JP6987542B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真感光体の製造方法に関する。
近年、有機電子写真感光体(以下、単に「電子写真感光体」と称する。)の最表面の層(以下、「表面層」と称する。)には、耐久性を高めるために硬化型表面層が用いられている。硬化型表面層は、主要な構成材料として硬化樹脂(架橋樹脂)を用いることで、電子写真感光体の表面の耐摩耗性を向上させることができる。一方で、長期間の使用を通じて、電子写真感光体の表面とクリーニングブレードとの摩擦力の上昇を抑えることが求められる。
電子写真感光体の表面の低摩擦化のため、特許文献1には、四フッ化エチレン樹脂粒子などのフッ素原子含有樹脂粒子を電子写真感光体の表面層に含有させる技術が開示されている。また、フッ素原子含有樹脂粒子の分散性を高める目的で、分散剤を併用する方法が知られている。分散剤には、分散させるフッ素原子含有樹脂粒子への高い付着力、および、フッ素原子含有樹脂粒子の濡れ性を高めるためのマトリックス成分との相溶性が求められる。それらの観点から、フッ素原子含有樹脂粒子の分散剤としては、界面活性機能を有するものが必要とされる。それとともに、分散剤には、電子写真特性に対して大きな弊害を与えない含有量でその機能を発揮することが求められる。
特許文献2には、特定構造のフッ化アルキル基および特定の構造単位を有する重合体を分散剤として用いることで、表面層中のフッ素原子含有樹脂粒子を良好に分散させる技術が開示されている。
特許文献3には、特定の構造単位を有し、特定の重量平均分子量であるフッ化アルキル基含有共重合体を分散剤として用いることで、フッ素原子含有樹脂粒子の凝集を抑え、表面層が厚膜である場合の偏摩耗を抑制する技術が開示されている。
特許文献4には、フッ素原子含有樹脂粒子を高速液衝突分散により分散させた後、さらに超音波を照射することで、分散液の長期安定性を向上させる技術が開示されている。
特開平06−332219号公報 特開2009−104145号公報 特開2012−185300号公報 特開2005−62734号公報
表面層にフッ素原子含有樹脂粒子および分散剤を含有させる場合、通常、これらを含有する表面層用塗布液が用いられる。
上述の分散剤を含有する表面層用塗布液の中でも、硬化することで硬化樹脂となる重合性モノマーを含有する表面層用塗布液(硬化型表面層用塗布液)においては、フッ素原子含有樹脂粒子の分散が難しくなる場合がある。その場合、表面層用塗布液中でフッ素原子含有樹脂粒子が凝集し、沈降しやすい。そのような表面層用塗布液を用いて表面層(硬化型表面層)を形成した場合、表面層中でフッ素原子含有樹脂粒子が凝集した状態で存在しやすくなる。このような分散が難しい系であっても、分散剤を多量に入れることで粒子の分散性向上が多少期待できるが、一方で、過剰な分散剤が、表面層と他の層との界面または表面層中で電荷トラップとなり、電子写真特性を悪化させる場合がある。そのため、フッ素原子含有樹脂粒子の分散剤としては、より適切に設計された材料の選択および塗布液の製造方法が必要となる。
本発明の一態様は、硬化型表面層中でフッ素原子含有樹脂粒子が一次粒子により近い粒径にまで分散された状態で存在し、かつ、電子写真特性が良好な電子写真感光体の製造方法を提供することに向けたものである。
本発明の一態様は、
支持体および該支持体上の感光層を有する電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法であって
該電子写真感光体の表面層が、
硬化樹脂と、
フッ素原子含有樹脂粒子と、
下記式(1)で示される構造単位および下記式(a)で示される構造単位を有し、かつ、重量平均分子量が40,000以上129,000以下である重合体と、
を含有し、
該重合体が有する構造単位が、下記式(1)で示される構造単位および下記式(a)で示される構造単位のみであり、
該重合体における下記式(1)で示される構造単位と下記式(a)で示される構造単位との共重合比(式(1):式(a))が、モル比で99:1〜20:80であり、
該硬化樹脂が、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物の硬化物であり、
該連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物が、下記式(H−5)で示される正孔輸送性化合物であり、
該製造方法が、
該フッ素原子含有樹脂粒子、該重合体および溶剤を混合し、高圧分散装置を用いて分散処理を行い、第1の分散液を得る工程(i)と、
該工程(i)の後、該第1の分散液に超音波を照射し、第2の分散液を得る工程(ii)と、
該工程(ii)の後、該第2の分散液と、下記式(H−5)で示される正孔輸送性化合物 とを混合して、表面層用塗布液を調製する工程(iii)と、
該工程(iii)の後、該表面層用塗布液の塗膜を形成し、該塗膜中の下記式(H−5)で示される正孔輸送性化合物 を硬化させて前記表面層を形成する工程(iv)と、
を有する
ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
Figure 0006987542
(式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基を示す。Rは、アルキレン基を示す。Rfは、炭素原子数4以上6以下のパーフルオロアルキル基を示す。)
Figure 0006987542
(上記式(a)中、R101は水素原子またはメチル基を示す。Yは2価の有機基を示す。Zは重合体ユニットを示す。)
Figure 0006987542
本発明の一態様によれば、硬化型表面層中でフッ素原子含有樹脂粒子が一次粒子により近い粒径にまで分散された状態で存在し、かつ、電子写真特性が良好な電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
本発明の一態様に係る電子写真感光体の製造方法により製造される電子写真感光体は、表面層を有し、該表面層は、硬化型表面層である。この硬化型表面層は、硬化樹脂と、フッ素原子含有樹脂粒子と、上述した特定の構造単位を有すると共に特定の重量平均分子量である特定の重合体(以下、「本発明に係る重合体」とも称する。)と、を含有する。
上記特定の重合体は、下記式(1)で示される構造単位を有する。
Figure 0006987542
上記式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基を示す。Rは、アルキレン基を示す。Rfは、炭素原子数4以上6以下のパーフルオロアルキル基を示す。
上記式(1)で示される構造単位に含有されるフルオロアルキル基と、フッ素原子含有樹脂粒子との親和性により、本発明に係る重合体とフッ素原子含有樹脂粒子とが高い付着力で付着し、良好な分散性に寄与すると本発明者らは考えている。
のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などの直鎖アルキレン基や、イソプロピレン基、イソブチレン基などの分岐アルキレン基などが挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。
上記式(1)中のRfは、炭素原子数4以上6以下のパーフルオロアルキル基を示す。
以下に、Rfの具体例を示す。
Figure 0006987542
これらの中でも、(Rf−1)、(Rf−3)が好ましい。
以下に、上記式(1)で示される構造単位の具体例を示す。
Figure 0006987542
Figure 0006987542
Figure 0006987542
これらの中でも、(1−1)、(1−2)、(1−6)、(1−7)、(1−10)、(1−11)、(1−14)、(1−15)が好ましい。
さらに、フッ素原子含有樹脂粒子の分散状態を安定的に維持するため、本発明に係る重合体は、上記式(1)で示される構造単位に加えて、表面層中の硬化樹脂と親和性のある構造を有する。すなわち、本発明に係る重合体は、上記式(1)で示される構造単位および、下記式(a)で示される構造単位を有する重合体である。
Figure 0006987542
上記式(a)中、R101は、水素原子またはメチル基を示す。上記式(a)中、Yは、2価の有機基を示す。Zは重合体ユニットを示す。
Yの2価の有機基の中でも、下記式(c)で示される2価の基が好ましい。
Figure 0006987542
上記式(c)中、YおよびYは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキレン基を示す。
およびYのアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などが挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましい。
およびYのアルキレン基が有してもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アリール基などが挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基が好ましい。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。これらの中でも、メトキシ基が好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。これらの中でも、フェニル基が好ましい。また、これらの中でも、メチル基、ヒドロキシ基がより好ましい。
上記式(a)中、Zは、重合体ユニットを示す。重合体ユニットの中でも、下記式(b−1)で示される構造単位または下記式(b−2)で示される構造単位を有する重合体ユニットが好ましい。
Figure 0006987542
上記式(b−1)中、R201は、アルキル基を示す。
201のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基などが挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好ましい。
Figure 0006987542
上記式(b−2)中、R202は、アルキル基を示す。
202のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基などが挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好ましい。
上記式(a)中のZで示される重合体ユニットの末端は、末端停止剤由来の構造を有してもよいし、水素原子を有していてもよい。
上記式(1)で示される構造単位と上記式(a)で示される構造単位との共重合の形態は、フルオロアルキル部位の機能をより効果的に発現させる観点から、上記式(a)で示される構造単位を側鎖に有する櫛型グラフト構造がより好ましい。
上記式(1)で示される構造単位と上記式(a)で示される構造単位との共重合比(式(1):式(a))は、本発明の効果を十分に得る観点から、モル比で、99:1〜20:80であることが好ましい。さらには、共重合比(式(1):式(a))は、モル比で、95:5〜30:70であることが好ましい。
上記共重合比は、上記式(1)で示される構造単位に対応する下記式(3)で示される化合物と、上記式(a)で示される構造単位に対応する下記式(d)で示される化合物との重合時におけるモル比で制御することができる。
Figure 0006987542
上記式(3)中、Rは、上記式(1)中のRと同じであり、水素原子またはメチル基を示す。上記式(3)中、Rは、上記式(1)中のRと同じであり、アルキレン基を示す。上記式(3)中、Rfは、上記式(1)中のRfと同じであり、炭素原子数4以上6以下のパーフルオロアルキル基を示す。
上記式(d)中、R101は、上記式(a)中のR101と同じであり、水素原子またはメチル基を示す。上記式(d)中、Yは、上記式(a)中のYと同じであり、2価の有機基を示す。上記式(d)中、Zは、上記式(a)中のZと同じであり、重合体ユニットを示す。
以下に、上記式(3)で示される化合物の具体例を示す。
Figure 0006987542
Figure 0006987542
Figure 0006987542
これらの中でも、(3−1)、(3−2)、(3−6)、(3−7)、(3−10)、(3−11)、(3−14)、(3−15)が好ましい。
本発明に係る重合体は、例えば、特開2009−104145号公報に記載されている手順に従い、上記式(3)で示される化合物と上記式(d)で示される化合物とを共重合させて合成することができる。
本発明に係る重合体の重量平均分子量は、40,000以上129,000以下である。より好ましくは、60,000以上129,000以下である。重量平均分子量が40,000以上であることで、本発明に係る重合体がフッ素原子含有樹脂粒子の表面に付着した際に十分な立体効果を発現し、フッ素原子含有樹脂粒子の凝集が抑制される。そのため、溶剤中で粒子と分散剤のみの構成で分散した場合でも、少ない添加量で良好な分散性を達成することができる。また、重量平均分子量が129,000以下であることで、表面層用塗布液中の溶剤および反応性モノマーなどの構成成分との相溶性にすぐれ、電荷トラップ発生などの電気特性への悪影響を抑えることができる。
本発明において、重合体や樹脂の重量平均分子量は、常法に従い、以下のようにして測定した値である。
すなわち、測定対象の重合体や樹脂(測定対象物)をテトラヒドロフラン中に入れ、数時間放置した後、振盪しながら測定対象物とテトラヒドロフランとをよく混合し(測定対象物の合一体がなくなるまで混合し)、さらに12時間以上静置する。
その後、サンプル処理フィルター(商品名:マイショリディスクH−25−5、東ソー(株)製)を通過させたものを、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)用試料とする。
次に、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mLの流速で流し、GPC用試料を10μL注入して、測定対象物の重量平均分子量を測定する。カラムには、東ソー(株)製のカラム(商品名:TSK gel Super HM−M)を用いた。
測定対象物の重量平均分子量の測定にあたっては、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から、測定対象物が有する分子量分布を算出することでGPCチャートが得られる。検量線作成用の標準ポリスチレン試料には、アルドリッチ社製の単分散ポリスチレンの分子量が次の10点のものを用いた。3,500、12,000、40,000、75,000、98,000、120,000、240,000、500,000、800,000、1,800,000。
検出器には、RI(屈折率)検出器を用いた。
上記GPCチャートから、分子量分布を求めることができる。本発明に係る重合体は、ある程度の分子量分布をもったものとして合成されるが、上記GPCチャートにおけるポリスチレン換算分子量300,000以上の面積が、全体の面積に対して1.8%以上20.0%以下であることが好ましい。この範囲の重合体を使用することで、電子写真特性が特に良好になる。
フッ素原子含有樹脂粒子としては、例えば、
四フッ化エチレン樹脂粒子、
三フッ化エチレン樹脂粒子、
四フッ化エチレン六フッ化プロピレン樹脂粒子、
フッ化ビニル樹脂粒子、
フッ化ビニリデン樹脂粒子、
二フッ化二塩化エチレン樹脂粒子
などが挙げられる。また、それら樹脂の共重合体の粒子も挙げられる。これらの中でも、四フッ化エチレン樹脂粒子が好ましい。
フッ素原子含有樹脂粒子の一次粒子の平均粒径としては、0.5μm以下であることが好ましく、さらに0.3μm以下であることが好ましい。
電子写真感光体の表面層に含有される硬化樹脂は、重合性官能基を有する結着樹脂、または、重合性官能基を有するモノマー(反応性モノマー)もしくはオリゴマーを硬化させることによって合成することができる。硬化には、光、熱または放射線(電子線など)を用いることができる。
硬化樹脂の中でも、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物の硬化物である硬化樹脂が好ましい。
連鎖重合性官能基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アルコキシシリル基、エポキシ基などが挙げられる。これらの中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が好ましい。
以下に、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物の具体例を示す。
Figure 0006987542
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表面層中のフッ素原子含有樹脂粒子の含有量は、表面層の全質量に対して0.1質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。
また、表面層中の本発明に係る重合体の含有量は、表面層中のフッ素原子含有樹脂粒子に対して3.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
次に、電子写真感光体の表面層の製造工程について述べる。本発明の一態様に係る電子写真感光体の製造方法は、以下(i)〜(iv)の工程を有する。すなわち、
前記フッ素原子含有樹脂粒子、前記重合体および溶剤を混合し、高圧分散装置を用いて分散処理を行い、第1の分散液を得る工程(i)、
該工程(i)の後、該第1の分散液に超音波を照射し、第2の分散液を得る工程(ii)、
該工程(ii)の後、該第2の分散液と、前記硬化樹脂を生成するための反応性モノマーとを混合して、表面層用塗布液を調製する工程(iii)、ならびに、
該工程(iii)の後、該表面層用塗布液の塗膜を形成し、該塗膜中の該反応性モノマーを硬化させて前記表面層を形成する工程(iv)
を有する。
工程(i)において、溶剤としては、単独あるいは混合系で、形成する表面層の下層を溶解しない溶剤が好ましく、例えば、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、フッ素原子含有溶剤、およびその混合物などが挙げられる。特に、フッ素原子含有溶剤を含むことが、分散性、および電子写真特性の観点から好ましい。高圧分散装置は、20〜100MPaの圧力で複数回の処理を行うことが好ましい。
第1の分散液中のフッ素原子含有樹脂粒子の体積平均粒径は、0.3μm以下であることが好ましい。後述するように、前記工程(ii)における超音波照射時、一次粒子により近い粒径にまで分散されていることが、電子写真特性の改善につながる。
なお、フッ素原子含有樹脂粒子の体積平均粒径は、遠心沈降法、動的光散乱法、レーザー回折法などの原理を利用した各種粒度分布測定装置によって測定することができる。本発明におけるフッ素原子含有樹脂粒子の体積平均粒径の測定方法は、以下のとおりである。
本発明に係る重合体を用いて、高圧分散装置を用いて分散処理を行った直後の第1の分散液を、動的光散乱法にて測定する。粒子径測定装置としては、マルバーン社製のゼータサイザーナノS(商品名)を用いた。表面層用塗布液の溶剤で希釈した後、フッ素原子含有樹脂粒子の平均粒径を測定する。測定にあたっては、装置の説明書に記載のとおり、粒子の屈折率、溶剤の粘度/屈折率等の必要パラメータを入力して使用する。
第1の分散液中の前記フッ素原子含有樹脂粒子の含有量は、前記第1の分散液の全質量に対して20質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
工程(ii)において、第1の分散液の超音波照射に使用する装置は、超音波分散機(超音波ホモジナイザー)、超音波洗浄機等が挙げられ、特に限定されないが、周波数20kHz以上100kHz以下の範囲であることが好ましい。照射時間は、超音波照射の出力や分散液のスケールによって適宜設定することができる。
工程(i)の後に工程(ii)を行う、すなわち、フッ素原子含有樹脂粒子と重合体と溶剤のみで高圧分散した後に、さらに超音波照射を行うことで、作製される電子写真感光体を繰り返し使用した際の明部電位上昇をさらに抑制することができる。この効果について、本発明者らは以下のように推測している。
高圧分散後の良好な分散状態の液に、さらに超音波を照射することで、以下の2つの現象が同時に起こると考えている。
1.フッ素原子含有樹脂粒子の再凝集等による分散ムラをなおし、分散状態をより均一にする。これにより、フッ素原子含有樹脂粒子全体の比表面積が大きくなる。
2.分子量分布を有する前記重合体分子の中で、分子量が非常に大きくフッ素原子含有樹脂粒子に付着できずに存在していた一部の重合体の分解が起きる。これにより、溶剤中に、フッ素原子含有樹脂粒子に付着できる状態の重合体が増える。
上記2つの現象が同時に起こることで、重合体のフッ素原子含有樹脂粒子への付着量が増加すると考えられる。それにより、フッ素原子含有樹脂粒子に付着していない遊離の重合体が減少し、界面や膜中における電荷トラップの発生を抑えられ、繰り返し使用時の明部電位上昇の抑制につながると考えている。
上記現象を効率良く発生させるために、超音波照射を行う第1の分散液は、フッ素原子含有樹脂粒子、前記重合体、および溶剤だけで構成されることが好ましい。超音波照射時に、その他のバインダー樹脂や反応性モノマー等が存在すると、前記重合体がそれらに親和性を有する場合にフッ素原子含有樹脂粒子への付着効率が悪くなることがある。
すなわち、工程(ii)で第2の分散液を得た後、工程(iii)において、前述した反応性モノマーを混合させ、表面層用塗布液を調製する。
工程(iv)において、塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
反応性モノマーの硬化には、前述したように、光、熱または放射線(電子線など)を用いることができる。
表面層の膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることがより好ましい。
また、表面層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤、などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。これらの添加剤は、前記工程(iii)で含有させることが好ましい。分散処理が必要なものは、予め分散処理を行ったものを、前記工程(iii)で含有させることが好ましい。
さらに、表面層の表面(電子写真感光体の表面)には、クリーニングブレードの安定性を向上させることを目的として、凹部または凸形状を付与してもよい。
次に、本発明の一態様に係る電子写真感光体の製造方法により製造される電子写真感光体の構成について述べる。
電子写真感光体は、支持体、支持体上の感光層、および感光層上の硬化表面層(表面層)を有する。支持体と感光層との間には、導電層や下引き層を有してもよい。
表面層については前述した通りである。以下、その他の層について記述する。
各層の形成方法としては、後述する各層の塗布液を調製し、所望の層の順番に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、ロール塗布、ダイ塗布、ブレード塗布、カーテン塗布、ワイヤーバー塗布、リング塗布などが挙げられる。これらの中でも、効率および生産性の観点から、浸漬塗布が好ましい。
<支持体>
本発明において、支持体は導電性を有する導電性支持体であることが好ましい。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状、シート状などが挙げられる。中でも、円筒状支持体であることが好ましい。また、支持体の表面に、陽極酸化などの電気化学的な処理や、ブラスト処理、切削処理などを施してもよい。
支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。
金属としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金、ステンレス鋼や、これらの合金などが挙げられる。中でも、アルミニウムを用いたアルミニウム製支持体であることが好ましい。
また、樹脂やガラスには、導電性材料を混合または被覆するなどの処理によって、導電性を付与してもよい。
<導電層>
本発明において、支持体の上に、導電層を設けてもよい。導電層を設けることで、支持体表面の傷や凹凸を隠蔽することや、支持体表面における光の反射を制御することができる。
導電層は、導電性粒子と、樹脂と、を含有することが好ましい。
導電性粒子の材質としては、金属酸化物、金属、カーボンブラックなどが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどが挙げられる。金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などが挙げられる。
これらの中でも、導電性粒子として、金属酸化物を用いることが好ましく、特に、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、金属酸化物の表面をシランカップリング剤などで処理したり、金属酸化物にリンやアルミニウムなど元素やその酸化物をドーピングしたりしてもよい。
また、導電性粒子は、芯材粒子と、その芯材粒子を被覆する被覆層とを有する積層構成としてもよい。芯材粒子としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛などが挙げられる。被覆層としては、酸化スズなどの金属酸化物が挙げられる。
また、導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、その体積平均粒子径が、1nm以上500nm以下であることが好ましく、3nm以上400nm以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
また、導電層は、シリコーンオイル、樹脂粒子、酸化チタンなどの隠蔽剤などをさらに含有してもよい。
導電層の平均膜厚は、1μm以上50μm以下であることが好ましく、3μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
導電層は、上述の各材料および溶剤を含有する導電層用塗布液を調製し、この導電層用塗布液の塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。導電層用塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。導電層用塗布液中で導電性粒子を分散させるための分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
<下引き層>
本発明において、支持体または導電層の上に、下引き層を設けてもよい。下引き層を設けることで、層間の接着機能が高まり、電荷注入阻止機能を付与することができる。
下引き層は、樹脂を含有することが好ましい。また、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として下引き層を形成してもよい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。
重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキル化メチロール基、エポキシ基、金属アルコキシド基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、カルボン酸無水物基、炭素−炭素二重結合基などが挙げられる。
また、下引き層は、電気特性を高める目的で、電子輸送物質、金属酸化物、金属、導電性高分子などをさらに含有してもよい。これらの中でも、電子輸送物質、金属酸化物を用いることが好ましい。
電子輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノビニル化合物、ハロゲン化アリール化合物、シロール化合物、含ホウ素化合物などが挙げられる。電子輸送物質として、重合性官能基を有する電子輸送物質を用い、上述の重合性官能基を有するモノマーと共重合させることで、硬化膜として下引き層を形成してもよい。
金属酸化物としては、酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素などが挙げられる。金属としては、金、銀、アルミニウムなどが挙げられる。
また、下引き層は、添加剤をさらに含有してもよい。
下引き層の平均膜厚は、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.2μm以上40μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
下引き層は、上述の各材料および溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この下引き層用塗布液の塗膜を形成し、乾燥および/または硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
<感光層>
電子写真感光体の感光層は、主に、(1)積層型感光層と、(2)単層型感光層とに分類される。(1)積層型感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、を有する。(2)単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を共に含有する感光層を有する。
(1)積層型感光層
積層型感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層と、を有する。
(1−1)電荷発生層
電荷発生層は、電荷発生物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。
また、電荷発生層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤をさらに含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、などが挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。
電荷発生層は、上述の各材料および溶剤を含有する電荷発生層用塗布液を調製し、この電荷発生層用塗布液の塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。電荷発生層用塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
(1−2)電荷輸送層
電荷輸送層は、電荷輸送物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂としては、特にポリアリレート樹脂が好ましい。
電荷輸送物質と樹脂との含有量比(質量比)は、4:10〜20:10が好ましく、5:10〜12:10がより好ましい。
また、電荷輸送層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
電荷輸送層は、上述の各材料および溶剤を含有する電荷輸送層用塗布液を調製し、この電荷輸送層用塗布液の塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。
(2)単層型感光層
単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂および溶剤を含有する感光層用塗布液を調製し、この感光層用塗布液の塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂としては、上記「(1)積層型感光層」における材料の例示と同様である。
本発明の一態様に係る電子写真感光体は、前記感光層上に、上述した硬化型表面層を有する。
本発明の一態様に係るプロセスカートリッジは、上述した電子写真感光体と、帯電手段、現像手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置の本体に着脱自在である。
また、本発明の一態様に係る電子写真装置は、上述した電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
(製造例1−1)
特開2009−104145号公報の「合成例(E−3)」に記載の方法で、上記式(3−10)で示される化合物が主成分である生成物を得た。
続いて、特開2009−104145号公報の「製造例(A−1)」に記載の方法で、下記式(d−1)で示される化合物を得た。
Figure 0006987542
次に、撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計およびガス吹込口を取り付けたガラスフラスコに、以下の各成分を導入した。
上記式(d−1)で示される化合物 70部
上記式(3−10)で示される化合物が主成分である生成物 30部
トリフルオロトルエン 270部
アゾビスイソブチロニトリル 0.35部
上記各成分を導入した上記フラスコに窒素ガスを導入し、還流下(約100℃に加熱)に、14時間反応させた。この反応液を10倍量のメタノール中に投入、沈澱させ、濾過を行った。
得られた濾物1部を、メタノール43部およびイオン交換水17部の混合溶液中にて10℃で15分撹拌した後、ポリプロピレンフィルターにて遠心濾過を行った。得られた濾物にさらにメタノール40部を加え、10℃で40分撹拌した後、ポリプロピレンフィルターにて遠心濾過を行った。得られた濾物を8時間以上風乾した後、撹拌機付き減圧乾燥機にて、70℃、内圧260mmHg以下で3時間、減圧乾燥した。このようにして、上記式(1−10)で示される繰り返し構造単位、および、上記式(d−1)で示される構造由来の繰り返し構造単位(式(a)に相当)を有する重合体(A−1)を得た。重合体(A−1)の重量平均分子量は、60,000であり、GPCチャートにおける分子量300,000以上の面積は全体の面積に対して1.8%であった。
(製造例1−2)
製造例1−1の製造条件を変更して、同様の手順で反応させ、処理し、上記式(1−10)で示される繰り返し構造単位、および、上記式(d−1)で示される構造由来の繰り返し構造単位を有する重合体(A−2)を得た。重合体(A−2)の重量平均分子量は、129,000であり、GPCチャートにおける分子量300,000以上の面積は全体の面積に対して18.1%であった。
(製造例1−3)
製造例1−1の製造条件を変更して、同様の手順で反応させ、処理し、上記式(1−10)で示される繰り返し構造単位、および、上記式(d−1)で示される構造由来の繰り返し構造単位を有する重合体(A−3)を得た。重合体(A−3)の重量平均分子量は、91,000であり、GPCチャートにおける分子量300,000以上の面積は全体の面積に対して7.2%であった。
(製造例2−1)
特開2009−104145号公報の「合成例(E−1)」に記載の方法で、上記式(3−2)で示される化合物が主成分である生成物を得た。
続いて、同じく特開2009−104145号公報の「製造例(A−1)」に記載の方法で、製造例1−1と同様に、上記式(d−1)で示される化合物を得た。
次に、製造例1−1の製造条件を変更して、同様の手順で反応させ、処理し、上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位、および、上記式(d−1)で示される構造由来の繰り返し構造単位を有する重合体(B−1)を得た。重合体(B−1)の重量平均分子量は、71,000であり、GPCチャートにおける分子量300,000以上の面積は全体の面積に対して3.5%であった。
(製造例2−2)
製造例2−1の製造条件を変更して、同様の手順で反応させ、処理し、上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位、および、上記式(d−1)で示される構造由来の繰り返し構造単位を有する重合体(B−2)を得た。重合体(B−2)の重量平均分子量は、109,000であり、GPCチャートにおける分子量300,000以上の面積は全体の面積に対して8.2%であった。
(製造例3−1)
特開2009−104145号公報の「合成例(E−4)」に記載の方法で、上記式(3−11)で示される化合物が主成分である生成物を得た。
続いて、同じく特開2009−104145号公報の「製造例(A−1)」に記載の方法で、製造例1−1と同様に、上記式(d−1)で示される化合物を得た。
次に、製造例1−1の製造条件を変更して、同様の手順で反応させ、処理し、上記式(1−11)で示される繰り返し構造単位、および、上記式(d−1)で示される構造由来の繰り返し構造単位を有する重合体(C−1)を得た。重合体(C−1)の重量平均分子量は、45,000であり、GPCチャートにおける分子量300,000以上の面積は全体の面積に対して1.1%であった。
(実施例1)
直径30mm、長さ357.5mm、肉厚1mmのアルミニウムシリンダーを支持体(導電性支持体)とした。
次に、酸化亜鉛粒子(比表面積:19m/g、粉体抵抗:4.7×10Ω・cm)100部をトルエン500部と撹拌混合した。これにシランカップリング剤0.8部を添加し、6時間攪拌した。その後、トルエンを減圧留去して、130℃で6時間加熱して乾燥させることによって、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。シランカップリング剤としては、信越化学工業(株)製のKBM−602(商品名)(化合物名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)を用いた。
次に、
ポリオールとしてのポリビニルブチラール(重量平均分子量:40000、商品名:BM−1、積水化学工業(株)製)15部、および、
ブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住化コベストロウレタン(株)製)15部を、
メチルエチルケトン73.5部および1−ブタノール73.5部の混合溶剤に溶解させて溶解液を得た。この溶解液に上記表面処理された酸化亜鉛粒子80.8部、および、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン(東京化成工業(株)製)0.8部を加えた。これらを直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、23±3℃の雰囲気下で3時間分散処理した。
分散処理後、
シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.01部、および、
架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子(商品名:TECHPOLYMER SSX−103、積水化成品工業(株)製、一次粒子の平均粒径:3μm)5.6部、
を加えて攪拌し、下引き層用塗布液を調製した。
この下引き層用塗布液を上記支持体上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を40分間160℃で乾燥させることによって、膜厚が18μmの下引き層を形成した。
次に、
CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.1°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)4部、および、
下記式(A)で示される化合物0.04部
Figure 0006987542
を、シクロヘキサノン100部にポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)2部を溶解させた液に加えた。これらを直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、23±3℃の雰囲気下で1時間分散処理した。
分散処理後、酢酸エチル100部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を上記下引き層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を10分間90℃で乾燥させることによって、膜厚が0.19μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(B)で示される化合物60部(電荷輸送物質)、下記式(C)で示される化合物30部(電荷輸送物質)、下記式(D)で示される化合物(電荷輸送物質)10部、
Figure 0006987542
ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ビスフェノールZ型のポリカーボネート)100部、
下記式(E)で示される構造単位を有するポリカーボネート(粘度平均分子量Mv:20000)0.2部
Figure 0006987542
を、o−キシレン260部、安息香酸メチル240部およびジメトキシメタン260部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
この電荷輸送層用塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を60分間120℃で乾燥させることによって、膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。
・第1の分散液を得る工程(i)
次に、重合体(A−1)1.5部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)39部および1−プロパノール51部の混合溶剤に溶解させた。その後、四フッ化エチレン樹脂粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を加えた液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics(株)製)に入れた。そして、40MPaの圧力で6回通過させて、第1の分散液を得た。得られた第1の分散液中の四フッ化エチレン樹脂粒子の平均粒径は、0.21μmであった。
・第2の分散液を得る工程(超音波工程)(ii)
その後、東京超音波技研(株)社製の超音波洗浄機(周波数40kHz、出力1200W)を用いて、第1の分散液に15分間超音波照射を行い、第2の分散液を得た。
・表面層用塗布液を調製する工程(iii)
続いて、上記式(H−5)で示される正孔輸送性化合物54.7部、下記式(I)で示される化合物(東亞合成(株)製、アロニックスM−315)17.0部、下記式(J)で示される化合物(シグマ−アルドリッチ製)2.2部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン30部および1−プロパノール35部を上記第2の分散液に加えた。そして、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行うことによって、表面層用塗布液を調製した。
Figure 0006987542
Figure 0006987542
・表面層を形成する工程(iv)
この表面層用塗布液を上記電荷輸送層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を5分間40℃で乾燥させた。乾燥後、窒素雰囲気下にて、加速電圧70kV、吸収線量15kGyの条件で1.6秒間電子線を塗膜に照射した。その後、窒素雰囲気下にて、塗膜の温度が135℃になる条件で15秒間加熱処理を行った。なお、電子線の照射から15秒間の加熱処理までの酸素濃度は15ppmであった。次に、大気中において、塗膜が105℃になる条件で1時間加熱処理を行い、膜厚5μmである表面層を形成した。
このようにして、導電性支持体上に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層および表面層を有する電子写真感光体を製造した。
(実施例2〜5)
実施例1において、表面層用塗布液に用いた重合体(A−1)およびその使用量を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を製造した。
(実施例6)
電荷輸送層の形成までは、実施例5と同様に行った。次に、以下の手順に従って、電荷輸送層上に表面層用塗布液を塗布した。
・第1の分散液を得る工程(i)
重合体(A−3)1.8部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)39部および1−プロパノール51部の混合溶剤に溶解させた。その後、四フッ化エチレン樹脂粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を加えた液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics(株)製)に入れた。そして、40MPaの圧力で6回通過させて、第1の分散液を得た。得られた第1の分散液中の四フッ化エチレン樹脂粒子の平均粒径は、0.20μmであった。
・第2の分散液を得る工程(超音波工程)(ii)
その後、東京超音波技研(株)社製の超音波洗浄機(周波数40kHz、出力1200W)を用いて、第1の分散液に15分間超音波照射を行い、第2の分散液を得た。
・表面層用塗布液を調製する工程(iii)
続いて、上記式(H−5)で示される正孔輸送性化合物70部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン30部および1−プロパノール30部を上記第2の分散液に加えた。そして、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行うことによって、表面層用塗布液を調製した。
・表面層を形成する工程(iv)
この表面層用塗布液を上記電荷輸送層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を5分間50℃で乾燥させた。乾燥後、窒素雰囲気下にて、加速電圧60kV、吸収線量8000Gyの条件で1.6秒間電子線を塗膜に照射した。その後、窒素雰囲気下にて、塗膜の温度が130℃になる条件で1分間加熱処理を行った。なお、電子線の照射から1分間の加熱処理までの酸素濃度は15ppmであった。次に、大気中において、塗膜が110℃になる条件で1時間加熱処理を行い、膜厚5μmである表面層を形成した。
このようにして、導電性支持体上に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層および表面層を有する電子写真感光体を製造した。
参考例7〜15、18)
実施例1において、表面層用塗布液に用いた重合体(A−1)、第1の分散液の全質量に対する四フッ化エチレン樹脂粒子の含有量、高圧分散条件、超音波照射条件を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を製造した。
参考例16、19)
参考例8、18においてそれぞれ、第1の分散液に超音波照射をしなかったこと以外は、参考例8、18とそれぞれ同様にして、電子写真感光体を製造した。
参考例17、20)
参考例8、18においてそれぞれ、工程(ii)と工程(iii)の順番を逆にした以外は、参考例8、18とそれぞれ同様にして、電子写真感光体を製造した。
(実施例21)
実施例1において、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics(株)製)にて、40MPaの圧力で6回通過させることに代えて、60MPaの圧力で5回通過させた。しかるのちに、さらに、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)1.6部を混合し、40MPaの圧力で1回通過させ、第1の分散液を得た。
以上の変更点以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を製造した。
参考例22)
実施例21において、第1の分散液に超音波照射をしなかったこと以外は、実施例21と同様にして、電子写真感光体を製造した。
参考例23)
実施例21において、工程(ii)と工程(iii)の順番を逆にした以外は、実施例21と同様にして、電子写真感光体を製造した。
(実施例24)
実施例21において、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics(株)製)にて、60MPaの圧力で5回通過させることに代えて、4回通過させた。しかるのち、さらに、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)1.6部を混合し、40MPaの圧力で2回通過させ、第1の分散液を得た。
以上の変更点以外は、実施例21と同様にして、電子写真感光体を製造した。
(実施例25)
電荷輸送層の形成までは、実施例1と同様に行った。次に、以下の手順に従って、電荷輸送層上に表面層用塗布液を塗布した。
・第1の分散液を得る工程(i)
重合体(A−3)0.9部、ならびに、下記式(1−e−1)で示される構造単位および下記式(d−2)で示される構造単位を有する重合体(E−1)(重量平均分子量:32,000、共重合比(1−e−1)/(d−2)=1/1(モル比))0.9部
Figure 0006987542
Figure 0006987542
を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)45部および1−プロパノール45部の混合溶剤に溶解させた。その後、四フッ化エチレン樹脂粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を加えた液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics(株)製)に入れた。そして、40MPaの圧力で6回通過させて、第1の分散液を得た。得られた第1の分散液中の四フッ化エチレン樹脂粒子の平均粒径は、0.20μmであった。
・第2の分散液を得る工程(超音波工程)(ii)
その後、東京超音波技研(株)社製の超音波洗浄機(周波数40kHz、出力1200W)を用いて、第1の分散液に15分間超音波照射を行い、第2の分散液を得た。
・表面層用塗布液を調製する工程(iii)
続いて、上記式(H−5)で示される正孔輸送性化合物70部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン30部および1−プロパノール30部を上記第2の分散液に加えた。そして、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行うことによって、表面層用塗布液を調製した。
・表面層を形成する工程(iv)
この表面層用塗布液を上記電荷輸送層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、実施例6と同様にして硬化させ、乾燥を行い、膜厚5μmの表面層を形成した。
このようにして、支持体上に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層および表面層を有する電子写真感光体を製造した。
(実施例26)
電荷輸送層の形成までは、実施例1と同様に行った。次に、以下の手順に従って、電荷輸送層上に表面層用塗布液を塗布した。
・第1の分散液を得る工程(i)
実施例25で用いた重合体(E−1)1.5部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)45部および1−プロパノール45部の混合溶剤に溶解させた。その後、四フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を加えた液を、上記高圧分散機に入れた。そして、40MPaの圧力で6回通過させて、第1の分散液を得た。得られた第1の分散液中の四フッ化エチレン樹脂粒子の平均粒径は、0.20μmであった。
・第2の分散液を得る工程(超音波工程)(ii)
その後、東京超音波技研(株)社製の超音波洗浄機(周波数40kHz、出力1200W)を用いて、第1の分散液に15分間超音波照射を行い、第2の分散液を得た。
・表面層用塗布液を調製する工程(iii)
続いて、上記式(H−5)で示される正孔輸送性化合物70部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン30部および1−プロパノール30部を上記第2の分散液に加えた。そして、ポリフロンフィルターで濾過を行った。得られた濾液に、実施例6で調製した表面層用塗布液を等量で混合し、実施例26の表面層用塗布液を調製した。
・表面層を形成する工程(iv)
得られた表面層塗布液を上記電荷輸送層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、実施例6と同様にして硬化させ、乾燥を行い、膜厚5μmの表面層を形成した。
このようにして、導電性支持体上に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層および表面層を有する電子写真感光体を製造した。
(実施例27)
実施例26において、重合体(E−1)を、下記式(1−e−2)で示される構造単位および上記式(d−2)で示される構造単位を有する重合体(E−2)(重量平均分子量:36,000、共重合比(1−e−2)/(d−2)=1/1(モル比))1.5部
Figure 0006987542
(上記式(1−e−2)中、n=6〜13を示す。)
に変更した以外は、実施例26と同様にして、電子写真感光体を製造した。
(実施例28)
直径30mm、長さ357.5mm、肉厚1mmのアルミニウムシリンダーを支持体(導電性支持体)とした。
次に、
酸化スズで被覆されている硫酸バリウム粒子(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製)60部、
酸化チタン粒子(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製)15部、
レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライトJ−325、DIC(株)(旧:大日本インキ化学工業(株))製、固形分70質量%)43部、
シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)(旧:東レシリコーン(株))製)0.015部、
シリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社(旧:東芝シリコーン(株))製)3.6部、
2−メトキシ−1−プロパノール50部、および、
メタノール50部
を、ボールミルに入れた。そして、20時間分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を上記支持体上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を1時間140℃で加熱し、硬化させることによって、膜厚15μmの導電層を形成した。
次に、
共重合ナイロン(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)10部、および、
メトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、ナガセケムテックス(株)(旧:帝国化学産業(株))製)30部
を、メタノール400部およびn−ブタノール200部の混合溶剤に溶解させることによって、下引き層用塗布液を調製した。
この下引き層用塗布液を上記導電層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を30分間100℃で乾燥させることによって、膜厚0.45μmの下引き層を形成した。
続いて、実施例6と同様にして、電荷発生層、電荷輸送層、表面層を順に形成した。
このようにして、支持体上に、導電層、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層および表面層を有する電子写真感光体を製造した。
(比較例1)
実施例5において、表面層用塗布液に用いた重合体(A−3)を、下記式(1−f−1)で示される構造単位および上記式(d−1)で示される構造単位を有する重合体(F−1)(重量平均分子量:97,000、GPCチャートにおける全体の面積に対する分子量300,000以上の面積:7.6%、共重合比(1−f−1)/(d−1)=1/1(モル比))に変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を製造した。
Figure 0006987542
製造した各電子写真感光体について、画像評価および電子写真特性評価を行った。結果を表1に示す。
〔画像評価〕
評価用の電子写真装置として、キヤノン(株)製の複写機(商品名:imageRUNNER iR−ADVC5051)の改造機を使用した。
各実施例および比較例の電子写真感光体を上記複写機とともに温度23℃/湿度50%RHの環境下で3日間放置した後、使用した。
初期の画像は、各実施例の電子写真感光体をブラック用のプロセスカートリッジに装着し、これを本体のブラックのステーションにセットし、出力した。このとき、ブラックのステーションのみ現像用カートリッジを有し、他のステーションは現像用カートリッジを有さない状態にて、ブラック単色でA4サイズのハーフトーン画像を出力した。
ハーフトーン画像を以下の基準に従って評価した。
A:画像上に肉眼で欠陥が観察されない
B:0.3mm幅以下の欠陥が画像の一部に観察される
〔電子写真特性評価〕
評価用の電子写真装置として、キヤノン(株)製の複写機(商品名:imageRUNNER iR−ADVC5051)の改造機を使用した。
各実施例および比較例の電子写真感光体を上記複写機とともに温度23℃/湿度50%RHの環境下で3日間放置した後、使用した。
電子写真感光体の表面電位の測定は、評価装置から現像用カートリッジを抜き取り、そこに電位測定装置を挿入することで行った。電位測定装置は、現像用カートリッジの現像位置に電位測定プローブを配置することで構成されており、電位測定プローブの位置は、電子写真感光体の母線方向の中央とした。
電位の測定は、まず、初期暗部電位が−800Vとなるように印加電圧を調整した。一定の露光量にて780nmレーザー露光照射を行い、初期明部電位(「初期VL」と表記する。)を測定した。
続いて、現像用カートリッジを上記評価装置に取り付け、20000枚の画像出力を行った。20000枚の画像出力後、5分間放置し、現像用カートリッジを電位測定装置に付け替え、繰り返し使用後における各電子写真感光体の明部電位(「耐久後VL」と表記する。)を測定した。なお、各電子写真感光体において、初期に設定した帯電条件のもとで電位測定を行った。各電子写真感光体の評価結果を表1に示す。
Figure 0006987542
評価の結果、実施例において、良好なフッ素原子含有樹脂粒子(四フッ化エチレン樹脂粒子)の分散性(平均粒径の小ささ)が示されている。その結果、フッ素原子含有樹脂粒子の分散不良に起因する画像欠陥が抑制されている。また、電子写真感光体は、繰り返し使用にも問題のない電子写真特性(明部電位の変化の小ささ)を示している。さらに、フッ素原子含有樹脂粒子、本発明に係る重合体、および溶剤のみの構成で高圧分散と超音波照射を行った後、反応性モノマーを添加して塗布液を作製した実施例は、超音波照射を行わなかった場合、または反応性モノマーを添加した後に超音波照射を行った場合と比較して、特に明部電位の変化が小さいことを示している。

Claims (8)

  1. 支持体および該支持体上の感光層を有する電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法であって、
    該電子写真感光体の表面層が、
    硬化樹脂と、
    フッ素原子含有樹脂粒子と、
    下記式(1)で示される構造単位および下記式(a)で示される構造単位を有し、かつ、重量平均分子量が40,000以上129,000以下である重合体と、
    を含有し、
    該重合体が有する構造単位が、下記式(1)で示される構造単位および下記式(a)で示される構造単位のみであり、
    該重合体における下記式(1)で示される構造単位と下記式(a)で示される構造単位との共重合比(式(1):式(a))が、モル比で99:1〜20:80であり、
    該硬化樹脂が、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物の硬化物であり、
    該連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物が、下記式(H−5)で示される正孔輸送性化合物であり、
    該製造方法が、
    該フッ素原子含有樹脂粒子、該重合体および溶剤を混合し、高圧分散装置を用いて分散処理を行い、第1の分散液を得る工程(i)と、
    該工程(i)の後、該第1の分散液に超音波を照射し、第2の分散液を得る工程(ii)と、
    該工程(ii)の後、該第2の分散液と、下記式(H−5)で示される正孔輸送性化合物とを混合して、表面層用塗布液を調製する工程(iii)と、
    該工程(iii)の後、該表面層用塗布液の塗膜を形成し、該塗膜中の下記式(H−5)で示される正孔輸送性化合物を硬化させて前記表面層を形成する工程(iv)と、
    を有する
    ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法
    Figure 0006987542
    (式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基を示す。Rは、アルキレン基を示す。
    Rfは、炭素原子数4以上6以下のパーフルオロアルキル基を示す。)
    Figure 0006987542
    (式(a)中、R101は、水素原子またはメチル基を示す。Yは、2価の有機基を示す。Zは、重合体ユニットを示す。)
    Figure 0006987542
  2. 前記式(a)中のZが、下記式(b−1)で示される構造単位または下記式(b−2)で示される構造単位を有する重合体ユニットである請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法
    Figure 0006987542
    (式(b−1)中、R201は、アルキル基を示す。)
    Figure 0006987542
    (式(b−2)中、R202は、アルキル基を示す。)
  3. 前記式(a)中のYが、下記式(c)で示される2価の基である請求項1または2に記載の電子写真感光体の製造方法
    Figure 0006987542
    (上記式(c)中、YおよびYは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキレン基を示す。)
  4. 前記重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーのチャートにおけるポリスチレン換算分子量300,000以上の面積が全体の面積に対して1.8%以上20.0%以下である請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法
  5. 前記重合体の重量平均分子量が、60,000以上129,000以下である請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法
  6. 前記工程(i)後の前記第1の分散液中の前記フッ素原子含有樹脂粒子の体積平均粒径が、0.3μm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  7. 前記第1の分散液中の前記フッ素原子含有樹脂粒子の含有量が、前記第1の分散液の全質量に対して20質量%以上30質量%以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  8. 前記溶剤が、フッ素原子含有溶剤を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
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