JP6992281B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、吸収性物品に関する。
使い捨ておむつといった吸収性物品は、尿などの排泄液を吸収体によって吸収する。使い捨ておむつの型には様々なものがあり、例えば、パンツ型の使い捨ておむつや、テープ型の使い捨ておむつが知られている。パンツ型の使い捨ておむつは、前身頃と後身頃の両側部が予め接合されたタイプの使い捨ておむつである。また、テープ型の使い捨ておむつは、前身頃又は後身頃の両側部に接合テープが取り付けられており、着用時に接合テープを利用して前身頃と後身頃を接着させるタイプの使い捨ておむつである。
パンツ型使い捨ておむつにおいては、一般的に、前身頃と後身頃を接着して形成されたウエスト開口部の周縁に、複数の伸縮部材が伸張状態で固定されている。これら伸縮部材が、着用者のウエスト周りを締めこむことによって、おむつが下にずり落ちずに着用できるようになっている。おむつのウエスト周りの締め付けを強くすると、ウエスト開口部の周縁と着用者のウエスト部の密着性が高まるというメリットがあるが、通気性が悪くなるというデメリットもある。
例えば、特許文献1には、使い捨ておむつのウエスト開口部の周縁部材に複数の筒状部(フルート構造)を形成し、この筒状部を構成する最外層のシート部材に、複数の開孔を間欠的に形成した伸縮シートを有する使い捨ておむつが開示されている。ここでは、筒状部を構成するシート部材の凸部に沿って、複数の開孔を一列に設けることとしている。また、特許文献2には、フルート構造の最外層シート部材(クッション形成シート)に複数の開孔が形成された使い捨ておむつが開示されている。ここでは、開孔が使い捨ておむつの長手方向に対して所定角度傾斜するように配置されている。
特開2011-078477号公報 特開2016-043248号公報
従来、使い捨ておむつ等の吸収性物品においては、吸収性物品内部に蒸気がこもりやすく、そのような状態で着用者が長時間着用した際には、おむつかぶれ等の肌トラブルが発生することが問題となっている。特に、蒸気は尿などの排泄液に由来するものであることが多いため、排泄液を吸収する吸収体から発せられる蒸気が吸収性物品内部にこもることが問題となっている。このため、吸収体から発せられる蒸気を効率よく外部に逃すことのできる吸収性物品の開発が求められている。しかしながら、従来技術にあるように、シート部材に多数の開孔が設けられた使い捨ておむつ等の吸収性物品においては、吸収体から発せられる蒸気を効率よく外部に逃しにくいという問題があった。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、吸収体から発せられる蒸気を効率よく外部に逃すことのできる吸収性物品を提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、吸収体と、内側シートと、内側シートよりも肌対向面側に配されるクッション形成シートと、内側シートよりも肌非対向面側に配される外側シートと、を有する吸収性物品において、内側シートの所定箇所に開孔部を形成することにより、吸収体から発せられる蒸気を効率よく外部に逃し得る吸収性物品が得られることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 長手方向と、長手方向に直交する幅方向とを有し、
前身頃と、後身頃と、前身頃と後身頃の間に位置する股下部とに、長手方向に区分され、
前身頃から後身頃にかけて配置された吸収体と、
内側シートと、
内側シートよりも肌非対向面側に配される外側シートと、
内側シートよりも肌対向面側に配されるクッション形成シートと、
クッション形成シートよりも肌非対向面側で幅方向に沿って固定されている複数のウエスト伸縮部材と、を有する吸収性物品であって、
内側シートとクッション形成シートの少なくとも一部は、吸収体の肌対向面側に重畳しており、
少なくとも内側シートとクッション形成シートは、長手方向に沿って延びる直線状の接合線で形成された接合部と、非接合部と、が交互に形成されるように接合部で接合されており、
内側シートの各々の非接合部には、少なくとも1つの開孔部が設けられ、開孔部の少なくとも一部は、吸収体に重畳している吸収性物品。
[2] 接合部は、それぞれ、長手方向に沿って延びる直線状の接合線が2列に並んで形成されたものであり、
接合部同士の間に形成される非接合部の幅は、接合部内の接合線の列の間の間隔よりも広い[1]に記載の吸収性物品。
[3] 吸収体は溝部を有し、
開孔部の少なくとも一部は、溝部に重畳している[1]又は[2]に記載の吸収性物品。
[4] 内側シートの透気度は、クッション形成シートの透気度よりも高い[1]~[3]のいずれかに記載の吸収性物品。
[5] 開孔部の面積は、0.01~5cm2である[1]~[4]のいずれかに記載の吸収性物品。
本発明によれば、吸収体から発せられる蒸気を効率よく外部に逃し得る吸収性物品を得ることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつの外観斜視図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつの展開平面図である。 図3は、図2で示したY-Y線における断面図である。 図4は、ウエスト開口部の厚み方向の断面状態を模式的に示した図である。 図5は、接合部と非接合部の形態の一例を説明する図である。 図6は、本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつの展開平面図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
本明細書において、「長手方向」とは、吸収性物品のうち、着用者の腹部側に位置する前身頃と着用者の背部側に位置する後身頃とを結ぶ方向を意味する。また、「幅方向」とは、吸収性物品の長手方向に平面的に直交する方向を意味する。
また、本明細書において、「肌対向面」とは、吸収性物品の着用時において着用者の肌に対向する面を意味する。また、「肌非対向面」とは、吸収性物品の着用時において着用者の肌に対向しない面を意味している。なお、本明細書において、「A~B」とは、「A以上B以下」であることを意味する。
(吸収性物品)
本発明は、長手方向と、長手方向に直交する幅方向とを有し、前身頃と、後身頃と、前身頃と後身頃の間に位置する股下部とに、長手方向に区分され、前身頃から後身頃にかけて配置された吸収体と、内側シートと、内側シートよりも肌非対向面側に配される外側シートと、内側シートよりも肌対向面側に配されるクッション形成シートと、クッション形成シートよりも肌非対向面側で幅方向に沿って固定されている複数のウエスト伸縮部材と、を有する吸収性物品に関する。吸収性物品において、内側シートとクッション形成シートの少なくとも一部は、吸収体の肌対向面側に重畳している。また、少なくとも内側シートとクッション形成シートは、長手方向に沿って延びる直線状の接合線で形成された接合部と、非接合部と、が交互に形成されるように接合部で接合されている。そして、内側シートの各々の非接合部には、少なくとも1つの開孔部が設けられ、開孔部の少なくとも一部は、吸収体に重畳している。
本発明の吸収性物品は、上記構成を有するものであるため、吸収体から発せられる蒸気を効率よく外部に逃すことができる。具体的には、本発明の吸収性物品においては、内側シートの各々の非接合部に少なくとも1つの開孔部が設けられ、開孔部の少なくとも一部が吸収体に重畳することで、吸収体から発生られる蒸気を開孔部から効率よく取り込むことができる。そして、開孔部から取り込まれた蒸気は、内側シートとクッション形成シートの間に形成された通気路(筒状部)を通って外部に放出される。これにより、本発明の吸収性物品の内部に蒸気がこもることを解消することができる。
本発明の吸収性物品は、その形態が特に制限されるものではないが、吸収性物品としては、例えば、使い捨ておむつや生理用ナプキン等を挙げることができる。使い捨ておむつは、パンツ型の使い捨ておむつとテープ型の使い捨ておむつに大別される。パンツ型の使い捨ておむつは、前身頃と後身頃の両側部が予め接合された構成の使い捨ておむつである。パンツ型の使い捨ておむつは、それぞれ別体として形成された前身頃外装体と後身頃外装体の間を、吸収部本体が架橋する構成を有する架橋タイプのものであってもよい。また、パンツ型の使い捨ておむつは、前身頃から股下部を通って後身頃に掛けて一体的に形成された外装体に、股下部を中心として吸収部本体を固定した一体タイプのものであってもよい。テープ型の使い捨ておむつは、前身頃又は後身頃の両側部に接合テープが取り付けられているもので、着用時に接合テープを利用して前身頃と後身頃を接合させるタイプの使い捨ておむつである。
以下では、これらの種々のタイプの吸収性物品のうち、パンツ型使い捨ておむつを例に挙げて、本発明の内容を具体的に説明する。
(パンツ型使い捨ておむつの構造)
図1は、吸収性物品100(以下、使い捨ておむつ又はおむつともいう)を前身頃側から見た例を示す斜視図である。また、図2は、使い捨ておむつの例を示す展開図である。図2は使い捨ておむつを肌対向面側から見た状態を示している。
図1及び2に示されるように、使い捨ておむつは、装着された際に着用者の腹部に接する前身頃1と、着用者の背部に接する後身頃2と、着用者の股下にあてがわれる股下部3とを有する。本実施形態の使い捨ておむつにおいては、前身頃外装体10によって前身頃1が構成され、後身頃外装体20によって後身頃2が構成される。そして、前身頃外装体10と後身頃外装体20の間の股下部3には、吸収部本体30が架橋されている。つまり、吸収部本体30の一端は、前身頃外装体10に固定され、吸収部本体30の他端は、後身頃外装体20に固定されている。各外装体と吸収部本体30の固定には、例えば、ホットメルト接着剤等が用いられる。
図2に示された展開状態から、前身頃外装体10と後身頃外装体20の幅方向両端部を接合することにより、図1に示される状態に組み上がる。図1に示されるように、前身頃外装体10の上端縁と後身頃外装体20の上端縁により、ウエスト開口部4が形成される。また、前身頃外装体10と後身頃外装体20の両端部同士が接合されることにより、装着時に着用者の脚部周りに位置するレッグ開口部5が形成される。
<外装体>
図1及び2に示されるように、本実施形態において、前身頃外装体10と後身頃外装体20は、それぞれ、内側シート41と、内側シート41よりも肌非対向面側に配される外側シート42と、内側シート41よりも肌対向面側に配されるクッション形成シート44を有する。内側シート41とクッション形成シート44は、ウエスト開口部4を形成する端縁に沿って、幅方向に延びるように配置されている。ここで、内側シート41は、少なくとも一部が吸収体よりも肌対向面側に配されるシートをいい、外側シート42はその全部が吸収体よりも肌非対向面側に配されるシートをいう。また、クッション形成シート44は、最表層に設けられるシートであって、内側シート41よりも肌対向面側に配されるシートである。内側シート41と外側シート42は、それぞれ2枚以上のシートから構成されるものであってもよい。なお、本明細書においては、クッション形成シート44が配されている箇所をクッション部と呼ぶこともある。
クッション部は、複数のウエスト伸縮部材43を含む。複数のウエスト伸縮部材43は、クッション形成シート44よりも肌非対向面側で幅方向に沿って固定されており、
ウエスト開口部4の前身頃外装体10の端部と後身頃外装体20の端部に沿って、使い捨ておむつの幅方向に延びている。複数のウエスト伸縮部材43は、使い捨ておむつの長手方向に所定間隔をあけて配置されている。複数のウエスト伸縮部材43は、伸張状態で固定され、この複数のウエスト伸縮部材43が収縮することにより、ウエスト開口部4近傍に、ウエストギャザーが形成される。
複数のウエスト伸縮部材43は、クッション形成シート44よりも肌非対向面側で幅方向に沿って固定されていればよい。例えば、複数のウエスト伸縮部材43は、内側シート41と外側シート42の間に固定されていてもよく、内側シート41とクッション形成シート44の間に固定されていてもよい。また、内側シート41や外側シート42が複数枚存在する場合には、複数のウエスト伸縮部材43は、内側シート41同士の間に固定されていてもよく、各外側シート42同士の間に固定されていてもよい。
複数のウエスト伸縮部材43は、幅方向に沿って伸張した状態で、各シートの間固定される。その際、ウエスト伸縮部材43はその全部が、各シートの間に固定されていてもよいが、ウエスト伸縮部材43の一部のみが各シートの間に固定された状態であり、他の部分は各シートに固定された状態になくてもよい。ウエスト伸縮部材43の一部のみを固定することにより、身体の動作に合わせてウエスト領域が可動しやすくなり、着用時のフィット感を向上させることもできる。また、ウエスト伸縮部材43の一部のみを固定することにより、吸収体にヨレやシワが生じにくくすることもできる。
図3は、図2に示したY-Y線における断面図を示している。図3に示されるように、前身頃外装体10と後身頃外装体20は、外側シート42と、内側シート41と、クッション形成シート44を含んで構成されている。外側シート42と、内側シート41と、クッション形成シート44は共に、使い捨ておむつの長手方向の端縁を形成している。つまり、外側シート42と、内側シート41と、クッション形成シート44は、使い捨ておむつのウエスト開口部4に沿った端縁を形成するものである。なお、図3に示した例において、内側シート41と外側シート42はそれぞれ分離されているが、内側シート41と外側シート42は繋がって一体的に形成されていてもよい。つまり、一枚のシート部材をウエスト端縁において折り返して、肌対向面側の部分を内側シート41とし、肌非対向面側の部分を外側シート42としてもよい。
複数のウエスト伸縮部材43が固定される際の伸張率は、例えば、150~400%とすることができ、200~380%であることが好ましく、250~360%であることがより好ましい。なお、「伸張率」とは、非伸張状態(自由状態)の伸縮部材の長さ(原寸)を100%としたときに、伸張状態とされた伸縮部材の長さの割合を示した値である。このように、伸張状態にあるウエスト伸縮部材43が各シートの間に固定されることで、ウエスト伸縮部材43が収縮したときに、ウエスト開口部4近傍に皺(ウエストギャザー)が形成される。
ウエスト伸縮部材43を、各シートの間に挟み込んで固定するときには、例えば、ウエスト伸縮部材43自体に接着剤を塗布し、接着剤が塗布されたウエスト伸縮部材43を、各シートの間に挟み込めばよい。この際、ウエスト伸縮部材43の一部分にのみ接着剤を塗布してもよい。なお、このような場合はウエスト伸縮部材43の両端部側に接着剤を塗布することが好ましい。また、ウエスト伸縮部材43を挟みこむシートの両方又はいずれか一方に接着剤を塗布した後、これらのシートの間にウエスト伸縮部材43を挟み込んで固定することもできる。
ウエスト伸縮部材43としては、糸状の弾性ゴム材又は帯状の弾性ゴム材を適用することが好ましい。このようなゴム材としては、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、又はポリエステル等の素材を用いることができる。
クッション形成シート44は、使い捨ておむつの着用者の肌に直接触れるシート部材であり、内側シート41の肌対向面側に、皺(ギャザー)を形成する機能を持つ。クッション形成シート44が内側シート41の肌対向面側に、皺(ギャザー)を形成することで、クッション形成シート44と内側シート41の間に複数の筒状の通気路(フルート構造)が形成される。
図4には、図面の下側(肌非当接面側)から順に、外側シート42、ウエスト伸縮部材43、内側シート41、及びクッション形成シート44の順番で重ね合わせ、クッション形成シート44と内側シート41の間に複数の筒状の通気路を形成した状態の厚み方向の断面図を示している。図4では、ウエスト伸縮部材43を幅方向に沿って伸張した状態で固定した後に、収縮させた後の様子を示しており、ウエスト伸縮部材43の収縮に伴って、クッション形成シート44に皺が形成されている。つまり、ウエスト伸縮部材43が収縮すると、非接合部52において、クッション形成シート44が、内側シート41から離れて、クッション形成シート44と内側シート41との間に、複数の通気路(空間)70が形成される。このような構造を、本明細書では「フルート構造」と称している。このような通気路70は、おむつ外部に通じているため、開孔部50から取り込まれた蒸気の通路となり、おむつ内部の蒸気をおむつ外部に逃す働きをする。また、通気路70を通じて、内部に空気を導入することもできる。さらに、このようなフルート構造を形成することにより、ウエスト開口部の肌対向面に、柔軟性やクッション性を付与することもできる。
図2及び4に示されるように、少なくとも内側シート41とクッション形成シート44は、長手方向に沿って延びる直線状の接合線で形成された接合部51と、非接合部52と、が交互に形成されるように接合部51で接合されている。すなわち、接合部51は、おむつの幅方向に沿って間欠的に形成されている。接合部51においては、ホットメルト接着剤等によってクッション形成シート44と内側シート41を接合することとしてもよいし、ヒートシールや超音波シールによってクッション形成シート44と内側シート41を融着してもよい。接合部51の形状は、直線状の接合線であればよく、直線状の接合線には、長手方向に間欠的に形成された接合線も含まれ、直線状の接合線はミシン目線であってもよい。その他、クッション形成シート44と内側シート41の接合態様については、公知の接合態様を適宜採用することができる。
外側シート42については、少なくともその一部が内側シート41と接合していることが好ましい。例えば、クッション形成シート44と、内側シート41と、外側シート42をともに接合部51で接合してもよい。また、クッション形成シート44と内側シート41の接合部51とは別に接合部を設けて、内側シート41と外側シート42を接合してもよい。
本実施形態では、図3に示されるように、内側シート41とクッション形成シート44が、おむつの股下部3の方向へと延在している。そして、内側シート41とクッション形成シート44の少なくとも一部は、吸収体31の肌対向面側に重畳している。このように、内側シート41とクッション形成シート44の一部を吸収部本体30に重畳させることで、吸収部本体30が、前身頃外装体10及び後身頃外装体20にしっかりと固定されて、外れにくくなる。
内側シート41の各々の非接合部52には、少なくとも1つの開孔部50が設けられている。このような開孔部50は、内側シート41の股下部3寄りの位置に設けられる。そして、開孔部50の少なくとも一部は、吸収体31に重畳している。開孔部50の少なくとも一部を吸収体31に重畳させることで、吸収体31から発せされる蒸気を開孔部50にて取り込み、取り込まれた蒸気は通気路70を通っておむつの外部に放出される。これにより、おむつ内部に蒸気がこもることを抑制することができる。
本明細書において、開孔部50とは、シート部材が完全に貫通するように形成された貫通孔を意味する。各々の非接合部に設けられる開孔部50の個数は、3個以下であることが好ましく、2個以下であることがより好ましく、1個であることが特に好ましい。開孔部の個数を上記範囲内とすることにより、開孔部50で取り込んだ蒸気を通気路70の途中で逃すことなく、おむつの外部に放出することができる。
開孔部50の少なくとも一部は、吸収体31に重畳していればよいが、開孔部50の全部が吸収体31に重畳していることがより好ましい。これにより、吸収体31から発せられる蒸気を効率よく取り込むことができる。このようにして取り込まれた蒸気は通気路70を通っておむつの外部に放出される。
開孔部50は、吸収体31の長手方向端部領域に重畳することが好ましい。ここで、長手方向端部領域とは、長手方向(Y方向)の端部に存在する領域であり、このような長手方向端部領域は幅方向(X方向)に沿って設けられている。本明細書において、吸収体31の長手方向端部領域は、吸収体31の長手方向の端縁から、長手方向内側に向かって吸収体全長の15%の距離までの領域をいう。すなわち、吸収体31の全長をLmmとした場合、吸収体31の長手方向端部領域の長手方向長さは0.15×Lmmであり、このような領域が吸収体31の両端部に設けられている。
開孔部50は、通気路70の端部領域に設けられることが好ましい。すなわち、開孔部50は、通気路70の端部領域を構成する内側シート41に設けられることが好ましい。ここで、開孔部50の少なくとも一部は吸収体31に重畳するため、通気路70も吸収体31に重畳していることが好ましい。通気路70の長手方向の長さは、接合部51の長手方向の長さによって決まるものであるため、接合部51も吸収体31に重畳していることが好ましい。なお、吸収体31に重畳する接合部51においては、内側シート41とクッション形成シート44のみが接合されていることが好ましく、外側シート42は共に、接合されていないことが好ましい。
開孔部50の面積は、0.01~5cm2であることが好ましく、0.02~1cm2であることがより好ましい。また、開孔部50の形状は、円形、楕円形であってもよいし、三角形、四角形、五角形、六角形、その他の多角形であってもよい。
開孔部50の幅方向の間隔をWとし、接合部51の幅方向の間隔(非接合部52の幅)をSとした場合、W<Sであることが好ましい。例えば、開孔部50の間隔(W)は、接合部51の幅方向の間隔(S)に対して、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが特に好ましい。また、開孔部50の間隔(W)は、接合部51の幅方向の間隔(S)に対して、99%以下であることが好ましく、95%以下であることがより好ましい。これにより、吸収体31から発せられる蒸気を効率よく取り込むことができる。
接合部51は、それぞれ、長手方向に沿って延びる直線状の接合線が1列に並んで形成されたものであってもよく、長手方向に沿って延びる直線状の接合線が2列に並んで形成されたものであってもよい。図5は、接合部51と非接合部52を有するウエスト開口部4近傍の拡大図であって、各接合部51の接合線が2列に並んで形成されたものを図示している。図5に示されるように、2列の接合線で挟まれた領域を接合部51といい、この接合部51に挟まれた領域を非接合部52という。そして、開孔部50は、非接合部52に形成される。ここで、各接合部51の接合線が2列に並んで形成されたものである場合であって、接合部51内の接合線の列の間の間隔(接合部51の幅)をTとし、接合部51の幅方向の間隔(非接合部52の幅)をSとした場合、S>Tである。なお、S>2×Tであることが好ましく、S>3×Tであることがより好ましく、S>4×Tであることがさらに好ましい。
内側シート41に開孔部50を形成する際には、公知のパンチング方式の開口装置を用いて、開孔部50を形成することができる。
内側シート41、外側シート42、クッション形成シート44は、不織布であることが好ましい。不織布としては、例えばスパンボンド法や、エアスルー法、エアレイド法によって製造されたものを用いることが好ましい。
なお、内側シート41の透気度は、クッション形成シート44の透気度よりも高いものであることが好ましい。内側シート41の透気度を高くすることにより、吸収体31から発せられた蒸気をより取り込みやすくすることができる。また、クッション形成シート44の透気度を低くすることにより、通気路70の途中で蒸気が漏れ出ることを抑制することができ、おむつ内部に蒸気がこもることをより効果的に抑制することができる。
クッション形成シート44の密度は、内側シート41の密度よりも大きいことが好ましい。内側シート41の密度を小さくすることで、吸収体31から発せられた蒸気をより取り込みやすくすることができる。また、クッション形成シート44の密度を大きくすることにより、通気路70の途中で蒸気が漏れ出ることを抑制することができ、おむつ内部に蒸気がこもることをより効果的に抑制することができる。
前身頃外装体10及び後身頃外装体20は、インナーシート45と、タミー伸縮部材46と、をさらに含んで構成されていてもよい。図3に示されるように、本実施形態において、外側シート42は、股下部3の方向へと延在し、その一部が、吸収部本体30の肌非対向面側に位置している。ここで、外側シート42の延在部分の肌対向面側には、インナーシート45が配置されていてもよい。そして、外側シート42の延在部分とインナーシート45との間には、一又は複数本のウエスト伸縮部材43及び/又はタミー伸縮部材46が、挟まれて固定されていてもよい。タミー伸縮部材46は、ウエスト伸縮部材43と同様に、おむつの幅方向に沿った伸張状態で、外側シート42の延在部分とインナーシート45との間に固定される。なお、タミー伸縮部材46はウエスト伸縮部材43よりも股下部3側に設けられる伸縮部材である。本明細書においては、開孔部50よりもウエスト端縁寄りに設けられる伸縮部材をウエスト伸縮部材43といい、開孔部50よりも股下部寄りの位置に設けられる伸縮部材をタミー伸縮部材という。
本実施形態においては、タミー伸縮部材46は幅方向中央部においてカット(切断)されていてもよい。タミー伸縮部材46のように伸縮部材をカットすることはタミーカットと呼ばれる方法である。タミー伸縮部材46を配設する際には、ウエスト伸縮部材43と同様に、おむつの幅方向に沿った伸張状態で、外側シート42の延在部分とインナーシート45との間に固定される。そして、固定された後に、タミー伸縮部材46の幅方向の中点でカットされる。このようなタミーカットを施すことにより、下腹部を締め付けすぎない構造とすることができる。なお、タミーカットが施されたタミー伸縮部材46は、その一部が収縮するため、前身頃外装体10及び後身頃外装体20の幅方向の中央領域にはタミー伸縮部材46が張設されていない。
<吸収部本体>
吸収部本体30は、前身頃外装体10と後身頃外装体20の間に架橋された状態で保持され、使い捨ておむつの着用時に、着用者の股下部に位置し、着用者が排泄した尿などの液体を吸収保持する。図3に示されるように、吸収部本体30は、吸収体31と、トップシート32と、バックシート33と、カバーシート34を備えていることが好ましい。
吸収体31は、尿などの液体を吸収し、吸収した液体を保持するための部材である。吸収体31は、液透過性のトップシート32と、液不透過性のバックシート33の間に配置される。吸収体31は、トップシート32を透過した液体を吸収する機能を有し、吸収性材料により構成される。吸収体31を構成する吸収性材料には、公知の材料を採用することができる。吸収性材料としては、例えば、フラップパルプ、高吸収性ポリマー、又は親水性シートを用いることとしてもよい。吸収体31は、コアラップシート36によって、被包されることが好ましい。コアラップシート36としては、ティシュペーパー、吸収紙、親水化処理を行った不織布等を適宜用いることができる。
吸収体31は、その外形が矩形状のものであってもよいし、図2のように長手方向の中央部分がくびれた形(いわゆる砂時計型)であってもよい。
吸収体31の厚みは長手方向及び幅方向のいずれの方向においても略均一であってもよいが、長手方向端部領域の両方又はいずれか一方の平均厚みが、吸収体の中央領域の平均厚みよりも薄くなっていてもよい。なお、吸収体31の長手方向端部領域は、吸収体31の長手方向の端縁から、長手方向内側に向かって吸収体全長の15%の距離までの領域をいう。このような領域は吸収体31の両端部に設けられており、長手方向端部領域の間に挟まれた領域を中央領域という。例えば、長手方向端部領域の平均厚みを∨とし、吸収体31の中央領域の平均厚みをWとした場合、∨/Wは、0.3~0.9であってもよく、0.5~0.8であってもよい。このように吸収体31の厚みを調整することにより、開孔部50付近の通気路70を広げることが可能となり、吸収体31から発せられる蒸気を外部に逃しやすくすることもできる。
トップシート32は、着用者の股下部の肌に直接接し、尿などの液体を吸収体31へ透過させるための部材である。このため、トップシート32は、柔軟性が高い液透過性材料で構成される。また、トップシート32は、吸収体31の肌対向面側を被覆するように配置される。トップシート32を構成する液透過性材料の例は、織布、不織布、又は多孔性フィルムである。また、トップシート32としては、例えばポリプロピレンやポリエチレン、ポリエステル、ナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維を親水化処理してさらに不織布にしたものを用いることとしてもよい。
バックシート33は、トップシート32を透過し吸収体31に吸収された液体が、おむつの外側へ漏出することを防止するための部材である。このため、バックシート33は、液不透過性材料によって構成される。バックシート33は、吸収体31の底面からの液漏れを防止するため、吸収体31を肌非対向面側から被覆する。バックシート33を構成する不透過性材料の例は、ポリエチレン樹脂からなる液不透過性のフィルムである。ただし、通気性を確保するために、0.1~4μmの微細な孔が複数形成された微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。
カバーシート34は、バックシート33を補強し、かつ、その手触りを良くするための部材である。カバーシート34は、バックシート33の肌非対向面側に貼り合わせられる。カバーシート34を構成する材料としては、織布や不織布が用いられる。特に、カバーシート34を構成する材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルのような熱可塑性樹脂からなる不織布又は湿式不織布を用いることが好ましい。
図1及び2に示されるように、吸収部本体30は一対の立体ギャザー35を備えていてもよい。一対の立体ギャザー35は、吸収体31の両側縁部に沿って起立し、着用者が排泄した尿の横漏れを防止するための部材である。立体ギャザー35のそれぞれには、その先端部に、立体ギャザー伸縮材が配置されており、伸縮材が収縮した際に、着用者の肌接触方向に向かって立ち上がる。このため、一対の立体ギャザー35は、尿の防漏壁となり、トップシート32を透過しなかった尿や、吸収体31により吸収しきれなった尿が、使い捨ておむつのレッグ開口部などから漏出する横漏れを防止する。立体ギャザー35は、従来の使い捨ておむつに用いられている公知の構成を採用することができる。立体ギャザー35は、例えば、撥水性シートの層間に伸張状態の立体ギャザー伸縮材を挟み込んで固定することにより、形成することができる。撥水性シートとしては、例えば、カードエンボスやスパンボンド等の製法により得られた不織布シートを使用することができ、特に防水性が高いSMSやSMMS等の不織布シートを用いることが好ましい。
<溝部>
図6に示されるように、吸収体31は溝部37を有していてもよい。本明細書において、溝部37とは、一部又は全部が凹部で構成されるものをいう。溝部37は、吸収体31にのみ形成されるものであってもよい。この場合、コアラップシート36やトップシート32は溝部を有していない。また、溝部37は、吸収体31に加えて、コアラップシート36やトップシート32の積層体に形成されるものであってもよい。
溝部37は、吸収体31において、排泄液の流路として機能する。すなわち、溝部37は液体流路と呼ぶこともできる。吸収体31にこのような溝部37を設けることにより、溝部37は毛管力を発揮することができる。ここで、毛管力とは、排泄液を溝部37に沿って流通され得る力である。これにより、吸収体31は排泄液を流路に沿って拡散させることができ、大量に排泄される排泄液を吸収体31の広範な領域で素早く吸収することができる。また、吸収体31を構成する吸収性材料の一部にのみ排泄液の吸収が偏ることなく、吸収性材料による排泄液の吸収を効率よく行うことができる。
また、吸収体31に溝部37を設けることにより、吸収体自体の剛性に起因する違和感を低減することもできる。特に、吸収体31に溝部37を設けることで、腹部や背部における吸収体の違和感を低減することができる。また、腹部や背部において、吸収体31と肌の接触面積を少なくすることができるため、べたつき感やそれに伴う違和感を解消することができる。さらに、溝部37が通気溝としても作用するため、おむつ装着時のムレを低減することができる。
溝部37は吸収体31の長手方向に間欠的または連結的に形成されるものである。図6では、直線状の溝部37が複数本設けられており、溝部37に外周を囲われた格子状の平坦部が形成されている。また、図6では、溝部37は吸収体31の長手方向に連結的に形成されている。
溝部37の他の態様としては、複数本の溝部37を吸収体の長軸と平行に設ける態様も挙げられる。この場合、複数本の溝部37は直線状であってもよく、波線やジグザグ状線であってもよい。また、溝部37を複数の円形の配列した態様としてもよい。
本実施形態において、吸収体31が溝部37を有する場合、開孔部50の少なくとも一部は、溝部37に重畳していることが好ましい。図6に示されるように、開孔部50の一部は、溝部37に重畳していることが好ましく、開孔部50の一部は、溝部37の端部領域に重畳していることが好ましい。吸収体31から発せされる蒸気は溝部37に溜まりやすいため、溝部37に開孔部50を重畳させることにより、より効果的に吸収体31から発せされる蒸気を外部に放出することができる。
なお、各非接合部52を構成する内側シート41には、開孔部50が複数個設けられてもよい。この場合、吸収体31に重畳している開孔部50の全てが溝部37に重畳していることが好ましい。これにより、より効果的に吸収体31から発せされる蒸気を外部に放出することができる。
溝部37の面積は、吸収体31の面積に対して5~50%であることが好ましく、5~45%であることがより好ましく、8~30%であることがさらに好ましい。また、溝部37の幅は、1~10mmであることが好ましく、2~5mmであることがより好ましい。溝部37の面積や幅を上記範囲内とすることにより、吸収体31のフィット性をより効果的に高めることができる。また、溝部37が流路としての機能を効率よく果たすことができる。
溝部37は、吸収体31の長手方向端縁まで延びてもよく、吸収体31の長手方向端縁に達していなくてもよい。溝部37が吸収体31の長手方向端縁まで延びている場合は、吸収体31と肌の間に小さな隙間が形成されることとなるため、通気性をより高めることができる。一方、溝部37が吸収体31の長手方向端縁に達していない場合は、排泄液の漏れを効果的に抑制することができる。
溝部37は、該溝部の吸収体の坪量を減らすことや、吸収体31にエンボス加工(圧搾)を施すことで形成することができる。溝部37の吸収体の坪量を減らす場合は、吸収体31を構成する吸収性材料を所定形状のシート状にする工程で、フォーミングドラムが溝部37の形状に応じた凹凸面をドラム外周に備えていることが好ましい。フォーミングドラムでは、ドラム内部に向かって吸引を行うため、ドラム外周の凹凸面に沿った溝部37が形成された吸収体31が得られる。その後、吸収体31の上下面にはコアラップシート36がそれぞれ積層される。なお、溝部37部分の吸収体の坪量を減らす場合は、溝部の吸収体の坪量をゼロにしてもよい。
吸収体31にエンボス加工(圧搾)を施すことで溝部37が形成される場合は、吸収体31の肌対向面側、肌非対向面側、又は両面側からエンボス加工を施してもよい。エンボス加工を肌対向面側から施す場合、吸収体31にエンボス加工を施した後にトップシート32を積層してもよいし、吸収体31にトップシート32を積層した後にエンボス加工を施してもよい。エンボスロールには、溝部37の形状に応じた凹凸が形成されており、トップシート32側からエンボスロールを回転しながら押し当てることにより、溝部37が形成される。なお、エンボス加工工程においては、トップシート32と、コアラップシート36で被包した吸収体31の接着を同時に行ってもよい。
1 前身頃
2 後身頃
3 股下部
4 ウエスト開口部
5 レッグ開口部
10 前身頃外装体
20 後身頃外装体
30 吸収部本体
31 吸収体
32 トップシート
33 バックシート
34 カバーシート
35 立体ギャザー
36 コアラップシート
37 溝部
41 内側シート
42 外側シート
43 ウエスト伸縮部材
44 クッション形成シート
45 インナーシート
46 タミー伸縮部材
50 開孔部
51 接合部
52 非接合部
70 通気路
100 吸収性物品

Claims (4)

  1. 長手方向と、前記長手方向に直交する幅方向とを有し、
    前身頃と、後身頃と、前記前身頃と前記後身頃の間に位置する股下部とに、長手方向に区分され、
    前記前身頃から前記後身頃にかけて配置された吸収体と、
    内側シートと、
    前記内側シートよりも肌非対向面側に配される外側シートと、
    前記内側シートよりも肌対向面側に配されるクッション形成シートと、
    前記クッション形成シートよりも肌非対向面側で幅方向に沿って固定されている複数のウエスト伸縮部材と、を有する吸収性物品であって、
    前記吸収体は溝部を有し、
    前記内側シートと前記クッション形成シートの少なくとも一部は、前記吸収体の肌対向面側に重畳しており、
    少なくとも前記内側シートと前記クッション形成シートは、前記長手方向に沿って延びる直線状の接合線で形成された接合部と、非接合部と、が幅方向に交互に形成されるように前記接合部で接合されており、
    前記非接合部では、前記内側シートと前記クッション形成シートの間に通気路が形成されており、
    前記内側シートの各々の非接合部には、少なくとも1つの開孔部が設けられ、前記開孔部の少なくとも一部は、前記吸収体に重畳しており、前記開孔部の少なくとも一部は、前記溝部に重畳している、吸収性物品。
  2. 前記接合部は、それぞれ、前記長手方向に沿って延びる直線状の接合線が2列に並んで形成されたものであり、
    前記接合部同士の間に形成される非接合部の幅は、前記接合部内の前記接合線の列の間の間隔よりも広い請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記内側シートの透気度は、前記クッション形成シートの透気度よりも高い請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記開孔部の面積は、0.01~5cmである請求項1~のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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