JP6996256B2 - 車体前部の構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車体前部の構造に関する。
従来、車両の車体前部には、車体のデザイン性を高め、あるいは、熱交換機器の破損を防ぐなどの理由から、フロントグリルが取付けられている(例えば、特許文献1参照)。また、このようなフロントグリルを有する構造の車体前部には、フロントフードの見切り下側部分に配置される上側フロントパネルや、フロントグリルの下側部分に配置される下側フロントパネル等の部品が取付けられている。
特開2014-69685号公報
しかしながら、上述した従来の車体前部の構造においては、フロントグリル、上側フロントパネル、下側フロントパネル等の部品がそれぞれ別々に車体前部に取付けられているので、組立工程の最終段階での車体精度を維持することが難しいという問題を有していた。
また、従来の車体前部の構造では、上側フロントパネルや下側フロントパネルが樹脂製の部品で設定されている一方、フロントフードやフロントフェンダーが板金製の部品で設定されているので、樹脂製部品と板金製部品とで色を塗る工程が異なり、色が合わないという問題を有していた。
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、特にグリルコンポーネントの下側角部の剛性を確保し、組立工程の最終段階でのグリルコンポーネントの取付けであっても車体精度を維持でき、フロントグリル周辺部とフロントフード、フロントバンパー及びフロントフェンダーとの見切り段差等の精度を確保することで、良好な外観品質を維持し、生産性の向上及びコストダウンを図ることが可能な車体前部の構造を提供することにある。
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明は、車体幅方向の中間部に配置され、車体上側で車体幅方向に沿って延びるフレームと、該フレームの車体前方側に配置されるグリルコンポーネントとを有している車体前部の構造において、前記グリルコンポーネントは、車体上側に配置され、車体幅方向に延びる上側フロントパネルと、車体下側に配置され、車体幅方向に延びる下側フロントパネルと、前記上側フロントパネル及び前記下側フロントパネルの左右両側に配置され、車体上下方向に延びるフロントメンバとを枠状に組み立てることによって構成され、前記上側フロントパネルと前記フロントメンバとは取付けられているとともに、前記下側フロントパネルと前記フロントメンバとは取付けられ、前記下側フロントパネルの取付部と前記フロントメンバの取付部には、互いに平行で位置調整可能な平面部が設けられている。
上述の如く、本発明に係る車体前部の構造は、車体幅方向の中間部に配置され、車体上側で車体幅方向に沿って延びるフレームと、該フレームの車体前方側に配置されるグリルコンポーネントとを有しており、前記グリルコンポーネントは、車体上側に配置され、車体幅方向に延びる上側フロントパネルと、車体下側に配置され、車体幅方向に延びる下側フロントパネルと、前記上側フロントパネル及び前記下側フロントパネルの左右両側に配置され、車体上下方向に延びるフロントメンバとを枠状に組み立てることによって構成され、前記上側フロントパネルと前記フロントメンバとは取付けられているとともに、前記下側フロントパネルと前記フロントメンバとは取付けられ、前記下側フロントパネルの取付部と前記フロントメンバの取付部には、互いに平行で位置調整可能な平面部が設けられている。
したがって、本発明の車体前部の構造においては、グリルコンポーネントの剛性、特にグリルコンポーネントの下側角部の剛性が確保されることになるので、組立工程の最終段階でグリルコンポーネントを取付けても車体精度を維持することができる。これに伴って、フロントグリル周辺部とフロントフード、フロントバンパー及びフロントフェンダーとの見切り段差等の精度が容易に確保されることになるので、商品性能を高める見栄えが良い外観品質を維持できるとともに、生産工程が簡単となり、生産性の向上及びコストダウンを図ることができる。
また、本発明の車体前部の構造においては、平面部を用い、フロントメンバを下側フロントパネルに対して車体幅方向及び車体前後方向へ平面移動させることが可能になるので、フロントメンバの形状の製造誤差を予め把握した上で、組付治具を調整しながらフロントメンバを下側フロントパネルの定められた位置に取付け、フロントメンバの位置精度も確保することができる。
さらに、上側フロントパネル及び下側フロントパネルが板金製の部品で設定されていると、フロントフェンダー、フロントフード、上側フロントパネル及び下側フロントパネルを組み立てた状態で塗装工程を通過させることができ、これら部品の色を合わせて外観品質を更に向上させることができる。
また、本発明の車体前部の構造においては、グリルコンポーネントが枠状に予め形成され、グリルコンポーネントとしての形状精度及び枠剛性が確保されているので、車体前部に取付けられる取付部品(例えば、ヘッドランプ等)の取付精度及び取付剛性を確保でき、運転時の振動等による車体前部の変形を低減させ、ヘッドランプその他の機器を確実に懸架することができる。しかも、本発明の車体前部の構造では、グリルコンポーネントの下部にフロントバンパーも取付けられるので、当該フロントバンパーの重量を支え、見切り段差の精度維持をより一層図ることができる。それに加えて、本発明の車体前部の構造においては、グリルコンポーネントのみを車体前部から取外せるので、メンテナンス性能を高めることができる。
本発明の実施形態に係る構造が適用される車体前部を車体前方側の斜め上方から見た斜視図である。 本発明の実施形態に係る構造に適用されるグリルコンポーネントを車体前方から見た正面図である。 (a)は本発明の実施形態に係る構造に適用されるグリルコンポーネントを分解した状態で示す斜視図、(b)は(a)のグリルコンポーネントを組み立てた状態で示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る構造に適用されるグリルコンポーネントを車体前部に取付ける前の状態で車体前方側の斜め上方から見た斜視図である。 本発明の実施形態に係る構造が適用される車体前部において、フロントフェンダーとグリルコンポーネントの下側フロントパネルとの間に挟み込む差込部材を車体前方から見た正面図である。
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1~図5は本発明の実施形態に係る車体前部の構造を示すものである。なお、図において、矢印Fr方向は車両前方を示し、矢印O方向は車体外側を示し、矢印U方向は車体上方を示している。また、矢印X方向は車体幅方向を示し、矢印Y方向は車体前後方向を示している。
図1及び図4に示すように、本発明の実施形態に係る構造の車体前部1は、主として、車体幅方向の中間部に配置され、車体上側で車体幅方向に沿って延びるフードロックフレーム2もしくはランプサポートフレーム10のフレームと、該フードロックフレーム2もしくはランプサポートフレーム10の車体前方側に配置されるグリルコンポーネント3と、車体幅方向の左右両側部にそれぞれ配置されるフロントフェンダー4と、エンジンルームあるいはモータールームの上部を覆う前方開閉式のフロントフード5とを有している。このうち、フロントフード5は、左右両側のフロントフェンダー4の間に位置し、前端部側に突出して設けたストライカー(図示せず)をフードロックフレーム2に設けたフードラッチ(図示せず)に係合させることにより、ロックされるようになっている。
なお、車体前方から見て正面に位置する車体前部1は、左右両側に設けられるヘッドランプ6と、最先端の下部に設けられ、車体幅方向に沿って延びるフロントバンパー7を有している。
本実施形態のグリルコンポーネント3は、図1~図4に示すように、車体上側に配置され、車体幅方向に延びる板金製の上側フロントパネル31と、車体下側に配置され、当該上側フロントパネル31に対して所定の間隔を空けながら車体幅方向に延びる板金製の下側フロントパネル32と、上側フロントパネル31及び下側フロントパネル32の左右両側寄りに配置され、車体上下方向に延びる第1フロントメンバ33と、該第1フロントメンバ33に対して車体外側に間隔を空けて配置され、車体上下方向に延びる第2フロントメンバ34とを枠状に組み立てることによって構成されている。なお、第1フロントメンバ33及び第2フロントメンバ34のうち、第2フロントメンバ34が、特許請求の範囲に記載されたフロントメンバである。
すなわち、グリルコンポーネント3は、予め枠状に組み立てられて形成されており、グリルコンポーネント3としての形状精度を確保することが可能な構造となっている。
また、上側フロントパネル31の内壁面には、図3に示すように、車体幅方向に延びる上側フロントリンフォースメント35が上側フロントパネル31に沿って取付けられており、該上側フロントリンフォースメント35を取付けることによって、上側フロントパネル31の剛性が高められるように構成されている。さらに、下側フロントパネル32の車体幅方向の中間部には、左右一対の部品取付ブラケット36が取付けられており、これら部品取付ブラケット36の部品取付部36aは、下側フロントパネル32の下側に位置するように設けられている。
しかも、本実施形態の車体前部1の構造では、図1及び図4に示すように、上側フロントパネル31が、位置基準として、車体骨格11であるフードロックフレーム2(もしくは、ランプサポートフレーム10)に取付けられている。そのため、上側フロントパネル31の車体幅方向の中間部には、フードロックフレーム2(もしくは、ランプサポートフレーム10)に取付けるための左右一対の取付片31aが車体後方側(フードロックフレーム2側)へ向かって突出して設けられている。
これにより、本実施形態のグリルコンポーネント3は、上側フロントパネル31が位置基準として構成されることになり、組立工程の最終段階でグリルコンポーネント3を取付ける場合であっても、車体精度を維持できる枠状構造体に形成されている。また、図2に示すように、ボルト及びナットなどの締結具等を用いて、ヘッドランプ6を少なくとも上下2点のランプ取付部61で第1フロントメンバ33に取付けた場合には、グリルコンポーネント3の位置精度を反映してヘッドランプ6を取付けることが可能となり、かつヘッドランプ6の取付剛性も高めることが可能になる構造が得れることになる。
さらに、本実施形態の上側フロントパネル31には、図2~図4に示すように、第1フロントメンバ33及び第2フロントメンバ34の上部がそれぞれ取付けられており、上側フロントパネル31の取付部と第1フロントメンバ33の取付部には、互いに平行で位置調整可能な第1平面部31A,33Aが対応して設けられている。そして、上側フロントパネル31の取付部と第2フロントメンバ34の取付部には、互いに平行で位置調整可能な第2平面部31B,34Aが対応して設けられている。
これら平面部31A,33A,31B,34Aが取付箇所である上側フロントパネル31、第1フロントメンバ33及び第2フロントメンバ34の取付部に設けられていると、第1フロントメンバ33及び第2フロントメンバ34は、上側フロントパネル31に対して車体幅方向平面及び車体前後方向平面の平面移動が許容され、定められた位置に取付けることが可能になる。すなわち、本実施形態の構造は、上側フロントパネル31の位置精度が確保された上に、第1フロントメンバ33及び第2フロントメンバ34の位置精度も確保されるようになっている。ここで、車体幅方向平面とは、車体幅方向に垂直な平面で、車体側方視に正対する平面をいう。また、車体前後方向平面とは、車体前後方向に垂直な平面で、車体前方視に正対する平面をいう。
本実施形態のグリルコンポーネント3は、車体骨格11とは別途に製造する工程を有している。そのため、第1フロントメンバ33及び第2フロントメンバ34の形状の製造誤差を予め把握した上で、上側フロントパネル31を基準として組付治具を調整し、位置精度を確保した状態で第1フロントメンバ33及び第2フロントメンバ34を上側フロントパネル31に組み付けることになる。このとき、組付治具の調整は、平面部31A,33A,31B,34Aの平面移動の自由度によって行うことが可能であるため、調整作業を高精度で迅速かつ確実に行うことができる。
なお、本実施形態の構造では、第1フロントメンバ33の上部に第1取付ブラケット37Aが設けられており、該第1取付ブラケット37Aは、上側フロントパネル31の平面部31Aと共有して接合される平面部を有している。しかも、第1フロントメンバ33は、上側メンバ33a及び下側メンバ33bに分かれて構成されている。上側メンバ33aには第1取付ブラケット37Aが接合され、下側メンバ33bには第3取付ブラケット37Bが設けられており、該第3取付ブラケット37Bは、下側フロントパネル32の平面部と共有して接合される平面部を有している。
また、本実施形態の下側フロントパネル32には、図2~図4に示すように、第1フロントメンバ33及び第2フロントメンバ34の下部がそれぞれ取付けられており、下側フロントパネル32の取付部と第2フロントメンバ34の取付部には、互いに平行で位置調整可能な第3平面部32B,34Bが対応して設けられている。
これら第3平面部32B,34Bが取付箇所である下側フロントパネル32及び第2フロントメンバ34の取付部に設けられていると、第2フロントメンバ34は、下側フロントパネル32に対して車体幅方向平面及び車体前後方向平面の平面移動が許容され、定められた位置に取付けることが可能になる。すなわち、本実施形態の構造は、下側フロントパネル32の位置精度が確保された上に、第2フロントメンバ34の位置精度も確保されるようになっている。なお、車体幅方向平面及び車体前後方向平面の意味は、上記と同様である。
本実施形態の第2フロントメンバ34は、図3~図5に示すように、上側フロントパネル31の車両幅方向の左右両端部分に配置されている。そして、第2フロントメンバ34の上部には、第2取付ブラケット38Aが設けられており、該第2取付ブラケット38Aを介して第2フロントメンバ34の上部が上側フロントパネル31に取付けられている。そのため、第2取付ブラケット38Aは、上側フロントパネル31の平面部31Aと共有して接合される平面部を有している。
このような平面部を有する第2フロントメンバ34によって、車体前部1の角部の剛性が確保されるとともに、グリルコンポーネント3と車体骨格11との組付精度が更に確保されるように構成されている。また、本実施形態の構造では、フロントフェンダー4の前部が第2取付ブラケット38Aに組み付けられるので、車体に対するフロントフェンダー4の組付精度を確保することが可能になる。その結果、間接的にフロントフェンダー4に対するグリルコンポーネント3(特に上側フロントパネル31)との組付精度が確保され、見切り段差の管理が容易になる。
しかも、本実施形態の第2フロントメンバ34は、図3に示すように、第1フロントメンバ33と同様、上側メンバ34a及び下側メンバ34bに分かれて構成されている。上側メンバ34aの上部には、第2取付ブラケット38Aが接合され、下側メンバ34bの下部には、第2フロントメンバ34の取付部として第4取付ブラケット38Bが更に設けられており、該第4取付ブラケット38Bを介して第2フロントメンバ34の下部が下側フロントパネル32に取付けられている。この第4取付ブラケット38Bは、剛性の確保も兼ねており、下側フロントパネル32の平面部32Bと共有して接合される平面部を有している。そして、下側フロントパネル32のフランジ部分(もしくは第4取付ブラケット38B)には、フロントフェンダー4の前部及びフロントバンパー7の上部が組み付けられている。なお、第4取付ブラケット38Bが、特許請求の範囲に記載された取付ブラケットである。
このような第4取付ブラケット38Bを下側メンバ34bに取付けることにより、グリルコンポーネント3の下側角部における剛性及び位置精度の確保が図られるようになっている。また、下側メンバ34bには別途に位置調整可能な平面部を形成することも可能であるため、下側フロントパネル32との接合についても有利となり、下側フロントパネル32、フロントフェンダー4及びフロントバンパー7の位置決めによって、見切り、段差の精度向上が図れ、外観品質が高められるようになっている。
また、本実施形態の第2フロントメンバ34は、図3及び図4に示すように、L字状の上側メンバ34aの下端部とL字状の下側メンバ34bの上端部とを組み付けることによって、中間部分が車体上下方向に延び、上下部分が車体幅方向内側に延びる全体でコ字型形状に形成されている。第2フロントメンバ34をコ字型形状にすることにより、見切り部分を外観意匠の角部からずらすことが可能となり、かつ第4取付ブラケット38Bの大型化が可能となり、取付機能を確保できるからである。一方、第2フロントメンバ34が棒状であると、下端部の先端部分も棒状となり、取付面積が大きく取れないからである。
しかも、下側メンバ34bは、上側メンバ34aよりも剛性が高く設定されている。すなわち、本実施形態の第2フロントメンバ34は、ビード形状の追加や板厚の増加をすることなく、上側メンバ34a<下側メンバ34b<下側メンバ34b+第4取付ブラケット38Bの順に各部の剛性が高くなるので、軽量でかつ必要な角部剛性を確保した構造になっている。
さらに、本実施形態の車体前部1の構造では、図5に示すように、車体斜め下方へ向けて差し込むことにより、フロントフェンダー4と第2フロントメンバ34との間に挟み込む板状の差込部材41が設けられている。この差込部材41は、下側フロントパネル32のフランジ部分など(もしくは、第2フロントメンバ34の下側メンバ34b)に固定されている。そのため、差込部材41は、フロントフェンダー4と第2フロントメンバ34との間に差し込まれる差込部41aと、クリップなどで下側フロントパネル32のフランジ部分などに固定される固定部41bとによって構成されている。このような差込部材41を設けることにより、下側フロントパネル32とフロントフェンダー4との見切りが固定可能となる上、外力が掛かってフロントフェンダー4が変形するときに、当該フロントフェンダー4が下側フロントパネル32に直接接触することも回避可能となるように構成されている。
なお、本実施形態の車体前部1の構造において、フードロックフレーム2の車体下側には、図4に示すように、車体幅方向に延びるロアフレーム8が所定の間隔を空けて配置されている。また、フードロックフレーム2及びロアフレーム8の左右両側には、車体上下方向に延びるフロントサイドブレース9が当該フードロックフレーム2及びロアフレーム8の上下間に掛け渡されており、フードロックフレーム2の左右両側には、車体内側部が車体幅方向に延びるとともに、車体外側部が車体後方へ向かって延びる形状のランプサポートフレーム10が設けられている。
そして、これらフードロックフレーム2、ロアフレーム8、フロントサイドブレース9及びランプサポートフレーム10などを互いに組み付けることによって、枠状の車体骨格11が構成されることになる。しかも、第1フロントメンバ33とフロントサイドブレース9とは、車体前方からの正面視で重なる位置(オーバーラップする位置)に設けられている。したがって、上側フロントパネル31をフードロックフレーム2(もしくは、ランプサポートフレーム10)に取付けるとともに、下側フロントパネル32をロアフレーム8に取付けることによりグリルコンポーネント3を車体骨格11に組み付けると、第1フロントメンバ33の上下取付位置に隣接する付近でグリルコンポーネント3が車体骨格11に取付けられることになるため、グリルコンポーネント3と車体骨格11との枠剛性の効果が一致し、車体剛性の向上が実現できるようになっている。
次に、本実施形態の車体前部1の構造におけるグリルコンポーネント3の組み立て手順と、該組み立てたグリルコンポーネント3の車体骨格11への取付け手順について説明する。
まず、上側フロントリンフォースメント35を上側フロントパネル31の所定位置に取付ける。次いで、第1フロントメンバ33の上部を上側フロントパネル31の左右両側寄りに配置し、上側フロントパネル31の第1平面部31Aに対して第1フロントメンバ33の第1平面部33Aを平面移動させながら位置調整を行い、あるいは第1取付ブラケット37Aを用いて、位置決めした状態で、第1フロントメンバ33の取付部を上側フロントパネル31の取付部に接合して取付ける。また、第2フロントメンバ34の上部を上側フロントパネル31の左右両側に配置し、上側フロントパネル31の第2平面部31Bに対して第2フロントメンバ34の第2平面部34Aを平面移動させながら位置調整を行い、あるいは第2取付ブラケット38Aを用いて、位置決めした状態で、第2フロントメンバ34の取付部を上側フロントパネル31の取付部に接合して取付ける。さらに、第1フロントメンバ33及び第2フロントメンバ34の下部をそれぞれ下側フロントパネル32の所定の位置に配置し、第1フロントメンバ33は第3取付ブラケット37Bを用い、第2フロントメンバ34は下側フロントパネル32の第3平面部32Bに対して第2フロントメンバ34の第3平面部34Bを平面移動させたり、あるいは第4取付ブラケット38Bを用いながら同様の手順で、第1フロントメンバ33及び第2フロントメンバ34の取付部を下側フロントパネル31の取付部に接合して取付ければ、枠状に組み立てられたグリルコンポーネント3が得られる。
しかる後、ボルトなどの締結具を用いて、上側フロントパネル31の取付片31aを車体骨格であるフードロックフレーム2(もしくは、ランプサポートフレーム10)に締付けて固定するとともに、第2フロントメンバ34の上部を上側フロントパネル31の左右両端部分に配置し、第2取付ブラケット38Aを介して第2フロントメンバ34の上部を締付けて固定すれば、位置精度及び車体精度を確保した状態で、グリルコンポーネント3の車体骨格11への取付作業が終了する(図1及び図4参照)。
このように、本発明の実施形態に係る車体前部1の構造は、車体幅方向の中間部に配置され、車体上側で車体幅方向に沿って延びるフレームであるフードロックフレーム2(もしくは、ランプサポートフレーム10)と、該フードロックフレーム2(もしくは、ランプサポートフレーム10)の車体前方側に配置されるグリルコンポーネント3とを有している。このグリルコンポーネント3は、車体上側に配置され、車体幅方向に延びる上側フロントパネル31と、車体下側に配置され、車体幅方向に延びる下側フロントパネル32と、これら上側フロントパネル31及び下側フロントパネル32の左右両側に配置され、車体上下方向に延びる第2フロントメンバ34とを枠状に組み立てることによって構成されている。そして、上側フロントパネル31と第2フロントメンバ34とは取付けられているとともに、下側フロントパネル32と第2フロントメンバ34とは取付けられ、下側フロントパネル32の取付部と第2フロントメンバ34の取付部には、互いに平行で位置調整可能な第3平面部32B,34Bが設けられている。
したがって、本実施形態の車体前部1の構造においては、グリルコンポーネント3全体の剛性、特にグリルコンポーネント3の下側角部の剛性が確保されることになるので、組立工程の最終段階でグリルコンポーネント3を取付ける場合であっても、車体精度を維持することができる。そして、この車体精度の維持によって、フロントグリル周辺部とフロントフード5、フロントバンパー7及びフロントフェンダー4との見切り段差等の精度が容易に確保されることになるので、商品性能を高める見栄えが良い外観品質を維持できるとともに、生産工程が簡単となり、生産性の向上及びコストダウンを図ることができる。
また、本実施形態の車体前部1の構造においては、第3平面部32B,34Bを用い、第2フロントメンバ34を下側フロントパネル32に対して車体幅方向及び車体前後方向へ平面移動させることが可能になるので、第2フロントメンバ34の形状の製造誤差を予め把握した上で、組付治具を調整しながら第2フロントメンバ34を下側フロントパネル32の定められた位置に取付け、第2フロントメンバ34の位置精度も確保することができる。
それに加えて、本実施形態の車体前部1の構造では、上側フロントパネル31及び下側フロントパネル32が板金製の部品で設定されているので、フロントフェンダー4、フロントフード5、上側フロントパネル31及び下側フロントパネル32等を組み立てた状態で同一の塗装工程を通過させることができ、これら部品の色を合わせて外観品質を更に向上させることができる。
さらに、本実施形態の車体前部1の構造では、グリルコンポーネント3が枠状に予め形成され、グリルコンポーネント3としての形状精度及び枠剛性が確保されているので、車体前部1に取付けられる取付部品、例えば、ヘッドランプ6を少なくとも上下2点のランプ取付部61で第1フロントメンバ33に取付けた場合に、グリルコンポーネント3の位置精度を反映してヘッドランプ6を取付けることができ、第1フロントメンバ33及びヘッドランプ6の取付精度及び取付剛性を確保でき、運転時の振動等による車体前部1の変形を低減させ、ヘッドランプ6その他の機器を確実に懸架することができる。そして、本実施形態の車体前部1の構造では、グリルコンポーネント3の下部にフロントバンパー7も取付けられるので、フロントバンパー7の重量を支えることが可能となり、見切り段差の精度維持をより一層図ることができる。しかも、本実施形態の車体前部1の構造では、フロントフェンダー4、フロントフード5、グリルコンポーネント3等を独立して車体前部1に組み付けることが可能となっているので、グリルコンポーネント3のみを車体前部1から取外すことができ、メンテナンス性能を向上させることができる。
また、本実施形態の車体前部1の構造においては、第2フロントメンバ34が上側メンバ34aと下側メンバ34bとから構成され、下側メンバ34bの下部には、第2フロントメンバ34の取付部として、剛性確保を兼ねた第4取付ブラケット38Bが更に設けられており、この第4取付ブラケット38Bを介して第2フロントメンバ34の下部が下側フロントパネル32に取付けられている。そして、下側フロントパネル32(もしくは第4取付ブラケット38B)には、フロントフェンダー4の前部及びフロントバンパー7の上部が組み付けられている。
したがって、本実施形態の車体前部1の構造によれば、グリルコンポーネント3の下側角部における剛性及び位置精度を確保することができる。また、下側メンバ34bには、位置調整可能な平面部を別途に形成することが可能であるため、下側フロントパネル32との接合についても有利となり、下側フロントパネル32、フロントフェンダー4及びフロントバンパー7の位置決めによって、見切り、段差の精度向上を図り、外観品質を高めることができる。
さらに、本実施形態の車体前部1の構造において、第2フロントメンバ34は、L字状の上側メンバ34aとL字状の下側メンバ34bとを組み付けることによって、全体でコ字型形状に形成されている。しかも、下側メンバ34bは、上側メンバ34aよりも剛性が高く設定されている。
したがって、本実施形態の車体前部1の構造では、コ字型形状の第2フロントメンバ34により、見切り部分を外観意匠の角部からずらすことができるとともに、第4取付ブラケット38Bを大型化して下側フロントパネル32との取付面積を大きく取ることができ、取付性能を向上させることができる。また、本実施形態の車体前部1の構造によれば、第2フロントメンバ34の各部のうち、剛性が必要な下側角部を他の部分よりも高くしているので、第2フロントメンバ34を軽量でかつ必要な剛性を確保した構造にすることができる。
また、本実施形態の車体前部1の構造においては、フロントフェンダー4と第2フロントメンバ34との間に挟み込む差込部材41が設けられおり、差込部材41は、下側フロントパネル32(もしくは、第2フロントメンバ34の下側メンバ34b)に固定されているので、下側フロントパネル32とフロントフェンダー4との見切りを固定することができる。しかも、外力が掛かってフロントフェンダー4が変形する場合も、フロントフェンダー4が下側フロントパネル32に直接接触することを回避できる。さらに、差込部材41により、段差の精度が強制的に向上するので、フロントフェンダー4自体に位置決め構造を設定できない場合でも、良好な外観品質を確保できる。なお、運転時の車体揺動や車体振動も、同様にフロントフェンダー4が歪んだり振動したりするので、上記の効果を発揮することができる。
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
例えば、既述の実施の形態における第1フロントメンバ33の上部には、第1取付ブラケット37Aが接合されて設けられ、第2フロントメンバ34の上部には、第2取付ブラケット38Aが接合されて設けられているとともに、第2フロントメンバ34の下部には、第4取付ブラケット38Bが接合されて設けられているが、上側フロントパネル31の取付部の平面部31A,31Bと共有する位置調整可能な平面部33A,34Aを第1フロントメンバ33及び第2フロントメンバ34の上部に一体的に形成し、下側フロントパネル32の取付部の平面部32Bと共有する位置調整可能な平面部34Bを第2フロントメンバ34の下部に一体的に形成することができれば、取付ブラケット38Bが設けられていない第2フロントメンバ34を適用することも可能である。
1 車体前部
2 フードロックフレーム(フレーム)
3 グリルコンポーネント
4 フロントフェンダー
5 フロントフード
6 ヘッドランプ
8 ロアフレーム
9 フロントサイドブレース
10 ランプサポートフレーム(フレーム)
11 車体骨格
31 上側フロントパネル
31A 第1平面部
31B 第2平面部
32 下側フロントパネル
32B 第3平面部
33 第1フロントメンバ
33A 第1平面部
34 第2フロントメンバ(フロントメンバ)
34A 第2平面部
34B 第3平面部
38A 第2取付ブラケット
38B 第4取付ブラケット(取付ブラケット)
41 差込部材

Claims (5)

  1. 車体幅方向の中間部に配置され、車体上側で車体幅方向に沿って延びるフレームと、該フレームの車体前方側に配置されるグリルコンポーネントとを有している車体前部の構造において、
    前記グリルコンポーネントは、車体上側に配置され、車体幅方向に延びる上側フロントパネルと、車体下側に配置され、車体幅方向に延びる下側フロントパネルと、前記上側フロントパネル及び前記下側フロントパネルの左右両側に配置され、車体上下方向に延びるフロントメンバとを枠状に組み立てることによって構成され、
    前記上側フロントパネルと前記フロントメンバとは取付けられているとともに、前記下側フロントパネルと前記フロントメンバとは取付けられ、
    前記下側フロントパネルの取付部と前記フロントメンバの取付部には、互いに平行で位置調整可能な平面部が設けられていることを特徴とする車体前部の構造。
  2. 前記フロントメンバは、上側メンバと下側メンバとから構成され、前記下側メンバの下部には、前記フロントメンバの取付部として取付ブラケットが更に設けられ、該取付ブラケットを介して前記フロントメンバの下部が前記下側フロントパネルに取付けられ、
    前記下側フロントパネルもしくは前記取付ブラケットには、フロントフェンダーの前部及びフロントバンパーの上部が組み付けられていることを特徴とする請求項1に記載の車体前部の構造。
  3. 前記フロントメンバは、L字状の前記上側メンバとL字状の前記下側メンバとを組み付けることによって、全体でコ字型形状に形成され、前記下側メンバは、前記上側メンバよりも剛性が高く設定されていることを特徴とする請求項2に記載の車体前部の構造。
  4. 前記フロントフェンダーと前記フロントメンバとの間に挟み込む差込部材が設けられ、該差込部材は、前記下側フロントパネルもしくは前記下側メンバに固定されていることを特徴とする請求項2または3に記載の車体前部の構造。
  5. 前記上側フロントパネル、前記下側フロントパネル及び前記フロントメンバは、板金製部品であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の車体前部の構造。
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