JP6997353B1 - 鋼製セグメントの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
鋼製セグメントは、各々鋼板からなる一対の主桁と、一対の継手板(端板)と、1枚のスキンプレートとを溶接した、一面が開口する筐体を本体としている。筐体には、複数の面に、所定の別部品を溶接したり、塗装などが施される。
鋼製セグメントの仮組・仮付け溶接時には、まず、一対の主桁と一対の継手板とを、多数のクランプ用油圧シリンダを用いて仮組立台にそれぞれ仮止めする。その後、これらの部材を部分的に溶接して鋼製セグメントの枠の仮付け溶接を行い、次に、仮組立台を所定角度だけ垂直旋回させて、トンネル壁面と対峙するスキンプレートを、この枠に仮付け溶接する。これを経て、鋼製セグメントの筐体が作製される。
そのため、筐体の作製時には、各主桁と各継手板とを多数のクランプ用油圧シリンダにクランプする必要があった。その結果、鋼製セグメントの製造が面倒で、装置が大型化し、設備コストは高騰していた。
回転ジグの構造は、回転ジグの基端部に、筐体の継手板に対する連結部が設けられ、回転ジグの先部に、ローラ部が設けられたものであれば任意である。
回転ジグと継手板との連結方法は限定されない。例えば、ボルトナット構造体を利用したものなどを採用することができる。
回転ローラは、対応する回転ジグを回転可能に支持するため、それぞれ対配置される。すなわち、回転ローラは少なくとも4つ使用される。
回転駆動部により回転駆動される回転ローラ(駆動ローラ)の数は、少なくとも1つあればよい。なお、その他の回転ローラは従動ローラとなる。
筐体に施されるセグメント製造作業(別のセグメント製造作業を含む)の種類は限定されない。例えば、吊手金具、補強板、継手ボックスなどの付属部品の溶接作業、筐体の塗装作業などが挙げられる。
その後、各回転ジグを対応する回転ローラ間に載置して筐体を横置きし、この状態のままで、溶接を含む所定のセグメント製造作業を筐体に行う。
その後、この状態を維持して、筐体に別のセグメント製造作業を施す。
なお、これらの筐体の開口の向きの変更と、筐体への別のセグメント製造作業とは、通常、この筐体に施される全てのセグメント製造作業が完了するまで繰り返される。
このように、鋼製セグメントの製造時において、従来のクレーンや仮組立台を使用せず、構造が簡単でコンパクトな筐体の回転設備を用いるため、セグメント製造の作業効率を高めることができ、かつ設備コストの低減も図ることができる。
図2および図3に示すように、この筐体11は、鋼製のX1-X2側の各側板を構成する、Y1-Y2方向に長尺で円弧状に湾曲した前後一対の主桁13と、鋼製のY1-Y2側の端板を構成し、かつ互いの間隔が下方へ向かうほど徐々に狭まる左右一対の継手板14と、鋼製のZ1側の上板を構成し、かつ上向き円弧状に湾曲した1枚のスキンプレート15と、筐体11の内部空間にY1-Y2方向へ所定ピッチで配されて、各主桁13を連結する7枚の鋼製の縦リブ16とをそれぞれ溶接して作製されたもので、そのZ2側の面は開口している。
このセグメント製造設備12は、筐体11の各継手板14の外面に、それぞれ着脱可能に連結される左右一対の円筒状の回転ジグ19と、筐体11との連結状態で各回転ジグ19を、水平な各軸線を中心として回転させる左側のジグ回転装置20および右側のジグ回転装置21とを有している。
各回転ジグ19は、それぞれ角パイプからなるY1-Y2方向に延びた左右一対の軸部22を有している。各軸部22は、基端側(筐体11側)の部分を構成する軸基部23と、先端側の部分を構成する軸先部24とからそれぞれ構成されている。
このうち、対応する軸基部23と軸先部24とは、各軸部22の4つの側面において、軸基部23と軸先部24との間に配された各4枚の連結プレート25を多数のボルトナットaにより締結することで、着脱可能に連結されている。
各ジグ側ブラケット27および各筐体側ブラケット29は、それぞれベース板に2枚の連結板片が、互いに平行に離間した状態で突設されたものである。このうち、各筐体側ブラケット29のベース板30は、複数のボルトナットa1を介して、筐体11の対応する継手板14の中央部にそれぞれ着脱可能に連結される。
これらの回転ジグ19は、後述する筐体11を横置き状態とした際に、互いの軸線bが筐体11の重心cを通るように構成されている。これを実現するため、実施例1では、図2において、各ピン継手26のピン28を、各回転ジグ19の軸線bから所定長さだけ下方に配している。
まず、左側のジグ回転装置20について説明する。
左側のジグ回転装置20は、X1-X2方向に長く、かつ上面が開口したケーシング31を本体とする。ケーシング31の幅方向の中間部には、X1-X2方向に長い左右同軸ねじ32が、一対の軸受33を介して軸支されている。
この左右同軸ねじ32のうち、X1側の左ねじ部34には、図示しないナットを介して前スライダ35が装着されている。一方、X2側の右ねじ部36には、図示しないナットを介して後スライダ37が装着されている。
また、ケーシング31のY1-Y2側の各端板の上端部には、X1-X2方向に長い一対のガイドレール38が配設されている。
また、左右同軸ねじ32のX1側の端部は、ケーシング31より外方に突出している。この突出部分には、ハンドル40が設けられている。ハンドル40により左右同軸ねじ32を回転させることで、前,後スライダ35,37に搭載された両左側回転ローラ39が、両ガイドレール38に沿って、互いに近接または離反する。
これらの構成体のうち、左右同軸ねじ32、前スライダ35、後スライダ37およびハンドル40によって、一対の左側回転ローラ39を互いに近接または離反させる左側ローラ間隔調整手段41が構成される。
異なるのは、各左側回転ローラ39に代えて、これらと同一構造の右側回転ローラ(別の一対の回転ローラ)42を使用した点と、左側ローラ間隔調整手段41に代えて、同じ構造の右側ローラ間隔調整手段43を採用した点と、前スライダ35のX1側の端部および後スライダ37のX2側の端部に、それぞれギヤボックス44を介して、前後一対の右側回転ローラ42を所定方向に所定角度だけ回転駆動する一対の電動モータ(回転駆動部)45を配設した点と、ケーシング31のX2側の外方に、各電動モータ45のコントローラ46を設けた点とである。
まず、前述したように、一対の主桁13と、一対の継手板14と、スキンプレート15と、各縦リブ16とをそれぞれ溶接して、一面(ここでは図2中の下面)が開口する筐体11を作製する(S100)。
その後、筐体11の各継手板14の外面に、一対の円筒状の回転ジグ19を、互いの軸線bを一致させて、複数のボルトナットa1により着脱可能に連結する(S101)。
次いで、各回転ジグ19を、対応する回転ローラ39間または回転ローラ42間に載置して筐体11を横置きし(S102)、この状態のままで、図示しない吊手金具、補強板、継手ボックスなどの付属部品の溶接作業、筐体11の塗装作業といった所定のセグメント製造作業を筐体11に施す(S103)。
その後、この状態を維持して、筐体11に別のセグメント製造作業を施す(S105)。
次いで、筐体11の各面に対する全てのセグメント製造作業が完了するまで、これらの筐体11の開口の向きの変更(S104)と、筐体11への別のセグメント製造作業(S105)とを繰り返す。
また、各回転ジグ19を対応する継手板14の外面に連結する際には、各回転ジグ19の軸線bが筐体11の重心cを通るように構成したため、筐体11の開口の向きの変更時、各電動モータ45により各右側回転ローラ42を回転駆動してなされる、各回転ジグ19を中心とした筐体11の所定角度の回転(回動)が安定する。
また、このように、各回転ジグ19の軸部22は、その4つの周側面において、軸基部23と軸先部24との間に掛け渡された各連結プレート25を、多数のボルトナットaで締結することで作製されている。
これにより、角パイプ状の軸部22の強度がさらに高まるとともに、仮に筐体11の回転中に、回転ジグ19に想定外の負荷が作用した場合でも、変形や亀裂などは連結部や軸先部24に止めることができる。その結果、その場合のジグ修理は、連結部と軸先部24の交換のみでよく、回転ジグ19全体の交換は不要となり、回転ジグ19の修理コストを抑えることができる。
11 筐体、
13 主桁、
14 継手板、
15 スキンプレート、
19 回転ジグ、
39 左側回転ローラ(回転ローラ)、
42 右側回転ローラ(別の回転ローラ)、
45 電動モータ(回転駆動部)、
b 軸線、
c 重心。
Claims (2)
- 鋼製の一対の主桁と、鋼製の一対の継手板と、鋼製のスキンプレートとを溶接して、鋼製セグメントの本体となる一面が開口した筐体を作製する工程と、
該筐体の各継手板の外面に、この筐体を回転させるための一対の円筒状の回転ジグを、互いの軸線を一致させて着脱可能に連結する工程と、
一方の前記回転ジグを、平行に離間した一対の回転ローラ間に載置するとともに、他方の前記回転ジグを、平行に離間した別の一対の回転ローラ間に載置することで、前記筐体を横置き状態とする工程と、
横置き状態の該筐体に、溶接を含む所定のセグメント製造作業を施す工程と、
該セグメント製造作業後、回転駆動部により少なくとも1つの前記回転ローラを回転駆動して前記各回転ジグを回転させることで、前記筐体の開口の向きを変更する工程と、
該筐体の開口の向きを変更後、この筐体に別の前記セグメント製造作業を施す工程と、
該別のセグメント製造作業後、前記各回転ローラ間から対応する回転ジグをそれぞれ外すとともに、前記筐体の各継手板の外面から、対応する回転ジグをそれぞれ離脱させる工程とを備えたことを特徴とする鋼製セグメントの製造方法。 - 前記各回転ジグは、前記互いの軸線が前記筐体の重心を通るように、対応する継手板の外面に、それぞれ着脱可能に連結されることを特徴とする請求項1に記載の鋼製セグメントの製造方法。
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