JP6996471B2 - X線回折装置及びそれに用いられる試料配置システム - Google Patents

X線回折装置及びそれに用いられる試料配置システム Download PDF

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Description

本発明は、X線回折装置及びそれに用いられる試料配置システムに関し、特に、試料に特性X線を照射することによって回折されたX線を検出し、試料の応力値σを測定するX線回折装置に関する。
X線回折装置は、X線源から特性X線を試料に照射し、試料から放射される回折X線をゴニオメータに搭載されたX線検出器によって回折角2θごとに検出するものである。これにより、試料に含まれる結晶成分の定性・定量分析を行っている。
ところで、試料が金属材料からなる場合には、応力が生じるとそれに応じて結晶の格子面間隔が変化する。すなわち、引張応力では応力に対する平行方向の面間隔が大きくなるとともに垂直方向の面間隔は小さくなり、また、圧縮応力ではこの逆となる。このとき、応力値σによって結晶の格子面間隔が変化することにより、X線回折の回折角2θが変化する。後記特許文献1では、応力値σは、試料面法線と格子面法線とのなす角度をψとしたときに、下記式(1)に示すように2θとsinψとの関係線の傾きに比例するため、試料面法線と格子面法線とのなす角度ψを代えてその回折X線の回折角2θを測定していくと求められることが開示されている。
Figure 0006996471000001
そこで、X線回折装置によって残留応力値σを測定することが行われている。図7は、従来のX線回折装置の一例を示す概略構成図である。なお、地面に水平な一方向をX方向とし、地面に水平でX方向と垂直な方向をY方向とし、X方向とY方向とに垂直な方向をZ方向とする。
X線回折装置101は、X線源部10と、検出部20と、ゴニオメータ30と、X線回折装置101全体の制御を行うコンピュータ140と、試料Sが配置される試料ステージ50とを備える。
X線源部10は、Fe管球(X線管)11と、厚さ15μmのMnフィルタ(X線フィルタ)12とを備える。Fe管球11は、例えばポイントフォーカスのX線管球であり、筐体を有し、筐体の内部に陽極のターゲットと陰極のフィラメントとが配置されている。
これにより、ターゲットとフィラメントとの間に高電圧を印加することで、フィラメントから放射された熱電子をターゲットに衝突させて、ターゲットで発生した一次X線を出射するようになっている。
検出部20は、検出スリット21と、1個(1ch)の検出素子からなるX線検出器22とを備える。そして、検出素子からX線強度Iがコンピュータ140に出力されるようになっている。
また、検出部20は、ゴニオメータ30の2θ軸に搭載されるとともに、試料Sは、ゴニオメータ30のθ軸の試料ステージ50に搭載されるようになっており、θ-2θ連動の駆動方法でゴニオメータ30の中心軸を中心として回転されることにより、回折角2θごとにX線強度Iが出力されていくことで、X線回折パターンが得られるようになっている。
コンピュータ140は、CPU(制御部)141と入力装置42と表示装置43とメモリ(記憶部)144とを備える。CPU141が処理する機能をブロック化して説明すると、Fe管球11から特性X線を出射させるX線源制御部41aと、X線検出器22からX線強度Iを取得する取得部41bと、X線強度分布画像(X線回折パターン)を作成するX線強度分布画像作成部41cと、2θ-sinψ線図を作成して応力値σを測定する応力値測定部41dと、ゴニオメータ30を回転駆動するゴニオメータ制御部41eと、試料ステージ50を移動させる試料ステージ制御部141fとを有する。
試料ステージ50は、X方向とY方向とZ方向との3軸方向にそれぞれ移動可能となっており、試料ステージ50をXY方向に移動することにより試料S表面上の測定位置が調整されるとともに、試料ステージ50をZ方向に移動することにより試料S表面の高さが調整されるようになっている。
このようなX線回折装置101を用いて試料Sを分析する場合、まず始めに、ユーザは試料Sを試料ステージ50に載置した後、入力装置42を用いて試料ステージ50を移動させることにより試料Sの位置を調整する。そして、Fe管球11から出射された特性X線がMnフィルタ12を介して試料Sに照射される。このとき、ゴニオメータ30の2θ軸がθ軸に対して2倍の関係を保ちながら連動して回転駆動され、試料Sから放射される回折X線が2θ軸に搭載された検出スリット21とX線検出器22とによって検出されていくことにより、X線強度Iと回折角2θとの関係を示すX線回折パターン(図3参照)が作成される。そして、各角度ψにおけるX線回折パターン中の回折ピークの回折角2θを取得することで、2θ-sinψ線図(図5参照)が作成され、式(1)に基づいて応力値σが算出される。
特開平10-148587号公報
ところで、上述したようなX線回折装置101では、試料S表面を正しい高さに調整する必要があり、高さが正しくない場合には、X線回折パターン中の回折ピークの位置(2θ)がずれるため、正確な応力値σが算出されない。
しかしながら、上述したようなX線回折装置101では、ユーザが入力装置42を用いて手動で試料S表面を正しい高さに調整しており、試料S表面が平坦な場合は試料S表面の高さを正確かつ容易に調整することができるが、ベアリングやバネ等のように表面が平坦でない場合には、試料S表面の高さを正確に調整することが困難であったため、ベアリングやバネ等の製品を試料Sとする場合の品質検査等において、試料Sの応力値σを順次迅速に測定することができないという問題点があった。そこで本発明は試料S表面の高さを正確に調整することができるX線回折装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明のX線回折装置は、
試料が配置され、Z方向に移動可能な試料ステージと、
前記試料にX線を出射するX線管と、
前記試料からのX線強度を検出するX線検出器と、
ゴニオメータにより前記試料の試料面法線と格子面法線とのなす角度ψ、および、前記試料の回折角2θによる2θ-sinψの関係を測定して前記試料の応力値σを測定する制御部とを備えるX線回折装置であって、
前記試料のポアソン比νが特定可能な材質情報mと、試料面法線と格子面法線とのなす角度ψが、
Figure 0006996471000002
であるときに前記試料から得られる無応力時の回折角である理論回折角2Θとの関係を示す初期情報を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記試料の材質情報mが入力され、前記試料ステージに前記試料が配置された後、試料面法線と格子面法線とのなす角度ψをψ’としたときに取得される回折ピークの回折角2θが理論回折角2Θとなるように、前記試料ステージのZ方向における位置を移動させるようにしている。
出願人は、試料配置時に試料S表面を正しい高さに調整する方法について検討した。
試料SにX方向の単軸応力を負荷したときのX線による応力測定の場合の基礎式は、回折面法線方向のひずみをεψとすると、下記式(2)で表される。
Figure 0006996471000003
Braggの式(2dsinθ=nλ)を、波長λが一定で、格子面間隔dおよび視斜角θを変数として両辺を微分することにより、ひずみεψを下記式(3)で表すことができる。
Figure 0006996471000004
ただし、θは無応力時(ひずみがないとき)の回折角(=前記式(1)の標準ブラッグ角)である。
上記した式(2)、式(3)より、2θは下記式(4)で表すことができる。
Figure 0006996471000005
したがって、ψを変化させて2θ-sin2ψ線図をプロットしたとき、2θはsin2ψの一次関数となり、直線の勾配をMとすると、右辺第1項から下記式(5)で表すことができる。
Figure 0006996471000006
勾配Mは応力σに依存しており、圧縮応力(σ<0)のときは右上がり、引張応力(σ>0)のときは右下がりとなる。
上記式(5)から応力σに応じて直線の勾配Mは変化し、図6に示すように、2θ-sin2ψ線図上では応力が異なる2つ直線は交点Pで交わる。交点Pの座標を求めるために、式(4)を変数y=2θ、変数x=sinψとし、異なる2つの応力をσx、σ’(例えばσ>0、σ’<0)として以下のように表す。
Figure 0006996471000007
また、上記式(6)、式(7)により交点Pの座標を求めると下記式(8)、式(9)となる。
Figure 0006996471000008
したがって、2θ-sinψ線図上で、交点Pは応力σに依存せずに試料Sのポアソン比で定まる一定値となり、その回折角2θは2θとなる。そしてこの2θは応力に依存していないので、無応力時の回折角も2θとなる。
ψについて、式(8)を満たすψをψ’とすると式(10)で表される。
Figure 0006996471000009
試料面法線と格子面法線とのなす角度ψをψ’としたときに取得される回折ピークの回折角2θは、試料高さが正確に調整されている場合には、たとえ応力がかかっていても応力に依存せずに試料Sの理想的な角度位置2θとなる。一方、試料S表面の高さが位置ずれしていると、測定される回折ピークの回折角2θは理想的な角度位置2θからずれることになる。このときのψ’は上述したように試料Sの材質、特に試料Sのポアソン比νにより式(8)から算出される値になる。ψ’にセットしたときに生じる回折角2θと理想的な回折角2θとの角度の差分Δ2θ(=2θ-2θ)には、応力に起因して生じる角度のずれは含まれておらず、試料S表面の高さの位置ずれに起因して生じる角度のずれのみが含まれていることになる。
そこで、試料Sのポアソン比ν、あるいは試料Sのポアソン比νを特定できる材質名のような情報を材質情報mとして記憶するとともに、試料面法線と格子面法線とのなす角度ψをψ’にセットしたときに得られる(無応力時の)理想的な回折角2θを理論回折角2Θとして予め関連付けて記憶しておく。そして、試料Sの材質情報mから決定されるポアソン比νと式(8)とからψ’を求め、ψ=ψ’にセットして測定した回折ピークの回折角2θを取得し、理論回折角2Θ(=2θ)と回折角2θとを比較する。
ψ’にセットしたときに生じる回折角2θと理論回折角2Θとの角度の差分Δ2θ(=2θ-2Θ)には、応力に起因して生じる角度のずれは含まれておらず、試料S表面の高さの位置ずれに起因して生じる角度のずれのみが含まれていることになるので、試料Sの高さが正しく調整されたか否かを判定することができ、この判定手法を利用して高さ調整できることになる。上記の発明はこのような検討によりなされたものである。
以上のように、本発明のX線回折装置によれば、測定される回折角2θが理論回折角2Θとなるように、制御部が試料ステージの位置を移動させるので、複雑かつ様々な形状の試料であっても測定高さの調整に要する時間を短縮できるとともに、応力値σを正確に測定することができる。
(他の課題を解決するための手段および効果)
また、上記の発明において、前記初期情報は、前記X線管の種類情報nと、前記試料のポアソン比νが特定可能な材質情報mと、試料面法線と格子面法線とのなす角度ψがψ’であるときにおける前記試料での理論回折角2Θnmとの関係を示すものであり、前記制御部は、前記X線管の種類情報n及び前記試料の材質情報mが入力されることで理論回折角2Θnmを決定し、測定された回折角2θが理論回折角2Θnmとなるように、前記試料ステージのZ方向における位置を移動させるようにしてもよい。
このような本発明のX線回折装置によれば、X線管の種類nが変更されても、様々な試料に対する測定高さの調整に要する時間を短縮できるとともに、応力値σを正確に測定することができる。
そして、本発明の試料配置システムは、
試料が配置され、Z方向に移動可能な試料ステージと、
前記試料にX線を出射するX線管と、
前記試料からのX線強度を検出するX線検出器と、
ゴニオメータにより前記試料の試料面法線と格子面法線とのなす角度ψ、および、前記試料の回折角2θによる2θ-sinψの関係を測定して前記試料の応力値σを測定する制御部とを備えるX線回折装置に用いられる試料配置システムであって、
前記X線管の種類情報nと、
前記試料のポアソン比νが特定可能な材質情報mと、
試料面法線と格子面法線とのなす角度ψが、
Figure 0006996471000010
であるときに前記試料から得られる無応力時の回折角である理論回折角2Θnmとの関係を示す初期情報を記憶する記憶部と、
前記X線管の種類情報n及び前記試料の材質情報mが入力されることで理論回折角2Θnmを決定し、前記試料ステージに前記試料が配置された後、試料面法線と格子面法線とのなす角度ψをψ’としたときに取得される回折ピークの回折角2θと理論回折角2Θnmとに基づいて、前記試料ステージのZ方向における位置ずれ量ΔZを算出する制御部とを備えるようにしている。
本発明の実施形態に係るX線回折装置の一例を示す概略構成図。 メモリに記憶されるデータベースの一例を示す図。 ψ=0でのX線強度Iと回折角2θの関係を示すX線回折パターンの画面表示例を示す図。 無応力時の位置ずれ量ΔZにおけるΔ2θと回折角2θとの関係を示すグラフ。 2θ-sinψ線図の画面表示例を示す図。 異なる応力が負荷された試料の2θ-sinψを示した模式図。 従来のX線回折装置の一例を示す概略構成図。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。
図1は、本発明の実施形態に係るX線回折装置の一例を示す概略構成図である。なお、X線回折装置101と同様のものについては、同じ符号を付している。
X線回折装置1は、X線源部10と、検出部20と、ゴニオメータ30と、X線回折装置1全体の制御を行うコンピュータ40と、試料Sが配置される試料ステージ50とを備える。
コンピュータ40は、CPU(制御部)41と入力装置42と表示装置43とメモリ(記憶部)44とを備える。CPU41が処理する機能をブロック化して説明すると、Fe管球11から特性X線を出射させるX線源制御部41aと、X線検出器22からX線強度Iを取得する取得部41bと、X線強度分布画像(X線回折パターン)を作成するX線強度分布画像作成部41cと、2θ-sinψ線図を作成して応力値σを測定する応力値測定部41dと、ゴニオメータ30を回転駆動するゴニオメータ制御部41eと、試料ステージ50を移動させる試料ステージ自動制御部41fとを有する。
また、メモリ44は、データベース(初期情報)を記憶するためのデータベース記憶領域44aを有する。データベースは、試料Sのポアソン比νが特定可能な材質情報mと、X線管11の種類情報nと、試料面法線と格子面法線とのなす角度ψが(10)式で示すψ’であるときにおける試料Sでの理論回折角2Θnmとの関係を示すものであり、その一例を図2に示す。ここでは試料材質の種類ごとに、ポアソン比νが特定できるものとして、試料材質名を材質情報mとしている。すなわち試料材質名とポアソン比とを対応つけて記憶させてある。
理論回折角2Θは、1つの試料材質であっても、Alのように回折面が複数ある場合は回折面の面指数ごとに理論回折角2Θを関連付けて記憶してある。例えばAlでは面指数(222)、(420)、(331)、(333)の回折面に対応させて理論回折角2Θとして156.7度、162.1度、148.7度、164.0度の4つの場合を記憶してある。
例えば、試料Sの材質情報mが「α-Fe」(α-Feであることからポアソン比ν=0.28と決定される)であり、X線管11の種類情報nが「CrKα」であるときには、理論回折角2Θ11が「156.1度」(対応するα-Feの回折面の面指数(211))と記憶してある。
また、試料Sの材質情報mが「γ-Fe」であり、X線管11の種類情報nが「CrKβ」であるときには、理論回折角2Θ22が「149.6度」(対応するγ-Feの回折面の面指数(311)と記憶してある。
試料ステージ自動制御部41fは、試料S表面の高さを調整するために、試料Sの材質情報mとX線管11の種類情報nとが入力されたときには、まず、材質情報mから対応するポアソン比νを用いて(10)式のψ’を算出し、試料面法線と格子面法線とのなす角度ψがψ’であるときにおけるX線強度Iと回折角2θとの関係を示すX線回折パターン(図3参照)を作成して、回折ピークの回折角2θを取得する制御を行う。
このときのψ’は材質情報mから特定されているポアソン比νを(10)式に代入することにより算出され、例えばα-Fe(ポアソン比ν=0.28)では、ψ’は27.9度となる。
次に、試料ステージ自動制御部41fは、データベース記憶領域44aに記憶されたデータベースに基づいて、入力された試料Sの材質情報m及びX線管11の種類情報nに基づいて、対応する理論回折角2Θnmを取得する制御を行う。
例えば、試料Sの材質情報mとして「α-Fe」が入力され、X線管11の種類情報nとして「CrKα」が入力されていると、対応する理論回折角2Θ11が抽出されて「156.1度」が取得される。
次に、試料ステージ自動制御部41fは、ψ’であるときに測定された回折ピークの回折角2θと理論回折角2Θnmとを比較することで差分Δ2θ(=2θ-2Θnm)を算出し、試料ステージ50のZ方向における位置ずれ量ΔZを算出することにより、試料ステージ50のZ方向における位置を位置ずれ量ΔZだけ移動させる制御を行う。
この位置ずれ量ΔZの算出は、位置ずれ量ΔZをパラメータとし、各ΔZについてΔ2θと2θとの関係(Δ2θ-2θ曲線)を数値計算し、y軸をΔ2θ、x軸を2θとする二次元空間上(図4参照)で、x軸の値が理論回折角2Θnm、y軸の値が上記のΔ2θのときの座標(2Θnm,Δ2θ)を通過するΔ2θ-2θ曲線を求めることで、そのΔ2θ-2θ曲線のΔZの値から位置ずれ量が求められる。
なお、図4に示しているような、位置ずれ量ΔZをパラメータとするΔ2θ―2θ曲線は、試料に依存せず、入射X線、試料面、反射X線の幾何学的な位置関係で決定され、数値計算により算出される。
そして、試料ステージ自動制御部41fは、試料ステージ50のZ方向における位置を移動させた後、ψ’であるときにおけるX線強度Iと回折角2θとの関係を示すX線回折パターンを再度作成して、ψ’であるときにおける回折ピークの回折角2θと理論回折角2Θnmとを比較することでΔ2θを算出し、試料ステージ50のZ方向における位置ずれ量ΔZを算出して、ΔZが許容範囲内の精度になっているかを確認する制御を行う。なお、ΔZが所定範囲外であれば、試料ステージ50のZ方向における位置を位置ずれ量ΔZだけ移動させて再度確認することになる。このような操作により正確な高さ調整ができることになる。
X線強度分布画像作成部41cは、試料ステージ50のZ方向における位置調整完了後に、角度ψ=15°におけるX線強度Iと回折角2θψ=15との関係を示すX線回折パターンと、・・・、角度ψ=45°におけるX線強度Iと回折角2θψ=45との関係を示すX線回折パターンを作成して、各角度ψ=15°、20°、30°、45°におけるX線回折パターン中の回折ピークの回折角2θψ=15、2θψ=20、2θψ=30、2θψ=45を取得する制御を行う。
応力値測定部41dは、各角度ψ=0°、15°、20°、30°、45°における回折ピークの回折角2θψ=0、2θψ=15、2θψ=20、2θψ=30、2θψ=45に基づいて2θ-sinψ線図(図5参照)を作成し、式(1)に基づいて応力値σを算出する制御を行う。
以上のように、本発明のX線回折装置1によれば、回折角2θが理論回折角2Θnmとなるように、試料ステージ自動制御部41fが試料ステージ50の位置を移動させるので、複雑な様々な形状の試料Sに対する測定高さの調整に要する時間を短縮できるとともに、応力値σを正確に測定することができる。
<他の実施形態>
(1)上述したX線回折装置1では、材質情報mとしてポアソン比が特定できる試料材質名を記憶させているが、ポアソン比自体を材料情報mとして直接記憶させてもよい。要するに式(10)を用いてψ’が算出できるように記憶させてあればよい。
(2)上述したX線回折装置1において、検出部20は、検出スリット21と1個(1ch)の検出素子からなるX線検出器22とを備える構成を示したが、X線強度を検出するN個(例えば1280個)の検出素子が一次元に配列された検出面を有するラインセンサを備えるような構成としてもよい。
(3)上述したX線回折装置1では、1個の試料Sの応力値σを測定する構成を示したが、試料Sがベアリングやバネ等の製品である場合の品質検査等においては、入力された試料Sの材質情報mとX線管11の種類情報nとをメモリ44に記憶しておき、応力値σを順次測定するような構成としてもよい。
本発明は、X線回折装置等に利用することができる。
1 X線回折装置
11 X線管
22 X線検出器
41 制御部
44 記憶部
50 試料ステージ
m 試料の材質情報
n X線管の種類情報
S 試料

Claims (3)

  1. 試料が配置され、Z方向に移動可能な試料ステージと、
    前記試料にX線を出射するX線管と、
    前記試料からのX線強度を検出するX線検出器と、
    ゴニオメータにより前記試料の試料面法線と格子面法線とのなす角度ψ、および、前記試料の回折角2θによる2θ-sinψの関係を測定して前記試料の応力値σを測定する制御部とを備えるX線回折装置であって、
    前記試料のポアソン比νが特定可能な材質情報mと、試料面法線と格子面法線とのなす角度ψが、
    Figure 0006996471000011
    であるときに前記試料から得られる無応力時の回折角である理論回折角2Θとの関係を示す初期情報を記憶する記憶部を備え、
    前記制御部は、前記試料の材質情報mが入力され、前記試料ステージに前記試料が配置された後、試料面法線と格子面法線とのなす角度ψをψ’としたときに取得される回折ピークの回折角2θが理論回折角2Θとなるように、前記試料ステージのZ方向における位置を移動させることを特徴とするX線回折装置。
  2. 前記初期情報は、前記X線管の種類情報nと、前記試料の材質情報mと、試料面法線と格子面法線とのなす角度ψがψ’であるときにおける前記試料での理論回折角2Θnmとの関係を示すものであり、
    前記制御部は、前記X線管の種類情報n及び前記試料の材質情報mが入力されることで理論回折角2Θnmを決定し、回折角2θが理論回折角2Θnmとなるように、前記試料ステージのZ方向における位置を移動させることを特徴とする請求項1に記載のX線回折装置。
  3. 試料が配置され、Z方向に移動可能な試料ステージと、
    前記試料にX線を出射するX線管と、
    前記試料からのX線強度を検出するX線検出器と、
    ゴニオメータにより前記試料の試料面法線と格子面法線とのなす角度ψ、および、前記試料の回折角2θによる2θ-sinψの関係を測定して前記試料の応力値σを測定する制御部とを備えるX線回折装置に用いられる試料配置システムであって、
    前記X線管の種類情報nと、
    前記試料のポアソン比νが特定可能な材質情報mと、
    試料面法線と格子面法線とのなす角度ψが、
    Figure 0006996471000012
    であるときに前記試料から得られる無応力時の回折角である理論回折角2Θ nm との関係を示す初期情報を記憶する記憶部と、
    前記X線管の種類情報n及び前記試料の材質情報mが入力されることで理論回折角2Θnmを決定し、前記試料ステージに前記試料が配置された後、試料面法線と格子面法線とのなす角度ψをψ’としたときに取得される回折ピークの回折角2θと理論回折角2Θnmとに基づいて、前記試料ステージのZ方向における位置ずれ量ΔZを算出する制御部と
    を備えることを特徴とする試料配置システム。
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