JP6995186B2 - 効果付与装置および制御方法 - Google Patents
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Description
この課題に対応するため、例えば、特許文献1に記載の効果付与装置では、エフェクトユニットをパイパスして原音を出力する経路を設け、効果の切り替え操作が行われた場合に、エフェクトユニットから出力される音声を一時的に絞って原音を出力し、効果を変更した後に元に戻すクロスフェード制御を行っている。
入力された音声に効果を付与する複数のエフェクトユニットと、前記複数のエフェクトユニットに適用するパラメータの集合を含むパッチを複数記憶する記憶手段と、前記パッチの指定を受け付ける入力手段と、指定された前記パッチに含まれるパラメータを前記複数のエフェクトユニットに適用する適用手段と、前記複数のエフェクトユニットに適用されたパラメータに従って効果が付与された後の音声を出力する出力手段と、前記パッチの指定の変更によって効果の種類が変更されるエフェクトユニットが前記複数のエフェクトユニット中にある場合に、出力される効果付与後の音声を一時的に消音するミュート手段と、を有することを特徴とする。
本発明に係る効果付与装置は、複数のエフェクトユニットに適用するパラメータの集合を含むパッチを複数記憶し、指定されたパッチに含まれるパラメータを、当該複数のエフェクトユニットに適用可能な構成をとる。
また、ミュート手段は、複数のエフェクトユニット中に、パッチの指定に伴って効果の種類が変更されるエフェクトユニットがあるか否かを判定し、ある場合に、出力される効果付与後の音声を一時的に消音する。消音は、エフェクトユニットごとに行ってもよいし、最終的な出力に対して行ってもよい。
そこで、本発明に係る効果付与装置では、複数のエフェクトユニットのうち、パッチの適用に伴って効果の種類が変更されるエフェクトユニットがある場合にのみ、ミュート処理を実行する。かかる構成によると、音声信号が不連続とならないケースを除外できるため、聴き手に与える違和感を最小限に抑えることができる。
また、前記パッチは、各エフェクトユニットの有効状態を指定する情報を含み、前記ミュート手段は、前記エフェクトユニットの有効状態を指定する情報にさらに基づいて前記消音の判断を行うことを特徴としてもよい。
エフェクトユニットが配置されたチャネルの有効/無効を指定できる場合、チャネルの状態によっては、当該エフェクトユニットからの音声が最終的に出力されないケースが生じうる。同様に、エフェクトユニット自体の有効/無効を指定できる場合、エフェクトユニットの状態によっては、当該エフェクトユニットからの音声が最終的に出力されないケースが生じうる。
よって、対象となるエフェクトユニットが配置されているチャネルの有効状態や、エフェクトユニット自体の有効状態にさらに基づいてミュート処理の有無を決定するようにしてもよい。
また、前記適用手段は、前記パッチの指定の変更前後において、有効状態が変更されるエフェクトユニットがある場合に、当該エフェクトユニットが無効である期間に前記パラメータの適用を行うことを特徴としてもよい。
以下、第一の実施形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係る効果付与装置は、入力された音声に対してデジタル信号処理による音響効果の付与を行い、効果付与後の音声を出力する装置である。
効果付与装置10は、音声入力端子200、A/Dコンバータ300、DSP100、D/Aコンバータ400、音声出力端子500を有して構成される。
音声入力端子200は、音声信号を入力する端子である。入力された音声信号は、A/Dコンバータ300によってデジタル信号に変換され、DSP100によって処理される。処理後の音声は、D/Aコンバータ400によってアナログ信号に変換され、音声出力端子500から出力される。
DSP100は、デジタル信号処理に特化したマイクロプロセッサである。本実施形態では、DSP100は、後述するCPU101の制御下で、音声信号の処理に特化した処理を行う。
ROM103に記憶されたプログラムがRAM102にロードされ、CPU101によって実行されることで、以降に説明する処理が行われる。なお、図示した機能の全部または一部は、専用に設計された回路を用いて実行されてもよい。また、図示した以外の、主記憶装置および補助記憶装置の組み合わせによってプログラムの記憶ないし実行を行ってもよい。
図2は、ユーザインタフェース104の例である。本実施形態では、ユーザインタフェース104は、入力装置である操作盤と、出力装置である表示装置(ディスプレイ)からなる。符号104Aおよび104Dがディスプレイである。また、図中の矩形で示した図形は押しボタンであり、円形で示した図形は、回転させることで値の指定を行うツマミである。
(1)エフェクトユニットごとのパラメータの設定
本実施形態に係るDSP100は、入力された音声に対して効果の付与を行う論理的なユニット(以下、エフェクトユニット。必要に応じてFXと表記する)を含んでいる。エフェクトユニットは、所定のプログラムをDSP100が実行することで実現される。プログラムの割り当てと、当該プログラムが参照する係数の設定はCPU101が行う。
本実施形態では、FX1~FX4の4つのエフェクトユニットが利用可能であり、各エフェクトユニットに適用するパラメータ(付与される効果の種類や深さ等)を、符号104Cで示したインタフェースによって設定することができる。図3は、4つのエフェクトユニットにそれぞれ適用可能なパラメータの一覧である。
本実施形態に係るDSP100は、複数のエフェクトユニットの接続形態を設定することができる。
図4は、エフェクトユニットの接続形態を説明する図である。図中左側が入力側であり、右側が出力側である。例えば、図4(A)の例では、入力された音声信号に対してFX1とFX2でそれぞれ効果を付与し、ミックスした後、さらにFX3およびFX4によって効果を付与して出力する。また、図4(B)の例では、FX1とFX3によって効果を付与した音声と、FX2とFX4によって効果を付与した音声をミックスして出力する。このように、任意のパラメータを適用したエフェクトユニットを組み合わせることにより、所望の効果を得ることができる。
エフェクトユニットの接続形態はチェインとも呼ばれ、符号104Bで示したインタフェースによって変更することができる。例えば、ツマミによって、複数の接続形態の中から所望のものを選択することができる。図2の例では、符号104Dで示したディスプレイに、現在設定中のチェインがグラフィカルに表示される。
エフェクトユニットの接続形態によって複数の音声経路が構成される場合、どの経路を有効にするかを設定することができる。本実施形態では、符号104Eで示したインタフェース(押しボタン)によって、チャネルA、チャネルB、チャネルA+Bの三種類を指定することができる。例えば、図4(A)の例の場合、チャネルAを指定すると、FX1のみが有効になり、FX2が配置されている経路は切り離される。同様に、図4(B)の例の場合、チャネルAを指定すると、FX1およびFX3のみが有効になり、FX2およびFX4が配置されている経路は切り離される。
パッチとは、複数のエフェクトユニットに適用するパラメータの集合と、チェイン設定と、チャネル設定と、からなるデータの集合である。図5に、パッチに対応するデータ構造(パッチテーブル)を示す。
本実施形態に係る効果付与装置は、ユーザインタフェースを介して設定されたパラメータの集合をパッチとして複数記憶し、パッチを指定する操作を行った場合に、これらのパラメータを一括して適用する機能を有している。具体的には、符号104Fで示した押しボタンを押下することによってパッチを指定する。パッチが指定される(すなわち、P1~P4のいずれかのボタンが押下される)と、対応するパッチに含まれるパラメータが一括して適用される。すなわち、各エフェクトユニットのパラメータと、チャネル設定と、チェイン設定が一括して変更される。なお、パッチの内容設定(パッチテーブルの生成)と押しボタンへの関連付けは、予め行うようにしてもよい。
具体的には、設定されたチェインに基づいて、CPU101が、DSP100に記憶されたアドレステーブルを更新し、DSP100が、当該アドレステーブルを参照して順次サブルーチンを実行することで、入力された音声に対して効果の付与を行う。
なお、ここでは、DSP100に入力された音声信号はまずバッファ(buf)に格納され(符号601)、最終的にバッファに格納された音声信号が出力されるものとする(符号602)。また、図中の三角形は係数である。ここでは、係数に1が設定された場合に音声信号が通過するものとする。なお、係数は、公知の補間処理を伴い、設定された値に向かって徐々に変化させてもよい。
FXは、音声信号に対して指定された種類の効果を付与するエフェクトユニットに対応するサブルーチンであり、FX1~4の4つのエフェクトユニットに対して個別に用意される。FXは、エフェクトユニットごとに指定されたパラメータに対応する値に従って、音声信号に対して効果の付与を行う。また、FXには、書き換え可能なプログラムメモリが割り当たっており、効果の種類に応じたプログラムを、当該プログラムメモリにロードすることで効果の付与を行う。
また、FXには、図示したように、音声信号をバイパスする経路が設けられており、SWパラメータがOFFの場合に有効になる。すなわち、SWがONである場合に、SWon係数が1となり、SWoff係数が0となる。また、SWパラメータがOFFである場合に、SWon係数が0となり、SWoff係数が1となる。muteAlg係数については後述する。
dividerは、入力された音声信号を複製するサブルーチンである。具体的には、バッファの内容を一時メモリA(memA)にコピーする。dividerは、音声経路をチャネルAとチャネルBに分岐させる際に実行される。
なお、chA係数およびchB係数は、チャネル設定に基づいて設定される。具体的には、チャネルAが有効である場合にchA係数が1となり、chB係数が有効である場合にchB係数が1となる。チャネルA+Bが有効である場合、双方が1となる。
splitterは、バッファの内容をメモリBに退避し、メモリAの内容をバッファに読み込むサブルーチンである。splitterは、分岐したチャネルAの経路の最終段で実行される処理である。
mixerは、バッファの内容とメモリBの内容を加算(ミックス)するサブルーチンである。mixerは、チャネルAとチャネルBとの音声経路を統合する際に実行される処理である。
しかし、パッチを適用するタイミングで無条件にミュートを行うと、必要のないミュートが発生し、逆に聴き手に違和感を与えてしまうことがある。
例えば、図4(A)に示したチェインにおいて、チャネルBが有効となっており、かつ、パッチの適用によって、FX1のみに対して効果の種類が変更されたとする。この場合、FX2~4についてはミュートを行う必要がない。しかし、従来技術では、これを判定することができないため、結果として全てのエフェクトユニットについてミュートが行われてしまう。そして、これらのミュートが順次実行されると、結果として音声出力が断続を繰り返すこととなり、違和感の増大につながってしまう。
図8は、本実施形態に係るCPU101が実行する処理のフローチャートである。図8に示した処理は、新たなパッチが指定され、適用されるタイミング(パッチチェンジを行うタイミング)で開始される。
まず、ステップS111で、パッチの適用前後でチェインが変更されるか否かを判定する。ここで、チェインが変更される場合、音切れが発生すると判定する(ステップS112)。エフェクトユニットの接続関係が変わるため、音声信号が不連続となるためである。
まず、ステップS1131で、対象のエフェクトユニットについてTypeパラメータが変更されるかを判定する。ここで、変更が無い場合、処理はステップS1135へ遷移し、対象のエフェクトユニットに起因する音切れは発生しないと判定する。プログラムの読み込みが発生しないためである。
対象のエフェクトユニットが、チェイン上で有効である場合(有効→無効、有効→有効、無効→有効と変化する場合を含む)、処理はステップS1134へ遷移し、対象のエフェクトユニットに起因した音切れが発生すると判定する。
ステップS113Aで説明した処理は、FX2~4についても実行される。
そして、ステップS114において、全てのエフェクトユニットについて音切れが発生しないと判定されたか否かを判定する。この結果、全てのエフェクトユニットについて音切れが発生しないと判定された場合、処理はステップS115へ遷移し、最終的に音切れが発生しないと判定する。一つでも音切れが発生する場合、ステップS116へ遷移し、最終的に音切れが発生すると判定する。
以上で、ステップS11の処理が終了する。
ステップS11で音切れが発生すると判定された場合(ステップS12-Yes)、ステップS13において、ミュート処理が行われる。本ステップでは、図6に示したmute係数に0を設定することで消音を行う。ステップS11で音切れが発生しないと判定された場合(ステップS12-No)、処理はステップS14へ遷移する。
チャネルA:chA=1,chB=0
チャネルB:chA=0,chB=1
チャネルA+B:chA=1,chB=1
まず、ステップS171で、SWパラメータの適用を行う。具体的には、FXが利用する各係数に対して以下の値を設定する。
SWパラメータがONである場合:SWon=1,SWoff=0
SWパラメータがOFFである場場合:SWon=0,SWoff=1
なお、この際、対象のエフェクトユニットのmuteAlg係数に一時的に0を設定したのちに更新を行い、その後、係数を1に戻すようにしてもよい。
ステップS18では、ステップS13においてミュートが発生したか否かを判定し、発生中である場合に、当該ミュートの解除を行う(ステップS19)。具体的には、mute係数に1を設定する。
第一の実施形態では、ステップS1132およびS1133において、対象のエフェクトユニットから効果付与後の音が出力されない状態にあり、かつ、パッチの適用後においてもこれが変化しない場合に、音切れが発生しないと判定した。しかし、これ以外のケースであっても、対象のエフェクトユニットをミュートさせる必要がないケースが発生しうる。
図12(A)は、パッチの適用前後において、対象のエフェクトユニットから効果付与後の音が出力されない状態から、出力される状態に変更される場合の例である。効果付与後の音の出力有無は、例えば、SWパラメータ、チェイン設定やチャネル設定によって判定することができる。本ケースにおいて、対象のエフェクトユニットの効果の種類が変更される場合、第一の実施形態では、音切れが発生すると判定される。
しかし、本ケースの場合、効果付与後の音が出力されない期間(1)が存在するため、この期間においてTypeパラメータの適用を行えば、音切れが発生しない。
しかし、本ケースの場合も、効果付与後の音が出力されない期間(2)が存在するため、この期間においてTypeパラメータの適用を行えば、音切れが発生しない。
次に、ステップS1132Bにて、SWパラメータがOFFからONに変化するか否かを判定する。ここで肯定判定であった場合、図12(A)のケースに該当するため、Type更新種別をBに設定する。
次に、ステップS1133Bにて、対象のエフェクトユニットがチェイン上において無効から有効に変化するか否かを判定する。ここで肯定判定であった場合、図12(A)のケースに該当するため、Type更新種別をBに設定する。
その他のステップについては、第一の実施形態と同様である。
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本発明はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
また、ミュート中は完全に消音してもよいが、原音をバイパスする経路を設け、当該経路をアクティブにしてもよい。この際、例えば、公知技術にあるようなクロスフェード制御を行うようにしてもよい。
また、実施形態の説明では、DSPを用いた効果付与装置を例示したが、本発明は、DSP以外による効果付与装置に適用してもよい。
100:DSP
200:音声入力端子
300:A/Dコンバータ
400:D/Aコンバータ
500:音声出力端子
Claims (8)
- 入力された音声に効果を付与する複数のエフェクトユニットと、
前記複数のエフェクトユニットに適用するパラメータの集合と、各エフェクトユニットが配置されているチャネルの有効状態を指定する情報と、を含むパッチを複数記憶する記憶手段と、
前記パッチの指定を受け付ける入力手段と、
指定された前記パッチに含まれるパラメータを前記複数のエフェクトユニットに適用する適用手段と、
前記複数のエフェクトユニットに適用されたパラメータに従って効果が付与された後の音声を出力する出力手段と、
有効な前記チャネル上にあり、前記パッチの指定によって効果の種類が変更されるエフェクトユニットが前記複数のエフェクトユニット中にある場合に、前記パラメータを適用する前に、出力される音声を消音し、前記パラメータを適用した後で前記消音を解除するミュート手段と、
を有する、効果付与装置。 - 前記ミュート手段は、前記パッチの指定によって効果の種類が変更されるエフェクトユニットがあり、かつ、当該エフェクトユニットから、前記パッチの指定前のパラメータに従って効果が付与された音声が前記出力手段によって出力中である場合に、前記音声を一時的に消音する
ことを特徴とする、請求項1に記載の効果付与装置。 - 前記エフェクトユニットは、変更後の効果に対応するプログラムを読み込むことで前記効果の種類を切り替える
ことを特徴とする、請求項2に記載の効果付与装置。 - 前記適用手段は、前記パッチの指定の前後において、配置されているチャネルの有効状態が変更されるエフェクトユニットがある場合に、当該エフェクトユニットが配置されているチャネルが無効である期間に前記パラメータの適用を行う
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の効果付与装置。 - 前記パッチは、各エフェクトユニットの有効状態を指定する情報を含み、
前記ミュート手段は、前記エフェクトユニットの有効状態を指定する情報にさらに基づいて前記消音の判断を行う
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の効果付与装置。 - 前記適用手段は、前記パッチの指定の前後において、有効状態が変更されるエフェクトユニットがある場合に、当該エフェクトユニットが無効である期間に前記パラメータの適用を行う
ことを特徴とする、請求項5に記載の効果付与装置。 - 入力された音声に効果を付与する複数のエフェクトユニットを制御する制御方法であって、
前記複数のエフェクトユニットに適用するパラメータの集合と、各エフェクトユニットが配置されているチャネルの有効状態を指定する情報と、を含むパッチを取得する取得ステップと、
指定された前記パッチに含まれるパラメータを前記複数のエフェクトユニットに適用する適用ステップと、
有効な前記チャネル上にあり、前記パッチの指定によって効果の種類が変更されるエフェクトユニットが前記複数のエフェクトユニット中にある場合に、前記パラメータを適用する前に、出力される音声を消音し、前記パラメータを適用した後で前記消音を解除するミュートステップと、
を含む、制御方法。 - 請求項7に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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