JP5999624B2 - アキュムレータ及びこれを用いた空調装置 - Google Patents
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このようなヒートポンプ式の空調装置では、上記のように室内を冷房可能であるとともに、圧縮機から吐出した高温高圧の冷媒を室内熱交換器に導入して室内を暖房可能としている。当該ヒートポンプ式の空調装置は、暖房時において、室内熱交換器を通過した冷媒を膨脹弁、室外熱交換器の順番に通過させ、常温常圧となった冷媒を圧縮機に環流させるように循環路を切換可能な構成となっている。
アキュムレータは、気液を分離させるため、一般的に、内部の流体の流通経路が複雑化しており、よって冷媒の通過時に圧損を発生させてしまう。したがって、冷房運転時において冷房能力が低下する虞がある。
本発明の請求項2のアキュムレータによれば、空調装置の暖房運転時には、第1の流入口に冷媒が導入されることで、気液分離手段によって分離し液体の冷媒を貯留可能となる。一方、空調装置の冷房運転時には、第2の流入口へ冷媒が導入されることで、圧損を抑えた冷媒の通過が可能となる。また、空調装置の除湿運転時には、冷媒の一部が第1の流入口へ導入され、気液分離手段によって分離し液体の冷媒が貯留されるとともに、残りの冷媒が第2の流入口へ導入されるので、液体の冷媒の圧縮機への流入を抑制しつつ、圧損を抑えた冷媒の通過が可能となる。
本発明の請求項3の空調装置によれば、暖房運転時にはアキュムレータの第1の流入口に冷媒が流入するので、冷媒が気液分離手段により気液分離して液体状の冷媒を貯留して、圧縮機への液体状の冷媒の流入を抑制することができる。
なお、冷房運転時では、レシーバにより液体状の冷媒が貯留されるので、アキュムレータにおける液体状の冷媒の貯留量は少ないものの、暖房運転から冷房運転に切換えた時点では、アキュムレータに液体状の冷媒が多量に貯留されている場合がある。ここで、アキュムレータには液溜め部から潤滑油を排出口に導く潤滑油抜け穴が設けられているので、冷房運転開始時でも液体状の冷媒とともに液溜め部に貯留されている潤滑油を排出口に排出し、アキュムレータの下流に配置された圧縮機の潤滑油不足を回避することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る空調装置1の構成図である。
本願発明の一実施形態に係る空調装置1は、冷媒の圧縮・膨脹により冷房運転、暖房運転及び除湿運転を可能なヒートポンプ方式の空調装置である。
空調装置1は、例えば電気自動車やハイブリッド車に搭載され、冷房運転、暖房運転及び除湿運転の全てを、車載バッテリから供給される電力によって駆動される。
圧縮機10は、電動であり、冷媒を圧縮し昇圧する機能を有する。室内凝縮器12は、車両のHVACユニット40の通気ダクト42内に設けられた室内熱交換器の一つであり、昇温した冷媒の熱を通気ダクト42内に放熱する機能を有する。暖房用膨張弁14は、冷媒を減圧膨張する機能を有し、暖房運転時に冷媒を減圧膨張する。車室外熱交換器は、冷媒と外気との間で熱交換を行うものであり、冷房運転時には放熱器として暖房時には吸熱器として機能する。冷房用膨張弁18は、冷媒を減圧膨張する機能を有し、冷房運転及び除湿運転時に冷媒を減圧膨張する。室内蒸発器20は、通気ダクト42内に設けられた室内熱交換器の一つであり、室内凝縮器12の上流側に配置され、低温の冷媒によって通気ダクト42内の熱を吸熱する機能を有する。
更に、バイパス路8と循環路2との合流部には、液体状態の冷媒を貯留するアキュムレータ32が介装されている。
また、同図に示すように、HVACユニット40の通気ダクト42には、内気や外気を通気ダクト42に送給するための通気ファン46と、通気ファン46により送給された内気や外気の室内凝縮器12への流通度合いを調節するエアミックスダンパ47が設けられている。
アキュムレータ32は、内部に液体状の冷媒を貯留可能な液溜め空間50(液溜め部)を有するアキュムレータ本体52に、第1の流入口54、第2の流入口56及び排出口58が設けられて構成されている。第1の流入口54はバイパス路8に接続され、第2の流入口56は室内蒸発器20の下流側の循環路2に接続されている。また、排出口は圧縮機10の上流側の循環路2に接続されている。
第2の流入口56及び排出口58は、アキュムレータ本体52の液溜め空間50の下方で横方向に向かい合うように配置され、比較的短く大径の連通路62によって接続されている。
アキュムレータ本体52の液溜め空間50内には、鉛直方向に延びる排出管64が設けられている。排出管64の上端は、液溜め空間50の底面より上方に突出し、流入管60の下端から下方に離間した位置で開口している。排出管64の下端は、連通路62に接続されている。
更に、液溜め空間50の下部から連通路62に向けて、下方に延びる小径のオイル排出路70が形成されている。オイル排出路70の連通路62への出口は、排出管64と連通路62との接続部と排出口58との間に開口するように配置されている。
このように循環路2内には、冷媒とともに少量の潤滑油が封入されているので、アキュムレータ32の液溜め空間50に液体状の冷媒が貯留されると潤滑油も液溜め空間50に貯留される。
アキュムレータ32には、液溜め空間50の下部から連通路62に向けて、下方に延びる小径のオイル排出路70が形成されているので、液溜め空間50内から潤滑油がオイル排出路70、連通路62を介して排出口58に排出される。
図3は、冷房運転時における冷媒の流通を示す説明図である。図4は、暖房運転時における冷媒の流通を示す説明図である。図5は、除湿運転時における冷媒の流通を示す説明図である。図3〜5において、図中太線で記載された矢印が冷媒の流通経路を示す。
したがって、冷房運転時に冷媒は、圧縮機10、室内凝縮器12、バイパス路4、室外熱交換器16、レシーバ30、冷房用膨張弁18、室内蒸発器20、アキュムレータ32の順番に通過し、圧縮機10に環流する。これにより、室内蒸発器20で低温の冷媒と熱交換をして、通気ダクト42を通過する内気や外気が冷却される。なお、室内凝縮器12には、内気や外気が通過しないので、通気ダクト42を通過する内気や外気は殆ど室内凝縮器12で加熱されない。
したがって、暖房運転時に冷媒は、圧縮機10、室内凝縮器12、暖房用膨張弁14、室外熱交換器16、レシーバ30、バイパス路8、アキュムレータ32の順番に通過し、圧縮機10に環流する。これにより、室内凝縮器12で高温の冷媒と熱交換をして、通気ダクト42を通過する内気や外気が加熱される。
これにより、除湿運転時に冷媒は、圧縮機10、室内凝縮器12を通過した後、一部が暖房用膨張弁14、室外熱交換器16、レシーバ30、バイパス路8、アキュムレータ32の順番に通過し、圧縮機10に環流する。残りの冷媒がバイパス路6、冷房用膨張弁18、室内蒸発器20、アキュムレータ32の順番に通過し、圧縮機10に環流する。これにより、室内蒸発器20で低温の冷媒と熱交換をして、通気ダクト42を通過する内気や外気が冷却される。室内蒸発器20は通気ダクト42を通過する内気や外気を冷却することで発生する凝縮水を捕捉する機能を有しており、室内蒸発器20を通過した内気や外気の水分量が低下する。そして、この低温かつ水分量の低下した内気や外気を室内凝縮器12で高温の冷媒と熱交換することで、常温に戻し、湿度を低下させることができる。
特に、冷房運転時においては、冷媒が連通路62を通過することで圧損を低減しつつ、例え液溜め空間50内に液体状の冷媒と潤滑油が貯留していたとしても、オイル排出路70を介して排出口58から潤滑油を排出させることができる。
図6に示すように、本実施形態のアキュムレータ80は、排出口58がアキュムレータ本体82の上部に配置され、第2の流入口から排出口58を連通する連通路62がL字状に屈曲している点が第1の実施形態のアキュムレータ32と異なる。
本実施形態では、連通路62が後半部分で上方に伸びているので、第1の実施形態のアクチュエータ32より潤滑油が排出し難くなるが、上記のように全ての運転時において全ての冷媒が連通路を通過することから、冷媒の通過に伴って潤滑油を排出することが可能である。本アキュムレータ80は、その設置位置等による制約により、アキュムレータ80の上方で圧縮機10への循環路2を接続する場合に用いればよい。
図7、図8に示すように、第3の実施形態のアキュムレータ90、及び第4の実施形態のアキュムレータ100では、第1の流入口54、第2の流入口56及び排出口58の全てがアキュムレータ本体92、102の上部に配置されている点が、第1の実施形態のアキュムレータ32と異なる。
配管94は、アキュムレータ本体92の液溜め空間50内に配置され、その下部が液溜め空間50の下部まで延びている。この配管94の下部に、液溜め空間50から配管94内に向けて下方に延びる穴であるオイル排出路70が設けられている。また、配管94は、第2の流入口56とオイル排出路70との間、かつ仕切り68の下方で2つに分割されており、下側の配管94aの上端部は上方を向いて径方向外方に開いた漏斗状に形成されている。一方、上側の配管94bの下端は、漏斗状に開いた下側の配管94aの端部に隙間をおいて挿入されており、第2の流入口56から流入した冷媒は、上側の配管94bから下側の配管94aにスムーズに流入させ、排出口58から排出させることができる。液溜め空間50内の気体状の冷媒は、上側の配管94bの下端部と下側の配管94aの上端部との間の隙間から下側の配管94a内に流入可能である。
配管104は、液溜め空間50内に配置され、その下部が液溜め空間50の下部まで延びている。この配管104の下部に、液溜め空間50から配管104内に向けて下方に延びる穴であるオイル排出路70が設けられている。
アキュムレータ90及びアキュムレータ100は、その上方で循環路2やバイパス路4を接続する場合に適している。
上記実施形態の空調装置1において、図9に示すように、更に、室内蒸発器20と圧縮機10との間の循環路2に、アキュムレータ32をバイパスする比較的大径のバイパス路112を設けるとよい。バイパス路112には、開度を調整可能な電磁式の開閉弁114を介装する。
このような構成の空調装置110では、開閉弁114を開作動させることで、室内蒸発器20と圧縮機10との間でアキュムレータ32を通過する冷媒を減少させることができる。
なお、本願発明は、以上の実施形態に限定するものではない。例えば、車両の空調装置以外の空調装置にも適用可能である。
2 循環路
10 圧縮機
12 室内凝縮器(放熱器)
14 暖房用膨張弁
16 車室外熱交換器
18 冷房用膨張弁
20 室内蒸発器(吸熱器)
30 レシーバ
32、80、90、100 アキュムレータ
50 液溜め空間(液溜め部)
54 第1の流入口
56 第2の流入口
58 排出口
62 連通路(導入路)
68 仕切り(気液分離手段)
70 オイル排出路(潤滑油抜け穴)
Claims (4)
- 潤滑油を混合した冷媒を循環させる循環路を有する空調装置に備えられ、前記循環路に設けられた圧縮機の上流側に配置されるとともに、本体内部に気液分離手段と液体を貯留する液溜め部とを有するアキュムレータであって、
潤滑油を混合した前記冷媒が流入する第1の流入口及び第2の流入口と、前記冷媒が排出される排出口とを有し、
前記第1の流入口から流入した前記冷媒は前記気液分離手段により気体と液体とに分離され、液体状の前記冷媒及び前記潤滑油が前記液溜め部に貯留する一方、気体状の前記冷媒が排出口から排出され、前記第2の流入口から流入した前記冷媒は、前記気液分離手段を介さずに前記排出口に排出されるとともに、
前記液溜め部から潤滑油を前記排出口に導く潤滑油抜け穴を備え、
前記第2の流入口から冷媒を前記排出口に導く導入路が、前記液溜め部の下方に備えられ、
前記潤滑油抜け穴は、前記液溜め部の下部から前記導入路に向けて下方に延びるように形成されていることを特徴とするアキュムレータ。 - 前記空調装置は、暖房運転、冷房運転及び除湿運転が可能なヒートポンプ方式の空調装置であり、
前記暖房運転時には、前記第1の流入口へ冷媒が導入され、
前記冷房運転時には、前記第2の流入口へ冷媒が導入され、
前記除湿運転時には、冷媒の一部が前記第1の流入口へ導入されるとともに、残りの冷媒が前記第2の流入口へ導入されることを特徴とする請求項1に記載のアキュムレータ。 - 冷媒を圧縮する圧縮機と、室内に設けられ暖房運転時に該圧縮機で昇圧された冷媒を凝縮させて放熱を行う放熱器と、前記暖房運転時には前記放熱器にて放熱し且つ減圧膨張された冷媒への吸熱を行う一方、前記冷房運転時には前記圧縮機で昇圧された冷媒から放熱を行う室外熱交換器と、室内に設けられ前記冷房運転時に前記放熱器または前記室外熱交換器にて放熱しかつ減圧膨張された冷媒への吸熱を行う吸熱器と、前記室外熱交換器により放熱された冷媒のうち液体状の冷媒を貯留可能なレシーバと、請求項1または2のいずれかに記載のアキュムレータと、を介装し、潤滑油を混合した冷媒を循環させる循環路を備えたことを特徴とする空調装置。
- 前記吸熱器と前記圧縮機との間の前記循環路に接続され、前記アキュムレータをバイパスするバイパス路と、
前記バイパス路に介装された開閉弁と、を備えたことを特徴とする請求項3に記載の空調装置。
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