる後述するその他の成分を除く残分に相当する。本組成物中における濃度は、特に限定するものではないが、例えば、50質量%以上であり、また例えば、60質量%であり、また例えば70質量%以上であり、また例えば80質量%以上などとすることができる。
<その他の成分>
本組成物は、本組成物の効果を損なわない範囲で種々の成分を含むことができる。例えば、公知の水ガラス等の他の地盤改良剤を含むこともできる。また、4級アンモニウム塩、有機酸アミン塩、芳香族化合物、亜硝酸塩、アルコール、ヘキサメチレンテトラミンなどの公知の防錆剤、シリコーン系、鉱物油系、植物油系、高級アルコール系などの公知の消泡剤、公知の乳化剤及び公知の金属封止剤等から選択される1種又は2種以上を適宜含むことができる。
また、本組成物は、(メタ)アクリル酸金属塩以外のビニル系単量体を含むことができる。併用するビニル系単量体は、イオン性単量体(アニオン性単量体又はカチオン性単量体)及び非イオン性単量体のいずれでもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。アニオン性単量体としては、(メタ)アクリル酸;イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸、無水イタコン酸及び無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体並びにその塩または無水物;2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート硫酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル-2-アクリロイルオキシエチルホスフェート、2-アクリロイルオキシアルキルホスホン酸及びこれらの塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩)等が挙げられる。これらの単量体は、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
カチオン性単量体としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びこれらの塩等の三級アミノ基含有化合物;(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシ2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等の四級アンモニウム塩基含有化合物等を用いることができる。これらの単量体は、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
非イオン性単量体としては、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、
ビニルピロリドン、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンアルキルアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル等が挙げられる。これらの単量体は、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
本組成物には、得られるゲル物の強度、寸法安定性及び耐久性を向上させるために、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド及びヒドロキシエチレンビスアクリルアミド等の水溶性ジビニル単量体、並びにN-メチロールアクリルアミド等の架橋剤を配合するともできる。これらの架橋剤の含有量としては、その効果の観点から、(メタ)アクリル酸金属塩に対して、例えば、30質量%以下とすることができ、また例えば、20質量%以下である。
また、本組成物の増量又は補強のために、必要に応じて骨材を配合することもできる。骨材としては、セメント、フライアッシュ、珪藻土、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、ベントナイト、パーライト、蛭石、高炉スラグ、石膏、珪砂、パルプ及び炭素粉等の粉体や各種繊維等を用いることができる。骨材は、使用量が多過ぎると、組成物の流動性やゲル物の曲げ強度を低減させる場合があるので、(メタ)アクリル酸金属塩の質量の10倍以下とするのが好ましい。組成物中に骨材が沈降する場合は、沈降防止剤等を併用することが好ましい。
<本組成物の使用>
本組成物は、重合開始剤により重合反応が進行し、ゲル物を生じるものである。したがって、本組成物を、そのまま地盤に注入して地盤内でゲル化させるために使用することができる。本組成物によれば、優れた強度及び耐久性のゲル物を得ることができるとともに、腐食性が抑制されているため、改良土壌における金属製要素の腐食を抑制することができる。したがって、結果として、強固なゲル物を地盤中に形成することができる。また、
本組成物は、鉄系構造体の腐食の抑制に優れている。したがって、本組成物は、堀削作業時の一次的な地盤補強から建築構造物の地盤改良といった恒久的な用途に至るまで広く適用することができる。
<地盤改良のためのキット>
既述した(A)成分、(B)成分及び(C)成分を備えることにより、地盤改良のためのキット(以下、本キットともいう)とすることができる。本キットによれば、これらのうち1又は2以上の成分を、それぞれ水溶液等の水性組成物として備えて、用時混合して本組成物を調製することもできるし、別途準備した(D)成分である水を用いて、用時に(A)成分、(B)成分及び(C)成分を混合及び/又は溶解して本組成物を調製することもできる。本組成物を調製後は、本組成物による種々の特性を発揮することができる。
なお、本キットは、(D)成分である水を備えることもできる。
また、本キットは、用時調製のために(A)成分及び(C)成分を備える場合、本組成物を簡易に十分な可使時間を確保して利用することができるようになる。すなわち、本キットは、本組成物が重合開始剤である(C)成分を含んでいるために、調製と同時に重合が開始されてしまうことに起因する問題を克服することができる。本キットによれば、製造、流通、保管等に関する問題、地盤改良工事等における可使時間の短さなどを解決できる。
本キットは、(A)成分に対して(C)成分が作用しない態様で分離して備えるキット態様を採ることができる。すなわち、(A)成分と(C)成分とを反応させないための各種成分の分離態様のほか、こうした分離を実現するための形態も特に限定されない。例えば、分離のための形態としては、2以上の包装体に各種成分を分離してもよいし、あるいは2以上の区画や収納領域を有する一つの包装体等に各種成分を分離してもよい。
また、地盤注入時前に、本キットから本組成物を調製して、注入管を介して地盤に注入するようにしてもよいし、本キットの1又は2以上の成分を別個に注入管に注入して、注入管内で混合して本組成物を調製するようにしてもよい。
以下の表に本キットにおける各成分の組合せの態様について、2剤からなる本キットの例をいくつか例示する。以下の表において、「○」は、含有することを示し「×」は、含有しないことを示し、「○/×」は、含有していてもしていなくてもいずれでもよいことを示す。また、表の(a)は、(C)成分:重合開始剤を還元剤を併用せずに単独で用いる場合を示し、同(b)は、さらに還元剤を用いる場合を示す。
Figure 0006998729000001
上記表の(a)に示すように、(A)成分と(C)成分とを重合が開始されないように分離し、同(b)に示すように、(C)成分と還元剤とを、重合開始剤が消費されないように分離していれば、(D)成分:水他の成分については、種々の態様でキット化することが明らかである。また、上記表では、2剤からなるからなるキットとしたが、重合開始が抑制又は回避される組合せである限り、3剤以上に分割することもできる。さらに、(D)成分としての水は、これらのいずれかの剤に含ませることも可能であるし、別途の剤として準備するようにすることも可能である。
本キットにおける、(A)成分~(C)成分の各成分の含有量は特に限定するものでない。調製時に、各成分の所要量を計量するようにしてもよいし、予め本組成物として好適な濃度やpHとなるように計量されていてもよい。また、所要量を簡易に計量できるように、一定量ずつに小分けされていてもよい。
本キットにおいては、例えば、調製しようとする本組成物において意図する各成分の濃度となるように、各成分が予め計量等されていることが好ましい。
また、(A)成分、(B)成分及び(C)成分は、適宜(D)成分である水等で溶液としてもよいしそれ自体(粉末や液体等)であってもよい。各成分の取扱性、安定性、物性に応じて適宜選択される。
<地盤改良方法> 本明細書に開示される地盤改良方法は、本組成物を地盤に導入する導入工程、を備えることができる。本方法によれば、適用される土壌の性質等にかかわらず、安定して、(A)成分を重合・硬化させることができて、優れた特性のゲル物を得ることができる。
本方法は、既述の各種の地盤改良に適用が可能である。具体的な工法としては、既に説明した各種工法が挙げられる。本方法における、本組成物の導入工程は、適用する用途や工法に応じた公知の態様で本組成物を地盤に注入することによって実施することができる。一般的には、ポンプ等によって、注入すべき1種又は2種以上の液体を、地盤内に配置した注入管を介して、別個にあるいは注入管内等で混合しつつ圧送することによって、地盤に導入する。
本方法は、注入固化工法(薬液注入工法)に好適である。注入固化工法(薬液注入工法)は、本組成物を砂地盤に浸透注入し、砂地盤の間隙に存在する水を注入剤に置換した後、注入剤がゲル化することにより砂地をバインディングすると共に漏水防止、止水、液状化防止及び地盤強化等の機能を奏する地盤改良工法である。比較的小規模な装置を用いて注入管から必要な箇所に薬液を注入し、固化させる工法であり、例えば、タンクや橋脚等の移動困難な既設構造物の直下の地盤の液状化対策に有効な地盤改良工法である。本組成物は、地盤への浸透性に優れ、優れた硬化速度及びゲル物強度を有することから、注入固化工法(薬液注入工法)に適用した場合に優れた性能を発揮することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。尚、以下において「部」及び「%」は、特に断らない限り質量部及び質量%を意味する。
以下に、地盤改良剤組成物の評価方法について記載し、その後、各実施例等について説明する。
[1]硬化時間(ゲルタイム)
室温(25℃)の条件下で各組成物を調製後、速やかに9ccガラスビンに満液にし、蓋をして静置した。その後、硬化が始まると水不溶性のゲルが析出し始めるため、目視でゲルの析出状態(白濁)を観察した。本組成物をガラスビンに加えてから白濁が開始するまでの時間を硬化時間とした。
[2]一軸圧縮強度
プラスチック製のモールドに各組成物92gを入れ、対象土壌298gを少しずつ加えて砂+組成物混合物を作製した。その後、25℃で3日以上静置して完全に硬化させ取り出して直径50mm×H85~90mmの試験体(サンドゲル)を作製した。この試験体を、圧縮試験機(インストロン社製5566型)にて1mm/minで圧縮し、荷重を計測した。荷重の最大値を試験体の断面積で除した値を圧縮強度(単位はkN/m)とした。
[3]耐久性(アルカリ)
[2]で作製したサンドゲルを、水槽に静置し、サンドゲル全体が浸かる高さまで炭酸カルシウムで飽和させた水(地下水流を模倣した水)を入れて、流速1.5L/minで水を循環させ、かつ3日~1週間程度の期間毎に水槽の水を入れ替えながら最長80日間放置し、一定期間毎にサンドゲルを取り出して重量を測定した。また、重量に基づいて体積を算出し、体積保持率を算出した。明らかな体積減少(1vol%以上)が認められたものを×とした。
体積保持率%=(試験後のサンドゲル体積)÷(試験前のサンドゲル体積)×100
[4]浸透性(アルカリ)
通常の砂地盤及び砂に対して0.55wt%の炭酸カルシウムを含むアルカリ性砂地盤について浸透性の評価を実施した。
(アルカリ性砂地盤の調製)
7号珪砂2540gと炭酸カルシウム13gをビニール袋中で混合し、この混合砂を計10袋分用意した。20Lのブリキ缶に水845gを入れ、上記混合砂1袋分を徐々に投入。これを10回繰り返し、アルカリ性砂地盤を作製した。地盤の寸法はおよそΦ280mm×H250mmとした。なお、地盤の作製に当たり、あらかじめ組成物注入用の配管をブリキ缶に固定しておき、地盤中に埋設した。配管の吐出口はブリキ缶の底部から高さ13cmの位置となるように調整した。
(浸透性評価) 組成物注入用の配管内を水で満たし、ステンレス製の耐圧容器(容量2L)に接続した。上記耐圧容器には、ボールバルブを備えた高圧エア導入用配管、組成物吐出用配管、および圧力パージ用配管が接続されており、高圧エア導入用配管には更にレギュレーターおよび精密圧力計を備えている。また容器は電子天秤上に設置されており、組成物の注入量を重量減少にて計量可能である。上記耐圧容器に組成物1100gを入れ、容器内のゲージ圧を3kPaとして注入を開始し、1000gを注入した時点で試験終了とした。試験終了に要した時間を計測し、平均浸透速度(g/min)を算出した。
平均浸透速度(g/min)=1000(質量,g)÷(試験終了に要した時間,min)
[5]液状化強度比
JGS 0541(土の繰返し非排水三軸試験方法)に準拠して液状化強度比(RL20)を測定した。具体的には、以下のように実施した。一軸圧縮強度試験と同様の方法でΦ50mm×H100mmのサンドゲルを作製し、試験体とした。三軸試験装置にて試験体を等方圧密した後に非排水状態とし、拘束圧100kN/mにて周波数0.1Hzの正弦波で繰返し載荷した。この試験を、軸差応力を変えて複数回実施し、各応力毎に液状化に至る載荷回数を求めた。上記試験の回帰曲線から、載荷回数20回で液状化に至る軸差応力とRL20を算出した。なお、液状化の判定は、繰返し載荷によって試験体の両振幅ひずみが5%を超えた時点とした。
一般に、サンドゲルは繰返し載荷で砂粒子間の結合が外れ、載荷回数に応じてひずみが大きくなる。RL20は、載荷20回で液状化に至る軸差応力(σ)を有効拘束圧(σ’c)で除して無次元化した値であるが、この値が大きいほど液状化強度が大きい。なお、実際の液状化対策で要求されるRL20は0.4~1.0程度であることから、1.0を超える高強度のものについては値を確定することはせず、全て「1.0」と表記した。
Figure 0006998729000002
[6]鉄腐食速度 鉄材を埋設したサンドゲルを60℃で保管。腐食による鉄材の重量減少率により腐食性の強さを比較した。具体的には以下のようにして行った。110ccガラスビン内に、15×50×2mmの鋼材(SS400)を埋設して、[3]に準じてサンドゲルを作製した。なお、鋼材を埋設する位置は全てのサンプルで一定(鋼材下端がビンの底から25mmの位置)とした。この試験体を、60℃で保管後、一定期間毎に鋼材を取り出し、スチールブラシで砂や錆を除去、乾燥して重量を測定し、重量減少率を算出した。重量減少率%=(試験前の鋼材重量-試験後の鋼材重量)÷(試験前の鋼材重量)×100
<実施例1~、比較例1~2
水70.5gにAl換算23%濃度のポリ塩化アルミニウム(塩基度83%)水溶液8.0g(ポリ塩化アルミニウム(PAC)をAl換算で2.0%)、濃度35%のアクリル酸マグネシウム水溶液10.5g(アクリル酸マグネシウムとして4.0%)を加えて溶解した。次いで、濃度90%の1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキサイド(TMBH)0.13g(TMBH9mM)を溶解し、さらに、濃度20%のチオ硫酸ナトリウム水溶液2.9g(チオ硫酸Na40mM)を加えて実施例1の地盤改良剤組成物とした。
実施例2~及び比較例1~2は、(A)成分:(メタ)アクリル酸金属塩、(B)成分:多価金属塩化合物、(C)成分:重合開始剤を以下の表2に示すとおりとなるように使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、各種の地盤改良剤組成物を調製した。
実施例1~及び比較例1~2の評価結果を、併せて表2に示す。
Figure 0006998729000003
以下、表中の記載について補足する。
AAMg:アクリル酸マグネシウム
PAC:ポリ塩化アルミニウムTMBH;1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキサイド
APS:ペルオキソ二硫酸アンモニウム塩
PBH:tert-ブチルヒドロペルオキシド
表2に示すように、実施例1~は、いずれも、そのゲル物の特性(硬化時間、一軸圧縮強度、耐久性、浸透性、液状化強度比、鉄腐食速度)において優れていた。すなわち、適切な硬化時間を備え、一軸圧縮強度は(メタ)アクリル酸金属塩及び多価金属塩化合物の含有量に応じて適切な強度のゲル物を得ることができ、アルカリ下でも十分なゲル物の構造を確保することができ、良好な浸透性を確保することができ、(メタ)アクリル酸金属塩及び多価金属塩化合物の含有量に応じた液状化強度比を確保することができ、優れた腐食抑制能を有していた。特に、塩基度がより高い多価金属塩化合物を用いるか及び/又は重合開始剤として有機過酸化物を用いた場合において優れた腐食抑制能を発揮した。
また、実施例1~は、いずれもpH調整することなく、十分な腐食抑制能を発揮した。したがって、地盤改良の現場等において迅速かつ簡易な操作で、本組成物を調製等することができる点において有利であるほか、必要な成分数を低減できる点において有利である。また、塩基度が60%の多価金属塩化合物を用いた実施例4においても十分な腐食抑制能を発揮していた。
さらに、(メタ)アクリル酸金属塩は、1.33%~10%、すなわち、1%~10%の範囲で十分な特性のゲル物を形成できること、多価金属塩化合物は0.67%~5%、すなわち、0.5%~5%の範囲でも、十分な特性のゲル物を形成できることがわかった。さらにまた、(メタ)アクリル酸金属塩と多価金属塩化合物との総量が2%~15%の範囲で、十分な特性のゲル物を形成できることがわかった。なお、(メタ)アクリル酸金属塩と多価金属塩化合物との総量が2%であると、ゲル物の強度特性(一軸圧縮強度、液状化強度比)自体は確保されていたが、当該総量が低下するとこれらの強度特性が低下する傾向があった。
これに対して、比較例1を参照すると、比較例1は、塩基度が50%であり、腐食抑制能が低下した。
本組成物は、強度及び耐久性の良好なゲル物を得ることが可能であるとともに、優れた腐食抑制能を有することができる。このため、地盤液状化防止用等各種用途の地盤改良剤組成物として有用である。また、移動不可能な既設の構造物直下の地盤に対しては、注入固化工法(薬液注入工法)による本発明の地盤改良剤組成物の適用が有用である。

Claims (4)

  1. 地盤改良剤組成物であって、
    以下の(A)~(D)成分:(A)(メタ)アクリル酸金属塩(B)塩基度60%以上の水溶性多価金属塩化合物(C)重合開始剤(D)水を含み、
    前記(A)成分及び前記(B)成分の総量が2.0質量%以上15質量%以下であり、
    前記(C)成分は、炭素数15以下の水溶解性の有機過酸化物である、
    組成物。
  2. 前記水溶性多価金属塩化合物は、アルミニウム塩化合物である、請求項1に記載の組成物。
  3. 地盤改良方法であって、
    (A)(メタ)アクリル酸金属塩(B)塩基度60%以上の水溶性多価金属塩化合物(C)重合開始剤(D)水を含み、
    前記(A)成分及び前記(B)成分の総量が2.0質量%以上15質量%以下であり、
    前記(C)成分は、炭素数15以下の水溶解性の有機過酸化物である、組成物を地盤に導入する工程、
    を備える、方法。
  4. 前記地盤改良方法は、注入固化工法である、請求項に記載の方法。
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