次に図面を参照するが、これらにおける図示は、本開示の様々な実施形態を例示することを目的としたものである。図1は、ワイヤ束を形成するために、電気ワイヤを自動的に処理するためのワイヤ処理マシン102の例を示しており、本明細書においては、ワイヤ束は、同じ意味でワイヤ群とも呼ばれる。本開示のシステム及び方法は、以下に詳述するように、ワイヤの処理及び/又はワイヤ束の取り外しの際にワイヤの絡まりを最小限に留めるための手段として、摩擦や1つ又は複数の分離装置を利用してワイヤの順序付け、分離、及び/又は、直線性の促進を行っているため、有利である。いくつかの例において、本開示のシステム及び方法は、ワイヤの処理中及び/又はワイヤ束の取り外し中に異なるワイヤ群(例えば、ワイヤ束)を相対的に移動させる際に、個々のワイヤの蛇行を最小限に留めたり、隣接するワイヤの交差を最小限に留めたりして、ワイヤが絡まるのを最小限に留めることができる。本開示のシステム及び方法は、ワイヤの絡まりを最小限に留めることにより、ワイヤ処理マシンを用いた自動化手段などにより比較的長い(例えば、3フィートより長い)ワイヤ束を纏めることができるため、有利である。
後述するシステム及び方法の一例において、ワイヤ処理マシン102の1つ又は複数のトレイは、材料層302や材料コーティング304などの表面特徴部300を含み(例えば、図1~図2、図4~図9、図14~図49、及び図55~図74)、当該表面特徴部により、トレイ表面と第1ワイヤ200との間のワイヤ対表面摩擦係数が、第1ワイヤ200と当該第1ワイヤ200上に載置された第2ワイヤ204との間のワイヤ対ワイヤ摩擦係数よりも高くなっている。ワイヤ対表面摩擦係数が相対的に高いため、第1ワイヤ200に対して第2ワイヤ204が動いている際、トレイ表面に対する第1ワイヤ200の動きを制限、抑制、及び/又は、抑止することができる。これにより、第1ワイヤ200や第2ワイヤが動いている際に、これらのワイヤ間の絡まりを抑制するとともに、第1ワイヤ200及び/又は第2ワイヤ204の直線性を高めることができる。後述するシステム及び方法の他の例において、ワイヤ処理マシン102のトレイのうちの1つ又は複数は、1つ又は複数の分離装置320(例えば、図27~図74)を含み、当該分離装置は、1つ又は複数のワイヤ群におけるワイヤの部分ワイヤ216の少なくとも一部の物理的な分離を促進することにより、同じワイヤ群及び/又は異なるワイヤ群におけるワイヤの絡まりを抑制するように構成されている。本開示の実施形態のいずれか1つにおいて、相対的に摩擦力が高い表面特徴部300(例えば、材料層302)の態様、及び/又は、分離装置320の態様は、ワイヤ処理マシン102において、互いに組み合わせて実施されてもよい。
図1には、電気ワイヤ(例えば、第1ワイヤ200、第2ワイヤ204など)の複数のスプール(spools)を支持するスプールホルダ104を有するワイヤ処理マシン102の例が示されている。電気ワイヤは、例えば、1つ又は複数のワイヤフィラメントで形成された金属コアを有し、ワイヤの長さに沿って延びるとともに金属コアを覆う絶縁層を含む。スプールホルダ104により支持されるスプールは、同一又は異なる太さ(例えば、直径)、コア材料、絶縁材料、及び/又は、色若しくはマークの電気ワイヤを含む。ワイヤ処理マシン102は、スプールのうちの1つ又は複数からワイヤを引き出すためのワイヤ供給システム106を含む。これに加えて、ワイヤ処理マシン102は、長状ワイヤ支持トレイ166(覆われた様子が示されている)と、ワイヤ処理トレイ156とを含む。これらのトレイは、複数本のワイヤがワイヤ供給システム106から引き出されると、これらのワイヤを支持する。
図2は、ワイヤ処理マシン102の一例を簡易的に示す図であり、同図において、ワイヤ処理中に複数のワイヤを支持するように各々が構成された長状ワイヤ支持トレイ166及びワイヤ処理トレイ156が示されている。同図において、長状ワイヤ支持トレイ166は、ワイヤ供給システム106のワイヤ供給方向に略平行な方向に沿って配置されている。しかしながら、長状ワイヤ支持トレイ166は、ワイヤ供給方向に対してどの方向に配置されていてもよい。長状ワイヤ支持トレイ166は、ワイヤ供給システム106から引き出されたワイヤを受け取る。ワイヤ処理トレイ156は、長状ワイヤ支持トレイ166に対して非平行な方向に沿って配置されるとともに、ワイヤ処理マシン102に含まれる1つ又は複数の処理モジュール110(図4)によるワイヤ端218の処理中にワイヤを支持する。ワイヤ処理マシン102は、1つ又は複数のコネクタパレット132を有するコネクタ挿入モジュール122を含み、当該パレットの各々は、ワイヤ端218が挿入される1つ又は複数の電気コネクタを支持する。ワイヤ処理マシン102は、オペレータ390がワイヤ処理マシン102の動作を手動で制御、調整、及び/又は、監視することを可能にするオペレータインターフェースを含む(図示略―例えば、モニター又はグラフィカルユーザーインターフェースを有するコンピュータ)。
図3は、コネクタ134で終結する、複数のワイヤを有するワイヤ束の端部の例を示す斜視図である。上述したように、ワイヤ処理マシン102は、1つ又は複数のワイヤのワイヤ端218をコネクタの適切な開口部に順次挿入するように構成されている。ワイヤ処理マシン102は、ワイヤを纏めてコネクタに挿入する代わりに、ワイヤ群(例えば、ワイヤ束)における複数のワイヤのワイヤ端218を纏めてテープ留めするためのワイヤテープ結束モジュール120を含んでもよい。以下に詳述するように、ワイヤ端218が纏めてテープ留めされるか、或いはコネクタに挿入された後、纏められたワイヤ束(例えば、ワイヤ群)はワイヤ処理マシン102から取り外される。例えば、ワイヤ群は、ワイヤ処理マシン102からオペレータ390により手作業で取り外されてもよく、その際、ワイヤ群におけるワイヤは、手作業で巻回されてワイヤコイル392(例えば、図18~図19)が形成されてもよい。
図4は、ワイヤ処理マシン102の例を示す上面図であり、当該マシンは、長状ワイヤ支持トレイ166に対して平行に配置された軌道(track)152に沿って移動可能なループ引出し機構150を有する。長状ワイヤ支持トレイ166は、ループ引出し機構150によりワイヤ供給システム106から引き出されたワイヤを受け取るように構成されている。図4には、さらに、ワイヤ処理トレイ156の長さ方向158に沿って配置された複数のワイヤ処理モジュール110が概略的に示されている。ワイヤ処理マシン102は、シャトル(shuttle)126を含み、当該シャトルは、ワイヤ処理トレイ156の長さ方向158に対して平行に延びるレール128に沿って移動可能である。シャトル126は、エンドグリッパ(end gripper)108から各ワイヤ端218を受け取って、当該ワイヤ端218をワイヤ処理モジュール110のうちの1つ又は複数に搬送するように構成されている。長状ワイヤ支持トレイ166及びワイヤ処理トレイ156は、各ワイヤのワイヤ端218のうちの一方の端又は両方の端の処理中に、当該ワイヤを支持する。
引き続き図4を参照すると、ワイヤ処理モジュール110は、限定するものではないが、絶縁体ストリッパーモジュール(insulation stripper module)112、ストリッパー検査モジュール114、ワイヤマーカーモジュール、クリンプモジュール116、クリンプ検査モジュール118、ワイヤテープ結束モジュール120、及び/又は、コネクタ挿入モジュール122を含む。絶縁体ストリッパーモジュール112は、各ワイヤのワイヤ端218から絶縁体の短い片(例えば、1インチ未満)を取り除く。絶縁体ストリッパーモジュール112は、レーザーストリッパーモジュールやブレードストリッパーモジュールとして構成されてもよいし、他の絶縁体ストリッパー構成を有していてもよい。ワイヤストリッピング仕上がり保証カメラなどのストリッパー検査モジュール114は、各ワイヤ端218を検査して、絶縁層が適切に取り除かれているか否かを確認する。レーザーワイヤマーカーなどのワイヤマーカーモジュール(図示略)は、個々のワイヤにラベル又はマークを付与する。ワイヤマーカーモジュールは、ワイヤ供給システム106の近くに設けられており、ワイヤ供給システム106から供給される各ワイヤにマークを付与する。
図4において、クリンプモジュール116は、ワイヤの対向するワイヤ端218の一方又は両方に端部取付具(end fitting)220(例えば、電気コンタクト、端子、ラグ(lug)、又は、他の端部取付具)を圧着する。クリンプ検査モジュール118(例えば、圧着仕上がり保証カメラ)は、各ワイヤ端218の圧着の仕上がり及び完全性を検査する。ワイヤテープ結束モジュール120は、粘着テープを用いて、ワイヤ群におけるワイヤのワイヤ端218を1つに束ねる。これに代えて、コネクタ挿入モジュール122は、ワイヤ群のワイヤ端218をコネクタに順次挿入してもよい。各コネクタは、当該コネクタの取り外しを可能にするとともに、ワイヤ処理マシン102から取り外す際のワイヤの巻回を可能にするために、コネクタパレット132に着脱可能に接続される。
図5は、ワイヤ処理マシン102の一部の上面図であり、ワイヤ処理トレイ156と長状ワイヤ支持トレイ166との接続部を示している。上述したように、ワイヤ処理トレイ156の長さ方向158は、長状ワイヤ支持トレイ166の長さ方向168に対して非平行(例えば、垂直)である。上述したように、長状ワイヤ支持トレイ166の長さ方向168は、ワイヤ供給システム106のワイヤ供給方向に平行であってもよい。
図5~図7は、ワイヤの処理における一連の初期ステップを示す。図5は、ワイヤ供給システム106から第1ワイヤ200が引き出されて、エンドグリッパ108により把持されている様子を示す。図6は、第1ワイヤ200のワイヤループ222を形成するために、垂直軸を中心としてエンドグリッパ108を180°回転させた様子を示す。本開示において、「ループ」及び「ワイヤループ」という用語は、ワイヤに形成される約180度のU字型円弧として記載される場合もある。図7は、ワイヤが所定長に達するまで、長状ワイヤ支持トレイ166の長さ方向168に沿ってワイヤループ222を把持して引き出すように構成されたループ引出し機構150の例を示す。ループ引出し機構150は、軌道152に沿って移動するとともに、長状ワイヤ支持トレイ166の長さ方向168に沿って個々のワイヤを引き出すように構成されており、その際、当該ワイヤの両端は、エンドグリッパ及びワイヤ供給システム106により固定位置に保持されている。図8は、第1ワイヤ200が、長状ワイヤ支持トレイ166に沿って適切な長さになるまで引き出された後、ループ引出し機構150が、長状ワイヤ支持トレイ166のトレイ底面172上に、当該第1ワイヤ200を解放する様子を示す。
図9は、図4のワイヤ処理マシン102の上面図であり、ワイヤ端218がシャトル126に渡されて当該シャトル126により様々なワイヤ処理モジュール110のうちの1つ又は複数に移動された後の、第1ワイヤ200の位置を示している。例えば、絶縁層の一部の剥離が行われ、続いてワイヤ端218の検査が行われた後に、シャトル126が、ワイヤ端218をクリンプモジュール116に移動させ、この位置で、電気コンタクト(図示略)がワイヤ端218に圧着された後、クリンプ検査モジュール118において検査が行われる。次に、シャトル126は、端部取付具220が圧着されたワイヤ端218を、コネクタ挿入モジュール122に設けられたコネクタ挿入機構124に渡す。ワイヤ端218がモジュールからモジュールへ移動する際、第1ワイヤ200の後端部分は、長状ワイヤ支持トレイ166及びワイヤ処理トレイ156の各々のトレイ底面172に沿って引っ張られる。
図10は、コネクタ挿入モジュール122の一例を示す斜視図であり、第1ワイヤ200のワイヤ端218の端部取付具220が、第1コネクタ134に挿入される際に、コネクタパレット132がコネクタ挿入位置162で保持されている様子を示している。同図には、コネクタ取外し位置164に設けられるとともに複数のコネクタを含む別のコネクタパレット132が示されており、ワイヤが纏められてワイヤ束が完成し、ワイヤ処理マシン102からの取り外しの準備が整った状態を示している。図11~図13は、コネクタ134に挿入されたワイヤ端218の処理を示す。例えば、図11は、コネクタパレット132に取り付けられたコネクタ134への挿入前に、コネクタ挿入機構124がワイヤ端218を把持している様子を示している。図14は、ワイヤ端218を、コネクタ134の開口部のうちの1つに挿入する際の、図12のコネクタ挿入機構124を示す。図13は、ワイヤ端218をコネクタ134に挿入した後の、図14のコネクタを示す。
図14は、図4に示すワイヤ処理マシン102の上面図であり、同図においては、ループ引出し機構150による第1ワイヤ200の引き出しと同様に、ワイヤ処理トレイ156の長さ方向158に沿ってループ引出し機構150により第2ワイヤ204が引き出された後に、第2ワイヤが部分的に第1ワイヤ200に重なっている様子が示されている。図15は、第2ワイヤ204が、シャトル126によりワイヤ処理トレイ156に沿って適切な長さまで引き出された後、第2ワイヤ204が、第1ワイヤ200に重なっている様子を示す。上述した第1ワイヤ200の処理と同様に、第2ワイヤ204のワイヤ端218は、シャトル126により把持され、ワイヤ処理モジュール110に順次移動される。第2ワイヤ204のワイヤ端218は、最終的に、第1コネクタ134と同じコネクタパレット132に取り付けられた第2コネクタ136に挿入される。長状ワイヤ支持トレイ166及び/又はワイヤ処理トレイ156は、第2ワイヤ204のワイヤ端218の処理において、第1ワイヤ200及び第2ワイヤ204を支持するトレイ底面172などの、少なくとも1つのトレイ表面を有する。
図16は、第1ワイヤ200及び第2ワイヤ204が、第1コネクタ134及び第2コネクタ136のそれぞれに挿入された後、コネクタパレット132が、コネクタ挿入位置162からコネクタ取外し位置164に移動される様子を示す。なお、1つの第1ワイヤ200及び1つの第2ワイヤ204に関連させてワイヤ処理動作の説明を行ったが、本開示のシステム及び方法は、第1ワイヤ群202における任意の数の第1ワイヤ200を処理して第1コネクタ134に挿入するため、及び、第2ワイヤ群206における任意の数の第2ワイヤ204を処理して第2コネクタ136に挿入するために実施してもよいし、これに加えて、追加のワイヤ群における任意の数の追加のワイヤを処理して、当該ワイヤを、ワイヤコネクタパレット132に取り付けられた追加のコネクタのそれぞれに挿入する工程を含んでもよい。しかしながら、上述したように、ワイヤ群のワイヤをコネクタに挿入する代わりに、これらのワイヤをワイヤテープ結束モジュール120においてテープで纏めてもよい。
図17は、コネクタ取外し位置164においてコネクタパレット132から第2コネクタ136を取り外した後に、第2ワイヤ204を巻回する様子を示す。好ましい例においては、ワイヤ及び関連するコネクタは、後入れ先出し(last-in/first-out)方式でワイヤ処理マシン102から取り外される。本実施例においては、第1ワイヤ200及び第1コネクタ134を取り外す前に、第2ワイヤ204及び第2コネクタ136をワイヤ処理マシン102から取り外す。ワイヤ処理動作の結果、(1)1つ又は複数のワイヤが、1つ又は複数のコネクタの各々からぶら下がっており、好ましくは巻回されている状態、又は、(2)1つ又は複数のワイヤ束の各々のワイヤ端218がテープ留めされ、好ましくは巻回されている状態、のいずれかの状態になる。図18は、コネクタパレット132からの第2コネクタ136の取り外し後、オペレータ390が、第2ワイヤ204を巻回する様子を示す。図19は、ワイヤ処理マシン102からの取り外し後、オペレータ390が、巻回された第2ワイヤ204を保持している様子を示す。
本開示においては、長状ワイヤ支持トレイ166及び/又はワイヤ処理トレイ156のトレイ表面のうちの1つ又は複数は、表面特徴部300を有し、当該表面特徴部により、ワイヤの長さに沿った少なくとも1つの位置において、トレイ表面と第1ワイヤ200との間のワイヤ対表面摩擦係数が、第1ワイヤ200と、当該第1ワイヤ200の上に載置されるとともにこれに直接物理的に接触している第2ワイヤ204との間のワイヤ対ワイヤ摩擦係数よりも高くなっているため、有利である。ワイヤ対表面摩擦係数がワイヤ対ワイヤ摩擦係数よりも高いため、第1ワイヤ200に対して(例えば、当該ワイヤの上面に沿って)第2ワイヤ204が動いている際、トレイ表面に対する第1ワイヤ200の動きが、制限、抑制、又は、阻止される。さらに、ワイヤ対表面摩擦係数が比較的高いと、長手方向の移動の際、第1ワイヤ及び/又は第2ワイヤの直線性を高めること、及び/又は、維持することができる。これに関して、ワイヤ対表面摩擦係数が比較的高いと、ワイヤが動いている際に各ワイヤに対して張力を付与することが容易になり、ワイヤを真っ直ぐにするとともに、直線性及び平行性を高めることができ、この結果、個々のワイヤの蛇行を抑制したり、隣接するワイヤが交差するのを最小限にとどめたりすることができる。これら全ての理由により、ワイヤ処理中に、異なるワイヤ群(例えば、第1ワイヤ群202及び第2ワイヤ群206)が相対的に移動する際のワイヤの絡まりを抑制することができる。第2ワイヤ204又は第2ワイヤ群206に対する第1ワイヤ200又は第1ワイヤ群202の動きを制限すること、及び/又は、ワイヤの直線性を高めることにより、ワイヤの絡まりを最小限にとどめて、ワイヤ処理マシン102のワイヤ処理トレイ156から各ワイヤ群を順次取り出して巻回することができる。
図20は、長状ワイヤ支持トレイ166の断面図であり、第2ワイヤ204の第2ワイヤ群206が、第1ワイヤ200の第1ワイヤ群202に重なっている様子を示しており、さらに、長状ワイヤ支持トレイ166のトレイ底面172及びトレイ側面174における比較的摩擦力が高い材料層302又は材料コーティング304を示す。図示例においては、トレイは、水平配置の平面状のトレイ底面172と、垂直配置の対向するトレイ側面174とを有する。さらに、ワイヤ処理マシン102は、図17に示す長状ワイヤ支持トレイ166とワイヤ処理トレイ156との接続部に設けられたアール付き又は湾曲したトレイ側面として構成可能なトレイコーナー表面176を含む。トレイ表面は、当該トレイ表面上に載置されるとともにこれと直接接触している第1ワイヤ群202を支持し、その際、ある長さの1つ又は複数の第1ワイヤ200のうちの少なくとも一部が、ほぼ、トレイの長さ方向に沿って延びるように構成されている。
図21は、トレイ(例えば、長状ワイヤ支持トレイ166又はワイヤ処理トレイ156)の一部の拡大断面図であり、トレイ表面と第1ワイヤ200との間のワイヤ対表面摩擦係数を、第1ワイヤ200と当該第1ワイヤ200上に載置された第2ワイヤ204との間のワイヤ対ワイヤ摩擦係数よりも高くするために、トレイ表面に付与された(applied over)材料層302又は材料コーティング304を示している。これに関して、材料層302又は材料コーティング304は、第1ワイヤ群202との粘着度又は粘度を、第1ワイヤ群202と第2ワイヤ群206との間の粘着度よりも高くすることができる。いくつかの例においては、材料層302又は材料コーティング304は、剥き出し金属(bare metal)、コーティング金属、塗装金属、ゴム、プラスチック、発泡体、織物、布、及び/又は、ゴムが含侵された布(例えば、フリクションテープ(friction tape))で形成されている。しかしながら、材料層302又は材料コーティング304は、上述したように、ワイヤ対表面摩擦係数をワイヤ対ワイヤ摩擦係数よりも高くすることができれば、どのような材料組成であってもよい。一実施形態において、材料コーティング304は、ワイヤ対表面摩擦係数を比較的高くするために、トレイ表面のうちの1つ又は複数に噴霧又は付与されるポリマー材料であってもよい。他の実施形態において、材料層302は、トレイ表面のうちの1つ又は複数に敷設及び/又は貼着された、ゴムマットやプラスチックマットなどのマットであってもよい。
いくつかの例において、1つ又は複数のトレイ表面に適用される表面特徴部300は、表面テクスチャ306を含む。ある実施形態において、表面テクスチャ306は、トレイ表面上に突出及び/又はトレイ表面下に延在する(例えば、トレイ表面のディボット(divot)又は穴)複数の幾何学形状部308からなり、表面テクスチャ306を用いない場合の第1ワイヤ200とトレイ表面との間の接触と比較して、第1ワイヤ200とトレイ表面との間の接触量を増大させるように構成されている。例えば、複数の幾何学形状部308は、各々が、表面特徴部高さ312(図23)、及び、表面特徴部幅314(図23)を有する凹形及び/又は凸形の表面特徴部310のパターンを含む。いくつかの例において、表面特徴部高さ312、及び/又は、表面特徴部幅314は、表面特徴部310と接する複数の第1ワイヤ200のうちの最も小さいワイヤの直径よりも小さくてもよい。しかしながら、他の例においては、表面特徴部高さ312、及び/又は、表面特徴部幅314は、表面特徴部310と接するワイヤのうちの最も大きいワイヤの直径よりも大きくてもよい。ある実施形態において、表面特徴部310は、第1ワイヤ200のうちの最も小さいワイヤの直径よりも小さい特徴間隔316で、互いに離間していてもよい。
図22は、トレイ底面172の一部を示す断面図であり、当該トレイ底面は、断面で見たときに、1つの第1ワイヤ200と略平面状の材料層302又は材料コーティング304との間の1つの接触領域(contact patch)318において、当該第1ワイヤ200を支持している。図23は、例示的な実施形態における表面テクスチャ306を有するトレイ底面172を示しており、当該表面テクスチャは、複数の丸みを帯びた形状又は凸形状の表面特徴部310を含む。なお、これらの表面特徴部は、第1ワイヤ200を断面で見たときに、第1ワイヤ200と、隣接した一対の表面特徴部310との間に2つの別個の接触領域318を有するように寸法決め及び構成されている。これに代えて、或いは、これに加えて、幾何学形状部は、トレイ表面に1つ又は複数のディボット又は穴(図示略)を有する凹面特徴部を含んでもよい。この凹面特徴部により、幾何学形状部を有していないトレイ表面と比較して、ワイヤとトレイ表面との間の接触量を増大させることができる。
図23に示された表面特徴部310などの表面テクスチャ306は、各ワイヤの接触表面積を増大させることにより、ワイヤのアライメント力(alignment force)を増大させることができるため、有利である。これに関して、表面特徴部310などの表面テクスチャ306は、ワイヤがトレイ表面に沿って引き出される際に、ワイヤを梳(す)く(comb out)ように作用することにより、ワイヤを真っ直ぐにするのに役立つ。一例において、表面特徴部310は、発泡材料で形成することができる。この発泡材料は、ポリマー材料のシートで形成されるとともに、バブルチャンバの列を形成しており、商業的には、Bubble Wrap(登録商標)として知られている。しかしながら、表面テクスチャ306は、任意のサイズ、間隔、形状、及び、構成を有する任意のパターンの表面特徴部で形成してもよく、図23に示される丸みを帯びた表面特徴部310に限定されない。例えば、表面テクスチャは、角錐、角錐台、円錐、円筒、半球、又は、立方体若しくは矩形状の突起(boss)などの隆起した方形状(raised orthogonal shapes)のパターンであってもよい。
図24は、ワイヤ処理トレイ156からの取り出しの際の第1ワイヤ群202の巻回を示す、ワイヤ処理トレイ156の一部の上面図である。また、ワイヤ処理トレイ156からの取り出しの際、オペレータ390が第1ワイヤ群202に加える引張力394も図示されている。図25は、引張力394とは反対の方向に沿って、第1ワイヤ200とトレイ底面172との間で生成される摩擦力396を示す、図24の第1ワイヤ群202における第1ワイヤ200の拡大上面図である。上述したように、表面特徴部300により生じる第1ワイヤ200とトレイ底面172との間の摩擦力396により、ワイヤ218は、当該ワイヤ218の長さに沿って真っ直ぐな形態で同じ位置に残ろうとする状態、及び/又は、真っ直ぐな形態を保とうとする状態になるため、ワイヤの絡まりを最小限に留めることができる。摩擦力396により、ワイヤ群のうちの1つの取り出しの際、ワイヤ218を同じ位置に留まらせることができるため、有利である。例えば、トレイに置かれた5つの異なるワイヤ群の処理が終わり、これらの各々が異なるコネクタで終結している場合、下側の4つのワイヤ群をトレイに沿って長手方向に引っ張らずに一番上のワイヤ群をトレイから取り出すことができるため、取り出し作業が容易になる。これに関して、トレイと下側の4つのワイヤ群との間のワイヤ対表面摩擦係数が、一番上のワイヤ群と下側の4つのワイヤ群との間のワイヤ対ワイヤ摩擦係数よりも高いため、下側の4つのワイヤ群は、(トレイ上の)同じ位置に留まろうとする。
いくつかの例において、ワイヤ処理システム100は、少なくとも1つの分離装置320を含み、当該分離装置は、トレイに関連付けられるとともに、ワイヤ処理及び/又はワイヤ束の取り外しの際に、ワイヤを物理的に分離すること促進するように構成されている。例えば、1つ又は複数の分離装置320は、トレイのうちの1つ又は複数に支持されて(例えば、設置されて)いてもよいし、これらのトレイに取り付けられていない状態であってもよい。他の例において、1つ又は複数の分離装置320は、トレイに対する機械的な締結、及び/又は、接着剤を用いた接合などにより、トレイのうちの1つ又は複数に物理的に搭載されているか、或いは取り付けられてもよい。
本開示の分離装置320は、第1ワイヤ群202における第1ワイヤの部分ワイヤのうちの少なくとも一部を、第2ワイヤ群206における第2ワイヤの部分ワイヤのうちの少なくとも一部から、物理的に分離することを促進する。いくつかの例において、分離装置320は、1つ又は複数の第1ワイヤ200の部分ワイヤ216同士を物理的に分離したり、1つ又は複数の第2ワイヤ204の部分ワイヤ216同士を物理的に分離したりする。これに関して、分離装置320は、複数のワイヤの直線性を高め、これらのワイヤが互いに絡み合ったり、1つ又は複数のワイヤ群における他のワイヤと絡まったりすることを最小限に留める。
図26は、複数の分離装置320を有する長状ワイヤ支持トレイ166の例を示す上面図である。これらの分離装置320は、分離壁340と、複数の分離ポスト324、326、328とを含み、これらの分離ポストは、長状ワイヤ支持トレイ166の長手方向168に沿って間隔を空けて設けられている。分離壁340は、トレイの長手方向168に沿って少なくとも部分的に延在している。図26においては、分離壁340は、ワイヤ供給システム106に隣接する位置から、ワイヤ供給システム106に最も近い分離ポスト324まで延在することが示されている。しかしながら、分離壁340は、長状ワイヤ支持トレイ166の長手方向168のどの部分に沿って延在していてもよい。さらに、長状ワイヤ支持トレイ166は、1つの分離壁340を含む一方で分離ポストを含まなくてもよいし、これに代えて、長状ワイヤ支持トレイ166は、長状ワイヤ支持トレイ166の長手方向168の大部分に沿って延びる1つの分離壁340と、長状ワイヤ支持トレイ166の末端であるトレイ端170に設けられた1つの分離ポストとを含んでもよいし、他の例において、長状ワイヤ支持トレイ166は、当該長状ワイヤ支持トレイ166の長手方向168に沿って、端から端まで設けられた2つ又はそれ以上の壁(図示略)を含んでもよい。
図26は、さらに、長状ワイヤ支持トレイ166の長手方向168に沿って間隔を空けて設けられた3つの分離ポスト324、326、328を示している。分離ポストのうちの1つ328は、トレイ端170に隣接して配置されている。分離ポストのうちの別の1つの分離ポスト326は、長状ワイヤ支持トレイ166の長さのほぼ中間に配置されている。さらなる分離ポスト324は、上述した分離ポスト間に配置されている。分離ポストの各々は、長状ワイヤ支持トレイ166の幅方向に沿って、ほぼ横中央に位置している。しかしながら、長状ワイヤ支持トレイ166は、分離ポストをいくつ含んでもよく、これらのポストは、長さ方向に任意の間隔を空けて、長状ワイヤ支持トレイ166の幅方向における任意の位置に設けられてもよい。ループ引出し機構150は、各ワイヤを所望の長さに引き出すとともに、各ワイヤのワイヤループ222が少なくとも部分的に分離ポストに巻き掛かるような態様で当該ワイヤを分離ポストに落下させるように構成されている。
図27は、図26の長状ワイヤ支持トレイ166の断面図であり、分離ポストが、当該分離ポストの両側において部分ワイヤ216同士の絡まりを最小限に留める様子を示している。本開示のいずれにおいても、任意の1つのトレイ表面、及び/又は、任意の1つ又は複数の分離ポストの任意の1つ又は複数の側面は、任意で、材料層302、材料コーティング304、又は、表面テクスチャ306などの表面特徴部300を含んでもよく、これにより、トレイ表面と第1ワイヤとの間のワイヤ対表面摩擦係数を、第1ワイヤと当該第1ワイヤ上に載置された他のワイヤとの間のワイヤ対ワイヤ摩擦係数よりも高くして、ワイヤの直線性及び平行性を高めるようにしてもよい。長状ワイヤ支持トレイ166における分離壁340及び/又は1つ又は複数の分離ポストは、分離壁340及び/又は分離ポストの両側で、部分ワイヤ216を物理的に分離することにより、ワイヤ処理及び/又はワイヤ束の取り外しの際、長状ワイヤ支持トレイ166において、部分ワイヤ216が相互に絡まったり、他のワイヤの部分ワイヤ216と絡まったりすることを最小限に留めることができるため、有利である。さらに、分離壁340及び/又は分離ポストは、ワイヤループ222の少なくとも両側において部分ワイヤ216の直線性及び平行性を高めて、ワイヤの絡まりを極力防止することができる。
図28は、複数のポストの組338を有する長状ワイヤ支持トレイ166の上面図である。同図において、4つの異なるポストの組338は、当該ポストの組を部分的に囲む第1、第2、第3、及び第4のワイヤ群202、206、210、214におけるワイヤの対応する長さに従って、長状ワイヤ支持トレイ166の長手方向168に沿って間隔を空けて配置されている。ポストの組338は、少なくとも2つの分離ポストを含み、これらの分離ポストは、横方向に互いに離間するとともに、長状ワイヤ支持トレイ166に沿った長手方向位置がほぼ同じである。図28には、第1ワイヤ群202、第2ワイヤ群206、第3ワイヤ群210、及び、第4ワイヤ群214に対応して設けられた4つの異なるポストの組338が示されている。図29は、異なるポストの組338に巻き掛かった異なるワイヤ群を示す斜視図である。ポストの組338は、当該ポストの組338の各側における部分ワイヤ216間の離間距離を広げることにより、ワイヤが絡まるリスクを極力防止することができるため、有利である。
図30は、第1ワイヤ群202、第2ワイヤ群206、及び、第3ワイヤ群210のそれぞれの長さに従って配置された3つの回転分離ポストを有する長状ワイヤ支持トレイ166を示す上面図である。分離ポストのうちの1つ又は複数は、長状ワイヤ支持トレイ166からのワイヤ又はワイヤ群の取り出しを容易にするために、垂直ポスト軸322を中心として回転可能である。回転分離ポストは、当該分離ポストに部分的に巻き掛かるワイヤ又はワイヤ群の一端が引っ張られると、それに応答して自由に回転する。回転分離ポストは、図26~図29に示すように円筒状であってもよいし、図30~図31に示すように円錐状であってもよい。また、回転分離ポストは、これら以外の形状を有していてもよい。
図31は、円錐状の回転分離ポストに巻き掛かった第2ワイヤ群206を示す、図30の長状ワイヤ支持トレイ166の側面図である。ワイヤループ222の両側において部分ワイヤ216の離間距離をさらに広げるために、円錐状分離ポストの底部は、円筒状分離ポストよりも大きい直径を有する。分離ポストの上部は、当該分離ポストの上端に各ワイヤを落下させ易くするために、比較的小さい直径を有しうる。上述したように、回転分離ポストの実施形態のうちの任意の実施形態は、材料層302、材料コーティング304、又は、表面テクスチャ306などの表面特徴部300を含むことにより、ワイヤ対表面摩擦係数を比較的高くして(例えば、ワイヤ対ワイヤ摩擦係数よりも高くして)、ワイヤ群の直線性及び平行性を高めるとともに、ワイヤの絡まりを抑制又は防止するようにしてもよい。
図32~図36は、横方向に移動可能な分離ポストの例を示す。一例において、長状ワイヤ支持トレイ166は、ポストの組338における少なくとも2つの分離ポストを含む。これらの分離ポストは、個々に横方向への相対移動が可能であり、これにより、第1ワイヤ群202及び第2ワイヤ群206を張り渡す際に、部分ワイヤ216の分離を容易にすることができる。図32は、トレイ端170に隣接して設けられた3つの分離ポスト、すなわち第1分離ポスト324、第2分離ポスト326、及び、第3分離ポスト328を含むポストの組338を有する長状ワイヤ支持トレイ166の例を示す上面図である。さらに、長状ワイヤ支持トレイ166は、当該長状ワイヤ支持トレイ166とワイヤ処理トレイ156との接続部に隣接して設けられた3つの分離ポスト、すなわち第4分離ポスト330、第5分離ポスト334、及び、第6分離ポスト336を含むポストの組338を有する。分離ポストのうちの1つ又は複数は、個々に横方向へ相対移動して、異なるワイヤ群の分離を容易にすることができる。
例えば、図33は、長状ワイヤ支持トレイ166の上面図であり、第1ワイヤ群202が、ループ引出し機構150により、長状ワイヤ支持トレイ166の幅方向のほぼ中央に位置する第1分離ポスト324まで引き出されている様子を示す。図34は、第1分離ポスト324が、トレイの片側に向かって横方向に動かされている様子を示し、さらに、第1ワイヤ群202が、第1分離ポスト324に巻き掛けられた後、長状ワイヤ支持トレイ166とワイヤ処理トレイ156との接続部におけるアール状のコーナーの近くに位置する第4分離ポスト330が、ワイヤ供給システム106に向かって横方向に動かされている様子を示す。第1分離ポスト324及び第4分離ポスト330の横方向への移動により、ループ引出し機構150が、ワイヤ供給システム106から1つ又は複数の第2ワイヤ204を引き出すための明確な経路が形成される。
図35は、長状ワイヤ支持トレイ166の幅方向中央へ向かって横移動した第2分離ポスト326に巻き掛けられた第2ワイヤ群206を示す。図36は、第2分離ポスト326が、トレイの片側に向かって横方向に動かされている様子を示しており、さらに、第2ワイヤ群206が、第2分離ポスト326に巻き掛けられた後、長状ワイヤ支持トレイ166とワイヤ処理トレイ156との接続部における第5分離ポスト334が、ワイヤ供給システム106に向かって横方向に動かされている様子を示す。図36には、第3ワイヤ群210のうちの1つ又は複数の第3ワイヤ208を順次受け取るために、第3分離ポスト328が、長状ワイヤ支持トレイ166の幅方向の中央に向かって横移動している様子も示されている。
なお、横方向に移動可能な分離ポストからなる分離ポストの組338はいくつ提供されてもよく、これらの分離ポストは、各分離ポストが支持するワイヤの長さに応じて、長状ワイヤ支持トレイ166に沿った長手方向における任意の位置に設けることができる。一例において、移動可能な分離ポストからなるポストの組338は、トレイの長手方向168に沿って間隔を空けて(図示略)、ワイヤ供給システム(図32~図36)とは反対側のトレイ端170に設けられてもよいし、これに加えて、或いは、これに代えて、長状ワイヤ支持トレイ166とワイヤ処理トレイ156との接続部に設けられてもよい。移動可能な分離ポストにより、ループ引出し機構150は、ワイヤ供給システム106からワイヤを引き出して当該ワイヤを適切な分離ポスト上で解放する際に、単純な直線経路で動作することができるため、有利である。
図37は、複数の分離装置320を有する長状ワイヤ支持トレイ166を示す上面図であり、当該分離装置の各々は、異なるワイヤ群を分離するための垂直コンベヤーシステム342として構成されている。図38は、長状ワイヤ支持トレイ166の断面図であり、垂直コンベヤーシステム342のコンベヤーベルト344に枢動可能に結合されるとともに垂直移動が可能な複数のバスケット346を示している。図示例において、コンベヤーシステムは、長状ワイヤ支持トレイ166の長手方向168に沿って延びており、長状ワイヤ支持トレイ166の片側に取り付けられている。垂直コンベヤーシステム342は、垂直配置されたコンベヤーベルト344に枢動可能に結合された複数のバスケット346を含む。コンベヤーベルト344は、支持具(図示略)により長状ワイヤ支持トレイ166に取り付け可能な上側及び下側のプーリーにより支持される。図示例において、垂直コンベヤーシステム342は、少なくとも第1バスケット348と第2バスケット350とを含み、これらのバスケットは、互いに間隔を空けてコンベヤーベルト344に取り付けられている。
図37~図38の例において、垂直コンベヤーシステム342は、ループ引出し機構150の動作と連携して律動的に動作する。例えば、垂直コンベヤーシステム342は、ループ引出し機構150による、ワイヤ供給システムからの1つ又は複数の第1ワイヤ200の順次的な供給又は引き出しに連携して、第1バスケット348をコンベヤーベルト344の最も上の位置に配置し、これにより、1つ又は複数の第1ワイヤ200が、ループ引出し機構150により、ある長さまで引き出されて解放された時に、第1バスケット348が、当該第1ワイヤを受け取れるようにする。その後、ループ引出し機構150による、ワイヤ供給システムからの1つ又は複数の第2ワイヤ204の順次的な供給又は引き出しに連携して、第2バスケット350を回転させて最も上の位置(例えば、第1バスケット348の真上の位置)に移動させることにより、第2ワイヤ204が、ループ引出し機構150により解放された時に、第2バスケット350が、当該第2ワイヤを受け取れるようにする。各ワイヤは、ワイヤ端218が、ワイヤ処理モジュール110を用いて上述した態様で処理されている間、対応するバスケットに少なくとも部分的に支持されている。バスケット346により、ワイヤ処理において、ワイヤ群の分離を好適に行うことができるので、異なるワイヤ群のワイヤ間の絡まりを最小限に抑えることができる。
図39は、ワイヤ群におけるワイヤを一緒に整列させるための複数の対向する傾斜部354を有するワイヤ処理トレイ156の例を示す上面図である。同図には、傾斜部354がワイヤ処理トレイ156に設けられている状態が示されているが、これに代えて、或いは、これに加えて、当該傾斜部は、長状ワイヤ支持トレイ166に設けられてもよい。図40は、ワイヤ処理トレイ156に取り付けられた複数の対向する傾斜部354を示す斜視図である。図示例において、傾斜部354は、連続して配置されるとともに、交互に対向して角度をつけて配置されている。各傾斜部354の角度配置により、各傾斜部354に支持されているワイヤの部分が、重力下で傾斜部354の下側部分に向かって滑り落ちるため、有利である。このようにして、重力により、各傾斜部354においてワイヤ群のワイヤを纏めることができ、ワイヤ群のワイヤの予測可能な経路を形成することができる。ワイヤの予測可能な経路により、ワイヤの平行性を高めることができ、これにより、ワイヤ群のワイヤ間の絡まりを最小限にできるため、有利である。
図41は、分離装置320を有するワイヤ処理マシン102の例を示す上面図であり、当該分離装置は、ワイヤ処理やワイヤ束の取り出しの際に、ワイヤ及び/又はワイヤ群の間の分離を維持するためのワイヤクランプシステムとして構成されている。同図には、ワイヤ処理トレイ156において、2つの比較的短いワイヤクランプシステム358が間隔を空けて設けられており、長状ワイヤ支持トレイ166において、比較的長いワイヤクランプシステムが設けられていることが示されているが、ワイヤクランプシステム358は、どのトレイにおいても任意の長さで設けることができる。さらに、ワイヤクランプシステム358は、いずれのトレイからも排除することができる。いくつかの例において、長状ワイヤ支持トレイ166及び/又はワイヤ処理トレイ156は、当該トレイの長さの任意の部分に沿って延びる1つのワイヤクランプシステム358を有していてもよい。例えば、図41に示すように、1つのワイヤクランプシステム358は、ワイヤ処理トレイ156の長さ方向の大部分に沿って延びていてもよい。1つ又は複数のワイヤクランプシステム358は、トレイのどの部分と関連付けられていてもよい。例えば、1つ又は複数のワイヤクランプシステム358は、締結されていない状態でトレイに支持されていてもよい。他の例において、1つ又は複数のワイヤクランプシステム358は、トレイに装着されてもよいし、機械的に締結されてもよいし、取り付けられてもよい。1つ又は複数のワイヤクランプシステム358は、トレイの片側に隣接して設けられていることが図示されているが、これに代えて、トレイにおいて任意の1つ又は複数の位置に設けられていてもよい。
一実施形態において、ワイヤクランプシステム358は、クランプ位置382と開位置384との間で移動可能な複数のクランプ部材362を含んでもよい。一例において、クランプ部材362は、開位置384において、ワイヤ供給システム106から第1ワイヤ200及び第2ワイヤ204を受け取る。クランプ部材362は、クランプ位置382において、第1ワイヤ群202の1つ又は複数の第1ワイヤ200を纏めて固定し、これとは別に、第2ワイヤ群206の1つ又は複数の第2ワイヤ204を纏めて固定する。以下に説明するいくつかの例においては、クランプ部材362は、枢動軸(例えば、図41~図63)を中心として枢動可能である。以下に説明する他の例においては、クランプ部材362は、並進可能である(例えば、図64~図74)。これに関して、クランプ部材362は、様々な態様のうちの任意の態様で移動して、異なるワイヤ群のワイヤを別々に纏めて固定することにより、他のワイヤ群が動いている際、例えば、完成したワイヤ群(例えば、ワイヤ束―図17~図19を参照)をワイヤ処理マシンから取り外す際、1つ又は複数のワイヤ群の動きを制限、抑制、又は抑止することができる。これについては、以下で詳細に述べる。
クランプ部材362は、長状クランプバー374(図示略)や、略平面状のクランプパネル372(例えば、図51~図54)として構成されてもよいし、他の形状で構成されていてもよい。本開示においては、クランプバー374の幅(例えば、枢動軸に対して垂直に計測される)に対する長さ(例えば、枢動軸に平行に計測される)のアスペクト比は1以上であってもよい。クランプパネル372の幅に対する長さのアスペクト比は、1未満であってもよい。長状ワイヤ支持トレイ166及び/又はワイヤ処理トレイ156は、トレイの底部及び/又は側壁に取り付け可能な1つ又は複数のワイヤクランプシステム358を有しうる。
ワイヤクランプシステム358におけるクランプ部材362の各々は、開位置384とクランプ位置382との間で移動可能である。一例において、クランプ部材362のうちの1つ又は複数は、開位置384とクランプ位置382との間で、手動で移動可能である。他の例においては、1つ又は複数のクランプ部材362は、電気機械アクチュエータ(図示略)などの自動式の手段や、他の非手動アクチュエータ手段を用いて、開位置384とクランプ位置382との間で移動可能である。開位置384においては、クランプ部材362は、トレイ表面上または他のクランプ部材362上(例えば、図43及び45)に、ワイヤ群を(例えば、ループ引出し機構を用いて)何にも遮られることなく配置させることができる。クランプ位置382においては、クランプ部材362は、トレイ表面又は他のクランプ部材362(例えば、図44及び46)に対して、ワイヤ群を固定する。さらなる実施形態においては、クランプ部材362のうちの1つ又は複数は、クランプ位置382に向かって(例えば、図示していないが、バネ機構を用いて)機械的に付勢されてもよく、これにより、クランプ部材362は、対応するワイヤ群を、所定位置に固定してもよい。
図42は、図41の長状ワイヤ支持トレイ166に設けられたワイヤクランプシステム358の例の断面図であり、第1ワイヤ群202、第2ワイヤ群206、第3ワイヤ群210、及び、第4ワイヤ群214を含む4つの異なるワイヤ群を物理的に分離するために、クランプ位置382にある3つのクランプ部材362を示している。しかしながら、ワイヤクランプシステム358は、1つのクランプ部材を含む任意の数のクランプ部材を含んでいてもよい。図示の例においては、クランプ部材362の各々は、個々の枢動軸を中心として枢動可能である。しかしながら、他の例においては(図50~図63)、ワイヤクランプシステム358のクランプ部材362は、共通の枢動軸を中心として枢動可能であってもよい。図42において、各クランプ部材362は、上面376と下面378とを有する。いくつかの例においては、各クランプ部材362の上面376及び下面378は、相互に実質的に平行(例えば、20°以内)であってもよいし、クランプ部材362がクランプ位置382にあるとき、ワイヤクランプシステム358における残りのクランプ部材362の上面376及び/又は下面378に対して実質的に平行であってもよい。
クランプ部材362は、クランプ位置382にあるとき、固定されるワイヤ群の厚みに対応するように構成されてもよい。例えば、図44を参照すると、第1クランプ部材364がクランプ位置382にあるとき、トレイ表面とクランプ部材364の下面378との間の間隔は、第1ワイヤ群202の厚み又は厚み範囲と実質的に等しく(例えば、±0.20インチ)、第1クランプ部材364の下面378が、トレイ底面172に実質的に(例えば、20°以内で)平行であってもよい。同様に、図46に示すように、第2クランプ部材366がクランプ位置382にあるとき、第2クランプ部材366の下面378と、第1クランプ部材364の上面376との間の間隔が、実質的に(例えば、0.10インチまで)第2ワイヤ群206の厚みと等しく、第2クランプ部材366の下面378が第1クランプ部材364の上面376に実質的に平行であってもよい。ワイヤクランプシステム358の残りのクランプ部材もまた同様に、対応するワイヤ群の厚み又は厚み範囲に対応する間隔を提供するように構成されてもよい。
図43~図49は、異なるワイヤ群を固定するためのクランプ部材362の一連の動作を示す、図42のワイヤクランプシステム358の断面図である。本開示の例のいずれにおいても、ワイヤクランプシステム358は、ワイヤ供給システム106に通信可能に接続されてもよい。ワイヤクランプシステム358は、ワイヤ群におけるワイヤの処理、及び/又は、ワイヤ処理マシン102からのワイヤ群の取り外しに対応して、該当するクランプ部材362の開位置384とクランプ位置382との間の自動的な枢動を制御するために、ワイヤ供給システム106から制御信号を受信してもよい。
図43は、全てのクランプ部材362が開位置384にある状態を示している。図示例においては、クランプ部材362の全ては、ほぼ垂直に配置されている。しかしながら、開位置384の配置は垂直配置に限定されず、例えば、トレイ表面上、及び/又は、クランプ位置382のクランプ部材362上の所定位置に、ワイヤ群のワイヤを順次的に(ループ引出し機構150により)解放又は落下させることができる任意の配置であってもよい。図43においては、第1ワイヤ200のワイヤ端218が、ワイヤ処理モジュール110により処理されて第1コネクタ134に挿入された後、第1ワイヤ群202のワイヤループ222の両側における部分ワイヤ216が、トレイ底面172に載置されている様子が断面で示されている。
図44は、第1クランプ部材364が、開位置384からクランプ位置382(例えば、略水平配置)に向かって、下方向に枢動した様子を示している。第1クランプ部材364は、トレイ底面172に対して、第1ワイヤ群202を固定している。第1クランプ部材364は、第1ワイヤ200を所定の位置にしっかり固定すると同時に、第1クランプ部材364上に載置される第2ワイヤ204のためのバリアを提供する。図45は、第1クランプ部材364上に載置された第2ワイヤ群206の第2ワイヤ204を示している。ワイヤ処理モジュール110は、第1クランプ部材364が開位置384にある状態で、第2ワイヤ群206のワイヤ端218を処理してもよい。図46は、第2クランプ部材366が、開位置384からクランプ位置382に向かって下方向に枢動し、第2ワイヤ群206の第2ワイヤ204上に配置される様子を示す図である。第1クランプ部材364に関して述べたように、第2クランプ部材366は、第2ワイヤ204を所定位置に保持すると同時に、第2クランプ部材366に載置される第3ワイヤ208のためのバリアを提供する。
図47は、第3ワイヤ群210の第3ワイヤ208が、第2クランプ部材366上に載置されており、当該第3ワイヤ208のワイヤ端218が、ワイヤ処理モジュール110により処理される様子を示す。図48は、第3クランプ部材368が、開位置384からクランプ位置382に向かって下方向に枢動し、第3ワイヤ群210上に配置され、これにより、第3クランプ部材368が、当該第3クランプ部材上に載置される第4ワイヤ212のためのバリアを提供している様子を示している。図49は、第3クランプ部材368上に載置された第4ワイヤ群214を示している。図42~図49は、4つの異なるワイヤ群、及び、3つの異なるクランプ部材362を示しているが、ワイヤクランプシステム358は、1つのクランプ部材362を含む任意の数のクランプ部材362を含んでいてもよい。図42~図49の例においては、第1ワイヤ群202の第1ワイヤ200の全てを、(例えば、ループ引出し機構を用いて)トレイ底面172に載置し、その後、第1クランプ部材364を、開位置384からクランプ位置382に枢動自在に降下させて第1ワイヤ群202上に配置し、次に、第2ワイヤ204の全てを、第1クランプ部材364上に載置し、その後、第2クランプ部材366を、開位置384からクランプ位置382に枢動自在に降下させて第2ワイヤ群206上に配置する。この処理は、全てのワイヤ群の載置が完了するまで継続される。
以下に詳述するが、コネクタパレット132を、コネクタ挿入位置162(図15)からコネクタ取外し位置164(図16)へ移動させる際、ワイヤ群にかかるクランプ圧を解放するのに必要な最低限の量だけ、クランプ部材362をクランプ位置382から少し緩めてもよい(例えば、少し上向きに枢動させてもよい)。このように緩められたクランプ部材362により、ワイヤ群は摺動可能となり、その一方で、クランプ部材362は、少なくとも当該クランプ部材362の位置において、ワイヤ群の物理的な分離を維持することができる。コネクタパレット132を、コネクタ挿入位置162からコネクタ取外し位置164に移動させた後、クランプ部材362を再度締め付けて(例えば、固定して)ワイヤ群の動きを抑止してもよい。コネクタパレット132をコネクタ取外し位置164に動かした後、最後に処理されたコネクタ(例えば、このコネクタに対応するワイヤは、最も上に位置するクランプ部材上に載置されている)をコネクタパレット132から取り外して、ワイヤ(例えば、図49に示す第4ワイヤ群214)をワイヤ処理トレイ156(図18~図19)から引き出してもよい。次に、最も上に位置するクランプ部材(例えば、図49に示す第4クランプ部材370)をクランプ位置382から開位置384に動かし、この移動後に最も上に位置するクランプ部材(例えば、図49に示す第3ワイヤ群210)上に載置されているワイヤ群をワイヤ処理トレイ156から取り出すとともに、関連するコネクタをコネクタパレット132から取り外す。ワイヤを取り外す処理は、全てのコネクタがコネクタパレット132から取り外されるとともにワイヤ群がトレイから引き出されるまで、上述した先入れ後出し(first-in/last out)方式で行われる。
図50は、ワイヤクランプシステム358の例示的な構成を示す斜視図であり、同図において、クランプ部材362の各々がクランプパネル372として構成されている。クランプパネル372は、積層形態386で配置されている。クランプ部材362は、共通の枢動ピン360を中心として開位置384とクランプ位置382との間で枢動可能である。上述したように、クランプ部材362は、クランプ位置382において、クランプ部材362の上面376及び下面378が、相互に実質的に平行になるように構成されてもよいし、トレイ表面に対して実質的に平行になるように構成されてもよい。
図51は、クランプ部材362を示す断面図であり、当該クランプ部材362の下面378には、エラストマー材料382が配置されている。本開示のワイヤクランプシステム358のいずれにおいても、クランプ部材362(例えば、クランプバー374又はクランプパネル372)は、金属材料(例えば、アルミニウム)などの比較的硬い材料又はポリマー材料(例えば、成形可能なプラスチック材料)で形成することができる。ワイヤコアを覆う絶縁層の損傷を防ぐため、及び/又は、コアの損傷を防ぐため、及び/又は、ワイヤ群の厚みの違いに対応するため、クランプ部材362のうちの少なくとも1つの上面376及び/又は下面378を、弾性適合エラストマー材料(resiliently compliant elastomeric material)380で覆ってもよい。エラストマー材料380は、限定するものではないが、固定されるワイヤにクッション性を付与できるゴム、発泡体、及び、他の弾性適合材料を含む任意の比較的軟質の組成物であってもよい。さらに他の例において、クランプ部材362のうちの1つ又は複数は、当該クランプ部材362によりワイヤが固定される際に当該ワイヤが損傷するのを回避するために、ワイヤに加わるクランプ力を制限するための力フィードバックを含みうる。
図52は、複数のクランプパネル372を示す、ワイヤクランプシステム358の例の分解斜視図である。クランプ部材362は、当該クランプ部材362が互いに軸方向に整列するように、積層形態386で配置されている。クランプパネル372の各々は、クランプパネル372の両端に取り付けられた耳部371を含みうる。積層されたクランプパネル372の耳部371は、当該耳部371を貫通する共通枢動ピン360により枢動可能に共に連結されるような大きさ及び構成を有している。
図53は、オフセット形態388のワイヤクランプシステム358の例を示す斜視図であり、当該システムにおいては、第1、第2、第3、及び第4のクランプパネルを含むクランプパネル372がオフセット配置されている。さらに、同図には、第1、第2、第3、及び第4のワイヤ群202、206、210、214を含む複数のワイヤ群が示されており、これらのワイヤ群は、図50に示すワイヤ群の分離と同様の方法で、第1、第2、第3、及び第4のクランプパネル372により物理的に分離されている。オフセット形態388の一実施形態において、各クランプパネル372のうちの1つ又は複数のクランプパネルの少なくとも一部は、軸方向に互いにオフセット配置されている。例えば、1つのクランプパネル372の軸方向前方の縁は、すぐ隣のクランプパネル372の軸方向後方の縁と軸方向に整列している(例えば、図53)。図示していないオフセット形態388の他の実施形態においては、1つのクランプパネル372の一部が、すぐ隣のクランプパネル372の一部と重なり合っている。
図54は、複数のクランプパネル372を示す、オフセット形態388のワイヤクランプシステム358の構成例を示す斜視図である。図示例においては、クランプパネル372の各々は、円筒状ヒンジ部373を含む。クランプパネル372の円筒状ヒンジ部373は、互いに入れ子になっており、当該ヒンジ部373を貫通する共通枢動ピン360により共に枢動可能に連結されている。なお、ワイヤ処理マシン102は、様々な寸法、形状、及び構成のうち任意のものを有する1つ又は複数のワイヤクランプシステム358を備えていてもよく、上述した図示例で示すワイヤクランプシステム358に限定されない。図55に示すワイヤクランプシステム358は、ワイヤ処理マシンの1つ又は複数のトレイに沿った1つ又は複数の位置に設けられている。
図55は、複数のクランプ部材362を含むワイヤクランプシステム358の代替の実施形態を示す断面図であり、これらのクランプ部材の各々は、上側アームと下側アームとを含む2アーム構成400を有している。例えば、第1クランプ部材364は、第1上側アーム402と、第1下側アーム404とを含む。第2クランプ部材366は、第2上側アーム406と、第2下側アーム408とを含む。第3クランプ部材368は、第3上側アーム410と、第3下側アーム412とを含む。第4クランプ部材370は、第4上側アーム414と、第4下側アーム416とを含む。クランプアームの各々は、枢動ピン360を中心として枢動可能である。図55は、クランプ部材の上側と下側のアームのための共通枢動ピン360を示しているが、ワイヤクランプシステム358は、クランプ部材毎に別個の枢動ピン(図示略)を含んでいてもよい。図55に示すクランプ部材は、図42~図54と関連させて上述した構成と同様に、積層形態386又はオフセット形態384であってもよい。各クランプ部材の上側アーム及び下側アームは、クランプ位置382と開位置384との間で独立して枢動可能であってもよい。クランプ位置382における第1クランプ部材364は、第1上側アーム402と第1下側アーム404との間で第1ワイヤ群202を固定することができる。クランプ位置382における第2クランプ部材366は、第2上側アーム406と第2下側アーム408との間で第2ワイヤ群206を固定することができる。これに関しては以下に詳述する。
図56~図62は、ワイヤクランプシステム358の断面図であり、2アーム構成400のクランプ部材の上側アームと下側アームとの間にワイヤ群を順次固定する処理の一連のステップを示す。図56は、開位置384における第1、第2、第3、及び第4のクランプ部材364、366、368、370を示す。同図において、開位置384におけるクランプ部材は、ほぼ垂直に配置されていることが示されているが、これに代えて、当該クランプ部材は、非垂直配置などの任意の配置であってもよい。なお、クランプ部材は、開位置384において、ループ引出し機構150によるワイヤ群の自動載置を邪魔しないようにすることが好ましい。図57は、第1下側アーム404が、開位置384からクランプ位置382に枢動し、当該第1下側アーム404が、トレイ底面に載っている様子を示す。図58は、第1下側アーム404上に載置された第1ワイヤ群202における1つ又は複数の第1ワイヤを示す。図59は、第1上側アーム402を、開位置384からクランプ位置382に枢動させて、第1ワイヤ群202を第1上側アーム402と第1下側アーム404との間で固定する様子を示す。
図60は、第2下側アーム408が、開位置384からクランプ位置382に枢動し、当該第2下側アームが、第1上側アーム402の上面に載りうる様子を示す。図61は、第2下側アーム408の上に載置された第2ワイヤ群206における1つ又は複数の第2ワイヤを示す。図62は、第2上側アーム406を、開位置384からクランプ位置382に枢動させて、第2ワイヤ群206を第2上側アーム406と第2下側アーム408との間で固定する様子を示す。同様の処理を、第3クランプ部材368の第3の上側及び下側アーム410、412と、第4クランプ部材370の第4の上側及び下側アーム414、416についても継続して行い、第3ワイヤ群210と第4ワイヤ群214とをそれぞれ固定する。図42~図51に示すワイヤクランプシステム358の上述した構成と同様に、クランプ部材の上側及び下側アームは、固定されるワイヤ群の厚みに対応するような大きさ及び構成を有していてもよく、任意で、固定時にワイヤを保護するためのエラストマー材料を含んでいてもよい。
トレイのうちの1つ又は複数に設けられた複数のワイヤクランプシステム358を有するワイヤ処理システム100に関して、異なるワイヤクランプシステム358における個々のクランプ部材は、連携して、開位置384とクランプ位置382との間で同時に駆動されてもよい。さらに、図42~図49のワイヤクランプシステム358の例に関して上で説明したように、図55~図63に示すワイヤクランプシステム358は、ワイヤ処理マシン102の制御システム(図示略)から制御信号を受信し、これにより、ワイヤ供給システム106からのワイヤの引き出し、各ワイヤ群のワイヤの載置、及び/又は、ワイヤ処理マシン102からのワイヤ群の取り外しに対応して、開位置384とクランプ位置382との間のクランプ部材362の自動的な移動(例えば、枢動)を制御する。
図63は、図55~図62に示すクランプ部材が、独立して枢動可能な性質を有することを示す断面図である。各クランプ部材の上側及び下側アームが独立して枢動可能な性質を有しているため、各ワイヤ群をワイヤクランプシステム358から取り外す順序を制御することができ、先入れ後出しでワイヤ群を取り外すことに限定されないため、有利である。例えば、図55に示すように、全てのワイヤ群を、第1、第2、第3、及び第4のクランプ部材364、366、368、370のそれぞれの間で固定した後、第2ワイヤ群206、第3ワイヤ群210、及び第4ワイヤ群214を取り外す前に第1ワイヤ群202を取り外す場合、まず、第1上側アーム402及び第1下側アーム404が少なくとも僅かに離間する程度まで第2、第3、及び第4のクランプ部材364、366、368、及び370を少なくとも部分的に上方に枢動させて第1ワイヤ群202の固定を緩めることにより、第1上側アーム402と第1下側アーム404との間で、第1ワイヤ群202の移動や取り外しを行うことができる。いずれのワイヤ群の取り外しも同様に行うことができる。
図64は、ワイヤクランプシステム358のさらなる例を示す上面図であり、当該システムは、対応するクランプ部材を垂直方向に並進させるために、ワイヤ処理マシン102のトレイに設けられたリニアアクチュエータ420を有する。同図には、長状ワイヤ支持トレイ166に2つのワイヤクランプシステム358が設けられているが、1つ又は複数のワイヤクランプシステム358を長状ワイヤ支持トレイ166に設けたり、1つ又は複数のワイヤクランプシステム358をワイヤ処理トレイに設けたりしてもよい。図示例においては、ワイヤクランプシステム358は、第1クランプ部材364と、第2クランプ部材366と、第3クランプ部材とを含み、これらのクランプ部材の各々は、クランプ位置382と開位置384とを含む様々な垂直位置のうちの任意の位置間で垂直方向に並進することができる。それぞれの開位置384における第1、第2、及び第3のクランプ部材368は、ワイヤ供給システム106(例えば、ループ引出し機構150)から、それぞれ、1つ又は複数の第1ワイヤ、1つ又は複数の第2ワイヤ、及び、1つ又は複数の第3ワイヤを受け取ることができる。クランプ位置382において、第1クランプ部材364及び第2クランプ部材366は、これらの間に第1ワイヤ群202を固定することができる。同様に、クランプ位置382における第2クランプ部材366及び第3クランプ部材368は、これらの間に第1ワイヤ群202を固定することができる。各ワイヤクランプシステム358は、第1、第2、及び第3クランプ部材368をそれぞれ垂直方向に並進させるための3つの独立したリニアアクチュエータ420を有しているが、ワイヤクランプシステム358は、リニアアクチュエータ420と、これに対応するクランプ部材をいくつ含んでいてもよい。
図64に示すワイヤクランプシステム358のリニアアクチュエータ420は、トレイのどの部分と関連付けられてもよい。例えば、リニアアクチュエータ420は、トレイの任意の位置で支持される(例えば、トレイに締結されていない)。他の例においてリニアアクチュエータ420は、トレイに装着されてもよいし、機械的に締結されてもよいし、取り付けられてもよい。これに加えて、リニアアクチュエータ420は、トレイの片側に隣接して設けられていることが図示されているが、当該リニアアクチュエータは、1つ又は複数のトレイにおいて任意の1つ又は複数の位置に設けられていてもよい。
図65は、長状ワイヤ支持トレイ166に設けられた図64のワイヤクランプシステム358の断面図であり、それぞれのリニアアクチュエータ420を介して垂直方向に移動可能な第1、第2、及び第3のクランプ部材364、366、368を示している。図示例において、リニアアクチュエータ420は、上述したように、第1、第2、及び第3のクランプ部材364、366、368を垂直に動かすように構成されている。ループ引出し機構150が、トレイの長手方向に沿って移動しながら、ワイヤ供給システム106からワイヤを順次引き出して当該ワイヤをクランプ部材に載置する際、上記クランプ部材のうちの2つの間に、ループ引出し機構150を収容するための間隔が空く範囲で、クランプ部材364、366、368は動かされる。
図66は、図65のワイヤクランプシステム358の側面図であり、第1、第2、及び第3のクランプ部材364、366、368が、それぞれリニアアクチュエータ420に接続されている様子を示している。クランプ部材の各々は、専用のリニアアクチュエータ420のキャリッジ(carriage)に機能的に接続している。リニアアクチュエータ420は、電気機械、油圧、空圧、又は、これらの組み合わせを含む様々な構成のうちのいずれか1つを有しうる。これに加えて、リニアアクチュエータ420は、相対的に任意の間隔を空けて設けられてもよく、図示した間隔に限定されない。
図67は、図66のワイヤクランプシステム358の斜視図であり、第1ワイヤ群202が、第1クランプ部材364と第2クランプ部材366との間で固定される前に、第1クランプ部材364上に支持されている様子を示している。第1クランプ部材364及び第3クランプ部材368は、各々が、Z形状である。第2クランプ部材366は、ほぼ真っ直ぐな形状である。第1、第2、及び第3のクランプ部材364、366、368は、特定の構成に関わらず、これらのクランプ部材の少なくとも一部が垂直方向に整列し、第1、第2、及び第3のクランプ部材364、366、368の間にワイヤ群を固定できるように構成されている。
図68~図74は、図64~図67に示すワイヤクランプシステム358の断面図であり、クランプ部材間にワイヤ群を順次固定するための一連のステップを示している。図68において、第1ワイヤ群202のうちの1つ又は複数の第1ワイヤ200が、ループ引出し機構150などを用いて、第1クランプ部材364上に載置されている。図69は、第1クランプ部材364のリニアアクチュエータ420を駆動して、第1クランプ部材364を下方に垂直に並進させる様子を示している。この時、第1クランプ部材は、図70に示すように、第2クランプ部材366が、次に、第1クランプ部材364の元の位置まで下方に垂直に並進することができる程度であって、且つ、第1ワイヤ群202が、第1クランプ部材364と第2クランプ部材366との間で固定される程度だけ並進させる。図71は、第2ワイヤ群206のうちの1つ又は複数の第2ワイヤ204が、ループ引出し機構150などを用いて、第2クランプ部材366上に載置される様子を示している。
図72は、第1クランプ部材364及び第2クランプ部材366のリニアアクチュエータ420を(例えば、同時に)駆動して、第1クランプ部材364及び第2クランプ部材366を下方に垂直に並進させる様子を示している。この時、第1及び第2クランプ部材は、第3クランプ部材368が、第1クランプ部材364の元の位置まで下方に垂直に並進することができる程度であって、且つ、第2ワイヤ群206が、第2クランプ部材366と第3クランプ部材368との間で固定される程度だけ並進させる。図示していないが、追加のワイヤ群を固定するために、追加のクランプ部材をいくつ用いてもよい。図67~図74のワイヤクランプシステム358は、ワイヤ処理中にワイヤ群の相対移動を抑止するようにワイヤ群を固定することにより、ワイヤの絡まりを最小限に留めることができるため、有利である。図67~図74に示すワイヤクランプシステム358からワイヤ群を取り外す際は、クランプ部材のいずれかを垂直に並進させて、取り外す対象のワイヤ群の固定を緩める一方で、残りのワイヤ群に対してはクランプ力を加えてこれらのワイヤ群の動きを抑止する。
図75は、摩擦を利用してワイヤ処理マシン102におけるワイヤの絡まりを抑制する方法500に含まれる、1つ又は複数の工程を含むフローチャートである。方法500のステップ502は、トレイにおいて、ワイヤ処理マシン102のワイヤ供給システム106から、少なくとも1つの第1ワイヤ200を受け取ることを含み、当該トレイは、トレイ表面と第1ワイヤ200との間にワイヤ対表面摩擦係数を有する。例えば、上述した図5~図13は、第1ワイヤ群202のうちの1つの第1ワイヤ200が、ループ引出し機構150により適切な長さまで引き出される様子を示している。これに加えて、これらの図は、第1ワイヤ200のワイヤ端218のうちの1つが、上述したように、ワイヤ処理モジュール110によって処理されて端部取付具220に圧着されるとともに、当該端部取付具220が、図11~図13に示すように、第1コネクタ134に挿入される様子を示している。
方法500のステップ504は、図15に示すように、ワイヤ供給システム106から、少なくとも1つの第2ワイヤ204を、第1ワイヤ200上において少なくとも部分的に受け取ることを含む。第2ワイヤ204は、ループ引出し機構150により所定の長さまで引き出される。一実施形態において、ワイヤ処理マシン102は、少なくとも1つのトレイ表面と第1ワイヤ200との間のワイヤ対表面摩擦係数が、第1ワイヤ200と当該第1ワイヤ200上に載置された第2ワイヤ204との間のワイヤ対ワイヤ摩擦係数よりも高くなるように構成されているため、有利である。上述したように、長状ワイヤ支持トレイ166及び/又はワイヤ処理トレイ156のトレイ表面のうちの1つ又は複数は、ワイヤ対表面摩擦係数が比較的高い表面特徴部300を含む。例えば、上述したように、表面特徴部300は、ワイヤ対表面摩擦係数をワイヤ対ワイヤ摩擦係数よりも高くするために1つ又は複数のトレイ表面に付与された材料層302及び/又は材料コーティング304を含みうる。材料層302は、1つ又は複数のトレイ表面、及び/又は、1つ又は複数の分離装置に付与された金属、ゴム、プラスチック、発泡体、織物、ゴム系接着剤が含侵された布を含んでもよいし、他のタイプの材料層302であってもよい。これに代えて、或いは、これに加えて、表面特徴部300は、1つ又は複数のトレイ表面及び/又は1つ又は複数の分離装置に噴霧される材料などの材料コーティング304を含んでもよい。
いくつかの例において、表面特徴部300は、ワイヤとトレイとの間の摩擦の度合いを隣接するワイヤ間の摩擦よりも高くするための表面テクスチャ306を含む。例えば、表面テクスチャ306は、表面特徴部310のパターンを含む。このような例において、トレイにおいてワイヤを受け取るステップは、第1ワイヤ200を断面で見たときに、第1ワイヤ200と、隣接した一対の表面特徴部310との間の2つの別個の接触領域(図23)において、第1ワイヤ200を接触させることを含む。表面テクスチャ306(例えば、上述した表面特徴部310)は、比較的高い摩擦度を有しており、ワイヤを梳くように作用することによりワイヤを真っ直ぐにするために重力を利用し、これにより、ワイヤの直線性及び平行性を高める。
図76を手短に参照すると、45度の斜線の網掛けで示されたワイヤを含む第1ワイヤ群202と、点の網掛けで示されたワイヤを含む第2ワイヤ群206と、網掛けされていない第3ワイヤ群210と、垂直線の網掛けで示されたワイヤを含む第4ワイヤ群214と、を含む複数のワイヤ群の断面図が示されている。いくつかの異なるワイヤ群を処理する場合、本開示の方法のうちのいずれか1つは、最も大きいワイヤ群(例えば、図76における第1ワイヤ群202)をまず始めに積み重ねてから、より上側に位置するにつれてワイヤ群がより小さくなるようにワイヤ群を積み重ねることを含む。その際、好ましくは、最も小さいワイヤ群(例えば、図76における第4ワイヤ群)が、ワイヤ群の積重体の最も上に位置するように積み重ねを行い、この逆の順序で(例えば、後入れ先出し方式)、これらのワイヤ(例えば、纏められたワイヤ束)をワイヤ処理マシン102から取り外す。このようにワイヤ群を積み重ねることにより、より大きいワイヤ群が、積重体の底部においてトレイ底面及び他の比較的大きいワイヤ群と摩擦係合することができる。比較的小さいワイヤ群は、積重体の頂部に位置し、当該積重体の頂部から引き抜かれる。本開示においては、比較的大きいワイヤ群は、他のワイヤ群におけるワイヤよりもワイヤの量が多いか、他のワイヤ群におけるワイヤよりも比較的直径の大きいワイヤを含むか、或いは、これらの両方の条件を満たすワイヤ群として説明されている。
より大きいワイヤ群が、積重体の底部に位置するようにワイヤ群を処理することにより、大きいワイヤと定置トレイ底面との間の摩擦力を比較的大きくすることができ、ワイヤの処理中及び/又はワイヤ束の取り外しの際に、他の比較的大きいワイヤ群が、引っ張られないようにすることができるため、有利である。このようにすることで、上述したような大きいワイヤ群が、積重体に隣接するか、或いはこの上に配置された比較的小さいワイヤ群により引っ張られる可能性を低くすることができる。比較的大きいワイヤ群は、トレイ表面との接触面積が大きいため、当該ワイヤ群に隣接するワイヤ群における全てのワイヤを一緒に移動させずに動く可能性が少ない。これに関して、比較的小さいワイヤ群を積重体に隣接させるか、或いは当該積重体上に配置するようにワイヤ群を処理すると、小さいワイヤ群の表面積が小さいため、他のワイヤ群における他のワイヤが一緒に移動する可能性を低減することができる。また、比較的大きいワイヤ群に含まれる比較的直径が大きいワイヤは、比較的大きい質量を有しているため、このような直径の大きいワイヤをトレイ底面172上で位置保持する静摩擦に対抗するためには、より大きい引張力394(図26)が必要である。これに関して、本開示の方法のうちの任意の1つにおいては、直径が大きいワイヤを動かすためにはより大きい引張力394が必要であるため、直径の大きいワイヤが、積重体の底部に載置される。比較的小さいワイヤ群におけるワイヤは、積重体の上部から引き抜かれるため、下部に位置し、直径が大きく重いワイヤを引っ張っていきにくい。
方法500のステップ506は、第1ワイヤ200に対して第2ワイヤ204を動かすことを含む。例えば、第2ワイヤ204を第2コネクタ136に挿入した後、コネクタパレット132を、コネクタ挿入位置162からコネクタ取外し位置164に動かす。図18に示すように、第2コネクタ136をコネクタパレット132から取り外した後、図18~図19に示すように第2ワイヤ204を巻回してワイヤコイル392を形成する際、第1ワイヤ200に対して長手方向に第2ワイヤ204を引っ張る。
方法500のステップ508は、ワイヤ対ワイヤ摩擦係数よりも高いワイヤ対表面摩擦係数により、第1ワイヤ200に対して第2ワイヤ204のうちの1つ又は複数を移動させる際、第1ワイヤ200のうちの1つ又は複数の少なくとも一部が、トレイ表面に対して動くのを抑制することを含む。さらに、ワイヤ対表面摩擦係数が比較的高いため、ワイヤを移動させる際各ワイヤに張力が生じ、図24~図25に示すように、移動の際にワイヤの直線性及び/又は平行性を高めることができるため、有利である。さらに、ワイヤ対表面摩擦係数が比較的高いと、ワイヤを真っ直ぐにするとともに、互いに平行に保つことができ、隣接するワイヤが交差するのを抑制したりワイヤの絡まりを最小限に留めたりすることができる。
いくつかの例において、方法500は、トレイに関連付けられた(例えば、トレイに設置されるか、或いは機械的に取り付けられた)分離装置320を用いて、ワイヤの少なくとも一部(例えば、部分ワイヤ216)を物理的に分離させることを含む。例えば、図26~図38を参照すると、上記方法は、ワイヤの絡まりを最小限に留めるために、少なくとも1つの分離装置320を用いて、第1ワイヤ200を第2ワイヤ204から分離することを含む。これに加えて、上記方法は、1つ又は複数の分離装置320を用いて、同じワイヤ群におけるワイヤの部分ワイヤ216が互いに接触しないようにすることを含みうる。さらに、上記方法は、分離装置320を用いて、分離装置320の片側における部分ワイヤ216を、分離装置320の反対側における部分ワイヤ216から分離することを含みうる。比較的高いワイヤ対表面摩擦係数を用いてワイヤの絡まりを抑制する方法は、本開示の分離装置の実施形態のうちのいずれか1つ又は複数と組み合わせて実施することができる。
一例において、分離装置320は、図28に示すように、トレイから上方に(例えば、垂直方向又は非垂直方向に)延びる分離ポストとして構成される。一実施形態において、分離ポストは、長状ワイヤ支持トレイ166において、ワイヤ供給システムに隣接したトレイ端170の反対側に位置するトレイ端170に設けられる。しかしながら、1つ又は複数の分離ポストは、長状ワイヤ支持トレイ166に沿った位置に設けられてもよい。部分ワイヤ216を物理的に分離するステップは、ワイヤ供給システム106から、第1ワイヤ200及び第2ワイヤ204の中間点154を(例えば、ループ引出し機構150を用いて)順次引っ張りつつ、第1ワイヤ200及び第2ワイヤ204のワイヤ端218をそれぞれ固定位置で保持することを含みうる。上記方法は、少なくとも第1ワイヤ200及び/又は第2ワイヤ204がU字型のワイヤループ222を形成するように、第1ワイヤ及び/又は第2ワイヤを、分離ポストに180度で巻き掛けることをさらに含みうる。上記方法は、さらに、1つ又は複数の分離ポストの両側において、第1ワイヤ200の部分ワイヤ216の一部の物理的な分離を維持すること、1つ又は複数の分離ポストの両側において、第2ワイヤ204の部分ワイヤ216の一部の物理的な分離を維持すること、及び/又は、分離ポストの両側において、第1ワイヤ200の部分ワイヤ216の一部と、第2ワイヤ204の部分ワイヤ216の一部との物理的な分離を維持すること、を含みうる。分離ポストは、ワイヤを真っ直ぐ且つ互いに平行に維持するのに役立ち、これにより、トレイ上でワイヤが重なり合うことを抑制し、絡まりを抑制或いは防止することができる。
本開示の方法のいずれかにおいて、ワイヤ処理マシン102は、少なくとも1つのトレイに対して複数の分離ポストを備える。例えば、図27に示すように、ワイヤ処理マシン102は、長状ワイヤ支持トレイ166において、第1分離ポスト324と第2分離ポスト326とを備える。第1分離ポスト324及び第2分離ポスト326は、ワイヤの長さに対応して、長状ワイヤ支持トレイ166の長手方向168に沿って、間隔を空けて配置される。第1ワイヤ群202は、第1分離ポスト324に巻き掛けられ、第2ワイヤ群206は、第1ワイヤ群202が第1分離ポスト324に巻き掛けられた後に第2分離ポスト326に巻き掛けられる。上述したように、第1分離ポスト324及び第2分離ポスト326は、分離ポストの両側において、第1ワイヤ200及び第2ワイヤ204の部分ワイヤ216の分離を維持することにより、ワイヤ処理及び/又はワイヤ束の取り外しの際のワイヤの絡まりを最小限に留める。
本開示の方法のいずれかにおいて、図30~図31に示し、且つ、上述したように、ワイヤ処理マシン102は、回転可能な分離ポストを備えていてもよい。ワイヤ処理マシン102を用いて1つ又は複数のワイヤ群(例えば、ワイヤ束)を纏める実施形態において、ワイヤ処理マシン102からのワイヤ群の取り外しは、トレイからの取り出しの際にワイヤのワイヤ端218を引っ張り、当該ワイヤ端218を引っ張りながら、垂直ポスト軸322を中心として分離ポストのうちの少なくとも1つを回転させることを含んでもよい。分離ポストを回転させることにより、トレイからのワイヤの取り外しが容易になるため、有利である。上述したように、いくつかの例において、図32に示すように、分離ポストのうちの1つ又は複数は、直径をより大きくするために円錐形状であってもよい。これにより、ワイヤループ222の両側において、部分ワイヤ216間の距離をさらに広げることができる。これに加えて、円錐形状の分離ポストは、ループ引出し機構150が、分離ポスト上にワイヤを載置し易くするために、上端において比較的小さい直径を有していてもよい。
図32~図36を参照すると、上述したように、分離ポストのうちの1つ又は複数は、ワイヤ群におけるワイヤを物理的に分離し易くするために、横方向に移動可能であってもよい。例えば、本開示の方法のいずれかにおいて、ワイヤ処理マシン102は、ポストの組338として配置された少なくとも2つの分離ポストを備える。これに関して、図33は、第1分離ポスト324と、第2分離ポスト326と、第3分離ポスト328とを含むポストの組338を示しており、これらの分離ポストは、長状ワイヤ支持トレイ166のトレイ端170に設けられている。ポストの組338における分離ポストは、初期状態で、互いに間隔を空けて、トレイの長手方向に沿ってほぼ同じ位置に設けられてもよい。図示例において、第1分離ポスト324及び第2分離ポスト326は、個々に横方向に相互移動が可能である。このような配置において、上記方法は、第1分離ポスト324を、長状ワイヤ支持トレイ166の幅方向においてほぼ中央に移動させ、ループ引出し機構(図示略)を用いて、第1ワイヤ200を適切な長さまで引き出すことを含みうる。上記方法は、さらに、図34に示すように、第1ワイヤ200を第1分離ポスト324に巻き掛けてワイヤループ222を形成し、その後、第1分離ポスト324を、第2分離ポスト326から離れて(例えば、図35)トレイの側壁に向かって移動させることを含んでもよく、当該第2分離ポストは、第1分離ポスト324が横方向に移動する間、静止した状態で維持されてもよい。
図35~図36を参照すると、上記方法は、さらに、第2分離ポスト326を、長状ワイヤ支持トレイ166の幅方向においてほぼ中央に移動させ、(例えば、ループ引出し機構150を用いて)第2ワイヤ204を第2分離ポスト326に巻き掛けて、図36に示すようなワイヤループ222を形成することを含みうる。これに加えて、横方向に移動可能な分離ポストを、長状ワイヤ支持トレイ166とワイヤ処理トレイ156との接続部(例えば、アール状のコーナー)などの、長状ワイヤ支持トレイ166に沿った他の位置に追加して設けてもよい。例えば、図32~図36に示すように、第4、第5、及び第6分離ポスト330、334、336を接続部に設けて、第1、第2、及び第3分離ポスト324、326、328の動きと連携して横方向に移動できるようにしてもよい。移動可能な分離ポストは、異なるワイヤ群のワイヤの物理的な分離を維持してワイヤの重なり合い及び/又は絡まりを防止するため、有利である。これに加えて、横方向に移動可能な分離ポストにより、ループ引出し機構150は、単純な直線経路で動作することができ、軌道152(例えば、図27)に沿って移動しながら、各ワイヤを適切な長さまで引き出して適切な分離ポスト上で各ワイヤを一つずつ解放することができる。
図39~図40を参照すると、本開示の方法のいずれか1つは、ワイヤの絡まりを最小限に留める手段として、予測可能なワイヤ群経路を形成するために、トレイのうちの少なくとも1つに一連の傾斜部354を用いることを含みうる。例えば、図39~図40に示すように、上記方法は、複数の対向する傾斜部354上に複数の第1ワイヤ200を順次載置することを含みうる。傾斜部354は、図40に示されるワイヤ処理トレイ156などのトレイ上に連続して取り付けられる。傾斜部354は、ワイヤ処理トレイ156の長手方向158に沿って間隔を空けて設けられ、傾斜部354において、交互に対向して角度をつけて配置されている。上記方法は、複数の対向する傾斜部354上に複数の第1ワイヤ200を載置することに応じて、これら複数の第1ワイヤ200を互いに整列させることを含みうる。図40に示すように、トレイの片側における傾斜部354が、トレイの反対側に向かって傾斜しているため、ワイヤの局所部分が、重力により、各傾斜部354から当該傾斜部354の底部に向かって部分的に滑り落ちる。したがって、ワイヤ群を纏めて予測可能なワイヤ群の経路を形成することができる。
図77は、ワイヤ処理マシン102などにおけるワイヤの絡まりを抑制するさらなる方法600に含まれる1つ又は複数の工程を含むフローチャートである。図26~図74を参照すると、方法600においては、少なくともワイヤの一部及び/又はワイヤ群を物理的に分離する手段として、1つ又は複数のトレイに取り付けられる1つ又は複数の分離装置320を利用することができる。上記方法600のステップ602は、ワイヤ処理マシン102のワイヤ供給システム106から、1つ又は複数のトレイにおいて、第1ワイヤ群202の1つ又は複数の第1ワイヤ200を受け取ることを含む。上で説明した方法500のステップ502と同様に、ステップ602において、第1ワイヤ群202の第1ワイヤ200は、ループ引出し機構150により適切な長さまで順次引き出される。第1ワイヤ200のうちの1つ又は複数のワイヤの一方又は両方のワイヤ端218は、ワイヤ処理モジュール110のうちの1つ又は複数により処理される。例えば、図11~図13に示し、且つ、上述したように、ワイヤ処理モジュール110を用いて、ワイヤ端218の各々に端部取付具220を圧着するとともに、端部取付具220を第1コネクタ134に順次挿入することができる。これに代えて、ワイヤ群のワイヤ端を纏めてテープ留めしてもよい。
方法600のステップ604は、トレイにおいて、第1ワイヤ群202を受け取った後、当該トレイにおいて、ワイヤ供給システム106から第2ワイヤ群206のうちの1つ又は複数の第2ワイヤ204を受け取ることを含む。上で、ステップ504に関して説明したように、ステップ604は、第2ワイヤ群206の第2ワイヤ204を適切な長さまで引き出すことを含みうる。一実施形態において、第2ワイヤ群206の第2ワイヤ204は、図27に示し、且つ、上述したように、ループ引出し機構150を用いて、ワイヤ処理マシン102のワイヤ供給システム106から順次引き出されてもよい。
ステップ606は、トレイに関連付けられた少なくとも1つの分離装置320を用いて、第1ワイヤ群202の少なくとも一部を、第2ワイヤ群206の少なくとも一部から物理的に分離することを含む。方法500に関して上で説明したように、方法600は、少なくとも1つの分離装置320を用いて、第1ワイヤ200を第2ワイヤ204から分離して、ワイヤの絡まりを最小限に留めることを含みうる。これに加えて、上述したように、方法600は、1つ又は複数の分離装置320を用いて、同じワイヤ群におけるワイヤの部分ワイヤ216の少なくとも一部が互いに接触しないようにして、ワイヤの絡まりを最小限に留めることを含みうる。例えば、図27を参照すると、上記方法は、分離装置320を用いて、当該分離装置320の片側における1つ又は複数のワイヤの部分ワイヤ216を、分離装置320の反対側における1つ又は複数のワイヤの部分ワイヤ216から分離することを含みうる。分離装置320の1つ又は複数の両側における部分ワイヤ216は、同じワイヤ群に属していてもよいし、異なるワイヤ群に属していてもよい。
方法600のステップ608は、第1ワイヤ群202に対して第2ワイヤ群206を動かすことを含む。一例において、方法600は、図18に示すように、第1ワイヤ群202の長手方向の動きに対して、第2ワイヤ群206を長手方向に沿って動かすことを含む。ステップ508に関して上で説明したように、第2ワイヤ群206の第2ワイヤ204を処理した後(例えば、纏めてテープ留めした後または第2コネクタ136に挿入した後)、図17~図19に示すように、コネクタパレット132をコネクタ取外し位置164に動かして、コネクタパレット132から第2コネクタ136を(例えば、手作業で)取り外し、第1ワイヤ200に対して第2ワイヤ204を長手方向に沿って引っ張る。
方法600のステップ610は、第1ワイヤ群202の少なくとも一部を、第2ワイヤ群206の少なくとも一部から物理的に分離することにより、第1ワイヤ群202に対して第2ワイヤ群206が動いている際にトレイ表面に対する第1ワイヤ群202の少なくとも一部の動きを抑制することを含む。第1ワイヤ群202の少なくとも一部を第2ワイヤ群206から物理的に分離することにより、第2ワイヤ群206と第1ワイヤ群202との摩擦係合が最小限に留められるため、第2ワイヤ群206が動いている際、例えば、ワイヤ束を取り外す際、第1ワイヤ群202の一部の動きを抑制又は防止することができる。
図26~図27に示し、且つ、上述したように、一例において、分離装置320は、1つ又は複数のトレイから上方に延びる分離ポストとして構成される。上記方法は、上から見たときに、第1ワイヤ200及び/又は第2ワイヤ204にU字型のワイヤループ222が形成されるように、第1ワイヤ及び/又は第2ワイヤを、それぞれの分離ポストに180度で巻き掛けることを含みうる。上記方法は、分離ポストの両側において、第1ワイヤ200及び/又は第2ワイヤ204の部分ワイヤ216の一部の物理的な分離を維持して、部分ワイヤ216間の直線性及び平行性を高めることにより、部分ワイヤ216の重なり合いを抑制し、結果として、絡まりを抑制又は防止することを含みうる。
上述したように、一例において、ワイヤ処理マシン102のトレイのうちの1つ又は複数は、トレイの長手方向に沿って間隔を空けて設けられた第1分離ポスト324及び第2分離ポスト326を含む複数の分離ポストを備えていてもよい。第1ワイヤ群202及び第2ワイヤ群206を分離ポストに巻き掛けるステップは、図26、図28、及び図30に示す非限定的な例に示すように、第1ワイヤ群202における第1ワイヤ200の各々を第1分離ポスト324に順次巻き掛け、当該第1ワイヤ群202を第1分離ポスト324に巻き掛けた後、第2ワイヤ群206における第2ワイヤ204の各々を第2分離ポスト326に巻き掛けることを含みうる。
図17及び図30~図31に示す例において、方法600は、上で方法500において説明したように、トレイからの取り外しの際(図18)、第2ワイヤ204のワイヤ端218を引っ張ることを含み、さらに、当該第2ワイヤ204のワイヤ端218を引っ張る際、垂直ポスト軸322(図28)を中心として、分離ポストのうちの1つ又は複数を回転させることを含みうる。分離ポストを回転させることにより、トレイからのワイヤの取り外しが容易になるため、有利である。図31に関して上で説明したように、いくつかの例において、分離ポストのうちの1つ又は複数は、円錐型であってもよい。このようにすると、ワイヤループ222の両側の部分ワイヤ216を分離するための分離ポストの底部の直径を増大することができるとともに、ループ引出し機構150が直径の小さい円錐状分離ポストの上端にワイヤを載置する作業を容易にすることができる。
図32~図36に示す例において、方法600は、さらに、第1ワイヤ200を第1分離ポスト324に巻き掛けて、第1ワイヤ200にワイヤループ222を形成し、第2分離ポスト326から離れるように第1分離ポスト324を横方向に動かすことを含んでもよく、当該第2分離ポストは、第1分離ポスト324が横方向に移動する間、静止していてもよい。上記方法は、さらに、ワイヤループ222が第2ワイヤ204に形成されるように、第2分離ポスト326に第2ワイヤ204を巻き掛けることを含みうる。なお、追加のワイヤ群を、対応する追加の分離ポストに巻き掛けることにより、ワイヤの重なり合い及び/又は絡まりを防止してもよい。これら追加の分離ポストは、異なるワイヤ群の物理的な分離を維持するための手段として、上記と同様に横方向に移動することが可能である。
方法600は、さらに、上述したような、ワイヤクランプシステム358として構成された1つ又は複数の分離装置320を用いることにより、ワイヤ群の物理的な分離を維持することを含みうる。ワイヤクランプシステム358は、クランプ位置と開位置との間で移動可能な1つ又は複数のクランプ部材を含みうる。上記方法は、開位置におけるクランプ部材を用いて、ワイヤ供給システムから、1つ又は複数の第1ワイヤ及び1つ又は複数の第2ワイヤを順次受け取ることを含みうる。上記方法は、さらに、クランプ位置におけるクランプ部材を用いて、第1ワイヤ群における1つ又は複数の第1ワイヤを纏めて固定し、当該第1ワイヤ群とは別に、第2ワイヤ群における1つ又は複数の第2ワイヤを纏めて固定することを含みうる。
例えば、図43~図49に示すように、上記方法600は、トレイにおいて第1ワイヤ群を受け取った後(例えば、図44)、第1クランプ部材を用いて、第1ワイヤ群の少なくとも一部をトレイ表面に固定し、その後、トレイにおいて第2ワイヤ群を受け取る際(例えば、図45)、第1クランプ部材上に第2ワイヤ群の少なくとも一部を載置することを含みうる。さらなる実施形態において、上記方法600は、図46に示すように第2ワイヤ群206の少なくとも一部を第1クランプ部材364上に載置した後であって、ワイヤ供給システムから次のワイヤ群を受け取る前に、第1クランプ部材364と第2クランプ部材366との間に第2ワイヤ群206の少なくとも一部を固定することを含みうる。
いくつかの例においては、ワイヤ群を固定する処理は、トレイにおいて第1ワイヤ群202を受け取る前に、枢動軸を中心として、開位置384まで第1クランプ部材364を枢動させることを含む。例えば、図45に示すように、開位置384におけるクランプ部材362は、ほぼ垂直に配置されている。ただし、開位置において、非垂直配置とすることも可能である。クランプ部材362は、クランプ位置382と開位置384との間で枢動する際、約90度で枢動してもよい。ただし、クランプ部材362は、クランプ位置382と開位置384との間で、任意の角度範囲で枢動してもよい。上記方法600は、図45に示すように、枢動軸を中心として、ほぼ水平な配置を有するクランプ位置382まで第1クランプ部材364を枢動させることを含みうる。ワイヤクランプシステム358には、クランプ部材362をいくつ設けてもよい。
図55~図63に関して上で説明したように、ワイヤクランプシステム358は、2アーム構成400を有する1つ又は複数のクランプ部材362を含みうる。例えば、ワイヤクランプシステム358は、第1クランプ部材364と第2クランプ部材366とを含み、各クランプ部材は、上側アームと下側アームとを含む2アーム構成400を有する。各クランプ部材の上側アーム及び下側アームは、クランプ位置382と開位置384との間で独立して枢動可能であってもよい。このような例において(図55~図63)、上記方法は、クランプ位置382における第1クランプ部材364を用いて、第1上側アーム402と第1下側アーム404との間における第1ワイヤ群202を固定するとともに、クランプ位置382における第2クランプ部材366を用いて、第2上側アーム406と第2下側アーム408との間の第2ワイヤ群206を固定することを含みうる。2アーム構成400に追加のクランプ部材を設けてもよい。
図64~図74に関して上で説明したように、ワイヤクランプシステム358は、リニアアクチュエータ420を用いて独立して並進可能な複数のクランプ部材362を含みうる。例えば、図64~図74に示すように、ワイヤクランプシステム358は、少なくとも第1クランプ部材364、第2クランプ部材366、及び、第3クランプ部材368を含みうる。これらのクランプ部材は、各々が、クランプ位置382と開位置384との間で垂直に並進可能である。このような実施形態において、上記方法は、それぞれの開位置384における第1、第2、及び第3クランプ部材364、366、368を用いて、ワイヤ供給システム106から、1つ又は複数の第1ワイヤ200、1つ又は複数の第2ワイヤ204、及び、1つ又は複数の第3ワイヤ208を受け取ることを含みうる。上記方法は、さらに、クランプ位置382において、第1クランプ部材364と第2クランプ部材366との間に第1ワイヤ群202を固定し、クランプ位置382において、第2クランプ部材366と第3クランプ部材368との間に第2ワイヤ群206を固定することを含みうる。
上述したように、本開示の例における任意の1つのクランプ部材362は、手動で駆動されるか、或いは機械的に駆動されて、各ワイヤ群にクランプ力を加える。クランプ部材362によりワイヤ群に加えられるクランプ圧は、ワイヤを動かすために一時的に低減させてもよい。例えば、コネクタパレット132をコネクタ挿入位置162からコネクタ取外し位置164に動かすために、クランプ部材362により加えられるクランプ圧を一時的に低減させてもよい。その後、クランプ部材362は、ワイヤ群に対してクランプ圧を再度加えて、動きを防止してもよい。また、クランプ部材362により加えられるクランプ圧は、ワイヤ処理マシン102からのワイヤ群の取り外しを可能とするために一時的に低減させてもよい。上述したように、クランプ部材362を開位置384に順次動かして、先入れ後出し方式でワイヤ群をワイヤ処理マシン102から取り外してもよい。しかしながら、上述したように、ワイヤクランプシステム358は、先入れ後出し方式でワイヤ群を取り外すことに限定されず、任意の順序でワイヤ群を取り外す実施形態(例えば、図55~図63又は図64~図74)において提供されてもよい。
ワイヤの絡まりを抑制する方法600は、1つ又は複数のトレイに取り付けられた垂直コンベヤーシステム342(例えば、図37~図38)として構成された分離装置320を用いて実現されてもよい。上述したように、垂直コンベヤーシステム342は、垂直に配置されたコンベヤーベルト344に接続された第1バスケット348及び第2バスケット350を少なくとも含む複数のバスケット346を含みうる。このような実施形態において、上記方法は、順次、コンベヤーベルト344を動かすことにより第1バスケット348をコンベヤーベルト344の最も上の位置に配置し、第1バスケット348において第1ワイヤ群202を受け取り、第2バスケット350を第1バスケット348の上の位置まで回転移動させるようにコンベヤーベルト344を動かし、第2バスケット350において第2ワイヤ群206を受け取る、ことを含みうる。上記方法は、第1バスケット348及び第2バスケット350が、第1ワイヤ群202及び第2ワイヤ群206をトレイ表面に順次落下させるようにコンベヤーベルト344を動かすことを、さらに含みうる。
一実施形態において、上記方法600は、ワイヤ供給システム106から(例えば、ループ引出し機構を用いて)ワイヤを引き出すのに対応して、バスケット(図37~図38)又はクランプ部材362を動かすことを含む。いくつかの例において、ワイヤクランプシステム358は、ワイヤ供給システム106に通信可能に接続されており、ワイヤ供給システム106からの異なるワイヤ群の引き出しに対応してバスケット346及び/又はワイヤクランプ部材362の動きを制御するために、ワイヤ供給システム106から制御信号を受信する。
さらに、本開示は、以下の付記による実施形態を含む。
付記1.ワイヤ処理マシンのワイヤ供給システムから第1ワイヤ及び第2ワイヤを順次受け取るように構成された少なくとも1つのトレイ表面を有するトレイを含み、
前記トレイ表面は、表面特徴部を有し、当該表面特徴部は、前記トレイ表面と前記第1ワイヤとの間のワイヤ対表面摩擦係数を有するように構成されており、前記ワイヤ対表面摩擦係数は、前記第1ワイヤと当該第1ワイヤ上に載置された前記第2ワイヤとの間のワイヤ対ワイヤ摩擦係数よりも高く、
前記第1ワイヤに対して前記第2ワイヤが動いている際、前記トレイ表面に対する前記第1ワイヤの少なくとも一部の動きが、前記ワイヤ対表面摩擦係数により抑制される、ワイヤ処理システム。
付記2.前記表面特徴部は、前記トレイ表面に付与されるとともに前記ワイヤ対ワイヤ摩擦係数よりも高い前記ワイヤ対表面摩擦係数を有する材料層及び材料コーティングのうちの少なくとも1つを有する、付記1に記載のワイヤ処理システム。
付記3.前記材料層は、剥き出し金属、コーティング金属、塗装金属、ゴム、プラスチック、発泡体、織物、布、およびゴムが含侵された布のうちの少なくとも1つを含む、付記2に記載のワイヤ処理システム。
付記4.前記表面特徴部は、複数の幾何学形状部を含む表面テクスチャを含み、当該表面テクスチャは、当該表面テクスチャを用いない場合の前記第1ワイヤとトレイ表面との間の接触面積よりも、前記第1ワイヤと前記トレイ表面との間の接触面積を大きくするように構成されている、付記1に記載のワイヤ処理システム。
付記5.前記複数の幾何学形状部は、凹形状及び/又は凸形状の表面特徴部のパターンを含み、前記表面特徴部のパターンは、前記第1ワイヤを断面で見たときに、前記第1ワイヤと前記表面特徴部との間に少なくとも2つの別個の接触領域を有するように、寸法決めされ且つ特徴間隔で互いに離間している、付記4に記載のワイヤ処理システム。
付記6.前記トレイに関連付けられるとともに、前記第1ワイヤを前記第2ワイヤから物理的に分離することを促進するように構成された少なくとも1つの分離装置をさらに含む、付記1に記載のワイヤ処理システム。
付記7.前記分離装置は、前記トレイ表面から上方に延びる少なくとも1つの分離ポストであって、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤのうちの少なくとも一方が巻き掛けられるように構成された少なくとも1つの分離ポストを含み、
前記少なくとも1つの分離ポストは、
前記分離ポストの各側において前記第1ワイヤの部分ワイヤの少なくとも一部を分離することと、
前記分離ポストの各側において前記第2ワイヤの部分ワイヤの少なくとも一部を分離すること、のうちの少なくとも一方を行う、付記6に記載のワイヤ処理システム。
付記8.前記少なくとも1つの分離ポストは、第1分離ポスト及び第2分離ポストを含む複数の分離ポストを含み、前記第1分離ポスト及び前記第2分離ポストは、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤの異なる長さに対応してトレイの長手方向に沿って離間した位置に設けられている、付記7に記載のワイヤ処理システム。
付記9.前記少なくとも1つの分離ポストは、少なくとも2つの分離ポストを含み、各分離ポストは、個々に横方向に相対移動して、前記第1ワイヤの少なくとも一部を前記第2ワイヤから物理的に分離することを促進する、付記7に記載のワイヤ処理システム。
付記10.前記分離装置は、前記トレイに取り付けられた垂直コンベヤーシステムを含み、当該垂直コンベヤーシステムは、垂直に配置されたコンベヤーベルトに接続された第1バスケット及び第2バスケットを含む複数のバスケットを有し、
前記垂直コンベヤーシステムは、順次、前記第1バスケットが前記第1ワイヤを受け取れるように、前記第1バスケットを前記コンベヤーベルトの最も上の位置に配置することと、前記第2バスケットにおいて前記第2ワイヤを受け取るために、前記第2バスケットを回転させて前記第1バスケットの上方に配置することと、前記コンベヤーベルトの回転中、前記第1バスケット及び前記第2バスケットが、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤを順次前記トレイ表面に落下させるようにすることと、を行うように構成されている、付記6に記載のワイヤ処理システム。
付記11.ループ引出し機構を有するワイヤ処理マシンの長状ワイヤ支持トレイを含み、前記ループ引出し機構は、ワイヤ供給システムから、前記長状ワイヤ支持トレイの長手方向に沿って第1ワイヤ及び第2ワイヤを順次引き出すとともに、前記長状ワイヤ支持トレイにおいて前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤにループを形成するように構成されており、
前記長状ワイヤ支持トレイは、表面特徴部を含むトレイ表面を有し、前記表面特徴部は、前記トレイ表面と前記第1ワイヤとの間のワイヤ対表面摩擦係数を、前記第1ワイヤと当該第1ワイヤ上に載置された前記第2ワイヤとの間のワイヤ対ワイヤ摩擦係数よりも高くするように構成されており、
前記第1ワイヤに対して前記第2ワイヤが動いている際、前記トレイ表面に対する前記第1ワイヤの少なくとも一部の動きが、前記ワイヤ対表面摩擦係数により抑制される、ワイヤ処理システム。
付記12.ワイヤの絡まりを抑制する方法であって、
トレイ表面と第1ワイヤとの間にワイヤ対表面摩擦係数を有するトレイにおいて、ワイヤ処理マシンのワイヤ供給システムから、前記第1ワイヤを受け取り、
前記ワイヤ供給システムから、前記第1ワイヤ上において、少なくとも部分的に第2ワイヤを受け取り、前記ワイヤ対表面摩擦係数は、前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとの間のワイヤ対ワイヤ摩擦係数よりも高く、
前記第1ワイヤに対して前記第2ワイヤを動かし、
前記第1ワイヤに対して前記第2ワイヤが動いている際、前記ワイヤ対ワイヤ摩擦係数よりも高い前記ワイヤ対表面摩擦係数により、前記トレイ表面に対する前記第1ワイヤの少なくとも一部の動きを抑制する、方法。
付記13.前記表面特徴部は、前記トレイ表面に付与されるとともに前記ワイヤ対ワイヤ摩擦係数よりも前記ワイヤ対表面摩擦係数を高くする材料層及び材料コーティングのうちの少なくとも1つを含む、付記12に記載の方法。
付記14.前記材料層は、剥き出し金属、コーティング金属、塗装金属、ゴム、プラスチック、発泡体、織物、布、およびゴムが含侵された布のうちの少なくとも1つを含む、付記13に記載の方法。
付記15.前記表面特徴部は、複数の幾何学形状部を含む表面テクスチャを含み、当該表面テクスチャは、当該表面テクスチャを用いない場合の前記第1ワイヤとトレイ表面との間の接触面積よりも、前記第1ワイヤと前記トレイ表面との間の接触面積を大きくするように構成されている、付記12に記載の方法。
付記16.前記ワイヤ供給システムから前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤを受け取る前記ステップは、前記トレイと関連付けられた分離装置を用いて、前記第1ワイヤ及び/又は前記第2ワイヤの部分ワイヤを物理的に分離して、ワイヤの絡まりを抑制することを含む、付記12に記載の方法。
付記17.前記分離装置は、前記トレイから上方に延びる少なくとも1つの分離ポストを含み、前記部分ワイヤを物理的に分離するステップは、
前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤのうちの少なくとも一方がそれぞれU字形状となるように、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤのうちの少なくとも一方を前記分離ポストに巻き掛け、
前記分離ポストの両側において、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤのうちの少なくとも一方の部分ワイヤの一部の物理的な分離を維持する、ことを含む、付記16に記載の方法。
付記18.前記少なくとも1つの分離ポストは、第1分離ポスト及び第2分離ポストを含む複数の分離ポストを含み、前記第1分離ポスト及び前記第2分離ポストは、前記トレイの長手方向に沿って離間した位置に設けられており、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤを前記分離ポストに巻き掛けるステップは、
前記第1ワイヤを第1分離ポストに巻き掛け、
前記第1ワイヤを前記第1分離ポストに巻き掛けた後、前記第2ワイヤを前記第2分離ポストに巻き掛ける、ことを含む、付記17に記載の方法。
付記19.前記少なくとも1つの分離ポストは、第1分離ポスト及び第2分離ポストを含む少なくとも2つの分離ポストを含み、前記第1分離ポスト及び前記第2分離ポストは、ポストの組として配置されるとともに、トレイ長手方向に沿ってほぼ同じ位置にあり、個々に、横方向への相互移動及び前記トレイ表面に対する移動が可能であり、前記方法は、
前記第1ワイヤがU字形状となるように、前記第1ワイヤを前記第1分離ポストに巻き掛け、
前記第1分離ポストを、前記第2分離ポストから離れるように横方向に移動させ、
前記第2ワイヤがU字形状となるように、前記第2ワイヤを前記第2分離ポストに巻き掛ける、ことをさらに含む、付記17に記載の方法。
付記20.前記ワイヤ処理マシンから、後入れ先出し方式でワイヤを取り外すステップをさらに含む、付記12に記載の方法。
本開示の実施例における全ての側面(例えば、コンポーネント、構造的配置、及び/又は、方法のステップ)は、全体的又は部分的に、互いに組み合わせて利用することができる。本開示の追加的な変形例及び改変例が当業者には明らかであろう。したがって、本明細書で説明及び図示された部分の特定の組み合わせは、本開示の特定の実施形態を表しているにすぎず、本開示の思想及び範囲内である代替の実施形態又は装置を限定するものではない。