JP6996471B2 - X線回折装置及びそれに用いられる試料配置システム - Google Patents
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Description
X線回折装置101は、X線源部10と、検出部20と、ゴニオメータ30と、X線回折装置101全体の制御を行うコンピュータ140と、試料Sが配置される試料ステージ50とを備える。
これにより、ターゲットとフィラメントとの間に高電圧を印加することで、フィラメントから放射された熱電子をターゲットに衝突させて、ターゲットで発生した一次X線を出射するようになっている。
また、検出部20は、ゴニオメータ30の2θ軸に搭載されるとともに、試料Sは、ゴニオメータ30のθ軸の試料ステージ50に搭載されるようになっており、θ-2θ連動の駆動方法でゴニオメータ30の中心軸を中心として回転されることにより、回折角2θごとにX線強度Iが出力されていくことで、X線回折パターンが得られるようになっている。
しかしながら、上述したようなX線回折装置101では、ユーザが入力装置42を用いて手動で試料S表面を正しい高さに調整しており、試料S表面が平坦な場合は試料S表面の高さを正確かつ容易に調整することができるが、ベアリングやバネ等のように表面が平坦でない場合には、試料S表面の高さを正確に調整することが困難であったため、ベアリングやバネ等の製品を試料Sとする場合の品質検査等において、試料Sの応力値σを順次迅速に測定することができないという問題点があった。そこで本発明は試料S表面の高さを正確に調整することができるX線回折装置を提供することを目的とする。
試料が配置され、Z方向に移動可能な試料ステージと、
前記試料にX線を出射するX線管と、
前記試料からのX線強度を検出するX線検出器と、
ゴニオメータにより前記試料の試料面法線と格子面法線とのなす角度ψ、および、前記試料の回折角2θによる2θ-sin2ψの関係を測定して前記試料の応力値σを測定する制御部とを備えるX線回折装置であって、
前記試料のポアソン比νが特定可能な材質情報mと、試料面法線と格子面法線とのなす角度ψが、
前記制御部は、前記試料の材質情報mが入力され、前記試料ステージに前記試料が配置された後、試料面法線と格子面法線とのなす角度ψをψ’としたときに取得される回折ピークの回折角2θが理論回折角2Θmとなるように、前記試料ステージのZ方向における位置を移動させるようにしている。
試料SにX方向の単軸応力を負荷したときのX線による応力測定の場合の基礎式は、回折面法線方向のひずみをεψとすると、下記式(2)で表される。
上記式(5)から応力σxに応じて直線の勾配Mは変化し、図6に示すように、2θ-sin2ψ線図上では応力が異なる2つ直線は交点Pで交わる。交点Pの座標を求めるために、式(4)を変数y=2θ、変数x=sin2ψとし、異なる2つの応力をσx、σ’x(例えばσx>0、σ’x<0)として以下のように表す。
ψ’にセットしたときに生じる回折角2θと理論回折角2Θとの角度の差分Δ2θ(=2θ-2Θ)には、応力に起因して生じる角度のずれは含まれておらず、試料S表面の高さの位置ずれに起因して生じる角度のずれのみが含まれていることになるので、試料Sの高さが正しく調整されたか否かを判定することができ、この判定手法を利用して高さ調整できることになる。上記の発明はこのような検討によりなされたものである。
また、上記の発明において、前記初期情報は、前記X線管の種類情報nと、前記試料のポアソン比νが特定可能な材質情報mと、試料面法線と格子面法線とのなす角度ψがψ’であるときにおける前記試料での理論回折角2Θnmとの関係を示すものであり、前記制御部は、前記X線管の種類情報n及び前記試料の材質情報mが入力されることで理論回折角2Θnmを決定し、測定された回折角2θが理論回折角2Θnmとなるように、前記試料ステージのZ方向における位置を移動させるようにしてもよい。
このような本発明のX線回折装置によれば、X線管の種類nが変更されても、様々な試料に対する測定高さの調整に要する時間を短縮できるとともに、応力値σを正確に測定することができる。
試料が配置され、Z方向に移動可能な試料ステージと、
前記試料にX線を出射するX線管と、
前記試料からのX線強度を検出するX線検出器と、
ゴニオメータにより前記試料の試料面法線と格子面法線とのなす角度ψ、および、前記試料の回折角2θによる2θ-sin2ψの関係を測定して前記試料の応力値σを測定する制御部とを備えるX線回折装置に用いられる試料配置システムであって、
前記X線管の種類情報nと、
前記試料のポアソン比νが特定可能な材質情報mと、
試料面法線と格子面法線とのなす角度ψが、
前記X線管の種類情報n及び前記試料の材質情報mが入力されることで理論回折角2Θnmを決定し、前記試料ステージに前記試料が配置された後、試料面法線と格子面法線とのなす角度ψをψ’としたときに取得される回折ピークの回折角2θと理論回折角2Θnmとに基づいて、前記試料ステージのZ方向における位置ずれ量ΔZを算出する制御部とを備えるようにしている。
X線回折装置1は、X線源部10と、検出部20と、ゴニオメータ30と、X線回折装置1全体の制御を行うコンピュータ40と、試料Sが配置される試料ステージ50とを備える。
理論回折角2Θは、1つの試料材質であっても、Alのように回折面が複数ある場合は回折面の面指数ごとに理論回折角2Θを関連付けて記憶してある。例えばAlでは面指数(222)、(420)、(331)、(333)の回折面に対応させて理論回折角2Θとして156.7度、162.1度、148.7度、164.0度の4つの場合を記憶してある。
また、試料Sの材質情報m2が「γ-Fe」であり、X線管11の種類情報n2が「CrKβ」であるときには、理論回折角2Θ22が「149.6度」(対応するγ-Feの回折面の面指数(311)と記憶してある。
このときのψ’は材質情報mから特定されているポアソン比νを(10)式に代入することにより算出され、例えばα-Fe(ポアソン比ν=0.28)では、ψ’は27.9度となる。
例えば、試料Sの材質情報m1として「α-Fe」が入力され、X線管11の種類情報n1として「CrKα」が入力されていると、対応する理論回折角2Θ11が抽出されて「156.1度」が取得される。
この位置ずれ量ΔZの算出は、位置ずれ量ΔZをパラメータとし、各ΔZについてΔ2θと2θとの関係(Δ2θ-2θ曲線)を数値計算し、y軸をΔ2θ、x軸を2θとする二次元空間上(図4参照)で、x軸の値が理論回折角2Θnm、y軸の値が上記のΔ2θのときの座標(2Θnm,Δ2θ)を通過するΔ2θ-2θ曲線を求めることで、そのΔ2θ-2θ曲線のΔZの値から位置ずれ量が求められる。
なお、図4に示しているような、位置ずれ量ΔZをパラメータとするΔ2θ―2θ曲線は、試料に依存せず、入射X線、試料面、反射X線の幾何学的な位置関係で決定され、数値計算により算出される。
(1)上述したX線回折装置1では、材質情報mとしてポアソン比が特定できる試料材質名を記憶させているが、ポアソン比自体を材料情報mとして直接記憶させてもよい。要するに式(10)を用いてψ’が算出できるように記憶させてあればよい。
11 X線管
22 X線検出器
41 制御部
44 記憶部
50 試料ステージ
m 試料の材質情報
n X線管の種類情報
S 試料
Claims (3)
- 試料が配置され、Z方向に移動可能な試料ステージと、
前記試料にX線を出射するX線管と、
前記試料からのX線強度を検出するX線検出器と、
ゴニオメータにより前記試料の試料面法線と格子面法線とのなす角度ψ、および、前記試料の回折角2θによる2θ-sin2ψの関係を測定して前記試料の応力値σを測定する制御部とを備えるX線回折装置であって、
前記試料のポアソン比νが特定可能な材質情報mと、試料面法線と格子面法線とのなす角度ψが、
前記制御部は、前記試料の材質情報mが入力され、前記試料ステージに前記試料が配置された後、試料面法線と格子面法線とのなす角度ψをψ’としたときに取得される回折ピークの回折角2θが理論回折角2Θmとなるように、前記試料ステージのZ方向における位置を移動させることを特徴とするX線回折装置。 - 前記初期情報は、前記X線管の種類情報nと、前記試料の材質情報mと、試料面法線と格子面法線とのなす角度ψがψ’であるときにおける前記試料での理論回折角2Θnmとの関係を示すものであり、
前記制御部は、前記X線管の種類情報n及び前記試料の材質情報mが入力されることで理論回折角2Θnmを決定し、回折角2θが理論回折角2Θnmとなるように、前記試料ステージのZ方向における位置を移動させることを特徴とする請求項1に記載のX線回折装置。 - 試料が配置され、Z方向に移動可能な試料ステージと、
前記試料にX線を出射するX線管と、
前記試料からのX線強度を検出するX線検出器と、
ゴニオメータにより前記試料の試料面法線と格子面法線とのなす角度ψ、および、前記試料の回折角2θによる2θ-sin2ψの関係を測定して前記試料の応力値σを測定する制御部とを備えるX線回折装置に用いられる試料配置システムであって、
前記X線管の種類情報nと、
前記試料のポアソン比νが特定可能な材質情報mと、
試料面法線と格子面法線とのなす角度ψが、
前記X線管の種類情報n及び前記試料の材質情報mが入力されることで理論回折角2Θnmを決定し、前記試料ステージに前記試料が配置された後、試料面法線と格子面法線とのなす角度ψをψ’としたときに取得される回折ピークの回折角2θと理論回折角2Θnmとに基づいて、前記試料ステージのZ方向における位置ずれ量ΔZを算出する制御部と
を備えることを特徴とする試料配置システム。
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