JP6447080B2 - 偽造防止積層体及びその製造方法 - Google Patents

偽造防止積層体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6447080B2
JP6447080B2 JP2014253208A JP2014253208A JP6447080B2 JP 6447080 B2 JP6447080 B2 JP 6447080B2 JP 2014253208 A JP2014253208 A JP 2014253208A JP 2014253208 A JP2014253208 A JP 2014253208A JP 6447080 B2 JP6447080 B2 JP 6447080B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
relief structure
layer
light reflecting
bank
light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014253208A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016114776A (ja
Inventor
聖月 柳本
聖月 柳本
一尋 屋鋪
一尋 屋鋪
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Inc filed Critical Toppan Inc
Priority to JP2014253208A priority Critical patent/JP6447080B2/ja
Publication of JP2016114776A publication Critical patent/JP2016114776A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6447080B2 publication Critical patent/JP6447080B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Credit Cards Or The Like (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、有価証券等の偽造や複写を防止するための表示体に関する。より具体的には、本発明は、肉眼での真偽判定が容易であり、セキュリティ性の高い偽造防止機能を備えた表示体に関する。
有価証券、証明書、ブランド品及び個人認証媒体などの物品は、偽造が困難であることが望まれる。そのため、このような物品に偽造防止効果に優れた表示体を付与する試みがなされている。
このような表示体の多くは、回折格子、ホログラム、レンズアレイなどの微細構造を備え、これらの微細構造を解析するのは困難である。また、これらの微細構造を備えた表示体を製造するためには、電子線(EB)描画装置などの高価な製造設備が必要である。したがって、このような表示体は、高い偽造防止効果を発揮することができる。
さらに、表示体の意匠性を高めると共に、偽造をより一層困難にするために、文字、ロゴ、その他のパターン形状をした金属反射層を付与する技術が知られている。特に高精細なパターン形状とするために、フォトリソグラフィを用いる方法(特許文献1)やレリーフ構造の表面積比の差を用いる方法(特許文献2)等が考案されている。
また、金属反射層等の光反射層のパターンを位置精度良く、かつ安価で生産性が高く設ける方法として、特許文献3等も考案されている。
特許第5068182号公報 特許第5545289号公報 特許第5169093号公報
本願発明では、表示体の意匠性を高めると同時に、偽造をより一層困難にする方向性を更に発展させる観点から、表裏で異なる色を有し、任意のパターン形状をした光反射層を備えた表示体を提供することを課題とする。
(A)本願発明の第一の態様は、
光透過性のレリーフ構造形成層(1)と、
前記レリーフ構造形成層(1)の少なくとも一方の面上に、部分的に設けられたレリーフ構造部(2)と、
前記レリーフ構造部(2)の設けられた側の前記レリーフ構造形成層(1)の面上に、前記レリーフ構造部(2)と重ならないように、かつ少なくとも前記レリーフ構造部を囲うように、部分的に設けられた土手部(3)と、
少なくとも、前記土手部(3)に囲われ前記レリーフ構造部(2)を含む領域であるレリーフ構造囲われ部(4)を覆うように配置され、かつ前記レリーフ構造部(2)の表面形状に沿って形成された光反射層(5)と、
少なくとも、前記レリーフ構造囲われ部(4)内にある前記光反射層(5)を覆うように配置された光透過性の着色樹脂層(6)と、
を具備してなる偽造防止積層体であって、
前記レリーフ構造部(2)は、前記光反射層(5)の前記レリーフ構造部を覆う部分と共に、レリーフ形状を有する光学素子を形成し、
前記光反射層(5)は、前記レリーフ構造形成層(1)及び前記着色樹脂層(6)をそれぞれ透過した光の少なくとも一部をそれぞれ反射し、
前記着色樹脂層(6)側から観察した場合、前記レリーフ構造形成層(1)側から観察した場合とは異なった背景色となるように前記着色樹脂層(6)の色が選択されていることを特徴とする、偽造防止積層体である。
(B)本願発明の第二の態様は、
(a)光透過性のレリーフ構造形成層(1)を準備する工程と、
(b)前記レリーフ構造形成層(1)の少なくとも一方の面上に、部分的に設けられたレリーフ構造部(2)を形成する工程と、
(c)前記レリーフ構造部(2)の設けられた側の前記レリーフ構造形成層(1)の面上に、前記レリーフ構造部(2)と重ならないように、かつ少なくとも前記レリーフ構造部を囲うように、部分的に設けられた土手部(3)を形成する工程と、
(d)少なくとも、前記土手部(3)に囲われ前記レリーフ構造部(2)を含む領域であるレリーフ構造囲われ部(4)を覆うように、かつ前記レリーフ構造部(2)の表面形状に沿って光反射層(5)を形成する工程と、
(e)少なくとも、前記レリーフ構造囲われ部(4)内にある前記光反射層(5)を覆うように、第1の液状インキを用いて光透過性の着色樹脂層(6)を印刷する工程と、
を、工程(a)、工程(b)/(c)、工程(d)及び工程(e)の工程順に含み、
但し、工程(b)と工程(c)とを同時に行ってもよいし、工程(b)の工程(c)のいずれを先に行ってもよく、
前記レリーフ構造部(2)は、前記光反射層(5)の前記レリーフ構造部を覆う部分と共に、レリーフ形状を有する光学素子を形成し、
前記光反射層(5)は、前記レリーフ構造形成層(1)及び前記着色樹脂層(6)を透過したそれぞれの光の少なくとも一部を反射し、
前記着色樹脂層(6)側から観察した場合、前記レリーフ構造形成層(1)側から観察した場合とは異なった背景色となるように前記着色樹脂層の色が選択されている、
ことを特徴とする、偽造防止積層体の製造方法である。
本願発明の表示体は表側の面のみならず裏側の面からも、光の干渉により、観察者の位置によって異なる色鮮やかな構造色を呈すると共に、表側の面と裏側の面とで異なる背景色を有しているため、表裏からの観察が可能であるデバイス、たとえばポリマー紙幣等において、より一層高い偽造防止効果を発揮することができる。
また、レリーフ構造部(2)を囲うように設けられた土手部(3)により、より高精細な裏面の着色が可能となる。
本発明の第一の実施形態の偽造防止積層体の一態様の断面図及び正面図である。 本発明の第二の実施形態の偽造防止積層体の製造方法の一例を示す図である。
(A)本願発明の第一の態様
本願発明の第一の態様である偽造防止積層体は、
(i)光透過性のレリーフ構造形成層(1)と、
(ii)前記レリーフ構造形成層(1)の少なくとも一方の面上に、部分的に設けられたレリーフ構造部(2)と、
(iii)前記レリーフ構造部(2)の設けられた側の前記レリーフ構造形成層(1)の面上に、前記レリーフ構造部(2)と重ならないように、かつ少なくとも前記レリーフ構造部を囲うように、部分的に設けられた土手部(3)と、
(iv)少なくとも、前記土手部(3)に囲われ前記レリーフ構造部(2)を含む領域であるレリーフ構造囲われ部(4)を覆うように配置され、かつ前記レリーフ構造部(2)の表面形状に沿って形成された光反射層(5)と、
(v)少なくとも、前記レリーフ構造囲われ部(4)内にある前記光反射層(5)を覆うように配置された光透過性の着色樹脂層(6)と、
を具備してなる。
図1には、かかる偽造防止積層体の構造の一例を図示している。
(A−1)レリーフ構造形成層(1)
レリーフ構造形成層(1)は、その面上にレリーフ構造部(2)と土手部(3)を形成できるように起伏のある凹凸面を成形可能であり、かつ透明な材料で形成された層である。この条件を満たす限り、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線または電子線硬化性樹脂等の任意の樹脂等を主材料として用いることができる。たとえば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、ウレタンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート等の紫外線または電子線硬化樹脂等を例示できる。
レリーフ構造形成層(1)の作製には、公知の樹脂膜の製造方法を任意に用いることができるが、典型的には、レリーフ構造形成層(1)の材料となる樹脂及び溶媒等を含むインキ組成物を、ポリエチレンテレフタレート等の支持体フィルム上に所定の膜厚に塗布後、焼付け及び乾燥することによって得ることができる。
前記支持体フィルムとして透明フィルムを使用すれば、支持体フィルムを必ずしも剥がすことなく、偽造防止シール用途に用いることができる[後記(A−7−2)参照]。あるいは、支持体フィルムを引き剥がし可能として、偽造防止転写箔用途に用いることもできる[後記(A−7−1)参照]。
レリーフ構造形成層(1)の膜厚については、レリーフ構造部(2)及び土手部(3)を形成するのに十分な膜厚があれば足りるが、光学効果の観点からは0.1μm以上の膜厚であることが好ましく、また製造安定性の観点からは10μm以下の膜厚であることが好ましい。
なお、レリーフ構造形成層(1)は、レリーフ構造部(2)による、レリーフ構造形成層(1)層側からの光学的効果の視認性を損なわない範囲で、任意に着色されていてもよい。
(A−2)レリーフ構造部(2)
(A−2−1)
レリーフ構造部(2)は、レリーフ構造形成層(1)の少なくとも一方の面に形成された起伏のある凹凸の表面形状構造であり、光反射層(5)のレリーフ構造部を覆う部分と共に、レリーフ形状を有する光学素子を形成する。
このレリーフ構造部(2)は、レリーフ構造形成層(1)の少なくとも一方の面の全面にではなく、部分的に設けられる。
レリーフ形状を有する光学素子としては、プリズム、凸レンズ、凹レンズ、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、回折格子、ブレーズ格子、サブ波長格子、偏光子等を挙げることができる。
本発明においては、レリーフ構造部(2)のレリーフ形状の表面形状に沿って光反射層(5)が形成されるため、レリーフ構造形成層(1)側から入射した光の反射は、主にレリーフ構造部(2)側の光反射層(5)の面で行われ、光の干渉により色鮮やかな構造色を呈すると共に、該構造色は、レリーフ構造形成層側からの観察者の位置によって異なる色彩を有する。
また、後記[(A−5−1)]するように、着色樹脂層側から入射した光の反射は、主に着色樹脂(6)側の光反射層(5)の面で行われ、同様に光の干渉により色鮮やかな構造色を呈すると共に、該構造色は、レリーフ構造形成層側からの観察者の位置によって異なる色彩を有する。
(A−2−2)
レリーフ構造部(2)は、好ましくは土手部(3)と共に、レリーフ構造形成層(1)の少なくとも一方の面をプレス法やフォトポリマー法等により成形することで形成できる。
たとえば、レリーフ構造形成層(1)が熱可塑性樹脂を主原料とする場合、プレス法を用いてレリーフ構造部(2)を形成できる。すなわち、レリーフ構造形成層(1)の樹脂を融点以上に加熱溶融した後、成形したいレリーフ形状(好ましくは土手部(3)の形状を含む)のネガパターンを有するレリーフ型を押し当てて形状を転写する。その後、樹脂のガラス転移温度以下に下げて樹脂を固化させ、レリーフ型から離型することで、レリーフ構造部(2)[好ましくは、さらに土手部(3)]を有するレリーフ構造形成層(1)を形成できる。
また、レリーフ構造形成層(1)が紫外線または電子線硬化性樹脂を主原料とする場合、好ましくはフォトポリマー法により形成できる。すなわち、硬化性樹脂をレリーフ型、基板となる平坦な基材との間に流し込み、紫外線または電子線で硬化させた後、得られた硬化膜を基板ごと、レリーフ型から剥離することにより、レリーフ構造部(2)[好ましくは、さらに土手部(3)]を有するレリーフ構造形成層(1)を形成できる。レリーフ構造形成層(1)が熱硬化性樹脂を主原料とする場合も、紫外線または電子線を熱に置き換えれば、同様に形成可能である。
(A−2−3)
なお、前記(A−2−2)でも言及した、レリーフ構造部(2)を形成する際に用いることのできるレリーフ型は典型的には以下のような手順で作製できる。
すなわち、レリーフ構造部(2)及び更に好ましくは土手部(3)の形状に対応する、レリーフ構造及び更に好ましくは土手の描画データを作成し、電子線(EB)レジスト上に作成した描画データを使って、電子線で描画する。
次いで、電子描画された電子線レジストを現像して、所望のレリーフ構造及び更に好ましくは土手を含むレリーフ構造モデルを形成する。
次いで、ニッケルスパッタ等のスパッタリング技術等を用いて、前記レリーフ構造モデルの表面に数μm程度の厚みの導電層を設けた後、電気鋳造によりさらにニッケルメッキ等の電気メッキを施して厚肉めっき(0.1〜1mm程度の厚さ)することにより、モデルの表面形状を忠実に反転した金型(電鋳殻)を作製する。
最後に、EBレジストで作製した上記レリーフ構造モデルは電鋳殻から除去される。
(A−3)土手部(3)、レリーフ構造囲われ部(4)
(A−3−1)
土手部(3)は、レリーフ構造部(2)の設けられた側のレリーフ構造形成層(1)の面上に、レリーフ構造部(2)と重ならないように、かつ少なくともレリーフ構造部(2)を囲うように、設けられた凸状の構造部である。この土手部(3)は、レリーフ構造形成層(1)の面の全面にではなく、部分的に設けられる。
この土手部(3)は、レリーフ構造部(2)を含む領域上に液状インクを用いた印刷により、着色樹脂層(6)を形成する場合、あるいは更に光反射層(5)を液状インクを用いた印刷により形成する場合、該液状インクを溜める堰として働き、液状インクのはみ出しを防止し、高精細印刷を可能にする効果を有する(特許文献3参照)。
レリーフ構造部(2)と重ならないように形成する観点、あるいはレリーフ構造部(2)と土手部(3)との位置合わせを不要にする観点からは、レリーフ構造部(2)と同時に、前記(A−2−2)で説明した方法で、土手部(3)を形成するのが好ましい。
成形容易性・破損防止の観点からは、土手部の形状は、上方、すなわちレリーフ構造形成層(1)の面から離れる方向に幅が狭くなるように土手部側面を傾斜させた形状が好ましい。
同様に、土手部の連続面積を増やし、土手部の構造的強度を上げる観点からは、レリーフ構造形成層(1)の表面上、土手部を任意の連続形状や格子形状を含むブロック形状とするのが好ましい。図1には、格子形状に土手部(3)を形成した一態様を示している[図1(b)参照]。
(A−3−2)
また、土手部の高さについては、必要な液状インクの塗工量との関係で、液状インクのはみ出しを防止するのに必要な高さを見積もることができる。
もっとも、前記(A−2−3)で説明したように、電子線(EB)描画装置を用いてレリーフ構造部(2)と土手部(3)を同時成形するためのレリーフ型を作製する場合、用いる電子線(EB)レジストの膜厚に起因する、実際上の限界がある。すなわち、土手部の高さは、所定の膜厚の電子線(EB)レジストから作製する関係上、用いる電子線(EB)レジストの膜厚に制約される。より具体的には、土手部(3)の高さは現実的には0.1〜10μm程度、より好ましくは0.5〜10μm程度である。
なお、土手部の高さについては、たとえば、各レリーフ構造囲われ部(4)毎に、レリーフ構造部(2)の最大高さ部分と土手部(3)の最小高さとの差をとったものを採用することができる[(A−5−2)、(B−3)参照]。
(A−3−3)
なお、レリーフ構造部(2)を含む、土手部(3)に囲われたレリーフ構造形成層(1)上の領域を、本明細書では、レリーフ構造囲われ部(4)と呼ぶことにする。
(A−4)光反射層(5)
(A−4−1)
光反射層(5)は、レリーフ構造形成層(1)及び着色樹脂層(6)をそれぞれ透過した光の少なくとも一部をそれぞれ反射する層である。すなわちレリーフ構造形成層(1)を透過した光が、主に光反射層(5)のレリーフ構造形成層(1)側の面により反射されると共に、着色樹脂層(6)を透過した光が、主にそれとは反対側の光反射層(5)の着色樹脂層(6)側の面により反射される。
光反射層(5)は少なくとも、レリーフ構造囲われ部(4)を覆うように配置され、かつレリーフ構造部(2)の表面形状に沿って形成される。ここで「表面形状に沿って形成される」とは、光反射層(5)のレリーフ構造部(2)側の面が、レリーフ構造部(2)の表面形状に沿って形成されていると共に、光反射層(5)の厚みがほぼ均一であるため、光反射層(5)の着色樹脂層(6)側の面もレリーフ構造部(2)の表面形状であるレリーフ構造を再現していることをいう。これにより、本願発明の偽造防止積層体を表裏面のいずれから観察しても、レリーフ構造に起因する光の干渉による同様な構造色を観察できる。
なお、土手部(3)の配置により、レリーフ構造囲われ部(4)の形状を任意のパターンに構成できることから、レリーフ構造囲われ部(4)を覆うように配置される光反射層(5)の形状パターンも任意に構成することが可能である。
(A−4−2)
高い反射率を得る観点からは、レリーフ構造形成層(1)または着色樹脂層(6)を構成する材料の屈折率をN、光反射層(5)に用いる材料の屈折率をNとした場合に、光線が屈折率Nから屈折率Nの物質に垂直入射する場合の表面反射率を表す、
式I:(N−N/(N+N
ができるだけ大きい値となるように、光反射層(5)に用いる材料を選択するのが好ましい。
上記式Iによれば、特定のレリーフ構造形成層(1)または着色樹脂層(6)の構成材料(屈折率N)について、屈折率の差(N−N)の絶対値が大きくなるように、光反射層(5)の材料を選択することで表面反射率を高くすることができると考えられる。言い換えれば、屈折率Nと比較して、より大きい屈折率Nあるいは、屈折率Nと比較してより小さい屈折率Nの材料を、光反射層(5)の材料として選択するのが有利である。このうち、安価に、かつ一般的に入手できるとの観点からは、Al等の高屈折率材料を用いるのが好ましい。
レリーフ構造形成層(1)の構成材料の屈折率と、着色樹脂層(6)の構成材料の屈折率との関係についていえば、
(i)両者の屈折率が同等程度であれば、光反射層材料の選択はより簡便になる、
(ii)逆に屈折率をわざと異ならせることで、表面反射率に違いを生じさせ、もって明度の相違の観点からの色の違いを生み出す等、のメリットが考えられる。
(A−4−3)
光反射層(5)の成膜には公知の真空蒸着またはスパッタリング法により成膜してもよいし、光反射層(5)の材料を分散させた液体インクを用いた印刷、たとえばグラビアコーティング、インクジェット印刷等の印刷法により成膜してもよい。
上記(A−4−1)で説明した意味での「表面形状に沿って形成される」観点、すなわち、より均一で薄い厚みの成膜の観点からは、真空蒸着またはスパッタリング法の方が好ましい。
真空蒸着またはスパッタリング法による場合、たとえばAl、Sn、Cr、Ni、Cu、Au、Agなどの金属単体またはこれらの化合物を用いることができる。
印刷法による場合、微細な金属粉(アルミニウム、銀、ニッケル、金、銅、錫、インジウム、コバルト等)やセラミックス粒子(種々の金属酸化物、硫化物、塩化物、フッ化物等)を水、有機溶剤及び有機高分子樹脂に分散して得られる高輝度光反射インクや、有機ポリマー微粒子(ポリエチレン、ポリスチレン等)を、水、有機溶媒及び有機高分子樹脂に分散して得られる微粒子樹脂反射インク等の液体インク[後記(B−3)の本発明の第二の形態における第二の液体インク]を用いることができる。このような液体インクを印刷法により印刷後、乾燥する。
以上のようにして得られた光反射層(5)の膜厚は0.001〜10μm程度とすることができるが、レリーフ構造部(2)の表面形状であるレリーフ構造を出来るだけ維持しやすくする(「表面形状に沿って形成される」)観点、あるいは土手部(3)により囲まれているレリーフ構造囲われ部(4)内に形成される着色樹脂層の厚みをできるだけ確保する観点からは、光反射層(5)の機能を損なわない範囲で、できるだけ薄く、たとえば10〜100nm、より好ましくは30〜70nmで形成するのが好ましい。
(A−5)着色樹脂層(6)
(A−5−1)
着色樹脂層(6)は、少なくともレリーフ構造囲われ部(4)内にある光反射層(5)を覆うように配置された、光透過性の樹脂層であり、前記着色樹脂層(6)側から観察した場合、レリーフ構造形成層(1)側から観察した場合とは異なった背景色となるように着色されている。
ここで、着色樹脂層(6)側から観察した場合の背景色とは、着色樹脂層に含まれる着色剤に起因する色であり、レリーフ構造形成層(1)側から観察した場合の背景色とは、レリーフ構造形成層が無着色の場合には光反射層(5)の材料の色であり、レリーフ構造形成層が着色剤で着色されている場合には、着色剤に起因する色である。たとえば、実施例では、表側は、アルミ蒸着層(光反射層)によって銀色の背景色を有し、裏側は着色樹脂層によって印刷した多色の背景色を有する。
また、レリーフ構造形成層(1)側から観察した場合と、前記着色樹脂層(6)側から観察した場合とで、異なった背景色となるとは、表示体の表側全面[レリーフ構造形成層(1)側]と裏側全面[着色樹脂層(6)側]のそれぞれの表示の対応部分を対比し、各面の真正面から観察したと仮定した場合に表示体の背景色の相違する部分が、表示面積の百分率表示で少なくとも5%程度は異なる場合をいう。この程度の差があれば目視でも色の違いを認識できると考えられるからである。
なお、表示の対応部分を対比する際には、表側と裏側とではレリーフ構造に由来する構造色が互いに鏡像の関係になっていることを考慮する。
また、表示体の各部分の色が相違するかどうかの判断をより客観的に行いたい場合には、たとえば、CIELa色空間における距離:
{(ΔL+(Δa+(Δb1/2
が1.5以上、より好ましくは3.0以上、更に好ましくは6.0以上の場合を色が異なるとすることができる。
(A−5−2)
着色樹脂層(6)は、染料または顔料である着色剤で着色された樹脂インクを用いて、少なくともレリーフ構造囲われ部(4)内にある光反射層(5)を覆うように印刷することによって形成できる。着色は単色印刷のみならず、多色印刷でもよく、用いる印刷法としては、グラビア印刷等の一般的印刷技術でもよいし、インクジェット印刷でもよい。
好ましい着色剤としては、染料では、ソルベントイエロー2 、ソルベントオレンジ1 、ソルベントレッド2 4 、ソルベントブラウン3 、ソルベントイエロー1 0 、ソルベントオレンジ5 、ソルベントブラウン3 7 、ソルベントオレンジ5 、ソルベントレッド8 、ソルベントバイオレット1 3 、ソルベントブルー1 1 、ソルベントグリーン3 、ソルベントブルー2 5 、ディスパーズオレンジ3 、ディスパーズレッド1 、ディスパーズイエロー3 、ディスパーズバイオレット2 4 、ディスパーズブルー4 4 、ディスパーズオレンジ1 1 、ディスパーズバイオレット2 3 、ディスパーズオレンジ1 3 、ディスパーズオレンジ3 、ディスパーズレッド4 、ディスパーズブルー1 4 、ディスパーズレッド7 、ディスパーズレッド1 5 、ディスパーズレッド1 1 、ディスパーズブルー1 9 、ディスパーズレッド6 0 、ディスパーズレッド73 、ディスパーズブルー5 6 、ディスパーズレッド9 2 、ディスパーズバイオレット1 、ディスパーズブルー4 、ディスパーズイエロー1 、ディスパーズイエロー7、ディスパーズバイオレット1 、ディスパーズイエロー8 等、顔料では、二酸化チタンや炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、リトポン、鉛白、カドミエロー、黄鉛、チタンイエロー、ジンククロメート、黄土、クロムバーミリオン、赤口顔料、アンバー、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、カドミウムレッド、紺青、鉛丹、酸化クロムグリーン、コバルトブルー、群青、コバルトバイオレット等の、無機顔料及びベンジジンイエロー、ハンザイエロー、リソールレッド、アリザリンレーキ、ピグメントスカーレット3 B 、ブリリアントカーミン6 B 、パーマネントレッドF − 5 R 、レーキレッドC 、パーマネントレッド4 R 、ローダミンレーキB 、ローダミンレーキY 、パラレッド、ピーコックブルーレーキ、フタロシアニンブルー、パーマネントイエローH R 、キナクリドン、ペリノンペリレン、クロモフタールイエロー6 G 、クロモフタールイエロー3 G 、クロモフタールイエローGR 等を代表的なものとして挙げることができる。
添加される着色剤は、着色樹脂層の光透過性を損なわず、レリーフ構造部(2)に起因する構造色の観察を阻害しない範囲の量で添加される。
また、着色剤として顔料を分散させて使用する場合、用いる顔料の粒径は、光透過性および製造上の観点から、土手部(3)の高さの20分の1以下であることが好ましい。現実的には、サブミクロン単位(0.01〜0.1μm)程度の粒径であることが好ましい。ここで、用いる土手部(3)の高さとしては、各レリーフ構造囲われ部(4)毎に、レリーフ構造部(2)の最大高さ部分と土手部(3)の最小高さとの差をとったものを用い、顔料の粒径としては、各レリーフ構造囲われ部(4)に用いられる顔料毎に、電子顕微鏡観察により求めた最大径の数平均を指すものとすることができる。
また、特に着色剤として蛍光顔料等の高価で耐久性の低い顔料を用いる場合、土手部(3)の高さの20分の1以下であることが好ましいとの観点、及び発光輝度の観点から、用いる顔料は、有機蛍光顔料であることが好ましい。また、土手部の高さ及び顔料の粒径の定義は、前記の着色剤として顔料を分散させて使用する場合と同様である。すなわち、用いる土手部(3)の高さとしては、各レリーフ構造囲われ部(4)毎に、レリーフ構造部(2)の最大高さ部分と土手部(3)の最小高さとの差をとったものを用い、顔料の粒径としては、各レリーフ構造囲われ部(4)に用いられる顔料毎に、電子顕微鏡観察により求めた最大径の数平均を指すものとすることができる。
なお、前記(A−3)でも説明したのと同様に、着色樹脂層(6)形成の際、土手部(3)は用いる液状インクのはみ出しを防止し、高精細印刷を可能にする効果を有する。
(A−5−3)
着色樹脂層に用いることのできる樹脂としては原則として、光透過性を有する透明な任意の樹脂を用いることできる。
もっとも、前記(A−2−3)、(A−3−2)でも言及したように、電子線(EB)描画装置を用いてレリーフ構造部(2)と土手部(3)を同時成形するためのレリーフ型を作製する場合、用いる電子線(EB)レジストの膜厚に起因する、実際上の限界がある。すなわち、レリーフ構造部(2)と土手部(3)の間の高さの差は、所定の膜厚の電子線(EB)レジストから作製する関係上、用いる電子線(EB)レジストの膜厚に制約される。
そして、着色樹脂層(6)の膜厚は、液状インクのはみ出しを防止し、高精細印刷を可能にするという土手部(3)の効果を発揮させる観点からは、レリーフ構造部(2)と土手部(3)の間の高さの差の範囲内にあることが望まれる。
したがって、着色樹脂層に用いる樹脂としては、樹脂インクの固形分含量を大きくすることのできる、熱硬化性樹脂または紫外線・電子線硬化性樹脂を用いるのが、必要な液体インクの量を減らし、もって土手部の液状インクはみ出し効果を有効に機能させるため好ましい。より具体的には、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、ウレタンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート等の紫外線/電子線硬化性樹脂等を例示できる。
(A−7)偽造防止転写箔、偽造防止シール
(A−7−1)偽造防止転写箔
本願発明の第一の態様の偽造防止積層体の一方の面に剥離可能なシート状支持体が積層され、前記偽造防止積層体の他方の面に光透過性の接着剤層が積層されていることを特徴とする、偽造防止転写箔である。
熱または圧力をかけることにより、接着剤層を介して被転写体表面上に接着され、シート状支持体から偽造防止積層体を剥離することで、被転写体表面上に転写される。偽造防止積層体が接着された被転写体の部分が透明であれば、偽造防止積層体の表面と裏面の両面を観察できるため、偽造防止により効果的である。
前記(A−1)でも説明したように、レリーフ構造形成層の作製に際して、支持体フィルムを用いることが簡便なため、この支持体フィルムをシート状支持体として用い、着色樹脂層側に接着層を設けるのが、簡便な製造の観点からは、好ましい。
シート状支持体としては種々の樹脂フィルムを用いることができるが、熱転写を用いる場合、耐熱性の高い樹脂フィルムを用いるのが好ましく、より具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド等の樹脂フィルムを用いるのが好ましい。
通常、前記シート状支持体は、偽造防止積層体の製造工程における、レリーフ構造形成層(1)の作製段階で備えることができる[前記(A−1)参照]。
接着剤層としては、紙、プラスチック等、種々の被転写体に接した状態で熱または圧力を与えることにより、被転写体に接着する機能を有し、かつ透明な材料で構成される。具体的には公知の感熱性または感圧性の透明接着剤を用いることができる。
また、シート状支持体からの偽造防止積層体の剥離性能をより向上させるために、偽造防止積層体とシート状支持体との間に任意に、シート状支持体から剥離可能な剥離保護層や、シート状支持体から剥離しない離型層を設けてもよい。
(A−7−2)偽造防止シール
本願発明の第一の態様の偽造防止積層体の一方の面に光透過性の接着剤層が積層されていることを特徴とする、偽造防止シールである。
熱または圧力をかけることにより、偽造防止積層体が接着剤層を介して、被接着体表面上に接着される。接着剤層としては、前記(A−7−1)と同様である。
被接着体が透明であれば、偽造防止積層体の表面と裏面の両面を観察できるため、偽造防止により効果的である。また、取り付けられたシールを剥がすと破壊されるように任意に、偽造防止シールの層間に剥離する部分を形成したり、予め切れ込みを入れておいてもよく、これによりシールを貼り代える不正を防止することができる。
なお、前記の偽造防止転写箔と異なり、剥離可能なシート状支持体からの転写を予定するものではないものの、シート状支持体が透明である限り、これを備える態様を排除するものではないし、そのように備えたシート状支持体は剥離可能である必要もない。
接着剤層は、製造の簡便の観点からは、レリーフ構造形成層側ではなく、着色樹脂層側に設けるのが好ましい。
(B)本願発明の第二の態様
(a)光透過性のレリーフ構造形成層(1)を準備する工程と、
(b)前記レリーフ構造形成層(1)の少なくとも一方の面上に、部分的に設けられたレリーフ構造部(2)を形成する工程と、
(c)前記レリーフ構造部(2)の設けられた側の前記レリーフ構造形成層(1)の面上に、前記レリーフ構造部(2)と重ならないように、かつ少なくとも前記レリーフ構造部を囲うように、部分的に設けられた土手部(3)を形成する工程と、
(d)少なくとも、前記土手部(3)に囲われ前記レリーフ構造部(2)を含む領域であるレリーフ構造囲われ部(4)を覆うように、かつ前記レリーフ構造部(2)の表面形状に沿って光反射層(5)を形成する工程と、
(e)少なくとも、前記レリーフ構造囲われ部(4)内にある前記光反射層(5)を覆うように、第1の液状インキを用いて光透過性の着色樹脂層(6)を印刷する工程と、
を工程(a)、工程(b)/(c)、工程(d)及び工程(e)の工程順に含み、
但し、工程(b)と工程(c)は同時に行ってもよいし、工程(b)と工程(c)のいずれを先に行ってもよい、偽造防止積層体の製造方法である。
本態様は、本発明の第一の態様の偽造防止積層体の製造方法に対応する。
(B−1)
上記の各工程については、実質的に本発明の第一の態様のところでも説明したが、特に工程(a)については前記(A−1)、工程(b)については前記(A−2−2)〜(A−2−3)、工程(c)については前記(A−3−1)、工程(d)については前記(A−4−3)、工程(e)については(A−5−2)を参照できる。
なお、工程(b)と工程(c)の順序については、同時に行ってもよいし、工程(b)をと工程(c)を先に行ってもよいが、前記(A−3−1)でも説明したように、レリーフ構造部(2)が土手部(3)と重ならないように形成する観点、あるいはレリーフ構造部(2)と土手部(3)との位置合わせを不要にする観点からは、工程(b)と工程(c)を同時に行うのが好ましい。
(B−2)
工程(d)において、光反射層(5)を真空蒸着またはスパッタリング法により形成する場合、着色樹脂層(6)をマスクとして用いることで、作製をより簡便に行うことができる。
すなわち、工程(d)が、前記レリーフ構造部(2)の設けられた側のレリーフ構造形成層(1)の面の全面を覆うように、真空蒸着法またはスパッタリング法により前記光反射層(5)を形成する工程であり、
前記工程(e)の後に、
前記着色樹脂層(6)の表面を機械的に一部掻き落として、前記光反射層(5)のうち前記土手部(3)上に形成された部分を露出させる工程(f)と、
エッチング液に浸漬することにより、前記光反射層(5)のうち、少なくとも前記土手部(3)上に形成された部分を除去し、少なくとも前記レリーフ構造囲われ部(4)内にある部分を残す工程(g)と、をさらに含むことにより、本発明の積層体をより簡便に作製できる。量産に適した方法である。
これを、図2を例にとって説明する。
図2(a)に示されるレリーフ構造部(2)及び土手部(3)を有するレリーフ構造形成層(1)の表面上に、真空蒸着またはスパッタリング法により光反射層(5)を全面に形成して、図2(b)に示すような構造を得る。
次いで、少なくともレリーフ構造囲われ部(4)内にある光反射層(5)を覆うように、着色樹脂層(6)を印刷する(図2(c)参照)。
ここで、着色樹脂層は任意の色に着色されていてもよく、多色に着色されていてもよい。
また、図2(c)で光反射層(5)の全面に着色樹脂層(6)が形成された態様を示しているが、たとえば、レリーフ構造囲われ部(4)内のみに着色樹脂層を選択的に印刷してもよい。
さらに、ドクターブレード等により着色樹脂層の表面を掻き落とす等して、土手部(3)上に形成された光反射層(5)部分を外部に露出させる。図2(c)は掻き落とした後の、土手部(3)が外部に露出した状態を示している。
次に、得られた積層体をエッチング液に浸すことにより、外部に露出された土手部(3)上の光反射層部分[土手部(3)上の光反射層部分含む]がエッチング除去され、着色樹脂層でマスクされた光反射層部分は残存する。図2(d)では、着色樹脂層がレリーフ構造囲われ部(4)以外の部分にも形成され、土手部(3)上に形成された光反射層(5)部分のみがエッチング除去されている。もっとも、着色樹脂層(6)をレリーフ構造囲われ部(4)内にのみ形成すれば、土手部(3)上に形成された光反射層(5)部分のみならず、レリーフ構造囲われ部(4)外の光反射層部分もエッチング除去できる。
(B−3)
工程(d)において、光反射層(5)を、第二の液体インクを用いて印刷することで、少なくともレリーフ構造囲われ部(4)内に光反射層(5)を形成することもできる[(A−4−3)参照]。
これによれば、用いる機械の価格や製造時間の観点からは量産に向かないものの、マスク層を用いなくても、レリーフ構造囲われ部(4)内のみに光反射層(5)を形成できるため、エッチング工程を省くことができるとのメリットがある。
この場合に用いる第2の液体インクとしては、着色樹脂層の形成に用いる液体インクと同様の観点[前記(A−5−2)参照]から、紫外線硬化性樹脂また熱硬化性樹脂と光反射性材料を含む、紫外線硬化型または熱硬化型インクであることが好ましい。また、第2の液体インクの固形分が0.5〜25重量%であることが好ましい。
さらに、第2の液体インク中に分散させる光反射層(5)材料の粒径は、着色樹脂層の形成に用いる着色剤顔料[(A−5−2)参照]の場合と同様、光透過性および製造上の観点から、土手部(3)の高さの20分の1以下であることが好ましい。ここで土手部の高さとしては、各レリーフ構造囲われ部(4)毎に、レリーフ構造部(2)の最大高さ部分と土手部(3)の最小高さとの差をとったものを用い、光反射層(5)材料の粒径としては、各レリーフ構造囲われ部(4)に用いられる光反射層(5)材料毎に、電子顕微鏡観察により求めた最大径の数平均を指すものとすることができる。
以下、実施例により、本発明の一態様につきより具体的に説明する。
[実施例]
(A)レリーフ型の作製
以下の手順でレリーフ型を作製した。
(i)レリーフ構造及び土手部の描画データを作成し、電子線(EB)レジスト上に作成した描画データを使って、電子線で描画した。
次いで、電子描画された電子線レジストを現像して、所望のレリーフ構造及び土手部を含むレリーフ構造モデルを形成した。
次いで、ニッケルスパッタ技術を用いて、前記レリーフ構造モデルの表面に数μm程度の厚みの導電層を設けた後、電気鋳造によりさらにニッケルメッキ等の電気メッキを施して厚肉めっき(0.1〜1mm程度)することにより、モデルの表面形状を忠実に反転した金型(電鋳殻)を作製した。
土手部の高さは1〜2μm程度であった。
(B)偽造防止積層体(偽造防止転写箔)の作製
以下の手順で本発明の偽造防止積層体(偽造防止転写箔)を作製した。
(i)ポリエチレン−co−テレフタレート(PET)基材上に、アクリル樹脂(三菱レーヨン製 BR−60)からなる剥離層、及び紫外線硬化樹脂(東洋合成製 PAK−01)からなるレリーフ構造形成層を、グラビアコーティング法でそれぞれ1μmの厚みで塗布し、PET基材上に支持されたレリーフ構造形成層(1)を作製した。
(ii)上記(A)で作製したレリーフ型を用い、100℃の熱と1MPaの圧力を加えた後にUV照射することにより、前記レリーフ構造形成層(1)のPET基材と反対側の表面上にレリーフ構造部(2)と土手部(3)を同時形成した[図2(a)参照]。
(iii)真空蒸着法により、上記レリーフ構造部(2)等が形成された側の全面に、光反射層(5)としてのアルミニウム蒸着膜(50nm)を形成した[図2(b)参照]。
(iv)次いで、前記アルミニウム蒸着面上の全面に、着色剤含有樹脂(MFカラーNW5金赤)をグラビア印刷法で印刷して、着色樹脂層(6)を形成した[図2(c)参照]。
(v)ドクターブレードにより、土手部上のアルミニウム蒸着膜が十分に露出するよう、余分な樹脂を掻き採った[図2(c)参照]。
(vi)得られた積層体を水酸化ナトリウム水溶液(濃度5%、50℃)に浸漬して、土手部上にある余分なアルミニウム蒸着層をエッチング除去して、本発明の偽造防止積層体を得た[図2(d)参照]。
(vii)さらに上記偽造積層体の着色樹脂層側の面上に、アクリル樹脂からなる接着剤をグラビアコーティング法で2μmの厚みで塗布することにより接着剤層を形成して、本発明の偽造防止転写箔を作製した。
(C)偽造防止転写箔による転写
上記(B)で得られた転写箔は、その接着剤層側の面を被転写物の透明部分に、150℃の温度、10MPaの圧力で押し付けることにより接着させ、次いで、転写箔基材であるPET基材を剥離させた。
表側裏側共にレリーフ構造部に起因する、観察する方向によって変化する構造色を観察できると共に、表側は、アルミ蒸着層(光反射層)によって銀色の背景色を有し、裏側は着色樹脂層によって印刷した多色の背景色を有していた。
1: レリーフ構造形成層
2: レリーフ構造部
3: 土手部
4: レリーフ構造囲われ部
5: 光反射層
6: 着色樹脂層

Claims (9)

  1. (a)光透過性のレリーフ構造形成層(1)を準備する工程と、
    (b)前記レリーフ構造形成層(1)の少なくとも一方の面上に、部分的に設けられたレリーフ構造部(2)を形成する工程と、
    (c)前記レリーフ構造部(2)の設けられた側の前記レリーフ構造形成層(1)の面上に、前記レリーフ構造部(2)と重ならないように、かつ少なくとも前記レリーフ構造部を囲うように、部分的に設けられた土手部(3)を形成する工程と、
    (d)少なくとも、前記土手部(3)に囲われ前記レリーフ構造部(2)を含む領域であるレリーフ構造囲われ部(4)を覆うように、かつ前記レリーフ構造部(2)の表面形状に沿って光反射層(5)を形成する工程と、
    (e)少なくとも、前記レリーフ構造囲われ部(4)内にある前記光反射層(5)を覆うように、第1の液状インキを用いて光透過性の着色樹脂層(6)を印刷する工程と、
    (f) 前記着色樹脂層(6)の表面を機械的に一部掻き落として、前記光反射層(5)のうち前記土手部(3)上に形成された部分を露出させる工程と、
    (g) エッチング液に浸漬することにより、前記光反射層(5)のうち、少なくとも前記土手部(3)上に形成された部分を除去し、少なくとも前記レリーフ構造囲われ部(4)内にある部分を残す工程と、
    工程(a)、工程(b)/(c)、工程(d)工程(e)、工程(f)及び工程(g)の工程順に含み、
    但し、工程(b)と工程(c)は同時に行ってもよいし、工程(b)と工程(c)のいずれを先に行ってもよく、
    前記工程(d)が、前記レリーフ構造部(2)の設けられた側のレリーフ構造形成層(1)の面の全面を覆うように、真空蒸着法またはスパッタリング法により前記光反射層(5)を形成する工程であり、
    前記レリーフ構造部(2)は、前記光反射層(5)の前記レリーフ構造部を覆う部分と共に、レリーフ形状を有する光学素子を形成し、
    前記光反射層(5)は、前記レリーフ構造形成層(1)及び前記着色樹脂層(6)を透過したそれぞれの光の少なくとも一部を反射し、
    前記着色樹脂層(6)側から観察した場合、前記レリーフ構造形成層(1)側から観察した場合とは異なった背景色となるように前記着色樹脂層の色が選択されている、
    ことを特徴とする、偽造防止積層体の製造方法。
  2. 前記第1の液状インキが、紫外線硬化性樹脂また熱硬化性樹脂と着色剤を含む、紫外線硬化性または熱硬化性樹脂インクであることを特徴とする請求項1に記載の偽造防止積層体の製造方法。
  3. 前記第1の液状インキの固形分が0.5〜25重量%であることを特徴とする、請求項2に記載の偽造防止積層体の製造方法。
  4. 前記着色剤が染料または顔料であり、前記着色剤が顔料である場合、前記レリーフ構造囲われ部(4)毎に、該顔料の数平均最大径が、土手部(3)の高さの20分の1以下であることを特徴とする、請求項2または3に記載の偽造防止積層体の製造方法。
  5. 前記土手部の高さが、0.1〜10μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の偽造防止積層体の製造方法。
  6. 前記工程(d)が、少なくとも前記レリーフ構造囲われ部(4)内に、第2の液状インキを用いて光反射層(5)を印刷する工程であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の偽造防止積層体の製造方法。
  7. 前記第2の液状インキが、紫外線硬化性樹脂また熱硬化性樹脂と光反射性材料を含む、紫外線硬化性または熱硬化性樹脂インクであることを特徴とする請求項6に記載の偽造防止積層体の製造方法。
  8. 前記第2の液状インキの固形分が0.5〜25重量%であることを特徴とする、請求項7に記載の偽造防止積層体の製造方法。
  9. 前記光反射性材料の数平均最大径が、前記レリーフ構造囲われ部(4)毎に、前記光反射層(5)高さの20分の1以下であることを特徴とする、請求項7または8に記載の偽造防止積層体の製造方法。
JP2014253208A 2014-12-15 2014-12-15 偽造防止積層体及びその製造方法 Expired - Fee Related JP6447080B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014253208A JP6447080B2 (ja) 2014-12-15 2014-12-15 偽造防止積層体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014253208A JP6447080B2 (ja) 2014-12-15 2014-12-15 偽造防止積層体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016114776A JP2016114776A (ja) 2016-06-23
JP6447080B2 true JP6447080B2 (ja) 2019-01-09

Family

ID=56141795

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014253208A Expired - Fee Related JP6447080B2 (ja) 2014-12-15 2014-12-15 偽造防止積層体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6447080B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020145265A1 (ja) * 2019-01-07 2020-07-16 凸版印刷株式会社 表示体、および、ラベル付き印刷物
FR3111843A1 (fr) 2020-06-30 2021-12-31 Surys Procédés de fabrication de composants optiques de sécurité, composants optiques de sécurité et objets sécurisés équipés de tels composants
WO2022053826A1 (en) * 2020-09-11 2022-03-17 De La Rue International Limited Security devices and methods of manufacture thereof

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5538753A (en) * 1991-10-14 1996-07-23 Landis & Gyr Betriebs Ag Security element
JP5169093B2 (ja) * 2007-09-12 2013-03-27 凸版印刷株式会社 偽造防止積層体、偽造防止転写箔、偽造防止シール、偽造防止媒体、及びこれらの製造方法
GB201301788D0 (en) * 2013-02-01 2013-03-20 Rue De Int Ltd Security devices and methods of manufacture thereof

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016114776A (ja) 2016-06-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8848266B2 (en) Security element and method for producing a security element
US10112432B2 (en) Security device
CN104656167B (zh) 一种光学防伪元件及使用该光学防伪元件的光学防伪产品
WO2017092667A1 (zh) 一种光学防伪元件及使用该光学防伪元件的光学防伪产品
CN102186677B (zh) 印刷安全特征的改进
JP5169083B2 (ja) 偽造防止積層体、偽造防止転写箔、偽造防止シール、偽造防止媒体、およびこれらの製造方法
MX2012010975A (es) Documento de seguridad con dispositivo de seguridad integrado y metodo de fabricacion.
JP2010197798A (ja) 偽造防止機能を有する光学素子及びそれを具備する偽造防止表示体
EA012512B1 (ru) Защитное устройство и способ его изготовления
JP2015129943A (ja) パターンの形式の印刷金属層を有するセキュリティ装置およびその製造方法
CN205416817U (zh) 一种光学防伪元件及使用该光学防伪元件的光学防伪产品
CN103963510A (zh) 一种制备光学防伪元件的方法
CN109895526A (zh) 光学防伪元件及其制作方法
JP6447080B2 (ja) 偽造防止積層体及びその製造方法
JP2022525371A (ja) 光学偽造防止素子及びその製造方法
JP2001232978A (ja) 潜像を有するパスポートとその製造方法、並びにそのパスポートの検証方法
JP2017191200A (ja) ホログラム構造体
JP5169093B2 (ja) 偽造防止積層体、偽造防止転写箔、偽造防止シール、偽造防止媒体、及びこれらの製造方法
WO2020187287A1 (zh) 光学防伪元件及光学防伪产品
JPWO2017204168A1 (ja) 偽造防止媒体
JP5141024B2 (ja) インサート及び成形品
JP2011231151A (ja) セキュリティインキ
JP2005325482A (ja) 偽造防止用紙と真贋判別方法
WO2019124322A1 (ja) 表示体及び表示体の製造方法
JP2009262509A (ja) 熱転写媒体及び回折構造体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171121

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180829

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180904

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181029

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181106

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181119

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6447080

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees