JP6990798B1 - 振動式物品搬送装置および振動式物品搬送方法 - Google Patents
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Abstract
Description
「構成の複雑化を伴うことなく、部品の迅速、容易な振り込みを可能にする」ことを目的とし、「偏心量の異なる個別の水平振動用カム、垂直振動用カムによる偏心頂点の位相のずれた偏心運動のもとで、水平振動、垂直振動を、パレット12の配置された水平の振動テーブル14に同時に伝達、付与する。そして、この水平振動、垂直振動の組み合わせにより得られる特定の斜め方向での振動テーブル14の振動によって、振動テーブル上の多数ないし無数の部品15を、振動の斜め方向に対応する任意の一方向に移送可能としている」部品の振込方法および振込装置が知られている(同文献要約欄)。
「機械的な構成のみで物品移送装置の載置台に楕円運動を付与し得るようにする」ことを課題とし、「基台2上に設けられた載置台9の上下動および前後動が合成された楕円運動によって載置台9に載置されたワークWを移送する物品移送装置1であって、基台2に設けられた駆動モータ10の駆動で軸心回りに回転するカム軸4と、このカム軸4と偏心状態で共回りする第1偏心カム51と、基端がこの第1偏心カム51に摺接状態で外嵌され、先端が基台2に設けられた板ばね7に前後動可能に支持されたピストンアーム6とを備え、ピストンアーム6には、これと直交する方向に向けて水平に延びる連結軸96を設け、載置台9を、連結軸96回りに回動可能にピストンアーム6に連結している」物品移送装置も知られている(同文献要約欄)。
なお、第2偏心カム52は、バランスアーム81を駆動するためのものであって、載置台の楕円軌道生成には寄与しない(同文献0032段落)。
「搬送面の運動軌跡の設定自由度に優れた物品搬送装置を提供する」ことを課題とし、
「搬送方向が直線状に規制された搬送面12aを具備する搬送部10と、該搬送部に振動を与える振動付与機構20とを備え、前記振動によって、前記搬送面に載置された物品Wを前記搬送方向に搬送する物品搬送装置1である。前記振動付与機構は、所定の駆動源から入力された運動を、少なくとも前記搬送方向成分を有する第1方向の往復直線運動に変換して前記搬送部に伝達するための第1カム機構30と、所定の駆動源から入力された運動を、少なくとも前記搬送面の法線方向成分を有する第2方向の往復直線運動に変換して前記搬送部に伝達するための第2カム機構60とを備えている」物品搬送装置も知られている(同文献要約欄)。
しかしながら、水平軸あるいは垂直軸に関して対称となる楕円軌道に関する記述はなされていない。すなわち、この特許文献3のものも、生成される楕円軌道の自由度が高いとは言えない。
また、この特許文献3(特開2005-289643号公報)のものは、リブカムと板カムまたは溝カムとカムフォロアを用いており駆動源の軸方向も搬送方向を向いているので、構造が複雑化しやすいという難点がある。
また、この特許文献3(特開2005-289643号公報)のものは、カムフォロア36,36、66,66がそれぞれ別体で構成されているため、楕円軌道生成機構が複雑化、大型化するという難点がある。
しかし、非特許文献1には、生成される楕円軌道の自由度を高めるための記述はない。
また、生成される楕円軌道の自由度を高めることができ、それによって安定した搬送効率を図ることができる振動式物品搬送方法を提供することである。
物品を搬送するための搬送台と、
この搬送台に正面視で楕円軌道の振動を付与する振動付与機構とを備えた振動式物品搬送装置であって、
前記振動付与機構は、
水平方向または垂直方向に移動可能な第1移動体と、
この第1移動体に対し、相対的に垂直方向または水平方向に移動可能に設けられた第2移動体と、
これら第1,第2移動体の各移動方向に対して直交方向に配置された駆動軸と、
この駆動軸に設けられ、駆動軸と一緒に回転する第1偏芯カムと、
この第1偏芯カムと同軸上で駆動軸に設けられ、駆動軸と一緒に回転する第2偏芯カムと、
前記第1移動体または第2移動体に設けられ、前記第1偏芯カムに当接して従動する第1従動面と、前記第2偏芯カムに当接して従動する第2従動面とを有する1つの従動カム体と、
を備えたことを特徴とする。
この振動式物品搬送装置は、上記の構成となっているので、次のような作用効果が得られる。
物品は、振動付与機構によって付与される正面視楕円の軌道で振動する搬送台によって搬送される。
振動付与機構は、水平方向または垂直方向に移動可能な第1移動体と、この第1移動体に対し、相対的に垂直方向または水平方向に移動可能に設けられた第2移動体とを備えているので、これら第1,第2移動体の移動による移動軌跡の合成は任意の軌跡となり得る。
そして、振動付与機構は、これら第1,第2移動体の各移動方向に対して直交方向に配置された駆動軸と、この駆動軸に設けられ、駆動軸と一緒に回転する第1偏芯カムおよび第2偏芯カムと、前記第1移動体または第2移動体に設けられ、前記第1偏芯カムに当接して従動する第1従動面と、前記第2偏芯カムに当接して従動する第2従動面とを有する1つの従動カム体とを備えているので、駆動軸の回転により、第1、第2偏芯カムおよび第1、第2従動面を介して得られる従動カム体の軌道は正面視楕円形となり、従動カム体が設けられている第1移動体または第2移動体の軌道も正面視楕円形となる。したがって、第1移動体または第2移動体に前記搬送台を連結することで、搬送台の振動が得られることとなる。
ここで、振動付与機構は、同一の駆動軸上に第1、第2偏芯カムおよび、第1、第2従動面を有しているので、第1、第2偏芯カムのそれぞれの偏芯量をA,B、偏芯角α、βとしたとき、それらを適宜設定することで、従動カム体の軌道となる楕円形状を任意に設定することができる。
また、上記楕円軌道は、一つの駆動軸上に設けられた第1、第2偏芯カムと、これと当接する第1、第2従動面を有する一つの従動カム体によって得られるため、簡素な構成でありながら、生成される楕円軌道の自由度を高めることができる。
前記従動カム体は、前記第1偏芯カムに当接して従動する第1従動面としての正面視トラック形状の第1トラック面と、前記第2偏芯カムに当接して従動する第2従動面としての正面視トラック形状の第2トラック面とを有し、
第1トラック面の長軸に対し、第2トラック面の長軸が傾斜している構成とすることができる。
このように構成すると、第1トラック面の長軸に対し、第2トラック面の長軸を傾斜させるという簡単な構成で、垂直軸に関して非対称となる傾斜楕円軌道を生成することができる。
前記従動カム体は、前記第1偏芯カムに当接して従動する第1従動面としての正面視トラック形状のトラック面と、前記第2偏芯カムに当接して従動する第2従動面としての正面視円形状の円形面とを有し、
トラック面の中心に対し、円形面の中心が垂直方向に偏倚している構成とすることができる。
このように構成すると、従動カム体における、前記第1偏芯カムに当接して従動する第1従動面としての正面視トラック形状のトラック面に対し、前記第2偏芯カムに当接して従動する第2従動面を正面視円形状の円形面とし、この円形面の中心をトラック面の中心に対し、垂直方向に偏倚させるという簡単な構成で、水平軸に関して非対称となる楕円軌道(水平楕円変形曲線)を生成することができる。
前記従動カム体は、前記第1偏芯カムに当接して従動する第1従動面としての正面視トラック形状のトラック面と、前記第2偏芯カムに当接して従動する第2従動面としての正面視円形状の円形面とを有し、
トラック面の中心に対し、円形面の中心が水平方向および垂直方向に偏倚している構成とすることができる。
このように構成すると、従動カム体における、前記第1偏芯カムに当接して従動する第1従動面としての正面視トラック形状のトラック面に対し、前記第2偏芯カムに当接して従動する第2従動面を正面視円形状の円形面とし、この円形面の中心をトラック面の中心に対し、水平方向および垂直方向に偏倚させるという簡単な構成で、水平軸および垂直軸に関して非対称となる楕円軌道(水平楕円傾斜変形曲線)を生成することができる。
前記第1移動体と第2移動体は、それぞれその移動方向において、それぞれ設けられたコイルバネまたは板バネで付勢されている構成とすることができる。
このように構成すると、バネによる付勢力を変更することで第1移動体および第2移動体の固有振動数を変更することができ、物品の搬送効率を高めることができる。
搬送方向水平振動の反力を打ち消すバランサをさらに備えている構成とすることができる。
このように構成すると、搬送方向水平振動の反力を打ち消すことにより、装置全体の振動を低減できる。
前記振動付与機構全体を吊り下げる吊り下げ構造を備えている構成とすることができる。
このように構成すると、振動付与機構の振動が床に伝わるのを低減できる。
前記駆動軸の駆動源をDCブラシレスモーターで構成することができる。
このように構成すると、DCブラシレスモーターのコントローラを、デジタル的に制御するコントローラーで構成することで、回転数、加減速時間等を数値制御出来、安定した搬送速度を維持することができる。また、回転方向を変更することで、物品(ワーク)の搬送方向を逆にすることもできる。
前記第1偏芯カムと第2偏芯カム、および第1従動面と第2従動面は、それぞれ、軸方向に沿って隣接かつ近接して設けられている構成とすることができる。
このように構成すると、装置の軸方向長さのコンパクト化を図ることができる。
したがって、この構成は、前述した振動付与機構全体を吊り下げる吊り下げ構造を採用する場合に特に有効である。
物品を搬送するための搬送台に正面視で楕円軌道の振動を付与して物品を搬送する振動式物品搬送方法であって、
前記楕円軌道を、その楕円の長軸に関して非対称としたことを特徴とする。
この振動式物品搬送方法によれば、楕円軌道の自由度を高めることができ、それによって安定した搬送効率を図ることができる。
物品を搬送するための搬送台に正面視で楕円軌道の振動を付与して物品を搬送する振動式物品搬送方法であって、
前記楕円軌道を、その楕円の長軸および短軸いずれに関しても非対称としたことを特徴とする。
この振動式物品搬送方法によれば、楕円軌道の自由度をさらに高めることができ、それによって安定した搬送効率を図ることができる。
また、本願の説明において用いられる数式内の変数、記号、および単位は下表の通りである。
物品を搬送するための搬送台(以下、トラフともいう)8と、
この搬送台8に正面視(図1)で楕円軌道の振動を付与する振動付与機構8Vとを備えた振動式物品搬送装置であって、
前記振動付与機構8Vは、
水平方向に移動可能な第1移動体(以下、水平軸テーブルともいう)5と、
この第1移動体5に対し、相対的に垂直方向に移動可能に設けられた第2移動体(以下、垂直軸テーブルともいう)4と、
これら第1,第2移動体5,4の各移動方向に対して直交方向(図1の紙面と直交する方向)に配置された駆動軸(以下、偏芯シャフトともいう)2と、
この駆動軸2に設けられ、駆動軸2と一緒に回転する第1偏芯カム2c1(図4参照)と、
この第1偏芯カム2c1と同軸上で駆動軸2に設けられ、駆動軸2と一緒に回転する第2偏芯カム2c2(図4参照)と、
前記第2移動体4に設けられ、前記第1偏芯カム2c1に当接して従動する第1従動面3f1(図5参照)と、前記第2偏芯カム2c2に当接して従動する第2従動面3f2(図5参照)とを有する1つの従動カム体(以下、従動カムホルダともいう)3と、
を備えている。
したがって、搬送台8は第2移動体4とともに移動(振動)する。
また、この実施の形態では、従動カム体3は、第2移動体4に設けたが第1移動体5に設けてもよい。
第1トラック面3f1の長軸3f1aに対し、第2トラック面3f2の長軸3f2aが傾斜している構成とすることができる。傾斜角度をθで示す。
なお、以下の説明において、図中には符号に加え具体的な一例として寸法を記入してあるが、この寸法は動作説明の理解を助けるためのものであって、この寸法によって本発明が限定されるものではない。
したがって、偏芯量Aの水平駆動ベアリング11(第1偏芯カム2c1)が1回転して得られる従動カムホルダ3の変位は左右水平方向に2Aである(図11)。
したがって、偏芯量Bの垂直駆動ベアリング12(第2偏芯カム2c2)が1回転して得られる従動カムホルダ3の変位は上下垂直方向に2Bである(図11)。
ここでは例として計算値と図の比較が分かりやすいようにA=2.5mm B=1mm D1=37mm D2=30mmと具体的に寸法を設定して作図した(図9-1~図9-8)。
このような構成によって得られる搬送台の振動軌道は、第1偏芯カム偏芯量A、第2偏芯カム偏芯量B、第2従動面の傾斜角θ、駆動軸の角速度ω、時刻tを用いて次式のように記述できる。
トラック面3f1の中心O1に対し、円形面3f2の中心O2が垂直方向に偏倚している構成とすることができる。
トラック面(3f1)の中心O1に対し、円形面(3f2)の中心O2が水平方向および垂直方向に偏倚している構成とすることができる。
これについては例としてA=0.5mm B=0.1mm D1=37mm D2=30mm R=3mm δ=0.5mm に具体的に寸法を設定して得られる軌跡についてそれぞれ点をプロットして作図し求めた(図14および図18)。 尚、図18では、後述する運動方程式に代入してワーク搬送速度を試算したデータは4つの運動軌跡の水平振幅と垂直振幅を1.5mm-0.15mmと同条件にするためA=0.75mm B=0.07mm R=10mm δ=0.21mmとした。
なお、この実施の形態ではコイルバネを用いたが、板バネを用いても良い。
搬送台8は、物品を搬送するための適宜の形状を採用することができる。この実施の形態の搬送台8は、図1,図2に示すように、概ね樋状の形状をしており、凹溝に沿って物品31が搬送される。
この実施の形態の第1移動体5は正面視(図1)で矩形の板状体(水平軸テーブル)であり、この装置の基部(基台)となる本体1に対し、上下のガイド14,14で水平方向に移動可能に取り付けられている。
この実施の形態の第2移動体4は正面視(図1)で矩形の板状体(垂直軸テーブル)であり、第1移動体5の正面に、左右のガイド15,15で垂直方向に移動可能に取り付けられている。
従動カム体3は、前述したように第1偏芯カム2c1に当接して水平方向の駆動力を受け、その水平方向駆動力を第2移動体4およびガイド15,15を介して第1移動体5に伝達する。同時に、従動カム体3は、前述したように第2偏芯カム2c2に当接して垂直方向の駆動力を受け、その垂直方向駆動力を第2移動体4に伝達する。
図25~図28に示す振動式物品搬送装置は、搬送方向水平振動の反力を打ち消すバランサ167を備えている構成とすることができる。
このように構成すると、搬送方向水平振動の反力を打ち消すことにより、装置全体の振動を低減できる。
このように構成すると、振動付与機構8Vの振動が床に伝わるのを低減できる。
この実施の形態は、回りの影響に左右されにくく取付の自由度を広げた防振バランサ構造の機械式楕円振動直進フィーダである。
振動付与機構8Vをなす振動発生ユニットの基本構成は前述した実施の形態と同様であるが、駆動軸2(偏芯シャフト102)の支持については片持ちに変更されている。
すなわち、振動付与機構8Vは、防振台の前後の腰ブロック153、153に、前後の吊り下げばね154、154、およびブランコテーブル155を介して吊り下げられている。別言すれば、振動付与機構8Vは、防振台の前後の腰ブロック153、153に、前後の吊り下げばね154、154でブランコのように吊り下げられたブランコテーブル155の上に設けられている。
このように構成すると、DCブラシレスモーターのコントローラを、デジタル的に制御するコントローラーで構成することで、回転数、加減速時間等を数値制御出来、安定した搬送速度を維持することができる。また、回転方向を変更することで、物品(ワーク)の搬送方向を逆にすることもできる。
したがって、この構成は、前述した振動付与機構8V全体を吊り下げる吊り下げ構造を採用する場合に特に有効である。
物品31を搬送するための搬送台8に正面視で楕円軌道の振動を付与して物品31を搬送する振動式物品搬送方法であって、
前記楕円軌道を、その楕円の長軸に関して非対称としたことを特徴とする。
この振動式物品搬送方法は、上述した振動式物品搬送装置によって実現することができる。
物品31を搬送するための搬送台8に正面視で楕円軌道の振動を付与して物品31を搬送する振動式物品搬送方法であって、
前記楕円軌道を、その楕円の長軸および短軸いずれに関しても非対称としたことを特徴とする。
この振動式物品搬送方法は、上述した振動式物品搬送装置によって実現することができる。
一般に、板ばねと電磁石を用いた防振ゴムタイプの直進フィーダでは重心バランスが重要になってくる。例えば図20に示すように、上部振動体の重心G1と下部振動体の重心G2とを結んだラインが板ばね27の角度と直交したときトラフ26の振動角度は板ばね27とほぼ直角になる。この場合、同一ライン上に力Fがある(図(a2))。これは板ばね27による力の作用線が二つの重心G1,G2を捉えるのでトラフ26は全域に渡って同じ方向を向いたFの方向に振動する。
直進フィーダは全体を防振ゴム29で受けているのでこの振動の影響を受けやすく、図(b1)における矢印Fおよび図(c1)における矢印Fで示すように、トラフ26の前後で振動の角度が変わってしまう。
その結果、ワークがトラフ26の前後で挙動したり止まったりして進まなくなってしまう現象が現れる。
したがって、ピッチングの影響を受けにくく、前後重量バランスが移動しても比較的スムーズにワークを搬送することが出来る。
また、偏芯角に関し、α+β≦180°にすることで振動軌跡を水平楕円から、傾斜楕円、傾斜直線と変更することが出来る。α+β=180°の時、長辺水平量2A、短辺垂直偏芯量2Bの水平楕円軌道となり、90°<α+β<180°の場合には傾斜楕円、α+β=90°の場合には水平振幅2A、垂直振幅2B、角度arctan(B/A)の傾斜直線軌道となる(図21参照)。
これによって汎用加工機でも製作が可能になり、安価な工作方法を用いて楕円軌跡もしくは非対称楕円変形軌跡等が製作出来る。
振動式物品搬送装置において、楕円振動による搬送速度が、それと等価な振幅をもつ単振動による搬送速度よりも大きくなる条件があるということは、非特許文献1によって示されている。また、特許文献3では2組のカム機構によって任意の運動軌跡を実現することで高い搬送性を得る方法について述べられている。しかしながら、振動軌道の自由度を高めることで被搬送物の搬送速度がどの程度向上するかについて定量的に検討した技術はまだ公開されていない。
そこで、以下では、楕円の長軸に対して非対称な軌道や楕円の長軸および短軸のいずれに対しても非対称な軌道などの自由度の高い振動軌道が、それと等価な振幅をもつ楕円軌道よりも大きな搬送速度をもたらすことを数値計算に基づいて説明する。
(図19-1)のように振動する搬送台上に質量mの物体Wがあるとき、時刻tにおける物体の水平変位をx、垂直変位をyとすると、物体Wの運動方程式は次式で表すことができる。
なお、ここでは搬送面が水平な場合について述べるが、(図19-2)に示したように搬送方向に対して正または負の傾斜がある場合も同様の手順で搬送速度を求めることができる。
水平楕円軌道における変位と垂直加速度の関係を(図19-3)に示した。
垂直変位が負となる楕円振動の下半分(図中クロスハッチングの領域)で、垂直加速度は正となりワークWに下向きの慣性力が働くのでワークWはトラフに強く押し付けられ、ワークWに対する摩擦力は大きくなる。
逆に垂直変位が正となる楕円振動の上半分では、垂直加速度は負となりワークWに上向きの慣性力が働くので垂直抗力が下がり摩擦力は小さくなる。
この摩擦力が大きい方向にワークWは進む。
また、搬送台は振動しているため、周期的に搬送方向とは反対の方向に変位する。そのため、搬送台と被搬送物が負の相対速度をもつことによって搬送速度を減速させる向きの摩擦力が周期的に作用する。この範囲では、搬送台の垂直加速度を小さくすることで被搬送物の減速を抑制することができる。楕円軌道の場合には、垂直方向の変位が振動中心より上にあるときその加速度は負の値をとるため、負の摩擦力を効果的に減少させることができる。
これによって、被搬送物の搬送状態に影響を与える搬送台の振動数、水平振幅および垂直振幅の条件をそろえることができる。したがって、この条件のもとでより大きな平均搬送速度を実現できる振動軌道は、より搬送効率の高い振動軌道であるといえる。
ワーク搬送方向と反対方向の垂直変位の上半分では垂直抗力が小さくなるのでワークの進む速度は低下する。
逆に、ワーク搬送方向と反対方向の垂直変位の上半分では垂直抗力が小さくなるのでワークの進む速度は低下する。
よって水平楕円(E0)より水平楕円変形曲線(E2)の方が有利である。
ここで説明した実施形態は物品を直線的に搬送する用途のものであるが、搬送台の替わりに物品を貯留するためのタンク等を設けて、振動を与えることによって少量ずつ供給する装置(ホッパ)に本発明を適用することも可能である。
そのため、搬送台の振動数や搬送方向の振幅を大きくすること以外の方法で物品の搬送速度の高速化を図ること、すなわち振動式物品搬送装置における搬送効率を向上させることが望まれる。
そこで、搬送台の振動数や搬送方向の振幅を変更することなく、本発明の方法によって振動軌道の自由度を高めていったときの平均搬送速度の変化を以下に示す。
2、偏芯シャフト
3、従動カムホルダ
4、垂直軸テーブル
5、水平軸テーブル
6、トラフベース
7、本体フタ
8、トラフ
9、駆動モーター
10、支持ベアリング1
11、水平駆動ベアリング
12、垂直駆動ベアリング
13、支持ベアリング2
14、水平テーブルガイド
15、垂直テーブルガイド
16、上部振動体
17、垂直カム押えばね固定ブロック
18、垂直カム押えばね
19、コントローラー
20、駆動偏芯カム
21、水平カム押えばね固定ブロック
22、水平カム押えばね
23、水平カム押えばね調整ボルト
24、ハウジング
25、オイルシール
25b、ゴムシール
26、トラフ
27、板ばね
28、電磁石
29、防振ゴム
31、搬送物(ワーク)
101、本体
102、偏芯シャフト
103、従動カムホルダ
104、垂直軸テーブル
105、水平軸テーブル
106、トラフベース
107、本体フタ
108、トラフ
109、駆動モーター
110、支持ベアリング
111、水平駆動ベアリング
112、垂直駆動ベアリング
114-1、水平テーブルガイド上
114-2、バランサガイド
114-3、水平テーブルガイド下
115、垂直テーブルガイド
116、上部振動体
117、垂直カム押えばね
120、駆動偏芯カム
122、水平カム押えばね
131、搬送物(ワーク)
150、足板
151、脚板
152、脚板
153、腰ブロック
154、吊り下げばね
155、ブランコテーブル
156、後ウェイト
157、前ウェイト
158、159、160、161、162、Oリング
163、カバー
164、板ばね
165、バランサ駆動ベアリング
166、馬蹄ブロック
167、バランサ
Claims (11)
- 物品(31)を搬送するための搬送台(8)と、
この搬送台(8)に正面視で楕円軌道の振動を付与する振動付与機構(8V)とを備えた振動式物品搬送装置であって、
前記振動付与機構(8V)は、
水平方向または垂直方向に移動可能な第1移動体(5)と、
この第1移動体(5)に対し、相対的に垂直方向または水平方向に移動可能に設けられた第2移動体(4)と、
これら第1,第2移動体(5)(4)の各移動方向に対して直交方向に配置された駆動軸(2)と、
この駆動軸(2)に設けられ、駆動軸(2)と一緒に回転する第1偏芯カム(2c1)と、
この第1偏芯カム(2c1)と同軸上で駆動軸(2)に設けられ、駆動軸(2)と一緒に回転する第2偏芯カム(2c2)と、
前記第1移動体(5)または第2移動体(4)に設けられ、前記第1偏芯カム(2c1)に当接して従動する第1従動面(3f1)と、前記第2偏芯カム(2c2)に当接して従動する第2従動面(3f2)とを有する1つの従動カム体(3)と、
を備えたことを特徴とする振動式物品搬送装置。 - 請求項1において、
前記従動カム体(3)は、前記第1偏芯カム(2c1)に当接して従動する第1従動面(3f1)としての正面視トラック形状の第1トラック面と、前記第2偏芯カム(2c2)に当接して従動する第2従動面(3f2)としての正面視トラック形状の第2トラック面とを有し、
第1トラック面の長軸に対し、第2トラック面の長軸が傾斜していることを特徴とする振動式物品搬送装置。 - 請求項1において、
前記従動カム体(3)は、前記第1偏芯カム(2c1)に当接して従動する第1従動面(3f1)としての正面視トラック形状のトラック面と、前記第2偏芯カム(2c2)に当接して従動する第2従動面(3f2)としての正面視円形状の円形面とを有し、
トラック面の中心に対し、円形面の中心が垂直方向に偏倚していることを特徴とする振動式物品搬送装置。 - 請求項1において、
前記従動カム体(3)は、前記第1偏芯カム(2c1)に当接して従動する第1従動面(3f1)としての正面視トラック形状のトラック面と、前記第2偏芯カム(2c2)に当接して従動する第2従動面(3f2)としての正面視円形状の円形面とを有し、
トラック面の中心に対し、円形面の中心が水平方向および垂直方向に偏倚していることを特徴とする振動式物品搬送装置。 - 請求項1~4のうちいずれか一項において、
前記第1移動体(5)と第2移動体(4)は、それぞれその移動方向において、それぞれ設けられたコイルバネまたは板バネで付勢されていることを特徴とする振動式物品搬送装置。 - 請求項1~5のうちいずれか一項において、
搬送方向水平振動の反力を打ち消すバランサをさらに備えていることを特徴とする振動式物品搬送装置。 - 請求項1~6のうちいずれか一項において、
前記振動付与機構(8V)全体を吊り下げる吊り下げ構造を備えていることを特徴とする振動式物品搬送装置。 - 請求項1~7のうちいずれか一項において、
前記駆動軸(2)の駆動源をDCブラシレスモーターで構成したことを特徴とする振動式物品搬送装置。 - 請求項1~9のうちいずれか一項において、
前記第1偏芯カム(2c1)と第2偏芯カム(2c2)、および第1従動面(3f1)と第2従動面(3f2)は、それぞれ、軸方向に沿って隣接かつ近接して設けられていることを特徴とする振動式物品搬送装置。 - 物品(31)を搬送するための搬送台(8)に正面視で楕円軌道の振動を付与して物品(31)を搬送する振動式物品搬送方法であって、
前記楕円軌道を、その楕円の長軸に関して非対称としたことを特徴とする振動式物品搬送方法。 - 物品(31)を搬送するための搬送台(8)に正面視で楕円軌道の振動を付与して物品(31)を搬送する振動式物品搬送方法であって、
前記楕円軌道を、その楕円の長軸および短軸いずれに関しても非対称としたことを特徴とする振動式物品搬送方法。
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