JP6988114B2 - リチウムイオン電池用シール材組成物、その硬化物、及びそれを用いたリチウムイオン電池 - Google Patents

リチウムイオン電池用シール材組成物、その硬化物、及びそれを用いたリチウムイオン電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン電池用シール材組成物、その硬化物、及びそれを用いたリチウムイオン電池に関する。
近年、二次電池として小型で軽量な上、高出力、高エネルギー密度化が可能なリチウムイオン電池が急速に普及し、その用途を広げつつある。これまで丸形あるいは角形のリチウムイオン電池はパソコンや携帯電話等に内蔵され、精密機器故に安全性を担保しつつ、更なる高エネルギー密度化とコストダウンが要望されている。更に最近は電気自動車での利用が本格的に検討されており、高エネルギー密度化が可能なパッケージ形状もパウチ型が主流となり、高速充放電に伴う耐熱性、更なる耐久性の向上が求められている。
この電池は、その発電要素が金属容器や金属性パウチ袋に収納され密閉されたものである。発電要素とは、電解液、正極用及び負極、セパレーターなどである。正極及び負極活物質はリチウムイオンを吸蔵放出できる物質であるため、極度に水分を嫌う物質であり、また、電解液を構成する支持電解質は、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4などの水と反応して加水分解しやすい化合物が用いられている。このため、電池内部にごく少量の水分が浸入しても、電池性能が極度に低下する。更に、有機電解液溶媒は、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート等の可燃性有機溶媒が用いられているため、充放電による活物質の体積変動で電池内部の圧力が上昇し電解液が電池外部に漏液することがあり、発火の危険性がある。このため、リチウムイオン二次電池では電池内部への水の浸入を完全に防止し、かつ電解液の漏液を完全に防止する高い密閉性が要求されている。
このような高い密閉性をえるためのシール剤としては、コールタール、アスファルト等のピッチ系材料にポリマーを改質剤として添加した材料、ポリオレフィン系接着剤などの樹脂系シール剤が提案されている。また、負極に金属リチウム等の金属活物質を用いたコイン型のリチウム二次電池のシール剤としてブチルゴムなどのゴム系シール材が知られている。しかしこれらは、大容量化(高エネルギー密度)を目的に開発されている今後のリチウムイオン電池においてはそのシール性能は充分とは言えず、更に寒暖差や高速充放電によって高温に曝される電気自動車用途では耐熱性に不安が生じている。更に充放電時の電池の内部抵抗による発熱は、冷媒を用いた冷却で抑えることは可能であるが、上記のシール材では冷媒に対する耐性が十分ではない。
また、リチウムイオン電池内部の発電要素は、通常、金属箔集電体の両方の面に配置される正極活物質層と、金属箔集電体の両方の面に配置される負極活物質層とが、セパレーターを介して積層された構造を有しているが、発電要素の製造工程において電極を積層し、積層した電極群を捲回する際、セパレーターを介して対向する電極の位置ずれが生じやすい。位置ずれは、対向する負極と正極間の活物質層の反応面が合わないことにより、電池充電の際に、正極活物質から脱離したLiイオンが負極活物質に挿入されず、Li金属として析出し、二次電池の寿命の低下を招く。そのため、電池製造の際に発電要素を固定し、電極の正確な位置合わせや充電放電における位置のずれを防止すべく熱融着によるシールが提案されている。しかし、積層されたシール材を熱融着させるには外部の加熱温度を高くする必要があり、セパレーターの熱収縮による内部短絡を引き起こす要因となる。
ところで、チオール基をもつ化合物は、炭素‐炭素2重結合を持つ化合物と、エン‐チオール反応によって光硬化させることもでき、紫外線硬化性のシール材としての使用も提案されている。エン‐チオール反応は、重合開始剤の有無にかかわらず紫外線照射により進行する。よって、重合開始剤を必要とする一般的なラジカル重合における酸素による反応阻害を受けないことや硬化収縮が小さいなどの利点がある。しかしながら、得られる硬化物をリチウムイオン電池のシール材に適用するには冷媒に対する耐性の点では充分満足しうるものではない。
一方、有機材料の特性を一層向上させる手段として、有機材料と無機材料とを複合化させることにより、無機材料の特性である高い耐熱性、耐薬品性、高い表面硬度などを付与させた、いわゆる有機‐無機ハイブリッド化技術がある。当該技術のうち、透明性に優れ、かつ厚膜硬化が可能な手法が、シルセスキオキサンを用いた有機‐無機ハイブリッド法である。シリカの一種として、一般式RSiO3/2で表されるシルセスキオキサンは、Rに有機材料と反応しうる置換基を持たせることで、容易に有機‐無機ハイブリッド硬化物を提供できるため、実用化検討が進められている。本発明者らも、硫黄を含むチオール基を持った、いわゆるランダム型シルセスキオキサン(アルコキシシリル基や、シラノール基が残存したもの)と炭素−炭素二重結合を持つ有機物とをエン−チオール反応させることによって得られる有機−無機ハイブリッド硬化物(特許文献1)や、エポキシ基を有する化合物、イソシアネート類と熱硬化させた有機−無機ハイブリッド硬化物(特許文献2)を提案した。該硬化物は耐熱性に優れ、また硫黄を含むため高屈折率であるという特徴があるが、密着性、シール性、耐熱性、電解液耐性と各種冷媒に対する耐性が求められるチウムイオン電池のシール材としての適用可能性は検討していない。
特開2007−291313号公報 特開2007−217673号公報
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、チオール基含有アルコキシシラン類の加水分解縮合物及び炭素−炭素二重結合を有する化合物を含有する光硬化型の組成物が、リチウムイオン電池用シール材の上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。なお、本発明における「光硬化型」とは、紫外線、電子線等の光エネルギーを照射することで硬化を促進するものをいう。
すなわち、本発明1は、一般式(1):
Si(OR (1)
(式中、Rは少なくとも1つのチオール基を有する炭素数1〜8の炭化水素基、又は、少なくとも1つのチオール基を有する芳香族炭化水素基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、又は、芳香族炭化水素基を表す。)で示されるチオール基含有アルコキシシラン類(a1)を加水分解縮合物(A)(以下、(A)成分という)、及び、炭素−炭素二重結合を2個以上有する化合物(B)(以下、(B)成分という)を含有することを特徴とする光硬化型リチウムイオン電池用シール材組成物(以下、シール材組成物と略記することがある)に関する。
また本発明2は、更にエポキシ基を2個以上有する化合物(C)(以下、(C)成分という)を含有する光硬化型リチウムイオン電池用シール材組成物に関する。
本発明3は、本発明1又は本発明2の光硬化型リチウムイオン電池用シール材組成物の硬化物であり、ジメチルカーボネートに25℃で40時間浸漬したときの重量変化率が1%未満であることを特徴とするリチウムイオン電池用シール材(以下、シール材と略記することがある)に関する。
本発明4は、正極、負極、及びセパレーターが積層した発電要素の外周部の一部または全部が、本発明3の光硬化型リチウムイオン電池用シール材硬化物でシールされていることを特徴とするリチウムイオン電池に関する。
本発明5は、内部に発電要素および電解質が収容された電池外装体の封止部が、本発明3の光硬化型リチウムイオン電池用シール材の硬化物でシールされていることを特徴とするリチウムイオン電池に関する。
本発明のシール材組成物によれば、パソコンや携帯電話、電気自動車等に使用されるリチウムイオン電池において、密着性、シール性、耐熱性に優れ、電解質溶液に対する耐性と各種冷媒に対する耐性を併せ持ち、光照射によって容易に硬化が可能なリチウムイオン電池用シール材を提供できる。
本発明のシール材は、発電要素と電解質溶液が収容された電池外装体のシール材として好適のみならず、電池内部の正極、負極、セパレーターの積層構造を有する発電要素の外周のシール材に適用することにより電池製造過程や充放電の繰り返しにより発生する積層構造のずれや内部短絡を防止ができ、充放電特性が安定し長寿命の電池を得ることが可能となる。
本発明で用いられる(A)成分は、一般式(1):
Si(OR (1)
(式中、Rは少なくとも1つのチオール基を有する炭素数1〜8の炭化水素基、又は少なくとも1つのチオール基を有する芳香族炭化水素基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、又は芳香族炭化水素基を表す。)で示されるチオール基含有アルコキシシラン類(a1)を加水分解および縮合して得られる化合物である。
上記チオール基含有アルコキシシラン類(a1)(以下、(a1)成分という)の具体例としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリブトキシシラン、1,4−ジメルカプト−2−(トリメトキシシリル)ブタン、1,4−ジメルカプト−2−(トリエトキシシリル)ブタン、1,4−ジメルカプト−2−(トリプロポキシシリル)ブタン、1,4−ジメルカプト−2−(トリブトキシシリル)ブタン、2−メルカプトメチル−3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトメチル−3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトメチル−3−メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、2−メルカプトメチル−3−メルカプトプロピルトリブトキシシラン、1,2−ジメルカプトエチルトリメトキシシラン、1,2−ジメルカプトエチルトリエトキシシラン、1,2−ジメルカプトエチルトリプロポキシシラン、1,2−ジメルカプトエチルトリブトキシシランなどが挙げられ、該例示化合物はいずれか単独で、又は適宜に組み合わせて使用できる。該例示化合物のうち、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランは、加水分解反応の反応性が高く、かつ入手が容易であるため特に好ましい。
また、(a1)成分に加えて、金属アルコキシド類(a2)(以下、(a2)成分という)を使用することができる。(a2)成分としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシランなどのトリアルキルアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどのジアルキルジアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどのアルキルトリアルコキシシラン類、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン類、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタンなどのテトラアルコキシチタン類、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウムなどのテトラアルコキシジルコニウム類などが挙げられる。(a2)成分は、いずれか単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、トリアルキルアルコキシシラン類、ジアルキルジアルコキシシラン類、テトラアルコキシシラン類を用いることで、(A)成分の架橋密度を調整することができる。アルキルトリアルコキシシラン類を用いることで、(A)成分中に含まれるチオール基の量を調整することができる。テトラアルコキシチタン類、テトラアルコキシジルコニウム類を用いることで、最終的に得られる硬化物の屈折率を高くすることができる。
(a1)成分と(a2)成分を併用する場合は、[(a1)成分に含まれるチオール基のモル数]/[(a1)成分と(a2)成分の合計モル数](1分子あたりに含まれるチオール基の平均個数を示す)が0.2以上であることが好ましい。0.2未満である場合、得られる(A)成分中に含まれるチオール基の数が少なくなるため、紫外線硬化性が低下するとともに、硬化物の表面硬度などの物性についての改善効果も不充分となる傾向がある。また、[(a1)成分と(a2)成分に含まれる各アルコキシ基の合計モル数]/[(a1)成分と(a2)成分の合計モル数](1分子あたりに含まれるアルコキシ基の平均個数を示す)が2.5以上3.5以下であることが好ましく、2.7以上3.2以下であることがより好ましい。2.5未満の場合には、得られる(A)成分の架橋密度が低く、硬化物の耐熱性が低下する傾向がある。また、3.5を超える場合、(A)成分を製造する際、ゲル化しやすくなる傾向がある。
本発明に用いられる(A)成分は、(a1)成分単独やこれに(a2)成分を併用して、それらを加水分解後、縮合させて得ることができる。すなわち、(A)成分は、これらの成分の加水分解縮合物である。加水分解反応によって、(a1)成分や(a2)成分に含まれるアルコキシ基が水酸基となり、アルコールが副生する。加水分解反応に必要な水の量は、[加水分解反応に用いる水のモル数]/[(a1)成分と(a2)成分に含まれる各アルコキシ基の合計モル数](モル比)が0.4以上10以下であればよく、好ましくは1である。0.4未満の場合、(A)成分中に加水分解されずに残るアルコキシ基があるため好ましくない。また、10を超える場合、後に行う縮合反応(脱水反応)の際に除くべき水の量が多くなるため製造時間が長くなり、経済的に不利である。
また、(a2)成分としてテトラアルコキシチタン類、テトラアルコキシジルコニウム類等、特に加水分解性および縮合反応性の高い金属アルコキシド類を併用する場合には、急速に加水分解および縮合反応が進行し、系がゲル化してしまう場合がある。この場合、(a1)成分の加水分解反応を終了させ、実質的にすべての水が消費された状態にした後、該(a2)成分を添加することによって、ゲル化を避けることができる。
加水分解反応に用いる触媒としては、特に限定はされず、従来公知の加水分解触媒を任意に用いることができる。これらのうちギ酸は、触媒活性が高く、また引き続く縮合反応の触媒としても機能するので好ましい。ギ酸の添加量は、(a1)成分および(a2)成分の合計100重量部に対して、0.1〜25重量部であることが好ましく、1〜10重量部であることがより好ましい。25重量部よりも多いと、得られるシール材組成物の安定性が低下する傾向があり、また後工程でギ酸を除去できるとしても除去量が多くなる傾向がある。一方、0.1重量部よりも少ないと、実質的に反応が進行しない、又は反応時間が長くなるなどの傾向がある。反応温度、時間は、(a1)成分や(a2)成分の反応性に応じて任意に設定できるが、通常0〜100℃程度、好ましくは20〜60℃、1分〜2時間程度である。該加水分解反応は、溶剤の存在下又は不存在下に行うことができる。溶剤の種類は特に限定されず、任意の溶剤を1種類以上選択して用いることができるが、後述の縮合反応に用いる溶剤と同一のものを用いることが好ましい。(a1)成分や(a2)成分の反応性が低い場合は、無溶剤で行うことが好ましい。
上記方法で加水分解反応を行うが、[加水分解されてできた水酸基のモル数]/[(a1)成分と(a2)成分に含まれる各アルコキシ基の合計モル数](モル比)が0.5以上になるように進行させることが好ましく、0.8以上に調整することがさらに好ましい。加水分解反応に続く縮合反応は、加水分解で生じた水酸基間だけでなく、該水酸基と残存アルコキシ基との間でも進行するため、少なくとも半分(モル比が0.5以上)が加水分解されていればよい。
上記縮合反応においては、前記の水酸基間で水が副生し、また水酸基とアルコキシ基間ではアルコールが副生して、シロキサン結合を生じる。縮合反応には、従来公知の脱水縮合触媒を任意に用いることができる。前記のように、ギ酸は触媒活性が高く、加水分解反応の触媒と共用できるため好ましい。反応温度、時間は(a1)成分や(a2)成分の反応性に応じてそれぞれ任意に設定できるが、通常は40〜150℃程度、好ましくは60〜100℃、30分〜12時間程度である。
上記方法で縮合反応を行うが、[未反応の水酸基および未反応のアルコキシ基の合計モル数]/[(a1)成分や(a2)成分に含まれる各アルコキシ基の合計モル数](モル比)が0.3以下になるように進行させることが好ましく、0.2以下に調整することがさらに好ましい。0.3を超える場合、未反応の水酸基およびアルコキシ基がシール材組成物の保管中に縮合反応してゲル化したり、硬化後に縮合反応し揮発分が発生してクラックが発生するなど、硬化物の性能を損なう傾向があるため好ましくない。
当該縮合反応は、(a1)成分((a2)成分を併用する場合は両者)の濃度が2〜80重量%程度になるように溶剤で希釈して行うことが好ましく、15〜60重量%であることがより好ましい。縮合反応によって生成する水およびアルコールの沸点より高い沸点を有する溶剤を用いると、反応系中よりこれらを留去することができるため好ましい。該濃度が2重量%未満である場合は、得られるシール材組成物に含まれる(A)成分が少なくなるため好ましくない。80重量%を超える場合は、反応中にゲル化したり、生成する(A)成分の分子量が大きくなり過ぎ、得られるシール材組成物の保存安定性が悪くなる傾向がある。溶剤としては、任意の溶剤を1種類以上選択して用いることができる。縮合反応によって生成する水およびアルコールより高い沸点を有する溶剤を用いれば、反応系中よりこれらを留去することができるため好ましい。また、(B)成分も溶剤の一部として用いることができる。
当該縮合反応の終了後、用いた触媒を除去すると、最終的に得られるシール材組成物の安定性が向上するため好ましい。除去方法は、用いた触媒に応じて公知各種の方法から適宜に選択できる。例えば、ギ酸を用いた場合は、縮合反応の終了後、該沸点以上に加熱する、減圧するなどの方法により容易に除去でき、この点からもギ酸の使用が好ましい。
上記(B)成分の炭素‐炭素二重結合は、シール材組成物の保存安定性の点から、炭素−炭素二重結合を有する官能基とチオール基との反応より優先して、炭素−炭素二重結合を有する官能基同士が重合する不都合が起こらないよう、ラジカル重合性が低いものを用いることが好ましい。このような(B)成分として、アリル基を1つ以上有する化合物が挙げられる。アリル基を1つ含有する化合物としては、ケイ皮酸、モノアリルシアヌレート、モノアリルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、ビスフェノールAモノアリルエーテル、ビスフェノールFモノアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、トリプロピレングリコールモノアリルエーテルなどが挙げられる。アリル基を2つ含有する化合物としては、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、ビスフェノールFジアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、トリプロピレングリコールジアリルエーテルなどが挙げられる。アリル基を3つ以上含有する化合物としては、トリアリルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテルなどが挙げられる。これらの化合物は、いずれか単独で、又は組み合わせて使用できる。これらの中で、分子中に1つの炭素‐炭素二重結合のみを有する化合物では分子間の架橋が起こらないため、硬化物の耐熱性、表面硬度等の物性についての改善効果も不充分となる傾向があることから、分子中に2以上の炭素‐炭素二重結合を有する化合物が好ましく、中でもトリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルが特に好ましい。
また、(B)成分として、上記アリル基を有する化合物よりも高分子量のものを用いることもできる。(B)成分として高分子量のものを用いたシール材組成物は、得られる硬化物の可撓性が向上する傾向がある。また、一般にラジカル重合性が低くなる傾向があり、このような視点からも好ましく用いることができる。
高分子量物としては、メチルアリルシロキサンとジメチルシロキサンとからなる共重合物、エピクロルヒドリンとアリルグリシジルエーテルとからなる共重合物(ダイソー(株):商品名「エピクロマー」、日本ゼオン(株):商品名「Gechron」など)、アリル基末端ポリイソブチレンポリマー((株)カネカ:商品名「エピオン」)、ウレタンアクリレート(荒川化学工業(株)製:商品名「ビームセット550B」、東亞合成(株)製:商品名「アロニックスM313」、共栄社化学(株)製:商品名「UF−C051」,「UF−C053」)、アクリレート(共栄社化学(株)製:商品名「HOA−MPE(N)」)エポキシエステル(共栄社化学(株)製:商品名「70PA」,「80MFA」,「200PA」)などが挙げられる。これらの化合物は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ウレタンアクリレート類としては、アクリロイル基又はメタクリロイル基を2個以上有する多官能ウレタンアクリレート類を、好適に使用できる。具体的には、例えば、ポリイソシアネート化合物と水酸基含有アクリレート化合物とを反応させて得られるもの、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物及び水酸基含有アクリレート化合物を反応させて得られるもの等が挙げられる。ポリオール化合物としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、カプロラクトンジオール等が挙げられる。ポリイソシアネート類としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアナート、1,3−キシリレンジイソシアナート、1,4−キシリレンジイソシアナート、ジフエニルメタン4,4−ジイソシアナート、イソホロンジイソシアネート等、およびこれらのイソシアヌレート環構造体、ビウレット構造体、アロファネート構造体等が挙げられる。とくに、イソシアヌレート環構造を有するポリイソシアネートは硬化物が電解液耐性に優れるため好適に用いることができる。水酸基含有アクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどが挙げられる。これらの化合物は、いずれか単独で、または組み合わせて使用できる。
本発明のリチウムイオン電池用シール材組成物は、光硬化性を補う目的で、エポキシ基を2個以上有する化合物(C)(以下、(C)成分という)を配合することが可能である。(C)成分を配合することで、シール材組成物はポットライフが短くなる一方、光硬化に必要な照射量が少なくなり量産性が向上することに加え、凹凸があって光照射しにくいシール面上での硬化が可能となる。
エポキシ基を2個以上有する(C)成分は、格別限定されず、従来公知のエポキシ基を有する化合物を適宜に用いることができる。たとえば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格を有するエポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、トリフェノールフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート環構造を有するエポキシ化合物などが挙げられる。これらの化合物は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。前記の例示化合物のうち、多官能型エポキシ樹脂(三菱化学(株):商品名「jER152」,「jER604」,「jER630」など)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株):商品名「jER828」,「jER834」など)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学(株):商品名「jER807」など)、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成(株):商品名「サントートST−3000」など)、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株):商品名「セロキサイド2021」など)、イソシアヌレート環構造を有するエポキシ化合物(日産化学工業(株):商品名「TEPIC」など)は、最終的に得られる硬化物が無色透明性、耐熱性等に優れ、かつ入手が容易であるため特に好ましい。
また、(C)成分として、前記化合物よりも高分子量のものを用いることができる。高分子量のものを用いてなるシール材組成物は、得られる硬化物の可撓性が向上する傾向がある。該高分子量のものとしては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のうち、エポキシ当量が2000g/eq以上のもの(ジャパンエポキシレジン(株):商品名「エピコート1010」、「エピコート4007P」など)、エポキシ変性シリコーン(信越化学工業(株):商品名「X−22−163A」など)などが挙げられる。これらの化合物は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のシール材組成物における(A)成分および(B)成分の合計濃度、又は(C)成分を使用する場合は(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計濃度(以下、これらをまとめて単に、「合計濃度」という)は、用途に応じて適宜に決定でき、必要に応じて溶剤を配合して調整することができる。溶剤としては、当該成分と非反応性であればよく、各種従来公知のものを適宜選択して用いることができる。
シール材組成物によって被接着物を貼りあわせる際には、合計濃度をシール材組成物中95重量%以上にすることが好ましく、98重量%以上にすることがより好ましい。該合計濃度は、(A)成分、(B)成分および(C)成分の各成分の濃度とシール材組成物の仕込み時に加えた溶剤の量により計算で求めることができ、またシール材組成物に含まれる溶剤の沸点以上で2時間程度加熱し、加熱前後の重量変化(不揮発分含有量)により求めることもできる。95重量%未満の場合には、貼りあわせる際、硬化、成型時に発泡したり、硬化物中に溶剤が残存したりして、硬化物の物性が低下する傾向がある。なお、(A)成分を合成する際に溶剤を必須使用しているため、該用途に用いる際には、反応終了後、不揮発分含有量が95重量%以上となるよう溶剤を揮発させておけばよい。また、シール材組成物を調製した後、用いた溶剤を揮発させて合計濃度を高めることもできる。
また、シール材組成物をコーティングして用いる場合は、溶剤で希釈し、所望の粘度とすればよい。
本発明のシール材組成物の硬化には、必要に応じて光重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤としては、特に限定されず、従来公知の光カチオン開始剤、光ラジカル開始剤などを任意に選択できる。光カチオン開始剤としては、紫外線の照射により酸を発生する化合物であるスルホニウム塩、ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾイントシレート等があげられ、それらの市販品としては、たとえばサイラキュアUVI−6970、同UVI−6974、同UVI−6990(いずれも米国ユニオンカーバイド社製商品名)、イルガキュア264(チバスペシャルティケミカルズ社製)、CIT−1682(日本曹達(株)製)などがある。光カチオン重合開始剤の使用量は、シール材組成物100重量部中、通常10重量部程度以下、好ましくは1〜5重量部とされる。光ラジカル開始剤としては、ダロキュア1173、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア907(いずれもチバ・ジャパン社製 商品名)、ベンゾフェノン等があげられ、
シール材組成物100重量部中、15重量部程度以下、好ましくは1〜15重量部とされる。
上記シール材組成物において、チオール基は、光照射を行うことによって、炭素−炭素二重結合及び/又はエポキシ基と、1対1で反応する。そのため
(A)成分、(B)成分、及び/又は(C)成分の配合比率は、
[(B)成分に含まれる炭素−炭素二重結合のモル数と(C)成分に含まれるエポキシ基の合計モル数)/(A)成分に含まれるチオール基のモル数](モル比)が1付近となるように適宜決定すればよい。得られるシール材(硬化物)の柔軟性を考慮すると、当該配合比率が0.9〜1.1の範囲であることが好ましい。また金属基材に対する密着力はチオール基の残存と共に向上する傾向があることから、0.9〜1.0の範囲であるとより好ましい。
(C)成分を併用する場合における(B)成分の配合比率は、[(B)成分に含まれる炭素−炭素二重結合のモル数)/(A)成分に含まれるチオール基のモル数](モル比)が少なくとも、0.5以上であることが好ましく、0.7以上がより好ましい。
本発明のシール材組成物は、有効成分中のチオール基の濃度が3ミリモル/g以下であることが好ましい。3ミリモル/gを超えると、シール材組成物を硬化させる際の硬化収縮が大きくなり、基材に対する密着性の低下や厚膜成形や型枠成形など厚みを有するシール材を得る場合には、クラックを生じやすい。
上記有効成分中のチオール基の濃度とは、(A)成分製造時に用いた(a1)成分中に含まれるチオール基のモル数と得られたシール材組成物に含まれる各成分の合計重量(溶剤等の揮発成分を除いた不揮発成分の合計重量)より計算で求めればよい。
さらに、シール材組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、各種用途での必要性に応じて、光増感剤、重合禁止剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、離型剤、表面処理剤、粘度調節剤、フィラー、密着付与材等を配合してもよい。ただし、可塑剤、導電材、フィラー、密着付与材に関しては光硬化性が損なわれるおそれがあるため、A成分、B成分、C成分の合計重量100重量部に対して、5重量部以下とすることが望ましい。
光増感剤としては、ベンゾイン化合物、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、チタノセン化合物、チオキサントン化合物、オキシムエステル化合物、アミン、キノン等があげられる。具体的な化合物としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(0−アセチルオキシム)等が挙げられる。
重合禁止剤としては、トリフェニルホスフィン、亜リン酸トリフェニル等のリン系化合物;p−メトキシフェノ−ル、ハイドロキノン、ピロ ガロ−ル、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコ−ル、塩化第一銅、2、6ージ−tert−ブチル−p−クレゾ−ル、2、2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノ−ル)、2、2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノ−ル)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩、ジフェニルニトロソアミン等のラジカル重合禁止剤;ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノール、ジアザビシクロウンデセン等の3級アミン類;2-メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2-エチルへキシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2‐メチルイミダール等のイミダゾール類があげられる。
粘度調節剤としては、シリカ類(日本アエロジル(株)製:商品名「AEROSIL R805」,「AEROSIL RY200S」,「AEROSIL RY300」など、東ソー・シリカ(株)製:商品名「NIPSIL E−200A」,「NIPSIL N−300A」など、旭化成ワッカー・シリコーン(株)製:商品名「HDK H18」など)、ポリオレフィン綿状ファイバー(三井化学(株)製:商品名「ケミベスト FDSS−2」など)などがあげられる。
密着付与材としては、石油樹脂類(荒川化学工業(株)製:商品名「アルコンM−100」,「アルコンP−100」,「アルコンP−125」,「アルコンP−140」など、丸善石油化学(株)製:商品名「M−845A」,「M−890A」など)、塩素化ポリオレフィン(日本製紙(株)製:商品名「スーパークロン390S」,「スーパークロン814HS」など)、変性ポリオレフィン樹脂(日本製紙(株)製:商品名「アウローレン350S」,「アウローレン500S」,「アウローレン550S」など)などがあげられる。
本発明のリチウムイオン電池用シール材は、前記に詳述した(A)成分、(B)成分、および必要により(C)成分を含むシール材組成物を紫外線等の光照射し硬化させることにより得られる。本発明のシール材によれば、リチウムイオン電池の電解質溶液の漏洩と外部から電池内部への水の浸入を防止することができる。紫外線の照射量は、シール材組成物の種類、膜厚等に応じて適宜決定すればよいが、高圧水銀灯を用いる場合、365nmでの積算光量が50〜10000mJ/cm2程度となるよう照射すればよい。また、例えば、シール材組成物を基材上に厚膜に塗布して1mm以上の厚みのシール材を得る場合や所定の型枠やキャビティ内に充填して厚みのあるシール材を得る場合には、前述のように該組成物に光反応開始剤や光増感剤を添加することにより、光硬化性を向上させることが好ましい。このようにして成分(A)と成分(B)とを反応させ、硬化を完全に進行させる。
本発明のシール材はリチウムイオン電池の電解液に耐性を持つことが求められる。電解液耐性を測る方法としては、本発明のシール材組成物をテフロンシート上に400μmのアプリケーターで塗工し、365nmの紫外線を積算光量が300mJ/cm2になるように照射して硬化させた。硬化膜をPETフィルムから剥離し、1g程度になるようにカットし、硬化膜片とする。硬化膜片をリチウムイオン電池電解液に全浸し、25℃で4072時間静置する。硬化膜片を取り出し、真空乾燥機で0.1Pa、80℃で3時間乾燥し、前後の硬化膜片の重量変化から測定する。重量減少率が乾燥後重量の1%を超える場合は、シール材が電解質溶液により膨張し、シール材の強度が低下するため好ましくない。
本発明のシール材の具体的な成形方法としては、特開昭55−30148、特開昭56−32671、特開昭56−32672、特開昭58−10365、特開昭59−91660、特開昭59−112565、特開平6−124694、特開平6−5270、特開2016−44303、特開平5−174863、特開2004−362967、特開2010−62081、特開2014−56799、特開2015−128020、特開2016−146269、特開2016−146270等に記載のある方法を例示できる。
こうして得られたシール材は、(A)成分に由来するシリカ構造(SiO)が含まれる有機−無機ハイブリッド硬化物である。シール材におけるSiOの含有率は、10〜90%が好ましい。10%以上とすることにより、シリカ構造による耐熱性、耐薬品性、高い表面硬度を確保することができ、90%以下とすることで柔軟性を確保することできる。
本発明のシール材の適用範囲は、リチウムイオン電池において一般的に使用される電解質溶液を外部からシールする目的であれば、特に限定されない。具体的には、正極、負極、及びセパレーターが積層した発電要素の外周部のシールや、発電要素および電解質溶液が収容された電池外装体の封止部(密閉部)のシールなどに好適に使用できる。
本発明のシール材を前記の発電要素の外周部の一部または全部のシールに適用することにより、電池本体の電解質溶液の漏洩を防止するとともに、電池製造工程における積層された発電要素を捲回す際の正確な位置合わせが可能となり、位置ずれに伴う電池性能の低下、内部短絡等を防止でき、充放電の繰り返しによる位置連れ繰り返し充放電することができる。
本発明のシール材を正極、負極、及びセパレーターが積層した発電要素の外周部のシールに適用する場合は、特に限定されないが、例えば、電極をセパレーターを介して積層してなる発電要素の外周部に、本発明のシール材をディスペンサーやシールガン等を用いて塗布し、光硬化させて本発明のシール材を形成させる方法が挙げられる。当該シール材により、電解質の漏洩を防止することに加え、電池製造工程や充電放電の繰り返しにおいて対向する電極の位置がずれることを抑制することで、Li金属の析出を抑制したり、短絡を抑制することができる。
本発明のシール材を内部空間に発電要素および電解質が収容された電池外装体の封止部のシールに適用する場合は、外装体の種類により適宜の方法を選択することができる。外装体が角型や円筒型容器の場合には、封止部には、ポリエチレン、ポリプロピレン、金属等の材質のガスケットシール材などが使用されていることが一般的である。本発明のシール材は、このガスケットシールに代え、予め、所定の形状に光硬化させて得られたシール材を使用可能な場合もあるが、ガスケットシール材と併用することが好ましい。1つの例を示せば、ガスケットシール材の封止面に本発明のシール材組成物をディスペンサーやシールガンを用いて塗布し、光硬化させてシール材を形成する方法が挙げられる。容器内に発電要素が収容され、電解質溶液が充填された後、封止面に本発明のシール材が形成されたガスケットシール材で密閉する方法である。別の例を示せば、外装体容器をガスケットシール材で封口した表面上に、本発明のシール材組成物をディスペンサーやシールガンを用いて塗布し、光硬化させてシール材を形成する方法が挙げられる。上記いずれの例においても、容器内に発電要素が収容され、電解質溶液が充填された後、ガスケットシール材に本発明のシール材の密封性が加わり、より高度の密封性が実現できる。
外装体がパウチ型の場合には、熱融着可能なアルミニウムやSUS製等のパウチ袋に発電要素が収容され、電解質溶液を充てん後、熱融着させた封止部の外周表面に、さらに本発明のシール材組成物を塗布して光硬化する方法などが挙げられる。当該シール材の硬化は、光硬化であるため、電解質溶液の温度上昇を伴わず、電解質溶液の体積変化を伴わず、安全に密閉することが可能である。
以下、実施例および比較例をあげて本発明を具体的に説明する。なお、各例中、部および%は特記しない限り重量基準である。
製造例1(縮合物(A−1)の製造)
攪拌機、冷却管、分水器、温度計、窒素吹き込み口を備えた反応装置に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製:商品名「KBM−803」)2700g、メチルトリメトキシシラン(多摩化学工業(株)製:商品名「メチルトリメトキシシラン」)374.6g([(a1)成分に含まれるチオール基のモル数]/[(a1)成分と(a2)成分の合計モル数]=0.83、[(a1)成分と(a2)成分に含まれる各アルコキシ基の合計モル数]/[(a1)成分と(a2)成分の合計モル数]=3)、イオン交換水847g([加水分解反応に用いる水のモル数]/[(a1)成分と(a2)成分に含まれる各アルコキシ基の合計モル数](モル比)=0.95)、95%ギ酸30gを仕込み、室温で30分間加水分解反応させた。反応中、発熱によって最大35℃温度上昇した。反応後、トルエン2535gを仕込み、加熱した。71℃まで昇温したところで、加水分解によって発生したメタノールと、トルエンの一部が留去され始めた。2時間かけて75℃まで昇温し、縮合反応させて水を留去した。さらに1時間、75℃で反応させた後、70℃、20kPaで減圧して、残存するトルエンの一部、メタノール、水、ギ酸を留去した。さらに70℃、0.7kPaで減圧してトルエンを留去することで、縮合物(A−1)を2140g得た。[未反応の水酸基およびアルコキシ基のモル数]/[(a1)成分に含まれるアルコキシ基のモル数](モル比)は0.08、濃度は99.0%であった。また縮合物(A−1)のチオール基の濃度は、6.40ミリモル/gであった。
製造例2(縮合物(A−2)の製造)
製造例1と同様の反応装置に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン2100g、メチルトリメトキシシラン1020g([(a1)成分に含まれるチオール基のモル数]/[(a1)成分と(a2)成分の合計モル数]=0.59、[(a1)成分と(a2)成分に含まれる各アルコキシ基の合計モル数]/[(a1)成分と(a2)成分の合計モル数]=3)、イオン交換水983g([加水分解反応に用いる水のモル数]/[(a1)成分と(a2)成分に含まれる各アルコキシ基の合計モル数](モル比)=1.00)、95%ギ酸31gを仕込み、室温で30分間加水分解反応させた。反応中、発熱によって最大35℃温度上昇した。反応後、トルエン2535gを仕込み、加熱した。71℃まで昇温したところで、加水分解によって発生したメタノールと、トルエンの一部が留去され始めた。2時間かけて75℃まで昇温し、縮合反応させて水を留去した。さらに1時間、75℃で反応させた後、70℃、20kPaで減圧して、残存するトルエンの一部、メタノール、水、ギ酸を留去した。さらに70℃、0.7kPaで減圧してトルエンを留去することで、縮合物(A−2)を2075g得た。[未反応の水酸基およびアルコキシ基のモル数]/[(a1)成分に含まれるアルコキシ基のモル数](モル比)は0.12、濃度は99.0%であった。また縮合物(A−2)のチオール基の濃度は、5.15ミリモル/gであった。
製造例3(縮合物(A−3)の製造)
製造例1と同様の反応装置に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン1200部、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製:商品名「KBM−103」)606部([(a1)成分に含まれるチオール基のモル数]/[(a1)成分と(a2)成分の合計モル数]=0.66、[(a1)成分と(a2)成分に含まれる各アルコキシ基の合計モル数]/[(a1)成分と(a2)成分の合計モル数]=3)、イオン交換水496部([加水分解反応に用いる水のモル数]/[(a1)成分と(a2)成分に含まれる各アルコキシ基の合計モル数](モル比)=1.0)、95%ギ酸36部を仕込み、室温で30分間加水分解反応させた。反応中、発熱によって最大32℃温度上昇した。反応後、トルエン3010部を仕込み、加熱した。71℃まで昇温したところで、加水分解によって発生したメタノールとトルエンの一部が留去され始めた。1時間かけて75℃まで昇温し、縮合反応させて水を留去した。さらに1時間、75℃で反応させた後、70℃、20kPaで減圧して、残存するトルエンの一部、メタノール、水、ギ酸を留去した。さらに70℃、0.7kPaで減圧してトルエンを留去することで、縮合物(A−3)を1250部得た。[未反応の水酸基およびアルコキシ基のモル数]/[(a1)成分と(a2)成分に含まれる各アルコキシ基の合計モル数](モル比)は0.10、濃度は98.9%であった。また、縮合物(A−3)のチオール基の濃度は、4.90ミリモル/gであった。
製造例4(ウレタンアクリレート(B−1)の製造)
攪拌装置、冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応容器に、ポリプロピレングリコール(旭硝子(株)製:製品名「エクセノール720」)300部、メトキノン2部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(東ソー(株)製:製品名「コロネートHX」)510部を仕込んだ後、系内の温度を約50℃に昇温した。次いで、オクチル酸スズ(三菱化学(株)製:製品名「スタノクト」)0.5部を加え80℃に昇温して2時間保温した。次いで、ヒドロキシエチルアクリレート200部とスタノクト0.5部を加え80℃で2時間保温した後、冷却してウレタンアクリレート(B−1)を得た。
製造例5(ウレタンアクリレート(B−2)の製造)
攪拌装置、冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応容器に、カプロラクトンジオール((株)ダイセル製:製品名「プラクセル205」)225部、メトキノン2部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(東ソー(株)製:製品名「コロネートHX」)510部を仕込んだ後、系内の温度を約50℃に昇温した。次いで、オクチル酸スズ(三菱化学(株)製:製品名「スタノクト」)0.5部を加え80℃に昇温して2時間保温した。次いで、ヒドロキシエチルアクリレート200部とスタノクト0.5部を加え80℃で2時間保温した後、冷却してウレタンアクリレート(B−2)を得た。
製造例6(ウレタンアクリレート(B−3)の製造)
攪拌装置、冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応容器に、ポリプロピレングリコール(旭硝子(株)製:製品名「エクセノール720」)700部、メトキノン1部、イソホロンジイソシアネート(住化コベストロウレタン(株)製:製品名「デスモジュールI」)445部を仕込んだ後、系内の温度を約50℃に昇温した。次いで、オクチル酸スズ(三菱化学(株)製:製品名「スタノクト」)0.5部を加え80℃に昇温して2時間保温した。次いで、ヒドロキシエチルアクリレート230部とスタノクト0.5部を加え80℃で2時間保温した後、冷却してウレタンアクリレート(B−3)を得た。
実施例1(シール材組成物の調製)
製造例1で得られた縮合物(A−1)63.9gに対し、(B)成分としてトリアリルイソシアヌレート(日本化成(株)製:商品名「TAIC」、炭素‐炭素二重結合の濃度は12.0ミリモル/g、以下、「TAIC」という)35.9g([成分(B)に含まれる炭素‐炭素2重結合のモル数]/[(A)成分に含まれるチオール基のモル数](モル比)=1.05)、光重合開始剤としてヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ジャパン(株):商品名「イルガキュア184」、以下、Irg184という。)0.20g、重合禁止剤としてニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩(和光純薬工業(株)製:商品名「Q−1301」、以下Q−1301という)0.002gを配合しシール材組成物(D−1)を得た。
実施例2(シール材組成物の調製)
製造例1で得られた縮合物(A−1)59.9gに対し、(B)成分としてTAIC28.7g、さらに(C)成分としてjER828(ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱化学(株)製:商品名「jER828」、エポキシ基の濃度は、5.41ミリモル/g、以下、jER828という)11.1g([成分(B)に含まれる炭素‐炭素2重結合のモル数と(C)成分に含まれるエポシキ基の合計モル数]/[(A)成分に含まれるチオール基のモル数](モル比)=1.05)、光重合開始剤としてIrg184を0.20g、ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩(和光純薬工業(株)製:商品名「Q−1301」、以下Q−1301という)0.002gを配合しシール材組成物(D−2)を得た。
実施例3(シール材組成物の調製)
製造例1で得られた縮合物(A−1)57.3gに対し、(B)成分としてTAICを25.6g、さらに(C)成分としてjER828を16.8g([成分(B)に含まれる炭素‐炭素2重結合のモル数と(C)成分に含まれるエポシキ基の合計モル数]/[(A)成分に含まれるチオール基のモル数](モル比)=1.08)、光重合開始剤としてIrg184を0.20g、Q−1301を0.002g配合しシール材組成物(D−3)を得た。
実施例4(シール材組成物の調製)
製造例2で得られた縮合物(A−2)64.5gに対し、(B)成分としてTAIC」を25.2g、さらに(C)成分としてjER828を10.1g([成分(B)に含まれる炭素‐炭素2重結合のモル数と(C)成分に含まれるエポシキ基の合計モル数]/[(A)成分に含まれるチオール基のモル数](モル比)=1.05)、光重合開始剤としてIrg184を0.20g、Q−1301を0.002g配合しシール材組成物(D−4)を得た。
実施例5(シール材組成物の調製)
製造例3で得られた縮合物(A−3)66.5gに対し、(B)成分としてTAIC」を24.1g、さらに(C)成分としてjER828を9.2g([成分(B)に含まれる炭素‐炭素2重結合のモル数と(C)成分に含まれるエポシキ基の合計モル数]/[(A)成分に含まれるチオール基のモル数](モル比)=1.05)、光重合開始剤としてIrg184を0.20g、Q−1301を0.002g配合しシール材組成物(D−5)を得た。
実施例6(シール材組成物の調製)
製造例1で得られた縮合物(A−1)62.3gに対し、(B)成分としてTAIC」を26.9g、さらに(C)成分としてjER828を10.6g([成分(B)に含まれる炭素‐炭素2重結合のモル数と(C)成分に含まれるエポシキ基の合計モル数]/[(A)成分に含まれるチオール基のモル数](モル比)=0.95)、光重合開始剤としてIrg184を0.20g、Q−1301を0.002g配合しシール材組成物(D−6)を得た。
実施例7(シール材組成物の調製)
製造例1で得られた縮合物(A−1)24.9gに対し、成分(B)として多官能ウレタンアクリレート(荒川化学工業(株)製:商品名「ビームセット550B」、炭素‐炭素二重結合の濃度は2.25ミリモル/g、以下BS−550Bという)74.9g([成分(B)に含まれる炭素‐炭素2重結合のモル数]/[成分(A)に含まれるチオール基のモル数](モル比)=1.05)、Irg184を0.20g、Q−1301を0.002g配合しシール材組成物(D−7)を得た。シール材組成物(D−7)のチオール基の濃度は1.60ミリモル/gであった。
実施例8(シール材組成物の調製)
製造例1で得られた縮合物(A−1)28.8gに対し、成分(B)としてBS−550Bを59.9g、さらに(C)成分としてjER828を11.1g([成分(B)に含まれる炭素‐炭素2重結合のモル数と(C)成分に含まれるエポシキ基の合計モル数]/[(A)成分に含まれるチオール基のモル数](モル比)=1.05)、Irg184を0.20g、Q−1301を0.002g配合しシール材組成物(D−8)を得た。シール材組成物(D−8)のチオール基の濃度は1.85ミリモル/gであった。
実施例9(シール材組成物の調製)
製造例1で得られた縮合物(A−1)30.8gに対し、成分(B)としてBS−550Bを58.4g、さらに(C)成分としてjER828を10.6g([成分(B)に含まれる炭素‐炭素2重結合のモル数と(C)成分に含まれるエポシキ基の合計モル数]/[(A)成分に含まれるチオール基のモル数](モル比)=0.95)]、(モル比)=1.05)、Irg184を0.20g、Q−1301を0.002g配合しシール材組成物(D−8)を得た。シール材組成物(D−9)のチオール基の濃度は1.99ミリモル/gであった。
実施例10(シール材組成物の調製)
製造例1で得られた縮合物(A−1)30.3gに対し、成分(B)として製造例4で得られたウレタンアクリレート(B−1)を69.5g([成分(B)に含まれる炭素‐炭素2重結合のモル数]/[(A)成分に含まれるチオール基のモル数](モル比)=0.95)、Irg184を0.20g、Q−1301を0.002g配合しシール材組成物(D−10)を得た。
実施例11(シール材組成物の調製)
製造例1で得られた縮合物(A−1)30.3gに対し、成分(B)として製造例5で得られたウレタンアクリレート(B−2)を69.5g([成分(B)に含まれる炭素‐炭素2重結合のモル数]/[(A)成分に含まれるチオール基のモル数](モル比)=0.95)、Irg184を0.20g、Q−1301を0.002g配合しシール材組成物(D−11)を得た。
実施例12(シール材組成物の調整)
製造例1で得られた縮合物(A−1)19.1gに対し、成分(B)として製造例6で得られたウレタンアクリレート(B−3)を80.7g([成分(B)に含まれる炭素‐炭素2重結合のモル数]/[(A)成分に含まれるチオール基のモル数](モル比)=0.95)、Irg184を0.20g、Q−1301を0.002g配合しシール材組成物(D−12)を得た。
実施例13(シール材組成物の調製)
製造例1で得られた縮合物(A−1)64.2gに対し、成分(B)としてTAICを30.3g、さらに(C)成分としてjER152を5.3g([成分(B)に含まれる炭素‐炭素2重結合のモル数と(C)成分に含まれるエポシキ基の合計モル数]/[(A)成分に含まれるチオール基のモル数](モル比)=0.95)、光重合開始剤としてIrg184を0.20g、Q−1301を0.002g配合しシール材組成物(D−13)を得た。
実施例14(シール材組成物の調製)
製造例1で得られた縮合物(A−1)65.8gに対し、成分(B)としてTAICを30.3g、さらに(C)成分としてjER630を3.7g([成分(B)に含まれる炭素‐炭素2重結合のモル数と(C)成分に含まれるエポシキ基の合計モル数]/[(A)成分に含まれるチオール基のモル数](モル比)=0.95)、光重合開始剤としてIrg184を0.20g、Q−1301を0.002g配合しシール材組成物(D−14)を得た。
実施例15(シール材組成物の調製)
製造例1で得られた縮合物(A−1)65.7gに対し、成分(B)としてTAICを30.3g、さらに(C)成分としてTEPIC−SP(日産化学工業(株)製:商品名「TEPIC−SP」)を3.8g([成分(B)に含まれる炭素‐炭素2重結合のモル数と(C)成分に含まれるエポシキ基の合計モル数]/[(A)成分に含まれるチオール基のモル数](モル比)=0.95)、光重合開始剤としてIrg184を0.20g、Q−1301を0.002g配合しシール材組成物(D−15)を得た。
比較例1(シール材組成物の調製)
(A)成分として、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)(堺化学工業(株)製:商品名「TMMP」、チオール基の濃度は7.52ミリモル/g、以下、TMMPという)60.2gに対し、成分(B)としてTAICを39.6g([成分(B)に含まれる炭素‐炭素2重結合のモル数]/[成分(A)に含まれるチオール基のモル数](モル比)=1.05)、Irg184を0.20g、Q−1301を0.002g配合しシール材組成物(d−1)を得た。シール材組成物(d−1)のチオール基の濃度は4.53ミリモル/gであった。
比較例2(シール材組成物の調製)
(A)成分としてTMMP 56.3gに対し、成分(B)としてTAICを31.7g、さらに(C)成分としてjER828を11.9g([成分(B)に含まれる炭素‐炭素2重結合のモル数と(C)成分に含まれるエポシキ基の合計モル数]/[(A)成分に含まれるチオール基のモル数](モル比)=1.05)、Irg184を0.20g、Q−1301を0.002g配合しシール材組成物(d−2)を得た。シール材組成物(d−2)のチオール基の濃度は4.24ミリモル/gであった。
Figure 0006988114
表中の注釈および記号は以下の通りである。
*注1);(B)/(A)は、[(成分(B)の炭素−炭素二重結合の合計モル数)]/[成分(A)に含まれるチオール基のモル数](モル比)を表す。
*注2);((B)+(C))/(A)は、[(B)成分の炭素−炭素二重結合と(C)成分に含まれるエポキシ基の合計モル数)]/[(A)成分に含まれるチオール基のモル数](モル比)を表す。
TAIC;トリアリルイソシアヌレート(日本化成(株)製:商品名「TAIC」
BS−550B;ウレタンアクリレート(荒川化学工業(株)製:商品名「ビームセット550B」、炭素‐炭素二重結合の濃度は2.25ミリモル/g)
jER828;ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱化学(株)製:商品名「jER828」)
jER152;フェノールノボラック型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製:商品名「jER152」)
jER630;多官能エポキシ樹脂(三菱化学(株)製:商品名「jER630」)
TEPIC−SP;イソシアヌル酸トリグリシジル(日産化学工業(株)製:商品名「TEPIC−SP」)
Irg184;ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ジャパン(株):商品名「イルガキュア184」)
Q−1301;ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩(和光純薬工業(株)製:商品名「Q−1301」)
TMMP;トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)(堺化学工業(株)製:商品名「TMMP」、チオール基の濃度は7.52ミリモル/g)
各実施例及び比較例のシール材組成物を用いて、密着性、耐熱性、シール性、耐電解液性および耐冷媒性を評価した。
各実施例及び比較例のシール材組成物を各基材上にバーコーターを用いて塗布後、紫外線照射装置を用いて積算光量が300mJとなるよう紫外線を照射し、硬化させてシール材を得た。
(SiO含有率)
得られたシール材のSiO含有率(重量%)は、(A)成分に使用したシルセスキオキサン構造の部分(SiO3/2)、すなわち使用した(a1)成分の重量より一般式(1)のRを除いた重量をSiOの重量と見做し、この値を硬化物全体の重量で除して計算した。
(密着性)
JIS K5400の一般試験法による碁盤目試験により評価した。結果が100/100を○、70/100以上を△、70/100未満を×で表した。
(耐熱性)
アルミ製パウチ袋に電解液ジメチルカーボネートを注入し、前記シール材組成物を塗布して、紫外線照射装置を用いて積算光量が300mJとなるように紫外線を照射し、電解液を封入した。
作成した電解液封入アルミ製パウチ袋を100℃の恒温槽で72時間加熱し、加熱前後の重量減少を求めた。重量変化が1%未満を○、1%以上を×で表した。
(シール性)
前記耐熱性試験において、電解液特有の臭気を感じるかを確認した。臭気を感じない場合を○、感じる場合を×で表した。
(耐電解液性)
テフロンシート上にシール材組成物を0.5g程度流し出し、紫外線照射装置を用いて積算光量が300mJとなるよう紫外線を照射し、シール材組成物を硬化させシール剤を得た。
シール材をジメチルカーボネートに浸し、室温で40時間静置した。液中よりシール材を取り出し、減圧条件下、80℃で3時間乾燥し、前後の重量変化から重量減少率((試験前の硬化物の重量−試験後の硬化物の重量)/試験前の硬化物の重量)を算出した。
(耐冷媒性)
浸す液をガルデンHT−200に変更した他は耐電解液性と同様に評価した。
Figure 0006988114
Figure 0006988114
実施例16(シールされたリチウムイオン電池の作成)
特開2000−243359の実施例1に記載された方法に従い、電極、セパレーター等を準備し、捲回して電極群を作成し、鉄缶へ挿入した。電解液を注入後、ガスケットを装着し、本発明の実施例2、4、5、6、7、10、13で用いたシール材組成物を塗布して光硬化させ、封口して円筒型リチウム電池を作成した。
実施例17
特開2016−146270に記載された電池製造方法に従い、電極、セパレーターを積層した発電要素を作成し、外周部に実施例2、4、5、6、9、10、13で用いたシール材組成物を塗布して光硬化させた発電要素を、捲回して、鉄缶へ挿入した。電解液を注入後、ガスケットを装着し、円筒型リチウム電池を作成した。
実施例18(パウチ型リチウム電池の製造)
特開2000−243359の実施例1に記載された方法に従い、電極、セパレーター等を準備し、パウチ型リチウムイオン電池ケースに挿入した。真空状態において電解液を注入後、ヒートシールし、熱シール済みパウチ型リチウムイオン電池を得た。続いて、本発明のリチウム電池を得るために、上記の熱シール済みパウチ型リチウムイオン電池に実施例2、4、5、7、10、13で用いたシール材組成物を塗布して紫外線照射装置を用いて積算光量が300mJとなるよう紫外線を照射し、硬化させて、封口してパウチ型リチウム電池を作成した。
実施例19
特開2016−146270に記載された電池製造方法に従い、電極、セパレーター等を積層した発電要素を作成し、外周部に実施例2、4、5、6、9、10、13で用いたシール材組成物を塗布して光硬化させた発電要素を、パウチ型リチウムイオン電池ケースに挿入した。真空状態において電解液を注入後、ヒートシールし、封口してパウチ型リチウム電池を作成した。
何れのリチウムイオン電池も動作上の問題は生じなかった。
以上の結果から、当該シール材はリチウムイオン電池用シール材として好適であることが認められる。

Claims (5)

  1. 一般式(1):
    Si(OR (1)
    (式中、Rは少なくとも1つのチオール基を有する炭素数1〜8の炭化水素基、又は、少なくとも1つのチオール基を有する芳香族炭化水素基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、又は、芳香族炭化水素基を表す。)で示されるチオール基含有アルコキシシラン類(a1)の加水分解縮合物であるシルセスキオキサン(A)、及び、炭素−炭素二重結合を2個以上有する化合物(B)を含有し、[(B)成分に含まれる炭素−炭素二重結合のモル数)/(A)成分に含まれるチオール基のモル数](モル比)が0.76〜1.05であり、チオール基の濃度が1.23〜4.24mmol/gであることを特徴とする光硬化型リチウムイオン電池用シール材組成物。
  2. さらにエポキシ基を2個以上有する化合物(C)を含有し、[(B)成分に含まれる炭素−炭素二重結合のモル数と(C)成分に含まれるエポキシ基の合計モル数)/(A)成分に含まれるチオール基のモル数](モル比)が0.9〜1.1である請求項1に記載の光硬化型リチウムイオン電池用シール材組成物。
  3. 請求項1又は2の光硬化型リチウムイオン電池用シール材組成物の硬化物であって、ジメチルカーボネートに25℃で40時間浸漬したときの重量変化率が1%未満であり、かつSiO2の含有率が10〜90%であることを特徴とする光硬化型リチウムイオン電池用シール材。
  4. 正極、負極、及びセパレーターが積層されてなる発電要素の外周部の一部または全部が、請求項3の光硬化型リチウムイオン電池用シール材でシールされていることを特徴とするリチウムイオン電池。
  5. 内部に発電要素および電解質が収容された電池外装体の封止部が、請求項3の光硬化型リチウムイオン電池用シール材でシールされていることを特徴とするリチウムイオン電池。
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