JP6996312B2 - 金属皮膜の成膜装置 - Google Patents

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Description

本開示は、金属皮膜の成膜装置に関する。
例えば電子回路基板等を製造する際には、金属回路パターンを形成するために、基板の表面に金属皮膜が成膜される。このような金属皮膜の成膜技術として、例えば特許文献1は、Si等の半導体基板の表面に、無電解めっき処理等のめっき処理により金属皮膜を成膜する技術を開示している。また、スパッタリング等のPVD法により金属皮膜を成膜する技術も知られている。
無電解めっき処理等のめっき処理の場合、めっき処理後の水洗が必要であり、また、水洗後の廃液を処理する必要もあった。また、PVD法により基板表面に成膜を行う場合、形成した金属皮膜に内部応力が生じるため、金属皮膜の厚膜化には制限があった。特に、スパッタリングの場合、高真空下でしか成膜できない場合があるという制限もあった。
このような点を鑑みて、例えば、特許文献2には、陽極と、陰極と、陽極と陰極との間に配置される固体電解質と、陽極と陰極との間に電圧を印加する電源部とを用いた、金属皮膜の成膜装置が開示されている。特許文献2に記載の装置では、陽極は、金属皮膜を構成する金属材料からなり、陽極及び陰極に電圧を印加することにより、陽極の一部がイオン化する。特許文献2に記載の装置では、陽極のイオン化によって生成する金属イオンが固体電解質を通過して陰極側に配置された基板に析出し、基板表面に金属皮膜が形成される。
特開2010-037622号公報 特開平05-148681号公報
ここで、陽極と基板との間に電圧を印加して金属皮膜の成膜工程を続けると、徐々に陽極が酸化され、陽極の表面に酸化膜が形成される。陽極表面に酸化膜が形成されると、陽極が十分に溶解しなくなり、金属溶液中の金属イオン濃度が低下する。その結果、形成される金属皮膜の光沢が低下してしまう。金属皮膜の光沢が低下すると、製品価値の低下や、機械的性質の変化等の問題が生じる。
そのため、光沢が低下した金属皮膜の形成を防ぐためには、成膜工程中等において陽極の状態、すなわち陽極の酸化膜の形成状態を常に把握することが考えられる。陽極の状態を把握する方法としては、例えば、陽極を直接視認する方法が考えられるが、一般的に陽極はハウジング内に収容されているため、陽極の状態を外から確認することはできない。陽極の状態を確認するためには、成膜装置を解体して陽極を視認できる状態にする必要や陽極を取り出して分析する必要があり、手間及びコストがかかる。そこで、成膜装置を解体せずに、容易に陽極における酸化膜の厚さを確認でき、光沢が低下した金属皮膜の形成を回避できる手段の開発が望まれている。
本開示の目的は、上記課題に鑑みてなされたものであり、光沢が低下した金属皮膜の形成を容易に回避できる成膜装置を提供することである。
本実施形態の一形態は、以下の通りである。
(1) 陽極と、前記陽極と陰極となる基材との間に配置される固体電解質膜と、前記陽極と前記固体電解質膜との間に配置され、金属溶液を収容する溶液室と、前記陽極と前記基材とを相対的に押圧して前記基材と前記固体電解質膜とを接触させる押圧手段と、前記陽極及び前記基材の間に電圧を印加する電源部と、を少なくとも備え、前記陽極に由来する金属イオンを前記基板上で還元することで金属皮膜を前記基材の表面に成膜する成膜装置であって、
前記基材と前記固体電解質膜とが接触したときの前記陽極と前記基材の間の浸漬電位Vと、定電流を通電したときの前記陽極と前記基材の間の最大電解反応電位Vとを測定する電圧測定部と、
前記最大電解反応電位Vと前記浸漬電位Vとの電位差(V-V)が所定の設定値以上であるかどうかを判断する制御部と、
を備える、成膜装置。
(2) 前記制御部は、前記電位差(V-V)が所定の設定値以上である場合に、通電を停止する、(1)に記載の成膜装置。
(3) 前記設定値が、1.4Vである、(1)又は(2)に記載の成膜装置。
(4) 前記定電流が、前記金属皮膜を形成するために通電される、(1)~(3)のいずれか1つに記載の成膜装置。
(5) 陽極と、陰極となる基材と、前記陽極と前記基材の間に配置された固体電解質膜と、前記陽極と前記固体電解質膜との間に配置された金属溶液とを用い、前記陽極に由来する金属イオンを前記基板上で還元することで金属皮膜を前記基材の表面に成膜する金属皮膜の製造方法であって、
前記陽極と前記基材とを相対的に押圧して前記固体電解質膜と前記基材とを接触させる工程と、
前記基材と前記固体電解質膜とが接触したときの前記陽極と前記基材の間の浸漬電位Vを測定する工程と、
前記陽極と前記基材の間に定電流を通電させる工程と、
前記定電流を通電したときの前記陽極と前記基材の間の最大電解反応電位Vを測定する工程と、
前記最大電解反応電位Vと前記浸漬電位Vの電位差(V-V)が所定の設定値以上であるかどうかを判断する工程と、
を含む製造方法。
(6) 前記電位差(V-V)が所定の設定値以上である場合に、通電を停止する、(5)に記載の製造方法。
(7) 前記設定値が、1.4Vである、(5)又は(6)に記載の製造方法。
(8) 前記定電流を、金属皮膜を形成するために通電する、(5)~(7)のいずれか1つに記載の製造方法。
本開示により、光沢が低下した金属皮膜の形成を容易に回避できる成膜装置を提供することができる。
本実施形態に係る金属皮膜の成膜装置の構成例を示す模式的概略図である。 図1に示す金属皮膜の成膜装置による成膜方法を説明するための模式的概略図である。 実施例で得られた陽極の酸化膜の厚さと電位差(V-V)との関係を示すグラフである。 陽極3(酸化膜の厚さ:0.06μm)を用いてニッケル皮膜を成膜した際における時間-電圧曲線(縦軸:電圧、横軸:時間)である。 陽極6(酸化膜の厚さ:0.18μm)を用いてニッケル皮膜を成膜した際における時間-電圧曲線(縦軸:電圧、横軸:時間)である。 陽極9(酸化膜の厚さ:3.00μm)を用いてニッケル皮膜を成膜した際における時間-電圧曲線(縦軸:電圧、横軸:時間)である。
本実施形態は、陽極と、前記陽極と陰極となる基材との間に配置される固体電解質膜と、前記陽極と前記固体電解質膜との間に配置され、金属溶液を収容する溶液室と、前記陽極と前記基材とを相対的に押圧して前記基材と前記固体電解質膜とを接触させる押圧手段と、前記陽極及び前記基材の間に電圧を印加する電源部と、を少なくとも備え、前記陽極に由来する金属イオンを前記基板上で還元することで金属皮膜を前記基材の表面に成膜する成膜装置であって、前記基材と前記固体電解質膜とが接触したときの前記陽極と前記基材の間の浸漬電位Vと、定電流を通電したときの前記陽極と前記基材の間の最大電解反応電位Vとを測定する電圧測定部と、前記最大電解反応電位Vと前記浸漬電位Vとの電位差(V-V)が所定の設定値以上であるかどうかを判断する制御部と、を備える、成膜装置である。
本実施形態により、光沢が低下した金属皮膜の形成を容易に回避できる成膜装置を提供することができる。
図1は、本実施形態に係る金属皮膜の成膜装置1の構成例を示す模式的断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る成膜装置1は、固相電析法により金属皮膜を形成する装置であり、金属溶液に由来する金属イオンを還元することで金属を析出させることにより金属皮膜を基材Bの表面に形成する。
成膜装置1は、陽極11と、陽極11と基材B(陰極)との間に配置される固体電解質膜13と、陽極11と基材Bとの間に電圧を印加する電源部16と、を備えている。また、成膜装置1は、金属溶液Lを収容する溶液室15を備えており、溶液室15は、陽極11と固体電解質膜13に金属溶液Lが接触するように、固体電解質膜13と陽極11との間に配置されている。溶液室15は、ハウジング12により形成されている。具体的には、ハウジング12は、金属溶液Lを収容する収容空間Sを有し、収容空間Sの基材側に開口部12aを有している。固体電解質膜13は、ハウジング12の開口部12aを封止するようにハウジング12に取付けられている。また、成膜装置1は、基材Bを載置する載置台40を備えている。載置台40は、例えば金属製である。載置台40には、電源部16の負極が接続されており、陽極11には、電源部16の正極が接続されている。なお、載置台40と基材Bの成膜される表面(金属薄膜(不図示))とは導通している。これにより、基材Bの表面を陰極として機能させることができる。また、成膜装置1には、さらに、ハウジング12の上部に、バネ等の緩衝部材19を介して押圧手段18が設けられている。押圧手段18は、例えば、油圧式又は空気式のシリンダを挙げることができる。これにより、固体電解質膜13を基材Bの表面に押圧しながら金属皮膜を成膜することができる。また、緩衝部材19により、固体電解質膜13を基材Bの表面に緩やかに押圧することができる。また、成膜装置1は、陽極11と基材Bとの間の電位を測定可能な電圧測定部50を備える。電圧測定部50としては、例えば、電圧計が挙げられる。電圧測定部50により、記基材Bと固体電解質膜13とが接触したときの陽極11と基材Bの間の浸漬電位Vと、定電流を通電したときの陽極11と基材Bの間の最大電解反応電位Vと、を測定することができる。また、成膜装置1は、制御部51を備え、該制御部51は、電圧測定部50により測定した最大電解反応電位Vと浸漬電位Vとの電位差(V-V)が、所定の設定値以上であるかどうかを判断する。また、制御部51は、電源部16と信号線を介して接続されており、電位差(V-V)が所定の設定値以上である場合に、通電を停止させることができる。
基材Bは、成膜される表面が陰極(すなわち導電性を有する表面)として機能するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、基材Bは、アルミニウムや鉄等の金属材料からなってもよい。また、基材Bは、エポキシ樹脂等の高分子樹脂又はセラミックス等の表面に、銅、ニッケル、銀又は鉄等の金属層が被覆されたものでもよい。図1では、基材Bは、樹脂製の基材の表面に、レジストRが部分的に形成された基材であり、レジストRから露出した表面には、金属薄膜(図示せず)が形成されている。したがって、基材Bの金属薄膜が陰極として機能する。
陽極11は、形成される金属皮膜の金属と同じ金属を含み、金属溶液Lに溶解する可溶性陽極である。陽極の溶解により、金属溶液中に金属イオンを供給することができる。陽極11の形状は、例えば、ブロック状又は平板状である。
固体電解質膜13は、金属溶液Lに接触させることにより、金属イオンを内部に含有することができ、電圧を印加したときに基材Bの表面に金属イオンが還元され、金属イオン由来の金属を析出させることができるものであれば、特に限定されない。固体電解質膜の材質としては、例えば、デュポン社製のナフィオン(登録商標)等のフッ素系樹脂、炭化水素系樹脂、ポリアミック酸樹脂、旭硝子社製のセレミオン(CMV、CMD、CMFシリーズ)等のイオン交換機能を有する樹脂を挙げることができる。
金属溶液Lは、上述したように成膜すべき金属皮膜の金属をイオンの状態で含有している液(電解液)である。このような金属に、銅、ニッケル、銀、又は鉄を挙げることができ、金属溶液Lは、これらの金属を、硝酸、リン酸、コハク酸、硫酸ニッケル、又はピロリン酸等の酸で溶解(イオン化)した水溶液である。また、金属溶液Lとしては、ワット浴、ウッド浴、スルファミン酸浴等を用いてもよい。
金属溶液LのpHは、好ましくは2.0~5.0であり、より好ましくは2.5~4.5である。このようなpHに設定することによって、金属皮膜の析出電流効率を向上させることができ、金属皮膜を高速で形成し易くできる。なお、金属皮膜の成膜速度は、pH以外にも、例えば、金属溶液中の金属イオンや、電流値、陽極材料、陽極面積、温度等の条件により調整することができる。金属溶液Lは、例えば、溶媒、pH緩衝剤を含んでいてもよい。
ハウジング12の材質としては、例えば、金属材料等を挙げることができるが、その材料は特に限定されるものではない。
電圧測定部50は、陽極11と基材Bとの間の電位を測定できるように配置される。電圧測定部50により、基材Bと固体電解質膜13とが接触したときの陽極11と基材Bの間の浸漬電位Vと、定電流を通電したときの陽極11と基材Bの間の最大電解反応電位Vと、を測定する。電圧測定部50により、成膜時における電圧値をモニタリングすることができる。
制御部51は、電圧測定部50により測定した最大電解反応電位Vと浸漬電位Vとの電位差(V-V)が、所定の設定値以上であるかどうかを判断する。また、制御部51は、電源部16と信号線を介して接続されており、電位差(V-V)が所定の設定値以上である場合に、通電を停止させることができる。制御部51は、例えば、ROM、RAM、CPU等を備えるマイクロコンピュータ等で構成される。
以下でも詳細を説明するように、最大電解反応電位Vと浸漬電位Vとの電位差(V-V)は、陽極に形成される酸化膜の厚さと相関関係を有し、陽極の酸化膜の厚さが大きくなるにしたがって、電位差(V-V)も大きくなる。それゆえ、電位差(V-V)を測定することにより、陽極上の酸化膜の厚さを間接的に把握することができる。そこで、光沢が低下した金属皮膜が形成されない酸化膜の厚さの閾値を別に確認しておき、その酸化膜厚さの閾値に対応する電位差(V-V)を上述の所定値として設定しておく。これにより、電位差(V-V)が設定した所定値以上となった場合、つまり酸化膜厚さが閾値を超えた場合に、制御部51により通電を停止させることができるため、光沢が低下した金属皮膜の形成を防ぐことができる。
以下に、本実施形態に係る成膜装置1を用いた成膜方法を説明する。図2は、図1に示す成膜装置1の成膜時の状態を説明するための模式的断面図である。
まず、図1に示すように、固体電解質膜13に対向するように、載置台40に、レジストR及び金属薄膜(不図示)が形成された基材Bを配置する。次に、図2に示すように、押圧手段18を用いて、ハウジング12を載置台40に向かって降下させ、固体電解質膜13を基材Bの表面に押圧する。
ここで、電圧測定部50により、基材Bと固体電解質膜13とが接触したときの陽極11と基材Bの間の浸漬電位Vを測定する。浸漬電位は自然電位とも称される。測定された浸漬電位Vは、制御部51に送られ、記録され得る。
次に、固体電解質膜13を基材Bの表面に押圧した状態で、電源部16により陽極11と基材Bとの間に電圧を印加する。溶液室15の金属溶液Lは、陽極11及び固体電解質膜13に接触しており、固体電解質膜13に供給された金属イオンは、固体電解質膜13に接触した基材Bの露出した表面に移動する。移動した金属イオンは、基材BのレジストRから露出した表面で還元され、基材Bの露出した表面には金属イオンに由来した金属が析出する。これにより、基材Bの上に金属皮膜を成膜することができる。金属溶液中の金属イオンは、陽極の一部が溶解することにより補充される。
金属皮膜を形成するための通電は定電流により行われ、電圧測定部50により、定電流を通電したときの陽極11と基材Bの間の最大電解反応電位Vを測定する。測定された浸漬電位最大電解反応電位Vは、制御部51に送られ、記録され得る。そして、制御部51は、最大電解反応電位Vと浸漬電位Vとの電位差(V-V)が、所定の設定値以上であるかどうかを判断し、電位差(V-V)が所定の設定値以上である場合に、電源部16による通電を停止させる。電位差(V-V)が所定の設定値未満である場合は、そのまま通電させ、金属皮膜を形成させる。
上記測定は、基板毎に繰り返し行うことができる。金属皮膜の成膜工程を繰り返し行うにつれて陽極の酸化膜は厚くなっていくため、ある閾値を超えたときに自動的に通電が停止するように、電位差(V-V)の設定値を選択することができる。通電が停止した場合、陽極を新しいものに交換することができる。
このようにして、本実施形態に係る成膜装置によれば、光沢が低下した金属皮膜の形成を容易に回避することができる。
陽極として、ニッケル板(NI-313520、ニラコ社製)を用意した。このニッケル板を電気炉により熱処理して酸化膜を形成した。ニッケル板は、大気雰囲気下において、1時間、所定の温度(25℃、100℃、200℃、300℃、400℃、500℃、600℃、700℃及び800℃)で加熱した。酸化膜の厚さは、オージェ電子分光法により計測した。表1に、作製した陽極1~9を示す。
Figure 0006996312000001
次に、陽極1~9を用いて、以下の成膜条件により、ニッケル皮膜を基板上に形成した。
ニッケル皮膜の膜厚:4μm
基板:銅スパッタ基板
電流密度:100mA/cm
塩化ニッケル浴:1M塩化ニッケル水溶液+酢酸(pH4.0)
温度:80℃
圧力:1.0MPa
成膜面積:10mm×10mm
電解質膜:イオン交換膜(N117、デュポン社製)
なお、成膜領域は、基板上にポリイミドテープ(650R♯25、株式会社寺岡製作所)を用いて10×10mm角の開口部を形成することにより作製した。
本実施例では、図1に示すような成膜装置を用いて、酸化膜の厚さが異なるニッケル陽極(陽極1~9)により、銅スパッタ基板上にニッケル皮膜を成膜した。そして、ニッケル皮膜の成膜工程において、電圧計により、成膜時における電圧値をモニタリングし、基材と固体電解質膜とが接触したときの陽極と基材の間の浸漬電位Vと、定電流を通電したときの陽極と基材の間の最大電解反応電位Vとを測定した。表2に、陽極の酸化膜の厚さと電位差(V-V)を示し、図3にその結果をグラフ化したものを示す。
Figure 0006996312000002
図3からも明らかなように、陽極の酸化膜の厚さが大きくなるにしたがって、電位差(V-V)も大きくなるため、陽極の酸化膜の厚さと電位差(V-V)は相関関係を有することが理解される。それゆえ、陽極の酸化膜の厚さと電位差(V-V)の相関関係と、光沢が低下した金属皮膜が形成されない酸化膜の厚さの閾値とを予め確認しておき、光沢が低下した金属皮膜が形成されない酸化膜の厚さの閾値に対応する電位差(V-V)を上述の所定値として設定する。これにより、電位差(V-V)が設定した所定値以上となった場合、つまり酸化膜厚さが閾値を超えた場合に、制御部51により通電を停止させることができるため、光沢が低下した金属皮膜の形成を防ぐことができる。
成膜時における電圧値のモニタリング結果の代表例として、陽極3(酸化膜の厚さ:0.06μm)、陽極6(酸化膜の厚さ:0.18μm)及び陽極9(酸化膜の厚さ:3.00μm)を用いてニッケル皮膜を成膜した場合で得られた時間-電圧曲線を図4、5及び6に示す。これらの図に示されるように、定電流方式における成膜時の時間-電圧曲線では、電解質膜が基板に接触してから、10秒ほどで一段階目の一定の電位(平坦電位)が現れる。この電位が一定になったときの電位が浸漬電位Vである。そして、電圧を負荷して定電流を流すと、急激に電圧が上昇した後、電圧はゆっくりと減少して一定値に近づき、二段階目の平坦電圧があらわれる。本実施形態では、定電流を流したときの最大電解反応電位Vを測定する。最大電解反応電位Vは、通常、図4~6に示されるように、電圧を負荷した直後に現れる。
以下、酸化膜が厚い陽極を用いると、電位差(V-V)が大きくなる理由について考察する。一般に、電位差(V-V)は、活性化過電圧(陰極でのイオンの放電・析出、陽極での溶解・イオンの生成では、電荷が移動する。電荷移動過程における活性化エネルギーに対応して、電解電位が平衡電位からずれる。このずれを活性化過電圧と呼ぶ。)、拡散過電圧(電解中、陰極近傍の金属イオンは減少する。また、陽極近傍では、溶解供給のため、金属イオン濃度はニッケル浴沖合いの濃度より高い。この濃度傾斜とイオンの拡散に伴う平衡電位からのずれを拡散過電圧と呼ぶ。)及び抵抗過電圧(電極の表面に形成される皮膜の抵抗による電圧変化を抵抗過電圧と呼ぶ。)の和から構成される。また、一般に、金属めっきにおいて、陰極では、金属イオンが還元されて金属が析出し、陽極では、金属が酸化され、金属イオンが形成される。そのため、陽極が酸化されると、金属から金属イオンが生成される活性化エネルギーよりも、陽極表面の金属酸化物から金属イオンが生成される活性化エネルギーが高いために、電解電位が平衡電位からずれ、活性化過電圧が高くなり、電位差(V-V)が大きくなると考えられる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
1: 成膜装置
11: 陽極
12: ハウジング
12a:開口部
13: 固体電解質膜
15:溶液室
16:電源部
18:押圧手段
19:緩衝部材
40:載置台
50:電圧測定部
51:制御部
B:基材
L:金属溶液
R:レジスト
S:収容空間

Claims (8)

  1. 陽極と、前記陽極と陰極となる基材との間に配置される固体電解質膜と、前記陽極と前記固体電解質膜との間に配置され、金属溶液を収容する溶液室と、前記陽極と前記基材とを相対的に押圧して前記基材と前記固体電解質膜とを接触させる押圧手段と、前記陽極及び前記基材の間に電圧を印加する電源部と、を少なくとも備え、前記陽極に由来する金属イオンを前記基板上で還元することで金属皮膜を前記基材の表面に成膜する成膜装置であって、
    前記基材と前記固体電解質膜とが接触したときの前記陽極と前記基材の間の浸漬電位Vと、定電流を通電したときの前記陽極と前記基材の間の最大電解反応電位Vとを測定する電圧測定部と、
    前記最大電解反応電位Vと前記浸漬電位Vとの電位差(V-V)が所定の設定値以上であるかどうかを判断し、前記電位差(V -V )が所定の設定値以上である場合に通電を停止する制御部と、
    を備える、成膜装置。
  2. 前記設定値が、1.4Vである、請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記定電流が、前記金属皮膜を形成するために通電される、請求項1又は2に記載の成膜装置。
  4. 前記所定の設定値が、陽極の酸化膜の厚さと電位差(V -V )の相関関係並びに金属皮膜の光沢と陽極の酸化膜の厚さとの相関関係に基づいて、所望の光沢を有する金属皮膜が形成されなくなる酸化膜の厚さの閾値に対応する電位差に設定されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の成膜装置。
  5. 陽極と、陰極となる基材と、前記陽極と前記基材の間に配置された固体電解質膜と、前記陽極と前記固体電解質膜との間に配置された金属溶液とを用い、前記陽極に由来する金属イオンを前記基板上で還元することで金属皮膜を前記基材の表面に成膜する金属皮膜の製造方法であって、
    前記陽極と前記基材とを相対的に押圧して前記固体電解質膜と前記基材とを接触させる工程と、
    前記基材と前記固体電解質膜とが接触したときの前記陽極と前記基材の間の浸漬電位V を測定する工程と、
    前記陽極と前記基材の間に定電流を通電させる工程と、
    前記定電流を通電したときの前記陽極と前記基材の間の最大電解反応電位V を測定する工程と、
    前記最大電解反応電位V と前記浸漬電位V の電位差(V -V )が所定の設定値以上であるかどうかを判断する工程と、
    を含み、
    前記電位差(V -V )が所定の設定値以上である場合に、通電を停止する、製造方法。
  6. 前記設定値が、1.4Vである、請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記定電流を、金属皮膜を形成するために通電する、請求項5又は6に記載の製造方法。
  8. 前記所定の設定値を、陽極の酸化膜の厚さと電位差(V -V )の相関関係並びに金属皮膜の光沢と陽極の酸化膜の厚さとの相関関係に基づいて、所望の光沢を有する金属皮膜が形成されなくなる酸化膜の厚さの閾値に対応する電位差に設定する、請求項5~7のいずれか1項に記載の製造方法。
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