JP6996256B2 - 車体前部の構造 - Google Patents
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Description
また、従来の車体前部の構造では、上側フロントパネルや下側フロントパネルが樹脂製の部品で設定されている一方、フロントフードやフロントフェンダーが板金製の部品で設定されているので、樹脂製部品と板金製部品とで色を塗る工程が異なり、色が合わないという問題を有していた。
したがって、本発明の車体前部の構造においては、グリルコンポーネントの剛性、特にグリルコンポーネントの下側角部の剛性が確保されることになるので、組立工程の最終段階でグリルコンポーネントを取付けても車体精度を維持することができる。これに伴って、フロントグリル周辺部とフロントフード、フロントバンパー及びフロントフェンダーとの見切り段差等の精度が容易に確保されることになるので、商品性能を高める見栄えが良い外観品質を維持できるとともに、生産工程が簡単となり、生産性の向上及びコストダウンを図ることができる。
また、本発明の車体前部の構造においては、平面部を用い、フロントメンバを下側フロントパネルに対して車体幅方向及び車体前後方向へ平面移動させることが可能になるので、フロントメンバの形状の製造誤差を予め把握した上で、組付治具を調整しながらフロントメンバを下側フロントパネルの定められた位置に取付け、フロントメンバの位置精度も確保することができる。
さらに、上側フロントパネル及び下側フロントパネルが板金製の部品で設定されていると、フロントフェンダー、フロントフード、上側フロントパネル及び下側フロントパネルを組み立てた状態で塗装工程を通過させることができ、これら部品の色を合わせて外観品質を更に向上させることができる。
図1~図5は本発明の実施形態に係る車体前部の構造を示すものである。なお、図において、矢印Fr方向は車両前方を示し、矢印O方向は車体外側を示し、矢印U方向は車体上方を示している。また、矢印X方向は車体幅方向を示し、矢印Y方向は車体前後方向を示している。
なお、車体前方から見て正面に位置する車体前部1は、左右両側に設けられるヘッドランプ6と、最先端の下部に設けられ、車体幅方向に沿って延びるフロントバンパー7を有している。
すなわち、グリルコンポーネント3は、予め枠状に組み立てられて形成されており、グリルコンポーネント3としての形状精度を確保することが可能な構造となっている。
また、上側フロントパネル31の内壁面には、図3に示すように、車体幅方向に延びる上側フロントリンフォースメント35が上側フロントパネル31に沿って取付けられており、該上側フロントリンフォースメント35を取付けることによって、上側フロントパネル31の剛性が高められるように構成されている。さらに、下側フロントパネル32の車体幅方向の中間部には、左右一対の部品取付ブラケット36が取付けられており、これら部品取付ブラケット36の部品取付部36aは、下側フロントパネル32の下側に位置するように設けられている。
これにより、本実施形態のグリルコンポーネント3は、上側フロントパネル31が位置基準として構成されることになり、組立工程の最終段階でグリルコンポーネント3を取付ける場合であっても、車体精度を維持できる枠状構造体に形成されている。また、図2に示すように、ボルト及びナットなどの締結具等を用いて、ヘッドランプ6を少なくとも上下2点のランプ取付部61で第1フロントメンバ33に取付けた場合には、グリルコンポーネント3の位置精度を反映してヘッドランプ6を取付けることが可能となり、かつヘッドランプ6の取付剛性も高めることが可能になる構造が得れることになる。
これら平面部31A,33A,31B,34Aが取付箇所である上側フロントパネル31、第1フロントメンバ33及び第2フロントメンバ34の取付部に設けられていると、第1フロントメンバ33及び第2フロントメンバ34は、上側フロントパネル31に対して車体幅方向平面及び車体前後方向平面の平面移動が許容され、定められた位置に取付けることが可能になる。すなわち、本実施形態の構造は、上側フロントパネル31の位置精度が確保された上に、第1フロントメンバ33及び第2フロントメンバ34の位置精度も確保されるようになっている。ここで、車体幅方向平面とは、車体幅方向に垂直な平面で、車体側方視に正対する平面をいう。また、車体前後方向平面とは、車体前後方向に垂直な平面で、車体前方視に正対する平面をいう。
なお、本実施形態の構造では、第1フロントメンバ33の上部に第1取付ブラケット37Aが設けられており、該第1取付ブラケット37Aは、上側フロントパネル31の平面部31Aと共有して接合される平面部を有している。しかも、第1フロントメンバ33は、上側メンバ33a及び下側メンバ33bに分かれて構成されている。上側メンバ33aには第1取付ブラケット37Aが接合され、下側メンバ33bには第3取付ブラケット37Bが設けられており、該第3取付ブラケット37Bは、下側フロントパネル32の平面部と共有して接合される平面部を有している。
これら第3平面部32B,34Bが取付箇所である下側フロントパネル32及び第2フロントメンバ34の取付部に設けられていると、第2フロントメンバ34は、下側フロントパネル32に対して車体幅方向平面及び車体前後方向平面の平面移動が許容され、定められた位置に取付けることが可能になる。すなわち、本実施形態の構造は、下側フロントパネル32の位置精度が確保された上に、第2フロントメンバ34の位置精度も確保されるようになっている。なお、車体幅方向平面及び車体前後方向平面の意味は、上記と同様である。
このような平面部を有する第2フロントメンバ34によって、車体前部1の角部の剛性が確保されるとともに、グリルコンポーネント3と車体骨格11との組付精度が更に確保されるように構成されている。また、本実施形態の構造では、フロントフェンダー4の前部が第2取付ブラケット38Aに組み付けられるので、車体に対するフロントフェンダー4の組付精度を確保することが可能になる。その結果、間接的にフロントフェンダー4に対するグリルコンポーネント3(特に上側フロントパネル31)との組付精度が確保され、見切り段差の管理が容易になる。
このような第4取付ブラケット38Bを下側メンバ34bに取付けることにより、グリルコンポーネント3の下側角部における剛性及び位置精度の確保が図られるようになっている。また、下側メンバ34bには別途に位置調整可能な平面部を形成することも可能であるため、下側フロントパネル32との接合についても有利となり、下側フロントパネル32、フロントフェンダー4及びフロントバンパー7の位置決めによって、見切り、段差の精度向上が図れ、外観品質が高められるようになっている。
しかも、下側メンバ34bは、上側メンバ34aよりも剛性が高く設定されている。すなわち、本実施形態の第2フロントメンバ34は、ビード形状の追加や板厚の増加をすることなく、上側メンバ34a<下側メンバ34b<下側メンバ34b+第4取付ブラケット38Bの順に各部の剛性が高くなるので、軽量でかつ必要な角部剛性を確保した構造になっている。
そして、これらフードロックフレーム2、ロアフレーム8、フロントサイドブレース9及びランプサポートフレーム10などを互いに組み付けることによって、枠状の車体骨格11が構成されることになる。しかも、第1フロントメンバ33とフロントサイドブレース9とは、車体前方からの正面視で重なる位置(オーバーラップする位置)に設けられている。したがって、上側フロントパネル31をフードロックフレーム2(もしくは、ランプサポートフレーム10)に取付けるとともに、下側フロントパネル32をロアフレーム8に取付けることによりグリルコンポーネント3を車体骨格11に組み付けると、第1フロントメンバ33の上下取付位置に隣接する付近でグリルコンポーネント3が車体骨格11に取付けられることになるため、グリルコンポーネント3と車体骨格11との枠剛性の効果が一致し、車体剛性の向上が実現できるようになっている。
まず、上側フロントリンフォースメント35を上側フロントパネル31の所定位置に取付ける。次いで、第1フロントメンバ33の上部を上側フロントパネル31の左右両側寄りに配置し、上側フロントパネル31の第1平面部31Aに対して第1フロントメンバ33の第1平面部33Aを平面移動させながら位置調整を行い、あるいは第1取付ブラケット37Aを用いて、位置決めした状態で、第1フロントメンバ33の取付部を上側フロントパネル31の取付部に接合して取付ける。また、第2フロントメンバ34の上部を上側フロントパネル31の左右両側に配置し、上側フロントパネル31の第2平面部31Bに対して第2フロントメンバ34の第2平面部34Aを平面移動させながら位置調整を行い、あるいは第2取付ブラケット38Aを用いて、位置決めした状態で、第2フロントメンバ34の取付部を上側フロントパネル31の取付部に接合して取付ける。さらに、第1フロントメンバ33及び第2フロントメンバ34の下部をそれぞれ下側フロントパネル32の所定の位置に配置し、第1フロントメンバ33は第3取付ブラケット37Bを用い、第2フロントメンバ34は下側フロントパネル32の第3平面部32Bに対して第2フロントメンバ34の第3平面部34Bを平面移動させたり、あるいは第4取付ブラケット38Bを用いながら同様の手順で、第1フロントメンバ33及び第2フロントメンバ34の取付部を下側フロントパネル31の取付部に接合して取付ければ、枠状に組み立てられたグリルコンポーネント3が得られる。
しかる後、ボルトなどの締結具を用いて、上側フロントパネル31の取付片31aを車体骨格であるフードロックフレーム2(もしくは、ランプサポートフレーム10)に締付けて固定するとともに、第2フロントメンバ34の上部を上側フロントパネル31の左右両端部分に配置し、第2取付ブラケット38Aを介して第2フロントメンバ34の上部を締付けて固定すれば、位置精度及び車体精度を確保した状態で、グリルコンポーネント3の車体骨格11への取付作業が終了する(図1及び図4参照)。
したがって、本実施形態の車体前部1の構造においては、グリルコンポーネント3全体の剛性、特にグリルコンポーネント3の下側角部の剛性が確保されることになるので、組立工程の最終段階でグリルコンポーネント3を取付ける場合であっても、車体精度を維持することができる。そして、この車体精度の維持によって、フロントグリル周辺部とフロントフード5、フロントバンパー7及びフロントフェンダー4との見切り段差等の精度が容易に確保されることになるので、商品性能を高める見栄えが良い外観品質を維持できるとともに、生産工程が簡単となり、生産性の向上及びコストダウンを図ることができる。
また、本実施形態の車体前部1の構造においては、第3平面部32B,34Bを用い、第2フロントメンバ34を下側フロントパネル32に対して車体幅方向及び車体前後方向へ平面移動させることが可能になるので、第2フロントメンバ34の形状の製造誤差を予め把握した上で、組付治具を調整しながら第2フロントメンバ34を下側フロントパネル32の定められた位置に取付け、第2フロントメンバ34の位置精度も確保することができる。
さらに、本実施形態の車体前部1の構造では、グリルコンポーネント3が枠状に予め形成され、グリルコンポーネント3としての形状精度及び枠剛性が確保されているので、車体前部1に取付けられる取付部品、例えば、ヘッドランプ6を少なくとも上下2点のランプ取付部61で第1フロントメンバ33に取付けた場合に、グリルコンポーネント3の位置精度を反映してヘッドランプ6を取付けることができ、第1フロントメンバ33及びヘッドランプ6の取付精度及び取付剛性を確保でき、運転時の振動等による車体前部1の変形を低減させ、ヘッドランプ6その他の機器を確実に懸架することができる。そして、本実施形態の車体前部1の構造では、グリルコンポーネント3の下部にフロントバンパー7も取付けられるので、フロントバンパー7の重量を支えることが可能となり、見切り段差の精度維持をより一層図ることができる。しかも、本実施形態の車体前部1の構造では、フロントフェンダー4、フロントフード5、グリルコンポーネント3等を独立して車体前部1に組み付けることが可能となっているので、グリルコンポーネント3のみを車体前部1から取外すことができ、メンテナンス性能を向上させることができる。
したがって、本実施形態の車体前部1の構造によれば、グリルコンポーネント3の下側角部における剛性及び位置精度を確保することができる。また、下側メンバ34bには、位置調整可能な平面部を別途に形成することが可能であるため、下側フロントパネル32との接合についても有利となり、下側フロントパネル32、フロントフェンダー4及びフロントバンパー7の位置決めによって、見切り、段差の精度向上を図り、外観品質を高めることができる。
したがって、本実施形態の車体前部1の構造では、コ字型形状の第2フロントメンバ34により、見切り部分を外観意匠の角部からずらすことができるとともに、第4取付ブラケット38Bを大型化して下側フロントパネル32との取付面積を大きく取ることができ、取付性能を向上させることができる。また、本実施形態の車体前部1の構造によれば、第2フロントメンバ34の各部のうち、剛性が必要な下側角部を他の部分よりも高くしているので、第2フロントメンバ34を軽量でかつ必要な剛性を確保した構造にすることができる。
2 フードロックフレーム(フレーム)
3 グリルコンポーネント
4 フロントフェンダー
5 フロントフード
6 ヘッドランプ
8 ロアフレーム
9 フロントサイドブレース
10 ランプサポートフレーム(フレーム)
11 車体骨格
31 上側フロントパネル
31A 第1平面部
31B 第2平面部
32 下側フロントパネル
32B 第3平面部
33 第1フロントメンバ
33A 第1平面部
34 第2フロントメンバ(フロントメンバ)
34A 第2平面部
34B 第3平面部
38A 第2取付ブラケット
38B 第4取付ブラケット(取付ブラケット)
41 差込部材
Claims (5)
- 車体幅方向の中間部に配置され、車体上側で車体幅方向に沿って延びるフレームと、該フレームの車体前方側に配置されるグリルコンポーネントとを有している車体前部の構造において、
前記グリルコンポーネントは、車体上側に配置され、車体幅方向に延びる上側フロントパネルと、車体下側に配置され、車体幅方向に延びる下側フロントパネルと、前記上側フロントパネル及び前記下側フロントパネルの左右両側に配置され、車体上下方向に延びるフロントメンバとを枠状に組み立てることによって構成され、
前記上側フロントパネルと前記フロントメンバとは取付けられているとともに、前記下側フロントパネルと前記フロントメンバとは取付けられ、
前記下側フロントパネルの取付部と前記フロントメンバの取付部には、互いに平行で位置調整可能な平面部が設けられていることを特徴とする車体前部の構造。 - 前記フロントメンバは、上側メンバと下側メンバとから構成され、前記下側メンバの下部には、前記フロントメンバの取付部として取付ブラケットが更に設けられ、該取付ブラケットを介して前記フロントメンバの下部が前記下側フロントパネルに取付けられ、
前記下側フロントパネルもしくは前記取付ブラケットには、フロントフェンダーの前部及びフロントバンパーの上部が組み付けられていることを特徴とする請求項1に記載の車体前部の構造。 - 前記フロントメンバは、L字状の前記上側メンバとL字状の前記下側メンバとを組み付けることによって、全体でコ字型形状に形成され、前記下側メンバは、前記上側メンバよりも剛性が高く設定されていることを特徴とする請求項2に記載の車体前部の構造。
- 前記フロントフェンダーと前記フロントメンバとの間に挟み込む差込部材が設けられ、該差込部材は、前記下側フロントパネルもしくは前記下側メンバに固定されていることを特徴とする請求項2または3に記載の車体前部の構造。
- 前記上側フロントパネル、前記下側フロントパネル及び前記フロントメンバは、板金製部品であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の車体前部の構造。
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