以下、図面を参照して本発明を実施するための形態の例を説明する。なお、本願において「表側」(Front side)および「裏側」(Reverse side)は、貼り合せ部および接着層との位置関係により規定されるものとし、貼り合せ部により近い面の側を「表側」とし、接着層により近い面の側を「裏側」とする。
(A)本発明の第一の態様
本発明の第一の態様の光学情報媒体1は、図1にも示されるとおり、(i)貼り合せ部(受容層)30、(ii)少なくとも1つの画像部40、及び(iii)前記少なくとも1つの画像部を覆う接着層(保護層)50を含む。これらは、の本発明の第一の態様の光学情報媒体1の主要構成である。
貼り合せ部(受容層)上の一部には、少なくとも1つの画像部が配置され、前記少なくとも1つの画像部と、前記少なくとも1つの画像部のない貼り合せ部(受容層)とが接着層(保護層)で覆われている。
そして、前記画像部の主要構成部は貼り合わせ部(受容層)30側から順に、(ii−1)微細凹凸構造を有する微細凹凸構造含有部42、(ii−2)反射層44、及び(ii−3)マスク層46であり;前記画像部(微細凹凸構造含有部)が前記貼り合わせ部の片側表面の一部(第一の表面)に形成されており;貼り合せ部(受容層30は、その画像部(微細凹凸構造含有部)側表面のうち、少なくとも前記第一の表面以外の表面(第二の表面)に選択的エッチング可能化構造を有する。
なお、図1はあくまで本態様の一例を示したにすぎず、図1には画像部が4つある場合(40a〜d)を図示しているが、独立した画像部の数は任意に採ることができ、たとえば1、2、3、または5以上でもよい。
以下、図1を参照しつつ、各構成部について、より詳細に説明する。
(A−1)貼り合わせ部
貼り合わせ部30は、少なくとも1つの画像部40を所定の位置に保持する機能を有する。貼り合わせ部30は、透明性・微細凹凸構造含有部の支持の観点から、1〜20μmの範囲内の膜厚を有することが望ましい。また、貼り合わせ部30は、微細凹凸構造含有部の視認性の観点から、好ましくは無色である。また、貼り合わせ部30は、微細凹凸構造含有部の視認性・意匠性の観点から、400nm〜700nmの波長領域において、好ましくは10%〜95%、より好ましくは50%〜95%の透過率を有する。貼り合せ部30は、接着性樹脂から形成することが好ましい。接着性樹脂としては、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂であれば、選択的エッチング可能化構造を形成しやすい。接着性樹脂の非制限的な例は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、酢酸ビニル樹脂、ゴム系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂などを含む。
選択的エッチング可能化構造
また、貼り合わせ部30は、その画像部40側[微細凹凸構造含有部42側]表面を、画像部(微細凹凸構造含有部)が形成される第一の表面と、画像部(微細凹凸構造含有部)が形成されない第二の表面に分けた場合、少なくとも第二の表面は選択的エッチング可能化構造31(「サブ波長構造」という場合もある)を有する。
選択的エッチング可能化構造31とは、凹凸構造であって、その比表面積が前記微細凹凸構造43の比表面積よりも大きい構造のことをいい、ここで、前記選択的エッチング可能化構造31の比表面積は、選択的エッチング可能化構造31の凹凸を考慮した前記第二の表面の全表面積を、選択的エッチング可能化構造の凹凸を考慮せず完全に平坦であると仮定した場合の前記第二の表面の全表面積で割り算することにより見積もることができ、前記微細凹凸構造43の比表面積は、微細凹凸構造43の凹凸を考慮した微細凹凸構造43の全表面積を、微細凹凸構造43の凹凸を考慮せず完全に平坦であると仮定した場合の前記第一の表面の全表面積で割り算することにより見積もることができる。かかる比表面積の相違を利用することで、本発明の光学情報媒体の製造において反射層及びマスク層の膜厚に差異を生じさせ、もって選択的エッチングする点については、後記する項目(C)の本発明の第三の態様において説明する。
かかる選択的エッチングの観点からは、(選択的エッチング可能化構造の比表面積)/(微細凹凸構造の比表面積)は1.2以上あることが好ましく、1.5以上あることがより好ましい。
また、図1では、一例として選択的エッチング可能化構造31が、貼り合わせ部30の画像部40側表面の全面に形成された例を示しているが、上記選択的エッチングの目的のためには、前記第二の表面[画像部40が形成されない、貼り合わせ部30の画像部40側表面]に選択的エッチング可能化構造31があれば足りる。もっとも、選択的エッチング可能化構造31として次に説明するモスアイ形状等を採用する場合、図1のように第一の表面にも選択的エッチング可能化構造31を有してもよい。画像部を形成する材料が当該凹凸構造に食い込むことで、むしろ密着性が増す利点がある。
選択的エッチング可能化構造31の凹凸構造は、より具体的には、1軸状に並ぶシングルグレーティング構造でもよく、2軸状に並ぶクロスグレーティング構造(モスアイ形状)でもよく、ランダムな周期及び深さを有する構造、たとえば、1軸状に並ぶシングルグレーティング構造あるいは2軸状に並ぶクロスグレーティング構造(モスアイ形状)において周期及び深さが一定の範囲で場所により変動する場合であってもよい。
選択的エッチング可能化構造31の好ましい周期としてはエッチング性の観点から50nm〜500nm(500nm未満)、より好ましくは200〜400nm(400nm未満)である。特に選択的エッチング可能化構造31の周期が50nm以上であると成形しやすい点で好ましく、周期が500nm未満であると回折光が生じにくいという点で好ましい。選択的エッチング可能化構造31の好ましい深さ範囲としてはエッチングのされやすさの観点から、50nm〜800nm(800nm未満)、より好ましくは50nm〜500nm、さらに好ましくは200〜450nm(450nm未満)である。特に選択的エッチング可能化構造31の深さが200nm以上であると選択的にエッチングされやすいという点で好ましく、深さが450nm未満であると成形がしやすいという点で好ましい。
ここで、選択的エッチング可能化構造31の周期とは、選択的エッチング可能化構造31が形成されている表面上のある方向に沿って、互いに隣接する1の凹部と1の凸部の長さをいう。この周期は多少変動してもよいが、後記(C)でも説明する製造工程における選択的エッチング可能化構造31上への均質な反射膜形成の観点からは、できる限り一定であることが好ましい。選択的エッチング可能化構造31がシングルグレーティング構造を採る場合、この周期は一方向に存在するが、選択的エッチング可能化構造31がクロスグレーティング構造を有する場合、この周期は異なる二方向について存在する(2種類の周期)。クロスグレーティング構造の場合、最も周期の短い方向と、次に周期の短い方向の2方向を好ましく採用することができるが、2方向のいずれかが前記の周期のいずれかであってもよい。また、クロスグレーティング構造において、2種類の周期が同じであってもよく、その場合には2方向で前記の周期のいずれかであることが好ましい。この周期の2方向は、直交している場合もあるが、これに限定されず、直交しない2方向でもよい。
また、選択的エッチング可能化構造31の深さとは、凸部の最も高い部分の高さを深さ基準として、凹部のもっとも深い部分までの垂直距離をとったものである。
また、画像部が2以上存在する等、互いに離間した2以上の選択的エッチング可能化構造31がある場合、それぞれの選択的エッチング可能化構造31について周期及び深さを見積もることができる。
選択的エッチング可能化構造31は、後記する微細凹凸構造43よりも比表面積が大きいため、通常、その周期は微細凹凸構造43の周期よりも短い、及び/又は、その深さは微細凹凸構造43の深さよりも大きい。選択的エッチング可能化構造31は、例えばレリーフホログラム、回折格子、散乱構造、指向性構造、干渉構造、ブレーズド格子、マイクロレンズ、偏光素子、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、拡散構造、および反射防止構造からなる群から選択される。また、選択的エッチング可能化構造31は、1軸状に並ぶシングルグレーティング構造でもよく、2軸状に並ぶクロスグレーティング構造(モスアイ形状)でもよく、ランダムな周期及び深さを有する構造でもよい。選択的エッチング可能化構造31は、貼り合せ部30の連続した面の一部もしくは全体に「プレス法」、「キャスティング法」、および「フォトポリマー法」などにより成形されてよい。貼り合せ部30の厚みは、0.5μm以上、30μm以下とできる。
(A−2)画像部
画像部40は、微細凹凸構造含有部42、反射部44及びマスク部46を含む画像形成に寄与する構造部である(図1参照)。画像部40は、微細凹凸構造含有部42、反射部44及びマスク部46が積層された構成を有している。貼り合わせ部30の選択的エッチング可能化構造上の一部に、画像部40が配置されている。好ましくは、画像部40は貼り合わせ部30の選択的エッチング可能化構造に接している。
画像部40は、離間していない1つの画像部であってもよいし、相互に離間している2つ以上の画像部であってもよい。なお、便宜上、画像部が1つか、それとも2つ以上(すなわち複数)あるかは、互いに離間している画像部の個数により決めるものとする。ここで「離間」とは、問題となる複数の画像要素が、微細凹凸含有部42のレベルで一体化も接触もしていない場合をいう。また、少なくとも1つの画像部それぞれにおいて、微細凹凸構造含有部は、無色であるか、または1つの色で着色されていてもよい。あるいはまた、画像部の少なくとも1つにおいて、微細凹凸構造含有部は、2つ以上の色で着色されていてもよい。あるいはまた、画像部の少なくとも1つにおいて、微細凹凸構造含有部は、1つの色に着色された周縁区域と、前記周縁区域に包含され、前記周縁区域の色とは異なる1つまたは複数の色に着色された内部区域とを有してもよい。さらに、画像部が複数ある場合のある画像部の1つの微細凹凸構造含有部は、その他の画像部の微細凹凸構造含有部と異なる色に着色されていてもよい。
図1においては、画像部40a〜dが複数ある場合であって、上面視における同一の面積、ならびに同一の微細凹凸構造を有する場合を例示しているが、画像部は一つであってもよいし、画像部40が複数ある場合、その少なくとも2つが、上面視において異なる面積を有してもよい。あるいはまた、画像部40が複数ある場合、上面視において相互に異なる面積を有してもよい。
さらに、画像部40が複数ある場合、1つの画像部(たとえば、40a)の微細凹凸構造含有部42aの微細凹凸構造が、その余の画像部(たとえば、40b〜d)の微細凹凸構造含有部(たとえば42b〜d)の微細凹凸構造と異なる形状を有してもよい。
あるいはまた、画像部40が複数ある場合の微細凹凸構造含有部42が、相互に異なる形状の微細凹凸構造を有してもよい。
これらの修正によって、本実施形態の光学情報媒体1の表示情報の自由度ならびに意匠性をさらに高めることが可能となる。
(A−3)微細凹凸含有部
微細凹凸構造含有部42には、熱硬化性樹脂、酸化重合性樹脂、反応性硬化型樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。熱可塑性樹脂の非制限的な例は、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、ゴム系樹脂、ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、液晶高分子などを含む。
画像部の一構成要素である微細凹凸構造含有部42は、貼り合せ部30の表面に連続して形成された層ではなく、貼り合わせ層の画像部側表面の第一の表面にのみ形成される。
後記される反射層及びマスク層の選択的エッチングにおいて、前記微細凹凸構造の比表面積と被エッチング部の比表面積の相違を利用できるようにするためである。
本態様の微細凹凸構造含有部42は、一つであってもよいが、それが複数形成される場合、そのそれぞれは、各画像部40毎に独立しており、所望の間隔を有して配置してよい。
微細凹凸構造含有部42は、成形性の観点から、0.5〜30μmの範囲内、好ましくは0.1〜10μmの範囲内の膜厚を有してもよい。また、微細凹凸構造含有部42の成形を容易にする観点から、微細凹凸構造含有部42は、その表面の微細凹凸構造の最大高さの3〜10倍の膜厚を有することが望ましい。微細凹凸構造含有部42に用いる樹脂の未硬化状態における粘度(流動性)にも依存するが、前述の範囲内の膜厚を有することによって、形成時の未硬化樹脂のはみ出し、およびシワの発生を防止して、良好な形状の微細凹凸構造含有部42を得ることが可能となる。
微細凹凸構造含有部の色
また、微細凹凸構造含有部42は、無色であるか、または1つまたは複数の半透明または不透明な色に着色されていてもよい。ここで、「半透明」とは、微細凹凸構造による光学効果を視認できる程度に反射層44への入射光および反射層44からの反射光を透過させる着色状態を意味し、「不透明」とは、微細凹凸構造による光学効果を視認できない程度に反射層44への入射光および反射層44からの反射光を遮断する着色状態を意味する。もっとも、反射層44の機能を果たす観点からは、微細凹凸構造含有部42は少なくとも一部において透明または半透明であることが好ましい。
後記する、たとえば印刷プロセスにより、微細凹凸構造含有部42が複数ある場合のそれぞれを別個に異なる色とすることができるため、全面に均一に形成される一体の層の表面に微細凹凸構造を形成する場合と比較して多様な意匠表現を実現することが可能である。
本態様において、画像部40が複数ある場合40、それぞれにおいて、微細凹凸構造含有部42は、無色であるか、または1つの色で着色されていてもよい。 また、一つの微細凹凸構造含有部が、2つ以上の色で着色されていてもよく、微細凹凸構造含有部42が複数ある場合、その少なくとも1つにおいて、微細凹凸構造含有部42は、2つ以上の色で着色されていてもよい。たとえば、画像部40の少なくとも1つにおいて、微細凹凸構造含有部42は、1つの色に着色された周縁区域と、前記周縁区域に包含され、前記周縁区域の色とは異なる1つまたは複数の色に着色された内部区域とを有してもよい。
好ましい構成例において、画像部が複数ある場合、1つの画像部[たとえば、画像部40aの微細凹凸構造含有部42aは、他の画像部(たとえば、40b〜d)の微細凹凸構造含有部42b〜dと異なる色であってもよい。
より好ましい構成例において、画像部が複数ある場合、それぞれの画像部40の微細凹凸構造含有部42は、他の画像部40の微細凹凸構造含有部42と異なる色であってもよい。
ここで、2つの微細凹凸構造含有部42が「異なる色である」とは、(i)一方の微細凹凸構造含有部が無色であり、他方の微細凹凸構造含有部が1つまたは複数の色に着色されていること、(ii)2つの微細凹凸構造含有部が1つの色に着色されている場合、一方の微細凹凸構造含有部の色が他方の微細凹凸構造含有部の色とは異なること、または(iii)2つの微細凹凸構造含有部が複数の色に着色されている場合、一方の微細凹凸構造含有部の少なくとも1つの色が他方の微細凹凸構造含有部に存在しないことを意味する。
微細凹凸構造
微細凹凸構造含有部42は、その反射層44側の表面に、好ましくは、レリーフホログラム、回折格子、散乱構造、指向性散乱構造、干渉構造、ブレーズド格子、偏光素子、屈折構造、および光吸収構造からなる群から選択される微細凹凸構造43を有する。屈折構造としては、マイクロレンズ、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、プリズム構造、拡散構造がある。より好ましくは、回折格子構造、指向性の散乱構造、無指向性の散乱構造等の微細凹凸構造(43)を有する。
前記したように、微細凹凸構造43の比表面積は選択的エッチング可能化構造の比表面積よりは小さい。一般的には、その周期が500nm未満であることが好ましい。微細凹凸構造43は、典型的には500nm以上100μm未満の周期および50nm以上10μm未満の深さを有し、好ましくは500nm以上10μm未満の周期および100nm以上5μm未満の深さを有する。微細凹凸構造43の周期が500nm以上であると選択的エッチング可能化領域よりエッチングされにくいという点で好ましく、周期が100μm未満であると微細凹凸構造43そのものが視認されにくいという点で好ましい。また、微細凹凸構造43の深さが50nm以上であると光を回折、散乱、吸収、偏向させやすいという点で好ましく、深さが10μm未満であると成形がしやすいという点で好ましい。
図1においては、微細凹凸構造含有部42a〜dの反射層44a〜d側の表面全体に微細凹凸構造を有する場合を例示している。しかし、微細凹凸構造含有部42は、反射層側の表面の一部の領域のみに微細凹凸構造43を有してもよく、その余の領域が平坦であってもよい。
あるいはまた、1つの微細凹凸構造含有部42の反射層側の表面上に、複数種の微細凹凸構造43が存在してもよい。
また、微細凹凸構造含有部が複数の場合(たとえば、42a〜d)、1つの画像部(たとえば、40a)の微細凹凸構造含有部42aの微細凹凸構造は、他の画像部(たとえば、40b〜d)の微細凹凸構造含有部42b〜dと異なっていてもよい。
(A−4)反射層
画像部の一構成要素である反射層44は、微細凹凸構造含有部42の上に設けられる。
反射層44は、微細凹凸構造含有部42の存在しない領域(すなわち前記貼り合わせ部の第二の表面上)には存在しない層である。
反射層44の微細凹凸構造含有部42側の表面は、微細凹凸構造含有部42の微細凹凸構造に追従する凹凸面を有し、反射層44のマスク層46側の表面は、マスク層側からみた場合、微細凹凸構造含有部42の微細凹凸構造を反転させた凹凸面を有する。言い換えると、反射層44は、その両側において、微細凹凸構造含有部42の微細凹凸構造に起因する光学効果を提供する。その結果、反射層44は、表側からの観察において、反射層44および微細凹凸構造含有部42が着色している場合の色の組み合わせに起因する着色光沢表現を可能とする。なお、微細凹凸構造含有部42の表面に微細凹凸構造43が形成されていない領域がある場合、かかる領域を覆う反射層44は正反射光を提供する。
後記(C)でも説明するように、光学情報媒体の全面にわたる連続層として反射材料層を形成する際、貼り合わせ層30の選択的エッチング可能化構造31の部分と、微細凹凸構造含有部42の微細凹凸構造の部分の比表面積の相違から、選択的エッチング可能化構造31の部分には相対的に反射材料層が薄く形成される。この反射材料層の上から連続層としてマスク材料層を形成する際、反射材料層と同じく選択的エッチング可能化構造31の部分には相対的にマスク材料層が薄く形成される。マスク材料層をマスクとしてエッチングによりマスク材料層と反射材料層の相対的に薄く設けられた選択的エッチング可能化構造31の部分を選択的に除去することにより、反射層44とマスク層46を形成することができる。最終的に微細凹凸構造含有部上に形成される反射層44は、真空蒸着法で設ける場合、好ましくは10nm〜300nmの範囲内の膜厚を有する。後述するように、印刷法により反射層44を形成する場合には、乾燥後の膜厚が1nm〜10μmの範囲内に調整することが望ましい。
また、後記(C)でも説明するように、エッチング前の反射層(反射材料層)のマスク層形成側表面に微細凹凸構造及び選択的エッチング可能化構造の凹凸をより有効に反映させる観点からは、反射層の膜厚は選択的エッチング可能化構造の周期(の最小値)以下、及び微細凹凸構造の深さ(の最小値)以下であることが好ましい。
反射層44は、典型的には、微細凹凸構造含有部42と同一の上面視形状を有する。「上面視形状」とは、貼り合わせ部30の表面の法線方向から観察した際の形状を意味する。しかしながら、微細凹凸構造含有部42の一部の領域のみの上に、反射層44を形成してもよい。このような反射層44は、パスタ加工、水洗シーライト加工、レーザー加工などを用いて形成することができる。あるいはまた、たとえばスズなどを真空蒸着することで微細な海島状の反射材料層を設け、上記のマスク層46をマスクとして用いるエッチングを行い、海島状の反射層44を得ることも可能である。ここで、「海島状の反射層」とは、相互に離間した複数の反射材料からなる不連続層、または複数の貫通孔を有する反射材料の層を意味する。
微細凹凸構造含有部42の一部の領域のみの上に反射層44を設けることによって、表側からの観察において、反射層44および微細凹凸構造含有部42の色の組み合わせに起因する光沢表現と、微細凹凸構造含有部42が着色されている場合の色のみに起因する色彩表現とを同時に視認することが可能となり、より高い意匠性を実現することができる。
反射層44は、透過率は400nm〜700nmの波長領域において、20%以上の透過率を有してもよい。この場合には、透過での光学素子の効果を利用することが可能である。また、反射層の下に配置された情報、たとえば、後述する受容基材110(本発明の第七の態様参照)上の顔写真、文字、パターンなどの印刷部130情報が視認可能となる。
反射層の材料
反射層44は、金属類、または金属化合物などを用いて形成することができる。本発明において、「金属類」とは金属単体または合金を意味し、「金属化合物」として金属の酸化物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物などの化合物が用いられる。金属類は、Ca、Mg、Al、Ga、Sn、Cr、Ce、Ni、Cu、Au、Agを単体または合金を用いることができる。金属化合物はAl、Sn、Cr、Ni、Cu、Au、Agを単体または合金の酸化物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物との化合物とすることができる。
あるいはまた、反射層44は、透明な材料を使用して形成してもよい。透明な材料は、例えば、セラミックスなどの無機材料および有機ポリマーなどであり、以下に列記する光透過性を有した材料であればよい。なお、以下に示す化学式または化合物名の後に続く括弧内に記載された数値は、各材料の屈折率nである。
反射層44の形成材料が無機材料であるとき、形成材料は、例えば、硫化物、塩化物、酸化物、および、フッ化物のいずれかであればよく、このうち、硫化物は相対的に屈折率が高く、フッ化物は相対的に屈折率が低い。また、酸化物には、相対的に屈折率の高い材料から低い材料までが含まれるため、反射層44の形成材料として酸化物を選択する場合には、反射層44の屈折率として選択可能な屈折率の範囲が広い。
硫化物は、例えばCdS(2.6)およびZnS(2.3)などであり、塩化物は例えばPbCl2(2.3)などである。酸化物は、Sb2O3(2.0)、Fe2O3(2.7)、TiO2(2.6)、CeO2(2.3)、CdO(2.2)、WO3(2.0)、SiO(2.0)、Si2O3(2.5)、In2O3(2.0)、PbO(2.6)、Ta2O3(2.4)、ZnO(2.1)、ZrO2(2.0)、MgO(1.6)、SiO2(1.45)、Si2O2(2.0)、Al2O3(1.6)、および、GaO(1.7)を用いられる。フッ化物としては、MgF2(1.4)、CeF3(1)、CaF2(1.3から1.4)、AlF3(1.6)を用いられる。
反射層44の形成材料が有機ポリマーであるとき、形成材料は、例えば、ポリエチレン(1.51)、ポリプロピレン(1.49)、ポリテトラフルオロエチレン(1.35)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、および、ポリスチレン(1.60)などである。これらの材料は、屈折率、反射率、透過率などの光学特性、耐候性、層間密着性などに基づいて適宜選択して、薄膜の形態で形成することができる。
透明な材料からなる反射層44を形成する場合、反射層44と、隣接する層[微細凹凸構造含有部42およびマスク層46]との屈折率差を、0.1以上、好ましくは0.5以上とすることが望ましい。このような範囲の屈折率差を有することによって、反射層44と隣接する層との界面に充分な反射性を付与することができる。
(A−5)マスク層
画像部の一構成要素であるマスク層46は、反射層44の上に形成される。前述のように、マスク層46は、反射層44形成時のエッチングマスクとしての機能を発揮する。
マスク層46は、微細凹凸構造含有部42の一部の領域のみの上に反射層44を設ける場合を含めて、微細凹凸構造含有部42同一の上面視形状を有する。すなわち、後記(C)でも説明するように、反射材料層のマスク材料層側表面に反映される選択的エッチング可能化構造31及び微細凹凸構造43の比表面積の相違により、貼り合わせ層30の選択的エッチング可能化構造31の上よりも微細凹凸構造含有部42上に、マスク材料層が厚く設けられる。このため選択的エッチングにより、最終的には微細凹凸構造含有部上にのみマスク層/反射層が残される。
前記(A−4)における微細凹凸構造含有部42の一部の領域のみの上に反射層44を設ける態様を採る場合、マスク層もこの一部領域の上に設けられた反射層の上にのみ設けることもできる。また、マスク層46の反射層44とは反対側の面は、平坦であってもよいし、反射層44の微細凹凸構造にならった凹凸を有してもよい。
マスク層(46a〜d)は、たとえば、半金属、半金属の化合物、金属類、または金属化合物などを用いて形成することができる。 なお、図1において、4つのマスク層(46a〜d)が形成されているが、本態様のマスク層は、4つのマスク層に限定されない。半金属としては、ケイ素が用いられる。半金属の化合物としては、酸化ケイ素が用いられる。金属類としては、Ca、Mg、Al、Ga、Sn、Cr、Ceが用いられる。金属化合物としては、金属酸化物、金属フッ化物を用いることができる。金属酸化物としては、CeO2、ZnO、ZrO2、MgOx、Al2O3を用いることができる。フッ化物は、MgF2、CeF3、CaF2、AlF3を用いることができる。
(A−6)接着層
接着層50は、柔軟性を有する層であり、貼り合わせ部30と協働して、微細凹凸構造含有部42、反射層44、およびマスク層46からなる画像部40を所定の位置に維持し、画像部40の構成層を外部環境から隔離する機能、画像部40の耐衝撃性を向上させる機能、ならびに光学情報媒体1受容基材110(本発明の第七の態様参照)の所定の位置に接着する機能を有する。
柔軟性の指標としては、伸び率、引張り応力、引張り弾性率などの数値を用いることができる。たとえば、接着層50の材料から形成されるISO3167試験片(厚さ100μm)を用いISO527の試験方法で測定される伸び率が5%以上、より好ましくは20%以上である場合に、接着層50が柔軟性であるとみなすことができる。柔軟な接着層50によって画像部40を覆うことにより、画像部40の耐衝撃性、ひいては光学情報媒体1の耐衝撃性を向上させることができる。
接着層50は、微細凹凸構造含有部42、反射層44およびマスク層46からなる画像部40を覆うように形成されるため、貼り合わせ部30上の画像部40の存在しない領域は、接着層50で充填されている。接着層50は、画像部40の上面[マスク層46の反射層44とは反対側の面]においては、1〜50μmの膜厚を有することが望ましい。
接着層50には、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂を用いることができる。接着層50の樹脂として、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。またこれら樹脂中に、粒子を含有させてもよい。粒子としては、不定形のもの球状のものが用いられる。粒子の樹脂に対する含有比率は、5重量%以上、70重量%以下とすることができる。粒子としては、無機材料、有機材料を用いることができる。無機材料としては、ケイ素、ケイ素化合物を用いられる。有機材料としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、フッ素化合物を用いることができる。
本態様(その変形例を含む)において、典型的には、接着層50は無色であってもよい。貼り合わせ部30および接着層50を無色とすることによって、画像部40以外の領域(すなわち、背景)を無色とすることができる。すなわち、画像部40以外の領域に、貼り合わせ部と接着層50とが直接接触している光透過領域51を設けることができる。この場合、本態様の光学情報媒体1の画像部40以外の領域では、光学情報媒体1の下に配置された情報、たとえば、後述する受容基材110(本発明の第七の態様参照)上の顔写真、文字、パターンなどの印刷部130情報が視認可能となる。
あるいはまた、所望される意匠において、接着層50を着色してもよい。たとえば、1つまたは複数の半透明または不透明な色に着色されていてもよい。この場合には、表側からの観察において、画像部40以外の領域(すなわち、背景)に、任意の色彩表現を提供することが可能となる。この際の背景色は、画像部40の光沢表現を実現するための微細凹凸構造含有部42が着色している場合の色とは独立的に選択することができるので、光学情報媒体1により高い意匠性を付与することができる。接着層50を着色するには、接着層の樹脂中に染料または、顔料を含有させる。複数種の染料および/または顔料を併用してもよい。染料または、顔料の含有比率は、樹脂に対して、1重量%以上、10重量%以下とすることができる。用いることができる染料の非制限的な例は、アゾ染料を含む。用いることができる顔料の非制限的な例は、フタロシアニン系顔料アゾ系顔料、金属酸化物を含む。
(B)本発明の第二の態様
本発明の第二の態様は、本発明の第一の態様のより好ましい態様である。
本発明の第二の態様の光学情報媒体1は、図21にも示されるとおり順に、(i)貼り合せ部(受容層)30、(ii)少なくとも1つの画像部40、及び(iii)前記少なくとも1つの画像部を覆う接着層(保護層)50を含み、この点では本発明の第一の態様と同様である。これらは、本発明の第二の態様の光学情報媒体1の主要構成部である。
もっとも、前記画像部の主要構成部は貼り合わせ部(受容層)30側から順に、(ii−1)微細凹凸構造を有する微細凹凸構造含有部42、(ii−2)反射層44、(ii−3)マスク層46及び(ii−4)裏面着色部48であり;前記画像部(微細凹凸構造含有部)が前記貼り合わせ部の片側表面の一部(第一の表面)に形成されており;貼り合せ部(受容層)30は、その画像部(微細凹凸構造含有部)側表面のうち、少なくとも前記第一の表面以外の表面(第二の表面)に選択的エッチング可能化構造を有する。すなわち、本態様の画像部にはさらに裏面着色部48が含まれる。
なお、図21はあくまで本態様の一例を示したにすぎず、図21には画像部が4つある場合(40a〜d)を図示しているが、独立した画像部の数は任意に採ることができ、たとえば1、2、3、または5以上でもよい。
以下、図21を参照しつつ、各構成部について、より詳細に説明する。
(B−1)貼り合わせ部
「選択的エッチング可能化構造」の記載も含めて、本発明の第一の態様の(A−1)の記載と同様である。但し、「図1」を「図21」に読み替える。
(B−2)画像部
微細凹凸構造含有部42、反射部44、マスク部46及び裏面着色部48を含む画像形成に寄与する構造部である(図21参照)。裏面着色部48を明示的に更に含む点で異なるものの、それ以外は本発明の第一の態様の(A−2)の記載と同様である。但し、「図1」を「図21」に読み替える。裏面着色部48については、(B−5)において説明する。
(B−3)微細凹凸構造部
「微細凹凸含有部の色」及び「微細凹凸構造」の記載を含めて、本発明の第一の態様の(A−3)の記載と同様である。但し、「図1」を「図21」に読み替える。
(B−4)反射層及びマスク層
本発明の第一の態様の(A−4)及び(A−5)の記載と同様である。但し、「図1」を「図21」に読み替える。
なお、マスク層46は、たとえば、金属類、または金属化合物(二酸化珪素など)などを用いて形成することができる。もっとも、マスク層として用いる材料は、後に、裏面着色部を形成するのに好適な材料を選択すべきである。マスク層として用いる材料が弗化マグネシウムである場合、基材及び微細凹凸構造のある表側に対し、反射層とマスク層のある裏側を着色することはできない。
(B−5)裏面着色部
裏面着色部48は、熱硬化性樹脂、酸化重合性樹脂、反応性硬化型樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いて形成することができる。熱可塑性樹脂の非制限的な例は、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、ゴム系樹脂、ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、液晶高分子などを含む。
裏面着色部48の着色に用いられる着色剤は、微細凹凸構造含有部42と同様のものを用いることができる。
裏面着色部48は、例えば0.1〜30μmの範囲内、好ましくは0.2〜10μmの範囲内の膜厚を有してもよい。裏面着色部48の膜厚は一定でも場所により異なっても良い。裏面着色部48の膜厚が一定の場合には光沢表現が強調され、一定でなく差があると諧調表現が可能になり、光学情報媒体1により高い意匠性を付与することができる。
図21に示された裏面着色部48は、貼り合せ部30の表面に連続して形成された層ではない。図21の裏面着色部48のそれぞれは、各画像部40a〜d毎に独立しており、所望の間隔を有して配置されている。また、裏面着色部48は、無色であるか、または1つまたは複数の半透明または不透明な色に着色されている。裏面着色部48のそれぞれを別個に異なる色とすることができるため、全面に均一に形成される一体の層の表面に裏面着色部を形成する場合と比較して多様な意匠表現を実現することが可能である。
図21に示された例で説明すると、4つの画像部40a〜dのそれぞれの裏面着色部48a〜dは、無色であるか、または1つの色で着色されていてもよい。また、画像部40a〜dの少なくとも1つにおいて、裏面着色部48a〜dは、2つ以上の色で着色されていてもよい。たとえば、画像部40a〜dの少なくとも1つにおいて、裏面着色部48a〜dは、1つの色を有する周縁区域と、前記周縁区域に囲まれていて前記周縁区域の色とは異なる色を有する内部区域とを有してもよい。好ましい構成例において、1つの画像部、たとえば画像部40aの裏面着色部48aは、他の画像部40b〜dの裏面着色部48b〜dと異なる色であってもよい。より好ましい構成例において、4つの画像部40a〜dの裏面着色部48a〜dは、各々異なる色であってもよい。裏面着色部48a〜dに関する「異なる色」の定義は、微細凹凸構造含有部42a〜dと同様である。なお、以上の図21を例にとった説明は、画像部が4つの場合のみならず、任意の複数の画像部がある場合にも適用できる。
(B−6)接着層
本発明の第一の態様の(A−6)の記載と基本的に同様である。但し、「図1」を「図21」に読み替える。また、本態様では、接着層50により覆われる画像部40は、微細凹凸構造含有部42、反射層44およびマスク層46のみならず、裏面着色部48をも含む。また、本態様では、特に裏側からの視認性の観点から、接着層は無色であることが好ましい。
(C)本発明の第三の態様
本態様は光学情報媒体の製造方法であって、
以下の工程、すなわち、
(I)貼り合わせ部(受容層)を準備する工程であって、前記貼り合わせ部の片側表面が第一の表面と第二の表面とからなり、少なくとも前記第二の表面が選択的エッチング可能化構造を有している工程;
(II)前記貼り合わせ部の第一の表面上の一部に、少なくとも一つの画像部を形成する工程;
(III)任意に、画像部を覆う接着層(保護層)を形成する工程;を含む。
そして、前記工程(II)の画像部は、微細凹凸構造含有部、反射層及びマスク層を順に含み、以下の副工程(II−1)〜(II−4)を含む工程で形成される。
すなわち、
(II−1)前記第一の表面上に微細凹凸構造含有部を形成する副工程;
(II−2)前記貼り合わせ部及び微細凹凸構造を覆って、反射材料層を形成する副工程;
(II−3)前記反射層を覆って、マスク材料層を形成する副工程;
(II−4)前記マスク材料層及び反射材料層を選択的にエッチングして、前記微細凹凸構造上にのみ反射層及びマスク層を残す副工程、である。
本態様の製造方法を任意の副工程(II−4)を含めて用いれば、本発明の第一の態様の光学情報媒体を製造することが可能である。
また、副工程(II−3)及び(II−4)の間に、(II−3‘)前記マスク材料層を覆って、裏面着色材料層を形成する副工程、を任意に行うことができ、さらに副工程(II−4)を含めて用いれば、本発明の第二の態様の光学情報媒体を製造することが可能である。この場合、前記工程(II)の画像部は、微細凹凸構造含有部、反射層、マスク層及び裏面着色部を順に含むことになる。また、この場合、副工程(II−4)は、前記反射材料層を選択的にエッチングすると共に、エッチングされた反射材料層上にある裏面着色材料層が除去されることで、前記微細凹凸構造上にのみ反射層、マスク層及び裏面着色部を残す副工程となる。
なお、反射材料層、マスク材料層及び裏面着色材料層とは、それぞれエッチング前の反射層、マスク層及び裏面着色部を意味する。
(C−1)選択的エッチング可能化構造を有する、貼り合わせ部(受容層)を準備する工程 (工程I)
貼り合せ部30は、後述する方法において、熱転写される微細凹凸構造含有部42を受容する機能を有することが望ましい。また、貼り合わせ部30は、連続層ではなく、離間されて配置される微細凹凸構造含有部42を、所定の位置に保持する機能を有する。
これらの点に鑑みて、貼り合せ部30は、接着性樹脂から形成することが好ましい。
また、貼り合わせ部30は、連続した面の一部もしくは全体に「プレス法」、「キャスティング法」、および「フォトポリマー法」などにより成形された被エッチング部を有する。
選択的エッチング可能化構造の作製については、比表面積が異なる点を除き、後記される(C−2)中の微細凹凸構造の作製に準じて行うことができる。
[選択的エッチング可能化構造を有する、貼り合わせ部の具体的製造例]
もっとも、より具体的な一例として、図8に示される連続的製造に使用することができる装置250を使用して、貼り合わせ部を作製する一例を以下に説明する。
図8に示す方法は、(C−2)で後記する二段階転写法の変形であり、選択的エッチング可能化構造成形用フィルム259(以下、「成形用第一フィルム」という)が原版に相当する。
まず、貼り合せフィルム巻出ロール251から貼り合せフィルム252を巻き出す。貼り合わせフィルム252は、最終的に裁断されてキャリア基材(20、20’、20”)と同様に利用してもよい。あるいはまた、貼り合わせ部30が自立性である場合には、一時的支持体であってもよい。一方、成形用第一フィルム259の片面(外面)には、貼り合わせ部30の選択的エッチング可能化構造の反転形状である成形用構造を有する樹脂層が形成されている。
成形用第一フィルム259を、貼り合せインキ塗工用シリンダー255と貼り合せインキ加圧用シリンダー256との間を、その外面が貼り合せインキ塗工用シリンダー255側に位置するように通過させる。貼り合せインキ塗工用シリンダー255は、選択的エッチング可能化構造31の形成に対応する凹部(不図示)が形成されている。そして、貼り合せインキ塗工用シリンダー255を貼り合せインキ保持容器253中の貼り合せインキ254に浸漬させながら回転させて、貼り合せインキ塗工用シリンダー255の凹部に貼り合せインキ254を担持させる。ドクターブレード(不図示)などの当該技術において知られている任意の技術を用いて、貼り合せインキ塗工用シリンダー255の凹部以外の部分に付着した貼り合せインキ254を除去してもよい。続いて、貼り合せインキ塗工用シリンダー255に付着した貼り合せインキ254を成形用第一フィルム259の前記成形用構造に転写して、未硬化である貼り合わせ部30が付着した成形用第一フィルム257(以下、「転写用第一フィルム」という)を得る。
その後、転写用第一フィルム257を貼り合せインキ硬化部258に搬送する。貼り合せインキ硬化部258において、転写用第一フィルム257上の未硬化の貼り合せインキ254を硬化させて、貼り合わせ部30を形成する。
次いで、一対の貼り合わせ用第一シリンダー261により、転写用第一フィルム257と貼り合せフィルム252とを互いに当接させる。必要に応じて、一対の貼り合せ用第一シリンダー261により、転写用第一フィルム257と貼り合せフィルム252とに、圧力および/または熱を印加してもよい。その結果、転写用第一フィルム257上の貼り合わせ部30が、貼り合せフィルム252上に転写される。
この後、第一フィルム剥がし部262で成形用第一フィルム257と、転写された選択的エッチング可能化構造31を有する貼り合せフィルム263(以下、「被転写貼り合わせ第一フィルム」という)とを分離する。成形用第一フィルム259は、貼り合せインキ塗工用シリンダー255と貼り合せインキ加圧用シリンダー256との間のニップに送られ、引き続く選択的エッチング可能化構造31の形成に利用される。一方、被転写貼り合せ第一フィルム263は、さらに微細凹凸構造含有部を貼り合せるため、貼り合わせ用第二シリンダー281に搬送される[(C−2)参照]。
以下に、上で説明した図8の方法で使用できる材料について詳細に説明する。
成形用第一フィルム
選択的エッチング可能化構造を成形するための成形用第一フィルム259は、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナプタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)などのプラスチックフィルムと、選択的エッチング可能化構造31の反転形状である成形用構造を有する樹脂層とを含む。樹脂層は、「プレス法」、「キャスティング法」、「フォトポリマー法」などの公知の方法で形成することができる。
また、本方法において、成形用第一フィルム259は、貼り合せ用インキ254の付着および硬化による貼り合せ部30の形成のみに使用し、金属などの蒸着による反射層44の形成には関与しない。言い換えると、成形用第一フィルム259の樹脂層は、金属など反射層44を形成するための材料との密着性を必要としない。そのため、樹脂層の表面に対して、貼り合せ用インキ254の硬化物の剥離を容易にするための離型処理を施してもよい。離型処理は、たとえば、シリコーン化合物、フッ素化合物、無機フィラーなどの添加により実施することができる。
貼り合せ用インキ硬化部
貼り合せ部30が熱硬化性樹脂を含む場合、加熱および送風を行うオーブンを、貼り合せ用インキ硬化部258として用いることができる。一方、貼り合せ部30が紫外線硬化性樹脂または電子線硬化性樹脂を含む場合、加熱および送風により成形樹脂インキ274中の揮発性成分を除去するオーブンと、樹脂を硬化させるための紫外線あるいは電子線の照射装置との組み合わせを、貼り合せ用インキ硬化部258として用いることができる。
貼り合せ用インキ
貼り合せ用インキ254は、貼り合わせ部30を構成するための前述の接着樹脂、および溶媒などを含む組成物である。
(C−2)貼り合わせ部の第一の表面上に微細凹凸構造含有部を形成する副工程(副工程II−1)
微細凹凸構造含有部42の成形は、コーティング法を利用して実施することができる。特に、ウェットコーティングを用いれば、低コストで微細凹凸構造含有部42を得ることができる。また、得られる微細凹凸構造含有部42の膜厚を調整するために、樹脂を溶媒で希釈した樹脂塗工液を用いてもよい。
あるいはまた、微細凹凸構造部42は、たとえば、次のような方法で成形できる。
(i)微細凹凸構造含有部42の反転形状に対応する凹部が形成された原版を準備する工程と、
キャリア基材20の上に貼り合わせ部30を形成し、積層体を得る工程と、
前記原版の凹部に樹脂塗工液を付着させる工程と、
前記凹部に付着した樹脂塗工液を、前記積層体の貼り合せ部30上に転写して、微細凹凸構造含有部42を形成する工程と、
を含む印刷転写法。
(ii)微細凹凸構造含有部42に対応する凹部が形成されたマザー原版を準備する工程と、
キャリア基材20の上に貼り合わせ部30を形成し、積層体を得る工程と、
前記マザー原版の凹部に第1の樹脂塗工液を付着させる工程と、
前記マザー原版の凹部に付着した樹脂塗工液を、支持体に転写して、微細凹凸構造含有部42の反転形状を有する原版を形成する工程と、
前記原版の凹部に第2の樹脂塗工液を付着させる工程と、
前記原版の凹部に付着した第2の樹脂塗工液を、前記積層体の貼り合せ部30上に転写して、微細凹凸構造含有部42を形成する工程と、
を含む二段階転写法。
印刷転写法(i)における凹部に付着した樹脂塗工液、および二段階転写法(ii)における原版の凹部に付着した第2の樹脂塗工液を硬化させる工程をさらに含んでもよい。
硬化工程を含む印刷転写法(i)および二段階転写法(ii)を用いる場合、微細凹凸構造含有部42は、熱硬化性樹脂、酸化重合性樹脂、反応性硬化型樹脂、紫外線硬化性樹脂、および電子線硬化性樹脂からなる群から選択される材料で形成することが望ましい。微細凹凸構造含有部42に用いる好ましい樹脂は熱硬化性樹脂であり、特に好ましい樹脂は、ウレタン樹脂およびエポキシ樹脂である。
ウレタン樹脂は、通常、「イソシアネート反応性化合物」と、ポリイソシアネートとの反応により得られる。ポリイソシアネートは、分子あたり少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物を意味する。ポリイソシアネートは、2官能性のジイソシアネートなどを含む。イソシアネート反応性化合物およびポリイソシアネートの選択により、非常に多様な性質の製品を作ることができる。
「イソシアネート反応性化合物」は、(a)分子あたり少なくとも2つのイソシアネート反応性官能基を有する任意の有機化合物、または(b)イミノ官能性化合物を含む。「イソシアネート反応性官能基」は、ツェレビチノフ(Zerewitnoff)活性水素を含む官能基を意味する。ツェレビチノフ活性水素の存在は、E. P. Kohler et al.、J. Am. Chem. Soc.,Vol. 49, pp.3181-3188(1927)に記載された方法で確認することができる(非特許文献1参照)。イソシアネート反応性官能基の非制限的な例は、−COOH、−OH、−NH2、−NH−、−CONH2、−SH、および−CONH−を含む。分子あたり少なくとも2つのイソシアネート反応性官能基を有する有機化合物の非制限的な例は、ポリオール,ポリアミン、ポリメルカプタンおよびポリ酸を含む。好適なイミノ官能性化合物は、分子当たり少なくとも1つの末端イミノ基を有するものである。好ましくは、イソシアネート反応性化合物はポリオールであり、より好ましくはポリエーテルポリオールである。
好適なポリオールは、分子あたり少なくとも2つのヒドロキシル基を有する、モノマー、オリゴマー、ポリマー、およびこれらの混合物であることができる。分子あたり少なくとも2つのヒドロキシル基を有するオリゴマーおよびモノマーの非制限的な例は、ヒマシ油、トリメチロールプロパン、およびジオールを含む。ポリオールは、国際公開第98/53013号に記載される分枝鎖ジオール(たとえば、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール)を含む(特許文献4参照)。
ポリオールとして好適なポリマーの例は、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、メラミンポリオール、ならびにこれらの混合物および混成物を含む。このようなポリマーは一般に当業者に知られており、商業的に入手できる。好適なポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、およびこれらの混合物の非制限的な例は、例えば国際公開第96/20968号および欧州特許出願公開第0688840号明細書に記載されている(特許文献5および6参照)。好適なポリウレタンポリオールの非制限的な例は、国際公開第96/40813号に記載されている(特許文献7参照)。
国際公開第93/17060号に記載されたヒドロキシ官能性エポキシ樹脂、アルキド、およびデンドリマー性ポリオールを、イソシアネート反応性化合物として用いてもよい(特許文献8参照)。あるいはまた、イソシアネート反応性化合物は、潜在性ヒドロキシ官能性化合物を含んでもよい。潜在性ヒドロキシ官能性化合物の非制限的な例は、二環式オルトエステル(特許文献9参照)、スピロオルトエステル(特許文献9参照)、スピロオルトシリケート(特許文献10参照)、および二環式アミドアセタール(特許文献11参照)を含む。
微細凹凸構造含有部42を形成するためのウレタン樹脂組成物は、イソシアネート基とイソシアネート反応性官能基との付加反応を促進するための金属に基づいた触媒をさらに含んでよい。このような触媒は当業者に知られている。触媒は、ウレタン樹脂組成物の非揮発性成分基準で、一般に0.001〜10質量%、好ましくは0.002〜5質量%、より好ましくは0.01〜1質量%の量で存在してもよい。触媒に用いられる好適な金属は、亜鉛、コバルト、マンガン、ジルコニウム、ビスマス、およびスズを含む。ウレタン樹脂組成物は、スズに基づいた触媒を含むことが好ましい。スズに基づいた触媒の周知の例は、ジメチルスズジラウレート、ジメチルスズジバーサテート、ジメチルスズジオレエート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、およびスズオクトエートを含む。
一方、エポキシ樹脂とは、高分子内に残存するエポキシ基の反応に起因するネットワークの形成によって硬化させることが可能な熱硬化性樹脂の総称である。典型的には、重合による硬化前のプレポリマーと硬化剤とを混合し、引き続いて熱硬化処理を行うことによって得られる。
プレポリマーは、種々の組成を有するものを含むが、最も代表的なものはビスフェノールAと2分子のエピクロルヒドリンとの反応生成物であるビスフェノールAビス(グリシジルエーテル)である。硬化剤は、種々のポリアミンおよび酸無水物を含む。
エポキシ樹脂のプレポリマーを形成するのに用いられる脂環式エポキシ化合物の非制限的な例は、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ−(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、3,4−エポキシシクロヘキシル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(EECH)、3,4−エポキシシクロヘキシルアルキル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル、3’,4−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、エキソ−エキソビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エンド−エキソビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2,2−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル)プロパン、2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシシクロヘキシル−p−ジオキサン、2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ノルボルネン、リノール酸ダイマーのジグリシジルエーテル、リモネンジオキシド、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジオキシド、1,2−エポキシ−6−(2,3−エポキシプロポキシ)ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、p−(2,3−エポキシ)シクロペンチルフェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル、1−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル−5,6−エポキシヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、o−(2,3−エポキシ)シクロペンチルフェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル)、1,2−ビス[5−(1,2−エポキシ)−4,7−ヘキサヒドロメタノインダノキシル]エタン、シクロペンテニルフェニルグリシジルエーテル、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、およびこれらの混合物を含む。
芳香族エポキシ樹脂の非制限的な例は、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビフェノールエポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、4,4’−ビフェニルエポキシ樹脂、ジビニルベンゼンジオキシド樹脂、2−グリシジルフェニルグリシジルエーテル樹脂等、およびこれらの混合物を含む。
エポキシ樹脂のプレポリマーを硬化させるのに用いられる硬化剤の非制限的な例は、無水マレイン酸、無水マレイン酸共重合体などの酸無水物、ジシアンジアミドなどのアミン化合物、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどのフェノール化合物等を含む。また、エポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤をさらに含んでもよい。硬化促進剤の非制限的な例は、たとえば、イミダゾール類およびその誘導体、第三級アミン類、および第四級アンモニウム塩等を含む。
微細凹凸構造含有部42の形成において、放射線により硬化する樹脂を用いてもよい。
放射線硬化性樹脂の非制限的な例は、エチレン性不飽和結合を有するモノマー、オリゴマー、およびポリマーを含む。ラジカル重合性のエチレン性不飽和結合を有するモノマーの非制限的な例は、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、およびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含む。放射線硬化性オリゴマーの非制限的な例は、エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、およびポリエステルアクリレートオリゴマーを含む。放射線硬化性ポリマーの非制限的な例は、ウレタン変性アクリル樹脂、およびエポキシ変性アクリル樹脂を含む。
放射線硬化性樹脂の別の例は、特開昭61−98751号公報、特開昭63−23909号公報、特開昭63−23910号公報、特開2007−118563号公報に記載されているような光硬化性樹脂を含む(特許文献12〜15参照)。微細レリーフパターン形状を正確に形成することを目的として、放射線硬化性樹脂組成物に非反応性ポリマーを添加してもよい。非反応性ポリマーの非制限的な例は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂を含む。
光などの放射線によって開始されるカチオン重合を利用する場合には、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマー、エポキシ基を有するポリマー、またはビニルエーテル類を使用することができる。
上記の放射線硬化性樹脂を紫外線などの光によって硬化させる場合には、光重合開始剤を添加することができる。重合開始剤は、樹脂に応じて選定され、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、またはその併用型(ハイブリッド型)を含んでもよい。
光ラジカル重合開始剤の非制限的な例は:ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルなどのベンゾイン系化合物;アントラキノン、メチルアントラキノンなどのアントラキノン系化合物;アセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、ヒドロキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−アミノアセトフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタールなどのフェニルケトン系化合物;チオキサントン;アシルホスフィンオキシドを含む。
光カチオン重合可能な化合物を使用する場合の光カチオン重合開始剤の非制限的な例は、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、および混合配位子金属塩を含む。光ラジカル重合と光カチオン重合とを併用する、いわゆるハイブリッド型材料の場合、それぞれの重合開始剤を混合して使用することができる。あるいはまた、一種の開始剤で双方の重合を開始させる機能をもつ芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩などを使用することもできる。重合開始剤は、重合性樹脂組成物の非揮発性成分基準で0.1〜15質量%の量で、樹脂組成物に添加することができる。
微細凹凸構造含有部42は、好ましくは着色される。微細凹凸構造含有部42の着色に用いられる着色剤は、染料および顔料を含む。複数種の染料および/または顔料を併用してもよい。顔料を用いて半透明に着色された微細凹凸構造含有部42を形成する場合、顔料粒子による光の散乱および反射を防止するために、1nm〜100nmの粒径を有する顔料を用いることが望ましい。また、硬化性樹脂を用いて微細凹凸構造含有部42を形成する場合、染料および顔料は、樹脂の硬化の際に発生する活性種(フリーラジカル、求核剤、酸、塩基など)と反応しないことが望ましい。用いることができる染料の非制限的な例は、アゾ染料を含む。用いることができる顔料の非制限的な例は、フタロシアニン系顔料アゾ系顔料、金属酸化物を含む。着色剤は、微細凹凸構造含有部42の非揮発性成分基準で、5質量%〜50質量%、好ましくは5質量%〜30質量%の量で存在する。
あるいはまた、着色剤は、紫外線、可視光線または赤外線により励起され、蛍光またはリン光を放射する材料であってもよい。蛍光性またはリン光性の着色剤を用いて、目視または機械によって検知することができる特殊な視覚効果を付与することができる。用いることができる蛍光性着色剤の非制限的な例は、ウンベリフェロン、ローダミン6Gを含む。用いることができるリン光性着色剤の非制限的な例は、硫化亜鉛、アルミン酸ストロンチウムを含む。
微細凹凸構造含有部42の形成に用いられる樹脂組成物は、必要に応じて添加剤をさらに含んでもよい。添加剤の非制限的な例は、重合禁止剤、レベリング材、消泡剤、タレ止め剤、付着向上剤、塗面改質剤、可塑剤、含窒素化合物、アルミニウム、銀などの金属、シリカ、雲母などの無機酸化物、および、磁鉄鉱などの磁性体を含む。
[微細凹凸構造含有部の具体的製造例]
もっとも、より具体的な一例として、図8に示される連続的製造に使用することができる装置250を使用して、微細凹凸構造含有部を作製する一例を以下に説明する。
図8に示す方法は、前記する二段階転写法の変形であり、成形用第二フィルム279が原版に相当する。
すなわち、成形用第二フィルム279の片面(外面)には、微細凹凸構造含有部42の反転形状である成形用構造を有する樹脂層が形成されている。
成形用第二フィルム279を、成形樹脂インキ塗工用シリンダー275と成形樹脂インキ加圧用シリンダー276との間を、その外面が成形樹脂インキ塗工用シリンダー275側に位置するように通過させる。
成形樹脂インキ塗工用シリンダー275は、微細凹凸構造含有部42の形成位置に対応する凹部(不図示)が形成されている。そして、成形樹脂インキ塗工用シリンダー275を成形樹脂インキ保持容器273中の成形樹脂インキ274に浸漬させながら回転させて、成形樹脂インキ塗工用シリンダー275の凹部に成形樹脂インキ274を担持させる。ドクターブレード(不図示)などの当該技術において知られている任意の技術を用いて、樹脂インキ塗工用シリンダー275の凹部以外の部分に付着した成形樹脂インキ274を除去してもよい。
続いて、成形樹脂インキ塗工用シリンダー275に付着した成形樹脂インキ274を成形用第二フィルム279の前記樹脂層に転写して、未硬化の微細凹凸構造含有部42が付着した成形用第二フィルム277(以下、「転写用第二フィルム」という)を得る。
その後、転写用第二フィルム277は成形樹脂インキ硬化部278に搬送する。成形樹脂インキ硬化部278において、転写用第二フィルム277上の未硬化の成形樹脂インキ274を硬化させて、微細凹凸構造含有部42を形成する。
次いで、一対の貼り合せ用第二シリンダー281により、転写用第二フィルム277と、前記(C−1)において図8を参照して説明した被転写貼り合せ第一フィルム263とを互いに当接させる。必要に応じて、一対の貼り合せ用第二シリンダー281により、転写用第二フィルム277と被転写貼り合せフィルム263とに、圧力および/または熱を印加してもよい。
その結果、転写用第二フィルム277上の微細凹凸構造含有部42が、被転写貼り合せ第一フィルム263の貼り合せ部30上に転写される。
この後、第二フィルム剥がし部282で成形用第二フィルム279と、転写された微細凹凸構造含有部42を有する被転写貼り合せ第一フィルム283(以下、「被転写貼り合わせ第二フィルム」という)とを分離する。
成形用第二フィルム279は、成形樹脂インキ塗工用シリンダー275と成形樹脂インキ加圧用シリンダー276との間のニップに送られ、引き続き微細凹凸構造含有部42の形成に利用される。
他方、微細凹凸構造含有部42が貼り合せ部30上に転写された被転写貼り合せ第二フィルム283は、貼り合せフィルム巻き取りロール284に巻回される。
なお、図8においては、成形用第二フィルム279(転写用第二フィルム277)、成形樹脂インキ保持容器273、成形樹脂インキ274、成形樹脂インキ塗工用シリンダー275、成形樹脂インキ加圧用シリンダー276、成形樹脂インキ硬化部278、一対の貼り合せ用第二シリンダー281、および第二フィルム剥がし部282からなる転写ステーションが1個の構成例を示した。
しかしながら、第一フィルム剥がし部262と貼り合せフィルム巻き取りロール284との間に、複数の転写ステーションを設けて、異なる色および/または異なる微細構造43を有する複数種の微細凹凸構造含有部42を連続的に形成してもよい。
以下に上に説明した図8の方法で使用することのできる材料について詳細に説明する。
成形用第二フィルム
微細凹凸構造を成形するための成形用第二フィルム279は、たとえば、PET、PEN、PPなどのプラスチックフィルムと、微細凹凸構造の反転形状である成形用構造を有する樹脂層とを含む。樹脂層は、「プレス法」、「キャスティング法」、「フォトポリマー法」などの公知の方法で形成することができる。
また、本方法において、成形用第二フィルム279は、成形樹脂インキ274の付着および硬化による微細凹凸構造含有部42の形成のみに使用し、金属などの蒸着による反射層44の形成には関与しない。言い換えると、成形用第二フィルム279の樹脂層は、金属など反射層44を形成するための材料との密着性を必要としない。そのため、樹脂層の表面に対して、成形樹脂インキ274の硬化物の剥離を容易にするための離型処理を施してもよい。離型処理は、たとえば、シリコーン化合物、フッ素化合物、無機フィラーなどの添加により実施することができる。
成形樹脂インキ硬化部
微細凹凸構造含有部42が熱硬化性樹脂を含む場合、加熱および送風を行うオーブンを、成形樹脂インキ硬化部278として用いることができる。一方、微細凹凸構造含有部42が紫外線硬化性樹脂または電子線硬化性樹脂を含む場合、加熱および送風により成形樹脂インキ274中の揮発性成分を除去するオーブンと、樹脂を硬化させるための紫外線あるいは電子線の照射装置との組み合わせを、成形樹脂インキ硬化部278として用いることができる。
成形樹脂インキ
成形樹脂インキ264は、微細凹凸構造含有部42を構成するための前述の樹脂組成物、および溶媒などを含む組成物である。
(C−3)貼り合わせ部及び微細凹凸構造を覆って、反射材料層を形成する副工程(副工程II−2)
金属類または金属化合物を用いて反射層44を形成する場合、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法など公知の方法を適宜使用することができる。これらの方法を用いることによって、膜厚、成膜速度、積層数、光学膜厚などの制御が可能となる。
他方、前述の金属、金属化合物、有機ポリマーの微細な粉末またはゾル、あるいは金属ナノ粒子などを有機高分子樹脂に分散して得られる高輝性光反射インキを塗布することによって、反射層44を形成することもできる。この場合、インキ中に含まれる溶剤によって微細凹凸構造含有部42が影響を受けないようにする注意が必要である。高輝性光反射インキの塗布は、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法のような公知の印刷法、あるいは、ディップコート法またはロールコート法のような公知の塗布法により実施することができる。
以上の方法の中でも、生産性の観点からは、真空蒸着法が好ましい。
エッチング前の反射層、すなわち反射材料層は、微細凹凸構造含有部42及び貼り合わせ部30の露出面(第二の表面)の全体を覆うように形成できる。貼り合わせ部の第二の表面には選択的エッチング可能化構造31が形成されており、前記したように、選択的エッチング可能化構造31の比表面積が微細凹凸構造43の比表面積より大きいため、全体を覆うように反射材料層を形成しても、この比表面積の差異に基づき、選択的エッチング可能化構造31を覆う反射材料層が、微細凹凸構造含有部42上を覆う反射材料層よりも薄くなる。このような膜厚の相違としては、反射材料層の選択的除去の観点からは、好ましくはエッチングされる時間差が1.2倍〜2.0倍以上あることが好ましい。
また、反射材料層のマスク材料層形成側表面に微細凹凸構造及び選択的エッチング可能化構造31の凹凸をより有効に反映させる観点からは、反射層の膜厚は選択的エッチング可能化構造31の周期(の最小値)以下、及び微細凹凸構造43の深さ(の最小値)以下であることが好ましい。選択的エッチング可能化構造31は、微細凹凸構造43よりも比表面積が大きいため、通常、その周期は微細凹凸構造43の周期よりも短い、及び/又は、その深さは微細凹凸構造43の深さよりも大きいためである。
(C−4)反射材料層を覆って、マスク材料層を形成する副工程(副工程II−3)
マスク層46は、反射材料層をパターニングするためのエッチングマスクとしての機能を有する。このため、マスク層46を構成する材料は、反射材料層のパターニングに用いるエッチング液に対する耐久性を有するべきである。
マスク層46は、たとえば、金属類、または金属化合物などを用いて形成することができる。金属、または金属化合物を含むマスク層46の形成は、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法など公知の方法を用いることができる。
エッチング前のマスク層、すなわち、マスク材料層は、前記(C−3)において形成した反射材料層の全面、すなわち、微細凹凸構造含有部42及び貼り合わせ部30の露出面(選択的エッチング可能化構造31を有する第二の表面)上の全体を(反射材料層を介して)覆うように連続層として形成できる。前記(C−3)でも説明したように、選択的エッチング可能化構造31の比表面積が微細凹凸構造43の比表面積より大きく、反射材料層の膜厚が十分に小さければ、形成された反射材料層の外部表面にも前記比表面積の差異がそのまま維持される。したがって、マスク材料層についても反射材料層と同様、選択的エッチング可能化構造31を(反射材料層を介して)覆うマスク材料層が、微細凹凸構造43上を(反射材料層を介して)覆うマスク材料層よりも薄くなる。このような膜厚の差異としては、反射材料層の選択的除去の観点からは、好ましくはエッチングされる時間差が1.2倍〜2.0倍以上あることが好ましい。
(C−5)マスク材料層を覆って、裏面着色材料層を形成する任意の副工程(任意の副工程II−3‘)
マスク材料層の上から連続もしくは非連続な層として1色または2色以上の裏面着色材料層を任意に形成することができる。
エッチング前の裏面着色部48である裏面着色材料層の成形は、着色剤含有樹脂を用いたコーティング法を利用して実施することができる。特に、ウェットコーティングを用いれば、低コストで裏面着色材料層を得ることができる。また、得られる裏面着色材料層の膜厚を調整するために、樹脂を溶媒で希釈した樹脂塗工液を用いてもよい。
印刷法によって裏面着色材料層を形成する場合には選択的エッチング可能化構造31の部分と微細凹凸構造部43の部分にそれぞれ均一に裏面着色材料が形成できる。
(C−6)反射材料層を選択的にエッチングして、微細凹凸構造上にのみ反射層及びマスク層を残す副工程(副工程II−4)
反射材料層のパターニングに用いるエッチング液は、貼り合わせ部30、微細凹凸構造含有部42、反射層44およびマスク層46の材料を、更に任意に裏面着色部48を含む場合(本発明の第二の態様)には裏面着色部の材料をも考慮して適宜選択される。たとえば反射材料層をアルミニウムで形成する場合、典型的には、アルカリ水溶液をエッチング液として用いる。この場合、貼り合わせ部30、微細凹凸構造含有部42、およびマスク材料層46は、アルカリ水溶液に影響を受けにくい材料で形成される。
前記(C−3)及び(C−4)で説明したように、反射材料層及びマスク材料層は、選択的エッチング可能化構造31を覆う層が微細凹凸構造43上を覆うよりも薄くなっている。かかる膜厚の差を利用することにより、貼り合わせ部の第二の表面の選択的エッチング可能化構造上の層のみを先に除去することにより、微細凹凸構造43上にのみ反射層及びマスク層を残すことができる。すなわち、蒸着等で設けられたマスク材料層はエッチング液を比較的容易に浸透させ得るもので、且つ膜厚差がエッチングにおいて大きな時間差をもたらすため、加工条件の調整と掛け合わせることで選択的な金属除去を可能にする。
また、任意の裏面着色部48を含む場合には、反射材料層がエッチングされる際に、同じ位置に形成された裏面着色剤料層の部分が同時に除去される。
(C−7)画像部を覆う接着層(保護層)を形成する工程(任意工程III)
エッチングにより外部に曝露された貼り合わせ部の第二表面、及び画像部を覆うように、接着層が任意に形成される。この工程を行うことで、本発明の第一または第二の態様の光学情報媒体を得ることができる。
接着層50は、たとえば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ゴム系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂などの熱可塑性樹脂を用いて形成することができる。
あるいはまた、柔軟性の熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を用いて、接着層50を形成してもよい。柔軟性の熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂の非制限的な例は、柔軟性エポキシ樹脂、および柔軟性ウレタン樹脂を含む。熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂に対する柔軟性の付与は、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂に対して可塑剤を添加する方法、あるいは、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂の骨格中に柔軟性骨格またはゴムなどの弾性構造を導入する方法により、実施できる。用いることができる柔軟性骨格は、長鎖の脂肪族炭化水素鎖、長鎖のアルキレンオキシド鎖などを含む。用いることができる弾性構造は、ブタジエン、イソプレン、またはクロロプレンのような共役二重結合を有するモノマーを用いた場合に得られる非芳香族の炭素−炭素二重結合を含む炭化水素鎖などを含む。
(D)本発明の第四の態様
本発明の第四の態様は、本発明の第一または第二の態様の光学情報媒体1と、貼り合わせ部(受容層)に接触するキャリア基材20と、を含み、貼り合わせ部(受容層)30と第一のキャリア基材との界面での剥離が可能であることを特徴とする転写箔である。
本態様における貼り合わせ部30、接着層50、ならびに画像部40を構成する微細凹凸構造含有部42、反射層44、マスク層46、任意の裏面着色部48は、本発明の第一または第二の態様と同様である。
図2及び図22は、本発明の第一及び第二の態様にそれぞれ由来する、相互に離間された4つの画像部40a〜dを有する本態様の転写箔2の一例を示す概略断面図である。
図2及び図22では、転写箔2は、第一のキャリア基材20と、貼り合わせ部30と、貼り合わせ部30上に形成された画像部40a〜dと、画像部40を覆う接着層50とを含むことが示されている。また、図2の画像部40a〜dは、貼り合わせ部30側から、微細凹凸構造含有部42a〜d、反射層44a〜d、およびマスク層46a〜dと、をこの順に含むことが示されている。他方、図22の画像部40a〜dは、貼り合わせ部30側から、微細凹凸構造含有部42a〜d、反射層44a〜d、マスク層46a〜d及び裏面着色部48a〜dと、をこの順に含むことが示されている。
図2及び図22の転写箔2においては、貼り合せ部30、画像部40、および接着層50を有する光学情報媒体1を受容基材110(本発明の第七の態様参照)に転写する際に、貼り合せ部30とキャリア基材20との界面を剥離する。
第一のキャリア基材
第一のキャリア基材20は、転写前の光学情報媒体1の支持体として機能する。また、第一のキャリア基材20は、光学情報媒体1の製造の際にも、支持体として機能し得る。
第一のキャリア基材20に用いられる材料としては、熱可塑性樹脂からなるフィルムが好ましい。熱可塑性樹脂は、光学情報媒体1等の形成時に印加される熱(特に、各構成層の硬化または転写時に印加される熱)によって変形および/または変質を起こさない程度の耐熱性を有することが望ましい。用いることができる熱可塑性樹脂の非制限的な例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)などを含む。
本態様において、貼り合わせ部30側の第一のキャリア基材20表面に、転写時の剥離性を高めるための処理を施してもよい。これにより、受容基材110(本発明の第七の態様参照)に転写する際の、貼り合わせ部30と第一のキャリア基材20との間の界面の剥離を容易にできる。この処理の際に用いる場合に適用できる剥離性向上処理としては、たとえば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂を含む。
さらに第一のキャリア基材の剥離性を向上させるために、貼り合わせ部30を、剥離層として機能しうる材料から形成してもよい。たとえば、微細凹凸構造含有部42の転写後に、貼り合わせ部30をさらに硬化させる処理を行ってもよい。
また、本態様の転写箔2において、第一のキャリア基材20と貼り合わせ部30との接着力は、貼り合わせ部30と接着層50との接着力、貼り合わせ部30および接着層50の凝集破壊に要する力のいずれよりも小さく設定されることが好ましい。
(E)本発明の第五の態様
本発明の第五の態様は、本発明の第一または第二の態様の光学情報媒体1と、貼り合わせ部(受容層)30に接触する第二のキャリア基材20’と、接着層(保護層)50に接触する脱離基材(剥離シート)60とを含み、接着層(保護層)50が粘着性を有し、接着層(保護層)50と脱離基材(剥離シート)60との界面での剥離が可能であることを特徴とするラベル3である。ここで、前記ラベルから脱離基材(剥離シート)60が剥離したものをラベル本体3’と呼ぶことにする。
本態様における貼り合わせ部30、接着層50ならびに画像部40を構成する微細凹凸構造含有部42、反射層44、マスク層46及び任意の裏面着色部48は、本発明の第一または第二の態様と同様である。
図3及び図23は、本発明の第一及び第二の態様にそれぞれ由来する、相互に離間された4つの画像部40a〜dを有する本態様のラベル3の一例を示す概略断面図である。
図3及び図23では、ラベル3が、第二のキャリア基材20’と、貼り合わせ部30と、貼り合わせ部30上に形成された画像部40a〜dと、画像部40を覆う接着層50と、接着層50に接触する脱離基材60とを含むことが示されている。また、図3の画像部40a〜dは、貼り合わせ部30側から、微細凹凸構造含有部42a〜d、反射層44a〜d、およびマスク層46a〜dと、をこの順に含むことが示されている。他方、図23の画像部40a〜dは、貼り合わせ部30側から、微細凹凸構造含有部42a〜d、反射層44a〜d、マスク層46a〜d及び裏面着色部48a〜dと、をこの順に含むことが示されている。
本態様のラベル3は、最初に剥離部60を剥がし、次いで、所望の受容基材110(本発明の第七の態様参照)に接着層50を接触させることによって、光学情報媒体1および第二のキャリア基材20’からなるラベル本体3’を受容基材110に貼り付けるのに利用できる。
第二のキャリア基材
本態様における第二のキャリア基材20’は、本発明の第四の態様の第一のキャリア基材20と同様の機能を有する。ただし、本実施形態においては、貼り合わせ層30側の第二のキャリア基材20’表面に剥離性を高めるための処理を施すのは必須ではなく、剥離不能に構成してもよい。この場合、第二のキャリア基材20’を、その下にある光学情報媒体1の保護層として用いることができる。また、本態様においては、第二のキャリア基材20’側からの光学情報媒体1の視認を可能にするため、第二のキャリア基材20’は無色かつ透明であることが望ましい。
離脱基材
本態様における脱離基材60は、貼り付け前の不用意な接触によりラベル本体3’が接着することを防止する機能を有する。接着層50側の脱離基材60表面に、接着層50からの剥離性を高めるための処理を行ってもよい。
本態様のラベル3において、脱離基材60と接着層50との間の接着力は、第二のキャリア基材20’と貼り合わせ部30との接着力、および貼り合わせ部30と接着層50との接着力、ならびに、第二のキャリア基材20’、貼り合わせ部30、および接着層50の凝集破壊に要する力のいずれよりも小さく設定されることが好ましい。
脱離基材60は、紙、布、不織布、あるいは、ポリエチレンまたはポリプロピレンのような熱可塑性樹脂を用いて形成することができる。
ラベル3を使用する際の接着層50からの剥離を容易にするために、脱離基材60の接着層50と接触する表面に対して、あらかじめ剥離性を向上させる処理を行ってもよい。用いることができる剥離性向上処理は、たとえば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂を含む。
(F)本発明の第六の態様
本発明の第六の態様は、本発明の第一または第二の態様の光学情報媒体1と、貼り合わせ部(受容層)30に接触する第三のキャリア基材20”と、第三のキャリア基材20”に接触するキャリア基材側接着層(第2接着層または更なる接着層ともいう)70とを含むことを特徴とする抄紙用スレッド4である。
図4及び図24は、本発明の第一及び第二の態様にそれぞれ由来する、相互に離間された4つの画像部40a〜dを有する本態様の抄紙用スレッド4の一例を示す概略断面図である。
図4及び図24では、抄紙用スレッド4が、キャリア基材側接着層70と、第三のキャリア基材20”と、貼り合わせ部30と、貼り合わせ部30上に形成された画像部40a〜dと、画像部40を覆う接着層50とを含むことが示されている。また、図4の画像部40a〜dは、貼り合わせ部30側から、微細凹凸構造含有部42a〜d、反射層44a〜d、およびマスク層46a〜dと、をこの順に含むことが示されている。他方、他方、図24の画像部40a〜dは、貼り合わせ部30側から、微細凹凸構造含有部42a〜d、反射層44a〜d、マスク層46a〜d及び裏面着色部48a〜dと、をこの順に含むことが示されている。
本態様における貼り合わせ部30、接着層50ならびに画像部40を構成する微細凹凸構造含有部42、反射層44、マスク層46及び任意の裏面着色部48は、本発明の第一または第二の態様と同様である。また、本態様の第三のキャリア基材20”は、本発明の第四の態様の第一のキャリア基材20と同様である。
また、キャリア基材側接着層(第2接着層)70は、本態様の抄紙用スレッド4において、接着層50と協働して、抄紙用スレッド4を、本発明の第七の態様にいう受容基材110の所定の位置に固定する機能を有する。この場合の受容基材110は、紙、不織布などを含む。キャリア基材側接着層70は、接着層50と同様の材料を用いて作成することができる。抄紙用スレッド4は、紙などの繊維質材料から形成される受容基材を形成する際に、受容基材内部に抄き入れることができる。
本態様において、典型的には、キャリア基材側接着層(70)は無色であってもよい。
(G)本発明の第七の態様
本発明の第七の態様は、(i)受容基材と;(ii)前記受容基材に取り付けられた本発明の第一または第二の態様の光学情報媒体、第五の態様由来のラベル本体又は第六の態様の抄紙用スレッドとを含むことを特徴とする積層体である。
受容基材110は、本態様の積層体において、転写箔2(本発明の第四の態様)から転写される光学情報媒体1(本発明の第一または第二の態様)、ラベル3(本発明の第五の態様)から脱離基材60を除去したラベル本体3’、または抄紙用スレッド4(本発明の第六の態様)を受容する。
受容基材110
本態様の受容基材110は透明であっても、不透明であってもよく、または不透明な受容基材の一部が切り取られた空白を有する受容基材であってもよい。更に受容基材110は複数の透明と不透明の受容基材材料の積層体であってもよく、それらの一部またはいくつかに受容基材材料の一部が切り取られた空白があっても良い。
透明な受容基材110を形成するための材料の非制限的な例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)のようなポリエステル類、ポリプロピレン(PP)のようなポリオレフィン類、およびポリメチルメタクリレート(PMMA)のようなポリ(メタ)アクリレート類を含む。不透明な受容基材110の非制限的な例は、紙、織切れ、および不織布を含む。また、受容基材110は、その片面または両面に、印刷部130を担持してもよい。この場合には、本態様の積層体は印刷物100となる。
本態様の積層体が印刷部を含む場合、該印刷部130は、当該技術において知られている任意のインキを、当該技術において知られている任意の技術を用いて受容基材110に付着させることによって形成することができる。用いることができる技術の非制限的な例は、インキジェット印刷、スクリーン印刷、凹版印刷、凸版印刷、平版印刷を含む。
図25A〜図26Bに示したように、透明な受容基材110を用いた場合には、印刷物100の表側および裏側の両面から画像部40a〜dを視認することができる。一方、図27Aおよび図27Bに示したように、不透明な受容基材110を用いた場合には、印刷物100の表側の面からのみ画像部40a〜dを視認することができる。
なお、抄紙用スレッド4を用いる場合、典型的には、受容基材110は不透明となる。したがって、所望される位置に受容基材窓部120を設けて画像部40a〜dを視認できるようにするのが好ましい。
第一及び第二の態様の適用例
本態様の積層体を、印刷物として構成した一適用例として図5(本発明の第一の態様由来)及び図25A及び図25B(本発明の第二の態様由来)に示す。
まず、図5の構成例は、印刷部130を含む受容基材110と、受容基材110上に転写されたストライプ形状の光学情報媒体1(本発明の第一の態様)とを含む印刷物100を例示している。また、図5の構成例における光学情報媒体1(本発明の第一の態様)としては、画像部40a〜dを有する媒体を例示している。また、図5に示す表側からの観察では、光学情報媒体1の4つの画像部40a〜dにおいて、反射層44a〜dと微細凹凸構造含有部42a〜dとに起因する光沢表現を含む画像を視認することができる。
他方、図25Aおよび図25Bの構成例は同様にして、印刷部130を含む受容基材110と、受容基材110上に転写されたストライプ形状の光学情報媒体1(本発明の第二の態様)とを含む印刷物100を例示している。また、図25Aおよび図25Bの構成例における光学情報媒体1(本発明の第二の態様)としては、画像部40a〜dを有する媒体を例示している。また、図25Aに示す表側からの観察では、光学情報媒体1(本発明の第二の態様)の4つの画像部40a〜dにおいて、反射層44a〜dと微細凹凸構造含有部42a〜dとに起因する光沢表現を含む画像を視認することができる。さらに、図25Aおよび図25Bでは受容基材110は透明な基材を使用しており、図25Bに示す裏側からの観察では、光学情報媒体1の4つの画像部40a〜dにおいて、反射層44a〜dと裏面着色部48a〜dとに起因する光沢表現を含む画像を視認することができる。
この図5及び図25Aおよび図25Bの一構成例は、たとえば本発明の対応する第四の態様の転写箔2を用いて、受容基材110上に光学情報媒体1(本発明の第一または第二の態様)を転写することによって得ることができる。
なお、本態様の積層体における「表側」(Front Side)の面は、貼り合わせ部30および接着層50との位置関係により規定される。具体的には、貼り合わせ部30により近い面が「表側」である。
第五の態様の適用例
本態様の積層物を印刷物として構成した一適用例として図6および図26Aおよび図26Bを示す。すなわち、印刷部130を含む受容基材110と、受容基材110上に貼付されたパッチ(島)形状のラベル本体3’(本発明の第五の態様由来)とを含む印刷物100である。また、この図には、画像部40a〜dを有するラベル本体3’が例示されている。
図6および図26Aおよび図26Bの構成例は、本発明の第五の態様のラベル3から脱離基材60を剥がした後に、受容基材110上にラベル本体3’を貼付することによって得ることができる。
図26Aおよび図26Bに本発明の印刷物の別の例を示す。図26Aは印刷物の表側を示す概略平面図であり、図26Bは印刷物の裏側を示す概略平面図である。図26Aおよび図26Bの印刷物100は、印刷部130を含む受容基材110と、受容基材110上に貼付されたパッチ(島)形状のラベル本体3’とを含む。また、4つの画像部40a〜dを有するラベル本体3’を例示した。図26Aおよび図26Bの例は、図23のラベル3から脱離基材60を剥がした後に、受容基材110上にラベル本体3’を貼付することによって得ることができる。
図26Aおよび図26Bは、受容基材110が透明である例を示す。よって、図26Aに示す表側からの観察では、ラベル本体3’の4つの画像部40a〜dにおいて、反射層44a〜dと微細凹凸構造含有部42a〜dとに起因する光沢表現を含む画像を視認することができる。一方、図26Bに示す裏側からの観察では、ラベル本体3’の4つの画像部40a〜dにおいて、反射層44a〜dと裏面着色部48a〜dとに起因する光沢表現を含む画像を視認することができる。
第六の態様の適用例
第六の態様の抄紙用スレッド4を用いる場合、受容基材110は、好ましくは紙または不織布である。受容基材110は、抄紙用スレッド4中の画像部40に相当する位置に、繊維質材料の存在しない1つまたは複数の受容基材窓部120を有してもよい[たとえば図7、図13(以上、本発明の第一の態様)、図27Aおよび図27B、図32Aおよび図32B(以上、本発明の第二の態様)参照]。
受容基材窓部120を抄紙用スレッド4のキャリア基材側接着層70側に設けて、反射層44と微細凹凸構造含有部42とに起因する光沢表現を視認できるようにしてもよい。
あるいはまた、受容基材窓部120を抄紙用スレッド4の接着層50側に設けて、反射層44とマスク層46(本発明の第一の態様の媒体の場合)とに、あるいは反射層44a〜dと裏面着色部48とに(本発明の第二の態様の媒体の場合)起因する光沢表現を視認できるようにしてもよい。加えて、受容基材110の両側に受容基材窓部120を設けて、上記2種の光沢表現の両方を視認できるようにしてもよい。受容基材窓部120は、抄紙ローラーに凸部を設ける方法などの、当該技術において知られている任意の技術によって形成することができる。
本態様の積層物を印刷物として構成した一適用例として図7および図27Aおよび図27Bを示す。
図7および図27Aおよび図27Bの構成例も、本態様の積層物を印刷物として構成した一例である。すなわち、印刷部130を含む受容基材110と、受容基材110中に抄き込まれた抄紙用スレッド4(本発明の第六の態様)とを含む印刷物100である。また、画像部40a〜dを有する抄紙用スレッド4を例示している。
図7の構成例は、抄紙用スレッド4(本発明の第六の態様)を抄き込みながら受容基材110を形成し、さらに受容基材110の表面に印刷インキを付着させて印刷部130を形成することによって得ることができる。
図7は、受容基材110が不透明であり、受容基材110の表側の面に設けた4つの受容基材窓部120において抄紙用スレッド4が露出している構成例を示している。よって、図7に示す表側からの観察では、抄紙用スレッド4の画像部40a〜dにおいて、反射層44a〜dと微細凹凸構造含有部42a〜dとに起因する光沢表現を含む画像を視認することができる。他方、裏側からの反射光観察では、受容基材110の不透明性によって、抄紙用スレッド4を視認することはできない。
図27Aおよび図27Bに本発明の印刷物のさらに別の例を示す。図27Aは印刷物の表側を示す概略平面図であり、図27Bは印刷物の裏側を示す概略平面図である。図27Aおよび図27Bの例は、印刷部130を含む受容基材110と、受容基材110中に抄き込まれた抄紙用スレッド4とを含む印刷物100の例である。また、4つの画像部40a〜dを有する抄紙用スレッド4を例示した。図27Aおよび図27Bの例は、抄紙用スレッド4を抄き込みながら受容基材110を形成し、さらに受容基材110の表面に印刷インキを付着させて印刷部130を形成することによって得ることができる。
図27Aおよび図27Bは、受容基材110が不透明であり、受容基材110の表側の面に設けた4つの受容基材窓部120において抄紙用スレッド4が露出している例を示す。よって、図27Aに示す表側からの観察では、抄紙用スレッド4の4つの画像部40a〜dにおいて、反射層44a〜dと微細凹凸構造含有部42a〜dとに起因する光沢表現を含む画像を視認することができる。一方、図27Bに示す裏側からの反射光観察では、受容基材110の不透明性によって、抄紙用スレッド4を視認することはできない。
なお、図27Aおよび図27Bにおいては、受容基材110の表側のみに受容基材窓部120を設けて表側からのみ画像部40a〜dを視認させる構成を示した。しかしながら、受容基材110の裏側にも受容基材窓部120を設けて、画像部40a〜dの裏側からの視認を可能にしてもよい。この場合、反射層44a〜dと裏面着色部48a〜dとに起因する光沢表現を含む画像を裏側から視認することができる。受容基材窓部120の形状および数は、所望に応じて任意に変更することができる。
印刷部130
印刷部130は、当該技術において知られている任意のインキを、当該技術において知られている任意の技術を用いて受容基材110に付着させることによって形成することができる。用いることができる技術の非制限的な例は、インキジェット印刷、スクリーン印刷、凹版印刷、凸版印刷、平版印刷を含む。
図5〜図7及び図25A〜図27Bでは、光学情報媒体1、ラベル本体3’および抄紙用スレッド4と離間した位置に印刷部130を設けた構成例を示している。しかしながら、印刷部130を設ける位置に特に制限はない。たとえば、図5または図25Aおよび図25Bにおける光学情報媒体1の下方、図6または図26Aおよび図26Bにおけるラベル本体の下方、または図7または図27Aおよび図27Bにおける受容基材窓部120の周囲に印刷部130を設けて、画像部40a〜dの周囲を包囲してもよい。また、ラベル本体3’上及び受容基材110に連続する柄または、個別に印刷部130を設けても良いし、受容基材110上に印刷部130を設けた上に、ラベル本体3’を設けても良い。
図5〜図7及び図25A〜図27Bにおいては、画像部40a〜dから離間した位置に印刷部130を設けた例を示している。しかしながら、必要に応じて、画像部40a〜dに重なる位置、あるいは画像部40a〜dを包囲するような位置に印刷部130を設けてもよい。
画像部40a〜d
さらに、図5〜図7及び図25A〜図27Bにおいては、画像部40a〜dが受容基材110に対して位置合わせ(registered)され、固定された場合を例示している。しかし、より多数の画像部を設けて反復パターンを有する壁紙(wall paper)状の柄(画像)を形成してもよい。
以下、本発明の実施例を説明する。なお、理解し易くするため、各実施例の説明には参照符号を括弧書きで付すとともに、各実施例に対応する概念図を用いて説明する。
[実施例1](図9)
(1−1)
最初に、図8に示した方法で、貼り合わせ部30および微細凹凸構造含有部42a〜dを形成した。貼り合せフィルム252として、アクリル系樹脂からなる剥離層を塗工したPETフィルムを準備した。
すなわち、まずPETフィルム上にアクリル系UV硬化樹脂を塗工し、「フォトポリマー法」により所望する選択的エッチング可能化構造31の反転形状をアクリル系UV硬化樹脂に転写して、成形用第一フィルム259を得た。アクリル系粘着樹脂を含む貼り合せインキ254を、貼り合せインキ保持容器253に充填した。貼り合せ用インキ加圧用シリンダー256で加圧して、貼り合せ用インキ塗工用シリンダー255から、成形用第一フィルム259に貼り合せインキ254を転写させた。貼り合せ用インキ硬化部258には熱風オーブンを用いて乾燥および硬化させ、転写用第一フィルム257を得た[(C−1)参照]。
次いで、貼り合せフィルム252を、貼り合せフィルム巻出ロール251より巻き出し、貼り合せ用第一シリンダー261により加圧しながら、貼り合せフィルム252および転写用第一フィルム257を当接させ、貼り合せ部30を貼り合せフィルム252側に転写した。第一フィルム剥がし部262にて成形用第一フィルム259を剥離させ、貼り合せ部30が設けられた、被転写貼り合せ第一フィルム263を得た。
被転写貼り合せ第一フィルムに形成された微細凹凸構造のピッチは、0.4μmであり、微細凹凸構造の高さは、0.2μmであった。微細凹凸構造のピッチと凹凸構造の高さ比であるアスペクト比は、0.5であり、選択的エッチング可能化構造形成貼り合せフィルムの表面積と微細凹凸構造の表面積との比は、1.4であった。
他方、PETフィルム上にウレタン系樹脂を塗工し、ウレタン系樹脂を乾燥させて樹脂層を形成し、「プレス法」により所望する微細凹凸構造の反転形状を樹脂層に転写して、成形用第二フィルム279を得た。ウレタン系樹脂および橙色色素を含む成形樹脂インキ274を成形樹脂インキ保持容器273に充填した。位置を合わせて成形樹脂インキ加圧用シリンダー276で加圧して、パターン状の凹部を有する成形樹脂インキ塗工用シリンダー275から、成形用第二フィルム279に成形樹脂インキ274を転写させた。成形樹脂インキ硬化部278には熱風オーブンを用いて乾燥および硬化させ、転写用第二フィルム277を得た。
貼り合せ用第二シリンダー281により加圧しながら、被転写貼り合せ第一フィルム263および転写用第二フィルム277を当接させ、微細凹凸構造含有部42a〜d−Orを被転写貼り合せ第一フィルム263側に転写し、第二フィルム剥がし部282にて成形用第二フィルム279を剥離させ、微細凹凸構造含有部42a〜d−Orが設けられた、被転写貼り合せ第二フィルム283を、貼り合せフィルム巻取ロール284に巻き取った。そして、被転写貼り合せ第二フィルム283を裁断して、第一のキャリア基材20、貼り合わせ部30および微細凹凸構造含有部42a〜d−Orがこの順に積層された、ストライプ形状の製造中間体1−1を得た。ここで、第一のキャリア基材20は、貼り合せフィルム252として用いた、アクリル系樹脂からなる剥離層を有するPETフィルムである。
(1−2)
次いで、製造中間体1−1の微細凹凸構造部含有部42a〜d−Or側の表面全体に膜厚55nmのアルミニウム金属を蒸着し、アルミニウム層を形成した。この時、微細凹凸構造部含有部42a〜d−Orに対して相対的に表面積の大きい貼り合せ部30の選択的エッチング可能化構造31の部分には相対的に薄くアルミニウム層が形成された。続いて、アルミニウム層の表面全体に膜厚20nmの二酸化珪素を蒸着し、二酸化珪素層を形成した。この時、微細凹凸構造部含有部42a〜d−Orに対して相対的に表面積の大きい貼り合せ部30の選択的エッチング可能化構造31の部分に形成されたアルミニウム層の部分には相対的に薄く二酸化珪素層が形成された。これにより製造中間体1−2を得た。
(1−3)
次いで、得られた製造中間体1−2を水酸化ナトリウム溶液に浸漬して、二酸化珪素層をマスクとしてアルミニウム層をエッチングした。この時、相対的に薄く形成された二酸化珪素層及びアルミニウム層が選択的に先に除去され、パターン状の反射層44a〜dとパターン状のマスク層46a〜dを形成した。エッチング除去後、塩酸溶液および水にて洗浄を行い、熱風により製造中間体1−3を乾燥させた。その後、乾燥した製造中間体1−3にアクリル系樹脂を塗布して接着層50を形成し、本発明の第一の態様由来の第四の態様の転写箔2を形成した。
転写箔2は、相互に離間した4つの画像部40a〜dを有した。画像部40a〜dのそれぞれは、相互に離間して橙色に着色された微細凹凸構造含有部42a〜d−Or、相互に離間して微細凹凸構造含有部42a〜d−Or上にのみ存在するアルミニウム反射層44a〜d、および相互に離間して微細凹凸構造含有部42a〜d−Or上にのみ存在するマスク層46a〜dを有した。また、画像部40a〜dの間隙には、無色の接着層50のみが存在した。
ホットスタンプを備えるアップダウン型熱転写装置を用いて、得られた転写箔2を、印刷部130を有するコットン用紙受容基材110に熱圧着させ、第一のキャリア基材20を剥離除去し、図9に示す印刷物100を得た。印刷物100において、図9に示す表側表面に、ストライプ形状を有する光学情報媒体1が転写されている。
図9に示すように、印刷物100を表側から観察した場合、相互に離間された4つの画像部40a〜dが視認された。4つの画像部40a〜dは、アルミニウム金属からなる反射層44a〜dと橙色を有する微細凹凸構造含有部42a〜d−Orとに起因する金色の光沢表現を有し、反射層44a〜dと橙色を有する微細凹凸構造含有部42a〜d−Orとがズレなく位置合わせされ、4つの画像部40a〜d以外の領域は、無色かつ透明な領域として観察された。
以上のように、橙色に着色された微細構造を有する単一層を用いることなく、表側からの観察における金色の光沢表現が、微細凹凸構造とマスク層の位置ズレによる反射層のみの銀色の光沢表現及び微細凹凸構造の半透明な橙色の金属光沢を持たない表現と混在することなく、無色かつ透明な領域に離間されて視認される光学情報媒体1(本発明の第一の態様)、それを有する転写箔2(本発明の第四の態様)及び印刷物100(本発明の第七の態様)を得ることができた。また、本実施例の反射層44a〜dはアルミニウム金属で形成されているため、従来技術の銀色の光沢表現を提供する反射層と同等の物理強度および耐薬品性を有した。
[実施例2](図10)
(2−1)
貼り合わせフィルム252として、アクリル系樹脂からなる剥離層を持たないPETフィルムを用いたこと、およびウレタン系樹脂および赤色色素を含む成形樹脂インキ274を用いたことを除いて、実施例1と同様の手順により、微細凹凸構造含有部42a−Rを貼り合わせ部30上の所定の位置に形成した。
次いで、微細凹凸構造含有部42a−Rを形成したPETフィルム、貼り合せインキ塗工用シリンダー255、貼り合せインキ加圧用シリンダー256、および貼り合せインキ保持容器253を省略したことを除いて図8と同様の装置、ならびにウレタン系樹脂および青色色素を含む成形樹脂インキ274を用いて、微細凹凸構造含有部42b−Blを所定の位置に形成した。
続いて、ウレタン系樹脂および黄色色素を含む成形樹脂インキ274を用いたことを除いて微細凹凸構造含有部42b−Blの形成と同様の手順により、微細凹凸構造含有部42c−Yを所定の位置に形成した。また、ウレタン系樹脂および緑色色素を含む成形樹脂インキ274を用いたことを除いて前述と同様の手順により、微細凹凸構造含有部42c−Gを所定の位置に形成した。そして、被転写貼り合せ第二フィルム283を裁断して、第二のキャリア基材20’、貼り合わせ部30および微細凹凸構造含有部42a〜dがこの順に積層された、ストライプ形状の製造中間体2−1を得た。ここで、第二のキャリア基材20’は、貼り合せフィルム252として用いた、アクリル系樹脂からなる剥離層を持たないPETフィルムである。
(2−2)
次いで、実施例1と同様の手順により、4種の微細凹凸構造含有部42a〜dを有する製造中間体2−1の表面全体に、膜厚55nmのアルミニウム金属層を形成した。この時、微細凹凸構造部含有部42a〜dに対して相対的に表面積の大きい貼り合せ部30の選択的エッチング可能化構造の部分には相対的に薄くアルミニウム層が形成された。続いて、アルミニウム層の表面全体に膜厚20nmの二酸化珪素を蒸着し、二酸化珪素層を形成した。この時、微細凹凸構造部含有部42a〜dに対して相対的に表面積の大きい貼り合せ部30の選択的エッチング可能化構造の部分に形成されたアルミニウム層の部分には相対的に薄く二酸化珪素層が形成された。これにより製造中間体2−2を得た。
(2−3)
続いて、得られた製造中間体2−2について、実施例1と同様の手順により、二酸化珪素層をマスクとしてアルミニウム層を水酸化ナトリウム溶液に浸漬してエッチングした。この時、相対的に薄く形成された二酸化珪素層及びアルミニウム層が選択的に先に除去され、パターン状の反射層44a〜dとパターン状のマスク層46a〜dを形成した。そして、実施例1と同様の手順により、洗浄、乾燥、および接着層50の形成を行った。得られた積層体の接着層50の表面に、不織布からなる脱離基材60を貼り付け、本発明の第一の態様由来の第四の態様のラベル3を形成した。
ラベル3は、相互に離間した4つの画像部40a〜dを有した。画像部40a〜dのそれぞれは、相互に離間し、それぞれ赤色、青色、黄色、または緑色に着色された微細凹凸構造含有部42a−R、42b−Bl、42c−Yおよび42d−G、相互に離間して微細凹凸構造含有部42a−R、42b−Bl、42c−Yおよび42d−G上にのみ存在するアルミニウム反射層44a〜d、および、相互に離間して微細凹凸構造含有部42a−R、42b−Bl、42c−Yおよび42d−G上にのみ存在するマスク層46a〜dを有した。また、画像部40a〜の間隙には、無色の接着層50のみが存在した。
得られたラベル3の脱離基材60を剥離除去し、印刷部130を有するコットン用紙受容基材110に貼付して、図10に示す印刷物100を得た。印刷物100において、図10に示す表側表面に、ストライプ形状を有するラベル本体3’が貼付されている。
図10に示すように、印刷物100を表側から観察した場合、相互に離間された4つの画像部40a〜dが視認された。4つの画像部40a〜dのそれぞれは、アルミニウム金属からなる反射層44a〜dと、それぞれ別の色を有する微細凹凸構造含有部42a〜dと、に起因する銀色ではない光沢表現(たとえば、画像部40aの赤色の光沢表現)を有し、反射層44a〜dとそれぞれ別の色を有する微細凹凸構造含有部42a−R、42b−Bl、42c−Yおよび42d−Gと、がズレなく位置合わせされ、4つの画像部40a〜d以外の領域は、無色かつ透明な領域として観察された。
以上のように、単一色に着色された微細構造を有する単一層を用いることなく、表側からの観察における複数種の銀色ではない光沢表現が、微細凹凸構造とマスク層の位置ズレによる反射層のみの銀色の光沢表現及び微細凹凸構造の半透明な赤色、青色、黄色及び緑色の金属光沢を持たない表現と混在することなく、無色かつ透明な領域に離間されて視認される光学情報媒体1(本発明の第一の態様)、それを有するラベル3(本発明の第五の態様)およびラベル本体3‘を有する印刷物100(本発明の第七の態様)を得ることができた。また、本実施例の反射層44a〜dはアルミニウム金属で形成されているため、従来技術の銀色の光沢表現を提供する反射層と同等の物理強度および耐薬品性を有した。
[実施例3](図11)
(3−1)
ウレタン系樹脂および赤色色素を含む成形樹脂インキ274を用いたことを除いて、実施例1と同様の手順により、微細凹凸構造含有部42a−R、42b−Rおよび42d−Rを貼り合わせ部30上の所定の位置に形成した。
次いで、微細凹凸構造含有部42a−R、42b−Rおよび42d−Rを形成したPETフィルム、貼り合せインキ塗工用シリンダー255、貼り合せインキ加圧用シリンダー256、および貼り合せインキ保持容器253を省略したことを除いて図8と同様の装置、ならびにウレタン系樹脂および青色色素を含む成形樹脂インキ274を用い、微細凹凸構造含有部42b−Bl、42c−Bl、42d−Blを所定の位置に形成した。
続いて、ウレタン系樹脂および黄色色素を含む成形樹脂インキ274を用いたことを除いて微細凹凸構造含有部42b−Bl、42c−Bl、42d−Blの形成と同様の手順により、微細凹凸構造含有部42b−Yおよび42c−Yを所定の位置に形成した。また、ウレタン系樹脂および緑色色素を含む成形樹脂インキ274を用いたことを除いて前述と同様の手順により、微細凹凸構造含有部42a−G、42d−Gを所定の位置に形成した。さらに、ウレタン系樹脂を含むが、色素を含まない成形樹脂インキ274を用いたことを除いて前述と同様の手順により、微細凹凸構造含有部42c−Clを所定の位置に形成した。そして、被転写貼り合せ第二フィルム283を裁断して、第一のキャリア基材20、貼り合わせ部30および微細凹凸構造含有部42a〜dがこの順に積層された、パッチ形状の製造中間体3−1を得た。ここで、第一のキャリア基材20は、貼り合せフィルム252として用いた、アクリル系樹脂からなる剥離層を有するPETフィルムである。
(3−2)
次いで、実施例1と同様の手順により、4種の微細凹凸構造含有部42a〜dを有する製造中間体3−1の表面全体に、膜厚55nmのアルミニウム層を形成した。この時、微細凹凸構造部含有部42a〜dに対して相対的に表面積の大きい貼り合せ部30の選択的エッチング可能化構造の部分には相対的に薄くアルミニウム層が形成された。続いて、アルミニウム層の表面全体に膜厚20nmの二酸化珪素を蒸着し、二酸化珪素層を形成した。この時、微細凹凸構造部含有部42a〜dに対して相対的に表面積の大きい貼り合せ部30の選択的エッチング可能化構造の部分に形成されたアルミニウム層の部分には相対的に薄く二酸化珪素層が形成された。こうして製造中間体3−2を得た。
(3−3)
続いて、製造中間体3−2について、実施例1と同様の手順により、二酸化珪素層をマスクとしてアルミニウム層を水酸化ナトリウム溶液に浸漬してエッチングした。この時、相対的に薄く形成された二酸化珪素層及びアルミニウム層が選択的に先に除去され、パターン状の反射層44a〜dとパターン状のマスク層46a〜dを形成した。そして、実施例1と同様の手順により、洗浄、乾燥、および接着層50の形成を行い、本発明の第一の態様由来の第三の態様の転写箔2を形成した。
第1の画像部40aは、2つの異なる色の領域を有する微細凹凸構造含有部42a−Rおよび42a−Gと、微細凹凸構造含有部42a−Rおよび42a−G上にのみ存在するアルミニウム反射層44aと、微細凹凸構造含有部42a−Rおよび42a−G上にのみ存在するマスク層46aとを有した。第2の画像部40bは、3つの異なる色の領域を有する微細凹凸構造含有部42b−R、42b−Blおよび42b−Yと、微細凹凸構造含有部42b−R、42b−Blおよび42b−Y上にのみ存在するアルミニウム反射層44bと、微細凹凸構造含有部42b−R、42b−Blおよび42b−Y上にのみ存在するマスク層46bとを有した。第3の画像部40cは、2つの異なる色を有する3つの領域および無色の1つの領域を有する微細凹凸構造含有部42c−Bl、42c−Yおよび42c−Clと、微細凹凸構造含有部42c−Bl、42c−Yおよび42c−Cl上にのみ存在するアルミニウム反射層44cと、微細凹凸構造含有部42c−Bl、42c−Yおよび42c−Cl上にのみ存在するマスク層46cとを有した。第4の画像部40dは、3つの異なる色を有する5つの領域を有する微細凹凸構造含有部42d−R、42d−Blおよび42d−Gと、微細凹凸構造含有部42d−R、42d−Blおよび42d−G上にのみ存在するアルミニウム反射層44dと、微細凹凸構造含有部42d−R、42d−Blおよび42d−G上にのみ存在するマスク層46dとを有した。また、画像部40a〜dの間隙には、無色の接着層50のみが存在した。
実施例1と同様の手順により、得られた転写箔2を、印刷部130を有する白色PET受容基材110に熱圧着させ、キャリア基材20を剥離除去し、図11に示す、本発明の第一の態様由来の第七の態様の積層物である印刷物100を得た。
印刷物100において、図11に示す表側表面に、パッチ形状を有する光学情報媒体1が転写されている。
図11に示すように、印刷物100を表側から観察した場合、相互に離間された4つの画像部40a〜dが視認された。4つの画像部40a〜dは、アルミニウム金属からなる反射層44a〜dと複数の色に着色された微細凹凸構造含有部42a〜dとに起因する複数色の光沢表現を有し、反射層44a〜dと複数の色に着色された微細凹凸構造含有部42a−R、42a−G、42b−R、42b−Bl、42b−Y、42c−Bl、42c−Cl、42c−Y、42d−Bl、42d−Rおよび42d−Gとがズレなく位置合わせされ、4つの画像部40a〜d以外の領域は、無色かつ透明な領域として観察された。なお、第3の画像部40cにおいて、無色の微細凹凸構造含有部42c−Clが設けられた領域は銀色の光沢表現を有した。このように、本発明においては、従来型の銀色の光沢表現と、他の色の光沢表現とを有する画像を提供することが可能である。
以上のように、単一色に着色された微細構造を有する単一層を用いることなく、表側からの観察における銀色を含む多色の光沢表現が、微細凹凸構造とマスク層の位置ズレによる反射層のみの銀色の光沢表現及び微細凹凸構造の半透明な赤色、青色、黄色及び緑色の金属光沢を持たない表現と混在することなく、無色かつ透明な領域に離間されて視認される光学情報媒体1(本発明の第一の態様)、それを有する転写箔2(本発明の第四の態様)および印刷物100(本発明の第七の態様)を得ることができた。また、本実施例の反射層44a〜dはアルミニウム金属で形成されているため、従来技術の銀色の光沢表現を提供する反射層と同等の物理強度および耐薬品性を有した。
[実施例4](図12)
(4−1)
実施例2と同様の手順によりウレタン系樹脂および赤色色素を含む成形樹脂インキ274を用いて、微細凹凸構造含有部42a−R、42b−Rおよび42c−Rを貼り合わせ部30上の所定の位置に形成した。
次いで、実施例2と同様の手順によりウレタン系樹脂および青色色素を含む成形樹脂インキ274を用いて、微細凹凸構造含有部42b−Blおよび42c−Blを所定の位置に形成した。続いて、実施例2と同様の手順によりウレタン系樹脂および黄色色素を含む成形樹脂インキ274を用いて、微細凹凸構造含有部42b−Yを所定の位置に形成した。また、実施例2と同様の手順によりウレタン系樹脂および緑色色素を含む成形樹脂インキ274を用いて、微細凹凸構造含有部42a−Gおよび42d−Gを所定の位置に形成した。さらに、実施例3と同様の手順によりウレタン系樹脂を含むが、色素を含まない成形樹脂インキ274を用いて、微細凹凸構造含有部42c−Clおよび42d−Clを所定の位置に形成した。そして、微細凹凸構造含有部形成貼り合せフィルム283を裁断して、第二のキャリア基材20’、貼り合わせ部30および微細凹凸構造含有部42a〜dがこの順に積層された、パッチ形状の製造中間体4−1を得た。ここで、第二のキャリア基材20’は、貼り合せフィルム252として用いた、アクリル系樹脂からなる剥離層を持たないPETフィルムである。
(4−2)
次いで、実施例2と同様の手順により、4種の微細凹凸構造含有部42a〜dを有する微細凹凸構造含有部形成貼り合せフィルム283の表面全体に、膜厚55nmのアルミニウム金属層を形成した。この時、微細凹凸構造部含有部42a〜dに対して相対的に表面積の大きい貼り合せ部30の選択的エッチング可能化構造の部分には相対的に薄くアルミニウム層が形成された。続いて、アルミニウム層の表面全体に膜厚20nmの二酸化珪素を蒸着し、二酸化珪素層を形成した。この時、微細凹凸構造部含有部42a〜dに対して相対的に表面積の大きい貼り合せ部30の選択的エッチング可能化構造の部分に形成されたアルミニウム層の部分には相対的に薄く二酸化珪素層が形成された。こうして製造中間体4−2を得た。
(4−3)
続いて、製造中間体4−2について、実施例2と同様の手順により、二酸化珪素層をマスクとしてアルミニウム層を水酸化ナトリウム溶液に浸漬してエッチングした。この時、相対的に薄く形成された二酸化珪素層及びアルミニウム層が選択的に先に除去され、パターン状の反射層44a〜dとパターン状のマスク層46a〜dを形成した。そして、実施例2と同様の手順により、洗浄、乾燥、および接着層50の形成、および脱離基材60の貼付を行い、本発明の第一の態様由来の第四の態様のラベル3を形成した。
第1の画像部40aは、2つの異なる色の領域を有する微細凹凸構造含有部42a−Rおよび42a−Gと、微細凹凸構造含有部42a−Rおよび42a−G上にのみ存在するアルミニウム反射層44aと、微細凹凸構造含有部42a−Rおよび42a−G上にのみ存在するマスク層46aとを有した。第2の画像部40bは、3つの異なる色の領域を有する微細凹凸構造含有部42b−R、42b−Blおよび42b−Yと、微細凹凸構造含有部42b−R、42b−Blおよび42b−Y上にのみ存在するアルミニウム反射層44bと、微細凹凸構造含有部42b−R、42b−Blおよび42b−Y上にのみ存在するマスク層46bとを有した。第3の画像部40cは、2つの異なる色を有する3つの領域および無色の1つの領域を有する微細凹凸構造含有部42c−R、42c−Blおよび42c−Clと、微細凹凸構造含有部42c−R、42c−Blおよび42c−Cl上にのみ存在するアルミニウム反射層44cと、微細凹凸構造含有部42c−R、42c−Blおよび42c−Cl上にのみ存在するマスク層46cとを有した。第4の画像部40dは、1つの色を有する1つの領域および無色の4つの領域を有する微細凹凸構造含有部42d−Gおよび42d−Clと、微細凹凸構造含有部42d−Gおよび42d−Cl上にのみ存在するアルミニウム反射層44dと、微細凹凸構造含有部42d−Gおよび42d−Cl上にのみ存在するマスク層46dとを有した。また、画像部40a〜dの間隙には、無色の接着層50のみが存在した。
得られたラベル3の脱離基材60を剥離除去し、印刷部130を有する白色PET受容基材(110)に貼付して、図12に示す、本発明の第一の態様由来の第七の態様の積層物である印刷物100を得た。印刷物100において、図12に示す表側表面に、パッチ形状を有するラベル本体3’が貼付されている。
図12に示すように、印刷物100を表側から観察した場合、相互に離間された4つの画像部40a〜dが視認された。4つの画像部40a〜dのそれぞれは、アルミニウム金属からなる反射層44a〜dと複数の色に着色された微細凹凸構造含有部42a〜dとに起因する複数色の光沢表現を有し、反射層44a〜dと複数の色に着色された微細凹凸構造含有部42a−R、42a−G、42b−R、42b−Bl、42b−Y、42c−R、42c−Bl、42c−Cl、42d−Gおよび42d−Clとがズレなく位置合わせされ、4つの画像部40a〜d以外の領域は、無色かつ透明な領域として観察された。なお、第1の画像部40aにおいて、赤色の微細凹凸構造含有部42a−Rからなる周縁区域と、緑色の微細凹凸構造含有部42a−Gからなる内部区域とに起因する2色の光沢表現を有した。また、第3の画像部40cにおいて、無色の微細凹凸構造含有部42c−Clからなり、銀色の光沢表現を提供する周縁区域と、赤色および青色の微細凹凸構造含有部42c−Rおよび42c−Blからなり、銀色ではない光沢表現を提供する内部区域と有した。このように、本発明においては、1つの色を呈する周縁区域の中に、1つまたは複数の色を呈する内部区域を有する画像を提供することができる。
[実施例5](図13)
(5−1)
実施例2と同様の手順によりウレタン系樹脂および赤色色素を含む成形樹脂インキ274を用いて、微細凹凸構造含有部42a−Rおよび42c−Rを貼り合わせ部30上の所定の位置に形成した。
次いで、実施例2と同様の手順によりウレタン系樹脂および黄色色素を含む成形樹脂インキ274を用いて、微細凹凸構造含有部42b−Yおよび42d−Yを所定の位置に形成した。そして、被転写貼り合せ第二フィルム283を裁断して、第三のキャリア基材20”、貼り合わせ部30および微細凹凸構造含有部42a〜dがこの順に積層された、ストライプ形状の製造中間体5−1を得た。ここで、第三のキャリア基材20”は、貼り合せフィルム252として用いた、アクリル系樹脂からなる剥離層を持たないPETフィルムである。
(5−2)
次いで、実施例2と同様の手順により、4種の微細凹凸構造含有部42a〜dを有する製造中間体5−1の表面全体に、膜厚55nmのアルミニウム金属層を形成した。この時、微細凹凸構造部含有部42a〜dに対して相対的に表面積の大きい貼り合せ部30の選択的エッチング可能化構造の部分には相対的に薄くアルミニウム層が形成された。続いて、アルミニウム層の表面全体に膜厚20nmの二酸化珪素を蒸着し、二酸化珪素層を形成した。この時、微細凹凸構造部含有部42a〜dに対して相対的に表面積の大きい貼り合せ部30の選択的エッチング可能化構造の部分に形成されたアルミニウム層の部分には相対的に薄く二酸化珪素層が形成された。こうして製造中間体5−2を得た。
(5−3)
続いて、製造中間体5−2について、実施例2と同様の手順により、二酸化珪素層をマスクとしてアルミニウム層を水酸化ナトリウム溶液に浸漬してエッチングした。この時、相対的に薄く形成された二酸化珪素層及びアルミニウム層が選択的に先に除去され、パターン状の反射層44a〜dとパターン状のマスク層46a〜dを形成した。そして、実施例2と同様の手順により、洗浄および乾燥を行った。こうして製造中間体5−3を得た。
乾燥後の製造中間体5−3の画像部40a〜d側の表面全体に、アクリル系樹脂および青色色素を含む組成物を付着させ、青色の接着層50−Bを形成した。次いで、製造中間体の第三のキャリア基材20”側の表面全体に、アクリル系樹脂を含むが、色素を含まない組成物を付着させ、無色のキャリア基材側接着層70を形成し、本発明の第一の態様由来の第六の態様の抄紙用スレッド4を形成した。
得られた抄紙用スレッド4をコットン分散物中に抄き込み、コットン受容基材110中に抄紙用スレッド4を含む第七の態様の積層体を製造した。なお、コットン受容基材110の表側表面が、抄紙用スレッド4の画像部40a〜dに相当する位置に、画像部40a〜dが露出する受容基材窓部120を有した。積層体(コットン受容基材110)の表側および裏側の表面に印刷を施して印刷部130を形成し、本発明の第一の態様由来の第七の態様の積層物の印刷物100を得た。
図13に示すように、印刷物100を表側から観察した場合、相互に離間された4つの画像部40a〜dが視認された。2つの画像部40aおよび40cは、アルミニウム金属からなる反射層44aおよび44cと、赤色微細凹凸構造含有部42a−Rおよび42c−Rとに起因する銀色ではない光沢表現を有した。一方、2つの画像部40bおよび40dは、アルミニウム金属からなる反射層44bおよび44dと、黄色微細凹凸構造含有部42b−Yおよび42d−Yとに起因する銀色ではない光沢表現を有した。反射層44a〜dとそれぞれ別の色を有する微細凹凸構造含有部42a−R、42b−Y、42c−R、42d−Yとはズレなく位置合わせされ、4つの画像部40a〜d以外の領域は、青色の接着層50−Bに起因する、光沢のない青色領域として観察された。光沢の不存在は、画像部40a〜d以外の領域に反射層44a〜dが存在しないことに起因する。
[実施例6](図14、図15)
(6−1)
実施例1と同様の手順により、貼り合わせ部30を形成した。
次いで、回折格子構造の反転形状を有する微細凹凸構造成形用フィルム279を用いたことを除いて実施例1と同様の手順により、ウレタン系樹脂および橙色色素を含む成形樹脂インキ274を用いて微細凹凸構造含有部42a−Orを所定の位置に形成した。
次いで、微細凹凸構造含有部42a−Orを形成したPETフィルム、貼り合せインキ塗工用シリンダー255、貼り合せインキ加圧用シリンダー256、および貼り合せインキ保持容器253を省略したことを除いて図8と同様の装置、無指向性の散乱構造の反転形状を有する微細凹凸構造成形用フィルム279、ならびにウレタン系樹脂を含むが、色素を含まない成形樹脂インキ274を用いて、微細凹凸構造含有部42b−Clを所定の位置に形成した。上面視において、微細凹凸構造含有部42b−Clは、微細凹凸構造含有部42a−Orとは異なる面積を有した。
次いで、指向性の散乱構造の反転形状を有する微細凹凸構造成形用フィルム279、ならびにウレタン系樹脂および赤褐色の色素を含む成形樹脂インキ274を用いて、微細凹凸構造含有部42c−RBを所定の位置に形成した。上面視において、微細凹凸構造含有部42c−RBは、微細凹凸構造含有部42b−Clおよび微細凹凸構造含有部42a−Orのいずれとも異なる面積を有した。そして、被転写貼り合せ第二フィルム283を裁断して、第一のキャリア基材20、貼り合わせ部30および微細凹凸構造含有部42a〜cがこの順に積層された、ストライプ形状の製造中間体6−1を得た。ここで、第一のキャリア基材20は、貼り合せフィルム252として用いた、アクリル系樹脂からなる剥離層を有するPETフィルムである。
(6−2)
次いで、実施例1と同様の手順により、3種の微細凹凸構造含有部42a〜cを有する製造中間体6−1の表面全体に、膜厚55nmのアルミニウム金属層を形成した。この時、微細凹凸構造部含有部42a〜cに対して相対的に表面積の大きい貼り合せ部30の選択的エッチング可能化構造の部分には相対的に薄くアルミニウム層が形成された。続いて、アルミニウム層の表面全体に膜厚20nmの二酸化珪素を蒸着し、二酸化珪素層を形成した。この時、微細凹凸構造部含有部42a〜cに対して相対的に表面積の大きい貼り合せ部30の選択的エッチング可能化構造の部分に形成されたアルミニウム層の部分には相対的に薄く二酸化珪素層が形成された。こうして製造中間体6−2を得た。
(6−3)
続いて、製造中間体6−2について、実施例1と同様の手順により、二酸化珪素層をマスクとしてアルミニウム層を水酸化ナトリウム溶液に浸漬してエッチングした。この時、相対的に薄く形成された二酸化珪素層及びアルミニウム層が選択的に先に除去され、パターン状の反射層44a〜cとパターン状のマスク層46a〜cを形成した。そして、実施例1と同様の手順により、洗浄、乾燥、および接着層50の形成を行い、図14に示す本発明の第一の態様由来の第三の態様の転写箔(2)を形成した[但し、図14では簡略のため、貼り合わせ部30上の選択的エッチング可能化構造の記載を省略している]。
第1の画像部40aは、表面に回折格子構造を有する橙色の微細凹凸構造含有部42a−Orと、微細凹凸構造含有部42a−Or上にのみ存在するアルミニウム反射層44aと、微細凹凸構造含有部42a−Or上にのみ存在するマスク層46aとを有した。第2の画像部40bは、表面に無指向性散乱構造を有する無色の微細凹凸構造含有部42b−Clと、微細凹凸構造含有部42b−Cl上にのみ存在するアルミニウム反射層44bと、微細凹凸構造含有部42b−Cl上にのみ存在するマスク層46bとを有した。第3の画像部40cは、表面に指向性散乱構造を有する赤褐色の微細凹凸構造含有部42c−RBと、微細凹凸構造含有部42c−RB上にのみ存在するアルミニウム反射層44cと、微細凹凸構造含有部42c−RB上にのみ存在するマスク層46cとを有した。また、画像部40a〜cの間隙には、無色の接着層50のみが存在した。
実施例1と同様の手順により、得られた転写箔2を、印刷部130を有する不透明なコットン受容基材110に熱圧着させ、キャリア基材20を剥離除去し、図15に示す本発明の第一の態様由来の第七の態様の積層物である印刷物100を得た。
印刷物100において、図15に示す表側表面に、ストライプ形状を有する光学情報媒体1が転写されている。
図15に示すように、印刷物100を表側から観察した場合、相互に離間された3つの画像部40a〜cが視認された。第1の画像部40aは、全体として金色の光沢表現を有すると共に、観察角を変化させることにより、観察される色相が変化した。
この効果は、橙色の微細凹凸構造含有部42a−Orの表面の回折格子構造に起因する。第2の画像部40bは、全体として銀色の光沢表現を有し、観察角を変化させても、反射光の強度および色相は変化しなかった。この効果は、無色の微細凹凸構造含有部42b−Clの表面の無指向性散乱構造に起因する。第3の画像部40cは、全体として銅色の光沢表現を有し、観察角を変化させた際に、特定の観察角における反射光の強度の増大が観察された。この効果は、赤褐色の微細凹凸構造含有部42c−RBの表面の指向性散乱構造に起因する。さらに、第1から第3の画像部40a〜cは、それぞれ異なる面積を有した。
[実施例7](図16)
離間されていない単一の画像部40を形成したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して、本発明の第一の態様由来の第三の態様の転写箔2を得た。得られた転写箔2の画像部40は、ウレタン系樹脂および橙色色素を含む微細凹凸構造含有部42−Or、アルミニウムからなる反射層44、およびマスク層46をこの順に含んだ。
ホットスタンプを備えるアップダウン型熱転写装置を用いて、得られた転写箔2を、印刷部130を有する不透明なコットン受容基材110に熱圧着させ、第一のキャリア基材20を剥離除去し、図16に示す本発明の第一の態様由来の第七の態様の積層物である印刷物100を得た。印刷物100において、図16に示す表側表面に、ストライプ形状を有する本発明の第一の態様の光学情報媒体1が転写されている。
図16に示すように、印刷物100を表側から観察した場合、離間されていない単一の画像部40が視認された。単一の画像部40は、アルミニウム金属からなる反射層44と橙色を有する微細凹凸構造含有部42−Orとに起因する金色の光沢表現を有し、反射層44と橙色を有する微細凹凸構造含有部42−Orとがズレなく位置合わせされ、画像部40以外の領域は、無色かつ透明な領域として観察された。
以上のように、橙色に着色された微細構造を有する単一層を用いることなく、表側からの観察における金色の光沢表現が、無色かつ透明な領域に内包されて視認される光学情報媒体1(本発明の第一の態様)、それを有する転写箔2および印刷物100を得ることができた。また、本実施例の反射層44はアルミニウム金属で形成されているため、従来技術の銀色の光沢表現を提供する反射層と同等の物理強度および耐薬品性を有した。
[実施例8](図17)
(8−1)
ウレタン系樹脂および赤色色素を含む成形樹脂インキ274を用いたことを除いて、実施例1と同様の手順により、微細凹凸構造含有部42−Rを貼り合わせ部30上の所定の位置に形成した。
次いで、微細凹凸構造含有部42−Rを形成したPETフィルム、貼り合せインキ塗工用シリンダー255、貼り合せインキ加圧用シリンダー256、および貼り合せインキ保持容器253を省略したことを除いて図8と同様の装置、ならびにウレタン系樹脂および青色色素を含む成形樹脂インキ274を用い、微細凹凸構造含有部42−Blを所定の位置に形成した。
続いて、ウレタン系樹脂を含むが、色素を含まない成形樹脂インキ274を用いたことを除いて前述と同様の手順により、微細凹凸構造含有部42−Clを所定の位置に形成した。各色の微細凹凸構造含有部42−R、42−Bl、および42−Clは、離間されていない単一の微細凹凸構造含有部42を形成した。そして、微細凹凸構造含有部形成貼り合せフィルム283を裁断して、第一のキャリア基材20、貼り合わせ部30および微細凹凸構造含有部42がこの順に積層された、パッチ形状の製造中間体8−1を得た。ここで、第一のキャリア基材20は、貼り合せフィルム252として用いた、アクリル系樹脂からなる剥離層を有するPETフィルムである。
(8−2)
次いで、実施例1と同様の手順により、微細凹凸構造含有部42を有する製造中間体8−1の表面全体に、膜厚55nmのアルミニウム金属層を形成した。この時、微細凹凸構造部含有部42に対して相対的に表面積の大きい貼り合せ部30の選択的エッチング可能化構造の部分には相対的に薄くアルミニウム層が形成された。続いて、アルミニウム層の表面全体に膜厚20nmの二酸化珪素を蒸着し、二酸化珪素層を形成した。この時、微細凹凸構造部含有部42に対して相対的に表面積の大きい貼り合せ部30の選択的エッチング可能化構造の部分に形成されたアルミニウム層の部分には相対的に薄く二酸化珪素層が形成された。こうして製造中間体8−2を得た。
(8−3)
続いて、製造中間体8−2について、実施例1と同様の手順により、二酸化珪素層をマスクとしてアルミニウム層を水酸化ナトリウム溶液に浸漬してエッチングした。この時、相対的に薄く形成された二酸化珪素層及びアルミニウム層が選択的に先に除去され、パターン状の反射層44とパターン状のマスク層46を形成した。上記のようにして得られた微細凹凸構造含有部42、反射層44、およびマスク層46は、離間されていない単一の画像部40を形成した。そして、実施例1と同様の手順により、洗浄、乾燥、および接着層50の形成を行い、本発明の第一の態様由来の第四の態様の転写箔2を形成した。
画像部40は、2つの異なる色の領域および1つの無色の領域を有する微細凹凸構造含有部42−R、42−Blおよび42−Clと、微細凹凸構造含有部42−R、42−Blおよび42−Cl上にのみ存在するアルミニウム反射層44と、微細凹凸構造含有部42−R、42−Blおよび42−Cl上にのみ存在するマスク層46とを有した。また、画像部40以外の領域には、無色の接着層50のみが存在した。
実施例1と同様の手順により、得られた転写箔2を、印刷部130を有する不透明なコットン受容基材110に熱圧着させ、キャリア基材20を剥離除去し、図17に示す、本発明の第一の態様由来の第七の態様の積層物である印刷物100を得た。印刷物100において、図17に示す表側表面に、パッチ形状を有する本発明の第一の態様の光学情報媒体1が転写されている。
図17に示すように、印刷物100を表側から観察した場合、離間していない1つの画像部40が視認された。画像部40は、アルミニウム金属からなる反射層44と複数の色に着色された微細凹凸構造含有部42とに起因する複数色の光沢表現、および無色の微細凹凸構造含有部42c−Clが設けられた領域は銀色の光沢表現を有し、反射層44と複数の色を有する微細凹凸構造含有部42とがズレなく位置合わせされ、画像部40以外の領域は、無色かつ透明な領域として観察された。このように、本発明においては、従来型の銀色の光沢表現と、他の色の光沢表現とを有する画像を提供することが可能である。
以上のように、単一色に着色された微細構造を有する単一層を用いることなく、表側からの観察における銀色を含む多色の光沢表現が、無色かつ透明な領域に内包されて視認される光学情報媒体1(本発明の第一の態様)、それを有する転写箔2(本発明の第四の態様)および印刷物100を得ることができた。また、本実施例の反射層44はアルミニウム金属で形成されているため、従来技術の銀色の光沢表現を提供する反射層と同等の物理強度および耐薬品性を有した。
[実施例9](図18)
(9−1)
実施例2と同様の手順によりウレタン系樹脂および青色色素を含む成形樹脂インキ274を用いて、微細凹凸構造含有部42−Blを貼り合わせ部30上の所定の位置に形成した。
次いで、実施例2と同様の手順によりウレタン系樹脂および黄色色素を含む成形樹脂インキ274を用いて、微細凹凸構造含有部42−Yを所定の位置に形成した。実施例3と同様の手順によりウレタン系樹脂を含むが、色素を含まない成形樹脂インキ274を用いて、微細凹凸構造含有部42−Clを所定の位置に形成した。各色の微細凹凸構造含有部42−Bl、42−Y、および42−Clは、離間されていない単一の微細凹凸構造含有部42を形成した。そして、微細凹凸構造含有部形成貼り合せフィルム283を裁断して、第二のキャリア基材20’、貼り合わせ部30および微細凹凸構造含有部42がこの順に積層された、パッチ形状の製造中間体9−1を得た。ここで、第二のキャリア基材20’は、貼り合せフィルム252として用いた、アクリル系樹脂からなる剥離層を持たないPETフィルムである。
(9−2)
次いで、実施例2と同様の手順により、微細凹凸構造含有部42を有する製造中間体9−1の表面全体に、膜厚55nmのアルミニウム金属層を形成した。この時、微細凹凸構造部含有部42に対して相対的に表面積の大きい貼り合せ部30の選択的エッチング可能化構造の部分には相対的に薄くアルミニウム層が形成された。続いて、アルミニウム層の表面全体に膜厚20nmの二酸化珪素を蒸着し、二酸化珪素層を形成した。この時、微細凹凸構造部含有部42に対して相対的に表面積の大きい貼り合せ部30の選択的エッチング可能化構造の部分に形成されたアルミニウム層の部分には相対的に薄く二酸化珪素層が形成された。こうして製造中間体9−2が得られた。
(9−3)
続いて、製造中間体9−2について、実施例2と同様の手順により、二酸化珪素層をマスクとしてアルミニウム層を水酸化ナトリウム溶液に浸漬してエッチングした。この時、相対的に薄く形成された二酸化珪素層及びアルミニウム層が選択的に先に除去され、パターン状の反射層44とパターン状のマスク層46を形成した。上記のようにして得られた微細凹凸構造含有部42、反射層44、およびマスク層46は、離間されていない単一の画像部40を形成した。そして、実施例2と同様の手順により、洗浄、乾燥、および接着層50の形成、および脱離基材60の貼付を行い、本発明の第一の態様由来の第四の態様のラベル3を形成した。
画像部40は、2つの異なる色の領域および1つの無色の領域を有する微細凹凸構造含有部42−Y、42−Blおよび42−Clと、微細凹凸構造含有部42−Y、42−Blおよび42−Cl上にのみ存在するアルミニウム反射層44と、微細凹凸構造含有部42−Y、42−Blおよび42−Cl上にのみ存在するマスク層46とを有した。また、画像部40以外の領域には、無色の接着層50のみが存在した。
得られたラベル3の脱離基材60を剥離除去し、印刷部130を有する不透明なコットン受容基材110に貼付して、図18に示す本発明の第一の態様由来の第七の態様の積層物である印刷物100を得た。
印刷物100において、図18に示す表側表面に、パッチ形状を有するラベル本体3’が貼付されている。
図18に示すように、印刷物100を表側から観察した場合、離間していない1つの画像部40が視認された。画像部40は、アルミニウム金属からなる反射層44と複数の色に着色された微細凹凸構造含有部42とに起因する複数色の光沢表現、および無色の微細凹凸構造含有部42−Clが設けられた領域は銀色の光沢表現を有し、反射層44と複数の色を有する微細凹凸構造含有部42とがズレなく位置合わせされ、画像部40以外の領域は、無色かつ透明な領域として観察された。このように、本発明においては、1つの色を呈する周縁区域の中に、1つまたは複数の色を呈する内部区域を有する画像を提供することができる。
[実施例10](図19)
(10−1)
実施例2と同様の手順によりウレタン系樹脂および赤色色素を含む成形樹脂インキ274を用いて、微細凹凸構造含有部42−Rを貼り合わせ部30上の所定の位置に形成した。
次いで、実施例2と同様の手順によりウレタン系樹脂および黄色色素を含む成形樹脂インキ274を用いて、微細凹凸構造含有部42−Yを所定の位置に形成した。各色の微細凹凸構造含有部42−Rおよび42−Yは、離間されていない単一の微細凹凸構造含有部42を形成した。そして、被転写貼り合せ第二フィルム283を裁断して、第三のキャリア基材20”、貼り合わせ部30および微細凹凸構造含有部42がこの順に積層された、ストライプ形状の製造中間体10−1を得た。ここで、第三のキャリア基材20”は、貼り合せフィルム252として用いた、アクリル系樹脂からなる剥離層を持たないPETフィルムである。
(10−2)
次いで、実施例2と同様の手順により、微細凹凸構造含有部42を有する製造中間体10−1の表面全体に、膜厚55nmのアルミニウム金属層を形成した。この時、微細凹凸構造部含有部42に対して相対的に表面積の大きい貼り合せ部30の選択的エッチング可能化構造の部分には相対的に薄くアルミニウム層が形成された。続いて、アルミニウム層の表面全体に膜厚20nmの二酸化珪素を蒸着し、二酸化珪素層を形成した。この時、微細凹凸構造部含有部42に対して相対的に表面積の大きい貼り合せ部30の選択的エッチング可能化構造の部分に形成されたアルミニウム層の部分には相対的に薄く二酸化珪素層が形成された。こうして製造中間体10−2を得た。
(10−3)
続いて、製造中間体10−2について、実施例2と同様の手順により、二酸化珪素層をマスクとしてアルミニウム層を水酸化ナトリウム溶液に浸漬してエッチングした。この時、相対的に薄く形成された二酸化珪素層及びアルミニウム層が選択的に先に除去され、パターン状の反射層44とパターン状のマスク層46を形成した。上記のようにして得られた微細凹凸構造含有部42、微細凹凸構造含有部42上にのみ存在するアルミニウム反射層44、および微細凹凸構造含有部42上にのみ存在するマスク層46は、離間されていない単一の画像部40を形成した。そして、実施例2と同様の手順により、洗浄および乾燥を行った。こうして製造中間体10−3を得た。
乾燥後の製造中間体10−3の画像部40側の表面全体に、アクリル系樹脂および青色色素を含む組成物を付着させ、青色の接着層50−Bを形成した。次いで、得られた製造中間体10−4の第三のキャリア基材20”側の表面全体に、アクリル系樹脂を含むが、色素を含まない組成物を付着させ、無色のキャリア基材側接着層70を形成し、本発明の第一の態様由来の第六の態様の抄紙用スレッド4を形成した。
得られた抄紙用スレッド4をコットン分散物中に抄き込み、コットン受容基材110中に抄紙用スレッド4を含む本発明の第一の態様由来の第七の態様の積層体を製造した。なお、コットン受容基材110の表側表面が、抄紙用スレッド4の画像部40の一部が露出する受容基材窓部120a〜cを有した。積層体(コットン受容基材110)の表側および裏側の表面に印刷を施して印刷部130を形成し、本発明の第一の態様由来の第七の態様の積層物の印刷物100を得た。
図19に示すように、印刷物100を表側から観察した場合、受容基材窓部120を通して、離間していない1つの画像部40が視認された。第1および第2の受容基材窓部120a、bにおいては、アルミニウム金属からなる反射層44と、2つの色に着色された微細凹凸構造含有部42−Rおよび42−Yとに起因する銀色ではない光沢表現を有する画像部40が観察された。一方、第3の受容基材窓部120cにおいては、アルミニウム金属からなる反射層44と、赤色に着色された微細凹凸構造含有部42−Rとに起因する銀色ではない光沢表現を有する画像部40が観察された。加えて、全ての受容基材窓部120a〜cにおいて、反射層44と複数の色を有する微細凹凸構造含有部42とがズレなく位置合わせされ、画像部40以外の領域は、青色の接着層50−Bに起因する、光沢のない青色領域として観察された。光沢の不存在は、画像部40以外の領域に反射層44が存在しないことに起因する。
[実施例11](図20)
(11−1)
実施例1と同様の手順により、貼り合わせ部30を形成した。次いで、回折格子構造の反転形状を有する微細凹凸構造成形用フィルム279を用いたことを除いて実施例1と同様の手順により、ウレタン系樹脂および橙色色素を含む成形樹脂インキ274を用いて微細凹凸構造含有部42−Orを所定の位置に形成した。
次いで、微細凹凸構造含有部42−Orを形成したPETフィルム、貼り合せインキ塗工用シリンダー255、貼り合せインキ加圧用シリンダー256、および貼り合せインキ保持容器253を省略したことを除いて図8と同様の装置、無指向性の散乱構造の反転形状を有する微細凹凸構造成形用フィルム279、ならびにウレタン系樹脂を含むが、色素を含まない成形樹脂インキ274を用いて、微細凹凸構造含有部42−Clを所定の位置に形成した。上面視において、微細凹凸構造含有部42−Clは、微細凹凸構造含有部42−Orとは異なる面積を有した。
次いで、指向性の散乱構造の反転形状を有する微細凹凸構造成形用フィルム279、ならびにウレタン系樹脂および赤褐色の色素を含む成形樹脂インキ274を用いて、微細凹凸構造含有部42−RBを所定の位置に形成した。上面視において、微細凹凸構造含有部42−RBは、微細凹凸構造含有部42−Clおよび微細凹凸構造含有部42−Orのいずれとも異なる面積を有した。各色の微細凹凸構造含有部42−Or、42−RB、および42−Clは、離間されていない単一の微細凹凸構造含有部42を形成した。そして、被転写貼り合せ第二フィルム283を裁断して、第一のキャリア基材20、貼り合わせ部30および微細凹凸構造含有部42がこの順に積層された、ストライプ形状の製造中間体を得た。ここで、第一のキャリア基材20は、貼り合せフィルム252として用いた、アクリル系樹脂からなる剥離層を有するPETフィルムである。こうして製造中間体11−1を得た。
(11−2)
次いで、実施例1と同様の手順により、微細凹凸構造含有部42を有する製造中間体11−1の表面全体に、膜厚55nmのアルミニウム金属層を形成した。この時、微細凹凸構造部含有部42に対して相対的に表面積の大きい貼り合せ部30の選択的エッチング可能化構造の部分には相対的に薄くアルミニウム層が形成された。続いて、アルミニウム層の表面全体に膜厚20nmの二酸化珪素を蒸着し、二酸化珪素層を形成した。この時、微細凹凸構造部含有部42に対して相対的に表面積の大きい貼り合せ部30の選択的エッチング可能化構造の部分に形成されたアルミニウム層の部分には相対的に薄く二酸化珪素層が形成された。こうして製造中間体11−2を得た。
(11−3)
続いて、製造中間体11−2について、実施例1と同様の手順により、二酸化珪素層をマスクとしてアルミニウム層を水酸化ナトリウム溶液に浸漬してエッチングした。この時、相対的に薄く形成された二酸化珪素層及びアルミニウム層が選択的に先に除去され、パターン状の反射層44とパターン状のマスク層46を形成した。上記のようにして得られた微細凹凸構造含有部42、微細凹凸構造含有部42上にのみ存在するアルミニウム反射層44、および微細凹凸構造含有部42上にのみ存在するマスク層46は、離間されていない単一の画像部40を形成した。そして、実施例1と同様の手順により、洗浄、乾燥、および接着層50の形成を行い、図14に示す本発明の第一の態様由来の第四の態様の転写箔2を形成した。画像部40は、表面に回折格子構造を有する橙色の微細凹凸構造含有部42−Or、表面に無指向性散乱構造を有する無色の微細凹凸構造含有部42−Cl、および表面に指向性散乱構造を有する赤褐色の微細凹凸構造含有部42−RBを有した。
実施例1と同様の手順により、得られた転写箔2を、印刷部130を有する不透明なコットン受容基材110に熱圧着させ、キャリア基材20を剥離除去し、図20に示す本発明の第一の態様由来の第七の態様の積層物である印刷物100を得た。
印刷物100において、図22に示す表側表面に、ストライプ形状を有する本発明の第一の態様の光学情報媒体1が転写されている。
図20に示すように、印刷物100を表側から観察した場合、離間していない1つの画像部40が視認された。画像部40の橙色の微細凹凸構造含有部42−Orが設けられた領域は、全体として金色の光沢表現を有すると共に、観察角を変化させることにより、観察される色相が変化した。この効果は、橙色の微細凹凸構造含有部42−Orの表面の回折格子構造に起因する。画像部40の無色の微細凹凸構造含有部42−Clが設けられた領域は、全体として銀色の光沢表現を有し、観察角を変化させても、反射光の強度および色相は変化しなかった。この効果は、無色の微細凹凸構造含有部42−Clの表面の無指向性散乱構造に起因する。画像部40の赤褐色の微細凹凸構造含有部42−RBが設けられた領域は、全体として銅色の光沢表現を有し、観察角を変化させた際に、特定の観察角における反射光の強度の増大が観察された。この効果は、赤褐色の微細凹凸構造含有部42−RBの表面の指向性散乱構造に起因する。さらに、上記の3種の領域は、それぞれ異なる面積を有した。
[実施例12][図28Aおよび図28B]
まず、実施例1の(1−1)〜(1−2)と同様にして、製造中間体1−1に対応する製造中間体12−1、次いで、製造中間体1−2に対応する製造中間体12−2を得た。
続いて、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂および赤褐色色素を含む組成物を、微細凹凸構造部含有部42a〜d−Orに対応する位置に、微細凹凸構造含有部42a〜d−Orの領域を覆うように付着させ、裏面着色材料層a〜d−RBを形成した。
次いで、得られた製造中間体12−3を水酸化ナトリウム溶液に浸漬して、二酸化珪素層をマスクとしてアルミニウム層をエッチングした。この時、相対的に薄く形成された二酸化珪素層及びアルミニウム層が選択的に先に除去され、パターン状の反射層44a〜dとパターン状のマスク層46a〜dを形成した。この時、選択的に先に除去された二酸化珪素材料及びアルミニウム材料の上に存在する裏面着色部材料も同時に除去され、パターン状の裏面着色部48a〜d−RBを形成した。エッチング除去後、塩酸溶液および水にて洗浄を行い、熱風により製造中間体12−4を乾燥させた。その後、乾燥した製造中間体12−4にアクリル系樹脂を塗布して接着層50を形成し、転写箔2を形成した。転写箔2は、相互に離間した4つの画像部40a〜dを有した。画像部40a〜dのそれぞれは、相互に離間して橙色に着色された微細凹凸構造含有部42a〜d−Or、相互に離間して微細凹凸構造含有部42a〜d−Or上にのみ存在するアルミニウム反射層44a〜d、相互に離間して微細凹凸構造含有部42a〜d−Or上にのみ存在するマスク層46a〜d、および相互に離間して微細凹凸構造含有部42a〜d−Or上にのみ存在する赤褐色に着色された裏面着色部層48a〜d−RBを有した。また、画像部40a〜dの間隙には、無色の接着層50のみが存在した。
ホットスタンプを備えるアップダウン型熱転写装置を用いて、得られた転写箔2を、印刷部130を有する透明なポリプロピレン受容基材110に熱圧着させ、第一のキャリア基材20を剥離除去し、図28Aおよび図28Bに示す印刷物100を得た。印刷物100において、図28Aに示す表側表面に、ストライプ形状を有する本発明の第二の態様の光学情報媒体1が転写されている。
図28Aに示すように、印刷物100を表側から観察した場合、相互に離間された4つの画像部40a〜dが視認された。4つの画像部40a〜dは、アルミニウム金属からなる反射層44a〜dと橙色を有する微細凹凸構造含有部42a〜d−Orとに起因する金色の光沢表現を有し、反射層44a〜dと橙色を有する微細凹凸構造含有部42a〜d−Orとがズレなく位置合せされ、4つの画像部40a〜d以外の領域は、無色かつ透明な領域として観察された。
一方、図28Bに示すように、印刷物100を裏側から観察した場合、透明な受容基材110を通して、相互に離間された4つの画像部40a〜dが視認された。4つの画像部40a〜dは、アルミニウム金属からなる反射層44a〜dと赤褐色を有する裏面着色部48a〜d−RBとに起因する銅色の光沢表現を有し、反射層44a〜dと赤褐色を有する裏面着色部48a〜d−RBとがズレなく位置合せされ、4つの画像部40a〜d以外の領域は、無色かつ透明な領域として観察された。
以上のように、橙色に着色された微細構造を有する単一層を用いることなく、表側からの観察における金色の光沢表現が、微細凹凸構造とマスク層の位置ズレによる反射層のみの銀色の光沢表現及び微細凹凸構造含有部の半透明な橙色の金属光沢を持たない表現と混在することなく、無色かつ透明な領域に離間されて視認され、且つ裏面からの観察における銅色の光沢表現も、裏面着色部、マスク層および微細凹凸構造との位置ズレによる反射層のみの銀色の光沢表現及び裏面着色部の半透明な赤橙色の金属光沢を持たない表現と混在することなく、無色かつ透明な領域に離間されて視認される光学情報媒体1、それを有する転写箔2及び印刷物100を得ることができた。また、実施例12の反射層44a〜dはアルミニウム金属で形成されているため、従来技術の銀色の光沢表現を提供する反射層と同等の物理強度および耐薬品性を有した。
[実施例13][図29Aおよび図29B]
まず、実施例2の(2−1)〜(2−2)と同様にして、製造中間体13−1、次いで、製造中間体13−2を得た。但し、実施例2の(2−1)〜(2−2)中の「実施例1」は「実施例12」に、「製造中間体2−1」は「製造中間体意13−1」に、「製造中間体2−2」は「製造中間体13−2」にそれぞれ読み替える。
続いて、製造中間体13−2について、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂および桃色色素を含む組成物を、微細凹凸構造部含有部42a−Rに対応する位置に、微細凹凸構造含有部42a−Rの領域を覆うように付着させ、裏面着色材料層a−Piを形成した。
前述と同様の手順により、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂およびシアン色素を含む組成物を、微細凹凸構造含有部42b−Blに対応する位置に、微細凹凸構造含有部42b−Blの領域を覆うように付着させ、裏面着色材料層b−Cyを形成した。また、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂および茶色色素を含む組成物を、微細凹凸構造含有部42c−Yに対応する位置に、微細凹凸構造含有部42c−Yの領域を覆うように付着させ、裏面着色材料層c−Brを形成した。さらに、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂およびマゼンタ色素を含む組成物を、微細凹凸構造含有部42d−Gに対応する位置に、微細凹凸構造含有部42d−Gの領域を覆うように付着させ、裏面着色材料層d−Mを形成した。
続いて、実施例12と同様の手順により、二酸化珪素層をマスクとしてアルミニウム層を水酸化ナトリウム溶液に浸漬してエッチングした。この時、相対的に薄く形成された二酸化珪素層及びアルミニウム層が選択的に先に除去され、パターン状の反射層44a〜dとパターン状のマスク層46a〜dを形成した。この時、選択的に先に除去された二酸化珪素材料及びアルミニウム材料の上に存在する裏面着色材料層も同時に除去され、パターン状の裏面着色部48a〜dを形成した。そして、実施例12と同様の手順により、洗浄、乾燥、および接着層50の形成を行った。得られた積層体の接着層50の表面に、不織布からなる脱離基材60を貼り付け、ラベル3を形成した。ラベル3は、相互に離間した4つの画像部40a〜dを有した。画像部40a〜dのそれぞれは、相互に離間し、それぞれ赤色、青色、黄色、または緑色に着色された微細凹凸構造含有部42a−R、42b−Bl、42c−Yおよび42d−G、相互に離間して微細凹凸構造含有部42a−R、42b−Bl、42c−Yおよび42d−G上にのみ存在するアルミニウム反射層44a〜d、相互に離間して微細凹凸構造含有部42a−R、42b−Bl、42c−Yおよび42d−G上にのみ存在するマスク層46a〜d、および相互に離間して微細凹凸構造含有部42a−R、42b−Bl、42c−Yおよび42d−G上にのみ存在し、それぞれ桃色、シアン、茶色、またはマゼンタに着色された裏面着色部(48a−R、48b−Cy、48c−Brおよび48d−M)を有した。また、画像部40a〜dの間隙には、無色の接着層50のみが存在した。
得られたラベル3の脱離基材60を剥離除去し、印刷部130を有する透明なPET受容基材110に貼付して、図29Aおよび図29Bに示す印刷物100を得た。印刷物100において、図29A示す表側表面に、ストライプ形状を有するラベル本体3’が貼付されている。
図29Aに示すように、印刷物100を表側から観察した場合、相互に離間された4つの画像部40a〜dが視認された。4つの画像部40a〜dのそれぞれは、アルミニウム金属からなる反射層44a〜dと、それぞれ別の色を有する微細凹凸構造含有部42a〜dとに起因する銀色ではない光沢表現(たとえば、画像部40aの赤色の光沢表現)を有し、反射層44a〜dとそれぞれ別の色を有する微細凹凸構造含有部42a−R、42b−Bl、42c−Yおよび42d−Gとがズレなく位置合せされ、4つの画像部40a〜d以外の領域は、無色かつ透明な領域として観察された。
一方、図29Bに示すように、印刷物100を裏側から観察した場合、透明な受容基材110を通して、相互に離間された4つの画像部40a〜dが視認された。4つの画像部40a〜dは、アルミニウム金属からなる反射層44a〜dとそれぞれ別の色を有する裏面着色部48a〜dとに起因する銀色ではない光沢表現を有し、反射層44a〜dとそれぞれ別の色を有する裏面着色部48a〜dとがズレなく位置合せされ、4つの画像部40a〜d以外の領域は、無色かつ透明な領域として観察された。
以上のように、単一色に着色された微細構造を有する単一層を用いることなく、表側からの観察における複数種の銀色ではない光沢表現と、裏側からの観察における複数種の銀色ではない光沢表現とが、微細凹凸構造含有部、反射層、マスク層、および裏面着色部の位置ズレによる反射層のみの銀色の光沢表現及び微細凹凸構造の半透明な赤色、青色、黄色または緑色、もしくは裏面着色部の桃色、シアン、茶色、またはマゼンタの金属光沢を持たない表現と混在することなく、無色かつ透明な領域に離間されて視認される光学情報媒体(本発明の第二の態様)、それを有するラベル3(本発明の第五の態様)、およびラベル本体3’を有する印刷物100(本発明の第七の態様)を得ることができた。また、実施例13の反射層44a〜dはアルミニウム金属で形成されているため、従来技術の銀色の光沢表現を提供する反射層と同等の物理強度および耐薬品性を有した。
[実施例14][図30Aおよび図30B]
まず、実施例3の(3−1)〜(3−2)と同様にして、製造中間体14−1、次いで、製造中間体14−2を得た。但し、実施例3の(3−1)〜(3−2)中の「実施例1」は「実施例12」に、「製造中間体3−1」は「製造中間体意14−1」に、「製造中間体3−2」は「製造中間体14−2」にそれぞれ読み替える。
続いて、製造中間体14−2について、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂および桃色色素を含む組成物を、所定の位置のみに付着させ、裏面着色材料層a−Piおよびb−Piを形成した。
前述と同様の手順により、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂およびシアン色素を含む組成物を、所定の位置のみに付着させ、裏面着色材料層a−Cy、b−Cy、およびd−Cyを形成した。また、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂および茶色色素を含む組成物を、所定の位置のみに付着させ、裏面着色材料層a−Br、c−Br、およびd−Brを形成した。さらに、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂およびマゼンタ色素を含む組成物を、所定の位置のみに付着させ、裏面着色材料層a−M、c−M、およびd−Mを形成した。引き続いて、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂を含むが、色素を含まない組成物を、所定の位置のみに付着させて、無色の裏面着色材料層c−Clを形成した。
続いて、実施例12と同様の手順により、二酸化珪素層をマスクとしてアルミニウム層を水酸化ナトリウム溶液に浸漬してエッチングした。この時、相対的に薄く形成された二酸化珪素層及びアルミニウム層が選択的に先に除去され、パターン状の反射層44a〜dとパターン状のマスク層46a〜dを形成した。この時、選択的に先に除去された二酸化珪素材料及びアルミニウム材料の上に存在する裏面着色材料層も同時に除去され、パターン状の裏面着色部48a〜dを形成した。そして、実施例12と同様の手順により、洗浄、乾燥、および接着層50の形成を行い、転写箔2を形成した。
第1の画像部40aは、2つの異なる色の領域を有する微細凹凸構造含有部42a−Rおよび42a−Gと、微細凹凸構造含有部42a−Rおよび42a−G上にのみ存在するアルミニウム反射層44aと、微細凹凸構造含有部42a−Rおよび42a−G上にのみ存在するマスク層46aと、微細凹凸構造含有部42a−Rおよび42a−G上にのみ存在し、4つの異なる色の領域を有する裏面着色部48a−Pi、48a−Cy、48a−Br、および48a−Mとを有した。
第2の画像部40bは、3つの異なる色の領域を有する微細凹凸構造含有部42b−R、42b−Blおよび42b−Yと、微細凹凸構造含有部42b−R、42b−Blおよび42b−Y上にのみ存在するアルミニウム反射層44bと、微細凹凸構造含有部42b−R、42b−Blおよび42b−Y上にのみ存在するマスク層46bと、微細凹凸構造含有部42b−R、42b−Blおよび42b−Y上にのみ存在し、2つの異なる色を有する4つの領域を有する裏面着色部48b−Piおよび48b−Cyとを有した。
第3の画像部40cは、2つの異なる色を有する3つの領域および無色の1つの領域を有する微細凹凸構造含有部42c−Bl、42c−Yおよび42c−Clと、微細凹凸構造含有部42c−Bl、42c−Yおよび42c−Cl上にのみ存在するアルミニウム反射層44cと、微細凹凸構造含有部42c−Bl、42c−Yおよび42c−Cl上にのみ存在するマスク層46cと、微細凹凸構造含有部42c−Bl、42c−Yおよび42c−Cl上にのみ存在し、2つの異なる色を有する3つの領域および無色の1つの領域を有する裏面着色部48c−Br、48c−Mおよび48c−Clと、を有した。
第4の画像部40dは、3つの異なる色を有する5つの領域を有する微細凹凸構造含有部42d−R、42d−Blおよび42d−Gと、微細凹凸構造含有部42d−R、42d−Blおよび42d−G上にのみ存在するアルミニウム反射層44dと、微細凹凸構造含有部42d−R、42d−Blおよび42d−G上にのみ存在するマスク層46dと、微細凹凸構造含有部42d−R、42d−Blおよび42d−G上にのみ存在し、3つの異なる色を有する4つの領域を有する裏面着色部48d−Cy、48d−Brおよび48d−Mと、を有した。また、画像部40a〜dの間隙には、無色の接着層50のみが存在した。
実施例12と同様の手順により、得られた転写箔2を、印刷部130を有する透明なポリプロピレン受容基材110に熱圧着させ、キャリア基材20を剥離除去し、図30Aおよび図30Bに示す印刷物100を得た。印刷物100において、図30Aに示す表側表面に、パッチ形状を有する本発明の第二の態様の光学情報媒体1が転写されている。
図30Aに示すように、印刷物100を表側から観察した場合、相互に離間された4つの画像部40a〜dが視認された。4つの画像部40a〜dは、アルミニウム金属からなる反射層44a〜dと複数の色に着色された微細凹凸構造含有部42a〜dとに起因する複数色の光沢表現を有し、反射層44a〜dと複数の色に着色された微細凹凸構造含有部42a−R、42a−G、42b−R、42b−Bl、42b−Y、42c−Bl、42c−Cl、42c−Y、42d−Bl、42d−Rおよび42d−Gとがズレなく位置合せされ、4つの画像部40a〜d以外の領域は、無色かつ透明な領域として観察された。なお、第3の画像部40cにおいて、無色の微細凹凸構造含有部42c−Clが設けられた領域は銀色の光沢表現を有した。こうして、従来型の銀色の光沢表現と、他の色の光沢表現とを有する画像を提供することが可能である。
一方、図30Bに示すように、印刷物100を裏側から観察した場合、透明な受容基材110を通して、相互に離間された4つの画像部40a〜dが視認された。4つの画像部40a〜dのそれぞれは、アルミニウム金属からなる反射層44a〜dと複数の色に着色された裏面着色部48a〜dとに起因する複数色の光沢表現を有し、反射層44a〜dと複数の色に着色された裏面着色部48a〜dとがズレなく位置合せされ、4つの画像部40a〜d以外の領域は、無色かつ透明な領域として観察された。表側からの観察と同様に、第3の画像部40cにおいて、無色の裏面着色部48c−Clが設けられた領域は銀色の光沢表現を有した。こうして、裏面からの観察においても、従来型の銀色の光沢表現と、他の色の光沢表現とを有する画像を提供することが可能である。
以上のように、単一色に着色された微細構造を有する単一層を用いることなく、表側からの観察における銀色を含む多色の光沢表現と、裏側からの観察における複数種の銀色ではない光沢表現とが、微細凹凸構造含有部、反射層、マスク層、および裏面着色部の位置ズレによる反射層のみの銀色の光沢表現及び微細凹凸構造の半透明な赤色、青色、黄色及び緑色、もしくは裏面着色部の桃色、シアン、茶色、またはマゼンタの金属光沢を持たない表現と混在することなく、無色かつ透明な領域に離間されて視認される光学情報媒体1(本発明の第二の態様)、それを有する転写箔2(本発明の第四の態様)および印刷物100(本発明の第七の態様)を得ることができた。また、実施例14の反射層44a〜dはアルミニウム金属で形成されているため、従来技術の銀色の光沢表現を提供する反射層と同等の物理強度および耐薬品性を有した。
[実施例15][図31Aおよび図31B]
まず、実施例4の(4−1)〜(4−2)と同様にして、製造中間体15−1、次いで、製造中間体15−2を得た。但し、実施例4の(4−1)〜(4−2)中の「実施例2」は「実施例13」に、「実施例3」は「実施例14」に、「製造中間体4−1」は「製造中間体意15−1」に、「製造中間体4−2」は「製造中間体15−2」にそれぞれ読み替える。
次に、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂および桃色色素を含む組成物を、所定の位置のみに付着させて、裏面着色材料層a−Piを形成した。前述と同様の手順により、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂およびシアン色素を含む組成物を、所定の位置のみに付着させて、裏面着色材料層a−Cyおよび48c−Cyを形成した。また、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂および茶色色素を含む組成物を、所定の位置のみに付着させて、裏面着色材料層b−Br、48c−Br、および48d−Brを形成した。さらに、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂およびマゼンタ色素を含む組成物を、所定の位置のみに付着させて、裏面着色材料層c−Mおよび48d−Mを形成した。引き続いて、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂を含むが、色素を含まない組成物を、所定の位置のみに付着させて、無色の裏面着色材料層a−Cl、48b−Cl、および48d−Clを形成した。
続いて、実施例13と同様の手順により、二酸化珪素層をマスクとしてアルミニウム層を水酸化ナトリウム溶液に浸漬してエッチングした。この時、相対的に薄く形成された二酸化珪素層及びアルミニウム層が選択的に先に除去され、パターン状の反射層44a〜dとパターン状のマスク層46a〜dを形成した。この時、選択的に先に除去された二酸化珪素材料及びアルミニウム材料の上に存在する裏面着色材料層も同時に除去され、パターン状の裏面着色部48a〜dを形成した。そして、実施例13と同様の手順により、洗浄、乾燥、および接着層50の形成、および脱離基材60の貼付を行い、ラベル3を形成した。
第1の画像部40aは、2つの異なる色の領域を有する微細凹凸構造含有部42a−Rおよび42a−Gと、微細凹凸構造含有部42a−Rおよび42a−G上にのみ存在するアルミニウム反射層44aと、微細凹凸構造含有部42a−Rおよび42a−G上にのみ存在するマスク層46aと、微細凹凸構造含有部42a−Rおよび42a−G上にのみ存在し、2つの異なる色の領域および1つの無色の領域を有する裏面着色部48a−Pi、48a−Cy、および48a−Clとを有した。
第2の画像部40bは、3つの異なる色の領域を有する微細凹凸構造含有部42b−R、42b−Blおよび42b−Yと、微細凹凸構造含有部42b−R、42b−Blおよび42b−Y上にのみ存在するアルミニウム反射層44bと、微細凹凸構造含有部42b−R、42b−Blおよび42b−Y上にのみ存在するマスク層46bと、微細凹凸構造含有部42b−R、42b−Blおよび42b−Y上にのみ存在し、1つの色を有する1つの領域および無色の3つの領域を有する裏面着色部48b−Brおよび48b−Clとを有した。
第3の画像部40cは、2つの異なる色を有する3つの領域および無色の1つの領域を有する微細凹凸構造含有部42c−R、42c−Blおよび42c−Clと、微細凹凸構造含有部42c−R、42c−Blおよび42c−Cl上にのみ存在するアルミニウム反射層44cと、微細凹凸構造含有部42c−R、42c−Blおよび42c−Cl上にのみ存在するマスク層46cと、微細凹凸構造含有部42c−R、42c−Blおよび42c−Cl上にのみ存在し、3つの異なる色を有する5つの領域を有する裏面着色部48c−Cy、48c−Brおよび48c−Mと、を有した。
第4の画像部40dは、1つの色を有する1つの領域および無色の4つの領域を有する微細凹凸構造含有部42d−Gおよび42d−Clと、微細凹凸構造含有部42d−Gおよび42d−Cl上にのみ存在するアルミニウム反射層44dと、微細凹凸構造含有部42d−Gおよび42d−Cl上にのみ存在するマスク層46dと、微細凹凸構造含有部42d−Gおよび42d−Cl上にのみ存在し、2つの異なる色を有する3つの領域および無色の1つの領域を有する裏面着色部48d−Br、48d−Mおよび48d−Clとを有した。また、画像部40a〜dの間隙には、無色の接着層50のみが存在した。
得られたラベル3の脱離基材60を剥離除去し、印刷部130を有する透明なPET受容基材110に貼付して、図31Aおよび図31Bに示す印刷物100を得た。印刷物100において、図31Aに示す表側表面に、パッチ形状を有するラベル本体3’が貼付されている。
図31Aに示すように、印刷物(100)を表側から観察した場合、相互に離間された4つの画像部(40a〜d)が視認された。4つの画像部(40a〜d)のそれぞれは、アルミニウム金属からなる反射層(44a〜d)と複数の色に着色された微細凹凸構造含有部(42a〜d)とに起因する複数色の光沢表現を有し、反射層(44a〜d)と複数の色に着色された微細凹凸構造含有部(42a−R、42a−G、42b−R、42b−Bl、42b−Y、42c−R、42c−Bl、42c−Cl、42d−Gおよび42d−Cl)とがズレなく位置合せされ、4つの画像部(40a〜d)以外の領域は、無色かつ透明な領域として観察された。なお、第1の画像部(40a)において、赤色の微細凹凸構造含有部(42a−R)からなる周縁区域と、緑色の微細凹凸構造含有部(42a−G)からなる内部区域とに起因する2色の光沢表現を有した。また、第3の画像部(40c)において、無色の微細凹凸構造含有部(42c−Cl)からなり、銀色の光沢表現を提供する周縁区域と、赤色および青色の微細凹凸構造含有部(42c−Rおよび42c−Bl)からなり、銀色ではない光沢表現を提供する内部区域と有した。こうして、1つの色を呈する周縁区域の中に、1つまたは複数の色を呈する内部区域を有する画像を提供することができる。
一方、図31Bに示すように、印刷物(100)を裏側から観察した場合、透明な受容基材(110)を通して、相互に離間された4つの画像部(40a〜d)が視認された。4つの画像部(40a〜d)のそれぞれは、アルミニウム金属からなる反射層(44a〜d)と複数の色に着色された裏面着色部(48a〜d)とに起因する複数色の光沢表現を有し、反射層(44a〜d)と複数の色に着色された裏面着色部(48a〜d)とがズレなく位置合せされ、4つの画像部(40a〜d)以外の領域は、無色かつ透明な領域として観察された。表側からの観察と同様に、第1の画像部(40a)において、桃色の裏面着色部(48a−Pi)からなる周縁区域と、シアンおよび無色の裏面着色部(48a−Cyおよび48a−Cl)からなる内部区域とに起因する2色の光沢表現を有した。また、第4の画像部(40d)において、無色の裏面着色部(48d−Cl)からなり、銀色の光沢表現を提供する周縁区域と、茶色およびマゼンタの裏面着色部(48d−Brおよび48d−M)からなり、銀色ではない光沢表現を提供する内部区域とを有した。こうして、裏面からの観察においても、従来型の銀色の光沢表現と、他の色の光沢表現とを有する画像を提供することが可能である。
[実施例16][図32Aおよび図32B]
まず、実施例5の(5−1)〜(5−2)と同様にして、製造中間体16−1、次いで、製造中間体16−2を得た。但し、実施例5の(5−1)〜(5−2)中の「実施例2」は「実施例13」に、「製造中間体5−1」は「製造中間体意16−1」に、「製造中間体5−2」は「製造中間体16−2」にそれぞれ読み替える。
続いて、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂および赤褐色色素を含む組成物を、微細凹凸構造部含有部42a〜dに対応する位置に、微細凹凸構造含有部42a〜dの領域を覆うように付着させ、裏面着色材料層a〜d−RBを形成した。
続いて、実施例13と同様の手順により、二酸化珪素層をマスクとしてアルミニウム層を水酸化ナトリウム溶液に浸漬してエッチングした。この時、相対的に薄く形成された二酸化珪素層及びアルミニウム層が選択的に先に除去され、パターン状の反射層44a〜dとパターン状のマスク層46a〜dを形成した。この時、選択的に先に除去された二酸化珪素材料及びアルミニウム材料の上に存在する裏面着色材料層も同時に除去され、パターン状の裏面着色部48a〜dを形成した。そして、実施例13と同様の手順により、洗浄および乾燥を行った。
乾燥後の製造中間体の画像部40a〜d側の表面全体に、アクリル系樹脂および青色色素を含む組成物を付着させ、青色の接着層50−Bを形成した。次いで、製造中間体のキャリア基材20側の表面全体に、アクリル系樹脂を含むが、色素を含まない組成物を付着させ、無色のキャリア基材側接着層70を形成し、抄紙用スレッド4を形成した。
得られた抄紙用スレッド4をコットン分散物中に抄き込み、コットン受容基材110中に抄紙用スレッド4を含む積層体を製造した。なお、コットン受容基材110の表側表面が、抄紙用スレッド4の画像部40a〜dに相当する位置に、画像部40a〜dが露出する受容基材窓部120を有した。積層体(コットン受容基材110)の表側および裏側の表面に印刷を施して印刷部130を形成し、印刷物100を得た。
図32Aに示すように、印刷物100を表側から観察した場合、相互に離間された4つの画像部40a〜dが視認された。2つの画像部40aおよび40cは、アルミニウム金属からなる反射層44aおよび44cと、赤色微細凹凸構造含有部42a−Rおよび42c−Rとに起因する銀色ではない光沢表現を有した。一方、2つの画像部40bおよび40dは、アルミニウム金属からなる反射層44bおよび44dと、黄色微細凹凸構造含有部42b−Yおよび42d−Yとに起因する銀色ではない光沢表現を有した。反射層44a〜dと、2つの異なる色を有する4つの領域を有する微細凹凸構造含有部42a−R、42b−Y、42c−R、42d−Yとはズレなく位置合せされ、4つの画像部40a〜d以外の領域は、青色の接着層50−Bに起因する、光沢のない青色領域として観察された。光沢の不存在は、画像部40a〜d以外の領域に反射層44a〜dが存在しないことに起因する。
一方、図32Bに示すように、印刷物100を裏側から観察した場合、コットン受容基材110の不透明性のため、4つの画像部40a〜dを視認できなかった。なお、印刷物100の表側に強い光源を配置した状態で、印刷物100を裏側から観察した場合、コットン受容基材110を透過する光によって、青色の接着層50−Bに起因する光沢のない青色領域の中に、4つの画像部40a〜dに相当する位置の黒色領域を視認できる。画像部40a〜dにおいては、反射層44a〜dにより、透過光が遮断されるためである。
[実施例17][図33、図34Aおよび図34B]
まず、実施例6の(6−1)〜(6−2)と同様にして、製造中間体17−1、次いで、製造中間体17−2を得た。但し、実施例6の(6−1)〜(6−2)中の「実施例1」は「実施例12」に、「製造中間体6−1」は「製造中間体意17−1」に、「製造中間体6−2」は「製造中間体17−2」にそれぞれ読み替える。
続いて、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂および赤褐色色素を含む組成物を、微細凹凸構造部含有部42a〜cに対応する位置に、微細凹凸構造含有部42a〜cの領域を覆うように付着させ、裏面着色材料層a〜c−RBを形成した。
続いて、実施例12と同様の手順により、二酸化珪素層をマスクとしてアルミニウム層を水酸化ナトリウム溶液に浸漬してエッチングした。この時、相対的に薄く形成された二酸化珪素層及びアルミニウム層が選択的に先に除去され、パターン状の反射層44a〜cとパターン状のマスク層46a〜cを形成した。この時、選択的に先に除去された二酸化珪素材料及びアルミニウム材料の上に存在する裏面着色材料層も同時に除去され、パターン状の裏面着色部48a〜cを形成した。そして、実施例1と同様の手順により、洗浄、乾燥、および接着層50の形成を行い、図33に示す転写箔2を形成した。
第1の画像部40aは、表面に回折格子構造を有する橙色の微細凹凸構造含有部42a−Orと、微細凹凸構造含有部42a−Or上にのみ存在するアルミニウム反射層44aと、微細凹凸構造含有部42a−Or上にのみ存在するマスク層46aと、微細凹凸構造含有部42a−Or上にのみ存在する裏面着色部48aとを有した。
第2の画像部40bは、表面に無指向性散乱構造を有する無色の微細凹凸構造含有部42b−Clと、微細凹凸構造含有部42b−Cl上にのみ存在するアルミニウム反射層44bと、微細凹凸構造含有部42b−C上にのみ存在するマスク層46bと、微細凹凸構造含有部42b−Cl上にのみ存在する裏面着色部48bとを有した。
第3の画像部40cは、表面に指向性散乱構造を有する赤褐色の微細凹凸構造含有部42c−RBと、微細凹凸構造含有部42c−RB上にのみ存在するアルミニウム反射層44cと、微細凹凸構造含有部42c−RB上にのみ存在するマスク層46cと、微細凹凸構造含有部42c−RB上にのみ存在する裏面着色部48cとを有した。また、画像部40a〜cの間隙には、無色の接着層50のみが存在した。
実施例12と同様の手順により、得られた転写箔2を、印刷部130を有する不透明なコットン受容基材110に熱圧着させ、第一のキャリア基材20を剥離除去し、図34Aおよび図34Bに示す印刷物100を得た。印刷物100において、図34Aに示す表側表面に、ストライプ形状を有する本発明の第二の態様の光学情報媒体1が転写されている。
図34Aに示すように、印刷物100を表側から観察した場合、相互に離間された3つの画像部40a〜cが視認された。第1の画像部40aは、全体として金色の光沢表現を有すると共に、観察角を変化させることにより、観察される色相が変化した。この効果は、橙色の微細凹凸構造含有部42a−Orの表面の回折格子構造に起因する。第2の画像部40bは、全体として銀色の光沢表現を有し、観察角を変化させても、反射光の強度および色相は変化しなかった。この効果は、無色の微細凹凸構造含有部42b−Clの表面の無指向性散乱構造に起因する。第3の画像部40cは、全体として銅色の光沢表現を有し、観察角を変化させた際に、特定の観察角における反射光の強度の増大が観察された。この効果は、赤褐色の微細凹凸構造含有部42c−RBの表面の指向性散乱構造に起因する。さらに、第1から第3の画像部40a〜cは、それぞれ異なる面積を有した。
また、第1の画像部40aおよび第3の画像部40cにおいて、着色された微細凹凸構造含有部42aおよび42c、アルミニウム金属からなる反射層44aおよび44c、マスク層46aおよび46c、および裏面着色部48aおよび48cはズレなく位置合せされ、微細凹凸構造とマスク層の位置ズレによる反射層のみの銀色の光沢表現及び微細凹凸構造含有部の半透明な金属光沢を持たない着色表現が混在することはなかった。
一方、図34Bに示すように、印刷物100を裏側から観察した場合、コットン受容基材110の不透明性のため、3つの画像部40a〜cを視認できなかった。なお、印刷物100の表側に強い光源を配置した状態で、印刷物100を裏側から観察した場合、コットン受容基材110を透過する光によって、3つの画像部40a〜cに相当する位置の黒色領域を視認できる。画像部40a〜cにおいては、反射層44a〜cにより、透過光が遮断されるためである。この条件で観察できる3つの黒色領域もまた、それぞれ異なる面積を有した。
[実施例18][図35Aおよび図35B]
離間されていない単一の画像部40を形成したことを除いて、実施例12の手順を繰り返して、本発明の第二の態様の転写箔2を得た。得られた転写箔2の画像部40は、ウレタン系樹脂および橙色色素を含む微細凹凸構造含有部42−Or、微細凹凸構造含有部42−Or上にのみ存在するアルミニウムからなる反射層44、微細凹凸構造含有部42−Or上にのみ存在するマスク層46、および微細凹凸構造含有部42−Or上にのみ存在する塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂および赤褐色色素を含む裏面着色部48−RBをこの順に含んだ。
ホットスタンプを備えるアップダウン型熱転写装置を用いて、得られた転写箔2を、印刷部130を有する透明なポリプロピレン受容基材110に熱圧着させ、第一のキャリア基材20を剥離除去し、図35Aおよび図35Bに示す印刷物100を得た。印刷物100において、図35Aに示す表側表面に、ストライプ形状を有する本発明の第二の態様の光学情報媒体1が転写されている。
図35Aに示すように、印刷物100を表側から観察した場合、離間されていない単一の画像部40が視認された。単一の画像部40は、アルミニウム金属からなる反射層44と橙色を有する微細凹凸構造含有部42−Orとに起因する金色の光沢表現を有し、反射層44と橙色を有する微細凹凸構造含有部42−Orとがズレなく位置合せされ、画像部40以外の領域は、無色かつ透明な領域として観察された。
一方、図35Bに示すように、印刷物100を裏側から観察した場合、透明な受容基材110を通して、離間されていない単一の画像部40が視認された。単一の画像部40は、アルミニウム金属からなる反射層44と赤褐色を有する裏面着色部48−RBとに起因する銅色の光沢表現を有し、反射層44と赤褐色を有する裏面着色部48−RBとがズレなく位置合せされ、画像部40以外の領域は、無色かつ透明な領域として観察された。
以上のように、橙色に着色された微細構造を有する単一層を用いることなく、表側からの観察における金色の光沢表現と、裏側からの観察における銅色の光沢表現とが、無色かつ透明な領域に内包されて視認される本発明の第二の態様の光学情報媒体1、それを有する転写箔2及び印刷物100を得ることができた。また、実施例18の反射層44はアルミニウム金属で形成されているため、従来技術の銀色の光沢表現を提供する反射層と同等の物理強度および耐薬品性を有した。
[実施例19][図36Aおよび図36B]
まず、実施例8の(8−1)〜(8−2)と同様にして、製造中間体19−1、次いで、製造中間体19−2を得た。但し、実施例8の(8−1)〜(8−2)中の「実施例1」は「実施例12」に、「製造中間体8−1」は「製造中間体意19−1」に、「製造中間体8−2」は「製造中間体19−2」にそれぞれ読み替える。
続いて、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂および桃色色素を含む組成物を、所定の位置のみに付着させて、裏面着色材料層−Piを形成した。
前述と同様の手順により、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂およびシアン色素を含む組成物を、所定の位置のみに付着させて、裏面着色材料層−Cyを形成した。引き続いて、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂を含むが、色素を含まない組成物を、所定の位置のみに付着させて、裏面着色材料層−Clを形成した。各色の裏面着色材料層−Pi、裏面着色材料層−Cy、および裏面着色材料層−Clは、離間されていない単一の裏面着色材料層を形成した。裏面着色材料層は、微細凹凸構造含有部42の上方に位置し、かつ微細凹凸構造含有部42と同一の形状を有した。
続いて、実施例12と同様の手順により、二酸化珪素層をマスクとしてアルミニウム層を水酸化ナトリウム溶液に浸漬してエッチングした。この時、相対的に薄く形成された二酸化珪素層及びアルミニウム層が選択的に先に除去され、パターン状の反射層44とパターン状のマスク層46を形成した。この時、選択的に先に除去された二酸化珪素材料及びアルミニウム材料の上に存在する裏面着色材料層も同時に除去され、パターン状の裏面着色部48を形成した。上記のようにして得られた微細凹凸構造含有部42、反射層44、マスク層46、および裏面着色部48は、離間されていない単一の画像部40を形成した。そして、実施例12と同様の手順により、洗浄、乾燥、および接着層50の形成を行い、本発明の第二の態様由来の転写箔2を形成した。
画像部40は、2つの異なる色の領域および1つの無色の領域を有する微細凹凸構造含有部42−R、42−Blおよび42−Clと、微細凹凸構造含有部42−R、42−Blおよび42−Cl上にのみ存在するアルミニウム反射層44と、微細凹凸構造含有部42−R、42−Blおよび42−Cl上にのみ存在するマスク層46と、微細凹凸構造含有部42−R、42−Blおよび42−Cl上にのみ存在する裏面着色部48−Pi、48−Cy、および48−Clを有した。また、画像部40以外の領域には、無色の接着層50のみが存在した。
実施例12と同様の手順により、得られた転写箔2を、印刷部130を有する透明なポリプロピレン受容基材110に熱圧着させ、キャリア基材20を剥離除去し、図36Aおよび図36Bに示す印刷物100を得た。印刷物100において、図36Aに示す表側表面に、パッチ形状を有する本発明の第二の態様の光学情報媒体1が転写されている。
図36Aに示すように、印刷物100を表側から観察した場合、離間していない1つの画像部40が視認された。画像部40は、アルミニウム金属からなる反射層44と複数の色に着色された微細凹凸構造含有部42とに起因する複数色の光沢表現、および無色の微細凹凸構造含有部42c−Clが設けられた領域は銀色の光沢表現を有し、反射層44と複数の色を有する微細凹凸構造含有部42とがズレなく位置合せされ、画像部40以外の領域は、無色かつ透明な領域として観察された。こうして、従来型の銀色の光沢表現と、他の色の光沢表現とを有する画像を提供することが可能である。
一方、図36Bに示すように、印刷物100を裏側から観察した場合、透明な受容基材110を通して、離間していない1つの画像部40が視認された。画像部40は、アルミニウム金属からなる反射層44と複数の色に着色された裏面着色部48とに起因する複数色の光沢表現、および無色のマスク層48−Clが設けられた領域は銀色の光沢表現を有し、反射層44と複数の色を有する裏面着色部48とがズレなく位置合せされ、画像部40以外の領域は、無色かつ透明な領域として観察された。こうして、裏面からの観察においても、従来型の銀色の光沢表現と、他の色の光沢表現とを有する画像を提供することが可能である。
以上のように、単一色に着色された微細構造を有する単一層を用いることなく、表側からの観察における銀色を含む多色の光沢表現と、裏側からの観察における銀色を含む多色の光沢表現とが、無色かつ透明な領域に内包されて視認される本発明の第二の態様の光学情報媒体1、それを有する転写箔2及び印刷物100を得ることができた。また、実施例19の反射層44はアルミニウム金属で形成されているため、従来技術の銀色の光沢表現を提供する反射層と同等の物理強度および耐薬品性を有した。
[実施例20][図37Aおよび図37B]
まず、実施例9の(9−1)〜(9−2)と同様にして、製造中間体20−1、次いで、製造中間体20−2を得た。但し、実施例9の(9−1)〜(9−2)中の「実施例2」は「実施例13」に、「実施例3」は「実施例14」に、「製造中間体9−1」は「製造中間体意20−1」に、「製造中間体9−2」は「製造中間体20−2」にそれぞれ読み替える。
次に塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂および桃色色素を含む組成物を、所定の位置のみに付着させて、裏面着色材料層−Piを形成した。前述と同様の手順により、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂およびシアン色素を含む組成物を、所定の位置のみに付着させて、裏面着色材料層−Cyを形成した。さらに、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂を含むが、色素を含まない組成物を、所定の位置のみに付着させて、無色の裏面着色材料層−Clを形成した。各色の裏面着色材料層−Pi、裏面着色材料層−Cy、および裏面着色材料層−Clは、離間されていない単一の裏面着色材料層を形成した。裏面着色材料層は、微細凹凸構造含有部42の上方に位置し、かつ微細凹凸構造含有部42と同一の形状を有した。
続いて、実施例13と同様の手順により、二酸化珪素層をマスクとしてアルミニウム層を水酸化ナトリウム溶液に浸漬してエッチングした。この時、相対的に薄く形成された二酸化珪素層及びアルミニウム層が選択的に先に除去され、パターン状の反射層44とパターン状のマスク層46を形成した。この時、選択的に先に除去された二酸化珪素材料及びアルミニウム材料の上に存在する裏面着色材料層も同時に除去され、パターン状の裏面着色部48を形成した。上記のようにして得られた微細凹凸構造含有部42、微細凹凸構造含有部42上にのみ存在するアルミニウム反射層44、微細凹凸構造含有部42上にのみ存在するマスク層46、および微細凹凸構造含有部42上にのみ存在する裏面着色部48は、離間されていない単一の画像部40を形成した。そして、実施例13と同様の手順により、洗浄、乾燥、および接着層50の形成、および脱離基材60の貼付を行い、本発明の第二の態様由来のラベル3を形成した。
画像部40は、2つの異なる色の領域および1つの無色の領域を有する微細凹凸構造含有部42−Y、42−Blおよび42−Clと、微細凹凸構造含有部42−Y、42−Blおよび42−Cl上にのみ存在するアルミニウム反射層44と、微細凹凸構造含有部42−Y、42−Blおよび42−Cl上にのみ存在するマスク層46と、微細凹凸構造含有部42−Y、42−Blおよび42−Cl上にのみ存在し、2つの異なる色の領域および1つの無色の領域を有する裏面着色部48−Pi、48−Cy、および48−Clとを有した。また、画像部40以外の領域には、無色の接着層50のみが存在した。
得られたラベル3の脱離基材60を剥離除去し、印刷部130を有する透明なPET受容基材110に貼付して、図37Aおよび図37Bに示す印刷物100を得た。印刷物100において、図37Aに示す表側表面に、パッチ形状を有するラベル本体3’が貼付されている。
図37Aに示すように、印刷物100を表側から観察した場合、離間していない1つの画像部40が視認された。画像部40は、アルミニウム金属からなる反射層44と複数の色に着色された微細凹凸構造含有部42とに起因する複数色の光沢表現、および無色の微細凹凸構造含有部42−Clが設けられた領域は銀色の光沢表現を有し、反射層44と複数の色を有する微細凹凸構造含有部42とがズレなく位置合せされ、画像部40以外の領域は、無色かつ透明な領域として観察された。こうして、1つの色を呈する周縁区域の中に、1つまたは複数の色を呈する内部区域を有する画像を提供することができる。
[実施例21][図38Aおよび図38B]
まず、実施例10の(10−1)〜(10−2)と同様にして、製造中間体21−1、次いで、製造中間体21−2を得た。但し、実施例10の(10−1)〜(10−2)中の「実施例2」は「実施例13」に、「製造中間体10−1」は「製造中間体意21−1」に、「製造中間体10−2」は「製造中間体21−2」にそれぞれ読み替える。
続いて、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂および赤褐色色素を含む組成物を、微細凹凸構造部含有部42に対応する位置に、微細凹凸構造含有部42の領域を覆うように付着させ、裏面着色材料層−RBを形成した。
続いて、実施例13と同様の手順により、二酸化珪素層をマスクとしてアルミニウム層を水酸化ナトリウム溶液に浸漬してエッチングした。この時、相対的に薄く形成された二酸化珪素層及びアルミニウム層が選択的に先に除去され、パターン状の反射層44とパターン状のマスク層46を形成した。この時、選択的に先に除去された二酸化珪素材料及びアルミニウム材料の上に存在する裏面着色材料層も同時に除去され、パターン状の裏面着色部48を形成した。上記のようにして得られた微細凹凸構造含有部42、微細凹凸構造含有部42上にのみ存在するアルミニウム反射層44、微細凹凸構造含有部42上にのみ存在するマスク層46、および微細凹凸構造含有部42上にのみ存在する裏面着色部48は、離間されていない単一の画像部40を形成した。そして、実施例13と同様の手順により、洗浄および乾燥を行った。
乾燥後の製造中間体の画像部40側の表面全体に、アクリル系樹脂および青色色素を含む組成物を付着させ、青色の接着層50−Bを形成した。次いで、製造中間体のキャリア基材20側の表面全体に、アクリル系樹脂を含むが、色素を含まない組成物を付着させ、無色のキャリア基材側接着層70を形成し、抄紙用スレッド4を形成した。
得られた抄紙用スレッド4をコットン分散物中に抄き込み、コットン受容基材110中に抄紙用スレッド4を含む積層体を製造した。なお、コットン受容基材110の表側表面が、抄紙用スレッド4の画像部40の一部が露出する受容基材窓部120a〜cを有した。積層体(コットン受容基材110)の表側および裏側の表面に印刷を施して印刷部130を形成し、印刷物100を得た。
図38Aに示すように、印刷物100を表側から観察した場合、受容基材窓部120を通して、離間していない1つの画像部40が視認された。第1および第2の受容基材窓部120a、bにおいては、アルミニウム金属からなる反射層44と、2つの色に着色された微細凹凸構造含有部42−Rおよび42−Yとに起因する銀色ではない光沢表現を有する画像部40が観察された。一方、第3の受容基材窓部120cにおいては、アルミニウム金属からなる反射層44と、赤色に着色された微細凹凸構造含有部42−Rとに起因する銀色ではない光沢表現を有する画像部40が観察された。加えて、全ての受容基材窓部120a〜cにおいて、反射層44と複数の色を有する微細凹凸構造含有部42とがズレなく位置合せされ、画像部40以外の領域は、青色の接着層50−Bに起因する、光沢のない青色領域として観察された。光沢の不存在は、画像部4以外の領域に反射層44が存在しないことに起因する。
一方、図38Bに示すように、印刷物100を裏側から観察した場合、コットン受容基材110の不透明性のため、画像部40を視認できなかった。なお、印刷物100の表側に強い光源を配置した状態で、印刷物100を裏側から観察した場合、コットン受容基材110を透過する光によって、青色の接着層50−Bに起因する光沢のない青色領域の中に、画像部40に相当する位置の黒色領域を視認できる。画像部40においては、反射層44により、透過光が遮断されるためである。
[実施例22][図39Aおよび図39B]
まず、実施例11の(11−1)〜(11−2)と同様にして、製造中間体22−1、次いで、製造中間体22−2を得た。但し、実施例11の(11−1)〜(11−2)中の「実施例1」は「実施例12」に、「製造中間体11−1」は「製造中間体意22−1」に、「製造中間体11−2」は「製造中間体22−2」にそれぞれ読み替える。
続いて、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体系樹脂および赤褐色色素を含む組成物を、微細凹凸構造部含有部42に対応する位置に、微細凹凸構造含有部42の領域を覆うように付着させ、裏面着色材料層−RBを形成した。
続いて、実施例12と同様の手順により、二酸化珪素層をマスクとしてアルミニウム層を水酸化ナトリウム溶液に浸漬してエッチングした。この時、相対的に薄く形成された二酸化珪素層及びアルミニウム層が選択的に先に除去され、パターン状の反射層44とパターン状のマスク層46を形成した。この時、選択的に先に除去された二酸化珪素材料及びアルミニウム材料の上に存在する裏面着色材料層も同時に除去され、パターン状の裏面着色部48を形成した。上記のようにして得られた微細凹凸構造含有部42、微細凹凸構造含有部42上にのみ存在するアルミニウム反射層44、および微細凹凸構造含有部42上にのみ存在するマスク層46、および微細凹凸構造含有部42上にのみ存在する裏面着色部48は、離間されていない単一の画像部40を形成した。そして、実施例12と同様の手順により、洗浄、乾燥、および接着層50の形成を行い、図33に示す転写箔2を形成した。画像部40は、表面に回折格子構造を有する橙色の微細凹凸構造含有部42−Or、表面に無指向性散乱構造を有する無色の微細凹凸構造含有部42−Cl、および表面に指向性散乱構造を有する赤褐色の微細凹凸構造含有部42−RBを有した。
実施例12と同様の手順により、得られた転写箔2を、印刷部130を有する不透明なコットン受容基材110に熱圧着させ、第一のキャリア基材20を剥離除去し、図39Aおよび図39Bに示す印刷物100を得た。印刷物100において、図39Aに示す表側表面に、ストライプ形状を有する光学情報媒体1が転写されている。
図39Aに示すように、印刷物100を表側から観察した場合、離間していない1つの画像部40が視認された。画像部40の橙色の微細凹凸構造含有部42−Orが設けられた領域は、全体として金色の光沢表現を有すると共に、観察角を変化させることにより、観察される色相が変化した。この効果は、橙色の微細凹凸構造含有部42−Orの表面の回折格子構造に起因する。画像部40の無色の微細凹凸構造含有部42−Clが設けられた領域は、全体として銀色の光沢表現を有し、観察角を変化させても、反射光の強度および色相は変化しなかった。この効果は、無色の微細凹凸構造含有部42−Clの表面の無指向性散乱構造に起因する。画像部40の赤褐色の微細凹凸構造含有部42−RBが設けられた領域は、全体として銅色の光沢表現を有し、観察角を変化させた際に、特定の観察角における反射光の強度の増大が観察された。この効果は、赤褐色の微細凹凸構造含有部42−RBの表面の指向性散乱構造に起因する。さらに、上記の3種の領域は、それぞれ異なる面積を有した。
一方、図39Bに示すように、印刷物100を裏側から観察した場合、コットン受容基材110の不透明性のため、画像部40を視認できなかった。なお、印刷物100の表側に強い光源を配置した状態で、印刷物100を裏側から観察した場合、コットン受容基材110を透過する光によって、画像部40に相当する位置の黒色領域を視認できる。画像部40においては、反射層44により、透過光が遮断されるためである。この条件で観察できる黒色領域もまた、それぞれ異なる面積を有した。