本実施形態は、上述の通り、熱放射可能な熱放射構造体であって、第1の導体層と、前記第1の導体層の上に誘電体層と、前記誘電体層の上に、周期構造を有する第2の導体層と、を含み、前記第1の導体層及び第2の導体層のうち少なくとも一方が、高温相と低温相とで導電性が変化する相転移材料から構成される、熱放射構造体である。
本実施形態によれば、使用する相転移材料の熱放出特性を反転させることができる。すなわち、使用する相転移材料の熱放出特性が、高温相では熱を放出し難く、低温相では熱を放出し易い場合(すなわち、高温相での熱放出率が小さく、低温相での熱放出率が大きい場合)、本実施形態の熱放射構造体の熱放出特性は、高温では熱を放出し易く、低温では熱を放出し難くなる(すなわち、高温での熱放出率が大きく、低温相での熱放出率が小さくなる)。また一方で、使用する相転移材料の熱放出特性が、高温相では熱を放出し易く、低温相では熱を放出し難い場合(すなわち、高温相での熱放出率が大きく、低温相での熱放出率が小さい場合)、本実施形態の熱放射構造体の熱放出特性は、高温では熱を放出し難く、低温では熱を放出し易くなる(すなわち、高温での熱放出率が小さく、低温相での熱放出率が大きくなる)。
本実施形態により、新規な構成を有する熱を放射又は制御可能な構造体を提供することができ、当該構成により、使用可能な相転移材料の選択の幅を広げることができる。
以下、実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本実施形態の熱放射構造体の構成を説明するための模式的断面図である。図2は、図1の熱放射構造体の模式的斜視図である。図3は、図1の熱放射構造体(1セル)の寸法例を説明するための模式的斜視図である。図1は、図2の熱放射構造体10を点線AA'により矢印の方向に向かって切断した際の断面図に相当する。本実施形態において、左右方向、前後方向及び上下方向は、図2又は3に示した通りとする。熱放射構造体10は、第1の導体層1と、該第1の導体層1の上に形成された誘電体層3と、該誘電体層3の上に形成された周期構造を有する第2の導体層2と、を含む。また、第1の導体層1及び第2の導体層2のうち少なくとも一方が高温相と低温相とで導電性が変化する相転移材料である。この熱放射構造体10は、温度に応じてメタマテリアルエミッターとして機能し、図1における上方向に熱を放射することができる。すなわち、熱放射構造体10の熱放射率は温度によって変化する。そのため、熱放射構造体10は、例えば、対象物における熱を制御するための熱制御装置や、対象物を加熱するヒーターに用いられる熱を放射する熱放射装置として用いることができる。
第1の導体層1は、導体(電気伝導体)から構成される。本開示において、導体は、相転移材料を含む概念であり、相転移材料は、高温相又は低温相の一方で高い導電性を有するため、導体として把握することができる。相転移材料ではない導体材料(非相転移材料)としては、金属が挙げられ、金属の具体例としては、金(Au)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、又はタンタル(Ta)などが挙げられる。
誘電体層3は、第1の導体層1と第2の導体層2との間に挟まれている。誘電体層3の材料としては、例えば、アモルファスシリコン、アルミナ(Al2O3)、又はシリカ(SiO2)などが挙げられる。
第2の導体層2は、第1の導体層1と同様に、導体から構成される。なお、第1の導体層の材料と第2の導体層の材料は、それぞれ独立して選択することができる。第2の導体層2は、複数の個別導体層を有する。
熱放射構造体は、第1の導体層1及び第2の導体層2の両方が、相転移材料から構成される形態と、第1の導体層1が相転移材料から構成されかつ第2の導体層2が非相転移材料から構成される形態と、第1の導体層1が非相転移材料から構成されかつ第2の導体層2が相転移材料から構成される形態と、を含むことが想定される。
第2の導体層2と誘電体層3との間には、接着層が形成されていてもよい。また、誘電体層3と第1の導体層1との間に接着層が形成されていてもよい。接着層は、各層を直接接合する場合と比べて接着力を高めることができる。接着層の材料としては、例えば、クロム(Cr)、チタン(Ti)、又はルテニウム(Ru)などが挙げられる。
本実施形態において、第1の導体層及び第2の導体層のうち少なくとも一方が、高温相と低温相とで導電性が変化する相転移材料から構成される。相転移材料としては、高温相と低温相とで導電性が変化する材料であれば、特に制限されずに用いることができる。
相転移材料としては、例えば、高温相での導電率が低温相での導電率よりも大きく、かつ、高温相での熱放射率が低温相での熱放射率よりも小さい材料(より具体的には、高温相では金属的性質を有し、低温相では絶縁体的性質を有し、かつ、高温相での熱放射率が小さく、低温相での熱放射率が大きい材料)を用いることができる。このような相転移材料としては、例えば、バナジウム酸化物が挙げられる。バナジウム酸化物としては、例えば、二酸化バナジウムや該二酸化バナジウムにおけるバナジウムの一部が他の金属(例えばタングステンなどの遷移金属)に置換された酸化物などが挙げられる。なお、二酸化バナジウムは、一般的に、70℃(343K)付近に相転移温度を有する。
また、相転移材料としては、例えば、高温相での導電率が低温相での導電率よりも小さく、かつ、高温相での熱放射率が低温相での熱放射率よりも大きい材料(より具体的には、高温相では絶縁体的性質を有し、低温相では金属的性質を有し、かつ、高温相での熱放射率が大きく、低温相での熱放射率が小さい材料)も用いることができる。このような相転移材料としては、例えば、ペロブスカイト型Mn酸化物などが挙げられる。ペロブスカイト型Mn酸化物としては、例えば、A1−XBXMnO3で表されるMnを含むペロブスカイト酸化物(Aは、La、Pr、Nd及びSmから選ばれる少なくとも1つの希土類金属を表し、Bは、Ca、Sr及びBaから選ばれる少なくとも1つのアルカリ土類金属を表す)が挙げられる。ペロブスカイト型Mn酸化物は、一般的に、−23℃(250K)付近に相転移温度を有する。また、ペロブスカイト型Mn酸化物の他には、Crを含むコランダムバナジウム酸化物が挙げられ、具体的には(V1−XCrX)2O3で表されるコランダムバナジウム酸化物が挙げられる。
本明細書において、相転移材料とは、温度に応じて相変化を起こし、輻射率及び導電率が変化する材料のことを意味する。相転移材料は相変化材料と表現し得る。相転移材料において、高温相での抵抗値と低温相での抵抗値とが3桁以上異なることが好ましい。相転移温度よりも50℃高い温度での抵抗値と相転移温度よりも50℃低い温度での抵抗値とが3桁以上異なることが好ましく、相転移温度よりも30℃高い温度での抵抗値と相転移温度よりも30℃低い温度での抵抗値とが3桁以上異なることが好ましい。相転移温度Tcは、例えば、Tcでの抵抗値の対数がTc±50℃での抵抗値の対数の平均と等しくなるような温度と定義できる。相転移が温度ヒステリシスを取る場合は、昇温時のTcと降温時のTcの平均として定義すればよい。
第2の導体層2は、周期構造を有する。具体的には、第2の導体層2は複数の個別導体層を備え、この個別導体層が放射面に沿った方向に互いに離間して形成されることで、周期構造を構成することができる。なお、図1〜3においては、直方形型の個別導体層が開示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、個別導体層は、例えば線状型、十字型又は円盤型などの様々な形状を採用することができ、所望の放射波長に応じて個別導体層の形状を調整することができる。
本実施形態において、複数の個別導体層は、左右方向(第1方向)に間隔D1ずつ離れて互いに等間隔に配設されている(図1参照)。また、複数の個別導体層は、左右方向に直交する前後方向(第2方向)に間隔D2(不図示)ずつ離れて互いに等間隔に配設されている。個別導体層は、このように格子状に配列されている。複数の個別導体層の各々は、厚さt2(上下高さ)が横幅W(左右方向の幅)及び縦幅L(前後方向の幅)よりも小さい直方体形状をしている。第2の導体層2の周期構造の周期は、横方向の周期Λ1=D1+W(Pw)、縦方向の周期Λ2=D2+L(PL)である。
第1の導体層1の膜厚(t1)、第2の導体層2の膜厚(t2)、誘電体層3の膜厚(t3)は、特に制限されるものではなく、それぞれ適宜選択することができる。第1の導体層1の膜厚(t1)は、例えば、30〜300nmである。第2の導体層2の膜厚(t2)は、例えば、30〜300nmである。誘電体層3の膜厚(t3)は、例えば、50〜500nmである。
熱放射構造体10は、所望の波長で赤外線を放射面から放射する特性を有するように、上述した材料、形状、及び周期構造などを調整することができる。個別導体層の各々の形状に関して、横幅Wは、例えば、500nm以上3000nm以下とすることができる。縦幅Lは、例えば、500nm以上3000nm以下とすることができる。厚さt2は、例えば、30nm以上300nm以下とすることができる。また、第2の導体層2の周期構造に関して、左右方向の間隔D1は、例えば、100nm以上3000nm以下とすることができる。前後方向の間隔D2は、例えば、100nm以上3000nm以下とすることができる。なお、横幅Wと縦幅Lとは、同じ値としてもよいし異なる値としてもよい。間隔D1及び間隔D2や、周期Λ1及び周期Λ2についても同様である。
図1〜3においては、誘電体層3が第1の導体層1と同様に平板状に形成されている形態が示されているが、誘電体層3の形状は、この形態に特に制限されるものではなく、例えば、第2の導体層2に追従して周期構造を有してもよい。誘電体層3が第2の導体層2に追従して周期構造を有する熱放射構造体20について、その構成例を図4〜6に示す。図4は、熱放射構造体20の構成を説明するための模式的断面図であり、図5は、図4の熱放射構造体の模式的斜視図であり、図6は、図4の熱放射構造体(1セル)の寸法例を説明するための模式的斜視図である。
以下、さらに具体的な実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(実施形態1)
実施形態1について、図7を参照しつつ説明する。
実施形態1では、第1の導体層が相転移材料ではない導体材料(非相転移材料:金属)から構成され、かつ第2の導体層が相転移材料(高温相での導電率が低温相での導電率よりも大きく、かつ、高温相での熱放射率が低温相での熱放射率よりも小さい材料として、二酸化バナジウム)から構成される熱放射構造体100について説明する。
第1の導体層101は、金属(例えばAl)から構成される平板状の部材である。
誘電体層103は、第1の導体層101の上に形成され、誘電体材料(例えばアモルファスシリコン)から構成される平板状の部材である。誘電体層103は、第1の導体層101と第2の導体層102との間に挟まれている。なお、図7(A)では、平板状である誘電体層103が示されているが、図7(B)に示す熱放射構造体110のように、誘電体層が第2の導体層102の周期構造に追従する周期構造を有していてもよい。
第2の導体層102(個別導体層)は、上述の通り、二酸化バナジウムから構成される。二酸化バナジウムは、約340K付近で抵抗値が3桁以上変化する相転移材料であり、高温相では金属的性質を有し、低温相では絶縁体的性質を有し、かつ、高温相での熱放射率が小さく、低温相での熱放射率が大きい相転移材料である。二酸化バナジウムの場合には、例えば、バナジウムをタングステンで一部置換すると(V1−xWxO2)その相転移温度を下げることかできる。
ここで、本実施形態に係る熱放射構造体が使用する相転移材料の熱放出特性と逆の特性を有するメカニズムについて説明する。
まず、熱放射構造体100の温度が高温である場合、すなわち、熱放射構造体100の温度が二酸化バナジウムの相転移温度超(例えば345K)である場合について説明する。上述のように、熱放射構造体100は、周期構造を有する第2の導体層102(相転移材料:二酸化バナジウム)と、第1の導体層101(非相転移材料:例えばAl)と、第2の導体層102及び第1の導体層101に挟まれた誘電体層103(例えばアモルファスシリコン)とを有している。熱放射構造体100の温度が高温である場合、二酸化バナジウムから構成される第2の導体層102は導電性を有し、熱放射構造体100は、誘電体層が二つの導体層に挟まれた構造を有する。これにより、熱放射構造体100は、主に赤外線として熱を放射可能な特性を有するメタマテリアルエミッターとして機能する。この特性は、マグネティックポラリトン(Magnetic polariton)で説明される共鳴現象によるものと考えられている。なお、マグネティックポラリトンとは、上下2枚の導体(第2の導体層102及び第1の導体層101)間の誘電体(誘電体層103)内において強い電磁場の閉じ込め効果が得られる共鳴現象のことである。これにより、高温の熱放射構造体100では、誘電体層103のうち第1の導体層101と第2の導体層102の個別導体層とに挟まれる部分、そして導体層のうち誘電体層に接する部分が赤外線の放射源となる。そして、その放射源から放たれる赤外線は周囲環境に平面波として放射される。また、この熱放射構造体100では、第2の導体層102、誘電体層103若しくは第1の導体層101の材料、又は第2の導体層102の形状若しくは周期構造を調整することで、共鳴波長を調整することができる。これにより、熱放射構造体100の放射面の放射率は、特定の波長において高くなる特性を示す。
次に、熱放射構造体100の温度が低温である場合、すなわち、熱放射構造体100の温度が二酸化バナジウムの相転移温度未満(例えば335K)である場合について説明する。熱放射構造体100の温度が低温である場合、二酸化バナジウムから構成される第2の導体層102は絶縁体的性質となり、その低温相の導電率は高温相の導電率よりも著しく小さくなる。そのため、熱放射構造体100は上述のようなメタマテリアルエミッターとして機能せず、共鳴現象は起こらない。その結果、低温時の熱放射構造体100の熱放射率は、高温時の熱放射構造体100の熱放射率よりも小さくなる。なお、低温時の熱放射構造体100の熱放射率は、第1の導体層(金属層)の存在により基板側からの熱輻射を反射し、第2の導体層側への透過を抑制することができるため、低温相の二酸化バナジウムの熱放射率に比べて低くなる。
以上の理由により、本実施形態に係る熱放射構造体が、使用する相転移材料の熱放出特性と逆の特性を有することになる。
図13に、熱放射構造体100の放射特性について、実施例1で行ったシミュレーション結果を示す。図13(A)は、高温時(345K)における熱放射構造体100の放射特性について測定した結果を示し、図13(B)は、低温時(335K)における熱放射構造体100の放射特性について測定した結果を示す。図13に示されるように、熱放射構造体100の放射特性は、高温時において高い熱放射率を有し、低温時において低い熱放射率を有する。この特性は、第2の導体層102として用いる相転移材料である二酸化バナジウムの放射特性(高温相にて低い熱放射率を有し、低温相にて高い熱放射率を有する放射特性)とは異なる。この結果は、熱放射構造体100の構成により使用する相転移材料の熱放出特性を反転することができることを示している。
なお、本実施形態の熱放射構造体において、第1の導体層101(例えば金属)が基板側からの熱輻射を反射し、第2の導体層側への熱輻射の透過を防ぐことができ、その結果、高い輻射率コントラストを得ることができる。より効果的に基板側からの熱輻射を反射させる観点から、第1の導体層101はベタ膜であることが好ましい。
なお、このような熱放射構造体100は、例えば以下のように形成することができる。
まず、支持基板(不図示)の表面にスパッタリングにより第1の導体層101を形成する。また、支持基板と第1の導体層101の間に接着層を設けてもよい。なお、支持基板は、例えば、温度を制御する対象となる対象物の一部であってもよい。また、支持基板は、例えば、熱を放射して加熱するためのヒーターの一部であってもよい。また、支持基板を含めて、本実施形態の熱制御装置又は熱放射装置としてもよい。
次に、第1の導体層101の表面にALD法(atomic layer deposition:原子層堆積法)により誘電体層103を形成する。続いて、誘電体層103の表面に所定のレジストパターンを形成してからスパッタリング法により第2の導体層102を形成する。そして、レジストパターンを除去することにより、第2の導体層102(複数の個別導体層)を形成する。
また、支持基板(Si基板)の表面に、スパッタリングにより、第1の導体層101、誘電体層103及び第2の導体層102の積層構造を形成した後、所定のレジストパターンを第2の導体層102上に形成し、反応性イオンエイッチングを施して第2の導体層102をパターニングすることにより、熱放射構造体100を作製してもよい。
(実施形態2)
実施形態2について、図8を参照しつつ説明する。
実施形態2は、第1の導体層が相転移材料(高温相での導電率が低温相での導電率よりも大きく、かつ、高温相での熱放射率が低温相での熱放射率よりも小さい材料)から構成され、かつ第2の導体層が非相転移材料から構成される熱放射構造体120である。すなわち、図8において、第1の導体層121が相転移材料(例えば二酸化バナジウム)から構成され、第2の導体層122が非相転移材料から構成される。
実施形態1と同様の理由により、熱放射構造体120についても、同様の効果(すなわち、熱放射構造体の構成により使用する相転移材料の熱放出特性を反転することができる効果)が得られることが理解される。また、本実施形態の熱放射構造体では、相転移材料が埋め込まれているため、長期使用においてもより安定した特性が得られることが期待される。
(実施形態3)
実施形態3について、図9を参照しつつ説明する。
実施形態3は、第1の導体層及び第2の導体層の両方が相転移材料(高温相での導電率が低温相での導電率よりも大きく、かつ、高温相での熱放射率が低温相での熱放射率よりも小さい材料)から構成される熱放射構造体130である。すなわち、図9において、第1の導体層131及び第2の導体層132の両方が相転移材料(例えば二酸化バナジウム)から構成される。また、本実施形態の熱放射構造体は、使用する材料の種類が少ないため、より容易に製造することができる。
実施形態1と同様の理由により、熱放射構造体130についても、同様の効果(すなわち、熱放射構造体の構成により使用する相転移材料の熱放出特性を反転することができる効果)が得られることが理解される。
(実施形態4)
実施形態4について、図10を参照しつつ説明する。
実施形態4では、第1の導体層201が相転移材料ではない導体材料(非相転移材料:金属)から構成され、かつ第2の導体層202が相転移材料(高温相での導電率が低温相での導電率よりも小さく、かつ、高温相での熱放射率が低温相での熱放射率よりも大きい材料として、ペロブスカイト型Mn酸化物)から構成される熱放射構造体200について説明する。なお、図10(A)では、平板状である誘電体層が示されているが、図10(B)に示す熱放射構造体210のように、誘電体層203が第2の導体層202の周期構造に追従する周期構造を有していてもよい。
まず、熱放射構造体200の温度が低温である場合、すなわち、熱放射構造体の温度がペロブスカイト型Mn酸化物の相転移温度未満(例えば200K)である場合について説明する。上述のように、熱放射構造体200は、周期構造を有する第2の導体層202(相転移材料:ペロブスカイト型Mn酸化物)と、第1の導体層201(例えばAl)と、第2の導体層202及び第1の導体層201に挟まれた誘電体層203(例えばアモルファスシリコン)とを有している。熱放射構造体200の温度が低温である場合、ペロブスカイト型Mn酸化物から構成される第2の導体層202は導電性を有し、熱放射構造体200は、誘電体層が二つの導体層に挟まれた構造を有する。これにより、熱放射構造体200は、主に赤外線として熱を放射可能な特性を有するメタマテリアルエミッターとして機能する。これにより、低温の熱放射構造体200では、誘電体層203のうち第1の導体層201と個別導体層とに挟まれる部分が赤外線の放射源となる。そして、その放射源から放たれる赤外線は周囲環境に平面波として放射される。
次に、熱放射構造体の温度が高温である場合、すなわち、熱放射構造体の温度がペロブスカイト型Mn酸化物の相転移温度以上(例えば300K)である場合について説明する。熱放射構造体200の温度が高温である場合、ペロブスカイト型Mn酸化物から構成される第2の導体層202は絶縁体的性質となり、その高温相の導電率は低温相の導電率よりも著しく小さくなる。そのため、熱放射構造体200は上述のようなメタマテリアルエミッターとして機能せず、共鳴現象は起こらない。その結果、高温時の熱放射構造体200の熱放射率は、低温時の熱放射構造体200の熱放射率よりも小さくなる。
以上の理由により、熱放射構造体200の放射特性は、高温時において低い熱放射率を有し、低温時において高い熱放射率を有する。この特性は、第2の導体層202として用いる相転移材料であるペロブスカイト型Mn酸化物の放射特性(高温相にて高い熱放射率を有し、低温相にて低い熱放射率を有する放射特性)とは異なる。そのため、熱放射構造体200の構成により、使用する相転移材料の熱放出特性を反転することができる。
(実施形態5)
実施形態5は、第1の導体層が相転移材料(高温相での導電率が低温相での導電率よりも小さく、かつ、高温相での熱放射率が低温相での熱放射率よりも大きい材料)から構成され、かつ第2の導体層が非相転移材料から構成される熱放射構造体(不図示)である。実施形態4と同様の理由により、当該熱放射構造体についても、同様の効果(すなわち、熱放射構造体の構成により使用する相転移材料の熱放出特性を反転することができる効果)が得られることが理解される。
(実施形態6)
実施形態6は、第1の導体層及び第2の導体層の両方が相転移材料(高温相での導電率が低温相での導電率よりも小さく、かつ、高温相での熱放射率が低温相での熱放射率よりも大きい材料)から構成される熱放射構造体(不図示)である。実施形態4と同様の理由により、当該熱放射構造体についても、同様の効果(すなわち、熱放射構造体の構成により使用する相転移材料の熱放出特性を反転することができる効果)が得られることが理解される。
(実施形態7:ヒーター)
次に、実施形態1に記載の熱放射構造体100を、熱放射により加熱するためのヒーター(具体的には赤外線ヒーター)における熱放射装置として応用した形態について、図11を用いて説明する。
図11は、本実施形態の赤外線ヒーター1000の構成を説明するための模式的断面図である。赤外線ヒーター1000は、ヒーター本体と、熱放射構造体100と、ケーシング(不図示)とを備えている。熱放射構造体100が、発熱体1001で発生した熱を放射する熱放射装置として機能する。この赤外線ヒーター1000は、上方に配置された不図示の対象物に向けて、所定波長の赤外線を放射することができる。
ヒーター本体は、いわゆる面状ヒーターとして構成されており、熱を発生させる発熱体1001と、発熱体1001に接触して発熱体1001の周囲を覆う絶縁体である保護部材1002とを備えている。発熱体1001は、例えばジグザグに湾曲させた形状とすることができる。発熱体1001の材料としては、特に制限されるものではなく、例えば、W、Mo、Ta、Fe−Cr−Al合金及びNi−Cr合金などが挙げられる。保護部材1002の材料としては、例えば、ポリイミドなどの絶縁性の樹脂やセラミックス等が挙げられる。ヒーター本体は、ケーシングの内部に配置される。発熱体1001の両端は、ケーシングに取り付けられた一対の入力端子(不図示)にそれぞれ接続される。この一対の入力端子を介して、発熱体1001に外部から電力が供給される。なお、ヒーター本体は、絶縁体にリボン状の発熱体を巻き付けた構成の面状ヒーターとしてもよい。なお、面状ヒーターの外形は、例えば被処理物の形状に応じて適宜設計することができ、例えば矩形ないし円形であっても良い。
保護部材1002の上に、支持基板1003が配置されている。また、該支持基板1003の上に熱放射構造体100が配置されている。支持基板1003と第1の導体層の間には接着層を設けてもよい。
支持基板1003は、接着層を介して第1の導体層101に接合することができる。支持基板1003は、ケーシングの内部に固定具(不図示)などにより固定されており、熱放射構造体100を支持する。支持基板1003の材料としては、好ましくは、Si、ガラスなどの、平滑面が維持しやすく、耐熱性が高く、熱反りが低い素材が挙げられる。なお、支持基板1003とヒーター本体とは、接触せずに空間を介して上下に離間して配設されていてもよい。
ケーシングの形状は、例えば、内部に空間を有し且つ底面が開放された略直方体が挙げられる。このケーシング内部の空間に、ヒーター本体及び熱放射構造体100を配置することができる。ケーシングは、発熱体1001から放出される赤外線を反射するように金属(例えばSUSやアルミニウム)で形成してもよい。
発熱体1001で発生した熱は熱伝導などによって熱放射構造体100まで移動し、熱放射構造体100の放射面から加熱する対象物に対して特定の波長領域の赤外線(最大ピーク付近の波長領域の赤外線)を選択的に放射することができる。そのため、この最大ピーク付近の波長領域の赤外線吸収率が比較的高い対象物に対して、効率よく赤外線を放射して加熱などを行うことができる。
また、ヒーターには、起動時に運転温度にできるだけ早く昇温することが求められるが、本実施形態の熱放射構造体は、昇温中(低温時)は熱輻射を抑えて早く昇温することができるという利点を有する。
(実施形態8:熱制御装置)
次に、実施形態1に記載の熱放射構造体100を、対象物の熱(より具体的には温度)を制御可能な熱制御装置として応用した形態について、図12を用いて説明する。
図12は、熱を制御する対象物2001の上に、熱制御装置としての熱放射構造体100を配置した構成を示す模式的断面図である。
上述の説明の通り、熱放射構造体100が有する熱放出特性から、対象物2001が低温の場合には、対象物2001上に配置された熱放射構造体100の熱放射率は小さいため、対象物2001から外部環境への放熱量を少なくすることができる。その結果、対象物2001の温度低下を抑えることができる。一方、対象物2001が高温の場合には、熱放射構造体100の熱放射率は大きいため、対象物2001から外部環境への放熱量を多くすることができる。その結果、対象物2001の温度上昇を抑えることができる。対象物としては、特に制限されるものではなく、例えば、電子機器を挙げることができる。
本実施形態の熱制御装置は、対象物の内部に配置してもよく、または外部に配置してもよい。本実施形態の熱制御装置は熱放射により熱を放射することから、熱制御装置は外部に配置されることが好ましく、対象物上に配置されることが好ましい。
本実施形態の熱制御装置は、熱放射構造体に加え、他の構成要素を含んでもよく、例えば、上述の支持基板を備えてもよい。
なお、本実施形態は、対象物と、該対象物における熱を制御する熱制御装置としての本開示の熱放射構造体と、を含む熱制御システムとしても把握することができる。また、本実施形態は、本開示の熱放射構造体を対象物内又は外に設けることにより、対象物における熱を制御する方法としても把握することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下に、本実施形態を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
(実施例1:シミュレーションを用いた検証1)
上述した実施形態1の熱放射構造体100(図7(A)参照)の熱放射特性を検証するため、電磁界シミュレーター(ソフトウェア名:CST MICROWAVE STUDIO 2016)を用いて解析を行った。
解析した熱放射構造体100の構成について、第1の導体層101としてアルミニウム(Al)を用い、第2の導体層102として二酸化バナジウム(VO2)を用い、誘電体層103としてアモルファスシリコンを用いた。また、基板はSi基板とした。
解析した熱放射構造体100の構成の寸法を表1に示す。なお、縦幅L(前後方向の幅)及び縦方向のピッチPL(前後方向のピッチ)は、それぞれ横幅W(左右方向の幅)及び横方向のピッチPW(左右方向のピッチ)と同じ寸法に設定した。
解析した熱放射構造体100を構成する各材料の誘電率として、表2に示す定義式を参照した。
図13に、シミュレーション結果を示す。図13(A)は、第2の導体層102(二酸化バナジウム)が高温相(345K)である場合の誘電率を用いて、熱放射構造体100の放射特性を解析した結果を示す。図13(B)は、第2の導体層102(二酸化バナジウム)が低温相(335K)である場合の誘電率を用いて、熱放射構造体100の放射特性について解析した結果を示す。なお、図13(A)及び(B)には、参考のため、それぞれの温度での黒体の放射スペクトルも示す。図13より、低温時の熱放射構造体100の熱放射率が高温時の熱放射構造体100の熱放射率よりも小さくなっていることがわかる。
また、図13より、熱放射構造体100が波長約10μmで最も共鳴することがわかる。上述のように、この共鳴波長は、所望の目的に応じて調整することができる。
(実施例2:シミュレーションを用いた検証2)
実施例1と同様に、上述した熱放射構造体110(誘電体層が第1の導体層に追従して周期構造を有する形態、図7(B)参照)の熱放射特性を検証した。
解析した熱放射構造体110の構成について、実施例1と同様に、第1の導体層101としてアルミニウム(Al)を用い、第2の導体層102として二酸化バナジウム(VO2)を用い、誘電体層103としてアモルファスシリコンを用いた。また、基板はSi基板とした。熱放射構造体110の構成の寸法も、実施例1と同様に設定した(表1参照)。なお、誘電体層103は第1の導体層に追従しているため、その縦幅L、横幅W、縦方向のピッチPL及び横方向のピッチPWは、第1の導体層と同じである。熱放射構造体110を構成する各材料の誘電率としても、実施例1と同様に、表2に示す定義式を参照した。
図14に、シミュレーション結果を示す。図14(A)は、第2の導体層102(二酸化バナジウム)が高温相(345K)である場合の誘電率を用いて、熱放射構造体110の放射特性を解析した結果を示す。図14(B)は、第2の導体層102(二酸化バナジウム)が低温相(335K)である場合の誘電率を用いて、熱放射構造体110の放射特性について解析した結果を示す。なお、図14(A)及び(B)には、参考のため、それぞれの温度での黒体の放射スペクトルも示す。図14より、低温時の熱放射構造体110の熱放射率が高温時の熱放射構造体110の熱放射率よりも小さくなっていることがわかる。
(実施例3:シミュレーションを用いた検証3)
上述した実施形態2の熱放射構造体120(図8参照)の熱放射特性を検証するため、電磁界シミュレーター(ソフトウェア名:CST MICROWAVE STUDIO 2016)を用いて解析を行った。
解析した熱放射構造体120の構成について、第1の導体層121として二酸化バナジウム(VO2)を用い、第2の導体層122としてタングステン(W)を用い、誘電体層123としてアモルファスシリコンを用いた。また、基板はSi基板とした。
解析した熱放射構造体120の構成の寸法を表3に示す。なお、縦幅L(前後方向の幅)及び縦方向のピッチPL(前後方向のピッチ)は、それぞれ横幅W(左右方向の幅)及び横方向のピッチPW(左右方向のピッチ)と同じ寸法に設定した。
二酸化バナジウム及びアモルファスシリコンの誘電率として、実施例1と同様に、表2に示す定義式を参照した。また、タングステンの誘電率として、「RefractiveIndex.INFO - Refractive index database」(https://refractiveindex.info/)の「W(Tungsten)」、「Ordal et al. 1988: n,k 0.667-200μm」を参照した。
図15に、シミュレーション結果を示す。図15(A)は、第1の導体層121(二酸化バナジウム)が高温相(345K)である場合の誘電率を用いて、熱放射構造体120の放射特性を解析した結果を示す。図15(B)は、第1の導体層121(二酸化バナジウム)が低温相(335K)である場合の誘電率を用いて、熱放射構造体120の放射特性について解析した結果を示す。なお、図15(A)及び(B)には、参考のため、それぞれの温度での黒体の放射スペクトルも示す。図15より、低温時の熱放射構造体120の熱放射率が高温時の熱放射構造体120の熱放射率よりも小さくなっていることがわかる。
(実施例4:シミュレーションを用いた検証4)
上述した熱放射構造体100の熱放射特性を検証するため、第1の導体層101としてアルミニウムの代わりにタングステンを用い、かつ下記表4の構成寸法としたこと以外は、実施例1と同様にして、シミュレーションを行った。
なお、実施例1と同様に、縦幅L(前後方向の幅)及び縦方向のピッチPL(前後方向のピッチ)は、それぞれ横幅W(左右方向の幅)及び横方向のピッチPW(左右方向のピッチ)と同じ寸法に設定した。
二酸化バナジウム及びアモルファスシリコンの誘電率として、実施例1と同様に、表2に示す定義式を参照した。また、タングステンの誘電率として、「RefractiveIndex.INFO - Refractive index database」(https://refractiveindex.info/)の「W(Tungsten)」、「Ordal et al. 1988: n,k 0.667-200μm」を参照した。
図16に、シミュレーション結果(吸収スペクトル)を示す。図16は、第2の導体層102(二酸化バナジウム)が高温相(370K)である場合の誘電率を用いて、熱放射構造体100の放射特性を解析した結果、及び第2の導体層102(二酸化バナジウム)が低温相(305K)である場合の誘電率を用いて、熱放射構造体100の放射特性について解析した結果を示す。図16より、低温時の熱放射構造体100の熱放射率が高温時の熱放射構造体100の熱放射率よりも小さくなっていることがわかる。
(実施例5)
以下の方法により、実施例4でシミュレーションにより検証した熱放射構造体100を実際に作製した。
まず、支持基板(Si基板)の表面に、スパッタリングにより第1の導体層101としてタングステン(W)を配置した。次に、第1の導体層101の表面にスパッタリングにより誘電体層103としてアモルファスシリコンを配置した。続いて、誘電体層103の表面にスパッタリング法により第2の導体層102として二酸化バナジウムを配置した。そして、所定のレジストパターンを形成し、反応性イオンエイッチングを施すことにより、熱放射構造体100を作製した。
図17に、作製した熱放射構造体100のSEM画像を示す。図17のSEM画像に示される通り、第2の導体層102としての二酸化バナジウムが周期構造を有するようにパターニングされている。
作製した熱放射構造体100について、305K及び370Kの温度における吸収スペクトルを赤外分光光度計(製品名:Nicolet is50、Thermo Fisher社製)により測定した。なお、キルヒホッフの法則から吸収率及び放射率(輻射率)は等しいことが理解される。得られた吸収スペクトルを図18に示す。図18より、低温時の熱放射構造体100の熱放射率が高温時の熱放射構造体100の熱放射率よりも小さくなっていることがわかる。
また、図19に、図16に示すシミュレーションにより得られた吸収スペクトルと図18に示す実際に作製した熱放射構造体100から得られた吸収スペクトルとの両方を示す。図19に示されるように、シミュレーション結果と実測結果はほぼ一致していることが確認された。
(実施例6:シミュレーションを用いた検証5)
上述した熱放射構造体100の熱放射特性を検証するため、第1の導体層101としてタングステンを用い、誘電体層103としてアモルファスシリコンの代わりにアルミナ(Al2O3)を用い、かつ下記表5の構成寸法としたこと以外は、実施例1と同様にして、シミュレーションを行った。
なお、実施例1と同様に、縦幅L(前後方向の幅)及び縦方向のピッチPL(前後方向のピッチ)は、それぞれ横幅W(左右方向の幅)及び横方向のピッチPW(左右方向のピッチ)と同じ寸法に設定した。
二酸化バナジウムの誘電率として、実施例1と同様に、表2に示す定義式を参照した。また、タングステンの誘電率として、「RefractiveIndex.INFO - Refractive index database」(https://refractiveindex.info/)の「W(Tungsten)」、「Ordal et al. 1988: n,k 0.667-200μm」を参照した。また、アルミナの誘電率として、分光エリプソメトリー(J.A. Woollam社製赤外域自動多入射角分光エリプソメーターIR-VASE)で測定した屈折率を用いた。
図20に、シミュレーション結果(吸収スペクトル)を示す。図20は、第2の導体層102(二酸化バナジウム)が高温相(370K)である場合の誘電率を用いて、熱放射構造体100の放射特性を解析した結果、及び第2の導体層102(二酸化バナジウム)が低温相(305K)である場合の誘電率を用いて、熱放射構造体100の放射特性について解析した結果を示す。図20より、低温時の熱放射構造体100の熱放射率が高温時の熱放射構造体100の熱放射率よりも小さくなっていることがわかる。
(実施例7)
以下の方法により、実施例6でシミュレーションにより検証した熱放射構造体100を実際に作製した。
まず、支持基板(Si基板)の表面に、スパッタリングにより第1の導体層101としてタングステン(W)を配置した。次に、第1の導体層101の表面にスパッタリングにより誘電体層103としてアルミナを配置した。続いて、誘電体層103の表面にスパッタリング法により第2の導体層102として二酸化バナジウムを配置した。そして、所定のレジストパターンを形成し、反応性イオンエイッチングを施すことにより、熱放射構造体100を作製した。
図21に、作製した熱放射構造体100のSEM画像を示す。図21のSEM画像に示される通り、第2の導体層102としての二酸化バナジウムが周期構造を有するようにパターニングされている。
作製した熱放射構造体100について、305K及び370Kの温度における吸収スペクトルを赤外分光光度計(製品名:Nicolet is50、Thermo Fisher社製)により測定した。得られた吸収スペクトルを図22に示す。図22より、低温時の熱放射構造体100の熱放射率が高温時の熱放射構造体100の熱放射率よりも小さくなっていることがわかる。
また、図23に、図20に示すシミュレーションにより得られた吸収スペクトルと図22に示す実際に作製した熱放射構造体100から得られた吸収スペクトルとの両方を示す。図23に示されるように、シミュレーション結果と実測結果はほぼ一致していることが確認された。
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本発明に含まれるものである。