JP6447080B2 - 偽造防止積層体及びその製造方法 - Google Patents
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光透過性のレリーフ構造形成層(1)と、
前記レリーフ構造形成層(1)の少なくとも一方の面上に、部分的に設けられたレリーフ構造部(2)と、
前記レリーフ構造部(2)の設けられた側の前記レリーフ構造形成層(1)の面上に、前記レリーフ構造部(2)と重ならないように、かつ少なくとも前記レリーフ構造部を囲うように、部分的に設けられた土手部(3)と、
少なくとも、前記土手部(3)に囲われ前記レリーフ構造部(2)を含む領域であるレリーフ構造囲われ部(4)を覆うように配置され、かつ前記レリーフ構造部(2)の表面形状に沿って形成された光反射層(5)と、
少なくとも、前記レリーフ構造囲われ部(4)内にある前記光反射層(5)を覆うように配置された光透過性の着色樹脂層(6)と、
を具備してなる偽造防止積層体であって、
前記レリーフ構造部(2)は、前記光反射層(5)の前記レリーフ構造部を覆う部分と共に、レリーフ形状を有する光学素子を形成し、
前記光反射層(5)は、前記レリーフ構造形成層(1)及び前記着色樹脂層(6)をそれぞれ透過した光の少なくとも一部をそれぞれ反射し、
前記着色樹脂層(6)側から観察した場合、前記レリーフ構造形成層(1)側から観察した場合とは異なった背景色となるように前記着色樹脂層(6)の色が選択されていることを特徴とする、偽造防止積層体である。
(a)光透過性のレリーフ構造形成層(1)を準備する工程と、
(b)前記レリーフ構造形成層(1)の少なくとも一方の面上に、部分的に設けられたレリーフ構造部(2)を形成する工程と、
(c)前記レリーフ構造部(2)の設けられた側の前記レリーフ構造形成層(1)の面上に、前記レリーフ構造部(2)と重ならないように、かつ少なくとも前記レリーフ構造部を囲うように、部分的に設けられた土手部(3)を形成する工程と、
(d)少なくとも、前記土手部(3)に囲われ前記レリーフ構造部(2)を含む領域であるレリーフ構造囲われ部(4)を覆うように、かつ前記レリーフ構造部(2)の表面形状に沿って光反射層(5)を形成する工程と、
(e)少なくとも、前記レリーフ構造囲われ部(4)内にある前記光反射層(5)を覆うように、第1の液状インキを用いて光透過性の着色樹脂層(6)を印刷する工程と、
を、工程(a)、工程(b)/(c)、工程(d)及び工程(e)の工程順に含み、
但し、工程(b)と工程(c)とを同時に行ってもよいし、工程(b)の工程(c)のいずれを先に行ってもよく、
前記レリーフ構造部(2)は、前記光反射層(5)の前記レリーフ構造部を覆う部分と共に、レリーフ形状を有する光学素子を形成し、
前記光反射層(5)は、前記レリーフ構造形成層(1)及び前記着色樹脂層(6)を透過したそれぞれの光の少なくとも一部を反射し、
前記着色樹脂層(6)側から観察した場合、前記レリーフ構造形成層(1)側から観察した場合とは異なった背景色となるように前記着色樹脂層の色が選択されている、
ことを特徴とする、偽造防止積層体の製造方法である。
本願発明の第一の態様である偽造防止積層体は、
(i)光透過性のレリーフ構造形成層(1)と、
(ii)前記レリーフ構造形成層(1)の少なくとも一方の面上に、部分的に設けられたレリーフ構造部(2)と、
(iii)前記レリーフ構造部(2)の設けられた側の前記レリーフ構造形成層(1)の面上に、前記レリーフ構造部(2)と重ならないように、かつ少なくとも前記レリーフ構造部を囲うように、部分的に設けられた土手部(3)と、
(iv)少なくとも、前記土手部(3)に囲われ前記レリーフ構造部(2)を含む領域であるレリーフ構造囲われ部(4)を覆うように配置され、かつ前記レリーフ構造部(2)の表面形状に沿って形成された光反射層(5)と、
(v)少なくとも、前記レリーフ構造囲われ部(4)内にある前記光反射層(5)を覆うように配置された光透過性の着色樹脂層(6)と、
を具備してなる。
(A−1)レリーフ構造形成層(1)
レリーフ構造形成層(1)は、その面上にレリーフ構造部(2)と土手部(3)を形成できるように起伏のある凹凸面を成形可能であり、かつ透明な材料で形成された層である。この条件を満たす限り、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線または電子線硬化性樹脂等の任意の樹脂等を主材料として用いることができる。たとえば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、ウレタンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート等の紫外線または電子線硬化樹脂等を例示できる。
(A−2−1)
レリーフ構造部(2)は、レリーフ構造形成層(1)の少なくとも一方の面に形成された起伏のある凹凸の表面形状構造であり、光反射層(5)のレリーフ構造部を覆う部分と共に、レリーフ形状を有する光学素子を形成する。
レリーフ構造部(2)は、好ましくは土手部(3)と共に、レリーフ構造形成層(1)の少なくとも一方の面をプレス法やフォトポリマー法等により成形することで形成できる。
なお、前記(A−2−2)でも言及した、レリーフ構造部(2)を形成する際に用いることのできるレリーフ型は典型的には以下のような手順で作製できる。
(A−3−1)
土手部(3)は、レリーフ構造部(2)の設けられた側のレリーフ構造形成層(1)の面上に、レリーフ構造部(2)と重ならないように、かつ少なくともレリーフ構造部(2)を囲うように、設けられた凸状の構造部である。この土手部(3)は、レリーフ構造形成層(1)の面の全面にではなく、部分的に設けられる。
また、土手部の高さについては、必要な液状インクの塗工量との関係で、液状インクのはみ出しを防止するのに必要な高さを見積もることができる。
なお、レリーフ構造部(2)を含む、土手部(3)に囲われたレリーフ構造形成層(1)上の領域を、本明細書では、レリーフ構造囲われ部(4)と呼ぶことにする。
(A−4−1)
光反射層(5)は、レリーフ構造形成層(1)及び着色樹脂層(6)をそれぞれ透過した光の少なくとも一部をそれぞれ反射する層である。すなわちレリーフ構造形成層(1)を透過した光が、主に光反射層(5)のレリーフ構造形成層(1)側の面により反射されると共に、着色樹脂層(6)を透過した光が、主にそれとは反対側の光反射層(5)の着色樹脂層(6)側の面により反射される。
高い反射率を得る観点からは、レリーフ構造形成層(1)または着色樹脂層(6)を構成する材料の屈折率をN0、光反射層(5)に用いる材料の屈折率をNRとした場合に、光線が屈折率N0から屈折率NRの物質に垂直入射する場合の表面反射率を表す、
式I:(NR−N0)2/(NR+N0)2
ができるだけ大きい値となるように、光反射層(5)に用いる材料を選択するのが好ましい。
(i)両者の屈折率が同等程度であれば、光反射層材料の選択はより簡便になる、
(ii)逆に屈折率をわざと異ならせることで、表面反射率に違いを生じさせ、もって明度の相違の観点からの色の違いを生み出す等、のメリットが考えられる。
光反射層(5)の成膜には公知の真空蒸着またはスパッタリング法により成膜してもよいし、光反射層(5)の材料を分散させた液体インクを用いた印刷、たとえばグラビアコーティング、インクジェット印刷等の印刷法により成膜してもよい。
(A−5−1)
着色樹脂層(6)は、少なくともレリーフ構造囲われ部(4)内にある光反射層(5)を覆うように配置された、光透過性の樹脂層であり、前記着色樹脂層(6)側から観察した場合、レリーフ構造形成層(1)側から観察した場合とは異なった背景色となるように着色されている。
{(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2}1/2
が1.5以上、より好ましくは3.0以上、更に好ましくは6.0以上の場合を色が異なるとすることができる。
着色樹脂層(6)は、染料または顔料である着色剤で着色された樹脂インクを用いて、少なくともレリーフ構造囲われ部(4)内にある光反射層(5)を覆うように印刷することによって形成できる。着色は単色印刷のみならず、多色印刷でもよく、用いる印刷法としては、グラビア印刷等の一般的印刷技術でもよいし、インクジェット印刷でもよい。
着色樹脂層に用いることのできる樹脂としては原則として、光透過性を有する透明な任意の樹脂を用いることできる。
(A−7−1)偽造防止転写箔
本願発明の第一の態様の偽造防止積層体の一方の面に剥離可能なシート状支持体が積層され、前記偽造防止積層体の他方の面に光透過性の接着剤層が積層されていることを特徴とする、偽造防止転写箔である。
本願発明の第一の態様の偽造防止積層体の一方の面に光透過性の接着剤層が積層されていることを特徴とする、偽造防止シールである。
(a)光透過性のレリーフ構造形成層(1)を準備する工程と、
(b)前記レリーフ構造形成層(1)の少なくとも一方の面上に、部分的に設けられたレリーフ構造部(2)を形成する工程と、
(c)前記レリーフ構造部(2)の設けられた側の前記レリーフ構造形成層(1)の面上に、前記レリーフ構造部(2)と重ならないように、かつ少なくとも前記レリーフ構造部を囲うように、部分的に設けられた土手部(3)を形成する工程と、
(d)少なくとも、前記土手部(3)に囲われ前記レリーフ構造部(2)を含む領域であるレリーフ構造囲われ部(4)を覆うように、かつ前記レリーフ構造部(2)の表面形状に沿って光反射層(5)を形成する工程と、
(e)少なくとも、前記レリーフ構造囲われ部(4)内にある前記光反射層(5)を覆うように、第1の液状インキを用いて光透過性の着色樹脂層(6)を印刷する工程と、
を工程(a)、工程(b)/(c)、工程(d)及び工程(e)の工程順に含み、
但し、工程(b)と工程(c)は同時に行ってもよいし、工程(b)と工程(c)のいずれを先に行ってもよい、偽造防止積層体の製造方法である。
上記の各工程については、実質的に本発明の第一の態様のところでも説明したが、特に工程(a)については前記(A−1)、工程(b)については前記(A−2−2)〜(A−2−3)、工程(c)については前記(A−3−1)、工程(d)については前記(A−4−3)、工程(e)については(A−5−2)を参照できる。
工程(d)において、光反射層(5)を真空蒸着またはスパッタリング法により形成する場合、着色樹脂層(6)をマスクとして用いることで、作製をより簡便に行うことができる。
前記工程(e)の後に、
前記着色樹脂層(6)の表面を機械的に一部掻き落として、前記光反射層(5)のうち前記土手部(3)上に形成された部分を露出させる工程(f)と、
エッチング液に浸漬することにより、前記光反射層(5)のうち、少なくとも前記土手部(3)上に形成された部分を除去し、少なくとも前記レリーフ構造囲われ部(4)内にある部分を残す工程(g)と、をさらに含むことにより、本発明の積層体をより簡便に作製できる。量産に適した方法である。
図2(a)に示されるレリーフ構造部(2)及び土手部(3)を有するレリーフ構造形成層(1)の表面上に、真空蒸着またはスパッタリング法により光反射層(5)を全面に形成して、図2(b)に示すような構造を得る。
工程(d)において、光反射層(5)を、第二の液体インクを用いて印刷することで、少なくともレリーフ構造囲われ部(4)内に光反射層(5)を形成することもできる[(A−4−3)参照]。
(A)レリーフ型の作製
以下の手順でレリーフ型を作製した。
以下の手順で本発明の偽造防止積層体(偽造防止転写箔)を作製した。
(i)ポリエチレン−co−テレフタレート(PET)基材上に、アクリル樹脂(三菱レーヨン製 BR−60)からなる剥離層、及び紫外線硬化樹脂(東洋合成製 PAK−01)からなるレリーフ構造形成層を、グラビアコーティング法でそれぞれ1μmの厚みで塗布し、PET基材上に支持されたレリーフ構造形成層(1)を作製した。
(ii)上記(A)で作製したレリーフ型を用い、100℃の熱と1MPaの圧力を加えた後にUV照射することにより、前記レリーフ構造形成層(1)のPET基材と反対側の表面上にレリーフ構造部(2)と土手部(3)を同時形成した[図2(a)参照]。
(iii)真空蒸着法により、上記レリーフ構造部(2)等が形成された側の全面に、光反射層(5)としてのアルミニウム蒸着膜(50nm)を形成した[図2(b)参照]。
(iv)次いで、前記アルミニウム蒸着面上の全面に、着色剤含有樹脂(MFカラーNW5金赤)をグラビア印刷法で印刷して、着色樹脂層(6)を形成した[図2(c)参照]。
(v)ドクターブレードにより、土手部上のアルミニウム蒸着膜が十分に露出するよう、余分な樹脂を掻き採った[図2(c)参照]。
(vi)得られた積層体を水酸化ナトリウム水溶液(濃度5%、50℃)に浸漬して、土手部上にある余分なアルミニウム蒸着層をエッチング除去して、本発明の偽造防止積層体を得た[図2(d)参照]。
(vii)さらに上記偽造積層体の着色樹脂層側の面上に、アクリル樹脂からなる接着剤をグラビアコーティング法で2μmの厚みで塗布することにより接着剤層を形成して、本発明の偽造防止転写箔を作製した。
上記(B)で得られた転写箔は、その接着剤層側の面を被転写物の透明部分に、150℃の温度、10MPaの圧力で押し付けることにより接着させ、次いで、転写箔基材であるPET基材を剥離させた。
2: レリーフ構造部
3: 土手部
4: レリーフ構造囲われ部
5: 光反射層
6: 着色樹脂層
Claims (9)
- (a)光透過性のレリーフ構造形成層(1)を準備する工程と、
(b)前記レリーフ構造形成層(1)の少なくとも一方の面上に、部分的に設けられたレリーフ構造部(2)を形成する工程と、
(c)前記レリーフ構造部(2)の設けられた側の前記レリーフ構造形成層(1)の面上に、前記レリーフ構造部(2)と重ならないように、かつ少なくとも前記レリーフ構造部を囲うように、部分的に設けられた土手部(3)を形成する工程と、
(d)少なくとも、前記土手部(3)に囲われ前記レリーフ構造部(2)を含む領域であるレリーフ構造囲われ部(4)を覆うように、かつ前記レリーフ構造部(2)の表面形状に沿って光反射層(5)を形成する工程と、
(e)少なくとも、前記レリーフ構造囲われ部(4)内にある前記光反射層(5)を覆うように、第1の液状インキを用いて光透過性の着色樹脂層(6)を印刷する工程と、
(f) 前記着色樹脂層(6)の表面を機械的に一部掻き落として、前記光反射層(5)のうち前記土手部(3)上に形成された部分を露出させる工程と、
(g) エッチング液に浸漬することにより、前記光反射層(5)のうち、少なくとも前記土手部(3)上に形成された部分を除去し、少なくとも前記レリーフ構造囲われ部(4)内にある部分を残す工程と、
工程(a)、工程(b)/(c)、工程(d)、工程(e)、工程(f)及び工程(g)の工程順に含み、
但し、工程(b)と工程(c)は同時に行ってもよいし、工程(b)と工程(c)のいずれを先に行ってもよく、
前記工程(d)が、前記レリーフ構造部(2)の設けられた側のレリーフ構造形成層(1)の面の全面を覆うように、真空蒸着法またはスパッタリング法により前記光反射層(5)を形成する工程であり、
前記レリーフ構造部(2)は、前記光反射層(5)の前記レリーフ構造部を覆う部分と共に、レリーフ形状を有する光学素子を形成し、
前記光反射層(5)は、前記レリーフ構造形成層(1)及び前記着色樹脂層(6)を透過したそれぞれの光の少なくとも一部を反射し、
前記着色樹脂層(6)側から観察した場合、前記レリーフ構造形成層(1)側から観察した場合とは異なった背景色となるように前記着色樹脂層の色が選択されている、
ことを特徴とする、偽造防止積層体の製造方法。 - 前記第1の液状インキが、紫外線硬化性樹脂また熱硬化性樹脂と着色剤を含む、紫外線硬化性または熱硬化性樹脂インクであることを特徴とする請求項1に記載の偽造防止積層体の製造方法。
- 前記第1の液状インキの固形分が0.5〜25重量%であることを特徴とする、請求項2に記載の偽造防止積層体の製造方法。
- 前記着色剤が染料または顔料であり、前記着色剤が顔料である場合、前記レリーフ構造囲われ部(4)毎に、該顔料の数平均最大径が、土手部(3)の高さの20分の1以下であることを特徴とする、請求項2または3に記載の偽造防止積層体の製造方法。
- 前記土手部の高さが、0.1〜10μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の偽造防止積層体の製造方法。
- 前記工程(d)が、少なくとも前記レリーフ構造囲われ部(4)内に、第2の液状インキを用いて光反射層(5)を印刷する工程であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の偽造防止積層体の製造方法。
- 前記第2の液状インキが、紫外線硬化性樹脂また熱硬化性樹脂と光反射性材料を含む、紫外線硬化性または熱硬化性樹脂インクであることを特徴とする請求項6に記載の偽造防止積層体の製造方法。
- 前記第2の液状インキの固形分が0.5〜25重量%であることを特徴とする、請求項7に記載の偽造防止積層体の製造方法。
- 前記光反射性材料の数平均最大径が、前記レリーフ構造囲われ部(4)毎に、前記光反射層(5)高さの20分の1以下であることを特徴とする、請求項7または8に記載の偽造防止積層体の製造方法。
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