JP6996955B2 - 安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法 - Google Patents

安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6996955B2
JP6996955B2 JP2017229792A JP2017229792A JP6996955B2 JP 6996955 B2 JP6996955 B2 JP 6996955B2 JP 2017229792 A JP2017229792 A JP 2017229792A JP 2017229792 A JP2017229792 A JP 2017229792A JP 6996955 B2 JP6996955 B2 JP 6996955B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
concentration
acid
measuring
hypobromous acid
salt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017229792A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019100781A (ja
Inventor
大作 矢野
千晴 大森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Organo Corp
Original Assignee
Organo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Organo Corp filed Critical Organo Corp
Priority to JP2017229792A priority Critical patent/JP6996955B2/ja
Publication of JP2019100781A publication Critical patent/JP2019100781A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6996955B2 publication Critical patent/JP6996955B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、水中に含まれる次亜臭素酸またはその塩および安定化次亜臭素酸組成物のうちの少なくとも1つの濃度を個別に測定する方法に関する。特に、次亜塩素酸と区別して次亜臭素酸またはその塩および安定化次亜臭素酸組成物のうちの少なくとも1つの濃度を測定する方法に関する。
工場やビル等の循環冷却水および浴場や水泳プール等の循環用水等の循環水の処理設備においては、微生物および藻類等の水棲生物による障害、例えば、増殖した微生物の大気への拡散、微生物や水棲生物により生成するスライムによる配管の閉塞や処理設備の機能不全の抑制が求められる。このため、循環水の処理設備においては、通常、循環水に次亜塩素酸等の殺菌剤を添加することで微生物や水棲生物の増殖を抑え、障害の発生を抑制している。しかし、次亜塩素酸は、被処理水中の有機物と反応することで有機塩素化合物を生成する可能性があることから、それにより処理された循環水をそのまま排水すると環境汚染を招く可能性がある。また、被処理水がアルカリ性の場合、次亜塩素酸は解離が進行して殺菌効果が減退する。さらに、被処理水がアンモニアを含む場合、次亜塩素酸はアンモニアとの反応によりクロラミンを生成し、活性が低下する。
そこで、このような問題の解決法として、殺菌剤として次亜塩素酸と次亜臭素酸との併用が提案されている。例えば特許文献1には、次亜塩素酸と臭素化合物とを被処理水への添加直前に混合することで、被処理水中に次亜塩素酸と次亜臭素酸との混合物を生成させ、この混合物を用いて被処理水を殺菌処理することが記載されている。
この場合、特許文献1に記載のように次亜塩素酸と臭素化合物との比率を制御しないと目的の混合物が生成せず、また、混合物は次亜塩素酸と次亜臭素酸との相乗効果により被処理水の処理効果が高まることから、被処理水における次亜塩素酸および次亜臭素酸のそれぞれの濃度を個別に測定して管理する必要がある。
また、次亜塩素酸と臭素化合物を使用する直前に混合する方法は、均一混合の煩雑さや、腐食の問題があることから、例えば特許文献2に例示されるような、保存安定性に優れる1液系の安定化次亜臭素酸組成物も用いられるが、殺菌効果を保つためには、被処理水中の安定化次亜臭素酸組成物の濃度を正確に測定することが必要である。
次亜塩素酸および次亜臭素酸をともに含む水溶液については、紫外線吸収スペクトルを測定した場合において、次亜塩素酸および次亜臭素酸の吸収ピークがそれぞれ観測されることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。このため、紫外線吸収スペクトルの測定により、被処理水における次亜塩素酸および次亜臭素酸の存在を定性的に判定することができる。しかし、次亜塩素酸および次亜臭素酸の双方が高濃度の場合、両者の極大吸収波長が接近していることから両者の吸収ピークが重なるため、各極大吸収波長の吸光度から次亜塩素酸および次亜臭素酸のそれぞれの濃度を正確に個別に求めるためにはフーリエ変換法等の複雑な処理が必要になる。また、被処理水は、水道水のように塩素を含むものや、蒸留水のような精製水等、被処理水によって水質が異なることがあるため、紫外線吸収スペクトルに基づく定量は、水質の異なる被処理水毎に検量線を作成する必要があり、非常に煩雑である。
また、この方法は紫外線吸収スペクトルを得るための分析装置が必要であり、現場での簡便な測定には不向きという課題がある。
一般に次亜塩素酸の濃度は比色法によって測定され、比色法としては、非特許文献2に記載のN,N-ジエチル-p-フェニレンジアミンを比色試薬として用いるDPD法、または非特許文献3に記載のN,N’-ビス(2,4-ジ-スルホベンジル)トリジン テトラナトリウムを比色試薬として用いるSBT法等が用いられる。一般に、塩素剤が水に溶けて生成する次亜塩素酸は遊離残留塩素、これがアンモニアと結合して生じるクロロアミンは結合残留塩素、両者を合わせて残留塩素または全残留塩素と呼ばれる。DPD法やSBT法はこれら残留塩素を比色により測定する方法で、紫外線吸収スペクトルを得るための分析装置等は必要なく、現場で簡便に濃度測定が可能であるという利点を有する。
しかしながら、これらのDPD法やSBT法等の比色法は、次亜塩素酸と次亜臭素酸または安定化次亜臭素酸組成物とをともに含む水溶液について、次亜塩素酸と次亜臭素酸または安定化次亜臭素酸組成物とを区別して測定することができない。
特開昭60-129182号公報 特開2014-101251号公報
渡辺紀子、次亜塩素酸ナトリウム漂白における臭化ナトリウム添加の影響、日本家政学会誌、第50巻、第6号、1999年、587-593頁 工業用水試験方法JIS K 0101、「28.残留塩素」の項 R. Sakamoto, D. Horiguchi, T. Ikegami, M. Ishiyama, M. Shiga, K. Sasamoto, and Y. Katayama, "A New Water-soluble Chromogenic Indicator - An Application to the Determination of Chlorine in Aqueous Solutions", Anal. Sci., 2003, 19, 1445.
本発明の目的は、次亜塩素酸またはその塩が共存していても、水中に含まれる次亜臭素酸またはその塩および安定化次亜臭素酸組成物のうちの少なくとも1つの濃度を個別に測定することができる、次亜臭素酸またはその塩および安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法を提供することにある。
本発明は、臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物を含む安定化次亜臭素酸組成物と次亜塩素酸またはその塩とを含む水中の安定化次亜臭素酸組成物の濃度を遊離残留塩素の濃度として測定する方法であって、前記水中の前記次亜塩素酸またはその塩の濃度(mg/L)に対して5倍以上の量の無機アンモニウム塩、アミノ酸、およびアミノアルキルスルホン酸のうちの少なくとも1つの共存下にて遊離残留塩素濃度測定を行う、安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法である。
記安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法において、比色法により前記遊離残留塩素濃度測定を行うことが好ましい。
記安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法において、前記比色法による遊離残留塩素濃度測定において用いる比色試薬が、N,N-ジエチル-p-フェニレンジアミンまたはN,N’-ビス(2,4-ジ-スルホベンジル)トリジン テトラナトリウムであることが好ましい。
記安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法において、前記アミノ酸の共存下にて前記遊離残留塩素濃度測定を行うことが好ましい。
記安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法において、前記アミノ酸としてグリシンの共存下にて前記遊離残留塩素濃度測定を行うことが好ましい。
本発明により、次亜塩素酸またはその塩が共存していても、水中に含まれる次亜臭素酸またはその塩および安定化次亜臭素酸組成物のうちの少なくとも1つの濃度を個別に測定することができる。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る次亜臭素酸またはその塩および安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法は、水中の次亜臭素酸またはその塩および安定化次亜臭素酸組成物のうちの少なくとも1つの濃度を測定する方法であって、アンモニウム塩またはアミノ基を有する化合物の共存下にて比色による遊離残留塩素濃度測定を行う方法である。この方法により、次亜塩素酸またはその塩が共存していても、水中に含まれる次亜臭素酸またはその塩および安定化次亜臭素酸組成物のうちの少なくとも1つの濃度を個別に測定することができる。例えば、簡便な比色法を用いて、水中に含まれる次亜臭素酸またはその塩および安定化次亜臭素酸組成物のうちの少なくとも1つの濃度を個別に測定することができる。特に、水中に含まれる次亜臭素酸またはその塩および安定化次亜臭素酸組成物のうちの少なくとも1つの濃度を、次亜塩素酸またはその塩と区別して個別に測定することができる。
本実施形態に係る濃度測定方法を適用可能な測定対象水は、次亜臭素酸またはその塩および安定化次亜臭素酸組成物のうちの少なくとも1つを含む水、または、次亜臭素酸またはその塩および安定化次亜臭素酸組成物のうちの少なくとも1つを含む可能性がある水であり、例えば、工場やビル等の循環冷却水および浴場や水泳プール等の循環用水等の循環水等である。また、次亜臭素酸またはその塩および安定化次亜臭素酸組成物のうちの少なくとも1つと次亜塩素酸またはその塩とが共存する水、または、次亜臭素酸またはその塩および安定化次亜臭素酸組成物のうちの少なくとも1つと次亜塩素酸またはその塩とが共存する可能性がある水にも適用可能である。
測定対象水中の次亜臭素酸またはその塩および安定化次亜臭素酸組成物のうちの少なくとも1つの濃度は、例えば、0.1mg/L~100mg/Lの範囲である。測定対象水中に次亜塩素酸またはその塩が共存する場合、測定対象水中の次亜塩素酸またはその塩の濃度は、例えば、0.1mg/L~100mg/Lの範囲である。
測定対象水に含まれる次亜臭素酸の塩は、例えば、次亜臭素酸のナトリウム塩のような次亜臭素酸のアルカリ金属塩や、次亜臭素酸のカルシウム塩のような次亜臭素酸のアルカリ土類金属塩等の次亜臭素酸塩である。
測定対象水に含まれる安定化次亜臭素酸組成物は、例えば、「臭素系酸化剤」と「スルファミン酸化合物」とを含むものであり、「臭素系酸化剤」と「スルファミン酸化合物」との混合物を含むものであってもよいし、「臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物」を含むものであってもよい。
臭素系酸化剤としては、臭素(液体臭素)、塩化臭素、臭素酸、臭素酸塩、次亜臭素酸等が挙げられる。次亜臭素酸は、臭化ナトリウム等の臭素化合物と次亜塩素酸等の塩素系酸化剤とを反応させて生成させたものであってもよい。
臭素化合物としては、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、臭化アンモニウムおよび臭化水素酸等が挙げられる。
スルファミン酸化合物は、以下の一般式(1)で示される化合物である。
NSOH (1)
(式中、Rは独立して水素原子または炭素数1~8のアルキル基である。)
スルファミン酸化合物としては、例えば、2個のR基の両方が水素原子であるスルファミン酸(アミド硫酸)の他に、N-メチルスルファミン酸、N-エチルスルファミン酸、N-プロピルスルファミン酸、N-イソプロピルスルファミン酸、N-ブチルスルファミン酸等の2個のR基の一方が水素原子であり、他方が炭素数1~8のアルキル基であるスルファミン酸化合物、N,N-ジメチルスルファミン酸、N,N-ジエチルスルファミン酸、N,N-ジプロピルスルファミン酸、N,N-ジブチルスルファミン酸、N-メチル-N-エチルスルファミン酸、N-メチル-N-プロピルスルファミン酸等の2個のR基の両方が炭素数1~8のアルキル基であるスルファミン酸化合物、N-フェニルスルファミン酸等の2個のR基の一方が水素原子であり、他方が炭素数6~10のアリール基であるスルファミン酸化合物、またはこれらの塩等が挙げられる。スルファミン酸塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩、マンガン塩、銅塩、亜鉛塩、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩等の他の金属塩、アンモニウム塩およびグアニジン塩等が挙げられる。スルファミン酸化合物およびこれらの塩は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。スルファミン酸化合物としては、環境負荷等の点から、好ましくはスルファミン酸(アミド硫酸)が用いられる。
測定対象水に含まれる場合がある次亜塩素酸塩は、通常、次亜塩素酸のナトリウム塩のような次亜塩素酸のアルカリ金属塩や、次亜塩素酸のカルシウム塩のような次亜塩素酸のアルカリ土類金属塩である。
遊離残留塩素の濃度を測定する方法としては、遊離残留塩素の濃度を測定することができる測定方法であればよく、特に制限はない。例えば、比色法、電極法、電流滴定法、ヨウ素滴定法等が挙げられる。比色法は、公知の比色法を用いることができる。比色法とは、残留塩素と特異的に反応することにより色が変化する比色試薬を用い、色の変化の度合いから残留塩素濃度を測定する方法である。色の変化の度合いは特定波長の吸光度を測定する方法や、カラーチャートと目視により比較する方法、濃度既知の標準液との色比較を行う方法等が用いられる。例えばJIS K 0101(非特許文献2)に記載されているような、ヨウ化カリウムを共存させるか否かによって、遊離残留塩素と全残留塩素の濃度を区別して測定することも可能である。
比色試薬としては、残留塩素と特異的に反応することにより色が変化する試薬であればよく、特に制限はない。入手のし易さや、汎用性等の観点から、非特許文献2に記載のN,N-ジエチル-p-フェニレンジアミン(N,N-diethyl-p-phenylenediamine)や、非特許文献3に記載のN,N’-ビス(2,4-ジ-スルホベンジル)トリジン テトラナトリウム(N,N'-bis(2,4-di-sulfobenzyl)tolidine tetrasodium)を好適に用いることができる。一般に、前者の比色試薬を用いる方法はDPD法、後者の比色試薬を用いる方法はSBT法と呼ばれる。
比色法で用いられる比色試薬は、水溶液等の溶液状であっても、固体状あるいは粉末状であっても構わない。各社より遊離塩素測定用、あるいは遊離残留塩素測定用として市販されている比色法用の測定キットを用いることが可能である。
アンモニウム塩またはアミノ基を有する化合物は、例えば下記反応式のように次亜塩素酸またはその塩と反応する。本発明者らは、次亜臭素酸またはその塩および安定化次亜臭素酸組成物は、このような反応は起こらないことを見出した。したがって、測定対象水が次亜塩素酸またはその塩を含んでいても、アンモニウム塩またはアミノ基を有する化合物を次亜塩素酸またはその塩に対して過剰量となるように共存させると、次亜塩素酸またはその塩が反応により消費され、次亜臭素酸またはその塩および安定化次亜臭素酸組成物の濃度を、次亜塩素酸と区別して測定することができる。
HClO + R-NH → R-NHCl + H
HClO + R-NHCl → R-NCl + H
共存させるアンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩等が挙げられる。
共存させるアミノ基を有する化合物としては、分子構造中にアミノ基を有する有機化合物であればよく、例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、テアニン、トリオニン、トリプトファン、チロシン、バリン等のアミノ酸や、タウリン等のアミノアルキルスルホン酸等が挙げられる。これらのうち、次亜塩素酸またはその塩との反応性が高い点から、グリシン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、リシン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリンを用いることが好ましく、特に入手がし易く、取扱いが容易であるグリシンを用いることがより好ましい。共存させるアンモニウム塩またはアミノ基を有する化合物は、水溶液等の溶液状であっても固体状あるいは粉末状であっても構わない。
共存させるアンモニウム塩またはアミノ基を有する化合物の濃度は、測定対象水中に共存の可能性がある次亜塩素酸またはその塩の濃度に対して過剰量となればよく、例えば、次亜塩素酸またはその塩の濃度に対して、好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上添加すればよい。例えば共存する次亜塩素酸またはその塩の濃度が1mg/Lと推定される場合、共存させるアンモニウム塩またはアミノ基を有する化合物の濃度は、好ましくは5mg/L以上、より好ましくは10mg/L以上となるが、濃度が不明の場合はより過剰量を添加することが好ましい。共存させるアンモニウム塩またはアミノ基を有する化合物の濃度が低い場合は、測定対象水中に共存の可能性がある次亜塩素酸またはその塩の濃度に対して過剰量とならない可能性がある。また、共存させるアンモニウム塩またはアミノ基を有する化合物の濃度が100g/Lを超えると、測定対象水への溶解が困難となる場合がある。
測定対象水中に次亜塩素酸またはその塩が共存するかどうか不明の場合、または、測定対象水中に共存の可能性がある次亜塩素酸またはその塩の濃度が不明の場合は、通常は、予想される次亜塩素酸またはその塩の濃度に対して過剰量となるようにアンモニウム塩またはアミノ基を有する化合物を添加すればよいが、例えば、アンモニウム塩またはアミノ基を有する化合物の濃度を2点以上変えて添加して、同様の測定結果が得られるまで遊離残留塩素濃度測定を行ってもよい。
共存させるアンモニウム塩またはアミノ基を有する化合物は、比色法で用いる比色試薬と別に測定対象水へ添加しても、混合してから測定対象水へ添加しても構わない。別に添加する場合、測定対象水への添加順序はアンモニウム塩またはアミノ基を有する化合物が比色試薬よりも先であることが好ましい。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
参考例1>
残留塩素計として、HANNA製HI95711型(吸光度測定方式)、比色用試薬として、HANNA製HI93701型(DPD比色法・遊離残留塩素用・粉末状)およびHANNA製HI93711型(DPD比色法・全残留塩素用(ヨウ化カリウムを含む)・粉末状)を用いた。アンモニウム塩またはアミノ基を有する化合物として、アミノ酸の一種であるグリシンの100g/L水溶液を準備した。
残留塩素計の測定セルにサンプル水を10mL採取し、グリシン水溶液を100μL添加した後、遊離残留塩素用のDPD比色法試薬を加え、残留塩素計にて濃度測定を行った。
次亜塩素酸原液および次亜臭素酸原液として、関東化学株式会社製の次亜塩素酸ナトリウム水溶液および次亜臭素酸ナトリウム水溶液を用意し、それぞれサンプル水調製前にヨウ素滴定法により残留塩素濃度および残留臭素濃度を算出した。次亜塩素酸原液および次亜臭素酸原液をそれぞれ純水により希釈してサンプル水とした。上記ヨウ素滴定法の結果から、用意した次亜塩素酸サンプル水の残留塩素濃度は1.0mgCl/L、次亜臭素酸サンプル水の残留臭素濃度は2.0mgBr/Lであった。なお、残留塩素計の測定値は塩素換算で表示されるため、以降、次亜臭素酸の濃度も塩素換算で表記する。上記次亜臭素酸サンプル水中に含まれる残留臭素の塩素換算値は、2.0×(70.9(g/mol)/159.8(g/mol))=0.9mgCl/Lである。なお、塩素(Cl)の分子量は70.9(g/mol)、臭素(Br)の分子量は159.8(g/mol)とする。
参考比較例1>
グリシン水溶液を添加しなかったこと以外は、参考例1と同じ測定を行った。すなわちこの参考比較例1が通常の遊離残留塩素の測定法である。
参考比較例2>
全残留塩素用のDPD比色法試薬を用い、参考例1および参考比較例1と同じ試験を行った。
参考例1、参考比較例1および参考比較例2の結果をまとめて表1に示す。
Figure 0006996955000001
遊離残留塩素用DPD比色試薬を用いた通常の遊離残留塩素測定法(参考比較例1)では、次亜塩素酸と次亜臭素酸とを区別して測定することができなかった。しかしながら、グリシン共存下(参考例1)では次亜臭素酸ナトリウム溶液のみ測定可能となり、次亜臭素酸の濃度を区別して測定することができた。なお、全残留塩素用DPD比色試薬を用いた場合(参考比較例2)は、この差は認められず、次亜臭素酸の濃度を区別して測定することができなかった。
参考例2および参考比較例3>
参考例1および参考比較例1において、アンモニウム塩またはアミノ基を有する化合物としてグリシンの代わりに塩化アンモニウムを用いたこと以外は、同じ試験を行った。
Figure 0006996955000002
塩化アンモニウム共存下(参考例2)で次亜臭素酸ナトリウム溶液のみ測定可能となり、次亜臭素酸の濃度を区別して測定することができた。塩化アンモニウムを共存させないと(参考比較例3)、次亜塩素酸と次亜臭素酸とを区別して測定することができなかった。
参考例3および参考比較例4>
アンモニウム塩またはアミノ基を有する化合物を共存させる方法を用い、次亜塩素酸と臭化物イオンの反応速度の検証を行った。次亜塩素酸と臭化物イオンの反応により、次亜臭素酸が生成する。臭化ナトリウムを臭化物イオン濃度が5mg/Lとなるよう純水に溶解させたサンプル水を用意し、ここに次亜塩素酸ナトリウム溶液を約1.0mg/L相当となるよう添加し、10分、30分、1時間、1日後のハロゲン酸濃度を参考例1および参考比較例1の方法で測定した。結果を表3に示す。
Figure 0006996955000003
グリシン添加なしで測定される濃度(参考比較例4)は、次亜塩素酸と次亜臭素酸の合算、すなわち全ハロゲン酸濃度であり、グリシン添加ありで測定される濃度(参考例3)は、次亜臭素酸のみである。このような測定を行うことにより、次亜塩素酸は速やかに(1時間以内に)臭化物イオンと反応して次亜臭素酸へと変化していることが分かる。なお、時間の経過と共に全ハロゲン酸の濃度が低下しているのは、次亜塩素酸、次亜臭素酸ともに分解されているためであると考えられる。
<実施例4および比較例5>
[安定化次亜臭素酸組成物の調製]
窒素雰囲気下で、液体臭素:16.9重量%(wt%)、スルファミン酸:10.7重量%、水酸化ナトリウム:12.9重量%、水酸化カリウム:3.94重量%、水:残分を混合して、安定化次亜臭素酸組成物を調製した。安定化次亜臭素酸組成物のpHは14、全塩素濃度は7.5重量%であった。全塩素濃度は、HACH社の多項目水質分析計DR/4000を用いて、全塩素測定法(DPD(ジエチル-p-フェニレンジアミン)法)により測定した値(mg/L asCl)である。安定化次亜臭素酸組成物の詳細な調製方法は以下の通りである。
反応容器内の酸素濃度が1%に維持されるように、窒素ガスの流量をマスフローコントローラでコントロールしながら連続注入で封入した2Lの4つ口フラスコに1436gの水、361gの水酸化ナトリウムを加え混合し、次いで300gのスルファミン酸を加え混合した後、反応液の温度が0~15℃になるように冷却を維持しながら、473gの液体臭素を加え、さらに48%水酸化カリウム溶液230gを加え、組成物全体の量に対する重量比でスルファミン酸10.7%、臭素16.9%、臭素の当量に対するスルファミン酸の当量比が1.04である、目的の安定化次亜臭素酸組成物を得た。生じた溶液のpHは、ガラス電極法にて測定したところ、14であった。生じた溶液の臭素含有率は、臭素をヨウ化カリウムによりヨウ素に転換後、チオ硫酸ナトリウムを用いて酸化還元滴定する方法により測定したところ16.9%であり、理論含有率(16.9%)の100.0%であった。また、臭素反応の際の反応容器内の酸素濃度は、株式会社ジコー製の「酸素モニタJKO-02 LJDII」を用いて測定した。なお、臭素酸濃度は5mg/kg未満であった。
このようにして得た安定化次亜臭素酸組成物を、塩素換算で5mgCl/Lとなるよう純水に添加したサンプル水を用意し、参考例1および参考比較例1の方法で次亜臭素酸濃度の測定を行った。結果を表4に示す。
Figure 0006996955000004
安定化次亜臭素酸組成物も次亜臭素酸と同じく、アンモニウム塩またはアミノ基を有する化合物としてグリシンを共存させた方法(実施例4)により測定可能であることは明らかである。
このように、参考例および実施例の方法によって、次亜塩素酸またはその塩が共存していても、水中に含まれる次亜臭素酸またはその塩および安定化次亜臭素酸組成物のうちの少なくとも1つの濃度を個別に測定することができた。

Claims (5)

  1. 臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物を含む安定化次亜臭素酸組成物と次亜塩素酸またはその塩とを含む水中の安定化次亜臭素酸組成物の濃度を遊離残留塩素の濃度として測定する方法であって、
    前記水中の前記次亜塩素酸またはその塩の濃度(mg/L)に対して5倍以上の量の無機アンモニウム塩、アミノ酸、およびアミノアルキルスルホン酸のうちの少なくとも1つの共存下にて遊離残留塩素濃度測定を行うことを特徴とする、安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法。
  2. 請求項1に記載の安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法であって、
    比色法により前記遊離残留塩素濃度測定を行うことを特徴とする、安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法。
  3. 請求項2に記載の安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法であって、
    前記比色法による遊離残留塩素濃度測定において用いる比色試薬が、N,N-ジエチル-p-フェニレンジアミンまたはN,N’-ビス(2,4-ジ-スルホベンジル)トリジン テトラナトリウムであることを特徴とする、安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法であって、
    前記アミノ酸の共存下にて前記遊離残留塩素濃度測定を行うことを特徴とする、安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法であって、
    前記アミノ酸としてグリシンの共存下にて前記遊離残留塩素濃度測定を行うことを特徴とする、安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法。
JP2017229792A 2017-11-30 2017-11-30 安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法 Active JP6996955B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017229792A JP6996955B2 (ja) 2017-11-30 2017-11-30 安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017229792A JP6996955B2 (ja) 2017-11-30 2017-11-30 安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019100781A JP2019100781A (ja) 2019-06-24
JP6996955B2 true JP6996955B2 (ja) 2022-01-17

Family

ID=66976730

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017229792A Active JP6996955B2 (ja) 2017-11-30 2017-11-30 安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6996955B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022081825A (ja) * 2020-11-20 2022-06-01 オルガノ株式会社 尿素処理方法及び装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004244372A (ja) 2003-02-14 2004-09-02 Hakuto Co Ltd 次亜臭素酸を含む殺菌剤及びこれを用いた放流水の殺菌方法
JP2005224645A (ja) 2004-02-10 2005-08-25 Katayama Chem Works Co Ltd 用廃水系の水処理方法
JP2006208100A (ja) 2005-01-26 2006-08-10 Touzai Kagaku Sangyo Kk ハロゲン量測定方法
JP2011062667A (ja) 2009-09-18 2011-03-31 Hakuto Co Ltd 開放式循環冷却水系におけるシリカ系付着物の付着防止方法
WO2016175006A1 (ja) 2015-04-30 2016-11-03 オルガノ株式会社 アンモニア性窒素含有排水の処理方法およびアンモニア性窒素分解剤
WO2017187725A1 (ja) 2016-04-26 2017-11-02 オルガノ株式会社 水処理剤組成物および水処理方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6030842A (en) * 1997-07-21 2000-02-29 Environmental Test Systems, Inc. Method, composition and device for the determination of free halogens in aqueous fluids

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004244372A (ja) 2003-02-14 2004-09-02 Hakuto Co Ltd 次亜臭素酸を含む殺菌剤及びこれを用いた放流水の殺菌方法
JP2005224645A (ja) 2004-02-10 2005-08-25 Katayama Chem Works Co Ltd 用廃水系の水処理方法
JP2006208100A (ja) 2005-01-26 2006-08-10 Touzai Kagaku Sangyo Kk ハロゲン量測定方法
JP2011062667A (ja) 2009-09-18 2011-03-31 Hakuto Co Ltd 開放式循環冷却水系におけるシリカ系付着物の付着防止方法
WO2016175006A1 (ja) 2015-04-30 2016-11-03 オルガノ株式会社 アンモニア性窒素含有排水の処理方法およびアンモニア性窒素分解剤
WO2017187725A1 (ja) 2016-04-26 2017-11-02 オルガノ株式会社 水処理剤組成物および水処理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019100781A (ja) 2019-06-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2014313502C1 (en) Method for producing stabilized hypobromous acid composition, stabilized hypobromous acid composition, and slime inhibition method for separation membrane
JP6412639B2 (ja) アンモニア性窒素含有排水の処理方法およびアンモニア性窒素分解剤
US6551624B2 (en) Production of concentrated biocidal solutions
CN107108277B (zh) 分离膜的黏质抑制方法
US10473618B2 (en) Residual chlorine measuring apparatus and method of measuring residual chlorine
JP6649697B2 (ja) 水の殺菌方法
JP6145360B2 (ja) 水処理剤組成物、水処理剤組成物の製造方法および水処理方法
JP6200243B2 (ja) 水処理剤組成物の製造方法および水処理方法
JP6837301B2 (ja) 逆浸透膜処理方法および逆浸透膜処理システム
JP6996955B2 (ja) 安定化次亜臭素酸組成物の濃度測定方法
JP2017214406A (ja) 水処理剤組成物、水処理剤組成物の製造方法および水処理方法
CN107249332B (zh) 水处理剂组合物、水处理剂组合物的制造方法和水处理方法
CA2968405C (en) Methods for the direct electrolytic production of stable, high concentration aqueous halosulfamate or halosulfonamide solutions
WO2020179789A1 (ja) 逆浸透膜を用いる水処理方法および水処理装置
Lewis et al. Proposed environmental quality standards for bromine in fresh and marine waters
JP2023183541A (ja) イオン交換体の殺菌方法
JP2021181074A (ja) 水処理方法および水処理装置
JP2022107978A (ja) 逆浸透膜の洗浄方法および逆浸透膜の洗浄装置
CN109562330A (zh) 使用反渗透膜的水处理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200813

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210521

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210525

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210709

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210914

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211026

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211207

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211216

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6996955

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150