本発明の第1の実施の形態について図1ないし図15を参照して説明する。
図中の1は、農作業機である散布装置で、この散布装置1は、圃場を走行可能な走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結され、そのトラクタの走行により前方(進行方向)に移動しながら散布作業(農作業)をするものである。そして、この散布装置1は、被散布物、すなわち例えば粉状或いは粒状の肥料を圃場に散布する3分割式の折り畳み可能な施肥機(折畳農作業機)である。なお、散布装置1は、種子や薬剤等の被散布物を散布するものでもよい。
散布装置1は、トラクタの後部の3点リンク(作業機昇降装置)に脱着可能に連結される中央の第1作業部(中央作業部)3と、この第1作業部3に回動可能に設けられ展開方向への回動(例えば180度回動)により展開状態になりかつ折畳方向への回動(例えば180度回動)により折畳状態になる左右の第2作業部(左側の延長作業部及び右側の延長作業部)4と、この第2作業部4を第1作業部3に対して回動させる左右の回動駆動手段である回動用シリンダ5とを備えている。
そして、第2作業部4は、第1作業部3の左右方向両端部に上下方向の回動中心軸(回動支点)6を中心として水平方向(前後方向)に180度回動可能にそれぞれ設けられている。このため、各第2作業部4は、展開状態時(突出状態時である展開作業状態時)には第1作業部3の側方でこの第1作業部3とともに散布作業をするが、折畳状態時(非突出状態時である折畳非作業時)には第1作業部3の後方に非突出状態となるように格納される。なお、各第2作業部4の左右方向長さ寸法は、左右方向長手状の第1作業部3の左右方向長さ寸法の半分(略半分を含む)である。
また、散布装置1は、第2作業部4の折畳状態時に、第1作業部3に対する第2作業部4の回動を規制することによりこの第2作業部4を第1作業部3に対してロックする手動式の左右のロック手段(折畳時ロック手段)10を備えている。
第1作業部(中央作業部)3は、トラクタの後部の3点リンクに脱着可能に連結され、被散布物が収容される第1収容体11と、この第1収容体11内で回転しながら被散布物を第1収容体11の散布口側に送る左右方向軸状の繰出用の第1回転体12と、この第1回転体12の軸方向両端部にそれぞれ固着された動力伝達用の第1係合体(一方側クラッチ)13とを有している。
第1収容体11は、左右方向長手状で上下2本の前フレーム15を有し、この前フレーム15に3点連結部16が設けられている。3点連結部16は、3点リンクの上部リンクに脱着可能に連結されるマスト16aと、3点リンクの下部リンクに脱着可能に連結される左右のロワアーム16bとによって構成されている。マスト16aは上側の前フレーム15に突設され、各ロワアーム16bは下側の前フレーム15に突設されている。
第1収容体11は、前側中央部にミッションケース17を有し、このミッションケース17には入力軸18が回転可能に設けられている。入力軸18はトラクタのPTO軸にジョイント等を介して接続され、この入力軸側からの動力で第1回転体12が駆動回転する。
第1収容体11は、開口部である上面開口部21aから被散布物が投入されて収容される左右方向長手状で箱状の収容本体である第1ホッパー(中央ホッパー)21と、この第1ホッパー21の上面開口部21aを開閉する第1開閉蓋22とを有している。
そして、第1ホッパー21の底面には、左右方向に間隔をおいて並ぶ複数の散布口(図示せず)が形成されており、これら複数の散布口は細長板状の開閉部材であるシャッター(図示せず)によって開閉される。シャッターには、第1ホッパー21の散布口に対応する複数の開口が形成されている。そして、シャッターは、駆動手段であるシャッター開閉用シリンダ25の伸縮に基づいて、シャッター開閉リンク26が作動することで、第1ホッパー21の底面に沿って摺動して散布口を開閉する。なお、第1ホッパー21内における底面付近には、第1回転体12が回転可能に配置されている。
第1ホッパー21の前面には複数の支持板27が取り付けられ、これら複数の支持板27によって2本の前フレーム15が支持されている。第1ホッパー21の前面における中央部には、入力軸を覆う入力軸カバー28が取り付けられている。
また、第1収容体11は、第1ホッパー21の側面と近接して対向する左右の側板29を有し、この各側板29の上部には、側方に向かって開口する内部空間31aを有する展開時嵌合受け体31が取り付けられている。各側板29の下部にはピン取付板32が取り付けられ、このピン取付板32にピン33が取り付けられている。
第1収容体11は、左右方向長手状で断面コ字状の後フレーム35を有し、この後フレーム35の中央側の2箇所には、後方に向かって開口する内部空間36aを有する折畳時嵌合受け体36が取り付けられている。この折畳時嵌合受け体36には連結棒37の上端部が連結され、この連結棒37の下端部がベース枠38に連結されている。また、後フレーム35は、第1ホッパー21の後面に取り付けられた支持板39で支持されている。
第1回転体12は、第1収容体11の第1ホッパー21内における底面付近で回転する左右方向長手状の回転軸40を有し、この回転軸40には、被散布物を第1ホッパー21の散布口側に送る複数の繰出羽根(図示せず)が取り付けられている。
第1係合体13は、図5に示すように、第1回転体12の回転軸40の軸方向端部に固着され、第1ホッパー21外に位置している。この第1係合体13は、周方向に間隔をおいて並ぶ複数の係合爪部13aを有している。
左右の各第2作業部(延長作業部)4は、第1作業部3の第1収容体11の左右方向端部に上下方向の回動中心軸6を中心として水平方向に180度回動可能に取り付けられ、被散布物が収容される第2収容体41と、この第2収容体41内で回転しながら被散布物を第2収容体41の散布口側に送る左右方向軸状の繰出用の第2回転体42と、この第2回転体42の軸方向端部である内端部に固着され、第1係合体13と係脱可能に係合する動力伝達用の第2係合体(他方側クラッチ)43とを有している。
そして、第2係合体43は、第2作業部4の展開状態時には第1係合体13との係合により第1回転体12側からの動力を第2回転体42側に伝達するが、第2作業部4の折畳状態時には第1係合体13とは係合せず第1回転体12側からの動力を第2回転体42側に伝達しないものである。なお、これら第1係合体13と第2係合体43とによってクラッチ手段44が構成されている。
第2収容体41は、開口部である上面開口部46aから被散布物が投入されて収容される左右方向長手状で箱状の収容本体である第2ホッパー(延長ホッパー)46と、この第2ホッパー46の上面開口部46aを開閉する第2開閉蓋47とを有している。
そして、前記第1収容体11の第1ホッパー21と同様、第2ホッパー46の底面には、左右方向に間隔をおいて並ぶ複数の散布口(図示せず)が形成されており、これら複数の散布口は細長板状の開閉部材であるシャッター50によって開閉される。シャッター50には、第2ホッパー46の散布口に対応する複数の開口が形成されている。そして、シャッター50は、駆動手段であるシャッター開閉用シリンダ51の作動に基づいて、シャッター開閉リンク52が作動することで、第2ホッパー46の底面に沿って摺動して散布口を開閉する。なお、第2ホッパー46内における底面付近には、第2回転体42が回転可能に配置されている。
第2ホッパー46の前面には複数の支持板53が取り付けられ、これら複数の支持板53によって2本の前フレーム54が支持されている。下側の前フレーム54には作溝輪用ホルダー55が取り付けられ、この作溝輪用ホルダー55には、散布装置1の外端部に位置する接地輪である作溝輪56が上下位置調整可能(つまり肥料の種類や風の強弱等に応じて高さ調整可能)に取り付けられている。
そして、作溝輪56は、作業時に回転しながら圃場面に溝を形成して跡をつける。それゆえ、作業者は、その跡を目印として前工程の作業外端位置が分かるため、幅広の散布作業でも重ね播きや隙間発生を防止できる。また、作溝輪56は、作業時に機体重量を支えるため、散布装置1の飛び跳ねがなく安定した散布作業ができる。
また一方、第2収容体41は、第2ホッパー46の側面と近接して対向する左右の側板57を有している。第1収容体11の側板29と対向する内側の側板57の上部には、第2作業部4の展開状態時に展開時嵌合受け体31と嵌脱可能に嵌合する突出状の展開時嵌合体61が取り付けられている。また、この内側の側板57の下部には、第2作業部4の展開状態時にピン33と係脱可能に係合する凹状の係合板62が取り付けられている。
さらに、第2収容体41は、左右方向長手状で断面コ字状の後フレーム63を有し、この後フレーム63は、第2ホッパー46の後面に取り付けられた支持板64で支持されている。そして、後フレーム63には、第2作業部4の折畳状態時に折畳時嵌合受け体36と嵌脱可能に嵌合する突出状の折畳時嵌合体66が取り付けられている。この折畳時嵌合体66には、上方に向かって開口するロック用係合部であるロック用係合孔部67が形成されている。
第2回転体42は、第2収容体41の第2ホッパー46内における底面付近で回転する左右方向長手状の回転軸68を有し、この回転軸68には、被散布物を第2ホッパー46の散布口側に送る複数枚の繰出羽根69が取り付けられている。
第2係合体43は、図5に示すように、第2回転体42の回転軸68の軸方向端部である内端部に固着され、第2ホッパー46外に位置している。この第2係合体43は、周方向に間隔をおいて並ぶ複数の係合爪部43aを有している。そして、第2作業部4の展開状態時には、第1係合体13の係合爪部13aと第2係合体43の係合爪部43aとが互いに係合して第1回転体12側からの動力を第2回転体42側に伝達するが、第2作業部4の折畳状態時には両係合爪部13a,43a同士の係合が解除されて動力伝達が遮断される。
左右の各ロック手段10は、図7ないし図9にも示すように、第1作業部3の折畳時嵌合受け体36の取付部であるアーム取付部70に上下方向に回動可能に取り付けられ、回動によりロック状態及びロック解除状態になる長手状の操作体であるロックアーム71と、このロックアーム71の回動に応じて上下動(移動)するロック体であるロックピン72と、このロックピン72を上方に向けて付勢する付勢体であるコイルバネ73とを有している。
そして、作業者がロックアーム71を略横向きのロック解除状態から斜め上向きのロック状態になるように一方向(ロック方向)に回動操作した場合には、ロックピン72は、ロックアーム71の基端側のカム面93によって押されることにより、コイルバネ73の付勢力に抗して下動して折畳時嵌合体66のロック用係合孔部67に挿入される。その結果、第2作業部4は、第1作業部3に対してロックされ、第1作業部3に対して回動不能な状態となる。
また、作業者がロックアーム71をロック状態からロック解除状態となるように他方向(ロック解除方向)に回動操作した場合には、ロックピン72は、コイルバネ73の付勢力に基づいて上動して折畳時嵌合体66のロック用係合孔部67から抜き出される。その結果、ロック手段10による第2作業部4のロックが解除され、この第2作業部4は、第1作業部3に対して回動可能な状態となる。
ここで、折畳時嵌合受け体36のアーム取付部70は、互いに対向する2枚の取付板75からなり、これら両取付板75の上部には、ロックアーム71の基端部が取付手段76を介して前後方向の回動中心軸線(回動支点)Xを中心として上下方向に回動可能に取り付けられている。なお、取付手段76は、例えばボルト77、ナット78、ワッシャ79及びカラー80によって構成されている。
また、各取付板75には4つのピン取付用孔81が形成され、そのうちの2つのピン取付用孔81には、ロックアーム71の回動を規制してロックアーム71を所望状態に位置決め保持する回動規制用のストッパピンであるスプリングピン82が取り付けられている。このため、ロックアーム71は、第1作業部3のアーム取付部70に対して所定の回動範囲(例えば120度)内で回動可能となっている。
なお、図8及び図9に示すロックアーム71は、左側の第2作業部4をロックするための左側のものであるが、それとは左右対称の右側のロックアーム71に関しては、それを所望状態(ロック状態、ロック解除状態)に位置決め保持するスプリングピン82の取付位置は左右対称(図8及び図9中の不使用のピン取付用孔81)となる。つまり、4つのピン取付用孔81が形成された取付板75は、左右兼用の構成となっている。また、左右のロックアーム71がロック状態時に互いに干渉しないように、右側の第2作業部4では、ロックアーム71及びカラー80が前後逆に組み付けられている。
また、前後の両取付板75には固定板85が架設され、この固定板85の中央部にはピン挿通用孔86が形成されている。このピン挿通用孔86には、ロックピン72の軸部87が上下方向に摺動可能に挿通されている。このロックピン72の軸部87の上端部には鍔部88が突設され、軸部87の中間部には環状部材である止め輪89が装着されている。軸部87の下端側は、折畳時嵌合受け体36の上板部83の孔部90に差し込まれており、ロックアーム71のロック状態時には折畳時嵌合体66のロック用係合孔部67に進入する。
さらに、ロックピン72の軸部87の外周側にはコイルバネ73が設けられ、このコイルバネ73の上端が止め輪89に当接しかつ下端が上板部83における孔部90の周囲部分の上面に当接している。また、ロックピン72の上面には、ロックアーム71のカム面93が常時当接している。このため、カム面93の作用によりロックアーム71の回動に応じてロックピン72が上下動し、その結果、ロックピン72は第2作業部4の折畳時嵌合体66のロック用係合孔部67に対して挿入出される。
また、ロックアーム71は、作業者が直接操作する所定長さを有する1本の長手状のもので、作業者が把持する棒状のハンドル部91を先端側に有し、略円板状のカム部92を基端側に有している。このカム部92には、ロックピン72と摺接する湾曲状のカム面93が形成されている。
さらに、ロックアーム71は、このロックアーム71のロック状態時において、第1作業部3の上面(第2作業部4の上面も同じ高さに位置する)よりも上方に突出して位置する部分であって、トラクタに乗った作業者が乗ったままで目視可能なロック確認部95を有している。このロック確認部95は、例えば長手状のロックアーム71のうち、ロック状態時に第1作業部3よりも上方に位置するハンドル部91を含む先端側の部分である。
また、このロック確認部95は、散布装置1の吊り上げの際(例えば散布装置1全体を吊り上げてクレーン付きトラックの荷台に載せる場合等)に、吊上部材96と係合する環状の係合部分である環状部分97を有している。なお、吊上部材96は、例えばトラックに設けられたクレーンのフックである。
そして、左右の両第2作業部4に対応した左右のロックアーム71のロック確認部95は、両ロックアーム71のロック状態時には、図5及び図6に示すように、第1作業部3よりも上方の位置でかつ第1作業部3の左右方向中央位置において、前後に近接対向して重なるように互いに交差状に位置する。このため、互いに近接対向した両環状部分(中央の1箇所の吊り位置部分)97に対して、吊上部材96であるフックを直接引っ掛けることが可能である。
また一方、ロックアーム71のロック解除状態時には、ハンドル部91の先端部は、第1作業部3の側面よりも側方に突出して位置するため、作業者はその突出部分を把持してロックアーム71を容易に操作可能である(図6参照)。
なお、ロックアーム71は、図4に示されるように、例えば細長い板状部材98と、この板状部材98の先端部の後面に固着されたU字状の屈曲棒99と、この板状部材98の先端部に固着された直棒100とによって構成されている。そして、吊り上げ時に使用する環状部分97は、U字状の屈曲棒99と板状部材98の先端部とからなる部分である。
また、散布装置1は、中央の第1作業部3のシャッター開閉用シリンダ25と、左右の第2作業部4のシャッター開閉用シリンダ51とを個別に制御する制御手段101を備えている。制御手段101は、図示しない遠隔操作手段であるリモコンからの信号に基づいて、3つの各シャッター開閉用シリンダ(電動シリンダ)25,51を制御する。そして、制御手段101は、例えば第2作業部4が折畳方向への回動を開始した際には、当該第2作業部4のシャッター開閉用シリンダ51を制御して散布口を自動的に全閉にする。
一方、左右の2つの回動用シリンダ5は、例えば油圧シリンダで、トラクタの外部油圧装置に油圧ホースを介して接続され、トラクタの運転席にあるスイッチ操作に基づき当該外部油圧装置のバルブによって制御される。なお、回動用シリンダ5は、油圧シリンダには限定されず、例えば電動シリンダや電動油圧シリンダ等でもよく、各シャッター開閉用シリンダと同様、制御手段101で制御するようにしてもよい。
さらに、散布装置1は、図10ないし図14に示すように、左右の両第2作業部4の折畳状態時に第1ホッパー21の上面開口部21aと両第2ホッパー46の上面開口部46aとの間の部分(例えば左右方向長手状の隙間S1を含む部分)の上方を覆うことが可能な覆い部である第1覆い板(流し込み大板)111と、左右の両第2作業部4の折畳状態時に両第2ホッパー46の上面開口部46a間の部分(例えば前後方向長手状の隙間S2を含む部分)の上方を覆うことが可能な覆い部である第2覆い板(流し込み小板)112とを備えている。
すなわち、散布装置1は、両第2作業部4の折畳状態時において、例えばクレーンを使用して大型の収納袋内の被散布物を当該収納袋内から排出して互いに隣接する3つのホッパー(つまり第1ホッパー21である中央ホッパー、第2ホッパー46である左ホッパー46L及び右ホッパー46R)内に同時に投入(補給)する際に、被散布物が隙間S1,S2を通ってホッパー外にこぼれないように、少なくとも隙間S1,S2の上方を覆う上下方向に回動可能な板状の覆い部材である覆い板111,112を備えている。
第1覆い板(折畳時第1第2間覆い体)111は、例えば第1ホッパー21の左右方向の長さ寸法と略同じ長さの細長い板状のもので、上方に向かって凸の断面山型状に形成されている。
つまり、第1覆い板111は、被散布物を前方の第1ホッパー21の上面開口部21a側に向けて案内する前下り傾斜状の前傾斜板部(一方の傾斜板)114と、被散布物を後方の第2ホッパー46の上面開口部46a側に向けて案内する後下り傾斜状の後傾斜板部(他方の傾斜板)115とを有している。前傾斜板部114の前端部における複数箇所(例えば4箇所)には左右方向の軸部116が固着され、この各軸部116には抜止め用のスプリングピン117が取り付けられている。
第1覆い板111の軸部116は、断面L字状の取付板120の鉛直板部120aに回動可能に取り付けられている。つまり、第1覆い板111は、第1ホッパー21の取付板(覆い板取付部)120に左右方向の回動中心軸線(軸部の軸芯を通る線)Aを中心として上下方向(前後方向)に回動可能に取り付けられている。こうして、第1覆い板111は、第1ホッパー21の上面後端側に回動可能に設けられている。
第1ホッパー21の取付板120は、取付手段122によって第1ホッパー21の内部フレーム121の上面に脱着可能に取り付けられている。なお、取付手段122は、例えばボルト123、ナット124及びワッシャ125によって構成されている。
そして、第1覆い板111は、後傾斜板部115の裏面が第2ホッパー46の当接受け部126に当接するまで、第1ホッパー21に対して回動中心軸線Aを中心として一方向へ回動(例えば170度回動)することで、隙間S1を覆って閉鎖する作用状態となる。このとき、第1覆い板111は、第1ホッパー21よりも後方に突出し、この第1ホッパー21と左右2つの両第2ホッパー46とに跨った状態となる。
また、第1覆い板111は、前傾斜板部114の表面が第1ホッパー21の内部フレーム121の上面に当接するまで、第1ホッパー21に対して回動中心軸線Aを中心として他方向へ回動(例えば170度回動)することで、隙間S1を上方に向けて開放する非作用状態(図11の2点鎖線で示す状態)となる。
なお、左右方向長手状の隙間S1は、第1ホッパー21の後板128と左右の両第2ホッパー46の後板129との間に位置する空間部である。
第2覆い板(折畳時両第2間覆い体)112は、例えば第2ホッパー46の前後方向の長さ寸法と略同じ長さの板状のもので、断面L字状に形成されている。
つまり、第2覆い板112は、前後方向に長い矩形状の本体板部131と、この本体板部131の短手方向端部に直交状に連設された折曲板部132とを有している。この折曲板部132の長手方向両端部には板状の軸部133が突設され、この各軸部133には抜止め用のピン134が取り付けられている。
第2覆い板112の軸部133は、断面L字状の取付板135の鉛直板部135aに回動可能に取り付けられている。つまり、第2覆い板112は、第2ホッパー46の取付板(覆い板取付部)135に前後方向の回動中心軸線(軸部の軸芯を通る線)Bを中心として上下方向(左右方向)に回動可能に取り付けられている。こうして、第2覆い板112は、左右いずれか一方、例えば左側の第2ホッパー46(46L)の上面外端側に回動可能に設けられている。また、左側の第2ホッパー46の取付板135は、取付手段136によって第2ホッパー46の側板137の上面に脱着可能に取り付けられている。
そして、第2覆い板112は、本体板部131の裏面が右側の第2ホッパー46の側板137の上面に当接するまで、左側の第2ホッパー46に対して回動中心軸線Bを中心として一方向へ回動(例えば180度回動)することで、隙間S2を覆って閉鎖する作用状態となる。このとき、第2覆い板112は、左側の第2ホッパー46よりも右側方に突出し、この左側の第2ホッパー46とこれに隣接する右側の第2ホッパー46とに跨った状態となる。
また、第2覆い板112は、本体板部131の表面が左側の第2ホッパー46内の被散布物の上面に当接するまで、左側の第2ホッパー46に対して回動中心軸線Bを中心として他方向へ回動(例えば180度回動)することで、隙間S2を上方に向けて開放する非作用状態(図13の2点鎖線で示す状態)となる。このとき、第2覆い板112は、本体板部131上に載った被散布物を左側の第2ホッパー46内に落下させつつ、当該左側の第2ホッパー46内にその全体が収納される。
そして、例えば図14に示すように、左側の第2ホッパー46内の被散布物がなくなった場合には、第2覆い板112は、非作用状態のまま第2ホッパー46内で回動中心軸線Bを中心として自重で下方回動する。
なお、前後方向長手状の隙間S2は、左側の第2ホッパー46の側板137と右側の第2ホッパー46の側板137との間に位置する空間部である。また、この図示した第2覆い板112は、断面L字状のものであるが、例えば第1覆い板111の如く、上方に向かって凸の断面山型状に形成してもよい。
また、図15に示すように、第2ホッパー46の上面開口部46aを開閉可能な第2開閉蓋47は、第2ホッパー46に対して脱着可能となっている。
つまり、第2開閉蓋47は、作業者が把持する取手部139が突設された矩形板状の蓋部140を有し、この蓋部140の長手方向に沿った端部の複数箇所には軸部141が設けられている。そして、これら軸部141が取付板142の孔部143に挿入され、この挿入された軸部141に抜止め用のピン144が取り付けられる。
このようにして、第2開閉蓋47は、第2ホッパー46に軸部141を中心として上下方向に回動可能に取り付けられる。また、第2ホッパー46と第2開閉蓋47との間には、この第2開閉蓋47を所望の開状態及び閉状態に維持するための付勢手段145が架設される。なお、付勢手段145は、第2開閉蓋47の突出板146に抜止めピン149によって脱着可能に取り付けられる回動棒147と、この回動棒147に装着された付勢部材であるコイルバネ148とを有している。
そして、例えば被散布物の投入(補給)の際に、作業者が第2ホッパー46の後方側から被散布物を均す場合には、作業者は第2開閉蓋47を第2ホッパー46から簡単に取り外すことが可能である。
なお、図16に示すように、例えば第2開閉蓋47が第2ホッパー46に対して左右方向の軸部150を中心として270度回動する構成としてもよい。この構成とした場合には、第2開閉蓋47を取り外すことなく、作業者は第2ホッパー46の後方側から被散布物を均すことが可能である。
次に、散布装置1の作用等を説明する。
中央の第1作業部3と左右の両第2作業部4とで散布作業をする場合には、両第2作業部4を展開状態にする。
この場合、第1作業部3に対して第2作業部4を回動中心軸6を中心として展開方向へ180度回動させると、展開時嵌合体61が、展開時嵌合受け体31の内部空間31aに進入してこの展開時嵌合受け体31と嵌合する。これにより、第2作業部4の展開時嵌合体61が、第1作業部3の展開時嵌合受け体31によって保持される。
そして、トラクタの走行により、展開した散布装置1を進行方向に移動させることで、最大幅で散布作業を行うことができる。
また、中央の第1作業部3と左右いずれか一方の第2作業部4とで散布作業をする場合には、いずれか他方の第2作業部4を折畳状態にする。また、中央の第1作業部3のみで散布作業をする場合や、散布装置1を運搬する場合等には、左右の両第2作業部4を折畳状態にする。
ここで、第2作業部4を折畳状態にする際には、ロック手段10によって第2作業部4を第1作業部3に対してロックする。
すなわち、まず、第1作業部3に対して第2作業部4を回動中心軸6を中心として折畳方向へ180度回動させると、折畳時嵌合体66が、折畳時嵌合受け体36の内部空間36aに進入してこの折畳時嵌合受け体36と嵌合する。これにより、第2作業部4の折畳時嵌合体66が、第1作業部3の折畳時嵌合受け体36によって保持される。
その後、作業者は、ハンドル部91を把持して、ロックアーム71を回動中心軸線Xを中心としてロック方向へ120度回動操作する。
すると、ロックピン72は、ロックアーム71のカム面93で押されることにより、コイルバネ73の付勢力に抗して下動して、折畳時嵌合体66のロック用係合孔部67に挿入される。その結果、折畳状態の第2作業部4は、第1作業部3に対してロックされる。このとき、ロックアーム71のロック確認部95は、第1作業部3の上面よりも上方に突出して位置している。
そして、例えば折り畳んだ散布装置1を吊り上げてクレーン付きトラックの荷台に載せる際には、第1作業部3よりも上方の位置で交差した突出状のロックアーム71の両環状部分(吊り位置部分)97に対して、クレーンの吊上部材96であるフックを直接引っ掛ける。その後、クレーンを作動させることで、散布装置1を所望高さまで吊り上げてトラックの荷台に載せる。
なお、第2作業部4で散布作業をするに際し、ロック手段10によるロックを解除する場合には、作業者は、ハンドル部91を把持して、ロックアーム71を回動中心軸線Xを中心としてロック解除方向へ120度回動操作する。すると、ロックピン72は、コイルバネ73の付勢力に基づいて上動して折畳時嵌合体66のロック用係合孔部67から抜き出される。
また一方、例えば大型の収納袋内に収納された被散布物(例えば肥料)を、散布装置1の3つのホッパー、すなわち中央の第1ホッパー21及び左右の第2ホッパー46に対してまとめて同時に投入する際には、作業者は、図10に示すように、両第2作業部4を折り畳んだ状態で、第1開閉蓋22及び第2開閉蓋47を開状態にする。
次いで、作業者は、第1覆い板111を回動中心軸線Aを中心として回動させて作用状態にし、かつ、第2覆い板112を回動中心軸線Bを中心として回動させて作用状態にする。すると、第1覆い板111によって隙間S1の全体(略全体を含む)が閉鎖され、かつ、第2覆い板112によって隙間S2の全体(略全体を含む)が閉鎖される。
次いで、作業者は、例えばクレーン等で大型の収納袋(フレキシブルバッグ等)を持ち上げて、3つのホッパー21,46の上方に位置させてから、その収納袋を開く。すると、被散布物は、大型の収納袋内から排出され、開口した上面開口部21a,46aから3つのホッパー21,46内に同時に投入される。
この際、互いに近接状に隣接するホッパー21,46間の隙間S1,S2が覆う部である覆い板111,112で覆われて閉鎖されているので、被散布物は、隙間S1,S2からホッパー21,46外へこぼれるようなことがない。
また、ホッパー21,46内に投入された被散布物を上面が略平らになるように均す場合には、作業者は、第2開閉蓋47を第2ホッパー46から取り外して、第2ホッパー46の後方側から被散布物を均す。なお、被散布物を投入する前に予め第2開閉蓋47を取り外してもよく、また図16に示す構成であれば第2開閉蓋47を取り外す必要はない。
また、被散布物の投入後において、作業者は、第1覆い板111を回動させて非作用状態(格納状態)に戻してから第1開閉蓋22を閉状態にして第1ホッパー21の上面開口部21aを閉じるとともに、第2覆い板112を回動させて非作用状態(格納状態)に戻してから第2開閉蓋47を閉状態にして第2ホッパー46の上面開口部46aを閉じる。
このとき、第1覆い板111上に載った被散布物は、第1覆い板111の回動(上下反転)によって第1ホッパー21内に投入され、また、第2覆い板112上に載った被散布物は、第2覆い板112の回動(上下反転)によって第2ホッパー46内に投入される。
そして、このような散布装置1によれば、第1覆い板111及び第2覆い板112を備えることから、被散布物の投入時(補給時)に大型の収納袋内の被散布物を3つのホッパー21,46に対してまとめて同時に投入できるため、大型の収納袋にも対応でき、被散布物を効率よく投入できる。
また、第1覆い板111は上方に向かって凸の断面山型状に形成されているため、第1覆い板111によって前後のホッパー21,46側に向けて被散布物をスムーズに案内することができる。
さらに、散布装置1の左右の外端部に位置する作溝輪56を備えることから、トラクタに乗った作業者は作溝輪56による跡を目印として前工程の作業外端位置が分かるため、被散布物の重ね播きや被散布物が播かれない隙間の発生を防止でき、しかも、散布装置1の飛び跳ねがなく安定した散布作業ができる。
また一方、ロック手段10のロックアーム71は、少なくともロック状態時において、トラクタに乗った作業者が目視可能なロック確認部95を有するため、トラクタに乗った作業者は、乗ったまま後方を見るだけでロックアーム71の状態を容易に確認できる。よって、当該作業者は、ロック手段10によって第2作業部4がロックされていることを容易に確認できる。
また、ロックアーム71のロック確認部95は、散布装置1の吊り上げの際に吊上部材96と係合する環状部分97を有するため、ロックアーム71を用いて散布装置1を容易に吊り上げることができる。
さらに、左右のロックアーム71のロック確認部95は、両ロックアーム71のロック状態時には第1作業部3よりも上方の位置で互いに交差状に近接して位置するため、フックで交点を直接吊ることで吊上用のスリング(例えば吊ベルトや吊チェーン等)を使用することなく、散布装置1を容易かつ適切に吊り上げることができる。
また、ロック手段10は、ロックアーム71のロック状態時には折畳時嵌合体66のロック用係合孔部67と係合するが、ロックアーム71のロック解除状態時には当該ロック用係合孔部67と係合しない移動可能なロックピン72と、このロックピン72を折畳時嵌合体66のロック用係合孔部67との係合位置から当該ロック用係合孔部67と係合しない位置(非係合位置)まで移動させるコイルバネ73とを有するため、簡単な構成のロック手段10によって第2作業部4を適切にロックできる。
さらに、中央側の第1作業部3は、展開時に第2作業部4の展開時嵌合体61を保持する展開時嵌合受け体31と、折畳時に第2作業部4の折畳時嵌合体66を保持する折畳時嵌合受け体36とを有するため、展開時及び折畳時のいずれにおいても、第2作業部4が自重で下がるのを防止できる。
また、第1係合体13及び第2係合体43からなるクラッチ手段44を備えるため、第2作業部4の展開状態時には第1回転体12側からの動力を第2回転体42側へ適切に伝達でき、第2作業部4の折畳状態時にはその動力伝達を適切に遮断できる。
さらに、第2作業部4の折畳状態時には、回動用シリンダ5は、第2作業部4の断面コ字状の後フレーム63内に入り込むため、折り畳んだ散布装置1のコンパクト化を図ることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について図17を参照して説明する。
この第2の実施の形態に係る散布装置1は、両第2作業部4の展開状態時に中央の第1ホッパー21の上面開口部21aと左側の第2ホッパー46(46L)の上面開口部46aとの間の部分(例えば前後方向長手状の隙間を含む部分)の上方を覆うことが可能な覆い部である左覆い板(流し込み小板)151と、両第2作業部4の展開状態時に中央の第1ホッパー21の上面開口部21aと右側の第2ホッパー46(46R)の上面開口部46aとの間の部分(例えば前後方向長手状の隙間を含む部分)の上方を覆うことが可能な覆い部である右覆い板(流し込み小板)152とを備えている。
左覆い板151は、前記第2覆い板112と同じ構成のもので、第1ホッパー21の上面左端側に上下方向に回動可能に設けられている。また、右覆い板152も、前記第2覆い板112と同じ構成のもので、第2ホッパー46の上面左端側に上下方向に回動可能に設けられている。
そして、この第2の実施の形態でも、被散布物を効率よく投入できる等、前記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
次に、本発明の第3の実施の形態について図18及び図19を参照して説明する。
この第3の実施の形態に係る散布装置1では、各第2作業部4の左右方向長さ寸法が第1作業部3の左右方向長さ寸法と同じであり、両第2作業部4の折畳状態時には3つの作業部3,4が3列となる。すなわち例えば図18に示すように、左右の両第2作業部4の折畳状態時には、中央の第1ホッパー21の後方に右側の第2ホッパー46(46R)が位置し、この右側の第2ホッパー46(46R)の後方に左側の第2ホッパー46(46L)が位置する。
また、この散布装置1は、図19に示すように、両第2作業部4の折畳状態時に第1ホッパー21の上面開口部21aとこれの後方に隣接して位置する右側の第2ホッパー46(46R)の上面開口部46aとの間の部分(例えば左右方向長手状の隙間S3を含む部分)の上方を覆うことが可能な覆い部である前覆い板(流し込み大板)156と、両第2作業部4の折畳状態時に右側の第2ホッパー46(46R)の上面開口部46aとこれの後方に隣接して位置する左側の第2ホッパー46(46L)の上面開口部46aとの間の部分(例えば左右方向長手状の隙間S4を含む部分)の上方を覆うことが可能な覆い部である後覆い板(流し込み大板)157とを備えている。
前覆い板156は、前記第1覆い板111と同じ構成のもので、第1ホッパー21の上面後端側に上下方向に回動可能に設けられている。また、前覆い板156よりも後方でそれと平行に位置する後覆い板157も、前記第1覆い板111と同じ構成のもので、右側の第2ホッパー46(46R)の上面後端側に上下方向に回動可能に設けられている。
なお、左右方向長手状の隙間S3は、1列目の第1ホッパー21と2列目の第2ホッパー46(46R)との間に位置する空間部である。左右方向長手状の隙間S4は、2列目の第2ホッパー46(46R)と3列目の第2ホッパー46(46L)との間に位置する空間部である。
そして、この第3の実施の形態でも、被散布物を効率よく投入できる等、前記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
なお、上述したいずれの実施の形態においても、覆い部(第1覆い板111,第2覆い板112,左覆い板151、右覆い板152、前覆い板156、後覆い板157)は、上下方向に回動可能に設けられたものには限定されず、例えばホッパーに対して移動可能なものや脱着可能なもの等でもよい。
また、覆い部は、1枚板状の板部材からなるものには限定されず、例えばそれぞれ独立した複数枚の分割板からなるもの等でもよい。
さらに、覆い部は、隣接するホッパー間の隙間を含む部分(つまり隙間とこの隙間に臨んだホッパー開口縁)を覆うものには限定されず、例えばホッパー間の隙間のみを覆うようにしてもよい。
また、覆い部は、上方へ凸の断面山型状(屈曲板や湾曲板を含む)であって、互いに隣接する両ホッパーのうちの一方のホッパー側に向けて被散布物を案内する一方側案内部と、他方のホッパー側に向けて被散布物を案内する他方側案内部とを有した形状のものが好ましいが、例えば互いに隣接する両ホッパーのいずれかのみに向けて被散布物を案内する傾斜板状のもの等でもよい。
さらに、覆い部は、作業者が手動で回動させるものには限定されず、例えばモータやシリンダ等の駆動手段からの動力で覆い部が動く構成等でもよい。
また一方、散布装置1は、回動用シリンダ5等の回動駆動手段を備えたものには限定されず、例えば第2作業部を第1作業部に対して手動で回動させる手動式の構成でもよい。
また、折り畳み可能な農作業機は、3分割には限定されず、例えば2分割や4分割以上の構成でもよい。
なお、本発明のいくつかの実施の形態およびその変形例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、前記各実施の形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。