JP6982773B2 - 水廻り部材 - Google Patents

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Description

本発明は、水廻り部材に関する。
従来、表面に複数の小突起を設けた浴室用床シートが知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の浴室用床シートは、複数の小突起が設けられていることで、防滑性を有する。
特開2012−158914号公報
しかしながら、上記従来の浴室用床シートでは、表面に付着した液滴が残留し、速乾性が悪いという問題がある。
そこで、本発明は、優れた速乾性を有する水廻り部材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る水廻り部材は、目地を上面に有する水廻り部材であって、前記上面に設けられた、複数の凸部と複数の凹部とを有する凹凸構造を備え、前記複数の凸部及び前記複数の凹部の各々は、第1方向に沿って長尺であり、かつ、前記第1方向に交差する第2方向に交互に並んで設けられ、前記第2方向における前記凸部及び前記凹部の各々の幅は、マイクロメートルオーダーであり、前記第1方向は、前記目地に対して交差する方向である。
本発明によれば、優れた速乾性を有する水廻り部材を提供することができる。
図1は、実施の形態に係る水廻り部材が設けられた浴室を示す図である。 図2は、実施の形態に係る水廻り部材の一部を拡大して示す斜視図である。 図3は、図2のIII−III線における水廻り部材の断面図である。 図4は、実施の形態に係る水廻り部材の凹凸構造を示す斜視図である。 図5は、図4のV−V線における凹凸構造及びフィルム部材の断面図である。 図6Aは、実施の形態に係る凹凸構造の別の一例を示す断面図である。 図6Bは、実施の形態に係る凹凸構造の別の一例を示す断面図である。 図7は、実施の形態に係る水廻り部材のフィルム部材の製造方法の各工程を示す断面図である。
以下では、本発明の実施の形態に係る水廻り部材について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
また、本明細書において、平行又は直交などの要素間の関係性を示す用語、及び、正方形又は長方形などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
また、本明細書及び図面において、x軸、y軸及びz軸は、三次元直交座標系の三軸を示している。各実施の形態では、水廻り部材の表面に平行な二軸をx軸及びy軸とし、当該表面に直交する方向をz軸方向としている。x軸の正方向は、水廻り部材の主な排水方向である。水廻り部材の表面は、排水性能を高めるため、水平面に対して傾斜している。このため、z軸方向は、鉛直方向に対して傾斜している。なお、本明細書において、「平面視」とは、水廻り部材の表面に対して垂直な方向から見たときのことをいう。
(実施の形態)
[概要]
まず、本実施の形態に係る水廻り部材1の概要について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る水廻り部材1が設けられた浴室90を示す図である。
水廻り部材1は、図1に示すように、浴室90の床91に利用される浴室用の床材である。水廻り部材1は、床91に設けられた排水溝92に向かって水を速やかに流すことができる。
なお、水廻り部材1は、図1に示す浴室90に配置された浴槽93の底94に設けられていてもよい。水廻り部材1は、浴室90に限らず、洗面台若しくはキッチンなどの流し台(シンク)の底、排水溝、又は、水気のある部屋若しくは通路の床などに用いられてもよい。
以下では、水廻り部材1の具体的な構成について、図2及び図3を用いて詳細に説明する。
[構成]
図2は、本実施の形態に係る水廻り部材1の一部を拡大して示す斜視図である。図3は、図2のIII−III線における水廻り部材1の断面図である。
図2及び図3に示すように、水廻り部材1は、床部材10と、フィルム部材20と、凹凸構造30とを備える。水廻り部材1は、目地11を上面に有する。
床部材10は、目地11が表面に設けられている。図3に示すように、床部材10は、目地11と、平坦部12とを有する。
目地11は、床部材10の表面に設けられた網目状の溝である。図2に示すように、目地11は、例えば、通し目地(「いも目地」とも言う)であり、複数の縦溝11aと複数の横溝11bとを有する。
複数の縦溝11aは、互いに平行で、かつ、等間隔に並んでいる。複数の横溝11bは、互いに平行で、かつ、等間隔に並んでいる。複数の縦溝11aと複数の横溝11bとは、各々が互いに直交している。
隣り合う2本の縦溝11aと、隣り合う2本の横溝11bとで囲まれた部分が平坦部12である。平坦部12は、床部材10の表面の平坦な部分である。平坦部12は、xy平面に平行である。
縦溝11aの並び間隔と横溝11bの並び間隔とは、例えば同じである。この場合、平坦部12の正面視形状は正方形である。縦溝11aの並び間隔と横溝11bの並び間隔とは、異なっていてもよい。この場合、平坦部12の正面視形状は長方形である。また、縦溝11aと横溝11bとは、斜めに交差していてもよい。この場合、例えば、平坦部12の正面視形状は平行四辺形又は菱形である。
縦溝11a及び横溝11bの各々の幅は、ミリメートルオーダーである。例えば、縦溝11a及び横溝11bの各々の幅は、1mm以上4mm以下であるが、これに限らない。縦溝11a及び横溝11bの各々の幅は、1mmより短くてもよく、4mmより長くてもよい。なお、縦溝11aの幅は、縦溝11aの短手方向(すなわち、y軸方向)における長さである。横溝11bの幅は、横溝11bの短手方向(すなわち、x軸方向)における長さである。
図3に示すように、縦溝11aの断面形状は、逆台形であるが、これに限らない。縦溝11aの断面形状は、V字形状でもよく、U字形状でもよい。なお、縦溝11aの断面形状は、テーパーを有しない長方形又は正方形でもよい。横溝11bの断面形状は、例えば、縦溝11aの断面形状と同じであるが、異なっていてもよい。
本実施の形態では、床部材10の全体が排水方向に向かって下方に傾斜している。具体的には、図2に示すように、縦溝11aは、x軸の正方向で表される排水方向に平行に延びている。縦溝11aは、水平面に対して傾斜角φで傾斜している。横溝11bは、y軸方向で表される水平方向に平行に延びている。平坦部12は、水平面に対して傾斜角φで傾斜している。
床部材10は、人が上に立つことが前提とされる。このため、人が立ったときの床が斜めになっていることによる違和感を減らすため、傾斜角φは、例えば1.2度以下であり、一例として1.1度である。
床部材10は、例えば、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂などから形成される。具体的には、床部材10は、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)、又は、ガラス繊維を含有するSMC(Sheet Molding Compound)材料から形成される。あるいは、床部材10は、アクリル又はポリエステルなどを主成分として含む人工大理石から形成されてもよい。床部材10は、例えば、SMC材料を用いたプレス成型により形成される。
フィルム部材20は、床部材10の表面に沿って設けられている。具体的には、図3に示すように、フィルム部材20は、目地11と平坦部12との各々を覆うように設けられている。フィルム部材20の厚さは、略均等である。図3に示すように、フィルム部材20の上面には、床部材10の目地11の形状と略同じ形状の溝が形成されている。
図4は、本実施の形態に係る水廻り部材1の凹凸構造30を示す斜視図である。図4に示すように、フィルム部材20の上面には、凹凸構造30が設けられている。
また、凹凸構造30は、目地11にも設けられている。具体的には、図4に示すように、凹凸構造30は、目地11と、目地11を除く部分である平坦部12とで連続して設けられている。より具体的には、凹凸構造30は、y軸方向に沿って並んだ複数の平坦部12に亘って、平坦部12及び縦溝11aの全体に設けられている。また、凹凸構造30は、横溝11bにも設けられている。
図5は、図4のV−V線における凹凸構造30及びフィルム部材20の断面図である。図5に示すように、フィルム部材20は、基材21と、樹脂層22とを備える。
基材21は、樹脂層22を支持する部材である。基材21は、床部材10上に設けられている。具体的には、基材21は、床部材10の目地11及び平坦部12に沿って設けられている。
基材21は、例えば、樹脂フィルム、金属箔又は不織布などである。樹脂フィルムの材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)などを用いることができる。基材21の大きさ及び形状は、特に限定されない。基材21は、使用目的及び使用環境などに応じて適切な大きさ及び形状を有する。
樹脂層22は、基材21上に設けられている。樹脂層22は、例えば、紫外線硬化樹脂などの光硬化性樹脂材料を用いて形成される。紫外線硬化樹脂としては、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂などを用いることができる。樹脂層22の厚さは、例えば、1μm〜50μmであるが、これに限定されない。
樹脂層22は、図4及び図5に示すように、凹凸構造30を有する。凹凸構造30は、樹脂層22の上面に設けられており、水廻り部材1の最上面に設けられている。つまり、水廻り部材1を床材などに利用した場合に、凹凸構造30が最表面に露出する。
本実施の形態では、凹凸構造30を構成する材料、すなわち、樹脂層22の材料の、水に対する接触角は、90度以下である。すなわち、樹脂層22は、親水性材料を用いて形成されている。
図4及び図5に示すように、凹凸構造30は、複数の凸部31と、複数の凹部32とを有する。凹凸構造30は、ストライプ形状を有する微細凹凸構造である。ストライプ形状は、互いに略平行に延びる複数の凸部31が所定の間隔で並んだ形状である。隣り合う凸部31の間が凹部32である。
なお、ストライプ形状は、ラインとスペースとが交互に並んで設けられ、かつ、同一方向に沿って延びたラインアンドスペース形状ともいう。凸部31がラインに相当し、凹部32がスペースに相当する。
複数の凸部31及び複数の凹部32の各々は、第1方向に沿って長尺である。凸部31及び凹部32が延びる方向である第1方向は、目地11に対して交差している。具体的には、図4に示すように、第1方向は、目地11に対して直交しており、y軸方向に平行である。
本実施の形態では、第1方向は、目地11の縦溝11aに対して直交している。つまり、第1方向は、水廻り部材1の排水方向に対して直交している。なお、第1方向は、目地11の横溝11bに対して直交していてもよい。あるいは、第1方向は、縦溝11a及び横溝11bの少なくとも一方に対して斜めに交差していてもよい。
複数の凸部31及び複数の凹部32の各々は、第1方向に交差する第2方向に交互に並んで設けられている。複数の凸部31及び複数の凹部32の並び方向である第2方向は、第1方向に直交している。具体的には、図4及び図5に示すように、凸部31と凹部32とは、1つずつ交互にx軸方向に並んで設けられている。
複数の凸部31の形状は互いに同じであり、複数の凹部32の形状も互いに同じであるが、これらに限定されない。凸部31及び凹部32の形状はそれぞれ、互いに異なっていてもよい。
図5に示すように、凸部31及び凹部32の各々の断面形状は、例えば長方形又は正方形である。凸部31の幅w1及び凹部32の幅w2は、マイクロメートルオーダーである。具体的には、幅w1及びw2は、1μm以上1mm(1000μm)より短い長さである。
本実施の形態では、凸部31の幅w1は、凹部32の幅w2以下の長さである。水廻り部材1の上面を正面視した場合、複数の凸部31は、複数の凸部31と複数の凹部32とが占める面積の50%以下の面積を占めている。簡単に言い換えると、複数の凸部31が占める面積は、複数の凹部32が占める面積以下となる。凸部31の幅w1は、例えば5μm以上50μm以下の範囲であり、一例として10μmである。凹部32の幅w2は、例えば5μm以上50μm以下の範囲であり、一例として10μmである。
凹部32の幅w2に対する深さhの比、すなわち、h/w2は、0.1以上0.6以下である。なお、凹部32の深さhは、凸部31の高さに相当している。深さhは、例えば凸部31の最も高い位置から凹部32の最も低い位置までの高さで表される。
なお、凸部31の先端部分の角には、アール(丸み部分)が設けられていてもよい。凸部31の先端とは、高さ方向(z軸方向)の先端である。本実施の形態では、凸部31の断面形状(xz断面)が略矩形であるので、凸部31の上面(z軸方向の正側の面)が凸部31の先端に相当する。
丸み部分(アール)は、例えば、所定の半径の曲面である。所定の半径は、例えば、凸部31の高さhの1.4倍以下の長さである。また、アールに限らず、凸部31の先端部分の角は、凸部31の上面に対して傾斜した傾斜面でもよい。これにより、凸部31にゴミ、汚れなどが引っかかりにくくなり、防汚性を高めることができる。
また、凹凸構造30の形状は、図5に示した例に限らない。ここで、凹凸構造30の異なる形状について、図6A及び図6Bを用いて説明する。
図6Aは、本実施の形態に係る凹凸構造30の別の一例である凹凸構造30aを示す断面図である。図6Aに示すように、凹凸構造30aは、複数の凸部31aと、複数の凹部32aとを有する。凹凸構造30aは、短手方向の断面形状が異なるだけで、その他の構成は凹凸構造30と同様である。
図6Aに示すように、凸部31aの幅は、先端部分より根元部分において長い。具体的には、凸部31aの幅は、先端部分から根元部分にかけて徐々に長くなっている。凸部31aの断面形状は、例えば台形である。凸部31aの根元部分の幅wbは、先端部分の幅waより長い。
凹部32aの幅は、凸部31aとは逆に、開口側より底部側において短い。凹部32aの断面形状は、例えば逆台形である。
なお、図6Aに示す凹凸構造30aにおいて、凸部31aの幅w1及び凹部32aの幅w2は、例えば、凹部32aの深さ方向における中央地点(すなわち、高さh/2の位置)における幅で定義されるが、これに限らない。
図6Bは、本実施の形態に係る凹凸構造30の別の一例である凹凸構造30bを示す断面図である。図6Bに示すように、凹凸構造30bは、複数の凸部31bと、複数の凹部32bとを有する。凹凸構造30bは、短手方向の断面形状が異なるだけで、その他の構成は凹凸構造30と同様である。
図6Bに示すように、凸部31bの幅は、先端部分より根元部分において長い。具体的には、凸部31bの幅は、先端部分から根元部分にかけて徐々に長くなっている。凸部31bの断面形状は、例えば半円形である。
さらに、図6Bに示すように、凸部31bは、根元部分にテーパー33bを有する。具体的には、テーパー33bは、例えば、所定の半径の曲面である。所定の半径は、凸部31bの高さhの0.1倍以下の長さである。なお、テーパー33bは、曲面ではなく、傾斜面でもよい。
なお、図6Bに示す凹凸構造30bにおいて、凸部31bの幅w1及び凹部32bの幅w2は、例えば、凹部32bの深さ方向における中央地点(すなわち、高さh/2の位置)における幅で定義されるが、これに限らない。
また、凹凸構造の形状は、上述した例に限られない。例えば、凹凸構造は、鋸の歯状に形成されていてもよく、波線状に形成されていてもよい。例えば、凸部の断面形状は三角形であり、凹部の断面形状は逆三角形であってもよい。つまり、凸部の上面は平坦でなく、尖っていてもよい。また、凹部の底面は平坦でなく、尖っていてもよい。すなわち、凹部は、V字溝であってもよい。
[製造方法]
続いて、本実施の形態に係る水廻り部材1の製造方法について説明する。
図7は、本実施の形態に係る水廻り部材1のフィルム部材20の製造方法の各工程を示す断面図である。フィルム部材20は、例えば、ナノインプリント装置、又は、ロールツーロール方式のグラビア印刷装置などを用いた転写技術を利用して製造される。
まず、図7の(a)に示すように、基材21を準備し、準備した基材21上に樹脂膜22aを成膜する。例えば、吐出装置などを利用して、基材21の表面に紫外線硬化樹脂材料を塗布することで、樹脂膜22aを成膜する。この時点では、樹脂膜22aは硬化されておらず、容易に変形可能である。
次に、図7の(b)に示すように、金型95を準備する。金型95には、樹脂膜22aに凹凸構造30を転写するための凹凸構造96が設けられている。凹凸構造96は、凹凸構造30の凹凸を反転させた形状を有する。
次に、図7の(c)に示すように、金型95を樹脂膜22aに押し当てることにより、樹脂膜22aに凹凸構造30を形成する。具体的には、樹脂膜22aの表面に金型95の凹凸構造96が転写されることで、樹脂膜22aの表面に凹凸構造30が形成される。
このとき、金型95が樹脂膜22aに十分に押し当てられた状態で、基材21側から紫外線を照射することによって、樹脂膜22aを硬化させる。これにより、樹脂層22には、凹凸構造30が形成される。
最後に、図7の(d)に示すように、金型95を外すことで、凹凸構造30を有するフィルム部材20が形成される。
以上のようにして、フィルム部材20が製造される。製造されたフィルム部材20を床部材10の表面に貼り付けることで、水廻り部材1が製造される。
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る水廻り部材1は、目地11を上面に有する水廻り部材であって、上面に設けられた、複数の凸部31と複数の凹部32とを有する凹凸構造30を備える。複数の凸部31及び複数の凹部32の各々は、第1方向に沿って長尺であり、かつ、第1方向に交差する第2方向に交互に並んで設けられている。第2方向における凸部31及び凹部32の各々の幅は、マイクロメートルオーダーである。凸部31及び凹部32が延びる第1方向は、目地11に対して交差する方向である。
これにより、凹凸構造30の長尺な凸部31と長尺な凹部32とがストライプ状に構成されているので、凹凸構造30に付着した液滴は、凸部31と凹部32とが延びる第1方向に沿って流れやすい。第1方向が目地11と交差しているので、第1方向に沿って流れる液滴は、そのまま目地11に引き込まれやすくなる。目地11に引き込まれた液滴は互いに集まって重量を増し、排水方向に沿った目地11の傾斜によって排水される。
このように、水廻り部材1の表面に付着した液滴が目地11に引き込まれやすくなるので、平坦部12に残る液滴(残留液滴とも言う)の量を十分に少なくすることができる。残留液滴が少なくなることで、蒸発などによる消滅が促進され、水廻り部材1の乾きが早くなる。
以上のように、本実施の形態によれば、優れた速乾性を有する水廻り部材1が提供される。速乾性が高まることで、カビ及びぬめりなどの増加を抑えることができ、水廻り部材1の防汚性も高めることができる。
また、例えば、凸部31及び凹部32が延びる第1方向は、目地11に対して直交する方向である。
これにより、液滴が更に目地11に引き込まれやすくなるので、水廻り部材1の速乾性を向上させることができる。
また、例えば、複数の凹部32の各々の第2方向における長さに対する深さの比は、0.1以上0.6以下である。
これにより、凹部32が深くなりすぎないので、凹部32内に汚れが残るのを抑制することができる。本発明者らが行った防汚性の試験によれば、凹部32の幅に対する深さの比が0.6以下である場合に、十分な防汚性を確保することができた。
また、例えば、目地11が表面に設けられた床部材10と、床部材10上に設けられた基材21、及び、基材21上に設けられた樹脂層22を有するフィルム部材20とを備える。樹脂層22は、基材21の反対側の面に凹凸構造30を有する。
これにより、樹脂層22の表面に凹凸構造30が設けられているので、例えば、ナノインプリントなどにより加工精度の高い凹凸構造30を形成することができる。凹凸構造30の寸法が設計通りに形成されやすいので、期待される速乾性を容易に実現することができる。
また、例えば、凹凸構造30を構成する材料の、水に対する接触角は、90度以下である。
これにより、凹凸構造30を構成する材料が親水性であるので、液滴は、凹部32を埋めるように流れ、かつ、凹部32に埋まった液滴上を滑るように流れる。このため、凹部32を埋めていない液滴と凹凸構造30との接触部分が凸部31の先端部分のみになる。液滴と凹凸構造30との接触面積が小さくなるので、液滴は、凸部31からの摩擦力を受けにくく、滑るようにして流される。すなわち、液滴の滑水性が高められ、速やかに目地11に引き込まれやすくなる。このように、本実施の形態によれば、水廻り部材1の速乾性を更に高めることができる。
また、例えば、水廻り部材1の上面を正面視した場合、複数の凸部31は、複数の凸部31と複数の凹部32とが占める面積の50%以下の面積を占めている。
これにより、凸部31と液滴との接触面積を小さくすることができるので、液滴は、凸部31からの摩擦力を受けにくく、滑るようにして流される。このように、本実施の形態によれば、水廻り部材1の速乾性を更に高めることができる。
また、例えば、複数の凸部31の各々の幅は、先端部分よりも根元部分において長くてもよい。
これにより、凹部32に液滴が引き込まれやすくなって、液滴が凹部32を埋めやすくなる。上述したように、液滴が凹部32を埋めることで液滴の滑水性が高まるので、水廻り部材1の速乾性を更に高めることができる。
また、例えば、複数の凸部31の各々の幅は、先端部分から根元部分にかけて徐々に長くなってもよい。
これにより、凹部32に液滴が引き込まれやすくなって、液滴が凹部32を埋めやすくなる。液滴が凹部32を埋めることで液滴の滑水性が高まるので、水廻り部材1の速乾性を更に高めることができる。
また、例えば、複数の凸部31の各々は、根元部分にテーパーを有してもよい。
これにより、凹部32の底に汚れなどが溜まりにくくなるので、防汚性を高めることができる。
また、例えば、凹凸構造30は、目地11と、目地11を除く部分である平坦部12とで連続して設けられている。具体的には、複数の凸部31及び複数の凹部32が、平坦部12から目地11に向けて連続している。
これにより、平坦部12と目地11とが連続した凸部31で接続されるので、液滴がより目地11に引き込まれやすくなる。
(その他)
以上、本発明に係る水廻り部材について、上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、凹凸構造30は、平坦部12のみに設けられていてもよい。例えば、凹凸構造30が設けられたフィルム部材20を平坦部12のみに設けてもよい。目地11を構成する縦溝11a及び横溝11bの少なくとも一方には、凹凸構造30が設けられていなくてもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、目地11の縦溝11aが排水方向に平行である例を説明したが、これに限らない。目地11は、排水方向に対して斜めに交差する方向に設けられていてもよい。
また、例えば、床部材10の表面は、水平面に対して傾斜していなくてもよい。つまり、目地11の縦溝11a及び横溝11b、並びに、平坦部12はそれぞれ、水平面に平行であってもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、親水性材料を用いて凹凸構造30を形成したが、撥水性材料を用いて凹凸構造30を形成してもよい。
また、例えば、目地11を有する床部材10の上面に直接、凹凸構造30が設けられていてもよい。つまり、水廻り部材1は、フィルム部材20を備えていなくてもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、水廻り部材1の表面の傾斜角φは、1.2度以下である例について示したが、傾斜角φは1.2度より大きくてもよい。例えば、人が立つことがあまり想定されない構造物、例えば、浴槽93の底などに水廻り部材1を用いる場合、傾斜角φが1.2度より大きくても人に使用時の違和感を与えなくて済む。したがって、傾斜角φを1.2度より大きくすることで、排水性を高めることができる。
また、例えば、凹凸構造を構成する材料の、水に対する接触角は、90度未満でもよく、例えば80度以下、又は60度以下などでもよい。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
1 水廻り部材
10 床部材
11 目地
20 フィルム部材
21 基材
22 樹脂層
30、30a、30b 凹凸構造
31、31a、31b 凸部
32、32a、32b 凹部

Claims (10)

  1. 目地を上面に有する水廻り部材であって、
    前記上面に設けられた、複数の凸部と複数の凹部とを有する凹凸構造を備え、
    前記複数の凸部及び前記複数の凹部の各々は、第1方向に沿って長尺であり、かつ、前記第1方向に交差する第2方向に交互に並んで設けられ、
    前記第2方向における前記凸部及び前記凹部の各々の幅は、マイクロメートルオーダーであり、
    前記目地は、水平面に対して傾斜する方向に延びる溝を含み、
    前記第1方向は、前記に対して交差する方向である
    水廻り部材。
  2. 前記第1方向は、前記に対して直交する方向である
    請求項1に記載の水廻り部材。
  3. 前記複数の凹部の各々の前記第2方向における長さに対する深さの比は、0.1以上0.6以下である
    請求項1又は2に記載の水廻り部材。
  4. 前記目地が表面に設けられた床部材と、
    前記床部材上に設けられた基材、及び、前記基材上に設けられた樹脂層を有するフィルム部材とを備え、
    前記樹脂層は、前記基材の反対側の面に前記凹凸構造を有する
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の水廻り部材。
  5. 前記凹凸構造を構成する材料の、水に対する接触角は、90度以下である
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の水廻り部材。
  6. 前記水廻り部材の前記上面を正面視した場合、前記複数の凸部は、前記複数の凸部と前記複数の凹部とが占める面積の50%以下の面積を占めている
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の水廻り部材。
  7. 前記複数の凸部の各々の前記第2方向における長さは、先端部分よりも根元部分において長い
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の水廻り部材。
  8. 前記複数の凸部の各々の前記第2方向における長さは、先端部分から根元部分にかけて徐々に長くなる
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の水廻り部材。
  9. 前記複数の凸部の各々は、根元部分にテーパーを有する
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の水廻り部材。
  10. 前記凹凸構造は、前記目地と前記目地を除く部分とで連続して設けられている
    請求項1〜9のいずれか1項に記載の水廻り部材。
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