JP2019219585A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、電子写真装置、および電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ、電子写真装置、および電子写真感光体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電子写真特性が良好な硬化型表面層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ、電子写真装置、および該電子写真感光体の製造方法を提供する。
【解決手段】電子写真感光体の表面層が、硬化樹脂と、フッ素原子含有樹脂粒子と、特定の重合体と、表面層の全質量に対して5ppm以上1000ppm以下である下記式(2)で示される化合物とを含有する。
Figure 2019219585

(上記式(2)中、Aは、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ、電子写真装置、電子写真感光体の製造方法に関する。
近年、有機電子写真感光体(以下、単に「電子写真感光体」と称する。)の最表面の層(以下、「表面層」と称する。)には、耐久性を高めるために硬化型表面層が用いられている。硬化型表面層は、主要な構成材料として硬化樹脂(架橋樹脂)を用いることで、電子写真感光体の表面の耐摩耗性を向上させることができる。一方で、長期間の使用を通じて、電子写真感光体の表面とクリーニングブレードとの摩擦力の上昇を抑えることが求められる。そこで、電子写真感光体の表面の低摩擦化のため、四フッ化エチレン樹脂粒子などのフッ素原子含有樹脂粒子を含有させた表面層が用いられている。
また、フッ素原子含有樹脂粒子の分散性を高める目的で、分散剤を併用する方法が知られている。分散剤には、分散させるフッ素原子含有樹脂粒子への高い付着力、および、フッ素原子含有樹脂粒子の濡れ性を高めるためのマトリックス成分との相溶性が求められる。それらの観点から、フッ素原子含有樹脂粒子の分散剤としては、界面活性機能を有するものが必要とされる。それとともに、分散剤には、電子写真特性に対して大きな弊害を与えない含有量でその機能を発揮することが求められる。
特許文献1には、特定構造のフッ化アルキル基および特定の構造単位を有する重合体を分散剤として用いることで、表面層中のフッ素原子含有樹脂粒子を良好に分散させる技術が開示されている。
特許文献2には、特定の構造単位を有し、特定の重量平均分子量であるフッ化アルキル基含有共重合体を分散剤として用いることで、フッ素原子含有樹脂粒子の凝集を抑え、表面層が厚膜である場合の偏摩耗を抑制する技術が開示されている。
特許文献3には、硬化型表面層に、反応性電荷輸送性材料、フッ素樹脂粒子、フッ化アルキル基含有共重合体に加え、フッ素化された炭化水素基を有する特定化合物を含有させ、表面のフッ素樹脂粒子に起因する初期のスジ状の画像欠陥を抑制する技術が開示されている。特定化合物がフッ素樹脂粒子を分散させる作用により、フッ素樹脂粒子の表面偏在が抑制されると推測されている。
特開2009−104145号公報 特開2012−185300号公報 特開2013−171150号公報
表面層にフッ素樹脂粒子を含有する電子写真感光体において、粒子の分散性向上のために分散剤を使用するのが一般的であるが、特に、使用中の摩耗が少なく厚膜設計ではない硬化型表面層においては膜中のより高い分散性が求められる。分散剤の添加量を増やすことで分散性が向上することがあるが、一方で、過剰な分散剤が、表面層と他の層との界面または表面層中で電荷トラップとなり、電子写真特性を悪化させる場合がある。
本発明の一態様は、フッ素原子含有樹脂粒子が分散された硬化型表面層を有し、電子写真特性が良好な電子写真感光体を提供することに向けたものである。また、本発明の他の態様は、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することに向けたものである。また、本発明の他の態様は、該電子写真感光体の製造方法を提供することに向けたものである。
本発明の一態様は、
支持体および該支持体上に設けられた感光層を有する電子写真感光体であって、
該電子写真感光体の表面層が、
硬化樹脂と、
フッ素原子含有樹脂粒子と、
分散剤として、下記式(1)で示される構造単位および下記式(a)で示される構造単位を有する重合体と、
下記式(2)で示される化合物と、
を含有し、前記式(2)で示される化合物の含有量が、前記表面層の全質量に対して5ppm以上1000ppm以下であることを特徴とする電子写真感光体である。
Figure 2019219585
(式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を示す。Rはアルキレン基を示す。Rfは炭素原子数4〜6のパーフルオロアルキル基を示す。)
Figure 2019219585
(上記式(a)中、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を示す。R、Rはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキレン基を示す。Rはアルキル基を示す。nは1以上の整数を示す。)
Figure 2019219585
(上記式(2)中、Aは、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
また、本発明の他の態様は、前記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置の本体に着脱自在であるプロセスカートリッジである。
また、本発明の他の態様は、前記電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置である。
また、本発明のさらに他の態様は、前記電子写真感光体の製造方法であって、
該製造方法が、前記フッ素原子含有樹脂粒子、前記重合体、前記式(2)で示される化合物、および溶剤を含有する表面層用塗布液の塗膜を形成する工程を有し、
前記表面層用塗布液中の前記式(2)で示される化合物の含有量が、前記フッ素原子含有樹脂粒子の質量に対して0.1質量%以上5.0質量%以下であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
本発明の一態様によれば、電子写真特性が良好な硬化型表面層を有する電子写真感光体を提供することができる。また、本発明の他の態様によれば、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。また、本発明の他の態様によれば、該電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。 電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
本発明の一態様に係る電子写真感光体は、表面層を有し、該表面層は、硬化型表面層である。この硬化型表面層は、硬化樹脂と、フッ素原子含有樹脂粒子と、上述した特定の構造単位を有する重合体(以下、「本発明に係る重合体」とも称する。)、及び特定の化合物を含有する。
<本発明に係る重合体>
上記特定の重合体は、下記式(1)で示される構造単位を有する。
Figure 2019219585
上記式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を示す。Rはアルキレン基を示す。Rfは炭素原子数4〜6のパーフルオロアルキル基を示す。
上記式(1)で示される構造単位に含有されるパーフルオロアルキル基と、フッ素原子含有樹脂粒子との親和性により、本発明に係る重合体とフッ素原子含有樹脂粒子とが高い付着力で付着し、良好な分散性に寄与すると本発明者らは考えている。
のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などの直鎖アルキレン基や、イソプロピレン基、イソブチレン基などの分岐アルキレン基などが挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。
上記式(1)中のRfは、炭素原子数4以上6以下のパーフルオロアルキル基を示す。
以下に、Rfの具体例を示す。
Figure 2019219585
これらの中でも、(Rf−1)、(Rf−3)が好ましい。
以下に、上記式(1)で示される構造単位の具体例を示す。
Figure 2019219585
Figure 2019219585
Figure 2019219585
これらの中でも、(1−1)、(1−2)、(1−6)、(1−7)、(1−10)、(1−11)、(1−14)、(1−15)が好ましい。
さらに、フッ素原子含有樹脂粒子の分散状態を安定的に維持するため、本発明に係る重合体は、上記式(1)で示される構造単位に加えて、表面層中の硬化樹脂と親和性のある構造を有することを特徴とする。すなわち、本発明に係る重合体は、上記式(1)で示される構造単位および、下記式(a)で示される構造単位を有する重合体である。
Figure 2019219585
上記式(a)中、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を示す。R、Rはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキレン基を示す。Rはアルキル基を示す。nは1以上の整数を示す。
およびRのアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などが挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましい。
およびRのアルキレン基が有してもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アリール基などが挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基が好ましい。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。これらの中でも、メトキシ基が好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。これらの中でも、フェニル基が好ましい。また、これらの中でも、メチル基、ヒドロキシ基がより好ましい。
のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基などが挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好ましい。
上記式(1)で示される構造単位と上記式(a)で示される構造単位との共重合体の形態は、フルオロアルキル部位の機能をより効果的に発現させる観点から、上記式(a)で示される構造単位を側鎖に有する櫛型グラフト構造であることがより好ましい。
上記式(1)で示される構造単位と上記式(a)で示される構造単位との共重合比(式(1):式(a))は、本発明の効果を十分に得る観点から、モル比で、99:1〜20:80であることが好ましい。さらには、共重合比(式(1):式(a))は、モル比で、95:5〜30:70であることがより好ましい。
上記共重合比は、上記式(1)で示される構造単位に対応する下記式(3)で示される化合物と、上記式(a)で示される構造単位に対応する下記式(d)で示される化合物との重合時におけるモル比で制御することができる。
Figure 2019219585
Figure 2019219585
上記式(3)中、Rは、上記式(1)中のRと同じであり、水素原子またはメチル基を示す。上記式(3)中、Rは、上記式(1)中のRと同じであり、アルキレン基を示す。上記式(3)中、Rfは、上記式(1)中のRfと同じであり、炭素原子数4以上6以下のパーフルオロアルキル基を示す。
上記式(d)中、R、Rは、上記式(a)中のR、Rと同じであり、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を示す。上記式(d)中、R、Rは、上記式(a)中のR、Rと同じであり、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキレン基を示す。上記式(d)中、Rは、上記式(a)中のRと同じであり、アルキル基を示す。nは1以上の整数を示す。
以下に、上記式(3)で示される化合物の具体例を示す。
Figure 2019219585
Figure 2019219585
Figure 2019219585
これらの中でも、(3−1)、(3−2)、(3−6)、(3−7)、(3−10)、(3−11)、(3−14)、(3−15)が好ましい。
本発明に係る重合体は、例えば、特許文献1に記載されている手順に従い、上記式(3)で示される化合物と上記式(d)で示される化合物とを共重合させて合成することができる。
本発明に係る重合体の重量平均分子量は、60,000以上129,000以下であることが好ましい。重量平均分子量が60,000以上であると、本発明に係る重合体がフッ素原子含有樹脂粒子の表面に付着した際に十分な立体効果を発現し、フッ素原子含有樹脂粒子の凝集がさらに抑制される。また、重量平均分子量が129,000以下であると、表面層用塗布液中の溶剤および反応性モノマーなどの構成成分との相溶性にすぐれ、電荷トラップ発生などの電気特性への悪影響をさらに抑えることができる。
本発明において、重合体や樹脂の重量平均分子量は、常法に従い、以下のようにして測定した値である。
すなわち、測定対象の重合体や樹脂(測定対象物)をテトラヒドロフラン中に入れ、数時間放置した後、振盪しながら測定対象物とテトラヒドロフランとをよく混合し(測定対象物の合一体がなくなるまで混合し)、さらに12時間以上静置する。
その後、サンプル処理フィルター(商品名:マイショリディスクH−25−5、東ソー(株)製)を通過させたものを、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)用試料とする。
次に、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mLの流速で流し、GPC用試料を10μL注入して、測定対象物の重量平均分子量を測定する。カラムには、東ソー(株)製のカラム(商品名:TSK gel Super HM−M)を用いた。
測定対象物の重量平均分子量の測定にあたっては、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から、測定対象物が有する分子量分布を算出することでGPCチャートが得られる。検量線作成用の標準ポリスチレン試料には、アルドリッチ社製の単分散ポリスチレンの分子量が次の10点のものを用いた。3,500、12,000、40,000、75,000、98,000、120,000、240,000、500,000、800,000、1,800,000。検出器には、RI(屈折率)検出器を用いた。
本発明の電子写真感光体の表面層中の本発明に係る重合体の含有量は、表面層中のフッ素原子含有樹脂粒子に対して3.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
<下記式(2)で示される特定化合物>
本発明の硬化型表面層は、さらに下記式(2)で示される特定の化合物を含有する。
Figure 2019219585
上記式(2)中、Aは、炭素数1〜4のアルキル基を示す。
以下に、上記式(2)で示される化合物の具体例を示す。
Figure 2019219585
Figure 2019219585
Figure 2019219585
Figure 2019219585
上記式(2)で示される化合物におけるメタクリル酸部位と、本発明に係る重合体における上記式(a)で示される構造単位中の繰り返し構造単位とが、高い親和性を有することにより、上記式(2)で示される化合物が、本発明に係る重合体の高分子鎖の隙間に入り込み、分散剤としての効果を高めると推測している。それにより、粒子分散性が向上するだけでなく、少ない重合体添加量で良好な分散性が達成されるため、表面層において電荷トラップとなりうる過剰な重合体の存在量が低減し、電子写真感光体の電気特性が向上するものと考えられる。また、上記式(2)で示される化合物は比較的低分子量の化合物であり、塗布液中での粒子分散性向上に寄与した後、製膜工程での加熱により表面層中に残る量は減少する。よって、添加量に対して電子写真感光体の電気特性への悪影響を小さく抑えることができると考えている。ただし、上記式(2)で示される化合物は製膜工程の最終段階まで存在しないと、粒子と重合体の高い親和性を維持して過剰な重合体による電気特性阻害を抑制することができないため、製造後の電子写真感光体の表面層に含有されていることが必要である。
上記式(2)で示される化合物の含有量は、表面層の全質量に対して5ppm以上1000ppm以下である。含有量が5ppm未満である場合は、上述した理由から本発明の効果発現に十分でなく、一方1000ppmより多い場合は、電子写真感光体の電気特性が悪化する。さらに、上記式(2)で示される化合物の含有量は、表面層の全質量に対して100ppm以上1000ppm以下であるとより好ましい。上記式(2)で示される化合物の含有量は、表面層の前記フッ素原子含有樹脂粒子の全質量に対しては、100ppm以上4000ppm以下であることが好ましい。
また、表面層を形成する前の塗布液中においては、上記式(2)で示される化合物の含有量は、前記フッ素原子含有樹脂粒子の質量に対して0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
表面層の全質量に対する上記式(2)で示される化合物の含有量は、ヘッドスペースガスクロマトグラフ/質量分析(以下、「HS−GC/MS測定」と表記する。)を用いて次の条件で行った。
<HS−GC/MS測定>
測定用の電子写真感光体から、カミソリ等を用いて表面層を含む層を剥離した後、表面層以外の層が付着している側面をメチルエチルケトンでふき取った。なお、FTIR測定方法の中のATR法(全反射法)によって電荷輸送層および電荷発生層の成分が観測されないことを確認した。このようにして得られた表面層の重量を測定し、ヘッドスペース用バイアルに入れ、その後、バイアルをセプタムを用いてシールした。シールしたヘッドスペース用バイアルを150℃で60分間加熱し、気化した上記式(2)で示される化合物をGC/MSを用いて下記条件で測定し、得られた全イオンクロマトグラムにおいて上記式(2)で示される化合物が検出されるピーク面積を求めた。次にヘッドスペース法で検出された上記式(2)で示される化合物を検量線用基準物質として検量線を作成し、先のピーク面積から上記式(1)で示される化合物の量(質量%)を算出した。
(前処理条件)
ヘッドスペースサンプラー;TurboMatrixHS40(パーキンエルマー社製)
抽出条件;150℃×60分
(GC/MS測定条件)
GC;TRACEGCULTRA(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
MS;ISQ
分離カラム;HP−5MS(60m×0.25mmID、Df=0.25μm)
カラム温度;40℃で3分間保持したのち、2℃/分の昇温速度で70℃まで加熱した。さらに、5℃/分の昇温速度で150℃まで加熱し、10℃/分の昇温速度で300℃まで加熱した。その後300℃で1分間ホールドした。
イオン室温度;280℃
GC/MSインターフェース温度;280℃
キャリアガス;He150KPa
イオン化モード;EI、70eV
スキャン範囲;質量数m/z=40〜460
注入方式;スプリット(スプリットフロー10mL/分、カラム流量1mL)
<フッ素原子含有樹脂粒子>
電子写真感光体の表面層に用いるフッ素原子含有樹脂粒子としては、例えば、四フッ化エチレン樹脂粒子、三フッ化エチレン樹脂粒子、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン樹脂粒子、フッ化ビニル樹脂粒子、フッ化ビニリデン樹脂粒子、二フッ化二塩化エチレン樹脂粒子などが挙げられる。また、それら樹脂の共重合体の粒子も挙げられる。これらの中でも、四フッ化エチレン樹脂粒子が好ましい。
フッ素原子含有樹脂粒子の一次粒子の平均粒径としては、0.5μm以下であることが好ましく、さらに0.3μm以下であることがより好ましい。
表面層中のフッ素原子含有樹脂粒子の含有量は、表面層の全質量に対して0.1質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。
フッ素原子含有樹脂粒子は、必要に応じてホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルおよび高圧分散等の方法で分散させてもよい。特に、高圧分散装置を用いて20〜100MPaの圧力で複数回の処理を行うことが好ましい。フッ素原子含有樹脂粒子の分散時の含有量は、分散液の全質量に対して10質量%以上40質量%以下であることが好ましい。分散時は、フッ素原子含有樹脂粒子、本発明に係る重合体、上記式(2)で示される化合物、及び溶剤のみで高圧分散装置で分散を行い、その後、硬化樹脂の原料を混合することが好ましい。また、高圧分散装置で分散後、硬化樹脂の原料を混合する前に、さらに超音波照射を行うことがより好ましい。
表面層用塗布液中のフッ素原子含有樹脂粒子の体積平均粒径は、0.3μm以下であることが好ましい。なお、フッ素原子含有樹脂粒子の体積平均粒径は、遠心沈降法、動的光散乱法、レーザー回折法などの原理を利用した各種粒度分布測定装置によって測定することができる。
<硬化樹脂>
本発明の電子写真感光体の表面層に含有される硬化樹脂は、重合性官能基を有する結着樹脂、または、重合性官能基を有するモノマー(反応性モノマー)もしくはオリゴマーを硬化させることによって合成することができる。硬化には、光、熱または放射線(電子線など)を用いることができる。
硬化樹脂の中でも、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物の硬化物である硬化樹脂が好ましい。
連鎖重合性官能基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アルコキシシリル基、エポキシ基などが挙げられる。これらの中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が好ましい。
以下に、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物の具体例を示す。
Figure 2019219585
Figure 2019219585
Figure 2019219585
次に、本発明の一態様に係る電子写真感光体の構成について説明する。
本発明の電子写真感光体は、支持体、支持体上の感光層、および感光層上の表面層(硬化表面層)を有する。支持体と感光層との間には、導電層や下引き層を有してもよい。
図1は、電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。
図1中、電子写真感光体は、支持体111、下引き層112、電荷発生層113、電荷輸送層114、および、表面層115を有する。
各層の形成方法としては、後述する各層の塗布液を調製し、所望の層の順番に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、ロール塗布、ダイ塗布、ブレード塗布、カーテン塗布、ワイヤーバー塗布、リング塗布などが挙げられる。これらの中でも、効率および生産性の観点から、浸漬塗布が好ましい。
以下に、本発明の一態様に係る電子写真感光体を構成する、支持体及び各層について説明する。
<支持体>
本発明において、支持体は導電性を有する導電性支持体であることが好ましい。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状、シート状などが挙げられる。中でも、円筒状支持体であることが好ましい。また、支持体の表面に、陽極酸化などの電気化学的な処理や、ブラスト処理、切削処理などを施してもよい。
支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。
金属としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金、ステンレス鋼や、これらの合金などが挙げられる。中でも、アルミニウムを用いたアルミニウム製支持体であることが好ましい。
また、樹脂やガラスには、導電性材料を混合または被覆するなどの処理によって、導電性を付与してもよい。
<導電層>
本発明において、支持体の上に、導電層を設けてもよい。導電層を設けることで、支持体表面の傷や凹凸を隠蔽することや、支持体表面における光の反射を制御することができる。
導電層は、導電性粒子と、樹脂と、を含有することが好ましい。
導電性粒子の材質としては、金属酸化物、金属、カーボンブラックなどが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどが挙げられる。金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などが挙げられる。
これらの中でも、導電性粒子として、金属酸化物を用いることが好ましく、特に、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、金属酸化物の表面をシランカップリング剤などで処理したり、金属酸化物にリンやアルミニウムなど元素やその酸化物をドーピングしたりしてもよい。
また、導電性粒子は、芯材粒子と、その芯材粒子を被覆する被覆層とを有する積層構成としてもよい。芯材粒子としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛などが挙げられる。被覆層としては、酸化スズなどの金属酸化物が挙げられる。
また、導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、その体積平均粒子径が、1nm以上500nm以下であることが好ましく、3nm以上400nm以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
また、導電層は、シリコーンオイル、樹脂粒子、酸化チタンなどの隠蔽剤などをさらに含有してもよい。
導電層の平均膜厚は、1μm以上50μm以下であることが好ましく、3μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
導電層は、上述の各材料および溶剤を含有する導電層用塗布液を調製し、この導電層用塗布液の塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。導電層用塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。導電層用塗布液中で導電性粒子を分散させるための分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
<下引き層>
本発明において、支持体または導電層の上に、下引き層を設けてもよい。下引き層を設けることで、層間の接着機能が高まり、電荷注入阻止機能を付与することができる。
下引き層は、樹脂を含有することが好ましい。また、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として下引き層を形成してもよい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。
重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキル化メチロール基、エポキシ基、金属アルコキシド基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、カルボン酸無水物基、炭素−炭素二重結合基などが挙げられる。
また、下引き層は、電気特性を高める目的で、電子輸送物質、金属酸化物、金属、導電性高分子などをさらに含有してもよい。これらの中でも、電子輸送物質、金属酸化物を用いることが好ましい。
電子輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノビニル化合物、ハロゲン化アリール化合物、シロール化合物、含ホウ素化合物などが挙げられる。電子輸送物質として、重合性官能基を有する電子輸送物質を用い、上述の重合性官能基を有するモノマーと共重合させることで、硬化膜として下引き層を形成してもよい。
金属酸化物としては、酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素などが挙げられる。金属としては、金、銀、アルミニウムなどが挙げられる。
また、下引き層は、添加剤をさらに含有してもよい。
下引き層の平均膜厚は、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.2μm以上40μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
下引き層は、上述の各材料および溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この下引き層用塗布液の塗膜を形成し、乾燥および/または硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
<感光層>
電子写真感光体の感光層は、主に、(1)積層型感光層と、(2)単層型感光層とに分類される。(1)積層型感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、を有する。(2)単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を共に含有する感光層である。
(1)積層型感光層
積層型感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層と、を有する。
(1−1)電荷発生層
電荷発生層は、電荷発生物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。
また、電荷発生層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤をさらに含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、などが挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。
電荷発生層は、上述の各材料および溶剤を含有する電荷発生層用塗布液を調製し、この電荷発生層用塗布液の塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。電荷発生層用塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
(1−2)電荷輸送層
電荷輸送層は、電荷輸送物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂としては、特にポリアリレート樹脂が好ましい。
電荷輸送物質と樹脂との含有量比(質量比)は、4:10〜20:10が好ましく、5:10〜12:10がより好ましい。
また、電荷輸送層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
電荷輸送層は、上述の各材料および溶剤を含有する電荷輸送層用塗布液を調製し、この電荷輸送層用塗布液の塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。
(2)単層型感光層
単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂および溶剤を含有する感光層用塗布液を調製し、この感光層用塗布液の塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂としては、上記「(1)積層型感光層」における材料の例示と同様である。
<表面層>
本発明の一態様に係る電子写真感光体は、前記感光層上に、硬化型表面層を有する。硬化型表面層には、硬化樹脂、フッ素原子含有樹脂粒子、本発明に係る重合体、及び、上記式(2)で示される化合物を特定量含有する。
本発明の一態様に係る電子写真感光体の製造方法は、前記フッ素原子含有樹脂粒子、前記重合体、前記式(2)で示される化合物、および溶剤を含有する表面層用塗布液の塗膜を形成する工程を有する。
さらに好ましくは、下記(i)〜(iii)の工程を有する。すなわち、
前記フッ素原子含有樹脂粒子、前記重合体、前記式(2)で示される化合物、および溶剤を混合し、分散処理を行う工程(i)、
該工程(i)の後、硬化樹脂を生成するための反応性モノマーを混合して、表面層用塗布液を調製する工程(ii)、ならびに、
該工程(ii)の後、該表面層用塗布液の塗膜を形成し、該塗膜中の該反応性モノマーを硬化させて前記表面層を形成する工程(iii)
を有する。
表面層用塗布液に用いる溶剤としては、単独あるいは混合系で、形成する表面層の下層を溶解しない溶剤が好ましく、例えば、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、フッ素原子含有溶剤、およびその混合物などが挙げられる。特に、フッ素原子含有溶剤を含むことが、分散性、および電子写真特性の観点から好ましい。
表面層用塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
表面層の膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることがより好ましい。
また、表面層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤、などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
さらに、表面層の表面(電子写真感光体の表面)には、クリーニングブレードの安定性を向上させることを目的として、凹部または凸形状を付与してもよい。
本発明の一態様に係るプロセスカートリッジは、上述した電子写真感光体と、帯電手段、現像手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置の本体に着脱自在である。
また、本発明の一態様に係る電子写真装置は、上述した電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する。
図2に、電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す。
1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、帯電手段3により、正又は負の所定電位に帯電される。尚、図においては、ローラ型帯電部材によるローラ帯電方式を示しているが、コロナ帯電方式、近接帯電方式、注入帯電方式などの帯電方式を採用してもよい。帯電された電子写真感光体1の表面には、露光手段(不図示)から露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写される。トナー像が転写された転写材7は、定着手段8へ搬送され、トナー像の定着処理を受け、電子写真装置の外へプリントアウトされる。電子写真装置は、転写後の電子写真感光体1の表面に残ったトナーなどの付着物を除去するための、クリーニング手段9を有していてもよい。また、クリーニング手段を別途設けず、上記付着物を現像手段などで除去する、所謂、クリーナーレスシステムを用いてもよい。電子写真装置は、電子写真感光体1の表面を、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理する除電機構を有していてもよい。また、本発明のプロセスカートリッジ11を電子写真装置本体に着脱するために、レールなどの案内手段12を設けてもよい。
本発明の電子写真感光体は、レーザービームプリンター、LEDプリンター、複写機、ファクシミリ、及び、これらの複合機などに用いることができる。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
(製造例1−1)
特許文献1の「合成例(E−3)」に記載の方法で、上記式(3−10)で示される化合物が主成分である生成物を得た。
続いて、特許文献1の「製造例(A−1)」に記載の方法で、下記式(d−1)で示される化合物を得た。
Figure 2019219585
次に、撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計およびガス吹込口を取り付けたガラスフラスコに、以下の各成分を導入した。
上記式(d−1)で示される化合物 70部
上記式(3−10)で示される化合物が主成分である生成物 30部
トリフルオロトルエン 270部
アゾビスイソブチロニトリル 0.35部
上記各成分を導入した上記フラスコに窒素ガスを導入し、還流下(約100℃に加熱)に、14時間反応させた。この反応液を10倍量のメタノール中に投入、沈澱させ、濾過を行った。
得られた濾物1部を、メタノール43部およびイオン交換水17部の混合溶液中にて10℃で15分撹拌した後、ポリプロピレンフィルターにて遠心濾過を行った。得られた濾物にさらにメタノール40部を加え、10℃で40分撹拌した後、ポリプロピレンフィルターにて遠心濾過を行った。得られた濾物を8時間以上風乾した後、撹拌機付き減圧乾燥機にて、70℃、内圧260mmHg以下で3時間、減圧乾燥した。このようにして、上記式(1−10)で示される繰り返し構造単位、および、上記式(d−1)で示される構造由来の繰り返し構造単位(式(a)に相当)を有する重合体(A−1)を得た。重合体(A−1)の重量平均分子量は、60,000であった。
(製造例1−2)
製造例1−1の製造条件を変更して、同様の手順で反応させ、処理し、上記式(1−10)で示される繰り返し構造単位、および、上記式(d−1)で示される構造由来の繰り返し構造単位を有する重合体(A−2)を得た。重合体(A−2)の重量平均分子量は、129,000であった。
(製造例1−3)
製造例1−1の製造条件を変更して、同様の手順で反応させ、処理し、上記式(1−10)で示される繰り返し構造単位、および、上記式(d−1)で示される構造由来の繰り返し構造単位を有する重合体(A−3)を得た。重合体(A−3)の重量平均分子量は、91,000であった。
(製造例2−1)
特許文献1の「合成例(E−1)」に記載の方法で、上記式(3−2)で示される化合物が主成分である生成物を得た。
続いて、同じく特許文献1の「製造例(A−1)」に記載の方法で、製造例1−1と同様に、上記式(d−1)で示される化合物を得た。
次に、製造例1−1の製造条件を変更して、同様の手順で反応させ、処理し、上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位、および、上記式(d−1)で示される構造由来の繰り返し構造単位を有する重合体(B−2)を得た。重合体(B−2)の重量平均分子量は、109,000であった。
(製造例3−1)
特許文献1の「合成例(E−4)」に記載の方法で、上記式(3−11)で示される化合物が主成分である生成物を得た。
続いて、同じく特許文献1の「製造例(A−1)」に記載の方法で、製造例1−1と同様に、上記式(d−1)で示される化合物を得た。
次に、製造例1−1の製造条件を変更して、同様の手順で反応させ、処理し、上記式(1−11)で示される繰り返し構造単位、および、上記式(d−1)で示される構造由来の繰り返し構造単位を有する重合体(C−1)を得た。重合体(C−1)の重量平均分子量は、45,000であった。
(実施例1)
直径30mm、長さ357.5mm、肉厚1mmのアルミニウムシリンダーを支持体(導電性支持体)とした。
次に、酸化亜鉛粒子(比表面積:19m/g、粉体抵抗:4.7×10Ω・cm)100部をトルエン500部と撹拌混合した。これにシランカップリング剤0.8部を添加し、6時間攪拌した。その後、トルエンを減圧留去して、130℃で6時間加熱して乾燥させることによって、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。シランカップリング剤としては、信越化学工業(株)製のKBM−602(商品名)(化合物名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)を用いた。
次に、
ポリオールとしてのポリビニルブチラール(重量平均分子量:40000、商品名:BM−1、積水化学工業(株)製)15部、および、
ブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住化コベストロウレタン(株)製)15部を、
メチルエチルケトン73.5部および1−ブタノール73.5部の混合溶剤に溶解させて溶解液を得た。この溶解液に上記表面処理された酸化亜鉛粒子80.8部、および、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン(東京化成工業(株)製)0.8部を加えた。これらを直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、23±3℃の雰囲気下で3時間分散処理した。
分散処理後、
シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.01部、および、
架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子(商品名:TECHPOLYMER SSX−103、積水化成品工業(株)製、一次粒子の平均粒径:3μm)5.6部、
を加えて攪拌し、下引き層用塗布液を調製した。
この下引き層用塗布液を上記支持体上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を40分間160℃で乾燥させることによって、膜厚が18μmの下引き層を形成した。
次に、
CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.1°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)4部、および、
下記式(A)で示される化合物0.04部
Figure 2019219585
を、シクロヘキサノン100部にポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)2部を溶解させた液に加えた。これらを直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、23±3℃の雰囲気下で1時間分散処理した。
分散処理後、酢酸エチル100部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を上記下引き層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を10分間90℃で乾燥させることによって、膜厚が0.19μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(B)で示される化合物60部(電荷輸送物質)、下記式(C)で示される化合物30部(電荷輸送物質)、下記式(D)で示される化合物(電荷輸送物質)10部、
Figure 2019219585
ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ビスフェノールZ型のポリカーボネート)100部、
下記式(E)で示される構造単位を有するポリカーボネート(粘度平均分子量Mv:20000)0.2部
Figure 2019219585
を、o−キシレン260部、安息香酸メチル240部およびジメトキシメタン260部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
この電荷輸送層用塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を60分間120℃で乾燥させることによって、膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。
次に、重合体(A−1)1.8部、および上記式(2−1)で示される化合物0.12部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)39部および1−プロパノール51部の混合溶剤に溶解させた。その後、四フッ化エチレン樹脂粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を加えた液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics(株)製)に入れた。そして、40MPaの圧力で6回通過させて分散液を得た。
続いて、上記式(H−5)で示される正孔輸送性化合物70部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン30部および1−プロパノール30部を上記第2の分散液に加えた。そして、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行うことによって、表面層用塗布液を調製した。
この表面層用塗布液を上記電荷輸送層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を5分間50℃で乾燥させた。乾燥後、窒素雰囲気下にて、加速電圧60kV、吸収線量8000Gyの条件で1.6秒間電子線を塗膜に照射した。その後、窒素雰囲気下にて、塗膜の温度が130℃になる条件で1分間加熱処理を行った。なお、電子線の照射から1分間の加熱処理までの酸素濃度は15ppmであった。次に、大気中において、塗膜が100℃になる条件で1時間加熱処理を行い、膜厚5μmである表面層(硬化型表面層)を形成した。
このようにして、導電性支持体上に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層および表面層を有する電子写真感光体を製造した。表面層における上記式(2−1)で示される化合物量を定量した結果、表面層の全質量に対して9ppmであった。
(実施例2〜13)
実施例1において、表面層用塗布液に用いた四フッ化エチレン樹脂粒子の使用量、重合体(A−1)およびその使用量、上記式(2)で示される化合物およびその使用量を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜13に係る電子写真感光体を製造した。
(実施例14)
電荷輸送層の形成までは、実施例1と同様にして行った。
次に、
下記式(F)で示される化合物であるビニルエステル化合物0.6部(東京化成工業(株)製)、重合体(A−1)1.8部、及び、上記式(2−1)で示される化合物0.48部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)39部および1−プロパノール51部の混合溶剤に溶解させた。その後、四フッ化エチレン樹脂粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を加えた液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics(株)製)に入れた。そして、40MPaの圧力で6回通過させて、分散液を得た。
Figure 2019219585
続いて、実施例1と同様にして表面層用塗布液を調製し、膜厚5μmである表面層を形成した。このようにして、導電性支持体上に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層および表面層を有する電子写真感光体を製造した。表面層における上記式(2−1)で示される化合物量を定量した結果、表面層の全質量に対して71ppmであった。
(実施例15)
電荷輸送層の形成までは、実施例1と同様にして行った。
次に、
重合体(A−2)1.8部、及び、上記式(2−1)で示される化合物0.48部を、酢酸イソブチル4.2部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)38.1部、および1−プロパノール47.7部の混合溶剤に溶解させた。その後、四フッ化エチレン樹脂粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を加えた液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics(株)製)に入れた。そして、40MPaの圧力で6回通過させて、分散液を得た。
続いて、実施例1と同様にして表面層用塗布液を調製し、膜厚5μmである表面層を形成した。このようにして、導電性支持体上に下引き層、電荷発生層、電荷輸送層および表面層を有する電子写真感光体を製造した。表面層における上記式(2−1)で示される化合物量を定量した結果、表面層の全質量に対して75ppmであった。
(実施例16)
実施例15において、酢酸イソブチル4.2部を、シクロペンタノン4.2部に変更した以外は、実施例15と同様にして電子写真感光体を製造した。表面層における上記式(2−1)で示される化合物量を定量した結果、表面層の全質量に対して62ppmであった。
〔電子写真特性評価〕
評価用の電子写真装置として、キヤノン(株)製の複写機(商品名:imageRUNNER iR−ADVC5051)の改造機を使用した。
各実施例の電子写真感光体を上記複写機とともに温度30℃/湿度80%RHの環境下で2日間放置した後、使用した。
電子写真感光体の表面電位の測定は、評価装置から現像用カートリッジを抜き取り、そこに電位測定装置を挿入することで行った。電位測定装置は、現像用カートリッジの現像位置に電位測定プローブを配置することで構成されており、電位測定プローブの位置は、電子写真感光体の母線方向の中央とした。
電位の測定は、まず、初期暗部電位が−600Vとなるように印加電圧を調整した。一定の露光量にて780nmレーザー露光照射を行い、初期明部電位(「初期VL」と表記する。)を測定した。
続いて、現像用カートリッジを上記評価装置に取り付け、20000枚の画像出力を行った。20000枚の画像出力後、5分間放置し、現像用カートリッジを電位測定装置に付け替え、繰り返し使用後における各電子写真感光体の明部電位(「耐久後VL」と表記する。)を測定した。なお、各電子写真感光体において、初期に設定した帯電条件のもとで電位測定を行った。各電子写真感光体の評価結果を表1に示す。
Figure 2019219585
評価の結果、実施例の電子写真感光体は、繰り返し使用にも問題のない電子写真特性(明部電位の変化の小ささ)を示している。
111 支持体
112 下引き層
113 電荷発生層
114 電荷輸送層
115 表面層
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段

Claims (6)

  1. 支持体および該支持体上に設けられた感光層を有する電子写真感光体において、
    該電子写真感光体の表面層が、
    硬化樹脂、
    フッ素原子含有樹脂粒子、
    分散剤として、下記式(1)で示される構造単位および下記式(a)で示される構造単位を有する重合体、
    及び、下記式(2)で示される化合物
    を含有し、
    該式(2)で示される化合物の含有量が、表面層の全質量に対して5ppm以上1000ppm以下であることを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2019219585
    (式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を示す。Rはアルキレン基を示す。
    Rfは炭素原子数4〜6のパーフルオロアルキル基を示す。)
    Figure 2019219585
    (式(a)中、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を示す。R、Rはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキレン基を示す。Rはアルキル基を示す。nは1以上の整数を示す。)
    Figure 2019219585
    (式(2)中、Aは、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
  2. 前記式(2)で示される化合物の含有量が、表面層の全質量に対して100ppm以上1000ppm以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記式(2)で示される化合物の含有量が、表面層の前記フッ素原子含有樹脂粒子の全質量に対して100ppm以上4000ppm以下である請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記重合体の重量平均分子量が、60,000以上129,000以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 硬化型表面層を有する請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法において、
    該製造方法が、前記フッ素原子含有樹脂粒子、前記重合体、前記式(2)で示される化合物、および溶剤を含有する表面層用塗布液の塗膜を形成する工程を有し、
    前記表面層用塗布液中の前記式(2)で示される化合物の含有量が、前記フッ素原子含有樹脂粒子の質量に対して0.1質量%以上5.0質量%以下であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  6. 硬化型表面層を有する請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法において、
    該製造方法が、前記フッ素原子含有樹脂粒子、前記重合体、前記式(2)で示される化合物、および溶剤を混合し、分散処理を行う工程(i)、
    該工程(i)の後、硬化樹脂を生成するための反応性モノマーを混合して、表面層用塗布液を調製する工程(ii)、ならびに、
    該工程(ii)の後、該表面層用塗布液の塗膜を形成し、該塗膜中の該反応性モノマーを硬化させて前記表面層を形成する工程(iii)
    を有し、
    前記工程(i)の表面層用塗布液における前記式(2)で示される化合物の含有量が、前記フッ素原子含有樹脂粒子の質量に対して0.1質量%以上5.0質量%以下であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
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