「第1実施形態」
[内視鏡システムの全体構成]
図1は、本開示の技術に係る内視鏡システム9の全体構成を示す概略図である。図1に示すように、内視鏡システム9は、内視鏡10と、光源装置11と、ナビゲーション装置12と、磁界発生器13と、プロセッサ装置14と、モニタ15と、を備える。内視鏡システム9は、患者などの被検者Hの体内の内視鏡検査に用いられる。被検者Hは、被検体の一例である。この内視鏡10は、例えば、大腸などの消化管内に挿入される内視鏡であり、可撓性を有する軟性内視鏡である。内視鏡10は、消化管内に挿入される挿入部17と、挿入部17の基端側に連設され且つ術者が把持して各種操作を行う操作部18と、操作部18に連設されたユニバーサルコード19と、を有する。
内視鏡検査は、例えば、被検者Hを寝台16に寝かせた状態で行う。大腸検査の場合は、医師である術者OPによって、内視鏡10の挿入部17が肛門から消化管内に挿入される。光源装置11は、観察部位である大腸内を照明する照明光を内視鏡10に供給する。プロセッサ装置14は、内視鏡10で撮像された画像を処理することにより、観察画像41を生成する。観察画像41は、モニタ15に表示される。術者OPは、観察画像41を確認しながら内視鏡検査を進める。モニタ15に表示される観察画像41は、基本的には動画であるが、観察画像41として、必要に応じて静止画を表示することも可能である。
また、内視鏡システム9は、術者OPが行う内視鏡10の挿入操作などの手技をナビゲーションするナビゲーション機能を備えている。ここで、ナビゲーションとは、被検者Hの体内での内視鏡10の挿入部17の位置および形状の少なくとも1つを含む挿入状態を、術者OPに対して提示することにより、術者OPの内視鏡10の手技を支援することをいう。ナビゲーション機能は、磁界MFを利用して挿入部17の挿入状態を検出して、検出した挿入状態を提示する。本例において、挿入状態は、体内に挿入された挿入部17の位置に加えて、体内における挿入部17の形状を含む。
ナビゲーション機能は、ナビゲーション装置12と、磁界発生器13と、後述する内視鏡10内の磁界測定装置とによって実現される。磁界発生器13は、磁界MFを発生する。磁界発生器13は、例えば、スタンドに取り付けられており、被検者Hが横たわる寝台16の傍らに配置される。また、磁界発生器13は、発生する磁界MFが被検者Hの体内に届く範囲内に配置される。
内視鏡10内の磁界測定装置は、磁界発生器13が発生する磁界MFを検出し、検出した磁界MFの強さを測定する。ナビゲーション装置12は、磁界測定装置による磁界測定結果に基づいて、磁界発生器13と挿入部17との相対的な位置を導出することにより、挿入部17の挿入状態を検出する。プロセッサ装置14は、ナビゲーション装置12が検出した挿入状態を表す挿入部形状画像42を生成する。
モニタ15は、観察画像41と挿入部形状画像42とを表示する。なお、観察画像41と挿入部形状画像42とを表示するモニタ15がそれぞれ別に設けられていてもよい。
図2に示すように、挿入部17は、細径でかつ長尺の管状部分であり、基端側から先端側に向けて順に、軟性部21と、湾曲部22と、先端部23とが連接されて構成される。軟性部21は、可撓性を有する。湾曲部22は、操作部18の操作により湾曲可能な部位である。先端部23は、撮像装置48(図3参照)等が配置される。また、図示しないが、先端部23の先端面には、観察部位に照明光を照明する照明窓46(図3参照)と、照明光が被写体で反射した被写体光が入射する観察窓47と、処置具が突出させるための処置具出口と、観察窓47に気体および水を噴射することにより、観察窓47を洗浄するための洗浄ノズルとが設けられている。
挿入部17内には、ライトガイド33と、信号ケーブル32と、操作ワイヤ(図示せず)と、処置具挿通用の管路(図示せず)とが設けられている。ライトガイド33は、ユニバーサルコード19から延設され、光源装置11から供給される照明光を、先端部23の照明窓46に導光する。信号ケーブル32は、撮像装置48からの画像信号および撮像装置48を制御する制御信号の通信に加えて、撮像装置48に対する電力供給に用いられる。信号ケーブル32も、ライトガイド33と同様に、ユニバーサルコード19から延設され、先端部23まで配設されている。
操作ワイヤは、湾曲部22を操作するためのワイヤであり、操作部18から湾曲部22までの間に配設される。処置具挿通用の管路は、鉗子などの処置具(図示せず)を挿通するための管路であり、操作部18から先端部23まで配設される。挿入部17内には、この他、送気送水用の流体チューブが設けられる。流体チューブは、先端部23に、観察窓47の洗浄用の気体および水を供給する。
また、挿入部17内には、その軟性部21から先端部23にかけて複数の検出コイル25が予め設定された間隔で設けられている。各検出コイル25は、磁界MFを検出する磁界検出素子に相当する。各検出コイル25は、それぞれ磁界発生器13から発生した磁界MFの影響を受けることにより、電磁誘導の作用により誘導起電力を生じ、誘導起電力によって誘導電流を発生する。各検出コイル25から発生した誘導電流の値は、各検出コイル25でそれぞれ検出した磁界MFの強さを表し、これが磁界測定結果となる。すなわち、磁界測定結果とは、磁界MFの強さを表す誘導電流の大きさに応じた値をいう。
操作部18には、術者によって操作される各種操作部材が設けられている。具体的には、操作部18には、2種類の湾曲操作ノブ27と、送気送水ボタン28と、吸引ボタン29と、が設けられている。2種類の湾曲操作ノブ27は、それぞれが操作ワイヤに連結されており、湾曲部22の左右湾曲操作および上下湾曲操作に用いられる。また、操作部18には、処置具挿通用の管路の入口である処置具導入口31が設けられている。
ユニバーサルコード19は、内視鏡10を光源装置11に接続するための接続コードである。ユニバーサルコード19は、信号ケーブル32と、ライトガイド33と、流体チューブ(不図示)とを内包している。また、ユニバーサルコード19の端部には、光源装置11に接続されるコネクタ34が設けられている。
コネクタ34を光源装置11に接続することで、光源装置11から内視鏡10に対して、内視鏡10の運用に必要な電力と制御信号と照明光と気体と水とが供給される。また、先端部23の撮像装置48(図2参照)により取得される観察部位の画像信号と、各検出コイル25の検出信号に基づく磁界測定結果とが、内視鏡10から光源装置11へ送信される。
コネクタ34は、光源装置11との間で、金属製の信号線等を用いた電気的な有線接続はされず、その代わりに、コネクタ34と光源装置11とは、光通信(非接触型通信)により通信可能に接続される。コネクタ34は、内視鏡10と光源装置11の間で遣り取りされる制御信号の送受信と、内視鏡10から光源装置11への画像信号および磁界測定結果の送信と、を光通信により行う。コネクタ34には、信号ケーブル32に接続されたレーザダイオード(Laser Diode:以下、LDという)36が設けられている。
LD36は、内視鏡10から光源装置11への大容量データの送信、具体的には画像信号および磁界測定結果の送信に用いられる。LD36は、元々は電気信号の形態であった、画像信号および磁界測定結果を光信号の形態で、光源装置11に設けられているフォトダイオード(Photodiode:以下、PDという)37に向けて送信する。
なお、図示は省略するが、LD36およびPD37とは別に、コネクタ34および光源装置11の双方には、内視鏡10と光源装置11との間で遣り取りされる小容量の制御信号を光信号化して送受信する光送受信部が設けられている。さらに、コネクタ34には、光源装置11の給電部(不図示)からワイヤレス給電により給電を受ける受電部(不図示)が設けられている。
コネクタ34内のライトガイド33は光源装置11内に挿入される。また、コネクタ34内の流体チューブ(不図示)は光源装置11を介して送気送水装置(不図示)に接続される。これにより、光源装置11および送気送水装置から内視鏡10に対して、照明光と気体および水とがそれぞれ供給される。
光源装置11は、コネクタ34を介して、内視鏡10のライトガイド33へ照明光を供給すると共に、送気送水装置(不図示)から供給された気体および水を内視鏡10の流体チューブ(不図示)へ供給する。また、光源装置11は、LD36から送信される光信号をPD37で受光し、受光した光信号を電気信号である元の画像信号および磁界測定結果に変換した後、ナビゲーション装置12へ出力する。
ナビゲーション装置12は、光源装置11から入力された、観察画像41生成用の画像信号をプロセッサ装置14へ出力する。また、ナビゲーション装置12は、後述の磁界発生器13の駆動を制御すると共に、被検者Hの体内の挿入部17の形状等を検出して、この検出結果を、挿入部形状画像42を生成するための情報として、プロセッサ装置14へ出力する。
このように、本例における内視鏡10は、光源装置11と接続する1つのコネクタ34を持つワンコネクタタイプである。内視鏡10は、コネクタ34が接続される光源装置11を介して、プロセッサ装置14およびナビゲーション装置12のそれぞれと通信可能に接続される。
磁界発生器13は、複数の磁界発生素子に相当する複数の発生コイル39を有している。各発生コイル39は、例えば、駆動電流の印加により、直交座標系XYZのXYZ座標軸にそれぞれ対応した方向に交流磁界(交流磁場)を発生するX軸コイルとY軸コイルとZ軸コイルとを含む。各発生コイル39は、同じ周波数の磁界MFを発生する。各発生コイル39は、ナビゲーション装置12の制御の下、詳しくは後述するが、互いに異なるタイミングで磁界MFを発生する。
<内視鏡>
図3は、内視鏡システム9の電気的構成を示すブロック図である。図3に示すように、内視鏡10は、ライトガイド33と、照射レンズ45と、照明窓46と、観察窓47と、撮像装置48と、磁界検出回路49と、統括制御回路50と、信号ケーブル32と、LD36と、不図示の流体チューブおよび洗浄ノズルと、を有する。
ライトガイド33は、大口径光ファイバまたはバンドルファイバなどである。ライトガイド33の入射端は、コネクタ34を介して光源装置11内に挿入される。ライトガイド33は、コネクタ34内とユニバーサルコード19内と操作部18内とに挿通されており、挿入部17の先端部23内に設けられた照射レンズ45に、出射端が対向している。これにより、光源装置11からライトガイド33の入射端に供給された照明光は、照射レンズ45から先端部23の先端面に設けられた照明窓46を通して、観察部位に照射される。そして、観察部位で反射した照明光は、観察部位の像光として、先端部23の先端面に設けられた観察窓47を通して撮像装置48の撮像面に入射する。
なお、前述の流体チューブ(不図示)の一端側は、コネクタ34および光源装置11を通して送気送水装置(不図示)に接続されると共に、流体チューブ(不図示)の他端側は、挿入部17内等を通って先端部23の先端面に設けられた送気送水ノズル(不図示)に接続している。これにより、送気送水装置(不図示)から供給された気体または水が、送気送水ノズル(不図示)から観察窓47に噴射されて、観察窓47が洗浄される。
撮像装置48は、集光レンズ52と撮像素子53とを有する。集光レンズ52は、観察窓47から入射した観察部位の像光を集光し、かつ、集光した観察部位の像光を撮像素子53の撮像面に結像させる。撮像素子53は、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型またはCCD(charge coupled device)型の撮像素子である。撮像素子53は、例えば、各画素にR、G、Bのいずれかのマイクロフィルタが割り当てられたカラー撮像素子である。撮像素子53は、観察対象である観察部位を撮像する。より具体的には、撮像素子53は、撮像面に結像した観察部位の像光を撮像(電気信号に変換)して、観察部位の画像信号を統括制御回路50へ出力する。
また、撮像素子53には、例えば水晶振動子等の基準信号(クロック信号)を出力する発振部53aが設けられており、この発振部53aから発振される基準信号を基準として、撮像素子53が動画として出力する画像信号を出力する。基準信号の間隔はフレームレートを規定する。フレームレートは例えば30fps(frames per second)である。
磁界検出回路49は、挿入部17内の各検出コイル25に電気的に接続している。磁界検出回路49は、磁界発生器13の発生コイル39から発生した磁界MFに応じた、各検出コイル25のそれぞれの磁界測定結果を含む磁界測定データ55を、統括制御回路50へ出力する。
統括制御回路50は、CPU(Central Processing Unit)を含む各種の演算回路と、各種のメモリとを含んで構成されており、内視鏡10の各部の動作を統括的に制御する。この統括制御回路50は、不図示のメモリに記憶された制御用のプログラムを実行することで、信号処理部57と、磁界測定制御部58と、画像信号出力部59として機能する。磁界検出回路49および磁界測定制御部58は、磁界測定部に相当する。磁界測定部は、検出コイル25が出力する検出信号に基づいて、複数の磁界発生素子に相当する発生コイル39のそれぞれを発生元とする複数の磁界MFを測定することにより、磁界MF毎の磁界測定結果を出力する。磁界測定部と、検出コイル25とを合わせて磁界測定装置を構成する。
信号処理部57は、撮像素子53から順次出力される画像信号に対して各種信号処理を施す。信号処理としては、例えば、相関二重サンプリング処理、および信号増幅処理などのアナログ信号処理と、アナログ信号処理後にアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D(Analog/Digital)変換処理などが含まれる。信号処理が施された後の画像信号をフレーム画像信号61と呼ぶ。信号処理部57は、フレームレートに従ってフレーム画像信号61を、画像信号出力部59へ出力する。フレーム画像信号61は、観察部位の動画像データとして使用される。このように、複数のフレーム画像信号61は、撮像素子53が動画撮影を実行することにより取得され、予め設定された時間間隔で出力される画像信号である。
磁界測定制御部58は、磁界検出回路49を介して各検出コイル25の複数の磁界測定結果を含む磁界測定データ55を取得し、取得した磁界測定データ55を、画像信号出力部59へ出力する。
図4に示すように、各検出コイル25の磁界測定結果は、各発生コイル39が発生する磁界の強さが同じであっても、例えば、磁界MFを発生する各発生コイル39と、各検出コイル25のそれぞれとの間の距離および向きに応じて変化する。例えば、図4に示す第1発生コイル39は、実線で示すように、第1~第3の各検出コイル25との距離および向きが異なる。そのため、1つの第1発生コイル39が発生する磁界MFについて、第1~第3の各検出コイル25のそれぞれの磁界測定結果は異なる。第2発生コイル39および第3発生コイル39のそれぞれと、第1~第3の各検出コイル25との関係も同様である。
また、反対に、第1~第3の各発生コイル39が発生する磁界MFの強さが同じであっても、各発生コイル39のそれぞれの磁界MFについての1つの第1検出コイル25の磁界測定結果は異なる。ここで、例えば、第1~第3の各発生コイル39がそれぞれX軸コイル、Y軸コイルおよびZ軸コイルである場合を考える。この場合は、X軸、Y軸およびZ軸の各コイルのそれぞれの磁界MFについての1つの第1検出コイル25の磁界測定結果に基づいて、XYZ座標軸に対応する、第1検出コイル25の三次元座標位置を検出することができる。第2検出コイル25および第3検出コイル25についても同様である。挿入部17に予め設定された間隔で設けられる各検出コイル25の三次元座標位置を検出することができれば、挿入部17の形状を検出することが可能である。
図5は、磁界測定制御部58が取得する磁界測定データ55の一例を説明するための説明図である。磁界測定制御部58は、複数の発生コイル39が発生する複数の磁界MFのそれぞれを、複数の各検出コイル25がそれぞれ検出し、各検出コイル25からそれぞれ出力される複数の磁界測定結果を含む磁界測定データ55を取得する。
図5において、(1)~(4)は、それぞれ1つの発生コイル39が発生する磁界MFについての、複数の検出コイル25のそれぞれの磁界測定結果を示すデータ列である。例えば、「D11」は第1番目の発生コイル39で発生した磁界MFを第1検出コイル25で検出した磁界測定結果である。「D12」は第1番目の発生コイル39で発生した磁界MFを「第2検出コイル」で検出した磁界測定結果である。同様に、「D42」は第4番目の発生コイル39で発生した磁界MFを「第2検出コイル」で検出した磁界測定結果である。「D43」は第4番目の発生コイル39で発生した磁界MFを「第3検出コイル」で検出した磁界測定結果である。
磁界測定制御部58は、磁界発生器13における各発生コイル39のそれぞれの磁界発生タイミングと、後述する方法で同期を取りながら、各検出コイル25の磁界測定結果を順番に取得する。磁界測定制御部58は、例えば、後述する同期信号で規定される1回の磁界測定期間において、すべての発生コイル39のそれぞれの磁界MFについて、すべての検出コイル25のそれぞれの磁界測定結果を取得する。これにより、磁界測定制御部58は、1回の磁界測定期間において、各発生コイル39と各検出コイル25とのすべての組み合わせに係る複数の磁界測定結果を含む磁界測定データ55を取得する。
例えば、磁界発生器13内に9個の発生コイル39が設けられており、挿入部17内に17個の検出コイル25が設けられている場合は、各発生コイル39について17個の磁界測定結果が得られる。そのため、磁界測定制御部58は、1回の磁界測定期間内に、合計で、9×17=153個の磁界測定結果を含む磁界測定データ55を取得する。こうしたすべての組み合わせに係る複数の磁界測定結果を含む磁界測定データ55を、全磁界測定データと呼ぶ。本例においては、特に断りの無い限り、磁界測定データ55には、全磁界測定データが含まれるものとする。
画像信号出力部59は、図6に示すように、信号処理部57から順次入力される複数のフレーム画像信号61のそれぞれに対して、フレーム開始信号VDを付加して、フレーム画像信号61を出力する。図6において、「フレーム1」、「フレーム2」、「フレーム3」・・・は、便宜上示した、複数のフレーム画像信号61の出力順序を示すフレーム番号である。フレーム開始信号VDは、例えば、垂直同期信号である。
さらに、画像信号出力部59は、フレーム画像信号61に、磁界測定データ55を付加して、フレーム画像信号61を出力する。すなわち、画像信号出力部59が出力するフレーム画像信号61のすべてに対して、フレーム開始信号VDおよび磁界測定データ55が含まれる。磁界測定データ55は、図6に示すように、撮像素子53のブランキングタイムBTに対応する、各フレーム画像信号61の間の信号無効領域NDに付加される。ブランキングタイムBTは、例えば垂直ブランキング期間である。上述したとおり、フレーム開始信号VDも、複数のフレーム画像信号61の垂直ブランキング期間に含まれる信号である。
図3において、画像信号出力部59は、フレーム画像信号61を、信号ケーブル32を介して既述のLD36へ出力する。LD36は、フレーム画像信号61を光信号化した光信号を、光源装置11のPD37に向けて送信する。
このように、画像信号出力部59は、撮像素子53から、信号処理部57を介して取得したフレーム画像信号61を、内視鏡10の外部に出力する。また、フレーム画像信号61に含まれるフレーム開始信号VDを同期信号として利用することにより、画像信号出力部59を同期信号生成部として機能させている。
<光源装置>
光源装置11は、照明光源63と、PD37と、光源制御部64と、信号中継部62と、通信インタフェース65を有している。照明光源63は、例えばLD(Laser Diode:LED)または発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)などの半導体光源であり、波長が赤色領域から青色領域にわたる白色光を照明光として出射する白色光源である。なお、照明光源63としては、白色光源に加えて、紫色光および赤外光などの特殊光を出射する特殊光光源を用いてもよい。照明光源63から出射された照明光は、前述のライトガイド33の入射端に入射される。
光源制御部64は、CPUを含む各種の演算回路と、各種のメモリとを含んで構成されており、照明光源63などの光源装置11の各部の動作を制御する。
PD37は、LD36から送信された光信号を受信する。PD37は、光信号の形態で受信したフレーム画像信号61を、元の電気信号の形態に変換して、変換後のフレーム画像信号61を信号中継部62に入力される。信号中継部62は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)で構成される。FPGAは、製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであり、回路構成には、各種の演算回路および各種のメモリ回路などが含まれる。
信号中継部62は、PD37から入力されたフレーム画像信号61に対して、遅延時間T1(図8参照)を付加し、遅延時間T1を付加したフレーム画像信号61を、通信インタフェース65を介してナビゲーション装置12へ出力する。遅延時間T1は、後述するように、磁界測定および磁界発生の同期に用いられる情報である。
<ナビゲーション装置>
ナビゲーション装置12は、画像信号取得部68と、挿入状態検出部70と、磁界発生制御部71と、表示出力部74と、を有する。ナビゲーション装置12の各部は、1または複数のCPUを含む各種演算回路(不図示)により構成され、不図示のメモリに記憶されている制御用のプログラムを実行することで動作する。
画像信号取得部68は、通信インタフェース65を介して信号中継部62からフレーム画像信号61を取得する。そして、画像信号取得部68は、取得したフレーム画像信号61を表示出力部74へ出力する。
また、画像信号取得部68は、フレーム画像信号61に含まれるフレーム開始信号VDおよび磁界測定データ55を抽出し、抽出したフレーム開始信号VDおよび磁界測定データ55を挿入状態検出部70に出力する。また、画像信号取得部68は、フレーム画像信号61からフレーム開始信号VDおよび遅延時間T1を抽出し、抽出したフレーム開始信号VDおよび遅延時間T1を磁界発生制御部71に出力する。
挿入状態検出部70は、画像信号取得部68から取得したフレーム開始信号VDおよび磁界測定データ55に基づいて、被検者Hの体内に挿入される内視鏡10の挿入部17の挿入状態を検出する。挿入状態検出部70は、位置検出部72と、挿入部形状検出部73とを有する。
位置検出部72は、フレーム開始信号VDおよび磁界測定データ55に基づき各検出コイル25の位置を検出する。位置検出部72には、判別部72Aが設けられている。
図6に示すように、判別部72Aは、対応関係75を参照して、磁界測定データ55に含まれる複数の磁界測定結果を判別する。対応関係75は、磁界測定データ55に含まれる、各発生コイル39と各検出コイル25との複数の組み合わせに対応する複数の磁界測定結果の格納順序を表す情報である。判別部72Aは、対応関係75に基づいて、磁界測定データ55に含まれる各磁界測定結果が、各発生コイル39と各検出コイル25とのどの組み合わせに対応するデータであるかを判別する。
具体的には、後述するように、磁界測定においては、フレーム開始信号VDを基準として、各発生コイル39が磁界MFを発生する発生順序と、1つの発生コイル39の磁界MFについて、各検出コイル25の磁界測定結果の取得順序とが決まっている。各発生コイル39と各検出コイル25の組み合わせに応じた複数の磁界測定結果は、発生順序と取得順序に従って、磁界測定データ55内に格納される。そのため、判別部72Aは、フレーム開始信号VDを基準として、格納順序を規定した対応関係75を参照することで、磁界測定データ55に含まれる複数の磁界測定結果がどの組み合わせ(「D11」、「D12」、「D13」・・・)に対応するかを判別することができる。
位置検出部72は、判別部72Aが判別した複数の磁界測定結果に基づき、各検出コイル25の位置、具体的には三次元座標位置をコイル位置データとして検出する。コイル位置データは、磁界発生器13を基準とした相対位置である。図6において、例えば、P1は第1検出コイル25の三次元座標位置(x1,y1,z1)を示す。P2、P3、P4などについても同様である。
図3において、位置検出部72は、コイル位置データ76を挿入部形状検出部73へ出力する。挿入部形状検出部73は、位置検出部72から入力されたコイル位置データ76に基づき、被検者Hの体内での挿入部17の形状を検出する。
図7は、挿入部形状検出部73による挿入部17の形状検出処理の一例を説明するための説明図である。図7に示すように、挿入部形状検出部73は、コイル位置データ76が示す各検出コイル25の位置(P1、P2、・・・)に基づき、各位置を曲線で補間する補間処理を行って、挿入部17の形状を示す挿入部形状データ78を生成する。挿入部形状データ78には、挿入部17の先端部23の先端位置PTが含まれる。
図3において、挿入部形状検出部73は、挿入部形状データ78を表示出力部74へ出力する。挿入状態検出部70は、画像信号取得部68が新たなフレーム画像信号61を取得するごとに、判別部72Aによる判別処理、各検出コイル25のコイル位置データ76を検出する位置検出処理、挿入部17の形状検出処理、および挿入部形状データ78の出力を繰り返し行う。
表示出力部74は、前述の画像信号取得部68から先に入力されたフレーム画像信号61と、挿入状態検出部70から入力された挿入部形状データ78と、を通信インタフェース80A,80Bを介してプロセッサ装置14へ出力する。この際に、表示出力部74は、フレーム画像信号61と、そのフレーム画像信号61と時間的に対応する挿入部形状データ78とを対応付けて、プロセッサ装置14へ出力する。
<プロセッサ装置>
プロセッサ装置14は、表示入力部82と表示制御部83とを有している。表示入力部82は、表示出力部74から通信インタフェース80A,80Bを介して逐次入力されたフレーム画像信号61および挿入部形状データ78を、表示制御部83へ逐次出力する。
表示制御部83は、表示入力部82からフレーム画像信号61および挿入部形状データ78の入力を受けて、フレーム画像信号61に基づく観察画像41(動画像)と、挿入部形状データ78に基づく挿入部形状画像42とをモニタ15に表示させる(図1および図2参照)。このように、フレーム画像信号61は、内視鏡10から光源装置11およびナビゲーション装置12を経由してプロセッサ装置14に送信される。そして、プロセッサ装置14は、内視鏡10から取得したフレーム画像信号61に画像処理を施して表示画像の一例である観察画像41を生成する。
(磁界発生と磁界測定の同期方法)
図8は、内視鏡システム9の機能ブロックのうち、複数の発生コイル39のそれぞれの磁界発生と、複数の検出コイル25を用いた磁界測定とのそれぞれのタイミングの同期処理を担う部分を主として抽出した機能ブロックを示す。
内視鏡システム9においては、上述したとおり、複数の検出コイル25と、磁界検出回路49と、磁界測定制御部58とで構成される磁界測定装置が内視鏡10に内蔵される。磁界測定制御部58は、複数の検出コイル25を用いた磁界測定の開始タイミングを制御する。一方、磁界発生装置は、内視鏡10の外部に設けられており、磁界発生装置の構成要素であり、複数の発生コイル39の駆動を制御する磁界発生制御部71は、ナビゲーション装置12に内蔵される。磁界発生制御部71は、複数の発生コイル39の磁界発生の開始タイミングを制御する。
磁界発生と磁界測定の同期を取るためには、磁界発生制御部71と磁界測定制御部58との間で同期信号を通信する必要がある。同期信号とは、磁界発生制御部71が複数の発生コイル39から磁界MFを発生させる磁界発生の開始タイミングと、磁界測定制御部58を含む磁界測定部において、複数の検出コイル25の検出信号に基づいて磁界MFを測定する磁界測定の開始タイミングとを同期させるための信号である。
本例の内視鏡システム9では、同期信号として、フレーム画像信号61に含まれるフレーム開始信号VDが利用される。フレーム画像信号61は、内視鏡10から、光源装置11を経由して、ナビゲーション装置12に送信される。そのため、同期信号に使用されるフレーム開始信号VDも、内視鏡10から、光源装置11を経由して、ナビゲーション装置12に送信される。
磁界検出回路49は、計装アンプ49A、セレクタ49B、アンプ49C、およびA/D(Analog/Digital)変換回路49Dを有する。計装アンプ49Aは、検出コイル25毎に設けられ、入力端子が各検出コイル25に接続されている。計装アンプ49Aは、各検出コイル25が出力する微弱な検出信号を増幅して、検出信号(誘導電流)の値に応じた電圧として出力する。各計装アンプ49Aの出力端子は、セレクタ49Bに接続されている。
セレクタ49Bは、各計装アンプ49Aのうち読み出し対象の計装アンプ49Aを選択する。複数の計装アンプ49Aのうち、セレクタ49Bによって選択された計装アンプ49Aからの電圧が、セレクタ49Bを介してアンプ49Cに入力される。セレクタ49Bは、磁界測定制御部58から入力されるタイミング信号に基づいて、各計装アンプ49Aを順番に選択する。これにより、複数の検出コイル25の検出信号に応じた電圧が順番に読み出される。
アンプ49Cは、セレクタ49Bから出力される電圧を増幅する。より詳細には、アンプ49Cは、例えばオペアンプであり、セレクタ49Bから入力される入力電圧と、リファレンスとして入力される基準電圧との差の電圧値を増幅して出力する。A/D変換回路49Dは、アンプ49Cの出力電圧をデジタル信号に変換する。A/D変換回路49Dは、このデジタル信号の値を、各検出コイル25の磁界測定結果(磁界MFの強さを表す誘導電流の大きさに応じた値)として出力する。セレクタ49Bによって各検出コイル25が順次選択されることにより、A/D変換回路49Dは、すべての検出コイル25の検出信号に基づくそれぞれの磁界測定結果を磁界測定制御部58に出力する。これらの磁界測定結果が磁界測定データ55として、画像信号出力部59に出力される。
磁界測定制御部58は、メモリ58Aと、タイマ58Bと、タイミングジェネレータ(以下、TGという)58Cとを有している。また、磁界測定制御部58には、画像信号出力部59から、同期信号として使用されるフレーム開始信号VDが入力される。画像信号出力部59は、フレームレートに従ってフレーム画像信号61を光源装置11に向けて出力する毎に、フレーム開始信号VDを磁界測定制御部58に出力する。画像信号出力部59は、同期信号を生成する同期信号生成部の一例である。
メモリ58Aには、基準待機時間T0が格納されている。基準待機時間T0は、磁界測定制御部58が内蔵される内視鏡10から、磁界発生制御部71に向けてフレーム開始信号VDを送信した時点から、磁界測定制御部58が磁界測定を開始するまでに待機する時間である。基準待機時間T0は、後述する遅延時間T1よりも長く設定された時間である。また、画像信号出力部59は、光源装置11にフレーム開始信号VDを出力する際に、磁界測定制御部58にもフレーム開始信号VDを出力する。
磁界測定制御部58は、画像信号出力部59からフレーム開始信号VDが入力された時点からタイマ58Bをスタートさせる。磁界測定制御部58は、メモリ58Aに格納されている基準待機時間T0を読み出して、読み出した基準待機時間T0をタイマ58Bにセットする。タイマ58Bは基準待機時間T0の計時を開始する。基準待機時間T0が経過すると、タイマ58Bは、基準待機時間T0が経過した旨の経過信号を、TG58Cに入力する。TG58Cは、経過信号が入力されると、セレクタ49Bに対して、予め設定された時間間隔でタイミング信号を出力する。タイミング信号は、複数の検出コイル25の出力を選択するための信号であるため、各検出コイル25の数に応じた回数分、出力される。
このように、磁界測定制御部58が配置された内視鏡10は、送信側装置の一例である。内視鏡10は、同期信号の一例であるフレーム開始信号を送信した後、予め設定された基準待機時間T0に基づいて磁界測定の開始タイミングを制御する。また、受信側装置の一例であり、磁界発生制御部71が配置されたナビゲーション装置12は、同期信号の一例であるフレーム開始信号を受信した後、基準待機時間T0と遅延時間T1とに基づいて磁界発生の開始タイミングを制御する。
光源装置11において、信号中継部62は、ノイズ除去部62Aと、遅延時間出力部62Bと、画像信号再出力部62Cとを備えている。ノイズ除去部62Aは、フレーム画像信号61から、画像を表す部分の画像信号のみを抽出して、画像信号に対してノイズ除去を行う。より具体的には、例えば、内視鏡10から光源装置11へ送信する際に生じるビットエラーなどの画像信号のエラー訂正を行う。さらに、EMC(Electromagnetic Compatibility)対策として、例えば、特定の繰り返しパターンによる特定周波数への集中を防止することを目的として、画像信号のスクランブル処理を行う。さらに、ノイズ除去の他に、画像信号のフォーマット変換などを行ってもよい。画像信号のフォーマット変換とは、例えば、内視鏡10とプロセッサ装置14との機種の組み合わせに応じて施される、データフォーマットの変換である。
遅延時間出力部62Bは、遅延時間T1を画像信号再出力部62Cに対して出力する。遅延時間T1は、光源装置11が、同期信号に使用されるフレーム開始信号VDを中継する際に生じる遅延時間である。光源装置11においては、ノイズ除去部62Aにおいて各種の処理が施されるため、フレーム開始信号VDを中継するに場合に、無視できない遅延が生じる。すなわち、本例においては、遅延時間T1は、光源装置11において、画像信号に対する処理に起因する遅延時間である。
画像信号再出力部62Cは、ノイズ除去部62Aにおける処理が施されたフレーム画像信号61に遅延時間T1を付加して、ナビゲーション装置12に向けて再出力する。遅延時間T1は、例えば、磁界測定データ55と同様に、フレーム画像信号61のブランキングタイムBTに対応する信号無効領域NDに付加される。
ナビゲーション装置12において、磁界発生制御部71は、メモリ71Aと、タイマ71Bと、TG71Cとを有する。メモリ71Aには、磁界測定制御部58のメモリ58Aに格納さている基準待機時間T0と同じ値が格納されている。磁界発生制御部71には、画像信号取得部68からフレーム開始信号VDと遅延時間T1とが入力される。磁界発生制御部71は、メモリ71Aに格納されている基準待機時間T0を読み出す。そして、磁界発生制御部71は、読み出した基準待機時間T0から、画像信号取得部68から入力された遅延時間T1を差し引いた差分ΔTをタイマ71Bにセットする。
タイマ71Bは、フレーム開始信号VDが入力された時点から、差分ΔTの計時を開始する。差分ΔTが経過すると、タイマ71Bは、差分ΔTが経過した旨の経過信号をTG71Cに入力する。TG71Cは、経過信号が入力されると、予め設定された時間間隔でタイミング信号を出力する。磁界発生制御部71は、このタイミング信号に基づいて、磁界発生器13内の各発生コイル39を順番に駆動する。タイミング信号は、複数の発生コイル39の駆動を切り替えるための信号であるため、各発生コイル39の数に応じた回数分、出力される。
このように、内視鏡10は、磁界測定部(磁界検出回路49および磁界測定制御部58で構成される磁界測定部と、同期信号生成部の一例である画像信号出力部59とが配置され、同期信号の一例であるフレーム開始信号VDを送信する送信側装置の一例である。また、ナビゲーション装置12は、磁界発生制御部71が配置され、送信側装置の一例である内視鏡10から送信される同期信号の一例であるフレーム開始信号VDを受信する受信側装置の一例である。
また、光源装置11は、送信側装置の一例である内視鏡10と受信側装置の一例であるナビゲーション装置12との間に配置され、内視鏡10とナビゲーション装置12との間で同期信号の一例であるフレーム開始信号VDを中継する同期信号中継装置の一例である。光源装置11は、フレーム開始信号VDを中継する際に生じる遅延時間T1を、フレーム開始信号VDの中継先であるナビゲーション装置12に送信する。
以下、上記構成による作用について、磁界発生と磁界測定とを中心に、図9から図11に示すタイミングチャートを用いて説明する。図9は、内視鏡システム9全体における磁界発生と磁界測定のタイミングを示すタイミングチャートである。まず、同期信号を送信する送信側装置の一例である内視鏡10において、撮像が開始されると、画像信号出力部59は、予め設定されたフレームレートでフレーム画像信号61の出力を開始する。
画像信号出力部59は、同期信号として使用されるフレーム開始信号VDを含むフレーム画像信号61を光源装置11に送信するとともに、磁界測定制御部58にもフレーム開始信号VDを出力する。磁界測定制御部58は、タイマ58Bをスタートさせて、基準待機時間T0の計時を開始する。
光源装置11は、同期信号を中継する同期信号中継装置の一例である。光源装置11は、画像信号出力部59からフレーム画像信号61を受信し、信号中継部62においてノイズ除去を施す。この後、画像信号再出力部62Cは、フレーム画像信号61に遅延時間T1を付加し、かつ、遅延時間T1が付加されたフレーム画像信号61をナビゲーション装置12に送信する。
同期信号の受信側装置の一例であるナビゲーション装置12において、画像信号取得部68は、磁界発生制御部71に対してフレーム開始信号VDと遅延時間T1を出力する。磁界発生制御部71において、フレーム開始信号VDが入力されると、タイマ71Cが差分ΔTの計時を開始する。そして、磁界発生制御部71は、差分ΔTが経過したタイミングで、TG71Cがタイミング信号を発生して、磁界発生を開始させる。
送信側装置の一例である内視鏡10に配置された磁界測定制御部58においては、基準待機時間T0が経過したタイミングで、TG58Cがタイミング信号を発生する。これにより、各検出コイル25の検出信号に基づく磁界測定が開始される。
磁界測定制御部58においては、同期信号であるフレーム開始信号VDが磁界発生制御部71に向けて出力した後、基準待機時間T0を待機して磁界測定を開始させる。これに対して、磁界発生制御部71においては、同期信号であるフレーム開始信号VDを受信した後であって、かつ、基準待機時間T0から遅延時間T1を差し引いた差分ΔTを待機した後、磁界発生を開始させる。このため、同期信号を中継する光源装置11において遅延が生じた場合でも、磁界発生制御部71においては、遅延時間T1を考慮して、磁界発生の開始タイミングを早めるため、磁界発生と磁界測定の開始タイミングを同期させることができる。
図10に示すように、磁界発生制御部71は、フレーム開始信号VDを受信した後であって、かつ、差分ΔTを待機した後、TG71Cを作動させて、磁界発生を開始する。TG71Cは、予め設定された時間間隔でタイミング信号を発生する。磁界発生制御部71は、タイミング信号が発生する毎に、第1発生コイル39、第2発生コイル39、第3発生コイル39・・・というように、磁界を発生する発生コイル39を切り替える。
TG71Cが発生するタイミング信号の間隔は、フレーム開始信号VDが入力するまでの間に、すべての発生コイル39の磁界発生が一巡できるような間隔に設定される。
一方、図11に示すように、磁界測定制御部58は、フレーム開始信号VDが送信された後、基準待機時間T0を待機して、TG58Cを作動させて、磁界測定を開始する。TG58Cは、予め設定された時間間隔でタイミング信号を発生する。セレクタ49Bは、タイミング信号が入力される毎に、磁界測定の対象となる検出コイル25を切り替える。磁界測定においては、各タイミング信号の間隔は、例えば、1つの発生コイル39が発生する磁界MFについて、すべての検出コイル25のそれぞれに対応する磁界測定結果を取得できる間隔に設定される。例えば、第1発生コイル39が磁界MFを発生している場合において、第1発生コイル39の1つの磁界MFに対応する、第1検出コイル25、第2検出コイル25、第3検出コイル25・・・といったすべての各検出コイル25の磁界測定結果を取得できる時間間隔である。
こうして得られた磁界測定データ55は、フレーム画像信号61に付加されて、内視鏡10から光源装置11を経由して、ナビゲーション装置12に送信される。ナビゲーション装置12において、磁界測定データ55に基づいて挿入部形状データ78が検出される。プロセッサ装置14においては、挿入部形状データ78に基づいて挿入部形状画像42が生成される。モニタ15には、図1に示すように、観察画像41と挿入部形状画像42とが表示される。術者OPは、モニタ15に表示された挿入部形状画像42を通じて、被検者Hの体内における挿入部17の挿入状態を確認することができる。
このような内視鏡システム9において、光源装置11の機種が変更される場合がある。この場合には、光源装置11の機種によって、同期信号の中継の際に生じる遅延時間T1が変化する場合がある。この場合でも、光源装置11が、遅延時間T1を、同期信号の一例であるフレーム開始信号VDに加えて、受信側装置の一例であるナビゲーション装置12に送信する機能を有していれば、光源装置11の機種が変更された場合でも、内視鏡10およびナビゲーション装置12における遅延時間の設定変更作業を行う必要がない。
以上説明したように、本開示の内視鏡システム9においては、磁界発生と磁界測定との同期信号を中継する同期信号中継装置の一例である光源装置11を用いて、内視鏡のナビゲーションを行う場合において、中継の際に生じる遅延時間が変化した場合でも、同期信号の送信側と受信側において、同期を取るために予め設定した遅延時間の設定変更作業などの煩雑な作業を行うことなく、同期をとることが可能である。
また、本例において、送信側装置である内視鏡10において、同期信号の一例であるフレーム開始信号VDを送信した後、基準待機時間T0が経過したタイミングで、磁界測定を開始させる。他方、受信側装置であるナビゲーション装置12は、フレーム開始信号VDを受信した後、基準待機時間T0と遅延時間T1との差である差分ΔT経過したタイミングで、磁界発生を開始させる。T0とT1の差分ΔTに基づいて同期をとるため、処理が簡便である。なお、基準待機時間T0は、遅延時間T1に対して十分長い時間が設定されることが好ましい。というのも、同期信号中継装置の機種によって遅延時間T1は変動することが考えられる。遅延時間T1が変動した場合でも、基準待機時間T0を長く設定しておけば、遅延時間T1の変動分を吸収することができるからである。
また、基準待機時間T0は、メモリ71Aおよびメモリ58Aに格納されており、磁界発生制御部71および磁界測定制御部58を含む磁界測定部は、メモリ71Aおよびメモリ58Aのそれぞれから基準待機時間T0を読み出すことにより取得する。そのため、磁界発生制御部71および磁界測定部の間で、基準待機時間T0を通信する必要が無く、構成を簡便にすることができる。なお、基準待機時間T0を格納するメモリを、送信側装置と受信側装置のそれぞれに設けなくてもよく、各装置からアクセス可能な共有メモリを1つ設けて、共有メモリ内に基準待機時間T0を格納しておいてもよい。
なお、本例のナビゲーション装置12のように同期信号を受信する受信側装置は、同期信号の一例であるフレーム開始信号VDに加えて、基準待機時間T0を送信側装置の一例である内視鏡10から、同期信号中継装置の一例である光源装置11を経由する通信により取得してもよい。この場合には、例えば、磁界測定制御部58が、基準待機時間T0を、磁界測定データ55と同様に、画像信号出力部59に出力する。そして、画像信号出力部59が、フレーム画像信号61に基準待機時間T0を付加して出力する。これにより、受信側装置は、同期信号の一例であるフレーム開始信号VDに加えて、基準待機時間T0を、通信により取得するため、受信側装置においては、基準待機時間T0を格納するメモリ71Aが不要になる。
また、本例の内視鏡システム9では、フレーム画像信号61に含まれるフレーム開始信号VDを同期信号として利用することにより、画像信号出力部59を同期信号生成部として機能させている。そのため、画像信号出力部59を同期信号生成部として兼用できるため、同期信号を生成する専用部品が不要になり、構成の簡略化が可能である。しかも、フレーム画像信号61に含まれる信号を同期信号として利用することにより、同期信号の送信経路をフレーム画像信号61の送信経路と兼用することができる。その意味でも、構成の簡略化が可能である。
上記例では、本開示の内視鏡システム9の効果として、同期信号中継装置の機種の変更に伴って、中継の際に生じる同期信号の遅延時間T1が変化した場合に有効である旨、説明した。しかし、例えば、図12に示すように、同期信号中継装置自体に変更はないが、同期信号中継装置の動作モードが複数有り、各動作モードの切り替えによって遅延時間T1が変更される場合にも、本開示の内視鏡システム9は有効である。
図12に示す内視鏡システム9は、同期信号中継装置の一例である光源装置11以外の構成は、上述の内視鏡システム9と基本的に同様であるため、同様の構成については説明を省略して、相違点を中心に説明する。図12において、光源装置11は、動作モード変更部11Aを備えている。動作モードが変更されると、例えば、同期信号(一例としてフレーム開始信号VD)を中継する際に生じる遅延時間T1が、遅延時間T2に変化する。
遅延時間出力部62Bは、動作モードの変更に応じて、遅延時間T1またはT2を選択的に出力する。画像信号再出力部62Cは、遅延時間T1またはT2のうち、入力されたいずれかをフレーム画像信号61に付加して、受信側装置の一例であるナビゲーション装置12に送信する。ナビゲーション装置12において、磁界発生制御部71は、送信された遅延時間T1またはT2に基づいて、基準待機時間T0との差である、差分ΔT1または差分ΔT2を算出する。そして、磁界発生制御部71は、算出した差分ΔT1または差分ΔT2に基づいて、磁界発生の開始タイミングを制御する。
このように、同期信号中継装置の動作モードに応じて、同期信号の遅延時間が変化した場合でも、送信側装置および受信側装置については、上記例と同様に、遅延時間の再設定作業などは不要である。このように、同期信号中継装置を変更しない場合でも、本開示の技術は有効である。
「第2実施形態」
図9から図11に示す第1実施形態の内視鏡システム9は、同期信号中継装置の一例である光源装置11が、受信側装置の一例であるナビゲーション装置12に対して遅延時間T1を送信し、かつ、ナビゲーション装置12は、遅延時間T1に基づいて、磁界発生の開始タイミングを制御する。これに対して、図13から図16に示す第2実施形態の内視鏡システム90は、同期信号中継装置の一例である光源装置11が、送信側装置の一例である内視鏡10に対して遅延時間T1を送信し、かつ、内視鏡10は、遅延時間T1に基づいて、磁界測定の開始タイミングを制御する。
図13に示すように、第2実施形態の内視鏡システム90は、基本的な構成は、第1実施形態の内視鏡システム9とほぼ同様であるので、相違点を中心に説明し、同一部分については同一符号を付して、説明を省略する。
第2実施形態の内視鏡システム90においても、第1実施形態と同様に、光源装置11は、内視鏡10から受信したフレーム画像信号61に対してノイズ除去部62Aが処理を実行する。そして、その後、画像信号再出力部62Cが、同期信号(フレーム開始信号VD)を含むフレーム画像信号61をナビゲーション装置12に送信する。しかし、第2実施形態の内視鏡システム90においては、第1実施形態と異なり、遅延時間出力部62Bは、内視鏡10から同期信号を含むフレーム画像信号61を受信すると、ナビゲーション装置12に対してではなく、内視鏡10に対して遅延時間T1を送信する。
内視鏡10は、遅延時間T1を受信した後、遅延時間T1に基づいて磁界測定の開始タイミングを制御する。一方、ナビゲーション装置12は、同期信号の一例であるフレーム開始信号VDを受信した後、フレーム開始信号VDに基づいて磁界発生の開始タイミングを制御する。
具体的には、内視鏡10において、磁界測定制御部58は、遅延時間T1を受信後、直ちにタイマ58Bによる計時を開始する。そして、磁界測定制御部58は、遅延時間T1が経過したタイミングで、検出コイル25を用いた磁界測定を開始させる。一方、ナビゲーション装置12の磁界発生制御部71は、フレーム開始信号VDを受信後、メモリ71A内に予め設定されたオフセット時間αをタイマ71Bにセットして、タイマ71Bによる計時を開始する。そして、磁界発生制御部71は、オフセット時間αが経過したタイミングで、磁界発生器13の磁界発生を開始させる。
図14に示すように、オフセット時間αは、送信側装置としての内視鏡10が、光源装置11の信号中継部62に対して、同期信号としてのフレーム開始信号VDを含むフレーム画像信号61を送信後、信号中継部62の遅延時間出力部62Bからの遅延時間T1を内視鏡10が受信するまでの時間である。
図14および図16に示すように、内視鏡10において、磁界測定制御部58は、遅延時間T1を受信後に、タイマ58Bによって遅延時間T1の計時を開始させる。タイマ58Bにおいて計時を開始する時点は、内視鏡10が同期信号(フレーム開始信号VD)を含むフレーム画像信号61の送信開始時点を基準にすると、既にオフセット時間αが経過している。そのため、タイマ58Bによって遅延時間T1が経過したタイミングでは、フレーム画像信号61の送信開始時点を基準にすると、遅延時間T1にオフセット時間αを加えた合計時間が経過していることになる。
一方、ナビゲーション装置12は、図14および図15に示すように、内視鏡10のフレーム画像信号61の送信開始時点を基準にすると、遅延時間T1だけ遅れて、内視鏡10からの同期信号(フレーム開始信号VD)を受信する。そのため、ナビゲーション装置12において、磁界発生制御部71は、オフセット時間αの経過を待って、磁界発生を開始させる。
このように、送信側装置の一例である内視鏡10において、磁界測定制御部58は、同期信号中継装置の一例である光源装置11から遅延時間T1を受信後、遅延時間T1が経過したタイミングで、磁界測定を開始させる。一方、受信側装置の一例であるナビゲーション装置12において、磁界発生制御部71、同期信号の一例であるフレーム開始信号VDを受信後、オフセット時間αが経過したタイミングで、磁界発生を開始させる。
このような第2実施形態の内視鏡システム90においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、内視鏡システム90においても、光源装置11が、遅延時間T1を、送信側装置の一例である内視鏡10に送信する機能を有していれば、光源装置11の機種が変更された場合でも、内視鏡10およびナビゲーション装置12における遅延時間の設定変更作業を行う必要がない。
また、第2実施形態の内視鏡システム90において、送信側装置の一例である内視鏡10において、磁界測定制御部58は、遅延時間T1を受信後、遅延時間T1が経過したタイミングで、検出コイル25を用いた磁界測定を開始させる。受信側装置の一例であるナビゲーション装置12は、同期信号の一例であるフレーム開始信号VDを受信後、オフセット時間αが経過したタイミングで、磁界発生器13の磁界発生を開始させる。このため、送信側装置と受信側装置のそれぞれにおいて、遅延時間T1およびオフセット時間αの計時という簡便な処理によって、同期をとることが可能である。
なお、第2実施形態において、オフセット時間αは「0」でもよい。すなわち、図13および図14に示すように、オフセット時間αは、内視鏡10からのフレーム画像信号61の光源装置11への送信開始時点から、光源装置11の遅延時間出力部62Bからの遅延時間T1を内視鏡10が受信するまでの時間である。そのため、オフセット時間αが無視できる程度に小さければ、α=「0」と設定してもよい。第1実施形態において説明したとおり、遅延時間T1は、一例として、光源装置11において、フレーム画像信号61に対する処理に起因する時間である。
そのため、フレーム画像信号61と遅延時間T1とを送受信する時間程度であれば、無視できる場合も多い。もちろん、第2実施形態においても、内視鏡10と光源装置11との通信は、光通信によって行われる。光通信は、金属製の信号線による通信時間と比較すれば、時間が多くかかると考えられる。光通信による遅延が無視できない場合は、その遅延を考慮して、オフセット時間αが設定される。
(変形例およびその他)
第1実施形態の内視鏡システム9においては、同期信号を中継する際に生じる遅延時間を、同期信号に加えて、受信側装置としてのナビゲーション装置12に送信する同期信号中継装置としての光源装置11を備えており、受信側装置としてのナビゲーション装置12は、遅延時間に基づいて磁界発生の開始タイミングを制御する。また、第2実施形態の内視鏡システム90においては、遅延時間を、送信側装置としての内視鏡10に送信する同期信号中継装置としての光源装置11を備えており、送信側装置としての内視鏡10は、遅延時間に基づいて磁界測定の開始タイミングを制御する。
これらの態様以外でも、例えば、同期信号中継装置から、送信側装置および受信側装置の両方に対して遅延時間を送信し、かつ、送信側装置および受信側装置の両方が、遅延時間に基づいて、磁界発生または磁界測定の開始タイミングを制御してもよい。
すなわち、第1実施形態および第2実施形態の態様に限らず、送信側装置と受信側装置の少なくとも一方に送信する同期信号中継装置とを備えており、送信側装置および受信側装置のうちの少なくとも一方は、遅延時間に基づいて、磁界発生または磁界測定の開始タイミングを制御する内視鏡システムであればよい。これにより、磁界発生と磁界測定との同期信号を中継する同期信号中継装置を用いて、内視鏡のナビゲーションを行う場合において、中継の際に生じる遅延時間が変化した場合でも、煩雑な作業を行うことなく、同期信号の送信側と受信側とにおいて、同期をとることができる。
また、上記各実施形態は、信号中継部62をFPGAで構成する例で説明したが、FPGAの場合、プログラムの更新により、遅延時間が変化する場合もある。この場合でも、本開示の技術は有効である。この場合には、例えば、FPGAのプログラムの更新に伴って遅延時間T1も更新する。これにより、遅延時間出力部62Bは、更新された遅延時間T1を出力する。
また、上記各実施形態では、内視鏡10に、磁界測定制御部58を含む磁界測定部を配置し、ナビゲーション装置12に磁界発生制御部71を配置した例で説明したが、反対に、内視鏡10に磁界発生制御部71を配置して、ナビゲーション装置12に磁界測定部を配置してもよい。
また、上記各実施形態では、光源装置11を同期信号中継装置として機能させる例で説明したが、同期信号の送信側装置と受信側装置の間に配置される同期信号中継装置は、光源装置11でなくてもよく、例えば、プロセッサ装置14でもよい。
上記各実施形態では、内視鏡10のユニバーサルコード19のコネクタ34が1つのワンコネクタタイプであり、ライトガイド33の接続が必要な光源装置11と内視鏡10とがコネクタ34によって接続されている。しかし、ユニバーサルコード19に、光源装置11と接続するコネクタと、プロセッサ装置14と接続するコネクタとの2つのコネクタが設けられている2コネクタタイプの場合には、画像信号はプロセッサ装置14経由でナビゲーション装置12に送信される可能性が高い。その場合には、プロセッサ装置14が同期信号中継装置として機能する。また、光源装置11とプロセッサ装置14とが一体になっている装置を同期信号中継装置としてもよい。
また、光源装置11とプロセッサ装置14というように、同期信号中継装置が複数台あってもよい。この場合には、複数台の同期信号中継装置において生じる遅延時間を、各同期信号中継装置がそれぞれの遅延時間を送信側装置および受信側装置の少なくとも一方に送信してもよい。また、いずれかの同期信号中継装置が、複数台の同期信号中継装置の遅延時間の合計時間を送信側装置および受信側装置の少なくとも一方に送信してもよい。
上記各実施形態では、フレーム画像信号61に含まれるフレーム開始信号VDを同期信号として利用する例で説明したが、垂直ブランキング期間に含まれる信号以外の信号、例えば、水平同期信号などを同期信号として利用してもよい。また、フレーム画像信号61のヘッダ情報に同期信号を埋め込んで利用してもよい。
さらに、フレーム画像信号61に含まれる信号とは別の信号を同期信号として利用してもよい。この場合は、フレーム画像信号61とは別の送信経路が必要になる。
また、遅延時間として、同期信号中継装置における画像信号に対する処理に起因する遅延時間を例に説明したが、遅延時間が発生する原因は、画像信号に対する処理以外であってもよい。要するに、同期信号の中継に際して無視できない遅延が生じる場合は、遅延の原因にかかわらず、遅延時間として設定することが可能である。
また、上記各実施形態では、連続する2つのフレーム開始信号VD間において、各発生コイル39と各検出コイル25のすべての組み合わせに係る磁界測定結果を含む全磁界測定データを取得する例で説明したが、これに限定されない。例えば、3つ以上のフレーム開始信号VDが出力される周期で、全磁界測定データを取得してもよい。全磁界測定データの取得周期が長いほど、挿入部形状画像42の更新頻度は低下するが、挿入部形状画像42は、観察画像41と比較して高精細な画像は要求されていないため、観察画像41と比較して更新頻度が低下しても、挿入部形状画像42の場合は許容される。
また、上記各実施形態では、内視鏡10から光源装置11に対してフレーム画像信号61を光信号に変換して送信する内視鏡システム9を例に挙げて説明したが、内視鏡10と光源装置11とを金属製の信号線を介して電気的に接続して、フレーム画像信号61を電気信号のまま内視鏡10から光源装置11に送信する場合についても本発明を適用可能である。ただし、フレーム画像信号61の送信経路内に光通信の区間があることで、すべてが電気的に接続されている場合と比較して、遅延時間T1は大きくなりやすい。そのため、光通信を含んでいるシステムにおいては、本開示の技術は有効である。
上記各実施形態では、内視鏡10として大腸等の下部消化管の検査に用いられるものを例に挙げて説明したが、内視鏡10の種類および用途は特に限定されるものではない。上部消化管用の内視鏡10でよい。また、特に挿入部17の先端位置PTの検出を目的とする場合には軟性内視鏡だけでなく硬性内視鏡にも本発明を適用することができる。
また、上記各実施形態では、各発生コイル39が同じ周波数の磁界MFを発生する例で説明したが、各発生コイル39が発生する磁界MFの周波数が異なっていてもよい。ただし、上記例の内視鏡システム9のように、各発生コイル39が発生する磁界MFの周波数が同じ場合には、複数の磁界MF自体では、区別できない。そのため、複数の磁界MFのそれぞれの発生元の発生コイル39を区別するためには、発生タイミングをずらす他ない。そのため、各発生コイル39が発生する磁界MFの周波数が同じ場合には、本開示の技術のような同期信号を用いた同期方法が特に有効である。
また、上記各実施形態では、複数の発生コイル39と複数の検出コイル25とを有しているが、検出コイル25は少なくとも1つあればよい。例えば、挿入部17の先端部23に検出コイル25を1つだけ設けた内視鏡10を用いた内視鏡システム9に本開示の技術を適用してもよい。この場合でも、先端部23の現在位置を提示することができる。
上記各実施形態において、例えば、磁界測定制御部58、磁界発生制御部71、および信号中継部62といった各種の処理を実行する処理部(Processing Unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(Processor)を用いることができる。各種のプロセッサには、ソフトウェアを実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)に加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device :PLD)、および/またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、および/または、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
本明細書において、「Aおよび/またはB」は、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「Aおよび/またはB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、AおよびBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「および/または」で結び付けて表現する場合も、「Aおよび/またはB」と同様の考え方が適用される。
以上に示した記載内容および図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、および効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、および効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容および図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことはいうまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容および図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。