JP6993281B2 - 穀物を含有する藤茶飲料 - Google Patents
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Description
また、藤茶の抽出物中に多く含まれるアンペロプシン(フラボノイド化合物)は、抗老化作用や美白作用を有することが知られている。さらに、藤茶抽出物には抗菌効果があることも知られている。
このように、種々の効果、効能を有する藤茶抽出物であるが、独特の臭いや、渋味、苦味、えぐ味などの不快味を有しており、後味も強く、服用しにくいという問題があった。
(1)穀物を含有する藤茶飲料。
(2)穀物が、禾穀類(イネ科)、菽穀類(マメ科)、疑似穀類からなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする上記(1)に記載の藤茶飲料。
(3)穀物が、焙煎穀物であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の藤茶飲料。
(4)禾穀類が、大麦またははと麦であることを特徴とする上記(2)または(3)に記載の藤茶飲料
(5)菽穀類が、大豆、黒豆または小豆であることを特徴とする上記(2)または(3)に記載の藤茶飲料。
(6)穀物が、大麦と大豆との組み合わせ、大麦ととうもろこしとの組み合わせ、大豆ととうもろこしとの組み合わせ、大豆と黒豆との組み合わせ、大豆と小豆との組み合わせまたは大豆とはと麦との組み合わせであることを特徴とする上記(1)~(3)のいずれかに記載の藤茶飲料。
(7)アンペロプシンを0.1~1.0質量%含有する上記(1)~(6)のいずれかに記載の藤茶飲料。
本発明の藤茶飲料は藤茶抽出物と穀物を含有するものである。
本発明において、穀物は藤茶抽出物独特の臭いや、不快味(渋味、苦味、えぐ味)、好ましくない後味(飲用後の味の口残り)等をマスキングするマスキング剤として作用する。
藤茶抽出物の製造方法は特に限定されないが、乾燥した藤茶の葉または茎の粉砕物や粉末を抽出原料とし、これを水もしくは親水性有機溶媒またはこれらの混合溶媒に投入し、室温乃至溶媒の沸点以下の温度で、任意の装置を用いて抽出することにより得ることができる。
藤茶の抽出に用いる親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン類、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコール類などが挙げられる。
また、これらの親水性有機溶媒を水との混合溶媒として用いることもできる。このような混合溶媒を使用する場合、親水性有機溶媒が低級アルコール類の場合は、水10質量部に対して30~90質量部、低級脂肪族ケトン類の場合は、水10質量部に対して10~40質量部、多価アルコール類の場合は、水10質量部に対して10~90質量部を添加することが好ましい。
得られた抽出液から抽出溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られる。これをさらに乾燥することにより、固形の抽出物が得られる。これらは、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂、液-液向流分配などの方法により精製してから用いてもよい。
穀物の種類は限定されないが、禾穀類(イネ科)、菽穀類(マメ科)、疑似穀類からなる群から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
麦類の種類は限定されず、大麦、はと麦、小麦、ライ麦等を好ましい例として挙げることができ、これらの中でも、大麦、はと麦は好ましく、特に大麦は特に好ましい。
米類の種類も限定されず、例えば、ジャポニカ種、ジャバニカ種、インディカ種などの精白米、玄米、発芽玄米等を好ましい例として挙げることができ、特に玄米や発芽玄米が好ましい。
疑似穀類の種類も限定されず、ダッタンソバ、アマランス、キヌア等を好ましい例として挙げることができる。
このような2種以上の組み合わせとしては、大麦と他の穀物との組み合わせや、大豆と他の穀物との組み合わせが好ましい。
大麦と他の穀物との組み合わせとしては、例えば、大麦と大豆、大麦ととうもろこし、大麦と黒豆、大麦と玄米、大麦とはと麦の各組み合わせが好ましく、特に、大麦と大豆との組み合わせが好ましい。
大豆と他の穀物との組み合わせとしては、大豆ととうもろこし、大豆と黒豆、大豆と玄米、大豆と小豆、大豆とはと麦の各組み合わせが好ましい。
また、本発明の藤茶飲料は、マスキング剤以外の成分、調味料等の添加物等いかなる任意の原料を含んでいてもよい。
本発明の藤茶飲料を含有する食品組成物や医薬品として用いる場合、その摂取方法は、経口摂取でも、経腸摂取等の非経口摂取でもよい。経口摂取とする場合の形態は、特に限定されず、カプセル、粉末、顆粒、液体、シロップ、ゼリー、錠剤、半固形等のいかなる形態、組成物としてもよい。
また、食品組成物や医薬品とした場合、本発明の藤茶抽出物のみを含むものとして製造してもよいが、その他の成分や添加物等と組み合わせて製造してもよい。その他の成分は、限定されず、藤茶の風味をマスキングできるその他の物質の他、各種ビタミン類、ミネラル類、各種食品材料等を用いることができる。添加物としては、食品学的、薬学的に許容される物質であれば任意のものを用いることができ、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、乳化剤、コーティング剤、香料等を用いることができる。なお、これらのその他の成分や添加物の種類や配合量は限定されない。
本試験例では藤茶飲料のマスキング効果について、穀物を1種使用してマスキング試験を行った。
用いた材料は下記の通りである。
藤茶抽出物
藤茶抽出物として、「藤茶エキスパウダー」(アンペロプシン30%含有(乾燥物換算値):丸善製薬社製)を用いた。
(麦類)
・大麦
「粉末ムギ茶」(焙煎:大和高原茶園社製)
・はと麦
「ハトムギ(粉末)」(焙煎:ピーアットライフ社製)
(米類)
・玄米
「石臼挽き有機焙煎玄米粉」(オーサワジャパン社製)
・発芽玄米
「ファンケル発芽米粉」(ファンケル社製)
(とうもろこし類)
・とうもろこし
「コーン茶ティーバッグ」(焙煎:いいもの厳選ほんぢ園社製)を粉砕機で粉末状にしたものを用いた。
菽穀類
(豆類)
・大豆
「金のきな粉」(焙煎:みたけ食品工業社製)
・小豆
「粉末あずき茶」(焙煎:エスパワー社製)
・黒豆
「粉末黒豆茶」(焙煎:梶商店社製)
デキストリン
「ファイバーソル2」(松谷化学社製)
食品のマスキング剤として一般的に使用されているデキストリンを比較例として用いた。
上記の各材料を用いて、マスキング試験の試料(1)~(3)を得た。
すなわち、藤茶抽出物(上記「藤茶エキスパウダー」)0.5g(アンペロプシン0.15g)に、上記穀物のうちそれぞれ1種を加え、お湯100mlに溶解または懸濁して藤茶飲料を得た(アンペロプシン0.15質量%含有)。
各穀物の藤茶抽出物に対する配合割合は、表1に示す通り、(1)50質量%、(2)100質量%及び(3)200質量%とした。
また、穀物の代わりにデキストリンを用いた試料を「比較例」とし、何も添加しない試料を「対照」とした。
臭い、不快味(渋味、苦味、えぐ味)、後味(試飲後の口残り)、味わい(味、香り、お茶としての飲みやすさ等)の各評価基準は下記の通りである。
・臭い
5:藤茶独特の臭いがほとんどない
4:藤茶独特の臭いがわずかにある
3:藤茶独特の臭いがある
2:藤茶独特の臭いがやや強い
1:藤茶独特の臭いが非常に強い
5:藤茶独特の不快味がほとんどない
4:藤茶独特の不快味がわずかにある
3:藤茶独特の不快味がある
2:藤茶独特の不快味がやや強い
1:藤茶独特の不快味が非常に強い
5:藤茶独特の後味がほとんどない
4:藤茶独特の後味がわずかにある
3:藤茶独特の後味がある
2:藤茶独特の後味がやや強い
1:藤茶独特の後味が非常に強い
5:味わいが好ましい
4:味わいがやや好ましい
3:どちらともいえない
2:味わいがやや好ましくない
1:味わいが好ましくない
結果を表3~6に示す。表3は麦類を用いた試験結果、表4はマメ類を用いた試験結果、表5は米類を用いた試験結果、表6はとうもろこしを用いた試験結果である。
なお、マスキング剤としてデキストリンを用いた「比較例」の結果と、マスキング剤を一切用いない「対照」の結果を、本発明の藤茶飲料の結果との差が明確になるように、全ての表に付した。
これらの結果から、穀物は藤茶飲料のマスキング剤として優れていることが分かる。
また、穀物の中では、大麦、はと麦、大豆、小豆、黒豆及びとうもろこしが高いマスキング作用を示し、特に、大麦及び大豆のマスキング効果が非常に高かった。
本試験例では藤茶飲料のマスキング効果について、穀物を2種使用してマスキング試験を行った。
穀物のうち1種は、試験例1で特に優れたマスキング作用を有することが明らかとなった大麦及び大豆を用いた。
使用する穀物及び藤茶抽出物の原料や評価基準は試験例1と同じである。
試験例1と同じ各原料を用いて、マスキング試験の試料を得た。
すなわち、藤茶抽出物(上記「藤茶エキスパウダー」)0.5g(アンペロプシン0.15g含有)に、上記穀物のうち下記表8~9に示す各2種を加え、お湯100mlに溶解または懸濁して藤茶飲料を得た(アンペロプシン0.15質量%含有)。
各穀物の藤茶抽出物に対する配合割合は、表7に示す通り、50%、100%及び200%とし、藤茶飲料に添加する2種の穀物の配合(質量)比は1:1とした。
結果を表8~9に示す。表8は大麦と他の穀物1種との組み合わせを用いた試験結果であり、表9は大豆と他の穀物1種との組み合わせを用いた試験結果である。
なお、デキストリンを用いた比較例の結果を、本発明の藤茶飲料の効果との比較のために、全ての表に示した。
いずれの組み合わせによっても高いマスキング効果が得られたが、中でも、大麦と大豆、大麦ととうもろこし、大麦と黒豆、大麦と玄米、大麦とはと麦、大豆ととうもろこし、大豆と黒豆、大豆と玄米、大豆と小豆及び大豆とはと麦の各組み合わせはマスキング効果が優れていた。
さらに、大麦と大豆との組み合わせ、大麦ととうもろこしとの組み合わせ、大豆ととうもろこしとの組み合わせ、大豆と黒豆との組み合わせ、大豆と小豆との組み合わせまたは大豆とはと麦との組み合わせはマスキング効果が非常に優れており、特に、大麦と大豆との組み合わせは優れていた。
Claims (2)
- 穀物を含有する藤茶飲料であって、
穀物が、大麦と大豆との組み合わせ、大麦ととうもろこしとの組み合わせ、大豆ととうもろこしとの組み合わせ、大豆と黒豆との組み合わせ、大豆と小豆との組み合わせまたは大豆とはと麦との組み合わせであることを特徴とする前記藤茶飲料。 - アンペロプシンを0.1~1.0質量%含有する請求項1に記載の藤茶飲料。
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