JP6996124B2 - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
この定着ベルトの周回走行をスムーズに行うため、潤滑油などの潤滑剤が定着ベルトの内周面に供給され、固定パッドと定着ベルト内周面との接触部分に生じる摩擦力による摺動抵抗を低減している。
特許文献1には、定着ベルトの幅方向両端部のそれぞれに、定着ベルトの内周面に面接触してベルトの周回を案内するガイド面を有するベルトガイド部材を挿入し、それぞれのベルトガイド部材が潤滑剤をせき止める部材の役割を兼用することで、潤滑剤の漏れを抑制する技術が開示されている。
前記ベルトの外周面側に配置された加圧回転体と、前記ベルトの内周面側に配置され、前記ベルトを介して前記加圧回転体から押圧されることにより定着ニップを形成するニップ形成部材と、前記ベルトの幅方向一方端側と他方端側のそれぞれにおいて前記ベルトの内周面と摺動する状態で圧接する弾性材料からなる一対のベルトガイド部材と、前記ベルトガイド部材の前記ベルトの内周面と接触する接触面と、前記ベルトの内周面のうち前記ベルトガイド部材と接触する被接触領域との少なくとも一方に存在し、前記ベルトの内周面に塗布された潤滑剤の外への漏出を防止する漏出防止部と、を備え、前記一対のベルトガイド部材と前記ニップ形成部材は、前記無端状のベルトで囲まれた空間内に当該ベルトの幅方向と平行な方向に挿入され両端部が装置フレームに固定された支持部材に、前記一対のベルトガイド部材が、前記ニップ形成部材を前記幅方向から挟むような位置関係となる状態で、それぞれ支持されており、前記ベルトガイド部材は、前記ベルトの内周面と前記ベルトの周方向の全周に亘って面接触していることを特徴とする。
ここで、前記付与部は、前記ベルトの幅方向端部側から中央側へ向かうにつれて前記ベルトの周回方向上流側から下流側に向かう方向に斜行した溝または前記潤滑剤を撥く性質を有する筋状のパターンであることとしてもよい。
さらに、前記ベルトガイド部材は、円錐台の形状をしており、前記ベルトの幅方向中央側から端部側へ向かうにつれて径が大きくなることとしてもよい。
また、前記ベルトガイド部材は、前記ベルトの幅方向中央側に前記漏出防止部として前記溝または前記パターンが設けられ、幅方向端部側には、前記溝または前記パターンが設けられていないこととしてもよい。
また、前記ベルトガイド部材は、前記潤滑剤が前記ベルトの幅方向に当該ベルトガイド部材の中を透過するのを遮断する弾性材料で形成されていることとしてもよい。
<実施の形態1>
(1)複写機の構成
図1は、複写機1の全体の構成を示す図である。
スキャナー部2は、原稿画像をCCDイメージセンサー(不図示)などで読み取って画像信号を得る公知のものであり、この画像信号は、画像処理部4に送られる。画像処理部4は、受信した画像信号に必要な処理を加えて画像データを生成し、これをプリントヘッド10のレーザーダイオード(不図示)を駆動させるための駆動信号に変更する。
画像プロセス部20は、感光体ドラム21と、これの周囲に配された帯電チャージャー22、現像器23、転写チャージャー24、分離チャージャー25およびクリーナー26などから構成される。
感光体ドラム21は、プリントヘッド10による露光前にクリーナー26で表面の残像トナーが除去された後、帯電チャージャー22により一様に帯電されており、このように一様に帯電した状態で、画像データで変調されたレーザー光Lにより露光されると、感光体ドラム21の表面に画像データに相応した静電潜像が形成される。
(2)定着部の構成
図2(a)は、図1の定着部40の構成を示した図であり、図2(b)は、図2(a)のA-A線における矢視断面図である。図3は、図2(b)における定着部40のI-I線における矢視断面図である。ここで、X軸方向を左右方向、Y軸方向を上下方向とし、X軸とY軸に直交する方向をZ軸方向とする。Z軸方向は、用紙の搬送方向に直交する幅方向に相当する。なお、定着部40は、図2(b)に示すZ軸方向の中央位置を示す位置H(以下、Z軸方向中央という。)について左右対称であるので、図2(b)では、一方の側のみを示し、他方の側については省略している。
加圧ローラー62は、中軸621とこれの周囲に配された弾性層622からなり、中軸621が装置筐体のフレーム(不図示)に回転可能に支持されており、駆動源(不図示)から駆動力を受けることにより、矢印C方向に回転する。
固定パッド64は、角柱形状をしており、軟質パッド64aとこれよりも用紙搬送方向下流側に位置する硬質パッド64bとから構成されており、図3に示すように支持部材66の下面664に固着されている。軟質パッド64aは、弾性変形可能な弾性材料、例えばゴム等から形成されている。軟質パッド64aの弾性率の方が、加圧ローラー62の弾性層622の弾性率よりも小さく設定されているので、軟質パッド64aは、定着ニップ60形成時におけるベルト61を介した加圧ローラー62の押圧によって、加圧ローラー62の外周面に沿って変形する。硬質パッド64bは、例えば耐熱樹脂や金属等からなり、硬質パッド64bの加圧ローラー62側の端部が先細り状に形成されており、この先細り状の部分がベルト61を介して加圧ローラー62に食い込むように接触し、加圧ローラー62が硬質パッド64bに沿って変形する。
図5(a)は、ベルトガイド部材67の斜視図を示しており、図5(b)は、ベルトガイド部材67をZ軸方向負側から見た図を示しており、図5(c)は、図5(b)のP-P線における矢視断面図であり、それぞれ定着部40に装着される前の部品単体を示している。
ベルトガイド部材67の周面675に存する潤滑剤にZ軸方向中央に向かう力を与える付与部としての溝673のそれぞれは、Z軸方向に対して斜行している。具体的には、ベルト61の幅方向端部側から幅方向中央側へ向かうにつれてベルト61の周回方向(矢印B方向に相当)における上流側から下流側に向かう方向に斜行しており、溝673の上流端の方が下流端よりもベルト61の幅方向端部側に近い位置関係となっている。溝673の上流端が閉塞されているのに対し、溝673の下流端は、面679まで伸びており、面679において開口している。
(3)ベルトガイド部材の作用
上記のような構成において、ベルト61が加圧ローラー62の回転に従動して周回走行すると、潤滑剤塗布部材65からベルト61の内周面61aに塗布された潤滑剤は、ベルト61の内周面61aと固定パッド64との間に入り込み、両者の摺動抵抗の低減に寄与する。ベルト61の内周面61aに塗布された潤滑剤のうち、ベルト61の内周面61aと固定パッド64との間に入り込みきれなかった一部は、ベルト61の内周面61aにおいて潤滑剤塗布部材65と固定パッド64の間の領域に留まりやすくなり、潤滑剤の留まる量が多くなると、ベルト61の幅方向両端側に徐々に広がっていく。ベルトガイド部材67は、周回走行するベルト61の内周面61aと摺動する状態で圧接しており、この圧接の条件の下、周面675に漏出防止部676が存在する構成をとることにより、ベルト61の幅方向両端側に広がっていく潤滑剤がベルト61の幅方向両端部から外に漏れ出すのが防止される。
図6(a)に示すようにベルト61のうち、クリープ変形した変形部910の変形は、ヒータ-63のベルト61への加熱により徐々に解消されていくが、それまでの間維持される。その変形部910がベルト61の矢印B方向の周回走行に伴って移動した場合、ベルトガイド部材67は、自己の弾性により、変形部910の形状に追随して変形することができるので、ベルトガイド部材67とベルト61の変形部910との間の密着性が低下しにくい。これに対し、ベルトガイド部材67に代えて仮に弾性を有しない材料、例えば、ABS等の樹脂から形成された剛体のベルトガイド部材907の構成(比較例)をとることもできる。しかし、この構成をとる場合、定着ニップでのベルトの変形を許容すべく、ベルト幅方向から見た時に、ベルトガイド部材907の側面(図5の面678に相当)のうちニップ位置に相当する部分をカットした、所謂D面カットしたような形状をとらざるを得ず、ベルトガイド部材907自身も弾性変形できない。このため、図6(b)に示すように変形部910において、ベルトガイド部材907とベルト901の内周面61aとの間に隙間911が生じ、潤滑剤が漏出してしまうおそれがある。この隙間911が生じることは、特許文献1のベルトガイドを用いる構成でも同様である。
(4)漏出防止部の変形例
上記では、ベルトガイド部材67の周面675の領域672に漏出防止部676としての複数の溝673…が形成されており、領域671には溝673が形成されていなかったが、これに限られない。領域672に加えて領域671にも溝673が形成され、溝673が面679から面678まで貫通されていてもよいが、溝673の上流端が閉塞し貫通されていない本実施の形態の構成のほうが望ましい。
図7(a)は、内周面61aに漏出防止部676が存在するベルト61の斜視図であり、図7(b)は、図7(a)のベルト61をZ軸方向に沿った破線部分で切り開いた状態を示す図である。図7(b)において、ベルト61の内周面61aのうち、幅方向端部側の領域613は、ベルトガイド部材67の周面675に接する領域を示しており、領域613のうち、領域611は、ベルトガイド部材67の周面675の領域671と接する被接触領域を示し、領域612は、ベルトガイド部材67の周面675の領域672と接する被接触領域を示している。ベルト61の内周面61aの領域612全域に撥油性層612aが設けられていてもよく、領域611と領域612を合わせた領域全域に撥油性層611a、612aが設けられていてもよい。ベルトガイド部材の周面675に設けられた撥油性層およびベルト61の内周面61aに設けられた撥油性層は、ベルトガイド部材67の周面675とベルト61の内周面61aとの間への潤滑剤の侵入を抑制する効果を有する。筋状のパターンおよび撥油性層の厚みは、例えば、15μm~30μmとすることが好ましい。
(5)その他
ベルトガイド部材67は、ベルト61の周回を案内するガイド部材としての役割も担っており、ベルトガイド部材67を形成する弾性材料の硬度が低過ぎると、自己の形状を保つことができず、ベルト61の周回走行の経路が安定しにくい。一方、弾性材料の硬度が高過ぎると、ベルトガイド部材67は、ベルト61がクリープ変形した際にその内周面61aの形状に追随して弾性変形しにくくなる。このため、実験等により、これらの支障のない範囲で弾性材料の硬度が決定される。
<実施の形態2>
実施の形態1では、加圧ローラー62と定着ニップ60を形成するベルト61がヒーター63により加熱される定着ベルトとして用いられたが、本実施の形態2では、ベルト61とは別部材のベルトが定着ベルトとして加圧ローラー62と定着ニップ60を形成し、ヒーター63がベルト61の外周面側に配置された加熱ローラーの内部に挿通される構成になっており、この点で異なっている。
図8(a)は、実施の形態2における定着部400の構成を示した図であり、図8(b)は、図8(a)の定着部400のJ-J線における矢視断面図を示す。なお、図8(b)においても、図2(b)と同様に、Z軸方向について一方の側のみを示し、他方の側については省略している。
定着ベルト201の内周面201a側の空間には、ベルト61と加熱ローラー202とが内挿されており、固定パッド64が定着ニップ60でベルト61と定着ベルト201を挟んで加圧ローラー62に押圧され、定着ベルト201は、加圧ローラー62の矢印C方向の回転に従動して矢印B方向に周回走行する。なお、図8(a)に示すように定着ベルト201の周長は、ベルト61よりも長く、図8(b)に示すように定着ベルト201のベルト幅方向の長さは、固定パッド64よりも長くなるように設定されている。
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態においては、ベルトガイド部材67の面678の径D1は、面679の径D2よりも大きくなっているが、これに代えて、同じ、もしくは、小さい構成としてもよい。このような構成において、ベルトガイド部材67は、その周面675のZ軸方向の少なくとも一箇所で全周においてベルト61の内周面61aと密着していれば、ベルトのクリープ変形に追随して弾性変形することができないABS等の材料から形成されたベルトガイド部材よりも潤滑剤の漏出防止効果がある。
(2)上記実施の形態においては、ベルトガイド部材67は、そのZ軸方向から見た外周の形状が円になっているが、少なくとも定着ニップ60付近でベルト61の内周面61aと接しているような形状、例えば、ベルトガイド部材67のY軸方向における中心位置から上側半分を欠いた形状であってもよい。また、上記実施の形態においては、Y軸方向の上下にベルト61と加圧ローラー62が配置されていたが、定着装置をZ軸について90°回転した状態、すなわちX軸方向の左右に加圧ローラー62とベルト61が配置され、これに伴い固定パッド64がベルト61の内周面61aの左側に位置する構成であってもよい。この90°回転した構成の場合、ベルトガイド部材67は、X軸方向における中心位置から右側半分を欠いた半円形状とすることもできる。これらの半円形状におけるベルトガイド部材67の面678、679の曲率半径は、上記実施の形態におけるベルトガイド部材67の面678、679の曲率半径と同じ大小関係、すなわち、面678の曲率半径の方が面679の曲率半径よりも大きい関係とすることができる。
(3)上記実施の形態においては、潤滑剤塗布部材65は、ベルトの内周面側に配置されているが、これに限られない。潤滑剤塗布部材65が配置されていなくても、液体または紛体などの潤滑剤がベルトの内周面に必要量塗布されていればよい。
(4)上記実施の形態においては、固定パッド64は、軟質パッド64aおよび硬質パッド64bから構成されているが、これに限らない。例えば、軟質パッド64aのみ、または硬質パッド64bのみから構成されていてもよい。固定パッド64が軟質パッド64aのみから構成されているとき、軟質パッド64aの弾性率の方が、加圧ローラー62の弾性層622の弾性率よりも小さく設定されている場合は、軟質パッド64aは、ベルト61を介して加圧ローラー62に沿って変形する。また、軟質パッド64aの弾性率が加圧ローラー62の弾性率と同程度の場合は、軟質パッド64aと加圧ローラー62は、互いの押圧によっていずれも変形する。このように軟質パッド64aと加圧ローラー62の弾性率の大小関係によって、ベルト61にクリープ変形が生じる構成に適用できる。
(5)上記の実施の形態および変形例は可能な限り組み合わせてもよい。
40…定着部
60…定着ニップ
61…ベルト
61a…内周面
62…加圧ローラー
63…ヒーター
64…固定パッド
65…潤滑剤塗布部材
66…支持部材
67…ベルトガイド部材
68、69…抜け止め部材
201…定着ローラー
201a…内周面
202…加熱ローラー
400…定着部
673…溝
675…周面
676…漏出防止部
910…変形部
911…隙間
Claims (11)
- 周回走行する無端状のベルトと、
前記ベルトの外周面側に配置された加圧回転体と、
前記ベルトの内周面側に配置され、前記ベルトを介して前記加圧回転体から押圧されることにより定着ニップを形成するニップ形成部材と、
前記ベルトの幅方向一方端側と他方端側のそれぞれにおいて前記ベルトの内周面と摺動する状態で圧接する弾性材料からなる一対のベルトガイド部材と、
前記ベルトガイド部材の前記ベルトの内周面と接触する接触面と、前記ベルトの内周面のうち前記ベルトガイド部材と接触する被接触領域との少なくとも一方に存在し、前記ベルトの内周面に塗布された潤滑剤の外への漏出を防止する漏出防止部と、
を備え、
前記一対のベルトガイド部材と前記ニップ形成部材は、前記無端状のベルトで囲まれた空間内に当該ベルトの幅方向と平行な方向に挿入され両端部が装置フレームに固定された支持部材に、前記一対のベルトガイド部材が、前記ニップ形成部材を前記幅方向から挟むような位置関係となる状態で、それぞれ支持されており、
前記ベルトガイド部材は、前記ベルトの内周面と前記ベルトの周方向の全周に亘って面接触している
ことを特徴とする定着装置。 - 前記ベルトガイド部材の接触面に設けられる前記漏出防止部は、
前記ベルトの周回走行の際に、前記接触面上に存する潤滑剤に前記ベルトの幅方向中央に向かう力を与える付与部である
ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記付与部は、
前記ベルトの幅方向端部側から中央側へ向かうにつれて前記ベルトの周回方向上流側から下流側に向かう方向に斜行した溝または前記潤滑剤を撥く性質を有する筋状のパターンである
ことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。 - 前記ベルトガイド部材は、前記加圧回転体の軸方向から見たときの外周が円形状である
ことを特徴とする請求項3に記載の定着装置。 - 前記ベルトガイド部材は、円錐台の形状をしており、前記ベルトの幅方向中央側から端部側へ向かうにつれて径が大きくなる
ことを特徴とする請求項4に記載の定着装置。 - 前記ベルトガイド部材は、前記ベルトの幅方向中央側に前記漏出防止部として前記溝または前記パターンが設けられ、幅方向端部側には、前記溝または前記パターンが設けられていない
ことを特徴とする請求項5に記載の定着装置。 - 前記漏出防止部は、前記潤滑剤を撥く性質を有する表面層である
ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記ベルトガイド部材は、前記潤滑剤が前記ベルトの幅方向に当該ベルトガイド部材の中を透過するのを遮断する弾性材料で形成されている
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の定着装置。 - さらに、ヒーターを備え、
前記ベルトは、前記ヒーターによって加熱される定着ベルトであり、
前記定着ベルトと前記加圧回転体との間で前記定着ニップが形成される
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の定着装置。 - 前記ベルトとは別の無端状の定着ベルトと、
前記定着ベルトを加熱するヒーターとを備え、
前記定着ベルトの方が前記ベルトよりも周長が長く、前記定着ベルトの内周面側の空間内に前記ベルトが位置しており、
前記加圧回転体は、前記定着ベルトと前記ベルトを介して前記ニップ形成部材を押圧し、
前記定着ベルトと前記加圧回転体との間で前記定着ニップが形成される
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の定着装置。 - シート上に未定着画像を形成し、形成された未定着画像を定着部により定着する画像形成装置であって、
前記定着部として、請求項1~10のいずれか1項に記載の定着装置を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
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