図が必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、図中の物体が必ずしも互いに関連して一定の縮尺で描かれているわけでもないことを理解されたい。図は、本明細書に開示される装置、システム及び方法の様々な実施形態に明確性及び理解をもたらすことが意図された描写である。可能な場合には常に、図面全体を通して同じ参照番号が同じ又は同様の部分を指すのに使用される。更に、図面は、決して本教示の範囲を限定することが意図されないことを理解されたい。
詳細な説明
本明細書は、本発明の例示的な実施形態及び用途を記載する。しかし、本発明は、これらの例示的な実施形態及び用途又は例示的な実施形態及び用途が動作する様式若しくは本明細書に記載される様式に限定されない。更に、図は、簡易化された図又は部分図を示し得、図中の要素の寸法は、強調されることもあれば、又は他の方法で一定の比率でないことがある。加えて、「上」、「付着される」、「接続される」、「結合される」又は同様の用語が本明細書において使用される場合、ある要素(例えば、材料、層、基板等)は、ある要素が他の要素の直接上にあるか、直接付着されるか、直接接続されるか、若しくは直接結合されるか否かに関係なく、又はある要素と別の要素との間に1つ若しくは複数の介在要素があるか否かに関係なく、別の要素の「上」にあり、別の要素に「付着」されるか、「接続」されるか、又は「結合」され得る。また、文脈により別のことが示される場合を除き、方向(例えば、上方、下方、上部、下部、横、上、下、の下、の上、上部の、下部の、横、縦、「x」、「y」、「z」等)は、提供される場合、相対的なものであり、単に例として例示及び考察を容易にするために提供され、限定として提供されるものではない。加えて、要素のリスト(例えば、要素a、b、c)が言及される場合、そのような言及は、リスト自体に列挙された要素のいずれか1つ、列挙された要素の全て未満の任意の組合せ及び/又は列挙された全ての要素の組合せを包含することが意図される。本明細書でのセクション分割は、検討を容易にすることのみを目的とし、考察されるいかなる要素の組合せも限定しない。
マイクロ流体特徴の寸法が幅又は面積を有するものとして説明される場合、寸法は、通常、x軸次元及び/又はy軸次元に相対して説明され、x軸及びy軸の両方は、マイクロ流体デバイスの基板及び/又はカバーに平行する平面内にある。マイクロ流体特徴の高さは、z軸方向に相対して説明され得、z軸は、マイクロ流体デバイスの基板及び/又はカバーに平行する平面に直交する。幾つかの場合、チャネル又は通路等のマイクロ流体特徴の断面積は、x軸/z軸、y軸/z軸又はx軸/y軸面積に関連し得る。
本明細書で使用される場合、「実質的に」は、意図される目的で十分に機能することを意味する。したがって、「実質的に」という用語は、当業者により予期されるが、全体性能にそれほど影響しない等の絶対的又は完全な状態、寸法、測定、結果等からの小さくわずかな変動を可能にする。数値又は数値として表現することができるパラメータ若しくは特徴に関して使用される場合、「実質的に」は、10%以内を意味する。
「1つ」という用語は、2つ以上を意味する。
本明細書で使用される場合、「複数」という用語は、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11以上であり得る。
本明細書で使用される場合、「配置される」という用語は、その意味内に「位置する」を包含する。
本明細書で使用される場合、「マイクロ流体デバイス」又は「マイクロ流体装置」は、流体を保持するように構成された1つ又は複数の別個のマイクロ流体回路であって、各マイクロ流体回路は、領域、流路、チャネル、チャンバ及び/又はペンを含むがこれに限定されない流体的に相互接続される回路要素で構成される、1つ又は複数の別個のマイクロ流体回路と、流体(及び任意選択的に流体中に懸濁した微小物体)をマイクロ流体デバイス内及び/又は外に流すように構成される少なくとも1つのポートとを含むデバイスである。通常、マイクロ流体デバイスのマイクロ流体回路は、マイクロ流体チャネルを含み得るフロー領域及び少なくとも1つのチャンバを含み、約1mL未満、例えば、約750μL未満、約500μL未満、約250μL未満、約200μL未満、約150μL未満、約100μL未満、約75μL未満、約50μL未満、約25μL未満、約20μL未満、約15μL未満、約10μL未満、約9μL未満、約8μL未満、約7μL未満、約6μL未満、約5μL未満、約4μL未満、約3μL未満又は約2μL未満の容量の流体を保持する。特定の実施形態では、マイクロ流体回路は、約1μL〜約2μL、約1μL〜約3μL、約1μL〜約4μL、約1μL〜約5μL、約2μL〜約5μL、約2μL〜約8μL、約2μL〜約10μL、約2μL〜約12μL、約2μL〜約15μL、約2μL〜約20μL、約5μL〜約20μL、約5μL〜約30μL、約5μL〜約40μL、約5μL〜約50μL、約10μL〜約50μL、約10μL〜約75μL、約10μL〜約100μL、約20μL〜約100μL、約20μL〜約150μL、約20μL〜約200μL、約50μL〜約200μL、約50μL〜約250μL又は約50μL〜約300μLを保持する。マイクロ流体回路は、マイクロ流体デバイスの第1のポート(例えば、流入口)と流体的に接続される第1の端部と、マイクロ流体デバイスの第2のポート(例えば、流出口)と流体的に接続される第2の端部とを有するように構成され得る。
本明細書で使用される場合、「ナノ流体デバイス」又は「ナノ流体装置」は、約1マイクロリットル未満、例えば、約750nL未満、約500nL未満、約250nL未満、約200nL未満、約150nL未満、約100nL未満、約75nL未満、約50nL未満、約25nL未満、約20nL未満、約15nL未満、約10nL未満、約9nL未満、約8nL未満、約7nL未満、約6nL未満、約5nL未満、約4nL未満、約3nL未満、約2nL未満、約1nL未満又はそれ未満の容量の流体を保持するように構成された少なくとも1つ回路要素を含むマイクロ流体回路を有するタイプのマイクロ流体デバイスである。ナノ流体デバイスは、複数の回路要素(例えば、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、50個、75個、100個、150個、200個、250個、300個、400個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個、1500個、2000個、2500個、3000個、3500個、4000個、4500個、5000個、6000個、7000個、8000個、9000個、10,000個又はこれを超える)を含み得る。特定の実施形態では、少なくとも1つの回路要素の1つ又は複数(例えば、全て)は、約20nLから200nL、約100pLから1nL、約100pLから2nL、約100pLから5nL、約250pLから2nL、約250pLから5nL、約250pLから10nL、約500pLから5nL、約500pLから10nL、約500pLから15nL、約750pLから10nL、約750pLから15nL、約750pLから20nL、約1nLから10nL、約1nLから15nL、約1nLから20nL、約1nLから25nL又は約1nLから50nLの容量の流体を保持するように構成される。他の実施形態では、少なくとも1つの回路要素の1つ又は複数(例えば、全て)は、約100nLから200nL、約100nLから300nL、約100vから400nL、約100nLから500nL、約200nLから300nL、約200nLから400nL、約200nLから500nL、約200nLから600nL、約200nLから700nL、約250nLから400nL、約250nLから500nL、約250nLから600nL又は約250nLから750nLの容量の流体を保持するように構成される。
マイクロ流体デバイス又はナノ流体デバイスは、本明細書では、「マイクロ流体チップ」若しくは「チップ」又は「ナノ流体チップ」若しくは「チップ」と呼ばれることもある。
「マイクロ流体チャネル」又は「フローチャネル」は、本明細書では、水平寸法及び垂直寸法の両方よりもはるかに長い長さを有するマイクロ流体デバイスのフロー領域を指す。例えば、フローチャネルは、水平寸法又は垂直寸法のいずれか一方の長さの少なくとも5倍、例えば、長さの少なくとも10倍、長さの少なくとも25倍、長さの少なくとも100倍、長さの少なくとも200倍、長さの少なくとも500倍、長さの少なくとも1,000倍、長さの少なくとも5,000倍又はそれを超える長さであり得る。幾つかの実施形態では、フローチャネルの長さは、その間の任意の値を含めて約10,000μmから約500,000μmである。幾つかの実施形態では、水平寸法は、約100μmから約1000μm(例えば、約150μmから約500μm)であり、垂直寸法は、約25μmから約200μmの範囲(例えば、約40μmから約150μm)である。なお、フローチャネルは、マイクロ流体デバイスにおいて様々な異なる空間構成を有し得、したがって、完全に線形の要素に限定されない。例えば、フローチャネルは、以下の構成を有する1つ又は複数のセクションであり得るか、又はそれを含み得る:曲線、湾曲、螺旋、傾斜、下降、フォーク形(例えば、複数の異なる流路)及びそれらの任意の組合せ。加えて、フローチャネルは、経路に沿って異なる断面積を有し、広がり及び収縮して所望の流体フローを内部に提供し得る。フローチャネルは、弁を含み得、弁は、マイクロ流体の分野で既知の任意のタイプのものであり得る。弁を含むマイクロ流体チャネルの例は、米国特許第6,408,878号及び同第9,227,200号に開示されており、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に援用される。
本明細書で使用される場合、「障害物」という用語は、一般に、マイクロ流体デバイス内の2つの異なる領域又は回路要素間の標的微小物体の移動を部分的に(完全にではなく)妨げるのに十分に大きいバンプ又は同様のタイプの構造物を指す。2つの異なる領域/回路要素は、例えば、マイクロ流体隔離ペンの接続領域及び分離領域であり得る。
本明細書で使用される場合、「狭窄」という用語は、一般に、マイクロ流体デバイスでの回路要素(又は2つの回路要素間の界面)の幅の狭まりを指す。狭窄は、例えば、隔離領域と本開示のマイクロ流体隔離ペンの接続領域との間の界面に配置することができる。
本明細書で使用される場合、「透明」という用語は、可視光が透過する際、可視光を実質的に変更せずに透過させる材料を指す。
本明細書で使用される場合、「微小物体」という用語は、一般に、本開示により分離及び/又は操作し得る任意の顕微鏡的物体を指す。微小物体の非限定的な例としては、微粒子;微小ビーズ(例えば、ポリスチレンビーズ、Luminex(商標)ビーズ等);磁性ビーズ;微小ロッド;微小ワイヤ;量子ドット等の無生物微小物体、細胞;生物学的細胞小器官;ベシクル又は複合体;合成ベシクル;リポソーム(例えば、合成又は膜標本由来);脂質ナノクラフト(lipid nanocraft)等の生物学的微小物体、又は無生物微小物体と生物学的微小物体との組合せ(例えば、細胞に付着した微小ビーズ、リポソームコーティング微小ビーズ、リポソームコーティング磁性ビーズ等)が挙げられる。ビーズは、蛍光標識、タンパク質、炭水化物、抗原、小分子シグナリング部分又はアッセイで使用可能な他の化学/生物種等の共有結合又は非共有結合した部分/分子を含み得る。脂質ナノクラフトは、例えば、Ritchieら著、(2009)“Reconstitution of Membrane Proteins in Phospholipid Bilayer Nanodiscs”, Methods Enzymol., 464:211-231において説明されている。
本明細書で使用される場合、「細胞」という用語は「生体細胞」と同義で使用される。生体細胞の非限定的な例としては、真核細胞、植物細胞、哺乳類細胞、爬虫類細胞、鳥類細胞、魚類細胞等の動物細胞、原核細胞、細菌細胞、真菌細胞、原生細胞等、筋肉、軟骨組織、脂肪、皮膚、肝臓、肺、神経組織等の組織から解離された細胞、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ等の免疫細胞、胚(例えば、接合子)、卵母細胞、卵子、精子細胞、ハイブリドーマ、培養細胞、細胞株からの細胞、がん細胞、感染細胞、トランスフェクト細胞及び/又は形質転換細胞、レポーター細胞等が挙げられる。哺乳類細胞は、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、霊長類等からの細胞であり得る。
生体細胞のコロニーは、生殖可能なコロニー内の生細胞の全てが単一の親細胞由来の娘細胞である場合、「クローン」である。特定の実施形態では、クローンコロニー内の全ての娘細胞は、10以下の細胞分裂での単一の親細胞からのものである。他の実施形態では、クローンコロニー内の全ての娘細胞は、14以下の細胞分裂での単一の親細胞からのものである。他の実施形態では、クローンコロニー内の全ての娘細胞は、17以下の細胞分裂での単一の親細胞からのものである。他の実施形態では、クローンコロニー内の全ての娘細胞は、20以下の細胞分裂での単一の親細胞からのものである。「クローン細胞」という用語は、同じクローンコロニーの細胞を指す。
本明細書で使用される場合、生体細胞の「コロニー」は、2つ以上の細胞(例えば、約2個から約20個、約4個から約40個、約6個から約60個、約8個から約80個、約10個から約100個、約20個から約200個、約40個から約400個、約60個から約600個、約80個から約800個、約100個から約1000個又は約1000個を超える細胞)を指す。
本明細書で使用される場合、「細胞を維持する」という用語は、細胞を生存した状態に保ち、及び/又は増殖させるのに必要な状況を提供する流体成分及びガス成分の両方並びに任意選択的に表面を含む環境を提供することを指す。
本明細書で使用される場合、「増殖」という用語は、細胞を指す場合、細胞数の増大を指す。
流体媒体の「成分」は、溶媒分子、イオン、小分子、抗生物質、ヌクレオチド及びヌクレオシド、核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖、炭水化物、脂質、脂肪酸、コレステロール、代謝産物等を含む、媒体に存在する任意の化学分子又は生物分子である。
本明細書で使用される場合、「捕捉部分」は、微小物体の認識部位を提供する化学種、生物種、機能又はモチーフである。選択されたクラスの微小物体は、インサイチューで生成された捕捉部分を認識し得、インサイチューで生成された捕捉部分に結合するか、又は捕捉部分への親和性を有し得る。非限定的な例として、抗原、抗体及び細胞表面結合モチーフが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「流動性ポリマー」は、流体媒体(例えば、プレポリマー溶液)内で溶解可能又は分散可能なポリマーモノマー又はマクロマーである。流動性ポリマーは、マイクロ流体フロー領域に流入し得、内部の流体媒体の他の成分と共に流れ得る。
本明細書で使用される場合、「光開始ポリマー」は、光に露出されると共有結合的に架橋し、特定の共有結合を形成し、硬質化化学モチーフの周囲の位置化学を変更し、又は物理的状態を変更させるイオン対を形成し、それによりポリマー網目構造を形成可能なポリマー(又はポリマーの生成に使用することができる単量体分子)を指す。幾つかの場合、光開始ポリマーは、共有結合的に架橋し、特定の共有結合を形成し、硬質化化学モチーフの周囲の位置化学を変更し、又は物理的状態を変更させるイオン対を形成することが可能な1つ又は複数の化学部分に結合するポリマーセグメントを含み得る。幾つかの場合、光開始ポリマーは、ポリマー網目構造の形成を開始する(例えば、ポリマーの重合化を介して)ために、光活性化可能なラジカル開始剤を必要とし得る。
本明細書で使用される場合、「抗体」は、免疫グロブリン(Ig)を指し、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体の両方、霊長類化(例えば、ヒト化)抗体、ネズミ抗体、マウス−ヒト抗体、マウス−霊長類抗体並びにキメラ抗体を含み、完全な分子、その断片(scFv、Fv、Fd、Fab、Fab’及びF(ab)’2断片等)、又は完全な分子及び/若しくは断片の多量体若しくは凝集体であり得、天然に存在するか、又は免疫処置、合成若しくは遺伝子操作等によって製造することができる。本明細書で使用される場合、「抗体断片」は、抗原を結合する、抗体に由来するか又は抗体に関係する断片を指し、幾つかの実施形態では、例えば、ガラクトース残基の組み入れにより、クリアランス及び取り込みを容易にする構造上の特徴を示すように誘導体化され得る。これには、例えば、F(ab)、F(ab)’2、scFv、軽鎖可変領域(VL)、重鎖可変領域(VH)及びそれらの組合せが含まれる。
流体媒体を参照して本明細書で使用される場合、「拡散する」及び「拡散」は、濃度勾配を下がる流体媒体の成分の熱力学的移動を指す。
「媒体の流れ」という語句は、拡散以外の任意のメカニズムに主に起因する流体媒体のバルク移動を意味する。例えば、媒体の流れは、ポイント間の圧力差に起因する流体媒体のあるポイントから別のポイントへの移動を含み得る。そのようなフローは、液体の連続フロー、パルスフロー、周期的フロー、ランダムフロー、断続的フロー若しくは往復フロー又はそれらの任意の組合せを含み得る。ある流体媒体が別の流体媒体中に流れる場合、媒体の乱流及び混合が生じ得る。
「実質的に流れがない」という語句は、流体媒体内への又は流体媒体内の材料(例えば、対象となる検体)の成分の拡散率未満である、経時平均される流体媒体の流量を指す。そのような材料の成分の拡散率は、例えば、成分の温度、サイズ及び成分と流体媒体との相互作用の強さに依存し得る。
マイクロ流体デバイス内の異なる領域を参照して本明細書で使用される場合、「流体的に接続される」という語句は、異なる領域が流体媒体等の流体で実質的に充填されているとき、各領域内の流体が接続されて単一の流体を形成することを意味する。これは、異なる領域内の流体(又は流体媒体)の組成が必ずしも同一であることを意味しない。正確に言えば、マイクロ流体デバイスの流体的に接続される異なる領域内の流体は、溶質が各濃度勾配を下に移動し、及び/又は流体がマイクロ流体デバイスを通って流れるとき、流動的である異なる組成(例えば、タンパク質、炭水化物、イオン又は他の分子等の異なる濃度の溶質)を有し得る。
本明細書で使用される場合、「流路」は、媒体の流れの軌道を定義し、媒体の流れの軌道を受ける1つ又は複数の流体的に接続される回路要素(例えば、チャネル、領域、チャンバ等)を指す。したがって、流路は、マイクロ流体デバイスの掃引領域の例である。他の回路要素(例えば、非掃引領域)は、流路における媒体の流れを受けることなく、流路を含む回路要素と流体的に接続し得る。
本明細書で使用される場合、「微小物体の分離」は、マイクロ流体デバイス内の画定エリアに微小物体を閉じ込めることを意味する。
マイクロ流体(又はナノ流体)デバイスは、「掃引」領域及び「非掃引」領域を含み得る。本明細書で使用される場合、「掃引」領域は、流体がマイクロ流体回路を流れているときに媒体の流れを受ける、マイクロ流体回路の1つ又は複数の流体的に相互接続される回路要素で構成される。掃引領域の回路要素は、例えば、領域、チャネル及びチャンバの全て又は一部を含み得る。本明細書で使用される場合、「非掃引」領域は、流体がマイクロ流体回路を流れているときに流体流動を実質的に受けない、マイクロ流体回路の1つ又は複数の流体的に相互接続される回路要素で構成される。非掃引領域は、流体接続が、掃引領域と非掃引領域との間の拡散が可能であるが、実質的に媒体フローがないような構造を有する場合、掃引領域に流体的に接続することができる。したがって、マイクロ流体デバイスは、実質的に掃引領域と非掃引領域との間の拡散的な流体連通のみを可能にしながら、掃引領域内の媒体のフローから非掃引領域を実質的に分離するような構造を有し得る。例えば、マイクロ流体デバイスのフローチャネルは、掃引領域の例である一方、マイクロ流体デバイスの分離領域(以下に更に詳細に説明する)は、非掃引領域の例である。
そのようなマイクロ流体デバイスにおいて、特定の生物学的材料(例えば、抗体等のタンパク質)を生成する生物学的微小物体(例えば、生体細胞)の能力をアッセイすることができる。アッセイの特定の実施形態では、対象となる検体の生産についてアッセイする生物学的微小物体(例えば、細胞)を含む試料材料をマイクロ流体デバイスの掃引領域に装填することができる。生物学的微小物体(例えば、ヒト細胞等の哺乳類細胞)のそれぞれは、特定の特性に関して選択することができ、非掃引領域に配置することができる。次に、残りの試料材料を掃引領域から流出させ、アッセイ材料を掃引領域に流入させることができる。選択された生物学的微小物体は、非掃引領域にあるため、選択された生物学的微小物体は、残りの試料材料の流出又はアッセイ材料の流入による影響を実質的に受けない。選択された生物学的微小物体は、対象となる検体を生成することが可能であり得、検体は、非掃引領域から掃引領域中に拡散することができ、掃引領域において、対象となる検体は、アッセイ材料と反応して、それぞれを特定の非掃引領域に相関付けることができる、局所化された検出可能反応を生成することができる。検出された反応に関連する任意の非掃引領域を分析して、非掃引領域中の生物学的微小物体のうち、対象となる検体の十分な生産者物体がある場合、それがいずれかを特定することができる。
マイクロ流体デバイス及びそのようなデバイスを操作し観測するシステム
図1Aは、生物学的微小物体の維持、分離、アッセイ又は培養に使用することができるマイクロ流体デバイス100及びシステム150の例を示す。カバー110を一部切り欠き、マイクロ流体デバイス100内の部分図を提供するマイクロ流体デバイス100の斜視図を示す。マイクロ流体デバイス100は、一般に、流路106を含むマイクロ流体回路120を含み、流路106を通って流体培地180が流れることができ、任意選択的に1つ又は複数の微小物体(図示せず)をマイクロ流体回路120内及び/又はマイクロ流体回路120を通して搬送する。1つのマイクロ流体回路120が図1Aに示されているが、適するマイクロ流体デバイスは、複数(例えば、2又は3個)のそのようなマイクロ流体回路を含むことができる。それに関係なく、マイクロ流体デバイス100はナノ流体デバイスであるように構成され得る。図1Aに示されるように、マイクロ流体回路120は、複数のマイクロ流体隔離ペン124、126、128、及び130を含み得、ここで、各隔離ペンは、流路106に流体接続する1つ又は複数の開口部を有し得る。図1Aのデバイスの幾つかの実施形態では、隔離ペンは、流路106と流通する1つのみの開口部を有し得る。更に以下で考察するように、マイクロ流体隔離ペンは、培地180が流路106を通って流れているときであっても、マイクロ流体デバイス100等のマイクロ流体デバイスに微小物体を保持するように最適化された様々な特徴及び構造を含む。しかし、上記を参照する前に、マイクロ流体デバイス100及びシステム150の概説を提供する。
図1Aに概して示されるように、マイクロ流体回路120はエンクロージャ102により画定される。エンクロージャ102は異なる構成で物理的に構造化することができるが、図1Aに示される例では、エンクロージャ102は、支持構造体104(例えば、基部)、マイクロ流体回路構造108、及びカバー110を含むものとして示されている。支持構造体104、マイクロ流体回路構造108、及びカバー110は、互いに取り付けることができる。例えば、マイクロ流体回路構造108は、支持構造体104の内面109に配置することができ、カバー110は、マイクロ流体回路構造108を覆って配置することができる。支持構造体104及びカバー110と一緒に、マイクロ流体回路構造108は、マイクロ流体回路120の要素を画定することができる。
図1Aに示されるように、支持構造体104は、マイクロ流体回路120の下部にあり得、カバー110はマイクロ流体回路120の上部にあり得る。代替的に、支持構造体104及びカバー110は、他の向きで構成され得る。例えば、支持構造体104は、マイクロ流体回路120の上部にあり得、カバー110はマイクロ流体回路120の下部にあり得る。それに関係なく、それぞれがエンクロージャ102内又は外への通路を含む1つ又は複数のポート107があり得る。通路の例としては、弁、ゲート、貫通孔等が挙げられる。示されるように、ポート107は、マイクロ流体回路構造108のギャップにより作られる貫通孔である。しかし、ポート107は、カバー110等のエンクロージャ102の他の構成要素に配置することができる。1つのみのポート107が図1Aに示されているが、マイクロ流体回路120は2つ以上のポート107を有することができる。例えば、流体がマイクロ流体回路120に入るための流入口として機能する第1のポート107があり得、流体がマイクロ流体回路120を出るための流出口として機能する第2のポート107があり得る。ポート107が流入口として機能するか、それとも流出口として機能するかは、流体が流路106を通って流れる方向に依存し得る。
支持構造体104は、1つ又は複数の電極(図示せず)と、基板又は複数の相互接続された基板を含むことができる。例えば、支持構造体104は、1つ又は複数の半導体基板を含むことができ、各半導体基板は電極に電気的に接続される(例えば、半導体基板の全て又はサブセットは、1つの電極に電気的に接続することができる)。支持構造体104は、プリント回路基板組立体(「PCBA」)を更に含むことができる。例えば、半導体基板はPCBA上に搭載することができる。
マイクロ流体回路構造108は、マイクロ流体回路120の回路要素を画定することができる。そのような回路要素は、マイクロ流体回路120に流体が充填される場合、流体的に相互接続することができる、フロー領域(1つ又は複数のフローチャネルを含み得る)、チャンバ、ペン、トラップ等の空間又は領域を含むことができる。図1Aに示されるマイクロ流体回路120では、マイクロ流体回路108は、枠114及びマイクロ流体回路材料116を含む。枠114は、マイクロ流体回路材料116を部分的又は完全に囲むことができる。枠114は、例えば、マイクロ流体回路材料116を実質的に囲む比較的剛性の構造であり得る。例えば、枠114は金属材料を含むことができる。
マイクロ流体回路材料116には、キャビティ等をパターニングして、マイクロ流体回路120の回路要素及び相互接続を画定することができる。マイクロ流体回路材料116は、ガス透過可能であり得る可撓性ポリマー(例えば、ゴム、プラスチック、エラストマー、シリコーン、ポリジメチルシロキサン(「PDMS」)等)等の可撓性材料を含むことができる。マイクロ流体回路材料116を構成することができる材料の他の例としては、成形ガラス、シリコーン(フォトパターニング可能シリコーン又は「PPS」)等のエッチング可能材料、フォトレジスト(例えば、SU8)等が挙げられる。幾つかの実施形態では、そのような材料 − したがって、マイクロ流体回路材料116 − は、剛性及び/又はガスを実質的に不透過であり得る。それに関係なく、マイクロ流体回路材料116は、支持構造体104上及び枠114内部に配置することができる。
カバー110は、枠114及び/又はマイクロ流体回路材料116の一体部分であり得る。代替的に、カバー110は、図1Aに示されるように、構造的に別個の要素であり得る。カバー110は、枠114及び/又はマイクロ流体回路材料116と同じ又は異なる材料を含むことができる。同様に、支持構造体104は、示されるように枠114若しくはマイクロ流体回路材料116とは別個の構造であってもよく、又は枠114若しくはマイクロ流体回路材料116の一体部分であってもよい。同様に、枠114及びマイクロ流体回路材料116は、図1Aに示されるように別個の構造であってもよく、又は同じ構造の一体部分であってもよい。
幾つかの実施形態では、カバー110は剛性材料を含むことができる。剛性材料は、ガラス又は同様との特性を有する材料であり得る。幾つかの実施形態では、カバー110は変形可能材料を含むことができる。変形可能材料は、PDMS等のポリマーであり得る。幾つかの実施形態では、カバー110は、剛性材料及び変形可能材料の両方を含むことができる。例えば、カバー110の1つ又は複数の部分(例えば、隔離ペン124、126、128、130上に位置する1つ又は複数の部分)は、カバー110の剛性材料と界面を接する変形可能材料を含むことができる。幾つかの実施形態では、カバー110は1つ又は複数の電極を更に含むことができる。1つ又は複数の電極は、ガラス又は同様の絶縁材料でコーティングし得る、インジウム−錫−酸化物(ITO)等の導電性酸化物を含むことができる。代替的に、1つ又は複数の電極は、ポリマー(例えば、PDMS)等の変形可能ポリマーに埋め込まれた単層ナノチューブ、多層ナノチューブ、ナノワイヤ、導電性ナノ粒子のクラスタ、又はそれらの組合せ等の可撓性電極であり得る。マイクロ流体デバイスで使用することができる可撓性電極は、例えば、米国特許出願公開第2012/0325665号(Chiouら)に記載されており、この内容は参照により本明細書に援用される。幾つかの実施形態では、カバー110は、細胞の接着、生存、及び/又は成長を支持するように変更することができる(例えば、マイクロ流体回路120に向かって内側に面する表面の全て又は部分を調整することにより)。変更は、合成ポリマー又は天然ポリマーのコーティングを含み得る。幾つかの実施形態では、カバー110及び/又は支持構造体104は、光を透過することができる。カバー110は、ガス透過可能な少なくとも1つの材料(例えば、PDMS又はPPS)を含むこともできる。
図1Aは、マイクロ流体デバイス100等のマイクロ流体デバイスを動作させ制御するシステム150も示す。システム150は、電源192、撮像デバイス194(撮像モジュール164内に組み込まれ、デバイス194自体は図1Aに示されていない)、及び傾斜デバイス190(傾斜モジュール166の部分であり、デバイス190は図1Aに示されていない)を含む。
電源192は、電力をマイクロ流体デバイス100及び/又は傾斜デバイス190に提供し、バイアス電圧又は電流を必要に応じて提供することができる。電源192は、例えば、1つ又は複数の交流(AC)及び/又は直流(DC)電圧源又は電流源を含むことができる。撮像デバイス194(以下で述べられる撮像モジュール164の一部)は、マイクロ流体回路120内部の画像を捕捉する、デジタルカメラ等のデバイスを含むことができる。幾つかの場合、撮像デバイス194は、高速フレームレート及び/又は高感度(例えば、低光用途用)を有する検出器を更に含む。撮像デバイス194は、刺激放射線及び/又は光線をマイクロ流体回路120内に向け、マイクロ流体回路120(又はマイクロ流体回路120内に含まれる微小物体)から反射されるか、又は発せられる放射線及び/又は光線を収集する機構を含むこともできる。発せられる光線は可視スペクトル内であり得、例えば、蛍光放射を含み得る。反射光線は、LED又は水銀灯(例えば、高圧水銀灯)若しくはキセノンアーク灯等の広域スペクトル灯から発せられた反射放射を含み得る。図3Bに関して考察するように、撮像デバイス194は顕微鏡(又は光学縦列)を更に含み得、これは接眼レンズを含んでもよく、又は含まなくてもよい。
システム150は、1つ又は複数の回転軸の周りでマイクロ流体デバイス100を回転させるように構成される傾斜デバイス190(以下で述べられる傾斜モジュール166の一部)を更に含む。幾つかの実施形態では、傾斜デバイス190は、マイクロ流体デバイス100(したがって、マイクロ流体回路120)を水平向き(すなわち、x軸及びy軸に相対して0°)、垂直向き(すなわち、x軸及び/又はy軸に相対して90°)、又はそれらの間の任意の向きで保持することができるように、少なくとも1つの軸の周りでマイクロ流体回路120を含むエンクロージャ102を支持及び/又は保持するように構成される。軸に相対するマイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)の向きは、本明細書では、マイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)の「傾斜」と呼ばれる。例えば、傾斜デバイス190は、x軸に相対して0.1°、0.2°、0.3°、0.4°、0.5°、0.6°、0.7°、0.8°、0.9°、1°、2°、3°、4°、5°、10°、15°、20°、25°、30°、35°、40°、45°、50°、55°、60°、65°、70°、75°、80°、90°、又はそれらの間の任意の度数でマイクロ流体デバイス100を傾斜させることができる。水平向き(したがって、x軸及びy軸)は、重力により定義される垂直軸に垂直なものとして定義される。傾斜デバイスは、マイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)をx軸及び/又はy軸に相対して90°よりも大きい任意の角度に傾斜させるか、又はマイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)をx軸若しくはy軸に相対して180°に傾斜させて、マイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)を真逆にすることもできる。同様に、幾つかの実施形態では、傾斜デバイス190は、流路106又はマイクロ流体回路120の何らかの他の部分により定義される回転軸の周りでマイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)を傾斜させる。
幾つかの場合、マイクロ流体デバイス100は、流路106が1つ又は複数の隔離ペンの上方又は下方に位置するように、垂直向きに傾斜する。「上方」という用語は、本明細書で使用される場合、流路106が、重力により定義される垂直軸上で1つ又は複数の隔離ペンよりも高く位置する(すなわち、流路106の上方の隔離ペン内の物体が流路内の物体よりも高い重力位置エネルギーを有する)ことを示す。「下方」という用語は、本明細書で使用される場合、流路106が、重力により定義される垂直軸上で1つ又は複数の隔離ペンよりも下に位置する(すなわち、流路106の下方の隔離ペン内の物体が流路内の物体よりも低い重力位置エネルギーを有する)ことを示す。
幾つかの場合、傾斜デバイス190は、流路106と平行な軸の周りでマイクロ流体デバイス100を傾斜させる。更に、マイクロ流体デバイス100は、流路106が、隔離ペンの真上又は真下に配置されずに、1つ又は複数の隔離ペンの上方又は下方に配置されるように、90°未満の角度に傾斜することができる。他の場合、傾斜デバイス190は、流路106に直交する軸の周りでマイクロ流体デバイス100を傾斜させる。更に他の場合、傾斜デバイス190は、流路106に平行でもなく直交もしない軸の周りでマイクロ流体デバイス100を傾斜させる。
システム150は培地源178を更に含むことができる。培地源178(例えば、容器、リザーバ等)は、それぞれが異なる流体培地180を保持する複数のセクション又は容器を含むことができる。したがって、培地源178は、図1Aに示されるように、マイクロ流体デバイス100の外部にある、マイクロ流体デバイス100とは別個のデバイスであり得る。代替的に、培地源178は、全体的又は部分的に、マイクロ流体デバイス100のエンクロージャ102内部に配置することができる。例えば、培地源178は、マイクロ流体デバイス100の部分であるリザーバを含むことができる。
図1Aは、システム150の一部を構成し、マイクロ流体デバイス100と併せて利用することができる制御及び監視機器152の例の簡易ブロック図表現も示す。示されるように、そのような制御及び監視機器152の例は、培地源178を制御する培地モジュール160と、マイクロ流体回路120での微小物体(図示せず)及び/又は培地(例えば、培地の液滴)の移動及び/又は選択を制御する原動モジュール162と、画像(例えば、デジタル画像)を捕捉する撮像デバイス194(例えば、カメラ、顕微鏡、光源、又はそれらの任意の組合せ)を制御する撮像モジュール164と、傾斜デバイス190を制御する傾斜モジュール166とを含むマスタコントローラ154を含む。制御機器152は、マイクロ流体デバイス100に関する他の機能を制御、監視、又は実行する他のモジュール168を含むこともできる。示されるように、機器152は、表示デバイス170及び入/出力デバイス172を更に含むことができる。
マスタコントローラ154は、制御モジュール156及びデジタルメモリ158を含むことができる。制御モジュール156は、例えば、メモリ158内に非一時的データ又は信号として記憶される機械実行可能命令(例えば、ソフトウェア、ファームウェア、ソースコード等)に従って動作するように構成されるデジタルプロセッサを含むことができる。代替的に又は追加として、制御モジュール156は、ハードワイヤードデジタル回路及び/又はアナログ回路を含むことができる。培地モジュール160、原動モジュール162、撮像モジュール164、傾斜モジュール166、及び/又は他のモジュール168は、同様に構成され得る。したがって、マイクロ流体デバイス100又は任意の他のマイクロ流体装置に関して実行されるものとして本明細書で考察される機能、プロセス、行動、動作、又はプロセスのステップは、上述したように構成されるマスタコントローラ154、培地モジュール160、原動モジュール162、撮像モジュール164、傾斜モジュール166、及び/又は他のモジュール168の任意の1つ又は複数により実行され得る。同様に、マスタコントローラ154、培地モジュール160、原動モジュール162、撮像モジュール164、傾斜モジュール166、及び/又は他のモジュール168は、通信可能に結合されて、本明細書において考察される任意の機能、プロセス、行動、動作、又はステップで使用されるデータを送受信し得る。
培地モジュール160は培地源178を制御する。例えば、培地モジュール160は、培地源178を制御して、選択された流体培地180をエンクロージャ102に入れる(例えば、流入口107を介して)ことができる。培地モジュール160は、エンクロージャ102からの培地の取り出し(例えば、流出口(図示せず)を通して)を制御することもできる。したがって、1つ又は複数の培地を選択的にマイクロ流体回路120に入れ、マイクロ流体回路120から搬出することができる。培地モジュール160は、マイクロ流体回路120内部の流路106での流体培地180のフローを制御することもできる。例えば、幾つかの実施形態では、培地モジュール160は、傾斜モジュール166が傾斜デバイス190に所望の傾斜角までマイクロ流体デバイス100を傾斜させる前に、流路106内及びエンクロージャ102を通る培地180のフローを停止させる。
原動モジュール162は、マイクロ流体回路120での微小物体(図示せず)の選択、捕捉、及び移動を制御するように構成され得る。図1B及び図1Cに関して後述するように、エンクロージャ102は、誘電泳動(DEP)構成、光電子ピンセット(OET)構成、及び/又は光電子ウェッティング(OEW)構成(図1Aに示されず)を含むことができ、原動モジュール162は、電極及び/又はトランジスタ(例えば、フォトトランジスタ)のアクティブ化を制御して、流路106及び/又は隔離ペン124、126、128、130で微小物体(図示せず)及び/又は培地の液滴(図示せず)を選択し移動させることができる。
撮像モジュール164は撮像デバイス194を制御することができる。例えば、撮像モジュール164は、撮像デバイス194から画像データを受信し、処理することができる。撮像デバイス194からの画像データは、撮像デバイス194により捕捉された任意のタイプの情報を含むことができる(例えば、微小物体、培地の液滴、蛍光標識等の標識の蓄積の有無等)。撮像デバイス194により捕捉された情報を使用して、撮像モジュール164は、物体(例えば、微小物体、培地の液滴)の位置及び/又はマイクロ流体デバイス100内のそのような物体の移動速度を更に計算することができる。
傾斜モジュール166は、傾斜デバイス190の傾斜移動を制御することができる。代替的に又は追加として、傾斜モジュール166は、重力を介して1つ又は複数の隔離ペンへの微小物体の移送を最適化するように、傾斜率及びタイミングを制御することができる。傾斜モジュール166は、撮像モジュール164と通信可能に結合されて、マイクロ流体回路120での微小物体及び/又は培地の液滴の移動を記述するデータを受信する。このデータを使用して、傾斜モジュール166は、マイクロ流体回路120の傾斜を調整して、マイクロ流体回路120内で微小物体及び/又は培地の液滴が移動する率を調整し得る。傾斜モジュール166は、このデータを使用して、マイクロ流体回路120内での微小物体及び/又は培地の液滴の位置を繰り返し調整することもできる。
図1Aに示される例では、マイクロ流体回路120は、マイクロ流体チャネル122及び隔離ペン124、126、128、130を含むものとして示されている。各ペンは、チャネル122への開口部を含むが、ペンがペン内部の微小物体を流体培地180及び/又はチャネル122の流路106又は他のペン内の微小物体から実質的に分離することができるように、その他では閉じられている。隔離ペンの壁は、ベースの内面109からカバー110の内面まで延び、エンクロージャを提供する。マイクロ流体チャネル122へのペンの開口部は、フロー106がペン内に向けられないように、フロー106に対して傾斜して向けられる。フローは、ペンの開口部の平面に対して接線方向にあり得るか又は直交し得る。幾つかの場合、ペン124、126、128、130は、1つ又は複数の微小物体をマイクロ流体回路120内に物理的に囲い入れるように構成される。本開示による隔離ペンは、以下に詳細に考察し示すように、DEP、OET、OEW、流体フロー、及び/又は重力との併用に最適化された様々な形状、表面、及び特徴を含むことができる。
マイクロ流体回路120は、任意の数のマイクロ流体隔離ペンを含み得る。5つの隔離ペンが示されているが、マイクロ流体回路120は、より少数又はより多数の隔離ペンを有し得る。示されるように、マイクロ流体回路120のマイクロ流体隔離ペン124、126、128、及び130は、生物学的微小物体の維持、分離、アッセイ又は培養するに当たり有用な1つ又は複数の利点を提供し得る異なる特徴及び形状をそれぞれ含む。幾つかの実施形態では、マイクロ流体回路120は、複数の同一のマイクロ流体隔離ペンを含む。
図1Aに示される実施形態では、1つのチャネル122及び流路106が示される。しかし、他の実施形態は、それぞれが流路106を含むように構成される複数のチャネル122を含み得る。マイクロ流体回路120は、流路106及び流体培地180と流体連通する流入弁又はポート107を更に含み、それにより、流体培地180は、流入口107を介してチャネル122にアクセスすることができる。幾つかの場合、流路106は1つの経路を含む。幾つかの場合、1つの経路はジグザグパターンで配置され、それにより、流路106は、交互になった方向で2回以上にわたってマイクロ流体デバイス100にわたり移動する。
幾つかの場合、マイクロ流体回路120は、複数の平行チャネル122及び流路106を含み、各流路106内の流体培地180は同じ方向に流れる。幾つかの場合、各流路106内の流体培地は、順方向又は逆方向の少なくとも一方で流れる。幾つかの場合、複数の隔離ペンは、隔離ペンが標的微小物体と並列に配置されることができるように構成される(例えば、チャネル122に相対して)。
幾つかの実施形態では、マイクロ流体回路120は、1つ又は複数の微小物体トラップ132を更に含む。トラップ132は、一般に、チャネル122の境界を形成する壁に形成され、マイクロ流体隔離ペン124、126、128、130の1つ又は複数の開口部の逆に位置し得る。幾つかの実施形態では、トラップ132は、流路106から1つの微小物体を受け取り、又は捕捉するように構成される。幾つかの実施形態では、トラップ132は、流路106から複数の微小物体を受け取り、又は捕捉するように構成される。幾つかの場合、トラップ132は、1つの標的微小物体の容積に概ね等しい容積を含む。
トラップ132は、標的微小物体のトラップ132へのフローを支援するように構成される開口部を更に含み得る。幾つかの場合、トラップ132は、1つの標的微小物体の寸法に概ね等しい高さ及び幅を有する開口部を含み、それにより、より大きい微小物体が微小物体トラップに入らないようにされる。トラップ132は、トラップ132内への標的微小物体の保持を支援するように構成される他の特徴を更に含み得る。幾つかの場合、トラップ132は、微小流体隔離ペンの開口部と位置合わせされ、微小流体隔離ペンの開口部に関してチャネル122の逆側に配置され、それにより、マイクロ流体チャネル122に平行な軸の周りでマイクロ流体デバイス100を傾斜されると、捕捉された微小物体は、微小物体を隔離ペンの開口部に落とす軌道でトラップ132を出る。幾つかの場合、トラップ132は、標的微小物体よりも小さく、トラップ132を通るフローを促進し、それによりトラップ132内への微小物体の捕捉確率を増大させるサイド通路134を含む。
幾つかの実施形態では、誘電泳動(DEP)力は、1つ又は複数の電極(図示せず)を介して流体培地180にわたり適用されて(例えば、流路及び/又は隔離ペンにおいて)、内部に配置された微小物体の操作、輸送、分離、及びソートを行う。例えば、幾つかの実施形態では、DEP力は、マイクロ流体回路120の1つ又は複数の部分に適用されて、1つの微小物体を流路106から所望のマイクロ流体隔離ペンに輸送する。幾つかの実施形態では、DEP力を使用して、隔離ペン(例えば、隔離ペン124、126、128、又は130)内の微小物体が隔離ペンから変位しないようにする。更に、幾つかの実施形態では、DEP力を使用して、本開示の形態により前に収集された微小物体を隔離ペンから選択的に取り出す。幾つかの実施形態では、DEP力は、光電子ピンセット(OET)力を含む。
他の実施形態では、光電子ウェッティング(OEW)力が、1つ又は複数の電極(図示せず)を介してマイクロ流体デバイス100の支持構造体104(及び/又はカバー110)での1つ又は複数の位置(例えば、流路及び/又は隔離ペンの画定に役立つ位置)に適用されて、マイクロ流体回路120に配置された液滴の操作、輸送、分離、及びソートを行う。例えば、幾つかの実施形態では、OEW力は支持構造体104(及び/又はカバー110)の1つ又は複数の位置に適用されて、1つの液滴を流路106から所望のマイクロ流体隔離ペンに輸送する。幾つかの実施形態では、OEW力を使用して、隔離ペン(例えば、隔離ペン124、126、128、又は130)内の液滴が隔離ペンから変位しないようにする。更に、幾つかの実施形態では、OEW力を使用して、本開示の形態により前に収集された液滴を隔離ペンから選択的に取り出す。
幾つかの実施形態では、DEP力及び/又はOEW力は、フロー及び/又は重力等の他の力と組み合わせられて、マイクロ流体回路120内の微小物体及び/又は液滴の操作、輸送、分離、及びソートを行う。例えば、エンクロージャ102は傾斜して(例えば、傾斜デバイス190により)、流路106及び流路106内に配置された微小物体をマイクロ流体隔離ペンの上に位置決めすることができ、重力は、微小物体及び/又は液滴をペン内に輸送することができる。幾つかの実施形態では、DEP力及び/又はOEW力は、他の力の前に適用することができる。他の実施形態では、DEP力及び/又はOEW力は、他の力の後に適用することができる。更に他の場合、DEP力及び/又はOEW力は、他の力と同時に又は他の力と交互に適用することができる。
図1B、図1C及び図2A〜図2Hは、本開示の形態に使用することができるマイクロ流体デバイスの様々な実施形態を示す。図1Bは、マイクロ流体デバイス200が光学作動動電学的デバイスとして構成される実施形態を示す。光電子ピンセット(OET)構成を有するデバイス及び光電子ウェッティング(OEW)構成を有するデバイスを含め、様々な光学作動動電学的デバイスが当技術分野で既知である。適するOET構成の例は、以下の米国特許文献に示されており、各文献は全体的に参照により本明細書に援用される:米国特許第RE44,711号(Wuら)(元々は米国特許第7,612,355号として発行された);及び米国特許第7,956,339号(Ohtaら)。OEW構成の例は、米国特許第6,958,132号(Chiouら)及び米国特許出願公開第2012/0024708号(Chiouら)に示されており、これらは両方とも全体的に参照により本明細書に援用される。光学作動動電的デバイスの更に別の例は、OET/OEW結合構成を含み、その例は、米国特許出願公開第20150306598号(Khandrosら)及び同第20150306599号(Khandrosら)並びにそれらの対応するPCT公報である国際公開第2015/164846号及び国際公開第2015/164847号に示されており、これらは全て全体的に参照により本明細書に援用される。
生物学的微小物体を配置し、培養し、及び/又は監視することができる隔離ペンを有するマイクロ流体デバイスの例は、例えば、米国特許出願公開第2014/0116881号(出願番号14/060,117、2013年10月22日出願)、米国特許出願公開第2015/0151298号(出願番号14/520,568、2014年10月22日出願)、及び米国特許出願公開第2015/0165436号(出願番号14/521,447、2014年10月22日出願)に記載されており、これらはそれぞれ全体的に参照により援用される。米国特許出願公開第14/520,568号及び同第14/521,447号は、マイクロ流体デバイスで培養された細胞の分泌物を分析する例示的な方法についても記載している。上記の各出願は、光電子ツイーザ(OET)等の誘電泳動(DEP)力を生成するように構成されるか、又は光電子ウェッティング(OEW)を提供するように構成されるマイクロ流体デバイスを更に記載している。例えば、米国特許出願公開第2014/0116881号の図2に示される光電子ツイーザデバイスは、本開示の実施形態で利用して、個々の生物学的微小物体又は生物学的微小物体のグループを選択し移動させることができるデバイスの例である。
原動マイクロ流体デバイス構成
上述したように、システムの制御及び監視機器は、マイクロ流体デバイスのマイクロ流体回路において微小物体又は液滴等の物体を選択し移動させる原動モジュールを含むことができる。マイクロ流体デバイスは、移動される物体のタイプ及び他の考慮事項に応じて様々な原動構成を有することができる。例えば、誘電泳動(DEP)構成を利用して、マイクロ流体回路において微小物体を選択し移動させることができる。したがって、マイクロ流体デバイス100の支持構造体104及び/又はカバー110は、マイクロ流体回路120内の流体培地180内の微小物体に対してDEP力を選択的に誘導し、それにより個々の微小物体又は微小物体群の選択、捕捉、及び/又は移動を行うDEP構成を含むことができる。代替的に、マイクロ流体デバイス100の支持構造体104及び/又はカバー110は、マイクロ流体回路120内の流体培地180内の液滴に対して電子ウェッティング(EW)力を選択的に誘導し、それにより個々の液滴又は液滴群の選択、捕捉、及び/又は移動を行う電子ウェッティング(EW)構成を含むことができる。
DEP構成を含むマイクロ流体デバイス200の一例を図21B及び図1Cに示す。簡潔にするために、図1B及び図1Cは、領域/チャンバ202を有するマイクロ流体デバイス200のエンクロージャ102の部分の側面断面図及び上面断面図をそれぞれ示すが、領域/チャンバ202が、成長チャンバ、隔離ペン、フロー領域、又はフローチャネル等のより詳細な構造を有する流体回路要素の部分であり得ることを理解されたい。更に、マイクロ流体デバイス200は他の流体回路要素を含み得る。例えば、マイクロ流体デバイス200は、マイクロ流体デバイス100に関して本明細書に記載される等の複数の成長チャンバ、或いは隔離ペン及び/又は1つ若しくは複数のフロー領域又はフローチャネルを含むことができる。DEP構成は、マイクロ流体デバイス200の任意のそのような流体回路要素に組み込み得るか、又はその部分を選択し得る。上記又は下記の任意のマイクロ流体デバイス構成要素及びシステム構成要素がマイクロ流体デバイス200内に組みこまれ得、及び/又はマイクロ流体デバイス200と組み合わせて使用し得ることを更に理解されたい。例えば、培地モジュール160、原動モジュール162、撮像モジュール164、傾斜モジュール166、及び他のモジュール168の1つ又は複数を含む上述した制御及び監視機器152を含むシステム150は、マイクロ流体デバイス200と併用し得る。
図1Bにおいて見られるように、マイクロ流体デバイス200は、下部電極204及び下部電極204に重なる電極活性化基板206を有する支持構造体104と、上部電極210を有するカバー110とを含み、上部電極210は下部電極204から離間される。上部電極210及び電極活性化基板206は、領域/チャンバ202の両面を画定する。したがって、領域/チャンバ202に含まれる培地180は、上部電極210と電極活性化基板206との間に抵抗接続を提供する。下部電極204と上部電極210との間に接続され、領域/チャンバ202でのDEP力の生成のために必要に応じて電極間にバイアス電圧を生成するように構成される電源212も示されている。電源212は、例えば、交流(AC)電源であり得る。
特定の実施形態では、図1B及び図1Cに示されるマイクロ流体デバイス200は、光学作動DEP構成を有することができる。したがって、原動モジュール162により制御し得る光源216からの光218の変更パターンは、電極活性化基板206の内面208の領域214においてDEP電極の変更パターンを選択的に活性化又は非活性化することができる。(以下ではDEP構成を有するマイクロ流体デバイスの領域214を「DEP電極領域」と呼ぶ)。図1Cに示されるように、電極活性化基板206の内面208に向けられる光パターン218は、正方形等のパターンで、選択されたDEP電極領域214a(白色で示される)を照明することができる。照明されないDEP電極領域214(斜線が付される)を以下では「暗」DEP電極領域214と呼ぶ。DEP電極活性化基板206を通る相対電気インピーダンス(すなわち、下部電極204から、フロー領域106において培地180と界面を接する電極活性化基板206の内面208まで)は、各暗DEP電極領域214での領域/チャンバ202において培地180を通る(すなわち、電極活性化基板206の内面208からカバー110の上部電極210まで)相対電気インピーダンスよりも大きい。しかし、照明DEP電極領域214aは、各照明DEP電極領域214aでの領域/チャンバ202での培地180を通る相対インピーダンス未満である電極活性化基板206を通る相対インピーダンスの低減を示す。
電源212が活性化されている場合、上記のDEP構成は、照明DEP電極領域214aと隣接する暗DEP電極領域214との間に流体培地180内で電場勾配を生じさせ、次に、電場勾配は、流体培地180内の付近の微小物体(図示せず)を引き寄せるか、又は排斥する局所DEP力を生成する。したがって、流体培地180内の微小物体を引き寄せるか、又は排斥するDEP電極は、光源216からマイクロ流体デバイス200に投射される光パターン218を変更することにより、領域/チャンバ202の内面208での多くの異なるそのようなDEP電極領域214において選択的に活性化及び非活性化することができる。DEP力が付近の微小物体を引き寄せるか、それとも排斥するかは、電源212の周波数並びに培地180及び/又は微小物体(図示せず)の誘電特性等のパラメータに依存し得る。
図1Cに示される照明DEP電極領域214aの正方形パターン220は単なる例である。マイクロ流体デバイス200に投射される光パターン218により、任意のパターンのDEP電極領域214を照明する(それにより活性化する)ことができ、照明/活性化されるDEP電極領域214のパターンは、光パターン218を変更又は移動させることにより繰り返し変更することができる。
幾つかの実施形態では、電極活性化基板206は、光伝導性材料を含むか、又は光導電性材料からなることができる。そのような実施形態では、電極活性化基板206の内面208は、特徴を有さないことができる。例えば、電極活性化基板206は、水素化非晶質シリコン(a−Si:H)の層を含むか、又はa−Si:Hの層からなることができる。a−Si:Hは、例えば、約8%〜40%の水素を含むことができる(水素原子の数/水素及びケイ素原子の総数に100を掛けたものとして計算)。a−Si:Hの層は厚さ約500nm〜約2.0μmを有することができる。そのような実施形態では、DEP電極領域214は、光パターン218により、電極活性化基板206の内面208上の任意の場所に任意のパターンで作成することができる。したがって、DEP電極領域214の数及びパターンは、固定される必要がなく、光パターン218に対応することができる。上述したような光伝導層を含むDEP構成を有するマイクロ流体デバイスの例は、例えば、米国特許第RE44,711号(Wuら)(元々は米国特許第7,612,355号として発行された)に記載されており、その内容全体は参照により本明細書に援用される。
他の実施形態では、電極活性化基板206は、半導体分野で既知等の半導体集積回路を形成する複数のドープ層、絶縁層(又は領域)、及び導電層を含む基板を含むことができる。例えば、電極活性化基板206は、例えば、横型バイポーラフォトトランジスタを含む複数のフォトトランジスタを含むことができ、各フォトトランジスタはDEP電極領域214に対応する。代替的に、電極活性化基板206は、フォトトランジスタスイッチにより制御される電極(例えば、導電性金属電極)を含むことができ、そのような各電極はDEP電極領域214に対応する。電極活性化基板206は、パターンになったそのようなフォトトランジスタ又はフォトトランジスタ制御される電極を含むことができる。パターンは、例えば、図2Bに示される等、行列に配置された実質的に正方形のフォトトランジスタ又はフォトトランジスタ制御される電極のアレイであり得る。代替的に、パターンは、六角形格子を形成する実質的に六角形のフォトトランジスタ又はフォトトランジスタ制御される電極のアレイであり得る。パターンに関係なく、電気回路素子は、電極活性化基板206の内面208におけるDEP電極領域214と下部電極210との間に電気接続を形成することができ、それらの電気接続(すなわち、フォトトランジスタ又は電極)は、光パターン218により選択的に活性化又は非活性化することができる。活性化されない場合、各電気接続は、電極活性化基板206を通る(すなわち、下部電極204から、領域/チャンバ202内の培地180と界面を接する電極活性化電極206の内面208まで)相対インピーダンスが、対応するDEP電極領域214における培地180を通る(すなわち、電極活性化基板206の内面208からカバー110の上部電極210まで)相対インピーダンスよりも大きいような高いインピーダンスを有することができる。しかし、光パターン218内の光により活性化される場合、電極活性化基板206を通る相対インピーダンスは、各照明DEP電極領域214での培地180を通る相対インピーダンス未満であり、それにより、上述したように、対応するDEP電極領域214でのDEP電極を活性化する。したがって、培地180内の微小物体(図示せず)を引き寄せるか、又は排斥するDEP電極は、光パターン218により決まるように、領域/チャンバ202での電極活性化基板206の内面208での多くの異なるDEP電極領域214において選択的に活性化及び非活性化することができる。
フォトトランジスタを含む電極活性化基板を有するマイクロ流体デバイスの例は、例えば、米国特許第7,956,339号(Ohtaら)に記載されており(例えば、図21及び図22に示されるデバイス300並びにその説明を参照されたい)、この内容全体は参照により本明細書に援用される。フォトトランジスタスイッチにより制御される電極を含む電極活性化基板を有するマイクロ流体デバイスの例は、例えば、米国特許出願公開第2014/0124370号(Shortら)に記載されており(例えば、図面全体を通して示されるデバイス200、400、500、600、及び900並びにその説明を参照されたい)、これらの内容全体は参照により本明細書に援用される。
DEP構成のマイクロ流体デバイスの幾つかの実施形態では、上部電極210はエンクロージャ102の第1の壁(又はカバー110)の一部であり、電極活性化基板206及び下部電極204は、エンクロージャ102の第2の壁(又は支持構造体104)の一部である。領域/チャンバ202は、第1の壁と第2の壁との間にあり得る。他の実施形態では、電極210は第2の壁(又は支持構造体104)の一部であり、電極活性化基板206及び/又は電極210の一方又は両方は、第1の壁(又はカバー110)の一部である。更に、光源216は代替的に、下からエンクロージャ102を照明するのに使用することができる。
DEP構成を有する図1B及び図1Cのマイクロ流体デバイス200を用いて、原動モジュール162は、光パターン218をマイクロ流体デバイス200に投射して、微小物体を囲み捕捉するパターン(例えば、正方形パターン220)で電極活性化基板206の内面208のDEP電極領域214aでの第1の組の1つ又は複数のDEP電極を活性化することにより、領域/チャンバ202での培地180内の微小物体(図示せず)を選択することができる。次に、原動モジュール162は、光パターン218をマイクロ流体デバイス200に相対して移動させて、DEP電極領域214での第2の組の1つ又は複数のDEP電極を活性化することにより、インサイチューで生成され捕捉された微小物体を移動させることができる。代替的に、マイクロ流体デバイス200を光パターン218に相対して移動させることができる。
他の実施形態では、マイクロ流体デバイス200は、電極活性化基板206の内面208でのDEP電極の光活性化に依存しないDEP構成を有することができる。例えば、電極活性化基板206は、少なくとも1つの電極を含む表面(例えば、カバー110)とは逆に位置する、選択的にアドレス指定可能且つエネルギー付与可能な電極を含むことができる。スイッチ(例えば、半導体基板のトランジスタスイッチ)を選択的に開閉して、DEP電極領域214でのDEP電極を活性化又は非活性化し得、それにより、活性化されたDEP電極の近傍での領域/チャンバ202内の微小物体(図示せず)に対する正味DEP力を生成する。電源212の周波数及び培地(図示せず)及び/又は領域/チャンバ202内の微小物体の誘電特性等の特徴に応じて、DEP力は、付近の微小物体を引き寄せるか、又は排斥することができる。DEP電極の組(例えば、正方形パターン220を形成するDEP電極領域214の組における)を選択的に活性化又は非活性化することにより、領域/チャンバ202における1つ又は複数の微小物体を捕捉し、領域/チャンバ202内で移動させることができる。図1Aの原動モジュール162は、そのようなスイッチを制御し、したがって、DEP電極の個々の電極を活性化及び非活性化して、領域/チャンバ202の周囲の特定の微小物体(図示せず)を選択、捕捉、及び移動させることができる。選択的にアドレス指定可能且つエネルギー付与可能な電極を含むDEP構成を有するマイクロ流体デバイスは、当技術分野で既知であり、例えば、米国特許第6,294,063号(Beckerら)及び同第6,942,776号(Medoro)に記載されており、これらの内容全体は参照により本明細書に援用される。
更なる別例として、マイクロ流体デバイス200は電子ウェッティング(EW)構成を有することができ、EW構成は、DEP構成の代わりであってもよく、又はDEP構成を有する部分とは別個のマイクロ流体デバイス200の部分に配置されてもよい。EW構成は、光電子ウェッティング構成又は誘電体上の電子ウェッティング(EWOD)構成であり得、これらは両方とも当技術分野で既知である。幾つかのEW構成では、支持構造体104は、以下に記載するように、誘電層(図示せず)と下部電極204との間に挟まれた電極活性化基板206を有する。誘電層は、疎水性材料を含むことができ、及び/又は疎水性材料でコーティングすることができる。EW構成を有するマイクロ流体デバイス200の場合、支持構造体104の内面208は、誘電層の内面又はその疎水性コーティングである。
誘電層(図示せず)は、1つ又は複数の酸化物層を含むことができ、厚さ約50nm〜約250nm(例えば、約125nm〜約175nm)を有することができる。特定の実施形態では、誘電層は、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム又は酸化ハフニウム)等の酸化物の層を含むことができる。特定の実施形態では、誘電層は、酸化ケイ素又は窒化物等の金属酸化物以外の誘電材料を含むことができる。厳密な組成及び厚さに関係なく、誘電層は約10kオーム〜約50kオームのインピーダンスを有することができる。
幾つかの実施形態では、領域/チャンバ202に向かって内側に面した誘電層の表面は、疎水性材料でコーティングされる。疎水性材料は、例えば、フッ素化炭素分子を含むことができる。フッ素化炭素分子の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(例えば、TEFLON(登録商標)又はポリ(2,3−ジフルオロメチレニル−ペルフルオロテトラヒドロフラン)(例えば、CYTOP(商標))などのパーフルオロポリマーが挙げられる。疎水性材料を構成する分子は、誘電層の表面に共有結合され得る。例えば、疎水性材料の分子は、シロキサン基、ホスホン酸基、又はチオール基等のリンカーにより、誘電層の表面に共有結合され得る。したがって、幾つかの実施形態では、疎水性材料は、アルキル末端シロキサン、アルキル末端ホスホン酸、又はアルキル末端チオールを含むことができる。アルキル基は長鎖炭化水素(例えば、少なくとも10個の炭素又は少なくとも16個、18個、20個、22個、若しくはそれを超える個数の炭素の鎖を有する)であり得る。代替的に、フッ素化(又はパーフルオロ化)炭素鎖をアルキル基の代わりに使用することができる。したがって、例えば、疎水性材料は、フルオロアルキル末端シロキサン、フルオロアルキル末端ホスホン酸、又はフルオロアルキル末端チオールを含むことができる。幾つかの実施形態では、疎水性コーティングは約10nm〜約50nmの厚さを有する。他の実施形態では、疎水性コーティングは厚さ10nm未満(例えば、5nm未満又は約1.5〜3.0nm)を有する。
幾つかの実施形態では、電子ウェッティング構成を有するマイクロ流体デバイス200のカバー110も同様に疎水性材料(図示せず)でコーティングされる。疎水性材料は、支持構造体104の誘電層のコーティングに使用されるものと同じ疎水性材料であり得、疎水性コーティングは、支持構造体104の誘電層の疎水性コーティングの厚さと略同じである厚さを有することができる。更に、カバー110は、支持構造体104の様式で、誘電層と上部電極210との間に挟まれた電極活性化基板206を含むことができる。電極活性化基板206及びカバー110の誘電層は、電極活性化基板206及び支持構造体104の誘電層と同じ組成及び/又は寸法を有することができる。したがって、マイクロ流体デバイス200は2つの電子ウェッティング表面を有することができる。
幾つかの実施形態では、電子活性化基板206は、上述した光伝導性材料等の光伝導性材料を含むことができる。したがって、特定の実施形態では、電極活性化基板206は、水素化非晶質シリコン(a−Si:H)の層を含むか、又はa−Si:Hの層からなることができる。a−Si:Hは、例えば、約8%〜40%の水素を含むことができる(水素原子の総数及びケイ素原子の総数/水素原子の総数に100を掛けたものとして計算)。a−Si:Hの層は厚さ約500nm〜約2.0μmを有することができる。代替的に、電子活性化基板206は、上述したように、フォトトランジスタスイッチにより制御される電極(例えば、導電性金属電極)を含むことができる。光電子ウェッティング構成を有するマイクロ流体デバイスは当技術分野で既知であり、及び/又は当技術分野で既知の電極活性化基板を用いて構築することができる。例えば、内容全体が参照により本明細書に援用される米国特許第6,958,132号(Chiouら)には、a−Si:H等の光伝導性材料を有する光電子ウェッティング構成が開示されており、一方、上記で引用した米国特許出願公開第2014/0124370号(Shortら)には、フォトトランジスタスイッチにより制御される電極を有する電極活性化基板が開示されている。
したがって、マイクロ流体デバイス200は光電子ウェッティング構成を有することができ、光パターン218を使用して、電極活性化基板206での光応答性EW領域又は光応答性EW電極を活性化することができる。電極活性化基板206のそのような活性化されたEW領域又はEW電極は、支持構造体104の内面208(すなわち、重なった誘電層の内面又はその疎水性コーティング)において電子ウェッティング力を生成することができる。電子活性化基板206に入射する光パターン218を変更する(又は光源216に相対してマイクロ流体デバイス200を移動させる)ことにより、支持構造体104の内面208に接触する液滴(例えば、水性培地、水溶液又は水性溶媒を含む)は、領域/チャンバ202内に存在する不混和流体(例えば、油媒体)を通って移動することができる。
他の実施形態では、マイクロ流体デバイス200は、EWOD構成を有することができ、電極活性化基板206は、活性化のために光に依存しない、選択的にアドレス指定可能且つエネルギー付与可能な電極を含むことができる。したがって、電極活性化基板206は、パターンになったそのような電子ウェッティング(EW)電極を含むことができる。パターンは、例えば、図2Bに示される等の行列に配置された略正方形のEW電極のアレイであり得る。代替的に、パターンは、六角形格子を形成する略六角形のEW電極のアレイであり得る。パターンに関係なく、EW電極は、電気スイッチ(例えば、半導体基板のトランジスタスイッチ)により選択的に活性化(又は非活性化)することができる。電極活性化基板206でのEW電極を選択的に活性化及び非活性化することにより、重なった誘電層の内面208又はその疎水性コーティングに接触する液滴(図示せず)は、領域/チャンバ202内で移動することができる。図1Aの原動モジュール162は、そのようなスイッチを制御することができ、したがって、個々のEW電極を活性化及び非活性化して、領域/チャンバ202の周囲で特定の液滴を選択し移動させることができる。選択的にアドレス指定可能且つエネルギー付与可能な電極を有するEWOD構成を有するマイクロ流体デバイスは、当技術分野で既知であり、例えば、米国特許第8,685,344号(Sundarsanら)に記載されており、この内容全体は参照により本明細書に援用される。
マイクロ流体デバイス200の構成に関係なく、電源212を使用して、マイクロ流体デバイス200の電気回路に給電する電位(例えば、AC電源電位)を提供することができる。電源212は、図1で参照される電源192と同じ又は電源192の構成要素であり得る。電源212は、上部電極210及び下部電極204にAC電圧及び/又は電流を提供するように構成され得る。AC電圧の場合、電源212は、上述したように、領域/チャンバ202内の個々の微小物体(図示せず)を捕捉して移動させ、及び/又はこれらも上述したように、領域/チャンバ202内の支持構造体104の内面208(すなわち、誘電層及び/又は誘電層上の疎水性コーティング)のウェッティング特性を変更するのに十分に強い正味DEP力(又は電子ウェッティング力)を生成するのに十分な周波数範囲及び平均又はピーク電力(例えば、電圧又は電流)を提供することができる。そのような周波数範囲及び平均又はピーク電力範囲は、当技術分野で既知である。例えば、米国特許第6,958,132号(Chiouら)、米国特許第RE44,711号(Wuら)(元々は米国特許第7,612,355号として発行された)、並びに米国特許出願公開第2014/0124370号(Shortら)、同第2015/0306598号(Khandrosら)、及び同第2015/0306599号(Khandrosら)を参照されたい。
隔離ペン。
一般的な隔離ペン224、226、及び228の非限定的な例は、図2A〜図2Cに示されるマイクロ流体デバイス230内に示されている。各隔離ペン224、226、及び228は、分離領域240と、分離領域240をチャネル122に流体接続する接続領域236とを画定する分離構造体232を含むことができる。接続領域236は、マイクロ流体チャネル122への基端開口部234及び分離領域240への先端開口部238を含むことができる。接続領域236は、マイクロ流体チャネル122から隔離ペン224、226、228内に流れる流体培地(図示せず)のフローの最大侵入深さが分離領域240内に及ばないように構成され得る。したがって、接続領域236に起因して、隔離ペン224、226、228の分離領域240内に配置された微小物体(図示せず)又は他の材料(図示せず)は、チャネル122内の培地180のフローから分離され、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフローにより実質的に影響されないことができる。
図2A〜図2Cの隔離ペン224、226、及び228は、マイクロ流体チャネル122に対して直接開く単一の開口部をそれぞれ有する。隔離ペンの開口部は、マイクロ流体チャネル122から横に開く。電極活性化基板206がマイクロ流体チャネル122及び隔離ペン224、226、及び228の両方の下にある。隔離ペンのフロアを形成する、隔離ペンのエンクロージャ内の電極活性化基板206の上面は、マイクロ流体デバイスのフローチャネル(又はそれぞれフロー領域)のフロアを形成する、マイクロ流体チャネル122(又はチャネルが存在しない場合、フロー領域)内の電極活性化基板206の上面と同じ高さ又は略同じ高さに配置される。電極活性化基板206は、特徴を有さなくてもよく、又は約3μm未満、約2.5μm未満、約2μm未満、約1.5μm未満、約1μm未満、約0.9μm未満、約0.5μm未満、約0.4μm未満、約0.2μm未満、約0.1μm未満、又はそれを下回って最高隆起部から最低陥没部まで変化する不規則又はパターン化表面を有してもよい。マイクロ流体チャネル122(又はフロー領域)及び隔離ペンの両方にわたる基板の上面の隆起の変動は、隔離ペンの壁の高さ又はマイクロ流体デバイスの壁の高さの約3%未満、約2%未満、約1%未満、約0.9%未満、約0.8%未満、約0.5%未満、約0.3%未満、又は約0.1%未満であり得る。マイクロ流体デバイス200について詳細に説明したが、これは、本明細書に記載される任意のマイクロ流体デバイス100、230、250、280、290、300、400、500、900、1000、1100、1200にも当てはまる。
したがって、マイクロ流体チャネル122は掃引領域の例であり得、隔離ペン224、226、228の分離領域240は非掃引領域の例であり得る。述べたように、マイクロ流体チャネル122及び隔離ペン224、226、228は、1つ又は複数の流体培地180を含むように構成され得る。図2A〜図2Bに示される例では、ポート222はマイクロ流体チャネル122に接続され、流体培地180がマイクロ流体デバイス230内に導入又は外に取り出せるようにすることができる。流体培地180を導入する前に、マイクロ流体デバイスは、二酸化炭素ガス等のガスでプライミングし得る。マイクロ流体デバイス230が流体培地180を含むと、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242は選択的に生成及び停止させることができる。例えば、示されるように、ポート222はマイクロ流体チャネル122の異なる位置(例えば、両端部)に配置することができ、流入口として機能するあるポート222から流出口として機能する別のポート222への培地のフロー242を生成することができる。
図2Cは、本開示による隔離ペン224の例の詳細図を示す。微小物体246の例も示されている。
既知のように、隔離ペン224の基端開口部234を越えたマイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242は、隔離ペン224内及び/又は外への培地180の2次フロー244を生じさせることができる。隔離ペン224の分離領域240内の微小物体246を2次フロー244から分離するために、隔離ペン224の接続領域236の長さLcon(すなわち、基端開口部234から先端開口部238まで)は、接続領域236への2次フロー244の侵入深さDpよりも大きい値であるはずである。2次フロー244の侵入深さDpは、マイクロ流体チャネル122内を流れる流体培地180の速度並びにマイクロ流体チャネル122及びマイクロ流体チャネル122への接続領域236の基端開口部234の構成に関連する様々なパラメータに依存する。所与のマイクロ流体デバイスでは、マイクロ流体チャネル122及び開口部234の構成は固定され、一方、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242の速度は可変である。したがって、隔離ペン224毎に、2次フロー244の侵入深さDpが接続領域236の長さLconを超えないことを保証するチャネル122内の流体培地180のフロー242の最高速度Vmaxを識別することができる。マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242の流量が最大速度Vmaxを超えない限り、結果として生成される、マイクロ流体チャネル122及び接続領域236への2次フロー244を制限することができ、分離領域240に入らないようにすることができる。したがって、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフロー242は、微小物体246を分離領域240外に引き込まない。むしろ、分離領域240内に配置された微小物体246は、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242に関係なく、分離領域240内に留まる。
更に、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフロー242の流量がVmaxを超えない限り、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242は、様々な粒子(例えば、微粒子及び/又はナノ粒子)をマイクロ流体チャネル122から隔離ペン224の分離領域240内に移動させない。したがって、接続領域236の長さLconを2次フロー244の最大侵入深さDpよりも大きくすることで、ある隔離ペン224の、マイクロ流体チャネル122又は別の隔離ペン(例えば、図2Dの隔離ペン226、228)からの様々な粒子による汚染を回避することができる。
マイクロ流体チャネル122及び隔離ペン224、226、228の接続領域236は、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフロー242により影響を及ぼすことができるため、マイクロ流体チャネル122及び接続領域236は、マイクロ流体デバイス230の掃引(又はフロー)領域と見なすことができる。他方、隔離ペン224、226、228の分離領域240は、非掃引(又は非フロー)領域と見なすことができる。例えば、マイクロ流体チャネル122内の第1の流体培地180中の成分(図示せず)は、実質的に、マイクロ流体チャネル122から接続領域236を通り分離領域240内の第2の流体培地248への第1の培地180の成分の拡散によってのみ、分離領域240内の第2の流体培地248と混合することができる。同様に、分離領域240内の第2の培地248の成分(図示せず)は、実質的に、分離領域240から接続領域236を通り、マイクロ流体チャネル122内の第1の培地180への第2の培地248の成分の拡散によってのみ、マイクロ流体チャネル122内の第1の培地180と混合することができる。幾つかの実施形態では、拡散による隔離ペンの分離領域とフロー領域との間での流体媒体交換の程度は、流体交換の約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%よりも高い割合である。第1の培地180は、第2の培地248と同じ培地であってもよく、又は異なる培地であってもよい。更に、第1の培地180及び第2の培地248は、同じ培地として開始され、異なるようになることができる(例えば、分離領域240内の1つ又は複数の細胞により又はマイクロ流体チャネル122を通って流れる培地180を変更することにより、第2の培地248を調整することを通して)。
マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242により生じる2次フロー244の最大侵入深さDpは、上述したように、幾つかのパラメータに依存し得る。そのようなパラメータの例としては、マイクロ流体チャネル122の形状(例えば、チャネルは、培地を接続領域236に向けることができ、接続領域236から培地を逸らすことができ、又はマイクロ流体チャネル122への接続領域236の基端開口部234に実質的に直交する方向に培地を向けることができる)、基端開口部234でのマイクロ流体チャネル122の幅Wch(又は断面積)及び基端開口部234での接続領域236の幅Wcon(又は断面積)、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242の速度V、第1の培地180及び/又は第2の培地248の粘度等が挙げられる。
幾つかの実施形態では、マイクロ流体チャネル122及び隔離ペン224、226、228の寸法は、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242のベクトルに対して以下のように向けることができる:マイクロ流体チャネル幅Wch(又はマイクロ流体チャネル122の断面積)は、培地180のフロー242に略直交することができ、開口部234での接続領域236の幅Wcon(又は断面積)は、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフロー242に略平行であり得、及び/又は接続領域の長さLconは、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフロー242に略直交することができる。上記は単なる例であり、マイクロ流体チャネル122及び隔離ペン224、226、228の相対位置は、互いに対して他の向きであり得る。
図2Cに示されるように、接続領域236の幅Wconは、基端開口部234から先端開口部238まで均一であり得る。したがって、先端開口部238での接続領域236の幅Wconは、基端開口部234での接続領域236の幅Wconについて本明細書において識別された任意の値であり得る。代替的に、先端開口部238での接続領域236の幅Wconは、基端開口部234での接続領域236の幅Wconよりも大きい値であり得る。
図2Cに示されるように、先端開口部238での分離領域240の幅は、基端開口部234での基端領域236の幅Wconと略同じであり得る。したがって、先端開口部238での分離領域240の幅は、基端開口部234での接続領域236の幅Wconについて本明細書において識別された任意の値であり得る。代替的に、先端開口部238での分離領域240の幅は、基端開口部234での接続領域236の幅Wconよりも大きくてもよく、又は小さくてもよい。更に、先端開口部238は基端開口部234よりも小さくてよく、接続領域236の幅Wconは、基端開口部234と先端開口部238との間で狭め得る。例えば、接続領域236は、様々な異なるジオメトリ(例えば、接続領域を面取りする、接続領域に勾配を付ける)を使用して基端開口部と先端開口部との間で狭め得る。更に、接続領域236の任意の部分又はサブ部分を狭め得る(例えば、基端開口部234に隣接する接続領域の部分)。
図2D〜図2Fは、図1Aの各マイクロ流体デバイス100、回路132、及びチャネル134の変形形態であるマイクロ流体回路262及びフローチャネル264を含むマイクロ流体デバイス250の別の例示的な実施形態を示す。マイクロ流体デバイス250は、上述した隔離ペン124、126、128、130、224、226、又は228の追加の変形形態である複数の隔離ペン266も有する。特に、図2D〜図2Fに示されるデバイス250の隔離ペン266をデバイス100、200、230、280、290、300、400、500、900、1000、1100、1200での上述した隔離ペン124、126、128、130、224、226、又は228のいずれかで置換可能なことを理解されたい。同様に、マイクロ流体デバイス250は、マイクロ流体デバイス100の別の変形形態であり、上述したマイクロ流体デバイス100、200、230、280、290、300、400、500、900、1000、1100、1200と同じ又は異なるDEP構成及び本明細書に記載される任意の他のマイクロ流体システム構成要素を有することもできる。
図2D〜図2Fのマイクロ流体デバイス250は、支持構造体(図2D〜図2Fでは見えないが、図1Aに示されるデバイス100の支持構造体104と同じ又は概して同様であり得る)、マイクロ流体回路構造256、及びカバー(図2F〜図2Fでは見えないが、図1Aに示されるデバイス100のカバー122と同じ又は概して同様であり得る)を含む。マイクロ流体回路構造256は枠252及びマイクロ流体回路材料260を含み、これらは図1Aに示されるデバイス100の枠114及びマイクロ流体回路材料116と同じ又は概して同様であり得る。図2Dに示されるように、マイクロ流体回路材料260により画定されるマイクロ流体回路262は複数のチャネル264(2つが示されるが、より多くのチャネルがあり得る)を含むことができ、チャネル264に複数の隔離ペン266が流体接続される。
各隔離ペン266は、分離構造272、分離構造272内の分離領域270、及び接続領域268を含むことができる。マイクロ流体チャネル264の基端開口部274から分離構造272での先端開口部276まで、接続領域268はマイクロ流体チャネル264を分離領域270に流体接続する。一般に、図2B及び図2Cの上記考察によれば、チャネル264内の第1の流体培地254のフロー278は、マイクロ流体チャネル264から隔離ペン266の各接続領域268内及び/又は外への第1の培地254の2次フロー282をもたらすことができる。
図2Eに示されるように、各隔離ペン266の接続領域268は、一般に、チャネル264の基端開口部274と分離構造272の先端開口部276との間に延びるエリアを含む。接続領域268の長さLconは、2次フロー282の最大侵入深さDpよりも大きい値であり得、その場合、2次フロー282は、分離領域270に向かってリダイレクトされずに接続領域268内に延びる(図2Dに示されるように)。代替的に、図2Fに示されるように、接続領域268は、最大侵入深さDpよりも小さい長さLconを有することができ、その場合、2次フロー282は、接続領域268を通って延び、分離領域270に向かってリダイレクトされる。この後者の状況では、接続領域268の長さLc1及びLc2との和は最大侵入深さDpよりも大きく、したがって、2次フロー282は分離領域270内に延びない。接続領域268の長さLconが侵入深さDpよりも大きいか否か又は接続領域268の長さLc1及びLc2の和が侵入深さDpよりも大きいか否かに関係なく、最大速度Vmaxを超えないチャネル264内の第1の培地254のフロー278は、侵入深さDpを有する2次フローをもたらし、隔離ペン266の分離領域270内の微小物体(示されていないが、図2Cに示される微小物体246と同じ又は概して同様であり得る)は、チャネル264内の第1の培地254のフロー278により分離領域270外に引き出されない。チャネル264内のフロー278は、様々な材料(図示せず)もチャネル264から隔離ペン266の分離領域270内に引き込まない。したがって、マイクロ流体チャネル264内の第1の培地254内の成分をマイクロ流体チャネル264から隔離ペン266の分離領域270内の第2の培地258内に移動させることができる唯一の機構は、拡散である。同様に、隔離ペン266の分離領域270内の第2の培地258内の成分を分離領域270からマイクロ流体チャネル264内の第1の培地254内に移動させることができる唯一の機構も拡散である。第1の培地254は、第2の培地258と同じ培地であり得、又は第1の培地254は、第2の培地258と異なる培地であり得る。代替的に、第1の培地254及び第2の培地258は、同じ培地から始まり、例えば、分離領域270内の1つ又は複数の細胞により又はマイクロ流体チャネル264を通って流れる培地を変更することにより、第2の培地を調整することを通して異なるようになることができる。
図2Eに示されるように、マイクロ流体チャネル264内のマイクロ流体チャネル264の幅Wch(すなわち、図2Dにおいて矢印278で示されるマイクロ流体チャネルを通る流体培地フローの方向を横断してとられる)は、基端開口部274の幅Wcon1に略直交することができ、したがって、先端開口部276の幅Wcon2に略平行であり得る。しかし、基端開口部274の幅con1及び先端開口部276の幅Wcon2は、互いに略直交する必要はない。例えば、基端開口部274の幅Wcon1が向けられる軸(図示せず)と、先端開口部276の幅Wcon2が向けられる別の軸との間の角度は、直交以外であり得、したがって、90°以外であり得る。代替的に向けられる角度の例としては、約30°から約90°、約45°から約90°、約60°から約90°等を含む。
隔離ペンの様々な実施形態(例えば、124、126、128、130、224、226、228、又は266)では、分離領域(例えば、240又は270)は、複数の微小物体を含むように構成される。他の実施形態では、分離領域は、1つのみ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は同様の相対的に少数の微小物体を含むように構成され得る。したがって、分離領域の容積は、例えば、少なくとも1×106立方μm、少なくとも2×106立方μm、少なくとも4×106立方μm、少なくとも6×106立方μm、又はこれを超える大きさであり得る。
隔離ペンの様々な実施形態では、基端開口部(例えば、234)におけるマイクロ流体チャネル(例えば、122)の幅Wchは、約50μm〜約1000μm、約50μm〜約500μm、約50μm〜約400μm、約50μm〜約300μm、約50μm〜約250μm、約50μm〜約200μm、約50μm〜約150μm、約50μm〜約100μm、約70μm〜約500μm、約70μm〜約400μm、約70μm〜約300μm、約70μm〜約250μm、約70μm〜約200μm、約70μm〜約150μm、約90μm〜約400μm、約90μm〜約300μm、約90μm〜約250μm、約90μm〜約200μm、約90μm〜約150μm、約100μm〜約300μm、約100μm〜約250μm、約100μm〜約200μm、約100μm〜約150μm又は約100μm〜約120μmであり得る。幾つかの他の実施形態では、基端開口部(例えば、234)におけるマイクロ流体チャネル(例えば、122)の幅Wchは、約200μm〜約800μm、約200μm〜約700μm、約200μm〜約600μmであり得る。上記は単なる例であり、マイクロ流体チャネル122の幅Wchは、上記の列挙した任意の終点内の任意の幅であり得る。更に、マイクロ流体チャネル122の幅Wchは、隔離ペンの基端開口部以外のマイクロ流体チャネルの領域においてこれらの任意の幅であるように選択することができる。
幾つかの実施形態では、隔離ペンは、約30μmから約200μm又は約50μmから約150μmを有する。幾つかの実施形態では、隔離ペンは、約1×104平方μm〜約3×106平方μm、約2×104平方μm〜約2×106平方μm、約4×104平方μm〜約1×106平方μm、約2×104平方μm〜約5×105平方μm、約2×104平方μm〜約1×105平方μm又は約2×105平方μm〜約2×106平方μmの断面積を有する。
隔離ペンの様々な実施形態では、基端開口部(例えば、234)におけるマイクロ流体チャネル(例えば、122)の高さHchは、以下の任意の高さ内であり得る:約20μm〜約100μm、約20μm〜約90μm、約20μm〜約80μm、約20μm〜約70μm、約20μm〜約60μm、約20μm〜約50μm、約30μm〜約100μm、約30μm〜約90μm、約30μm〜約80μm、約30μm〜約70μm、約30μm〜約60μm、約30μm〜約50μm、約40μm〜約100μm、約40μm〜約90μm、約40μm〜約80μm、約40μm〜約70μm、約40μm〜約60μm又は約40μm〜約50μm。上記は単なる例であり、マイクロ流体チャネル(例えば、122)の高さHchは、上記の列挙した任意の終点内の高さであり得る。マイクロ流体チャネル122の高さHchは、隔離ペンの基端開口部以外のマイクロ流体チャネルの領域においてこれらの任意の高さであるように選択することができる。
隔離ペンの様々な実施形態では、基端開口部(例えば、234)におけるマイクロ流体チャネル(例えば、122)の断面積は、約500平方μm〜約50,000平方μm、約500平方μm〜約40,000平方μm、約500平方μm〜約30,000平方μm、約500平方μm〜約25,000平方μm、約500平方μm〜約20,000平方μm、約500平方μm〜約15,000平方μm、約500平方μm〜約10,000平方μm、約500平方μm〜約7,500平方μm、約500平方μm〜約5,000平方μm、約1,000平方μm〜約25,000平方μm、約1,000平方μm〜約20,000平方μm、約1,000平方μm〜約15,000平方μm、約1,000平方μm〜約10,000平方μm、約1,000平方μm〜約7,500平方μm、約1,000平方μm〜約5,000平方μm、約2,000平方μm〜約20,000平方μm、約2,000平方μm〜約15,000平方μm、約2,000平方μm〜約10,000平方μm、約2,000平方μm〜約7,500平方μm、約2,000平方μm〜約6,000平方μm、約3,000平方μm〜約20,000平方μm、約3,000平方μm〜約15,000平方μm、約3,000平方μm〜約10,000平方μm、約,3,000平方μm〜約7,500平方μm又は約3,000平方μmから約6,000平方μmであり得る。上記は単なる例であり、基端開口部(例えば、234)におけるマイクロ流体チャネル(例えば、122)の断面積は、上記の列挙した任意の終点内の面積であり得る。
隔離ペンの様々な実施形態では、接続領域(例えば、236)の長さLconは、約1μm〜約600μm、約5μm〜約550μm、約10μm〜約500μm、約15μm〜約400μm、約20μm〜約300μm、約20μm〜約500μm、約40μm〜約400μm、約60μm〜約300μm、約80μm〜約200μm又は約100μm〜約150μmであり得る。上記は単なる例であり、接続領域(例えば、236)の長さLconは、上記の列挙した任意の終点内の長さであり得る。
隔離ペンの様々な実施形態では、基端開口部(例えば、234)における接続領域(例えば、236)の幅Wconは、約20μm〜約500μm、約20μm〜約400μm、約20μm〜約300μm、約20μm〜約200μm、約20μm〜約150μm、約20μm〜約100μm、約20μm〜約80μm、約20μm〜約60μm、約30μm〜約400μm、約30μm〜約300μm、約30μm〜約200μm、約30μm〜約150μm、約30μm〜約100μm、約30μm〜約80μm、約30μm〜約60μm、約40μm〜約300μm、約40μm〜約200μm、約40μm〜約150μm、約40μm〜約100μm、約40μm〜約80μm、約40μm〜約60μm、約50μm〜約250μm、約50μm〜約200μm、約50μm〜約150μm、約50μm〜約100μm、約50μm〜約80μm、約60μm〜約200μm、約60μm〜約150μm、約60μm〜約100μm、約60μm〜約80μm、約70μm〜約150μm、約70μm〜約100μm又は約80μm〜約100μmであり得る。上記は単なる例であり、基端開口部(例えば、234)における接続領域(例えば、236)の幅Wconは、上記の例と異なることができる(例えば、上記の列挙した任意の終点内の任意の値)。
隔離ペンの様々な実施形態では、基端開口部(例えば、234)における接続領域(例えば、236)の幅Wconは、少なくとも、隔離ペンが意図される微小物体(例えば、T細胞、B細胞、卵又は胚であり得る生体細胞)の最大寸法と同じ大きさであり得る。上記は単なる例であり、基端開口部(例えば、234)における接続領域(例えば、236)の幅Wconは、上記の例と異なることができる(例えば、上記の列挙した任意の終点内の任意の値)。
隔離ペンの様々な実施形態では、接続領域の基端開口部における幅Wprは、少なくとも、隔離ペンが意図される微小物体(例えば、細胞等の生物学的微小物体)の最大寸法と同じ大きさであり得る。例えば、幅Wprは、約50μm、約60μm、約100μm、約200μm、約300μmであり得、又は約50μm〜約300μm、約50μm〜約200μm、約50μm〜約100μm、約75μm〜約150μm、約75μm〜約100μm又は約200μm〜約300μmであり得る。
隔離ペンの様々な実施形態では、接続領域(例えば、236)の長さLconと基端開口部234における接続領域(例えば、236)の幅Wconとの比率は、以下の任意の比率以上であり得る:0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0又はそれを超える値。上記は単なる例であり、接続領域236の長さLconと基端開口部234における接続領域236の幅Wconとの比率は、上記の例と異なり得る。
マイクロ流体デバイス100、200、23、250、280、290、300、400、500、900、1000、1100、1200の様々な実施形態では、Vmaxは、約0.2mL/秒、約0.5mL/秒、約0.7mL/秒、約1.0mL/秒、約1.3mL/秒、約1.5mL/秒、約2.0mL/秒、約2.5mL/秒、約3.0mL/秒、約3.5mL/秒、約4.0mL/秒、約4.5mL/秒、約5.0mL/秒、約5.5mL/秒、約6.0mL/秒、約6.7mL/秒、約7.0mL/秒、約7.5mL/秒、約8.0mL/秒、約8.5mL/秒、約9.0mL/秒、約10mL/秒、約11mL/秒、約12mL/秒、約13mL/秒、約14mL/秒又は約15mL/秒に設定することができる。
隔離ペンを有するマイクロ流体デバイスの様々な実施形態では、隔離ペンの分離領域(例えば、240)の容積は、例えば、少なくとも5×105立方μm、少なくとも8×105立方μm、少なくとも1×106立方μm、少なくとも2×106立方μm、少なくとも4×106立方μm、少なくとも6×106立方μm、少なくとも8×106立方μm、少なくとも1×107立方μm、少なくとも5×107立方μm、少なくとも1×108立方μm、少なくとも5×108立方μm、少なくとも8×108立方μm又はそれを超え得る。隔離ペンを有するマイクロ流体デバイスの様々な実施形態では、隔離ペンの容積は、約5×105立方μm、約6×105立方μm、約8×105立方μm、約1×106立方μm、約2×106立方μm、約4×106立方μm、約8×106立方μm、約1×107立方μm、約3×107立方μm、約5×107立方μm、約8×107立方μm又はそれを超え得る。幾つかの他の実施形態では、隔離ペンの容積は、約1nLから約50nL、約2nLから約25nL、約2nLから約20nL、約2nLから約15nL又は約2nLから約10nLであり得る。
様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスは、本明細書で考察された任意の実施形態におけるように構成された隔離ペンを有し、マイクロ流体デバイスは、約5個から約10個、約10個から約50個、約100個から約500個、約200個から約1000個、約500個から約1500個、約1000個から約2000個、約1000個から約3500個、約3000個から約7000個、約5000個から約10,000個、約9,000個から約15,000個又は約12,000個から約20,000個の隔離ペンを有する。隔離ペンは、全て同じサイズである必要はなく、様々な構成(例えば、異なる幅、隔離ペン内の異なる特徴等)を含み得る。
様々な実施形態では、隔離ペン424、426、428、524、526、528、624、924、1024、1124、1126、1424、1426は、本明細書に記載される任意の特徴、寸法又は構成要素を任意の組合せで有し得る。
図2Gは、一実施形態によるマイクロ流体デバイス280を示す。図2Gに示されたマイクロ流体デバイス280は、マイクロ流体デバイス100の定型化された図である。実際には、マイクロ流体デバイス280及びその構成回路要素(例えば、チャネル122及び隔離ペン128)は本明細書で考察された寸法を有する。図2Gに示されるマイクロ流体回路120は、2つのポート107、4つの別個のチャネル122、及び4つの別個の流路106を有する。マイクロ流体デバイス280は、各チャネル122に通じる複数の隔離ペンを更に含む。図2Gに示されるマイクロ流体デバイスでは、隔離ペンは、図2Cに示されるペンと同様のジオメトリを有し、したがって、接続領域及び分離領域の両方を有する。したがって、マイクロ流体回路120は、掃引領域(例えば、チャネル122及び2次フロー244の最大侵入深さDp内の接続領域236の部分)及び非掃引領域(例えば、分離領域240及び2次フロー244の最大侵入深さDp内にない接続領域236の部分)の両方を含む。
図3A〜図3Bは、本開示によるマイクロ流体デバイス(例えば、100、200、230、250、280、290、300、400、500、900、1000、1100、1200)を動作させるため及び観測のために使用することができるシステム150の様々な実施形態を示す。図3Aに示されるように、システム150は、マイクロ流体デバイス100(図示せず)又は本明細書に記載される任意の他のマイクロ流体デバイスを保持するように構成された構造体(「ネスト」)300を含むことができる。ネスト300は、マイクロ流体デバイス320(例えば、光学的に作動される動電学的デバイス100)と界面を接することができ、電源192からマイクロ流体デバイス320への電気接続を提供することができるソケット302を含むことができる。ネスト300は、一体型電気信号生成サブシステム304を更に含むことができる。電気信号生成サブシステム304は、マイクロ流体デバイス320がソケット302により保持されているとき、バイアス電圧がマイクロ流体デバイス320内の電極の対にわたり印加されるように、バイアス電圧をソケット302に供給するように構成され得る。したがって、電気信号生成サブシステム304は電源192の部分であり得る。バイアス電圧をマイクロ流体デバイス320に印加する能力は、マイクロ流体デバイス320がソケット302により保持されている場合には常にバイアス電圧が印加されることを意味しない。むしろ、大半の場合、バイアス電圧は、断続的に、例えば、マイクロ流体デバイス320内での電気泳動又は電子ウェッティング等の動電力の生成を促進するために必要な場合にのみ印加される。
図3Aに示されるように、ネスト300は、プリント回路基板組立体(PCBA)322を含むことができる。電気信号生成サブシステム304は、PCBA322に搭載され、PCBA322に電気的に集積することができる。例示的な支持体は、同様にPCBA322に搭載されるソケット302も含む。
通常、電気信号生成サブシステム304は波形生成器(図示せず)を含む。電気信号生成サブシステム304は、波形生成器から受信される波形を増幅するように構成されたオシロスコープ(図示せず)及び/又は波形増幅回路(図示せず)を更に含むことができる。オシロスコープは、存在する場合、ソケット302により保持されるマイクロ流体デバイス320に供給される波形を測定するように構成され得る。特定の実施形態では、オシロスコープは、マイクロ流体デバイス320の基端位置(及び波形生成器の先端位置)において波形を測定し、それにより、デバイスに実際に印加されている波形を測定するに当たりより大きい精度を保証する。オシロスコープ測定から得られるデータは、例えば、フィードバックとして波形生成器に提供され得、波形生成器は、そのようなフィードバックに基づいて出力を調整するように構成され得る。適する結合された波形生成器及びオシロスコープの例は、Red Pitaya(商標)である。
特定の実施形態では、ネスト300は、電気信号生成サブシステム304の検知及び/又は制御に使用される、マイクロプロセッサ等のコントローラ308を更に含む。適するマイクロプロセッサの例としては、Arduino Nano(商標)等のArduino(商標)マイクロプロセッサが挙げられる。コントローラ308を使用して機能及び分析を実行し、又は外部マスタコントローラ154(図1Aに示される)と通信して機能及び分析を実行し得る。図3Aに示される実施形態では、コントローラ308は、インタフェース310(例えば、プラグ又はコネクタ)を通してマスタコントローラ154と通信する。
幾つかの実施形態では、ネスト300は、Red Pitaya(商標)波形生成器/オシロスコープユニット(「Red Pitayaユニット」)を含む電気信号生成サブシステム304と、Red Pitayaユニットにより生成された波形を増幅し、増幅電圧をマイクロ流体デバイス100に渡す波形増幅回路とを含むことができる。幾つかの実施形態では、Red Pitayaユニットは、マイクロ流体デバイス320での増幅電圧を測定し、次に、マイクロ流体デバイス320での測定電圧が所望の値であるように、必要に応じてそれ自体の出力電圧を調整するように構成される。幾つかの実施形態では、波形増幅回路は、PCBA322に搭載されるDC−DCコンバータの対により生成される+6.5V〜−6.5V電源を有することができ、その結果、マイクロ流体デバイス100において13Vppまでの信号が生成される。
図3Aに示されるように、支持構造体300(例えば、ネスト)は、熱制御サブシステム306を更に含むことができる。熱制御サブシステム306は、支持構造体300により保持されるマイクロ流体デバイス320の温度を調整するように構成され得る。例えば、熱制御サブシステム306は、ペルチェ熱電デバイス(図示せず)及び冷却ユニット(図示せず)を含むことができる。ペルチェ熱電デバイスは、マイクロ流体デバイス320の少なくとも1つの表面と界面を接するように構成された第1の表面を有することができる。冷却ユニットは、例えば、液冷アルミニウムブロック等の冷却ブロック(図示せず)であり得る。ペルチェ熱電デバイスの第2の表面(例えば、第1の表面とは逆の表面)は、そのような冷却ブロックの表面と界面を接するように構成され得る。冷却ブロックは、冷却ブロックを通して冷却流体を循環させるように構成された流体路314に接続することができる。図3Aに示される実施形態では、支持構造体300は、流入口316及び流出口318を含む、外部リザーバ(図示せず)から冷却された流体を受け取り、冷却された流体を流体路314に導入し、冷却ブロックを通し、次に、冷却された流体を外部リザーバに戻す。幾つかの実施形態では、ペルチェ熱電デバイス、冷却ユニット、及び/又は流体路314は、支持構造体300のケース312に搭載することができる。幾つかの実施形態では、熱制御サブシステム306は、ペルチェ熱電デバイスの温度を調整して、マイクロ流体デバイス320の標的温度を達成するように構成される。ペルチェ熱電デバイスの温度調整は、例えば、Pololu(商標)熱電電源(Pololu Robotics and Electronics Corp.)等の熱電電源により達成することができる。熱制御サブシステム306は、アナログ回路により提供される温度値等のフィードバック回路を含むことができる。代替的に、フィードバック回路はデジタル回路により提供され得る。
幾つかの実施形態では、ネスト300は、抵抗(例えば、抵抗1kオーム+/−0.1%、温度係数+/−0.02ppm/C0)及びNTCサーミスタ(例えば、公称抵抗1kオーム+/−0.01%を有する)を含むアナログ分圧回路(図示せず)であるフィードバック回路を有する熱制御サブシステム306を含むことができる。幾つかの場合、熱制御サブシステム306は、フィードバック回路からの電圧を測定し、次に、計算された温度値をオンボードPID制御ループアルゴリズムへの入力として使用する。PID制御ループアルゴリズムからの出力は、例えば、Pololu(商標)モーター駆動デバイス(図示せず)上の方向信号及びパルス幅変調信号ピンの両方を駆動して熱電電源を作動させることができ、それにより、ペルチェ熱電デバイスを制御する。
ネスト300はシリアルポート350を含むことができ、シリアルポート324により、コントローラ308のマイクロプロセッサは、インタフェース310(図示せず)を介して外部マスタコントローラ154と通信することができる。加えて、コントローラ308のマイクロプロセッサは、電気信号生成サブシステム304及び熱制御サブシステム306と通信することができる(例えば、Plinkツール(図示せず)を介して)。したがって、コントローラ308、インタフェース310、及びシリアルポート324の組合せを介して、電気信号生成サブシステム304及び熱制御サブシステム306は、外部マスタコントローラ154と通信することができる。このようにして、マスタコントローラ154は、特に、出力電圧調整のためにスケーリング計算を実行することにより電気信号生成サブシステム304を支援することができる。外部マスタコントローラ154に結合された表示デバイス170を介して提供されるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)(図示せず)は、熱制御サブシステム306及び電気信号生成サブシステム304からそれぞれ得られる温度データ及び波形データをプロットするように構成され得る。代替的に又は追加として、GUIは、コントローラ308、熱制御サブシステム306、及び電気信号生成サブシステム304への更新を可能にすることができる。
上述したように、システム150は撮像デバイス194を含むことができる。幾つかの実施形態では、撮像デバイス194は光変調サブシステム330(図3B参照)を含む。光変調サブシステム330は、デジタルミラーデバイス(DMD)又はマイクロシャッタアレイシステム(MSA)を含むことができ、これらのいずれかは、光源332から光を受け取り、受け取った光のサブセットを顕微鏡350の光学縦列に送るように構成され得る。代替的に、光変調サブシステム330は、有機発行ダイオードディスプレイ(OLED)、液晶オンシリコン(LCOS)デバイス、強誘電性液晶オンシリコンデバイス(FLCOS)、又は透過型液晶ディスプレイ(LCD)等のそれ自体の光を生成する(したがって、光源332の必要性をなくす)デバイスを含むことができる。光変調サブシステム330は、例えば、プロジェクタであり得る。したがって、光変調サブシステム330は、構造化光及び非構造化光の両方を発することが可能であり得る。特定の実施形態では、システム150の撮像モジュール164及び/又は原動モジュール162は、光変調サブシステム330を制御することができる。
特定の実施形態では、撮像デバイス194は顕微鏡350を更に含む。そのような実施形態では、ネスト300及び光変調サブシステム330は、顕微鏡350に搭載されるように個々に構成され得る。顕微鏡350は、例えば、標準の研究等級の光学顕微鏡又は蛍光顕微鏡であるように構成され得る。したがって、ネスト300は、顕微鏡350のステージ344に搭載するように構成され得、及び/又は光変調サブシステム330は、顕微鏡350のポートに搭載されるように構成され得る。他の実施形態では、本明細書に記載されるネスト300及び光変調サブシステム330は、顕微鏡350の一体構成要素であり得る。
特定の実施形態では、顕微鏡350は1つ又は複数の検出器348を更に含むことができる。幾つかの実施形態では、検出器348は撮像モジュール164により制御される。検出器348は、接眼レンズ、電荷結合素子(CCD)、カメラ(例えば、デジタルカメラ)、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。少なくとも2つの検出器348が存在する場合、1つの検出器は、例えば、高速フレームレートカメラであり得、一方、他の検出器は高感度カメラであり得る。更に、顕微鏡350は、マイクロ流体デバイス320から反射された光及び/又は発せられた光を受け取り、反射光及び/又は放射光の少なくとも部分を1つ又は複数の検出器348に結像するように構成された光学縦列を含むことができる。顕微鏡の光学縦列は、各検出器での最終倍率が異なることができるように、異なる検出器で異なるチューブレンズ(図示せず)を含むこともできる。
特定の実施形態では、撮像デバイス194は、少なくとも2つの光源を使用するように構成される。例えば、第1の光源332は、構造光の生成(例えば、光変調サブシステム330を介して)に使用することができ、第2の光源334は、非構造光の提供に使用することができる。第1の光源332は、光学作動エレクトロキネシス及び/又は蛍光励起の構造光を生成することができ、第2の光源334は、明視野照明の提供に使用することができる。これらの実施形態では、原動モジュール164を使用して、第1の光源332を制御することができ、撮像モジュール164を使用して、第2の光源334を制御することができる。顕微鏡350の光学列は、(1)構造光を光変調サブシステム330から受信し、デバイスがネスト300により保持されているとき、構造光を光学作動エレクトロキネシスデバイス等のマイクロ流体デバイス内の少なくとも第1の領域に集束させ、(2)マイクロ流体デバイスから反射光及び/又は放射光を受け取り、そのような反射光及び/又は放射光の少なくとも一部を検出器348に集束させるように構成することができる。光学列は、非構造光を第2の光源から受け取り、デバイスがネスト300により保持されているとき、非構造光をマイクロ流体デバイスの少なくとも第2の領域に集束させるように更に構成することができる。特定の実施形態では、マイクロ流体デバイスの第1及び第2の領域は、重複する領域であり得る。例えば、第1の領域は、第2の領域のサブセットであり得る。他の実施形態では、第2の光源334は、追加又は代替として、レーザを含み得、レーザは、任意の適する波長の光を有し得る。図3Bに示される光学システムの表現は、概略表現にすぎず、光学システムは、追加のフィルタ、ノッチフィルタ、レンズ等を含み得る。第2の光源334が明視野及び/又は蛍光励起用の1つ又は複数の光源及びレーザ照明を含む場合、光源の物理的配置は、図3Bに示される配置から異なり得、レーザ照明は、光学システムの任意の適する物理的位置に導入し得る。光源334及び光源332/光変調サブシステム330の概略位置も同様に交換することが可能である。
図3Bでは、光を光変調サブシステム330に供給している第1の光源332が示されており、光変調サブシステム330は構造化光をシステム355(図示せず)の顕微鏡350の光学縦列に提供する。ビームスプリッタ336を介して非構造化光を光学縦列に提供している第2の光源334が示される。光変調サブシステム330からの構造化光及びに示されるように、第2の光源334からの非構造化光は、ビームスプリッタ336から光学縦列を通って一緒に移動して、第2のビームスプリッタ(又は光変調サブシステム330によって提供される光に応じて、ダイクロイックフィルタ338)に到達し、ここで、光は反射し、対物レンズ336を通して試料面342まで下がる。次に、試料面342からの反射光及び/又は放射光は再び対物レンズ340を通って移動し、ビームスプリッタ及び/又はダイクロイックフィルタ338を通り、ダイクロイックフィルタ346に到達する。ダイクロイックフィルタ346に達する光の一部のみが透過され、検出器348に到達する。
幾つかの実施形態では、第2の光源334は青色光を発する。適切なダイクロイックフィルタ346を用いて、試料面342から反射された青色光は、ダイクロイックフィルタ346を透過し、検出器348に到達することが可能である。これとは対照的に、光変調サブシステム330から来る構造化光は、試料面342で反射されるが、ダイクロイックフィルタ346を透過しない。この例では、ダイクロイックフィルタ346は、495nmよりも長い波長を有する可視光を濾波して除外する。光変調サブシステム330からの光のそのような濾波は、光変調サブシステムから発せられる光が495nmよりも短いいかなる波長も含まない場合にのみ完了する(示されるように)。実際には、光変調サブシステム330から来る光が495nmよりも短い波長(例えば、青色波長)を含む場合、光変調サブシステムからの光の幾らかがフィルタ346を透過して検出器348に到達する。そのような実施形態では、フィルタ346は、第1の光源332から検出器348に到達する光の量と第2の光源334から検出器348に到達する光の量とのバランスを変更する役割を果たす。これは、第1の光源332が第2の光源334よりもはるかに強力な場合、有益であり得る。他の実施形態では、第2の光源334は、赤色光を発することができ、ダイクロイックフィルタ346は、赤色光以外の可視光(例えば、650nmよりも短い波長を有する可視光)を濾波して除外することができる。
被覆溶液及び被覆剤。
理論による限定を意図せずに、マイクロ流体デバイス(例えば、DEP構成及び/又はEW構成マイクロ流体デバイス)内での生物学的微小物体(例えば、生体細胞)の維持は、マイクロ流体デバイスの少なくとも1つ又は複数の内面が、マイクロ流体デバイスと内部に維持される生物学的微小物体との間の主な界面を提供する有機分子及び/又は親水性分子の層を提示するように調整又は被覆される場合に促進し得る(すなわち、生物学的微小物体は、マイクロ流体デバイス内で生存率の増大、より大きい増殖、及び/又はより大きい可搬性を示す)。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスの内面の1つ又は複数(例えば、DEP構成マイクロ流体デバイスの電極活性化基板の内面、マイクロ流体のカバー、及び/又は回路材料の表面)は、有機分子及び/又は親水性分子の所望の層を生成するように、被覆溶液及び/又は被覆剤により処理又は修飾し得る。
被覆は、生物学的微小物体を導入する前又は後に塗布してもよく、又は生物学的微小物体と同時に導入してもよい。幾つかの実施形態では、生物学的微小物体は、マイクロ流体デバイスの1つ又は複数の被覆剤を含む流体媒体中に搬入し得る。他の実施形態では、マイクロ流体デバイス(例えば、DEP構成マイクロ流体デバイス)の内面は、生物学的微小物体をマイクロ流体デバイスに導入する前に、被覆剤を含む被覆溶液を用いて処理又は「プライミング」される。
幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスの少なくとも1つの表面は、生物学的微小物体の維持及び/又は増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供する(例えば、後述するような調整面を提供する)被覆剤を含む。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスの略全ての内面は被覆材料を含む。被覆された内面は、フロー領域(例えば、チャネル)の表面、チャンバの表面、隔離ペンの表面、又はそれらの組合わせを含み得る。幾つかの実施形態では、複数の隔離ペンのそれぞれは、被覆材料で被覆された少なくとも1つの内面を有する。他の実施形態では、複数のフロー領域又はチャネルのそれぞれは、被覆材料で被覆された少なくとも1つの内面を有する。幾つかの実施形態では、複数の隔離ペンのそれぞれ及び複数のチャネルのそれぞれの少なくとも1つの内面は、被覆材料で被覆される。
被覆剤/溶液。
限定ではなく、血清又は血清因子、ウシ血清アルブミン(BSA)、ポリマー、洗剤、酵素、及びそれらの任意の組合わせを含む任意の従来の被覆剤/被覆溶液を使用することができる。
ポリマーベースの被覆材料。
少なくとも1つの内面は、ポリマーを含む被覆材料を含み得る。ポリマーは、少なくとも1つの表面に共有結合又は非共有結合し得る(又は非特異的に付着し得る)。ポリマーは、ブロックポリマー(及びコポリマー)、星型ポリマー(星型コポリマー)、並びにグラフト又は櫛形ポリマー(グラフトコポリマー)に見られる等の多種多様な構造モチーフを有し得、これらは全て本明細書に開示される方法に適し得る。
ポリマーは、アルキレンエーテル部分を含むポリマーを含み得る。広範囲のアルキレンエーテル含有ポリマーが、本明細書に記載されるマイクロ流体デバイスでの使用に適し得る。アルキレンエーテル含有ポリマーの非限定的で例示的な一クラスは、ポリマー鎖内で異なる比率及び異なる場所にあるポリエチレンオキシド(PEO)サブユニット及びポリプロピレンオキシド(PPO)サブユニットのブロックを含む両親媒性非イオンブロックコポリマーである。Pluronic(登録商標)ポリマー(BASF)は、このタイプのブロックコポリマーであり、生細胞と接触する場合の使用に適することが当技術分野で既知である。ポリマーは、平均分子質量MWで、約2000Da〜約20KDaの範囲であり得る。幾つかの実施形態では、PEO−PPOブロックコポリマーは、約10よりも大きい(例えば、12〜18)の親水性親油性バランス(HLB)を有することができる。被覆された表面をもたらすのに有用な特定のPluronic(登録商標)ポリマーは、Pluronic(登録商標)L44、L64、P85、及びF127(F127NFを含む)を含む。別のクラスのアルキレンエーテル含有ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG MW<100,000Da)又は代替的にポリエチレンオキシド(PEO、MW>100,000)である。幾つかの実施形態では、PEGは約1000Da、5000Da、10,000Da、又は20,000DaのMWを有し得る。
他の実施形態では、被覆材料は、カルボン酸部分を含むポリマーを含み得る。カルボン酸サブユニットは、アルキル、アルケニル、又は芳香族部分含有サブユニットであり得る。非限定的な一例はポリ乳酸(PLA)である。他の実施形態では、被覆材料は、ポリマー骨格の末端又はポリマー骨格からのペンダントのいずれかにリン酸部分を含むポリマーを含み得る。更に他の実施形態では、被覆材料は、スルホン酸部分を含むポリマーを含み得る。スルホン酸サブユニットは、アルキル、アルケニル、又は芳香族部分含有サブユニットであり得る。非限定的な一例はポリスチレンスルホン酸(PSSA)又はポリアネトールスルホン酸である。更なる実施形態では、被覆材料はアミン部分を含むポリマーを含み得る。ポリアミノポリマーは、天然ポリアミンポリマー又は合成ポリアミンポリマーを含み得る。天然ポリアミンの例としては、スペルミン、スペルミジン、及びプトレッシンが挙げられる。
他の実施形態では、被覆材料は、糖類部分を含むポリマーを含み得る。非限定的な例では、キサンタンガム又はデキストラン等のポリサッカリドが、マイクロ流体デバイスにおける細胞の突き刺しを低減又は阻止し得る材料を形成するのに適し得る。例えば、約3kDaのサイズを有するデキストランポリマーを使用して、マイクロ流体デバイス内の表面に被覆材料を提供し得る。
他の実施形態では、被覆材料は、リボヌクレオチド部分又はデオキシリボヌクレオチド部分を有し、高分子電解質表面を提供し得る、ヌクレオチド部分、すなわち、核酸を含むポリマーを含み得る。核酸は、天然ヌクレオチド部分のみを含んでもよく、又は限定ではなく、7−デアザアデニン、ペントース、メチルホスホン酸、又はホスホロチオエート部分等の核酸塩基、リボース、リン酸塩部分類似物を含む非天然ヌクレオチド部分を含んでもよい。
更に他の実施形態では、被覆材料は、アミノ酸部分を含むポリマーを含み得る。アミノ酸部分を含むポリマーは、天然アミノ酸含有ポリマー又は非天然アミノ酸含有ポリマーを含み得、これらのいずれかはペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質を含み得る。非限定的な一例では、被覆剤として、タンパク質は、ウシ血清アルブミン(BSA)並びに/或いはアルブミン及び/又は1つ又は複数の他の同様のタンパク質を含む血清(又は複数の異なる血清の組合わせ)であり得る。血清は、限定ではなく、ウシ胎仔血清、ヒツジ血清、ヤギ血清、ウマ血清等を含む任意の好都合のソースからのものであり得る。特定の実施形態では、被覆溶液中のBSAは、5mg/mL、10mg/mL、20mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、50mg/mL、60mg/mL、70mg/mL、80mg/mL、90mg/mL、又はそれを超えるか、若しくはそれらの間の任意の値を含め、約1mg/mLから約100mg/mLの濃度で存在する。特定の実施形態では、被覆溶液中の血清は、25%、30%、35%、40%、45%、又はそれを超えるか、若しくはそれらの間の任意の値を含め、約20%(v/v)〜約50%v/vの濃度で存在し得る。幾つかの実施形態では、BSAは、5mg/mLで被覆溶液中に被覆剤として存在し得、一方、他の実施形態では、BSAは、70mg/mLで被覆溶液中に被覆剤として存在し得る。特定の実施形態では、血清は、30%で被覆溶液中に被覆剤として存在する。幾つかの実施形態では、フォスター細胞成長への細胞の付着を最適化するために、細胞外基質(ECM)タンパク質を被覆材料内に提供し得る。被覆材料に包含し得る細胞基質タンパク質としては、限定ではなく、コラーゲン、エラスチン、RGD含有ペプチド(例えば、フィブロネクチン)、又はラミニンを挙げることができる。更に他の実施形態では、成長因子、サイトカイン、ホルモン、又は他の細胞シグナリング種をマイクロ流体デバイスの被覆材料内に提供し得る。
幾つかの実施形態では、被覆材料は、アルキレンオキシド部分、カルボン酸部分、スルホン酸部分、リン酸塩部分、サッカリド部分、ヌクレオチド部分、又はアミノ酸部分の2つ以上を含むポリマーを含み得る。他の実施形態では、ポリマーの調整された表面は、被覆材料に独立して又は同時に組み込み得る、アルキレンオキシド部分、カルボン酸部分、スルホン酸部分、リン酸塩部分、サッカリド部分、ヌクレオチド部分、及び/又はアミノ酸部分をそれぞれ有する2つ以上のポリマーの混合物を含み得る。
共有結合される被覆材料。
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの内面は、マイクロ流体デバイス内の生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供して、そのような細胞に調整面を提供する共有結合分子を含む。
共有結合分子は結合基を含み、結合基は、後述するように、マイクロ流体デバイスの1つ又は複数の表面に共有結合する。結合基は、生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分にも共有結合する。
幾つかの実施形態では、生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される共有結合部分は、アルキル又はフルオロアルキル(ペルフルオロアルキルを含む)部分;モノ又はポリサッカリド(デキストランを含み得るが、これに限定されない);アルコール(プロパルギルアルコールを含むが、これに限定されない);ポリビニルアルコールを含むが、これに限定されないポリアルコール;ポリエチレングリコールを含み得るが、これに限定されないアルキレンエーテル;高分子電解質(ポリアクリル酸又はポリビニルホスホン酸を含むが、これに限定されない);アミノ基(アルキル化アミン、モルホルニル又はピペラジニル等であるが、これらに限定されない非芳香族化された窒素環原子を含むヒドロキシアルキル化されたアミノ基、グアニジニウム基、及びヘテロ環基等であるが、これらに限定されないその誘導体);プロピオル酸(カルボン酸塩アニオン表面を提供し得る)を含むが、これに限定されないカルボン酸;エチニルホスホン酸(ホスホン酸塩アニオン表面を提供し得る)を含むが、これに限定されないホスホン酸;スルホン酸アニオン;カルボキシベタイン;スルホベタイン;スルファミン酸;又はアミノ酸を含み得る。
様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスにおける生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される共有結合部分は、アルキル部分、フルオロアルキル部分(ペルフルオロアルキル部分を含むが、これに限定されない)等の置換アルキル部分、アミノ酸部分、アルコール部分、アミノ部分、カルボン酸部分、ホスホン酸部分、スルホン酸部分、スルファミン酸部分、又はサッカリド部分等の非ポリマー部分を含み得る。代替的には、共有結合部分は、上述した任意の部分であり得るポリマー部分を含み得る。
幾つかの実施形態では、共有結合部分は、線状鎖(例えば、少なくとも10個の炭素又は少なくとも14、16、18、20、22、若しくはそれを超える個数の炭素の線状鎖)を形成する炭素原子を含むことができ、且つ直鎖アルキル部分であり得る。幾つかの実施形態では、アルキル基は置換アルキル基を含み得る(例えば、アルキル基の炭素の幾つかはフッ素化又はパーフルオロ化することができる)。幾つかの実施形態では、アルキル基は、非置換アルキル基を含み得る第2のセグメントに結合される、ペルフルオロアルキル基を含み得る第1のセグメントを含み得る。第1及び第2のセグメントは、直接又は間接的(例えば、エーテル結合により)に結合され得、ここで、アルキル基の第1のセグメントは、結合基の先端部に配置し得、アルキル基の第2のセグメントは、結合基の基端部に配置し得る。
他の実施形態では、共有結合部分は、2つ以上の種類のアミノ酸を含み得る少なくとも1つのアミノ酸を含み得る。したがって、共有結合部分は、ペプチド又はタンパク質を含み得る。幾つかの実施形態では、共有結合部分は、双性イオン性表面を提供して、細胞成長、生存、可搬性、又はそれらの任意の組合せを支持し得るアミノ酸を含み得る。
他の実施形態では、共有結合部分は、少なくとも1つのアルキレンオキシド部分を含み得、上述した任意のアルキレンオキシドポリマーを含み得る。アルキレンエーテル含有ポリマーの有用な1クラスは、ポリエチレングリコール(PEG Mw<100,000Da)又は代替的にはポリエチレンオキシド(PEO、Mw>100,000)である。幾つかの実施形態では、PEGは約1000Da、約5000Da、約10,000Da、又は約20,000DaのMwを有し得る。
共有結合部分は1つ又は複数のサッカリドを含み得る。共有結合サッカリドはモノ、ジ、又はポリサッカリドであり得る。共有結合サッカリドは、表面に付着するような結合又は加工を可能にする反応ペア部分を導入するように修飾し得る。例示的な反応ペア部分は、アルデヒド、アルキン、又はハロ部分を含み得る。ポリサッカリドは、ランダムに修飾し得、各サッカリドモノマーが修飾されてもよく、又はポリサッカリド内のサッカリドモノマーの一部のみが、表面に直接若しくは間接的に結合され得る反応ペア部分を提供するように修飾される。一例は、直鎖リンカーを介して表面に間接的に結合され得るデキストランポリサッカリドを含み得る。
共有結合部分は1つ又は複数のアミノ基を含み得る。アミノ基は、置換アミン部分、グアニジン部分、窒素含有ヘテロ環部分又はヘテロアリール部分であり得る。アミノ含有部分は、マイクロ流体デバイス内及び任意選択的に隔離ペン及び/又はフロー領域(例えば、チャネル)内の環境のpH変更を可能にする構造を有し得る。
調整面を提供する被覆材料は、一種のみの共有結合部分を含んでもよく、又は2つ以上の異なる種類の共有結合部分を含んでもよい。例えば、フルオロアルキル調整面(ペルフルオロアルキルを含む)は、全て同じ、例えば、表面への同じ結合基及び共有結合、同じ全体長、及びフルオロアルキル部分を含む同数のフルオロメチレン単位を有する複数の共有結合部分を有し得る。代替的には、被覆材料は、表面に付着する2種類以上の共有結合部分を有し得る。例えば、被覆材料は、指定された数のメチレン又はフルオロメチレン単位を有する共有結合アルキル又はフルオロアルキル部分を有する分子を含み得、被覆面においてより嵩張った部分を提示する能力をお提供し得る、より多数のメチレン又はフルオロメチレン単位を有するアルキル又はフルオロアルキル鎖に共有結合した荷電部分を有する更なる組の分子を更に含み得る。この場合、異なる、立体的に要求が余り厳しくない末端及びより少数の骨格原子を有する第1の組の分子は、基板表面全体を官能化し、それにより基板自体を構成するケイ素/酸化ケイ素、酸化ハフニウム、又はアルミナへの望ましくない付着又は接触を回避するのに役立つことができる。別の例では、共有結合部分は、表面上でランダムに交流電荷を提示する両性イオン表面を提供し得る。
調整面特性。
調整された表面の組成以外で、疎水性材料の物理的厚さ等の他の要因がDEP力に影響し得る。調整された表面が基板に形成される様式(例えば、蒸着、液相堆積、スピンコーティング、フラッディング、及び静電コーティング)等の様々な要因が調整された表面の物理的厚さを変更し得る。幾つかの実施形態では、調整面は、約1nmから約10nm、約1nmから約7nm、約1nmから約5nm、又はそれらの間の任意の個々の値の厚さを有する。他の実施形態では、共有結合部分により形成される調整面は、約10nm〜約50nmの厚さを有し得る。様々な実施形態では、本明細書において記載されるように準備される調整面は、10nm未満の厚さを有する。幾つかの実施形態では、調整面の共有結合部分は、マイクロ流体デバイスの表面(例えば、DEP構成基板表面)に共有結合した場合、単層を形成し得、10nm未満(例えば、5nm未満又は約1.5nm〜3.0nm)の厚さを有し得る。これらの値は、例えば、約30nmの厚さを典型的には有する、スピンコーティングで用意された表面の厚さとは対照的である。幾つかの実施形態では、調整面は、DEP構成マイクロ流体デバイス内での動作に適宜機能的であるために、完全に形成された単層を必要としない。
様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスの調整面を提供する被覆材料は、所望の電気特性を提供し得る。理論による限定を意図せずに、特定の被覆材料が被覆された表面の堅牢性に影響する一因子は、本質的に電荷捕獲である。異なる被覆材料は電子を捕獲し得、これは被覆材料の破壊に繋がる恐れがある。被覆材料の欠陥は、電荷捕獲を増大させ、被覆材料の更なる破壊に繋がる恐れがある。同様に、異なる被覆材料は異なる絶縁耐力(すなわち、絶縁破壊が生じる最小印加電場)を有し、これは電荷捕獲に影響を有し得る。特定の実施形態では、被覆材料は、その電荷捕獲量を低減又は制限する全体構造(例えば、高密度単層構造)を有することができる。
調整された表面は、その電気特性に加えて、生体分子との併用に有利な特性を有することもできる。例えば、フッ化(又はパーフルオロ化)炭素鎖を含む調整された表面は、表面ファウリング量を低減するに当たり、アルキル末端鎖と比較して利点を提供し得る。表面ファウリングは、本明細書で使用される場合、タンパク質及びその老廃物、核酸及び各老廃物等のバイオ材料の永久的又は半永久的な堆積を含み得る、マイクロ流体デバイスの表面への無差別材料堆積量を指す。
単一又は複数パートの調整面。
共有結合被覆材料は、後述するように、マイクロ流体デバイスにおける生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分を既に含む分子の反応により形成し得る。代替的には、共有結合被覆材料は、生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分を、それ自体が表面に共有結合した表面修飾リガンドに結合することにより、2部シーケンスで形成し得る。
共有結合された被覆材料を準備する方法。
幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスの表面(例えば、隔離ペン及び/又はフロー領域の少なくとも1つの表面を含む)に共有結合した被覆材料は、式1又は式2の構造を有する。被覆材料は、表面に1ステップで導入される場合、式1の構造を有し、一方、被覆材料は、複数ステッププロセッサで導入される場合、式2の構造を有する。
被覆材料は、DEP構成又はEW構成基板の表面の酸化物に供給結合し得る。DEP又はEW構成基板は、ケイ素、酸化ケイ素、アルミナ、又は酸化ハフニウムを含み得る。酸化物は、基板の元の化学構造の一部として存在してもよく、又は後述するように導入し得る。
被覆材料は、結合基(「LG」)を介して酸化物に結合し得、LGは、シロキサン基又はホスホン酸基と酸化物との反応から形成されるシロキシ又はホスホネートエステル基であり得る。マイクロ流体デバイスにおける生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分は、本明細書に記載される任意の部分であり得る。結合基LGは、マイクロ流体デバイスにおける生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分に直接又は間接的に接続し得る。結合基LGがその部分に直接接続される場合、任意選択的なリンカーLは存在せず、nは0である。結合基LGが部分に間接的に接続される場合、リンカーLが存在し、nは1である。リンカーLは、線状部の骨格が、当技術分野で既知の化学結合制約を受けるケイ素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及び/又はリン原子の任意の組合せから選択される1から200個の非水素原子を含み得る線状部を有し得る。それは、エーテル基、アミノ基、カルボニル基、アミド基、及び/又はリン酸基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、又はヘテロ環基から選択され得る1つ又は複数の部分の任意の組合せで中断され得る。幾つかの実施形態では、リンカーLの骨格は10〜20個の炭素を含み得る。他の実施形態では、リンカーLの骨格は約5原子〜約200原子、約10原子〜約80原子、約10原子〜約50原子、又は約10原子〜約40原子を含み得る。幾つかの実施形態では、骨格原子は全て炭素原子である。
幾つかの実施形態では、生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分は、複数ステッププロセスで基板の表面に追加し得、上で示された式2の構造を有する。この部分は、上述した任意の部分であり得る。
幾つかの実施形態では、結合基CGは、反応部分Rxとペアとなる反応部分Rpx(すなわち、反応部分Rxと反応するように構成される部分)との反応の結果生成される基を表す。例えば、典型的な1つの結合基CGはカルボキサミジル(carboxamidyl)基を含み得、これは、アミノ基と、活性化エステル、酸クロリド等のカルボン酸の誘導体との反応の結果である。他のCGは、トリアゾリレン(triazolylene)基、カルボキサミジル(carboxamidyl)、チオアミジル、オキシム、メルカプチル(mercaptyl)、二硫化物、エーテル、又はアルケニル基、又は反応部分とペアとなる各反応部分との反応時に形成し得る任意の他の適する基を含み得、結合基CGは、リンカーLの第2の端部(すなわち、マイクロ流体デバイスにおける生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分に近い端部)に配置し得、これは上述した要素の任意の組合せを含み得る。幾つかの他の実施形態では、結合基CGは、リンカーLの骨格を中断し得る。結合基CGは、トリアゾリレン(triazolylene)である場合、クリック結合反応からの結果である産物であり得、更に置換し得る(例えば、ジベンゾシクロオクチル溶融トリアゾリレン(triazolylene)基)。
幾つかの実施形態では、被覆材料(又は表面修飾リガンド)は、化学蒸着を使用してマイクロ流体デバイスの内面に堆積する。蒸着プロセスは任意選択的に、例えば、溶媒浴への露出、超音波処理、又はそれらの組合せにより、カバー110、マイクロ流体回路材料116、及び/又は基板(例えば、DEP構成基板の電極活性化基板206の内面208又はEW構成基板の支持構造体104の誘電層)を予めクリーニングすることにより改善することができる。代替又は追加として、そのような事前クリーニングは、カバー110、マイクロ流体回路材料116、及び/又は基板を酸素プラズマクリーナにおいて処理することを含むことができ、酸素プラズマクリーナは、様々な不純物を除去することができ、それと同時に酸化表面(例えば、表面における酸化物、本明細書に記載されるように共有結合的に修飾し得る)を導入することができる。代替的には、塩酸と過酸化水素との混合物又は硫酸と過酸化水素との混合物(例えば、硫酸と過酸化水素との比率が約3:1から約7:1であり得るピラニア溶液)等の液相処理を酸素プラズマクリーナの代わりに使用することもできる。
幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイス200が組み立てられて、マイクロ流体回路120を画定するエンクロージャ102を形成した後、蒸着を使用して、マイクロ流体デバイス200の内面を被覆し得る。理論による限定を意図せずに、そのような被覆材料を完全に組み立てられたマイクロ流体回路120に堆積させることは、マイクロ流体回路材料116と電極活性化基板206の誘電層及び/又はカバー110との結合の弱化により生じる剥離を回避するに当たり有利であり得る。2ステッププロセスが利用される実施形態では、表面修飾リガンドは、上述したように蒸着を介して導入し得、続けて、生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分が導入される。続く反応は、表面修飾マイクロ流体デバイスを溶液中の適する結合試薬に露出させることにより実行し得る。
図2Hは、調整面を提供する例示的な共有結合被覆材料を有するマイクロ流体デバイス290の断面図を示す。示されるように、被覆材料298(概略的に示される)は、DEP基板であり得る基板286の内面294と、マイクロ流体デバイス290のカバー288の内面292と、の両方に共有結合した高密度分子の単層を含むことができる。被覆材料298は、幾つかの実施形態では、上述したように、マイクロ流体デバイス290内の回路要素及び/又は構造の画定に使用されるマイクロ流体回路材料(図示せず)の表面を含む、マイクロ流体デバイス290のエンクロージャ284に近くエンクロージャ284に向かって内側に面する略全ての内面294、292に配置することができる。代替の実施形態では、被覆材料298は、マイクロ流体デバイス290の内面の1つのみ又は幾つかに配置することができる。
図2Hに示される実施形態では、被覆材料298は、オルガノシロキサン分子の単層を含むことができ、各分子は、シロキシリンカー296を介してマイクロ流体デバイス290の内面292、294に共有結合する。上記の被覆材料298のいずれかを使用することができ(例えば、アルキル末端、フルオロアルキル末端部分、PEG末端部分、デキストラン末端部分、又はオルガノシロキサン部分に正電荷又は負電荷を含む末端部分)、末端部分は、エンクロージャに面する末端に配置される(すなわち、内面292、294に結合されず、エンクロージャ284に近い被覆材料298の単層の部分)。
他の実施形態では、マイクロ流体デバイス290の内面292、294の被覆に使用される被覆材料298はアニオン部分、カチオン部分、両性イオン部分、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。理論による限定を意図せずに、カチオン部分、アニオン部分、及び/又は両性イオン部分をマイクロ流体回路120のエンクロージャ284の内面に提示することにより、被覆材料298は、その結果生成される水和の水が、生物学的微小物体を非生物学的分子(例えば、基板のケイ素及び/又は酸化ケイ素)との相互作用から分離する層(又は「シールド」)として機能するような、強力な水との水素結合を形成することができる。加えて、被覆材料298が被覆剤と併用される実施形態では、被覆材料298のアニオン、カチオン、又は両性イオンは、エンクロージャ284内の媒体180(例えば、被覆溶液)中に存在する非共有結合被覆剤(例えば、溶液中のタンパク質)の荷電部分とイオン結合を形成することができる。
更に他の実施形態では、被覆材料は、エンクロージャに面した末端において親水性被覆剤を含み得るか、又は提示するように化学的に修飾し得る。幾つかの実施形態では、被覆材料は、PEG等のアルキレンエーテル含有ポリマーを含み得る。幾つかの実施形態では、被覆材料は、デキストラン等のポリサッカリドを含み得る。上述した荷電部分(例えば、アニオン部分、カチオン部分、及び両性イオン部分)のように、親水性被覆剤は、その結果生成される水和の水が、生物学的微小物体を非生物学的分子(例えば、基板のケイ素及び/又は酸化ケイ素)との相互作用から分離する層(又は「シールド」)として機能するような、強力な水との水素結合を形成することができる。
適切な被覆処理及び修飾の更なる詳細については、2016年4月22日に出願された米国特許出願公開第15/135,707号において見出し得、この特許出願は全体的に参照により本明細書に援用される。
マイクロ流体デバイスの隔離ペン内の細胞の生存性を維持する追加のシステム構成要素。
細胞集団の成長及び/又は増殖を促進するために、システムの追加の構成要素により、機能的な細胞の維持を促す環境状況を提供し得る。例えば、そのような追加の構成要素は、栄養素、細胞成長シグナリング種、pH調整、ガス交換、温度制御、及び細胞からの老廃物の除去を提供することができる。
生物学的微小物体によって分泌された検体のアッセイ。
幾つかの実施形態では、本開示は、隔離ペン内に存在する生体分子を定量化する方法、システム及びデバイスを提供する。幾つかの実施形態では、生体分子は、生体細胞の分泌検体又は分泌検体を生成可能な任意の他の生物学的微小有機物である。
生物学的生産業界では、深刻な一問題は、現在利用可能な機器及びワークフローを利用した場合の所望のレベルの生産及び生育習性を有するクローン集団の識別における費用、時間及び困難性である。例えば、新しい抗体生産ラインの開発は、数ヶ月の仕事及び数百万ドルを人員、機器及び材料に費やすことがある。本明細書に記載されるように、個々の創始細胞の播種後3日、4日、5日、6日又は7日等の増殖中の集団のかなり初期に、マイクロ流体デバイス内の見込のあるクローンをスクリーニング及び識別する能力は、多くの場合、時間的及びコスト的に大きい利点であり得る。ナノ流体環境、特に本明細書に記載されるような隔離ペンに基づくものが、互いからのクローン手段の典型的な分離を提供し、マイクロ流体デバイス内に位置する他のクローン集団からの汚染なしで、個々の各クローン集団からアッセイ結果を得る能力が可能になることが本出願人により発見された。クローン増殖の初期段階で実行される場合でも、本明細書に記載される方法を使用して分泌検体の相対量又は絶対量を特定するアッセイは、より典型的な増殖のマイクロスケール規模(例えば、振とうフラスコ等)で所望の分泌検体の生産に相関付けられ得ることも発見されている。更に、そのような初期段階で個々のクローンをスクリーニングする能力により、成長率及び/又はよりロバストな生産(例えば、代謝老廃物又は栄養物の枯渇等の培養環境内の材料レベルにより高い耐性を有する高生産性クローン)という特定の要件を満たす所望のクローンの識別も可能である。
本出願人により発見された別の利点は、本明細書に記載されるナノ流体チャンバ(例えば、隔離ペン)により、極めて小量で数千までの個々の創始細胞の同時成長/アッセイを同時に行うことができるため、過度のリソースを使用せずに、クローン集団の潜在的な創始細胞としての複数の細胞のより完全な増殖を行い得ることである。
更に、本明細書に記載されるナノ流体環境では、繰り返されるアッセイからのフィードバックを用いて、細胞に対する特定の条件の影響を調べることができる。例えば、細胞の分泌産物(本明細書の方法では検体)の大規模生産により密に関連する培養培地等の条件及び材料を使用して、更に調べるのに最も適したクローンを発見し且つ特徴付け得る。別の例では、B細胞抗体刺激の多様な刺激プロトコールをより再現可能なように調べることができ、あるプロトコールよりも優れた別のプロトコールの利点をより同等に評価するためにアッセイし得る。
拡散プロファイルを使用した検出及び定量化。
本明細書に記載されるように、生物学的微小物体の分泌検体量は、分泌検体に結合するリポーター分子を使用して定量化し得る。リポーター分子は、定量化される分泌検体に結合する結合成分と、リポーター分子量の検出に使用される信号成分とを含む。リポーター分子は、結合状態(例えば、分泌検体の1つ又は複数の分子に結合されている)よりも非結合状態(例えば、分泌検体に結合されていない)で高い拡散率を有する。幾つかの実施形態では、非結合リポーター分子と結合リポーター分子との拡散率との間の違いは、リポーター分子が結合する分泌検体分子のサイズの関数である。幾つかの実施形態では、リポーター分子は、拡散率を低くする配座で分泌検体に結合し得る。例えば、リポーター分子は、分泌検体が凝集する配座で、部分的にその配座に起因してゆっくりと拡散する分泌検体の複数のコピーと結合し得る。本明細書に記載される方法は、リポーター分子(非結合)と結合リポーター分子:検体複合体(RMSA)との間の拡散率の差を利用して分泌検体量を定量化する。
マイクロ流体チャネル内のフロー状況下での拡散アッセイ。
図4A〜図4Cは、本開示の幾つかの実施形態によるアッセイを示す。図4Aでは、検出可能な標識をそれぞれ有するリポーター分子412は、フロー242内のある濃度のリポーター分子412を含む流体をマイクロ流体デバイス400のチャネル122に流すことにより、マイクロ流体チャネル122に導入される。隔離ペン424、426、428は、それぞれ生体検体410を分泌する様々な数の細胞402、404、406を含むマイクロ流体チャネル122に流体的に接続される。各隔離ペン424、426、428は、接続領域436及び分離領域440を含む(単に明確にするために、隔離ペン424は、そのように標識された唯一のペンである)。接続領域436及び分離領域440は、上述した特性を有し、チャネル122に導入された材料の接触を制限する(例えば、分離領域440内において、チャネル122内に流入した材料は、分離領域への直接フローではなく、拡散によってのみ分離領域に入り得る)。図4Aに示される時点では、分泌検体410の分子は、細胞の近くにある。
図4Bは、後の時点での図4Aと同様のマイクロ流体デバイスの同じ領域を示す。リポーター分子412は、リポーター分子412の濃度がチャネル122と隔離ペン424、426、428の内部との間で平衡するように、チャネル122及び隔離ペン424、426、428内に迅速に拡散することができる。図4Bに示されるように、リポーター分子412は、隔離ペン424、426、428内で略均一である定常状態に達している。リポーター分子412を含む媒体のフロー242は、リポーター分子412を含まない媒体のフロー242で置換され、チャネル122は、有意量のリポーター分子を含まない。
各隔離ペン424、426、428内のリポーター分子412が分泌検体410の分子に接触する際、リポーター分子412は、検体410に結合することができ、リポーター分子:検体複合体414を形成し、分泌検体410の数量に関連する局所検出可能な信号を提供する。フロー242が続くにつれて、リポーター分子は、隔離ペンから拡散し、チャネル122に入り、マイクロ流体デバイスから搬出される。しかし、図4Bに示されるように、リポーター分子:検体複合体410の拡散は、分子量(及び有効サイズ)がより大きいことに起因して、非結合リポーター分子412よりも遅く、差別的に隔離ペン424、426、428から迅速に拡散しない。
図4Cは、分泌検体410及びリポーター分子:検体複合体414が分泌検体410のソース(例えば、細胞402、404、406)からチャネル122に拡散している更に後の時点での図4A及び図4Bと同様のマイクロ流体デバイスの同じ領域を示す。フロー242は、チャネル122内で継続し、それにより、リポーター分子:検体複合体410よりも迅速にリポーター分子412を各隔離ペン424、426、428から拡散させる。
分泌検体分子410は、リポーター分子412よりも大きい分子量(及び溶液中の関連する有効サイズ)を有し得るため、リポーター分子:検体複合体は、より低速で拡散する。分泌検体が抗体であり、リポーター分子がペプチド又はアプタマーである実施形態では、分子量の差が大きい。いずれの場合でも、結合したリポーター分子:検体複合体414の重量(及びしたがってサイズ)は、非結合リポーター分子412よりも大きく、したがって、リポーター分子:検体複合体414は、非結合リポーター分子412よりもゆっくりと拡散し、非結合リポーター分子412により提供される均一信号と比較して示差的な拡散プロファイル及び関連する検出可能信号を提供する。更に、生物学的微小物体502、504、506は、検体410を引き続き分泌し、なお隔離ペン524、526、528内に配置されているリポーター分子412と結合するより多くの標的を提供する。隔離ペンから拡散しているか又は既に拡散した非結合リポーター分子の割合が閾値を超える時点を選択することができ、各隔離ペン424、426、428内の実質的に又は支配的にリポーター分子:検体複合体414のみから検出可能な信号を撮像することができる。幾つかの実施形態では、隔離ペンから拡散した非結合リポーター分子412の量が約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%又は上記の値の2つにより定義される任意の範囲であるとき、アッセイ画像が取得される。代替又は追加として、幾つかの実施形態では、隔離ペンから拡散した非結合リポーター分子412の量が、隔離ペンから拡散した結合リポーター分子:検体複合体414の量の約1.25倍、約1.5倍、約2.0倍、約2.5倍、約3.0倍、約3.5倍、約4.0倍、約4.5倍、約5.0倍、約7.5倍、約10倍、約25倍、約50倍又は約100倍であるとき、アッセイ画像が取得される。
アッセイ画像で取得される検出可能な信号は、ペン内の生物学的微小物体の数に比例し得る。隔離ペン424は、6個の生物学的微小物体を含むものとして示され、隔離ペン426は、4個の生物学的微小物体を含むものとして示され、隔離ペン428は、2個の生物学的微小物体を含むものとして示され、幾つかの実施形態では、各隔離ペンからのアッセイ信号は、それらの細胞数に比例し得る。幾つかの実施形態では、検体を分泌は、アッセイ信号取得時間での細胞周期状態に依存し得、複数の隔離ペンのそれぞれからの信号は、各隔離ペン内の細胞数に実質的に比例しないことがあり得る。更に、図4Cに示されるように、細胞402、404、406の全てが検体410を分泌している間、異なる集団の細胞(例えば、異なるクローン)が様々な率で生体検体410を分泌することがある。したがって、産出される検体410の量(その結果として、リポーター分子:検体複合体414から検出される拡散プロファイル信号の強度)は、各ペンに存在する細胞402、404、406の数について正規化された場合でも、ペンごとに同じでないことがある。この時間期間中に1つ又は複数のアッセイ画像を取得し得、アッセイ画像を使用して、撮像された隔離ペン424、426、428内の分泌検体410の量を特徴付け得る。産出される分泌検体410の量の相対数量又は絶対数量に到達するために実行される分析の説明が以下に続く。
マイクロ流体チャネル内の非フロー状況下での拡散アッセイ。
図5A〜図5Cは、本開示の一実施形態によるアッセイを示す。図5Aでは、検出可能な標識をそれぞれ有するリポーター分子412が、ある濃度のリポーター分子412を含む流体をチャネル122に流すことにより、マイクロ流体デバイス500のマイクロ流体チャネル122に導入される。図5Aは、生物検体410を分泌している様々な数の細胞502、504、506を含むマイクロ流体チャネル122に流体的に接続される隔離ペン524、526、528も示す。各隔離ペン524、526、528は、接続領域536及び分離領域540を含む(単に明確にするために、隔離ペン524は、標識された唯一のペンである)。接続領域536及び分離領域540は、上述した特性を有し、チャネル122に導入された材料の接触を制限する(例えば、分離領域540内において、チャネル122内に流入した材料は、分離領域への直接フローではなく、拡散によってのみ分離領域に入り得る)。図5Aに示される時点では、分泌検体410の分子は、細胞の近くにある。
図5Bは、後の時点での図5Aと同様のマイクロ流体デバイスの同じ領域を示す。リポーター分子412は、リポーター分子412の濃度がチャネル122と隔離ペン524、526、528の内部との間で平衡するように、チャネル122及び隔離ペン524、526、528内に迅速に拡散することができる。図5Bに示されるように、リポーター分子412は、非結合リポーター分子412の濃度が隔離ペン524、526、528及びチャネル122で実質的に均一であり得るような定常濃度平衡に達している。リポーター分子412の濃度が隔離ペン524、526、528内と平衡するとき、チャネル内のフローは停止される。リポーター分子412が分泌検体410の分子に接触する際、リポーター分子412は、検体410に結合することができ、リポーター分子:検体複合体414を形成し、分泌検体410の数量に関連する局所検出可能信号を提供する。
図5Cは、分泌検体410及びリポーター分子:検体複合体414が分泌検体410のソース(例えば、細胞502、504、506)からチャネル122に拡散している更に後の時点での図5A及び図5Bと同様のマイクロ流体デバイスの同じ領域を示す。この時点でチャネル122内にフローはない。
上記と同様に、分泌検体分子410は、リポーター分子412よりも大きい分子量(及び溶液中の関連する有効サイズ)を有し得る。したがって、リポーター分子:検体複合体414は、非結合リポーター分子412よりも低速で拡散し、非結合リポーター分子412により提供される均一信号と比較して示差的な拡散プロファイル及び関連する検出可能信号を提供する。更に、生物学的微小物体502、504、506は、検体410を引き続き分泌し、なお隔離ペン524、526、528内に配置されているリポーター分子412と結合するより多くの標的を提供する。
拡散プロファイル及び/又は関連する信号は、ペン内の生物学的微小物体の数に比例し得る。隔離ペン524は、6個の生物学的微小物体を含むものとして示され、隔離ペン526は、4個の生物学的微小物体を含むものとして示され、隔離ペン528は、2個の生物学的微小物体を含むものとして示される。しかし、幾つかの他の実施形態では、各隔離ペン524、526、528内の細胞502、504、506は、概ね同じ率で検体410を分泌し得、その結果、リポーター分子:検体複合体414から検出される信号の強度は、各隔離ペン内に存在する細胞502、504、506の数に比例し得る。しかし、検体の分泌は、アッセイ信号取得時間での細胞周期状態に依存し得る。更に、図5Cに示されるように、細胞502、504、506の全てが検体を分泌している間、異なる集団の細胞(例えば、異なるクローン)が様々な率で生体検体410を分泌することがある。したがって、産出される検体410の量(その結果として、リポーター分子:検体複合体414から検出される拡散プロファイル信号の強度)は、各ペンに存在する細胞502、504、506の数について正規化された場合でも、ペンごとに同じでないことがあり得る。この時間期間中に1つ又は複数のアッセイ画像を取得し得、アッセイ画像を使用して、撮像された隔離ペン524、526、528内の分泌検体410の量を特徴付け得る。産出される分泌検体410の量の相対数量又は絶対数量に到達するために実行される分析の説明が以下に続く。
分泌検体。
生物学的微小物体によって分泌される検体は、タンパク質、サッカリド、核酸、3Kd未満の分子量を有する有機分子、小胞、ウィルス及びそれらの任意の組合せであり得る。分泌検体は、天然発現検体(例えば、ネイティブ発現)であり得、又は遺伝子操作された検体(例えば、遺伝子挿入、遺伝子欠失、変更等から生じる産物)であり得る。核酸である分泌検体は、リボ核酸又はデオキシリボ核酸であり得、天然又は非天然ヌクレオチドを含み得る。ウィルスである分泌検体は、ウィルス粒子、ベクター又はフェーズであり得る。サッカリドである分泌検体は、モノ、ジ又はポリサッカリドであり得る。サッカリドの非限定的な例としては、グルコース、トレハロース、マンノース、アラビノース、フルクトース、リボース、キサンタン又はキトサンを挙げ得る。分泌小有機分子は、限定ではなく、バイオ燃料、オイル、ポリマー又はマクロライド系抗生材料等の薬剤を含み得る。タンパク質である分泌検体は、抗体又は抗体の断片であり得る。タンパク質である分泌検体は、アルブミン、グロブリン(例えば、アルファ2−マクログロブリン、ガンマグロブリン、ベータ2−マイクログロブリン、ハプトグロブリン)、補体タンパク質(例えば、補体成分3又は4)、トランスフェリン、プロトロンビン、アルファ1抗トリプシン等の血中タンパク質;インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、成長ホルモン、成長因子(例えば、FGF、HGF、NGF、EGF、PDGF、TGF、エリスロポエチン、IGF、TNF)、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、レプチン等のホルモン;絹又は細胞外基質タンパク質(例えば、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲン、エラスチン、ビトロネクチン、テネイシン、バーシカン、骨シアロタンパク質)等の線維性タンパク質;メタロプロテアーゼ(例えば、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP))又は他のタイプのプロテアーゼ(例えば、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、アスパラギンペプチドリアーゼ)、アミラーゼ、セルラーゼ、カタラーゼ、ペクチナーゼ等の酵素;細菌性、酵母又は原生動物タンパク質;植物タンパク質;カプシド又はエンベロープタンパク質等のo又はaウィルスタンパク質であり得る。タンパク質である分泌検体は、抗体、抗体の断片、酵素(限定ではなく、タンパク質分解酵素を含む)、例えば、アルブミン等の遺伝子操作(通常、細胞内タンパク質)タンパク質及び/又は蚕絹又は蜘蛛の糸)を含むがこれに限定されない構造タンパク質であり得る。このリストは限定ではなく、分泌されるように遺伝子操作し得る任意のタンパク質を方法により評価し得る。分泌検体は、抗体薬物複合体であり得る。プロテイン、サッカリド、核酸、3Kd未満の分子量を有する有機分子及び/又はウィルスの組合せを有し得る分泌検体の非限定的な例としては、プロテオグリカン又は糖タンパク質を挙げることができる。
リポーター分子及びその特性。
リポーター分子は、分泌検体に結合するように設計された結合成分を含み得ると共に、検出可能な標識を含み得る。結合成分は、分泌検体に結合するように構成された任意の適する結合相手であり得る。結合成分は、タンパク質、ペプチド、核酸又は3Kd未満の分子量を有する小有機分子であり得る。例えば、結合成分は、別の核酸配列に特異的に結合する核酸配列又はタンパク質に特異的に結合するペプチド(例えば、特定の抗体を認識するエピトープ)であり得る。幾つかの実施形態では、結合成分は、生物学的微小物体の分泌検体の群に非特異的に結合することができる。例えば、結合成分は、IgGドメインに特異的に結合するペプチド又は核酸配列の群に存在する領域に結合する核酸であり得る。幾つかの実施形態では、リポーター分子は、分泌検体の2つ以上のコピー又は分泌検体の群の2つ以上のメンバに結合する2つ以上の結合成分を含む多価であり得る。考察を容易にするために、本明細書で使用される分泌検体という用語は、特定の分泌検体分子又は分泌検体の群のいずれかを指すことができる。したがって、RMSA複合体の化学量論は、様々であり得る。例えば、分泌検体の1コピーに結語するリポーター分子は、1:1化学量論を有するRMSA複合体を有し得る。代替的に、RMSA複合体は、2:1、3:1、4:1、2:2、4:2又は他の化学量論のリポーター分子:分泌検体を有し得る。分子量に依存するリポーター分子:検体複合体の拡散特定により定義されるような見掛けの「サイズ」が、非結合リポーター分子とRMSA複合体との間で示差的な拡散を観測するのに十分にリポーター分子自体よりも「大きい」という規定の下、リポーター分子は、任意の適する分子量を有し得る。リポーター分子は、分泌検体の分子量の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%又は同じ分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、リポーター分子の分子量は、分泌検体の分子量の約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満である。RMSA複合体の分子量は、リポーター分子の分子量の少なくとも2倍、少なくとも4倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍又はそれらの間の任意の倍数だけ大きい値であり得る。RMSA複合体の分子量は、非結合リポーター分子の分子量の2倍、4倍又は50倍であり得る。
分泌検体の1クラス:抗体のリポーター分子
抗体への結合に適するリポーター分子は、IgGの領域に結合するように構成されたタンパク質、ペプチド及びアプタマーが挙げられる。抗体を検出するためにリポーター分子内で使用されるのに適する結合成分の非限定的なリストを表1に示す。
CPD1〜14のいずれも、本明細書に記載されるアッセイに使用することができる。上記の列挙されたCPDの幾つかは、IgGのFc領域に結合することが既知の小ペプチドである(CPD4及びCPD7〜14については、DeLano WL, el al. (2000), Science 287: 1279-1283及び米国特許第7608681B2号を参照されたく、それぞれの開示は、その全体が本明細書に援用される)。
CPD3は、Asp Ser Ala Trp His Leu Gly Glu Leu Val Trp Cys Thrの構造を有する。
CPD4は、Asp Cys Ala Trp His Leu Gly Glu Leu Val Trp Cys Thrの構造を有する。
CPD7は、Xaa1−Xaa2−Xaa3−Xaa4−Xaa5−Xaa6−Xaa7−Xaa8−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Leu−Val−Trp−Cys−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20の構造を有し、ここで、Xaa1は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa2は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa3は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa4は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa5は、Cys又はSerであり;Xaa6は、任意のアミノ酸であり;Xaa7は、任意のアミノ酸であり;Xaa8は、任意のアミノ酸であり;Xaa9は、任意のアミノ酸であり;Xaa10は、任意のアミノ酸であり;Xaa11は、任意のアミノ酸であり;Xaa16は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa17は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa18は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa19は、任意のアミノ酸又は欠損であり;及びXaa20は、任意のアミノ酸又は欠損である。
CPD8は、Xaa1−Xaa2−Xaa3−Xaa4−Xaa5−Xaa6−Xaa7−Xaa8−Xaa9−Gly−Glu−Leu−Val−Trp−Cys−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20の構造を有し、ここで、Xaa1は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa2は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa3は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa4は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa5は、Cys又はSerであり;Xaa6は、任意のアミノ酸であり;Xaa7は、任意のアミノ酸であり;Xaa8は、任意のアミノ酸であり;Xaa9は、任意のアミノ酸であり;Xaa16は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa17は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa18は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa19は、任意のアミノ酸又は欠損であり;及びXaa20は、任意のアミノ酸又は欠損である。
CPD9は、Xaa1−Xaa2−Xaa3−Xaa4−Xaa5−Xaa6−Xaa7−Xaa8−Xaa9−Gly−Glu−Leu−Val−Trp−Cys−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20の構造を有し、ここで、Xaa1は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa2は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa3は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa4は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa5は、Cys又はSerであり;Xaa6は、Ala、Ser又はThrであり;Xaa7は、Trp又はTyrであり;Xaa8は、His又はTrpであり;Xaa9は、Leu又はMetであり;Xaa16は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa17は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa18は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa19は、任意のアミノ酸又は欠損であり;及びXaa20は、任意のアミノ酸又は欠損である。
CPD10は、Xaa1−Xaa2−Xaa3−Xaa4−Xaa5−Xaa6−Xaa7−Xaa8−Xaa9−Gly−Glu−Leu−Val−Trp−Cys−Xaa16−Xaa17−Xaa18−Xaa19−Xaa20の構造を有し、ここで、Xaa1は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa2は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa3は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa4は、Ser、Arg又はAspであり;Xaa5は、Cys又はSerであり;Xaa6は、Ala、Ser又はThrであり;Xaa7は、Trp又はTyrであり;Xaa8は、His又はTrpであり;Xaa9は、Leu又はMetであり;Xaa16は、Glu、Ser、Thr又はValであり;Xaa17は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa18は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa19は、任意のアミノ酸又は欠損であり;及びXaa20は、任意のアミノ酸又は欠損である。
CPD11は、Xaa1−Xaa2−Xaa3−Xaa4−Xaa5−Xaa6−Xaa7−Xaa8−Leu−Val−Trp−Cys−Xaa13の構造を有し、ここで、Xaa1は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa2は、Cys又はSerであり;Xaa3は、任意のアミノ酸であり;Xaa4は、任意のアミノ酸であり;Xaa5は、任意のアミノ酸であり;Xaa6は、任意のアミノ酸であり;Xaa7は、任意のアミノ酸であり;Xaa8は、任意のアミノ酸であり;及びXaa13は、任意のアミノ酸又は欠損である。
CPD12は、Xaa1−Xaa2−Xaa3−Xaa4−Xaa5−Xaa6−Gly−Glu−Leu−Val−Trp−Cys−Xaa13の構造を有し、ここで、Xaa1は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa2は、Cys又はSerであり;Xaa3は、任意のアミノ酸であり;Xaa4は、任意のアミノ酸であり;Xaa5は、任意のアミノ酸であり;Xaa6は、任意のアミノ酸であり;及びXaa13は、任意のアミノ酸又は欠損である。
CPD13は、Xaa1−Xaa2−Xaa3−Xaa4−Xaa5−Xaa6−Gly−Glu−Leu−Val−Trp−Cys−Xaa13の構造を有し、ここで、Xaa1は、任意のアミノ酸又は欠損であり;Xaa2は、Cys又はSerであり;Xaa3は、Ala、Ser又はThrであり;Xaa4は、Trp又はTyrであり;Xaa5は、His又はTrpであり;Xaa6は、Leu又はMetであり;及びXaa13は、任意のアミノ酸又は欠損である。
CPD14は、Xaa1−Xaa2−Xaa3−Xaa4−Xaa5−Xaa6−Gly−Glu−Leu−Val−Trp−Cys−Xaa13の構造を有し、ここで、Xaa1は、Ser、Arg又はAspであり;Xaa2は、Cys又はSerであり;Xaa3は、Ala、Ser又はThrであり;Xaa4は、Trp又はTyrであり;Xaa5は、His又はTrpであり;Xaa6は、Leu又はMetであり;及びXaa13は、Glu、Ser、Thr又はValである。
結合成分は、IgGに高い親和性(例えば、表1のCPD1及びCPD2について既知のようなナノモル)を有する材料に限定されない。幾つかの実施形態では、約100ミリモル又は約1マイクロモルよりも大きい親和性を有する結合成分は、抗体を検出するのにこの拡散ベースのアッセイに問題なく使用され得る。
他のタイプの分泌検体では、リポーター分子の異なるタイプの結合成分を使用し得る。例えば、不可逆プロテアーゼ阻害剤を使用して、セリン又はシステインプロテアーゼのフルオロメチルケトン阻害剤等のタンパク質分解酵素を検出し得る。サッカリド又はマクロライド抗体等の遺伝子操作された検体へのアプタマーが使用可能である。抗体又はその断片を使用して、アルブミン、構造タンパク質又はマクロライド抗体を検出し得る。当技術分野で既知である、分泌検体への任意の適する結合成分を使用し得る。
検出可能な標識。
リポーター分子は、可視、発光、リン光又は蛍光で検出可能な標識も含み得る。幾つかの実施形態では、検出可能な標識は、蛍光標識であり得る。限定ではなく、フルオレセイン、ローダミン、シアニン、フェナントレン又は任意の他のクラスの蛍光顔料標識を含め、任意の適する蛍光標識を使用し得る。有用な蛍光顔料標識の幾つかの例としては、フルオレセイン(リポーター分子の結合成分の標識するチオイソシアネート活性種として利用可能)Alexa Fluor(登録商標)594((AF594、ThermoFisher Scientific、カタログ番号A20004(NHSエステル))MW819.8、Ex/Em590/617nm)又はHiLyte Fluor(商標)555(AnaSpec Inc.、カタログ番号AS−81250)MW869、Ex/Em550/566nm(Cy3フィルタ)が挙げられる。幾つかの実施形態では、アプタマー又は捕獲オリゴヌクレオチド等のリポーター分子は、FRET標識オリゴヌクレオチドを含み得、これは、限定ではなく、分子ビーコン、デュアルハイブリダイゼーションプローブ、Scorpion(登録商標)プローブ又はEclipse(登録商標)プローブを含み得る。FRET標識オリゴヌクレオチドプローブ又はプローブ対は、ハイブリダイゼーションイベントが発生するまで蛍光しない蛍光標識を含み得る。幾つかの実施形態では、検出可能な標識は、リポーター分子の結合成分に直接又は間接的に共有結合する。幾つかの他の実施形態では、捕獲オリゴヌクレオチドは、リポーター分子の結合成分であり得、内因性又は外因性のいずれかの蛍光顔料は、捕獲オリゴヌクレオチドが検体、例えばインターカレーター性顔料に結合するまで、リポーター分子の検出可能な標識が検出不可能であり得るような検出可能な標識であり得る。幾つかの実施形態では、リポーター分子の検出可能な標識は、RMSA複合体が形成された後まで検出可能でないことがあり得、なぜなら、検出可能な信号は、結合前に存在しなかった新しい波長にシフトするためである。幾つかの実施形態では、リポーター分子の結合成分に共有結合したインターカレーター性顔料等である。他の実施形態では、検出可能な標識は、同位体であり得る。
更に他の実施形態では、検出可能な標識及び結合成分は、単一部分、例えば、検出可能な信号(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)等の自己検出可能タンパク質又はGFPと均等なRNAである「Spinach」等のリボ核酸アプタマー)を提供するタンパク質又は核酸である。Spinachは、蛍光検出可能標識として3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシベンジリデンイミダゾリノン(DFHBI)を組み込む。
拡散モデリング
本明細書に記載される方法は、隔離ペンの分離領域からフロー領域(例えば、マイクロ流体チャネル)への分泌検体の示差的な拡散に関連するモデル及び感想を利用する。生物学的微小物体の分泌検体の挙動をモデリングするに当たり、COMSOL(登録商標)、MATLAB(登録商標)並びに/又は様々な数値モデリング及びコンピュータ支援設計ツールを含むがこれに限定されない幾つかのソフトウェアプログラムを利用し得る。
図6は、チャネル122への隔離ペン624の開口部から遠いポイントにおいて、隔離領域640内の隔離ペン624のベースに配置された1つの生体細胞(602)を有する1タイプの隔離ペンのモデルを示す。拡散の線610は、分離領域640から接続領域636を経てチャネル122への細胞602の分泌検体の拡散の軌跡を示す。接続領域を通しての拡散材料通路として、高濃度拡散線及びチャネル122へのフロー線形性を見ることができる。拡散率は、分泌検体の拡散係数により定義され、以下のようにモデリングすることができる。
特定の分泌検体の拡散係数Dは、
D=(1/f)kT (式1)
として定義され、式中、fは、摩擦係数であり、kは、ボルツマン定数であり、Tは、絶対温度である。摩擦係数fは、分泌検体が拡散している溶媒の粘度(η)並びに分泌検体のサイズ及び形状に依存する。球形を有する分泌検体が最小化された摩擦係数を有するが、抗体又は定義された構造制約を有する他のタンパク質等の非対称形状を有する分泌検体のfは大きくなる。更に、分泌検体が、分泌検体に関連する水素結合又は水和水等の溶媒との相互作用を有する場合にも、摩擦係数は大きくなる。幾つかの一般的な拡散係数を表2に示す。
分泌検体の拡散は、以下の式:
<x2>=qiDt (式2)
により表すことができ、式中、<x2>は、平均二乗変位であり、xは、時間tにわたる、選択された移動開始点からの平均距離である。qiの値は、拡散が1次元、2次元又は3次元で評価されているかに依存する。
これらの式を用いて、リポーター分子が、定義された構成の隔離ペン内外に拡散する時間及びRMSA複合体の時間をモデリングすることができ、これは、約150kDaの範囲内の分子量を有する抗体分泌検体について図7A及び図7Bに示されている。図7Bでは、曲線712は、分子量約2.5kDaのCPD3のような小ペプチドの挙動をモデリングし、ここで、小ペプチドは、25分〜30分以内に、チャネルから隔離ペン424、524、624等(図4A〜図4C、図5、図6のそれぞれ)のように構成された隔離ペン内に拡散し平衡することが可能なように計算される。これとは対照的に、曲線714は、分子量約45kDaを有するはるかに大きいCPD1の挙動をモデリングする。このより大きい分子は、溶媒と相互作用するより多くの機会を呈し、約45分〜約50分で平衡に達しない。
図7Bでは、424、624のように構成された隔離ペンからの拡散の場合の4つの異なる種の挙動が示される。このグラフでは、曲線716は、小ペプチドCPD3の場合での隔離ペン424、524、624等のように構成された隔離ペンからの計算された拡散率を示す。小ペプチドCPD3は、約25分までに隔離ペンから実質的になくなる。これとは対照的に、CPD3が分泌検体IgG(MS 150kDa)に結合する場合、曲線722(三角形)は、CPD3を含むRMSA複合体の計算された拡散挙動を示し、ここでは、60分後に小量のRMSA複合体が残っている。曲線718(菱形)は、CPD1(タンパク質A、45kDaタンパク質)の計算された拡散挙動を示し、したがって、これは、実質的に完全に拡散してなくなるのに50分を超える時間を要する。このタンパク質が分泌抗体(MW 150kDa)と複合体を形成する場合、曲線724(破線セグメント)は、CPD3:IgG複合体と同様に遅い拡散率を示し、60分後に複合体が依然として残っていることを示す。
図8Aは、リポーター分子の2つの異なる結合成分のそれぞれでのリポーター分子とRMSA複合体との差の計算を示す。曲線826は、RMSA複合体から生じる最大信号及び非結合リポーター分子に起因した最小信号を観測するための、CPD3:CPD3/IgG対での隔離ペン内の最大濃度差に向けたアッセイ時間最適化を示し、時間最適化は、マイクロ流体デバイスからいかなる拡散材料も搬出する、マイクロ流体チャネル内の媒体フローを回復させて約15分であるように見える。曲線826は、CPD1の拡散曲線を示し、隔離ペン内の、非結合CDP−1とCPD1を含有するRMSA複合体との間の濃度差を示し、最大差が後の時点、約25分後又はそれよりも後に出ることを示す。図8Bは、非結合CPD1の内部拡散(上のグラフ)及び外部拡散(下のグラフ)の実験時間を示し、計算された値間に妥当な相関を示す。これらの組のモデリング及び実行された実験は、特定の隔離ペン内の検体分泌のレベルを評価するために、実質的にリポーター分子:分泌検体複合体から検出可能な信号を観測するのに最適化された時点を見つけることが可能であることを示す。
拡散軸に沿った領域の選択。
図9A及び図9B並びに図10A及び図10Bは、アッセイ画像から定量測定(相対又は絶対のいずれか)を抽出する領域を特定するのに使用されるモデリング実験を示す。図9A及び図9Bでは、拡散フロー及びRMSA複合体から生成された蛍光信号強度のモデリングを実行して、隔離ペン424、524、624と同様のマイクロ流体デバイス900の隔離ペン924内の生体細胞902、904、906の位置の影響を考慮した。影響は、チャネル122への隔離ペン924の開口部から離れた隔離ペンのベース(0μm)から約25μmにある細胞902の位置を使用してモデリングされ、細胞904は、隔離ペン924のベースから約100μmの距離でモデリングされ、細胞906は、隔離ペン924のベースから約180μmの距離でモデリングされた(図9A及び図9Bの横軸を参照されたい)。各細胞は、モデリングを簡単にするために、線952で示された隔離ペンの開口部に向かう拡散軌道の中心軸に沿ってあるようにモデリングされる。これらの各位置は、隔離ペンの分離領域940内にあり、且つ隔離ペンの接続領域936から離れており、したがって、分離領域940内で細胞902、904、906から検出される信号強度がチャネル122内のフロー242からのフローの影響を受けないことを保証する。図9Aのy軸は、リポーター分子の正規化濃度を表す(又は等しくRMSA複合体、この実験は、検出される蛍光強度のみに依拠するため)。図9Aに示されるように、蛍光信号の強度(モデリングは、902、904、906が全て同じ率で分泌検体を産出しているという制約を含む)は、細胞902で最高であり、なぜなら、隔離ペン924のベースに近い位置に起因して、904、906よりも高い単一方向性で拡散しているためである。細胞904、906は、標識されたRMSA複合体を全方向に拡散させるより大きい容量を有する。このモデルにより特定されるのは、標識された種の濃度(例えば、RMSA複合体)変化に起因して、信号強度が蛍光信号強度変化の影響を最も受けやすく、且つ細胞902、904、906の厳密な位置の影響を最も受けにくい領域を識別し得ることであり、それは、図9A及び図9Bの両方に示されるように、隔離ペン924とチャネル122との間の拡散軸に沿って存在する領域944である。細胞位置の影響をあまり受けない領域944は、隔離ペン924内の生物学的微小物体の分泌検体の相対量又は絶対量の評価に使用される対象エリア(AOI)の少なくとも一部である。幾つかの実施形態では、AOIは、隔離ペン924及び/又はチャネル122の追加の部分を含み得る。
細胞の大きい集団に最適化された隔離ペン。
図10A及び図10Bは、構成の異なる隔離ペン1024での図9A及び図9Bに示されるのと同様に構築されたモデリング実験を示す。マイクロ流体デバイス1000の隔離ペン1024(隔離ペン224、226、228と同様)内の生体細胞1002、1004、1006の位置の影響が示される。影響は、チャネル122への隔離ペン1024の開口部から離れた隔離ペンのベース(0μm)から約25μmにある細胞1002の位置を使用してモデリングされ、細胞1004は、隔離ペン1024のベースから約100μmの距離でモデリングされ、細胞1006は、隔離ペン1024のベースから約180μmの距離でモデリングされた(図10A及び図10Bの横軸を参照されたい)。各細胞は、モデリングを簡単にするために、線1052で示された隔離ペンの開口部に向かう拡散軌道の中心軸に沿ってあるようにモデリングされる。これらの各位置は、隔離ペンの分離領域1040内にあり、且つ隔離ペンの接続領域1036から離れており、したがって、分離領域1040内で細胞1002、1004、1006から検出される信号強度がチャネル122内のフロー242からのフローの影響を受けないことを保証する。図10Aのy軸は、リポーター分子の正規化濃度を表し(又は等しくRMSA複合体、この実験は、検出される蛍光強度のみに依拠するため)、示される濃度の考察は、図9Aについて上述したものと同様である。このモデルにより特定されるのは、標識された種の濃度(例えば、RMSA複合体)変化に起因して、信号強度が蛍光信号強度変化の影響を最も受けやすく、且つ細胞1002、1004、1006の厳密な位置の影響を最も受けにくい領域を識別し得ることであり、それは、図10A及び図10Bの両方に示されるように、隔離ペン1024とチャネル122との間の拡散軸に沿って存在する領域1044である。細胞位置の影響をあまり受けない領域1044は、隔離ペン1024内の生物学的微小物体の分泌検体の相対量又は絶対量の評価に使用されるAOIの少なくとも一部である。幾つかの実施形態では、AOIは、隔離ペン1024とチャネルとの間の拡散軸に沿って位置する隔離ペン1024及び/又はチャネル122の追加の部分を含み得る。
幾つかの実施形態では、隔離ペンの幾何学的形状は、分泌検体の最適な拡散プロファイルを提供するように変更し得る。図11Aは、最適な拡散プロファイルを提供するように設計されたチャネル122及び隔離ペン1124、1126を含むマイクロ流体デバイス1100の一部を示す。特に、隔離ペン1124、1126は、多数の生物学的微小物体1102を収容することができる分離領域を有し、細胞1102の分泌検体の数量(相対又は絶対)を評価するに当たり使用されるより大きい信号強度を提供するに当たり有用であり得る。
幾つかの実施形態では、隔離ペン1124の分離領域1140は、0.1nLから100nLの範囲の容積を収容し得る。特定の実施形態では、図11Bに示されるように、分離領域1140は、6nLの容積を保持し得る。隔離ペン1124、1126は、100個、200個、300個、400個又は500個という多数の微小物体を収容することができる。幾つかの実施形態では、隔離ペンは、最大で300個〜400個の微小物体を収容し得る。
隔離ペン1124、1126は、それぞれ分離領域1140内の生物学的微小物体1102を接続領域1136から分離し、分泌検体がソース(例えば、検体を分泌する生物学的微小物体1102の1つ)から離れて拡散するのに十分な距離をもたらすように構成された接続領域1136を有する。この分離は、生物学的微小物体1102(例えば、自由に拡散していない)になお関連付けられたRMSA複合体からの局所信号の、予期される拡散軌道1130の線に沿った拡散軌道との干渉又は重複を低減する。この重複をなくすことにより、AOIの少なくとも一部又はAOI全体から生成される濃度値は、拡散する際の結合リポーター分子からの信号を表す。幾つかの実施形態では、接続領域1136は、分離領域1140に対する接続領域1136の制約により分離領域1140から分離される。幾つかの実施形態では、接続領域1136は、10μm〜30μmの範囲の幅及び40μm〜200μmの範囲の長さを有する。特定の実施形態では、接続領域1136は、20μmの幅であり、100μmから200μmの範囲の長さである。
図11Bは、隔離ペン1124内から接続領域1136を通してチャネル122に出る生物学的微小物体1102の分泌検体の力線1120及び濃度勾配線110を示す。接続領域1136の部分は、AOIの少なくとも一部として選択され得、細胞位置の影響をあまり受けず、且つアッセイ画像で観測される強度変動の影響もあまり受けない領域の部分であり得る。
対象エリア(AOI)の評価。
図12Aは、生物学的微小物体からの分泌検体の相対量又は絶対量を特定するためにデータが抽出されるAOIの概略表現を示す。AOI1250は、分離領域1240内の領域、接続領域1236(マイクロ流体デバイス1200内の隔離ペン1224の)内の領域及びチャネル122の一部を包含するように選択され、これらは、全て隔離ペン1224からチャネル122への拡散軸に沿って整列する。この実施形態では、フロー242は、マイクロ流体チャネル122内に存在し、AOI内に組み込まれるチャネルの部分内の任意の検出可能信号を低減する。隔離ペン内の、AOIが終了するポイントの選択は、検体を分泌し、検出可能な信号が発せられる生物学的物体1202との重複を回避するように行われる。図12Aに示されるように、拡散線1210は、接続領域1236に向けられ、接続領域1236に入る際、拡散軸と整列するようになる。接続勾配線1220も同様に示される。
図12Bは、マイクロ流体デバイス1200内の位置を示す、「327」という識別番号1260を有する隔離ペン1224のアッセイ画像を示す写真である。識別番号は、明視野と蛍光画像位置との相関付けを支援すると共に、ユーザが、選択された隔離ペンから細胞を選択し、操作し、搬出するのを支援する。図12Bの隔離ペン1224は、分離領域(標識されていない)内に存在する1つの生物学的微小物体1202を有する。アッセイ画像は、生物学的微小物体1202から発せられる、隔離ペン内の蛍光信号の幅広い量を明確に示す。AOI1250は、写真で重ねられて示され、拡散軸に沿って整列し、拡散器銅線1252に沿ってセンタリングされる。AOIは、20ピクセル幅であり、これは、接続領域126(図12Bにおいて標識されていない)の幅に応じて選択され、20のサブ領域に分割される。AOIは、各サブ領域に対して他のピクセルサイズを有し得、サブ領域の数は、約1個から約50個まで様々であり得る。AOIのサブ領域1254は、AOIの全てのサブ領域のチャネル122から最も離れて位置するサブ領域であるが、生物学的微小物体1202と重複しないように選択される。AOIの第2の端部におけるサブ領域は、サブ領域1258であり、チャネル122内に位置する。重要なことに、サブ領域1256の群は、図9A及び図9B並びに図10A及び図10Bの細胞位置集中領域944、1044であり、それから検出された蛍光を使用して、隔離ペン内の生物学的微小物体の分泌検体の相対量又は絶対量を評価する。
図12Cは、AOIにおいて検出された蛍光の図表現を示し、図12Cにおいて、横軸の値は、生物学的微小物体1202に最も近いAOIの端部におけるサブ領域であるサブ領域1(図12Bのサブ領域1254に対応する)及びチャネル122内のAOIの最も近い端部における、図12Bのサブ領域1258に対応するサブ領域20を表す。AOI内の検出された蛍光量は、分泌検体量に比例する。様々な数学的演算を使用して、分泌検体の相対量又は絶対量についての情報を抽出し得、様々な数学的演算について以下のセクションにおいて詳細に考察する。
アッセイ画像の正規化
アッセイ画像を処理して、分泌検体の相対量又は絶対量を評価することができるようになる前に生のアッセイ画像を正規化し得る。図13Aは、光源、光変調サブシステム(例えば、DMD)、画像捕捉デバイス(例えば、カメラ)等のシステム構成要素の変動及び非線形性等のエラーを示す生のアッセイ画像を示す。
フロー状況下で行われるアッセイの方法A。
一実施形態では、生のアッセイ画像は、暗基準画像及び信号基準画像両方の補正を生のアッセイ画像における各ピクセルから以下の式に従って減算することにより正規化し得る。
暗基準画像は、いかなる媒体もデバイスに流す前に、マイクロ流体デバイスを撮像することにより取得し得る。自己蛍光エラー及び他のシステムエラーは、各ピクセルで暗基準値を減算することにより補正することができる。信号基準画像は、ロールオフ、退色又はカメラエラーについて補正され得、流れているリポーター分子又はリポーター分子若しくは蛍光標識の平衡濃度に達するマイクロ流体デバイス全体にわたるリポーター分子のみにより取得される。生のアッセイ画像内の各ピクセルは、このように補正され得、それから定量化目的で蛍光データを抽出する。正規化されたアッセイ画像を図13Bに示す。
非フロー状況下で行われるアッセイの幾つかの実施形態の方法B。
正規化の最初のステップとして、上述したように、暗基準画像が、結合リポーター分子及び非結合リポーター分子が存在するマイクロ流体デバイスの画像から減算されて、「暗基準減算画像」を生成した。
2番目のステップとして、結合リポーター分子及び非結合リポーター分子が存在しない図13Aの生のアッセイ画像の部分(すなわちマイクロ流体デバイス内の隔離ペン及びチャネルを画定する壁)を自己蛍光減算画像から除去又は「マスキング」して、「マスク済み暗基準減算画像」を生成する。当業者に理解されるように、このステップは、自己蛍光の減算前に実行することもできる。
図13Aの正規化画像を生成する3番目のステップとして、マスク済み自己蛍光減算画像内の全てのピクセルに基づいて計算された大域的平均強度により、マスク済み自己蛍光減算画像内の各ピクセルの強度値で除算する。大域的平均強度で各ピクセルの強度値を除算することにより、各ピクセルの利得補正係数を含む画像又は同様のデータ構造(例えば、マトリックス)(「利得補正画像」)が画像の各ピクセルで生成される。利得補正画像を生成する他の方法も当業者に周知である。
図13Aに示される正規化画像を生成する4番目のステップとして、利得補正画像は、平滑化アルゴリズムを受けて、ランダムノイズを低減し得る。このステップは、方法の幾つかの実施形態で利用されないことがある。特に、利得補正画像は、各ピクセルの局所平均を生成するに当たり画像のマスキングされた部分を占める9ピクセル×9ピクセルボックスフィルタを使用するボックスフィルタ平滑化アルゴリズムを受けた。当業者が理解することができるように、平均フィルタリング、ガウスフィルタリング、勾配加重フィルタリング、シーケンス統計フィルタリング、ロバスト平滑化フィルタリング、クリミンス(Crimmins)ノイズ除去フィルタリング、エッジ保存フィルタリング及び自己適応メジアンフィルタリング等の他の平滑化アルゴリズムも使用可能である。
図13Bに示される正規化写真を生成する5番目のステップとして、平滑化利得補正画像を自己蛍光減算画像で乗算して正規化画像を生成し得る。
これらの方法は、同じ又は異なる順序で上記のステップ及び方法のいずれかを組み合わせ得る。
非フロー状況下で行われるアッセイの幾つかの実施形態の方法C。
結合RMSA複合体よりも高い拡散率に起因して、チャネル内の実質的に均一濃度の非結合リポーター分子に応じて、画像を正規化する別の方法を使用し得る。チャネルの輝度を使用して画像を正規化し、上述したエラーを補正し得る。
したがって、代替の実施形態では、ペンの基端におけるチャネル内の輝度を使用して図13Bの正規化画像を取得して、マイクロ流体デバイスの領域のビューにわたる輝度量の任意のばらつきを補正することができる。この正規化方法は、チャネルが存在するいかなる検体(又はいかなるRMSA複合体)も有すると予期されないことに依拠し、したがって、検体が存在しないマイクロ流体デバイスの任意のエリアを使用して実行することができる。
最初のステップとして、チャネル強度に基づいて正規化するために、内部にいかなる検体も存在が予期されないチャネルRの領域が各隔離ペンで識別される。幾つかの実施形態では、この領域Rは、ペンの上のチャネルのエリアに対応する予め定義される領域Rであり得る。他の実施形態では、各隔離ペンの領域Rは、他の情報に基づいて識別するか又は画像に基づいて計算することができる。
チャネルRの各領域について、輝度値BRが領域内のピクセルに基づいて計算される。輝度値を計算する前、輝度値の計算に使用される画像は、上述したように、減算、マスキング又は他の処理を行い得る。幾つかの実施形態では、BRは、領域R内のピクセルの平均輝度値である。
各領域Rの平均輝度値BRを計算した後、ペン及びチャネルの画像を一連のエリアAに分割し得、各エリアAは、各領域Rを包含する。このエリアは、領域RがエリアAの中心にあるように計算し得る。特定の実施形態では、エリアAは、各領域Rの質量中心のボロノイ図又はドロネー三角形分割を生成することにより計算し得る。他の実施形態では、各領域Rは、各エリアAの質量中心である必要はなく、マイクロ流体デバイスをセグメント化する予め定義されたエリアに基づいて計算することができる。各エリアAについて、利得補正係数は、エリアAに関連する領域Rの輝度値BRで最高輝度領域BRmaxに計算された最大輝度値を除算することに基づいて計算される。利得補正係数を使用して利得補正画像を生成し得、この画像を別の画像(例えば、自己蛍光減算画像)と乗算して、正規化画像を生成することができる。利得補正係数画像は、正規化に使用する前に上述したように平滑化することもできる。
アッセイ信号の定量化。
幾つかの実施形態では、RMPCの拡散プロファイルを使用して、隔離ペン内に存在するRMPC量を定量化し得る。拡散プロファイルは、ソースからチャネルに拡散する際のRMPCの濃度を表す一連の値(「濃度値」)を提供する。
AOIの識別後、他の変換を適用し得る。例えば、外れ値及び/又は異常ピクセルの破棄、他の形態の大域/局所的正規化、空間変換及びピクセルの空間の変換(例えば、多次元空間から二次元空間への又はこの逆への)により、各線内のピクセルを処理し得る。
実施形態に応じて、強度値を異なるように使用して濃度値を計算し得る。幾つかの実施形態では、AOIは、固定点でサンプリングされて、固定点での強度値に対応する濃度値の組を生成し得る。幾つかの実施形態では、AOIは、一連のセグメントでセグメント化し得、各セグメントのメジアン又は平均強度を計算し得る。実施形態及び必要とされる分解能の程度に基づいて、計算される濃度値の数は、わずか1でもあり得、及び拡散軌道を表す線内のピクセルの数ほど多数でもあり得る。
実施形態に応じて、濃度値を異なるように結合して、存在する結合リポーター分子からの信号量(及びしたがって分泌検体量)を定量化し得る。幾つかの実施形態では、濃度値をプロットして、濃度値が拡散プロファイルと一致した特性を示すか否かを評価し得る。実施形態に応じて、幾つかのアルゴリズムを使用して、線を濃度値にフィッティングし、線に関連する傾き及びエラー等の線の特性を計算し得る。適する線フィッティングアルゴリズムとしては、最小二乗、多項式フィッティング、曲線フィッティング及び相補誤差関数(erfc)フィッティングが挙げられる。他のアルゴリズムも当技術分野で知られている。蛍光強度値を変換して濃度値を取得する方法について、より詳細に以下に説明する。
図14Aは、識別番号「1107」を有する1つの隔離ペン1424のアッセイ画像(写真)であり、予期される拡散軌道の線1452が示されている。AOI1450は、アッセイ画像に射影され、この例では、幅約12ピクセルを有し、線により定義される軸に沿って20の等しいセグメント(セグメントは図示されず)にセグメント化された。20の等しいセグメントのそれぞれのメジアン強度を計算し、図14Bのグラフにおいて濃度値としてプロットした。グラフの横軸には、セグメント番号1〜20がソース(すなわち分泌検体を分泌している細胞)からの距離に従って付番され、低い番号を有するセグメント番号は、チャネルから最も離れた隔離ペンの領域内の細胞に最も近いAOIのセグメントを表す。
図14Bは、前の段落及び以下の他のセクションにおいて考察される方法に従って生成された隔離ペンの組の濃度値を表す一連の曲線を示す。図14Bに示される一連の曲線を生成するために、各隔離ペンに生成された濃度値は、隔離ペン内の細胞数に基づいて正規化されなかった。しかし、代替の実施形態では、濃度値及びその結果生成される曲線は、各隔離ペン内の細胞数に基づいて正規化し得る。図14Bに示されるように、各ペンの曲線(濃度値の)の傾きを使用して、各隔離ペン内に存在する分泌検体の相対量を評価し得る。換言すれば、傾きは、隔離ペンをランク付けし、互いに相対して並べることができるようなスコアとして使用し得、「傾き」及び「スコア」は、本明細書における幾つかの実施形態では、同義で使用し得る。幾つかの場合、スコアは、分泌スコアと呼ばれることもある。より詳細には、分泌検体が、隔離ペンに存在する生物学的微小物体(例えば、細胞)により産出される場合、傾きを使用して、分泌検体(例えば、抗体を分泌する細胞の相対能力)を産出する、各隔離ペン内の細胞の相対能力を評価し得る。後述するように、分泌検体の相対量又は絶対量は、隔離ペン内の細胞の位置が集中し、且つ観測された蛍光強度のばらつきの影響を最も受けやすいAOIのサブ領域(例えば、図12Bの領域1256、図10A及び図10Bの1044並びに図9A及び図9Bの944)内の全てのポイントの合算を含め、様々な方法を使用して計算し得る。
加えて、曲線の形状を評価して、各ペンの濃度値が予期されるパラメータに一致するか否か、又は系統的なエラーを示すか否かを評価し得る。例えば、図14Bにおいて「ペン1497」と標識された曲線の形状は、他の隔離ペンで観測された曲線の形状に対応しない一方、「ペン1107」と標識された曲線の形状は、予期された拡散プロファイルに対応する。図14Aに示されるように、ペン1107は、隔離ペンからチャネルまでリポーター分子の可視の勾配を有し、それにより、予期された拡散プロファイルに対応した曲線になる。図14Cに示されるように、識別番号ペン1497を有する隔離ペン1426は、予期される拡散軌道の線1452及びAOI1450を有する。しかし、隔離ペン1426は、気泡を含むチャネルの近くにあり、気泡のメニスカス1401は、白色楕円として画像に現れる。気泡の存在により、図14Bに示されるペン1497の曲線は変形する。様々な実施形態では、線形回帰を適用し得るセグメント化AOIの領域は、セグメント(サブ領域)9〜13であるように選択し得、上述したように、接続領域の部分を包含し、蛍光強度のばらつきの影響を最も受けやすく、且つ隔離ペン内の生物学的微小物体の位置の影響を最も受けにくいものとして識別されている。
図15は、マイクロ流体デバイス内の複数の隔離ペンから得られる、本明細書に記載される任意の方法を介して導出された強度値(及びしたがって濃度値)を表す複数の曲線のオーバーレイを示す。グラフの縦軸にプロットされた各曲線内の各点の強度値は、オーバーレイを容易にするために正規化されている。横軸に沿った値は、ゼロに等しい「y」の値で開始され、各AOIのy次元での最初のピクセルを表す(且つ図9A及び図9B、図10A及び図10B、図12A及び図12b並びに図14A及び図14Cに示されるAOIと同様に、マイクロ流体デバイスのチャネル内且つ隔離ペンの外部に物理的に位置する。「200」と標識された横軸に沿った点は、複数の隔離ペンの各AOI内の最後のピクセルに対応し、検体を分泌している細胞及びしたがってRMPCからの検出可能な信号が発せられるソースに最も近いAOIの境界である。隔離ペン内の細胞の位置の影響を最も受けにくく、且つ蛍光強度のばらつきの影響を最も受けやすいAOIの部分1544から得られた濃度値は、示されるように、約90から約130の間のy値に関連する曲線の部分に示されている。この領域に線形を課し、その傾きを抽出する数学的演算がデータの状態を密に表すことを見て取ることができる。
それぞれが別個の隔離ペンに配置された1つの細胞から導出された数千のクローン集団を含むナノ流体デバイスにわたりアッセイを実行することにより、各クローン集団の定量化を提供することができる。図16A及び図16Bに示されるように、希な高生産クローンを発見する能力が強化される。細胞のランダム分泌プールからの力価の分布がポアソン統計により良好に記述されると仮定される場合、力価分布は、ガンマ分布に合うはずである。図16Aでは、(スコアから得られ、複数の各隔離ペンに存在する細胞数について正規化され、任意の単位(A.U.)で表された力価の棒グラフ分布に重ねられた曲線は、良好な一致を示す。クローン集団の大半は、50A.U.未満から100A.U.未満の検体を表し、250A.U.以上の高範囲には非常に少数の個々の力価がある。同じデータは、ここで、成長率に対して(横軸に沿った)相対的な特定の生産性をプロットして示される。グラフに重ねられた曲線は、一定力価の線を示し、ここでも、クローンの大半が、成長が速いクローンであるか又は遅いクローンであるかに関係なく、100A.U.未満において検体を発現し、細胞株の発展に求められる望ましい高生産クローンでないことを示す。領域1670、1680及び1690内で識別される少数のクローンは、希な高生産クローンである。しかし、これらのクローンは、元々播種された1つの細胞から生じた最高生産クローンではない。これらの細胞がウェルプレート又は振とうフラスコ等のより大きい成長環境の一環として他の細胞と混合された場合、これらの希な高生産クローンは、より高速に成長し、生産性のより低いクローンの異常増殖を受ける可能性が最も高い。増殖させる単一の細胞セットをランダムに選択しようとする場合、これらのクローンを識別しようとすることは、播種確率を有するために必要な細胞数を成長させるために、リソースの大量の入力を用いた大量のサンプリング努力が必要である。本明細書に提供されるシステムでは、力価(又はスコア)は、全てのクローン集団で取得し得、生産性の高いクローンの物理的位置は既知である(以下の図21を参照されたい)。更に、選択されたクローンのみを選択し、更なる増殖/サブクローニングのために物理的に移動させ得、選択及び移動が個々に実行されて、他の細胞集団による汚染を回避し得る。元々播種された細胞から生じた全てのクローンをスクリーニングする機会は、所望の検体を分泌する細胞をスクリーニングし選択するプロセスの大きい改善を提供する。
方法。
生物学的微小物体又はそれから生成される生物学的微小物体の集団の検体の分泌のレベルを評価する方法が提供され、この方法は、生物学的微小物体をマイクロ流体デバイスの隔離ペンに導入することであって、マイクロ流体デバイスは、フロー領域を有するエンクロージャを含み、隔離ペンは、フロー領域に流体的に接続され、隔離ペンは、第1の流体媒体を含む、導入することと、生物学的微小物体又はそれから生成される生物学的微小物体の集団に、隔離ペン内の第1の流体媒体内に検体を分泌させることと、第2の流体媒体をフロー領域に導入することであって、第2の流体媒体は、複数のリポーター分子を含み、各リポーター分子は、分泌検体に結合するように構成される結合成分、及び検出可能な標識を含む、導入することと、複数のリポーター分子の一部を隔離ペン内に拡散させ、且つそこに分泌された検体に結合させ、それにより、複数のリポーター分子:分泌検体(RMSA)複合体を生成することと、マイクロ流体デバイス内の対象エリア内に位置するリポーター分子を検出することであって、対象エリアは、隔離ペンの少なくとも一部を含む、検出することとを含む。
幾つかの実施形態では、フロー領域も第1の流体媒体を含み得る。他の実施形態では、フロー領域は、第1の流体媒体と異なる流体媒体を含み得る。
幾つかの実施形態では、リポーター分子は、分泌検体と結合し得、それにより、化学量論1:1、2:1、3:1、4:1、2:2、4:2等のリポーター分子:分泌検体のRMSA複合体を有するRMSA複合体を形成する。
検体の分泌のレベルを評価する方法の様々な実施形態では、リポーター分子を検出することは、非結合リポーター分子を検出することと、RMSA複合体の一部であるリポーター分子を検出することとを含み得る。
様々な実施形態では、隔離ペンは、分離領域及び分離領域をフロー領域に流体的に接続する接続領域を有し、分離領域及び接続領域は、分離領域内の流体媒体の成分が、実質的に拡散によってのみフロー領域内の流体媒体の成分と交換されるように構成される。
検体の分泌のレベルを評価する方法の様々な実施形態では、方法は、隔離ペン内の生物学的微小物体を増殖させて、生物学的微小物体のクローン集団にすることを更に含む。
様々な実施形態では、方法は、培養媒体でフロー領域を灌流させることを更に含み得、灌流は、生物学的微小物体を隔離ペンに導入した後且つ第2の流体媒体をフロー領域に導入する前に行われる。幾つかの実施形態では、培養媒体は、第1の媒体と同じであり得る。
様々な実施形態では、培養媒体は、可溶性フィーダ細胞成分、定義された溶解酸素成分、定義されたpH成分、排出成長媒体成分及び/又は可溶性刺激成分の1つ又は複数を含み得る。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイス内で培養されている細胞の生存性は、マイクロ流体デバイス内での細胞培養を刺激又は他の方法でサポートする補助生体分子を提供するフィーダ細胞の上清培養媒体の一部を含むことにより改善し得る。フィーダ細胞自体は、マイクロ流体デバイス内に存在しなくてもよく、標準反応容器内で培養し得る。フィーダ細胞の存在により調整された培養媒体の一部の収穫及びマイクロ流体デバイスへの輸送を実行し得る。他の実施形態では、溶解酸素量を測定し、必要に応じて変更し得、これは、培養ウェルプレート、振とうフラスコ等でのそのような調整と比較して、本明細書に記載されるマイクロ流体環境内の容易なプロセスであり得る。幾つかの他の実施形態では、マイクロ流体環境内の培養媒体のpHを監視して変更し得、ここでも、標準的に使用されるプラスチック製品よりも容易なプロセスである。
更に他の実施形態では、消費された成長媒体をマイクロ流体環境に追加し得、これは、マイクロ流体環境内のいずれのクローンがなおより容易に分泌検体を生成し得るか、又はウェルプレート、振とうフラスコ及びバイオリアクタを含み得る様々なタイプの反応容器のスケールアップ環境の近似に使用し得るかを分析する選択機構として機能することができる。更に他の実施形態では、マイクロ流体環境内の細胞を刺激して、刺激成分の導入前よりも高速で検体を生成するか、又は異なる検体を生成し得る抗体(CD28を含むがこれに限定されない)、サイトカイン、成長因子等の可溶性刺激成分である。他の実施形態では、細胞が互いに及びペンに付着するのを防ぐように構成された1つ又は複数の化合物及び/又は試薬を培養媒体に追加し得る。
幾つかの実施形態では、培養媒体へのこれらの追加の1つ又は複数は、隔離ペン内の細胞の1つ又は複数に選択的圧力を与え得る。
様々な実施形態では、第2の流体媒体をフロー領域に導入することは、第1の時間期間にわたり、フロー領域を通して第2の流体媒体を流すことを含む。幾つかの実施形態では、第1の時間期間は、非結合リポーター分子の拡散プロファイルのモデリングに基づき得る。幾つかの実施形態では、第1の時間期間は、約30分から約60分であり得る。
方法は、第3の流体媒体をフロー領域に導入することであって、第3の流体媒体は、リポーター分子を含まない、導入することと、非結合リポーター分子の少なくとも一部を隔離ペンから拡散させることとを更に含み得、対象エリア内のリポーター分子を検出することは、隔離ペンから拡散した非結合リポーター分子の量が、隔離ペンから拡散したRMSA複合体の量の少なくとも2倍だけ大きいように選択された時間において行われる。検出することは、非結合リポーター分子を検出することと、RMSA複合体の一部であるリポーター分子を検出することとを含み得る。様々な実施形態では、第3の流体媒体をフロー領域に導入することは、第2の時間期間にわたり、フロー領域を通して第3の流体媒体を流すことを含み得る。幾つかの実施形態では、第2の時間期間は、非結合リポーター分子及びRMSA複合体の拡散プロファイルのモデリングに基づいて選択され得る。
様々な実施形態では、対象エリアは、隔離ペン内からフロー領域への拡散軸に沿って整列された隔離ペンの少なくとも一部を含み得る。様々な実施形態では、対象エリア内に位置するリポーター分子を検出することは、対象エリアから到来する検出可能な信号の強度を測定することを含み得、検出可能な信号の少なくとも幾つかは、対象エリア内に位置するリポーター分子の検出可能な標識から発せられる。幾つかの実施形態では、検出可能な信号の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又はそれを超えるものは、対象エリア内に位置するリポーター分子の検出可能な標識から発せられる。幾つかの実施形態では、対象エリア内に位置するリポーター分子を検出することは、検出可能な信号の測定された強度から背景信号の強度を減算することにより、背景減算信号強度を特定することを更に含み得る。背景信号は、リポーター分子が検出されるたびに測定しなくてもよい。幾つかの実施形態では、背景信号は、既知/標準の状況(例えば、チップタイプ、チップ内の隔離ペンの位置、検出可能な標識のタイプ、第1の流体媒体の成分)に基づいて予め決定し得る。
方法は、生物学的微小物体を隔離ペンに導入する前の時間において、対象エリア内の背景信号の強度を測定することを更に含み得る。様々な実施形態では、検出可能な信号の測定された強度又は背景減算信号強度は、隔離ペン内で観測された細胞数について正規化され得る。
様々な実施形態では、方法は、検体の分泌のレベルを定量化することを更に含み得る。産出物の分泌のレベルを定量化することは、いずれも視野内のビネットについて正規化し得る検出可能な信号の測定強度又は背景減算信号強度等の任意の幾つかの測定に基づき得る。方法は、隔離ペンの分泌スコアを提供することを更に含み得る。分泌スコアは、検出及び/又は正規化された蛍光信号を処理する方法を記載する以下のセクションにおける任意の方法により特定し得る。
様々な実施形態では、分泌検体は、リポーター分子の分子量の少なくとも2倍の大きさの分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、分泌検体は、リポーター分子の分子量の少なくとも4倍だけ大きい分子量を有し得る。他の実施形態では、分泌検体は、リポーター分子の分子量の少なくとも10倍だけ大きい分子量を有し得る。
様々な実施形態では、リポーター分子の結合成分は、少なくとも1つのアミノ酸及び/又は少なくとも1つ核酸を含み得る。幾つかの実施形態では、リポーター分子の結合成分は、ペプチド又はタンパク質を含み得る。幾つかの実施形態では、リポーター分子の結合成分は、配列番号1から10のいずれか1つの配列を有するペプチドを含み得る。幾つかの他の実施形態では、リポーター分子の結合成分は、タンパク質A、タンパク質G又はタンパク質A若しくはタンパク質GのIgG結合断片を含む。様々な実施形態では、リポーター分子の結合成分は、アプタマーを含み得る。
様々な実施形態では、検出可能な標識は、可視標識、発光標識、リン光標識又は蛍光標識を含み得る。幾つかの実施形態では、検出可能な標識は、蛍光標識であり得る。
様々な実施形態では、生物学的微小物体によって分泌される検体は、タンパク質、サッカリド、核酸、タンパク質、サッカリド若しくは核酸以外の有機分子、小胞又はウィルスを含み得る。幾つかの実施形態では、生物学的微小物体によって分泌される検体は、抗体であり得る。他の実施形態では、生物学的微小物体によって分泌される検体は、抗体以外のタンパク質であり得る。
様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスは、複数の隔離ペンを含み得、配置するステップは、生物学的微小物体を複数の隔離ペンの少なくとも一部内に配置することを含み得る。様々な実施形態では、方法は、複数の隔離ペンのうちの隔離ペンのサブセットの各隔離ペンの分泌のレベルを比較するステップを更に含み得る。方法は、複数の隔離ペンのうちの2つ以上の隔離ペンのスコアを比較するステップを更に含み得る。幾つかの実施形態では、方法は、分泌のレベルを定量化するステップを更に含み得る。様々な実施形態では、方法は、複数の隔離ペンのうちの1つ又は複数を選択するステップと、生物学的微小物体又はそれから生成される生物学的微小物体の集団を選択された1つ又は複数の隔離ペンから搬出するステップとを更に含み得る。様々な実施形態では、この方法は、その結果生成されたサブクローン集団を更に増殖させてアッセイすることにより、サブクローニング及びサブクローンの比較分析を可能にする。これは、選択されたクローン集団をマイクロ流体デバイス内の別の隔離ペンの組に移し、選択された集団の個々の各細胞を再び増殖させることにより達成し得る。他の実施形態では、方法は、選択された生物学的微小物体又はそれから生成される生物学的微小物体の集団をマイクロ流体デバイスから搬出するステップを更に含み得る。様々な実施形態では、隔離ペンからチャネルに又は隔離ペン及び/又はチャネルからマイクロ流体デバイスを出て搬出するステップは、選択された各隔離ペンで個々に実行し得る(例えば、選択された隔離ペンの組からの細胞は、一度に隔離ペン1つずつで一連の搬出ステップで搬出され得る)。幾つかの実施形態では、隔離ペン内に配置された細胞は、以前にアッセイされた隔離ペンからのものであり得、サブクローニング及びサブクローンの比較分析を可能にする。例えば、特定の抗体の絶対値又は相対値を使用して、高容量の特定の抗体を生成する細胞を選択し増殖させ得る。同様に、タンパク質(例えば、IgG領域を有する抗体)の群の絶対値又は相対値を使用して、高容量の抗体を生成する細胞を選択し増殖させ得る。幾つかの実施形態では、分泌検体量を表す相対値又は絶対値に関連する隔離ペンからの全ての細胞が選択され、同じ隔離ペン内又はチップの他の包含エリアで増殖する。他の実施形態では、分泌検体量を表す相対値又は絶対値に関連する同じ隔離ペンからの細胞の1つ又は複数が選択され、異なる隔離ペン内で増殖する。幾つかの実施形態では、相対値又は絶対値を生成する上記のステップは、増殖した細胞に対して繰り返し実行し得る(1回、2回、3回、4回又はそれを超える回数)。
別の実施形態では、この方法の適用により、繰り返されるアッセイからのフィードバックを用いて、細胞への特定の状況の影響を調べることができる。例えば、分泌検体の大規模集団により密に関連する状況及び材料を使用して、更に調べるのに最も適するクローンを発見し且つ特徴付け得る。別の例では、B細胞抗体刺激への多様な刺激プロトコールをより高い再現性で調べ得、他のプロトコールよりも優れたあるプロトコールの利点をより同等に評価するためにアッセイし得る。
ここで、図17を参照すると、図17は、本開示の幾つかの実施形態による隔離ペン内に存在する分泌検体量を定量化するために実行される機能を示す。
枠1702において、分泌検体を生成する生物学的微小物体は、マイクロ流体デバイス内の1つ又は複数の隔離ペン内に維持される。例えば、生物学的微小物体は、隔離ペン内で培養され得、又は光学的に作動し得る、重力及び/又は誘電泳動力を含む様々な手段を使用して隔離ペンに装填され得る。各ペンは、単一の生物学的微小物体又は複数の生物学的微小物体を含み得る。複数の生物学的微小物体は、単一の生物学的微小物体から生成される生物学的微小物体のクローン集団(例えば、細胞のクローン集団)であり得、又は生物学的微小物体の異種集団であり得る。
枠1704において、信号成分及び分泌検体に結合する結合成分を有するリポーター分子がチャネル又は隔離ペンに提供される。例えば、リポーター分子は、チャネルに流入して、チャネルへの隔離ペン開口部内に拡散し得る。リポーター分子をチャネルに提供する他の手段を使用することもできる。
枠1706において、リポーター分子は、非結合状態で定常状態濃度平衡に達するまでマイクロ流体デバイス内(例えば、チャネル及び隔離ペン内)に拡散する。リポーター分子の分子量に応じて、定常状態濃度平衡を達成するのに必要な時間量は様々であり得る。
枠1708において、リポーター分子は、隔離ペンに存在する分泌検体に結合する。幾つかの実施形態では、チャネル内でフローが再開され、非結合リポーター分子を隔離ペン外に拡散させる。
枠1710において、非結合リポーター分子及びRMSA複合体を含む隔離ペン及びチャネルの画像が生成される。リポーター分子の信号成分に応じて、マイクロ流体デバイスを特定の光に露出させる(例えば、蛍光体又は特定の周波数の光に露出させる)か、又は追加の試薬を導入して信号成分を可視化する必要があり得る。
枠1712において、隔離ペン及びチャネルの画像が分析されて、隔離ペンに存在する分泌検体の量を計算する。
ここで、図18を参照すると、図18は、本開示の幾つかの実施形態による分泌検体量を表す絶対値又は相対値を計算するために実行される機能を示す。
枠1802において、チャネル及び隔離ペンを含むマイクロ流体デバイスの画像が正規化されて、系統的エラーを補正する。上述したように、系統的エラーの補正のために様々な異なる正規化アルゴリズムが使用可能である。幾つかの実施形態では、利得補正係数を使用して画像を正規化する。幾つかの実施形態では、隔離ペンに隣接するチャネルに存在する蛍光信号の量を使用して画像を正規化する。幾つかの実施形態では、自己蛍光画像は、正規化中、マイクロ流体デバイスの画像から減算される。
枠1804において、ペン内の分泌検体のソース(例えば、ペン内の細胞)から、ペンに近いチャネルへの予期される拡散軌道の軸を表す線が識別される。予期される拡散軌道の軸に沿って整列したAOIが識別され、隔離ペン内からチャネル内に延在する。AOIの少なくとも一部は、信号強度の影響を最も受けやすく、同時に隔離ペン内の細胞位置の影響を受けにくい領域を含む。上述したように、AOI及び信号の影響を最も受けやすい/細胞位置の影響を受けにくい各領域は、隔離ペンの幾何学的形状、ペン内の分泌検体のソースの位置、分泌検体の分子量及びチャネル内のフローの存在(又は不在)を含むがこれらに限定されない幾つかの異なるパラメータを計算的にモデリングすることにより特定し得る。
枠1806において、細胞位置の影響を受けにくく、且つ信号変動の影響を最も受けやすいAOIの少なくとも一部を含むAOIに基づいて1つ又は複数の濃度値が生成される。実施形態によれば、濃度値は、AOI内のピクセルのサンプリング又はピクセル群へのAOIのセグメント化に基づいて計算され得る。
枠1808において、1つ又は複数の濃度値を使用して、各隔離ペンに存在する分泌検体量を表す相対値又は絶対値を計算する。上述したように、所与の隔離ペンに計算された1つ又は複数の濃度値は、各隔離ペンに存在する生物学的微小物体(例えば、細胞)の数に基づいて正規化し得る。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の濃度値を使用して、分泌検体のソースからチャネルへの拡散プロファイルを表す曲線又は他の複合値を生成し得る。これらの実施形態では、濃度値(又は他の複合値)の曲線にフィッティングされた線の傾きは、隔離ペンに関連する分泌スコアを評価し得、他の隔離ペンに対する各隔離ペンに存在する分泌検体量(すなわち分泌検体の相対値)の評価に使用し得る。
別の態様では、クローン株成長の方法が提供され、方法は、生物学的微小物体をマイクロ流体デバイスの複数の隔離ペンのそれぞれに導入することであって、マイクロ流体デバイスは、フロー領域を有するエンクロージャを更に含み、複数のうちの隔離ペンのそれぞれは、フロー領域に流体的に接続され、且つ第1の流体媒体を含む、導入することと、各生物学的微小物体又はそれから生成される生物学的微小物体のクローン集団に、対応する隔離ペンに含まれる第1の流体媒体に検体を分泌させることと、第2の流体媒体をフロー領域に導入することであって、第2の流体媒体は、複数のリポーター分子を含み、各リポーター分子は、分泌検体に結合するように構成される結合成分、及び検出可能な標識を含む、導入することと、複数のリポーター分子の一部を複数のうちの各隔離ペンに拡散させ、且つそこで分泌された検体の少なくとも一部に結合させ、それにより、複数の隔離ペンのそれぞれにおいて複数のリポーター分子:分泌検体(RMSA)複合体を生成することと、複数のうちの各隔離ペンについて、対応する対象エリアから発せられる信号の強度を検出することであって、対象エリアは、対応する隔離ペンの少なくとも一部を含み、対象エリアから発せられる信号の少なくとも一部は、対象エリア内に位置するリポーター分子の検出可能な標識から発せられる、検出することと、複数のうちの各隔離ペンについて、対応する対象エリアから発せられた検出された信号強度に基づいてスコアを決定することと、複数の隔離ペンから隔離ペンの組を選択することであって、その組の各隔離ペンは、それに含まれる生物学的微小物体又はクローン集団がトップ検体生成者であることを示すスコアを有する、選択することと、マイクロ流体デバイスから、選択された隔離ペンの組の各隔離ペン内に含まれる1つ又は複数の生物学的微小物体を搬出することと、対応する反応容器内において、選択された隔離ペンの組の各隔離ペンから搬出された1つ又は複数の生物学的微小物体を増殖させることと、それぞれの対応する反応容器内で分泌された検体のレベルを特定し、それにより、各生物学的微小物体又はクローン集団の分泌のレベルを特定することとを含む。トップ検体生成者は、生成者の上位50%の1つであり得る。幾つかの実施形態では、トップ検体生成者は、上位55%、上位60%、上位65%、上位70%、上位75%、上位80%、上位85%、上位90%、上位92%、上位94%、上位95%、上位96%、上位97%、上位98%、上位99%又はそれを超える生産クローンの中の率で検体を生成する。代替的に、トップ生成者は、閾値量よりも大きい検体を生成することができる。
様々な実施形態では、スコアは、対応する対象エリアから発せられた信号の強度であり得、又は対応する対象エリアから発せられた信号の強度に基づいて計算され得る。
複数のうちの各隔離ペンは、分離領域及び分離領域をフロー領域に流体的に接続する接続領域を有し得、分離領域及び接続領域は、分離領域内の流体媒体の成分が、実質的に拡散によってのみフロー領域内の流体媒体の成分と交換されるように構成され得る。
様々な実施形態では、方法は、複数のうちの幾つか又は全ての隔離ペン内の個々の生物学的微小物体を増殖させて、生物学的微小物体のクローン集団にすることを更に含む。様々な実施形態では、方法は、培養媒体でフロー領域を灌流させることを更に含み、灌流は、個々の生物学的微小物体を複数の隔離ペンに導入した後且つ第2の流体媒体をフロー領域に導入する前に行われる。培養媒体は、第1の媒体と同じであり得る。灌流は、連続して又は断続的に実行され得る。
幾つかの実施形態では、培養媒体は、可溶性フィーダ細胞成分、定義された溶解酸素成分、定義されたpH成分、排出成長媒体成分及び/又は可溶性刺激成分の1つ又は複数を含み得る。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイス内で培養されている細胞の生存性は、マイクロ流体デバイス内での細胞培養を刺激又は他の方法でサポートする補助生体分子を提供するフィーダ細胞の上清培養媒体の一部を含むことにより改善し得る。フィーダ細胞自体は、マイクロ流体デバイス内に存在しなくてもよく、標準反応容器内で培養し得る。フィーダ細胞の存在により調整された培養媒体の一部の収穫及びマイクロ流体デバイスへの輸送を実行し得る。他の実施形態では、溶解酸素量を測定し、必要に応じて変更し得、これは、培養ウェルプレート、振とうフラスコ等でのそのような調整と比較して、本明細書に記載されるマイクロ流体環境内の容易なプロセスであり得る。幾つかの他の実施形態では、マイクロ流体環境内の培養媒体のpHを監視して変更し得、ここでも、標準的に使用されるプラスチック製品よりも容易なプロセスである。
更に他の実施形態では、消費された成長媒体をマイクロ流体環境に追加し得、これは、マイクロ流体環境内のいずれのクローンがなおより容易に分泌検体を生成し得るか、又はウェルプレート、振とうフラスコ及びバイオリアクタを含み得る様々なタイプの反応容器のスケールアップ環境の近似に使用し得るかを分析する選択機構として機能することができる。更に他の実施形態では、マイクロ流体環境内の細胞を刺激して、刺激成分の導入前よりも高速で検体を生成するか、又は異なる検体を生成し得る抗体(CD28を含むがこれに限定されない)、サイトカイン、成長因子等の可溶性刺激成分である。他の実施形態では、細胞が互いに及びペンに付着するのを防ぐように構成された1つ又は複数の化合物及び/又は試薬を培養媒体に追加し得る。
方法の様々な実施形態では、第2の流体媒体をフロー領域に導入することは、第1の時間期間にわたり、フロー領域を通して第2の流体媒体を流すことを含み得る。第1の時間期間は、非結合リポーター分子の拡散プロファイルのモデリングに基づいて選択され得る。幾つかの実施形態では、第1の時間期間は、約30分から約60分であり得る。
様々な実施形態では、方法は、第3の流体媒体をフロー領域に導入することであって、第3の流体媒体は、リポーター分子を含まない、導入することと、非結合リポーター分子の少なくとも一部を隔離ペンから拡散させることとを更に含み、複数のうちの各隔離ペンの対応する対象エリアから発せられる信号の強度を検出することは、隔離ペンから拡散した非結合リポーター分子の量が、隔離ペンから拡散したRMSA複合体の量の少なくとも2倍だけ大きいように選択される時間において行われる。幾つかの実施形態では、第3の流体媒体をフロー領域に導入することは、第2の時間期間にわたり、フロー領域を通して第3の流体媒体を流すことを含み得る。幾つかの実施形態では、第2の時間期間は、非結合リポーター分子及びRMSA複合体の拡散プロファイルのモデリングに基づいて選択され得る。幾つかの実施形態では、第2の時間期間は、約20分から約50分であり得る。
方法の様々な実施形態では、対象エリアは、隔離ペン内からフロー領域への拡散軸に沿って整列された隔離ペンの少なくとも一部を含み得る。
方法の様々な実施形態では、複数のうちの各隔離ペンの対応する対象エリアから発せられた信号の強度を検出することは、検出可能信号の測定された強度から背景信号の強度を減算して、背景減算信号強度を特定することを含み得る。背景信号は、リポーター分子が検出されるたびに測定しなくてもよい。幾つかの実施形態では、背景信号は、既知/標準の状況(例えば、チップタイプ、チップ内の隔離ペンの位置、検出可能な標識のタイプ、第1の流体媒体の成分)に基づいて予め決定し得る。
様々な実施形態では、方法は、生物学的微小物体を隔離ペンに導入する前の時間において、複数のうちの各隔離ペンの対応する対象エリア内の背景信号の強度を測定することを更に含み得る。幾つかの実施形態では、検出可能な信号の測定された強度又は背景減算信号強度は、対応する隔離ペン内で観測された細胞数について正規化され得る。
様々な実施形態では、複数の隔離ペンのスコアは、検出及び/又は正規化された蛍光信号を処理する方法を記載する以下のセクションにおける任意の方法により特定される。
様々な実施形態では、分泌検体は、リポーター分子の分子量の少なくとも2倍の大きさの分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、分泌検体は、リポーター分子の分子量の少なくとも4倍だけ大きい分子量を有し得る。他の実施形態では、分泌検体は、リポーター分子の分子量の少なくとも10倍だけ大きい分子量を有し得る。
様々な実施形態では、リポーター分子の結合成分は、少なくとも1つのアミノ酸及び/又は少なくとも1つ核酸を含み得る。幾つかの実施形態では、リポーター分子の結合成分は、ペプチド又はタンパク質を含み得る。幾つかの実施形態では、リポーター分子の結合成分は、配列番号1から10のいずれか1つの配列を有するペプチドを含み得る。幾つかの他の実施形態では、リポーター分子の結合成分は、タンパク質A、タンパク質G又はタンパク質A若しくはタンパク質GのIgG結合断片を含み得る。様々な実施形態では、リポーター分子の結合成分は、アプタマーを含み得る。
様々な実施形態では、検出可能な標識は、可視標識、発光標識、リン光標識又は蛍光標識を含み得る。幾つかの実施形態では、検出可能な標識は、蛍光標識であり得る。
様々な実施形態では、生物学的微小物体によって分泌される検体は、タンパク質、サッカリド、核酸、タンパク質、サッカリド若しくは核酸以外の有機分子、小胞又はウィルスを含み得る。幾つかの実施形態では、生物学的微小物体によって分泌される検体は、抗体であり得る。他の実施形態では、生物学的微小物体によって分泌される検体は、抗体以外のタンパク質であり得る。
様々な実施形態では、反応容器は、ウェルプレート内のウェル、振とうフラスコ又はバイオリアクタであり得る。反応容器は、約20μL超、約100μL超、約1mL超、約10mL超、約100mL超、約1L超又はそれを超える容積を有し得る。バイオリアクタは、以下の特徴の1つ又は複数を有し得る:O2及びCO2の独立制御を用いたpH及び溶解酸素(DO)の閉ループ制御、20L、50L、50ガロン(約189L)、200ガロン(約757L)又はそれを超える容積を有し得る分泌検体の大量生産に使用されるリアクタの環境をより密に近似し得る、リアクタ準備、播種、塩基添加及びサンプリングの自動液体処理。バイオリアクタは、10mL又は15mL(例えば、ambr15(商標)(TAP Biosystems)バイオリアクタ)等の比較的小量を有し得る。バイオリアクタは、統合生存性分析機能を有し得る。
図19は、本開示の幾つかの実施形態による細胞のクローン集団内の分泌検体量を表す絶対値又は相対値を評価するために実行される機能を示す。
枠1902において、単一の細胞が増殖に選択される。上述したように、細胞は、アッセイの結果に基づいて選択され得、又は細胞は、表現型及び/又はモルフォロジ等の他の特徴性に基づいて選択され得る。
枠1904において、単一の細胞は、増殖されて細胞のクローン集団になる。幾つかの実施形態では、細胞のクローン集団の態様は、細胞が急速に増殖するにつれて分析し得る。例えば、増殖率、細胞のモルフォロジ及び細胞の付着を分析して、細胞の全体的な健康及び/又は生存性を評価し得る。
枠1906において、細胞のクローン集団によって生成された分泌検体の絶対値又は相対値が評価される。幾つかの実施形態では、絶対値又は相対値は、図12A〜図12C及び図15に関して上述したように評価し得る。幾つかの実施形態では、絶対値又は相対値は、米国特許出願公開第14/964,025号に記載される等の他の方法を使用して評価し得、この特許出願は、参照により本明細書に援用される。
枠1908において、細胞のクローン集団によって生成された分泌検体の絶対値又は相対値に基づいて、細胞のクローン集団からの細胞の1つ又は複数を選択し得る。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の細胞は、上述したように、細胞増殖中、観測される細胞のクローン集団の態様に基づいて選択し得る。幾つかの実施形態では、選択された細胞は、分析又は更なる増殖(例えば、分泌検体を生成するための細胞株としての増殖)のために搬出し得る。上述したように、幾つかの実施形態では、単一の細胞を増殖し、分泌検体の生成のためにクローン集散を分析するプロセスを繰り返して、第2の分泌検体の絶対量若しくは相対量を評価し、又は単一の細胞が枠1906において定量化された分泌検体を安定して生成するか否かを評価し得る。
分泌検体濃度の絶対値:滴定曲線
幾つかの実施形態では、拡散の理論モデルを使用して、ペンの1つ内の生物学的微小物体の分泌検体の1つ又は複数の濃度値及び/又は既知の数量に基づいて絶対値を生成し得る。実施形態に応じて、異なる拡散理論モデルを使用して、1つ又は複数の濃度値に基づいて検体の絶対値を計算し得る。実施形態に応じて、理論モデルは、様々な現象をモデリングし、様々な仮定を評価し得る。
幾つかの実施形態では、滴定曲線を使用して生物学的微小物体の分泌検体の絶対値を生成し得る。これらの場合、様々な既知の量の検体をマイクロ流体デバイスに導入して使用し、既知の量の検体を表す絶対値を生成し得る。既知の量の検体を表す絶対値を使用して、部分的に、絶対値と様々な既知の量の検体との線形関係を示す滴定曲線を生成し得る。幾つかの実施形態では、滴定曲線が、様々なシステムパラメータを所与として、検体の正確な定量化の上限及び下限(すなわち線形関係を有する絶対値を生成する検体の最高量及び最低量)を示す「ダイナミックレンジ」を含むように、既知の量の検体に対応する幾つかの絶対値を生成し得る。
実施形態に応じて、予期される拡散プロファイルを模写する様々な方法を使用して、隔離ペン内のソースにおいて生成される(例えば、隔離ペン内の細胞により)検体と同じように、既知の濃度の検体を生成できるようにし得る。幾つかの実施形態では、様々な既知の濃度の対象検体がリポーター分子と共に培養される。大半の実施形態では、リポーター分子の濃度は、検体の全てのコピーと結合するために必要なリポーター分子量を超える。幾つかの実施形態では、リポーター分子の濃度は、検体の全てのコピーと結合するために必要な量の概ね5倍〜200倍である。しかし、この範囲は、検体へのリポーター分子の結合親和性に基づいて様々であり得る。例えば、リポーター分子が検体への強い結合親和性を有する実施形態では、リポーター分子の濃度は、検体の全てのコピーと結合するために必要な量の2倍〜200場合の範囲であり得る。FITC標識CPD4(表1)がIgGとの結合に使用される特定の実施形態では、FITC標識CPD4の濃度は、IgGの全てのコピーと結合するために必要な量の5倍〜100倍の範囲であり得る。方法は、CPD4の使用に限定されず、拡散アッセイ自体に適する任意のリポーター分子を使用し得る。例えば、蛍光標識されたCPD1、CPD2、CPD3、CPD5、CPD6(表1)を使用して滴定曲線を生成し得、蛍光体は、Alexa Fluor(登録商標)594又はHiLyte Fluor(商標)555等の任意の適宜選択された蛍光体であり得る。
幾つかの実施形態では、予期される拡散プロファイルは、非結合リポーター分子及び結合リポーター分子:検体複合体が隔離ペンに入るのに十分な時間にわたり、非結合リポーター分子及びリポーター分子:検体複合体をマイクロ流体デバイスの隔離ペン及びチャネルに提供する(すなわちマイクロ流体デバイス全体を通して非結合リポーター分子及び結合リポーター分子を灌流させる)ことによって生成され得る。RMSA複合体及び非結合リポーター分子がマイクロ流体デバイス全体を通して灌流した後、チャネルに別の媒体のフローを提供し得、それにより、RMSA複合体及び非結合リポーター分子をチャネル及び隔離ペンの掃引領域からなくす(すなわちフラッシュする)。RMSA複合体及び非結合リポーター分子は、次に隔離ペンからチャネルに拡散する。しかし、上述したように、非結合リポーター分子は、RMSA複合体よりも高い拡散率を有する。したがって、非結合リポーター分子は、RMSA複合体よりもはるかに早くマイクロ流体デバイスを通して平衡に達する(すなわちチャネル及び隔離ペンにおいて同じ濃度を有する)。この差により、図12A〜図12C及び図15に関して上述し、具体的なデータ操作に関して後述するように、AOI(対象エリア)のサブ領域のメジアン強度値に基づいて濃度値を定量化することができる。
図20は、特定の実施形態によって生成された滴定曲線を示す。特に、図20は、既知の量のIgG(x軸にμg/mL単位で示される)に対応する一連の絶対値(y軸に「オンチップアッセイ力価スコア」と標識される)を示す。特に、図20に示される滴定曲線の生成に使用されたIgGの既知の量は、0.001526μg/mL、0.003052μg/mL、0.006104μg/mL、0.012207μg/mL、0.024414μg/mL、0.048828μg/mL、0.097656μg/mL、0.195313μg/mL、0.390625μg/mL、0.78125μg/mL、1.5625μg/mL、3.125μg/mL、6.25μg/mL、12.5μg/mLであった。
図20に示される既知の量のIgG(標識アッセイスコア)を表す絶対値を生成するために、FITC標識CPD4を含む溶液中で既知の量のIgGを培養した。IgGの全てのコピーの結合及び検出を保証するために、IgGの全てのコピーを結合するのに必要な量の6倍の量のFITC標識CPD4を溶液中に含めた。次に、マイクロ流体デバイスを45分間にわたって溶液で灌流し、次に10μL/秒の速度で細胞株媒体(ThermoFisher CD CHO媒体)でチャネルをフラッシュした。チャネルをフラッシュした後、FITC標識CPD4及びIgGを10分間にわたって隔離ペンからチャネルに拡散させた。次に、マイクロ流体デバイスを撮像し、マイクロ流体デバイスを使用して、後述するように、マイクロ流体デバイス内の各隔離ペンのアッセイスコアを生成した。このプロセスは、まず最高量のIgG(すなわち12.5μg/mL)で実行され、より低量のIgGをその都度使用して連続して繰り返した。
マイクロ流体デバイスを撮像した後、マイクロ流体デバイス内の各隔離ペンで生成された個々の絶対値の平均をとることにより、各既知量のIgGのアッセイスコアを計算した。図12〜図15に関して上述したように、隔離ペンに生成された濃度値の傾きをとることにより、個々の各絶対値を生成した。特に、選択されたAOIに基づいて生成された濃度値に基づいて各隔離ペンの傾きを計算した。濃度値を生成する前、図13A及び図13Bに関して上述したように、画像を正規化し、利得補正係数を受けた。各隔離ペンの傾きを計算した後、マイクロ流体デバイス内の全ての隔離ペンの全ての傾きの平均をアッセイスコアとして使用した。
生成されると、図20に示される等の滴定曲線を使用して、未知の数量の分泌検体の絶対値を生成し得る。図20に示されるように、滴定曲線中のアッセイスコアを任意の線フィッティングアルゴリズムを用いてフィッティングして、検体(すなわちIgG)の絶対値(すなわちアッセイスコア)と既知の量との関係を定義する傾きの式を生成し得る。次に、傾きの式を使用して、実験条件下で観測されたアッセイスコアを所与として、実験条件下で存在する検体(すなわち未知の量の検体を生成している細胞)の量を表す絶対値を生成することができる。図20に示される滴定曲線を生成するために、Tableauソフトウェアを使用して、アッセイスコアの標準偏差に基づく95%信頼区間を使用した対数フィッティングモデルを生成した。
図20に示されるように、既知の量のIgGのアッセイスコアは、約1μg/mLにおいて始まる線形関係を示す。すなわち、アッセイスコアは、IgGの増量に応答して比例する増大を示す。1μg/mL未満の濃度では、線形関係は観測されない。したがって、図20に示される滴定曲線は、約1μg/mLにおいて正確な定量化の下限を有するダイナミックレンジを示す。図20に示される滴定曲線は、上限を示さず、なぜなら、最高量のIgGに対応するアッセイスコアが、既知の量のIgGと線形関係を示すアッセイスコアの範囲内にあるためである。
図20に示される曲線に示されるように、実験条件下(すなわちIgGを分泌する隔離ペン内の細胞)で通常観測されるアッセイスコアは、滴定曲線においてグレーで標識されると共に、「典型的なアッセイ力価範囲」と標識される。実験条件下で観測されるアッセイスコアは、既知の量のIgGと線形関係を示すアッセイスコアの範囲内にあるため、図20で生成される傾きを使用して、通常、実験条件下で生成されるIgGの量を計算することができる。
キット。
生物学的微小物体又はそれから生成される生物学的微小物体の集団によって分泌される検体のレベルを評価するキットが提供され得、キットは、フロー領域及び隔離ペンを有するエンクロージャを含むマイクロ流体デバイスであって、隔離ペンは、フロー領域に流体的に接続され、フロー領域及び隔離ペンは、流体媒体を含むように構成される、マイクロ流体デバイスと、検出可能な標識及び検体に結合するように構成される結合成分を含むリポーター分子とを含む。
キットの様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスの隔離ペンは、分離領域及び分離領域をフロー領域に流体的に接続する接続領域を有し得、分離領域及び接続領域は、流体媒体の成分が、実質的に拡散によってのみフロー領域と隔離ペンの分離領域との間で交換されるように構成される。様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスのエンクロージャは、ベースを含み得、ベースにフロー領域及び隔離ペンが配置される。幾つかの実施形態では、エンクロージャのベースは、誘電泳動構成を有する基板を含み得る。誘電泳動構成は、光学的に作動し得る。様々な実施形態では、フロー領域は、チャネルであり得る。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、本明細書に記載される任意の隔離ペンのように構成され得る複数の隔離ペンを含み得る。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスの少なくとも1つの内面は、共有結合的に修飾された表面を含む。様々な実施形態では、キットのマイクロ流体デバイスは、本明細書に記載される任意のマイクロ流体デバイスのように構成され得、任意の構成要素、寸法及び/又は多様なマイクロ流体回路要素を任意の組合せで有し得る。
キットの様々な実施形態では、リポーター分子の結合成分は、少なくとも1つのアミノ酸及び/又は少なくとも1つ核酸を含み得る。幾つかの実施形態では、リポーター分子の結合成分は、ペプチド又はタンパク質を含み得る。様々な実施形態では、ペプチド又はタンパク質結合成分は、ヒト又はマウスのIgGに結合するペプチド又はタンパク質であり得る。幾つかの実施形態では、リポーター分子の結合成分は、CPD1、CPD2、CPD3、CPD4、CPD7、CPD8、CPD9、CPD10、CPD11、CPD12、CPD13又はCPD14(表1を参照されたい)のいずれかであり得る。幾つかの実施形態では、リポーター分子の結合成分は、CPD1、CPD2、CPD3又はCPD4(表1を参照されたい)であり得る。幾つかの実施形態では、ヒト又はマウスのIgGに結合するタンパク質結合成分は、CPD1又はCPD2(表1を参照されたい)であり得る。他の実施形態では、リポーター分子の結合成分は、アプタマーを含む。様々な実施形態では、アプタマーは、CPD5又はCPD6(表1を参照されたい)であり得る。幾つかの実施形態では、リポーター分子の結合成分は、IgGのFcに結合する。
キットの様々な実施形態では、リポーター分子の検出可能な標識は、可視標識、発光標識、リン光標識又は蛍光標識である。幾つかの実施形態では、検出可能な標識は、蛍光標識である。蛍光標識は、ローダミン、フルオレセイン又はシアニン蛍光顔料であり得る。
キットの様々な実施形態では、キットは、流体媒体も含み得る。流体媒体は、生物学的微小物体又はそれから生成される生物学的微小物体の集団を維持するか、増殖させるか、又はそれに選択的圧力を提供するように構成され得る。
キットの様々な実施形態では、キットは、マイクロ流体デバイスの1つ又は複数の表面を調整するように構成される試薬も含み得る。幾つかの実施形態では、試薬は、マイクロ流体デバイスの1つ又は複数の表面を共有結合的に修飾するように構成され得る。
コンピュータ実施システム。
図25は、本教示の実施形態を実施し得るコンピュータシステム3100を示すブロック図である。本教示の様々な実施形態では、コンピュータシステム3100は、情報を通信するバス3102又は他の通信機構と、バス3102と結合されて情報を処理するプロセッサ3104とを含み得る。様々な実施形態では、コンピュータシステム3100は、メモリ3106も含み得、メモリは、バス3102に結合されて、プロセッサ3104により実行する命令を決定するランダムアクセスメモリ(RAM)又は他の動的記憶装置であり得る。メモリ3106は、命令の実行中、プロセッサ3104により実行される一時変数又は他の中間情報を記憶するのに使用することもできる。様々な実施形態では、コンピュータシステム3100は、バス3102に結合され、プロセッサ3104の静的情報及び命令を記憶する読み取り専用メモリ(ROM)3108又は他の静的記憶装置を更に含み得る。情報及び命令を記憶するために、磁気ディスク又は光ディスク等の記憶装置3110を提供し、バス3102に結合することができる。
様々な実施形態では、コンピュータシステム3100は、バス3102を介して陰極線管(CRT)又は液晶ディスプレイ(LCD)等のディスプレイ3112に結合して、情報をコンピュータユーザに表示することができる。英数字キー及び他のキーを含む入力デバイス3114をバス3102に結合して、情報及びコマンド選択をプロセッサ3104に通信することができる。別のタイプのユーザ入力デバイスは、指示情報及びコマンド選択をプロセッサ3104に通信し、且つディスプレイ3112上でのカーソルの動きを制御する、マウス、トラックボール又はカーソル方向キー等のカーソル制御機構3116である。この入力デバイス3114は、通常、2つの軸である第1の軸(すなわちx)及び第2の軸(すなわちy)において自由度2を有し、デバイスが平面において位置を指定できるようにする。しかし、3次元(x、y及びz)カーソル移動が可能な入力デバイス3114も本明細書において意図されることを理解されたい。
本教示の特定の実装形態によれば、結果は、プロセッサ3104がメモリ3106に含まれる1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを実行することに応答して、コンピュータシステム3100により提供することができる。そのような命令は、別のコンピュータ可読媒体又は記憶装置3110等のコンピュータ可読記憶媒体からメモリ3106に読み込むことができる。メモリ3106に含まれる命令シーケンスの実行は、プロセッサ3104に本明細書に記載されるプロセスを実行させることができる。代替的に、ハードワイヤード回路をソフトウェア命令の代わりに又は組み合わせて使用して本教示を実施することができる。したがって、本教示の実装形態は、ハードウェア回路とソフトウェアとのいかなる特定の組合せにも限定されない。
「コンピュータ可読媒体」(例えば、データストア、データ記憶装置等)又は「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、本明細書で使用される場合、実行のために命令をプロセッサ3104に提供することに参加する任意の媒体を指す。そのような媒体は、限定ではなく、不揮発性媒体、揮発性媒体及び伝送媒体を含む多くの形態をとることができる。不揮発性媒体の例としては、記憶装置3110等の光ディスク、固体状態ディスク、磁気ディスクを挙げることができる。揮発性媒体の例としては、限定ではなく、メモリ3106等のダイナミックメモリを挙げることができる。伝送媒体の例としては、限定ではなく、バス3102を構成するワイヤを含め、同軸ケーブル、銅線及び光ファイバを挙げることができる。
一般的な形態のコンピュータ可読媒体は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ若しくは任意の他の磁気媒体、CD−ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する任意の他の物理的媒体、RAM、PROM及びEPROM、フラッシュEPROM、任意の他のメモリチップ若しくはカートリッジ又はコンピュータが読み取り可能な任意の他の有形媒体を含む。
コンピュータ可読媒体に加えて、命令又はデータは、通信装置又はシステムに含まれる伝送媒体上を信号として提供されて、実行のために1つ又は複数の命令のシーケンスをコンピュータシステム3100のプロセッサ3104に提供することができる。例えば、通信装置は、命令及びデータを示す信号を有する送受信機を含み得る。命令及びデータは、1つ又は複数のプロセッサに本明細書における開示で概説される機能を実施させるように構成される。データ通信伝送接続の代表的な例としては、限定ではなく、電話モデム接続、広域ネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、赤外線データ接続、NFC接続等を挙げることができる。
本明細書に記載される方法論、フローチャート、図及び添付される本開示は、コンピュータシステム3100をスタンドアロンデバイスとして使用して又はクラウド計算ネットワーク等の共有コンピュータ処理リソースの分散ネットワークで実施し得ることを理解されたい。
検体定量化システム。
様々な実施形態によれば、微小物体によって生成される検体の数量を特定するシステム及び方法が開示される。検体は、例えば、微小物体からの分泌物を含み得、微小物体は、生物学的微小物体であり得る。検体は、例えば、タンパク質、サッカリド、核酸、抗体、抗原、タンパク質、サッカリド若しくは核酸以外の有機分子、小胞又はウィルスを含み得る。検体の数量は、後述するように相対数量であり得る。
図26は、様々な実施形態による微小物体によって生成される検体の数量を特定するシステムの概略図である。本明細書に記載されるように、システム3200は、画像取得ユニット3202、画像処理ユニット3204、及びデータを出力し、関連する入力デバイス(図示せず)を介してユーザ入力を受信するディスプレイ3212を含み得る。
画像処理ユニット3202(上記の図1に示された撮像モジュール164等であるがこれに限定されない)は、マイクロ流体デバイスホルダ3214(上記の図1及び図3Bに示された支持構造104及び300等であるがこれらに限定されない)並びに撮像要素3216(上記の参照した撮像デバイス194等であるがこれに限定されない)を含み得る。
マイクロ流体デバイスホルダ3214は、マイクロ流体デバイスを固定するような向きを有し、そのように設計することができる。マイクロ流体デバイスは、本明細書に記載される任意の様々な例(上記の図1B、図1C、図2A、図2B、図2D、図2G、図2H、図3A、図4A〜図4C、図5A〜図5C、図9B、図10B、図11A、図11B、図12A及び図12Bに示されるマイクロ流体デバイス200、230、250、280、290、320、400、500、900、1000、1100及び1200等であるがこれらに限定されない)を含み得る。代替的に、ホルダ3214は、マイクロ流体デバイスと統合することができる。マイクロ流体デバイスは、フロー領域及び1つ又は複数のチャンバを有することができ、チャンバは、フロー領域に流体的に接続され、各チャンバは、1つ又は複数の微小物体を保持することができる。上述したように、チャンバは、例えば、隔離ペンであり得る。チャンバが、使用される特定の用途に求められるように、任意の形状、サイズ又は向きのものであり得ることを理解されたい。上述したように、フロー領域は、単一のマイクロ流体チャネル又は複数のマイクロ流体フローチャネル(上記の図1A及び図2A〜図2Cに示されるチャネル122並びに上記の図2D〜図2Fに示されるフローチャネル264等であるがこれらに限定されない)であり得、単一の流路又は複数の流路を提供する(上記の図1A及び図2Bに示される流路106並びに上記の図2C、図2D、図4A〜図4C、図5A、図9B、図10B、図12Aに示される媒体のフロー242及び278等であるがこれらに限定されない)。フロー領域は、1つ又は複数のチャンバと流体連通し得る。代替的に、フロー領域は、例えば、弁等の可逆的クロージャを介して1つ又は複数のチャンバと流体連通し得る。フロー領域は、上述したように、流入口を介して材料のフローを受け取るように構成することができる。材料のフローは、例えば、微小物体、結合剤若しくは試薬又は材料を含む媒体のフローを含み得る。マイクロ流体デバイスは、流路を通してチャンバ内で結合剤(例えば、リポーター分子等)のフローを受け取るように更に構成することができる。結合剤は、検体に結合すると、結合剤の検出可能な標識によって発せられる光等の電磁放射線(例えば、蛍光、UV等)を発し得る。検体は、例えば、微小物体からの分泌物を含み得、微小物体は、生物学的微小物体であり得る。検体は、例えば、タンパク質、サッカリド、核酸、抗体、抗原、タンパク質、サッカリド若しくは核酸以外の有機分子、小胞又はウィルスを含み得る。
撮像要素216は、マイクロ流体デバイスの複数のチャンバ及びフロー領域の1つ又は複数のアッセイ画像3222(図27を参照されたい)を捕捉するように構成することができる。撮像要素3216は、分析され、詳細に後述するように1つ又は複数のアッセイ画像3222と併せて実施される、対応する1つ又は複数の背景画像3218(図27を参照されたい)を捕捉するように更に構成することができる。
背景画像3218は、いかなる異物(例えば、微小物体、結合剤又は他の試薬等)もマイクロ流体デバイスに導入する前に撮像要素3216により撮影することができる。そうするに当たり、背景画像3218は、デバイス内、特に更に後述する対象エリアにおける任意の背景ノイズを捕捉する。背景ノイズは、例えば、アーチファクト又は機器セットアップ及び撮像パラメータ − 例えば、励起源からの光、カメラノイズ及び周辺光 − に起因し得る。背景ノイズは、例えば、試料、容器、撮像媒体の自己蛍光又は特定の標的に結合しなかった蛍光体から生じる蛍光により付与された背景蛍光にも起因し得る。背景画像にいずれの画像エリアが含まれるかは、その画像がシステムでどのように前に出て実施されるかに依存する。例えば、詳細に後述するように、使用される較正方法に応じて、異なる背景画像エリアが望ましいことがある。
信号基準画像3220は、結合剤が、対象エリア(「AOI」)において結合剤濃度が平衡するようなレベルまでチャンバに導入された後、撮像要素3216により撮影することができる。そうするに当たり、信号基準画像3220は、デバイスの画像取得歪みを捕捉する。そのような歪みは、例えば、マイクロ流体要素又は撮像要素の設計に起因し得る。画像歪みのタイプとしては、例えば、画像エッジ効果、射影歪み、樽形歪み、ピンクッション形歪み、口ひげ歪み及び色収差を挙げることができる。信号基準画像エリアは、AOI、チャンバ近くのフロー領域及び関連するAOI並びに両方の画像を含み得る。いずれの画像エリアが信号基準画像に含まれるかは、その画像がシステムでどのように前に出て実施されるかに依存する。例えば、以下に更に詳細に提供されるように、システムにより実施される較正方法に応じて、異なる信号基準画像を利用し得る。
図26のシステム3200の画像処理ユニット3204は、画像取得ユニット3202に通信可能に接続することができる。様々な実施形態では、画像処理ユニット3204は、対象エリア決定エンジン3206及びスコア付けエンジン3210を含み得る。画像処理ユニット3204の一部として示される(及び本明細書に記載される)各構成要素(例えば、エンジン、モジュール等)は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はそれらの任意の組合せとして実施可能であることを理解されたい。
様々な実施形態では、画像処理ユニット3204は、画像取得ユニット3202との統合機器システム組立体として実施することができる。すなわち、画像処理ユニット3204及び画像取得ユニット3202は、同じ筐体組立体内に収容することができ、従来のデバイス/構成要素接続手段(例えば、シリアルバス、光ケーブル、電気ケーブル等)を介して通信することができる。
様々な実施形態では、画像処理ユニット3204は、光学、シリアルポートネットワーク又はモデム接続を介して画像取得ユニット3202に通信可能に接続されるスタンドアロン計算デバイス(上記の図25に示されるように)として実施することができる。例えば、画像処理ユニットは、画像取得ユニット3202により取得した撮像データ分析の画像処理ユニット3204に送信できるようにするLAN接続又はWAN接続を介して接続することができる。
様々な実施形態では、画像処理ユニット3204の機能は、WAN(又は均等な)接続を介して通信可能に接続される共有コンピュータ処理リソースの分散ネットワークで実施することができる。例えば、画像処理ユニット3204の機能は、AMAZON WEB SERVICES(商標)等のクラウド処理サービスで1つ又は複数の計算ノードにおいて実施されるように分割することができる。
対象エリア決定エンジン3206は、捕捉されたアッセイ画像を撮像要素3216から受信し、アッセイ画像に示された各チャンバのAOIを定義するように設計及び構成することができる。対象エリア決定エンジン3206は、AOI内において、検体濃度変動の測定について影響を最も受けやすいチャンバ内の画像エリアを含むことにより、適切なAOIを定義するようにプログラムすることができる。例えば、これは、撮像要素3216により、発光等の電磁放射線(例えば、蛍光、UV等)の最小の変動を測定することができるチャンバ内のエリアである。更に、画像エリアは、検体変動が測定されるとき、チャンバ内の微小物体の位置の影響を最も受けにくい画像エリアを含み得る。例えば、これは、発光等の電磁放射線(例えば、蛍光、UV等)の測定感度がチャンバ内の微小物体の存在による影響を受ける程度が最も低いチャンバ内のエリアである。AOIは、各チャンバと、各チャンバと流体連通するフロー領域との間の拡散軸3302(図28を参照されたい)に沿って延在するように更に定義することができる。
図28に示される例示的な実施形態では、拡散軸3302は、マイクロ流体デバイス及び対応するチャンバについての空間情報を使用して決定することができる。その空間情報は、システム3200に含まれるCADモデル、関連するソフトウェア又は別個のソフトウェアパッケージから導出して、定義された非整列AOI3224を生成することができる。撮像要素及びマイクロ流体デバイスの較正アルゴリズムは、次に画像データをこのCADモデルにマッピングして、適切な拡散軸3302を取得することができる。このマッピングに基づく空間補正変換3226を対象エリア決定エンジン3206に適用して、整列AOI3228の組を生成することができる。AOIは、対象エリア決定エンジン3206から自動的に決定することもでき、又はディスプレイ3212へのユーザ入力を介して手動で決定することもできる。
図26のシステム3200のスコア付けエンジン3210は、各チャンバの対象エリア内の画像エリアの少なくとも一部を分析して、各チャンバ内の検体の数量を示すスコアを決定するように設計及び構成することができる。更に、スコアは、スコア付けエンジン3210により他のスコアと比較して、検体の相対量又は相対濃度を示すことができる無次元値であり得るため、特定されたスコアは、ユーザのために濃度の単位に変換することができる。
スコアを決定するために、スコア付けエンジン3210は、様々なモデルを使用することができる。後述するような幾つかのモデルは、例えば、各チャンバ、フロー領域等内の検体に結合する結合剤(例えば、リポーター分子等)の量を定量化する蛍光データを利用するものであり得る。検体は、例えば、チャンバ内の微小物体からの分泌物を含み得、微小物体は、生物学的微小物体であり得る。スコア付けエンジン3210は、特にAOIにわたる結合リポーター分子データ(例えば、蛍光値等)を使用して各チャンバのスコアを決定することができ、スコアは、そのチャンバ内の検体の数量を示す。スコア付けモデルの非限定的な例としては、各チャンバのAOIの画像エリアの一部にわたり線形回帰分析を発光データ(例えば、蛍光値又は何らかの他のタイプの検出可能な信号)に適用すること、シグモイドモデルをAOIに適用すること、対象となる検体を発している生物学的微小物体の位置に対して不変のAOIの平均強度を使用すること、又は各チャンバのAOIの画像エリアの一部にわたる発光データ(例えば、蛍光値又は何らかの他のタイプの検出可能な信号)を積分することが挙げられる。
シグモイドモデリングは、例えば、シグモイド又は対数の曲線、方程式及び細部によりAOI内の拡散勾配を近似する。例えば、成長率、漸近線間の差及び変曲点位置等のパラメータの組合せを使用した定量化モデルが必要な正確性及び/又は精密性をもたらし得る。モデルのパラメータは、例えば、使用されるシグモイド曲線の厳密な形態に応じて、非線形回帰又は曲線回帰により推定することができる。一般的なモデルパラメータ推定技法としては、例えば、リーベンベルグ−マルクワルト、シンプレックス及びシミュレートアニーリングが挙げられる。ヒューリスティック技法を使用してパラメータを初期化し、非線形回帰等の反復フィッティング技法中の収束の保証を更に支援することができる。例えば、上下漸近線は、AOIの両極端におけるサブ領域の平均により大まかに推定することができる。
代替的に、図27の実施形態に示されるように、上記のスコア付けモデルをAOIにわたり適用する前、スコア付けエンジン3210は、整列したAOI3228を拡散軸3302(図28を参照されたい)に沿って別個のセグメント3230に分割することができる。図4は、フロー領域3308、チャンバ3306、拡散軸3302、複数のセグメント3304及び微小物体3310を含むマイクロ流体デバイスの一部の例を示す。セグメント3304の数は、必要とされるスコア付けモデルの実行の必要性に応じて様々であり得る。セグメント3304の数は、例えば、20であり得る。セグメント3304では、スコア付けエンジン3210は、メジアン値3232を計算することができ、この値は、例えば、各チャンバ3306、フロー領域3308又は両方内の検体に結合した結合剤(例えば、リポーター分子等)の量を示す蛍光値等の電磁放射線値であり得る。検体は、例えば、微小物体3310からの分泌物を含み得、微小物体は、生物学的微小物体であり得る。スコア付けエンジン3210は、次に、パラメータの組に基づき、サブセクション定量化プロセス3234を介してセグメント3304のサブセットを決定することができる。
スコア付けエンジン3210は、スコア付けエンジン3210に符号化されるか、又はリモートに提供される(例えば、無線、リモートソフトウェアプログラム、ユーザ入力)命令の組を使用して、サブセクション定量化プロセス3234を介してセグメント3304のサブセットを決定することができる。命令の組は、例えば、微小物体タイプ、チャンバ内の微小物体カウント、セグメントカウント、サブセクションカウント及びサブセクション位置の様々な組合せを使用して行われた、例えば、前の数値シミュレーションに基づくことができる。このデータを使用して、対象となる微小物体を様々な数値シミュレーションに関連付けて、対象となる生物学的微小物体の分析に適切なセグメントのサブセットを決定する命令を符号化することができる。
セグメント3304のサブセットは、上記のチャンバ3306のスコアの特定に必要な合計セグメントカウント内の任意のセグメント群を含み得る。例えば、提供されたパラメータ又は命令の組に基づいて、スコア付けエンジン3210は、特定のチャンバのスコア特定に使用されるビンのサブセットとして、ビン9〜13を識別することができる。上述したようなスコア付けモデルを適用して、スコア付けエンジン3210は、上記のチャンバの分泌スコア3236等のスコアを決定することができる。
代替的に、画像処理ユニット3204は、図26の実施形態及び図27の実施形態に示されるように、較正エンジン3208を更に含み得る。較正エンジン3208は、マイクロ流体デバイスから及びアッセイ画像捕捉中の背景ノイズによって生じる画像歪みについて、各チャンバのAOI正規化プロセス3238を適用するように設計及び構成することができる。次に、その結果生成された較正画像AOIは、スコア付けエンジン3210によりスコア付けすることができる。上述したように、背景ノイズは、例えば、アーチファクト又は機器セットアップ及び撮像パラメータ − 例えば、励起源からの光、カメラノイズ及び周辺光 − に起因し得る。背景ノイズは、例えば、試料、容器、撮像媒体の自己蛍光又は特定の標的に結合しなかった蛍光体から生じる蛍光により付与された背景蛍光にも起因し得る。アッセイ画像捕捉中の画像歪みは、例えば、マイクロ流体デバイス設計又は撮像デバイス設計に起因し得る。画像歪みのタイプとしては、例えば、画像エッジ効果、プロジェクタ非均一性、カメラビネット、射影歪み、樽形歪み、ピンクッション形歪み、口ひげ歪み及び色収差を挙げることができる。
較正エンジン3208は、アッセイ画像捕捉前のマイクロ流体デバイスからの画像歪み及び/又はアッセイ画像捕捉中に導入される画像歪みについて、各チャンバのAOI又は各チャンバのAOIの少なくとも画像エリアを正規化するように設計及び構成することができる。較正エンジン3208は、背景画像をアッセイ画像及び/又は信号基準画像から減算し、信号基準画像において捕捉された画像取得歪みを考慮することによりこれを達成することができる。
特徴抽出及び異常な検出について画像を正規化する様々なモデルが存在する。実施形態では、統計学的推論を介したデータ除外は、AOIの正規化前に異常値を除去することができる。非常に低い強度又は非常に高い強度を有し得る異物等の異常値は、全てのAOIデータの分布内の所与のデータ点のz値を計算する等の基本的な統計的変換を用いて検出することができる。
実施形態では、統計学的推論を介したデータ除外は、AOIを正規化する前に異常値を除外することができる。理想的な拡散プロファイルは、一般に、拡散軸に直交する任意の線に沿って一定の値を有するため、異物等の異常値がAOI内に存在するか否かを統計的に推論し、それらのデータ点をモデリングから除外することが可能である。AOI内の各データ点は、z値に変換することができ、z値は、不規則変動に起因して発生する確率を示す。例えば、Iが所与の点での強度値であるAOIを所与として、μは、平均強度値であり、σは、標準偏差であり、yは、拡散方向を示し、xは、それに直交し、所与の点におけるz値は、式(1)を介して計算することができる。
上記の式によって生成されるz値を使用して、所与の閾値よりも大きいz値を有するデータを除外することができる。このプロセスを繰り返して、異なるサイズ及び強度の異常値を繰り返し除去することができる。
実施形態では、区分モデリングは、AOIを正規化する前に異常値を除去することができる。拡散プロファイルは、理想的には、拡散軸に直交する任意の方向に沿って一定の値を有するという原理に基づいて、AOIのN列にわたり独立して分析モデルを当てはめることができる。理想的なシステムでは、これらのモデルは、全て同じパラメータ推定をもたらす。実際には、これらのモデルは、正規分布する。しかし、位置合わせずれ又は異物の存在等の異常値の場合、パラメータ推定値の分布に追加のモダリティがある。AOI列データへのモデルの相関等の情報を全パラメータ推定値の分布内の所与のパラメータの大きさの傾向と組み合わせることにより、いずれのモデルが異常な結果を反映しているか、したがって更なる分析から除外すべきかを特定し得る。これは、対象のデータを適宜正規化するために、上述したz値技法と組み合わせて使用し得る。
実施形態では、式(2)に従って、背景画像「a」及び信号基準画像「c」データを使用して、点x,yにおけるアッセイ画像の正規化値(I
Corrected)を生成捕捉することができる。
実施形態では、Gスコアを生成して、AOI内の全てのデータ点を正規化する。背景画像「a」及び信号基準画像「c」を捕捉した後、補正係数「G」を式(3)に従って計算することができる。
次に、補正係数Gは、以下のように適用して、AOIのスコア付けについて式(4)に従ってアッセイ画像(ICorrected)の正規価値を特定することができる。
(4)(ICorrected)(x,y)=G(x,y)(IOriginal(x,y)−a(x,y))
アッセイ画像の正規価値を使用して、スコア付けエンジン3210は、各チャンバの正規化された対象エリアの一部を分析して、各チャンバ内の検体の数量を示すスコアを決定するように更に設計及び構成することができる。詳細に上述したように、スコア付けモデルの例としては、各チャンバの正規化対象エリアの一部に線形回帰分析を適用すること、又は各チャンバの正規化対象エリアの一部にわたる蛍光値(又は何らかの他のタイプの検出可能な信号)を積分することが挙げられる。
代替的に、AOIの信号基準画像及び背景画像を使用するのではなく、較正エンジン3208は、チャンバの近くのフロー領域、関連するAOI及び生物学的微小物体を含まないマイクロ流体デバイスの他のエリアの信号基準画像及び/又は背景画像を使用して較正する上記の実施形態を適用し得る。これらの「非AOI」画像は、アッセイ画像データと併せて使用して、上記で詳述したようにアッセイ画像データを正規化することができる。
様々な実施形態によれば、画像取得ユニット3202及び画像処理ユニット3204は、1つの物理ユニットに統合することができる。代替的に、画像取得ユニット3202及び画像処理ユニット3204は、別個に向けられ、ユニットがなお通信可能に接続されて、情報を交換するように独立ユニットで提供することができる。
上述した画像処理ユニット3204の各構成要素は、ハードウェアであり得、又は部分的若しくは全体的にソフトウェアモジュールであり得る。
図29は、微小物体によって生成される検体の数量を予測し特定する方法を示す例示的なフローチャートである。本明細書に示されるように、ステップ3410は、図26のシステム3200の画像取得ユニット3202の対象エリアエンジン3206により利用することができる例示的なワークフローを詳述する。ステップ3410において、対象エリアエンジン3206は、フロー領域に流体的に接続されるフロー領域及び複数のチャンバを含むマイクロ流体デバイスの撮像データを受信し、撮像データは、背景ノイズ画像、信号基準画像及び検体アッセイ画像を含む。背景画像は、いかなる異物(例えば、微小物体、結合剤又は他の試薬)もマイクロ流体デバイスに導入される前に撮像要素3216により撮影することができる。そうするに当たり、背景画像は、システム3200及びデバイスのエリアの画像捕捉に関連する任意の背景ノイズを捕捉する。背景ノイズの例については上述した。信号基準画像は、結合剤が、結合剤濃度がデバイスにおいて平衡するようなレベルまでチャンバに導入された後、撮像要素3216により撮影することができる。そうするに当たり、信号基準画像は、システム3200及びデバイスのエリアの関連する画像捕捉に関連する画像取得歪みを捕捉する。
受信される撮像データは、例えば、1つ又は複数のチャンバ、フロー領域又は両方において検体に結合した結合剤(例えば、リポーター分子等)から発せられた蛍光から特定される蛍光データを含み得る。検体は、例えば、微小物体からの分泌物を含み得、微小物体は、生物学的微小物体であり得る。生物学的微小物体からの分泌物は、例えば、タンパク質、サッカリド、核酸、3Kd未満の分子量を有する有機分子又はウィルスを含み得る。上述したように、チャンバは、例えば、隔離ペンであり得る。
本明細書に示されるように、ステップ3420及び3430は、図26のシステム3200の画像処理ユニット3204のスコア付けエンジン3210により利用することができる例示的なワークフローを詳述する。ステップ3420において、画像処理ユニット3204は、各チャンバの対象エリア(「AOI」)を定義することができる。AOIは、検体濃度変動の測定について影響を最も受けやすいチャンバ内の画像エリアを含み得る。AOIは、検体変動が測定されるとき、チャンバ内の微小物体の位置の影響を最も受けにくい画像エリアを更に含み得、更に、画像エリアは、チャンバとフロー領域との間で拡散軸に沿って延在し得る。
ステップ3430において、スコア付けエンジン3210は、各チャンバの一部を分析することにより、各チャンバ内の検体の数量を示すスコアを決定することができる。チャンバごとにスコアを決定するために、スコア付けエンジン3210は、上述したように、様々なモデルを使用することができる。幾つかのモデルは、例えば、検体に結合する結合剤(例えば、リポーター分子等)の量を定量化する蛍光データを利用するものであり得る。検体は、例えば、チャンバ内の微小物体からの分泌物を含み得、微小物体は、生物学的微小物体であり得る。スコア付けエンジン3210は、特にAOIにわたる結合リポーター分子データ(又は蛍光値)を使用して、各チャンバ内の検体の数量を示すそのチャンバのスコアを決定することができる。スコア付けモデルの非限定的な例としては、各チャンバの正規化された対象エリアの一部に線形回帰分析を適用すること、又は各チャンバの正規化された対象エリアの一部にわたる蛍光値(又は何らかの他のタイプの検出可能な信号)を積分することが挙げられる。
図30は、撮像データを適用して、検体アッセイ画像において各チャンバの正規化AOIを取得することができる較正方法を示す。本明細書に記載されるように、ステップ3510〜3530は、図26の画像処理ユニット3204の較正エンジン3208により利用することができる較正方法の例示的なワークフローを詳述する。
ステップ3510において、較正エンジン3208は、画像取得ユニット3202から撮像データを受信することができ、撮像データは、背景画像、信号基準画像及び検体アッセイ画像の撮像データを含み得る。上述したように、撮像データは、マイクロ流体デバイスのチャンバごとの対象エリアからの蛍光値の形態であり得る。撮像される蛍光は、背景ノイズ(背景画像用)、対象エリアを充填する結合剤(信号基準画像用、又は例えばチャンバ内に存在する生物学的微小物体からの分泌物を含み得る検体に結合する結合剤(例えば、リポーター分子等)による放射から発せられたものであり得る。
ステップ3520において、較正エンジン3208は、信号基準画像及び検体アッセイ画像値から背景画像値を減算することができる。そうするに当たり、システムに既に存在する任意の背景ノイズは、信号基準画像及び検体アッセイ画像値から除去されて、もはやノイズの影響を受けない両画像の背景補正値を取得する。
ステップ3530において、較正エンジン3208は、信号基準画像及び検体アッセイ画像値の背景補正値を比較して、信号基準画像を通して識別される、上述した画像取得歪みを考慮することにより、検体アッセイ画像値を更に補正することができる。比較は、特にAOI内の正規化検体アッセイ画像値を生成する。正規化値を特定する関連する公式及び計算の例は、上記に提供されている。
正規化データを使用して、スコア付けエンジン3210は、各チャンバのここでは正規化されたAOIの一部を分析することにより、各チャンバ内の検体の数量を示すスコアを決定することができる。
本明細書に記載される方法論は、用途に応じて様々な手段により実施し得る。例えば、これらの方法論は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はそれらの任意の組合せで実施し得る。ハードウェア実施の場合、処理ユニットは、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書に記載される機能を実行するように設計された他の電子ユニット又はそれらの組合せ内で実施し得る。
様々な実施形態では、本教示の方法は、C、C++等の従来のプログラミング言語で記述されたファームウェア、及び/又はソフトウェアプログラム、及びアプリケーションとして実施し得る。ファームウェア及び/又はソフトウェアで実施される場合、本明細書に記載される実施形態は、コンピュータに上記の方法を実行させるプログラムが記憶された非一時的コンピュータ可読媒体で実施することができる。本明細書に記載される様々なエンジンが図1のコンピュータシステム3100等のコンピュータシステムで提供され得、それにより、プロセッサ3104は、メモリ構成要素3106/3108のいずれか1つ又は組合せにより提供される命令及び入力デバイス3114を介して提供されるユーザ入力を受けて、これらのエンジンにより提供される分析及び特定を実行することを理解されたい。
本教示は、様々な実施形態と併せて説明されているが、本教示がそのような実施形態に限定されることは意図されない。逆に、本教示は、当業者に理解されるように、様々な代替形態、変更形態及び均等物を包含する。
更に、様々な実施形態を説明するに当たり、本明細書は、特定の順序のステップとして方法及び/又はプロセスを提示している場合がある。しかし、方法又はプロセスが、本明細書に記載される特定の順序のステップに依拠しない限り、方法又はプロセスは、記載される特定の順序のステップに限定されるべきではない。当業者が理解するように、他の順序のステップも可能であり得る。したがって、本明細書に記載される特定の順序のステップは、特許請求の範囲への限定として解釈されるべきではない。加えて、方法及び/又はプロセスに向けられた請求項は、記述された順序でのステップの実行に限定されるべきではなく、順序が可変であり、それでもなお様々な実施形態の趣旨及び範囲内に留まることを当業者は容易に理解することができる。
本明細書に記載される実施形態は、ハンドヘルドデバイス、マイクロプロセッサシステム、マクロプロセッサベース又はプログラマブル消費者電子機器、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ等を含む他のコンピュータシステム構成で実施することもできる。実施形態は、タスクが、ネットワークを通してリンクされたリモート処理デバイスにより実行される分散計算環境で実施することもできる。
本明細書に記載される実施形態は、コンピュータシステムに記憶されるデータが関わる様々なコンピュータ実施動作を利用し得ることを理解されたい。これらの動作は、物理的数量の物理的操作を必要とするものである。必ずしも必要ではないが、通常、これらの数量は、記憶、転送、結合、比較及び他の方法での操作が可能な電気信号又は磁気信号の形態をとる。更に、実行される操作は、多くの場合、生成、識別、特定又は比較等の用語で呼称される。
本明細書に記載される実施形態の一部をなす任意の動作は、有用な機械動作である。本明細書に記載される実施形態は、これらの動作を実行するデバイス又は装置にも関する。本明細書に記載されるシステム及び方法は、必要とされる目的に向けて特に構築することができ、又はコンピュータに記憶されるコンピュータプログラムにより選択的にアクティブ化若しくは構成される汎用コンピュータであり得る。特に、様々な汎用機械は、本明細書の教示に従って記述されたコンピュータプログラムと併用され得、又は必要とされる動作を実行するより専用の装置を構築することがより好都合であり得る。
特定の実施形態は、コンピュータ可読媒体のコンピュータ可読コードとして実施することもできる。コンピュータ可読媒体は、後にコンピュータシステムによる読み取りが可能な任意のデータ記憶装置である。コンピュータ可読媒体の例としては、ハードドライブ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ及び他の光学メモリ、フラッシュメモリ及び非光学データ記憶装置が挙げられる。コンピュータ可読媒体は、ネットワーク結合コンピュータシステムに分散することもでき、それにより、コンピュータ可読コードは、分散して記憶され実行される。
実験
システム及びデバイス:Berkeley Lights, Inc.製であり、これもBerkeley Lights, Inc.製の光学機器により制御されるナノ流体デバイスであるOptoSelect(商標)デバイスを利用した。この機器は、温度コントローラに結合されたチップの搭載ステージ、ポンプ及び流体媒体調整構成要素並びにカメラ及びチップ内のフォトトランジスタのアクティブ化に適した構造光源を含む光学列を含む。OptoSelectデバイスは、フォトトランジスタアクティブ化OET力を提供するOptoElectroPositioning(OEP(商標))が構成された基板を含む。チップは、複数のマイクロ流体チャネルも含み、各チャネルは、流体的に接続される複数のNanoPen(商標)チャンバ(又は隔離ペン)をそれぞれ有した。各隔離ペンの容積は、約1×106立方μmである。
生体細胞:ヒト抗体を発現するように遺伝子操作されたCHO細胞を使用した。細胞の数及び生存性をカウントし、細胞をOptoSelectデバイスに装填するために細胞密度を5×105/mLに調整した。
デバイスプライミング:OptoSelectデバイスに100%二酸化炭素250μLを12μL/秒のレートで流し、次にPluronic(登録商標)F27(Life Technologies(登録商標)カタログ番号P6866)を含む0.1%PBS 250μLを12μL/秒で流し、最後に12μL/秒でPBS 250μLを流した。培養媒体の導入が続く。
媒体:市販の無タンパク質及び無血清媒体であり、化学的に定義された媒体であるCD CHO媒体(ThermoFisher Scientificカタログ番号10743029)を使用した。
培養中の媒体灌流:以下の2つの方法のいずれかに従ってOptoSelectデバイスに媒体を灌流させた。
1. 0.01μL/秒で2時間灌流し、2μL/秒で64秒間灌流し且つ繰り返す。
2. 0.02μL/秒で100秒間灌流し、フローを500秒間停止し、2μL/秒で64秒間灌流し且つ繰り返す。
例1:ペプチドリポーター分子を使用して抗体の相対生産を評価する
リポーター分子:HiLyte Fluor(商標)555NHSエステル(AnaSpec Inc.カタログ番号AS−81251、869da(遊離酸のMW)、Ex/Em550/566nm(Cy3フィルタ))でN末端標識された、分子量2.4Kdを有するIgG結合ペプチド。
暗基準画像収集:細胞の導入前、最初に媒体及びリポーター分子が存在しない状態でOptoSelectデバイスを撮像して、背景を除去し、各NanoPenチャンバの画像を正規化する本明細書に記載のプロセスで使用される暗基準画像を取得した。
信号基準画像収集:蛍光化合物が拡散し、NanoPenチャンバとマイクロ流体チャネルとの間で拡散平衡を達成するまで、1μg/mLの濃度でN末端標識されたHiLyte Fluor(商標)555 IgG結合ペプチド(リポーター分子)を含む培養媒体を0.005μL/秒で45分間にわたりOptoSelectデバイスに流した。NanoPenチャンバとマイクロ流体チャネルとの間で拡散平衡を達成したとき、信号基準画像を取得した。次に、リポーター分子を有さない培養媒体を用いて0.03μL/秒でOptoSelectデバイスを25分間フラッシュした。このフラッシュ期間は、リポーター分子がNanoPenチャンバから実質的に完全に拡散し、NanoPenチャンバ内に残留したリポーター分子がゼロであるか又はごくわずかな量であることを保証した。信号基準画像は、代替的に、等モル濃度で蛍光顔料自体を流すことにより取得し得、蛍光標識されたリポーター分子を利用する必要がない。
マイクロ流体デバイスへの分泌細胞の導入:CHO細胞をOptoSelectデバイスに導入し、デバイスのOEP技術の誘電泳動力を使用してNanopenチャンバに選択的に配置した。細胞は、1つのNanopenチャンバにつき1つの細胞として配置された。培養媒体を上記と同様に6日間にわたり灌流させた。毎日、明視野画像を撮影して、各NanoPenチャンバ内の細胞増殖を記録した。最初のアッセイ前の6日間の培養期間の選択は、生体細胞及び分泌検体の特定の要件に応じて変更し得る。長期間の培養期間のそれぞれの日でアッセイする(明視野画像を含み得る)ことが望ましいこともあり、又は培養期間中、選択された日に1つ若しくは複数のアッセイを実行することができる。
アッセイ信号収集:アッセイの初期ステップとして、明視野画像を取得して、各NanoPenチャンバ内の細胞の数及び位置を相関付けた。明視野画像の収集後、1μg/mLの濃度の蛍光リポーター分子をマイクロ流体チャネルに0.05μL/秒で、リポーター分子が各NanoPenチャンバ内に完全に拡散するのに十分な時間を提供する45分間にわたり流した。リポーター分子をNanoPenチャンバに導入した後、上記の特定された拡散率に基づいて、蛍光リポーター分子を含む培養媒体のフローを25分間の期間にわたり0.03μL/秒で再開した。蛍光画像を取得した。必要に応じて、特定の細胞及び/又はそれからの分泌検体に適すると判断された追加の培養/増殖期間にわたり、アッセイを繰り返し得る。
検体の相対生産の特定
幅約20ピクセル及び長さ約200ピクセルのエリアを包含した、NanoPenチャンバ内からの拡散軸に沿った対象エリア(AOI)を各NanoPenチャンバ内で識別し、AOIの下端部(第1)は、細胞が配置されない、マイクロ流体チャネル内への開口部から遠いNanoPenチャンバのベースから選択された距離にある分離領域内にあるように選択された。AOIの長さの第2(上端部)は、マイクロ流体チャネル自体内にあるように選択され、AOI内及びチャネル内にあるピクセルが実質的に信号を有さないことを保証した。AOIの幅は、NanoPenチャンバの分離領域からOptoSelectデバイスのチャネルへの予期される拡散の軌道に沿ってセンタリングされる。本明細書に記載されるように、AOIは20のサブ領域(ビン)に細分され、各サブ領域は、幅20ピクセル及び予期される拡散軌道に沿って長さ10ピクセルを有する。
暗基準画像及び信号基準画像を使用して、本明細書に記載されるように、蛍光アッセイ画像を正規化/較正して、システムエラー及び視野の不完全な照明に起因した信号画像のロールオフを低減した。AOI内の各ピクセルは、
として処理された。
サブ領域内の各ピクセルの信号強度を合算することにより、20のサブ領域のそれぞれのメジアン強度を特定した。各サブ領域の正規化メジアン強度値のプロットした結果生成された曲線の表現を図12Bに示し、図12Bでは、x軸は、サブ領域1から20を列挙する。サブ領域1は、チャネルから最も離れたAOIのサブ領域であり、サブ領域20は、チャネルに最も入ったAOIのサブ領域である。サブ領域9〜13(図12Bの領域1156)の正規化メジアン強度値をプロットした曲線の部分に対して線形回帰を実行した。上述したように、これらのサブ領域は、観測された信号強度が、NanoPenチャンバの分離領域の下部(チャネルから最も遠い)内の生体細胞の位置の影響を受けにくかった。この動作から得られた傾きの値を任意の単位(A.U.)のスコアとして使用した。傾き(スコア)が大きいほど、そのNanoPenチャンバ内の細胞による検体の分泌が高いことを示した。
図21に示されるように、可視の各NanoPenチャンバの識別番号及びスコアが示され(上の数字は、そのNanoPenチャンバの識別番号であり、下の数字は、そのNanoPenチャンバのスコアである)、観測された信号強度と明らかに相関する。それぞれ低いスコア10.01及び8.67を有するNanoPenチャンバ563及び941は、検体を生成する少なくとも1つの債オブを有したが、これらのNanoPenチャンバのそれぞれから拡散したリポーター分子:抗体複合体は小量であった。それぞれスコア13.15及び17.26を有するNanoPenチャンバ563及び949は、中範囲のスコアを示した。最後に、それぞれスコア25.26、29.99及び27.95を有するNanoPenチャンバ560、566及び942は、より多量の抗体検体を生成した。ここに示されるスコアは、存在する細胞数について補正されなかった。しかし、その計算は、ここに示されるスコアに対して行い得る。生のスコア又は細胞カウント補正スコアのいずれも、高生産細胞株を成長させる取り組みの過程においていずれのNanoPenチャンバを更に調べるかの判断を支援するために、NanoPenチャンバをより容易にランク付けるために使用し得る。曲線下面積又は各NanoPenチャンバ内の分泌検体の生成レベルを定量化する本明細書に記載される他の方法等、NanoPenチャンバ内からチャネルへの濃度率変化を計算する他の方法を利用することもできる。
相対生産性の測定:図22A及び図22Bに示されるように、NanoPenチャンバごとの細胞数についてスコアを補正し得る。この実験では、細胞タイプ、媒体、リポーター分子、培養前画像取得、培養条件及びアッセイ条件は、上記と同じであった。図22Aは、図21の上の行における画像に示されるように、0日目、3日目、4日目、5日目、6日目に取得された1つのNanoPenチャンバ2124を示す。更に、上述したアッセイを3日目、4日目、5日目、6日目のそれぞれで実行し、同じ1つのNanoPenチャンバ2124の3日目、4日目、5日目及び6日目のそれぞれの蛍光画像は、その日の対応する明視野画像の下に並べて示した。明視野画像を使用して、存在する細胞数をカウントし、これは、自動プロセスで実行し得、クローン集団が増殖するにつれて、選択されたNanoPenチャンバについて0日目(細胞1個)、3日目(細胞8個)、4日目(細胞25個)、5日目(細胞65個)、6日目(細胞123個)を示した。上述したように取得されたアッセイスコア(負の傾きを表す)も同様に安定して増大した:3日目(195A.U.)、4日目(566A.U.)、5日目(1431A.U.)、6日目(2842)。したがって、3日目では、NanoPenチャンバ内の8個の細胞は、スコア195(A.U.)を生成した。4日目では、同じNanoPenチャンバは、ここで、25個の細胞を有し、スコア566(A.U.)を生成した。5日目では、同じNanoPenチャンバは、65個の細胞を有し、スコア1431(A.U.)を生成した。最後に、6日目では、同じNanoPenチャンバは、123個の細胞を有し、スコア2843(A.U.)を生成した。図22Bのグラフは、NanoPenチャンバ内の細胞培養の開始からの日数単位のアッセイ時点(x軸)に対してプロットされたアッセイスコア(y軸)を示す。絶対スコアをその時点で存在する細胞数で除算して、チャンバ内の細胞数に正規化されたスコアを提供した。これは、細胞ごとに22.6から24.1A.U.の範囲内に留まる、選択されたNanoPenチャンバ内の細胞の生産性(rQp)の正規化された尺度をもたらした。
例2.マクロスケールの生産及び細胞株成長を用いた抗体生産のインサイチュースコア付けの補正
システム及びデバイス:上記と同様。
細胞:実験1と同様のCHO細胞。
媒体:実験1と同様。
リポーター分子:実験1と同様。
培養を6日間実行し、分子量2.4Kdを有する、HiLyte Fluor(商標)555標識のIgG結合ペプチドを使用した拡散ベースのアッセイを実験1と同様に実行した。本明細書に定義されるように、AOI内で観測された信号の強度に基づいてスコアを割り当てる分析を実行した。OptoSelectデバイス内の各NanoPenチャンバのスコアを評価した。図22A及び図22B、OptoSelectデバイス内の各NanoPenチャンバをプロットし、ここで、横軸は、チップ上で得られた力価(「スコア」又はこの場合、細胞位置の影響を受けにくいサブ領域(AOI全体のサブ領域1〜20のうちのサブ領域9〜13)に沿ったメジアン強度値の傾き)である。各NanoPenチャンバは、グラフ(図23A)のy軸にプロットされ、アッセイの時点において各NanoPenチャンバ内でカウントされた細胞の数を表す(明視野画像から取得される)。第1の選択は、検体分泌の低(800A.U.未満遮断)スコア、検体分泌の中レベルスコア(800A.U.未満から約1400A.U.)及び検体分泌の高スコア(約1400A.U.から約2400A.U.)を有するNanoPenチャンバの3つの群を選択することにより行われた。これらの選択された群のそれぞれ内に、多数、中間数及び少数の細胞を有するNanoPenチャンバがあった。
図23Bに示されるように、更なる選択が含められて、高速成長を有するNanoPenチャンバ、中間の細胞倍化率を示すチャンバを選択し、第3の群は、低速でのみ細胞数が増殖するものとして選択された。これらの各群において、高レベル、中レベル及び低レベルの検体生産の代表があった(図23の横軸全体にわたるスコア範囲)。成長/分泌プロファイルの9つ全てのサブタイプの1つ内の個々のNanoPenチャンバの選択がなされ、選択されたペン(別個のクローン集団をそれぞれ保持する)をまずウェルプレートに個々に搬出した。IgGへのELISAアッセイを介して力価を取得した。クローン集団を含む低、中及び高分泌ウェルの更なる選択が125mL振とうフラスコに導入され、更にスケールアップした。
IgGへのELISAアッセイを介して、スケールアップ125mL振とうフラスコ内のクローン集団をアッセイした。選択されたクローンは、図24に示され、図24では、各125mL振とうフラスコの力価がy軸に表され、細胞の起点となった各NanoPenチャンバのオンチップ力価(上述したアッセイで得られたA.U.単位のスコア)がx軸に示されている。第1の群2405は、低オンチップ力価(スコア)を有するNanoPenチャンバ内の細胞に由来した。群2405は、125mL振とうフラスコにスケーリングされると、いかなる高生産クローンも含まなかった。第2の群2415は、中間範囲のオンチップ力価(スコア)を有するNanoPenチャンバ内の細胞に由来し、125振とうフラスコからの中間範囲のELISA力価値を示した。最後の群2425は、高い力価値を有し、全て139.1μg/mLのプール平均よりも高く、これも、高いオンチップ力価(A.U.単位のスコア)を有するNanoPenチャンバからの細胞に相関する。したがって、中から高のオンチップ力価(スコア又は特定の実施形態では傾き)を有するNanoPenチャンバ内の細胞について、マクロスケール集団で得られた力価レベルに良好な相関があることが実証された。したがって、本明細書に記載されるようにOptoSelectデバイス内で実行されたアッセイは、細胞株成長により多数の高生産クローンをより高速で識別する、意味のある手法をもたらした。更に、図16Bに関して上述したように、各クローン集団を個々にスクリーニングする能力は、他の非生産性クローン集団ほど迅速に成長しない可能性がある生産性クローンを識別する能力を提供する。
例3.アプタマーを使用した抗体の相対生産の評価
システム及びデバイス:上記と同様。
細胞:実験1と同様のCHO細胞。
媒体:実験1と同様。
リポーター分子:ヒト免疫グロブリンGのアプタマー(Apta-Index(商標)、Apt 8、ID#44、23−mer、MW.7.4Kd、Fc領域への親和性、Aptagen L.L.C.配列:5’−rGp−rGp−rAp−rGp−rGp−fUp−fCp−fCp−rGp−rAp−rAp−rAp−rGp−rGp−rAp−fCp−fUp−fCp−fCp−3’。配列表記中、接頭辞r−は、リボヌクレオチドを示し、接頭辞f−は、2−フルオロヌクレオチドを示し、接尾辞−pは、リン酸塩を示し、G、A、C、Uは、標準ヌクレオチド略称である。Alexa Fluor(登録商標)594(AF594、ThermoFisher Scientific、カタログ番号A20004(NHSエステル))MW819.8、Ex/Em590/617nm)で標識された。
蛍光化合物が拡散し、NanoPenチャンバとマイクロ流体チャネルとの間で拡散平衡を達成するまで、Alexa Fluor(登録商標)594又はAlexa Fluor(登録商標)594標識アプタマーを2μg/mLの濃度で含む培養媒体を45分間にわたりOptoSelectデバイスに流した。信号基準画像を取得する。次に、リポーター分子を有さない培養媒体を用いて0.03μL/秒でOptoSelectデバイスを30分間フラッシュした。このフラッシュ期間は、リポーター分子がNanoPenチャンバから実質的に完全に拡散することを保証する。
CHO細胞をOptoSelectデバイスに導入し、デバイスのOEP技術の誘電泳動力を使用してNanopenチャンバに選択的に配置した。細胞は、1つのNanopenチャンバにつき1つの細胞として配置される。6日の期間にわたり、上記のように培養媒体を灌流させる。毎日、明視野画像を撮影して、各NanoPenチャンバ内の細胞増殖を記録した。実験の3日目、4日目、5日目及び6日目のそれぞれの日で、抗体生産を検出するアッセイを実行する。
アッセイ信号収集:明視野画像を取得して、各NanoPenチャンバ内の細胞の数及び位置を相関付ける。明視野画像の収集後、2μg/mLの濃度の蛍光リポーター分子であるアプタマーAlexaFluor594をマイクロ流体チャネルに、リポーター分子が各NanoPenチャンバ内に完全に拡散するのに十分な時間を提供する50分間にわたり流した。リポーター分子をNanoPenチャンバに導入した後、約7Kdの分子での拡散率に基づいて、リポーター分子を含まない培養媒体のフローを30分間の期間にわたり0.03μL/秒で再開する。蛍光画像を取得する。
実験1において上述したように配置された幅約20ピクセル及び長さ約200ピクセルのエリアを包含した、NanoPenチャンバ内の拡散軸に沿った対象エリア(AOI)が各NanoPenチャンバ内で識別される。AOIの幅は、NanoPenチャンバの分離領域からOptoSelectデバイスのチャネルへの予期される拡散の軌道に沿ってセンタリングされる。AOIは、20のサブ領域(ビン又はセグメント)に細分され、各サブ領域は、幅20ピクセル及び予期される拡散軌道に沿って長さ10ピクセルを有する。暗基準画像及び信号基準画像を使用して、本明細書に記載されるように、蛍光アッセイ画像を正規化/較正して、システムエラー及び視野の不完全な照明に起因した信号画像のロールオフを低減する。
サブ領域内の各ピクセルの信号強度を合算することにより、20のサブ領域のそれぞれのメジアン強度を特定する。各サブ領域の正規化メジアン強度値の曲線が生成され、サブ領域9〜13の正規化メジアン強度値をプロットした曲線の部分に対して線形回帰を実行する。この動作から得られた傾きの値を任意の単位(A.U.)のスコアとして使用する。OptoSelectデバイスの合計で3500個のNanoPenチャンバのうちの選択された数の個々のNanoPenチャンバが、200A.U.〜250A.U.よりも大きいスコアを有し、増殖及び更なる成長のための搬出に選択されることが予期される。
本開示の特定の実施形態及び用途について本明細書に説明したが、これらの実施形態及び用途は、単なる例示であり、多くの変形形態が可能である。
選択された実施形態の列挙
実施形態1
生物学的微小物体によって生成される検体の数量を特定するシステムであって、画像取得ユニットであって、マイクロ流体デバイスを固定可能なマイクロ流体デバイスホルダであって、マイクロ流体デバイスは、フロー領域及びフロー領域に流体的に接続される複数の隔離ペンを含み、複数の隔離ペンのそれぞれは、1つ又は複数の生物学的微小物体を保持することができる、マイクロ流体デバイスホルダ、及びマイクロ流体デバイスの複数の隔離ペン及びフロー領域の1つ又は複数のアッセイ画像を取得するように構成される撮像要素を含む画像取得ユニットと、画像取得ユニットに通信可能に接続される画像処理ユニットであって、捕捉された各アッセイ画像を受信し、且つアッセイ画像に示される各隔離ペンの対象エリアを定義するように構成される対象エリア決定エンジンであって、対象エリアは、検体濃度変動の測定について影響を最も受けやすく、検体変動が測定されるとき、隔離ペン内の生物学的微小物体の位置の影響を最も受けにくく、且つ隔離ペンとフロー領域との間で拡散軸に沿って延在する隔離ペン内のエリアに対応する画像エリアを含む、対象エリア決定エンジン、及び各隔離ペンの対象エリア内の画像エリアの少なくとも一部を分析して、各隔離ペン内の検体の数量を示すスコアを決定するように構成されるスコア付けエンジンを含む画像処理ユニットとを含むシステム。
実施形態2
背景ノイズに起因し、且つ/又はアッセイ画像捕捉中に導入される画像歪みについて、各隔離ペンの対象エリアの少なくとも画像エリアを正規化するように構成される較正エンジンを更に含む、実施形態1に記載のシステム。
実施形態3
撮像要素は、1つ又は複数の対応する背景画像及び1つ又は複数の対応する信号基準画像を捕捉するように更に構成される、実施形態1又は2に記載のシステム。
実施形態4
較正エンジンは、対応する背景ノイズをアッセイ画像から減算することにより、画像歪みについて各隔離ペンの対象エリアの少なくとも画像エリアを正規化するように構成され、及び/又は較正エンジンは、対応する信号基準画像において捕捉された画像取得歪みを考慮することにより、画像歪みについて各隔離ペンの対象エリアの少なくとも画像エリアを正規化するように構成される、実施形態3に記載のシステム。
実施形態5
スコア付けエンジンは、各隔離ペンの対象エリアの正規化画像エリアの少なくとも一部を分析して、各隔離ペン内の検体の数量を示すスコアを決定するように構成される、実施形態2〜4のいずれかに記載のシステム。
実施形態6
スコア付けエンジンは、各隔離ペンの対象エリアの正規化画像エリアの少なくとも一部にわたる光強度値に線形回帰分析を適用して、各隔離ペン内の検体の数量を示すスコアを決定するように構成される、実施形態5に記載のシステム。
実施形態7
スコア付けエンジンは、各隔離ペンの正規化対象エリアの一部にわたる光強度値を積分して、各隔離ペン内の検体の数量を示すスコアを決定するように構成される、実施形態5に記載のシステム。
実施形態8
画像取得ユニット及び画像処理ユニットは、別個に向けられる、実施形態1〜7のいずれかに記載のシステム。
実施形態9
画像取得ユニット及び画像処理ユニットは、単一のユニットに統合される、実施形態1〜7のいずれかに記載のシステム。
実施形態10
対象エリア及び/又は対象エリアの画像エリアは、画像処理ユニットによって自動的に定義される、実施形態1〜9のいずれかに記載のシステム。
実施形態11
マイクロ流体デバイスは、生物学的微小物体によって生成される検体に結合し、且つ検出可能な標識を含む結合剤のフローを受け取るように構成され、スコア付けエンジンは、アッセイ画像から特定されるように、結合剤の検出可能な標識によって発せられる光の量に基づいて、各隔離ペン内の検体の数量を特定するように構成される、実施形態1〜10のいずれかに記載のシステム。
実施形態12
生物学的微小物体によって生成される検体の数量を特定する方法であって、フロー領域及びフロー領域に流体的に接続される複数の隔離ペンを含むマイクロ流体デバイスの撮像データを受信することであって、撮像データは、検体アッセイ画像と、背景ノイズ画像及び信号基準画像の一方又は両方とを含む、受信することと、各隔離ペンの対象エリアを定義することであって、対象エリアは、検体濃度変動の測定について影響を最も受けやすく、検体変動が測定されるとき、隔離ペン内の生物学的微小物体の位置の影響を最も受けにくく、且つ隔離ペンとフロー領域との間で拡散軸に沿って延在する隔離ペン内の画像エリアを含む、定義することと、各隔離ペンの対象エリアの画像エリアの少なくとも一部を分析することにより、各隔離ペン内の検体の数量を示すスコアを決定することとを含む方法。
実施形態13
撮像データは、生物学的微小物体によって生成される検体に結合するリポーター分子から発せられる光から特定される発光データを含む、実施形態12に記載の方法。
実施形態14
背景ノイズ画像において捕捉された背景ノイズを減算することにより、検体アッセイ画像内の隔離ペンのそれぞれの対象エリアの少なくとも画像エリアを正規化し、且つ/又は信号基準画像において捕捉された画像取得歪みを考慮することにより、検体アッセイ画像内の隔離ペンのそれぞれの対象エリアの少なくとも画像エリアを正規化することを更に含む、実施形態12又は13に記載の方法。
実施形態15
各隔離ペン内の検体の数量を示すスコアを決定することは、各隔離ペンの対象エリアの正規化画像エリアの少なくとも一部を分析することを更に含む、実施形態14に記載の方法。
実施形態16
各隔離ペン内の検体の数量を示すスコアを決定することは、各隔離ペンの対象エリアの正規化画像エリアの少なくとも一部にわたる発光データに線形回帰分析を適用することを更に含む、実施形態14に記載の方法。
実施形態17
各隔離ペン内の検体の数量を示すスコアを決定することは、各隔離ペンの対象エリアの正規化画像エリアの少なくとも一部にわたる発光データを積分することを更に含む、実施形態14に記載の方法。
実施形態18
検体は、タンパク質、サッカリド、核酸、タンパク質、サッカリド若しくは核酸以外の有機分子、小胞又はウィルスを含む、実施形態12〜17のいずれかに記載の方法。
実施形態19
生物学的微小物体によって生成される検体の数量を特定する画像処理方法をコンピュータに実行させるプログラムが記憶される非一時的コンピュータ可読媒体であって、方法は、フロー領域及びフロー領域に流体的に接続される複数の隔離ペンを含むマイクロ流体デバイスの撮像データを受信することであって、撮像データは、検体アッセイ画像と、背景ノイズ画像及び信号基準画像の一方又は両方とを含む、受信することと、各隔離ペンの対象エリアを定義することであって、対象エリアは、検体濃度変動の測定について影響を最も受けやすく、検体変動が測定されるとき、隔離ペン内の生物学的微小物体の位置の影響を最も受けにくく、且つ隔離ペンとフロー領域との間で拡散軸に沿って延在する隔離ペン内の画像エリアを含む、定義することと、各隔離ペンの対象エリアの画像エリアの少なくとも一部を分析することにより、各隔離ペン内の検体の数量を示すスコアを決定することとを含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
実施形態20
撮像データは、生物学的微小物体によって生成される検体に結合するリポーター分子から発せられる光から特定される発光データを含む、実施形態19に記載の方法。
実施形態21
背景ノイズ画像において捕捉された背景ノイズを減算することにより、検体アッセイ画像内の隔離ペンのそれぞれの対象エリアの少なくとも画像エリアを正規化し、且つ/又は信号基準画像において捕捉された画像取得歪みを考慮することにより、検体アッセイ画像内の隔離ペンのそれぞれの対象エリアの少なくとも画像エリアを正規化することを更に含む、実施形態19又は20に記載の方法。
実施形態22
各隔離ペン内の検体の数量を示すスコアを決定することは、各隔離ペンの対象エリアの正規化画像エリアの少なくとも一部を分析することを更に含む、実施形態21に記載の方法。
実施形態23
各隔離ペン内の検体の数量を示すスコアを決定することは、各隔離ペンの対象エリアの正規化画像エリアの少なくとも一部からの発光データに線形回帰分析を適用することを更に含む、実施形態21に記載の方法。
実施形態24
各隔離ペン内の検体の数量を示すスコアを決定することは、各隔離ペンの対象エリアの正規化画像エリアの少なくとも一部にわたる発光データを積分することを更に含む、実施形態21に記載の方法。
実施形態25
検体は、タンパク質、サッカリド、核酸、タンパク質、サッカリド若しくは核酸以外の有機分子、小胞又はウィルスを含む、実施形態19〜24のいずれかに記載の方法。
実施形態26
生物学的微小物体又はそれから生成される生物学的微小物体の集団による検体の分泌のレベルを評価する方法であって、生物学的微小物体をマイクロ流体デバイスの隔離ペンに導入することであって、マイクロ流体デバイスは、フロー領域を有するエンクロージャを含み、隔離ペンは、フロー領域に流体的に接続され、隔離ペンは、第1の流体媒体を含む、導入することと、生物学的微小物体又はそれから生成される生物学的微小物体の集団に、隔離ペン内の第1の流体媒体内に検体を分泌させることと、第2の流体媒体をフロー領域に導入することであって、第2の流体媒体は、複数のリポーター分子を含み、各リポーター分子は、分泌検体に結合するように構成される結合成分、及び検出可能な標識を含む、導入することと、複数のリポーター分子の一部を隔離ペン内に拡散させ、且つそこに分泌された検体に結合させ、それにより、複数のリポーター分子:分泌検体(RMSA)複合体を生成することと、マイクロ流体デバイス内の対象エリア内に位置するリポーター分子を検出することであって、対象エリアは、隔離ペンの少なくとも一部を含む、検出することとを含む方法。
実施形態27
隔離ペンは、分離領域及び分離領域をフロー領域に流体的に接続する接続領域を有し、分離領域及び接続領域は、分離領域内の流体媒体の成分が、実質的に拡散によってのみフロー領域内の流体媒体の成分と交換されるように構成される、実施形態26に記載の方法。
実施形態28
隔離ペン内の生物学的微小物体を増殖させて、生物学的微小物体のクローン集団にすることを更に含む、実施形態27に記載の方法。
実施形態29
培養媒体でフロー領域を灌流させることを更に含み、灌流は、生物学的微小物体を隔離ペンに導入した後且つ第2の流体媒体をフロー領域に導入する前に行われる、実施形態28に記載の方法。
実施形態30
培養媒体は、可溶性フィーダ細胞成分、定義された溶解酸素成分、定義されたpH成分、排出成長媒体成分及び/又は可溶性刺激成分の1つ又は複数を含む、実施形態29に記載の方法。
実施形態31
第2の流体媒体をフロー領域に導入することは、第1の時間期間にわたり、フロー領域を通して第2の流体媒体を流すことを含む、実施形態26〜30のいずれかに記載の方法。
実施形態32
第1の時間期間は、約30分から約60分である、実施形態31に記載の方法。
実施形態33
第3の流体媒体をフロー領域に導入することであって、第3の流体媒体は、リポーター分子を含まない、導入することと、非結合リポーター分子の少なくとも一部を隔離ペンから拡散させることとを更に含み、対象エリア内のリポーター分子を検出することは、隔離ペンから拡散した非結合リポーター分子の量が、隔離ペンから拡散したRMSA複合体の量の少なくとも2倍だけ大きいように選択された時間において行われる、実施形態26〜32のいずれかに記載の方法。
実施形態34
第3の流体媒体をフロー領域に導入することは、第2の時間期間にわたり、フロー領域を通して第3の流体媒体を流すことを含む、実施形態33に記載の方法。
実施形態35
第2の時間期間は、非結合リポーター分子及びRMSA複合体の拡散プロファイルのモデリングに基づいて選択される、実施形態34に記載の方法。
実施形態36
第2の時間期間は、約20分から約50分である、実施形態34に記載の方法。
実施形態37
対象エリアは、隔離ペン内からフロー領域への拡散軸に沿って整列された隔離ペンの少なくとも一部を含む、実施形態26〜36のいずれかに記載の方法。
実施形態38
対象エリア内に位置するリポーター分子を検出することは、対象エリアから到来する検出可能な信号の強度を測定することを含み、検出可能な信号の少なくとも幾つかは、対象エリア内に位置するリポーター分子の検出可能な標識から発せられる、実施形態26〜37のいずれかに記載の方法。
実施形態39
対象エリア内に位置するリポーター分子を検出することは、検出可能な信号の測定された強度から背景信号の強度を減算することにより、背景減算信号強度を特定することを更に含む、実施形態38に記載の方法。
実施形態40
生物学的微小物体を隔離ペンに導入する前の時間において、対象エリア内の背景信号の強度を測定することを更に含む、実施形態39に記載の方法。
実施形態41
検出可能な信号の測定された強度又は背景減算信号強度は、隔離ペン内で観測された細胞数について正規化される、実施形態38〜40のいずれかに記載の方法。
実施形態42
検体の分泌のレベルを定量化することを更に含む、実施形態26〜41のいずれかに記載の方法。
実施形態43
隔離ペンの分泌スコアを提供することを更に含む、実施形態26〜42のいずれかに記載の方法。
実施形態44
分泌スコアは、請求項12〜18のいずれかに記載の方法に従って決定される、実施形態43に記載の方法。
実施形態45
分泌検体は、リポーター分子の分子量の少なくとも2倍の大きさの分子量を有する、実施形態26〜44のいずれかに記載の方法。
実施形態46
分泌検体は、リポーター分子の分子量の少なくとも4倍だけ大きい分子量を有する、実施形態26〜44のいずれかに記載の方法。
実施形態47
分泌検体は、リポーター分子の分子量の少なくとも10倍だけ大きい分子量を有する、実施形態26〜44のいずれかに記載の方法。
実施形態48
リポーター分子の結合成分は、少なくとも1つのアミノ酸及び/又は少なくとも1つ核酸を含む、実施形態26〜47のいずれかに記載の方法。
実施形態49
リポーター分子の結合成分は、ペプチド又はタンパク質を含む、実施形態48に記載の方法。
実施形態50
リポーター分子の結合成分は、配列番号1から10のいずれか1つの配列を有するペプチドを含む、実施形態49に記載の方法。
実施形態51
リポーター分子の結合成分は、タンパク質A、タンパク質G又はタンパク質A若しくはタンパク質GのIgG結合断片を含む、実施形態49に記載の方法。
実施形態52
リポーター分子の結合成分は、アプタマーを含む、実施形態26〜51のいずれかに記載の方法。
実施形態53
検出可能な標識は、可視標識、発光標識、リン光標識又は蛍光標識を含む、実施形態26〜52のいずれかに記載の方法。
実施形態54
検出可能な標識は、蛍光標識である、実施形態26〜52のいずれかに記載の方法。
実施形態55
生物学的微小物体によって分泌される検体は、タンパク質、サッカリド、核酸、タンパク質、サッカリド若しくは核酸以外の有機分子、小胞又はウィルスを含む、実施形態26〜54のいずれかに記載の方法。
実施形態56
生物学的微小物体によって分泌される検体は、抗体である、実施形態26〜55のいずれかに記載の方法。
実施形態57
生物学的微小物体によって分泌される検体は、抗体以外のタンパク質である、実施形態26〜55のいずれかに記載の方法。
実施形態58
マイクロ流体デバイスは、複数の隔離ペンを含み、生物学的微小物体は、複数のうちの少なくとも2つの隔離ペンに導入され、方法の残りは、少なくとも2つの隔離ペンのそれぞれに対して実行される、実施形態26〜57のいずれかに記載の方法。
実施形態591
複数のうちの少なくとも2つの隔離ペンの隔離ペンの分泌のレベルを比較することを更に含む、実施形態58に記載の方法。
実施形態60
複数の隔離ペンのうちの2つ以上の隔離ペンの分泌スコアを比較することを更に含む、実施形態58に記載の方法。
実施形態61
少なくとも2つの隔離ペンのうちの1つ又は複数を選択することと、選択された隔離ペンのそれぞれから1つ又は複数の生物学的微小物体を搬出することとを更に含む、実施形態58〜60のいずれかに記載の方法。
実施形態62
選択された隔離ペンのそれぞれからの1つ又は複数の生物学的微小物体は、マイクロ流体デバイスから更に搬出される、実施形態61に記載の方法。
実施形態63
選択された隔離ペンは、個々に搬出される、実施形態61又は62に記載の方法。
実施形態64
クローン株成長の方法であって、個々の生物学的微小物体をマイクロ流体デバイスの複数の隔離ペンのそれぞれに導入することであって、マイクロ流体デバイスは、フロー領域を有するエンクロージャを更に含み、複数のうちの隔離ペンのそれぞれは、フロー領域に流体的に接続され、且つ第1の流体媒体を含む、導入することと、各生物学的微小物体又はそれから生成される生物学的微小物体のクローン集団に、対応する隔離ペンに含まれる第1の流体媒体に検体を分泌させることと、第2の流体媒体をフロー領域に導入することであって、第2の流体媒体は、複数のリポーター分子を含み、各リポーター分子は、分泌検体に結合するように構成される結合成分、及び検出可能な標識を含む、導入することと、複数のリポーター分子の一部を複数のうちの各隔離ペンに拡散させ、且つそこで分泌された検体の少なくとも一部に結合させ、それにより、複数の隔離ペンのそれぞれにおいて複数のリポーター分子:分泌検体(RMSA)複合体を生成することと、複数のうちの各隔離ペンについて、対応する対象エリアから発せられる信号の強度を検出することであって、対象エリアは、対応する隔離ペンの少なくとも一部を含み、対象エリアから発せられる信号の少なくとも一部は、対象エリア内に位置するリポーター分子の検出可能な標識から発せられる、検出することと、複数のうちの各隔離ペンについて、対応する対象エリアから発せられた検出された信号強度に基づいてスコアを決定することと、複数の隔離ペンから隔離ペンの組を選択することであって、その組の各隔離ペンは、それに含まれる生物学的微小物体又はクローン集団がトップ検体生成者であることを示すスコアを有する、選択することと、マイクロ流体デバイスから、選択された隔離ペンの組の各隔離ペン内に含まれる1つ又は複数の生物学的微小物体を搬出することと、対応する反応容器内において、選択された隔離ペンの組の各隔離ペンからの搬出された1つ又は複数の生物学的微小物体を増殖させることと、それぞれの対応する反応容器内で分泌された検体のレベルを特定し、それにより、各生物学的微小物体又はクローン集団の分泌のレベルを特定することとを含む方法。
実施形態65
複数のうちの各隔離ペンは、分離領域及び分離領域をフロー領域に流体的に接続する接続領域を有し、分離領域及び接続領域は、分離領域内の流体媒体の成分が、実質的に拡散によってのみフロー領域内の流体媒体の成分と交換されるように構成される、実施形態64に記載の方法。
実施形態66
複数のうちの幾つか又は全ての隔離ペン内の個々の生物学的微小物体を増殖させて、生物学的微小物体のクローン集団にすることを更に含む、実施形態65に記載の方法。
実施形態67
培養媒体でフロー領域を灌流させることを更に含み、灌流は、個々の生物学的微小物体を複数の隔離ペンに導入した後且つ第2の流体媒体をフロー領域に導入する前に行われる、実施形態66に記載の方法。
実施形態68
培養媒体は、可溶性フィーダ細胞成分、定義された溶解酸素成分、定義されたpH成分、排出成長媒体成分及び/又は可溶性刺激成分の1つ又は複数を含む、実施形態67に記載の方法。
実施形態69
第2の流体媒体をフロー領域に導入することは、第1の時間期間にわたり、フロー領域を通して第2の流体媒体を流すことを含む、実施形態64〜68のいずれかに記載の方法。
実施形態70
第1の時間期間は、約30分から約60分である、実施形態69に記載の方法。
実施形態71
第3の流体媒体をフロー領域に導入することであって、第3の流体媒体は、リポーター分子を含まない、導入することと、非結合リポーター分子の少なくとも一部を隔離ペンから拡散させることとを更に含み、複数のうちの各隔離ペンの対応する対象エリアから発せられる信号の強度を検出することは、隔離ペンから拡散した非結合リポーター分子の量が、隔離ペンから拡散したRMSA複合体の量の少なくとも2倍だけ大きいように選択される時間において行われる、実施形態64〜70のいずれかに記載の方法。
実施形態72
第3の流体媒体をフロー領域に導入することは、第2の時間期間にわたり、フロー領域を通して第3の流体媒体を流すことを含む、実施形態71に記載の方法。
実施形態73
第2の時間期間は、非結合リポーター分子及びRMSA複合体の拡散プロファイルのモデリングに基づいて選択される、実施形態72に記載の方法。
実施形態74
第2の時間期間は、約20分から約50分である、実施形態73に記載の方法。
実施形態75
対象エリアは、隔離ペン内からフロー領域への拡散軸に沿って整列された隔離ペンの少なくとも一部を含む、実施形態64〜74のいずれかに記載の方法。
実施形態76
複数のうちの各隔離ペンの対応する対象エリアから発せられた信号の強度を検出することは、検出可能信号の測定された強度から背景信号の強度を減算して、背景減算信号強度を特定することを含む、実施形態64〜75のいずれかに記載の方法。
実施形態77
生物学的微小物体を隔離ペンに導入する前の時間において、複数のうちの各隔離ペンの対応する対象エリア内の背景信号の強度を測定することを更に含む、実施形態76に記載の方法。
実施形態78
検出可能な信号の測定された強度又は背景減算信号強度は、対応する隔離ペン内で観測された細胞数について正規化される、実施形態76又は77に記載の方法。
実施形態79
複数の隔離ペンのスコアは、請求項12〜18のいずれかに記載の方法に従って決定される、実施形態64に記載の方法。
実施形態80
分泌検体は、リポーター分子の分子量の少なくとも2倍の大きさの分子量を有する、実施形態64〜79のいずれかに記載の方法。
実施形態81
分泌検体は、リポーター分子の分子量の少なくとも4倍だけ大きい分子量を有する、実施形態64〜79のいずれかに記載の方法。
実施形態82
分泌検体は、リポーター分子の分子量の少なくとも10倍だけ大きい分子量を有する、実施形態64〜79のいずれかに記載の方法。
実施形態83
リポーター分子の結合成分は、少なくとも1つのアミノ酸及び/又は少なくとも1つ核酸を含む、実施形態64〜82のいずれかに記載の方法。
実施形態84
リポーター分子の結合成分は、ペプチド又はタンパク質を含む、実施形態83に記載の方法。
実施形態85
リポーター分子の結合成分は、配列番号1から10のいずれか1つの配列を有するペプチドを含む、実施形態84に記載の方法。
実施形態86
リポーター分子の結合成分は、タンパク質A、タンパク質G又はタンパク質A若しくはタンパク質GのIgG結合断片を含む、実施形態84に記載の方法。
実施形態87
リポーター分子の結合成分は、アプタマーを含む、実施形態64〜86のいずれかに記載の方法。
実施形態88
検出可能な標識は、可視標識、発光標識、リン光標識又は蛍光標識を含む、実施形態64〜87のいずれかに記載の方法。
実施形態89
検出可能な標識は、蛍光標識である、実施形態64〜87のいずれかに記載の方法。
実施形態90
生物学的微小物体によって分泌される検体は、タンパク質、サッカリド、核酸、タンパク質、サッカリド若しくは核酸以外の有機分子、小胞又はウィルスを含む、実施形態64〜89のいずれかに記載の方法。
実施形態91
生物学的微小物体によって分泌される検体は、抗体である、実施形態64〜90のいずれかに記載の方法。
実施形態92
生物学的微小物体によって分泌される検体は、抗体以外のタンパク質である、実施形態64〜90のいずれかに記載の方法。
実施形態93
反応容器は、ウェルプレート内のウェル、振とうフラスコ又はバイオリアクタである、実施形態64〜92のいずれかに記載の方法。
実施形態94
生物学的微小物体又はそれから生成される生物学的微小物体の集団によって分泌される検体のレベルを評価するキットであって、フロー領域及び複数の隔離ペンを有するエンクロージャを含むマイクロ流体デバイスであって、各隔離ペンは、フロー領域に流体的に接続され、フロー領域及び隔離ペンは、流体媒体を含むように構成される、マイクロ流体デバイスと、検出可能な標識及び検体に結合するように構成される結合成分を含むリポーター分子とを含むキット。
実施形態95
複数のうちの各隔離ペンは、分離領域及び分離領域をフロー領域に流体的に接続する接続領域を有し、分離領域及び接続領域は、分離領域内の流体媒体の成分が、実質的に拡散によってのみフロー領域内の流体媒体の成分と交換されるように構成される、実施形態94に記載のキット。
実施形態96
リポーター分子の結合成分は、少なくとも1つのアミノ酸及び/又は少なくとも1つ核酸を含む、実施形態94又は95に記載のキット。
実施形態97
リポーター分子の結合成分は、ペプチド又はタンパク質を含む、実施形態96に記載のキット。
実施形態98
リポーター分子の結合成分は、配列番号1から10のいずれか1つの配列を有するペプチドを含む、実施形態97に記載のキット。
実施形態99
リポーター分子の結合成分は、タンパク質A、タンパク質G又はタンパク質A若しくはタンパク質GのIgG結合断片を含む、実施形態97に記載のキット。
実施形態100
リポーター分子の結合成分は、アプタマーを含む、実施形態96に記載のキット。
実施形態101
検出可能な標識は、可視標識、発光標識、リン光標識又は蛍光標識を含む、実施形態94〜100のいずれかに記載のキット。
実施形態102
検出可能な標識は、蛍光標識である、実施形態94〜100のいずれかに記載のキット。
実施形態103
流体媒体を更に含む、実施形態94〜102のいずれかに記載のキット。
実施形態104
流体媒体は、生物学的微小物体又はそれから生成される生物学的微小物体の集団を維持するか、増殖させるか、又はそれに選択的圧力を提供するように構成される、実施形態103に記載のキット。
実施形態105
マイクロ流体デバイスの1つ又は複数の表面を調整するように構成される試薬を更に含む、実施形態94〜104のいずれかに記載のキット。
実施形態106
試薬は、マイクロ流体デバイスの1つ又は複数の表面を共有結合的に修飾するように構成される、実施形態105に記載のキット。
実施形態107
対象エリアは、検体濃度変動の測定について影響を最も受けやすく、検体変動が測定されるとき、隔離ペン内の生物学的微小物体の位置の影響を最も受けにくく、且つ隔離ペンとフロー領域との間で拡散軸に沿って延在する隔離ペン内のエリアに対応する画像エリアを含む、実施形態26〜63のいずれかに記載の方法。
実施形態108
対象エリアは、基本的に画像エリアからなる、実施形態107に記載の方法。
実施形態109
自動化される、実施形態26〜63、107又は108のいずれかに記載の方法。
実施形態110
コンピュータに、生物学的微小物体によって生成される検体の数量を特定する方法を実行するようにシステムに指示させるプログラムが記憶される非一時的コンピュータ可読媒体であって、方法は、実施形態26〜63、107又は108のいずれかに記載の方法である、非一時的コンピュータ可読媒体。
実施形態111
システムは、実施形態1〜11に記載のシステムである、実施形態110に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
実施形態112
対象エリアは、検体濃度変動の測定について影響を最も受けやすく、検体変動が測定されるとき、隔離ペン内の生物学的微小物体の位置の影響を最も受けにくく、且つ隔離ペンとフロー領域との間で拡散軸に沿って延在する隔離ペン内のエリアに対応する画像エリアを含む、実施形態64〜93のいずれかに記載の方法。
実施形態113
対象エリアは、基本的に画像エリアからなる、実施形態112に記載の方法。
実施形態114
自動化される、実施形態64〜93、112又は113のいずれかに記載の方法。
実施形態115
コンピュータに、クローン株成長の方法の少なくとも一部を実行するようにシステムに指示させるプログラムが記憶される非一時的コンピュータ可読媒体であって、方法は、実施形態64〜93、112又は113のいずれかに記載の方法であり、システムは、少なくとも、選択された隔離ペンの組の各隔離ペン内に含まれる1つ又は複数の生物学的微小物体をマイクロ流体デバイスから搬出するまでの且つそれを含むステップを実行する、非一時的コンピュータ可読媒体。
実施形態116
システムは、実施形態1〜11のいずれかに記載のシステムである、実施形態115に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。