マトリクスタイプADB車両用前照灯から出射される配光には、たとえば中央付近で高く、周辺に向かって低下していく輝度分布が望まれる。
図7Aに、マトリクスタイプADB車両用前照灯におけるLED素子アレイ(光源)の一例を示す。本図には、LED素子が6行2列に配置されている例を示した。一番上の行から順に、A行、B行、C行、D行、E行とし、一番下の行をF行とする。左側の列には、上の行から順にLED素子91a~91fが配置され、右側の列には、上の行から順にLED素子92a~92fが配置される。
LED素子91a~91f、92a~92fは、矩形の平面形状(発光領域)を有する。また、各列方向(縦方向)に沿って見たとき、E行に位置するLED素子91e、92eの平面サイズ(発光領域の面積)が最も小さく、E行を基準に列方向上側、列方向下側の各方向について、離れた行に位置するLED素子91a~91d、91f、92a~92d、92fほど平面サイズが大きくなる。すなわち、平面サイズにおいては、LED素子91a>LED素子91b>LED素子91c>LED素子91d>LED素子91e<LED素子91f、及び、LED素子92a>LED素子92b>LED素子92c>LED素子92d>LED素子92e<LED素子92fの関係がある。
たとえばLED素子91a~91fに一定の値の電流を供給する。このとき、LED素子91a~91fは、平面サイズに応じた輝度で発光する。相対的にサイズの大きい(発光領域の面積が大きい)LED素子は相対的に低い輝度で発光し、相対的にサイズの小さい(発光領域の面積が小さい)LED素子は相対的に高い輝度で発光する。具体的には、サイズが最小であるため電流密度が最も高くなるLED素子91eは、最高輝度で発光し、サイズが最大であるため電流密度が最も低くなるLED素子91aは、最低輝度で発光する。輝度においては、LED素子91a<LED素子91b<LED素子91c<LED素子91d<LED素子91e>LED素子91fの関係がある。
同様に、LED素子92a~92fは、一定の値の電流を供給したとき、LED素子92a<LED素子92b<LED素子92c<LED素子92d<LED素子92e>LED素子92fとなる輝度で発光する。すなわち、LED素子91a~91f、92a~92fが6行2列に配置されたLED素子アレイの発光輝度を各列方向について見ると、輝度はE行の位置で最も高く、端部(列方向上側及び列方向下側)に向かって徐々に低くなる。
LED素子91a~91f、92a~92fは、それぞれ複数のn側電極(ビア電極)91x、92xを備える。図7Aに示す例においては、LED素子91a~91f、92a~92fのすべてにおいて、n側電極91x、92xは左右(行方向)の端部側に等間隔に配置されている。この場合、たとえばn側電極91x、92xは、列方向に関し、発光面(光出射面)内に均一的に分布することになる。
n側電極91x、92xの配置位置はLED素子91a~91f、92a~92fの発光時における非発光領域(暗部)となる。n側電極91x、92xを発光面内に均一的に分布させることにより、たとえば発光面内の輝度が均一化される。
図7Aに示すLED素子アレイにおいては、たとえば列方向に沿って相互に隣接するLED素子91a~91f間(LED素子91a~91fの非配置位置)、及び、LED素子92a~92f間(LED素子92a~92fの非配置位置)に対応する位置で、LED素子アレイを出射する光の輝度に段差が生じる。
図7Bは、LED素子アレイの列方向に沿う輝度分布を示す概略的なグラフである。グラフの横軸は列方向の位置を表し、縦軸は輝度を表す。列方向に沿うLED素子間で、輝度に段差が生じている。
図1は、実施例によるLED素子アレイ(半導体発光素子アレイ)を示す概略的な平面図である。
実施例によるLED素子アレイは6行2列に配置された12個のLED素子11a~11f、12a~12fを含む。一番上の行から順に、A行、B行、C行、D行、E行とし、一番下の行をF行と規定する。左側の列には、上の行から順にLED素子11a~11fが配置され、右側の列には、上の行から順にLED素子12a~12fが配置される。
LED素子11a~11f、12a~12fは、矩形の平面形状(発光領域)を有する。また、各列方向(Y軸方向)に沿って見たとき、E行に位置するLED素子11e、12eの平面サイズ(発光領域の面積)が最も小さく、E行を基準に列方向上側(Y軸正方向側)、列方向下側(Y軸負方向側)の各方向について、離れた行に位置するLED素子11a~11d、11f、12a~12d、12fほど平面サイズが大きくなる。すなわち、平面サイズにおいては、LED素子11a>LED素子11b>LED素子11c>LED素子11d>LED素子11e<LED素子11f、及び、LED素子12a>LED素子12b>LED素子12c>LED素子12d>LED素子12e<LED素子12fの関係がある。
たとえばLED素子11a~11fに一定の値の電流を供給すると、LED素子11a~11fは、平面サイズに応じた輝度で発光する。輝度においては、LED素子11a<LED素子11b<LED素子11c<LED素子11d<LED素子11e>LED素子11fの関係がある。
同様に、LED素子12a~12fに一定の値の電流を供給すると、LED素子12a~12fは、LED素子12a<LED素子12b<LED素子12c<LED素子12d<LED素子12e>LED素子12fとなる輝度で発光する。すなわち、実施例によるLED素子アレイの発光輝度を各列方向について見ると、輝度はE行の位置で最も高く、端部(列方向上側及び列方向下側)に向かって徐々に低くなる。
なお、LED素子11a~11fは、たとえば直列に接続されていてもよいし、そうでなくてもよい。LED素子12a~12fについても同様である。
各LED素子11a~11f、12a~12fにおいては、発光時、発光面内に複数の暗部11x、12xが形成される。暗部11x、12xの形成位置は、たとえば各LED素子11a~11f、12a~12fの左右(行方向)の端部側である。暗部11x、12xの平面形状は、たとえば円形であり、すべての暗部11x、12xは同サイズである。暗部11x、12xについては、後に詳述する。
図2Aは、図1のII-II線に沿う概略的な断面図である。
LED素子11bは、半導体構造層20、n側電極26、及び、p側電極24を備える。
半導体構造層20は、たとえばAlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1)の組成を有し、p型半導体層21、発光層(活性層)22、n型半導体層23がこの順に積層されて構成される。一例として、p型半導体層21はMgをドープしたp型GaN層、発光層22は、InGaNで形成される井戸層とGaNで形成される障壁層とを含む多重量子井戸構造層、n型半導体層23は、Siをドープしたn型GaN層である。n型半導体層23の表面には、発光層22で発光された光を効率的に外部に取り出すマイクロコーン構造が形成されている。なお、n型半導体層23の表面(マイクロコーン構造)側に、波長変換層を配置してもよい。
n側電極26は、n型半導体層23に電気的に接続される電極であり、ビア電極26a及びn側電極層26bを備える。
ビア電極26aは、p型半導体層21及び発光層22が除去された領域において、n型半導体層23上に形成される。たとえば、Ti、Al、Pt、Au等の金属材料を用いて形成可能である。
n側電極層26bは、ビア電極26aと電気的に接続されるとともに、n側の給電部(図示せず)に電気的に接続される。n側電極層26bは、たとえば、Ti、Pt、Au等の金属材料を用いて形成される。
p側電極24は、p型半導体層21に電気的に接続される電極であり、p側電極層24a及びp側コンタクト電極24bを備える。実施例においては、p側電極24は、更に、電極層一部不形成領域24cを含む。
p側電極層24aは、p型半導体層21上に形成された導電層であり、単数の層でまたは複数の層が積層されて構成される。実施例においては、p側電極層24aは、ITO(indium tin oxide)層、Ag層、TiW層、及び、Au層がp型半導体層21側からこの順に配置された構造を有する。
Ag層は、発光層22で発光され、p型半導体層21側に進行する光を反射してn型半導体層23(光取り出し面)側に反射する反射金属層である。反射金属層は、たとえばAg、Pt、Ni、Al、Pd等の金属材料やこれらの金属を含む合金を用い、入射光の90%以上を反射する厚さに形成することができる。
ITO層により、たとえば光の反射性が高められる。ITO層に限らず、IZO(indium zinc oxide)層等を用いることも可能である。p型半導体層21に、これらのようなオーミック接触する電極が直接接触するようにしている。
TiW層/Au層は、キャップ層である。キャップ層は、たとえばTi、W、Pt、Pd、Mo、Ru、Ir、Au等の、マイグレーションが生じにくい金属材料を用いて形成することができる。
p側コンタクト電極24bは、p側電極層24aとp側配線層25とを電気的に接続する。p側配線層25は、p側の給電部(図示せず)に電気的に接続されている。
電極層一部不形成領域24cは、p側電極層24aと比較したとき、p側電極層24aを構成する単数または複数の層のうちの少なくとも一部の層が形成されない領域である。
n側電極26に電気的に接続される領域と、p側電極24に電気的に接続される領域とは、たとえばSiO2等の絶縁材料で形成される絶縁層27(絶縁層27a、27b)によって相互に絶縁される。
半導体構造層20、p側電極24、p側配線層25、n側電極26、及び、絶縁層27は、基板28上方に配置される。
p側電極層24a、p側配線層25、及び、n側電極層26bは、基板28と半導体構造層20の間において、異なる階層で立体的に形成されている。実施例においては、p側配線層25は、基板28上に形成される。p側配線層25上方には絶縁層27bを介してn側電極層26bが形成される。p側電極層24aは、絶縁層27aを介してn側電極層26b上方に形成される。
n側及びp側の給電部は、電源を含む制御装置(図示せず)に電気的に接続されている。n側及びp側の給電部(n側電極26及びp側電極24)を介し、半導体構造層20に電子及び正孔が注入される(電流が供給される)。電子と正孔は発光層22において再結合し、再結合に係るエネルギが光及び熱として放出される。
図2Bは、電極層一部不形成領域24cを示す概略的な断面図である。
電極層一部不形成領域24cは、平面視上(Z軸正方向から見たとき)、周囲をp側電極層24aに囲まれた(p側電極層24a内に形成された)、円形領域である。p側電極層24aは、p型半導体層21側から、ITO層24a1、Ag層24a2、TiW層24a3、Au層24a4が順に配置されてなるが、電極層一部不形成領域24cは、p型半導体層21側から、ITO層24c1、TiW層24c3、Au層24c4がこの順に配置されてなる。すなわち、電極層一部不形成領域24cは、p側電極層24aからAg層(反射金属層)24a2が除かれた層構成を有する。よって、電極層一部不形成領域24cは、周囲のp側電極層24aがすべて積層された領域に比べ、発光層22からの発光に対し、反射率の低い領域となる。
電極層一部不形成領域24cは、p側電極層24aの形成と並行して形成することができる。たとえば、ITO層24c1は、ITO層24a1の形成工程と同一工程で、ITO層24a1と一体的に形成する。また、p側電極層24aのAg層24a2形成時、電極層一部不形成領域24cには、Ag層が形成されないようにする。更に、TiW層24c3は、TiW層24a3の形成工程と同一工程で、TiW層24a3と一体的に形成し、Au層24c4は、Au層24a4の形成工程と同一工程で、Au層24a4と一体的に形成する。
実施例においては、平面視上、ビア電極26aは円形に形成される。円形状のビア電極26a配置位置と、円形状の電極層一部不形成領域24cのサイズは相互に等しい。ビア電極26aの分布密度は、半導体構造層20の平面視で一定である。
なお、電極層一部不形成領域24cは、n側電極26の電流が拡散する範囲内に配置されている。
図1及び図2Aをあわせて参照する。
LED素子11bの暗部11xは、LED素子11bの発光時に、ビア電極26a配置位置及び電極層一部不形成領域24cに対応して形成される。なお、図1においては、電極層一部不形成領域24cに対応して形成される暗部11x、12xを点線で囲んで示してある。点線で囲まれていないのは、ビア電極26a配置位置に対応して形成される暗部11x、12xである。
ビア電極26a形成位置は、発光層22が除去されているため、LED素子11b発光時における暗部となる。電極層一部不形成領域24cは、発光層22は存在するがAg層(反射金属層)が存在しないため、周囲より反射率が低く、LED素子11b発光時に暗部となる。
LED素子11bにおいては、暗部11x(ビア電極26a配置位置と電極層一部不形成領域24cとで構成される領域)は、列方向に沿う上側(Y軸正方向側)で相対的に暗部11x同士の間隔が狭く、数が多く、高密度に、列方向に沿う下側(Y軸負方向側)で相対的に暗部11x同士の間隔が広く、数が少なく、低密度になるように配置されている。
たとえば、列方向に沿う上側(Y軸正方向側)の半分領域(図2C参照。LED素子11bの照射面領域を、列方向の長さを基準に半分する領域)と列方向に沿う下側(Y軸負方向側)の半分領域を比較したとき、暗部11xは、前者において相対的に数が多く、後者において相対的に数が少ない。すなわち、ビア電極26a配置位置と電極層一部不形成領域24cとで構成される領域は、列方向に沿う上側(Y軸正方向側)の半分領域で相対的に高密度に分布し(半分領域内での占有面積密度が相対的に高く)、列方向に沿う下側(Y軸負方向側)の半分領域で相対的に低密度に分布する(半分領域内での占有面積密度が相対的に低い)。
実施例においては、暗部11x(ビア電極26a配置位置と電極層一部不形成領域24cとで構成される領域)は、LED素子11bの発光面内において、列方向下側(Y軸負方向側)から列方向上側(Y軸正方向側)に向かうにつれ高密度に分布するように(発光面内での占有面積密度が高くなるように)配置されている。実施例においては、ビア電極26aは列方向上側と下側で面積密度を同じにしているが、異なるように形成してもよい。
暗部11xが相対的に高密度に形成されることは、非暗部(暗部に対し、相対的に良好に光が取り出される領域)の面積が相対的に小さくなることを意味する。このため、LED素子11bは、列方向に沿う上側(Y軸正方向側)で相対的に低輝度となり、列方向に沿う下側(Y軸負方向側)で相対的に高輝度となるように、たとえば、列方向に沿う上側(Y軸正方向側)の半分領域と列方向に沿う下側(Y軸負方向側)の半分領域を比較したとき、前者において相対的に低輝度となり、後者において相対的に高輝度となるように、実施例においては、列方向下側(Y軸負方向側)から列方向上側(Y軸正方向側)に向かうにつれ低輝度となるように、発光する。
LED素子11bにおいては、発光面内でY軸方向に沿う輝度傾斜(輝度分布)、実施例においてはY軸負方向側からY軸正方向側に向かって低輝度となる(輝度が単調減少する)、滑らかな輝度傾斜が実現される。LED素子11bは、高品質の発光が可能な半導体発光素子である。
LED素子11bについて説明したが、LED素子11a、11c、11d、12a~12dについても同様である。LED素子11a、11c、11d、12a~12dにおいても、暗部11x、12x(ビア電極配置位置と電極層一部不形成領域とで構成される領域)は、列方向に沿う上側(Y軸正方向側)で相対的に間隔が狭く、数が多く、高密度に、列方向に沿う下側(Y軸負方向側)で相対的に間隔が広く、数が少なく、低密度になるように配置される。
また、LED素子11a、11c、11d、12a~12dにおいても、列方向に沿う上側(Y軸正方向側)の半分領域と列方向に沿う下側(Y軸負方向側)の半分領域を比較したとき、暗部11x、12xは、前者において相対的に数が多く、後者において相対的に数が少ない。すなわち、ビア電極26a配置位置と電極層一部不形成領域24cとで構成される領域は、列方向に沿う上側(Y軸正方向側)の半分領域で相対的に高密度に分布し(半分領域内での占有面積密度が相対的に高く)、列方向に沿う下側(Y軸負方向側)の半分領域で相対的に低密度に分布する(半分領域内での占有面積密度が相対的に低い)。
更に、LED素子11a、11c、11d、12a~12dにおいても、暗部11x、12x(ビア電極26a配置位置と電極層一部不形成領域24cとで構成される領域)は、列方向下側(Y軸負方向側)から列方向上側(Y軸正方向側)に向かうにつれ高密度に分布するように(発光面内での占有面積密度が高くなるように)配置される。
各LED素子11a、11c、11d、12a~12dも、列方向に沿う上側(Y軸正方向側)で相対的に低輝度となり、列方向に沿う下側(Y軸負方向側)で相対的に高輝度となるように、たとえば、列方向に沿う上側(Y軸正方向側)の半分領域と列方向に沿う下側(Y軸負方向側)の半分領域を比較したとき、前者において相対的に低輝度となり、後者において相対的に高輝度となるように、詳細には、列方向下側(Y軸負方向側)から列方向上側(Y軸正方向側)に向かうにつれ低輝度となるように、発光する。
各LED素子11a、11c、11d、12a~12dにおいても、発光面内でY軸方向に沿う輝度傾斜、具体的にはY軸負方向側からY軸正方向側に向かって低輝度となる(輝度が単調減少する)、滑らかな輝度傾斜が実現される。LED素子11a、11c、11d、12a~12dも、高品質の発光が可能な半導体発光素子である。
LED素子11f、12fにおいては、Y軸方向に沿う、暗部11x、12xの形成位置関係が、LED素子11a~11d、12a~12dとは逆になる。
LED素子11f、12fにおいては、暗部11x、12x(ビア電極配置位置と電極層一部不形成領域とで構成される領域)は、列方向に沿う上側(Y軸正方向側)で相対的に間隔が広く、数が少なく、低密度に、列方向に沿う下側(Y軸負方向側)で相対的に間隔が狭く、数が多く、高密度になるように配置される。
また、LED素子11f、12fにおいては、列方向に沿う上側(Y軸正方向側)の半分領域と列方向に沿う下側(Y軸負方向側)の半分領域を比較したとき、暗部11x、12xは、前者において相対的に数が少なく、後者において相対的に数が多い。すなわち、ビア電極26a配置位置と電極層一部不形成領域24cとで構成される領域は、列方向に沿う上側(Y軸正方向側)の半分領域で相対的に低密度に分布し(半分領域内での占有面積密度が相対的に低く)、列方向に沿う下側(Y軸負方向側)の半分領域で相対的に高密度に分布する(半分領域内での占有面積密度が相対的に高い)。
更に、具体的には、LED素子11f、12fにおいては、暗部11x、12x(ビア電極26a配置位置と電極層一部不形成領域24cとで構成される領域)は、列方向上側(Y軸正方向側)から列方向下側(Y軸負方向側)に向かうにつれ高密度に分布するように(発光面内での占有面積密度が高くなるように)配置される。
LED素子11f、12fは、列方向に沿う上側(Y軸正方向側)で相対的に高輝度となり、列方向に沿う下側(Y軸負方向側)で相対的に低輝度となるように、たとえば、列方向に沿う上側(Y軸正方向側)の半分領域と列方向に沿う下側(Y軸負方向側)の半分領域を比較したとき、前者において相対的に高輝度となり、後者において相対的に低輝度となるように、詳細には、列方向上側(Y軸正方向側)から列方向下側(Y軸負方向側)に向かうにつれ低輝度となるように、発光する。
LED素子11f、12fにおいては、発光面内でY軸方向に沿う輝度傾斜、具体的にはY軸正方向側からY軸負方向側に向かって低輝度となる(輝度が単調減少する)、滑らかな輝度傾斜が実現される。LED素子11f、12fも、高品質の発光が可能な半導体発光素子である。
LED素子11e、12eにおいては、暗部11x、12xは、発光面内に均一的に形成される。また、LED素子11e、12eの暗部11x、12xは、すべてビア電極配置位置に対応して形成される。すなわち、LED素子11e、12eにおいては、電極層一部不形成領域は形成されていない。LED素子11e、12eにおいては、輝度傾斜のない、発光面内で均一化された輝度分布が実現される。
実施例によるLED素子アレイでは、発光輝度において、各列方向につき、A行のLED素子<B行のLED素子<C行のLED素子<D行のLED素子<E行のLED素子>F行のLED素子の関係がある。すなわち、発光輝度はE行の素子で最も高く、列方向上側(Y軸正方向側)及び列方向下側(Y軸負方向側)の各方向について、端部の素子ほど低くなる。
また、たとえば各LED素子11a~11d、12a~12dは、列方向下側(Y軸負方向側)から列方向上側(Y軸正方向側)に向かうにつれ低輝度となるように発光し、LED素子11f、12fは、列方向上側(Y軸正方向側)から列方向下側(Y軸負方向側)に向かうにつれ低輝度となるように発光する。
このため、各LED素子11a~11d、11f、12a~12d、12fの発光面内において、E行から離れるにつれ、輝度が単調減少する、滑らかな輝度傾斜が形成されるだけでなく、実施例によるLED素子アレイを各列方向について見たときも、E行から各端部に向かって、輝度が単調減少する、滑らかな輝度傾斜が形成される。
なお、実施例によるLED素子アレイにおいては、たとえば列方向に相互に隣接する2つのLED素子11a、11bを見たとき、暗部11xは、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子11b)においては、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子11a)側で、相対的に間隔が狭く、数が多く、高密度に形成され、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子11a)においては、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子11b)側で、相対的に間隔が広く、数が少なく、低密度に形成される。また、両LED素子11a、11bの発光面内における暗部11xの占有面積密度(ビア電極配置位置と電極層一部不形成領域とで構成される領域の分布密度)は、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子11b)においては、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子11a)側の半分領域で相対的に(他の半分領域よりも)高く、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子11a)においては、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子11b)側の半分領域で相対的に(他の半分領域よりも)低い。実施例においては、暗部11x(ビア電極26a配置位置と電極層一部不形成領域24cとで構成される領域)は、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子11b)においては、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子11a)側に向かうにつれ、高密度に分布するように配置され、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子11a)においては、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子11b)側に向かうにつれ、低密度に分布するように配置される。
すなわち、実施例によるLED素子アレイにおいては、たとえば列方向に相互に隣接する2つのLED素子11a、11bを見たとき、非暗部の面積は、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子11b)においては、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子11a)側で相対的に小さく、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子11a)においては、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子11b)側で、相対的に大きい。たとえば、両LED素子11a、11bの非暗部の面積は、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子11b)においては、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子11a)側の半分領域で相対的に(他の半分領域よりも)小さく、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子11a)においては、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子11b)側の半分領域で相対的に(他の半分領域よりも)大きい。実施例においては、更に、両LED素子11a、11bの非暗部の面積は、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子11b)においては、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子11a)側に向かうにつれ小さくなり、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子11a)においては、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子11b)側に向かうにつれ大きくなる。
このため、LED素子11a、11b間に対応する位置におけるLED素子アレイの出射光の輝度段差を低減することができる。
LED素子11a、11bについて説明したが、列方向に相互に隣接するLED素子11b、11c、LED素子11c、11d、LED素子12a、12b、LED素子12b、12c、LED素子12c、12dについても同様である。
列方向に相互に隣接する2つのLED素子11d、11eについては、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子11e)の暗部11xは、発光面内に均一的に形成される一方で、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子11d)の暗部11xは、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子11e)側で、相対的に間隔が広く、数が少なく、低密度に形成される。また、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子11d)においては、暗部11xの発光面内における占有面積密度(ビア電極配置位置と電極層一部不形成領域とで構成される領域の分布密度)は、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子11e)側の半分領域で相対的に(他の半分領域よりも)低い。実施例においては、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子11d)の暗部11x(ビア電極26a配置位置と電極層一部不形成領域24cとで構成される領域)は、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子11e)側に向かうにつれ、低密度に分布するように配置される。
このため、LED素子11d、11e間に対応する位置におけるLED素子アレイの出射光の輝度段差を低減することができる。
LED素子11d、11eについて説明したが、列方向に相互に隣接するLED素子11e、11f、LED素子12d、12e、LED素子12e、12fについても同様である。
実施例によるLED素子アレイにおいては、各列方向に相互に隣接するLED素子間に対応する位置における出射光の輝度段差が低減され、E行から各列方向端部に向かい、輝度が単調減少する、滑らかな輝度傾斜が形成される。実施例によるLED素子アレイは、高品質の発光が可能な半導体発光素子アレイである。
実施例によるLED素子アレイに使用されるLED素子11a~11d、11f、12a~12d、12fにおいては、ビア電極26a配置位置及び電極層一部不形成領域24c(平面視上、たとえばビア電極26aから離れた位置でビア状で、周囲をp側電極層24aに囲まれ、p側電極層24aを構成する単数または複数の層のうちの少なくとも一部の層が形成されない領域)を用いて、暗部11x、12xを形成する。また、LED素子11a~11d、11f、12a~12d、12fにおいては、暗部11x、12xの分布密度は発光面内で均一(一様)でなく、変化しており、たとえば一方向(Y軸方向)に沿う方向に均一(一様)ではなく、変化している。すなわち、LED素子11a~11d、11f、12a~12d、12fは、ビア電極26a配置位置と電極層一部不形成領域24cとで構成される領域の分布密度が発光面内(p側電極層24aの層内方向、半導体構造層の平面視)で均一(一様)でなく、変化している、たとえば一方向(Y軸方向)に沿って見たとき、均一(一様)ではなく、変化しているLED素子である。なお、実施例における電極層一部不形成領域24cは、平面視上、たとえばビア状で、周囲をp側電極層24aに囲まれ、p側電極層24aを構成する単数または複数の層のうちの少なくとも一部の層が形成されない領域であって、ビア電極26a配置位置ではない領域である。p側電極層24aと電極層一部不形成領域24cは、たとえばp型半導体層21、発光層22、n型半導体層23が積層される連続領域に存在する。
発光面内で分布密度が均一でない暗部11x、12xを、仮にビア電極26a配置位置だけで形成した場合、ビア電極26a配置位置間の距離が短くなり、ビア電極26a配置位置近傍に電流の集中が生じることがある。電流の集中が生じた位置においては発光輝度が高くなるため、LED素子は発光領域内の位置により、不均一な輝度で発光することとなる。
LED素子11a~11d、11f、12a~12d、12fにおいては、電極層一部不形成領域24cを用いて暗部11x、12xを形成するため、電流の集中が防止される。電流分布の均一化により、暗部11x、12x以外の非暗部内の各点における発光輝度が均一化される。
更に、実施例における電極層一部不形成領域24cは、ビア電極26a配置位置とは異なり、電流が供給され発光する領域である。また、p型半導体層、発光層、n型半導体層が除去されず残っている領域であるため、ビア電極26a配置位置よりも、周囲から光が導波しやすい領域である。このため、電極層一部不形成領域24cに対応して形成される暗部11x、12xは、ビア電極26a配置位置に対応して形成される暗部11x、12xよりも、その暗さが目立ちにくい。電極層一部不形成領域24cを用いて暗部11x、12xを形成することにより、巨視的に見て、暗部11x、12xの目立ちにくい、高品質の発光が可能となる。
図3は、実施例による半導体発光装置を示す概略的な平面図である。実施例による半導体発光装置は、LED素子アレイ40及び制御装置41を含んで構成される。
LED素子アレイ40は6行1列に配置された6個のLED素子40a~40fを含む。一番上の行から順に、A行、B行、C行、D行、E行とし、一番下の行をF行と規定する。上の行から順にLED素子40a~40fが配置される。LED素子40a~40fは、相互にサイズが等しい矩形の平面形状(発光領域)を有する。
LED素子40a~40d、40fとして、LED素子11b(図1、図2A~図2C参照)を用いる。
LED素子40a~40dは、図1に示すLED素子11bの配置態様と同様の配置態様で配置される。
すなわち、LED素子40a~40dは、Y軸正方向側で相対的に暗部40x(ビア電極26a配置位置と電極層一部不形成領域24cとで構成される領域)の間隔が狭く、数が多く、密度が高く、Y軸負方向側で相対的に暗部40xの間隔が広く、数が少なく、密度が低くなるように配置される。
たとえば、LED素子40a~40dは、Y軸正方向側の半分領域とY軸負方向側の半分領域を比較したとき、前者において暗部40xの数が相対的に多く、後者において暗部40xの数が相対的に少なくなるように(ビア電極26a配置位置と電極層一部不形成領域24cとで構成される領域が、Y軸正方向側の半分領域で相対的に高密度に分布し、Y軸負方向側の半分領域で相対的に低密度に分布するように)配置される。
具体的には、LED素子40a~40dは、暗部40x(ビア電極26a配置位置と電極層一部不形成領域24cとで構成される領域)が、Y軸負方向側からY軸正方向側に向かうにつれ高密度に分布するように配置される。
各LED素子40a~40dは、Y軸正方向側で相対的に低輝度となり、Y軸負方向側で相対的に高輝度となるように、たとえば、Y軸正方向側の半分領域とY軸負方向側の半分領域を比較したとき、前者において相対的に低輝度となり、後者において相対的に高輝度となるように、具体的には、Y軸負方向側からY軸正方向側に向かうにつれ低輝度となるように、発光する。
各LED素子40a~40dにおいては、発光面内でY軸方向に沿う輝度傾斜(輝度分布)、具体的にはY軸負方向側からY軸正方向側に向かって低輝度となる(輝度が単調減少する)、滑らかな輝度傾斜が実現される。
LED素子40fは、図1に示すLED素子11bの配置態様とは、Y軸方向に関し逆向きの配置態様で(図1に示すLED素子11bを発光面と平行な面内で180°回転させる配置態様で)配置される。
すなわち、LED素子40fは、Y軸正方向側で相対的に暗部40x(ビア電極26a配置位置と電極層一部不形成領域24cとで構成される領域)の間隔が広く、数が少なく、密度が低く、Y軸負方向側で相対的に暗部40xの間隔が狭く、数が多く、密度が高くなるように配置される。
たとえば、LED素子40fは、Y軸正方向側の半分領域とY軸負方向側の半分領域を比較したとき、前者において暗部40xの数が相対的に少なく、後者において暗部40xの数が相対的に多くなるように(ビア電極26a配置位置と電極層一部不形成領域24cとで構成される領域が、Y軸正方向側の半分領域で相対的に低密度に分布し、Y軸負方向側の半分領域で相対的に高密度に分布するように)配置される。
具体的には、LED素子40fは、暗部40x(ビア電極26a配置位置と電極層一部不形成領域24cとで構成される領域)が、Y軸正方向側からY軸負方向側に向かうにつれ高密度に分布するように配置される。
LED素子40fは、Y軸正方向側で相対的に高輝度となり、Y軸負方向側で相対的に低輝度となるように、たとえば、Y軸正方向側の半分領域とY軸負方向側の半分領域を比較したとき、前者において相対的に高輝度となり、後者において相対的に低輝度となるように、詳細には、Y軸正方向側からY軸負方向側に向かうにつれ低輝度となるように、発光する。
LED素子40fにおいては、発光面内でY軸方向に沿う輝度傾斜(輝度分布)、具体的にはY軸正方向側からY軸負方向側に向かって低輝度となる(輝度が単調減少する)、滑らかな輝度傾斜が実現される。
LED素子40eにおいては、発光時、相互に同サイズの円形状暗部40xが、LED素子40eの左右(行方向)の端部側に、Y軸方向に沿って等間隔に形成される。また、暗部40xは、たとえばすべてn側電極(ビア電極)配置位置に対応して形成される。LED素子40eにおいては、Y軸方向に輝度傾斜のない、均一的な輝度分布が実現される。
制御装置41は、電源を含み、LED素子40a~40fを、たとえば交流駆動(duty駆動)する。直流駆動でもよい。制御装置41により、LED素子40a~40fの発光、たとえば点消灯や発光輝度が制御される。制御装置41は、たとえばLED素子40a~40fの発光を独立に制御する。
制御装置41は、一例としてLED素子40a~40fの各々に供給する電流のdutyを異ならせ、LED素子40a~40fを相互に異なる輝度で発光させる。電流値そのものをLED素子40a~40fごとに異ならせ、異なる輝度とすることもできる。dutyと電流値をともに変化させてもよいであろう。
制御装置41は、たとえばLED素子40eが最も明るく発光し、LED素子40eを基準にY軸正方向側、Y軸負方向側の各方向について、離れた行に位置するLED素子40a~40d、40fほど暗く発光するように制御する。すなわちLED素子40a~40fは、発光輝度が、LED素子40a<LED素子40b<LED素子40c<LED素子40d<LED素子40e>LED素子40fとなるように制御される。
実施例による半導体発光装置においても、実施例による半導体発光素子アレイと同様に、各LED素子40a~40d、40fの発光面内において、E行から離れるにつれ、輝度が単調減少する、滑らかな輝度傾斜が形成される。更に、実施例による半導体発光装置を列方向について見たとき、E行から各端部に向かって輝度が単調減少する、滑らかな輝度傾斜が形成される。
実施例による半導体発光装置においても、たとえば列方向に相互に隣接する2つのLED素子40a、40bを見たとき、暗部40xは、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子40b)においては、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子40a)側で、相対的に間隔が狭く、数が多く、高密度に形成され、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子40a)においては、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子40b)側で、相対的に間隔が広く、数が少なく、低密度に形成される。また、両LED素子40a、40bの暗部40xの発光面内における占有面積密度(ビア電極配置位置と電極層一部不形成領域とで構成される領域の分布密度)は、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子40b)においては、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子40a)側の半分領域で相対的に(他の半分領域よりも)高く、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子40a)においては、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子40b)側の半分領域で相対的に(他の半分領域よりも)低い。具体的には、暗部40x(ビア電極26a配置位置と電極層一部不形成領域24cとで構成される領域)は、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子40b)においては、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子40a)側に向かうにつれ、高密度に分布するように配置され、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子40a)においては、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子40b)側に向かうにつれ、低密度に分布するように配置される。
すなわち、実施例による半導体発光装置においても、たとえば列方向に相互に隣接する2つのLED素子40a、40bを見たとき、非暗部の面積は、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子40b)においては、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子40a)側で相対的に小さく、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子40a)においては、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子40b)側で、相対的に大きい。たとえば、両LED素子40a、40bの非暗部の面積は、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子40b)においては、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子40a)側の半分領域で相対的に(他の半分領域よりも)小さく、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子40a)においては、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子40b)側の半分領域で相対的に(他の半分領域よりも)大きい。実施例においては、更に、両LED素子40a、40bの非暗部の面積は、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子40b)においては、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子40a)側に向かうにつれ小さくなり、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子40a)においては、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子40b)側に向かうにつれ大きくなる。
このため、LED素子40a、40b間に対応する位置における半導体発光装置の出射光の輝度段差を低減することができる。
LED素子40a、40bについて説明したが、列方向に相互に隣接するLED素子40b、40c、LED素子40c、40dについても同様である。
列方向に相互に隣接する2つのLED素子40d、40eについては、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子40e)の暗部40xは、Y軸方向に均一的に形成される一方で、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子40d)の暗部40xは、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子40e)側で、相対的に間隔が広く、数が少なく、低密度に形成される。また、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子40d)においては、暗部40xの発光面内における占有面積密度(ビア電極配置位置と電極層一部不形成領域とで構成される領域の分布密度)は、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子40e)側の半分領域で相対的に(他の半分領域よりも)低い。実施例においては、相対的に低輝度発光するLED素子(LED素子40d)の暗部40x(ビア電極26a配置位置と電極層一部不形成領域24cとで構成される領域)は、相対的に高輝度発光するLED素子(LED素子40e)側に向かうにつれ、低密度に分布するように配置される。
このため、LED素子40d、40e間に対応する位置における半導体発光装置の出射光の輝度段差を低減することができる。
LED素子40d、40eについて説明したが、列方向に相互に隣接するLED素子40e、40fについても同様である。
実施例による半導体発光装置においても、実施例による半導体発光素子アレイと同様に、列方向に相互に隣接するLED素子間に対応する位置における出射光の輝度段差が低減され、E行から列方向端部に向かい、輝度が単調減少する、滑らかな輝度傾斜が形成される。実施例による半導体発光装置は、高品質の発光が可能な半導体発光装置である。
図4Aは、変形例によるLED素子51cを示す概略的な平面図であり、図4Bは、図4AのIVB-IVB線に沿う概略的な断面図である。変形例によるLED素子51cは、実施例によるLED素子アレイのLED素子11cに対応するLED素子である。変形例によるLED素子51cは、たとえば実施例によるLED素子アレイにおいて、LED素子11cに替えて用いることができる。なお、他のLED素子11a、11b、11d、11f、12a~12d、12fも、以下に説明する、変形例によるLED素子51cと同様の特徴を有するLED素子に替えることが可能である。
実施例によるLED素子アレイに使用されるLED素子11cにおいては、ビア電極26a配置位置と電極層一部不形成領域24cとを、平面視上、相互に離間して形成する。また、ビア電極26aの配置位置と電極層一部不形成領域24cを、平面視上、同一サイズに形成し、各暗部11x(相互に離間されて配置される暗部11x)を同一サイズとする。そして、同一サイズの暗部11xの数の分布によって、Y軸方向に沿う一方側(たとえばLED素子11cより低輝度に発光するLED素子11b側)の非暗部の面積を相対的に小さくし、Y軸方向に沿う他方側(たとえばLED素子11cより高輝度に発光するLED素子11d側)の非暗部の面積を相対的に大きくする。
変形例によるLED素子51cにおいては、電極層一部不形成領域24cを、平面視上、ビア電極26a配置位置と連続する位置に形成する。たとえば、平面視上、円形に形成されるビア電極26a配置位置の周囲に、電極層一部不形成領域24cを配置し、その形状を中心が円形のビア電極26aの中心と一致する、同心円のリング形とする。なお、電極層一部不形成領域24cの周囲には、p側電極層24aが配置されている。
図4A及び図4Bに示す例においては、LED素子51cにおける8つのビア電極26a配置位置のサイズ(各ビア電極26aとn型半導体層23との接触面積)は相互に等しい。また、各列方向(Y軸方向)に沿う4つの暗部51xのうち、最もY軸負方向側に位置する暗部51xをビア電極26a配置位置のみで形成し、Y軸正方向側の3つの暗部51xを、ビア電極26a配置位置及びその周囲の電極層一部不形成領域24cで形成する。更に、電極層一部不形成領域24cのサイズ(外円の直径)を、Y軸正方向側のビア電極26a配置位置の周囲のそれほど大きくする。
変形例によるLED素子51cにおいては、Y軸方向に沿って見たとき、Y軸負方向側からY軸正方向側に向かうにつれ大面積となる(高密度に分布する/発光面内での占有面積密度が高くなる)円形の暗部51x(ビア電極26a配置位置と電極層一部不形成領域24cとで構成される領域)が形成される。すなわち、変形例によるLED素子51cは、Y軸方向に沿って相互に離間して形成される暗部51xのサイズを異ならせることにより、Y軸正方向側(図1に示すLED素子アレイにおいてLED素子11cに替えた場合には、低輝度に発光するLED素子11b側)の非暗部の面積を相対的に小さくし、Y軸負方向側(図1に示すLED素子アレイにおいてLED素子11cに替えた場合には、高輝度に発光するLED素子11d側)の非暗部の面積を相対的に大きくする構成を有する。
なお、変形例によるLED素子51cにおいても、たとえば、Y軸正方向側の半分領域とY軸負方向側の半分領域を比較したとき、暗部51xは、前者において相対的に占有面積密度が高く、後者において相対的に占有面積密度が低い。すなわち、ビア電極26a配置位置と電極層一部不形成領域24cとで構成される領域は、Y軸正方向側の半分領域で相対的に高密度に分布し、Y軸負方向側の半分領域で相対的に低密度に分布している。
LED素子51cも、たとえばLED素子11cと同様に、Y軸正方向側で相対的に低輝度となり、Y軸負方向側で相対的に高輝度となるように、たとえば、Y軸正方向側の半分領域とY軸負方向側の半分領域を比較したとき、前者において相対的に低輝度となり、後者において相対的に高輝度となるように、具体的には、Y軸負方向側からY軸正方向側に向かうにつれ低輝度となるように、発光する。
LED素子51cにおいても、発光面内でY軸方向に沿う輝度傾斜(輝度分布)、具体的にはY軸負方向側からY軸正方向側に向かって低輝度となる(輝度が単調減少する)、滑らかな輝度傾斜が実現される。LED素子51cも、高品質の発光が可能な半導体発光素子である。
なお、LED素子51cにおいては、円形ビア電極26a配置位置の周囲にリング形の電極層一部不形成領域24cを配置し、円形の暗部51xを形成したが、たとえば電極層一部不形成領域24cの形状を様々に変更し、様々な形状の暗部51xとしてもよい。一例として、楕円形の暗部51xとすることができる。
図5は、実施例による車両用灯具(ADB車両用前照灯)を示す概略図である。実施例による車両用灯具は、光源110及び投影光学系120を備える。投影光学系120は、第1投影レンズ121、第2投影レンズ122、及び、光拡散性配光制御素子123を含んで構成される。
光源110として、たとえば実施例による半導体発光装置を使用することができる。LED素子40a~40d、40fを、変形例によるLED素子51cと同様の特徴をもつLED素子に替えてもよい。
投影光学系120は、光源110を出射した光の光路上に配置される。光源110を出射し、投影光学系120に入射してこれを透過した光によって、車両前方に配光130が形成される。
光源110は、投影光学系120(第1、第2投影レンズ121、122)の車両後方側焦点位置の近傍に配置される。たとえば投影光学系120(第1、第2投影レンズ121、122)の車両前方側焦点位置の近傍に、配光130が形成される。
投影光学系120の配置位置から車両前方側焦点位置までの距離(投影光学系120を出射する光の光軸方向に沿う距離)は、10m以上である。
第1、第2投影レンズ121、122として、たとえば非球面レンズが用いられる。
光拡散性配光制御素子123は、入射光を所定範囲に拡散させて出射し、配光130を制御する。光拡散性配光制御素子123を使用することで、第1、第2投影レンズ121、122のみで光源110像を投影する場合よりも、光源110像が広げられる。
光拡散性配光制御素子123を含む投影光学系120を用いることによって、光源110像の合成により配光130が形成され、LED素子間領域(非発光領域)における配光むらが抑制される。このため、実施例による車両用灯具においては、高品質の配光130が実現される。
また、光源110として、たとえばLED素子間領域における輝度段差が低減された、実施例による半導体発光装置を用いると、当該LED素子間領域に対応する位置における配光の輝度段差が更に低減され、配光むらが一層抑制された、より高品質の配光130を実現することができる。
以上、実施例及び変形例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
たとえば実施例及び変形例においては半導体発光素子としてLED素子を用いるが、LED素子に限らず、様々な半導体発光素子、たとえばLD(laser diode)素子等を使用可能である。
また、実施例及び変形例においては、ビア電極26a配置位置及び電極層一部不形成領域24cを用いて、暗部11x、12x、40x、51xを形成するが、たとえば電極層一部不形成領域24cのみを用いて暗部を形成することもできる。更に、電極層一部不形成領域24cと他の構成を用いて暗部を形成することも可能である。電極層一部不形成領域24cを用いて暗部を形成すればよい。発光時、電極層一部不形成領域24cに対応する位置を含む位置に、暗部が形成される半導体発光素子とすることができる。
実施例及び変形例においては、電極層一部不形成領域24c(p側電極層24aを構成する単数または複数の層のうちの少なくとも一部の層が形成されない領域)を、p側電極層24aからAg層24a2が除かれた層構成とするが、電極層一部不形成領域24cを他の構成とすることも可能である。
図6A~図6Eは、電極層一部不形成領域24cの他の構成を示す概略的な断面図である。
図6A及び図6Bは、p側電極層24aが、実施例及び変形例と等しい層構成を有する場合、すなわち、p側電極層24aが、p型半導体層21側から順に、ITO層24a1、Ag層24a2、TiW層24a3、Au層24a4を有する場合を示す。Ag層24a2、TiW層24a3、Au層24a4は金属層であり、このうちAg層24a2は反射金属層である。
図6Aに示すように、電極層一部不形成領域24cを、ITO層24c1のみで構成することができる。この場合、電極層一部不形成領域24cは、p側電極層24aを構成する複数の層のうちAg層24a2、TiW層24a3、Au層24a4が形成されない領域となる。電極層一部不形成領域24cにAg層が形成されないため反射率が低い点で実施例と同等である。また、金属層が形成されていないため周囲に比べ抵抗が高く、電極層一部不形成領域24c直上の発光層に電流が流れにくく、発光の発生も抑制され、より暗部として機能する。
図6Bに示すように、電極層一部不形成領域24cを、p側電極層24aのすべての層が形成されない領域としてもよい。このような領域も、p側電極層24aを構成する単数または複数の層のうちの少なくとも一部の層が形成されない領域である。電極層一部不形成領域24cにAg層が形成されないため反射率が低い点で実施例と同等である。また、p側電極層24aが全く形成されていないため電極層一部不形成領域24cの直上領域では、更に発光が抑制され、より暗部として機能する。
実施例、変形例、及び、図6A、図6Bに示す例のように、たとえばp側電極層24aが反射金属層を含む場合は、電極層一部不形成領域24cを、p側電極層24aから少なくとも反射金属層を除いた構成とする(反射金属層を含まない電極層一部不形成領域24cとする)ことで、LED素子発光時の暗部とすることができる。
図6A、図6Bに示す例においては、暗部を形成する要因として、周囲よりも反射率が低い、発光が抑制される、という2つがある。発光の抑制という観点では、たとえば、電極層一部不形成領域24cにオーミック接触するITO層24a1のみ不形成で、その他の層は形成する例も想定できる。この場合、Ag層はいずれの領域にも存在するため反射率は同等だが、電極層一部不形成領域24cでは、非オーミックで電流がほとんど発生しないため発光が抑制され暗部とすることができる。
図6C~図6Eは、p側電極層が反射金属層を含まない場合における、電極層一部不形成領域24cの構成例を示す。
図6Cは、p側電極層31aが、p型半導体層21側から、Ni層31a1、Au層31a2の積層構造を有する場合に、電極層一部不形成領域24cを、p側電極層31aを構成するすべての層が形成されない領域とする例を示す。Ni層がp型半導体層とオーミック接触する役割をもつ。電極層一部不形成領域24cの周囲では、p側電極層31aとp型半導体層との間で電流が生じるが、電極層一部不形成領域24cでは生じない。よって、電極層一部不形成領域24cでは周囲に比べ発光が抑制され、暗部として機能する。
図6Dは、p側電極層32aが、p型半導体層21側から、ITO層32a1、Au層32a2の積層構造を有する場合に、電極層一部不形成領域24cを、ITO層32a1のみで構成する例を示す。Au層が形成されていないため周囲に比べ抵抗が高く、電極層一部不形成領域24c直上の発光層に電流が流れにくく、発光の発生も抑制され、より暗部として機能する。
図6Eは、p側電極層32aが、p型半導体層21側から、ITO層32a1、Au層32a2の積層構造を有する場合に、電極層一部不形成領域24cを、p側電極層32aを構成するすべての層が形成されない領域とする例を示す。電極層一部不形成領域24cの周囲ではp側電極層31aとp型半導体層との間で電流が生じるが、電極層一部不形成領域24cでは生じない。よって、電極層一部不形成領域24cでは周囲に比べ発光が抑制され暗部として機能する。
図6C~図6Eに示す例のように、たとえば金属層(Ni層31a1、Au層31a2、32a2)を含むが反射金属層を含まないp側電極層31a、32aとする場合は、電極層一部不形成領域24cを、p側電極層31a、32aから少なくとも金属層を除いた構成とする(金属層を含まない電極層一部不形成領域24cとする)ことで、LED素子発光時の暗部とすることができる。
Flip-Chip素子、Thin-Film素子等においても、電極層一部不形成領域等を用いて発光時の暗部を形成し、非暗部の面積の分布を調整(輝度分布を形成)することが可能である。
また、一方向に沿う輝度傾斜に限らず、電極層一部不形成領域を用いて、たとえばビア電極と電極層一部不形成領域の配置態様により、様々な輝度分布(輝度傾斜)をもつ半導体発光素子等を製造することができる。
実施例と変形例の組み合わせも可能である。
その他、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者には自明であろう。