図1は、本発明の第一実施例に係る油圧ショベルを示す側面図である。油圧ショベルは、クローラ式の下部走行体1の上に、旋回機構2を介して、上部旋回体3を旋回自在に搭載する。
上部旋回体3は、前方中央部に、ブーム4、アーム5、及びバケット6と、それらのそれぞれを駆動するブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9とから構成される掘削アタッチメントを搭載する。また、上部旋回体3は、操作者が乗り込むためのキャビン10を前部に搭載し、駆動源としてのエンジン(図示せず。)を後部に搭載する。なお、以下では、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ(図示せず。)、旋回用油圧モータ(図示せず。)等を集合的に「油圧アクチュエータ」と称するものとする。
図2は、第一実施例に係る油圧ショベルに搭載される油圧回路の構成例を示す概略図である。なお、図2は、高圧油路、パイロット油路、及び電気駆動・制御系をそれぞれ実線、破線、及び点線で示すものとする。
第一実施例において、油圧回路は、エンジンによって駆動される二つのメインポンプ12L、12Rから、センターバイパス管路40L、40Rのそれぞれを経て油タンクまで圧油を循環させる。
メインポンプ12L、12Rは、高圧油路を介して圧油を制御弁150、流量制御弁151〜159のそれぞれに供給するための装置であり、例えば、斜板式可変容量型油圧ポンプである。なお、メインポンプ12L、12Rのポンプ制御方式は、ネガティブコントロール制御、ポジティブコントロール制御、ロードセンシング制御等の何れであってもよい。
センターバイパス管路40Lは、流量制御弁151、153、155、157及び158を連通する高圧油路であり、センターバイパス管路40Rは、制御弁150、並びに、流量制御弁152、154、156及び159を連通する高圧油路である。
制御弁150は、走行直進弁であり、下部走行体2を駆動する左右の走行用油圧モータ(図示せず。)とそれ以外の他の油圧アクチュエータとが同時に操作された場合に作動するスプール弁である。具体的には、制御弁150は、下部走行体2の直進性を高めるべくメインポンプ12Lのみから流量制御弁151及び流量制御弁152のそれぞれに圧油を循環させるために圧油の流れを切り換えることができる。
流量制御弁151は、メインポンプ12Lが吐出する圧油を左の走行用油圧モータ(図示せず。)で循環させるために圧油の流れを切り換えるスプール弁であり、流量制御弁152は、メインポンプ12L又は12Rが吐出する圧油を右の走行用油圧モータ(図示せず。)で循環させるために圧油の流れを切り換えるスプール弁である。
流量制御弁153は、メインポンプ12L又は12Rが吐出する圧油を旋回用油圧モータ(図示せず。)で循環させるために圧油の流れを切り換えるスプール弁である。
流量制御弁154は、メインポンプ12Rが吐出する圧油をバケットシリンダ9へ供給し、且つ、バケットシリンダ9内の圧油を油タンクへ排出するためのスプール弁(バケット流量制御弁)である。
また、流量制御弁154は、閉じ側位置(図中右側のスプール位置)における、バケットシリンダ9のロッド側油室と油タンクとを繋ぐCTポートにメータアウト絞り154Aを備える。
メータアウト絞り154Aは、バケット操作レバー16Cが閉じ方向に操作された場合に、バケットシリンダ9におけるロッド側油室内の圧油が油タンクに向かって急激に流出するのを防止するための絞りである。
流量制御弁155は、油圧モータ又は油圧シリンダを駆動するために利用可能な予備のスプール弁である。
流量制御弁156、157は、メインポンプ12L、12Rが吐出する圧油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の圧油を油タンクへ排出するために圧油の流れを切り換えるスプール弁(ブーム流量制御弁)である。なお、流量制御弁156は、ブーム操作レバー16Bが操作された場合に常に作動するスプール弁(以下、「第一ブーム流量制御弁」とする。)である。また、流量制御弁157は、ブーム操作レバー16Bが所定のレバー操作量以上で操作された場合にのみ作動するスプール弁(以下、「第二ブーム流量制御弁」とする。)である。
流量制御弁158、159は、メインポンプ12L、12Rが吐出する圧油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の圧油を油タンクへ排出するために圧油の流れを切り換えるスプール弁(アーム流量制御弁)である。なお、流量制御弁158は、アーム操作レバー16Aが操作された場合に常に作動する弁(以下、「第一アーム流量制御弁」とする。)である。また、流量制御弁159は、アーム操作レバー16Aが所定のレバー操作量以上で操作された場合にのみ作動する弁(以下、「第二アーム流量制御弁」とする。)である。
また、第一アーム流量制御弁158は、閉じ側位置(図中右側のスプール位置)における、アームシリンダ8のロッド側油室と油タンクとを繋ぐCTポートにメータアウト絞り158Aを備える。
メータアウト絞り158Aは、アーム操作レバー16Aが閉じ方向に操作された場合に、アームシリンダ8におけるロッド側油室内の圧油が油タンクに向かって急激に流出するのを防止するための絞りである。
アーム操作レバー16Aは、アーム5を操作するための操作装置であって、コントロールポンプ(図示せず。)が吐出する圧油を利用して、レバー操作量に応じたパイロット圧を第一アーム流量制御弁158の左右何れかのパイロットポートに導入させる。なお、第一実施例では、アーム操作レバー16Aは、閉じ方向のレバー操作量が所定のレバー操作量以上の場合には、第二アーム流量制御弁159の右側のパイロットポートにも圧油を導入させるようにする。
ブーム操作レバー16Bは、ブーム4を操作するための操作装置であって、コントロールポンプが吐出する圧油を利用して、レバー操作量に応じたパイロット圧を第一ブーム流量制御弁156の左右何れかのパイロットポートに導入させる。なお、第一実施例では、ブーム操作レバー16Bは、上げ方向のレバー操作量が所定のレバー操作量以上の場合には、第二ブーム流量制御弁157の右側のパイロットポートにも圧油を導入させるようにする。
バケット操作レバー16Cは、バケット6を操作するための操作装置であって、コントロールポンプが吐出する圧油を利用して、レバー操作量に応じたパイロット圧を流量制御弁154の左右何れかのパイロットポートに導入させる。
アーム閉じパイロット圧センサ17Aは、アーム操作量検出部の一例であり、アーム操作レバー16Aにおける閉じ方向のレバー操作量(レバー操作角度)を圧力として検出する圧力センサであって、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
ブーム上げパイロット圧センサ17Bは、ブーム操作量検出部の一例であり、ブーム操作レバー16Bにおける上げ方向のレバー操作量(レバー操作角度)を圧力として検出する圧力センサであって、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
バケット閉じパイロット圧センサ17Cは、バケット操作量検出部の一例であり、バケット操作レバー16Cにおける閉じ方向のレバー操作量(レバー操作角度)を圧力として検出する圧力センサであって、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
左右走行レバー(又はペダル)及び旋回操作レバー(何れも図示せず。)は、それぞれ、下部走行体2の走行、及び、上部旋回体3の旋回を操作するための操作装置である。これらの操作装置は、アーム操作レバー16A等と同様に、コントロールポンプが吐出する圧油を利用して、レバー操作量(又はペダル操作量)に応じたパイロット圧を左右の走行用油圧モータ及び旋回用油圧モータのそれぞれに対応する流量制御弁の左右何れかのパイロットポートに導入させる。また、これらの操作装置のそれぞれに対する操作者の操作内容(レバー操作方向及びレバー操作量である。)は、圧力センサ17A〜17Cと同様に、対応する圧力センサによって圧力の形で検出され、検出値がコントローラ30に対して出力される。
メインリリーフ弁19は、メインポンプ12L又は12Rの吐出圧が所定のリリーフ圧以上となった場合に圧油を油タンクに排出して吐出圧を所定のリリーフ圧未満に制御する安全弁である。
可変リリーフ弁20Aは、アームシリンダ8におけるロッド側油室の圧力が所定のリリーフ圧以上となった場合に圧油を油タンクに排出してロッド側油室の圧力を所定のリリーフ圧未満に制御する安全弁である。
また、可変リリーフ弁20Bは、ブームシリンダ7におけるロッド側油室の圧力が所定のリリーフ圧以上となった場合に圧油を油タンクに排出してロッド側油室の圧力を所定のリリーフ圧未満に制御する安全弁である。
また、可変リリーフ弁20Cは、バケットシリンダ9におけるロッド側油室の圧力が所定のリリーフ圧以上となった場合に圧油を油タンクに排出してロッド側油室の圧力を所定のリリーフ圧未満に制御する安全弁である。
また、可変リリーフ弁20A、20B、20Cは、コントローラ30が出力する制御信号に応じてそのリリーフ圧を変更可能であり、好適には、制御信号に応じてリリーフ圧を低下させるようにする。
なお、可変リリーフ弁20A、20B、20Cは、リリーフ圧が固定である既存の安全弁を置き換える形で取り付けられてもよく、既存の安全弁とは別に独立して取り付けられてもよい。既存の安全弁を置き換える場合には可変リリーフ弁20A、20B、20Cの取り付けに要するコストを抑制する効果がある。
コントローラ30は、油圧回路を制御するための制御装置であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータで構成される。
また、コントローラ30は、制御実行判定部300及びリリーフ圧制御部301のそれぞれに対応するプログラムをROM等の不揮発性記憶媒体から読み出してRAM等の揮発性記憶媒体に展開しながら、それぞれに対応する処理をCPUに実行させる。
具体的には、コントローラ30は、圧力センサ17A〜17C等が出力する検出値を受信し、それら検出値に基づいて制御実行判定部300及びリリーフ圧制御部301のそれぞれによる処理を実行する。
その後、コントローラ30は、制御実行判定部300及びリリーフ圧制御部301のそれぞれの処理結果に応じた制御信号を適宜に可変リリーフ弁20A、20B、20Cに対して出力する。
制御実行判定部300は、掘削アタッチメントによる掘削作業中にリリーフ圧制御部301によるリリーフ圧変更処理(後述)を実行するか否かを判定するための機能要素であり、例えば、アーム操作レバー16Aの閉じ方向のレバー操作量と、ブーム操作レバー16Bの上げ方向のレバー操作量とに基づいて制御開始条件(制御解除条件)が成立したか否かを判定する。
具体的には、制御実行判定部300は、アーム操作レバー16Aの閉じ方向のレバー操作量が所定の上限側操作領域にあり、かつ、ブーム操作レバー16Bの上げ方向のレバー操作量が所定の中間操作領域にある場合に制御開始条件が成立したものと判定する。
「上限側操作領域」とは、操作対象を所望の操作方向に操作するために操作レバーを最大レバー操作角度付近まで操作したときのレバー操作量の範囲を意味する。例えば、上限側操作領域は、アーム5を閉じ方向に操作するためにアーム操作レバー16Aをフル操作したときのアーム操作レバー16Aのレバー操作量、及び、バケット6を閉じ方向に操作するためにバケット操作レバー16Cをフル操作したときのバケット操作レバー16Cのレバー操作量を含む。
「中間操作領域」とは、操作対象を所望の操作方向に緩慢操作するために操作レバーを操作したときのレバー操作量の範囲を意味する。例えば、中間操作領域は、ブーム4を上げ方向に緩慢操作するためにブーム操作レバー16Bを操作したときのブーム操作レバー16Bのレバー操作量を含む。
より具体的には、中間操作領域は、掘削作業中(アーム5を閉じ方向に操作している最中)において、油圧ショベルがジャッキアップされるのを防止すべくブーム4を上げ方向に操作するためにブーム操作レバー16Bを操作したときのブーム操作レバー16Bのレバー操作量を含む。
また、上限側操作領域は、その下限が中間操作領域の上限と同じになるように設定されてもよく、その下限と中間操作領域の上限との間に一定の間隔を空けるように設定されてもよい。
リリーフ圧制御部301は、可変リリーフ弁20A、20B、20Cのリリーフ圧を制御するための機能要素であり、以下、リリーフ圧制御部301がリリーフ圧を変更する処理を「リリーフ圧変更処理」と称する。
リリーフ圧制御部301は、例えば、制御実行判定部300により制御開始条件が成立したと判定された場合に、可変リリーフ弁20A、20B、20Cのリリーフ圧を低下させる。この場合、低下後のリリーフ圧は、あらかじめ登録された一定値であってもよく、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9のそれぞれのロッド側油室の圧力に応じて変化する可変値であってもよい。また、リリーフ圧は、一定値または可変値に向かってステップ状に下げられてもよく、一定値または可変値に向かって一定の時間で徐々に下げられてもよい。
また、リリーフ圧制御部301は、制御実行判定部300により制御開始条件が成立したと判定されてリリーフ圧を低下させた後で、制御実行判定部300により制御開始条件が成立していない(制御解除条件が成立した)と改めて判定された場合には、可変リリーフ弁20A、20B、20Cのリリーフ圧を元の値に戻すようにする。
なお、リリーフ圧制御部301は、非制御時のリリーフ圧を低く設定しておいて、制御実行判定部300により制御開始条件が成立していない(制御解除条件が成立した)と判定された場合に、可変リリーフ弁20A、20B、20Cのリリーフ圧を制御時のリリーフ圧まで増加させるようにしてもよい。結果として、掘削作業中のリリーフ圧が、掘削作業中でない場合のリリーフ圧より低くなるようにすることができる。
ここで、図3を参照しながら、制御実行判定部300が、掘削アタッチメントによる掘削作業中にリリーフ圧制御部301によるリリーフ圧変更処理を実行するか否かを判定する処理(以下、「制御実行判定処理」とする。)の一例について説明する。なお、図3は、第一実施例に係る油圧ショベルで実行される制御実行判定処理の流れを示すフローチャートであり、この制御実行判定処理は、油圧ショベルが作動している間、継続的に実行されるものとする。なお、制御判定フラグFの初期値(コントローラ30が起動されたときの初期化処理セット値)は「0」であるものとする。
最初に、制御実行判定部300は、アーム操作レバー16Aの閉じ方向のレバー操作量が上限側操作領域にあり、かつ、ブーム操作レバー16Bの上げ方向のレバー操作量が中間操作領域にあるか否かを判定する。
具体的には、制御実行判定部300は、アーム閉じパイロット圧センサ17Aの出力であるアーム閉じパイロット圧が所定の閾値α以上であるか否かを判定する(ステップST1)。この場合、アーム閉じパイロット圧が所定の閾値α以上であることは、アーム操作レバー16Aの閉じ方向のレバー操作量が所定の上限側操作領域にあることを意味する。
アーム閉じパイロット圧が閾値α以上であると判定した場合(ステップST1のYES)、制御実行判定部300は、ブーム上げパイロット圧センサ17Bの出力であるブーム上げパイロット圧が所定の閾値β以上でかつ所定の閾値γ(>β)以下であるか否かを判定する(ステップST2)。この場合、ブーム上げパイロット圧が所定の閾値β以上でかつ所定の閾値γ以下であることは、ブーム操作レバー16Bの上げ方向のレバー操作量が所定の中間操作領域にあることを意味する。
ブーム上げパイロット圧が閾値β以上でかつ閾値γ以下であると判定した場合(ステップST2のYES)、制御実行判定部300は、制御開始条件が成立したと判定して制御判定フラグFに「1」をセットする(ステップST3)。
一方、アーム閉じパイロット圧が閾値α未満であると判定した場合(ステップST1のNO)、制御実行判定部300は、制御開始条件が成立していない(制御解除条件が成立した)と判定して制御判定フラグFに「0」をセットする(ステップST4)。アーム操作レバー16Aの閉じ方向のレバー操作量が上限側操作領域にないと判断できるからである。
また、アーム閉じパイロット圧が閾値α以上であると判定した場合であっても、ブーム上げパイロット圧が閾値β未満又は閾値γより大きいと判定した場合には(ステップST2のNO)、制御実行判定部300は、制御開始条件が成立していない(制御解除条件が成立した)と判定して制御判定フラグFに「0」をセットする(ステップST4)。ブーム操作レバー16Bの上げ方向のレバー操作量が中間操作領域にないと判断できるからである。
なお、制御実行判定部300は、ブーム上げパイロット圧が閾値β以上でかつ閾値γ以下であるか否かの判定を行った後で、アーム閉じパイロット圧が閾値α以上であるか否かの判定を行うようにしてもよく、それらの判定を同時に行うようにしてもよい。以下で説明する他の実施例についても同様である。
ここで、図4を参照しながら、掘削アタッチメントによる掘削作業中におけるリリーフ圧制御部301によるリリーフ圧変更処理の一例について説明する。なお、図4は、リリーフ圧変更処理の流れを示すフローチャートであり、このリリーフ圧変更処理は、油圧ショベルが作動している間、継続的に実行されるものとする。
最初に、リリーフ圧制御部301は、制御実行判定処理においてセットされた制御判定フラグFを読み込み(ステップST11)、制御判定フラグFが「1」であるか「0」であるかを判定する(ステップST12)。
制御判定フラグFが「1」であると判定した場合(ステップST12のYES)、リリーフ圧制御部301は、可変リリーフ弁20A、20Bに対して制御信号を出力し、可変リリーフ弁20A、20Bのリリーフ圧を低下させる(ステップST13)。
具体的には、リリーフ圧制御部301は、可変リリーフ弁20A、20Bのリリーフ圧を、掘削作業を行っていない場合に適した所定の第一設定値から、掘削作業を行っている場合に適した所定の第二設定値まで低下させる。なお、リリーフ圧が既に第二設定値となっている場合、リリーフ圧制御部301は、リリーフ圧を第二設定値のまま維持する。
その後、リリーフ圧制御部301は、バケット操作レバー16Cの閉じ方向のレバー操作量が上限側操作領域にあるか否かを判定する。
具体的には、リリーフ圧制御部301は、バケット閉じパイロット圧センサ17Cの出力であるバケット閉じパイロット圧が所定の閾値δ以上であるか否かを判定する(ステップST14)。
バケット閉じパイロット圧が閾値δ以上であると判定した場合(ステップST14のYES)、リリーフ圧制御部301は、可変リリーフ弁20Cに対して制御信号を出力し、可変リリーフ弁20Cのリリーフ圧を低下させる(ステップST15)。
具体的には、リリーフ圧制御部301は、可変リリーフ弁20Cのリリーフ圧を、掘削作業を行っていない場合に適した所定の第一設定値から、掘削作業を行っている場合に適した所定の第二設定値まで低下させる。
一方、制御判定フラグFが「1」でない(「0」である)と判定した場合(ステップST12のNO)、リリーフ圧制御部301は、可変リリーフ弁20A、20B、20Cのそれぞれに対して制御信号を出力し、可変リリーフ弁20A、20B、20Cのそれぞれのリリーフ圧を第二設定値から第一設定値に復帰させる(ステップST16)。なお、リリーフ圧が既に第一設定値となっている場合、リリーフ圧制御部301は、リリーフ圧を第一設定値のまま維持する。
このようにして、リリーフ圧制御部301は、可変リリーフ弁20A、20B、20Cのリリーフ圧を切り替え、掘削作業中のリリーフ圧が、掘削作業中でない場合のリリーフ圧よりも低くなるようにすることができる。
なお、可変リリーフ弁20Cのリリーフ圧を低下させるための追加条件(ステップST14の判定であり、バケット操作レバー16Cが閉じ方向に操作されたことを確認すること。)を入れたのは、バケット6の操作性を悪化させないようにするためである。具体的には、可変リリーフ弁20A、20Bと同じタイミングで、バケット閉じパイロット圧に関係なく可変リリーフ弁20Cのリリーフ圧を低下させた場合、バケット操作レバー16Cを操作していないにもかかわらずバケット6が閉じてしまうおそれがあるためである。但し、リリーフ圧制御部301は、可変リリーフ弁20A、20Bと同じタイミングで、バケット閉じパイロット圧に関係なく可変リリーフ弁20Cのリリーフ圧を低下させてもよい。
また、可変リリーフ弁20Aの第一設定値は、典型的には、可変リリーフ弁20Bの第一設定値よりも大きい。可変リリーフ弁20Aの第一設定値が、アーム5の自重によりアーム5を閉じる際のアーム5の動きが速くなるのを抑制するメータアウト絞り158Aで発生する背圧を考慮した値であるのに対し、可変リリーフ弁20Bの第一設定値は、そのようなメータアウト絞りの存在を考慮していないためである。但し、可変リリーフ弁20Aの第一設定値は、可変リリーフ弁20Bの第一設定値とは独立して設定される値であるため、可変リリーフ弁20Bの第一設定値以下の値であってもよい。
反対に、可変リリーフ弁20Aの第二設定値は、典型的には、可変リリーフ弁20Bの第二設定値よりも小さい。可変リリーフ弁20Bの第二設定値が低すぎると、ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力が低くなりすぎ、掘削作業中のアーム5の閉じ方向への操作による掘削反力により、ブーム操作レバー16Bを操作していないにもかかわらずブーム4が上昇してしまうおそれがあるためである。そのため、可変リリーフ弁20Bの第二設定値は、ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力が所定圧(例えば、ブーム操作レバー16Bを操作していないにもかかわらずブーム4が上昇するのを抑制可能な圧力である。)未満となるのを防止できるように設定される。なお、可変リリーフ弁20Aの第二設定値が可変リリーフ弁20Bの第二設定値より低い値(例えば、ゼロ[MPa]である。)に設定されたとしても、掘削作業中の掘削アタッチメントの動きに悪影響を及ぼすことはない。掘削作業中にはアーム操作レバー16Aの閉じ方向のレバー操作量が上限側操作領域にあり、アーム5が閉じ方向にフル操作されるためである。但し、可変リリーフ弁20Aの第二設定値は、可変リリーフ弁20Bの第二設定値とは独立して設定される値であるため、可変リリーフ弁20Bの第二設定値以下の値であってもよい。
次に、図5を参照しながら、第一アーム流量制御弁158の閉じ側位置、第一ブーム流量制御弁156の上げ側位置、及びバケット流量制御弁154の閉じ側位置のそれぞれにおける開口特性の例について説明する。なお、図5(A)は、第一アーム流量制御弁158における閉じ側位置(図2の右側のスプール位置)の開口線図であり、図5(B)は、第一ブーム流量制御弁156における上げ側位置(図2の右側のスプール位置)の開口線図であり、図5(C)は、バケット流量制御弁154における閉じ側位置(図2の右側のスプール位置)の開口線図である。また、図5(A)〜図5(C)のそれぞれは、PTポート開口面積、PCポート開口面積、CTポート開口面積の推移をそれぞれ実線、破線、一点鎖線で示し、パイロットポートに作用する圧力(パイロット圧)の推移を点線で示す。なお、開口面積を表す線分のそれぞれは左側の縦軸に属し、パイロット圧は右側の縦軸に属するものとする。
図5(A)は、アーム閉じパイロット圧が増加するにつれて、第一アーム流量制御弁158の閉じ方向へのスプールストロークが増加する関係を示す。
また、図5(A)は、スプールストロークが値P1になるまでPTポート開口面積が急激に減少し、その後、比較的緩やかに減少を継続してゼロに至る推移を示す。この推移は、アーム操作レバー16Aが閉じ方向に操作された場合に、レバー操作量に応じてセンターバイパス管路40Lを流れる圧油が減少することを表す。
また、図5(A)は、スプールストロークが値P2付近になったときにPCポート開口面積が増加し始め、スプールストロークが値P3になるまで比較的緩やかに増加し、その後、急激に増加する推移を示す。この推移は、アーム操作レバー16Aが閉じ方向に操作された場合に、レバー操作量に応じた量の圧油がアームシリンダ8のボトム側油室に流入可能となることを表す。
また、図5(A)は、スプールストロークが値P2付近になったときにCTポート開口面積が増加し始め、スプールストロークが最大となるまで比較的緩やかに増加する推移を示す。この推移は、アーム操作レバー16Aが閉じ方向に操作された場合であっても、CTポート開口面積が小さめに設定されているため、アームシリンダ8のロッド側油室にある圧油の油タンクへの急激な流出が防止されることを表す。
図5(B)は、ブーム上げパイロット圧が増加するにつれて、第一ブーム流量制御弁156の上げ方向へのスプールストロークが増加する関係を示す。
また、図5(B)は、スプールストロークが値P1になるまでPTポート開口面積が急激に減少し、その後、比較的緩やかに減少を継続してゼロに至る推移を示す。この推移は、ブーム操作レバー16Bが上げ方向に操作された場合に、レバー操作量に応じてセンターバイパス管路40Rを流れる圧油が減少することを表す。
また、図5(B)は、スプールストロークが値P2付近になったときにPCポート開口面積が増加し始め、スプールストロークが値P3になるまで比較的緩やかに増加し、その後、急激に増加する推移を示す。この推移は、ブーム操作レバー16Bが上げ方向に操作された場合に、レバー操作量に応じた量の圧油がブームシリンダ7のボトム側油室に流入可能となることを表す。
また、図5(B)は、スプールストロークが値P2付近になったときにCTポート開口面積が増加し始め、値P3になるまで比較的緩やかに増加し、その後、急激に増加する推移を示す。この推移は、ブーム操作レバー16Bが上げ方向に操作された場合に、レバー操作量に応じた量の圧油がブームシリンダ7のロッド側油室に流入可能となることを表す。
図5(C)は、バケット閉じパイロット圧が増加するにつれて、バケット流量制御弁154の閉じ方向へのスプールストロークが増加する関係を示す。
また、図5(C)は、スプールストロークが値P1になるまでPTポート開口面積が急激に減少し、その後、比較的緩やかに減少を継続してゼロに至る推移を示す。この推移は、バケット操作レバー16Cが閉じ方向に操作された場合に、レバー操作量に応じてセンターバイパス管路40Rを流れる圧油が減少することを表す。
また、図5(C)は、スプールストロークが値P2付近になったときにPCポート開口面積が増加し始め、スプールストロークが値P3になるまで比較的緩やかに増加し、その後、急激に増加する推移を示す。この推移は、バケット操作レバー16Cが閉じ方向に操作された場合に、レバー操作量に応じた量の圧油がバケットシリンダ9のボトム側油室に流入可能となることを表す。
また、図5(C)は、スプールストロークが値P2付近になったときにCTポート開口面積が増加し始め、スプールストロークが最大となるまで比較的緩やかに増加する推移を示す。この推移は、バケット操作レバー16Cが閉じ方向に操作された場合であっても、CTポート開口面積が小さめに設定されているため、バケットシリンダ9のロッド側油室にある圧油の油タンクへの急激な流出が防止されることを表す。
このように、図5(A)及び図5(C)に示す開口特性は、スプールストロークが最大となっても、メータアウト絞り158A、154AによりCTポート開口面積が低く抑えられる点で、図5(B)に示す開口特性と相違する。そのため、第一ブーム流量制御弁156は、ブーム操作レバー16Bを上げ方向にフル操作する場合には、アーム5、バケット6を閉じ方向にフル操作する場合のメータアウト絞り158A、154Aによる背圧ほど大きな背圧を発生させることはない。しかしながら、第一ブーム流量制御弁156は、掘削・床掘り作業の際にブーム操作レバー16Bを上げ方向に緩慢操作する場合(すなわち、スプール位置が中立位置と上げ側位置との中間にある場合である。)には、CTポートのところで大きな背圧を発生させ、ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力を増大させてしまう。掘削作業の際に可変リリーフ弁20Bのリリーフ圧を低下させることは、このような状況を回避するために有効である。リリーフ圧の低下により、例えば、掘削作業の際に機体がジャッキアップして浮かび上がるのを防止すべくブームシリンダ7のロッド側油室の圧力を低減させるためにブーム操作レバー16Bを上げ方向に揺動させるといった操作(ロッド側油室の圧抜き操作)が不要となる。また、このような圧抜き操作の回避は、メインポンプ12L、12Rの吐出圧の変動の回避、ポンプ入力馬力の変動の回避、エンジン回転数の変動の回避に繋がり、燃料消費量の減少をもたらす。
次に、図6を参照しながら、アームシリンダ8のロッド側油室と油タンクとを繋ぐ油路の総開口面積の推移の一例について説明する。なお、第一実施例では、アームシリンダ8のロッド側油室と油タンクとを繋ぐ油路は、第一アーム流量制御弁158における閉じ側位置のCTポートと可変リリーフ弁20Aが配置される油路との二つの油路で構成され、総開口面積は、CTポート開口面積と可変リリーフ弁開口面積との合計で表されることとなる。
図6(A)〜図6(D)は、アーム閉じパイロット圧、CTポート開口面積、可変リリーフ弁開口面積、及び、総開口面積(アームシリンダ8のロッド側油室と油タンクとを繋ぐ油路の総開口面積)のそれぞれの時間的推移を示す。
時刻t1において、アーム操作レバー16Aが閉じ方向に操作されると、アーム閉じパイロット圧は、図5(A)で示すように閉じ方向のレバー操作量に応じて上昇し、時刻t2において、アーム操作レバー16Aの閉じ方向のレバー操作量が最大値に達すると、閾値αを超えて最大圧P1MAXに至る。
CTポート開口面積は、時刻t1において、アーム閉じパイロット圧の上昇と共に上昇し、時刻t2において、最大面積A1MAXに至る。可変リリーフ弁20Aの開口面積は、アームシリンダ8のロッド側油室の圧力がリリーフ圧未満であるため、時刻t2においてもゼロのままである。その結果、総開口面積は、CTポート開口面積と同じ推移を辿り、時刻t2において、CTポート開口面積の最大面積A1MAXに至る。
その後、アーム閉じパイロット圧が閾値α以上の状態で、ブーム上げパイロット圧が閾値β以上でかつ閾値γ以下になると、制御実行判定部300により制御判定フラグFに「1」がセットされ、リリーフ圧制御部301によるリリーフ圧の切り替えが行われる。そして、時刻t3において、アームシリンダ8のロッド側油室の圧力が切り替え後のリリーフ圧よりも大きい状態となると、可変リリーフ弁20Aが全開され、可変リリーフ弁20Aの開口面積は、最大面積A2MAXに至る。その結果、総開口面積は、CTポート開口面積と可変リリーフ弁開口面積との合計であるA1MAX+A2MAXに至る。なお、最大面積A2MAXは、好適には、最大面積A1MAXよりも大きな値とされ、例えば、最大面積A1MAXの二倍以上の値とされる。
このように、可変リリーフ弁開口面積は、アーム閉じパイロット圧が閾値α以上となった後で、すなわち、CTポート開口面積が最大面積A1MAXに達した後で、瞬時に最大面積A2MAXまで増大することとなるが、CTポート開口面積が最大面積A1MAXに達する前に増大するものであってもよい。
また、可変リリーフ弁20Aは、制御開始条件が成立した場合に、リリーフ圧を第一設定値から第二設定値まで瞬時に低下させるが、リリーフ圧を第一設定値から第二設定値まで徐々に低下させるようにしてもよい。
図6(C)及び図6(D)の一点鎖線は、制御開始条件が成立した場合にリリーフ圧を第一設定値から第二設定値まで徐々に低下させたときの可変リリーフ弁開口面積及び総開口面積のそれぞれの推移を示す。
図6(C)及び図6(D)の一点鎖線で示すように、リリーフ圧を徐々に低下させた場合、可変リリーフ弁20Aの開口面積は、最大面積A2MAXに向かって徐々に増大することとなる。可変リリーフ弁20Aの開口面積は、リリーフ圧とアームシリンダ8のロッド側油室の圧力(>リリーフ圧)との間の差が大きいほど、大きくなる傾向を有するためである。
次に、図7を参照しながら、ブームシリンダ7のロッド側油室と油タンクとを繋ぐ油路の総開口面積の推移の一例について説明する。なお、第一実施例では、ブームシリンダ7のロッド側油室と油タンクとを繋ぐ油路は、第一ブーム流量制御弁156における上げ側位置のCTポートと可変リリーフ弁20Bが配置される油路との二つの油路で構成され、総開口面積は、CTポート開口面積と可変リリーフ弁開口面積との合計で表される。
図7(A)〜図7(D)は、ブーム上げパイロット圧、CTポート開口面積、可変リリーフ弁開口面積、及び、総開口面積(ブームシリンダ7のロッド側油室と油タンクとを繋ぐ油路の総開口面積)のそれぞれの時間的推移を示す。
時刻t1において、ブーム操作レバー16Bが上げ方向に操作されると、ブーム上げパイロット圧は、図5(B)で示すように上げ方向のレバー操作量に応じて上昇し、時刻t2において、ブーム操作レバー16Bの上げ方向のレバー操作量が中間操作領域に達した後、閾値βと閾値γとの間を推移する。
CTポート開口面積は、時刻t1において、ブーム上げパイロット圧の上昇と共に上昇し、その後はブーム上げパイロット圧の変動に応じて最大面積A3MAX未満の値で変動する。可変リリーフ弁20Bの開口面積は、ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力がリリーフ圧未満であるため、時刻t2においてもゼロのまま推移し、総開口面積は、CTポート開口面積と同じ推移を辿る。
その後、アーム閉じパイロット圧が閾値α以上の状態で、ブーム上げパイロット圧が閾値β以上でかつ閾値γ以下になると、制御実行判定部300により制御判定フラグFに「1」がセットされ、リリーフ圧制御部301によるリリーフ圧の切り替えが行われる。そして、時刻t3において、ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力が切り替え後のリリーフ圧よりも大きい状態となると、可変リリーフ弁20Bが全開され、可変リリーフ弁20Bの開口面積は、最大面積A4MAXに至る。その結果、総開口面積は、CTポート開口面積と可変リリーフ弁開口面積の最大面積A4MAXとの合計となる。なお、最大面積A4MAXは、好適には、最大面積A3MAXよりも大きな値とされ、例えば、最大面積A3MAXの二倍以上の値とされる。
また、可変リリーフ弁20Bは、制御開始条件が成立した場合に、リリーフ圧を第一設定値から第二設定値まで瞬時に低下させるが、リリーフ圧を第一設定値から第二設定値まで徐々に低下させるようにしてもよい。
図7(C)及び図7(D)の一点鎖線は、制御開始条件が成立した場合にリリーフ圧を第一設定値から第二設定値まで徐々に低下させたときの可変リリーフ弁開口面積及び総開口面積のそれぞれの推移を示す。
図7(C)及び図7(D)の一点鎖線で示すように、リリーフ圧を徐々に低下させた場合、可変リリーフ弁20Bの開口面積は、最大面積A4MAXに向かって徐々に増大することとなる。可変リリーフ弁20Bの開口面積は、リリーフ圧とブームシリンダ7のロッド側油室の圧力(>リリーフ圧)との間の差が大きいほど、大きくなる傾向を有するためである。
次に、図8を参照しながら、バケットシリンダ9のロッド側油室と油タンクとを繋ぐ油路の総開口面積の推移の一例について説明する。なお、第一実施例では、バケットシリンダ9のロッド側油室と油タンクとを繋ぐ油路は、バケット流量制御弁154における閉じ側位置のCTポートと可変リリーフ弁20Cが配置される油路との二つの油路で構成され、総開口面積は、CTポート開口面積と可変リリーフ弁開口面積との合計で表されることとなる。
図8(A)〜図8(D)は、バケット閉じパイロット圧、CTポート開口面積、可変リリーフ弁開口面積、及び、総開口面積(バケットシリンダ9のロッド側油室と油タンクとを繋ぐ油路の総開口面積)のそれぞれの時間的推移を示す。
時刻t1において、バケット操作レバー16Cが閉じ方向に操作されると、バケット閉じパイロット圧は、図5(A)で示すように閉じ方向のレバー操作量に応じて上昇し、時刻t2において、バケット操作レバー16Cの閉じ方向のレバー操作量が最大値に達すると、閾値δを超えて最大圧P3MAXに至る。なお、時刻t1では既に、アーム閉じパイロット圧が閾値α以上であり、ブーム上げパイロット圧が閾値β以上でかつ閾値γ以下であり、制御実行判定部300により制御判定フラグFに「1」がセットされ、リリーフ圧制御部301による可変リリーフ弁20A、20Bのリリーフ圧の切り替えが行われているものとする。また、時刻t1と時刻t2との間で、バケット閉じパイロット圧は、閾値δ未満のレベルで推移するが、これは、掘削作業前半でバケット6の先端を掘削対象に進入させやすくするためのバケット6を閉じる操作に対応する。したがって、この期間は、バケット6の操作性を確保するために総開口面積が低めに維持される必要がある。
CTポート開口面積は、時刻t1において、バケット閉じパイロット圧の上昇と共に上昇し、時刻t2において、最大面積A5MAXに至る。可変リリーフ弁20Cの開口面積は、バケットシリンダ9のロッド側油室の圧力がリリーフ圧未満であるため、時刻t2においてもゼロのままである。その結果、総開口面積は、CTポート開口面積と同じ推移を辿り、時刻t2において、CTポート開口面積の最大面積A5MAXに至る。
その後、時刻t3において、バケットシリンダ9のロッド側油室の圧力が切り替え後のリリーフ圧よりも大きい状態となると、可変リリーフ弁20Cが全開され、可変リリーフ弁20Cの開口面積は、最大面積A6MAXに至る。その結果、総開口面積は、CTポート開口面積と可変リリーフ弁開口面積との合計であるA5MAX+A6MAXに至る。なお、最大面積A6MAXは、好適には、最大面積A5MAXよりも大きな値とされ、例えば、最大面積A5MAXの二倍以上の値とされる。
このように、可変リリーフ弁開口面積は、バケット閉じパイロット圧が閾値δ以上となった後で、すなわち、CTポート開口面積が最大面積A5MAXに達した後で、瞬時に最大面積A6MAXまで増大することとなるが、CTポート開口面積が最大面積A5MAXに達する前に増大するものであってもよい。
また、可変リリーフ弁20Cは、制御開始条件が成立した場合に、リリーフ圧を第一設定値から第二設定値まで瞬時に低下させるが、リリーフ圧を第一設定値から第二設定値まで徐々に低下させるようにしてもよい。
図8(C)及び図8(D)の一点鎖線は、制御開始条件が成立した場合にリリーフ圧を第一設定値から第二設定値まで徐々に低下させたときの可変リリーフ弁開口面積及び総開口面積のそれぞれの推移を示す。
図8(C)及び図8(D)の一点鎖線で示すように、リリーフ圧を徐々に低下させた場合、可変リリーフ弁20Cの開口面積は、最大面積A6MAXに向かって徐々に増大することとなる。可変リリーフ弁20Cの開口面積は、リリーフ圧とバケットシリンダ9のロッド側油室の圧力(>リリーフ圧)との間の差が大きいほど、大きくなる傾向を有するためである。
以上の構成により、第一実施例に係る油圧ショベルは、掘削作業のためにリリーフ圧制御部301によるリリーフ圧の切り替えが必要であると判定した場合に限り、可変リリーフ弁20A、20Cのリリーフ圧の設定を変更する。その結果、第一実施例に係る油圧ショベルは、メータアウト絞り154Aを介さずにバケットシリンダ9におけるロッド側油室内の圧油を油タンクに向かって流出させることができ、或いは、メータアウト絞り158Aを介さずにアームシリンダ8におけるロッド側油室内の圧油を油タンクに向かって流出させることができる。その結果、掘削作業の際に、メータアウト絞り154A、158Aに起因する無駄なエネルギ消費が発生したり、水平引き作業や床掘り作業前半の際等、空中でアーム5やバケット6を閉じる際にアーム5やバケット6の動きが速くなったりするのを防止することができる。
また、第一実施例に係る油圧ショベルは、掘削作業のためにリリーフ圧制御部301によるリリーフ圧の切り替えが必要であると判定した場合に限り、可変リリーフ弁20Bのリリーフ圧の設定を変更する。その結果、第一実施例に係る油圧ショベルは、第一ブーム流量制御弁156を介さずにブームシリンダ7におけるロッド側油室内の圧油を油タンクに向かって流出させることができる。その結果、掘削作業の際に、第一ブーム流量制御弁156の開口特性に起因する無駄なエネルギ消費が発生したり、ブーム操作レバー16Bを操作していないにもかかわらずブーム4が上昇したりするのを防止することができる。