JP6997048B2 - 車両の空調装置 - Google Patents

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本発明は、圧縮機用の潤滑油を含む冷媒を循環させる冷凍サイクルを備えた車両の空調装置に関する。
車両に搭載される空調装置では、圧縮機、コンデンサ、減圧器、エバポレータを順に冷媒配管で接続して冷凍サイクルが形成される。冷凍サイクルにおいて、圧縮機用の潤滑油を含む冷媒が循環される。特に、冷房効率向上のために中間熱交換器を備えた空調装置が特許文献1に記載されている。中間熱交換器は、二重管タイプの内部熱交換器であり、コンデンサ2から減圧器3に送られる冷媒とエバポレータから圧縮機に送られる冷媒とを熱交換させる。
ここで、空調装置が停止しているとき、気温の日内変動により冷媒配管内のガス冷媒がコンデンサ側から圧縮機へ移動して、圧縮機内でガス冷媒が液化して、潤滑油と液冷媒が混ざり合う。液冷媒化が進行すると、圧縮機に溜まっている潤滑油が液冷媒とともにコンデンサ側の冷媒配管に持ち出され、オーバーフローが発生し、潤滑油は冷媒配管に溜まる。このように、冷媒配管に潤滑油が滞留すると、圧縮機での潤滑油が不足する。
潤滑油が液冷媒とともに持ち出されないようにするために、圧縮機に接続される冷媒配管に液溜めタンクが設けられる。しかし、新たにタンクを設けるため、コストアップ、重量の増加といった問題が生じる。また、安価な配管構造で冷媒流れが停止したときに滞留する潤滑油を圧縮機へ戻すことが例えば特許文献2に記載されている。特許文献2では、エバポレータから圧縮機に接続される冷媒配管の最下部に潤滑油を一時的に滞留させるトラップ部を設けられる。空調運転として、1つのエバポレータが停止された場合、冷媒中の潤滑油が自重によってトラップ部に溜まっていく。そして、溜まった潤滑油によって、トラップ部の流路断面積が小さくなるので、圧縮機の吸引による流速が増し、溜まった潤滑油が圧縮機に戻される。
特開2016-42001号公報 特開2003-42599号公報
車両が長期間放置される場合、上記の潤滑油の持ち出しが繰り返され、圧縮機内の潤滑油が減少していく。このような圧縮機内の潤滑油が減少した状態で空調装置の運転が開始されると、圧縮機内に十分な潤滑油が行き渡らずに圧縮機が焼き付くおそれがある。
ところで、特許文献2に記載のトラップ部は上下方向に折れ曲がるU字状、いわゆるUトラップとされる。圧縮機が動作しているときには、圧縮機の吸引によって溜まっている潤滑油を吸い上げることができる。しかし、停止している圧縮機を始動させる場合、十分な吸引力が得られず、潤滑油を吸い上げることができない。
本発明は、上記に鑑み、長期間放置された後に空調運転が開始されたときに、圧縮機を安全に始動できるだけの潤滑油を確保できる車両の空気調和機の提供を目的とする。
本発明の車両の空調装置は、潤滑油を含む冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を冷却するコンデンサと、冷媒を減圧する減圧器と、減圧された冷媒を蒸発させるエバポレータとを備え、エバポレータから圧縮機への冷媒配管に、圧縮機の始動時に必要な潤滑油を確保するために潤滑油を溜めるトラップ部が設けられる。
長期間圧縮機が駆動されないと、圧縮機内の潤滑油が持ち出されて、潤滑油が減少する。トラップ部には、潤滑油が溜められているので、圧縮機が始動したとき、潤滑油が圧縮機に供給されるので、圧縮機の潤滑が行われ、圧縮機は安全に始動される。
コンデンサから流出する冷媒とエバポレータから圧縮機に送られる冷媒とを熱交換させる中間熱交換器を備え、トラップ部は、エバポレータからの冷媒が流出する中間熱交換器の出口側に配される。中間熱交換器を設けると、冷媒量が増やされる。その分、潤滑油が圧縮機から持ち出されやすくなるが、中間熱交換器では潤滑油が付着する表面積が大きいので、中間熱交換器の近くにトラップ部を設けることにより、トラップ部に溜まる潤滑油の量を増やすことができる。したがって、圧縮機の始動時に十分な量の潤滑油を確保できる。
本発明によると、車両が長期間放置された後に空調運転が開始されたときに、トラップ部に圧縮機を安全に始動できるだけの十分な潤滑油を溜めておくことができ、圧縮機の始動によりこの潤滑油が圧縮機に吸い込まれ、圧縮機は正常に動作することができる。
本発明の実施形態の車両の空調装置の概略構成図 エンジンルーム内の冷媒配管の配置を示す図 トラップ部が設けられたエバポレータから圧縮機までの冷媒配管を示す図 潤滑油が溜まったトラップ部を示す図 他の形態のトラップ部を示す図
本発明の実施形態の車両の空調装置を図1に示す。空調装置は、潤滑油を含む冷媒を圧縮する圧縮機1と、圧縮された冷媒を冷却するコンデンサ2と、冷媒を減圧する減圧器3と、減圧された冷媒を蒸発させるエバポレータ4とを備え、これらが冷媒配管5によって接続され、冷凍サイクルが形成される。
図2に示すように、圧縮機1は、車両のエンジンルーム内に配置され、エンジンあるいはモータによって駆動される。コンデンサ2は、エンジンルーム6内の圧縮機1よりも前方に配置され、コンデンサ2に送風するファン7が設けられる。車室のインストルメントパネル内に通風ダクトが設けられる。通風ダクトに、送風ファン8、エバポレータ4が配置される。減圧器3は、膨張弁とされ、エンジンルーム6内の車室との仕切り壁9近傍に配置される。
そして、コンデンサ2から流出する冷媒とエバポレータ4から圧縮機1に送られる冷媒とを熱交換させる中間熱交換器10が設けられる。中間熱交換器10は、二重管タイプの内部熱交換器とされ、螺旋溝が形成された内管11と、内管11を覆う外管12とから構成される。内管11内にエバポレータ4の出口側の低温ガス冷媒が流れ、外管12内にコンデンサ2の出口側の高温液冷媒が流れる。
エンジンルーム6内における冷媒配管5として、図2に示すように、圧縮機1の吐出口とコンデンサ2の入口とを接続するディスチャージホース15、コンデンサ2の出口と減圧器3とを接続するリキッドチューブ16、エバポレータ4の出口と圧縮機1とを接続するサクションホース17がある。リキッドチューブ16およびサクションホース17は、エンジンルーム6の前部から左右方向の一側を通って車室側まで配置される。リキッドチューブ16の途中に外管12が挿入され、サクションホース17の途中に内管11が挿入され、中間熱交換器10は仕切り壁9の近傍に配置される。
図3に示すように、エバポレータ4から圧縮機1への冷媒配管5に、圧縮機1の始動時に必要な潤滑油を確保するために潤滑油を溜めるトラップ部20が設けられる。トラップ部20は、エバポレータ4からの冷媒が流出する中間熱交換器10の出口側に配される。
トラップ部20は、冷媒配管5の一部をV字状に形成したものであり、冷媒流れ方向の上流側では、下り傾斜とされ、下流側では、上り傾斜とされる。上流側の配管は、下流側の配管よりも高い位置にあり、中間熱交換器10の内管11、すなわちエバポレータ4からの冷媒配管5に接続される。
空調運転中、冷媒が冷媒配管5を循環する。液冷媒に溶け込んだ潤滑油も循環するが、液冷媒がガス化すると、潤滑油は取り残され、冷媒配管5の内面に付着する。特に、エバポレータ4から圧縮機1までの冷媒配管5の内面に多く付着する。空調運転が停止すると、冷媒は流れなくなる。冷媒配管5の内面に付着した潤滑油は低い側に向かって流れるので、トラップ部20に潤滑油が溜まってくる。
一方、圧縮機1では、液冷媒のオーバーフローに伴って潤滑油が少しずつ持ち出され、圧縮機1内の潤滑油が減っていく。空調運転が行われると、潤滑油は冷媒とともに循環して、圧縮機1に戻ってくる。したがって、空調装置の停止時間が短い場合、圧縮機1内の潤滑油は圧縮機1の潤滑に十分な量を確保できる。
しかし、車両が長期間放置されるなどのように、空調装置が長期間運転されない場合、圧縮機1から潤滑油が持ち出されて、潤滑油が少なくなり、圧縮機1が始動されたとき、圧縮機1の動作に支障を来すようになる。ここで、トラップ部20には、上流側の冷媒配管5および下流側の冷媒配管5に付着した潤滑油が流れ込んできて、溜まっていく。特に、中間熱交換器10の内管11には螺旋溝が形成されているので、配管の表面積が大きくなり、多くの潤滑油が付着する。したがって、上流側の冷媒配管5から多くの潤滑油がトラップ部20に供給される。
トラップ部20では、潤滑油が溜まり、図4に示すように、冷媒配管5を塞ぐようにトラップ部20の下部が潤滑油で満たされる。トラップ部20に溜められる潤滑油の量は、圧縮機1が焼き付きを起こさないように潤滑できるだけの規定量とされる。これに応じてトラップ部20の下部の曲率が設定される。
空調運転が開始されると、圧縮機1が始動し、トラップ部20よりも下流側の冷媒配管5内のガス冷媒が圧縮機1に吸い込まれる。すると、この間の冷媒配管5内が負圧となり、トラップ部20の潤滑油が吸い上げられる。このとき、トラップ部20は上り傾斜に形成されているので、潤滑油が冷媒配管5に沿って下流側に向かって流れていく。潤滑油が流れて、トラップ部20内に隙間ができると、ガス冷媒が一気に流れ込み、潤滑油は粒状になってガス冷媒とともに圧縮機1に吸い込まれる。
このように、長期間圧縮機1が動作しないとき、圧縮機1内の潤滑油が少なくなっても、圧縮機1が始動したときに確実に潤滑油を圧縮機1に供給することができるので、始動時の焼き付きを防止することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。トラップ部20の形状として、図5に示すように、トラップ部20の下部の曲率を小さくしてもよい。ただし、下部の曲率を0、すなわち下部を平坦にするのは好ましくない。潤滑油が溜まったときのトラップ部20内の隙間が大きくなり、十分な吸引力が得られないので、潤滑油を吸い上げることができなくなる。
1 圧縮機
2 コンデンサ
3 減圧器
4 エバポレータ
5 冷媒配管
10 中間熱交換器
20 トラップ部

Claims (1)

  1. 潤滑油を含む冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を冷却するコンデンサと、冷媒を減圧する減圧器と、減圧された冷媒を蒸発させるエバポレータとを備えた車両の空調装置であって、エバポレータから圧縮機への冷媒配管に、コンデンサから流出する冷媒とエバポレータから圧縮機に送られる冷媒とを熱交換させる内管と外管から構成される中間熱交換器と、圧縮機の始動時に圧縮機が焼き付きを起こさないように潤滑するのに必要な潤滑油を確保するために潤滑油を溜めるトラップ部が設けられ、トラップ部は、下部が車両下方を向くV字状とされ、エバポレータからの冷媒が流出する中間熱交換器の内管の出口側に接続され、冷媒配管が中間熱交換器の出口側からトラップ部に向かって下向きに傾斜していることを特徴とする車両の空調装置。
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