[第1実施例]
図1は、この発明の第1実施例に係る注文システム10の構成の一例を示す図である。注文システム10は、ショッピングモール、イベント会場、高速道路のサービスエリアなど、多数の人間が集まる場所であり、いわゆるセルフサービスで商品(飲食物)を提供する店舗において適用される。
図1に示すように、注文システム10は、販売機12を含み、販売機12は注文管理装置14と有線または無線で通信可能に接続される。また、注文システム10は、複数の通知端末16を含み、客(図1では、客Xおよび客Y)が所持する通知端末16はそれぞれ注文管理装置14と無線通信可能に接続される。
たとえば、販売機12は、店舗内または店舗の近辺に設置される。注文管理装置14は、商品を準備する場所(たとえば、厨房)または商品を引き渡す場所に設置される。ただし、注文管理装置14のうち、表示装置54、入力装置56および印字装置62以外の装置(コンポーネント)は別の場所に設置されてもよい。
また、図1では省略するが、第1実施例の注文システム10では、使用していない(不使用の)複数の通知端末16は販売機12内に収納されており、後述するように、客が販売機12を用いて商品を注文した際に、通知端末16の端末情報を注文内容に紐付けた(関連付けた)当該通知端末16が食券とは別に販売機12から排出され、客に貸与される。
図2は図1に示す販売機12の電気的な構成の一例を示すブロック図である。図3は図1に示す注文管理装置14の電気的な構成の一例を示すブロック図である。図4は図1に示す通知端末16の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、販売機12は、制御装置20を含み、制御装置20は記憶装置22、タッチディスプレイ24、通信装置26、端末情報読取装置28、通知端末検知装置30、通知端末排出装置32、入出金装置34および印字装置36と通信可能に接続される。
制御装置20は、CPUのようなプロセッサ、ROMおよびRAMを含むコンピュータである。CPUは販売機12の全体的な制御を司る。ROMは不揮発性のメモリであり、ブートプログラムおよびBIOSなどのプログラムを記憶している。RAMは揮発性のメモリであり、CPUのワーク領域およびバッファ領域として使用される。
記憶装置22は、フラッシュメモリまたはHDDのような不揮発性のメモリであり、主記憶装置として機能し、制御装置20のCPUが実行するプログラム、プログラムの実行に必要なデータなどを格納する。たとえば、プログラムは、販売機12のオペレーティングシステムおよび販売のためのプログラム(販売制御プログラム)である。記憶装置22に記憶されたプログラムは、必要に応じて、制御装置20のRAMに展開されて実行される。
タッチディスプレイ24は、タッチパネルとディスプレイとが一体的に形成された装置である。タッチパネルとしては、静電容量方式のタッチパネルを用いることができ、ディスプレイとしては、LCDを用いることができる。
ただし、タッチパネルは静電容量方式に限定される必要はなく、抵抗膜方式などの他の方式のタッチパネルが用いられてもよい。また、ディスプレイもELディスプレイなどの他のディスプレイが用いられてもよい。
通信装置26は他の装置(ここでは、注文管理装置14)と有線または無線で通信するための通信モジュールである。たとえば、通信装置26は、LAN接続可能な有線または無線の通信モジュールである。端末情報読取装置28は、通知端末16に内蔵される無線タグ(ICタグ)16dの情報(端末情報)を読み取るための読取装置である。
なお、この第1実施例では、通知端末16にICタグ16dを内蔵し、このICタグ16dから端末情報を読み取るための読取装置を販売機12に設けるようにしたが、これは一例であり、限定されるべきでない。たとえば、通知端末16の表面に、端末情報として、バーコードまたはQRコード(登録商標)を付しておき、これを読み取るための読取装置を販売機12に設けるようにしてもよい。
通知端末検知装置30は反射型の光センサであり、販売機12の内部に収納されている通知端末16の有無を検知する。ただし、反射型の光センサに代えて、透過型の光センサを用いてもよい。また、通知端末16の表面に磁性塗料を塗布したり、金属板を貼り付けたりするなどした場合には、通知端末検知装置30として磁気センサを用いることもできる。ただし、金属板は通知端末16の内部に貼り付けてもよい。
通知端末排出装置32は、販売機12に収納された通知端末16を一台ずつ取り出し、取りだした通知端末16を読取位置に搬送し、さらに、通知端末16を販売機12から排出するための装置であり、たとえば、ベルト式またはプッシャー式の装置が用いられる。通知端末排出装置32の構成については後述することにする。
入出金装置34は、投入口(硬貨投入口120、紙幣投入口122)から投入される金銭(硬貨または/および紙幣)を受け付け、受け付けた金銭または釣銭を返却口126(硬貨返却口および紙幣返却口)から返却する装置である(図7参照)。また、入出金装置34は、投入された金銭の額(入金金額)を算出して、制御装置20に通知する。さらに、精算時には、制御装置20から釣銭の額が入出金装置34に通知される。ただし、釣銭が無い場合には、釣銭が無いこと(0円)が制御装置20から入出金装置34に通知される。この入出金装置34は、汎用の自動販売機で用いられる入出金装置であり、既に周知であり、本願発明の本質的な内容ではないため、構成等についての詳細な説明は省略することにする。
印字装置36は、制御装置20からの指示の下、食券およびレシートを印刷(印字)するためのプリンタであり、たとえば、感熱型のプリンタまたはサーマルインクジェットプリンタ(バブルジェット(登録商標)プリンタ)を用いることができる。この印字装置36は、汎用のPOSレジ等で用いられる印字装置であり、既に周知であり、本願発明の本質的な内容ではないため、構成等についての詳細な説明は省略することにする。
図3に示すように、注文管理装置14は、制御装置50を含み、制御装置50は、記憶装置52、表示装置54、入力装置56、通知端末呼出装置58、通信装置60および印字装置62と通信可能に接続される。
以下、各コンポーネントについて説明するが、販売機12に含まれるコンポーネントと同じコンポーネントについては簡単に説明することにする。このことは、後述する通知端末16についても同じ。
制御装置50は、CPU、ROMおよびRAMを含むコンピュータである。記憶装置52は、フラッシュメモリまたはHDDのような不揮発性のメモリであり、主記憶装置として機能し、制御装置50のCPUが実行するプログラム、プログラムの実行に必要なデータなどを格納する。たとえば、プログラムは、注文管理装置14のオペレーティングシステムおよび注文管理のためのプログラム(注文管理プログラム)である。
表示装置54は、LCDのようなディスプレイであり、入力装置56は、キーボードおよびコンピュータマウスである。ただし、入力装置56は、タッチパネルを備えていてもよい。たとえば、タッチパネルは表示装置54の表示面上に設けられたり、表示装置54と一体的に設けられたりする。
通知端末呼出装置58は、通知端末16と無線通信可能な装置であり、店員のようなユーザの操作に従って通知端末16に呼出信号を送信したり、通知端末16からの応答信号を受信したりする。たとえば、通知端末呼出装置58は、赤外線、Bluetooth(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)などの所定の通信方式の通信モジュールである。呼出信号は、通知端末16の識別情報(端末情報)および通知端末16の通知装置74を動作させるためのコマンドを含む信号である。応答信号は、呼出信号を受信したことを通知するための信号である。
通信装置60は他の装置(ここでは、販売機12)と有線または無線で通信するための通信モジュールである。たとえば、通信装置60は、LAN接続可能な有線または無線の通信モジュールである。印字装置62は、制御装置50の指示の下、注文伝票を印刷(印字)するためのプリンタであり、たとえば、感熱型のプリンタまたはサーマルインクジェットプリンタを用いることができる。
なお、注文管理装置14は汎用のパーソナルコンピュータまたはサーバを用いて構成することができ、かかる場合には、制御装置50、記憶装置52および通信装置60に代えて、パーソナルコンピュータまたはサーバが設けられる。
図4に示すように、通知端末16は制御装置70を含み、制御装置70は、記憶装置72、通知装置74、入力装置76および通信装置78と通信可能に接続される。
制御装置70は、CPU、ROMおよびRAMを含むコンピュータである。記憶装置72は、フラッシュメモリまたはHDDのような不揮発性のメモリであり、主記憶装置として機能し、制御装置70のCPUが実行するプログラム、プログラムの実行に必要なデータなどを格納する。たとえば、プログラムは、通知端末16のオペレーティングシステムおよび通知のためのプログラム(通知プログラム)である。
通知装置74は、第1実施例では、スピーカである。ただし、スピーカに代えて、または、スピーカとともに、LCDのようなディスプレイまたは/バイブレータが設けられてもよい。
入力装置76は、押しボタンである。たとえば、入力装置76は、通知端末16の電源をオン/オフしたり、通知装置74を停止させたりするのに使用される。
通信装置78は他の装置(ここでは、注文管理装置14)と無線で通信するための通信モジュールである。たとえば、通信装置78は、赤外線、Bluetooth(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)などの所定の通信方式の通信モジュールであり、上記の通知端末呼出装置58と同じ通信方式のものが採用される。
図5および図6は、図1に注文システム10を用いて客(たとえば、XまたはY)が商品を注文し、客に貸与した通知端末16を呼び出すまでの全体的な流れの概略を示す図である。以下、図7~図10を参照しながら、販売機12による注文の受け付け(客の商品選択)、精算、通知端末16の排出(貸与)および注文伝票の発行について詳細に説明するが、全体的な流れについては図5および図6を適宜参照されたい。また、図5および図6には、後述する、制御装置20に含まれるCPUによって実行される販売処理(図14~図16)および制御装置50に含まれるCPUによって実行される注文管理処理(図17)の対応する部分が点線枠を用いて示される。
図7は図1に示す販売機12の外観構成の一例を正面から見た図である。図7に示すように、販売機12は、前面の上側の半分にタッチディスプレイ24が設けられ、このタッチディスプレイ24の下方に、硬貨投入口120、紙幣投入口122、レシート排出口124、返却口126および通知端末排出口128が設けられる。ただし、硬貨投入口120、紙幣投入口122および返却口126は、上述した入出金装置34の一部である。また、通知端末排出口128は、上述した通知端末排出装置32の一部である。さらに、レシート排出口124は、上述した印字装置36の一部である。
タッチディスプレイ24には、商品を選択(注文)するための複数の選択ボタン24aが表示される(設けられる)。図7に示す例では、16個の選択ボタン24aが表示される。ただし、選択ボタン24aの数は提供可能な商品の数(種類)に応じて適宜変更可能である。また、選択ボタン24aの数が比較多い場合には、画面をスクロールすることにより、一画面に表示できない選択ボタン24aを選択可能に表示することもできる。
なお、図7に示す例では、選択ボタン24aには、図柄として、商品A、商品B、…のような文字列を記載してあるが、実際には、商品の名称または/および商品の画像(写真)とともに商品の金額が表示される。
また、選択ボタン24aの下方には、精算すること(精算処理の実行)を指示するためのボタン(精算ボタン)24bおよび注文を中止するためのボタン(中止ボタン)24cが表示されるとともに、精算ボタン24bの左方に、合計金額を表示するための表示領域24dが設けられる。
客は販売機12を用いて所望の商品を注文する。具体的には、客が所望の商品についての選択ボタン24aをオン(タッチ)すると、タッチした選択ボタン24aに対応する商品が注文される。ここでは、後述するように、注文リスト(図11(A)に示す注文内容テーブル)に、選択された商品が順次記入される。ただし、精算が終了するまでは、注文内容は確定しない。
また、客は硬貨投入口120または/および紙幣投入口122から硬貨または/および紙幣(金銭)を入金(投入)する。客は、商品を選択する前に金銭を入金しても良いし、商品を選択し終えてから金銭を投入してもよい。商品を選択し終えた後に、金銭を入金する場合には、たとえば、表示領域24dに表示された合計金額が参照される。
精算ボタン24bがタッチされ、入金された金額(入金金額)が合計金額以上である場合には、注文内容が確定され、注文内容および精算に関するレシートおよび食券がレシート排出口124から排出される。このとき、注文内容テーブルにおいて、今回の注文についての識別情報(注文番号)に対応して記述された注文内容が確定される。たとえば、注文番号はシリアル番号である。また、レシートと食券は、印字装置36によって印字されるが、別の用紙にそれぞれ印字されてもよいし、一枚の用紙に一緒に印字されてもよい。さらに、入金金額が合計金額を超えている場合には、精算が終了したとき(たとえば、レシートおよび食券が排出されるとき)に、釣銭が返却口126から返却される。
ただし、入金金額が合計金額以上でない場合には、入金金額が不足していることが客に報知される。たとえば、販売機12は、選択ボタン24aの一部または全部を消去し、消去した領域に、入金金額が不足していることのメッセージ(不足メッセージ)を表示したり、硬貨または紙幣を投入することを表現した画像(投入画像)を表示したり、不足メッセージおよび投入画像の両方を表示したりする。
また、精算が終了するまでに中止ボタン24cがタッチされた場合には、注文が中止され、注文内容がキャンセルされる。このとき、注文内容テーブルにおいて、今回の注文についての注文番号に対応して記述された注文内容が消去される。また、注文が中止された時点において、既に入金されている場合には、入金された金銭が返却口126から返却される。
また、注文内容が確定されると、レシートおよび食券が排出(または釣銭が返却)されると同時またはほぼ同時に、通知端末16が通知端末排出口128から排出され、客に貸与される。ただし、通知端末16が排出される前に、この通知端末16の識別情報(端末情報)が読み取られ、今回の注文内容(注文番号)と端末情報が紐付けられる。つまり、注文内容と通知端末16が紐付けられる。第1実施例では、端末情報は、通知端末16の表面に記載された識別番号である。
図8(A)は通知端末16の有無の検知、通知端末16の端末情報の読み取りおよび通知端末16の取り出し、搬送および排出のための機構の一例を説明するための図であり、図8(B)は図8(A)に示す機構において通知端末16の端末情報を読み取る場合の状態の一例を示す図である。
図8(A)および図8(B)に示すように、通知端末排出装置32は、収納部150を含み、収納部150の下方にベルト式の搬送部152が設けられる。搬送部152は、搬送ベルト152aおよび2つのローラ152bを備える。
収納部150は、断面が四角形の縦長の筒状であり、複数の通知端末16を収納可能に形成される。たとえば、収納部150の上端および下端は開放され、上端から通知端末16が補充される。また、収納部150の下端に配置される通知端末16は、搬送ベルト152aが回転されることにより、販売機12の前面側に搬送され、通知端末排出口128に排出される。この第1実施例では、通知端末16は、ICタグ16dが上方に配置されるように、収納部150に収納される。
搬送ベルト152aは、2つのローラ152bに張架され、2つのローラ152bが回転することにより、回転される。たとえば、2つのローラ152bのうちの一方が駆動ローラであり、他方が従動ローラである。通知端末16を一個ずつ取り出し、搬送および排出するように、駆動ローラを回転させるモータ(図示せず)が制御される。
図示は省略するが、搬送する距離が長い場合には、複数の通知端末16が取り出されてしまうのを防止するために、収納部150(販売機12)の前面側(図8(A)の左側)に、収納部150の下端部にシャッタ機構を設け、通知端末16を取り出すときにシャッタを開き、取り出した通知端末16の末尾が収納部150から出たときにシャッタを閉じるようにしてもよい。
また、搬送ベルト152aは、2本以上に分離されており、複数の搬送ベルト152aの間に通知端末検知装置30(の検知部)が配置される。したがって、通知端末検知装置30は、収納部150に通知端末16が収納されているかどうかを検知することができる。ただし、通知端末16が収納部150に収納されているかどうかは、販売機12によって商品の販売を開始する(客の注文を受け付ける)前に検知(確認)される。
また、収納部150の前面側であり、搬送ベルト152aの上方には、端末情報読取装置28が配置される。したがって、搬送ベルト152aによって搬送される通知端末16は、図8(B)に示すように、端末情報読取装置28に対向する位置(読取位置)において、ICタグ16dに記憶された端末情報が読み取られる。そして、上述したように、端末情報読取装置28で読み取られた端末情報が注文内容と紐付けられる。ただし、通知端末16に内蔵されるICタグ16dが端末情報読取装置28に対応する位置が読取位置である。
図9(A)は通知端末の有無の検知、通知端末の端末情報の読み取りおよび通知端末の取り出し、搬送および排出のための機構の他の例を説明するための図であり、図9(B)は図9(A)に示す機構において通知端末の端末情報を読み取る場合の状態の一例を示す図である。以下、通知端末を取り出し、搬送および排出するための機構の他の例について説明するが、図8(A)および図8(B)を用いて説明した内容と同じ内容については簡単に説明することにする。
図9(A)および図9(B)に示す例では、ベルトを用いた搬送部152に代えて、プッシャーを用いた搬送部160が設けられる。搬送部160は、プッシャー160aおよび搬送テーブル160bを含む。プッシャー160aは、販売機12の前面側および背面側に往復移動可能に構成される。たとえば、プッシャー160aは、送りねじ機構によって前面側および背面側に移動される。したがって、通知端末16は、プッシャー160aによって、搬送テーブル160b上を一台ずつ前面側に搬送される(押し出される)。
搬送テーブル160bの下方に通知端末検知装置30が設けられ、搬送テーブル160bの通知端末検知装置30(の検知部)に対向する位置には孔が形成される。ただし、孔の大きさは通知端末16の正面(背面)の大きさよりも小さくされる。
なお、通知端末16のICタグ16dに記憶された端末情報が端末情報読取装置28によって読み取られる点は図8(B)を用いて説明した場合と同様である。
また、通知端末16から端末情報が読み取られると、読み取られた端末情報が紐付けられた注文内容が注文管理装置14に送信される。注文管理装置14は、端末情報が紐付けられた注文内容を受信すると、印字装置62を用いて、端末情報(識別番号)および注文内容を印字した注文伝票が排出される。したがって、商品の提供者(店員)は注文伝票に従って商品を作る(準備する)。
なお、図6(図19も同じ)では、点線を用いて、注文された商品を作る(準備する)のに時間を要することを表現してある。したがって、客が釣銭を受け取ってから或る程度の時間が経過してから通知端末16が呼び出される。
注文伝票に表示されたすべての商品の準備ができると、店員は注文管理装置14の入力装置56を操作して、注文伝票に記載された端末情報を有する通知端末16を呼び出す。つまり、注文伝票に記載された端末情報を有する通知端末16の通知装置74を駆動させる信号(コマンド)が注文管理装置14から当該通知端末16に送信される。ただし、コマンドには、呼び出す通知端末16の端末情報が付加される。したがって、通知端末16は、自身の端末情報が付加されたコマンドを受信したことに応じて通知装置74を駆動させる。たとえば、通知音(呼出音)が出力される。
なお、通知端末16は、コマンドを受信した場合であっても、自身の端末情報が付加されていない場合には、コマンドに従う処理を実行しない。
また、呼び出し中の通知端末16の端末情報が表示装置54に表示される。たとえば、店員は、通知端末16と引き換えに商品を引き渡したときに、入力装置56を操作して、返却された通知端末16の端末情報を表示装置54から消去する。
図10は通知端末16の外観構成の一例を正面から見た図である。図10に示すように、通知端末16は客が所持可能な携帯端末であり、筐体16aには、通知端末16固有の端末情報(たとえば、識別番号)が印刷されたシール16bが貼り付けられる。ただし、シール16bを貼り付けることに代えて、筐体16aの表面に識別番号を印刷してもよい。また、筐体16aには、スピーカ孔16cが設けられ、スピーカ孔16cに対応する位置であり、筐体16aの内部に通知装置74(スピーカ)が設けられる。したがって、通知装置74から出力される通知音がスピーカ孔16cを介して筐体16aの外部に放出される。さらに、筐体16aの内部には、ICタグ(RFタグ)16dが設けられており、このICタグ16dはシール16bに印刷された識別番号と同じ識別番号または対応する情報が端末情報として記憶している。シール16bとスピーカ孔16cの間には、入力装置76(押しボタン)が設けられる。たとえば、入力装置76(押しボタン)が長押しされることにより、通知端末16の電源がオン/オフされ、短押しされることにより、通知装置74から出力される音が停止される。
なお、第1実施例では、シール16bとICタグ16dをそれぞれ設けるようにしてあるが、シール状のICタグを用いて、シールの表面に識別番号を印刷するようにしてもよい。
通知端末16(通知装置74)から通知音が出力されると、当該通知端末16を所持する客は、注文した商品が引き渡し可能であることを知り、店舗に商品を取りに行く。そして、客は、通知端末16を返却し、この通知端末16と引き換えに、注文した商品を店員から受け取る。
図11(A)は注文内容テーブルの一例を示す図であり、図11(B)は注文管理テーブルの一例を示す図である。第1実施例では、注文内容テーブルおよび注文管理テーブルのデータは、販売機12を構成する制御装置20のRAMに記憶される。
図11(A)に示すように、注文内容テーブルは、注文番号に対応して、注文内容が記述される。注文内容は、商品名、個数および小計(円)である。注文番号は、注文を識別するための識別情報であり、たとえば、注文毎に番号(注文番号)が昇順に付される。商品名は、注文された商品の名称(略称)である。個数は、対応する商品名の欄に記述された商品の注文数である。小計は、対応する商品名の欄に記述された商品の注文数に応じた金額である。
図11(A)に示す例では、注文番号1で示される注文においては、商品Aが1個注文され、商品Bが1個注文され、商品Dが2個注文され、それぞれの小計が、700円、500円、1200円であることが示される。また、注文番号2で示される注文においては、商品Cが1個注文され、商品Fが1個注文され、それぞれの小計が、600円、900円であることが示される。
注文内容テーブルは、注文毎に順次追加(記入)され、営業開始時刻、営業終了時刻または所定時刻のような所定のタイミングでリセットされる。また、注文内容テーブルに注文(選択)された商品が記入されるとき、今回の注文において、同じ商品が既に記入されている場合には、個数が1加算され、小計が個数分に変更される。
図11(B)に示す注文管理テーブルは、端末情報(端末番号)に対応して、注文番号が記述される。つまり、端末情報と注文番号が紐付けられる。ただし、図11(A)に示した注文内容テーブルでは、注文番号に対応して注文内容が記述されるため、端末情報(通知端末16)と注文内容が紐付けられているとも言える。
端末情報は、通知端末16の識別番号であり、この第1実施例では、各通知端末16に内蔵されるICタグ16dに記憶されるとともに筐体16aの表面に張り付けたシール16bに印字される。注文内容が確定したことに応じて通知端末16が排出されるときに、この通知端末16の端末情報(識別番号)が端末情報読取装置28によって読み取られ、今回の注文に対して付された注文番号と対応付けて注文管理テーブルに追記される。つまり、端末情報と注文番号が紐付けられる。この注文管理テーブルもまた、注文毎に順次追加され、営業開始時刻、営業終了時刻または所定時刻のような所定のタイミングでリセットされる。
ただし、通知端末16の個数には限りがあるため、リセットされるまでの間に同じ通知端末16が複数回使用されることがある。この場合、前回の注文については商品の引き渡しは完了していると考えることができる。したがって、端末情報および注文番号を注文管理テーブルに記述(追加)するときに、同じ端末情報が既に記述されている場合には、既に記述されている端末情報および注文番号が事前に消去される。ただし、既に記述されている端末情報および注文番号を事前に消去することに代えて、商品の引き渡し済みであることを示す情報(フラグ)を追記するようにしてもよい。
図12は図2に示した制御装置20に含まれるRAMのメモリマップ500の一例を示す図である。図12に示すように、RAMはプログラム記憶領域502およびデータ記憶領域504を含む。
プログラム記憶領域502は、販売機12の制御装置20に含まれるCPUによって実行されるプログラム(販売制御プログラム)を記憶し、販売制御プログラムは、メイン処理プログラム502a、通信プログラム502b、通知端末検知プログラム502c、注文受付プログラム502d、精算処理プログラム502e、端末情報読取プログラム502f、注文管理情報生成プログラム502g、注文内容送信プログラム502h、通知端末排出プログラム502iおよびレシート発行プログラム502jなどを含む。
メイン処理プログラム502aは、販売機12における販売処理のメインルーチンを実行するためのプログラムである。通信プログラム502bは、通信装置26を用いて、注文管理装置14などの他の装置(コンピュータ)と通信するためのプログラムである。
通知端末検知プログラム502cは、通知端末検知装置30からの出力に応じて収納部150に通知端末16が収納されているかどうかを判断するためのプログラムである。注文受付プログラム502dは、客の注文を受け付けるためのプログラムであり、具体的には、選択ボタン24aがタッチされたことに応じて、タッチされた選択ボタン24aに対応する商品の商品名、この商品の個数および小計を注文内容テーブルに記述するためのプログラムである。ただし、注文内容テーブルに商品名等が追加されるとき、後述する商品情報データ504aが参照され、タッチされた選択ボタン24aに対応する商品の商品名、各商品についての対価の額(小計)が決定(算出)される。
精算処理プログラム502eは、精算ボタン24bがタッチされたことに応じて、注文受付プログラム502dに従って注文を受け付けた商品についての合計金額を算出するとともに、精算を実行するためのプログラムである。ただし、精算処理プログラム502eは、精算を実行するときに、入出金装置34から通知される入金金額と合計金額を比較し、入金金額が合計金額に満たない場合には、入金金額の不足を客に通知し、入金金額が合計金額以上である場合には、釣銭の金額を算出して、入出金装置34に通知する。ただし、入金金額が合計金額以上である場合には、精算を終了し、このとき注文内容が確定される。
端末情報読取プログラム502fは、端末情報読取装置28に、販売機12から排出される通知端末16に内蔵されるICタグ16dに記憶された端末情報(端末番号)を読み取らせるためのプログラムである。
注文管理情報生成プログラム502gは、注文受付プログラム502dに従って受け付けた注文に従って、図11(A)に示したような注文内容テーブルにおいて、注文番号および注文内容を記述するためのプログラムである。
注文内容送信プログラム502hは、確定した注文内容に端末情報読取プログラム502fに従って読み取られた端末情報を紐付けて、端末情報を紐付けた注文内容(端末情報付注文内容データ)を注文管理装置14に送信するためのプログラムである。
通知端末排出プログラム502iは、精算処理プログラム502eに従って精算を実行し、精算を終了したときに、通知端末16を通知端末排出口128から排出するためのプログラムである。このとき、通知端末16は、収納部150から通知端末排出口128まで搬送されるが、搬送される途中において、端末情報読取プログラム502fに従って、端末情報読取装置28が通知端末16に内蔵されるICタグ16dから端末情報を読み取る。
レシート発行プログラム502jは、印字装置36を用いてレシートおよび食券を発行するためのプログラムである。レシートには、注文内容が確定された商品、商品の数、小計、合計、入金金額および釣銭の金額が印字される。食券には、注文内容が確定された商品および商品の個数が印字される。
なお、プログラム記憶領域502には、販売処理の実行に必要な他のプログラムも記憶される。
データ記憶領域504には、商品情報データ504a、注文内容データ504b、合計データ504c、入金金額データ504d、端末情報データ504eおよび注文管理データ504fが記憶される。
商品情報データ504aは、商品の対価についてデータである。具体的には、商品情報データ504aは、選択ボタン24aの識別情報(たとえば、表示領域など)に対応して、商品の商品名およびこの商品の対価の額が記述されたテーブルのデータである。
注文内容データ504bは、図11(A)に示したような注文内容テーブルのデータである。合計データ504cは、今回の注文についての合計金額のデータであり、注文内容データ504bを参照して、今回の注文についての小計を合計することにより得られる。
入金金額データ504dは、入出金装置34から通知される入金金額のデータである。端末情報データ504eは、端末情報読取プログラム502fに従って読み取られた通知端末16の識別情報(端末番号)についてのデータである。注文管理データ504fは、図11(B)に示したような注文管理テーブルのデータである。
なお、データ記憶領域504には、販売処理の実行に必要な他のデータが記憶されたり、販売処理の実行に必要なタイマ(カウンタ)およびフラグなどが設けられたりする。
図13は図2に示した制御装置50に含まれるRAMのメモリマップ600の一例を示す図である。図13に示すように、RAMはプログラム記憶領域602およびデータ記憶領域604を含む。
プログラム記憶領域602は、注文管理装置14の制御装置50に含まれるCPUによって実行されるプログラム(注文管理プログラム)を記憶し、注文管理プログラムは、メイン処理プログラム602a、通信プログラム602b、注文伝票排出プログラム602cおよび呼出プログラム602dなどを含む。
メイン処理プログラム602aは、注文管理装置14における注文管理処理のメインルーチンを実行するためのプログラムである。通信プログラム602bは、通信装置60を用いて、販売機12などの他の装置(コンピュータ)と通信するためのプログラムである。
注文伝票排出プログラム602cは、印字装置62を用いて、販売機12から通知された注文内容(端末情報付注文内容データ604a)に従って、商品およびその個数と、この注文内容に紐付けられた端末情報を注文伝票に印字して、排出するためのプログラムである。
呼出プログラム602dは、通知端末呼出装置58を用いて、店員などの操作に応じて指定された通知端末16に呼出信号を送信し、呼出信号を送信した通知端末16からの応答信号を受信するためのプログラムである。
なお、プログラム記憶領域602には、販売処理の実行に必要な他のプログラムも記憶される。
データ記憶領域604には、端末情報付注文内容データ604a、および端末情報データ604bが記憶される。
端末情報付注文内容データ604aは、販売機12から通知された端末情報を紐付けた注文内容についてのデータである。端末情報を紐付けた注文内容は、時系列に従って順に記憶され、たとえば、注文された商品を客に手渡した(提供した)ときに店員の操作に従って削除される、または、提供済みであることが識別可能なフラグを付される。
端末情報データ604bは、通知端末16を呼び出す際に店員のようなユーザが指定した端末情報についてのデータである。また、端末情報データ604bは、通知端末16を呼び出した順に記憶され、たとえば、注文された商品と引き換えに返却された通知端末16を受け取ったときに店員の操作に従って削除される。
なお、データ記憶領域604には、注文管理処理の実行に必要な他のデータが記憶されたり、注文管理処理の実行に必要なタイマ(カウンタ)およびフラグなどが設けられたりする。
図14~図16は図2に示した販売機12を構成する制御装置20に内蔵されるCPUによって実行される販売処理の一例を示すフロー図である。図17は図3に示した注文管理装置14を構成する制御装置50に内蔵されるCPUによって実行される注文管理処理の一例を示すフロー図である。図17に示す注文管理処理は、図14~図16に示す販売処理と並行して実行される。
販売機12の電源がオンされ、図14に示すように、制御装置20のCPUは販売処理を開始すると、ステップS1で、初期化処理を実行する。ここでは、CPUは各種のデータを初期化する。ただし、注文内容データ504bおよび注文管理データ504fは、販売処理を開始したときに一度だけ初期化されるが、それ以降の処理では初期化されない。
次のステップS3では、通知端末16が有るかどうかを判断する。ここでは、制御装置20のCPUは、通知端末検知装置30を制御して通知端末16の有無を検知させ、通知端末検知装置30の検知結果に基づいて、通知端末16が収納部150に収納されているかどうかを判断する。
ステップS3で“NO”であれば、つまり、通知端末16が無ければ、ステップS5で、通知端末16の補充を報知して、ステップS1に戻る。たとえば、ステップS5では、通知端末16を補充するべきであることを示すメッセージがタッチディスプレイ24に表示される。このとき、操作ボタン(24a~24c)および表示領域24dはタッチディスプレイ24に表示されない。ただし、販売機12にスピーカ(音出力手段)を設ける(接続する)場合には、通知端末16を補充するべきであることを示す音または音声(合成音声)を出力するようにしてもよい。また、メッセージの表示と、音または音声の出力の両方を実行するようにしてもよい。
一方、ステップS3で“YES”であれば、つまり、通知端末16が有れば、ステップS7で、操作ボタン(24a~24c)を操作可能に設定する。ここでは、制御装置20のCPUは、操作ボタン(24a~24c)をタッチディスプレイ24に表示していない状態から表示した状態に変更する。または、制御装置20のCPUは、制御装置20のCPUは、操作ボタン(24a~24c)をタッチディスプレイ24に表示した状態において、タッチパネルのタッチ検出を無効から有効に変更する。これらは例示であり、他の方法が採用されてもよい。
次のステップS9では、商品選択があるかどうかを判断する。つまり、いずれかの選択ボタン24aがタッチされたかどうかを判断する。ここでは、制御装置20のCPUは、タッチディスプレイ24から入力されたタッチ位置がいずれかの操作ボタン(24a~24c)の表示領域に含まれるかどうかを判断する。ただし、タッチディスプレイ24からタッチ位置が入力されていない場合にも、商品選択が無いと判断される。以下、他の操作ボタン(24b、24c)が操作されたかどうかを判断する場合についても同様である。
ステップS9で“NO”であれば、つまり、商品選択が無い場合には、図15に示すステップS17に進む。一方、ステップS9で“YES”であれば、つまり、商品選択が有る場合には、ステップS11で、今回選択された商品を注文内容テーブルに記入し、ステップS13で、合計金額を計算(更新)し、そして、ステップS15で、合計金額を表示領域24dに表示(表示変更)して、ステップS17に進む。
なお、制御装置20のCPUは、ステップS11で、注文内容テーブルに選択された商品を記入するとき、商品情報データ504aを参照する。また、注文テーブルに選択された商品が記入されると、注文内容データ504bが更新される。
また、制御装置20のCPUは、ステップS13で、合計金額を計算するとき、図11(A)に示したような商品内容テーブルを参照する。また、合計金額が計算されたとき、合計データ504cが更新される。
図15に示すように、ステップS17では、精算かどうかを判断する。ここでは、制御装置20のCPUは、精算ボタン24bがタッチされたかどうかを判断する。ステップS17で“NO”であれば、つまり、精算でなければ、ステップS19で、中止かどうかを判断する。ここでは、制御装置20のCPUは、中止ボタン24cがタッチされたかどうかを判断する。
ステップS19で“NO”であれば、つまり、中止でなければ、図14に示したステップS9に戻る。一方、ステップS19で“YES”であれば、つまり、中止であれば、ステップS21で、中止処理を実行して、図14に示したステップS1に戻る。ステップS21では、中止ボタン24cがタッチされるまでの注文内容がキャンセルされるとともに、客が金銭を入金している場合には、入出金装置34を制御して、入金金額に対応する金銭を返却する。なお、制御装置20のCPUは、客が金銭を入金しているかどうかを、入金金額データ504dを参照して判断する。
また、ステップS17で“YES”であれば、つまり、精算であれば、ステップS23で、入金金額が合計金額以上であるかどうかを判断する。ここでは、制御装置20のCPUは、入金金額データ504dに対応する入金金額が、合計データ504cに対応する合計金額以上であるかどうかを判断する。
ステップS23で“YES”であれば、つまり、入金金額が合計金額以上であれば、図16に示すステップS27に進む。一方、ステップS23で“NO”であれば、入金金額が合計金額未満であれば、ステップS25で、入金金額の不足を客に報知して、ステップS17に戻る。制御装置20のCPUは、ステップS25で、入金金額が不足していることと、不足分を入金するべきことを示すメッセージをタッチディスプレイ24に表示する。したがって、客は入金金額が不足していることを知り、金銭を入金したり、注文を中止したりする。
図16に示すステップS27では、通知端末排出装置32を制御して、通知端末16を読取位置まで搬送する。つまり、制御装置20のCPUは通知端末排出装置32を制御して、未使用の通知端末16を収納部150から一個取り出し、取り出した通知端末16を読取位置まで搬送する。
次のステップS29では、端末情報読取装置28を制御して、通知端末16の端末情報を読み取る。制御装置20のCPUは、読み取った端末情報に対応する端末情報データ504eをRAMに記憶する。続いて、ステップS31では、通知端末16の端末情報に注文番号を紐づけて注文管理テーブルに登録(記述)する。このとき、制御装置20のCPUは、通知端末16の端末情報が注文テーブルに既に記述されている場合には、既に記述されている端末情報およびこれに対応する注文番号を事前に消去する。
続くステップS33では、通知端末16の端末情報を紐付けた注文内容(端末情報付注文内容)を生成し、注文管理装置14に送信する。このとき、制御装置20のCPUは、端末情報データ504eが示す端末情報を取得する。また、制御装置20のCPUは、注文管理テーブルを参照して、取得した端末情報に対応して記述された注文番号を取得する。さらに、制御装置20のCPUは、注文内容テーブルを参照して、取得した注文番号に対応して記述された注文内容を取得する。そして、制御装置20のCPUは、取得した端末情報を取得した注文内容に紐付ける。
続いて、ステップS35では、注文管理装置14から応答通知を受信したかどうかを判断する。ステップS35で“NO”であれば、つまり、注文管理装置14から応答通知を受信していなければ、ステップS35に戻って、応答通知の受信を待機する。一方、ステップS35で“YES”であれば、つまり、注文管理装置14から応答通知を受信すれば、ステップS37で、通知端末排出装置32を用いて、通知端末16を排出する。
なお、ステップS33およびステップS35の処理を実行するとき、制御装置20のCPUは、通信プログラム502bに従って、通信装置26を用いて注文管理装置14との間で通信する。
次のステップS39では、レシートを発行する。ここでは、制御装置20のCPUは、印字装置36を制御して、注文内容、入金金額および釣銭の金額を印字したレシートを排出する。そして、ステップS41で、入出金装置34を制御して、釣銭を返却して、ステップS1に戻る。ただし、制御装置20のCPUは、ステップS39において、入金金額から合計金額を引いた額を釣銭として算出する。また、釣銭が無い場合には、ステップS41の処理は実行されずに、ステップS1に戻る。
なお、通知端末16を排出し、釣銭を返却すると同時またはほぼ同時に、タッチディスプレイ24に通知端末16および釣銭の取り忘れに注意するべき旨のメッセージを表示するようにしてもよい。
また、図17に示すように、注文管理装置14を構成する制御装置50のCPUは、注文管理処理を開始すると、ステップS71で、端末情報付注文内容データ604aを受信したかどうかを判断する。ステップS71で“NO”であれば、つまり、端末情報付注文内容データ604aを受信していなければ、ステップS79に進む。一方、ステップS71で“YES”であれば、つまり、端末情報付注文内容データ604aを受信すれば、ステップS73で、端末情報付注文内容データ604aをRAMのデータ記憶領域604に記憶する。次のステップS75では、応答通知を販売機12に送信する。
なお、ステップS71およびステップS75の処理を実行するとき、制御装置50のCPUは、通信プログラム602bに従って、通信装置60を用いて販売機12との間で通信する。
続いて、ステップS77では、注文伝票を発行する。ここでは、制御装置50のCPUは、印字装置62を制御して、端末情報付注文内容データ604aが示す端末情報および注文内容を印字した注文伝票を排出し、ステップS79に進む。なお、ステップS77において、注文伝票の印字および排出に成功したときに、たとえば、端末情報付注文内容データ604aは消去される。
ステップS79では、呼出指示が有るかどうかを判断する。ステップS79で“NO”であれば、つまり、呼出指示が無ければ、ステップS71に戻る。一方、ステップS79で“YES”であれば、つまり、呼出指示があれば、ステップS81で、呼出指示のあった通知端末16を呼び出して、ステップS71に戻る。ステップS81では、制御装置50のCPUは、通知端末呼出装置58を制御して、端末情報データ604bが示す端末情報を有する通知端末16に呼出信号を送信する。
なお、呼出指示があると、制御装置50のCPUは、呼出指示(呼出信号)に含まれる通知端末16の端末情報に対応する端末情報データ604bをRAMに記憶する。
図示は省略するが、通知端末16は、呼出信号を受信すると、自身の端末情報が付加されている場合には、通知装置74から通知音を出力する。これに応じて、客は、店舗に行き、通知端末16を返却し、通知端末16と引き換えに注文した商品を受け取る。店員は、返却された通知端末16の入力装置76を操作して、通知音の出力を停止する。また、店員は、注文管理装置14を操作して、返却された通知端末16の端末情報に対応する端末情報データ604bを消去する。
第1実施例によれば、販売機12で注文を受け付けたときに、販売機12内に収納された通知端末16の端末情報を注文内容に紐付けて注文管理装置14に送信するので、通知端末16を注文内容と紐付ける作業を行う店員を配置する必要がない。また、商品を手渡す店員がそのような作業を行う必要もない。
また、第1実施例によれば、販売機12で注文を受け付けたときに、販売機12内に収納された通知端末16の端末情報を注文内容に紐付けて当該通知端末16を販売機12から排出するので、レシートと同様に客に通知端末16を取らせることができる。このため、通知端末を客に手渡したす作業を行う店員を配置する必要がない。また、商品を手渡す店員がそのような作業を行う必要もない。
以上より、人権費の削減または労力の軽減を図ることができる。
[第2実施例]
第2実施例の注文システム10は、販売機12の構成が一部が異なる以外は、第1実施例の注文システム10と同じであるため、重複した説明は省略することにする。
図18および図19は、第2実施例の注文システム10を用いて客(たとえば、XまたはY)が商品を注文し、客に貸与した通知端末16を呼び出すまでの全体的な流れの概略を示す図である。以下、全体的な流れのうち、第1実施例と異なる内容について説明するが、図18および図19を適宜参照されたい。また、この図18および図19には、後述する、制御装置20に含まれるCPUによって実行される販売処理(図22~図24)の対応する部分が点線枠を用いて示される。
上述したように、第1実施例の注文システム10では、販売機12は、その内部に収納された不使用の複数の通知端末16から1つの通知端末16を取り出し、読み取り位置まで搬送し、搬送した通知端末16から端末情報を読み取り、読み取った端末情報を注文内容に紐付けた後に、この通知端末16を販売機12から排出するようにしてある。
これに対して、第2実施例の注文システム10では、不使用の複数の通知端末16は販売機12の近辺の机上に置かれていたり、壁面に設けた吊り下げボードに設けた複数のポケット(収納部)に収納されたりする。精算時に、客が不使用の通知端末16を手に取り、これを端末情報読取装置28の読取部28a(図21参照)に翳すことにより、この通知端末16の端末情報を読み取り、販売機12は、読み取った端末情報を注文内容に紐付けるようにしてある。
このように、端末情報を注文内容に紐付ける作業を客に任せるとともに、端末情報を読み取る際に通知端末16を客の手に取らせることができる。したがって、第2実施例においても、端末情報(通知端末16)と注文内容を紐付けたり、通知端末16を客に手渡したりする作業を行う店員を配置する必要がない。また、商品を客に引き渡す店員等がそのような作業を行う必要もない。
上記のようにするため、第2実施例の販売機12では、図20に示すように、図2に示した通知端末排出装置32が省略される。また、図21に示すように、通知端末排出口128が省略されるとともに、端末情報読取装置28の読取部28aがタッチディスプレイ24の右側に設けられる。
このように、第2実施例では、客に、不使用の通知端末16を取らせて、この通知端末16を端末情報読取装置28の読取部28aに翳させる必要があるため、精算ボタン24bがタッチされ、入金金額が合計金額以上であることが判断された場合には、不使用の通知端末16を手に取って端末情報読取装置28の読取部28aに翳すことを報知するためのメッセージ(紐付け動作メッセージ)がタッチディスプレイ24に表示される。
ただし、紐付け動作メッセージを表示することに代えて、または、紐付け動作メッセージの表示とともに、そのような動作を示す画像(複数枚の静止画像または動画像)をタッチディスプレイ24に表示するようにしてもよい。
また、通知端末16の端末情報を読み取れない場合には、そのことを報知するためのメッセージ(読取エラーメッセージ)がタッチディスプレイ24に表示された後に、紐付け動作メッセージがタッチディスプレイ24に表示されるとともに、端末情報の読み取りが再度実行される。
したがって、第2実施例では、図12に示した通知端末排出プログラム502iが削除され、紐付け動作メッセージおよび読取エラーメッセージなどを報知するためのプログラムが記憶される。また、第2実施例では、客が通知端末16を読取部28aに翳すため、端末情報読取プログラム502fに従って、端末情報を読み取れたかどうかを確認する処理も実行される。
なお、注文管理装置14を構成する制御装置50のCPUの注文管理処理は、第1実施例で示した内容と同じであるため、重複した説明は省略する。
具体的には、第2実施例では、販売機12を構成する制御装置20のCPUは、図22~図24に示す販売処理を実行する。この図22~図24に示す販売処理では、第1実施例の図14~図16の通信処理で示したステップS3、S5、S7、S27およびS37が省略される。これは、通知端末16が販売機12内に収納されないためである。また、ステップS23とステップS29との間において、ステップS101の処理が実行され、ステップS29とステップS31の間において、S103およびS105の処理が実行される。
なお、図22に示すステップS1、S3~S15、図23に示すステップS17~S25および図24に示すステップS29~S35、S39およびS41の各処理は第1実施例で説明したとおりであるため、重複した説明は省略する。
図23に示すステップS23で、入金金額が合計金額以上であることが判断されると、“YES”となり、図24に示すステップS101で、紐付け動作メッセージをタッチディスプレイ24に表示する。次のステップS29で、端末情報読取装置28を制御して、通知端末16の端末情報を読み取り、そして、ステップS103で、端末情報を読み取れたかどうかを判断する。ここでは、制御装置20のCPUは、端末情報データ504eがデータ記憶領域504に記憶されているかどうかを判断する。
ステップS103で“NO”であれば、つまり、端末情報を読み取れていない場合には、ステップS105で、読取エラーメッセージをタッチディスプレイ24に表示し、ステップS101に戻る。一方、ステップS103で“YES”であれば、つまり、端末情報を読み取れれば、ステップS31に進む。
第2実施例においても、第1実施例と同様に、人権費の削減または労力の軽減を図ることができる。
なお、第2実施例においては、販売機12の近辺に置かれた通知端末16を客に貸与するようにしたが、これに限定される必要はない。客が所持または所有するスマートフォンなどの携帯端末を通知端末16として使用することもできる。かかる場合には、客の所持または所有する携帯端末に通知端末16として機能するためのアプリケーションをインストールしておき、使用する際にそのアプリケーションが実行される。ただし、客の所持または所有する携帯端末は、注文管理装置14と通信する機能を有するとともに、注文管理装置14から呼び出されたことに応じて通知音を出力する機能を有する必要がある。また、かかる場合には、一例として、販売機12の端末情報読取装置28は、客の所持または所有する携帯端末の端末情報として、たとえば、携帯端末が備える通信機器のMACアドレスを読み取る機能を有するとともに、携帯端末が備える通信機器のMACアドレスを読取可能に販売機12に設けられる。また、注文管理テーブルでは、このMACアドレス(端末情報)に対応して注文番号が記述され、これらが紐付けられる。ただし、携帯端末を呼び出す場合に、端末情報としてMACアドレスを入力するのは面倒であり、また、商品を引き渡す際に確認し難い。したがって、客が所持または所有する携帯端末を通知端末16として用いる場合には、販売機12は、端末情報付注文内容として、端末情報(MACアドレス)および注文内容に加えて、注文番号も送信する。したがって、注文管理装置14では、印字装置62を用いて、注文番号および注文内容を印字した注文伝票が発行される。また、店員は、携帯端末を呼び出す場合に、入力装置56を用いて、注文伝票に印字された注文番号を入力する。注文管理装置14は、入力された注文番号が記述された端末情報付注文内容に含まれるMACアドレスの携帯端末に呼出信号を送信する。この呼出信号には、端末情報および通知装置74を動作させるためのコマンドに加えて、注文番号が付加される。客が所有または所持する携帯端末は、呼出信号に応じて、通知音を出力するとともに、注文番号を表示装置に表示する。したがって、携帯端末は、注文番号を表示する機能も備える必要がある。
上述の各実施例では、販売機12と注文管理装置14を含む注文システム10について説明したが、これに限定される必要は無い。販売機12および注文管理装置14は1つの装置で構成されてもよい。かかる場合には、たとえば、図1および図3に示す注文管理装置14を省略し、図2に示した販売機12に、表示装置54、入力装置56、通知端末呼出装置58および印字装置62を設け、表示装置54、入力装置56、通知端末呼出装置58および印字装置62も制御装置20で制御するようにしてもよい。具体的には、制御装置20のCPUが、販売処理(図14~図16または図22~図24)および注文管理処理(図17)を並行して実行する。この場合、販売機12と注文管理装置14が通信する必要が無いため、制御装置20のCPUは、ステップS33で、印字装置62を制御して、注文伝票を発行する。また、ステップS35、S71~S77の処理が省略される。
上述の各実施例では、販売機12は、現金により精算を行う場合について説明したが、これに限定される必要はない。現金による精算の他に、クレジットカードまたは/および電子マネーにより精算を行えるようにしてもよい。
上述の各実施例では、商品として飲食物を提供する場合について説明したが、これに限定される必要はない。客の注文に応じて、店員が商品を準備し、準備した商品を客に手渡すようなサービスであれば、他のサービスにも適用することができる。
なお、上述の各実施例で示した注文システム10および販売機12の具体的な構成は実際の製品において適宜変更することができる。