JP6981364B2 - 分離剤、分離方法及び化合物の製造方法 - Google Patents

分離剤、分離方法及び化合物の製造方法 Download PDF

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本発明は、分離剤、分離方法及び化合物の製造方法に関する。
ステビア葉等に含まれるステビオール配糖体は、低カロリーであり、かつ、蔗糖に比べて数十倍から数百倍の甘味を有することから、ダイエット甘味料として需要が増加している。ステビア葉からステビオール配糖体を分離・精製する方法としては、例えば、ステビア葉を水、水溶性有機溶媒又はこれらの混合溶媒にて抽出し、各種夾雑物を薬剤処理により沈殿・濾過除去させ、合成吸着剤やイオン交換樹脂等の各種分離剤を用いて分離・脱塩・脱色を行う方法が挙げられる。
ステビア葉には、種々の化学構造を有する各種ステビオール配糖体が存在し、その中に、レバウジオシドD、レバウジオシドMというステビオール配糖体が存在する。レバウジオシドD及びレバウジオシドMは、類似する化学構造を有するレバウジオシドAと同等の甘味強度を有し、かつ、レバウジオシドAよりもショ糖に近い呈味を示すという特徴を有することから、いずれも甘味料としての需要が増加している。
ステビア葉からレバウジオシドDやレバウジオシドMを得る方法としては、例えば、特許文献1には、結晶化を誘起する工程を含むレバウジオシドDの精製方法が開示されている。また、特許文献2には、複数のカラム工程及び結晶化を誘起する工程を含むレバウジオシドMの精製方法が開示されている。
特表2013−507914号公報 国際公開2016/023103号パンフレット
レバウジオシドDやレバウジオシドMは、他のステビオール配糖体と化学構造が酷似しているため、容易に分離・精製することができず、高純度のレバウジオシドDやレバウジオシドMを得ることが困難であるという課題を有する。
特許文献1及び特許文献2に開示される方法は、高純度のレバウジオシドDやレバウジオシドMを得ることができるものの、結晶化前の抽出液に類似する化学構造を有するステビオシドやレバウジオシドAを多く含むことから、結晶化後の残液から再度ステビオシドやレバウジオシドAを回収する必要があり、多数の工程数を有すると共に、生産に多くの時間を要し、工業スケールでの生産において効率が低いという課題を有する。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、高純度のレバウジオシドDやレバウジオシドMを工業スケールで効率よく得るための分離剤を提供することにある。また、本発明のもう1つの目的は、高純度のレバウジオシドDやレバウジオシドMを工業スケールで効率よく得るための分離方法を提供することにある。
このように、工業スケールにおいて、高純度のレバウジオシドDやレバウジオシドMを効率よく得る方法が知られていなかったが、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、多孔性粒子にポリアルキレンポリアミンが固定化された分離剤が、レバウジオシドDやレバウジオシドMに対して優れた吸着性を示し、レバウジオシドDやレバウジオシドMとステビオシドやレバウジオシドAとを分離させることができることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]多孔性粒子に、ポリアルキレンポリアミンが固定化された、レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の分離に用いる分離剤。
[2]ポリアルキレンポリアミンが、ポリエチレンイミンを含む、[1]に記載の分離剤。
[3]ポリエチレンイミンの質量平均分子量が、200以上である、[2]に記載の分離剤。
[4]窒素含有率が、0.3質量%〜30質量%である、[1]〜[3]のいずれかに記載の分離剤。
[5]多孔性粒子の細孔直径が、1nm〜1000nmである、[1]〜[4]のいずれかに記載の分離剤。
[6]多孔性粒子が、架橋構造を有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の分離剤。
[7]多孔性粒子が、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、多糖類、シリカ及びガラスからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の分離剤。
[8]多孔性粒子が、アクリル系樹脂を含む、[7]に記載の分離剤。
[9]多孔性粒子が、ヒドロキシル基を含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の分離剤。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の分離剤により、レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を分離する、分離方法。
[11]レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む溶液を、[1]〜[9]のいずれかに記載の分離剤に負荷し、前記分離剤に溶媒(A)を流通することにより、前記溶液中の前記化合物を分離する液体クロマトグラフィー工程を有する、分離方法。
[12]前記液体クロマトグラフィー工程にて得られる画分の少なくとも1つが、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上の画分である、[11]に記載のステビオール配糖体の分離方法。
[13]前記液体クロマトグラフィー工程にて得られる画分の少なくとも1つが、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上、かつ、ステビオシド及びレバウジオシドAの総和が50HPLC面積%未満の画分である、[11]に記載のステビオール配糖体の分離方法。
[14]前記溶媒(A)が、アルコール類を含む、[11]〜[13]のいずれかに記載のステビオール配糖体の分離方法。
[15]前記液体クロマトグラフィー工程において、前記溶液中の色素成分の脱色も同時に行う、[11]〜[14]のいずれかに記載のステビオール配糖体の分離方法。
[16]レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と溶媒(B)とを含む溶液を通液し、前記化合物を[1]〜[9]のいずれかに記載の分離剤に吸着させる吸着工程と、次いで溶媒(C)を用いて前記分離剤から前記化合物を溶離させる溶離工程とを含み、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上の画分と他の画分との少なくとも2以上の画分を得る、分離方法。
[17]前記溶媒(B)及び前記溶媒(C)が、アルコール類を含む、[16]に記載の分離方法。
[18]前記溶媒(C)が、前記溶媒(B)よりも極性が高い、[16]又は[17]に記載の分離方法。
[19]前記溶媒(B)が、プロピルアルコール、エチルアルコール又はメチルアルコールを含む、[16]〜[18]のいずれかに記載の分離方法。
[20]前記溶離工程において、前記溶液中の色素成分の脱色も同時に行う、[16]〜[19]のいずれかに記載の分離方法。
[21][10]〜[20]のいずれかに記載の分離方法により、前記化合物を分離する工程を有する、化合物の製造方法。
[22]更に、前記分離する工程で得たレバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上の画分を結晶化する工程を有する、[21]に記載の化合物の製造方法。
本発明の分離剤は、レバウジオシドDやレバウジオシドMに対して優れた吸着性を示し、レバウジオシドDやレバウジオシドMとステビオシドやレバウジオシドAとを分離させることができ、高純度のレバウジオシドDやレバウジオシドMを工業スケールで効率よく得ることができる。
また、本発明の分離方法は、本発明の分離剤を用いるため、レバウジオシドDやレバウジオシドMとステビオシドやレバウジオシドAとを分離させることができ、高純度のレバウジオシドDやレバウジオシドMを工業スケールで効率よく得ることができる。
更に、本発明の化合物の製造方法は、本発明の分離方法を用いるため、レバウジオシドDやレバウジオシドMとステビオシドやレバウジオシドAとを分離させることができ、高純度のレバウジオシドDやレバウジオシドMを工業スケールで効率よく得ることができる。
実施例3で得られたクロマトグラムを示す図である。 実施例4で得られたクロマトグラムを示す図である。 実施例5で得られた吸着及び溶離プロファイルを示す図である。 実施例5で得られた各フラクション中のステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの含有量、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和のHPLC面積%、ステビオシド及びレバウジオシドAの総和のHPLC面積%を示す図である。 実施例6で得られた吸着及び溶離プロファイルを示す図である。 実施例6で得られた各フラクション中のステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの含有量、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和のHPLC面積%、ステビオシド及びレバウジオシドAの総和のHPLC面積%を示す図である。
以下に本発明について詳述するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。尚、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。また、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」、「メタクリル」又はその両者をいい、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」、「メタクリレート」又はその両者をいう。
(分離剤)
本発明の分離剤は、多孔性粒子に、ポリアルキレンポリアミンが固定化されたものである。
本明細書において、多孔性粒子は、多数の微細な細孔を有する粒子をいう。多孔性粒子の体積平均粒子径、比表面積、細孔直径、細孔容積の好ましい範囲は、後述する。
(多孔性粒子を構成する材料)
多孔性粒子を構成する材料としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、多糖類、シリカ、ガラス等が挙げられる。これらの多孔性粒子を構成する材料の中でも、多孔性粒子とステビオール配糖体との不必要な疎水性相互作用を抑制することができることから、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、多糖類、シリカ、ガラスが好ましく、アクリル系樹脂がより好ましい。
本明細書において、アクリル系樹脂は、アクリル系樹脂を構成する全単量体単位100質量%中、(メタ)アクリレート由来の構成単位が50質量%以上であることをいい、80質量%以上であることが好ましい。アクリル系樹脂は、(メタ)アクリレート由来以外の構成単位を含んでもよい。
(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、4,5−エポキシブチル(メタ)アクリレート、9,10−エポキシステアリル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルキレンジ(メタ)アクリレート、N,N’−アルキレンビス(メタ)アクリルアミド、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の架橋性(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの(メタ)アクリレートの中でも、ポリエチレンイミンの導入が容易となり、種々の溶媒における耐溶解性に優れることから、エポキシ基含有(メタ)アクリレートと架橋性(メタ)アクリレートとを含むことが好ましく、グリシジル(メタ)アクリレートとエチレングリコールジ(メタ)アクリレートとを含むことがより好ましい。
酢酸ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ(酢酸ビニル−イソシアヌル酸トリアリル)等が挙げられる。これらの酢酸ビニル系樹脂の中でも、後述する反応性官能基としてヒドロキシル基を導入することができることから、ポリ(酢酸ビニル−イソシアヌル酸トリアリル)が好ましい。
多糖類としては、例えば、アガロース、セルロース、デキストラン等が挙げられる。これらの多糖類の中でも、後述する反応性官能基としてヒドロキシル基を有し、多孔性粒子とステビオール配糖体との不必要な疎水性相互作用を抑制することができることから、アガロース、セルロース、デキストランが好ましい。
シリカ及びガラスは、多孔性粒子に後述する反応性官能基を導入することができることから、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等の反応性官能基を有する有機ケイ素化合物を原料として含むことが好ましい。
(多孔性粒子の製造方法)
多孔性粒子の製造方法としては、例えば、非架橋性単量体、架橋性単量体、多孔質化剤、重合開始剤等を含む有機層を、分散安定剤等を含む水層に分散させ、加熱等による重合反応を行う方法が挙げられる。この方法により、架橋構造を有する球状の多孔性粒子を得ることができる。より具体的には、特公昭58−058026号公報に開示されているような懸濁重合や乳化重合を行う方法が挙げられる。
多孔性粒子は、種々の溶媒における耐溶解性に優れることから、架橋構造を有することが好ましい。
架橋性単量体としては、例えば、前述した架橋性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
架橋性単量体の含有率は、全単量体100質量%中、3質量%〜95質量%が好ましく、5質量%〜90質量%がより好ましい。架橋性単量体の含有率が3質量%以上であると、細孔構造の形成が十分で、多孔性粒子の機械的強度に優れる。また、架橋性単量体の含有率が95質量%以下であると、ポリエチレンイミンの固定化反応が進行しやすく、ポリエチレンイミンの導入量も十分で、レバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着性に優れる。
非架橋性単量体としては、例えば、前述したアルキル(メタ)アクリレート、前述したヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、前述したエポキシ基含有(メタ)アクリレート、前述した(メタ)アクリルアミド類、前述したシアノ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
非架橋性単量体の含有率は、全単量体100質量%中、5質量%〜97質量%が好ましく、10質量%〜95質量%がより好ましい。非架橋性単量体の含有率が5質量%以上であると、ポリエチレンイミンの固定化反応が進行しやすく、ポリエチレンイミンの導入量も十分で、レバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着性に優れる。また、非架橋性単量体の含有率が97質量%以下であると、細孔構造の形成が十分で、多孔性粒子の機械的強度に優れる。
多孔性粒子は、ポリエチレンイミンを共有結合で固定化することが好ましい。多孔性粒子は、ポリエチレンイミンを共有結合で固定化するため、反応性官能基を有することが好ましい。
反応性官能基としては、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲン基、エポキシ基等が挙げられる。これらの反応性官能基の中でも、反応性官能基を導入しやすく、ポリエチレンイミンとの反応性に優れることから、ハロゲン基、エポキシ基が好ましい。
反応性官能基は、反応性官能基を有する単量体を含む単量体組成物を重合して多孔性粒子に導入してもよく、多孔性粒子を構築した後に反応性官能基を導入してもよい。
多孔性粒子を構築した後に反応性官能基を導入する方法としては、例えば、反応性官能基を有する化合物(スペーサー)と反応可能な官能基を有する単量体を含む単量体組成物を重合して多孔性粒子を構築し、多孔性粒子と反応性官能基を有する化合物(スペーサー)とを反応させる方法が挙げられる。
反応性官能基を有する単量体としては、例えば、クロロメチルスチレン、ブロモブチルスチレン等のハロゲン基含有単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、4−エポキシ−1−ブテン等のエポキシ基含有単量体等が挙げられる。これらの反応性官能基を有する単量体の中でも、ポリエチレンイミンの導入が容易となることから、ハロゲン基含有単量体、エポキシ基含有単量体が好ましく、クロロメチルスチレン、ブロモブチルスチレン、グリシジル(メタ)アクリレートがより好ましく、クロロメチルスチレン、グリシジルメタクリレートが更に好ましい。
(多孔性粒子の物性)
多孔性粒子の体積平均粒子径は、1μm〜1000μmが好ましく、4μm〜700μmがより好ましく、10μm〜500μmが更に好ましい。多孔性粒子の体積平均粒子径が1μm以上であると、分離剤をカラムに充填して通液したときの圧力損失を抑制し、通液速度を高めることができ、吸着処理の生産性に優れる。また、多孔性粒子の体積平均粒子径が1000μm以下であると、カラム効率に優れ、吸着量や分離性能に優れる。
本明細書において、多孔性粒子の体積平均粒子径は、光学顕微鏡を用いて任意の100個の多孔性粒子の粒子径を測定し、その分布から体積メジアン径を算出するものとする。
多孔性粒子の体積平均粒子径は、懸濁重合や乳化重合の重合条件、具体的には、単量体の種類や量、分散安定剤や乳化剤の種類や量、攪拌回転数等の設定により調整することができる。また、重合終了後の生成粒子を、篩網、水篩、風篩等の方法により分級して多孔性粒子の体積平均粒子径を揃えてもよい。
多孔性粒子の比表面積は、1m/g〜1000m/gが好ましく、10m/g〜500m/gがより好ましい。多孔性粒子の比表面積が1m/g以上であると、多孔性粒子の機械的強度に優れ、細孔内部に吸着に寄与しない空間の発生を抑制することができ、レバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着性に優れる。また、多孔性粒子の比表面積が1000m/g以下であると、固定化されるポリエチレンイミンが多孔性粒子の細孔中に入りやすく、ポリエチレンイミンの固定化反応が進行しやすく、ポリエチレンイミンの導入量も十分で、レバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着性に優れる。
本明細書において、多孔性粒子の比表面積は、窒素ガス吸着法(BET法)により測定するものとする。具体的には、窒素ガスの吸着前後の圧力変化から、BETの式により単分子層吸着量を算出し、窒素ガス1分子の断面積から多孔性粒子の比表面積を算出するものとし、ISO 9277を準用する。
多孔性粒子の比表面積は、多孔性粒子を製造する際の重合反応条件や架橋反応条件等の設定により調整することができる。
多孔性粒子の細孔直径は、1nm〜1000nmが好ましく、20nm〜500nmがより好ましく、30nm〜200nmが更に好ましい。多孔性粒子の細孔直径が1nm以上であると、固定化されるポリエチレンイミンが多孔性粒子の細孔中に入りやすく、ポリエチレンイミンの固定化反応が進行しやすく、ポリエチレンイミンの導入量も十分で、レバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着性に優れる。多孔性粒子の細孔直径が1000nm以下であると、多孔性粒子の機械的強度に優れ、細孔内部に吸着に寄与しない空間の発生を抑制することができ、レバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着性に優れる。
本明細書において、多孔性粒子の細孔直径は、水銀圧入法により測定した最頻度直径とする。具体的には、多孔性粒子に圧力をかけて水銀を開孔部に侵入させ、圧力値と対応する侵入水銀体積とを用いて、細孔の形状を円柱状と仮定し、Washburnの式から算出する方法であり、ISO 15901−1を準用する。
多孔性粒子の細孔直径は、懸濁重合や乳化重合の重合条件、具体的には、単量体の種類や量、多孔質化剤の種類や量、重合開始剤の種類や量等の設定により調整することができる。
多孔性粒子の細孔容積は、0.1mL/g〜3.0mL/gが好ましく、0.2mL/g〜2.5mL/gがより好ましく、0.5mL/g〜2.0mL/gが更に好ましい。多孔性粒子の細孔容積が0.1mL/g以上であると、レバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着性に優れる。多孔性粒子の細孔容積が3.0mL/g以下であると、多孔性粒子の機械的強度に優れる。
本明細書において、多孔性粒子の細孔容積は、水銀圧入法により測定するものとする。具体的には、多孔性粒子に圧力をかけて水銀を開孔部に侵入させ、圧力値と対応する侵入水銀体積とを用いて、細孔の形状を円柱状と仮定し、Washburnの式から算出する方法であり、ISO 15901−1を準用する。
多孔性粒子の細孔容積は、多孔性粒子を製造する際の重合反応条件や架橋反応条件等の設定により調整することができる。
(ポリアルキレンポリアミン)
ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、エチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。これらのポリアルキレンポリアミンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらのポリアルキレンポリアミンの中でも、レバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着性に優れることから、ポリエチレンイミンが好ましい。
(ポリエチレンイミン)
ポリエチレンイミンの質量平均分子量は、200〜100000が好ましく、250〜10000がより好ましい。ポリエチレンイミンの質量平均分子量が200以上であると、レバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着性に優れる。また、ポリエチレンイミンの質量平均分子量が100000以下であると、ポリエチレンイミンの固定化反応の反応性に優れる。
本明細書において、ポリエチレンイミンの質量平均分子量は、ゲル濾過クロマトグラフィー法により測定するものとする。
多孔性粒子にポリエチレンイミンを共有結合で固定化させる方法としては、例えば、ポリエチレンイミンをそのまま又はポリエチレンイミンを有機溶媒若しくは水に溶解させた溶液を、反応性官能基を有する多孔性粒子に供給し、共有結合反応させる方法が挙げられる。
ポリエチレンイミンを供給する方法は、ポリエチレンイミンをそのまま用いると粘度が高く、工業的に製造するには取り扱いが困難であることから、ポリエチレンイミンを有機溶媒又は水に溶解させた溶液を用いることが好ましく、反応性官能基としてエポキシ基を用いる場合、水溶液ではエポキシ基への水付加によるジオール生成反応が起こることから、ポリエチレンイミンを有機溶媒に溶解させた溶液を用いることがより好ましい。
有機溶媒は、ポリエチレンイミンを溶解することができれば特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、4−メチルテトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの有機溶媒の中でも、アクリル系樹脂からなる多孔性粒子を膨潤させ、反応性官能基とポリエチレンイミンとの反応性が向上することから、エーテル類が好ましく、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、4−メチルテトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、ジオキサンがより好ましい。
多孔性粒子にポリエチレンイミンを共有結合で固定化させる際の反応温度は、10℃〜120℃が好ましく、20℃〜100℃がより好ましい。反応温度が10℃以上であると、固定化反応を短時間とすることができる。また、反応温度が120℃以下であると、アクリル系樹脂からなる多孔性粒子を用いる場合、分解を抑制することができる。
多孔性粒子にポリエチレンイミンを固定化させた後、多孔性粒子に残存する反応性官能基を後処理により不活性化することが好ましい。不活性化せずに反応性官能基を残存させた場合、化学反応時に反応基質に存在する活性基と反応し、レバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着量を低下させたり、吸着性を悪化させたりする場合がある。
反応性官能基としてエポキシ基を用いた際の後処理としては、例えば、水と反応させてジオール、即ち、ヒドロキシル基に変換する方法が挙げられる。
多孔性粒子は、反応性官能基としてエポキシ基を用いた場合に、レバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着量の低下や吸着性の悪化を抑制することができることから、ヒドロキシル基を有することが好ましい。
エポキシ基と水とを反応させる際の触媒としては、例えば、リン酸、硫酸等の無機酸水溶液;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ類水溶液等が挙げられる。これらの触媒の中でも、反応性に優れることから、硫酸が好ましい。
エポキシ基と水とを反応させる際の触媒の濃度は、副反応を抑制することができることから、1質量%〜30質量%が好ましく、3質量%〜20質量%がより好ましい。
エポキシ基と水とを反応させる際の反応温度は、反応性に優れることから、10℃〜90℃が好ましく、20℃〜80℃がより好ましい。
エポキシ基と水とを反応させる際の反応時間は、副反応を抑制することができることから、0.1時間〜24時間が好ましく、1時間〜10時間がより好ましい。
(分離剤の物性)
分離剤の体積平均粒子径は、1μm〜1000μmが好ましく、4μm〜700μmがより好ましく、10μm〜500μmが更に好ましい。分離剤の体積平均粒子径が1μm以上であると、分離剤をカラムに充填して通液したときの圧力損失を抑制し、通液速度を高めることができ、吸着処理の生産性に優れる。また、分離剤の体積平均粒子径が1000μm以下であると、カラム効率に優れ、吸着量や分離性能に優れる。
本明細書において、分離剤の体積平均粒子径は、光学顕微鏡を用いて任意の100個の分離剤の粒子径を測定し、その分布から体積メジアン径を算出するものとする。
分離剤の体積平均粒子径は、用いる多孔性粒子の体積平均粒子径に依存するが、ポリエチレンイミンを固定化するため、用いた多孔性粒子の体積平均粒子径より通常0.1%〜20%程度大きくなる。また、生成した分離剤を、篩網、水篩、風篩等の方法により分級して分離剤の体積平均粒子径を揃えてもよい。
分離剤の粒子径分布幅の指標である均一係数は、分離剤をカラムに充填して通液したときの圧力損失を抑制することができることから、小さい方が好ましく、具体的には、1.0〜2.0が好ましく、1.0〜1.6がより好ましい。
本明細書において、分離剤の均一係数は、分離剤の体積分布において、粒子径の大きい方から40%となる粒子径を、粒子系の大きい方から90%となる粒子径で除した値とする。
分離剤の比表面積は、1m/g〜1000m/gが好ましく、10m/g〜500m/gがより好ましい。分離剤の比表面積が1m/g以上であると、多孔性粒子の機械的強度に優れ、細孔内部に吸着に寄与しない空間の発生を抑制することができ、分離剤のレバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着性に優れる。また、分離剤の比表面積が1000m/g以下であると、固定化されるポリエチレンイミンが多孔性粒子の細孔中に入りやすく、ポリエチレンイミンの固定化反応が進行しやすく、ポリエチレンイミンの導入量も十分で、分離剤のレバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着性に優れる。
本明細書において、分離剤の比表面積は、窒素ガス吸着法(BET法)により測定するものとする。具体的には、窒素ガスの吸着前後の圧力変化から、BETの式により単分子層吸着量を算出し、窒素ガス1分子の断面積から分離剤の比表面積を算出するものとし、ISO 9277を準用する。
分離剤の比表面積は、用いる多孔性粒子の比表面積に依存するが、ポリエチレンイミンを固定化するため、用いた多孔性粒子の比表面積より通常0.1%〜50%程度変化する。
分離剤の細孔直径は、1nm〜1000nmが好ましく、2nm〜500nmがより好ましく、3nm〜200nmが更に好ましい。分離剤の細孔直径が1nm以上であると、固定化されるポリエチレンイミンが多孔性粒子の細孔中に入りやすく、ポリエチレンイミンの固定化反応が進行しやすく、ポリエチレンイミンの導入量も十分で、分離剤のレバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着性に優れる。分離剤の細孔直径が1000nm以下であると、多孔性粒子の機械的強度に優れ、細孔内部に吸着に寄与しない空間の発生を抑制することができ、分離剤のレバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着性に優れる。
本明細書において、分離剤の細孔直径は、水銀圧入法により測定した最頻度直径とする。具体的には、分離剤に圧力をかけて水銀を開孔部に侵入させ、圧力値と対応する侵入水銀体積とを用いて、細孔の形状を円柱状と仮定し、Washburnの式から算出する方法であり、ISO 15901−1を準用する。
分離剤の細孔直径は、用いる多孔性粒子の細孔直径に依存するが、ポリエチレンイミンを固定化するため、用いた多孔性粒子の細孔直径より通常0.1%〜50%程度変化する。
分離剤の細孔容積は、0.1mL/g〜3.0mL/gが好ましく、0.2mL/g〜2.5mL/gがより好ましく、0.5mL/g〜2.0mL/gが更に好ましい。分離剤の細孔容積が0.1mL/g以上であると、分離剤のレバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着性に優れる。分離剤の細孔容積が3.0mL/g以下であると、多孔性粒子の機械的強度に優れる。
本明細書において、分離剤の細孔容積は、水銀圧入法により測定するものとする。具体的には、分離剤に圧力をかけて水銀を開孔部に侵入させ、圧力値と対応する侵入水銀体積とを用いて、細孔の形状を円柱状と仮定し、Washburnの式から算出する方法であり、ISO 15901−1を準用する。
分離剤の細孔容積は、用いる多孔性粒子の細孔容積に依存するが、ポリエチレンイミンを固定化するため、用いた多孔性粒子の細孔容積より通常0.1%〜50%程度変化する。
分離剤中のポリエチレンイミンの固定化量は、窒素含有率や総交換容量により定量することができる。
分離剤の窒素含有率は、分離剤100質量%中、0.3質量%〜30質量%が好ましく、0.5質量%〜25質量%がより好ましい。分離剤の窒素含有率が0.3質量%以上であると、分離剤のレバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着性に優れる。また、分離剤の窒素含有率が30質量%以下であると、レバウジオシドDやレバウジオシドMが十分に拡散浸透できるほどの細孔容積を有するため、分離剤のレバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着性に優れる。
本明細書において、分離剤の窒素含有率は、元素分析により測定するものとする。具体的には、炭素・水素・窒素同時定量装置を用いて測定するものとする。
分離剤の総交換容量は、0.1ミリ等量/g〜20ミリ等量/gが好ましく、0.2ミリ等量/g〜10ミリ等量/gがより好ましい。
本明細書において、分離剤の総交換容量は、乾燥させた分離剤0.5g〜1.5gに相当する量を精秤し、0.2mol/Lの塩酸250mLに入れ、30℃で8時間振盪させた後、上澄みの塩酸濃度を滴定により測定し、その結果から算出するものとする。
(用途)
本発明の分離剤は、レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の分離に用いるものである。
(分離方法)
本発明の分離方法は、本発明の分離剤により、レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を分離する方法であり、高純度のレバウジオシドDやレバウジオシドMを工業スケールで効率よく得ることができることから、以下の2つの分離方法が好ましい。
方法(1):レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む溶液を、本発明の分離剤に負荷し、前記分離剤に溶媒(A)を流通することにより、前記溶液中の前記化合物を分離する液体クロマトグラフィー工程を有する分離方法。
方法(2):レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と溶媒(B)とを含む溶液を通液し、前記化合物を前記分離剤に吸着させる吸着工程と、次いで溶媒(C)を用いて前記分離剤から前記化合物を溶離させる溶離工程とを含み、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上の画分と他の画分との少なくとも2以上の画分を得る分離方法。
本明細書において、HPLC面積%は、得られた画分を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用いて、紫外吸光検出器波長210nmにて分析して求めたものである。
本明細書において、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和は、ステビオール配糖体及び色素成分等のステビオール配糖体以外の成分を含むクロマトグラムのピークの総面積に対するレバウジオシドD及びレバウジオシドMのクロマトグラムのピークの総面積の割合を表し、ステビオシド及びレバウジオシドAの総和は、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドD及びレバウジオシドMのクロマトグラムのピークの総面積に対するステビオシド及びレバウジオシドAのクロマトグラムのピークの総面積の割合を表す。
方法(1)及び方法(2)におけるレバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む溶液は、ステビア葉等から抽出することで準備することができる。
(方法(1))
方法(1)は、レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む溶液を、本発明の分離剤に負荷し、前記分離剤に溶媒(A)を流通することにより、前記溶液中の前記化合物を分離する液体クロマトグラフィー工程を有する分離方法である。
液体クロマトグラフィー工程は、レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む溶液を、本発明の分離剤に負荷し、前記分離剤に溶媒(A)を流通することにより、前記溶液中の前記化合物を分離する工程である。液体クロマトグラフィー工程の具体例としては、ステビア葉等から抽出したレバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む溶液を、本発明の分離剤を充填したカラムに負荷し、カラムに溶媒(A)を流通することにより、レバウジオシドDやレバウジオシドMと他の化合物とをクロマトグラフィー分離する工程が挙げられる。
溶媒(A)は、ステビオール配糖体を溶解することができれば特に限定されず、例えば、n−ブチルアルコール(溶解度パラメータ:23.3MPa1/2)、イソブチルアルコール(溶解度パラメータ:21.5MPa1/2)、sec−ブチルアルコール(溶解度パラメーター:22.1MPa1/2)、t−ブチルアルコール(溶解度パラメータ:21.7MPa1/2)のブチルアルコール、1−プロピルアルコール(溶解度パラメータ:24.3MPa1/2)、2−プロピルアルコール(溶解度パラメータ:23.5MPa1/2)のプロピルアルコール、エチルアルコール(溶解度パラメーター:26.0MPa1/2)、メチルアルコール(溶解度パラメータ:29.7MPa1/2)等のアルコール類;エチレングリコール(溶解度パラメータ:29.9MPa1/2)、ジエチレングリコール(溶解度パラメータ:24.8MPa1/2)等のエチレングリコール類;グリセリン(溶解度パラメータ:33.8MPa1/2)等のポリオール類、エチレングリコールジメチルエーテル(溶解度パラメータ:17.6MPa1/2)、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル(溶解度パラメータ:15.1MPa1/2)、テトラヒドロフラン(溶解度パラメータ:18.6MPa1/2)、ジオキサン(溶解度パラメータ:20.5MPa1/2)等のエーテル類;ジメチルホルムアミド(溶解度パラメータ:24.8MPa1/2)、ジメチルアセトアミド(溶解度パラメータ:22.1MPa1/2)等のアミド類;水(溶解度パラメータ:47.9MPa1/2)等が挙げられる。これらの溶媒(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの溶媒(A)の中でも、ステビオール配糖体の溶解度が高く、水と自由に混和することから、アルコール類、エチレングリコール類、ポリオール類が好ましく、t−ブチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンがより好ましく、水と自由に混和するアルコール類を含む溶媒が更に好ましく、プロピルアルコール、エチルアルコール及び水を含む混合溶媒、プロピルアルコール、エチルアルコール及びメタノールを含む混合溶媒が特に好ましい。
前記溶解度パラメータは、ポリマーハンドブック第3版(WILEY社、1989年発行)に記載の値を参照した。
液体クロマトグラフィー工程で得られる画分の少なくとも1つは、高純度のレバウジオシドDやレバウジオシドMを効率よく得ることができることから、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上の画分であることが好ましく、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が20HPLC面積%以上の画分であることがより好ましい。
HPLC面積%の値は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用いて、紫外吸光検出器波長210nmにて分析して得られた値であり、ステビア葉からの抽出液は、波長210nmにおけるモル吸光係数が大きいステビオール配糖体以外の不純物を含むことから、HPLC面積%の値は、実際の固形分におけるステビオール配糖体の質量%の値よりも小さくなる傾向にある。
液体クロマトグラフィー工程で得られる画分の少なくとも1つは、高純度のレバウジオシドDやレバウジオシドMを効率よく得ることができることから、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上、かつ、ステビオシド及びレバウジオシドAの総和が50HPLC面積%未満の画分であることが好ましく、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が20HPLC面積%以上、かつ、ステビオシド及びレバウジオシドAの総和が40HPLC面積%未満の画分であることがより好ましい。
(方法(2))
方法(2)は、レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と溶媒(B)とを含む溶液を通液し、前記化合物を本発明の分離剤に吸着させる吸着工程と、次いで溶媒(C)を用いて前記分離剤から前記化合物を溶離させる溶離工程とを含み、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上の画分と他の画分との少なくとも2以上の画分を得る分離方法である。
方法(2)は、バッチ処理法、カラム処理法等の方法が用いられるが、効率よく分離することができることから、カラム処理法が好ましい。
吸着工程は、レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と溶媒(B)とを含む溶液を通液し、前記化合物を本発明の分離剤に吸着させる工程である。吸着工程の具体例としては、ステビア葉等から抽出したレバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と溶媒(B)とを含む溶液を、本発明の分離剤に接触させ、前記化合物等を前記分離剤に吸着させる工程が挙げられる。
溶媒(B)は、ステビオール配糖体を溶解することができれば特に限定されず、例えば、溶媒(A)で例示した溶媒等が挙げられる。これらの溶媒(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの溶媒(B)の中でも、ステビオール配糖体の溶解度が高く、水と自由に混和することから、アルコール類、エチレングリコール類、ポリオール類が好ましく、t−ブチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンがより好ましく、レバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着性に優れることから、水と自由に混和するアルコール類を含む溶媒が更に好ましく、プロピルアルコール、エチルアルコール又はメタノールを含む溶媒が特に好ましい。
溶離工程は、溶媒(C)を用いて前記分離剤から前記化合物を溶離させる工程である。
前記化合物を溶離させる前に前記分離剤から他の化合物を溶離させてもよく、前記化合物を溶離させた後に前記分離剤から他の化合物を溶離させてもよい。
溶媒(C)は、前記化合物や前記化合物以外のステビオール配糖体を溶離することができれば特に限定されず、例えば、溶媒(A)で例示した溶媒等が挙げられる。これらの溶媒(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの溶媒(C)の中でも、ステビオール配糖体の溶解度が高く、水と自由に混和することから、アルコール類、エチレングリコール類、ポリオール類が好ましく、t−ブチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンがより好ましく、水と自由に混和するアルコール類を含む溶媒が更に好ましく、プロピルアルコール、エチルアルコール又はメタノールを含む溶媒が特に好ましい。
溶媒(A)、溶媒(B)、溶媒(C)は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
ステビオール配糖体の分離作用機構は、親水性相互作用クロマトグラフィーに基づくものと推定されることから、溶媒(C)として溶媒(B)よりも極性が高い溶媒を用いる、又は、溶媒(B)として溶媒(C)を水で希釈した溶媒を用いることが好ましい。
溶媒(C)の溶解度パラメータは、極性を高くすることができることから、15MPa1/2以上が好ましく、18MPa1/2以上がより好ましい。
溶解度パラメータは、極性の寄与度を含むため、溶媒の極性の判断指標として用いることができる。本明細書において、溶解度パラメータは、ポリマーハンドブック第3版(WILEY社、1989年発行)に記載の値を参照するものとする。
前記化合物と他の化合物をそれぞれ溶離させる場合、それぞれの溶離に合った溶媒(C)を選択すればよく、溶媒(C)の種類や濃度を選択すればよい。このような操作を行うことで、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上の画分と他の画分との少なくとも2以上の画分を得られる。
方法(2)で得られる画分は、高純度のレバウジオシドDやレバウジオシドMを効率よく得ることができることから、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上の画分と他の画分との少なくとも2以上の画分であることが好ましく、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が20HPLC面積%以上の画分と他の画分との少なくとも2以上の画分であることがより好ましい。
HPLC面積%の値は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用いて、紫外吸光検出器波長210nmにて分析して得られた値であり、ステビア葉からの抽出液は、波長210nmにおけるモル吸光係数が大きいステビオール配糖体以外の不純物を含むことから、HPLC面積%の値は、実際の固形分におけるステビオール配糖体の質量%の値よりも小さくなる傾向にある。
方法(2)で得られる他の画分は、他の画分にステビオシドやレバウジオシドAを多く含み、高純度のレバウジオシドDやレバウジオシドMを効率よく得ることができることから、ステビオシド及びレバウジオシドAの総和が10HPLC面積%以上の画分であることが好ましく、ステビオシド及びレバウジオシドAの総和が20HPLC面積%以上の画分であることがより好ましい。
(色素成分の脱色)
本発明の分離剤は、ポリエチレンイミンがアニオン交換能を有し、かつ、ステビア葉等から抽出される色素成分は、その化学構造中にカルボキシル基等のアニオン性官能基を有することから、方法(1)の液体クロマトグラフィー工程や方法(2)の溶離工程において、ステビア葉等から抽出された色素成分の脱色も同時に行うことができる。本発明の分離剤を用いる場合、色素成分は、方法(1)の液体クロマトグラフィー工程や方法(2)の溶離工程において、いずれもカラム内に留まるため、レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とする画分から、色素成分を除去することができる。カラム内に留まった色素成分は、別途溶離させることで、分離剤を再利用することができる。
(化合物の製造方法)
本発明の化合物の製造方法は、本発明の分離方法により、前記化合物、即ち、レバウジオシドDやレバウジオシドMを分離する工程を有する。
本発明の化合物の製造方法は、高純度のレバウジオシドDやレバウジオシドMを得ることができることから、前記分離する工程で得たレバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上の画分を結晶化する工程を有することが好ましい。
ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドD及びレバウジオシドMは、化学構造が類似していることから、溶解性も類似している。ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドD及びレバウジオシドMを含む状態からレバウジオシドDやレバウジオシドMを選択的に結晶化させる場合には、結晶化を誘起させる溶媒組成、添加方法、温度制御方法等を精緻に最適化させる必要があり、その制御が難しいことから、製造再現性に欠け、工業スケールでの生産が困難であるという課題を有する。
一方、本発明の化合物の製造方法は、本発明の分離方法により、レバウジオシドDやレバウジオシドMをステビオシドやレバウジオシドAから分離させた後に結晶化することができるので、結晶化を誘起させる溶媒組成、添加方法、温度制御方法等の好適な条件の範囲が広くなり、その制御が容易になることから、製造再現性が高く、工業スケールでの生産が容易となる。
(産業上の利用可能性)
本発明の分離剤は、レバウジオシドDやレバウジオシドMに対して優れた吸着性を示し、レバウジオシドDやレバウジオシドMとステビオシドやレバウジオシドAとを分離させることができ、本発明の分離方法は、レバウジオシドDやレバウジオシドMとステビオシドやレバウジオシドAとを分離させることができ、高純度のレバウジオシドDやレバウジオシドMを工業スケールで効率よく得ることができ、かつ、ステビア葉等から抽出された色素成分の脱色も同時に行うことができることから、食品工業分野における実用上の価値が極めて高い。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(体積平均粒子径)
実施例で用いた多孔性粒子及び実施例で得られた分離剤の体積平均粒子径について、光学顕微鏡(機種名「SMZ1500」、株式会社ニコン製)を用い、任意の100個の多孔性粒子・分離剤の粒子径を測定し、その分布から体積メジアン径を算出して得た。
(比表面積)
実施例で用いた多孔性粒子及び実施例で得られた分離剤の比表面積について、乾燥させた多孔性粒子・分離剤を秤量し、比表面積測定装置(機種名「フローソーブIII」、マイクロメリテックス社製)を用い、窒素ガス吸着法(BET法)により測定した。
(細孔直径・細孔容積)
実施例で用いた多孔性粒子及び実施例で得られた分離剤の細孔直径・細孔容積について、自動ポロシメータ(機種名「オートポア9520」、マイクロメリテックス社製)を用い、水銀圧入法により測定した。
(窒素含有率)
実施例で得られた分離剤の窒素含有率について、炭素・水素・窒素同時定量装置(機種名「2400II」、パーキンエルマー社製)を用い、元素分析により測定した。
(総交換容量)
実施例で得られた分離剤の総交換容量について、乾燥させた分離剤0.5g〜1.5gに相当する量を精秤し、0.2mol/Lの塩酸250mLに入れ、30℃で8時間振盪させた後、上澄みの塩酸濃度を滴定により測定し、その結果から算出して得た。
[実施例1]
グリシジルメタクリレート由来の構成単位70質量%及びエチレングリコールジメタクリレート由来の構成単位30質量%からなり、比表面積37m/g、細孔直径94.2nm、細孔容積0.99mL/gの多孔性粒子40質量部に、ジエチレングリコールジメチルエーテル140質量部及びポリエチレンイミン(分子量600、富士フイルム和光純薬株式会社株式会社製)60質量部を添加し、攪拌して懸濁状態とした。この懸濁液を80℃に昇温し、6時間反応させた。冷却後、得られた粒子を水洗した。この粒子に、10質量%の濃度の硫酸200質量部を添加し、撹拌して懸濁状態とした。この懸濁液を50℃に昇温し、5時間保持することにより未反応のエポキシ基への水付加によるジオール生成反応を行った。冷却後、得られた粒子を水洗し、2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液によりイオン交換基の再生を行い、分離剤(1)を得た。
得られた分離剤(1)は、体積平均粒子径140μm、比表面積31m/g、細孔直径94.4nm、細孔容積0.85mL/g、総交換容量2.99ミリ等量/gであった。
[実施例2]
グリシジルメタクリレート由来の構成単位20質量%及びエチレングリコールジメタクリレート由来の構成単位80質量%からなり、比表面積305m/g、細孔直径120.4nm、細孔容積1.06mL/gの多孔性粒子40質量部に、ジエチレングリコールジメチルエーテル140質量部及びポリエチレンイミン(分子量600、富士フイルム和光純薬株式会社株式会社製)60質量部を添加し、攪拌して懸濁状態とした。この懸濁液を80℃に昇温し、6時間反応させた。冷却後、得られた粒子を水洗した。この粒子に、10質量%の濃度の硫酸200質量部を添加し、撹拌して懸濁状態とした。この懸濁液を50℃に昇温し、5時間保持することにより未反応のエポキシ基への水付加によるジオール生成反応を行った。冷却後、得られた粒子を水洗し、2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液によりイオン交換基の再生を行い、篩網を用いて粒子径75μm〜220μmの粒子を選別し、分離剤(2)を得た。
得られた分離剤(2)は、比表面積113m/g、細孔直径38.2nm、細孔容積0.76mL/g、総交換容量3.09ミリ等量/gであった。
[実施例3]
(クロマトグラフィーによる分離性評価1)
実施例1にて得られた分離剤1を、内径9mm、長さ100mmのポリカーボネート製カラムに充填した。これを高速液体クロマトグラフに接続し、85体積%2−プロピルアルコール水溶液を溶媒として、流速0.636mL/分にて高速液体クロマトグラフィー分析を行った。
ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドM及びレバウジオシドDの各化合物を、75体積%2−プロピルアルコール水溶液に1.67mg/mLの濃度となるように溶解させてサンプルを調製し、溶媒を流通させたカラムに各サンプル60μLを注入することで、カラム内の分離剤1に負荷し、紫外吸光検出器波長210nmにて、クロマトグラムを測定した。
得られたクロマトグラムを、図1に示す。保持時間30分の前後にて、レバウジオシドDやレバウジオシドMとステビオシドやレバウジオシドAとが分離されていることから、レバウジオシドDやレバウジオシドMの純度の高い画分を得ることが可能である。
[実施例4]
(クロマトグラフィーによる分離性評価2)
実施例2にて得られた分離剤2を、内径9mm、長さ100mmのポリカーボネート製カラムに充填した。これを高速液体クロマトグラフに接続し、82.5体積%2−プロピルアルコール水溶液を溶媒として、流速0.636mL/分にて高速液体クロマトグラフィー分析を行った。
ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドM及びレバウジオシドDの各化合物を、75体積%2−プロピルアルコール水溶液に1.67mg/mLの濃度となるように溶解させてサンプルを調製し、溶媒を流通させたカラムに各サンプル60μLを注入することで、カラム内の分離剤2に負荷し、紫外吸光検出器波長210nmにて、クロマトグラムを測定した。
得られたクロマトグラムを、図2に示す。保持時間33.5分の前後にて、レバウジオシドDやレバウジオシドMとステビオシドやレバウジオシドAとが分離されていることから、レバウジオシドDやレバウジオシドMの純度の高い画分を得ることが可能である。
[実施例5]
(吸着及び溶離による分離性評価1)
実施例1にて得られた分離剤1を、内径9mm、長さ100mmのポリカーボネート製カラムに充填した。これを高速液体クロマトグラフに接続し、92体積%2−プロピルアルコール水溶液にステビオシド1.00g/L、レバウジオシドA1.30g/L、レバウジオシドD0.46g/L、レバウジオシドM0.31g/Lの濃度となるように4種のステビオール配糖体を溶解させた溶液を、流速0.212mL/分にて130分通液した。
次いで、流速0.212mL/分にて2−プロピルアルコールを30分通液し、その後、流速0.212mL/分にて90体積%2−プロピルアルコール水溶液を60分通液し、流速0.212mL/分にて81体積%2−プロピルアルコール水溶液を90分通液した。
前記工程において、フラクションを6分ごとに採取し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析にて、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの含有量(mg)、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和(HPLC面積%)、ステビオシド及びレバウジオシドAの総和(HPLC面積%)を求めた。
高速液体クロマトグラフィー分析の条件は、以下の通りである。
カラム:ODS−2(商品名、長良サイエンス株式会社製、内径4.6mm、長さ50mm)
カラム温度:30℃
溶離液A:20mmol/Lのリン酸ナトリウム緩衝液(pH:2.6)
溶離液B:アセトニトリル
流速:0.750mL/分
グラジエント:
0分→5分:75体積%溶離液A及び25体積%溶離液B
5分→7分:75体積%溶離液A及び25体積%溶離液B→50体積%溶離液A及び50体積%溶離液B
7分→8分:50体積%溶離液A及び50体積%溶離液B
8分→9分:50体積%溶離液A及び50体積%溶離液B→75体積%溶離液A及び25体積%溶離液B
9分→15分:75体積%溶離液A及び25体積%溶離液B
検出:紫外吸光検出器(波長210nm)
得られた吸着及び溶離プロファイルを、図3に示す。また、各フラクション中のステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの含有量、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和のHPLC面積%、ステビオシド及びレバウジオシドAの総和のHPLC面積%を、図4に示す。
通液時間238分から280分までをまとめた画分において、レバウジオシドDの含有量は、8.8mg、レバウジオシドMの含有量は、2.8mg、ステビオシドとレバウジオシドAの含有量の総量は、3.3mgであった。また、通液時間238分から280分までをまとめた画分において、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和は、60.9HPLC面積%、ステビオシド及びレバウジオシドAの総和は、33.4HPLC面積%であった。
以上の結果から、レバウジオシドDやレバウジオシドMとステビオシドやレバウジオシドAとが分離されており、レバウジオシドDやレバウジオシドMの純度の高い画分を得ることができた。
[実施例6]
(吸着及び溶離による分離性評価2)
実施例1にて得られた分離剤1を、内径9mm、長さ100mmのポリカーボネート製カラムに充填した。これを高速液体クロマトグラフに接続し、93体積%2−プロピルアルコール水溶液にステビオシド1.29g/L、レバウジオシドA1.66g/L、レバウジオシドD0.48g/L、レバウジオシドM0.35g/Lの濃度になるように4種のステビオール配糖体を溶解させた溶液を、流速0.152mL/分にて230分通液した。
次いで、流速0.212mL/分にて92.5体積%2−プロピルアルコール水溶液を30分通液し、その後、流速0.212mL/分にて90体積%2−プロピルアルコール水溶液を60分通液し、流速0.212mL/分にて81体積%2−プロピルアルコール水溶液を80分通液した。
前記工程において、フラクションを6分ごとに採取し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析にて、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの含有量(mg)、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和(HPLC面積%)、ステビオシド及びレバウジオシドAの総和(HPLC面積%)を求めた。
高速液体クロマトグラフィー分析の条件は、実施例5と同様とした。
得られた吸着及び溶離プロファイルを、図5に示す。また、各フラクション中のステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの含有量、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和のHPLC面積%、ステビオシド及びレバウジオシドAの総和のHPLC面積%を、図6に示す。
通液時間338分から386分までをまとめた画分において、レバウジオシドDの含有量は、6.2mg、レバウジオシドMの含有量は、2.6mg、ステビオシドとレバウジオシドAの含有量の総量は、0.9mgであった。また、通液時間338分から386分までをまとめた画分において、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和は、71.4HPLC面積%、ステビオシド及びレバウジオシドAの総和は、19.9HPLC面積%であった。
以上の結果から、レバウジオシドDやレバウジオシドMとステビオシドやレバウジオシドAとが分離されており、レバウジオシドDやレバウジオシドMの純度の高い画分を得ることができた。
本発明の分離剤は、レバウジオシドDやレバウジオシドMに対して優れた吸着性を示し、レバウジオシドDやレバウジオシドMとステビオシドやレバウジオシドAとを分離させることができ、本発明の分離方法は、レバウジオシドDやレバウジオシドMとステビオシドやレバウジオシドAとを分離させることができ、高純度のレバウジオシドDやレバウジオシドMを工業スケールで効率よく得ることができ、かつ、ステビア葉等から抽出された色素成分の脱色も同時に行うことができることから、食品工業分野における実用上の価値が極めて高い。

Claims (22)

  1. 多孔性粒子に、ポリアルキレンポリアミンが固定化された、レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の分離に用いる分離剤。
  2. ポリアルキレンポリアミンが、ポリエチレンイミンを含む、請求項1に記載の分離剤。
  3. ポリエチレンイミンの質量平均分子量が、200以上である、請求項2に記載の分離剤。
  4. 窒素含有率が、0.3質量%〜30質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分離剤。
  5. 多孔性粒子の細孔直径が、1nm〜1000nmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の分離剤。
  6. 多孔性粒子が、架橋構造を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の分離剤。
  7. 多孔性粒子が、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、多糖類、シリカ及びガラスからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の分離剤。
  8. 多孔性粒子が、アクリル系樹脂を含む、請求項7に記載の分離剤。
  9. 多孔性粒子が、ヒドロキシル基を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の分離剤。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の分離剤により、レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を分離する、分離方法。
  11. レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む溶液を、請求項1〜9のいずれか1項に記載の分離剤に負荷し、前記分離剤に溶媒(A)を流通することにより、前記溶液中の前記化合物を分離する液体クロマトグラフィー工程を有する、分離方法。
  12. 前記液体クロマトグラフィー工程にて得られる画分の少なくとも1つが、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上の画分である、請求項11に記載のステビオール配糖体の分離方法。
  13. 前記液体クロマトグラフィー工程にて得られる画分の少なくとも1つが、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上、かつ、ステビオシド及びレバウジオシドAの総和が50HPLC面積%未満の画分である、請求項11に記載のステビオール配糖体の分離方法。
  14. 前記溶媒(A)が、アルコール類を含む、請求項11〜13のいずれか1項に記載のステビオール配糖体の分離方法。
  15. 前記液体クロマトグラフィー工程において、前記溶液中の色素成分の脱色も同時に行う、請求項11〜14のいずれか1項に記載のステビオール配糖体の分離方法。
  16. レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と溶媒(B)とを含む溶液を通液し、前記化合物を請求項1〜9のいずれか1項に記載の分離剤に吸着させる吸着工程と、次いで溶媒(C)を用いて前記分離剤から前記化合物を溶離させる溶離工程とを含み、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上の画分と他の画分との少なくとも2以上の画分を得る、分離方法。
  17. 前記溶媒(B)及び前記溶媒(C)が、アルコール類を含む、請求項16に記載の分離方法。
  18. 前記溶媒(C)が、前記溶媒(B)よりも極性が高い、請求項16又は17に記載の分離方法。
  19. 前記溶媒(B)が、プロピルアルコール、エチルアルコール又はメチルアルコールを含む、請求項16〜18のいずれか1項に記載の分離方法。
  20. 前記溶離工程において、前記溶液中の色素成分の脱色も同時に行う、請求項16〜19のいずれか1項に記載の分離方法。
  21. 請求項10〜20のいずれか1項に記載の分離方法により、前記化合物を分離する工程を有する、化合物の製造方法。
  22. 更に、前記分離する工程で得たレバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上の画分を結晶化する工程を有する、請求項21に記載の化合物の製造方法。
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