JP6986323B2 - コンクリートの乾燥収縮ひずみの予測方法、およびコンクリートの乾燥収縮応力の予測方法 - Google Patents
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Description
この収縮ひび割れの主因としてコンクリートの乾燥収縮ひずみが挙げられる。該ひずみは、図8に示すように、コンクリートの外部拘束により生じるひずみと内部拘束により生じるひずみがある。したがって、コンクリートの収縮ひび割れを制御するには、主因となる乾燥収縮ひずみを事前に把握する必要がある。
日本建築学会式は、コンクリート周囲の相対湿度、コンクリートの体積、外気に接する表面積、および体積表面積比などのパラメータを含む式に、セメント等の種類の影響を表す修正係数を含む式を乗じてなる下記の予測式である(非特許文献1の4頁、5頁、182頁)。
すなわち、本発明は、下記の構成を有するコンクリートの乾燥収縮ひずみの予測方法等を提供する。
(A)湿度解析によりコンクリート表面から中心部に至る各位置の相対湿度を求める、湿度解析過程
(B)下記の乾燥収縮ひずみ測定装置(E1)または乾燥収縮ひずみ測定装置(E2)を用いて測定した、3種類以上の任意の相対湿度における乾燥収縮のひずみの終局値(ε)、および基準相対湿度における乾燥収縮のひずみの終局値(εS)の比(ε/εS)と、前記各位置の相対湿度を用いて、下記(1)式に基づき係数aおよびbを回帰分析により算出し回帰式を導出する、回帰式導出過程
ε/εS=(100−RH)/{a×(100−RH)+b} ・・・(1)
(ただし、式中、ε/εSは、3種類以上の任意の相対湿度における乾燥収縮のひずみの終局値(ε)、および基準相対湿度における乾燥収縮のひずみの終局値(εS)の比を表し、RHは相対湿度(%)を表し、aおよびbは係数を表す。)
乾燥収縮ひずみ測定装置(E1):
1個以上のレーザー変位計、乾燥収縮ひずみ測定用の直径が10〜20cm、および厚さが8〜12mmの円板状の供試体を載置するための台座、該供試体の位置決め治具、および、支持部材を少なくとも含む、乾燥収縮ひずみ測定装置
乾燥収縮ひずみ測定装置(E2):
2個以上のレーザー変位計、乾燥収縮ひずみ測定用の直径が10〜20cm、および厚さが8〜12mmの円板状の供試体を支持するための3点以上の支持部材、および、該支持部材の一部を埋設してなる台座、を少なくとも含む、乾燥収縮ひずみ測定装置
(C)前記(B)過程で導出した回帰式を用いて、各位置の相対湿度から各位置の乾燥収縮ひずみの比(ε/εS)を算出した後、該比に、基準相対湿度における乾燥収縮のひずみの終局値(εS)を乗じて、前記各位置の乾燥収縮ひずみの予測値(ε)を算出する、乾燥収縮ひずみの予測値の算出過程
[2]前記基準相対湿度が60%である、前記[1]に記載のコンクリートの乾燥収縮ひずみの予測方法。
[3]さらに前記[1]または[2]に記載の各位置のコンクリートの乾燥収縮ひずみの予測値から、応力解析により該各位置の乾燥収縮応力の予測値を算出する、コンクリートの乾燥収縮応力の予測方法。
以下、本発明について、乾燥収縮ひずみの予測方法と乾燥収縮応力の予測方法に分けて、詳細に説明する。
(A)湿度解析過程
該過程は、湿気解析ソフトを用いて、コンクリートの壁表面から中心部に至る相対湿度と、その経時変化を解析する過程である。該ソフトとして、例えば、3次元湿気移動解析機能を備えた「ASTEA MACS」(計算力学研究センター社製)や「JCMAC3」(日本コンクリート工学会が販売)を用いることができる。前記「ASTEA MACS」を用いて求めたコンクリート内部の相対湿度分布の一例を図9に示す。
該過程は、前記乾燥収縮ひずみ測定装置(E1)または(E2)を用いて測定した、3種類以上の任意の相対湿度における乾燥収縮のひずみの終局値(乾燥収縮ひずみが一定またはほぼ一定になった値、ε)、および基準相対湿度(ただし、通常、前記3種類以上の任意の相対湿度と異なる。)における乾燥収縮のひずみの終局値(εS)の比(ε/εS)と、前記各位置の相対湿度を用いて、前記(1)式に基づき係数aおよびbを回帰分析(フィッティング)により算出し回帰式を導出する過程である
なお、前記基準相対湿度は、以下の理由から、好ましくは60%である。
(i)相対湿度60%におけるコンクリートの乾燥収縮ひずみの測定は、前記のJIS A 1129の附属書A(参考)に規定されている。
(ii)「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針(案)・同解説」(日本建築学会発行)や「建築工事標準仕様書・同解説」JASS5(日本建築学会発行)、および「コンクリート標準示方書」(土木学会発行)に、前記JISの規定に従って乾燥収縮ひずみを測定するとされている。したがって、相対湿度60%における乾燥収縮ひずみの測定が普及した結果、多種類のコンクリートについて相対湿度60%における乾燥収縮ひずみの膨大なデータが蓄積されている。
(iii)前記比(ε/ε60)を用いれば、相対湿度60%における乾燥収縮ひずみの既存のデータから、乾燥収縮ひずみの予測値が容易に算出できるため、既存のデータを有効に活用できる。
よって、相対湿度60%における乾燥収縮ひずみを新たに測定することなく、既存のデータを活用して乾燥収縮ひずみを精度よく予測することができる。もっとも、予測精度をさらに高めるために、予測対象のコンクリートと同じ配合の供試体を用いて、相対湿度60%における乾燥収縮ひずみを実測し、既存のデータの代わりに該実測値を用いてもよい。
(i)乾燥収縮ひずみ測定装置(E1)
乾燥収縮ひずみ測定装置(E1)は、図1〜3に例示するとおり、1個以上のレーザー変位計4、乾燥収縮ひずみ測定用の供試体を載置するための台座2、および、該供試体1の位置決め治具3を少なくとも含む装置である。
前記レーザー変位計4は、特に制限されず、反射型や透過型等の市販のレーザー変位計が挙げられる。本発明では、レーザー変位計の数を増やせばデータ数が増え、その分、測定精度は向上するが、装置はコスト高になるため、レーザー変位計の数は、好ましくは1〜4個、より好ましくは2〜4個である。前記レーザー変位計は、台座上に載置した円板状または四角板状の供試体の中心に向けてレーザーを照射できるように設置する。レーザー変位計の設置位置は、例えば、図1や図2に示す位置が挙げられる。
さらに、当該台座は、熱や衝撃による変形を防止するため、好ましくはインバー鋼材を用いて製造する。また、台座は、供試体を支持するための支持部材5を設置してもよい。支持部材を設置すると、供試体と台座の間の熱の移動を低減できるため、乾燥収縮ひずみの測定精度が向上する。
支持部材の形状は、特に制限されず、図3に示すような球状(図3では、支持部材の下部の一部が、台座に埋め込まれている。)や、柱状等が挙げられる。なお、支持部材を柱状にする場合は、供試体と点で接触するように、好ましくは、供試体に接する支持部材の面を半球状にする。
支持部材の数は、供試体を安定して載置できるため3点以上が好ましい。なお、支持部材を多くすると装置の製造に手間がかかため、支持部材の数は3〜4がより好ましい。また、前記支持部材は、供試体を安定して載置するためには、正三角形または正方形を形成するように設置するのが好ましい。図3は、支持部材が正方形を形成するように設置した例である。さらに、支持部材は、熱や衝撃による変形を防止するため、好ましくはインバー鋼材を用いて製造する。
また、乾燥収縮ひずみ測定装置(E1)は、レーザー変位計、台座、および位置決め治具を、基盤を用いて一体化して構成することが好ましい。レーザー変位計、台座、位置決め治具、および、これらを設置するために用いる基盤は、熱や衝撃による変形を防止するため、好ましくはインバー鋼材を用いて製造する。
該測定方法は、前記乾燥収縮ひずみ測定装置の台座上に、円板状または四角板状の供試体を、該供試体の周囲の側面が位置決め治具と接触するように載置した後、レーザー変位計を用いて供試体の周囲の側面にレーザーを照射して、レーザー変位計と供試体の周囲の側面の間の距離を測定することにより、供試体の乾燥収縮ひずみを測る方法である。
供試体が円板状の場合、供試体の直径は、10〜30cmであれば、供試体の製造は容易で、また供試体の乾燥が速くなり好ましい。なお、供試体の直径は、より好ましくは10〜20cmである。また、供試体の厚さは、5〜20mmであれば供試体は割れ難く、また供試体の乾燥がさらに速くなるため好ましい。なお、供試体の厚さは、より好ましくは6〜18mm、さらに好ましくは7〜15mm、特に好ましくは8〜12mmである。
また、供試体が四角板状の場合、四角板の1辺の長さは、好ましくは10〜30cm、より好ましくは10〜20cmであり、さらに好ましくは、1辺の長さが10〜30cmの正方形、特に好ましくは、1辺の長さが10〜20cmの正方形である。1辺の長さが10〜30cmの正方形であれば、供試体の製造は容易で、また供試体の乾燥が速くなる。また、四角板状の供試体の厚さは、好ましくは5〜20mm、より好ましくは6〜18mm、さらに好ましくは7〜15mm、特に好ましくは8〜12mmである。供試体の厚さが5〜20mmであれば、供試体は割れ難く、また供試体の乾燥はさらに速くなる。
なお、乾燥収縮ひずみ測定装置(E1)の台座に支持部材が設置されている場合、該支持部材上に、円板状または四角板状の供試体の周囲の側面が位置決め治具と接触するように、該供試体を載置する。
本発明の測定方法では、乾燥収縮ひずみの測定間隔は任意であるが、乾燥収縮ひずみの終局値を早期に得るためや、測定の手間を低減するために、乾燥収縮ひずみの測定間隔は好ましくは乾燥期間1〜10日毎、より好ましくは乾燥期間1〜7日毎である。
また、前記測定した距離が画面上に表示される測定装置を用いる場合、本発明の測定方法は、乾燥前の供試体と同じ形状および寸法を有する金属板(基長板)を台座上に載置して、レーザー変位計と該金属板の側面の間の距離を測定し、該距離(の表示)をゼロに設定した後、該金属板に代えて前記供試体を台座上に載置して、レーザー変位計と供試体の側面の間の距離を測定して乾燥収縮ひずみを求める方法である。
前記金属板(基長板)は、温度の変化による長さの変化が同じになるよう、好ましくは台座と同じ材質の金属であり、熱や衝撃による変形を防止するため、より好ましくは、インバー鋼材である。
(iii)乾燥収縮ひずみ測定装置(E2)
乾燥収縮ひずみ測定装置(E2)は、図4〜7に例示するように、2個以上のレーザー変位計4、乾燥収縮ひずみ測定用の供試体を支持するための3点以上の支持部材5、および、該支持部材の一部を埋設してなる台座2を少なくとも含む装置である。
前記レーザー変位計は、前記乾燥収縮ひずみ測定装置(E1)のレーザー変位計と同じである。また、乾燥収縮ひずみの測定精度が向上するため、レーザー変位計を2個以上設置する。レーザー変位計が1個では、乾燥収縮ひずみの測定精度が低下するおそれがある。また、レーザー変位計を増やせばデータ数が増え、その分、さらに測定精度が向上するが、装置はコスト高になる。したがって、レーザー変位計は、好ましくは2〜6個、より好ましくは2〜4個設置する。
レーザー変位計は、乾燥収縮ひずみの測定精度が向上し、また、供試体の載置が容易なため、好ましくは、支持部材が形成する正三角形または正方形の中心から等間隔の位置に、レーザー照射面を該中心に向けて設置する。また、乾燥収縮ひずみの測定精度がさらに向上するため、より好ましくは、2〜6個の前記レーザー変位計を、該レーザー変位計から照射されたレーザーが60〜300°の角度で交差するように配置する。
レーザー変位計を設置する態様は、レーザー変位計を2個設置する場合、例えば、図4に示すように、レーザー変位計を対向して設置するか、図5に示すように、レーザーが90°の角度で交差するように設置し、また、レーザー変位計を4個設置する場合、図6に示すように、2組のレーザー変位計を対向して設置する。
なお、支持部材の形状、数、配置する形(位置の形状)、および材質は、乾燥収縮ひずみ測定装置(E1)と同じである。
なお、供試体載置補助治具は、図7に示すように台座の外側に設置するほか、台座上に設置してもよい。また、供試体載置補助治具は、熱や衝撃による変形を防ぐため、好ましくはインバー鋼材を用いて製造する。
乾燥収縮ひずみ測定方法は、前記乾燥収縮ひずみ測定装置(E2)の支持部材上に、円板状または四角柱状の供試体の中心が、前記支持部材が形成する正三角形または正方形の中心と一致するように載置した後、レーザー変位計を用いて供試体の周囲の側面にレーザーを照射して、レーザー変位計と供試体の周囲の側面の間の距離を測定することにより、供試体の乾燥収縮ひずみを求める方法である。
例えば、図7に示すように、乾燥収縮ひずみ測定装置(E2)の支持部材(台座上の球状の4点)上に、円板状の供試体を、該供試体の中心と支持部材が形成する正方形の中心が一致するように載置した後(図7(B))、レーザー変位計を用いて供試体の周囲の側面にレーザーを照射して、レーザー変位計と供試体の周囲の側面の間の距離を測定することにより、供試体の乾燥収縮ひずみを測る。
なお、前記供試体の形状、大きさ、および厚さは、乾燥収縮ひずみ測定装置(E1)を用いた乾燥収縮ひずみの測定方法の場合と同じである。
なお、乾燥収縮ひずみの測定間隔は、乾燥収縮ひずみ測定装置(E1)を用いた乾燥収縮ひずみの測定方法の場合と同じである。
以上述べたように、乾燥収縮ひずみ測定装置(E1)または(E2)を用いれば、乾燥収縮ひずみ(終局値)を短期間で精度よく求めることができる。
前記(B)過程で求めた、3種類以上の任意の相対湿度における乾燥収縮のひずみの終局値(ε)、および基準相対湿度における乾燥収縮のひずみの終局値(εS)の比(ε/εS)と、前記各位置の相対湿度を用いて、前記(1)式に基づき係数aおよびbを回帰分析(フィッティング)により算出し回帰式を導出する。このようにして求めた回帰式は、セメントや骨材の種類、および配合等が異なるコンクリートに対しても広範囲に適用でき汎用性が高い。
該過程は、前記(B)過程で導出した回帰式を用いて、各位置の相対湿度から各位置の乾燥収縮ひずみの比(ε/εS)を算出した後、該比に、基準相対湿度における乾燥収縮のひずみの終局値(εS)を乗じて、前記各位置の乾燥収縮ひずみの予測値(ε)を算出する過程である。コンクリートの壁表面からの各位置における、乾燥収縮ひずみの予測値の経時変化の一例を図12に示す。
該方法は、応力解析ソフトを用いて、前記各位置の乾燥収縮ひずみの予測値から、該各位置の乾燥収縮応力の予測値とその経時変化を算出する方法である。該ソフトて、例えば、3次元応力解析機能を兼備した前記の「ASTEA MACS」や「JCMAC3」を用いることができる。なお、コンクリートの壁表面からの各位置における、乾燥収縮応力の予測値の経時変化の一例を図13に示す。
1.供試体の作製
セメントは普通ポルトランドセメントと高炉セメントB種を用い、また、粗骨材は3種類の硬質砂岩砕石と1種類の石灰岩砕石を用いて、水セメント比が50%のコンクリートを容量50リッターのパン型ミキサを用いて2分間混練した後、混練物を内径10cm、高さ20cmの型枠に打設して成形してコンクリートを得た。次に、該コンクリートを20℃で1日間湿空養生した後に脱型し、さらに20℃で7日間水中養生した後、コンクリートの高さ方向の中央部付近を切断して、直径10cm、厚さ1cmの乾燥収縮ひずみ測定用の供試体を3個作製した。
前記乾燥収縮ひずみ測定用の供試体1を、温度が20℃で、相対湿度がそれぞれ40%、60%、80%および90%の環境下で乾燥させた。そして、乾燥期間7日毎に、該供試体の周囲の側面が、図1に示す乾燥収縮ひずみ測定装置(E1)の位置決め治具3と接触するように台座2に供試体を載置した後、レーザー変位計4を用いて、レーザー変位計と供試体の周囲の側面の間の距離を測定した。なお、本実施例では、1個の供試体に対して3箇所(図1の点a、点b、および点c)でレーザー変位計と供試体の周囲の側面の間の距離を測定して、この平均値を当該供試体の乾燥収縮ひずみとして算出し、さらに、3個の供試体の乾燥収縮ひずみ(平均値)を平均して、各乾燥期間の乾燥収縮ひずみを求めた。
各種の相対湿度における乾燥収縮ひずみの経時変化を図10に示した(ただし、図10では乾燥期間49日以降のデータの一部の記載を省略した)。
図10に示すように、乾燥収縮ひずみ測定装置(E1)を用いた場合、乾燥収縮ひずみの終局値を乾燥期間が50日以内という早期に得られることが分かる。なお、JIS A 1129-2「モルタル及びコンクリートの長さ変化測定方法 第2部:コンタクトゲージ方法」に準拠して測定した各種の相対湿度における乾燥収縮ひずみの終局値(乾燥期間はいずれも1年以上を要した。)は、相対湿度が40%では−1245×10−6、60%では−1133×10−6、80%では−922×10−6、90%では−535×10−6であり、図10の終局値と一致した。
次に、各種の相対湿度における乾燥収縮ひずみの終局値(ε)と基準相対湿度における乾燥収縮ひずみの終局値(εS)の比(ε/εS)を算出した。ここでは、基準相対湿度は60%を採用した。
長さ3m、高さ2.5m、および厚さ30cmで、鉄筋比が0.3%のコンクリートの壁部材を想定し、気温を20℃でコンクリート周囲の相対湿度を60%に設定して、前記「ASTEA MACS」を用いて湿度解析を行った。コンクリートの壁表面から中心部に至る各位置における相対湿度の予測値の経時変化を図9に示す。
前記乾燥収縮のひずみの終局値、および基準相対湿度における乾燥収縮のひずみの終局値の比(ε/εS)と、前記各位置の相対湿度を用いて、前記(1)式に基づき係数aおよびbを回帰分析(フィッティング)により算出し回帰式を導出した。該式とその曲線を図11に示す。
前記回帰式を用いて、各位置の相対湿度から各位置の乾燥収縮ひずみの比(ε/εS)を算出した後、該比に、基準相対湿度における乾燥収縮のひずみの終局値(εS)を乗じて、コンクリート内部の各位置における乾燥収縮ひずみの予測値を算出した。該予測値とその経時変化を図12に示す。また、比較のため、土木学会式を用いた従来の方法による予測結果も併記した。
前記「ASTEA MACS」を用いて、前記乾燥収縮ひずみの予測値に基づきコンクリートの外部拘束と内部拘束を考慮して、乾燥収縮応力の予測値を求めた。該予測値とその経時変化を図13に示す。また、比較のため、前記土木学会式を用いコンクリートの外部拘束のみを考慮した従来の方法による予測結果も併記した。
したがって、本発明の予測方法は、コンクリート内部の湿度分布を考慮してコンクリートの乾燥収縮ひずみや乾燥収縮応力を、短期間に精度よく予測できるため、コンクリートの収縮ひび割れの判定や評価において、ひび割れが発生する可能性を高い精度で予測することができる。
2 台座
3 位置決め治具
4 レーザー変位計(ただし、黒色の矢印はレーザーを示す。)
5 支持部材
Claims (3)
- 下記(A)〜(C)の過程を含む、コンクリートの乾燥収縮ひずみの予測方法。
(A)湿度解析によりコンクリート表面から中心部に至る各位置の相対湿度を求める、湿度解析過程
(B)下記の乾燥収縮ひずみ測定装置(E1)または乾燥収縮ひずみ測定装置(E2)を用いて測定した、3種類以上の任意の相対湿度における乾燥収縮のひずみの終局値(ε)、および基準相対湿度における乾燥収縮のひずみの終局値(εS)の比(ε/εS)と、前記各位置の相対湿度を用いて、下記(1)式に基づき係数aおよびbを回帰分析により算出し回帰式を導出する、回帰式導出過程
ε/εS=(100−RH)/{a×(100−RH)+b} ・・・(1)
(ただし、式中、ε/εSは、3種類以上の任意の相対湿度における乾燥収縮のひずみの終局値(ε)、および基準相対湿度における乾燥収縮のひずみの終局値(εS)の比を表し、RHは相対湿度(%)を表し、aおよびbは係数を表す。)
乾燥収縮ひずみ測定装置(E1):
1個以上のレーザー変位計、乾燥収縮ひずみ測定用の直径が10〜20cm、および厚さが8〜12mmの円板状の供試体を載置するための台座、該供試体の位置決め治具、および、支持部材を少なくとも含む、乾燥収縮ひずみ測定装置
乾燥収縮ひずみ測定装置(E2):
2個以上のレーザー変位計、乾燥収縮ひずみ測定用の直径が10〜20cm、および厚さが8〜12mmの円板状の供試体を支持するための3点以上の支持部材、および、該支持部材の一部を埋設してなる台座、を少なくとも含む、乾燥収縮ひずみ測定装置
(C)前記(B)過程で導出した回帰式を用いて、各位置の相対湿度から各位置の乾燥収縮ひずみの比(ε/εS)を算出した後、該比に、基準相対湿度における乾燥収縮のひずみの終局値(εS)を乗じて、前記各位置の乾燥収縮ひずみの予測値(ε)を算出する、乾燥収縮ひずみの予測値の算出過程 - 前記基準相対湿度が60%である、請求項1に記載のコンクリートの乾燥収縮ひずみの予測方法。
- さらに請求項1または2に記載の各位置のコンクリートの乾燥収縮ひずみの予測値から、応力解析により該各位置の乾燥収縮応力の予測値を算出する、コンクリートの乾燥収縮応力の予測方法。
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