JP6996263B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス層用組成物、および有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス層用組成物、および有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 Download PDF

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Description

本開示の実施形態は、塗布型の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子は、自己発色により視認性が高いこと、液晶表示装置と異なり全固体ディスプレイであるため耐衝撃性に優れていること、応答速度が速いこと、温度変化による影響が少ないこと、および視野角が広いこと等の利点を有することから注目されている。なお、以下、有機エレクトロルミネッセンスを有機ELと略す場合がある。
有機EL素子は、通常、第1電極層、発光層を含む複数の有機層から構成される有機EL層、および第2電極層が、順に積層された構成を有する。
有機EL層の形成方法には、大別して2つの方法がある。具体的には、真空化での蒸着により成膜するドライプロセス法、および、有機EL層用組成物を塗布して成膜する塗布法を挙げることができる。中でも、大面積化や高生産性等の点で優れていることから、塗布法が注目されている。
国際公開第2011/046166号 特開2012-84415号公報
近年では、有機EL素子の照明装置としての用途も注目されており、有機EL素子の大面積化や高生産性が求められている。そのため、有機層の塗布法には、生産性向上のため高スループット化、すなわち高速塗工が望まれている。しかし、有機層用組成物を高速で塗布すると、均一な膜厚で塗布することが困難である。有機EL素子において、有機層の膜厚の均一性は重要であり、特に発光層には高度な膜厚均一性が求められる。有機層の膜厚ムラは、有機EL素子の輝度ムラの要因となる。
また、膜厚ムラを抑制するために、例えば、溶媒の粘度や、有機層用組成物の固形分濃度等を調整して、有機層用組成物の粘度を調整することも考えられるが、膜厚分布は、塗布方法、濡れ性、粘度、乾燥過程等の種々の影響を受けるため、高速塗布の場合、均一な膜厚を有する有機層を得ることは困難である。
本開示は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高速塗布により均一な膜厚を有する有機層を得ることが可能な有機EL素子およびその製造方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本開示は、第1電極層と、発光層を含む有機EL層と、第2電極層と、をこの順に有し、上記発光層が、発光材料と、レベリング性を良くする添加剤とを含有し、真空準位を基準として、上記レベリング性を良くする添加剤のHOMOのエネルギー準位が上記発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも高く、上記レベリング性を良くする添加剤のLUMOのエネルギー準位が上記発光材料のLUMOのエネルギー準位よりも低い、有機EL素子を提供する。
本開示は、第1電極層と、発光層を含む有機EL層と、第2電極層と、をこの順に有し、上記発光層が、発光材料と、レベリング性を良くする添加剤とを含有し、真空準位を基準として、上記レベリング性を良くする添加剤のHOMOのエネルギー準位が上記発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも高い、有機EL素子を提供する。
本開示は、第1電極層と、正孔注入輸送層および発光層を含む有機EL層と、第2電極層と、をこの順に有し、上記正孔注入輸送層が、正孔注入輸送性材料と、レベリング性を良くする添加剤とを含有し、真空準位を基準として、上記レベリング性を良くする添加剤のHOMOのエネルギー準位が上記正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位よりも高い、有機EL素子を提供する。
本開示は、第1電極層と、発光層および電子注入輸送層を含む有機EL層と、第2電極層と、をこの順に有し、上記電子注入輸送層が、電子注入輸送性材料と、レベリング性を良くする添加剤とを含有し、真空準位を基準として、上記レベリング性を良くする添加剤のLUMOのエネルギー準位が上記電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位よりも低い、有機EL素子を提供する。
また、本開示は、発光材料と、レベリング性を良くする添加剤と、溶媒と、を含有し、真空準位を基準として、上記レベリング性を良くする添加剤のHOMOのエネルギー準位が上記発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも高く、上記レベリング性を良くする添加剤のLUMOのエネルギー準位が上記発光材料のLUMOのエネルギー準位よりも低い、発光層用組成物を提供する。
本開示は、発光材料と、レベリング性を良くする添加剤と、溶媒と、を含有し、真空準位を基準として、上記レベリング性を良くする添加剤のHOMOのエネルギー準位が上記発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも高い、発光層用組成物を提供する。
本開示は、正孔注入輸送性材料と、レベリング性を良くする添加剤と、溶媒と、を含有し、真空準位を基準として、上記レベリング性を良くする添加剤のHOMOのエネルギー準位が上記正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位よりも高い、正孔注入輸送層用組成物を提供する。
本開示は、電子注入輸送性材料と、レベリング性を良くする添加剤と、溶媒と、を含有し、真空準位を基準として、上記レベリング性を良くする添加剤のLUMOのエネルギー準位が上記電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位よりも低い、電子注入輸送層用組成物を提供する。
また、本開示は、第1電極層と、発光層を含む有機EL層と、第2電極層と、をこの順に有する有機EL素子の製造方法であって、上述の発光層用組成物をロールコート法またはダイコート法で塗布して上記発光層を形成する発光層形成工程を有する、有機EL素子の製造方法を提供する。
本開示は、第1電極層と、正孔注入輸送層および発光層を含む有機EL層と、第2電極層と、をこの順に有する有機EL素子の製造方法であって、上述の正孔注入輸送層用組成物をロールコート法またはダイコート法で塗布して上記正孔注入輸送層を形成する正孔注入輸送層形成工程を有する、有機EL素子の製造方法を提供する。
本開示は、第1電極層と、発光層および電子注入輸送層を含む有機EL層と、第2電極層と、をこの順に有する有機EL素子の製造方法であって、上述の電子注入輸送層用組成物をロールコート法またはダイコート法で塗布して上記電子注入輸送層を形成する電子注入輸送層形成工程を有する、有機EL素子の製造方法を提供する。
本開示は、発光性能を大幅に低下させることなく、高速塗布により均一な膜厚を有する有機層を得ることが可能な有機EL素子を提供できるという効果を奏する。
本開示の有機EL素子の一例を示す概略断面図である。 本開示の有機EL素子における発光層のエネルギー準位図の一例を示す模式図である。 本開示の有機EL素子における正孔注入輸送層のエネルギー準位図の一例を示す模式図である。 本開示の有機EL素子における電子注入輸送層のエネルギー準位図の一例を示す模式図である。 本開示の有機EL素子における発光層のエネルギー準位図の他の例を示す模式図である。 実施例4および比較例1の有機EL素子の輝度分布を示す写真である。
以下、本開示の有機EL素子、有機EL層用組成物、および有機EL素子の製造方法について詳細に説明する。
A.有機EL素子
本開示の有機EL素子は、4つの態様を有する。以下、各態様に分けて説明する。
I.有機EL素子の第1態様
本開示の有機EL素子の第1態様は、第1電極層と、発光層を含む有機EL層と、第2電極層と、をこの順に有し、上記発光層が、発光材料と、レベリング性を良くする添加剤とを含有し、真空準位を基準として、上記レベリング性を良くする添加剤のHOMOのエネルギー準位が上記発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも高く、上記レベリング性を良くする添加剤のLUMOのエネルギー準位が上記発光材料のLUMOのエネルギー準位よりも低い。
本態様の有機EL素子について、図面を参照して説明する。
図1は、本態様の有機EL素子の一例を示す概略断面図である。図1に示すように、有機EL素子1は、第1電極層3と、発光層12を含む有機EL層4と、第2電極層5と、をこの順に有している。有機EL層4は、発光層12を少なくとも有していればよく、正孔注入輸送層11や電子注入輸送層13をさらに有していてもよい。また、有機EL素子1は、第1電極層3、有機EL層4および第2電極層5を支持する基材2を有していてもよい。
発光層12は、発光材料と、レベリング性を良くする添加剤と、を含有しており、例えば図2に示すように、真空準位を基準として、レベリング性を良くする添加剤のHOMOのエネルギー準位が、発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも高く、レベリング性を良くする添加剤のLUMOのエネルギー準位が、発光材料のLUMOのエネルギー準位よりも低くなっている。
なお、本明細書において、HOMOのエネルギー準位およびLUMOのエネルギー準位を各々比較する際に、絶対値の大きいものを「高い」と称し、絶対値の小さいものを「低い」と称する。
本態様によれば、発光層がレベリング性を良くする添加剤を含有することにより、均一な膜厚を有する発光層とすることができる。そのため、高速塗布により発光層を形成する場合であっても、膜厚分布の良好な発光層を得ることができる。したがって、膜厚ムラに起因する輝度ムラの発生を抑制し、均一な発光を得ることが可能である。
ここで、一般に、有機EL素子においては、有機EL層内の不純物によって発光効率、寿命等の発光性能が劣化する。そのため、塗布法により有機EL層を形成する場合には、有機EL層中の残留溶媒も不純物となり得ることから、有機EL層中に溶媒が残留しないようにする必要があり、有機EL層用組成物の塗布後、加熱処理等により溶媒を除去するのが一般的である。
また、例えば、高速塗布への適用のために、溶媒の粘度や、有機層用組成物の固形分濃度つまり溶媒の量等を調整して、有機EL層用組成物の粘度を調整することも考えられる。しかし、上述したように、溶媒は、有機EL層用組成物の塗布後に除去されるものである。
このように、有機EL素子においては、有機EL層には有機EL層内に残留する不純物を積極的に添加しないのが通常である。
具体的には、発光層が発光材料および不純物を含有する場合において、不純物のHOMOのエネルギー準位が発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも低い場合には、発光層に注入された正孔が発光材料のHOMOから不純物のHOMOに移動する可能性がある。また、不純物のLUMOのエネルギー準位が発光材料のLUMOのエネルギー準位よりも高い場合には、発光層に注入された電子が発光材料のLUMOから不純物のLUMOに移動したり、発光材料で励起されたエネルギーが不純物へ移動したりする可能性がある。これらの場合、発光性能が大幅に低下してしまう。
これに対し、本態様においては、レベリング性を良くする添加剤のHOMOのエネルギー準位が、発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも高く、レベリング性を良くする添加剤のLUMOのエネルギー準位が、発光材料のLUMOのエネルギー準位よりも低いため、発光材料からレベリング性を良くする添加剤へエネルギー移動が生じるのを抑制することができる。そのため、発光性能を大幅に低下させることなく、均一な膜厚を有する発光層を得ることができる。したがって、高速塗布により膜厚分布の良好な発光層の形成が可能である。よって、大面積の有機EL素子を高速で製造することができ、生産性を高めることができる。
以下、本態様の有機EL素子における各構成について説明する。
1.有機EL層
本態様における有機EL層は、第1電極層および第2電極層の間に配置され、発光層を含む部材である。
本態様における有機EL層は、発光層を含む1層もしくは複数層の有機層を有する部材である。すなわち、本態様における有機EL層とは、少なくとも発光層を含む部材であり、有機層1層以上の層構成を有する部材である。
発光層以外に有機EL層を構成する層としては、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等が挙げられる。正孔輸送層は、正孔注入層に正孔輸送の機能を付与することにより、正孔注入層と一体化される場合がある。また、電子輸送層は、電子注入層に電子輸送の機能を付与することにより、電子注入層と一体化される場合がある。さらに、有機EL層を構成する層としては、キャリアブロック層のような正孔もしくは電子の突き抜けを防止し、再結合効率を高めるための層等が挙げられる。
(1)発光層
本態様における発光層は、発光材料およびレベリング性を良くする添加剤を含有する。
(a)発光材料
発光材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料等の発光材料が挙げられる。
色素系材料としては、例えば、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー等が挙げられる。
金属錯体系材料としては、例えば、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロビウム錯体等、中心金属にAl、Zn、Be等または、Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体が挙げられる。
高分子系材料としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、およびそれらの共重合体等が挙げられる。
発光層は、発光効率の向上や発光波長を変化させる等の目的で、ドーパントを含んでいてもよい。ドーパントとしては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン、キノキサリン誘導体、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体等が挙げられる。また、ドーパントとして、白金やイリジウム等の重金属イオンを中心に有し、燐光を示す有機金属錯体を使用することもできる。ドーパントは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
また、発光材料およびドーパントしては、例えば、特開2010-272891号公報の[0094]~[0099]や、国際公開第2012/132126号の[0053]~[0057]に記載の材料も用いることができる。
(b)レベリング性を良くする添加剤
本態様においては、レベリング性を良くする添加剤のHOMOのエネルギー準位が、発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも高く、レベリング性を良くする添加剤のLUMOのエネルギー準位が、発光材料のLUMOのエネルギー準位よりも低い。
なお、本明細書において、「レベリング性を良くする添加剤」を「添加剤A」と称する場合がある。
ここで、「レベリング性を良くする」とは、発光材料および添加剤Aを含有する発光層が、上記発光材料を含有し、上記添加剤Aを含有しない発光層と比較して、膜厚分布が良くなることをいう。具体的には、発光材料および添加剤Aを含有する発光層の膜厚分布が、上記発光材料を含有し、上記添加剤Aを含有しない発光層の膜厚分布を基準として、1%以上良くなることが好ましく、中でも5%以上良くなることが好ましく、特に10%以上良くなることが好ましい。例えば発光層に膜厚の薄い部分があると、発光層の面内において電流が集中しやすく、劣化が早くなる。そのため、経時的に面内の輝度ムラが大きくなる。よって、面内膜厚分布が少し良くなるだけでも、輝度ムラの発生を抑制する効果を十分に得ることができる。
なお、膜厚分布は、次の測定方法により測定することができる。すなわち、まず、基板上に、発光材料および添加剤Aを含有する発光層と、上記発光材料を含有し、上記添加剤Aを含有しない発光層と、をそれぞれ形成する。基板としては、例えば、ガラス基板(日本電気硝子社製 OA-10 厚み0.7mm)を用いることができる。発光層を形成するに際しては、ガラス基板を、中性洗剤、超純水の順番に超音波洗浄し、UVオゾン処理を施すことができる。次に、基板の中心の点と、基板の中心からx、y方向にそれぞれ±25mm離れた点との計5点について、発光層の一部分を除去し、菱化システムズ社製の白色干渉計(Vertscan 3.0)を用い、対物レンズを×5倍の条件下で画像を取り込み、発光層と発光層除去部分との高低差、すなわち発光層の膜厚を測定する。そして、5点の膜厚平均に対して膜厚の最大値と最小値の差を計算し、それを膜厚分布とする。
また、添加剤AのHOMOのエネルギー準位が、発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも高く、添加剤AのLUMOのエネルギー準位が、発光材料のLUMOのエネルギー準位よりも低いとは、添加剤AのHOMOのエネルギー準位が、発光材料のうち少なくとも1種のHOMOのエネルギー準位よりも高く、添加剤AのLUMOのエネルギー準位が、上記の少なくとも1種の発光材料のLUMOのエネルギー準位よりも低いことをいう。例えば、発光材料がホスト材料に1種のドーパント材料を添加したものである場合、添加剤AのHOMOのエネルギー準位が、ドーパントのHOMOのエネルギー準位よりも高く、添加剤AのLUMOのエネルギー準位が、ドーパントのLUMOのエネルギー準位よりも低ければよい。また例えば、発光材料がホスト材料に複数種のドーパント材料を添加したものである場合、添加剤AのHOMOのエネルギー準位が、複数種のドーパント材料のうち少なくとも1種のHOMOのエネルギー準位よりも高く、添加剤AのLUMOのエネルギー準位が、上記の少なくとも1種のドーパント材料のLUMOのエネルギー準位よりも低ければよい。
添加剤AのHOMOのエネルギー準位は、発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも高ければよいが、中でも、添加剤AのHOMOのエネルギー準位と発光材料のHOMOのエネルギー準位との差が、0.01eV以上であることが好ましく、0.1eV以上であることがより好ましい。また、添加剤AのLUMOのエネルギー準位は、発光材料のLUMOのエネルギー準位よりも低ければよいが、中でも、添加剤AのLUMOのエネルギー準位と発光材料のLUMOのエネルギー準位との差が、0.01eV以上であることが好ましく、0.1eV以上であることがより好ましい。添加剤AのHOMOおよびLUMOのエネルギー準位が上記範囲であれば、発光材料から添加剤Aへのエネルギー移動を効果的に抑制することができるからである。なお、添加剤AのHOMOのエネルギー準位と発光材料のHOMOのエネルギー準位との差、および、添加剤AのLUMOのエネルギー準位と発光材料のLUMOのエネルギー準位との差の上限は、それぞれ、3eV程度である。
なお、HOMOのエネルギー準位の値は、光電子分光法により測定することができる。具体的には、光電子分光装置(「AC-3」理研計器株式会社)を用いて測定することができる。
また、LUMOのエネルギー準位の値としては、測定対象となる材料を用いて石英ガラス基板上に単層薄膜を形成し、石英ガラス上に形成された単層薄膜の光吸収を日立分光光度計U-4100を用いて測定し、吸収スペクトルの吸収端のエネルギー値から光学的方法で決定した値を用いて求めることができる。すなわち吸収スペクトルの吸収端のエネルギー値からバンドギャップを算出し、HOMOのエネルギー準位の値とバンドギャップとの差からLUMOのエネルギー準位の値を算出する手法である。
また、HOMOおよびLUMOのエネルギー準位を求める方法として、発光層を構成する材料を分析し、材料の既存のデータベースに基づいてHOMOおよびLUMOのエネルギー準位を求めるという方法を採用することもできる。
添加剤AのHOMOおよびLUMOのエネルギー準位は、発光材料のHOMOおよびLUMOのエネルギー準位に応じて適宜選択される。
また、添加剤Aは、粘度を低下させる添加剤、すなわち減粘剤であることが好ましい。発光層の形成に用いられる発光層用組成物の粘度を低くすることができ、高速塗布により発光層を形成する場合であっても、膜厚分布の良好な発光層が得られやすいからである。
また、添加剤Aは、乾燥過程の塗膜表面に配向して、塗膜の表面張力を均一化するものであることが好ましい。また、添加剤Aは、その表面張力が乾燥過程の塗膜の表面張力より小さく、塗液との界面張力も小さい物質であることが好ましい。濡れ性を良くすることができ、高速塗布により発光層を形成する場合であっても、膜厚分布の良好な発光層が得られやすいからである。
また、少量添加で効果を発揮するためには、添加剤Aは、発光材料に対して非相溶性を有することが好ましい。
このような添加剤Aとしては、例えば、低分子化合物であってもよく、高分子化合物であってもよい。具体的には、フッ素系化合物、エステル系化合物、炭化水素系化合物等が挙げられる。
フッ素系化合物としては、例えば、フッ化アルキル、フッ化アルケン、フッ化アルキン、フッ化エステル、フッ化エーテル等が挙げられる。なお、フッ素系化合物では、発光層の形成過程でフッ素原子が脱離する場合がある。そのため、発光層にはフッ素原子が脱離した脱フッ素体が含まれていてもよい。なお、脱フッ素体とは、フッ素系化合物のフッ素の全部又は一部が脱離したものをいう。また、フッ素系化合物では、一般に液体では表面張力が低く揮発しやすいため、発光層の形成過程でフッ素系化合物の一部が発光層表面から揮発する場合もある。そのため、一般にフッ素系化合物は撥水撥油性を有するが、フッ素系化合物を用いた場合であっても、発光層上に他の有機層を塗布法により積層することが可能である。
エステル系化合物としては、特に限定されないが、中でも、脂肪酸エステル系化合物が好ましく、特に、長鎖脂肪酸エステル系化合物が好ましい。具体的には、ラウリン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ペンタデシル酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等が挙げられる。
炭化水素系化合物としては、例えば、炭素数9以上20以下のアルカン、炭素数9以上20以下のアルケン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、パラフィン類、ナフテン類、油脂類、流動パラフィン、ミネラルスピリット等が挙げられる。
発光層中の添加剤Aの含有量は、所望の発光性能およびレベリング性に応じて適宜選択され、例えば0.01質量%以上とすることができ、0.1質量%以上であることが好ましく、また、10質量%以下とすることができ、5質量%以下であることが好ましい。添加剤Aの含有量が少なすぎると、レベリング性向上の効果が十分に得られない場合がある。また、添加剤Aの含有量が多すぎると、発光性能が大幅に劣化するおそれがある。
(c)発光層
発光層の膜厚は、電子と正孔との再結合の場を提供して発光する機能を発現することができる膜厚であれば特に限定されるものではなく、例えば1nm以上とすることができ、また、500nm以下とすることができる。
発光層は、基材の第1電極層側の面側に、全面に配置されていてもよく、パターン状に配置されていてもよい。
発光層の形成方法としては、上記の発光材料、添加剤Aおよび溶媒を含有する発光層用組成物を用いた塗布法を適用することができる。なお、発光層の形成方法の詳細については、後述の「C.有機EL素子の製造方法 I.有機EL素子の製造方法の第1態様」に記載するので、ここでの説明は省略する。
(2)正孔注入輸送層
本態様における有機EL層は、発光層と陽極との間に正孔注入輸送層を有していてもよい。正孔注入輸送層は、正孔注入機能を有する正孔注入層であってもよく、正孔輸送機能を有する正孔輸送層であってもよく、正孔注入機能および正孔輸送機能の両機能を有するものであってもよい。また、正孔注入輸送層は、正孔注入層および正孔輸送層が積層されたものであってもよい。
正孔注入輸送層に用いられる正孔注入輸送性材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、フェニルアミン誘導体、アントラセン誘導体、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリルアミン誘導体等が挙げられる。また、スピロ化合物、フタロシアニン化合物、金属酸化物等を例示することができる。また、例えば、特開2011-119681号公報、国際公開第2012/018082号、特開2012-069963号公報、国際公開第2012/132126号の[0106]に記載の化合物も適宜選択して用いることができる。
また、正孔注入輸送層は、正孔注入輸送性材料および添加剤Aを含有していてもよい。この場合、例えば図3に示すように、真空準位を基準として、正孔注入輸送層に含有される添加剤AのHOMOのエネルギー準位は、正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位よりも高い。なお、図3において、添加剤のLUMOのエネルギー準位は、任意の位置である。
なお、正孔注入輸送層が、正孔注入層および正孔輸送層が積層されたものである場合には、正孔注入層が添加剤Aを含有してもよく、正孔輸送層が添加剤Aを含有してもよく、正孔注入層および正孔輸送層が添加剤Aを含有してもよい。
正孔注入輸送層が添加剤Aを含有する場合には、均一な膜厚を有する正孔注入輸送層とすることができる。そのため、高速塗布により正孔注入輸送層を形成する場合であっても、膜厚分布の良好な正孔注入輸送層を得ることができる。したがって、膜厚ムラに起因する輝度ムラの発生を抑制し、均一な発光を得ることが可能である。
ここで、上述したように、有機EL素子においては、有機EL層には有機EL層内に残留する不純物を積極的に添加しないのが通常である。
具体的には、正孔注入輸送層が正孔注入輸送性材料および不純物を含有する場合において、不純物のHOMOのエネルギー準位が正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位よりも低い場合には、正孔注入輸送層に注入された正孔が正孔注入輸送性材料のHOMOから不純物のHOMOに移動する可能性がある。そうすると、正孔注入輸送層から発光層へ正孔が移動しにくくなるおそれがあり、この場合には、発光性能が大幅に低下してしまう。
これに対し、本態様においては、正孔注入輸送層に含有される添加剤AのHOMOのエネルギー準位が、正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位よりも高いため、正孔注入輸送性材料から添加剤Aへエネルギー移動が生じるのを抑制することができる。そのため、発光性能を大幅に低下させることなく、均一な膜厚を有する正孔注入輸送層を得ることができる。したがって、高速塗布により膜厚分布の良好な正孔注入輸送層の形成が可能である。よって、大面積の有機EL素子を高速で製造することができ、生産性を高めることができる。
ここで、「レベリング性を良くする」とは、正孔注入輸送性材料および添加剤Aを含有する正孔注入輸送層が、上記正孔注入輸送性材料を含有し、上記添加剤Aを含有しない正孔注入輸送層と比較して、膜厚分布が良くなることをいう。具体的には、正孔注入輸送性材料および添加剤Aを含有する正孔注入輸送層の膜厚分布が、上記正孔注入輸送性材料を含有し、上記添加剤Aを含有しない正孔注入輸送層の膜厚分布を基準として、1%以上良くなることが好ましく、中でも5%以上良くなることが好ましく、特に10%以上良くなることが好ましい。
なお、膜厚分布の測定方法については、上述の発光層の項に記載した方法と同様とすることができる。
正孔注入輸送層に含有される添加剤AのHOMOのエネルギー準位は、正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位よりも高い。
ここで、正孔注入輸送層に含有される添加剤AのHOMOのエネルギー準位が、正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位よりも高いとは、添加剤AのHOMOのエネルギー準位が、正孔注入輸送性材料のうち少なくとも1種のHOMOのエネルギー準位よりも高いことをいう。
正孔注入輸送層に含有される添加剤AのHOMOのエネルギー準位は、正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位よりも高ければよいが、中でも、添加剤AのHOMOのエネルギー準位と正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位との差が、0.01eV以上であることが好ましく、0.1eV以上であることがより好ましい。正孔注入輸送層に含有される添加剤AのHOMOのエネルギー準位が上記範囲であれば、正孔注入輸送性材料から添加剤Aへのエネルギー移動を効果的に抑制することができるからである。なお、正孔注入輸送層に含有される添加剤AのHOMOのエネルギー準位と正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位との差の上限は、8eV程度である。
正孔注入輸送層に含有される添加剤AのHOMOのエネルギー準位は、正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位に応じて適宜選択される。
また、正孔注入輸送層に含有される添加剤AのLUMOのエネルギー準位は、正孔注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位よりも高くてもよく、正孔注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位と同じであってもよく、正孔注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位よりも低くてもよい。
中でも、添加剤AのLUMOのエネルギー準位は、正孔注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位よりも低いことが好ましい。これにより、発光層に注入された電子が正孔注入輸送層に含有される添加剤AのLUMOに移動するのを抑制して、発光層からの電子の突き抜けを抑制することができ、発光性能の低下を抑えることができる。
なお、添加剤AのLUMOのエネルギー準位が、正孔注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位よりも高い場合には、発光層に注入された電子が正孔注入輸送層に含有される添加剤AのLUMOに移動する可能性があるが、正孔注入輸送層は正孔を輸送する機能を有する層であり、上述したように正孔注入輸送層では正孔注入輸送性材料から添加剤Aへのエネルギー移動を抑制し、正孔のトラップを防ぐことができるため、たとえ発光層に注入された電子が正孔注入輸送層に含有される添加剤AのLUMOに移動したとしても、大きな特性劣化は生じにくい。
なお、HOMOおよびLUMOのエネルギー準位を求める方法については、上述の発光層の項に記載した方法と同様とすることができる。
また、添加剤Aとしては、上述の発光層の項に記載したものと同様とすることができる。
正孔注入輸送層中の添加剤Aの含有量は、所望の発光性能およびレベリング性に応じて適宜選択され、例えば0.01質量%以上とすることができ、0.1質量%以上であることが好ましく、また、10質量%以下とすることができ、5質量%以下であることが好ましい。添加剤Aの含有量が少なすぎると、レベリング性向上の効果が十分に得られない場合がある。また、添加剤Aの含有量が多すぎると、発光性能が大幅に劣化するおそれがある。
また、正孔注入輸送層は、金属粒子を含まないことが好ましい。金属粒子が添加されていると、膜厚ムラが生じやすくなるからである。
金属粒子としては、例えば、金属ナノ粒子を挙げることができる。なお、ナノ粒子とは、直径がnm(ナノメートル)オーダー、すなわち1μm未満の粒子をいう。
また、金属粒子としては、例えば、遷移金属および遷移金属化合物の少なくとも1つを含む粒子を挙げることができる。具体的には、モリブデン、タングステンおよびバナジウムからなる群から選択される少なくとも1種を含有する金属錯体を含む粒子が挙げられる。
金属粒子は、保護剤が表面に付着した粒子であってもよい。
正孔注入輸送層の膜厚としては、正孔注入機能や正孔輸送機能が十分に発揮される膜厚であればよく、例えば0.5nm以上とすることができ、10nm以上であることが好ましい。また、正孔注入輸送層の膜厚は、500nm以下とすることができ、200nm以下であることが好ましい。
正孔注入輸送層は、基材の第1電極層側の面側に、全面に配置されていてもよく、パターン状に配置されていてもよい。
正孔注入輸送層の形成方法は、正孔注入輸送層の材料に応じて適宜選択され、塗布法であってもよく、蒸着法であってもよい。中でも、塗布法が好ましい。塗布法では、高価な設備を必要とせず、製造コストの削減を図れるからである。さらに、発光層は塗布法により形成されるため、例えば正孔注入輸送層、発光層の順に塗布法で成膜でき、製造効率が向上するからである。
また、例えば、正孔注入輸送層が正孔注入輸送性材料および添加剤Aを含有する場合には、正孔注入輸送層の形成方法としては、上記の正孔注入輸送性材料、添加剤Aおよび溶媒を含有する正孔注入輸送層用組成物を用いた塗布法を適用することができる。なお、正孔注入輸送層の形成方法の詳細については、後述の「C.有機EL素子の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
(3)電子注入輸送層
本態様における有機EL層は、発光層と陰極との間に電子注入輸送層を有していてもよい。電子注入輸送層は、電子注入機能を有する電子注入層であってもよく、電子輸送機能を有する電子輸送層であってもよく、電子注入機能および電子輸送機能の両機能を有するものであってもよい。また、電子注入輸送層は、電子注入層および電子輸送層が積層されたものであってもよい。
電子注入輸送層に用いられる電子注入輸送性材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、アルカリ金属類、アルカリ金属の合金、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属類、アルカリ土類金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属の有機錯体、マグネシウムのハロゲン化物や酸化物、酸化アルミニウム等が挙げられる。また、電子注入輸送性材料としては、例えば、バソキュプロイン、バソフェナントロリン、フェナントロリン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピリジン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンやペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリノール錯体等の金属錯体、フタロシアニン化合物、ジスチリルピラジン誘導体等を挙げることができる。
また、電子輸送性の有機材料にアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属をドープした金属ドープ層を形成し、これを電子注入輸送層とすることもできる。電子輸送性の有機材料としては、例えばバソキュプロイン、バソフェナントロリン、フェナントロリン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピリジン誘導体、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(Alq)等の金属錯体、及びこれらの高分子誘導体等が挙げられる。また、ドープする金属としては、Li、Cs、Ba、Sr等が挙げられる。
また、電子注入輸送層は、電子注入輸送性材料および添加剤Aを含有していてもよい。この場合、例えば図4に示すように、真空準位を基準として、電子注入輸送層に含有される添加剤AのLUMOのエネルギー準位は、電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位よりも低い。なお、図4において、添加剤のHOMOのエネルギー準位は、任意の位置である。
なお、電子注入輸送層が、電子注入層および電子輸送層が積層されたものである場合には、電子注入層が添加剤Aを含有してもよく、電子輸送層が添加剤Aを含有してもよく、電子注入層および電子輸送層が添加剤Aを含有してもよい。
電子注入輸送層が添加剤Aを含有する場合には、均一な膜厚を有する電子注入輸送層とすることができる。そのため、高速塗布により電子注入輸送層を形成する場合であっても、膜厚分布の良好な電子注入輸送層を得ることができる。したがって、膜厚ムラに起因する輝度ムラの発生を抑制し、均一な発光を得ることが可能である。
ここで、上述したように、有機EL素子においては、有機EL層には有機EL層内に残留する不純物を積極的に添加しないのが通常である。
具体的には、電子注入輸送層が電子注入輸送性材料および不純物を含有する場合において、不純物のLUMOのエネルギー準位が電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位よりも高い場合には、電子注入輸送層に注入された電子が電子注入輸送性材料のLUMOから不純物のLUMOに移動する可能性がある。そうすると、電子注入輸送層から発光層へ電子が移動しにくくなるおそれがあり、この場合には、発光性能が大幅に低下してしまう。
これに対し、本態様においては、電子注入輸送層に含有される添加剤AのLUMOのエネルギー準位が、電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位よりも低いため、電子注入輸送性材料から添加剤Aへエネルギー移動が生じるのを抑制することができる。そのため、発光性能を大幅に低下させることなく、均一な膜厚を有する電子注入輸送層を得ることができる。したがって、高速塗布により膜厚分布の良好な電子注入輸送層の形成が可能である。よって、大面積の有機EL素子を高速で製造することができ、生産性を高めることができる。
ここで、「レベリング性を良くする」とは、電子注入輸送性材料および添加剤Aを含有する電子注入輸送層が、上記電子注入輸送性材料を含有し、上記添加剤Aを含有しない電子注入輸送層と比較して、膜厚分布が良くなることをいう。具体的には、電子注入輸送性材料および添加剤Aを含有する電子注入輸送層の膜厚分布が、上記電子注入輸送性材料を含有し、上記添加剤Aを含有しない電子注入輸送層の膜厚分布を基準として、1%以上良くなることが好ましく、中でも5%以上良くなることが好ましく、特に10%以上良くなることが好ましい。
なお、膜厚分布の測定方法については、上述の発光層の項に記載した方法と同様とすることができる。
電子注入輸送層に含有される添加剤AのLUMOのエネルギー準位は、電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位よりも低い。
ここで、電子注入輸送層に含有される添加剤AのLUMOのエネルギー準位が、電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位よりも低いとは、添加剤AのLUMOのエネルギー準位が、電子注入輸送性材料のうち少なくとも1種のLUMOのエネルギー準位よりも低いことをいう。
電子注入輸送層に含有される添加剤AのLUMOのエネルギー準位は、電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位よりも低ければよいが、中でも、添加剤AのLUMOのエネルギー準位と電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位との差が、0.01eV以上であることが好ましく、0.1eV以上であることがより好ましい。電子注入輸送層に含有される添加剤AのLUMOのエネルギー準位が上記範囲であれば、電子注入輸送性材料から添加剤Aへのエネルギー移動を効果的に抑制することができるからである。なお、電子注入輸送層に含有される添加剤AのLUMOのエネルギー準位と電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位との差の上限は、8eV程度である。
電子注入輸送層に含有される添加剤AのLUMOのエネルギー準位は、電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位に応じて適宜選択される。
また、電子注入輸送層に含有される添加剤AのHOMOのエネルギー準位は、電子注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位よりも高くてもよく、電子注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位と同じであってもよく、電子注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位よりも低くてもよい。
中でも、添加剤AのHOMOのエネルギー準位は、電子注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位よりも高いことが好ましい。これにより、発光層に注入された正孔が電子注入輸送層に含有される添加剤AのHOMOに移動するのを抑制して、発光層からの正孔の突き抜けを抑制することができ、発光性能の低下を抑えることができる。
なお、添加剤AのHOMOのエネルギー準位が、電子注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位よりも低い場合には、発光層に注入された正孔が電子注入輸送層に含有される添加剤AのHOMOに移動する可能性があるが、電子注入輸送層は電子を輸送する機能を有する層であり、上述したように電子注入輸送層では電子注入輸送性材料から添加剤Aへのエネルギー移動を抑制し、電子のトラップを防ぐことができるため、たとえ発光層に注入された正孔が電子注入輸送層に含有される添加剤AのHOMOに移動したとしても、大きな特性劣化は生じにくい。
なお、HOMOおよびLUMOのエネルギー準位を求める方法については、上述の発光層の項に記載した方法と同様とすることができる。
また、添加剤Aとしては、上述の発光層の項に記載したものと同様とすることができる。
電子注入輸送層中の添加剤Aの含有量は、所望の発光性能およびレベリング性に応じて適宜選択され、例えば0.01質量%以上とすることができ、0.1質量%以上であることが好ましく、また、10質量%以下とすることができ、5質量%以下であることが好ましい。添加剤Aの含有量が少なすぎると、レベリング性向上の効果が十分に得られない場合がある。また、添加剤Aの含有量が多すぎると、発光性能が大幅に劣化するおそれがある。
また、電子注入輸送層は、金属粒子を含まないことが好ましい。金属粒子が添加されていると、膜厚ムラが生じやすくなるからである。なお、金属粒子については、上記正孔注入輸送層の項に記載したものと同様である。
電子注入輸送層の膜厚としては、電子注入機能や電子輸送機能が十分に発揮される膜厚であればよく、特に限定されない。
電子注入輸送層は、基材の第1電極層側の面側に、全面に配置されていてもよく、パターン状に配置されていてもよい。
電子注入輸送層の形成方法は、電子注入輸送層の材料に応じて適宜選択され、塗布法であってもよく、蒸着法であってもよい。中でも、塗布法が好ましい。塗布法では、高価な設備を必要とせず、製造コストの削減を図れるからである。さらに、発光層は塗布法により形成されるため、例えば発光層、電子注入輸送層の順に塗布法で成膜でき、製造効率が向上するからである。
また、例えば、電子注入輸送層が電子注入輸送性材料および添加剤Aを含有する場合には、電子注入輸送層の形成方法としては、上記の電子注入輸送性材料、添加剤Aおよび溶媒を含有する電子注入輸送層用組成物を用いた塗布法を適用することができる。なお、電子注入輸送層の形成方法の詳細については、後述の「C.有機EL素子の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
2.第1電極層および第2電極層
第1電極層は、有機EL層の一方の面に配置される電極であり、第2電極層は、有機EL層の他方の面に配置される電極である。
本態様の有機EL素子では、第1電極層側から光を取り出してもよく、第2電極層側から光を取り出してもよい。本態様の有機EL素子において第1電極層側から光を取り出す場合には、第1電極層は所定の透明性を有することが好ましい。一方、本態様の有機EL素子において第2電極層側から光を取り出す場合には、第2電極層は所定の透明性を有することが好ましい。
第1電極層が所定の透明性を有する場合、第1電極層が有する透明性としては、有機EL層からの発光を透過させて表示を行うことができる程度の透明性であることが好ましく、例えば、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
なお、可視光領域における透過率は、例えば、分光光度計((株)島津製作所製 UV-2450)を用いて、測定波長380nm~780nmの範囲内で測定することができる。
第2電極層が所定の透明性を有する場合、第2電極層が有する透明性としては、上記の第1電極層が透明性を有する場合と同様とすることができる。
第1電極層および第2電極層は、いずれが、陽極であってもよく、陰極であってもよい。第1電極層および第2電極層の材料としては、公知の材料を用いることができる。第1電極層および第2電極層は、抵抗が小さいことが好ましく、一般的には導電性材料である金属材料が用いられるが、有機化合物または無機化合物を用いてもよい。
陽極には、正孔が注入しやすいように仕事関数の大きい導電性材料を用いることが好ましい。例えば、Au、Cr、Mo等の金属;ITOと称される酸化インジウム錫、IZOと称される酸化インジウム亜鉛、酸化亜鉛、酸化インジウム等の無機酸化物;金属ドープされたポリチオフェン等の導電性高分子等が挙げられる。これらの導電性材料は、単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上を用いる場合には、各材料からなる層を積層してもよい。
陰極には、電子が注入しやすいように仕事関数の小さい導電性材料を用いることが好ましい。例えば、Li、Na、Mg、Al、Ca、Ag、In等の金属、MgAg等のマグネシウム合金、AlLi、AlCa、AlMg等のアルミニウム合金、アルカリ金属類およびアルカリ土類金属類の合金等が挙げられる。
第1電極層および第2電極層の膜厚は、特に限定されるものではなく、有機EL素子の用途等に応じて適宜調整される。
第1電極層および第2電極層は、基材の一方の面側に、全面に配置されていてもよく、パターン状に配置されていてもよい。
第1電極層および第2電極層の形成方法は、一般的な電極の形成方法を用いることができ、有機EL素子の構成に応じて適宜選択される。
3.基材
本態様の有機EL素子は、上記第1電極層の有機EL層側の面とは反対の面側に、基材を有していてもよい。基材は、上記の第1電極層、有機EL層、第2電極層を支持する部材である。
基材は、透明性を有していてもよく、有さなくてもよいが、第1電極層側から光を取り出す場合には、基材が透明性を有することが好ましい。
基材が、所定の透明性を有する場合、基材の透明性は、有機EL層からの発光を透過させて表示を行うことができる程度の透明性であることが好ましく、例えば、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
ここで、基材の透過率は、JIS K7361-1に準ずるプラスチック-透明材料の全光透過率の試験方法により測定することができる。
基材は、可撓性を有していてもよく、有さなくてもよく、有機EL素子の用途に応じて適宜選択することができる。
基材の材料としては、例えば、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のないリジッド材、あるいは、樹脂フィルム、光学用樹脂板、薄ガラス等の可撓性を有するフレキシブル材等が挙げられる。また、基材は、樹脂フィルムの片面または両面にバリア層を有する積層体であってもよい。
基材の膜厚としては、基材に用いられる材料や有機EL素子の用途等に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.005mm以上とすることができ、また、5mm以下とすることができる。
4.その他の部材
本態様の有機EL素子は、上述した各部材を有していればよく、必要に応じて、その他の部材を有していてもよい。その他の部材としては、一般的な有機EL素子に用いられる部材を採用することができる。例えば、封止部材等を挙げることができる。
II.有機EL素子の第2態様
本開示の有機EL素子の第2態様は、第1電極層と、発光層を含む有機EL層と、第2電極層と、をこの順に有し、上記発光層が、発光材料と、添加剤Aとを含有し、真空準位を基準として、上記添加剤AのHOMOのエネルギー準位が上記発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも高い。
図1は、本態様の有機EL素子の一例を示す概略断面図である。なお、図1に示す有機EL素子については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
発光層12は、発光材料と、添加剤Aと、を含有しており、例えば図5に示すように、真空準位を基準として、添加剤AのHOMOのエネルギー準位が、発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも高くなっている。なお、図5において、添加剤のLUMOのエネルギー準位は、任意の位置である。
本態様によれば、発光層が添加剤Aを含有することにより、均一な膜厚を有する発光層とすることができる。そのため、高速塗布により発光層を形成する場合であっても、膜厚分布の良好な発光層を得ることができる。したがって、膜厚ムラに起因する輝度ムラの発生を抑制し、均一な発光を得ることが可能である。
上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したように、有機EL素子においては、有機EL層には有機EL層内に残留する不純物を積極的に添加しないのが通常である。
具体的には、発光層が発光材料および不純物を含有する場合において、不純物のHOMOのエネルギー準位が発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも低い場合には、発光層に注入された正孔が発光材料のHOMOから不純物のHOMOに移動する可能性がある。この場合、発光性能が大幅に低下してしまう。
これに対し、本態様においては、添加剤AのHOMOのエネルギー準位が、発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも高いため、発光材料から添加剤Aへエネルギー移動が生じるのを抑制することができる。なお、添加剤AのLUMOのエネルギー準位が、発光材料のLUMOのエネルギー準位よりも高い場合には、発光層に注入された電子が発光材料のLUMOから添加剤AのLUMOに移動し、電子がトラップされる可能性があるが、上述したように発光層では発光材料から添加剤Aへのエネルギー移動を抑制し、正孔のトラップを防ぐことができるため、たとえ電子がトラップされたとしても、添加剤AのHOMOおよびLUMOを経由した正孔および電子の再結合は起こりにくく、大きな特性劣化は生じにくいと考えられる。そのため、発光性能を大幅に低下させることなく、均一な膜厚を有する発光層を得ることができる。したがって、高速塗布により膜厚分布の良好な発光層の形成が可能である。よって、大面積の有機EL素子を高速で製造することができ、生産性を高めることができる。
以下、本態様の有機EL素子における各構成について説明する。
1.有機EL層
本態様における有機EL層は、第1電極層および第2電極層の間に配置され、発光層を含む部材である。
本態様における有機EL層は、発光層を含む1層もしくは複数層の有機層を有する部材である。すなわち、本態様における有機EL層とは、少なくとも発光層を含む部材であり、有機層1層以上の層構成を有する部材である。
発光層以外に有機EL層を構成する層としては、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等が挙げられる。正孔輸送層は、正孔注入層に正孔輸送の機能を付与することにより、正孔注入層と一体化される場合がある。また、電子輸送層は、電子注入層に電子輸送の機能を付与することにより、電子注入層と一体化される場合がある。さらに、有機EL層を構成する層としては、キャリアブロック層のような正孔もしくは電子の突き抜けを防止し、再結合効率を高めるための層等が挙げられる。
(1)発光層
本態様における発光層は、発光材料および添加剤Aを含有し、添加剤AのHOMOのエネルギー準位が、発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも高い。
なお、発光材料および添加剤Aを含有する発光層については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したものと同様とすることができる。
本態様において、添加剤AのLUMOのエネルギー準位は、発光材料のLUMOのエネルギー準位よりも高くてもよく、発光材料のLUMOのエネルギー準位と同じであってもよく、発光材料のLUMOのエネルギー準位よりも低くてもよい。
(2)正孔注入輸送層
本態様における有機EL層は、発光層と陽極との間に正孔注入輸送層を有していてもよい。正孔注入輸送層は、正孔注入機能を有する正孔注入層であってもよく、正孔輸送機能を有する正孔輸送層であってもよく、正孔注入機能および正孔輸送機能の両機能を有するものであってもよい。また、正孔注入輸送層は、正孔注入層および正孔輸送層が積層されたものであってもよい。
正孔注入輸送層に用いられる正孔注入輸送性材料、正孔注入輸送層の膜厚、および正孔注入輸送層の形成方法については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したものと同様とすることができる。
(3)電子注入輸送層
本態様における有機EL層は、発光層と陰極との間に電子注入輸送層を有していてもよい。電子注入輸送層は、電子注入機能を有する電子注入層であってもよく、電子輸送機能を有する電子輸送層であってもよく、電子注入機能および電子輸送機能の両機能を有するものであってもよい。また、電子注入輸送層は、電子注入層および電子輸送層が積層されたものであってもよい。
電子注入輸送層に用いられる電子注入輸送性材料、電子注入輸送層の膜厚、および電子注入輸送層の形成方法については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したものと同様とすることができる。
2.第1電極層および第2電極層
第1電極層および第2電極層については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したものと同様とすることができる。
3.基材
本態様の有機EL素子は、上記第1電極層の有機EL層側の面とは反対の面側に、基材を有していてもよい。基材は、上記の第1電極層、有機EL層、第2電極層を支持する部材である。
基材については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したものと同様とすることができる。
4.その他の部材
本態様の有機EL素子は、上述した各部材を有していればよく、必要に応じて、その他の部材を有していてもよい。その他の部材については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したものと同様とすることができる。
III.有機EL素子の第3態様
本開示の有機EL素子の第3態様は、第1電極層と、正孔注入輸送層および発光層を含む有機EL層と、第2電極層と、をこの順に有し、上記正孔注入輸送層が、正孔注入輸送性材料と、添加剤Aとを含有し、真空準位を基準として、上記添加剤AのHOMOのエネルギー準位が上記正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位よりも高い。
図1は、本態様の有機EL素子の一例を示す概略断面図である。なお、図1に示す有機EL素子については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
正孔注入輸送層11は、正孔注入輸送性材料と、添加剤Aと、を含有しており、例えば図3に示すように、添加剤AのHOMOのエネルギー準位が、正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位よりも高くなっている。
本態様によれば、正孔注入輸送層が添加剤Aを含有することにより、均一な膜厚を有する正孔注入輸送層とすることができる。そのため、高速塗布により発光層を形成する場合であっても、膜厚分布の良好な正孔注入輸送層を得ることができる。したがって、膜厚ムラに起因する輝度ムラの発生を抑制し、均一な発光を得ることが可能である。
上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したように、有機EL素子においては、有機EL層には有機EL層内に残留する不純物を積極的に添加しないのが通常である。
具体的には、正孔注入輸送層が正孔注入輸送性材料および不純物を含有する場合において、不純物のHOMOのエネルギー準位が正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位よりも低い場合には、正孔注入輸送層に注入された正孔が正孔注入輸送性材料のHOMOから不純物のHOMOに移動する可能性がある。そうすると、正孔注入輸送層から発光層へ正孔が移動しにくくなるおそれがあり、この場合には、発光性能が大幅に低下してしまう。
これに対し、本態様においては、添加剤AのHOMOのエネルギー準位が、正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位よりも高いため、正孔注入輸送性材料から添加剤Aへエネルギー移動が生じるのを抑制することができる。そのため、発光性能を大幅に低下させることなく、均一な膜厚を有する正孔注入輸送層を得ることができる。したがって、高速塗布により膜厚分布の良好な正孔注入輸送層の形成が可能である。よって、大面積の有機EL素子を高速で製造することができ、生産性を高めることができる。
以下、本態様の有機EL素子における各構成について説明する。
1.有機EL層
本態様における有機EL層は、第1電極層および第2電極層の間に配置され、正孔注入輸送層および発光層を含む部材である。
本態様における有機EL層は、正孔注入輸送層および発光層を含む1層もしくは複数層の有機層を有する部材である。すなわち、本態様における有機EL層とは、少なくとも正孔注入輸送層および発光層を含む部材であり、有機層1層以上の層構成を有する部材である。
正孔注入輸送層および発光層以外に有機EL層を構成する層としては、電子注入層、電子輸送層等が挙げられる。電子輸送層は、電子注入層に電子輸送の機能を付与することにより、電子注入層と一体化される場合がある。さらに、有機EL層を構成する層としては、キャリアブロック層のような正孔もしくは電子の突き抜けを防止し、再結合効率を高めるための層等が挙げられる。
(1)正孔注入輸送層
本態様における正孔注入輸送層は、正孔注入輸送性材料および添加剤Aを含有し、添加剤AのHOMOのエネルギー準位が、正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位よりも高い。
なお、正孔注入輸送性材料および添加剤Aを含有する正孔注入輸送層については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したものと同様とすることができる。
(2)発光層
本態様における発光層に用いられる発光材料および発光層の膜厚については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したものと同様とすることができる。
発光層の形成方法としては、塗布法であってもよく、蒸着法であってもよい。
(3)電子注入輸送層
本態様における有機EL層は、発光層と陰極との間に電子注入輸送層を有していてもよい。電子注入輸送層は、電子注入機能を有する電子注入層であってもよく、電子輸送機能を有する電子輸送層であってもよく、電子注入機能および電子輸送機能の両機能を有するものであってもよい。また、電子注入輸送層は、電子注入層および電子輸送層が積層されたものであってもよい。
電子注入輸送層に用いられる電子注入輸送性材料、電子注入輸送層の膜厚、および電子注入輸送層の形成方法については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したものと同様とすることができる。
2.第1電極層および第2電極層
第1電極層および第2電極層については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したものと同様とすることができる。
3.基材
本態様の有機EL素子は、上記第1電極層の有機EL層側の面とは反対の面側に、基材を有していてもよい。基材は、上記の第1電極層、有機EL層、第2電極層を支持する部材である。
基材については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したものと同様とすることができる。
4.その他の部材
本態様の有機EL素子は、上述した各部材を有していればよく、必要に応じて、その他の部材を有していてもよい。その他の部材については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したものと同様とすることができる。
IV.有機EL素子の第4態様
本開示の有機EL素子の第4態様は、第1電極層と、発光層および電子注入輸送層を含む有機EL層と、第2電極層と、をこの順に有し、上記電子注入輸送層が、電子注入輸送性材料と、添加剤Aとを含有し、真空準位を基準として、上記添加剤AのLUMOのエネルギー準位が上記電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位よりも低い。
図1は、本態様の有機EL素子の一例を示す概略断面図である。なお、図1に示す有機EL素子については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
電子注入輸送層13は、電子注入輸送性材料と、添加剤Aと、を含有しており、例えば図4に示すように、添加剤AのLUMOのエネルギー準位が、電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位よりも低くなっている。
本態様によれば、電子注入輸送層が添加剤Aを含有することにより、均一な膜厚を有する電子注入輸送層とすることができる。そのため、高速塗布により発光層を形成する場合であっても、膜厚分布の良好な電子注入輸送層を得ることができる。したがって、膜厚ムラに起因する輝度ムラの発生を抑制し、均一な発光を得ることが可能である。
上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したように、有機EL素子においては、有機EL層には有機EL層内に残留する不純物を積極的に添加しないのが通常である。
具体的には、電子注入輸送層が電子注入輸送性材料および不純物を含有する場合において、不純物のLUMOのエネルギー準位が電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位よりも高い場合には、電子注入輸送層に注入された電子が電子注入輸送性材料のLUMOから不純物のLUMOに移動する可能性がある。そうすると、電子注入輸送層から発光層へ電子が移動しにくくなるおそれがあり、この場合には、発光性能が大幅に低下してしまう。
これに対し、本態様においては、添加剤AのLUMOのエネルギー準位が、電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位よりも低いため、電子注入輸送性材料から添加剤Aへエネルギー移動が生じるのを抑制することができる。そのため、発光性能を大幅に低下させることなく、均一な膜厚を有する電子注入輸送層を得ることができる。したがって、高速塗布により膜厚分布の良好な電子注入輸送層の形成が可能である。よって、大面積の有機EL素子を高速で製造することができ、生産性を高めることができる。
以下、本態様の有機EL素子における各構成について説明する。
1.有機EL層
本態様における有機EL層は、第1電極層および第2電極層の間に配置され、発光層および電子注入輸送層を含む部材である。
本態様における有機EL層は、発光層および電子注入輸送層を含む1層もしくは複数層の有機層を有する部材である。すなわち、本態様における有機EL層とは、少なくとも発光層および電子注入輸送層を含む部材であり、有機層1層以上の層構成を有する部材である。
発光層および電子注入輸送層以外に有機EL層を構成する層としては、正孔注入層、正孔輸送層等が挙げられる。正孔輸送層は、正孔注入層に正孔輸送の機能を付与することにより、正孔注入層と一体化される場合がある。さらに、有機EL層を構成する層としては、キャリアブロック層のような正孔もしくは電子の突き抜けを防止し、再結合効率を高めるための層等が挙げられる。
(1)電子注入輸送層
本態様における電子注入輸送層は、電子注入輸送性材料および添加剤Aを含有し、添加剤AのLUMOのエネルギー準位が、電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位よりも低い。
なお、電子注入輸送性材料および添加剤Aを含有する電子注入輸送層については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したものと同様とすることができる。
(2)発光層
本態様における発光層に用いられる発光材料および発光層の膜厚については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したものと同様とすることができる。
発光層の形成方法としては、塗布法であってもよく、蒸着法であってもよい。
(3)正孔注入輸送層
本態様における有機EL層は、発光層と陽極との間に正孔注入輸送層を有していてもよい。正孔注入輸送層は、正孔注入機能を有する正孔注入層であってもよく、正孔輸送機能を有する正孔輸送層であってもよく、正孔注入機能および正孔輸送機能の両機能を有するものであってもよい。また、正孔注入輸送層は、正孔注入層および正孔輸送層が積層されたものであってもよい。
正孔注入輸送層に用いられる正孔注入輸送性材料、正孔注入輸送層の膜厚、および正孔注入輸送層の形成方法については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したものと同様とすることができる。
2.第1電極層および第2電極層
第1電極層および第2電極層については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したものと同様とすることができる。
3.基材
本態様の有機EL素子は、上記第1電極層の有機EL層側の面とは反対の面側に、基材を有していてもよい。基材は、上記の第1電極層、有機EL層、第2電極層を支持する部材である。
基材については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したものと同様とすることができる。
4.その他の部材
本態様の有機EL素子は、上述した各部材を有していればよく、必要に応じて、その他の部材を有していてもよい。その他の部材については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したものと同様とすることができる。
B.有機EL層用組成物
本開示の有機EL層用組成物は、4つの態様を有する。以下、各態様に分けて説明する。
I.有機EL層用組成物の第1態様
本開示の有機EL層用組成物の第1態様は、発光層用組成物であり、発光材料と、添加剤Aと、溶媒と、を含有し、真空準位を基準として、上記添加剤AのHOMOのエネルギー準位が上記発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも高く、上記添加剤AのLUMOのエネルギー準位が上記発光材料のLUMOのエネルギー準位よりも低い、発光層用組成物である。
本態様においては、添加剤AのHOMOのエネルギー準位が、発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも高く、添加剤AのLUMOのエネルギー準位が、発光材料のLUMOのエネルギー準位よりも低いため、発光材料から添加剤Aへエネルギー移動が生じるのを抑制することができる。そのため、本態様の発光層用組成物は、発光性能を大幅に低下させることなく、高速塗布が可能であり、均一な膜厚を有する発光層を得ることができる。したがって、大面積の有機EL素子を高速で製造することができ、生産性を高めることができる。
以下、本態様の発光層用組成物について説明する。
1.発光材料
発光材料については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
2.添加剤A
本態様においては、添加剤AのHOMOのエネルギー準位が、発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも高く、添加剤AのLUMOのエネルギー準位が、発光材料のLUMOのエネルギー準位よりも低い。
添加剤AのHOMOおよびLUMOのエネルギー準位については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
なお、「レベリング性を良くする」ことについては、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
また、添加剤Aは、減粘剤であることが好ましい。本態様の発光層用組成物の粘度を低くすることができ、高速塗布に有利だからである。
このような添加剤Aとしては、例えば、低分子化合物であってもよく、高分子化合物であってもよい。具体的には、フッ素系化合物、エステル系化合物、炭化水素系化合物等が挙げられる。
フッ素系化合物としては、例えば、フッ化アルキル、フッ化アルケン、フッ化アルキン、フッ化エステル、フッ化エーテル等が挙げられる。
エステル系化合物としては、特に限定されないが、中でも、脂肪酸エステル系化合物が好ましく、特に、長鎖脂肪酸エステル系化合物が好ましい。具体的には、ラウリン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ペンタデシル酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等が挙げられる。
炭化水素系化合物としては、例えば、炭素数9以上20以下のアルカン、炭素数9以上20以下のアルケン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、パラフィン類、ナフテン類、油脂類、流動パラフィン、ミネラルスピリット等が挙げられる。
発光層用組成物の全固形分中の添加剤Aの含有量は、所望の発光性能およびレベリング性に応じて適宜選択され、例えば0.01質量%以上とすることができ、0.1質量%以上であることが好ましく、また5質量%以下とすることができ、1質量%以下であることが好ましい。添加剤Aの含有量が少なすぎると、レベリング性向上の効果が十分に得られない場合がある。また、添加剤Aの含有量が多すぎると、発光性能が大幅に劣化するおそれがある。
なお、固形分とは溶媒以外の成分をいい、液状の化合物も含まれる。
3.溶媒
溶媒としては、発光材料および添加剤Aを溶解もしくは分散させることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、水、アルコール類、エーテル類、芳香族炭化水素類、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、シクロヘキサノン、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン等挙げることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
4.発光層用組成物
本態様の発光層用組成物の固形分濃度は、高速塗布が可能な程度であることが好ましく、例えば0.1質量%以上とすることができ、また、30質量%以下とすることができる。
本態様の発光層用組成物の粘度は、高速塗布が可能な程度であることが好ましく、塗布法に応じて適宜調整される。
II.有機EL層用組成物の第2態様
本開示の有機EL層用組成物の第2態様は、発光層用組成物であり、発光材料と、添加剤Aと、溶媒と、を含有し、真空準位を基準として、上記添加剤AのHOMOのエネルギー準位が前記発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも高い、発光層用組成物である。
本態様においては、添加剤AのHOMOのエネルギー準位が、発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも高いため、発光材料から添加剤Aへエネルギー移動が生じるのを抑制することができる。なお、添加剤AのLUMOのエネルギー準位が、発光材料のLUMOのエネルギー準位よりも高い場合には、電子が発光材料のLUMOから添加剤AのLUMOに移動し、電子がトラップされる可能性があるが、上述したように発光材料から添加剤Aへのエネルギー移動を抑制し、正孔のトラップを防ぐことができるため、たとえ電子がトラップされたとしても、添加剤AのHOMOおよびLUMOを経由した正孔および電子の再結合は起こりにくく、大きな特性劣化は生じにくいと考えられる。そのため、本態様の発光層用組成物は、発光性能を大幅に低下させることなく、高速塗布が可能であり、均一な膜厚を有する発光層を得ることができる。したがって、大面積の有機EL素子を高速で製造することができ、生産性を高めることができる。
以下、本態様の発光層用組成物について説明する。
1.発光材料
発光材料については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
2.添加剤A
本態様においては、添加剤AのHOMOのエネルギー準位が、発光材料のHOMOのエネルギー準位よりも高い。
添加剤AのHOMOおよびLUMOのエネルギー準位については、上述の有機EL素子の第1態様および第2態様の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
なお、「レベリング性を良くする」ことについては、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
添加剤Aとしては、上述の有機EL層用組成物の第1態様の項に記載したものと同様とすることができる。
3.溶媒
溶媒としては、発光材料および添加剤Aを溶解もしくは分散させることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、上述の有機EL層用組成物の第1態様の項に記載したものと同様とすることができる。
4.発光層用組成物
本態様の発光層用組成物の固形分濃度は、高速塗布が可能な程度であることが好ましく、例えば0.1質量%以上とすることができ、また、30質量%以下とすることができる。
本態様の発光層用組成物の粘度は、高速塗布が可能な程度であることが好ましく、塗布法に応じて適宜調整される。
III.有機EL層用組成物の第3態様
本開示の有機EL層用組成物の第3態様は、正孔注入輸送層用組成物であり、正孔注入輸送性材料と、添加剤Aと、溶媒と、を含有し、真空準位を基準として、上記添加剤AのHOMOのエネルギー準位が上記正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位よりも高い、正孔注入輸送層用組成物である。
本態様においては、添加剤AのHOMOのエネルギー準位が、正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位よりも高いため、正孔注入輸送性材料から添加剤Aへエネルギー移動が生じるのを抑制することができる。そのため、本態様の正孔注入輸送層用組成物は、発光性能を大幅に低下させることなく、高速塗布が可能であり、均一な膜厚を有する正孔注入輸送層を得ることができる。したがって、大面積の有機EL素子を高速で製造することができ、生産性を高めることができる。
以下、本態様の正孔注入輸送層用組成物について説明する。
1.正孔注入輸送性材料
正孔注入輸送性材料については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
2.添加剤A
本態様においては、添加剤AのHOMOのエネルギー準位が、正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位よりも高い。
添加剤AのHOMOおよびLUMOのエネルギー準位については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
なお、「レベリング性を良くする」ことについては、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
添加剤Aとしては、上述の発光層用組成物の項に記載したものと同様とすることができる。
正孔注入輸送層用組成物の全固形分中の添加剤Aの含有量は、所望の発光性能およびレベリング性に応じて適宜選択され、例えば0.1質量%以上とすることができ、0.5質量%以上であることが好ましく、また、10質量%以下とすることができ、1質量%以下であることが好ましい。添加剤Aの含有量が少なすぎると、レベリング性向上の効果が十分に得られない場合がある。また、添加剤Aの含有量が多すぎると、発光性能が大幅に劣化するおそれがある。
3.溶媒
溶媒としては、正孔注入輸送性材料および添加剤Aを溶解もしくは分散させることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、上述の発光層用組成物の項に記載したものと同様とすることができる。
4.正孔注入輸送光層用組成物
本態様の正孔注入輸送層用組成物の固形分濃度は、高速塗布が可能な程度であることが好ましく、例えば0.1質量%以上とすることができ、また、30質量%以下とすることができる。
本態様の正孔注入輸送層用組成物の粘度は、高速塗布が可能な程度であることが好ましく、塗布法に応じて適宜調整される。
IV.有機EL層用組成物の第4態様
本開示の有機EL層用組成物の第4態様は、電子注入輸送層用組成物であり、電子注入輸送性材料と、添加剤Aと、溶媒と、を含有し、真空準位を基準として、上記添加剤AのLUMOのエネルギー準位が上記電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位よりも低い、電子注入輸送層用組成物である。
本態様においては、添加剤AのLUMOのエネルギー準位が、電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位よりも低いため、電子注入輸送性材料から添加剤Aへエネルギー移動が生じるのを抑制することができる。そのため、本態様の電子注入輸送層用組成物は、発光性能を大幅に低下させることなく、高速塗布が可能であり、均一な膜厚を有する電子注入輸送層を得ることができる。したがって、大面積の有機EL素子を高速で製造することができ、生産性を高めることができる。
以下、本態様の電子注入輸送層用組成物について説明する。
1.電子注入輸送性材料
電子注入輸送性材料については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
2.添加剤A
本態様においては、添加剤AのLUMOのエネルギー準位が、電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位よりも低い。
添加剤AのHOMOおよびLUMOのエネルギー準位については、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
なお、「レベリング性を良くする」ことについては、上述の有機EL素子の第1態様の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
添加剤Aとしては、上述の発光層用組成物の項に記載したものと同様とすることができる。
電子注入輸送層用組成物の全固形分中の添加剤Aの含有量は、所望の発光性能およびレベリング性に応じて適宜選択され、例えば0.1質量%以上とすることができ、0.5質量%以上であることが好ましく、また、10質量%以下とすることができ、1質量%以下であることが好ましい。添加剤Aの含有量が少なすぎると、レベリング性向上の効果が十分に得られない場合がある。また、添加剤Aの含有量が多すぎると、発光性能が大幅に劣化するおそれがある。
3.溶媒
溶媒としては、電子注入輸送性材料および添加剤Aを溶解もしくは分散させることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、上述の発光層用組成物の項に記載したものと同様とすることができる。
4.電子注入輸送光層用組成物
本態様の電子注入輸送層用組成物の固形分濃度は、高速塗布が可能な程度であることが好ましく、例えば0.1質量%以上とすることができ、また、30質量%以下とすることができる。
本態様の電子注入輸送層用組成物の粘度は、高速塗布が可能な程度であることが好ましく、塗布法に応じて適宜調整される。
C.有機EL素子の製造方法
本開示の有機EL素子の製造方法は、3つの態様を有する。以下、各態様に分けて説明する。
I.有機EL素子の製造方法の第1態様
本開示の有機EL素子の製造方法の第1態様は、第1電極層と、発光層を含む有機EL層と、第2電極層と、をこの順に有する有機EL素子の製造方法であって、上述の発光層用組成物をロールコート法またはダイコート法で塗布して上記発光層を形成する発光層形成工程を有する。
本態様においては、上述の発光層用組成物を所定の方法で塗布して発光層を形成するため、発光性能を大幅に低下させることなく、高速塗布が可能であり、均一な膜厚を有する発光層を形成することができる。したがって、大面積の有機EL素子を高速で製造することができ、生産性を高めることができる。
以下、本態様の有機EL素子の製造方法における各工程について説明する。
1.発光層形成工程
本態様における発光層形成工程では、上述の発光層用組成物をロールコート法またはダイコート法で塗布して発光層を形成する。
発光層用組成物については、上述の発光層用組成物の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
発光層用組成物の塗布方法としては、ロールコート法またはダイコート法であればよい。ロールコート法としては、例えば、リバースコート、ダイレクトコート、コンマリバースコート、コンマダイレクトコート、グラビアダイレクトコート、キスリバースグラビアコート、オフセットグラビアコート、インバースコート、エアナイフコート、マイヤバーコート等が挙げられる。また、ダイコート法としては、例えば、アプリケータ法、リップダイレクトコート、スロットダイコート、ウェブテンションダイコート、キャピラリーコート、スリットコート等が挙げられる。中でも、塗布速度を速くすることができることから、ダイコート法が好ましい。
発光層用組成物は、基材の第1電極層側の面に、全面に塗布してもよく、パターン状に塗布してもよい。例えば、間欠塗布により、発光層用組成物をパターン状に塗布することができる。
発光層用組成物の塗布速度は、所望の膜厚を有し、かつ、均一な膜厚を有する発光層を形成可能な程度であればよいが、例えば1m/分以上とすることができ、3m/分以上であることが好ましく、5m/分以上であることがより好ましい。また、上記塗布速度は、30m/分以下とすることができる。塗布速度が上記範囲であるような高速塗布であっても、本態様においては、均一な膜厚を有する発光層を形成することが可能である。
発光層用組成物の塗布後は、乾燥して発光層用組成物中の溶媒を除去することができる。乾燥の際には、加熱処理を行ってもよい。加熱温度としては、溶媒に応じて適宜設定される。また、加熱時間は、発光層の大きさや膜厚等に応じて適宜設定される。
2.その他の工程
本態様の有機EL素子の製造方法は、上記発光層形成工程の他に、第1電極層形成工程および第2電極層形成工程を有することができる。また、本態様の有機EL素子の製造方法は、有機EL層の層構成に応じて、正孔注入輸送層形成工程や電子注入輸送層形成工程を有することができる。各層の形成方法については、上述の有機EL素子の第1態様に記載したので、ここでの説明は省略する。
II.有機EL素子の製造方法の第2態様
本開示の有機EL素子の製造方法の第2態様は、第1電極層と、正孔注入輸送層および発光層を含む有機EL層と、第2電極層と、をこの順に有する有機EL素子の製造方法であって、上述の正孔注入輸送層用組成物をロールコート法またはダイコート法で塗布して上記正孔注入輸送層を形成する正孔注入輸送層形成工程を有する。
本態様においては、上述の正孔注入輸送層用組成物を所定の方法で塗布して正孔注入輸送層を形成するため、発光性能を大幅に低下させることなく、高速塗布が可能であり、均一な膜厚を有する正孔注入輸送層を形成することができる。したがって、大面積の有機EL素子を高速で製造することができ、生産性を高めることができる。
以下、本態様の有機EL素子の製造方法における各工程について説明する。
1.正孔注入輸送層形成工程
本態様における正孔注入輸送層形成工程では、上述の正孔注入輸送層用組成物をロールコート法またはダイコート法で塗布して正孔注入輸送層を形成する。
正孔注入輸送層用組成物については、上述の正孔注入輸送層用組成物の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
正孔注入輸送層用組成物の塗布方法としては、上述の発光層用組成物の塗布方法と同様とすることができる。
正孔注入輸送層用組成物の塗布速度は、所望の膜厚を有し、かつ、均一な膜厚を有する正孔注入輸送層を形成可能な程度であればよく、上述の発光層用組成物の塗布速度と同様とすることができる。
正孔注入輸送層用組成物の塗布後は、乾燥して正孔注入輸送層用組成物中の溶媒を除去することができる。乾燥については、上述の有機EL素子の製造方法の第1態様と同様とすることができる。
2.その他の工程
本態様の有機EL素子の製造方法は、上記正孔注入輸送層形成工程の他に、第1電極層形成工程、発光層形成工程、第2電極層形成工程を有することができる。また、本態様の有機EL素子の製造方法は、有機EL層の層構成に応じて、電子注入輸送層形成工程を有することができる。各層の形成方法については、上述の有機EL素子の第1態様に記載したので、ここでの説明は省略する。
III.有機EL素子の製造方法の第3態様
本開示の有機EL素子の製造方法の第3態様は、第1電極層と、発光層および電子注入輸送層を含む有機EL層と、第2電極層と、をこの順に有する有機EL素子の製造方法であって、上述の電子注入輸送層用組成物をロールコート法またはダイコート法で塗布して上記電子注入輸送層を形成する電子注入輸送層形成工程を有する。
本態様においては、上述の電子注入輸送層用組成物を所定の方法で塗布して電子注入輸送層を形成するため、発光性能を大幅に低下させることなく、高速塗布が可能であり、均一な膜厚を有する電子注入輸送層を形成することができる。したがって、大面積の有機EL素子を高速で製造することができ、生産性を高めることができる。
以下、本態様の有機EL素子の製造方法における各工程について説明する。
1.電子注入輸送層形成工程
本態様における電子注入輸送層形成工程では、上述の電子注入輸送層用組成物をロールコート法またはダイコート法で塗布して電子注入輸送層を形成する。
電子注入輸送層用組成物については、上述の電子注入輸送層用組成物の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
電子注入輸送層用組成物の塗布方法としては、上述の発光層用組成物の塗布方法と同様とすることができる。
電子注入輸送層用組成物の塗布速度は、所望の膜厚を有し、かつ、均一な膜厚を有する電子注入輸送層を形成可能な程度であればよく、上述の発光層用組成物の塗布速度と同様とすることができる。
電子注入輸送層用組成物の塗布後は、乾燥して電子注入輸送層用組成物中の溶媒を除去することができる。乾燥については、上述の有機EL素子の製造方法の第1態様と同様とすることができる。
2.その他の工程
本態様の有機EL素子の製造方法は、上記電子注入輸送層形成工程の他に、第1電極層形成工程、発光層形成工程、第2電極層形成工程を有することができる。また、本態様の有機EL素子の製造方法は、有機EL層の層構成に応じて、正孔注入輸送層形成工程を有することができる。各層の形成方法については、上述の有機EL素子の第1態様に記載したので、ここでの説明は省略する。
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本開示をさらに詳細に説明する。特に断りの記載がない限り、作業は窒素雰囲気下のグローブボックス中(酸素濃度1ppm以下、水分濃度1ppm以下)で行った。
[実施例1]
(発光層用組成物の調製)
ポリ[(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-アルト-(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール-4,8-ジイル](F8BT)の固形分濃度1質量%のトルエン溶液に、レベリング性を良くする添加剤として、スチレンポリマー(和光純薬工業社)を0.01質量%添加し、発光層用組成物を得た。
また、F8BTおよびポリスチレンの、HOMOおよびLUMOのエネルギー準位を測定した。HOMOのエネルギー準位の値は、大気中で、光電子分光装置(理研計器株式会社製)を用いて測定した。また、LUMOのエネルギー準位については、石英ガラス上に各材料の単層薄膜を形成し、石英ガラス基板上に形成された単層薄膜の光吸収を日立分光光度計U-4100を用いて測定し、吸収スペクトルの吸収端のエネルギー値からバンドギャップ(Eg)を算出し、HOMOのエネルギー準位の値とバンドギャップとの差からLUMOのエネルギー準位の値を算出した。すなわち、「(LUMOのエネルギー準位の値)=(HOMOのエネルギー準位の値)-(バンドギャップ)」にて算出した。
F8BTのHOMOおよびLUMOのエネルギー準位の絶対値はそれぞれ5.7eV、3.3eVであり、ポリスチレンのHOMOおよびLUMOのエネルギー準位の絶対値はそれぞれ6.8eV、3.1eVであった。
(有機EL素子の作製)
第1電極として透明陽極が形成されたガラス基板の上に、正孔注入層と正孔輸送層と発光層とを含む有機EL層、および、第2電極(陰極)の順番に、下記の手順に従って成膜して積層し、最後に封止して有機EL素子を作製した。
まず、透明陽極としてITO膜が形成されたガラス基板(三容真空社製、ITO膜の厚み:150nm)を用意し、ITO膜をストライプ状にパターニングした。その後、ITO基板を、中性洗剤、超純水の順番に超音波洗浄し、UVオゾン処理を施した。
次に、陽極上に、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)水分散液(ヘレウス社製 CLEVIOUS P AI4083)を大気中でスピンコート法により塗布し、ホットプレートを用いて大気中で200℃、30分間加熱し、正孔注入層を形成した。加熱後の正孔注入層の厚みは40nmであった。
次に、正孔注入層上に、共役系の高分子材料であるポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-co-(4,4’-(N-(4-sec-ブチルフェニル))ジフェニルアミン)](TFB)の固形分濃度0.2質量%のトルエン溶液を大気中でスピンコート法により塗布し、ホットプレートを用いて窒素中で200℃、30分間加熱し、正孔輸送層を形成した。加熱後の正孔輸送層の厚みは20nmであった。
次に、正孔輸送層上に、上記発光層用組成物を大気中でアプリケータ法により速度100mm/sで塗布し、ホットプレートを用いて窒素中で130℃、30分間加熱し、発光層を形成した。加熱後の発光層の厚みは80nmであった。
次に、発光層まで形成した基板を真空チャンバー内に搬送し、電子注入層としてフッ化ナトリウム(NaF)(厚み:0.5nm)、陰極としてAl(厚み:100nm)を順次、真空中(圧力:1×10-4Pa)で、抵抗加熱蒸着法により成膜した。
陰極形成後、グローブボックス内で、無アルカリガラスおよびUV硬化型エポキシ接着剤を用いて封止し、実施例1の有機EL素子を得た。
[実施例2]
(発光層用組成物の調製)
(ポリ[(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-アルト-(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール-4,8-ジイル](F8BT)の固形分濃度1質量%のトルエン溶液に、レベリング性を良くする添加剤として、フッ化アルキルを0.01質量%添加し、発光層用組成物を得た。
なお、F8BTおよびフッ化アルキルの、HOMOおよびLUMOのエネルギー準位を、実施例1と同様に測定したところ、F8BTのHOMOおよびLUMOのエネルギー準位の絶対値はそれぞれ5.7eV、3.3eVであり、フッ化アルキルのHOMOおよびLUMOのエネルギー準位の絶対値はそれぞれ6.2eV、2.9eVであった。
(有機EL素子の作製)
上記の発光層用組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
[実施例3]
(発光層用組成物の調製)
(ポリ[(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-アルト-(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール-4,8-ジイル](F8BT)の固形分濃度1質量%のトルエン溶液に、レベリング性を良くする添加剤として、パルミチン酸エステルを0.01質量%添加し、発光層用組成物を得た。
なお、F8BTおよびパルミチン酸エステルの、HOMOおよびLUMOのエネルギー準位を、実施例1と同様に測定したところ、F8BTのHOMOおよびLUMOのエネルギー準位の絶対値はそれぞれ5.7eV、3.3eVであり、パルミチン酸エステルのHOMOおよびLUMOのエネルギー準位の絶対値はそれぞれ6.1eV、3.1eVであった。
(有機EL素子の作製)
上記の発光層用組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
[実施例4]
(発光層用組成物の調製)
(ポリ[(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-アルト-(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール-4,8-ジイル](F8BT)の固形分濃度1質量%のトルエン溶液に、レベリング性を良くする添加剤として、ミネラルスピリットを0.01質量%添加し、発光層用組成物を得た。
なお、F8BTおよびミネラルスピリットの、HOMOおよびLUMOのエネルギー準位を、実施例1と同様に測定したところ、F8BTのHOMOおよびLUMOのエネルギー準位の絶対値はそれぞれ5.7eV、3.3eVであり、ミネラルスピリットのHOMOおよびLUMOのエネルギー準位の絶対値はそれぞれ6.3eV、3.0eVであった。
(有機EL素子の作製)
上記の発光層用組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
[比較例1]
(発光層用組成物の調製)
(ポリ[(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-アルト-(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール-4,8-ジイル](F8BT)の固形分濃度1質量%のトルエン溶液を調製し、発光層用組成物を得た。
(有機EL素子の作製)
上記の発光層用組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
[評価]
(膜厚分布)
まず、ガラス基板(日本電気硝子社製 OA-10 厚み0.7mm)を用意し、中性洗剤、超純水の順番に超音波洗浄し、UVオゾン処理を施した。次に、ガラス基板上に、発光層用組成物をアプリケータ法により速度100mm/sで塗布し、ホットプレートを用いて窒素中で130℃、30分間加熱し、測定用発光層を形成した。次に、基板の中心の点と、基板の中心からx、y方向にそれぞれ±25mm離れた点との計5点について、一部分の測定用発光層を除去し、菱化システムズ社製の白色干渉計(Vertscan 3.0)を用い、対物レンズを×5倍の条件下で画像を取り込み、測定用発光層と測定用発光層の除去部分との高低差、つまり測定用発光層の膜厚を測定した。そして、5点の膜厚平均に対して膜厚の最大値と最小値の差を計算し、それを膜厚分布とした。
結果を表1に示す。表1では、比較例1の膜厚分布を100として比較した。なお、膜厚分布は低いほど良い。
(電圧および寿命)
有機EL素子について、浜松ホトニクス社製の輝度配光特性測定装置(C9920-11)を用いて、1000cd/mでの駆動時の印加電圧および寿命特性の評価を行った。
有機EL素子の寿命特性は、定電流駆動で輝度が経時的に徐々に低下する様子を観察して評価した。ここでは、初期輝度1000cd/mに対して保持率が50%の輝度に劣化するまでの時間(hr)を寿命(LT50)として評価した。
結果を表1に示す。表1では、比較例1の電圧、輝度半減寿命を100として比較した。なお、電圧は低いほど良く、寿命は大きいほど良い。
また、実施例4および比較例1の有機EL素子の輝度分布の写真を図6(a)、(b)にそれぞれ示す。
(外部量子効率)
外部量子効率は、浜松ホトニクス社製の外部量子効率測定装置(C9920-12)を用いて測定した。
結果を表1に示す。表1では、比較例1の外部量子効率を100として比較した。なお、外部量子効率は高いほど良い。
Figure 0006996263000001
[実施例5]
(発光層用組成物の調製)
(ポリ[(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-アルト-(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール-4,8-ジイル](F8BT)の固形分濃度1質量%のトルエン溶液に、レベリング性を良くする添加剤として、パルミチン酸エステルを0.01質量%添加し、発光層用組成物を得た。
なお、F8BTおよびパルミチン酸エステルの、HOMOおよびLUMOのエネルギー準位は、実施例3と同様である。
(有機EL素子の作製)
正孔注入層および正孔輸送層の形成においてダイコーターを用いて塗布速度10mm/sとし、また発光層の形成において上記の発光層用組成物を用い、ダイコーターを用いて塗布速度100mm/sとしたこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子では、外観上、実施例4の図6(a)と同等レベルの均一な発光が得られた。
[比較例2]
(発光層用組成物の調製)
(ポリ[(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-アルト-(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール-4,8-ジイル](F8BT)の固形分濃度1質量%のトルエン溶液を調製し、発光層用組成物を得た。
(有機EL素子の作製)
正孔注入層および正孔輸送層の形成においてダイコーターを用いて塗布速度10mm/sとし、また発光層の形成において上記の発光層用組成物を用い、ダイコーターを用いて塗布速度100mm/sとしたこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子では、発光層用組成物が一部塗布されていない箇所があり、均一な発光が得られなかった。
[実施例5および比較例2の評価]
上述の方法により膜厚分布を求めたところ、比較例2の膜厚分布を100とすると、実施例5の膜厚分布は95となり、膜厚分布が良くなった。
また、ダイコート法の場合、添加剤が添加されていない場合には、高速塗布すると、均一な膜厚で塗布することが困難であるだけでなく、塗布液が追随できず、ビードが切れてしまう箇所、すなわち塗布液が塗布されない箇所があるという不具合があった。
[実施例6]
(正孔注入層用組成物の調製)
ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)水分散液(ヘレウス社製 CLEVIOUS P AI4083)溶液の33%濃度イソプロピルアルコール(IPA)溶液を調製し、これに、レベリング性を良くする添加剤として、パルミチン酸エステルを0.015質量%添加し、正孔注入層用組成物を得た。
なお、PEDOT:PSSおよびパルミチン酸エステルの、HOMOおよびLUMOのエネルギー準位を、実施例1と同様に測定したところ、PEDOT:PSSのHOMOおよびLUMOのエネルギー準位の絶対値はそれぞれ5.2eV、2.8eVであり、パルミチン酸エステルのHOMOおよびLUMOのエネルギー準位の絶対値はそれぞれ6.1eV、3.1eVであった。
(発光層用組成物の調製)
(ポリ[(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-アルト-(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール-4,8-ジイル](F8BT)の固形分濃度1質量%のトルエン溶液を調製し、発光層用組成物を得た。
(有機EL素子の作製)
正孔注入層の形成において、上記の正孔注入層用組成物をアプリケータ法により速度100mm/sで塗布し、また発光層の形成において、上記の発光層用組成物をスピンコート法により塗布したこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
[比較例3]
(正孔注入層用組成物の調製)
ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)水分散液(ヘレウス社製 CLEVIOUS P AI4083)溶液の33%濃度イソプロピルアルコール(IPA)溶液を調製し、正孔注入層用組成物を得た。
(有機EL素子の作製)
正孔注入層の形成において上記の正孔注入層用組成物を用いたこと以外は、実施例6と同様にして有機EL素子を作製した。
[実施例6および比較例3の評価]
(膜厚分布)
まず、ガラス基板(日本電気硝子社製 OA-10 厚み0.7mm)を用意し、中性洗剤、超純水の順番に超音波洗浄し、UVオゾン処理を施した。次に、ガラス基板上に、正孔注入層用組成物をアプリケータ法により速度100mm/sで塗布し、ホットプレートを用いて大気中で200℃、30分間加熱し、測定用正孔注入層を形成した。次に、基板の中心の点と、基板の中心からx、y方向にそれぞれ±25mm離れた点との計5点について、一部分の測定用正孔注入層を除去し、菱化システムズ社製の白色干渉計(Vertscan 3.0)を用い、対物レンズを×5倍の条件下で画像を取り込み、測定用正孔注入層と測定用正孔注入層の除去部分との高低差、つまり測定用正孔注入層の膜厚を測定した。そして、5点の膜厚平均に対して膜厚の最大値と最小値の差を計算し、それを膜厚分布とした。
(外部量子効率)
外部量子効率は、浜松ホトニクス社製の外部量子効率測定装置(C9920-12)を用いて測定した。
比較例3の膜厚分布を100とすると、実施例6の膜厚分布は53となり、膜厚分布が良くなった。
また、比較例3の外部量子効率を100とすると、実施例6の外部量子効率は75となった。
[実施例7]
(正孔輸送層用組成物の調製)
共役系の高分子材料であるポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-co-(4,4’-(N-(4-sec-ブチルフェニル))ジフェニルアミン)](TFB)の固形分濃度0.2質量%のトルエン溶液を調製し、これに、レベリング性を良くする添加剤として、パルミチン酸エステルを0.002質量%添加し、正孔輸送層用組成物を得た。
なお、TFBおよびパルミチン酸エステルの、HOMOおよびLUMOのエネルギー準位を、実施例1と同様に測定したところ、TFBのHOMOおよびLUMOのエネルギー準位の絶対値はそれぞれ5.5eV、2.7eVであり、パルミチン酸エステルのHOMOおよびLUMOのエネルギー準位の絶対値はそれぞれ6.1eV、3.1eVであった。
(発光層用組成物の調製)
(ポリ[(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-アルト-(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール-4,8-ジイル](F8BT)の固形分濃度1質量%のトルエン溶液を調製し、発光層用組成物を得た。
(有機EL素子の作製)
正孔輸送層の形成において、上記の正孔輸送層用組成物をアプリケータ法により速度100mm/sで塗布し、また発光層の形成において、上記の発光層用組成物をスピンコート法により塗布したこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
[比較例4]
(正孔輸送層用組成物の調製)
共役系の高分子材料であるポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-co-(4,4’-(N-(4-sec-ブチルフェニル))ジフェニルアミン)](TFB)の固形分濃度0.2質量%のトルエン溶液を調製し、正孔輸送層用組成物を得た。
(有機EL素子の作製)
正孔輸送層の形成において上記の正孔輸送層用組成物を用いたこと以外は、実施例7と同様にして有機EL素子を作製した。
[実施例7および比較例4の評価]
(膜厚分布)
まず、ガラス基板(日本電気硝子社製 OA-10 厚み0.7mm)を用意し、中性洗剤、超純水の順番に超音波洗浄し、UVオゾン処理を施した。次に、ガラス基板上に、正孔輸送層用組成物をアプリケータ法により速度100mm/sで塗布し、ホットプレートを用いて窒素中で200℃、30分間加熱し、測定用正孔輸送層を形成した。次に、基板の中心の点と、基板の中心からx、y方向にそれぞれ±25mm離れた点との計5点について、一部分の測定用正孔輸送層を除去し、菱化システムズ社製の白色干渉計(Vertscan 3.0)を用い、対物レンズを×5倍の条件下で画像を取り込み、測定用正孔輸送層と測定用正孔輸送層の除去部分との高低差、つまり測定用正孔輸送層の膜厚を測定した。そして、5点の膜厚平均に対して膜厚の最大値と最小値の差を計算し、それを膜厚分布とした。
(外部量子効率)
外部量子効率は、浜松ホトニクス社製の外部量子効率測定装置(C9920-12)を用いて測定した。
比較例4の膜厚分布を100とすると、実施例7の膜厚分布は88となり、膜厚分布が良くなった。
また、比較例4の外部量子効率を100とすると、実施例7の外部量子効率は76となった。
[実施例8]
(電子注入輸送層用組成物の調製)
Tris(2,4,6-trimethyl-3-(pyridin-3-yl)phenyl)borane(3TPYB)の固形分濃度0.5質量%の1-ブタノール溶液を調製し、これに、レベリング性を良くする添加剤として、パルミチン酸エステルを0.005質量%添加し、電子注入輸送層用組成物を得た。
なお、3TPYBおよびパルミチン酸エステルの、HOMOおよびLUMOのエネルギー準位を、実施例1と同様に測定したところ、3TPYBのHOMOおよびLUMOのエネルギー準位の絶対値はそれぞれ6.8eV、3.3eVであり、パルミチン酸エステルのHOMOおよびLUMOのエネルギー準位の絶対値はそれぞれ6.1eV、3.1eVであった。
(正孔注入層組成物の調製)
ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)水分散液(ヘレウス社製 CLEVIOUS P AI4083)溶液の33%濃度イソプロピルアルコール(IPA)溶液を調製し、正孔注入層用組成物を得た。
(発光層用組成物の調製)
(ポリ[(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-アルト-(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール-4,8-ジイル](F8BT)の固形分濃度1質量%のトルエン溶液を調製し、発光層用組成物を得た。
(有機EL素子の作製)
まず、実施例1と同様にして、陽極上に、上記正孔注入層用組成物を大気中でスピンコート法により塗布し、正孔注入層を形成した。
次に、実施例1と同様にして、正孔注入層上に正孔輸送層を形成した。
次に、正孔輸送層上に、上記発光層用組成物をスピンコート法により塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、発光層を形成した。
次に、発光層上に、上記電子注入輸送層用組成物をアプリケータ法により速度100mm/sで窒素雰囲気下で塗布し、窒素雰囲気下で100℃、30分間乾燥し、電子注入輸送層を形成した。
その後、実施例1と同様にして、電子注入層および陰極を形成し、封止を行い、有機EL素子を得た。
[比較例5]
(電子注入輸送層組成物の調製)
Tris(2,4,6-trimethyl-3-(pyridin-3-yl)phenyl)borane(3TPYB)の固形分濃度0.5質量%の1-ブタノール溶液を調製し、電子注入輸送層用組成物を得た。
(有機EL素子の作製)
電子注入輸送層の形成において上記の電子注入輸送層組成物を用いたこと以外は、実施例8と同様にして有機EL素子を作製した。
[実施例8および比較例5の評価]
(膜厚分布)
まず、ガラス基板(日本電気硝子社製 OA-10 厚み0.7mm)を用意し、中性洗剤、超純水の順番に超音波洗浄し、UVオゾン処理を施した。次に、ガラス基板上に、電子注入輸送層用組成物をアプリケータ法により速度100mm/sで塗布し、ホットプレートを用いて窒素中で100℃、30分間加熱し、測定用電子注入輸送層を形成した。次に、基板の中心の点と、基板の中心からx、y方向にそれぞれ±25mm離れた点との計5点について、一部分の測定用電子注入輸送層を除去し、菱化システムズ社製の白色干渉計(Vertscan 3.0)を用い、対物レンズを×5倍の条件下で画像を取り込み、測定用電子注入輸送層と測定用電子注入輸送層の除去部分との高低差、つまり測定用電子注入輸送層の膜厚を測定した。そして、5点の膜厚平均に対して膜厚の最大値と最小値の差を計算し、それを膜厚分布とした。
(外部量子効率)
外部量子効率は、浜松ホトニクス社製の外部量子効率測定装置(C9920-12)を用いて測定した。
比較例5の膜厚分布を100とすると、実施例8の膜厚分布は79となり、膜厚分布が良くなった。
また、比較例5の外部量子効率を100とすると、実施例8の外部量子効率は71となった。
1 … 有機EL素子
2 … 基材
3 … 第1電極層
4 … 有機EL層
5 … 第2電極層
11 … 正孔注入輸送層
12 … 発光層
13 … 電子注入輸送層

Claims (13)

  1. 第1電極層と、発光層を含む有機エレクトロルミネッセンス層と、第2電極層と、をこの順に有し、
    前記発光層が、発光材料と、レベリング性を良くする添加剤とを含有し、
    真空準位を基準として、前記レベリング性を良くする添加剤のHOMOのエネルギー準位の絶対値が、前記発光材料のHOMOのエネルギー準位の絶対値よりも大きく、前記レベリング性を良くする添加剤のLUMOのエネルギー準位の絶対値が、前記発光材料のLUMOのエネルギー準位の絶対値よりも小さく、
    前記レベリング性を良くする添加剤が、フッ素系化合物、またはエステル系化合物である、有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 第1電極層と、発光層を含む有機エレクトロルミネッセンス層と、第2電極層と、をこの順に有し、
    前記発光層が、発光材料と、レベリング性を良くする添加剤とを含有し、
    真空準位を基準として、前記レベリング性を良くする添加剤のHOMOのエネルギー準位の絶対値が、前記発光材料のHOMOのエネルギー準位の絶対値よりも大きく
    前記レベリング性を良くする添加剤が、フッ素系化合物、またはエステル系化合物である、有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記有機エレクトロルミネッセンス層が正孔注入輸送層をさらに含み、
    前記正孔注入輸送層が、正孔注入輸送性材料と、レベリング性を良くする添加剤とを含有し、
    真空準位を基準として、前記正孔注入輸送層に含有される前記レベリング性を良くする添加剤のHOMOのエネルギー準位の絶対値が、前記正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位の絶対値よりも大きい、請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記有機エレクトロルミネッセンス層が電子注入輸送層をさらに含み、
    前記電子注入輸送層が、電子注入輸送性材料と、レベリング性を良くする添加剤とを含有し、
    真空準位を基準として、前記電子注入輸送層に含有される前記レベリング性を良くする添加剤のLUMOのエネルギー準位の絶対値が、前記電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位の絶対値よりも小さい、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 第1電極層と、正孔注入輸送層および発光層を含む有機エレクトロルミネッセンス層と、第2電極層と、をこの順に有し、
    前記正孔注入輸送層が、正孔注入輸送性材料と、レベリング性を良くする添加剤とを含有し、
    真空準位を基準として、前記レベリング性を良くする添加剤のHOMOのエネルギー準位の絶対値が、前記正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位の絶対値よりも大きく、
    前記レベリング性を良くする添加剤が、フッ素系化合物、またはエステル系化合物である、有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 第1電極層と、発光層および電子注入輸送層を含む有機エレクトロルミネッセンス層と、第2電極層と、をこの順に有し、
    前記電子注入輸送層が、電子注入輸送性材料と、レベリング性を良くする添加剤とを含有し、
    真空準位を基準として、前記レベリング性を良くする添加剤のLUMOのエネルギー準位の絶対値が、前記電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位の絶対値よりも小さく、
    前記レベリング性を良くする添加剤が、フッ素系化合物、またはエステル系化合物である、有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 発光材料と、レベリング性を良くする添加剤と、溶媒と、を含有し、
    真空準位を基準として、前記レベリング性を良くする添加剤のHOMOのエネルギー準位の絶対値が、前記発光材料のHOMOのエネルギー準位の絶対値よりも大きく、
    前記レベリング性を良くする添加剤のLUMOのエネルギー準位の絶対値が、前記発光材料のLUMOのエネルギー準位の絶対値よりも小さく、
    前記レベリング性を良くする添加剤が、フッ素系化合物、またはエステル系化合物である、発光層用組成物。
  8. 発光材料と、レベリング性を良くする添加剤と、溶媒と、を含有し、
    真空準位を基準として、前記レベリング性を良くする添加剤のHOMOのエネルギー準位が前記発光材料のHOMOのエネルギー準位の絶対値よりも大きく、
    前記レベリング性を良くする添加剤が、フッ素系化合物、またはエステル系化合物である、発光層用組成物。
  9. 正孔注入輸送性材料と、レベリング性を良くする添加剤と、溶媒と、を含有し、
    真空準位を基準として、前記レベリング性を良くする添加剤のHOMOのエネルギー準位の絶対値が、前記正孔注入輸送性材料のHOMOのエネルギー準位の絶対値よりも大きく、
    前記レベリング性を良くする添加剤が、フッ素系化合物、またはエステル系化合物である、正孔注入輸送層用組成物。
  10. 電子注入輸送性材料と、レベリング性を良くする添加剤と、溶媒と、を含有し、
    真空準位を基準として、前記レベリング性を良くする添加剤のLUMOのエネルギー準位の絶対値が、前記電子注入輸送性材料のLUMOのエネルギー準位の絶対値よりも小さく、
    前記レベリング性を良くする添加剤が、フッ素系化合物、またはエステル系化合物である、電子注入輸送層用組成物。
  11. 第1電極層と、発光層を含む有機エレクトロルミネッセンス層と、第2電極層と、をこの順に有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    請求項7または請求項8に記載の発光層用組成物をロールコート法またはダイコート法で塗布して前記発光層を形成する発光層形成工程を有する、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  12. 第1電極層と、正孔注入輸送層および発光層を含む有機エレクトロルミネッセンス層と、第2電極層と、をこの順に有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    請求項9に記載の正孔注入輸送層用組成物をロールコート法またはダイコート法で塗布して前記正孔注入輸送層を形成する正孔注入輸送層形成工程を有する、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  13. 第1電極層と、発光層および電子注入輸送層を含む有機エレクトロルミネッセンス層と、第2電極層と、をこの順に有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    請求項10に記載の電子注入輸送層用組成物をロールコート法またはダイコート法で塗布して前記電子注入輸送層を形成する電子注入輸送層形成工程を有する、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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