JP6986351B2 - アルカリ電池用セパレーター、アルカリ電池 - Google Patents

アルカリ電池用セパレーター、アルカリ電池 Download PDF

Info

Publication number
JP6986351B2
JP6986351B2 JP2017010672A JP2017010672A JP6986351B2 JP 6986351 B2 JP6986351 B2 JP 6986351B2 JP 2017010672 A JP2017010672 A JP 2017010672A JP 2017010672 A JP2017010672 A JP 2017010672A JP 6986351 B2 JP6986351 B2 JP 6986351B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
separator
cylinder portion
battery
alkaline battery
alkaline
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017010672A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018120721A (ja
Inventor
祐紀 夏目
繁之 國谷
武男 野上
晋吾 安西
雄也 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
FDK Corp
Original Assignee
FDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by FDK Corp filed Critical FDK Corp
Priority to JP2017010672A priority Critical patent/JP6986351B2/ja
Publication of JP2018120721A publication Critical patent/JP2018120721A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6986351B2 publication Critical patent/JP6986351B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

この発明は、アルカリ電池用セパレーター、およびアルカリ電池に関する。
アルカリ電池は、正極合剤、セパレーター、負極合剤からなるアルカリ発電要素が有底円筒状の金属製電池缶内に収容されているとともに、その電池缶の開口部が樹脂製の封口ガスケットを用いて気密封口された構造を有している。図1にアルカリ電池1の構造を示した。なお図1では、円筒軸100の延長方向を上下(縦)方向としたときの縦断面図を示している。アルカリ電池1は、有底円筒状の金属製電池缶2、リングコアに似た円環状(以下、リングコア状とも言う)に成形された正極合剤3、この正極合剤3の内側に配設された有底円筒状のセパレーター4、亜鉛合金を含んでセパレーター4の内側に充填される負極ゲル5、この負極ゲル5中に挿入された金属製の負極集電子6、皿状の金属製負極端子板7、封口ガスケット8などにより構成される。この構造において、正極合剤3、セパレーター4、負極ゲル5が、電解液の存在下でアルカリ電池1の発電要素を形成する。
電池缶2は、電池ケースを兼ねるとともに、正極合剤3に直接接触することにより、正極集電体を兼ねる。また電池缶2の底面には正極端子9が形成されている。皿状の負極端子板7は、フランジ状の縁がある皿状で、正極端子9を下方としたとき、その皿を伏せた状態で電池缶2の開口に封口ガスケット8を介してかしめられている。
負極ゲル5中に挿入された棒状の負極集電子6は、上端に円板状の頭部61を備えて、その頭部61の下面に下方に延長する棒状の胴部62が一体的に形成されてなり、頭部61の上面63が皿状の負極端子板7の下面71に溶接されて電池缶2内に立設した状態で固定されている。なお負極端子板7、負極集電子6および封口ガスケット8は、封口体としてあらかじめ一体に組み合わせられており、封口ガスケット8が電池缶2の開口縁部と負極端子板7におけるフランジ状の縁との間に挟持されて電池缶2が封口される。なお以下の非特許文献1には一般的なアルカリ電池の構造や製造手順などが記載されている。
ここで、図1を含めた以下の各図では、電池缶2の底部側を下方として上下方向を規定することとし、電池缶2の底部を下方にした状態を正立状態とする。また軸100や上下の各方向についての規定、および正立と倒立の定義は、組み立て済みのアルカリ電池1や電池缶2だけではなく、アルカリ電池1を構成する正極合剤3、セパレーター4やセパレーター4を構成する材料などに対しても採用することとする。そしてアルカリ電池1のセパレーター4は、所定の形状に裁断された不織布を上端が開口する有底筒状に成形したものである。セパレーター4の基本機能は、正負極間(3−5)を絶縁して内部短絡を防止するとともに、電解液を吸収して正負極間(3−5)でイオンを透過させることにある。
ところで、アルカリ電池用のセパレーターには、矩形の不織布を1枚用いたセパレーター(以下、平巻き方式セパレーターとも言う)と、帯状の不織布を2枚用いたセパレーター(以下、クロス方式セパレーターとも言う)とがある。図2は、平巻き方式セパレーター4aを示す図であり、図2(A)〜(C)にその製造手順の概略を示した。まず図2(A)に示したように、不織布40を円筒状に成形する。このとき不織布40において、円筒軸100方向に延長する二つの縁辺41に沿う領域42が互いに重なり合うようにする。次いで、図2(B)に示したように、後工程で底部となる円筒の下端側43を内方に折り曲げて「癖」をつけ、その上で、縁辺41に沿って互いに重なり合った上記の領域(以下、重複領域42とも言う)を熱溶着する。それによって図2(C)に示したように、上端に開口46を有する有底円筒状のセパレーター4aが完成する。
図3は、クロス方式セパレーターを示す図であり、図3(A)〜(E)に当該セパレーター4bの作製手順の一例を示した。図3(A)に示したように、セパレーター4bは、2枚の帯状の不織布(140a、140b)からなり、それぞれの不織布(140a、140b)における長辺141側を長手方向に沿って同方向に折り曲げ、短辺142側から見てコの字状となるように成形する。つぎに図3(B)に示したように、コの字状に折り曲げられている帯状の不織布(140a、140b)を、長辺141を二分する位置143で屈曲させる。ここで、長辺141の延長方向を前後方向とすると、図3(C)に示したように、不織布(140a、140b)は、長辺141を二分する位置143の周辺を底部144としつつ、当該二分した位置143に対して前方と後方が上方に同方向に立ち上げられている。それによって帯状の不織布(140a、140b)が矩形角筒状に成形される。また矩形角筒状に成形された不織布(140a、140b)が備える四つの側面145のうち、互いに対面する2面145sでは長辺同士(141−141)が間隙を隔てて対向し、上下方向に延長するスリット146が形成される。そして図3(D)に示したように、セパレーター4bは、矩形角筒状に成形された2枚の不織布(140a、140b)の一方140aを外筒部147aとし、その外筒部147aの内方に他方の不織布140bからなる内筒部147bを挿入することで二重筒状に成形されている。また外筒部147aと内筒部147bとは、それぞれにおいてスリット146のある側面145sが互いに対面しないように、内筒部147bは、外筒部147aに対して筒軸100周りに90゜回転させた状態で外筒部147a内に挿入されている。このようにして、スリット146がない有底角筒状のセパレーター4bが形成される。なお、この角筒状のセパレーター4bをリングコア状の正極合剤の内方に収納しつつ、セパレーター4bの内方に負極ゲルを充填すれば、セパレーター4bは、自ずと、図3(E)に示した有底円筒状に成形される。
またクロス方式セパレーター4bは、電池缶2内に収納されているリングコア状の正極合剤3を型にして作製してもよい。図4に正極合剤3を型にしたクロス方式セパレーター4bの作製手順の概略を示した。なお図4では電池缶を省略して示している。まず、図4(A)に示したように、上方から見て十字状となるように2枚の不織布(140a、140b)を積層させるとともに、互いに重なり合った矩形の領域148の下方に正極合剤3を配置する。また帯状の不織布(140a、140b)が、長辺141に沿って同方向に屈曲するように、上記の矩形の領域148の縁辺149を上方に屈曲させて癖を付けておく。そして、この矩形の領域148中心に上方から円柱状の治具110を押し当てるとともに、その領域148を図4(B)に示したように正極合剤3の内方に押し込んでいく。それによって、図3(E)に示した有底円筒状のセパレーター4bを作製することができる。
FDK株式会社、"アルカリ電池のできるまで"、[online]、[平成28年11月29日検索]、インターネット<URL:http://www.fdk.co.jp/denchi_club/denchi_story/arukari.htm>
エレクトロニクスの進歩に伴い、様々な形態の電子機器が出現しており、アルカリ電池は、それらの電子機器の電源の一つとして使用されている。そして近年の電子機器には、従来のアルカリ電池が想定する使用状態よりも過酷な状態で使用されるものもある。例えば、内部に3軸の加速度センサーが組み込まれた家庭用TVゲーム機のコントローラがある。このコントローラは、人が手で握れるような太めのスティック形状で、TVゲームをする際には、プレーヤーがTV画面に表示されているテニスプレーヤやゴルファーになって、コントローラをテニスラケットやゴルフクラブのグリップに見立てて振り回すのである。そして、このようなコントローラでは、使用中に誤ってコントローラ自体を放り投げてしまい、コントローラが家具等に激突する可能性がある。従来のアルカリ電池では、このような大きな衝撃が加わると、セパレーターの内面に大きな圧力が瞬間的に加わり、セパレーターの一部から負極ゲルが漏れ出す可能性があった。そして、セパレーターから漏出した負極ゲルが正極合剤と接触すれば内部短絡が発生する。
なお図2に示した平巻き方式セパレーター4aでは、不織布40が、負極ゲルの漏出経路となる縁辺41に沿う重複領域42が溶着されている。そのため、電子機器を過酷な状態で使用することに起因するアルカリ電池の内部短絡については発生し難いと考えられる。しかし平巻き方式セパレーター4aは、溶着されている重複領域42で電解液が吸液されず、全表面積に対してイオン透過性に寄与する面積が減少してしまう。そのため、電池の放電性能を向上させることが難しい。
一方、図3に示したクロス方式セパレーター4bでは、イオン伝導の阻害要因となる溶着部分がないため、放電性能を向上させることが期待できる。溶着工程がない簡略化された工程によりコストダウンもし易い。さらに正極合剤を型として有底円筒状のセパレーターを成形する工程を採用することができる。すなわち、セパレーターの成形工程と正極合剤内への収納工程が同時に行え、これもコストダウンに寄与する。しかし、上述したような過酷な使用状態に起因する大きな衝撃によって内部短絡が発生する可能性がある。このように、従来のアルカリ電池用セパレーターでは、放電性能と耐衝撃性能を両立させることが難しかった。
そこで本発明は、優れた放電性能と耐衝撃性能とを備えたアルカリ電池用セパレーターと、そのセパレーターを備えたアルカリ電池を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための本発明は、上下方向を筒軸方向として上方に開口する有底筒状のアルカリ電池用セパレーターであって、
筒状に成形された帯状の2枚の不織布からなり、
前記帯状の2枚の不織布は、それぞれが長辺方向を前後方向として、前後に二分する位置を底部として、当該底部に対して前方と後方の領域が上方に立ち上げられているとともに、前記長辺に沿う領域で重ね合わされて、閉じた側面が形成され、
前記2枚の不織布の一方からなる有底筒状の外筒部内に他方からなる有底筒状の内筒部が挿入され、
前記内筒部と前記外筒部は、それぞれの前記長辺に沿う領域が対面しないように、前記筒軸周りに相対的に回転した位置に配置され、
前記外筒部と前記内筒部は、それぞれ、前記長辺に沿う領域にアスファルト系のシール剤が塗布されている、
ことを特徴とするアルカリ電池用セパレーターとしている。また、1mg以上3mg以下の量の前記シール剤が前記長辺に沿って1mm以上3mm以下の幅で塗布されていることを特徴とするアルカリ電池用セパレーターとすることもできる。
本発明の範囲には、正極端子を兼ねて下方を底部とした有底筒状の金属製電池缶内に装填されたリングコア状の正極合剤の内方に負極ゲルが上記いずれかに記載の前記アルカリ電池用セパレーターを介して収納されているとともに、前記電池缶の開口に負極端子板が封口ガスケットを介して嵌着されてなることを特徴とするアルカリ電池も含まれる。
本発明のアルカリ電池用セパレーターによれば、アルカリ電池の放電性能と耐衝撃性能を両立させることができる。また、コストダウンも期待できる。そして、このセパレーターを用いたアルカリ電池は、安価で、かつ耐衝撃性と放電特性に優れたものとなる。なお、その他の効果については以下の記載で明らかにする。
一般的なアルカリ電池の構造を示す図である。 アルカリ電池に用いられる平巻き方式セパレーターの作製手順を示す図である。 アルカリ電池に用いられる従来のクロス方式セパレーターの作製手順を示す図である。 上記従来のクロス方式セパレーターのその他の作製手順を示す図である。 本発明の実施例に係るアルカリ電池用セパレーターを示す図である。 上記実施例に係るアルカリ電池用セパレーターの性能を評価するために作製したサンプルを示す図である。 上記サンプルの平面図である。
本発明の実施例について、以下に添付図面を参照しつつ説明する。なお以下の説明に用いた図面において、同一または類似の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略することがある。ある図面において符号を付した部分について、不要であれば他の図面ではその部分に符号を付さない場合もある。
===クロス方式セパレーターについて===
LR20型やLR14型など、電池缶のサイズが大きなアルカリ電池では、大きな衝撃が加わった際、LR6型やLR03型などの小型のアルカリ電池よりも負極ゲルの量が多いため、セパレーターの内面に掛かる圧力が大きくなる。したがって、サイズが大きなアルカリ電池には平巻き方式セパレーターが採用されていた。しかし、平巻き方式セパレーターは、セパレーターの表面積に占める溶着領域の割合が大きくなるほど電解液の吸液量が減少し、アルカリ電池の放電性能を低下させる。そして、小型のアルカリ電池は、セパレーターの表面積が小さく、平巻き方式セパレーターを採用すると溶着領域の割合が相対的に大きくなる。したがって、小型のアルカリ電池ではクロス方式セパレーターを採用することが望ましい。
しかし、上述したように、最近のアルカリ電池では過酷な状態で使用される機会が増えてきていることから、クロス方式セパレーターには、従来と同等の吸液性能を維持しつつ、より高い耐衝撃性能が求められている。また、コストダウンが容易なクロス方式セパレーターの耐衝撃性能を向上させることができれば、大型のアルカリ電池にもクロス方式セパレーターを採用することが可能となる。それによって、衝撃による内部短絡の発生を防止しつつ、安価で放電性能に優れた大型のアルカリ電池を提供することが可能となる。
===実施例===
クロス方式セパレーターは、外筒部内に内筒部を挿入した二重筒状である。クロスセパレータを備えたアルカリ電池の耐衝撃性能を向上させるためには、負極ゲルの漏出経路となる、内筒部と外筒部の側面同士が接触する領域を閉鎖することが必要となる。しかし、この領域を溶着してしまうと、その領域でイオン透過性が阻害され、アルカリ電池の放電性能が劣化する。もちろん溶着工程が別途必要であり、製造コストも嵩む。
そこで本発明の実施例に係るアルカリ電池用セパレーターは、クロス方式を採用しつつ、負極ゲルが漏出しにくい構造を備えるとともに、負極ゲルの流出経路となる領域にシール剤が塗布されている。それによってクロス方式セパレーターにおける本来の放電性能を維持しつつ耐衝撃性能を向上させている。またシール剤を塗布する工程以外は、従来とほぼ同様の製造手順によって製造が可能で、コストダウンもし易い構造となっている。
<構造>
図5に本発明の実施例に係るセパレーターの構造を示した。図5(A)は、本実施例のセパレーター4cの外観図であり、図5(B)はセパレーター4cの分解図である。なお、ここではアルカリ電池内に組み込まれて有底円筒状に成形されたセパレーター4cを示した。図5(A)に示したように、本実施例のセパレーター4cは、2枚の不織布(140a、140b)がともに有底円筒状に成形され、一方の不織布140aから成形された外筒部147aの内方に他方の不織布140bから成形された内筒部147bが挿入され二重円筒状となっている。しかし、図5(B)に示したように、外筒部147aと内筒部147bは、側面145にスリットがなく、それぞれが個別に円筒の側面145と底部144を有して、上方の開口46以外が閉じている。そして側面145は帯状の1枚の不織布(140a、140b)における同じ長辺141が側面145に対面して長辺141に沿う領域150が重複している。さらに、長辺141に沿うこの領域(以下、重複領域150とも言う)には所定の幅でシール剤が塗布されており、1枚の帯状の不織布(140a、140b)は、円筒状に成形された状態では、重複領域150がそのシール剤を介して積層されている。それによって、負極ゲルの漏出経路になり易い重複領域150がシール剤によって閉鎖される。また本実施例のセパレーター4cは、2枚の帯状の不織布(140a、140b)のそれぞれが個別に閉じた有底筒状に形成されて外筒部147aに内筒部147bが挿入された二重筒状になっている。さらに内筒部147bと外筒部147aは、それぞれの重複領域150が対面しないように、円筒軸100周りに相対的に回転した位置に配置されている。そのため、もし、内筒部147bの重複領域150から負極ゲルが漏れ出したとしても、その内筒部147bから漏出した負極ゲルを外筒部147a内に止まらせることができる。なお、図5に示したセパレーター4cでは、内筒部147bが外筒部147aに対して円筒軸100周りに90゜回転している。そして本実施例のセパレーター4cは、重複領域150が溶着されていないため、イオン伝導性も低下し難い。
<サンプル>
つぎに、本発明の実施例に係るセパレーターの性能を評価するために、シール剤の配置状態が異なる各種セパレーターをサンプルとして作製した。ここではシール剤の塗布条件を容易に変えることができるように、有底角筒状のセパレーターを作製した。図6にサンプルとして作製したセパレーターの概略を示した。図6(A)〜(E)はサンプルとなるセパレーター4dの製造手順を示しており、まず、図6(A)に斜線のハッチングで示したように、2枚の帯状の不織布(140a、140b)のそれぞれの長辺141に沿う領域にサンプルに応じた所定の幅wでシール剤50を塗布しておく。またサンプルに応じて幅wとともにシール剤50の塗布量も変える。ここでは質量(g)を塗布量とした。シール剤は、ディスペンサやスクリーン印刷法を用いることで塗布することができる。なお、帯状の不織布(140a、140b)の長辺141方向を前後方向とすると、ここでは長辺141に沿う領域のうち、前後一方の短辺142から前後長の半分の長さまでの領域にシール剤50を塗布した。もちろん長辺141の全長にわたってシール剤50を塗布してもよい。そして、図6(B)に示したように、2枚の帯状の不織布(140a、140b)のそれぞれを従来のクロス方式セパレーターと同様にして角筒状の外筒部147aと内筒部147bに成形する。このとき、帯状の不織布(140a、140b)における長辺141に沿う領域を互いに重ね合わせて重複領域150を形成する。また重複領域150を圧着する。それによって、側面145が閉じた角筒状に成形される。そして図6(C)に示したように、外筒部147a内に内筒部147bを挿入し,有底角筒状のセパレーター4dを完成させる。図7にサンプルとなるセパレーター4dを上方から見たときのシール剤50の塗布領域を示した。図7では、シール剤50を斜線のハッチングで示した。なお、シール剤50としては、アルカリ電池における封口ガスケットと電池缶との接触領域や、封口ガスケットのボス部と負極集電子との接触領域などに使用されているアスファルト系のシール剤やエポキシ系のシール剤を使用することができる。ここではアスファルト系のシール剤を使用した。また不織布には、セルロースとビニロンが50%ずつの割合で配合されたものを用いた。
<性能試験>
上述した手順で作製したサンプルを用いたアルカリ電池の耐衝撃性能や放電性能を評価した。まず耐衝撃性能を評価するために、各サンプルを用いてLR6型アルカリ電池を作製した。ここでは、シール剤の塗布条件が同じサンプルについて、それぞれ10個のアルカリ電池を作製した。作製した全てのアルカリ電池に対し、開放回路電圧(Open Circuit Voltage:以下、OCVとも言う)を測定するとともに、複数のアルカリ電池を正極端子を鉛直下方に向けて立てた状態で箱詰めして各アルカリ電池を立設状態で維持した。そしてアルカリ電池が収納された箱を振動試験器の振動台の上に置き、アルカリ電池を円筒軸と直交する水平方向に箱ごと振動させる振動試験を行った。ここでは、アルカリ電池を振幅80cm、55Hzの条件で60分間振動させ、振動試験後における各アルカリ電池のOCVを測定した。振動によって負極ゲルがセパレーターの外側に漏出すれば、内部短絡が発生し、OVCが低下する。
以下の表1に振動試験の結果を示した。
Figure 0006986351
表1では、条件が異なるサンプル1〜26を採用したそれぞれのアルカリ電池について、10個の個体の内、振動試験の前後でOVCが低下した個体が一つでもあった場合には、そのサンプルを不合格とし、表中では「×」で示した。そして全ての個体において試験前後でOCVが変化しなかったアルカリ電池を合格として「○」で示した。表1に示したように、シール剤が塗布されていないサンプル1を用いたアルカリ電池ではOCVが低下した個体が存在した。一方、シール剤がわずかでも塗布されているサンプル2〜26を用いたアルカリ電池では、全ての個体でOCVが低下せず、合格となった。したがって側面の重複領域にシール剤が塗布されたクロス方式セパレーターを用いたアルカリ電池では、振動に対して負極ゲルがセパレーターの外側に漏出せず、内部短絡が発生しないことが確認できた。
つぎに、シール剤の塗布条件と放電性能との関係について検討した。ここでもシール剤の塗布条件が同じサンプルごとに10個の個体を作製した。そして、各個体に対して40wt%のKOH水溶液からなる電解液に20分浸漬する吸液試験を行い、その吸液量を測定し、サンプル毎に吸液量の平均値を計算した。以下の表2に,各サンプルに用いたセパレーターに対する吸液試験の結果を示した。
Figure 0006986351
表2では、シール剤が塗布されていないサンプル1における吸液量を100としたときの相対値によって各サンプルの吸液量が示されている。サンプル1に対して、シール剤の塗布量mが、1mg≦m≦3mgで、塗布幅wが1mm≦w≦3mmであるサンプル2〜4、7〜9、12〜14は、サンプル1と同じ吸液量を維持した。またシール剤の塗布幅に対して塗布量が多いサンプル5、6、10、11、15〜26では、吸液量がサンプル1よりも少なくなった。これらのサンプルでは、単位面積当たりのシール剤の量が多くなり、圧着時にシール剤が不織布の目に詰まり、結果として吸液量が低下した可能性がある。
ところで、サンプルに用いた不織布は、溶着が必要な平巻き形セパレーター用の不織布としてよく用いられているものであり、ビニロンが含まれていた。しかし、本発明の実施例に係るセパレーターは、溶着が不要なクロス式セパレーターであることから、セルロースのみからなる不織布など、より吸液性能に優れた素材からなる不織布を用いることができる。すなわち、シール剤の塗布条件がサンプル5、6、10、11、15〜26と同じであっても、不織布の素材を適宜に選択することで、より高い吸液性能を有するセパレーターを得ることができる。いずれにしても、振動試験の結果より、わずかでもシール剤が塗布されていれば耐衝撃性能が確保されることから、シール剤の塗布条件や不織布の素材は、目的とする放電性能に応じて適宜に設定することができる。そして、シール剤の塗布量mが1mg≦m≦3mgで、塗布幅wが1mm≦w≦3mmであれば、平巻き方式セパレーターを採用したアルカリ電池よりも確実に放電性能を向上させることができる。
なお、アルカリ電池に組み込まれているセパレーターが本実施例のセパレーターであるか否かは、アルカリ電池を分解すれば確認することができる。具体的には、封止状態にあるアルカリ電池の電池缶から封口体を取り外し、有底筒状のセパレーターを取り出すとともに、その有底筒状のセパレーターを当初の帯状の不織布に展開すれば、目視によりシール剤の有無を確認することができる。シール剤が確認できたならば、その塗布幅を計測すればよい。さらに、不織布からシール剤を剥がしたり、そぎ落としたりして、不織布からシール剤を取り除く。そしてシール剤を取り除く前後でのセパレーターの質量を測定してシール剤の塗布量を確認すればよい。
1 アルカリ電池、2 電池缶、3 正極合剤、4、セパレーター、
4a 平巻き式セパレーター、4b〜4d クロス式セパレーター、5 負極ゲル、
6 負極集電子、7 負極端子板、8 封口ガスケット、9 正極端子、
40,140a,140b 不織布、42,149 重複領域、46 セパレーターの開口、50 シール剤、100 円筒軸、141 帯状の不織布の長辺、
142 帯状の不織布の短辺、144 クロス式セパレーターの底面、
145 クロス式セパレーターの側面、147a クロス式セパレーターの外筒部、
147b クロス式セパレーターの内筒部

Claims (3)

  1. 上下方向を筒軸方向として上方に開口する有底筒状のアルカリ電池用セパレーターであって、
    筒状に成形された帯状の2枚の不織布からなり、
    前記帯状の2枚の不織布は、それぞれが長辺方向を前後方向として、前後に二分する位置を底部として、当該底部に対して前方と後方の領域が上方に立ち上げられているとともに、前記長辺に沿う領域で重ね合わされて、閉じた側面が形成され、
    前記2枚の不織布の一方からなる有底筒状の外筒部内に他方からなる有底筒状の内筒部が挿入され、
    前記内筒部と前記外筒部は、それぞれの前記長辺に沿う領域が対面しないように、前記筒軸周りに相対的に回転した位置に配置され、
    前記外筒部と前記内筒部は、それぞれ、前記長辺に沿う領域にアスファルト系のシール剤が塗布されている、
    ことを特徴とするアルカリ電池用セパレーター。
  2. 請求項1において、1mg以上3mg以下の量の前記シール剤が前記長辺に沿って1mm以上3mm以下の幅で塗布されていることを特徴とするアルカリ電池用セパレーター。
  3. 正極端子を兼ねて下方を底部とした有底筒状の金属製電池缶内に装填されたリングコア状の正極合剤の内方に負極ゲルが請求項1または2に記載の前記アルカリ電池用セパレーターを介して収納されているとともに、前記電池缶の開口に負極端子板が封口ガスケットを介して嵌着されてなることを特徴とするアルカリ電池。
JP2017010672A 2017-01-24 2017-01-24 アルカリ電池用セパレーター、アルカリ電池 Active JP6986351B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017010672A JP6986351B2 (ja) 2017-01-24 2017-01-24 アルカリ電池用セパレーター、アルカリ電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017010672A JP6986351B2 (ja) 2017-01-24 2017-01-24 アルカリ電池用セパレーター、アルカリ電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018120721A JP2018120721A (ja) 2018-08-02
JP6986351B2 true JP6986351B2 (ja) 2021-12-22

Family

ID=63045346

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017010672A Active JP6986351B2 (ja) 2017-01-24 2017-01-24 アルカリ電池用セパレーター、アルカリ電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6986351B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7088547B2 (ja) * 2018-09-27 2022-06-21 株式会社ワクトシステムプロダクツ 缶蓋検査装置

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE2256077A1 (de) * 1971-12-13 1973-06-20 Gould Inc Elektrodenanordnung fuer eine sekundaerzelle
US5075958A (en) * 1990-07-30 1991-12-31 Everady Battery Company, Inc. Separator for electrochemical cell and process for the assembling it into the cell
JPH09213347A (ja) * 1996-02-02 1997-08-15 Sony Corp アルカリ電池及びその製造方法
US6828061B2 (en) * 2001-10-26 2004-12-07 Eveready Battery Company, Inc. Electrochemical cell with reinforced separator
AR045347A1 (es) * 2003-08-08 2005-10-26 Rovcal Inc Celda alcalina de alta capacidad
US7754386B2 (en) * 2005-11-28 2010-07-13 Pure Energy Visions Corporation Rechargeable alkaline manganese cell having reduced capacity fade and improved cycle life
US7799455B2 (en) * 2006-11-29 2010-09-21 The Gillette Company Battery separator and method of making same
US7807297B2 (en) * 2008-06-04 2010-10-05 The Procter & Gamble Company Alkaline batteries
JP5183394B2 (ja) * 2008-09-25 2013-04-17 Fdkエナジー株式会社 アルカリ電池用セパレータ及びその製造方法、アルカリ電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018120721A (ja) 2018-08-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006310293A (ja) 二次電池
JP6986351B2 (ja) アルカリ電池用セパレーター、アルカリ電池
JP2002535817A (ja) リチウム二次電池電解液注入口シーリング用装置
KR100824849B1 (ko) 리튬 이차전지 및 그 제조방법
CN107851772A (zh) 卷绕型电池
JP6844610B2 (ja) 鉛蓄電池
JP2012209260A (ja) 電池
JP6731247B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ、アルカリ電池、およびアルカリ電池用セパレータの製造方法
US2866841A (en) Electrode separator
JP2012134107A (ja) 電池
JP6136633B2 (ja) 電池
JP5455182B2 (ja) アルカリ電池
JP5492420B2 (ja) アルカリ電池
JP5588806B2 (ja) アルカリ電池
JP2019121602A (ja) 電池およびその電池を製造する方法
JP7117139B2 (ja) アルカリ電池
JP2007323878A (ja) 注液式電池
JP7483339B2 (ja) 電池用セパレーター、電池、及び電池用セパレーターの製造方法
JP2022018209A (ja) アルカリ電池、及びアルカリ電池用正極合剤
JP7187205B2 (ja) 円筒型電池
JP2021048100A (ja) 電池用セパレーター、電池、及び電池用セパレーターの製造方法
JP7097232B2 (ja) アルカリ電池および電池缶
JP2003157859A (ja) 乾電池
JP2007157585A (ja) アルカリ電池
JP2002260672A (ja) 角型アルカリ蓄電池

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20170831

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191218

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200907

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201027

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210525

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210706

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211102

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211129

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6986351

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150