JP6995548B2 - 車椅子 - Google Patents
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Description
車椅子には大きく分けて折畳み式と固定式の二種類があり、通勤、通学、社会活動等を行う場合には堅牢性に優れる固定式の車椅子が使用されている。
一方、病院等の屋内での移動や屋内から車等への短距離の移動などでは手軽な折畳み式の車椅子が使用されている。また、車や電車等を利用して遠方に出掛ける場合、移動先で車椅子が必要になるが、固定式の車椅子を運搬することが困難であるため、折畳み式の車椅子が使用される。
特許文献1には、車椅子の構造体として左右の側枠と、これらを連結する座シート支持枠とを有し、座シート支持枠が折畳み可能とされた折畳み式の車椅子が開示されている。
これに対し、特許文献1には、パイプ材どうしを嵌合させる構造とすることで、溶接箇所を解消し、溶接による問題を解消することが示されている。
しかし、パイプ構造である限り、パイプどうしを接続する作業は解消されず、さらなる作業性の向上が求められていた。
また、左右の側枠においては、座シート支持枠や車輪、ブレーキ、手摺りなどの他の部材に対する多数の接続部分があるが、パイプによる枠組み構造では各々の取付位置の自由度を高めることが求められていた。
一方で、車椅子の構造体としては、その基本的な性能として、高耐荷重であって、かつ軽量であることが求められている。
左右の前記側部フレームは、それぞれ板状部材で一体に形成され、かつ所定部に部品取付部が穿設されていることを特徴とする。
本発明において、側部フレームを形成する板状部材としては、例えばアルミニウムやマグネシウムなどを主体とする軽合金製の板材を用いることが好ましい。金属材料を用いる場合には、側部フレームとしての形状とするために、素材となる板材に対し、削り出し加工を行うことが望ましい。あるいは、鋳造、鍛造ほかの加工によってもよい。板状部材としては、金属材料に限らず、カーボン繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)樹脂(商品名ザイロンなど)などで強化された繊維強化樹脂材料で成型された板材を用いてもよい。さらに、これらの金属材料および樹脂材料とを組み合わせて板状部材を形成してもよい。
本発明において、部品取付部は、側部フレームの表面に複数穿設しておくことが好ましい。そして、車いすの製造時には複数の部品取付部のうち、折り畳み状態や拡開固定状態、さらには子供用や大人用など、用途に応じた適切な位置のものを選択して使用することが望ましい。
図1は、本発明の一実施形態の車椅子1を示す斜視図である。図2は、図1の車椅子1からシートおよび背凭れの一部を取り外した状態を示す。
図1および図2において、車椅子1はフレーム2を有し、フレーム2は、左右一対の側部フレーム2A,2Bと、これらの内側どうしを互いに連結する連結ユニット2Cと、を有する。
フレーム2の左右外側(側部フレーム2A,2Bのそれぞれの外側)には主輪6A,6Bが設置され、その前側には方向変更可能な前輪7A,7Bが設置されている。これらの主輪6A,6Bおよび前輪7A,7Bにより、車椅子1は床面上を自由に走行可能である。側部フレーム2A,2Bには、それぞれ主輪6A,6Bを制動するブレーキ8A,8Bが設置されている。
交差アーム21,22の下側端部は、側部フレーム2A,2Bの内側に固定された一対の支持部材23により回動自在に支持されている。
交差アーム21,22の上側端部は、側部フレーム2A,2Bの内側に固定された支持部材24に着脱自在に支持されている。さらに、交差アーム21,22の上側端部は、先端を前述したシート取付部3A,3Bに接続されている。シート取付部3A,3Bは、側部フレーム2A,2Bの内側に固定された支持部材31,32に着脱自在に支持されている。
一方、シート取付部3A,3Bを支持部材31,32から離脱させ、交差アーム21,22の上側端部を支持部材24から離脱させ、支持部材23を支軸にして交差アーム21,22をそれぞれ起立させることで、側部フレーム2A,2Bを互いに近接させることができる。そして、側部フレーム2A,2Bを最も近づけた状態で、フレーム2としての幅が最小となり、これにより車椅子1を折り畳み状態とすることができる。
側部フレーム2A,2Bは、同じ輪郭形状の板材に対し、それぞれ内側表面(連結ユニット2Cに連結される側)および外側表面(主輪6A,6Bが設置される側)に同様の形状を加工したものであり、互いに面対称となっている。このため、以下には側部フレーム2Bについて詳細に説明し、側部フレーム2Aの説明は省略する。ただし、側部フレーム2Aについても、側部フレーム2Bで説明した通りの構成を有する。
連結リム25Dは、前述した前輪支持部25Bおよびシート支持部25Cを削り残す際に併せて削り残すことで、前輪支持部25Bおよびシート支持部25Cと一体に形成してもよい。
あるいは、連結リム25Dを別体に形成し、その両端を前輪支持部25Bおよびシート支持部25Cにボルト締めして固定してもよい。
前輪支持部25Bには、前輪7Bのほか、フットレスト5Bおよびブレーキ8Bが側部フレーム2Bの孔部に外側から挿入されたボルトで固定される。なお、ブレーキ8Bは、前輪支持部25Bに限らず、シート支持部25Cあるいは主輪支持部25Aにボルトで固着されてもよい。
シート支持部25Cには、シート取付部3Bの前部を支持する支持部材31が固定されている。シート取付部3Bの後部を支持する支持部材32は、主輪支持部25Aに支持されている。
部品取付部26Aは、シート支持部25Cに形成され、シート取付部3Bの前部を支持する支持部材31を固定するためのねじ孔として利用される。
部品取付部26Bは、主輪支持部25Aに形成され、連結ユニット2Cの上部を支持する支持部材24を固定するためのねじ孔として利用される。
部品取付部26Cは、主輪支持部25Aに形成され、シート取付部3Bの後部を支持する支持部材32を固定するためのねじ孔として利用される。
部品取付部26Dは、主輪支持部25Aに形成され、背凭れ4の後部フレーム4Bを固定するためのねじ孔として利用される。
部品取付部26Eは、主輪支持部25Aに形成され、主輪6Bの回転軸を支持する部材の取付孔として利用される。
部品取付部26Fは、主輪支持部25Aに形成され、連結ユニット2Cの下部を回動自在に支持する一対の支持部材23を固定するためのねじ孔として利用される。
部品取付部26Gは、前輪支持部25Bに形成され、前輪7Bを支持する部材の取付孔として利用される。
部品取付部26Hは、前輪支持部25Bに形成され、フットレスト5Bを支持する部材の取付孔として利用される。
本実施形態では、左右の側部フレーム2A,2Bが、それぞれ板状部材で一体に形成されるため、従来のパイプ接続のような煩雑さを解消でき、製造時の作業性を向上できる。
また、側部フレーム2A,2Bが板状であるため、表面に形成される部品取付部26A~26Hの位置を任意に設定でき、設計自由度を高めることができる。
本実施形態では、側部フレーム2A,2Bを形成する板状部材として、例えばアルミニウムやマグネシウムなどを主体とする軽合金製の板材を用いるとしたため、高耐荷重が得られるとともに、車椅子1の軽量化を図ることができる。さらに、側部フレーム2A,2Bとしての形状とするために、素材となる板材に対し、削り出し加工を行うとしたため、精度を確保でき、結果として組立て作業の円滑化も図ることができる。複数の部品取付部を穿設している分だけ軽量化を図ることができる。また、強度を要する部品取付部の周囲のみリブを形成することにより強度を確保し全体として軽量化を図ることができる。
前述した実施形態では、連結リム25Dを、側部フレーム2A,2Bの他の部分、つまり主輪支持部25A、前輪支持部25Bおよびシート支持部25Cと一体に削り出して形成した。しかし、連結リム25Dは、側部フレーム2A,2Bの他の部分と別体に形成し、ボルト締め付けなどにより一体化してもよい。
例えば、主輪支持部25A、前輪支持部25Bおよびシート支持部25Cを一体に削り出しておき、連結リム25Dを別途形成しておく。連結リム25Dの両端部にボルト孔を形成し、前輪支持部25Bおよびシート支持部25Cにもボルト孔を形成し、各々を貫通するボルトナットで締め付け固定するようにしてもよい。
前述した実施形態では、連結リム25Dを直線的に形成していたが、途中に屈曲部があるものとしてもよく、全体に湾曲した形状であってもよく、前輪支持部25Bおよびシート支持部25Cを連結して各々の剛性を高め、側部フレーム2A,2Bとしての耐荷重を高められるものであればよい。
前述した実施形態において、側部フレーム2A,2Bの表面に形成される部品取付部26A~26Fの位置および形態は、実施にあたって適宜変更することができる。
また、側部フレーム2A,2Bに支持されるシート3、背凭れ4、フットレスト5A,5B、主輪6A,6B、前輪7A,7B、ブレーキ8A,8Bの配置や細部形状なども、実施にあたって適宜変更等することができる。
Claims (1)
- 左右の側部フレームと、前記側部フレームどうしを連結する連結ユニットと、を備えた車椅子であって、
左右の前記側部フレームは、それぞれ板材から削り出された板状部材で一体に形成され、かつ平面的に拡がる前記板状部材の表面の所定部に部品取付部が穿設されているとともに、
前記側部フレームは、主輪が支持される主輪支持部と、前記主輪支持部の下部から前方へ延びかつ前輪が支持される前輪支持部と、前記主輪支持部の上部から前方へ延びかつシートを支持するシート支持部と、前記前輪支持部と前記シート支持部とを連結する連結リムとを有することを特徴とする車椅子。
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