JP2012059523A - 車両用灯具 - Google Patents

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Abstract

【課題】LED素子からの光の一部をカットすることなく、輝度分布の最大部をカットオフラインに配光が可能な車両用灯具を提供する。
【解決手段】LED素子は、矩形の支持基板と、前記支持基板の片面に形成された裏面電極と、前記支持基板の前記片面の反対側の面に形成された反射電極としてのp電極と、前記p電極上に形成されたp型半導体層と、前記p型半導体層上に形成された活性層と、前記活性層上に形成されたn型半導体層と、前記n型半導体層表面のうち一方の長辺を含む細幅領域に形成された長辺方向に延びるn電極と、を備えた縦型のLED素子であり、投影光学系は、複数の光源像を車両前方に投影し、車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン上に、白色光源の複数の光源像それぞれの前記n電極に対応する像部分により形成されるカットオフラインを含むヘッドランプ用配光パターンを形成するように構成する。
【選択図】図3

Description

本発明は車両用灯具に係り、特に、明瞭なカットオフラインを形成することが可能な車両用灯具に関する。
従来、車両用灯具の分野においては、LED素子表面に厚みが均一な波長変換層を積層した半導体発光装置が用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。図19、図20は、LED素子Cp表面に波長変換層Lyを略均一な厚みで積層した半導体発光装置の例である。特許文献1等に記載の半導体発光装置においては、波長変換層の厚みが均一であるため、チップ中心部を最大として周囲に行くほどなだらかに低下する輝度分布となる(図4参照)。これは、面発光のランバーシアン配光と同じ原理であり、面内輝度分布が一様であれば、中心部に最大値を示すCOS関数に従う現象と説明できる。
特開2005−322923号公報 特開2008−507850号公報
しかしながら、車両用前照灯の分野においては、明瞭なカットオフラインを形成するため、輝度分布の最大部をカットオフラインに配光することが求められており、この要求に応えるため、シェード等を用いて図6に示すように輝度分布の半分程度をカットしなければならず、光利用効率が低下する、という問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、従来のようにLED素子からの光の一部をカットすることなく、輝度分布の最大部をカットオフラインに配光することが可能な光源を用いた車両用灯具を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、LED素子と前記LED素子の発光面を覆うように配置された波長変換層とを含み、前記LED素子からの光のうち前記波長変換層を透過した光と前記LED素子からの光で励起されて発光した前記波長変換層からの光とを含む白色光を発光するように構成された光源と、前記光源の光源像を車両前方に投影することにより、車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン上にヘッドランプ用配光パターンを形成するように構成された投影光学系と、を備えた車両用灯具において、前記LED素子は、矩形の支持基板と、前記支持基板の片面に形成された裏面電極と、前記支持基板の前記片面の反対側の面に形成された反射電極としてのp電極と、前記p電極上に形成されたp型半導体層と、前記p型半導体層上に形成された活性層と、前記活性層上に形成されたn型半導体層と、前記n型半導体層表面のうち一方の長辺を含む細幅領域に形成された長辺方向に延びるn電極と、を備えた縦型のLED素子であり、前記投影光学系は、前記n電極に対応する像部分が上方に位置するように前記白色光源の複数の光源像を車両前方に投影し、車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン上に、前記白色光源の複数の光源像それぞれの前記n電極に対応する像部分により形成されるカットオフラインを含むヘッドランプ用配光パターンを形成するように構成されていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、特定の電極構造を採用したため、光源の発光面のうち、縦断面においてはn電極側にピークを持ち(n電極側に最大輝度部がある)、n電極から、縦方向に離れるにつれ徐々に減少する輝度分布が形成され、横断面においては一定の輝度分布が形成される、ヘッドランプ用配光パターンの形成に適した輝度分布の光源を構成することが可能となる。
また、請求項1に記載の発明によれば、投影光学系の作用により、光源の複数の光源像それぞれのn電極側(輝度がピークの部分)に対応する複数の像部分を、水平方向及び斜め方向(例えば水平に対して15°)に密に配置することが可能となる。これにより、カットオフライン(水平カットオフライン及び斜めカットオフライン)付近が最も明るく、当該カットオフラインから下側に行くに従って照度が低下していくグラデーション形状の遠方視認性に優れたすれ違いビーム用配光パターンを形成することが可能となる。
また、請求項1に記載の発明によれば、LED素子はn電極側にピークを持つ(n電極側に最大輝度部がある)輝度分布となるため、従来のようにLED素子からの光の一部をカットする(図6参照)ことなく、LED素子の発光形状をそのまま利用してすれ違いビーム用配光パターンを形成することが可能となる。すなわち、従来のようにLED素子からの光の一部をカットすることなく、n電極側(輝度がピークの部分)を水平方向及び斜め方向(例えば水平に対し15°)に密に配置して、輝度グラデーション部も配光に合致させることが可能となる。このため、請求項1に記載の発明によれば、光利用効率が向上する。
また、請求項1に記載の発明によれば、各電極の面積、両電極の間隔等を調整することで、LED素子(光源)の縦断面における輝度分布(ピークの位置、ピークの幅等)を目的の輝度分布に調整することが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記n電極は、当該n電極と同一方向に延びる付加電極を含んでおり、前記付加電極は、前記n型半導体層表面のうち一方の長辺と他方の長辺との中間に形成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、特定の電極構造を採用したため、光源の発光面のうち、縦断面においてはn電極側にピークを持ち(n電極側に最大輝度部がある)、n電極から、縦方向に離れるにつれ徐々に減少する輝度分布が形成され、横断面においては一定の輝度分布が形成される、ヘッドランプ用配光パターンの形成に適した輝度分布の光源を構成することが可能となる。
また、請求項2に記載の発明によれば、投影光学系の作用により、光源の複数の光源像それぞれのn電極側(輝度がピークの部分)に対応する複数の像部分を、水平方向及び斜め方向(例えば水平に対して15°)に密に配置することが可能となる。これにより、カットオフライン(水平カットオフライン及び斜めカットオフライン)付近が最も明るく、当該カットオフラインから下側に行くに従って照度が低下していくグラデーション形状の遠方視認性に優れたすれ違いビーム用配光パターンを形成することが可能となる。
また、請求項2に記載の発明によれば、LED素子はn電極側にピークを持つ(n電極側に最大輝度部がある)輝度分布となるため、従来のようにLED素子からの光の一部をカットする(図6参照)ことなく、LED素子の発光形状をそのまま利用してすれ違いビーム用配光パターンを形成することが可能となる。すなわち、従来のようにLED素子からの光の一部をカットすることなく、n電極側(輝度がピークの部分)を水平方向及び斜め方向(例えば水平に対し15°)に密に配置して、輝度グラデーション部も配光に合致させることが可能となる。このため、請求項2に記載の発明によれば、光利用効率が向上する。
また、請求項2に記載の発明によれば、n電極と付加電極との間隔、付加電極の面積、本数等を調整することで、LED素子(光源)の縦断面における輝度分布(ピークの位置、ピークの幅等)を目的の輝度分布に調整することが可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記n型半導体層表面は、凹部又は/及び凸部からなる複数の構造物を含んでおり、前記複数の構造物は、前記n型半導体層表面のうち前記n電極から遠い方の長辺から、前記n電極に向かうにつれ密となるように形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、複数の構造物を採用したため、光源の発光面のうち、縦断面においてはn電極側にピークを持ち(n電極側に最大輝度部がある)、n電極から、縦方向に離れるにつれ徐々に減少する輝度分布が形成され、横断面においては一定の輝度分布が形成される、ヘッドランプ用配光パターンの形成に適した輝度分布の光源を構成することが可能となる。
また、請求項3に記載の発明によれば、投影光学系の作用により、光源の複数の光源像それぞれのn電極側(輝度がピークの部分)に対応する複数の像部分を、水平方向及び斜め方向(例えば水平に対して15°)に密に配置することが可能となる。これにより、カットオフライン(水平カットオフライン及び斜めカットオフライン)付近が最も明るく、当該カットオフラインから下側に行くに従って照度が低下していくグラデーション形状の遠方視認性に優れたすれ違いビーム用配光パターンを形成することが可能となる。
また、請求項3に記載の発明によれば、LED素子はn電極側にピークを持つ(n電極側に最大輝度部がある)輝度分布となるため、従来のようにLED素子からの光の一部をカットする(図6参照)ことなく、LED素子の発光形状をそのまま利用してすれ違いビーム用配光パターンを形成することが可能となる。すなわち、従来のようにLED素子からの光の一部をカットすることなく、n電極側(輝度がピークの部分)を水平方向及び斜め方向(例えば水平に対し15°)に密に配置して、輝度グラデーション部も配光に合致させることが可能となる。このため、請求項3に記載の発明によれば、光利用効率が向上する。
また、請求項3に記載の発明によれば、複数の構造物の密度、サイズ等を調整することで、LED素子(光源)の縦断面における輝度分布(ピークの位置、ピークの幅等)を目的の輝度分布に調整することが可能となる。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記n電極は、当該n電極と同一方向に延びる複数の付加電極を含んでおり、前記複数の付加電極は、前記n型半導体層表面のうち前記n電極から遠い方の長辺から、前記n電極に向かうにつれ間隔が密となるように形成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、特定の電極構造を採用したため、光源の発光面のうち、縦断面においてはn電極側にピークを持ち(n電極側に最大輝度部がある)、n電極から、縦方向に離れるにつれ徐々に減少する輝度分布が形成され、横断面においては一定の輝度分布が形成される、ヘッドランプ用配光パターンの形成に適した輝度分布の光源を構成することが可能となる。
また、請求項4に記載の発明によれば、投影光学系の作用により、光源の複数の光源像それぞれのn電極側(輝度がピークの部分)に対応する複数の像部分を、水平方向及び斜め方向(例えば水平に対して15°)に密に配置することが可能となる。これにより、カットオフライン(水平カットオフライン及び斜めカットオフライン)付近が最も明るく、当該カットオフラインから下側に行くに従って照度が低下していくグラデーション形状の遠方視認性に優れたすれ違いビーム用配光パターンを形成することが可能となる。
また、請求項4に記載の発明によれば、LED素子はn電極側にピークを持つ(n電極側に最大輝度部がある)輝度分布となるため、従来のようにLED素子からの光の一部をカットする(図6参照)ことなく、LED素子の発光形状をそのまま利用してすれ違いビーム用配光パターンを形成することが可能となる。すなわち、従来のようにLED素子からの光の一部をカットすることなく、n電極側(輝度がピークの部分)を水平方向及び斜め方向(例えば水平に対し15°)に密に配置して、輝度グラデーション部も配光に合致させることが可能となる。このため、請求項4に記載の発明によれば、光利用効率が向上する。
また、請求項4に記載の発明によれば、複数の付加電極の間隔、付加電極の面積、本数等を調整することで、LED素子(光源)の縦断面における輝度分布(ピークの位置、ピークの幅等)を目的の輝度分布に調整することが可能となる。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記n電極は、当該n電極と同一方向に延びる複数の付加電極を含んでおり、前記p電極は、前記n電極と同一方向に延びる複数の第1反射率電極と、前記n電極と同一方向に延びる、前記第1反射率電極よりも低反射率の複数の第2反射率電極とを含んでおり、前記第1反射率電極と前記第2反射率電極とは交互に形成されており、前記複数の第2反射率電極は、前記n電極から、前記n電極から遠い方の長辺に向かうにつれ間隔が密となるように形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、特定の電極構造を採用したため、光源の発光面のうち、縦断面においてはn電極側にピークを持ち(n電極側に最大輝度部がある)、n電極から、縦方向に離れるにつれ徐々に減少する輝度分布が形成され、横断面においては一定の輝度分布が形成される、ヘッドランプ用配光パターンの形成に適した輝度分布の光源を構成することが可能となる。
また、請求項5に記載の発明によれば、投影光学系の作用により、光源の複数の光源像それぞれのn電極側(輝度がピークの部分)に対応する複数の像部分を、水平方向及び斜め方向(例えば水平に対して15°)に密に配置することが可能となる。これにより、カットオフライン(水平カットオフライン及び斜めカットオフライン)付近が最も明るく、当該カットオフラインから下側に行くに従って照度が低下していくグラデーション形状の遠方視認性に優れたすれ違いビーム用配光パターンを形成することが可能となる。
また、請求項5に記載の発明によれば、LED素子はn電極側にピークを持つ(n電極側に最大輝度部がある)輝度分布となるため、従来のようにLED素子からの光の一部をカットする(図6参照)ことなく、LED素子の発光形状をそのまま利用してすれ違いビーム用配光パターンを形成することが可能となる。すなわち、従来のようにLED素子からの光の一部をカットすることなく、n電極側(輝度がピークの部分)を水平方向及び斜め方向(例えば水平に対し15°)に密に配置して、輝度グラデーション部も配光に合致させることが可能となる。このため、請求項5に記載の発明によれば、光利用効率が向上する。
また、請求項5に記載の発明によれば、各反射率電極の縦方向寸法等を調整することで、LED素子(光源)の縦断面における輝度分布(ピークの位置、ピークの幅等)を目的の輝度分布に調整することが可能となる。
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記n型半導体層表面に形成された、前記n電極と同一方向に延びる複数の第1透明導電膜と、前記複数の第1透明導電膜とその間の前記n型半導体層表面を覆う、前記第1透明導電膜よりも低屈折率の第2透明導電膜と、をさらに備えており、前記第1透明導電膜と前記第2透明導電膜とが重なった部分は、前記n型半導体層表面のうち前記n電極から遠い方の長辺から、前記n電極に向かうにつれ縦方向寸法が大きくなるように形成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、特定の電極構造を採用したため、光源の発光面のうち、縦断面においてはn電極側にピークを持ち(n電極側に最大輝度部がある)、n電極から、縦方向に離れるにつれ徐々に減少する輝度分布が形成され、横断面においては一定の輝度分布が形成される、ヘッドランプ用配光パターンの形成に適した輝度分布の光源を構成することが可能となる。
また、請求項6に記載の発明によれば、投影光学系の作用により、光源の複数の光源像それぞれのn電極側(輝度がピークの部分)に対応する複数の像部分を、水平方向及び斜め方向(例えば水平に対して15°)に密に配置することが可能となる。これにより、カットオフライン(水平カットオフライン及び斜めカットオフライン)付近が最も明るく、当該カットオフラインから下側に行くに従って照度が低下していくグラデーション形状の遠方視認性に優れたすれ違いビーム用配光パターンを形成することが可能となる。
また、請求項6に記載の発明によれば、LED素子はn電極側にピークを持つ(n電極側に最大輝度部がある)輝度分布となるため、従来のようにLED素子からの光の一部をカットする(図6参照)ことなく、LED素子の発光形状をそのまま利用してすれ違いビーム用配光パターンを形成することが可能となる。すなわち、従来のようにLED素子からの光の一部をカットすることなく、n電極側(輝度がピークの部分)を水平方向及び斜め方向(例えば水平に対し15°)に密に配置して、輝度グラデーション部も配光に合致させることが可能となる。このため、請求項6に記載の発明によれば、光利用効率が向上する。
また、請求項6に記載の発明によれば、第1透明導電膜と第2透明導電膜とが重なった部分の縦方向寸法を調整することで、LED素子(光源)の縦断面における輝度分布(ピークの位置、ピークの幅等)を目的の輝度分布に調整することが可能となる。
本発明によれば、従来のようにLED素子からの光の一部をカットすることなく、輝度分布の最大部をカットオフラインに配光することが可能な光源を用いた車両用灯具を提供することが可能となる。
(a)本発明の一実施形態である車両用灯具10の外観図、(b)縦断面図である。 光源20の簡略化した断面図である。 (a)LED素子21の正面図(上面図)、(b)LED素子21の断面図(側面図)、(c)図3(a)中A−A断面におけるLED素子21(発光面)の輝度分布の例である。 従来の電極構造のLED素子(発光面)の輝度分布の例である。 ヘッドランプ用配光パターンの例である。 従来の電極構造のLED素子においては当該LED素子からの光の一部をカットしていたことを説明するための図である。 LED素子21の変形例の正面図(上面図)である。 ヘッドランプ用配光パターンの例である。 (a)本発明の一実施形態である車両用灯具10(変形例1−1)の外観図、(b)縦断面図である。 (a)本発明の一実施形態である車両用灯具10(変形例1−2)の外観図、(b)縦断面図である。 本発明の一実施形態である車両用灯具10(変形例1−3)の縦断面図である。 本発明の一実施形態である車両用灯具10(変形例1−4)の縦断面図である。 (a)LED素子21(変形例2−1)の正面図(上面図)、(b)LED素子21(変形例2−1)の断面図(側面図)、(c)図13(a)中B−B断面におけるLED素子21(変形例2−1)の輝度分布の例である。 (a)LED素子21(変形例2−2)の正面図(上面図)、(b)LED素子21(変形例2−2)の側面図、(c)図14(a)中C−C断面におけるLED素子21(変形例2−2)の輝度分布の例である。 (a)LED素子21(変形例2−3)の正面図(上面図)、(b)LED素子21(変形例2−3)の断面図(側面図)、(c)図15(a)中D−D断面におけるLED素子21(変形例2−3)の輝度分布の例である。 (a)LED素子21(変形例2−4)の正面図(上面図)、(b)P電極21dの正面図、(c)LED素子21(変形例2−4)の断面図(側面図)、(d)は図16(a)中E−E断面におけるLED素子21(変形例2−4)の輝度分布の例である。 (a)LED素子21(変形例2−5)の正面図(上面図)、(b)LED素子21(変形例2−5)の断面図(側面図)、(c)図17(a)中F−F断面におけるLED素子21(変形例2−5)の輝度分布の例である。 LED素子の輝度分布に縞が発生する場合、横縞よりも縦縞の方が許容されることを説明するための図である。 従来の半導体発光装置の側面図である。 従来の半導体発光装置の側面図である。
以下、本発明の一実施形態である車両用灯具について図面を参照しながら説明する。
本実施形態の車両用灯具10は、例えば、車両用ヘッドランプであり、車両前部の左右両側にそれぞれ配置されている。
図1(a)は本発明の一実施形態である車両用灯具10の外観図、図1(b)は縦断面図である。図2は、光源20の簡略化した断面図である。
図1(a)、図1(b)、図2に示すように、車両用灯具10は、LED素子21とLED素子21の発光面を覆うように配置された波長変換層22(蛍光体とも称される)とを含み、LED素子21からの光のうち波長変換層22を透過した光とLED素子21からの光で励起されて発光した波長変換層22からの光とを含む白色光を発光するように構成された光源20、光源20の光源像を車両前方に投影することにより、車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン上にヘッドランプ用配光パターンを形成するように構成された投影光学系30等を備えている。
[LED素子21の構造]
まず、LED素子21の構造について説明する。図3(a)はLED素子21の正面図(上面図)、図3(b)はLED素子21の断面図(側面図)、図3(c)は図3(a)中A−A断面におけるLED素子21(発光面)の輝度分布の例である。
LED素子21は、図3(b)中、電流が上下方向に流れる縦型(TF型、貼りあわせ型とも称される)のLED素子であり、正面視で略矩形の発光面を備えている(図3(a)参照)。一般的なLED素子(発光面)が縦300μm×横500μm程度のサイズであるのに対し、本実施形態のLED素子21(発光面)は縦H=500〜1200μm、横W=4〜5mm程度の大サイズである(図3(a)参照)。
図3(b)に示すように、LED素子21は、矩形の支持基板21e、支持基板21eの片面に形成された裏面電極21g、支持基板21eの前記片面の反対側の面に形成された反射電極としてのp電極21d、p電極21d上に形成されたp型半導体層21c、p型半導体層21c上に形成された活性層21b、活性層21b上に形成されたn型半導体層21a、n型半導体層21a表面のうち一方の長辺を含む細幅領域21a1に形成された長辺方向に延びるn電極21f等を備えている。
n型半導体層21aは、例えば、n-GaN層等の窒化物半導体層である。活性層21bは、例えば、InGan層等の発光層である。p型半導体層21cは、例えば、p-GaN層等の窒化物半導体層である。p電極21dは、例えば、青色光に対し高反射率の電極(反射電極とも称される)である。本実施形態のLED素子21によれば、p電極21dの反射作用により、透明電極を用いたフェイスアップ型のLED素子に比べ、出力増が可能となる。また、本実施形態のLED素子21においては、放熱効果の高い大サイズのp電極21dを用いることが可能となるため、透明電極を用いたフェイスアップ型のLED素子に比べ、大電流を供給することに起因するLED素子21の発熱による影響(発光輝度の低下等)を防止又は緩和することが可能となる。支持基板21eは、例えば、青色光に対し不透明の半導体基板である。n電極21fは、例えば、パッド21f1を含む電極である。パッド21f1の数は、給電量に応じて増減することが可能である。
ヘッドランプの用途では、LED素子21には、DC−DCコンバータ等により制御された定電流(順電流:1〜5A、電流密度:35A/cm以上)を供給するための回路(例えば定電流回路。図示せず)が接続されている。この回路は、例えば、LED素子21に対し、下記の電流分布が形成される程度の電流密度の電流を供給する。この回路からの電流が、裏面電極21g、p電極21d、p型半導体層21c、活性層21b、n型半導体層21aを通ってn電極21fへ流れると、活性層21bは青色光を発光する。当該青色光は図3(b)中n型半導体層21aから上方向へ直接又はp電極21dで反射して出射する)。
p電極21dへ供給された電流は、p電極21dがp型半導体層21cのほぼ全域にわたって形成されているため、p電極21dにおいては均一に拡散するが、電流は最短距離を通りやすいため、n電極21f側に集中し(n電極21f側にピークを持ち)、n電極21fから縦方向に離れるにつれ徐々に減少する電流分布(図3(c)と略同一の分布)を形成する。一方、p電極21dへ供給された電流は、横断面においては、n電極21fとp電極21dとが互いに平行に配置されているため(図3(b)参照)、一定の電流分布を形成する。
このように分布した電流により活性層21bが発光することで、LED素子21(の発光面)には、上記電流分布と同様の輝度分布、すなわち、LED素子21の発光面(縦断面)においては、n電極21f側にピークを持ち(n電極21f側に最大輝度部がある)、n電極21fから縦方向に離れるにつれ徐々に減少する輝度分布(図3(c)参照)が形成され、LED素子21の発光面(横断面)においては、一定の輝度分布が形成される。LED素子21の発光面の輝度分布は、最大輝度を示すピークが素子中央より一方の長辺側にあり、輝度ピークは一方の長辺から他方の長辺にかけて1つ存在する。
なお、各電極21d、21fの面積、両電極21d、21fの間隔等を調整することで、LED素子21(光源20)の縦断面における輝度分布(ピークの位置、ピークの幅等)を目的の輝度分布に調整することが可能である。
[LED素子21の製造方法]
次に、LED素子21の製造方法(実施例)について説明する。
成長基板としてサファイア基板(図示せず)を用意する。その後、サファイア基板のサーマルクリーニングを行う。続いて、サファイア基板上にMOVPE法(有機金属気相成長法)等により、半導体層(n型半導体層21a、活性層21b、p型半導体層21c)を成長させる。具体的には、TMG(トリメチルガリウム)およびNHを供給してGaN層からなるバッファ層(図示せず)を形成する。続いて、TMG、NHおよびドーパントガスとしてSiHを供給し、n型GaN層からなるn型半導体層21aを形成する。続いて、n型半導体層21aの上に活性層21bを形成する。本実施例では、活性層21bには、InGaN/GaNからなる多重量子井戸構造を適用した。すなわち、InGaN/GaNを1周期として5周期成長を行う。具体的には、TMG、TMI(トリメチルインジウム)、NHを供給しInGaN井戸層を形成し、続いてTMG、NHを供給してGaN障壁層を形成する。かかる処理を5周期分繰り返すことにより発光層21bが形成される。次に、TMG、TMA(トリメチルアルミニウム)、NHおよびドーパントとしてCPMg(bis-cyclopentadienyl Mg)を供給し、p型AlGaNクラッド層(図示せず)を形成する。続いて、TMG、NHおよびドーパントとしてCPMgを供給しp型GaN層からなるp型半導体層21cを形成する。
半導体層の形成が完了したら、半導体層と支持基板21eとの接合を行う。
ここで、支持基板21eは、Si基板又はGe基板等の発光波長に対して不透明な半導体基板が用いられる。半導体層と支持基板21eは、例えばAuSn半田を含む複数の金属膜が積層することによって構成されるp電極21d(金属層)を介して両者を貼り合わせることで接合される。p電極21d(金属層)は、半導体層と支持基板21eの接合層としての役割を果たす他、光反射層としても機能する。p電極21d(金属層)は、半導体層側または/および支持基板21e側に適宜設けられる。
なお、支持基板21eとして、Si基板やGe基板等を接合する代わりに、p電極21d(金属層)上にCuなどのめっき膜を形成することもできる。
次に、サファイア基板を半導体層から剥離する。サファイア基板の剥離には、LLO(レーザリフトオフ)法等の公知の手法を用いることができる。LLO法においては、照射されたレーザがサファイア基板上に形成されているGaN層を金属GaとNに分解する。サファイア基板を剥離した後には、n型半導体層21aが表出する(図3(b)参照)。
次に、サファイア基板を剥離することで表出したn型半導体層21aの上面にn電極21f(電極パッド)を形成する。n電極21fは、n型半導体層21a上にAu、Ag又はAl等の金属をスパッタリング法等により堆積した後、これをフォトリソグラフィー技術によりパターニングを施すことで形成される。
一方、裏面電極21gは、支持基板21eの裏面にPt等の金属を蒸着することにより形成される。
以上により、LED素子21が製造される。
[波長変換層22]
波長変換層22は、LED素子21の発光面を覆うように配置されている。図2は、セラミック基板やシリコン基板等の実装基板Cに実装されたLED素子21、LED素子21の発光面を覆うように配置された波長変換層22の例である。なお、LED素子21と実装基板C上のパターン電極とはワイヤーW、裏面電極21gにより電気的に接続されている。
これにより、LED素子21からの青色光のうち波長変換層22を透過した青色光成分とLED素子21からの青色光で励起されて発光した波長変換層22からの黄色光成分とを含む白色光(擬似白色光)を発光する光源20(白色光源)を構成することが可能となる。波長変換層22としては、例えば、LED素子21からの青色光で励起されて黄色光を発光する蛍光体(例えば、YAG系蛍光体粒子等の蛍光体粒子が分散された樹脂層)を用いることが可能である。
LED素子21(の発光面)には上記のような輝度分布(図3(c)参照)が形成されるため、光源20(の発光面)には、上記輝度分布と同様の輝度分布、すなわち、光源20の発光面(縦断面)においては、n電極21f側にピークを持ち(n電極21f側に最大輝度部がある)、n電極21gから縦方向に離れるにつれ徐々に減少する輝度分布(図3(c)参照)が形成され、光源20の発光面(横断面)においては、一定の輝度分布が形成される。
図3(c)は、LED素子21(発光面)の縦断面における輝度分布の例である。従来の電極構造のLED素子においては、チップ中心部を最大として周囲に行くほどなだらかに低下する輝度分布となるのに対し(図4参照)、LED素子21においては、n電極21f側にピークを持つ(n電極21f側に最大輝度部がある)輝度分布となることが分かる(図3(c)参照)。
図5は、ヘッドランプ用配光パターンの例である。図5中の真中水平ラインは明暗境界を示しており、上部の暗部が対向車側、下部の明部が路面および歩道側を表している。この照度(輝度)の最大部は図5に示すように、明暗境界部の直下に位置していることが好ましく、下側に行くに従って照度が低下していくグラデーション形状が、遠方視認性および路面照度の最適配光となる。従来の電極構造のLED素子では、図6に示すように、輝度のピークがチップ中心にあるため、前記配光条件を満足させるためには半分の領域をカットして使用しなければならず、光を無駄にしていた。
これに対し、本実施形態のLED素子21では、n電極21f側にピークを持つ(n電極21f側に最大輝度部がある)輝度分布となる(図3(c)参照)ため、従来のようにLED素子からの光の一部をカットすることなく、LED素子21の発光形状をそのまま利用してすれ違いビームに適した用配光パターンPを形成することが可能となる。すなわち、従来のようにLED素子からの光の一部をカットすることなく、n電極21f側(輝度がピークの部分)を前記配光の照度最大部に配置して、輝度グラデーション部も配光に合致させることが可能となる。このため、光利用効率が向上する。
以上説明したように、本実施形態のLED素子21によれば、電極構造を工夫することにより、矩形の発光面のうち、縦断面においてはn電極21f側にピークを持ち(n電極21f側に最大輝度部がある)、n電極21fから縦方向に離れるにつれ徐々に減少する輝度分布(図3(c)参照)が形成され、横断面においては一定の輝度分布が形成される、ヘッドランプ用配光パターンの形成に適した輝度分布の光源20を構成することが可能となる。
また、LED素子21は、横長の単一のLED素子であるため、従来のように複数のLED素子を一列に並べて横長にしたもの(図18参照)と比べ、より均一な発光面を形成することが可能となる。なお、図7に示すように、単一のLED素子21ではなく、複数のLED素子21を一列に並べて用いてもよい。
また、波長変換層22は、横長の単一の波長変換層であるため、従来のように一列に並べた複数のLED素子を、それぞれに対応する複数の波長変換層で覆ったもの(図18参照)と比べ、蛍光体粒子の分布の偏りが生じにくくなり、色ムラ、輝度ムラを防止することが可能となる。
[車両用灯具10]
次に、上記構成の光源20を用いて車両用灯具10を構成する例について図面を参照しながら説明する。
図1(a)、図1(b)に示すように、車両用灯具10は、車両前方側に配置された光源20、車両後方側に配置された本発明の投影光学系としての反射面31等を備えている。
光源20は、n電極21f側(輝度がピークの部分)が車両前方側に位置し、n電極21fから遠い方の長辺21a2が車両後方側(すなわち反射面31側)に位置し、かつ、当該光源20の照射方向(すなわち当該光源20の発光面)が下向きとなるように配置されている(図1(b)参照)。
反射面31は、焦点が光源20近傍に設定された回転放物面系の反射面(例えば、複数の小反射領域に区画されたいわゆるマルチリフレクタ)であり、光源20からの光が入射するように、光源20の側方から前方にかけての範囲を覆うように(すなわち光源20の前方に)配置されている(図1(a)、図1(b)参照)。
反射面31は、図1(b)に示すように、n電極21f(輝度がピークの部分)に対応する像部分P1´が上方に位置するように光源20(の発光面)の複数の光源像P1(図1(b)中1つの光源像P1を例示)を車両前方に投影し、車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン(図示せず)上に、光源20の複数の光源像P1それぞれのn電極21f(輝度がピークの部分)に対応する像部分P1´を水平方向及び斜め方向(例えば水平に対して15°)に密に配置することにより形成されるカットオフライン(水平カットオフラインCL1、斜めカットオフラインCL2。図8参照)を含むヘッドランプ用配光パターンPを形成するように構成されている。
本実施形態の車両用灯具10によれば、光源20は反射面31に対し上記位置関係に配置されているため(図1(a)、図1(b)参照)、光源20の複数の光源像P1それぞれのn電極21f(輝度がピークの部分)に対応する複数の像部分P1´を、水平方向及び斜め方向(例えば水平に対して15°)に密に配置することが可能となる。これにより、カットオフライン(水平カットオフラインCL1及び斜めカットオフラインCL2)付近が最も明るく、当該カットオフラインから下側に行くに従って照度が低下していくグラデーション形状の遠方視認性に優れたすれ違いビーム用配光パターンPを形成することが可能となる(図8参照)。
また、本実施形態の車両用灯具10によれば、LED素子21はn電極21f側にピークを持つ(n電極21f側に最大輝度部がある)輝度分布となる(図3(c)参照)ため、従来のようにLED素子からの光の一部をカットする(図6参照)ことなく、LED素子21の発光形状をそのまま利用してすれ違いビーム用配光パターンPを形成することが可能となる(図8参照)。すなわち、従来のようにLED素子からの光の一部をカットすることなく、n電極21f側(輝度がピークの部分)を水平方向及び斜め方向(例えば水平に対し15°)に密に配置して、輝度グラデーション部も配光に合致させることが可能となる。このため、本実施形態の車両用灯具10によれば、光利用効率が向上する。
[変形例1−1]
次に、車両用灯具10の変形例1−1について図面を参照しながら説明する。
図9(a)は本発明の一実施形態である車両用灯具10(変形例1−1)の外観図、図9(b)は縦断面図である。
図9(a)、図9(b)に示すように、本変形例の車両用灯具10は車両前方側に配置された光源20、車両後方側に配置された本発明の投影光学系としての反射面32等を備えている。
光源20は、n電極21fから遠い方の長辺21a2が車両前方側に位置し、n電極21f側(輝度がピークの部分)が車両後方側(すなわち反射面31側)に位置し、かつ、当該光源20の照射方向(すなわち当該光源20の発光面)が上向きとなるように配置されている(図9(b)参照)。
反射面32は、焦点が光源20近傍に設定された回転放物面系の反射面(例えば、複数の小反射領域に区画されたいわゆるマルチリフレクタ)であり、光源20からの光が入射するように、光源20の側方から前方にかけての範囲を覆うように(すなわち光源20の前方に)配置されている(図9(a)、図9(b)参照)。
反射面32は、図9(b)に示すように、n電極21f(輝度がピークの部分)に対応する像部分P1´が上方に位置するように光源20(の発光面)の複数の光源像P1(図9(b)中1つの光源像P1を例示)を車両前方に投影し、車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン(図示せず)上に、光源20の複数の光源像P1それぞれのn電極21f(輝度がピークの部分)に対応する像部分P1´を水平方向及び斜め方向(例えば水平に対して15°)に密に配置することにより形成されるカットオフライン(水平カットオフラインCL1、斜めカットオフラインCL2。図8参照)を含むヘッドランプ用配光パターンPを形成するように構成されている。
本変形例の車両用灯具10によれば、光源20は反射面32に対し上記位置関係に配置されているため(図9(a)、図9(b)参照)、光源20の複数の光源像P1それぞれのn電極21f(輝度がピークの部分)に対応する複数の像部分P1´を、水平方向及び斜め方向(例えば水平に対して15°)に密に配置することが可能となる。これにより、カットオフライン(水平カットオフラインCL1及び斜めカットオフラインCL2)付近が最も明るく、当該カットオフラインから下側に行くに従って照度が低下していくグラデーション形状の遠方視認性に優れたすれ違いビーム用配光パターンPを形成することが可能となる(図8参照)。
また、本変形例の車両用灯具10によれば、LED素子21はn電極21f側にピークを持つ(n電極21f側に最大輝度部がある)輝度分布となる(図3(c)参照)ため、従来のようにLED素子からの光の一部をカットする(図6参照)ことなく、LED素子21の発光形状をそのまま利用してすれ違いビーム用配光パターンPを形成することが可能となる(図8参照)。すなわち、従来のようにLED素子からの光の一部をカットすることなく、n電極21f側(輝度がピークの部分)を水平方向及び斜め方向(例えば水平に対し15°)に密に配置して、輝度グラデーション部も配光に合致させることが可能となる。このため、本変形例の車両用灯具10によれば、光利用効率が向上する。
[変形例1−2]
次に、車両用灯具10の変形例1−2について図面を参照しながら説明する。
図10(a)は本発明の一実施形態である車両用灯具10(変形例1−2)の外観図、図10(b)は縦断面図である。
図10(a)、図10(b)に示すように、本変形例の車両用灯具10は、車両前方側に配置された光源20、車両後方側に配置された本発明の投影光学系としての反射面33等を備えている。
光源20は、n電極21fから遠い方の長辺21a2が鉛直上方に位置し、n電極21f側(輝度がピークの部分)が鉛直下方に位置し、かつ、当該光源20の照射方向(すなわち当該光源20の発光面)が略水平方向となるように配置されている(図10(b)参照)。
反射面33は、焦点が光源20近傍に設定された回転放物面系の反射面(例えば、複数の小反射領域に区画されたいわゆるマルチリフレクタ)であり、光源20からの光が入射するように、光源20の前方に配置されている(図10(a)、図10(b)参照)。
反射面33は、図10(b)に示すように、n電極21f(輝度がピークの部分)に対応する像部分P1´が上方に位置するように光源20(の発光面)の複数の光源像P1(図10(b)中1つの光源像P1を例示)を車両前方に投影し、車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン(図示せず)上に、光源20の複数の光源像P1それぞれのn電極21f(輝度がピークの部分)に対応する像部分P1´を水平方向及び斜め方向(例えば水平に対して15°)に密に配置することにより形成されるカットオフライン(水平カットオフラインCL1、斜めカットオフラインCL2。図8参照)を含むヘッドランプ用配光パターンPを形成するように構成されている。
本変形例の車両用灯具10によれば、光源20は反射面33に対し上記位置関係に配置されているため(図10(a)、図10(b)参照)、光源20の複数の光源像P1それぞれのn電極21f(輝度がピークの部分)に対応する複数の像部分P1´を、水平方向及び斜め方向(例えば水平に対して15°)に密に配置することが可能となる。これにより、カットオフライン(水平カットオフラインCL1及び斜めカットオフラインCL2)付近が最も明るく、当該カットオフラインから下側に行くに従って照度が低下していくグラデーション形状の遠方視認性に優れたすれ違いビーム用配光パターンPを形成することが可能となる(図8参照)。
また、本変形例の車両用灯具10によれば、LED素子21はn電極21f側にピークを持つ(n電極21f側に最大輝度部がある)輝度分布となる(図3(c)参照)ため、従来のようにLED素子からの光の一部をカットする(図6参照)ことなく、LED素子21の発光形状をそのまま利用してすれ違いビーム用配光パターンPを形成することが可能となる(図8参照)。すなわち、従来のようにLED素子からの光の一部をカットすることなく、n電極21f側(輝度がピークの部分)を水平方向及び斜め方向(例えば水平に対し15°)に密に配置して、輝度グラデーション部も配光に合致させることが可能となる。このため、本変形例の車両用灯具10によれば、光利用効率が向上する。
[変形例1−3]
次に、車両用灯具10の変形例1−3について図面を参照しながら説明する。
図11は、本発明の一実施形態である車両用灯具10(変形例1−3)の縦断面図である。
図11に示すように、本変形例の車両用灯具10は、車両前方側に配置された投影レンズ34a、車両後方側に配置された光源20、光源20からの光が入射するように、光源20の側方から前方にかけての範囲を覆うように(すなわち光源20の前方に)配置された反射面34b、投影レンズ34aと光源20との間に配置されたシェード34c等を備えている。投影レンズ34a、反射面34b、シェード34cが本発明の投影光学系を構成している。
光源20は、n電極21f側(輝度がピークの部分)が車両前方側に位置し、n電極21fから遠い方の長辺21a2が車両後方側(すなわち反射面31側)に位置し、かつ、当該光源20の照射方向(すなわち当該光源20の発光面)が上向きとなるように配置されている(図11(b)参照)。
反射面34bは、第1焦点が光源20近傍に設定され、第2焦点がシェード34cの上端縁近傍に設定された回転楕円系の反射面であり、光源20からの光が入射するように、光源20の側方から前方にかけての範囲を覆うように(すなわち光源20の前方に)配置されている(図11参照)。
反射面34bは、n電極21f(輝度がピークの部分)に対応する像部分P1´が上方に位置するように光源20(の発光面)の複数の光源像P1を車両前方に投影し、車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン(図示せず)上に、光源20の複数の光源像P1それぞれのn電極21f(輝度がピークの部分)に対応する像部分P1´を水平方向及び斜め方向(例えば水平に対して15°)に密に配置することにより形成されるカットオフライン(水平カットオフラインCL1、斜めカットオフラインCL2。図8参照)を含むヘッドランプ用配光パターンPを形成するように構成されている。
シェード34cは、反射面34bからの反射光の一部を遮光してカットオフラインを形成するための遮光部材であり、上端縁を投影レンズ34aの焦点近傍に位置させた状態で投影レンズ34aと光源20との間に配置されている。
本変形例の車両用灯具10によれば、光源20は上記位置関係に配置されているため(図11参照)、光源20の複数の光源像P1それぞれのn電極21f(輝度がピークの部分)に対応する複数の像部分P1´を、水平方向及び斜め方向(例えば水平に対して15°)に密に配置することが可能となる。これにより、カットオフライン(水平カットオフラインCL1及び斜めカットオフラインCL2)付近が最も明るく、当該カットオフラインから下側に行くに従って照度が低下していくグラデーション形状の遠方視認性に優れたすれ違いビーム用配光パターンPを形成することが可能となる(図8参照)。
また、本変形例の車両用灯具10によれば、LED素子21はn電極21f側にピークを持つ(n電極21f側に最大輝度部がある)輝度分布となる(図3(c)参照)ため、従来のようにLED素子からの光の一部をカットする(図6参照)ことなく、LED素子21の高輝度側端部からのごく一部の光をカットするだけで、LED素子21の発光形状をほぼそのまま利用してすれ違いビーム用配光パターンPを形成することが可能となる(図8参照)。すなわち、従来のようにLED素子からの光の約半分までをカットすることなく、n電極21f側(輝度がピークの部分)を水平方向及び斜め方向(例えば水平に対し15°)に密に配置して、輝度グラデーション部も配光に合致させることが可能となる。このため、本変形例の車両用灯具10によれば、光利用効率が向上する。また、本変形例の車両用灯具10によれば、従来のLED素子を用いる場合と比較して、シェードの受けるエネルギーが少なくなり(すなわちシェードにはLED素子21の高輝度側端部からのごく一部の光しか当たらないため)、シェードが加熱される量を低減することが可能となる。
[変形例1−4]
次に、車両用灯具10の変形例1−4について図面を参照しながら説明する。
図12は、本発明の一実施形態である車両用灯具10(変形例1−4)の縦断面図である。
図12に示すように、本変形例の車両用灯具10は、車両前方側に配置された本発明の投影光学系としての投影レンズ35a、車両後方側に配置された光源20、投影レンズ35aと光源20との間に配置されたシェード35b等を備えている。投影レンズ35a、シェード35bが本発明の投影光学系を構成している。
光源20は、n電極21fから遠い方の長辺21a2が鉛直上方に位置し、n電極21f側(輝度がピークの部分)が鉛直下方に位置し、かつ、当該光源20の照射方向(すなわち当該光源20の発光面)が車両前方側を向くように配置されている(図12参照)。
シェード35bは、光源20からの光の一部を遮光してカットオフラインを形成するための遮光部材であり、上端縁を投影レンズ35aの焦点近傍に位置させた状態で投影レンズ35aと光源20との間に配置されている。
本変形例の車両用灯具10によれば、光源20は上記位置関係に配置されているため(図12参照)、光源20の複数の光源像P1それぞれのn電極21f(輝度がピークの部分)に対応する複数の像部分P1´を、水平方向及び斜め方向(例えば水平に対して15°)に配置することが可能となる。これにより、カットオフライン(水平カットオフラインCL1及び斜めカットオフラインCL2)付近が最も明るく、当該カットオフラインから下側に行くに従って照度が低下していくグラデーション形状の遠方視認性に優れたすれ違いビーム用配光パターンPを形成することが可能となる(図8参照)。
また、本変形例の車両用灯具10によれば、LED素子21はn電極21f側にピークを持つ(n電極21f側に最大輝度部がある)輝度分布となる(図3(c)参照)ため、従来のようにLED素子からの光の約半分をカットする(図6参照)ことなく、LED素子21の高輝度側端部からのごく一部の光をカットするだけで、LED素子21の発光形状をほぼそのまま利用してすれ違いビーム用配光パターンPを形成することが可能となる(図8参照)。すなわち、従来のようにLED素子からの光の約半分までをカットすることなく、n電極21f側(輝度がピークの部分)を水平方向及び斜め方向(例えば水平に対し15°)に密に配置して、輝度グラデーション部も配光に合致させることが可能となる。このため、本変形例の車両用灯具10によれば、光利用効率が向上する。また、本変形例の車両用灯具10によれば、従来のLED素子を用いる場合と比較して、シェードの受けるエネルギーが少なくなり(すなわちシェードにはLED素子21の高輝度側端部からのごく一部の光しか当たらないため)、シェードが加熱される量を低減することが可能となる。
[変形例2−1]
次に、LED素子21の構造(変形例2−1)について図面を参照しながら説明する。図13(a)はLED素子21(変形例2−1)の正面図(上面図)、図13(b)はLED素子21(変形例2−1)の断面図(側面図)、図13(c)は図13(a)中B−B断面におけるLED素子21(変形例2−1)の輝度分布の例である。
上記実施形態及び各変形例では、n電極21fは、n型半導体層21a表面のうち一方の長辺を含む細幅領域21a1に形成されている(図3(a)参照)ように説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図13(a)、図13(b)に示すように、n電極21fは、当該n電極21fと同一方向に延びる付加電極21f2を含んでいてもよい。例えば、図13(a)、図13(b)に示すように、n型半導体層21a表面のうち一方の長辺21a2と他方の長辺21a4との中間に付加電極21f2を形成し、当該付加電極21f2とn電極21fとを縦方向に延びる付加電極21f3により接続する。この場合についても、外部からの給電のための導電ワイヤ等の電気的接続は、n電極21f上で行う。
本変形例によれば、p電極21dへ供給された電流は、p電極21dがp型半導体層21cのほぼ全域にわたって形成されているため、p電極21dにおいては均一に拡散するが、電流は最短距離を通りやすいため、n電極21f(及び付加電極21f2)側に集中し(n電極21f側にピークを持ち)、n電極21fから縦方向に離れるにつれ徐々に減少する電流分布(図13(c)と略同一の分布)を形成する。一方、p電極21dへ供給された電流は、横断面においては、n電極21fとp電極21dとが互いに平行に配置されているため(図13(b)参照)、一定の電流分布を形成する。
このように分布した電流により活性層21bが発光することで、LED素子21(の発光面)には、上記電流分布と同様の輝度分布、すなわち、LED素子21の発光面(縦断面)においては、n電極21f側にピークを持ち、n電極21fから縦方向に離れるにつれ徐々に減少する輝度分布(図13(c)参照)が形成され、LED素子21の発光面(横断面)においては、一定の輝度分布が形成される。
したがって、本変形例のLED素子21の発光面を覆うように波長変換層22を配置することで(図2参照)、縦断面においてはn電極21f側にピークを持ち(n電極21f側に最大輝度部がある)、n電極21fから縦方向に離れるにつれ徐々に減少する輝度分布(図13(c)参照)が形成され、横断面においては一定の輝度分布が形成される、ヘッドランプ用配光パターンの形成に適した輝度分布の光源20を構成することが可能となる。
また、本変形例のLED素子21を含む光源20は上記実施形態の光源20と同様、n電極21f側にピークを持つ輝度分布であるため、本変形例のLED素子21を含む光源20を用いて、車両用灯具10(図1参照)、変形例1−1〜1−4の車両用灯具10(図9〜図12参照)を構成することが可能となる。
また、本変形例によれば、n電極21fと付加電極21f2との間隔H1(図13(a)参照)、付加電極21f2の面積、本数等を調整することで、LED素子21(光源20)の縦断面における輝度分布(ピークの位置、ピークの幅等)を目的の輝度分布に調整することが可能となる。
ここで、ヘッドランプ用配光パターンは、発光素子(LED素子)光源の上下方向の拡散よりも、左右方向への拡散が大きいため、発光素子(LED素子)の輝度分布において、横縞が生じるよりも、縦縞が生じるほうが配光ムラへの影響が少ない(図18参照)。なお、本願における横縞は、上方の端部から下方の端部へ輝度が低下する輝度分布ではなく、縦断面において山(ピーク)、谷、山(ピーク)・・・が連続する輝度分布(図18参照)のことを示す。
そのため、n電極21fと付加電極21f2との間隔H1(図13(a)参照)、付加電極21f2の面積、本数等を調整し、横縞が生じないような輝度分布を形成することが好ましい。
[変形例2−2]
次に、LED素子21の構造(変形例2−2)について図面を参照しながら説明する。図14(a)はLED素子21(変形例2−2)の正面図(上面図)、図14(b)はLED素子21(変形例2−2)の側面図、図14(c)は図14(a)中C−C断面におけるLED素子21(変形例2−2)の輝度分布の例である。
図14(a)、図14(b)に示すように、n型半導体層21a表面には、活性層21bからの光(活性層21bからの直接光又はp電極21dからの反射光)を取り出すための複数の構造物21a3(マイクロコーンと称される)が形成されていてもよい。複数の構造物21a3は、n型半導体層21a表面に対し凸であってもよいし、凹であってもよい。
例えば、図14(a)、図14(b)に示すように、n電極21fと同一方向に延びる付加電極21f2をn電極21fから遠い方の長辺21a2に沿って形成し、n電極21fと付加電極21f2とを縦方向に延びる付加電極21f3により接続する。そして、図14(a)に示すように、n型半導体層21a表面のうちn電極21fから遠い方の長辺21a2から、n電極21fに向かうにつれ密となるように複数の構造物21a3を形成する(数の制御)。また、構造物21a3のサイズによっても光取り出し効率は変化するため、複数の構造物21a3の大きさを調整することによっても、輝度分布を適宜調整することができる。
例えば、n電極21fを形成する前に、サファイア基板を剥離することで表出したn型半導体層21aの上面(Cマイナス面)をKOH等のアルカリ性溶液に浸漬することによりウエットエッチングすることで、複数の構造物21a3を形成することが可能である。このウエットエッチングの際に、例えば、n電極21fから遠い方の長辺21a2から、n電極21fに向かうにつれ密となるように開口率を制御したマスクを用いることで、n電極21fから遠い方の長辺21a2から、n電極21fに向かうにつれ密となるように複数の構造物21a3を形成することが可能である。また、例えば、アルカリ性溶液の浸漬時間を各段ごとに制御することで、n電極21fから遠い方の長辺21a2から、n電極21fに向かうにつれサイズが大きくなるように複数の構造物21a3を形成することが可能である。
なお、マイクロコーンの形成に際し、p型電極層および接着層に含まれる金属元素とKOH溶液が反応するのを防止する耐アルカリ性溶液保護膜を適宜形成することが好ましく、保護膜はウエットエッチング後に除去する。なお、ドライエッチングによっても複数の構造物21a3を形成することが可能である。
本変形例によれば、p電極21dからn電極21f(及び付加電極21f2、21f3)に流れる電流により活性層21bの略全域が発光する。活性層21bからの光は、n型半導体層21a表面のうち複数の構造物21a3が密に形成されたn電極21f側からより多く取り出されることになる。このため、LED素子21の発光面(縦断面)においては、n電極21f側にピークを持ち、n電極21fから縦方向に離れるにつれ徐々に減少する輝度分布(図14(c)参照)が形成され、LED素子21の発光面(横断面)においては、一定の輝度分布が形成される。
したがって、本変形例のLED素子21の発光面を覆うように波長変換層22を配置することで(図2参照)、縦断面においてはn電極21f側にピークを持ち(n電極21f側に最大輝度部がある)、n電極21fから縦方向に離れるにつれ徐々に減少する輝度分布(図14(c)参照)が形成され、横断面においては一定の輝度分布が形成される、ヘッドランプ用配光パターンの形成に適した輝度分布の光源20を構成することが可能となる。
また、本変形例のLED素子21を含む光源20は上記実施形態の光源20と同様、n電極21f側にピークを持つ輝度分布であるため、本変形例のLED素子21を含む光源20を用いて、車両用灯具10(図1参照)、変形例1−1〜1−4の車両用灯具10(図9〜図12参照)を構成することが可能となる。
また、本変形例によれば、複数の構造物21a3の密度、サイズ等を調整することで、LED素子21(光源20)の縦断面における輝度分布(ピークの位置、ピークの幅等)を目的の輝度分布に調整することが可能となる。
[変形例2−3]
次に、LED素子21の構造(変形例2−3)について図面を参照しながら説明する。図15(a)はLED素子21(変形例2−3)の正面図(上面図)、図15(b)はLED素子21(変形例2−3)の断面図(側面図)、図15(c)は図15(a)中D−D断面におけるLED素子21(変形例2−3)の輝度分布の例である。
図15(a)、図15(b)に示すように、n電極21fは、当該n電極21fと同一方向に延びる複数の付加電極21f2を含んでいてもよい。
例えば、図15(a)、図15(b)に示すように、n型半導体層21a表面のうちn電極21fから遠い方の長辺21a2から、n電極21fに向かうにつれ間隔が密となるように複数の付加電極21f2を形成し、これら複数の付加電極21f2とn電極21fとを縦方向に延びる付加電極21f3により接続する。
本変形例によれば、p電極21dへ供給された電流は、p電極21dがp型半導体層21cのほぼ全域にわたって形成されているため、p電極21dにおいては均一に拡散するが、電流は最短距離を通りやすいため、n電極21f及び複数の付加電極21f2が密に形成されたn電極21f側に集中し(n電極21f側にピークを持ち)、n電極21fから縦方向に離れるにつれ徐々に減少する電流分布(図15(c)と略同一の分布)を形成する。一方、p電極21dへ供給された電流は、横断面においては、一定の電流分布を形成する。
このように分布した電流により活性層21bが発光することで、LED素子21(の発光面)には、上記電流分布と同様の輝度分布、すなわち、LED素子21の発光面(縦断面)においては、n電極21f側にピークを持ち、n電極21fから縦方向に離れるにつれ徐々に減少する輝度分布(図15(c)参照)が形成され、LED素子21の発光面(横断面)においては、一定の輝度分布が形成される。
したがって、本変形例のLED素子21の発光面を覆うように波長変換層22を配置することで(図2参照)、縦断面においてはn電極21f側にピークを持ち(n電極21f側に最大輝度部がある)、n電極21fから縦方向に離れるにつれ徐々に減少する輝度分布(図15(c)参照)が形成され、横断面においては一定の輝度分布が形成される、ヘッドランプ用配光パターンの形成に適した輝度分布の光源20を構成することが可能となる。
また、本変形例のLED素子21を含む光源20は上記実施形態の光源20と同様、n電極21f側にピークを持つ輝度分布であるため、本変形例のLED素子21を含む光源20を用いて、車両用灯具10(図1参照)、変形例1−1〜1−4の車両用灯具10(図9〜図12参照)を構成することが可能となる。
また、本変形例によれば、複数の付加電極21f2の間隔、付加電極21f2の面積、本数等を調整することで、LED素子21(光源20)の縦断面における輝度分布(ピークの位置、ピークの幅等)を目的の輝度分布に調整することが可能となる。
[変形例2−4]
次に、LED素子21の構造(変形例2−4)について図面を参照しながら説明する。図16(a)はLED素子21(変形例2−4)の正面図(上面図)、図16(b)はP電極21dの正面図、図16(c)はLED素子21(変形例2−4)の断面図(側面図)、図16(d)は図16(a)中E−E断面におけるLED素子21(変形例2−4)の輝度分布の例である。
図16(a)、図16(c)に示すように、n電極21fは、当該n電極21fと同一方向に延びる複数の付加電極21f2を含んでおり、図16(b)、図16(c)に示すように、p電極21dは、交互に配置された、n電極21fと同一方向に延びる高反射率電極21d1(本発明の第1反射率電極に相当)とn電極21fと同一方向に延びる低反射率電極21d2(本発明の第2反射率電極に相当)とを含んでいてもよい。高反射率電極21d1は、例えば、青色光に対し高反射率の金属材料からなる電極(例えばAlが100%)である。低反射率電極21d2は、高反射率電極21d1よりも低い反射率の金属材料からなる電極(例えばAlが80%)である。
例えば、図16(a)、図16(c)に示すように、略等間隔となるようにn電極21fと複数の付加電極21f2とを形成し、これら複数の付加電極21f2とn電極21fとを縦方向に延びる付加電極21f3により接続する。そして、図16(b)、図16(c)に示すように、n電極21fから、n電極21fから遠い方の長辺21a2に向かうにつれ間隔が密となるように低反射率電極21d2を形成する。
本変形例によれば、p電極21d(高反射率電極21d1、低反射率電極21d2)からn電極21f(及び付加電極21f2、21f3)に流れる電流により活性層21bの略全域が発光する。活性層21bからの光は、縦寸法が大きい高反射率電極21d1が形成されたn電極21f側(すなわち低反射率電極21d2が密に形成されていないn電極21f側)からより多く取り出されることになる。このように反射光を制御することで、LED素子21の発光面(縦断面)においては、n電極21f側にピークを持ち、n電極21fから縦方向に離れるにつれ徐々に減少する輝度分布(図16(d)参照)が形成され、LED素子21の発光面(横断面)においては、一定の輝度分布が形成される。
したがって、本変形例のLED素子21の発光面を覆うように波長変換層22を配置することで(図2参照)、縦断面においてはn電極21f側にピークを持ち(n電極21f側に最大輝度部がある)、n電極21fから縦方向に離れるにつれ徐々に減少する輝度分布(図16(d)参照)が形成され、横断面においては一定の輝度分布が形成される、ヘッドランプ用配光パターンの形成に適した輝度分布の光源20を構成することが可能となる。
また、本変形例のLED素子21を含む光源20は上記実施形態の光源20と同様、n電極21f側にピークを持つ輝度分布であるため、本変形例のLED素子21を含む光源20を用いて、車両用灯具10(図1参照)、変形例1−1〜1−4の車両用灯具10(図9〜図12参照)を構成することが可能となる。
また、本変形例によれば、各反射率電極21d1、21d2の縦方向寸法等を調整することで、LED素子21(光源20)の縦断面における輝度分布(ピークの位置、ピークの幅等)を目的の輝度分布に調整することが可能となる。
なお、本変形例2−4と他の変形例とを組み合わせたLED素子21を構成してもよい。
[変形例2−5]
次に、LED素子21の構造(変形例2−5)について図面を参照しながら説明する。図17(a)はLED素子21(変形例2−5)の正面図(上面図)、図17(b)はLED素子21(変形例2−5)の断面図(側面図)、図17(c)は図17(a)中F−F断面におけるLED素子21(変形例2−5)の輝度分布の例である。
図17(a)、図17(b)に示すように、n型半導体層21a表面には、n電極21fと同一方向に延びる高屈折率の複数の透明導電膜21B(本発明の第1透明導電膜に相当)と、当該複数の透明導電膜21Bとその間のn型半導体層21a表面を覆う低屈折率の透明導電膜21A(本発明の第2透明導電膜に相当)と、が形成されていてもよい。
例えば、図17(b)に示すように、n型半導体層21a表面のうちn電極21fから遠い方の長辺21a2から、n電極21fに向かうにつれ縦方向の寸法が大きくなるように、透明導電膜21Aと透明導電膜21Bとが重なった部分を形成する。
透明導電膜21A、21Bは、例えば、サファイア基板の剥離工程の後に、次の工程を実施することで形成することが可能である。サファイア基板を剥離することで表出したn型半導体層21a表面に、部分的に続いてスパッタ法により、透明導電膜21BとしてITO膜を形成する。n型半導体層21a表面およびITO膜の上に、透明導電膜21AとしてZnO膜を形成する。成膜条件に依存するが、屈折率2.0〜2.1のZnO膜および屈折率2.2〜2.3のITO膜が得られ、ITO膜およびZnO膜のいずれも、例えば、屈折率約2.7のGaNからなるn型半導体層21aとオーミック接触を得ることができる。次に、透明導電膜21A表面(ZnO膜表面)にn電極21fを形成する。
以上により、n型半導体層21a表面に透明導電膜21A、21Bを形成することが可能となる。
本変形例によれば、p電極21dからn電極21f(及び透明導電膜21A、21B)に流れる電流により活性層21bの略全域が発光する。活性層21bからの光は、n型半導体層21a表面のうち透明導電膜21Bと透明導電膜21Aが重なった部分からより多く取り出されることになる。LED素子21と外部(樹脂や空気など)との間に形成される界面における全反射量は、透明導電膜21Aのみが被覆されている領域より、透明導電膜21Bと透明導電膜21Aが積層されている領域において小さくなるためである。このため、LED素子21の発光面(縦断面)においては、n電極21f側にピークを持ち、n電極21fから縦方向に離れるにつれ徐々に減少する輝度分布(図17(c)参照)が形成され、LED素子21の発光面(横断面)においては、一定の輝度分布が形成される。また、縦断面においては、図17(c)に示す電流分布と略同一の分布となる。
したがって、本変形例のLED素子21の発光面を覆うように波長変換層22を配置することで(図2参照)、縦断面においてはn電極21f側にピークを持ち(n電極21f側に最大輝度部がある)、n電極21fから縦方向に離れるにつれ徐々に減少する輝度分布(図17(c)参照)が形成され、横断面においては一定の輝度分布が形成される、ヘッドランプ用配光パターンの形成に適した輝度分布の光源20を構成することが可能となる。
また、本変形例のLED素子21を含む光源20は上記実施形態の光源20と同様、n電極21f側にピークを持つ輝度分布であるため、本変形例のLED素子21を含む光源20を用いて、車両用灯具10(図1参照)、変形例1−1〜1−4の車両用灯具10(図9〜図12参照)を構成することが可能となる。
また、本変形例によれば、透明導電膜21Aと透明導電膜21Bとが重なった部分の縦方向寸法を調整することで、LED素子21(光源20)の縦断面における輝度分布(ピークの位置、ピークの幅等)を目的の輝度分布に調整することが可能となる。
なお、上記実施形態及び各変形例では、LED素子21が青色光を発光するLED素子であり、波長変換層22がLED素子21からの青色光で励起されて黄色光を発光する波長変換層であるように説明したが本発明はこれに限定されない。LED素子21としては青色光以外の波長の光を発光するLED素子を用いることが可能であり、波長変換層22としては黄色以外の波長の光を発光する波長変換層を用いることが可能である。
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
10…車両用灯具、20…光源、21…LED素子、21a…n型半導体層、21b…活性層、21c…p型半導体層、21d…p電極(反射電極)、21d1…高反射率電極、21d2…低反射率電極、21e…支持基板、21f…n電極、21g…裏面電極、30…投影光学系

Claims (6)

  1. LED素子と前記LED素子の発光面を覆うように配置された波長変換層とを含み、前記LED素子からの光のうち前記波長変換層を透過した光と前記LED素子からの光で励起されて発光した前記波長変換層からの光とを含む白色光を発光するように構成された光源と、
    前記光源の光源像を車両前方に投影することにより、車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン上にヘッドランプ用配光パターンを形成するように構成された投影光学系と、
    を備えた車両用灯具において、
    前記LED素子は、
    矩形の支持基板と、
    前記支持基板の片面に形成された裏面電極と、
    前記支持基板の前記片面の反対側の面に形成された反射電極としてのp電極と、
    前記p電極上に形成されたp型半導体層と、
    前記p型半導体層上に形成された活性層と、
    前記活性層上に形成されたn型半導体層と、
    前記n型半導体層表面のうち一方の長辺を含む細幅領域に形成された長辺方向に延びるn電極と、
    を備えた縦型のLED素子であり、
    前記投影光学系は、前記n電極に対応する像部分が上方に位置するように前記白色光源の複数の光源像を車両前方に投影し、車両前端部に正対した仮想鉛直スクリーン上に、前記白色光源の複数の光源像それぞれの前記n電極に対応する像部分により形成されるカットオフラインを含むヘッドランプ用配光パターンを形成するように構成されていることを特徴とする車両用灯具。
  2. 前記n電極は、当該n電極と同一方向に延びる付加電極を含んでおり、
    前記付加電極は、前記n型半導体層表面のうち一方の長辺と他方の長辺との中間に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
  3. 前記n型半導体層表面は、凹部又は/及び凸部からなる複数の構造物を含んでおり、
    前記複数の構造物は、前記n型半導体層表面のうち前記n電極から遠い方の長辺から、前記n電極に向かうにつれ密となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
  4. 前記n電極は、当該n電極と同一方向に延びる複数の付加電極を含んでおり、
    前記複数の付加電極は、前記n型半導体層表面のうち前記n電極から遠い方の長辺から、前記n電極に向かうにつれ間隔が密となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
  5. 前記n電極は、当該n電極と同一方向に延びる複数の付加電極を含んでおり、
    前記p電極は、前記n電極と同一方向に延びる複数の第1反射率電極と、前記n電極と同一方向に延びる、前記第1反射率電極よりも低反射率の複数の第2反射率電極とを含んでおり、
    前記第1反射率電極と前記第2反射率電極とは交互に形成されており、
    前記複数の第2反射率電極は、前記n電極から、前記n電極から遠い方の長辺に向かうにつれ間隔が密となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
  6. 前記n型半導体層表面に形成された、前記n電極と同一方向に延びる複数の第1透明導電膜と、
    前記複数の第1透明導電膜とその間の前記n型半導体層表面を覆う、前記第1透明導電膜よりも低屈折率の第2透明導電膜と、をさらに備えており、
    前記第1透明導電膜と前記第2透明導電膜とが重なった部分は、前記n型半導体層表面のうち前記n電極から遠い方の長辺から、前記n電極に向かうにつれ縦方向寸法が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
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