JP6987700B2 - 印刷配線板 - Google Patents
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Description
フレキシブル印刷配線板では、折り曲げを容易にするため、グラウンド導体にメッシュ状の開口を設けることが一般的で、リジッド印刷配線板では、膨れ防止のガス抜き孔や熱プレス時の層間厚調整の樹脂流れ制御を目的に、グラウンド導体に開口を設けることが一般的である。特許文献1−3にあっては、インピーダンス等の特性をコントロールするためにグラウンド導体に四角形の開口を設ける。
(構成例1)
例えば図25に示すようにX軸もしくは、Y軸に沿って互いに並行した信号配線101,101と、グラウンドメッシュ103とを絶縁材層を介して異なる層に配する。本構成例におけるグラウンドメッシュ103のメッシュパターンは、同じ大きさの四角形開口と四角形導体部とをX・Y方向に交互に繰り返し、各四角形の頂点が共有されるパターンである。
このような構成であれば、X軸に平行な信号配線101に対して、一定の割合でグラウンドメッシュ103の導体部が交差する為、信号配線101のインピーダンスを安定させることが可能になる。
しかし、四角形導体部同士の接点103aは、グラウンド導体同士の接続が弱い箇所となり、グラウンド導体が未接続となる可能性も高い。
その結果、リターンパスを適切に確保できなくなる。リターンパスを確保できないと、放射ノイズが発生するという問題もある。
また、X軸及びY軸に斜めの信号配線102a,102bのうち信号配線102aはグラウンドメッシュ103の導体部との交差面積が小さく、信号配線102bのそれは大きい。そのため、斜め信号配線102a,102bでは上記信号配線101とは異なり、信号配線のインピーダンスが安定しない問題がある。
図26に示すように構成例2は、上記構成例1のグラウンドメッシュ103に対して四角形開口が小さいグラウンドメッシュ104を有した構成である。
信号配線101aは、一定の割合でグラウンドメッシュ104の導体部が交差し、リターンパスを適切に確保できる。
しかし、信号配線101bは、開口の間のグラウンドメッシュ104の導体部を通るため、インピーダンスが信号配線101aに対して異なってしまう。
斜め信号配線102a,102bにおいて、信号配線のインピーダンスが安定しない問題は依然として解決しない。
図27に示すように構成例3は、構成例1の変形例として、各四角形開口を自己の中心点回りに45°配置転換して斜めに配置したグラウンドメッシュ105としたものである。
X軸に平行な信号配線101では、位置によってグラウンド導体と交差する割合が変わってしまう為、インピーダンスを一定にすることが難しい。
しかし、グラウンド導体については、導体部同士の接続がしっかりと取れるので、リターンパスの経路が確保できる。
斜め信号配線102a,102bにおいて、信号配線のインピーダンスが安定しない問題は依然として解決しない。
図は省略するが、四角形を多角形や円に変えても、本質的に状況は変わらない。
四角形や円などの単純な形状で、かつグラウンド層に絶縁材層を介して隣接する層の信号配線に対するグラウンド導体の開口率を一定にしようとすると、開口率を優先するあまり、リターンパスを確保できない場合がある。
いずれにしても、単純な開口形状では、信号配線が通る箇所に開口が全くない状況の回避は不可能である。
信号配線の位置によって、積層方向に対向するグラウンド導体の交差面積が異なり、特性インピーダンスも場所によって異なってしまうという問題がある。
互いに重ならない3つの三角形の組合せからなる一つの前記開口を繰り返し、
前記グラウンド導体面上を分割する、前記開口の繰り返しの一単位の矩形状の升目を仮想し、
当該升目の四辺を、一組の対辺である第1辺及び第2辺と、他の一組の対辺である第3辺及び第4辺として、第1辺及び第2辺を結び当該升目を2つの四角形に分ける分割線分を仮想し、前記3つの三角形を第1三角形、第2三角形、第3三角形とし、前記分割線分に平行な方向をX方向、これに垂直な方向をY方向としたとき、
前記開口は、
第1三角形の底辺が前記分割線分を含み、
第2三角形の底辺と第3三角形の底辺とが第1三角形の前記底辺を分割した2線分に相等し、
第1三角形が第3辺又は第4辺に一頂点を置き、
第2三角形及び第3三角形が、互いにかつ第1三角形の前記一頂点ともX方向に異なる位置で第3辺又は第4辺であって第1三角形の前記一頂点が置かれない方に一頂点を置き、
第1三角形、第2三角形及び第3三角形は、いずれの頂点も前記升目の角点から外れ、
前記開口の繰り返しの配列は、
複数の前記開口がY方向に列をなし、
前記列はX方向に複数が並び、
複数の前記列は、隣り合う列の前記分割線分同士がY方向に離間するようにY方向にずれており、
同一列に属する前記開口は同方向に配向する規律に従っている印刷配線板である。
また、三角形形状により50%の開口率を確保でき、開口の外形が6つの線分からなり、その線分の方向も様々な方向に設定できるから、信号配線層の信号配線の向きがどのようになっていても、積層方向に見て信号配線を開口と交差させることができる。
そのため、信号配線の配置に関わらず、信号配線毎のインピーダンス変動を最小限に抑えることが可能である。
以上のように、開口を有したグラウンド導体を配したグラウンド層と、信号配線を配した信号配線層とを絶縁材層を介して積層した印刷配線板において、グラウンドのリターンパスを確保しつつ、配置によらず信号配線のインピーダンスを安定させることができる。
図1、図2に示すように本発明の第1実施形態の印刷配線板1A,1Bは、開口20を有したグラウンド導体Gを配したグラウンド層L2と、信号配線Sを配した信号配線層L1とを絶縁材層4を介して積層し、信号配線Sをソルダーレジスト5で被覆したものである。ソルダーレジスト5をSR層とする。
図1(b)に示す印刷配線板1Aと、図2(b)に示す印刷配線板1Bとでは、前者では開口20の向きがすべて同じであるのに対し、後者では隣の列で開口20の向きが逆向きである点のみ異なり、他は共通である。
グラウンド導体Gの面上を分割する開口の繰り返しの一単位の矩形状の升目21を仮想する。升目21の一つを図3に示す。
開口20の頂点と、升目21の角点とを図3に示すようにa‐kとする。
升目21の四辺は、一組の対辺である第1辺gh及び第2辺ikと、他の一組の対辺である第3辺gk及び第4辺hiである。
第1辺gh及び第2辺ikを結び升目21を四角形ackgと四角形acihとに分ける分割線分22を仮想する。本実施形態では、升目21は正方升目である。したがって、(辺ghの長さ)=(辺hiの長さ)=(辺ikの長さ)=(辺kgの長さ)であり、(角kgh)=(角ghi)=(角hik)=(角ikg)=90度である。また、点aは辺ghの中点、点cは辺ikの中点である。
一つの開口20を構成する3つの三角形は、第1三角形abc、第2三角形aef、第3三角形cedである。
分割線分22に平行な方向がX方向、これに垂直な方向がY方向である。
第1三角形abcの底辺acが分割線分22を含む。本実施形態では、底辺acと分割線分22は等しい。
第2三角形aefの底辺aeと第3三角形cedの底辺ceとが第1三角形abcの底辺acを分割した線分aeと線分ceに相等する。本実施形態では2等分であり、点eは線分acの中点である。
第1三角形abcが第3辺kg又は第4辺hiに一頂点bを置く。ここでは、一頂点bが置かれる方を第4辺hiとする。
第2三角形aef及び第3三角形cedが、互いにかつ第1三角形abcの一頂点bともX方向に異なる位置で第3辺kgに一頂点f、一頂点dを置く。一頂点f、一頂点dが置かれる辺は、第3辺kg又は第4辺hiのうち一頂点bが置かれない方が選ばれる。
一頂点b、一頂点f及び一頂点dのX方向の位置がいずれも異なるので、図1(b)又は図2(b)に示すように開口20を配列した場合に、Y方向に隣接する開口間の間隙を確保でき、その間隙に導体を設けることができる。
第1三角形abc、第2三角形aef及び第3三角形cedは、いずれの頂点も升目21の角点g,h,i,kから外れている。そのため、図1(b)又は図2(b)に示すように開口20を配列した場合に、隣接する開口間の間隙を確保でき、その間隙に導体を設けることができる。
複数の開口20,20,20・・・がY方向に列をなしている。そのため升目21もY方向に列をなしている。
列はX方向に複数が並ぶ。図1(b)又は図2(b)には、4列R1,R2,R3,R4を示すが、必要列数が設けられる。一列内の開口数も同様に必要数が設けられる。
複数の列R1,R2,R3・・・は、隣り合う列(例えばR1とR2)の分割線分22,22同士がY方向に離間するようにY方向にずれている。本実施形態では、隣り合う列の分割線分22,22同士のY方向のずれは、第1辺gh(又は第2辺ikでも同じ)の2分の1の長さである。これにより、隣接する開口間の間隙を均等に確保でき、その間隙に導体を設けることができる。
同一列(例えばR1)に属する開口20は同方向に配向する規律に従っている。
また、図2(b)に示す印刷配線板1Bにあっては、列R1及び列R3内で第1三角形が下向き、列R2及び列R4内で第1三角形が上向きである。すなわち、隣り合う列(例えばR1とR2)同士では、開口の方向が逆方向である。
印刷配線板1A及び印刷配線板1Bのいずれでも同等の特性が得られる。
それに加え、第2三角形aefは一頂点fを共有する2辺afとefの長さが等しい二等辺三角形であり、第3三角形cedは一頂点dを共有する2辺cdとedの長さが等しい二等辺三角形である。
これによりY方向に隣接する開口間の間隙を均等に確保でき、その間隙に導体を設けることができる。
以上の実施形態の印刷配線板1A,1Bによれば、開口20,20同士が離間して開口間の導体部を確保できるため、グラウンドのリターンパスを確保できる。これにより放射ノイズの発生を抑制し、電気特性が向上する。
また、三角形形状により50%の開口率を確保でき、開口の外形が6つの線分からなり、その線分の方向も様々な方向に設定できるから、信号配線層L1の信号配線Sの向きがどのようになっていても、積層方向に見て信号配線Sを開口20と交差させることができる。そのため、信号配線Sの配置に関わらず、信号配線S毎のインピーダンス変動を最小限に抑えることが可能である。
以上のように、開口20を有したグラウンド導体Gを配したグラウンド層L2と、信号配線Sを配した信号配線層L1とを絶縁材層4を介して積層した印刷配線板1A,1Bにおいて、グラウンドのリターンパスを確保しつつ、配置によらず信号配線のインピーダンスを安定させることができる。
以上の印刷配線板1A及び印刷配線板1Bと、比較例1,2の、TDR波形と透過特性(S21)をシミュレーションにより求めた。
共通事項として、絶縁材にガラス布基材エポキシ樹脂を、導電材に銅を適用し、配線距離9mm間の特性をシミュレーションする。また、共通事項としての断面構造と、層厚と、電気的特性を図4に示した。
また以下の(1)〜(3)を共通の指針とする。
(1)リターンパスを確保する。
(2)開口率を50%にする。
(3)線としての信号配線(幅は0と仮定)が、グラウンド導体の開口と交差する。 無理な場合に限り、最低限開口に接触する。
比較例1のグラウンド導体の拡大平面図を図5に示す。升目21は印刷配線板1A,1Bと同じ配列である。升目21に対して正方形開口120を小さくし開口率を50%とした。開口120と接触し得ない信号配線S4が生じ得る。
シミュレーション対象の比較例1のグラウンド導体G及び6本の信号配線S1‐S6の平面図を図6に、1本の信号配線ごとのグラウンド導体Gと信号配線Sの平面図を図7に示す。
比較例1のTDR波形のシミュレーション結果を図8に、透過特性(S21)のシミュレーション結果を図9に示す。
シミュレーション対象の比較例2のグラウンド導体G及び6本の信号配線S1‐S6の平面図を図11に、1本の信号配線ごとのグラウンド導体Gと信号配線Sの平面図を図12に示す。
比較例2のTDR波形のシミュレーション結果を図13に、透過特性(S21)のシミュレーション結果を図14に示す。
本発明例の印刷配線板1AのTDR波形のシミュレーション結果を図17に、透過特性(S21)のシミュレーション結果を図18に示す。
本発明例の印刷配線板1BのTDR波形のシミュレーション結果を図21に、透過特性(S21)のシミュレーション結果を図22に示す。
以上のように比較例1,2に対して本発明例の方が信号配線S1‐S6でインピーダンスが安定することがわかった。比較例に対し本発明例では、インピーダンスの変動を、二分の一から三分の一に抑制できた。
図23、図24に示すように本発明の第2実施形態の印刷配線板1C,1Dは、上記第1実施形態の印刷配線板1A,1Bに対する変形形態である。
上記第1実施形態の印刷配線板1A,1Bでは、第1三角形abcの底辺acと升目21の分割線分22は等しくされた。
これに対し本実施形態の印刷配線板1C,1Dでは、第1三角形abcの底辺acの端部が分割線分22の端から延出していることにより、開口20Bは隣の列の升目21を侵食している。
上記第1実施形態の印刷配線板1A,1Bでは、Y方向の列と列の境界に配置される信号配線S4については、開口20との交差面積が他の信号配線より小さくなり、インピーダンスも低下した。
これに対し本実施形態の印刷配線板1C,1Dでは、Y方向の列と列の境界に配置される信号配線S4について、開口20Bがその境界を渡ることにより、開口20Bとの交差面積が他の信号配線のそれに近くなり、インピーダンスも他の信号配線と近くすることができる。
図23、図24に示す印刷配線板1C,1Dでは点a及び点cが隣の升目21内に侵入する。第1三角形abcの底辺acが升目21の分割線分22より拡大することにより、第2三角形aefの底辺aeと第3三角形cedの底辺ceも拡大する。
点aが隣の升目21内に侵入することにより、信号配線S4の開口20Bとの交差面積を増加させる効果が得られる。同様に点cが隣の升目21内に侵入することにより、信号配線S4の開口20Bとの交差面積を増加させる効果が得られる。したがって、点a及び点cのうちいずれか一方が隣の升目21内に侵入する形態を実施してもよい。
以上の実施形態においては、升目21を正方形としたが、升目を長方形やひし形に変形することなどは、開口率の変化は無く設計の自由度の範囲であり、適宜に設計して実施することができる。
また以上の実施形態に対して、点aや点cをY方向にずらす、点bや点f、点dをX方向にずらすことなども、開口率の変化は無く設計の自由度の範囲であり、適宜に設計して実施することができる。
本発明は以上の実施形態に拘わらず、計画される信号配線の配置に対応して、適宜に変更して実施することができる。製品における具体的な配線に合わせて、容易に最適なグラウンド導体Gの開口の形状と配置が実現できる。
1C,1D 印刷配線板
4 絶縁材層
5 ソルダーレジスト
20 開口
21 升目
22 分割線分
G グラウンド導体
L1 信号配線層
L2 グラウンド層
R1,R2,R3,R4 列
S 信号配線
Claims (9)
- 開口を有したグラウンド導体を配したグラウンド層と、信号配線を配した信号配線層とを絶縁材層を介して積層した印刷配線板であって、
互いに重ならない3つの三角形の組合せからなる一つの前記開口を繰り返し、
前記グラウンド導体面上を分割する、前記開口の繰り返しの一単位の矩形状の升目を仮想し、
当該升目の四辺を、一組の対辺である第1辺及び第2辺と、他の一組の対辺である第3辺及び第4辺として、第1辺及び第2辺を結び当該升目を2つの四角形に分ける分割線分を仮想し、前記3つの三角形を第1三角形、第2三角形、第3三角形とし、前記分割線分に平行な方向をX方向、これに垂直な方向をY方向としたとき、
前記開口は、
第1三角形の底辺が前記分割線分を含み、
第2三角形の底辺と第3三角形の底辺とが第1三角形の前記底辺を分割した2線分に相等し、
第1三角形が第3辺又は第4辺に一頂点を置き、
第2三角形及び第3三角形が、互いにかつ第1三角形の前記一頂点ともX方向に異なる位置で第3辺又は第4辺であって第1三角形の前記一頂点が置かれない方に一頂点を置き、
第1三角形、第2三角形及び第3三角形は、いずれの頂点も前記升目の角点から外れ、
前記開口の繰り返しの配列は、
複数の前記開口がY方向に列をなし、
前記列はX方向に複数が並び、
複数の前記列は、隣り合う列の前記分割線分同士がY方向に離間するようにY方向にずれており、
同一列に属する前記開口は同方向に配向する規律に従っている印刷配線板。 - 前記升目は正方升目である請求項1に記載の印刷配線板。
- 前記分割線分は第1辺の中点と第2辺の中点とを結ぶ請求項1又は請求項2に記載の印刷配線板。
- 隣り合う前記列同士では、開口の方向が同方向である請求項1から請求項3のうちいずれか一に記載の印刷配線板。
- 隣り合う前記列同士では、開口の方向が逆方向である請求項1から請求項3のうちいずれか一に記載の印刷配線板。
- 前記隣り合う列の分割線分同士のY方向のずれは、第1辺の2分の1の長さである請求項1から請求項5のうちいずれか一に記載の印刷配線板。
- 第1三角形は前記一頂点で直角をつくる直角二等辺三角形である請求項1から請求項6のうちいずれか一に記載の印刷配線板。
- 第2三角形及び第3三角形は前記一頂点を共有する2辺の長さが等しい二等辺三角形である請求項1から請求項7のうちいずれか一に記載の印刷配線板。
- 第1三角形の前記底辺の端部が前記分割線分の端から延出していることにより、前記開口は隣の列の升目を侵食している請求項1から請求項8のうちいずれか一に記載の印刷配線板。
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