以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1から図11を参照して、本発明の第1実施形態に係るカートリッジ式化粧料容器1について説明する。
まず、図1及び図2を参照して、カートリッジ式化粧料容器1の全体構成について説明する。
カートリッジ式化粧料容器1は、化粧料4が収容されたカートリッジ外筒10を有するカートリッジ体2が取り付けられて用いられるものである。カートリッジ式化粧料容器1は、図1に示すように、カートリッジ体2が着脱自在に取り付けられる本体筒20と、外周に雄ねじ61aが形成され、カートリッジ外筒10と本体筒20との相対回転によって繰り出されてカートリッジ外筒10内の化粧料4を押し出す押棒60と、カートリッジ体2が本体筒20に取り付けられた状態で雄ねじ61aと螺合する雌ねじ部53が内周に形成される雌ねじ部材50とを備える。本体筒20は、本体外筒21と、本体外筒21に対して同軸に、かつ相対回転不能に取り付けられる尾栓30と、本体外筒21の内周に挿入される本体内筒40とを備える。
また、カートリッジ式化粧料容器1は、雌ねじ部材50及び押棒60を付勢する付勢部材としてのコイルばね7を備える。
図1、図3及び図4を参照して、カートリッジ式化粧料容器1に取り付けられるカートリッジ体2について説明する。
カートリッジ体2は、本体筒20に装着される。カートリッジ体2は、内部に化粧料4が充填されるカートリッジ外筒10と、カートリッジ外筒10に対して軸方向に移動可能に収容される保持部材70と、カートリッジ外筒10の外周上に取り付けられるキャップ3と、を備える。
カートリッジ体2は、使用に際してカートリッジ式化粧料容器1に取り付けられ、使用者による容器の操作に応じて内部に収容されている化粧料4が繰り出される。カートリッジ体2は、カートリッジ式化粧料容器1に対して着脱自在であり、カートリッジ体2を交換することで、繰り出される化粧料4の種類を変更することができる。
図4に示すように、カートリッジ外筒10は、軸方向に貫通する貫通孔17が形成された円筒状部材であり、前端面18aに開口する前端開口11aと、後端面18bに開口する後端開口11bと、を有する。また、カートリッジ外筒10は、化粧料4が収容される化粧料収容部12と、カートリッジ式化粧料容器1の本体筒20に嵌入される嵌入部19と、化粧料収容部12と嵌入部19との間に設けられ、嵌入部19の外周よりも径方向外側に突出するフランジ14と、を有する。
貫通孔17は、前端開口11aから続く第1貫通孔17bと、第1貫通孔17bよりも内径が大きく、後端開口11bまで続く第2貫通孔17cと、を有し、第1貫通孔17bと第2貫通孔17cとは、段部17dにより互いに隔てられている。第1貫通孔17bの内周面には、径方向内側に突出する環状凸部17aが形成されている。第2貫通孔17cの内周面には、ローレット17eが形成されている。
化粧料収容部12は、略円筒状に形成される。化粧料収容部12の内周には、化粧料4が収容される。化粧料収容部12には、その外周に、嵌合凸部13bと、Oリング溝16とが設けられる。嵌合凸部13bは、キャップ3がカートリッジ外筒10に装着されたときに、キャップ3の内周に設けられる嵌合凹部3bと嵌合し、キャップ3を軸方向に係止する。Oリング溝16には、カートリッジ外筒10とキャップ3との間で圧縮されるOリング5が取り付けられ、Oリング5により、キャップ3の内部の気密性が確保される。
嵌入部19は、略円筒状に形成される。嵌入部19の内周は、化粧料収容部12の内周に連続して形成される。嵌入部19の外周には、フランジ14の近傍に環状の嵌合凸部15が形成される。嵌合凸部15は、本体筒20に嵌合する。
フランジ14は、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられたときに、本体筒20の端部に接して軸方向におけるカートリッジ外筒10の位置を規定する。また、フランジ14は、キャップ3がカートリッジ外筒10に取り付けられたときに、キャップ3の端面に接して軸方向におけるキャップ3の位置を規定する。
保持部材70は、略円柱状に形成され、カートリッジ外筒10を軸方向に貫通する貫通孔17に挿入される。保持部材70は、化粧料4の後端に位置する。保持部材70は、化粧料4に接する天面71と、天面71の反対側に設けられる後端面75と、外周に形成される突部72と、を有する。
保持部材70の後端には大径部73が設けられ、大径部73の外周には、軸方向にローレット17eと係合するリブ74が形成される。大径部73の内周には、後述する押棒60の多角形凸部66と係合する多角形凹部76と、後述する押棒60の天面62が当接する当接面77とが形成される。
カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられてカートリッジ外筒10と本体筒20との相対回転によって押棒60が繰り出されると、押棒60の天面62が保持部材70の当接面77に当接する。
本実施形態では、カートリッジ外筒10の第2貫通孔17cを形成する内周面において、段部17dの基端側の端面からカートリッジ外筒10の後端面18bまでの軸方向全体に亘ってローレット17eが形成されている。ローレット17eは、カートリッジ外筒10の中心軸に対して垂直な断面において、カートリッジ外筒10の内周方向へ連続する複数の溝を形成する。
保持部材70のリブ74は、保持部材70がカートリッジ外筒10に組み付けられた状態でローレット17eの溝と係合し、カートリッジ外筒10の貫通孔17内における保持部材70の軸方向の移動を許容する一方、カートリッジ外筒10に対する保持部材70の相対回転を制限する。
本実施形態では、カートリッジ外筒10の中心軸に対して垂直な断面において、ローレット17eを構成する溝が三角状をなし、リブ74がローレット17eの溝と噛み合う相補的な三角状をなしているが、ローレット17eおよびリブ74の構成は、これに限られるものではなく、四角状および半円状等、カートリッジ外筒10に対する保持部材70の相対回転を制限可能なあらゆる形状を採用することができる。
化粧料4は、カートリッジ外筒10の内周に保持部材70が挿入されて保持部材70の突部72がカートリッジ外筒10の内周に設けられる環状凸部17aを乗り越えて、保持部材70の下方への脱落を防止した状態で、前端開口11aから充填される。化粧料4は、充填時には加熱されて液状であり、充填後に冷却されて棒状になる。
キャップ3は、有底円筒状に形成される。キャップ3は、カートリッジ外筒10の化粧料収容部12に取り付けられて前端開口11aを閉塞する。キャップ3には、その開口端の内周に、カートリッジ外筒10の嵌合凸部13bに嵌合する環状の嵌合凹部3bが設けられる。
Oリング5は、カートリッジ外筒10に設けられるOリング溝16に取り付けられる。キャップ3がカートリッジ外筒10に取り付けられた状態では、Oリング5は、カートリッジ外筒10とキャップ3との間の隙間を塞ぎ、キャップ3の内部が乾燥するのを防止する。
このように構成されるカートリッジ体2は、保持部材70が挿入されて化粧料4が収容されたカートリッジ外筒10にキャップ3を取り付けて前端開口11aを閉鎖することで、化粧料4を内臓したカートリッジとして単体で販売される。これに代えて、カートリッジ式化粧料容器1にカートリッジ体2を取り付けた状態で、カートリッジ体2を備えたカートリッジ式化粧料容器1として販売しても良い。
次に、図5から図11を参照して、カートリッジ式化粧料容器1について説明する。
図5及び図7に示すように、本体外筒21は、前端開口22と後端開口29とを有する略円筒状に形成される。本体内筒40は、前端開口22から本体外筒21の内周に挿入される。尾栓30は、後端開口29から本体外筒21の内周に挿入される。
本体外筒21は、前端開口22の近傍の内周に、本体内筒40と嵌合する環状の嵌合凹部23を有する。本体外筒21は、後端開口29の近傍の内周に、尾栓30と嵌合する環状の嵌合凹部28と、尾栓30と相対回転不能に係合するリブ27を有する。
本体外筒21には、その内周に、近接ガイド部(第1ガイド部)25とガイド壁部26とが設けられる。近接ガイド部25は、本体外筒21の軸方向略中央に径方向内側に突出して形成される。ガイド壁部26は、前端開口22と近接ガイド部25との略中央から近接ガイド部25までの領域に径方向内側に突出して形成される。
ガイド壁部26は、本体内筒40の外周に設けられるガイド部45と係合する。ガイド壁部26とガイド部45とにより、本体外筒21に対する本体内筒40の周方向の位置が規定され、本体外筒21と本体内筒40との相対回転が不能となる。このように、ガイド壁部26は、本体内筒40が本体外筒21の内周に挿入される際に、本体内筒40を回転不能にガイドする。
近接ガイド部25は、互いに径方向に対向して一対設けられる。各近接ガイド部25は、軸方向に対して傾斜する傾斜面25aを有する。近接ガイド部25の傾斜面25aは、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられるときには、雌ねじ部材50の後述する羽根部55の後端面55bに接する。傾斜面25aが軸方向に対して傾斜するので、雌ねじ部材50は、カートリッジ外筒10と共に軸方向に移動するとともに、径方向中心へ向かって移動する。
図5及び図8に示すように、尾栓30は、有底の略円筒状に形成される。尾栓30は、本体外筒21に嵌入される嵌入部31を有する。
嵌入部31は、略円筒状に形成される。嵌入部31の基端近傍の外周には、本体外筒21の嵌合凹部28に嵌合する環状の嵌合凸部34と、リブ27と係合する溝32が形成される。
溝32は、本体外筒21のリブ27に係合し、本体外筒21との相対回転を不能にする。本実施形態では、溝32は4つ設けられている。
また、尾栓30には、カートリッジ式化粧料容器1を組み立てる際に押棒60を保持する支柱36が設けられる。支柱36は、略円柱状に形成され、内周の底面37から軸方向に突出する。支柱36の先端は、押棒60の後述する腔部64への挿入を容易にするために、半球状に丸めて形成される。
図5及び図6に示すように、押棒60は、略円柱状に形成される。押棒60は、本体筒20の内周に収容される。押棒60は、本体筒20と同軸に棒軸61が設けられ、棒軸61の一端には、天面62と多角形凸部66と円柱部65が設けられ、棒軸61の他端には、大径部63と、大径部63から軸方向に凹設される腔部64とを有する。
棒軸61の外周には、雄ねじ61aが形成される。カートリッジ外筒10に収容された化粧料4(図1参照)は、微量ずつ押し出されて使用される。よって、雄ねじ61aのピッチは、押棒60が微動可能なピッチに設定される。
雄ねじ61aには、雌ねじ部材50の後述する雌ねじ部53が螺合可能である。押棒60のストロークは、雄ねじ61aの軸方向の長さによって決定される。
円柱部65から延設される多角形凸部66は、カートリッジ体2がカートリッジ式化粧料容器1に取り付けられた時、カートリッジ外筒10内に収容されている保持部材70の多角形凹部76と相対回転不能に係合している。つまり、多角形凸部66と多角形凹部76により、保持部材70に対する押棒60の相対回転を制限する。
本実施形態では、多角形凹部76は八角形の凹み状、多角形凸部66は多角形凹部76と係合可能な八角形の突状にしたが、多角形凹部76と多角形凸部66の構成は、これに限られるものではなく、八角形以外の多角形など、相対回転を制限可能なあらゆる形状を採用することができる。
天面62は、カートリッジ体2がカートリッジ式化粧料容器1に取り付けられた状態で押棒60が繰り出されたときに、カートリッジ体2の保持部材70の当接面77(図3と図4参照)に当接する。押棒60が繰り出されると、天面62が保持部材70を押圧して、カートリッジ外筒10内の化粧料4が前端開口11aから押し出される。
大径部63は、棒軸61と比較して大径の円板状に形成される。大径部63には、コイルばね7が載置されるコイルばね載置部63aと、コイルばね載置部63aの反対側に形成される後端面63cと、が設けられる。大径部63は、尾栓30内を軸方向に移動する。大径部63は、後端面63cが尾栓30の底面37に接したときに、押棒60の繰出下降限を規定する。
なお、押棒60は、カートリッジ外筒10内の化粧料4(図1参照)を微動に進出させることを目的としている。
腔部64は、尾栓30の支柱36(図8参照)に対応する形状に形成される。腔部64は、支柱36の長さよりも長く形成される。これにより、カートリッジ式化粧料容器1の組み立て時に、腔部64に支柱36を挿入しておくことが可能である。
図5及び図9に示すように、コイルばね7は、棒軸61がコイルばね7の内周を挿通するようにコイルばね載置部63aと雌ねじ部材50との間に配置される。コイルばね7の自由長(負荷をかけていない状態での長さをいう)は、繰出下降限に位置する押棒60のコイルばね載置部63aと雌ねじ部材50との間の距離よりも長い。そのため、カートリッジ式化粧料容器1が組み立てられた状態では、コイルばね7は、大径部63と雌ねじ部材50とを互いに離す方向に押棒60と雌ねじ部材50とを付勢する。
図5及び図10に示すように、本体内筒40は、前端開口41と後端開口48とを有する略円筒状に形成される。カートリッジ外筒10の嵌入部19(図4参照)は、前端開口41から本体内筒40の内周に挿入される。雌ねじ部材50は、後端開口48から本体内筒40の内周に挿入される。
本体内筒40は、前端開口41の近傍の内周に形成される嵌合凹部43と、外周に凹状に形成されるガイド部45と、後端開口48の近傍の内周に形成される離間ガイド部(第2ガイド部)44と、を有する。本体内筒40は、前端開口41の近傍の外周に、本体外筒21の嵌合凹部23(図7参照)と嵌合する環状の嵌合凸部42を有する。
嵌合凹部43は、カートリッジ外筒10の嵌合凸部15(図4参照)に対応して形成される。嵌合凹部43と嵌合凸部15との嵌合により、カートリッジ外筒10が本体内筒40に相対回転可能に装着される。
ガイド部45は、後端面47から軸方向に延設される。ガイド部45は、本体外筒21のガイド壁部26(図7参照)に対応する位置に形成され、ガイド壁部26と係合する。これにより、本体外筒21と本体内筒40との相対回転が不能となる。
離間ガイド部44は、本体外筒21の近接ガイド部25(図7参照)に対応して一対形成される。離間ガイド部44は、近接ガイド部25と平行に形成される。また、離間ガイド部44は、近接ガイド部25との間に所定の隙間をあけて、近接ガイド部25よりも本体外筒21の前端開口22側に位置する。この隙間は、雌ねじ部材50の後述する羽根部55が挿入可能な大きさに形成される。
各離間ガイド部44は、軸方向に対して傾斜する傾斜面44aと、軸方向に沿って延在する側面44bと、を有する凸形状に径方向内側に突出して形成される。
離間ガイド部44の傾斜面44aは、カートリッジ外筒10が本体筒20から取り外され雌ねじ部材50がコイルばね7の付勢力により軸方向に移動するときに、雌ねじ部材50の羽根部55の前端面55aに接する。傾斜面44aが軸方向に対して傾斜するので、雌ねじ部材50は、コイルばね7の付勢力により軸方向に移動するとともに、中心から離れるように径方向へ移動する。
また、本体内筒40は、本体内筒40の内周面から突出する突壁部(制限部)46と、本体内筒40の内周に設けられる段部49と、を有する。突壁部46は、径方向内側に突出するように形成される。突壁部46の内周面は、円弧状のフラット面46aになっており、突壁部46の周方向の両側には、凹部46bが形成される。段部49は、離間ガイド部44により形成され、傾斜面44aの反対側に位置する。
図5及び図11に示すように、雌ねじ部材50は、押棒60の外周の一部に配置される本体部51と、押棒60が挿通する孔52aを有する挿通部52と、を有する。挿通部52の一部は、本体部51から軸方向に連続して形成される。
雌ねじ部材50の後端面(挿通部52の後端面)50bには、コイルばね7が当接する。コイルばね7の付勢力が後端面50bに作用することにより、雌ねじ部材50は、押棒60の大径部63から離間する方向(本体内筒40の前端開口41の方向)に付勢される。
雌ねじ部材50の後端面50bは環状に形成される。そのため、コイルばね7は、後端面50bに周方向に渡って当接し、コイルばね7の付勢力は、偏りなく雌ねじ部材50に作用する。したがって、雌ねじ部材50が軸方向に対して傾くのを防ぐことができる。
雌ねじ部材50の前端面(本体部51の前端面)50aは、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられた状態では、カートリッジ外筒10の後端面18bに接する。つまり、雌ねじ部材50は、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられるときに、カートリッジ外筒10によって押圧され、コイルばね7を圧縮して収縮させながらカートリッジ外筒10とともに移動する。
コイルばね7は、本体内筒40の前端開口41の方向(カートリッジ外筒10による押圧方向とは反対の方向)に雌ねじ部材50を付勢する。そのため、雌ねじ部材50は、カートリッジ外筒10が本体筒20から取り外されカートリッジ外筒10による雌ねじ部材50への押圧が解除されたときに、コイルばね7の上方への付勢力によって、カートリッジ外筒10とともに移動する。
本体部51は、断面が円弧状に形成される基部51aと、基部51aの周方向の両端から互いに平行に延在する一対の延在部51bと、を有する。延在部51bには、開口端面56aと外側面56bが設けられる。
延在部51bの外側面56bは、本体内筒40の離間ガイド部44の側面44bと対向する(図1(c)及び図5(b)参照)。これにより、本体内筒40と雌ねじ部材50との相対回転が不能となる。
延在部51bの先端部は、開口端面56aが本体内筒40の凹部46bの底面に対向するように、本体内筒40の凹部46bに挿入される(図1(c)及び図5(b)参照)。延在部51bは、基部51aが本体内筒40の内周面に接した状態で開口端面56aと凹部46bの底面との間に所定の隙間が形成される長さを有する。つまり、雌ねじ部材50は、挿通部52に押棒60が挿通されていない状態では、この所定の隙間の範囲で、本体内筒40に対して径方向に移動可能である。
挿通部52の孔52aは、断面が略楕円形状を有し、かつ略楕円形状の長軸が延在部51bの外側面56bに沿うように形成される。したがって、挿通部52に押棒60が挿通された状態でも、雌ねじ部材50は、径方向へ移動可能である。
また、雌ねじ部材50は、各延在部51bの外周に突出して形成される突部51dと、基部51aの内周に形成される雌ねじ部53と、各延在部51bの外周に突出して形成される羽根部55とを有する。
突部51dは、前端面50aの近傍に形成される。雌ねじ部材50にコイルばね7の付勢力が作用していない状態では、突部51dは、本体内筒40の段部49に載置される。これにより、雌ねじ部材50が本体内筒40から脱落するのを防止することができ、カートリッジ式化粧料容器1の組み立てが容易になる。
雌ねじ部53は、雄ねじ61aのリードと同一のリードに形成される。基部51aの内周面が棒軸61に接することにより、雌ねじ部53が雄ねじ61aと螺合する。雌ねじ部53が雄ねじ61aと螺合した状態で押棒60と雌ねじ部材50とが相対回転することにより、押棒60が雌ねじ部材50に対して進退する。
カートリッジ式化粧料容器1では、本体部51が周方向に途切れた形状(周方向に連続していない形状)に形成されるため、従来のように円筒状に形成される場合と異なり、本体部51の周方向の両端部間に開口が形成される。そのため、雌ねじ部材50の成形時に、雌ねじ部53を形成する金型を本体部51の開口から離型することができ、従来のように金型を回転させながらねじ抜きを行う必要がない。したがって、雌ねじ部材50をより容易に成形することができる。
また、カートリッジ式化粧料容器1では、雌ねじ部材50の本体部51が周方向に途切れた形状を有しかつ挿通部52の断面が略楕円形状を有するので、雄ねじ61aを雌ねじ部53から離した状態で押棒60を挿通部52に挿通させることができる。つまり、雄ねじ61aと雌ねじ部53とを螺合させることなく押棒60を挿通部52に挿通させることができる。そのため、雌ねじ部材50を棒軸61に組み付ける際に、押棒60と雌ねじ部材50とを相対回転させる必要がない。したがって、雄ねじ61aのリードの大きさに関わらず、実施例のように雄ねじ61aのリードが小さい場合も雌ねじ部材50を棒軸61に容易に組み付けることができる。
羽根部55は、本体外筒21の近接ガイド部25と本体内筒40の離間ガイド部44との間に挿入される。つまり、羽根部55には、カートリッジ式化粧料容器1が組み立てられた状態で、離間ガイド部44の傾斜面44aと対向する前端面55aと、近接ガイド部25の傾斜面25aと対向する後端面55bと、が設けられる。
カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられる際には、雌ねじ部材50は、カートリッジ外筒10により押され、コイルばね7を圧縮して収縮させながらカートリッジ外筒10とともに移動する。このとき、羽根部55の後端面55bは、本体外筒21の近接ガイド部25の傾斜面25aに摺動自在に接する。
近接ガイド部25の傾斜面25aは、カートリッジ式化粧料容器1が組み立てられた状態において、押棒60に対して雌ねじ部材50の雌ねじ部53側の端部25bが、雌ねじ部53とは反対側の端部25cよりも前端開口22側に位置するように傾斜する。そのため、雌ねじ部材50は、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられる際には、カートリッジ外筒10により押圧されて軸方向に移動するとともに、雌ねじ部53を雄ねじ61aに近接させる方向に案内される。このように、近接ガイド部25は、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられ雌ねじ部材50がカートリッジ外筒10によって押圧された際に雌ねじ部53と雄ねじ61aとが螺合する方向に雌ねじ部材50を案内する。
雌ねじ部材50が雌ねじ部53と雄ねじ61aとを螺合させる方向に移動することにより、雌ねじ部材50の基部51aの内周面が押棒60の棒軸61に接し、雌ねじ部53が雄ねじ61aと螺合する。つまり、雌ねじ部53は、カートリッジ外筒10が本体内筒40に取り付けられる際に雌ねじ部材50がカートリッジ外筒10によって押圧されることにより、棒軸61の雄ねじ61aと螺合する。
本体内筒40の突壁部46は、雌ねじ部53に対向する領域に設けられる。突壁部46は、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられ雌ねじ部材50が近接ガイド部25により案内された状態では、雌ねじ部53とは反対側においてフラット面46aが棒軸61に接する。そのため、突壁部46は、雌ねじ部材50の雌ねじ部53と押棒60の雄ねじ61aとの螺合が解除される方向(以下、「螺合解除方向」とも称する)への押棒60の移動を制限する。
螺合解除方向への押棒60の移動が突壁部46により制限されるので、棒軸61が雌ねじ部材50の本体部51から離れにくく、雄ねじ61aと雌ねじ部53との螺合が弱まりにくい。したがって、押棒60はカートリッジ外筒10と本体筒20との相対回転に伴ってより確実に進退し、化粧料4をカートリッジ外筒10からより確実に繰り出すことができる。
突壁部46のフラット面46aは、カートリッジ外筒10が本体筒20に取り付けられた状態で棒軸61に常に接するように形成される必要はなく、雌ねじ部53と雄ねじ61aとが完全に螺合している状態では、フラット面46aと棒軸61との間にギャップが形成されていてもよい。このギャップは、棒軸61が螺合解除方向に移動しても雌ねじ部53と雄ねじ61aとの螺合が解除されない程度の大きさに形成される。
また、カートリッジ式化粧料容器1では、突壁部46が雌ねじ部53に対向する領域に設けられるので、押棒60が回転中心軸に対して傾いても、棒軸61は雌ねじ部材50の本体部51からほとんど離れない。したがって、本体内筒40の突壁部46だけで雄ねじ61aと雌ねじ部53との螺合の解除を防ぐことができる。
カートリッジ式化粧料容器1では、本体筒20の本体内筒40が螺合解除方向への押棒60の移動を制限する突壁部46を有するので、雌ねじ部材50の雌ねじ部53と押棒60の雄ねじ61aとを螺合させる際に複数の雌ねじ部材50が必要とされない。コイルばね7は1つの雌ねじ部材50を付勢するので、複数の雌ねじ部材50を用いる場合のように雌ねじ部材50に通常よりも大きい付勢力が作用することはない。そのため、雌ねじ部材50の雌ねじ部53のねじ山の頂部が押棒60の雄ねじ61aのねじ山の頂部に当接しても、本体筒20へのカートリッジ外筒10の挿入が困難になることはない。したがって、カートリッジ外筒10を本体筒20の所定の位置まで挿入することができ、螺合解除方向への押棒60の移動を突壁部46により制限することができる。その結果、押棒60は、カートリッジ外筒10と本体筒20との相対回転に伴って確実に進退し、化粧料4をカートリッジ外筒10からより確実に繰り出すことができる。
また、仮に、カートリッジ式化粧料容器が複数の雌ねじ部材を備えていると、1つの雌ねじ部材が他の雌ねじ部材に対してずれ、雌ねじ部材同士が部分的に当接する場合がある。このような場合、当接部分に通常よりも大きな力が作用するので、コイルばねの付勢力で複数の雌ねじ部材を同時に正しい位置に戻すのは困難である。
カートリッジ式化粧料容器1は、1つの雌ねじ部材50を備えるので、雌ねじ部材50に通常よりも大きな作用が作用することはない。したがって、雌ねじ部材50が軸方向に対して傾いても、コイルばね7の付勢力で雌ねじ部材50を正しい位置に戻すことができる。そのため、カートリッジ外筒10を本体筒20の所定の位置まで挿入することができ、螺合解除方向への押棒60の移動を突壁部46により制限することができる。
カートリッジ外筒10が本体筒20から取り外される際には、雌ねじ部材50は、コイルばね7の付勢力により、カートリッジ外筒10とともに軸方向に移動する。このとき、羽根部55の前端面55aは、本体内筒40の離間ガイド部44の傾斜面44aに摺動自在に接する。
離間ガイド部44の傾斜面44aは、カートリッジ式化粧料容器1が組み立てられた状態において、押棒60に対して雌ねじ部材50の雌ねじ部53側の端部44cが、雌ねじ部53とは反対側の端部44dよりも前端開口41側に位置するように傾斜する。そのため、雌ねじ部材50は、カートリッジ外筒10が本体筒20から取り外される際には、コイルばね7により付勢されて軸方向へ移動するとともに、雌ねじ部53を雄ねじ61aから離間させる方向に案内される。このように、離間ガイド部44は、カートリッジ外筒10による雌ねじ部材50への押圧が解除された際に雌ねじ部53と雄ねじ61aとの螺合が解除する方向に雌ねじ部材50を案内する。
雌ねじ部53が雄ねじ61aから離間して雌ねじ部53と雄ねじ61aとの螺合が解除されることにより、押棒60は、押棒60と雌ねじ部材50との相対回転に関わらず、力を受けることにより雌ねじ部材50に対して軸方向に移動可能となる。したがって、カートリッジ外筒10を本体筒20から取り外すことにより、押棒60を繰出下降限へ容易に移動させることができる。
カートリッジ式化粧料容器1では、コイルばね7は、大径部63を雌ねじ部材50から離間させる方向に、すなわち繰出下降限方向に押棒60を付勢する。そのため、カートリッジ外筒10が本体筒20から取り外され雌ねじ部53と雄ねじ61aとの螺合が解除された状態では、押棒60は、コイルばね7の付勢力により繰出下降限方向に移動する。したがって、押棒60を繰出下降限へより確実に移動させることができる。
以下、図1から図11を参照して、カートリッジ体2及びカートリッジ式化粧料容器1の組み立て手順について説明する。
まず、カートリッジ体2の組み立て手順について説明する。
カートリッジ外筒10のOリング溝16にOリング5を取り付ける。その後、カートリッジ外筒10の後端開口11bに保持部材70の天面71を通し、保持部材70の後端面75を押して保持部材70をカートリッジ外筒10の内周に挿入する。このとき、カートリッジ外筒10のローレット17eと保持部材70のリブ74を係合させる。
保持部材70の後端面75を更に押すと、保持部材70の突部72が、カートリッジ外筒10内の環状凸部17aを乗り越える。このとき、保持部材70の後端面75と、カートリッジ外筒10の後端面18bは、略面一になる。
保持部材70の突部72がカートリッジ外筒10内の環状凸部17aを乗り越えることにより、カートリッジ式化粧料容器1へのカートリッジ体2の取り付け時、及びカートリッジ式化粧料容器1からのカートリッジ体2の取り外し時に、保持部材70がカートリッジ外筒10の後端開口11bから脱落するのを防ぐことができる。
次に、カートリッジ外筒10の前端開口11aからカートリッジ外筒10の内周に溶融した化粧料4を流し込み、化粧料4を冷却固化させる。化粧料4は、固化することにより、ゲル状になったり棒状になったりする。
最後に、キャップ3の嵌合凹部3bとカートリッジ外筒10の嵌合凸部13bとを嵌合させる。嵌合凹部3bと嵌合凸部13bとの嵌合により、キャップ3がカートリッジ外筒10に取り付けられる。
以上の手順により、カートリッジ体2が完成する。
次に、カートリッジ式化粧料容器1の組み立て手順について説明する。
まず、本体内筒40の後端開口48に雌ねじ部材50の前端面50aを通し、雌ねじ部材50を本体内筒40の内周に挿入する。このとき、本体内筒40の凹部46bの底面と雌ねじ部材50の開口端面56aとが対向するように凹部46bと雌ねじ部材50の延在部51bとを係合させる。
雌ねじ部材50を更に本体内筒40の内周に挿入すると、雌ねじ部材50の突部51dが本体内筒40の段部49を乗り越える。突部51dが段部49を乗り越えるまで雌ねじ部材50を本体内筒40に挿入することにより、雌ねじ部材50が本体内筒40の後端開口48から脱落するのを防止することができる。
次に、本体外筒21の前端開口22に、雌ねじ部材50が組み付けられた本体内筒40の後端面47を通し、本体内筒40及び雌ねじ部材50を本体外筒21の内周に挿入する。このとき、本体内筒40のガイド部45と、本体外筒21のガイド壁部26との位置を合わせる。本体内筒40を更に本体外筒21の内周に挿入すると、本体外筒21の嵌合凹部23と本体内筒40の嵌合凸部42とが嵌合し、本体内筒40が本体外筒21に組み付けられる。
本体内筒40を本体外筒21に挿入することにより、雌ねじ部材50の羽根部55は、本体外筒21の近接ガイド部25と本体内筒40の離間ガイド部44との間に配置される。このように、本体筒20が、本体外筒21と、本体外筒21に収容され本体外筒21と同期して回転する本体内筒40と、を有するので、雌ねじ部材50の羽根部55を本体外筒21の近接ガイド部25と本体内筒40の離間ガイド部44との間に容易に配置することができる。
次に、押棒60をコイルばね7の内周に押棒60の天面62側から挿入し、コイルばね7を押棒60のコイルばね載置部63aに載置する。その後、押棒60の腔部64に尾栓30の支柱36が挿入されるように、押棒60を尾栓30の内周に挿入する。
次に、本体外筒21の後端開口29から押棒60の天面62及び尾栓30の先端を通し、尾栓30の嵌入部31を本体外筒21の内周に挿入する。このとき、本体外筒21のリブ27と尾栓30の溝32とを係合させる。そして、尾栓30の嵌合凸部34と本体外筒21の嵌合凹部28とが嵌合することにより、尾栓30が本体外筒21に組み付けられる。
このとき、カートリッジ式化粧料容器1にはカートリッジ体2が取り付けられていないので、雌ねじ部材50は、コイルばね7の付勢力により、本体外筒21の近接ガイド部25から離間するとともに、本体内筒40の離間ガイド部44に接する。雌ねじ部材50は、離間ガイド部44により、雌ねじ部53が雄ねじ61aから離間する方向に案内され、雌ねじ部53と雄ねじ61aとは螺合しない。したがって、押棒60は、押棒60と雌ねじ部材50との相対回転に関わらず、力を受けることにより雌ねじ部材50に対して軸方向に移動する。
押棒60は、コイルばね7により、繰戻方向へ付勢される。そのため、押棒60は、押棒60の後端面63cが尾栓30の底面37に接した状態で、つまり、繰出下降限に位置する状態で、本体筒20の内周に収容される。
以上の手順により、カートリッジ式化粧料容器1が完成する。
次に、カートリッジ式化粧料容器1へのカートリッジ体2の取り付け手順について説明する。
まず、カートリッジ外筒10の後端面18bを本体内筒40の前端開口41に通し、カートリッジ外筒10の嵌入部19を本体内筒40の内周に挿入すると、カートリッジ外筒10の後端面18bが雌ねじ部材50の前端面50aを押しながら、カートリッジ外筒10の嵌合凸部15と本体内筒40の嵌合凹部43が嵌合する。この時点で、押棒60の多角形凸部66と保持部材70の多角形凹部76が回転不能に係合している。
特許文献1では、カートリッジ体とカートリッジ式化粧料容器の取り付けは、カートリッジ外筒に設けた雄ねじを本体内筒の雌ねじに螺合させながら、カートリッジ外筒の嵌入部を本体内筒の内周に挿入した。これに対し、本件では、カートリッジ外筒10の嵌入部19を本体内筒40の内周に挿入して、嵌合凸部15が嵌合凹部43に強制嵌合されるまでカートリッジ体2をカートリッジ式化粧料容器1へ押し込んで取り付ける。
雌ねじ部材50は、コイルばね7を圧縮して収縮させながら軸方向に移動する。その結果、雌ねじ部材50の羽根部55の前端面55aが本体内筒40の離間ガイド部44の傾斜面44aから離間するとともに、羽根部55の後端面55bが本体外筒21の近接ガイド部25の傾斜面25aに接する。近接ガイド部25は、雌ねじ部材50の雌ねじ部53が雄ねじ61aに近接する方向に雌ねじ部材50を案内するので、雌ねじ部53と雄ねじ61aとが螺合し、螺合機構が働く。
突壁部46が螺合解除方向への押棒60の移動を制限するので、雌ねじ部材50が本体外筒21の近接ガイド部25により押棒60に近接して押棒60が雌ねじ部材50により押されても、押棒60は移動しない。したがって、雄ねじ61aと雌ねじ部53との螺合は、弱まりにくい。
以上により、カートリッジ式化粧料容器1へのカートリッジ体2の取り付けが完了する。
カートリッジ式化粧料容器1へのカートリッジ体2の取り付けが完了し、雌ねじ部53と雄ねじ61aが螺合した状態でカートリッジ外筒10と本体筒20とを相対回転させることにより、押棒60が雌ねじ部材50に対して回転し、押棒60が本体筒20に対して前進する。このとき、多角形凸部66と多角形凹部76が回転不能に係合しており、保持部材70に対して押棒60の相対回転を制限している。更に、ローレット17eとリブ74も回転不能に係合しており、カートリッジ外筒10に対して保持部材70の相対回転を制限している。
カートリッジ式化粧料容器1側には押棒60の回転止めが備えられていないため、本体筒20とカートリッジ外筒10を相対回転させて押棒60を繰り出すには、カートリッジ体2側に押棒60の回転止めを設ける必要がある。本実施形態では、カートリッジ外筒10のローレット17eと保持部材70のリブ74との係合、更に保持部材70の多角形凹部76と押棒60の多角形凸部66との係合により、カートリッジ外筒10に対して押棒60の相対回転を制限する回転止機構とする。
このように、カートリッジ式化粧料容器1へカートリッジ体2を取り付けることにより、雄ねじ61aと雌ねじ部53が螺合する螺合機構が働くと同時に、カートリッジ外筒10に対して押棒60の相対回転が制限される回転止機構が働く。よって、押棒60の繰出し時に、カートリッジ外筒10に対して相対回転を制限されている押棒60が、カートリッジ外筒10に対して軸方向へ真っ直ぐ前進し、押棒60の天面62が保持部材70の当接面77を押圧するため、化粧料4は、保持部材70の天面71に真っ直ぐ押出される。
使用者により化粧料4が使用されて、化粧料4の残量が少なくなると、押棒60がカートリッジ外筒10に最も進入した状態になる。押棒60に形成されている雄ねじ61aの終端部が雌ねじ部材50に形成されている雌ねじ部53を通過することで、雄ねじ61aと雌ねじ部53とが最早螺合しない状態となり、本体筒20に対してカートリッジ外筒10をそれ以上回転させても押棒60は前進しない。これによりカートリッジ体2の交換時期を使用者に認識させることができる。
このように、本実施形態において、押棒60の最大繰り出し量(繰出ストローク)は、押棒60に形成されている雄ねじ61aの軸方向の長さにより決定され、使用される化粧料4の長さに応じて適宜調整することができる。なお、押棒60の最大繰り出し量は、雄ねじ61aの長さに限らず、保持部材70の長さにより規定することも可能である。具体的には、保持部材70の長さを化粧料4の長さに適合させ、化粧料4を最後まで使用した時点で、保持部材70の大径部73がカートリッジ外筒10の段部17dに当接するように調整するのである。
次に、カートリッジ式化粧料容器1からのカートリッジ体2の取り外し手順について説明する。
まず、カートリッジ外筒10の嵌合凸部15と本体内筒40の嵌合凹部43との嵌合を解除するように、カートリッジ外筒10を本体筒20から取り外し、カートリッジ外筒10と本体筒20を離間させる。このとき、コイルばね7の付勢力により、雌ねじ部材50は、カートリッジ体2とともに軸方向に移動する。
雌ねじ部材50がコイルばね7の付勢力により軸方向に移動すると、雌ねじ部材50の羽根部55の後端面55bが本体外筒21の近接ガイド部25の傾斜面25aから離間し、雌ねじ部材50の羽根部55の前端面55aが本体内筒40の離間ガイド部44の傾斜面44aに接する。離間ガイド部44は、雌ねじ部材50の雌ねじ部53が雄ねじ61aから離間する方向に雌ねじ部材50を案内するので、雌ねじ部53と雄ねじ61aとの螺合が解除される。
雌ねじ部53と雄ねじ61aとの螺合が解除されると、押棒60は、コイルばね7の付勢力により、尾栓30の底面37の方向に移動し、繰出下降限に達する。したがって、カートリッジ式化粧料容器1は、押棒60が繰出下降限に位置する状態に戻る。
以上により、カートリッジ式化粧料容器1からのカートリッジ体2の取り外しが完了する。
以上の第1実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
カートリッジ式化粧料容器1では、本体筒20が螺合解除方向への押棒60の移動を制限する突壁部46を有するので、雌ねじ部材50の雌ねじ部53と押棒60の雄ねじ61aとを螺合させる際に複数の雌ねじ部材が必要とされない。コイルばね7は、1つの雌ねじ部材50を付勢するので、複数の雌ねじ部材を用いる場合のように雌ねじ部材50に通常よりも大きい付勢力が作用することはない。そのため、雌ねじ部材50の雌ねじ部53のねじ山の頂部が押棒60の雄ねじ61aのねじ山の頂部に当接しても、本体筒20へのカートリッジ体2の挿入が困難になることはない。したがって、カートリッジ体2を本体筒20の所定の位置まで挿入することができ、螺合解除方向への押棒60の移動を突壁部46により、制限することができる。その結果、押棒60は、カートリッジ外筒10と本体筒20との相対回転に伴ってより確実に進退し、化粧料4をカートリッジ外筒10からより確実に繰出すことができる。
また、雌ねじ部材50を1つにすることで、従来のように複数の雌ねじ部材を本体筒へ挿入する場合と比較して、カートリッジ式化粧料容器1を細径化することができる。
さらに、従来では、押棒60を付勢するコイルばねと雌ねじ部材50を付勢するコイルばねが別々に設けられていたが、本実施形態では、1つのコイルばね7で対応可能なため、部品数を減らすことができる。そのため、組付工程を減らすことができ、製造コストを削減することができる。
そして、カートリッジ式化粧料容器1へカートリッジ体2を取り付けることで、雄ねじ61aと雌ねじ部53が螺合する螺合機構と、カートリッジ外筒10に対して押棒60の相対回転が制限される回転止機構が同時に働くことにより、押棒60の繰り出し時に、押棒60がカートリッジ外筒10に対して軸方向へ真っ直ぐ前進する。その結果、化粧料4は、保持部材70に真っ直ぐ押出されるため、化粧料4に捻れが生じることを抑制し、化粧料4の折損を防止することができる。
(第2実施形態)
以下、図12から図17を参照して、本発明の第2実施形態に係るカートリッジ式化粧料容器101と、カートリッジ式化粧料容器101に取り付けて用いられるカートリッジ体102について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成には、同一の符号を付し説明を省略する。また、第2実施形態において、第1実施形態に100を足した符号の名称(説明)について特に説明のないものは、第1実施形態の符号の名称(説明)と同じである。
まず、図12と図13を参照して、カートリッジ式化粧料容器101の全体構成について説明する。
第1実施形態と同様、カートリッジ式化粧料容器101は、化粧料4が収容されたカートリッジ外筒110を有するカートリッジ体102が取り付けられて用いられるものである。カートリッジ式化粧料容器101は、図12に示すように、カートリッジ体102が着脱自在に取り付けられる本体筒20と、外周に雄ねじ61aが形成され、カートリッジ外筒110と本体筒20の相対回転によって繰り出されてカートリッジ外筒110内の化粧料4を押出す押棒160と、カートリッジ体102が本体筒20に取り付けられた状態で雄ねじ61aと螺合する雌ねじ部53が内周に形成される雌ねじ部材50とを備える。
また、カートリッジ式化粧料容器101は、雌ねじ部材50及び押棒160を付勢する付勢部材としてのコイルばね7を備える。
図12、図14及び図15を参照して、カートリッジ式化粧料容器101に取り付けられるカートリッジ体102について説明する。
カートリッジ体102は、本体筒20に装着される。カートリッジ体102は、内部に化粧料4が充填されるカートリッジ外筒110と、カートリッジ外筒110に対して軸方向に移動可能に収容される保持部材170と、カートリッジ外筒110の外周上に取り付けられるキャップ3と、を備える。
保持部材170は、化粧料4に接する天面71と、天面71の反対側に設けられる後端面175と、外周に形成される突部72と、大径部173と、を有する。第2実施形態の保持部材170には、カートリッジ外筒110に対する保持部材170の回転を制限するリブと、保持部材170に対する押棒160の回転を制限する多角形凹部が備えられていない。
第1実施形態では、カートリッジ外筒10のローレット17eと保持部材70のリブ74との係合、更に保持部材70の多角形凹部76と押棒60の多角形凸部66との係合により、カートリッジ外筒10に対する押棒60の回転止機構とした。これに対し第2実施形態では、カートリッジ外筒110に設けたローレット117eが、後述する押棒160のリブ166と回転不能に係合することにより、カートリッジ外筒110に対する押棒160の回転止機構とする。
次に、カートリッジ式化粧料容器101について、第1実施形態のカートリッジ式化粧料容器1との相違点を説明する。
図16及び図17に示すように、第2実施形態の押棒160にリブ166が備えられている点が、第1実施形態の押棒60と異なる。押棒160は、略円柱状に形成される。押棒160は、本体筒20の内周に収容される。押棒160は、本体筒20と同軸に棒軸61が設けられ、棒軸61の一端には、天面162とリブ166が設けられ、棒軸61の他端には、大径部63と、大径部63から軸方向に凹設される腔部64とを有する。棒軸61の外周には、雄ねじ61aが形成される。
リブ166は、カートリッジ体102がカートリッジ式化粧料容器101に取り付けられた時、カートリッジ外筒110のローレット117eと相対回転不能に係合している。つまり、リブ166とローレット117eにより、カートリッジ外筒110に対する押棒160の相対回転を制限する回転止機構を構成する。第1実施形態のカートリッジ式化粧料容器1との相違点は、この点のみである。
第2実施形態では、カートリッジ外筒110の中心軸に対して垂直な断面において、ローレット117eを構成する溝が三角状をなし、リブ166がローレット117eの溝と噛み合う相補的な三角状をなしているが、ローレット117eおよびリブ166の構成は、これに限られるものではなく、四角状および半円状等、カートリッジ外筒110に対する押棒160の相対回転を制限可能なあらゆる形状を採用することができる。
天面162は、カートリッジ体102がカートリッジ式化粧料容器101に取り付けられた状態で押棒160が繰り出されたときに、カートリッジ体102の保持部材170の後端面175(図14と図15参照)に当接する。押棒160が繰り出されると、天面162が保持部材170を押圧して、カートリッジ外筒110内の化粧料4が前端開口11aから押し出される。
なお、押棒160は、カートリッジ外筒110内の化粧料4(図12参照)を微動に進出させることを目的としている。
カートリッジ式化粧料容器101とカートリッジ体102の組み立て手順については、第1実施形態に係るカートリッジ式化粧料容器1とカートリッジ体2の組み立て手順と略同じであるため、ここではその説明を省略する。
次に、カートリッジ式化粧料容器101へのカートリッジ体102の取り付け手順について説明する。
まず、カートリッジ外筒110の後端面118bを本体内筒40の前端開口41に通し、カートリッジ外筒110の嵌入部19を本体内筒40の内周に挿入すると、カートリッジ外筒110の後端面118bが雌ねじ部材50の前端面50aを押しながら、カートリッジ外筒110の嵌合凸部15と本体内筒40の嵌合凹部43が嵌合する。この時点で、カートリッジ外筒110のローレット117eと押棒160のリブ166が回転不能に係合している。
雌ねじ部材50は、コイルばね7を圧縮して収縮させながら軸方向に移動する。その結果、雌ねじ部材50の羽根部55の前端面55aが本体内筒40の離間ガイド部44の傾斜面44aから離間するとともに、羽根部55の後端面55bが本体外筒21の近接ガイド部25の傾斜面25aに接する。近接ガイド部25は、雌ねじ部材50の雌ねじ部53が雄ねじ61aに近接する方向に雌ねじ部材50を案内するので、雌ねじ部53と雄ねじ61aとが螺合し、螺合機構が働く。
突壁部46が螺合解除方向への押棒160の移動を制限するので、雌ねじ部材50が本体外筒21の近接ガイド部25により押棒160へ近接して押棒160が雌ねじ部材50により押されても押棒160は移動しない。したがって、雄ねじ61aと雌ねじ部53との螺合は弱まりにくい。
以上により、カートリッジ式化粧料容器101へのカートリッジ体102の取り付けが完了する。
カートリッジ式化粧料容器101へのカートリッジ体102の取り付けが完了し、雌ねじ部53と雄ねじ61aが螺合した状態でカートリッジ外筒110と本体筒20とを相対回転させることにより、押棒160が雌ねじ部材50に対して回転し、押棒160が本体筒20に対して前進する。このとき、ローレット117eとリブ166の回転止機構によりカートリッジ外筒110に対して押棒160の相対回転を制限している。
このように、カートリッジ式化粧料容器101へカートリッジ体102を取り付けることにより、雄ねじ61aと雌ねじ部53が螺合する螺合機構が働くと同時に、カートリッジ外筒110に対する押棒160の相対回転を制限する回転止機構が働く。よって、押棒160の繰り出し時に、カートリッジ外筒110に対して相対回転を制限されている押棒160が、カートリッジ外筒110に対して軸方向へ真っ直ぐ前進し、押棒160の天面162が保持部材170の後端面175を押圧するため、保持部材170も軸方向へ真っ直ぐ前進し、化粧料4は保持部材170の天面71に真っ直ぐ押出される。
第2実施形態において、押棒160の最大繰り出し量(繰出ストローク)は、押棒160に形成されている雄ねじ61aの軸方向の長さにより決定され、使用される化粧料4の長さに応じて適宜調整することができる。
カートリッジ式化粧料容器101からのカートリッジ体102の取り外し手順については、第1実施形態に係るカートリッジ式化粧料容器1からのカートリッジ体2の取り外し手順と略同じであるため、ここではその説明を省略する。
以上の第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する主旨ではない。