以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る油圧ショベル101(作業機械)の側面図である。なお、図1には、「上」、「下」、「前」および「後」などの方向が示されているが、当該方向は、本実施形態に係る油圧ショベル101の構造を説明するために便宜上示すものであり、本発明に係る油圧駆動装置、作業機械の使用態様などを限定するものではない。
油圧ショベル101は、下部走行体111と、下部走行体111の上に縦軸回りに旋回可能に支持された上部旋回体121と、を備える。下部走行体111および上部旋回体121は、油圧ショベル101のベースを構成する。上部旋回体121は、上部フレーム131と、上部フレーム131の上に備えられた運転室141およびカウンタウエイト151と、を備える。上部フレーム131は、水平方向に沿って延びる板状部材からなる。運転室141には、油圧ショベル101の作業者が操作する操作レバー(被操作部)などが備えられている。カウンタウエイト151は、上部フレーム131の後方部分に備えられ、油圧ショベル101のバランスを保持する機能を備えている。
更に、上部フレーム131の前方部分には、作業アタッチメント161が装着されている。作業アタッチメント161は、不図示の支持機構によって上部フレーム131に支持されている。作業アタッチメント161は、上部旋回体121に起伏可能に装着されるブーム171と、このブーム171の先端に回動可能に連結されるアーム181と、このアーム181の先端に回動可能に連結されるバケット191と、を備える。なお、ブーム171、アーム181およびバケット191は、本発明の作業用部材を構成する。
作業アタッチメント161には、ブーム用油圧アクチュエータであるブームシリンダ201と、アーム用油圧アクチュエータであるアームシリンダ211と、バケット用油圧アクチュエータであるバケットシリンダ221と、が装着され、これらのシリンダは伸縮可能な油圧シリンダにより構成される。ブームシリンダ201は、作動油の供給を受けることにより伸縮(作動)してブーム171を起伏方向に回動させるようにブーム171と上部旋回体121との間に介在する。アームシリンダ211は、作動油の供給を受けることにより伸縮してアーム181をブーム171に対して水平軸回りに回動させるようにアーム181とブーム171との間に介在する。更に、バケットシリンダ221は、作動油の供給を受けることにより伸縮してバケット191をアーム181に対して水平軸回りに回動させるようにバケット191とアーム181との間に介在する。
なお、本発明が適用される作業機械は油圧ショベル101に限定されない。本発明は、油圧によって駆動される駆動対象物を含む作業機械に広く適用されることが可能である。なお、作業アタッチメントとしては、バケットに加え、破砕機、解体機などが採用できる。
油圧ショベル101は、上部旋回体121の旋回動作や作業アタッチメント161の駆動を制御する油圧駆動装置100を有する。図2は、本実施形態に係る油圧ショベル101の油圧駆動装置100の回路図である。図3は、図2の油圧駆動装置100の一部の回路図である。図4は、本実施形態に係る油圧駆動装置100が有するコントローラ12のブロック図である。
図2を参照して、油圧駆動装置100は、エンジン1と、第1油圧メインポンプ2と、第2油圧メインポンプ3と、コントロールバルブユニット11と、油圧アクチュエータA1〜Anと、操作レバーL1〜Ln(被操作部)と、コントローラ12と、動力伝達機構4と、油圧ポンプモータ5(油圧モータ)と、電磁弁6と、アキュムレータ7と、を有する。また、油圧駆動装置100は、第1ポンプ用圧力センサ8と、第2ポンプ用圧力センサ9と、アキュムレータ用圧力センサ10(蓄圧量検出部)と、複数のチェック弁13と、油タンク14A、14Bと、を有する。更に、油圧駆動装置100は、第1ポンプ用レギュレータ21と、第2ポンプ用レギュレータ31と、ポンプモータ用レギュレータ51と、を有する。
エンジン1は、出力軸1Aを有する。第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3は、出力軸1Aに連結されている。エンジン1は、予め設定された上限トルク以下のトルクを出力するように作動する。換言すれば、エンジン1の出力トルクの上限値は、上記の上限トルクに予め設定されている。
第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3は、相互独立して不図示のタンク内の作動油を吐出するものであり、この実施の形態では、いずれも可変容量式油圧ポンプにより構成されており、エンジン1から入力される動力によってそれぞれ作動油を吐出する。すなわち、第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3は、エンジン1の出力軸1Aに連結され、出力軸1Aから入力される動力によって作動油を吐出する。第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3から吐出された作動油は、コントロールバルブユニット11によって流量制御された状態で、各油圧アクチュエータA1〜Anに供給される。
第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3には、それぞれ第1ポンプ用レギュレータ21および第2ポンプ用レギュレータ31が付設されている。これらの第1ポンプ用レギュレータ21および第2ポンプ用レギュレータ31は後述のコントローラ12のメインポンプ制御部121から容量制御信号の入力を受けることにより第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3の容量をそれぞれ変化させるように作動する。
油圧アクチュエータA1〜Anは、前述のブームシリンダ201と、アームシリンダ211と、バケットシリンダ221と、を含む。また、図2に示される油圧アクチュエータAnは、下部走行体111上で上部旋回体121を旋回させる油圧式の旋回モータである。これらの油圧アクチュエータは、内部に複数の油圧室を備え、第1油圧メインポンプ2または第2油圧メインポンプ3から供給される作動油を前記複数の油圧室のうちの一の油圧室に受け入れるとともに、前記複数の油圧室のうちの他の油圧室から作動油を排出することで作動する。
操作レバーL1〜Lnは、それぞれ、油圧アクチュエータA1〜Anの駆動を指令するための操作を受ける。
動力伝達機構4は、不図示の複数のギアなどによって構成されており、油圧ポンプモータ5とエンジン1の出力軸1Aとを接続する。この結果、エンジン1の作動に伴って、出力軸1Aおよび動力伝達機構4を介して、油圧ポンプモータ5がポンプ機能を実行することが可能となる。また、油圧ポンプモータ5がモータ機能を実行すると、動力伝達機構4および出力軸1Aを介して、油圧ポンプモータ5がエンジン1の駆動をアシストすることが可能となる。
本実施形態では、油圧ポンプモータ5は、両傾転可変容量式のポンプモータ(油圧モータ)である。油圧ポンプモータ5は、エンジン1から入力される動力によって油タンク14Aの作動油を吐出することで、ポンプ動作を実行する。油圧ポンプモータ5によって吐出された作動油は、電磁弁6を通じてアキュムレータ7に蓄圧される。また、油圧ポンプモータ5は、電磁弁6を通じてアキュムレータ7から作動油の供給を受けることで、エンジン1の出力軸1Aを回転させるモータ動作を実行することが可能である。この際、油圧ポンプモータ5は、動力伝達機構4を介して出力軸1Aを回転させることで、エンジン1の駆動をアシストする。
油圧ポンプモータ5には、ポンプモータ用レギュレータ51が付設されている。ポンプモータ用レギュレータ51は後述のコントローラ12のポンプモータ制御部122から容量制御信号の入力を受けることにより油圧ポンプモータ5の傾転(容量)を変化させるように作動する。油圧ポンプモータ5には、ポンプ動作において吐出する作動油のポンプ容量と、モータ動作において受け入れる作動油のモータ容量と、をそれぞれ調整することが可能な容量調整機構を備えている。本実施形態では、油圧ポンプモータ5の傾転がポンプモータ用レギュレータ51を通じて調整されることで、上記のポンプ容量およびモータ容量が調整される。また、油圧ポンプモータ5のポンプ動作とモータ動作との切替えも、傾転量の調整によって行われる。油圧ポンプモータ5の傾転は、コントローラ12のポンプモータ制御部122によって制御される。
アキュムレータ7は、油圧ポンプモータから作動油の供給を受けることで当該作動油のエネルギーを蓄圧する一方、油圧ポンプモータ5に作動油を供給する。
電磁弁6は、油圧ポンプモータ5とアキュムレータ7との間の作動油の流路を切換える。電磁弁6は、コントローラ12の出力部126から出力される切換信号に応じて、第1切換位置6Aと、中立位置6Bと、第2切換位置6Cとの間で切換るように作動する。具体的に、電磁弁6は、第1ソレノイド6Jと、第2ソレノイド6Kと、を有する。コントローラ12から第1ソレノイド6Jに切換信号が入力されると、電磁弁6の位置が第1切換位置6Aに切換る。当該第1切換位置6Aでは、油圧ポンプモータ5が油タンク14Aから供給された作動油を吐出すると、吐出された作動油がアキュムレータ7に供給される(ポンプ機能)。この際、油タンク14Bと油圧ポンプモータ5との間の作動油の流通は遮断される。一方、コントローラ12から第2ソレノイド6Kに切換信号が入力されると、電磁弁6の位置が第2切換位置6Cに切換る。当該第2切換位置6Cでは、油圧ポンプモータ5がアキュムレータ7から作動油の供給を受けることで、動力伝達機構4を介して出力軸1Aに駆動力を出力する(モータ機能)。なお、この際、油圧ポンプモータ5から吐出される作動油は、油タンク14Bに排出される。更に、コントローラ12から第1ソレノイド6Jおよび第2ソレノイド6Kに切換信号が入力されない場合、電磁弁6の位置が中立位置6Bに切換る。当該中立位置6Bでは、油圧ポンプモータ5とアキュムレータ7との間の作動油の流通が遮断される。なお、油タンク14A、14Bと油圧ポンプモータ5との間の作動油の流通は許容される。
第1ポンプ用圧力センサ8および第2ポンプ用圧力センサ9は、それぞれ第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3が吐出する作動油の圧力(吐出圧)を検出する。アキュムレータ用圧力センサ10(蓄圧量検出部)は、アキュムレータ7が蓄圧する作動油の圧力(蓄圧量)を検出する。これらのセンサは、検出した圧力に応じた信号をコントローラ12に出力する。
図3は、図2の油圧駆動装置100の一部の回路図であって、コントロールバルブユニット11の内部を示す回路図である。コントロールバルブユニット11は、各油圧アクチュエータに対応して設けられる複数のコントロールバルブ110を含み、この実施の形態では各コントロールバルブ110はパイロット切換弁により構成される。このパイロット切換弁は、対応する油圧アクチュエータと、この油圧アクチュエータに割り当てられた第1油圧メインポンプ2または第2油圧メインポンプ3との間に介在し、パイロット圧の供給を受けて開閉作動するとともに当該パイロット圧に対応した流量で作動油を前記油圧アクチュエータに導く。コントロールバルブユニット11は、複数のコントロールバルブ110と、リリーフ弁111と、を有する。なお、図3では、複数のコントロールバルブ110のうちの1つのコントロールバルブ110が図示されている。
コントロールバルブ110は、一対のソレノイド110J、110Kを有し、両ソレノイド110J、110Kに切換信号が入力されないときは中立位置110Cに保持され、ソレノイド110Jに切換信号が入力されたときは第1駆動位置110Aに切換えられ、ソレノイド110Kに切換信号が入力されたときは第2駆動位置110Bに切換えられる。このコントロールバルブ110は、中立位置110Cでは油圧アクチュエータA1と第1油圧メインポンプ2及びタンクとの間の作動油の流通を遮断する。また、コントロールバルブ110は、第1駆動位置110Aでは第1油圧メインポンプ2と油圧アクチュエータのヘッド側室との間の作動油の流通を許容するとともに、油圧アクチュエータA1のロッド側室とタンクとの間の作動油の流通を許容する。このため、第1油圧メインポンプ2から吐出された作動油が、油圧アクチュエータA1のヘッド側室に流入し、油圧アクチュエータA1のロッド側室から排出された作動油がタンクに導かれる。この結果、油圧アクチュエータA1が、伸長する。また、コントロールバルブ110は、第1駆動位置110Bでは第1油圧メインポンプ2と油圧アクチュエータのロッド側室との間の作動油の流通を許容するとともに、油圧アクチュエータA1のヘッド側室とタンクとの間の作動油の流通を許容する。このため、第1油圧メインポンプ2から吐出された作動油が、油圧アクチュエータA1のロッド側室に流入し、油圧アクチュエータA1のヘッド側室から排出された作動油がタンクに導かれる。この結果、油圧アクチュエータA1が、収縮する。コントロールバルブ110の位置は、コントローラ12の出力部126から切換信号を受けることで、上記の第1駆動位置110A、第2駆動位置110Bおよび中立位置110Cの間で切換えられる。
リリーフ弁111(図3)は、第1油圧メインポンプ2の吐出ラインの圧力が所定の圧力(リリーフ圧)を超えた場合に、作動油の一部をタンクに排出する。
2つのチェック弁13(図2)は、それぞれ、電磁弁6と油圧ポンプモータ5との間、油タンク14Aと油圧ポンプモータ5との間の作動油の逆流を阻止する。
コントローラ12は、例えばマイクロコンピュータからなり、当該コントローラ12に入力される前記各検出信号に基づいて、コントロールバルブユニット11の各コントロールバルブ110の位置切換動作、電磁弁6の位置切換動作、第1油圧メインポンプ2、第2油圧メインポンプ3および油圧ポンプモータ5の容量設定、表示部15への表示情報の出力動作を制御する。図4は、本実施形態に係る油圧駆動装置100のコントローラ12のブロック図である。コントローラ12は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成され、CPUが前記制御プログラムを実行することで、メインポンプ制御部121、ポンプモータ制御部122、アシスト量演算部123、指令値演算部124、判定部125、出力部126および記憶部127を有するように機能する。また、油圧駆動装置100は、表示部15と、入力部16と、を更に有する。コントローラ12は、油圧ショベル10を統括的に制御するもので、制御信号の送受先として、コントロールバルブユニット11、電磁弁6、第1ポンプ用レギュレータ21、第2ポンプ用レギュレータ31、ポンプモータ用レギュレータ51、第1ポンプ用圧力センサ8、第2ポンプ用圧力センサ9、アキュムレータ用圧力センサ10、操作レバーL1〜Ln、表示部15および入力部16とそれぞれ接続されている。
メインポンプ制御部121は、第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3の容量を制御する。この実施形態に係るメインポンプ制御部121は、前記容量についてポジティブコントロール及び馬力制御(いわゆるPQ制御)の双方を実行する。メインポンプ制御部121は、ポジティブコントロール、すなわち、操作レバーL1〜Lnの操作量に見合ったポンプ容量の設定を行う制御、のための容量演算を行う。一例として、操作レバーL1〜Lnの操作量と、当該操作レバーL1〜Lnにそれぞれ対応する第1油圧メインポンプ2または第2油圧メインポンプ3の容量との関係については、前記操作量の増大に伴って各ポンプ容量が最大容量を上限として直線的に増大する特性が予め設定されており、メインポンプ制御部121は当該特性と各レバー操作量とに基づいてポジティブコントロール用のポンプ容量qp1_posi、qp2_posiを算出する。
また、メインポンプ制御部121は、馬力制御(いわゆるPQ制御)のための容量の演算も行うものであり、具体的には、a)第1ポンプ用圧力センサ8および第2ポンプ用圧力センサ9がそれぞれ検出する第1ポンプ圧Pp1及び第2ポンプ圧Pp2と、b)両ポンプ圧の平均値(以下「平均ポンプ圧」と称する。)Pa(=(Pp1+Pp2)/2)と第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3の容量の平均値との積とについて予め設定された馬力特性と、に基づいて第1油圧メインポンプ2、第2油圧メインポンプ3の容量の平均値Qhaを演算する。
なお、上記の馬力特性としては、例えば図6に示すような特性が用いられる。この特性は、平均ポンプ圧Paが特定値未満の領域ではポンプ容量平均値Qhaを最大値Qhmaxに維持し、前記特定値以上の領域では平均ポンプ圧Paとポンプ容量平均値Qhaとの積を略一定に保つように平均ポンプ圧Paの増大に伴って当該ポンプ容量平均値Qhaを減少させる特性である。
なお、本実施形態に係るアシスト動作が実行される場合は、上記のポジティブコントロール及び馬力制御に基づく各ポンプ容量は、指令値演算部124によって参照され、第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3の最終的なポンプ容量が決定される。また、アシスト動作が実行されない場合は、ポジティブコントロール及び馬力制御に基づく各ポンプ容量から低位選択されたポンプ容量に基づいて、第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3の最終的なポンプ容量が決定される。
ポンプモータ制御部122(モータ制御部)は、指令値演算部124の演算結果に基づいて油圧ポンプモータ5の容量を制御する。この際、ポンプモータ制御部122は、両傾転可変容量式の油圧ポンプモータ5の傾転を制御することで、油圧ポンプモータ5のモータ機能およびポンプ機能を切り換えるとともに、その容量を制御する。なお、本実施形態では、予め、油圧ショベル101の使用時であってエンジン1の負荷が小さい場合に、ポンプとして機能する油圧ポンプモータ5からアキュムレータ7に作動油が蓄圧される。
アシスト量演算部123(アシスト量決定部)は、油圧ポンプモータ5がアキュムレータ7から作動油の供給を受けることによってエンジン1の駆動をアシストするために出力可能なトルクであるアシスト可能トルクを、アキュムレータ用圧力センサ10が検出する前記蓄圧量と油圧ポンプモータ5の最大容量とに基づいて演算(決定)する。
指令値演算部124は、本実施形態に係るアシスト動作の実行時に、操作レバーL1〜Lnが受ける操作量に応じて油圧アクチュエータA1〜Anを駆動するために第1油圧メインポンプ2または第2油圧メインポンプ3が要求する吸収トルクが前記上限トルクよりも大きくなることを許容するように、アシスト量演算部123によって演算された前記アシスト可能トルクに応じて、第1油圧メインポンプ2、第2油圧メインポンプ3および油圧ポンプモータ5の各容量を演算、決定する。
なお、指令値演算部124は、判定部125によって油圧ポンプモータ5によるエンジン1の駆動のアシスト動作の実行が可能と判定された場合に、前記吸収トルクが前記上限トルクよりも大きくなることを許容するように、第1油圧メインポンプ2、第2油圧メインポンプ3および油圧ポンプモータ5の各容量を決定する。また、指令値演算部124は、判定部125によって前記アシスト動作の実行が不可と判定された場合には、前記吸収トルクが前記上限トルクを下回るように、第1油圧メインポンプ2、第2油圧メインポンプ3および油圧ポンプモータ5の各容量を決定する。
判定部125(アシスト動作実行判定部)は、所定の条件に応じて、油圧ポンプモータ5によるエンジン1の駆動のアシスト動作の実行可否を判定する。一例として、判定部125は、アキュムレータ用圧力センサ10によって検出される前記蓄圧量が所定の閾値を超えている場合に油圧ポンプモータ5によるエンジン1の駆動のアシスト動作の実行を可能と判定し、前記蓄圧量が前記閾値を下回っている場合に前記アシスト動作の実行を不可と判定する。更に、判定部125は、操作レバーL1〜Lnを介したブーム171、アーム181およびバケット191などの作業内容に応じて、前記アシスト動作の実行の可否を判定する。
出力部126は、指令値演算部124によって演算された指令値を指令信号に変換し、コントロールバルブ110のソレノイド110J、110K、第1ポンプ用レギュレータ21、第2ポンプ用レギュレータ31、ポンプモータ用レギュレータ51、電磁弁6のソレノイド6J、6Kに出力する。
記憶部127は、指令値演算部124の演算に使用される各種の演算式、閾値などの参照情報を予め記憶している。
表示部15は、油圧ショベル101の運転室141内に備えられている。一例として、表示部15は、タッチパネルからなる。また、表示部15には、油圧ショベルの各種の状態量や作業者に対するメッセージなどが表示される。
入力部16は、油圧ショベル101の運転室141内に備えられている。入力部16は、判定部125による前記アシスト動作の実行可否の判定結果を強制的に決定するための入力信号を受け付ける。
図5は、本実施形態に係る油圧ショベル101の油圧駆動装置100において、油圧ポンプモータ5によるエンジン1のアシスト動作が実行される際のフローチャートである。図6は、油圧駆動装置100において、アシスト動作の有無に応じた馬力特性の変化を示したグラフである。図7は、油圧駆動装置100において、アシスト動作の有無に応じた第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3の要求トルク(吸収トルク)の推移を示したグラフである。
図5を参照して、油圧駆動装置100において、油圧ポンプモータ5によるエンジン1のアシスト動作が実行される際のフローについて説明する。本実施形態では、まず、判定部125によって、アシスト動作の実行可否が判定される(ステップS1)。具体的に、アキュムレータ用圧力センサ10が検出する蓄圧量Paccが予め設定された蓄圧量下限値P0(閾値)以上の場合(ステップS1でYES)には、アシスト動作が実行される(ステップS2)。一方、検出される蓄圧量PaccがP0未満の場合(ステップS1でNO)には、アシスト動作は実行されない(ステップS13)。この場合、ポンプモータ制御部122が油圧ポンプモータ5の容量を最小化し(ステップS14)、電磁弁6を中立位置6Bに設定する。このようなステップS1の判定によって、アキュムレータ7の残圧が少ない状態でアシスト動作が実行されることが防止される。このため、アキュムレータ7の圧力Paccがゼロとなり機器の破損に繋がることが防止される。
一方、油圧ポンプモータ5によるエンジン1のアシスト動作の実行が決定とされると(ステップS2)、ステップS3において、アシスト量演算部123が最大アシスト可能トルクTa_maxを演算する。なお、最大アシスト可能トルクTa_maxは、アキュムレータ7からの作動油の供給を受けて油圧ポンプモータ5がモータとして機能した場合の出力軸1Aをアシストできる最大のトルクである。最大アシスト可能トルクTa_maxは、アキュムレータ用圧力センサ10が検出するアキュムレータ圧力Paccと油圧ポンプモータ5がモータとして作用する際の最大容量qpm_maxとに基づいて、以下の式1によって演算、決定される。
Ta_max=(Pacc×qpm_max)/(2π) ・・・(式1)
次に、アシスト量演算部123は、ステップS4において、アシスト可能トルクTaを演算する。アシスト可能トルクTaは、以下の式2のように、最大アシスト可能トルクTa_maxに対して、1以下の任意のアシスト比率Raを乗じることで決定される。
Ta=Ta_max×Ra ・・・(式2)
なお、アシスト比率Raは、予め任意に設定される一定の値(たとえば、0.8)であっても良いし、アキュムレータ7のアキュムレータ圧力Paccに応じて変化するような可変値であっても良い。
次に、ステップS5において、指令値演算部124がメインポンプ(第1油圧メインポンプ2または第2油圧メインポンプ3)のトルク制限増加量Tp_incを、以下の式3に基づいて決定する。
Tp_inc=min(Ta、Tinc_max) ・・・(式3)
メインポンプのトルク制限増加量Tp_incは、メインポンプの要求トルクがエンジン1の許容トルク(上限トルク)を超過しないように一般的に行なわれるポンプ馬力制御によって制限される要求トルクの最大値を、後のステップS6においてどれだけ増加させるかを示す値である。本実施形態では、式3に示すように、前述のアシスト可能トルクTaと予め設定される任意の設定値Tinc_maxとの低位選択により、メインポンプのトルク制限増加量Tp_incが決定される。なお、このような低位選択が行なわれず、常にメインポンプの要求トルクがアシスト可能トルクTa分だけ増大されるように、トルク制限増加量Tp_incが設定されてもよい。
次に、指令値演算部124は、ステップS6において、式4〜式6に基づいて、アシスト制御およびポンプ馬力制御によって決定される、第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3のポンプ容量qp1_pq_newおよびqp2_pq_new(馬力制御容量)を演算する。
qpq=(Tp_max+Tp_inc)×2π/(Pp1+Pp2) ・・・(式4)
qp1_pq_new=qpq ・・・(式5)
qp2_pq_new=qpq ・・・(式6)
すなわち、本実施形態に係るポンプ馬力制御によって決定される各ポンプ容量qp1_pq_newおよびqp2_pq_newは、式4に示されるように、従来のポンプ馬力制御に応じた要求トルクの最大値Tp_maxと、ステップS5で決定されたトルク制限増加量Tp_incと、第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3の吐出圧Pp1およびPp2とから演算される。なお、式4のTp_maxは、メインポンプ制御部121が馬力制御によって決定した各ポンプ容量から導出されるトルクに相当する。そして、トルク制限増加量Tp_incがゼロよりも大きい場合には、式4によって演算されるポンプ容量qpqが従来のポンプ馬力制御に基づくポンプ容量よりも大きくなる。なお、馬力制御(PQ制御)では、Tp_maxがエンジン1の上限トルクを鑑みて任意に設定されていることを前提として、Tp_maxの値とその時点での圧力(吐出圧)に基づいて、各ポンプの容量が決定される。従って、Tp_maxは、予め任意の値に設定されている。ここで、馬力制御の目的の一つがエンストを防ぐことにあるため、Tp_maxはエンジン1の上限トルク以下に設定される。
次に、指令値演算部124は、式7および式8に基づいて、第1ポンプ用レギュレータ21および第2ポンプ用レギュレータ31に対して出力するための最終的なポンプ容量指令値qp1_newおよびqp2_newを演算する(ステップS7)。
qp1_new=min(qp1_posi,qp1_pq_new) ・・・(式7)
qp2_new=min(qp2_posi,qp2_pq_new) ・・・(式8)
すなわち、最終的なポンプ容量指令値qp1_newおよびqp2_newは、ポジコン制御容量qp1_posiおよびqp2_posiと、ステップS6において決定されたポンプ馬力制御に基づくポンプ容量qp1_pq_newおよびqp2_pq_newの低位選択により決定される。なお、前述のように、ポジコン制御容量qp1_posiおよびqp2_posiは、操作レバーL1〜Lnが受ける操作量に基づいて第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3の各ポンプ容量を決定する、前述のポジコン制御(ポジティブコントロールシステム)によって決定されるポンプ容量である。
次に、指令値演算部124は、第1ポンプ用レギュレータ21および第2ポンプ用レギュレータ31に対して上記の最終的なポンプ容量指令値qp1_newおよびqp2_newを出力した場合における、第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3の実要求トルク増加量Tp_inc_real(吸収トルクの増加量)を、式9〜式14に基づいて演算する(ステップS8)。
Tp_real=(Pp1×qp1_real+Pp2×qp2_real)/2π ・・・(式9)
Tp_inc_real=((Pp1×qp1_new_real+Pp2×qp2_new_real)/2π)−Tp_real ・・・(式10)
qp1_real=min(qp1,qp1_max) ・・・(式11)
qp2_real=min(qp2,qp2_max) ・・・(式12)
qp1_new_real=min(qp1_new,qp1_max) ・・・(式13)
qp2_new_real=min(qp2_new,qp2_max) ・・・(式14)
なお、式9で演算されるTp_realは、本実施形態に係るアシスト動作を実行しない場合、換言すれば、従来のポジコン制御のみによって決定される実要求トルクに相当する。また、式10で演算されるTp_inc_realは、本実施形態に係るアシスト動作(特に、ステップS3〜S7)から導出される実要求トルクから式9の実要求トルクTp_realを差し引くことで導出される実要求トルク増加量である。式11で決定されるqp1_realは、従来のポジコン制御のみによって決定される第1油圧メインポンプ2の実容量に相当する。同様に、式12で決定されるqp2_realは、従来のポジコン制御のみによって決定される第2油圧メインポンプ3の実容量に相当する。また、式11で参照されるqp1は、従来のポジコン制御において第1ポンプ用レギュレータ21に対して出力される第1油圧メインポンプ2の容量指令値であり、式12で参照されるqp2は、従来のポジコン制御において第2ポンプ用レギュレータ31に対して出力される第2油圧メインポンプ3の容量指令値である。また、式11、式13で参照されるqp1_maxは、第1油圧メインポンプ2の最大容量であり、式12、式14で参照されるqp2_maxは、第2油圧メインポンプ3の最大容量である。また、式13で決定されるqp1_new_realは、本実施形態に係るポンプ容量制御によって決定される第1油圧メインポンプ2の実容量に相当する。同様に、式14で決定されるqp2_new_realは、本実施形態に係るポンプ容量制御によって決定される第2油圧メインポンプ3の実容量に相当する。
上記のステップS8について換言すれば、指令値演算部124は、ポンプ容量指令を与えた場合の第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3の実容量(qp1_new_real、qp2_new_real)を、ポジコン制御によって決定される容量指令(qp1_new、qp2_new)と機械的に決まるポンプ最大容量(qp1_max、qp2_max)との低位選択により決定する。そして、指令値演算部124は、求めた各ポンプの実容量と、第1ポンプ用圧力センサ8および第2ポンプ用圧力センサ9によって計測される各吐出圧Pp1、Pp2から、メインポンプ(第1油圧メインポンプ2、第2油圧メインポンプ3)の要求トルクを演算した上で、当該演算された要求トルク(Tp_real)と従来の制御における要求トルクとの差分から、メインポンプの実要求トルクの増加量Tp_inc_realを求める。
ステップS8において、メインポンプの実要求トルク増加量Tp_inc_realが演算されると、指令値演算部124は、油圧ポンプモータ5のモータ作用によりアシストするトルクの大きさTa_realを、上記の実要求トルク増加量Tp_inc_realとする(ステップS9、式15)。
Ta_real=Tp_inc_real ・・・(式15)
更に、指令値演算部124は、アシストトルクTa_realを得るために必要なモータ容量qpmを、アシストトルクTa_realとアキュムレータ圧paccとに基づいて決定する(ステップS10、式16)。
qpm=(Ta_real×2π)/Pacc ・・・(式16)
そして、メインポンプ制御部121が、ステップS7において演算されたポンプ容量指令値qp1_newおよびqp2_newを第1ポンプ用レギュレータ21および第2ポンプ用レギュレータ31に出力することで、第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3の容量が設定される(ステップS11)。また、ポンプモータ制御部122が、ステップS10において演算されたモータ容量qpmをポンプモータ用レギュレータ51に出力することで、油圧ポンプモータ5の容量が設定される(ステップS11)。そして、出力部126から電磁弁6の第2ソレノイド6Kに対して指令信号が出力されることで、電磁弁6が第2切換位置6C(アシスト位置)に切り換えられる。この結果、アキュムレータ7から油圧ポンプモータ5に作動油が供給され、油圧ポンプモータ5がモータ動作を実行することで、動力伝達機構4を介して出力軸1Aの駆動がアシストされる。
従来、油圧ショベル101の掘削作業では、第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3の要求トルク(吸収トルク)がエンジン1の許容トルク(上限トルク)以下に制限されていた。このため、油圧アクチュエータA1〜Anの駆動速度と、作業者が要求する作業速度との間には大きな差が生じていた。一方、本実施形態では、上記のようなアシスト制御が実行されることによって、各油圧アクチュエータの駆動速度を作業者が要求する速度に近づけることが可能となる。
なお、図6を参照して、操作レバーL1が受けた操作量に対応するポジコン制御上のポンプ容量がLPと仮定されると、従来のポンプ制御では図6の馬力制御におけるポンプ容量QLまでポンプ実容量が低減されていた(矢印QA)。一方、本実施形態では、アキュムレータ7の蓄圧量に応じて、油圧ポンプモータ5によるエンジン1の出力軸1Aのアシスト動作が実行可能とされる。そして、図6に示すように、本実施形態では、アシスト制御に基づくポンプ容量QMが馬力制御におけるポンプ容量QLよりも大きく設定されることが可能となる(矢印QB)。
この結果、図7に示すように、従来のポンプ要求トルク(吸収トルク)TLの推移と比較して、エンジン1の許容トルクTRを上回る範囲まで第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3のポンプ要求トルクTMを増加させることができる。ポンプ要求トルクTMが増加されると、第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3が吐出する作動油の流量が増加する。このため、第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3が吐出する作動油によって駆動される各油圧アクチュエータA1〜Anの駆動速度が上昇し、作業性を向上することができる。
以上のように、本実施形態では、例えば油圧ショベル101の掘削作業など、エンジン1の許容トルクにより油圧アクチュエータA1〜Anの作業速度が制限されていた従来の構成と比較して、エンジン1の許容トルク以上に第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3の要求トルクを増加させることができる。このため、従来よりも油圧アクチュエータA1〜Anの作業速度を向上することが可能となる。したがって、各油圧アクチュエータA1〜Anの駆動速度を作業者が要求する速度に近づけることが可能となる。
また、本実施形態では、アキュムレータ用圧力センサ10によって検出されるアキュムレータ7の蓄圧量(Pacc)が予め設定された閾値を下回る場合には、油圧ポンプモータ5によるエンジン1のアシスト制御、ならびに第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3の要求トルクの増加制御を行わないようにすることで、アキュムレータ7のアキュムレータ圧Paccがゼロとなってしまい、機器の破損、故障に繋がることが防止される。
なお、判定部125は、操作レバーL1〜Lnを通じた油圧ショベル101の作業内容に応じて、油圧ポンプモータ5によるエンジン1のアシスト動作、並びに第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3の要求トルク増加制御の有効、無効を切り換えてもよい。この場合、第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3のポンプ要求トルクが同程度の作業同士であっても、作業の種類に応じて作業速度を増大させる作業と、増大させない作業とを切り換えることができる。したがって、作業者が要求する作業速度に対応する作業の自由度が向上する。例えば、土を掘る掘削作業では、油圧アクチュエータA1〜Anの作業速度が増大させると、土の反力が増加してかえって油圧ショベル101の部材の寿命が低下することが懸念される。したがって、操作内容に応じて、アシスト動作の有効、無効が切り換えられることで、機械寿命への影響を最小限に抑えることが可能となる。なお、入力部16(図4)が、判定部125によるアシスト動作の実行可否の判定結果を強制的に決定するための入力信号を作業者から受け付ける態様でもよい。この場合、アシスト動作の実行可否を作業者が判断し、入力部16を通じてコントローラ12にアシスト動作の実行可否情報が入力される。
なお、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。本発明に係る作業機械として、以下のような変形実施形態が可能である。
(1)上記の実施形態では、エンジン1の負荷が小さい場合に、油圧ポンプモータ5からアキュムレータに作動油が蓄圧される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、油圧ショベル101において、ブーム下げ動作や旋回減速動作が実行されている場合に、油圧アクチュエータA1〜Anから排出された作動油の回生エネルギーがアキュムレータ7に蓄圧されてもよい。
(2)また、上記の実施形態では、油圧アクチュエータA1〜Anへの作動油の給排における流量制御方法として、2つ油圧メインポンプ(第1油圧メインポンプ2、第2油圧メインポンプ3)のポジティブコントロールシステムを挙げたが、油圧ポンプの数は上記の実施形態とは異なっても良く、またネガティブコントロールシステムやロードセンシングシステムなど異なる流量制御方法が油圧駆動装置100に適用された場合であっても、本発明に係るアシスト動作が同様に実施可能である。
(3)また、上記の実施形態では、図5に示すフローチャートに基づいて、油圧ポンプモータ5によるエンジン1のアシスト動作が実行される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図8は、本発明の変形実施形態に係る油圧駆動装置において、油圧モータ5によるエンジン1のアシスト動作が実行される際のフローチャートである。
本変形実施形態では、図8のステップS21〜S27が実行される。換言すれば、本変形実施形態では、図5のステップS1、S2、S4、S5、S12〜S15が省略されている。図8のように、図5のステップS1が備えられていない場合、アキュムレータ7の蓄圧量によらず本発明のアシスト動作が実行されてもよい。なお、予めアキュムレータ7の蓄圧量が表示部15(図4)に表示されることで、作業者によってアシスト動作の実行が判定されてもよい。
また、本変形実施形態では、ステップS21において、前述の最大アシスト可能トルクTa_maxが演算される。そして、ステップS22において、指令値演算部124が図5のステップS6と同様に、第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3のポンプ容量qp1_pq_newおよびqp2_pq_new(馬力制御容量)を演算する。この際、式4におけるトルク制限増加量Tp_incは、式3において、最大アシスト可能トルクTa_maxと予め設定される任意の設定値Tinc_maxとの低位選択により決定される。更に、ステップS23では、指令値演算部124が、図5のステップS7と同様に、最終的なポンプ容量指令値qp1_newおよびqp2_newを演算する。また、ステップS24では、指令値演算部124が、図5のステップS8と同様に、第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3の実要求トルク増加量Tp_inc_real(吸収トルクの増加量)を、式9〜式14に基づいて演算する。更に、ステップS25では、指令値演算部124が、図5のステップS9と同様に、油圧ポンプモータ5のモータ作用によりアシストするトルクの大きさTa_realを、上記の実要求トルク増加量Tp_inc_realとする(式15)。その後、ステップS26において、指令値演算部124は、図5のステップS10と同様に、アシストトルクTa_realを得るために必要なモータ容量qpmを、アシストトルクTa_realとアキュムレータ圧paccとに基づいて決定する(式16)。そして、ステップS27において、メインポンプ制御部121が、ステップS23において演算されたポンプ容量指令値qp1_newおよびqp2_newを第1ポンプ用レギュレータ21および第2ポンプ用レギュレータ31に出力することで、第1油圧メインポンプ2および第2油圧メインポンプ3の容量が設定される。また、ポンプモータ制御部122が、ステップS26において演算されたモータ容量qpmをポンプモータ用レギュレータ51に出力することで、油圧ポンプモータ5の容量が設定される。なお、図5のステップS12の電磁弁6の切換に代わって、他の切換手段によってアキュムレータ7と油圧ポンプモータ5との間の作動油の流路が切換えられてもよい。
(4)また、上記の実施形態では、図5のステップS5(式3)において、トルク同士の比較(低位選択)が行われ、当該結果に基づいて、ステップS6では、ポンプ容量が演算される態様にて説明したが、本発明はこのフローに限定されるものではない。図5のステップS5において、ポンプ容量同士の比較(低位選択)が行われ、当該結果に基づいて、ステップS6では、トルクの演算が行われる態様でもよい。
(5)また、上記の各実施形態では、油圧ポンプモータ5が本発明に係る油圧モータとして機能する態様にて説明したが、油圧モータは油圧ポンプモータ5に限定されるものではなく、ポンプ機能を有さないものでもよい。この場合、アキュムレータ7への蓄圧は他のポンプによって実行されてもよい。