JP6981364B2 - 分離剤、分離方法及び化合物の製造方法 - Google Patents
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[1]多孔性粒子に、ポリアルキレンポリアミンが固定化された、レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の分離に用いる分離剤。
[2]ポリアルキレンポリアミンが、ポリエチレンイミンを含む、[1]に記載の分離剤。
[3]ポリエチレンイミンの質量平均分子量が、200以上である、[2]に記載の分離剤。
[4]窒素含有率が、0.3質量%〜30質量%である、[1]〜[3]のいずれかに記載の分離剤。
[5]多孔性粒子の細孔直径が、1nm〜1000nmである、[1]〜[4]のいずれかに記載の分離剤。
[6]多孔性粒子が、架橋構造を有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の分離剤。
[7]多孔性粒子が、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、多糖類、シリカ及びガラスからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の分離剤。
[8]多孔性粒子が、アクリル系樹脂を含む、[7]に記載の分離剤。
[9]多孔性粒子が、ヒドロキシル基を含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の分離剤。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の分離剤により、レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を分離する、分離方法。
[11]レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む溶液を、[1]〜[9]のいずれかに記載の分離剤に負荷し、前記分離剤に溶媒(A)を流通することにより、前記溶液中の前記化合物を分離する液体クロマトグラフィー工程を有する、分離方法。
[12]前記液体クロマトグラフィー工程にて得られる画分の少なくとも1つが、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上の画分である、[11]に記載のステビオール配糖体の分離方法。
[13]前記液体クロマトグラフィー工程にて得られる画分の少なくとも1つが、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上、かつ、ステビオシド及びレバウジオシドAの総和が50HPLC面積%未満の画分である、[11]に記載のステビオール配糖体の分離方法。
[14]前記溶媒(A)が、アルコール類を含む、[11]〜[13]のいずれかに記載のステビオール配糖体の分離方法。
[15]前記液体クロマトグラフィー工程において、前記溶液中の色素成分の脱色も同時に行う、[11]〜[14]のいずれかに記載のステビオール配糖体の分離方法。
[16]レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と溶媒(B)とを含む溶液を通液し、前記化合物を[1]〜[9]のいずれかに記載の分離剤に吸着させる吸着工程と、次いで溶媒(C)を用いて前記分離剤から前記化合物を溶離させる溶離工程とを含み、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上の画分と他の画分との少なくとも2以上の画分を得る、分離方法。
[17]前記溶媒(B)及び前記溶媒(C)が、アルコール類を含む、[16]に記載の分離方法。
[18]前記溶媒(C)が、前記溶媒(B)よりも極性が高い、[16]又は[17]に記載の分離方法。
[19]前記溶媒(B)が、プロピルアルコール、エチルアルコール又はメチルアルコールを含む、[16]〜[18]のいずれかに記載の分離方法。
[20]前記溶離工程において、前記溶液中の色素成分の脱色も同時に行う、[16]〜[19]のいずれかに記載の分離方法。
[21][10]〜[20]のいずれかに記載の分離方法により、前記化合物を分離する工程を有する、化合物の製造方法。
[22]更に、前記分離する工程で得たレバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上の画分を結晶化する工程を有する、[21]に記載の化合物の製造方法。
また、本発明の分離方法は、本発明の分離剤を用いるため、レバウジオシドDやレバウジオシドMとステビオシドやレバウジオシドAとを分離させることができ、高純度のレバウジオシドDやレバウジオシドMを工業スケールで効率よく得ることができる。
更に、本発明の化合物の製造方法は、本発明の分離方法を用いるため、レバウジオシドDやレバウジオシドMとステビオシドやレバウジオシドAとを分離させることができ、高純度のレバウジオシドDやレバウジオシドMを工業スケールで効率よく得ることができる。
本発明の分離剤は、多孔性粒子に、ポリアルキレンポリアミンが固定化されたものである。
本明細書において、多孔性粒子は、多数の微細な細孔を有する粒子をいう。多孔性粒子の体積平均粒子径、比表面積、細孔直径、細孔容積の好ましい範囲は、後述する。
多孔性粒子を構成する材料としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、多糖類、シリカ、ガラス等が挙げられる。これらの多孔性粒子を構成する材料の中でも、多孔性粒子とステビオール配糖体との不必要な疎水性相互作用を抑制することができることから、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、多糖類、シリカ、ガラスが好ましく、アクリル系樹脂がより好ましい。
多孔性粒子の製造方法としては、例えば、非架橋性単量体、架橋性単量体、多孔質化剤、重合開始剤等を含む有機層を、分散安定剤等を含む水層に分散させ、加熱等による重合反応を行う方法が挙げられる。この方法により、架橋構造を有する球状の多孔性粒子を得ることができる。より具体的には、特公昭58−058026号公報に開示されているような懸濁重合や乳化重合を行う方法が挙げられる。
架橋性単量体としては、例えば、前述した架橋性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
架橋性単量体の含有率は、全単量体100質量%中、3質量%〜95質量%が好ましく、5質量%〜90質量%がより好ましい。架橋性単量体の含有率が3質量%以上であると、細孔構造の形成が十分で、多孔性粒子の機械的強度に優れる。また、架橋性単量体の含有率が95質量%以下であると、ポリエチレンイミンの固定化反応が進行しやすく、ポリエチレンイミンの導入量も十分で、レバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着性に優れる。
非架橋性単量体の含有率は、全単量体100質量%中、5質量%〜97質量%が好ましく、10質量%〜95質量%がより好ましい。非架橋性単量体の含有率が5質量%以上であると、ポリエチレンイミンの固定化反応が進行しやすく、ポリエチレンイミンの導入量も十分で、レバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着性に優れる。また、非架橋性単量体の含有率が97質量%以下であると、細孔構造の形成が十分で、多孔性粒子の機械的強度に優れる。
反応性官能基としては、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲン基、エポキシ基等が挙げられる。これらの反応性官能基の中でも、反応性官能基を導入しやすく、ポリエチレンイミンとの反応性に優れることから、ハロゲン基、エポキシ基が好ましい。
多孔性粒子を構築した後に反応性官能基を導入する方法としては、例えば、反応性官能基を有する化合物(スペーサー)と反応可能な官能基を有する単量体を含む単量体組成物を重合して多孔性粒子を構築し、多孔性粒子と反応性官能基を有する化合物(スペーサー)とを反応させる方法が挙げられる。
多孔性粒子の体積平均粒子径は、1μm〜1000μmが好ましく、4μm〜700μmがより好ましく、10μm〜500μmが更に好ましい。多孔性粒子の体積平均粒子径が1μm以上であると、分離剤をカラムに充填して通液したときの圧力損失を抑制し、通液速度を高めることができ、吸着処理の生産性に優れる。また、多孔性粒子の体積平均粒子径が1000μm以下であると、カラム効率に優れ、吸着量や分離性能に優れる。
本明細書において、多孔性粒子の体積平均粒子径は、光学顕微鏡を用いて任意の100個の多孔性粒子の粒子径を測定し、その分布から体積メジアン径を算出するものとする。
本明細書において、多孔性粒子の比表面積は、窒素ガス吸着法(BET法)により測定するものとする。具体的には、窒素ガスの吸着前後の圧力変化から、BETの式により単分子層吸着量を算出し、窒素ガス1分子の断面積から多孔性粒子の比表面積を算出するものとし、ISO 9277を準用する。
本明細書において、多孔性粒子の細孔直径は、水銀圧入法により測定した最頻度直径とする。具体的には、多孔性粒子に圧力をかけて水銀を開孔部に侵入させ、圧力値と対応する侵入水銀体積とを用いて、細孔の形状を円柱状と仮定し、Washburnの式から算出する方法であり、ISO 15901−1を準用する。
本明細書において、多孔性粒子の細孔容積は、水銀圧入法により測定するものとする。具体的には、多孔性粒子に圧力をかけて水銀を開孔部に侵入させ、圧力値と対応する侵入水銀体積とを用いて、細孔の形状を円柱状と仮定し、Washburnの式から算出する方法であり、ISO 15901−1を準用する。
ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、エチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。これらのポリアルキレンポリアミンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらのポリアルキレンポリアミンの中でも、レバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着性に優れることから、ポリエチレンイミンが好ましい。
ポリエチレンイミンの質量平均分子量は、200〜100000が好ましく、250〜10000がより好ましい。ポリエチレンイミンの質量平均分子量が200以上であると、レバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着性に優れる。また、ポリエチレンイミンの質量平均分子量が100000以下であると、ポリエチレンイミンの固定化反応の反応性に優れる。
本明細書において、ポリエチレンイミンの質量平均分子量は、ゲル濾過クロマトグラフィー法により測定するものとする。
ポリエチレンイミンを供給する方法は、ポリエチレンイミンをそのまま用いると粘度が高く、工業的に製造するには取り扱いが困難であることから、ポリエチレンイミンを有機溶媒又は水に溶解させた溶液を用いることが好ましく、反応性官能基としてエポキシ基を用いる場合、水溶液ではエポキシ基への水付加によるジオール生成反応が起こることから、ポリエチレンイミンを有機溶媒に溶解させた溶液を用いることがより好ましい。
多孔性粒子は、反応性官能基としてエポキシ基を用いた場合に、レバウジオシドDやレバウジオシドMの吸着量の低下や吸着性の悪化を抑制することができることから、ヒドロキシル基を有することが好ましい。
エポキシ基と水とを反応させる際の触媒の濃度は、副反応を抑制することができることから、1質量%〜30質量%が好ましく、3質量%〜20質量%がより好ましい。
エポキシ基と水とを反応させる際の反応時間は、副反応を抑制することができることから、0.1時間〜24時間が好ましく、1時間〜10時間がより好ましい。
分離剤の体積平均粒子径は、1μm〜1000μmが好ましく、4μm〜700μmがより好ましく、10μm〜500μmが更に好ましい。分離剤の体積平均粒子径が1μm以上であると、分離剤をカラムに充填して通液したときの圧力損失を抑制し、通液速度を高めることができ、吸着処理の生産性に優れる。また、分離剤の体積平均粒子径が1000μm以下であると、カラム効率に優れ、吸着量や分離性能に優れる。
本明細書において、分離剤の体積平均粒子径は、光学顕微鏡を用いて任意の100個の分離剤の粒子径を測定し、その分布から体積メジアン径を算出するものとする。
本明細書において、分離剤の均一係数は、分離剤の体積分布において、粒子径の大きい方から40%となる粒子径を、粒子系の大きい方から90%となる粒子径で除した値とする。
本明細書において、分離剤の比表面積は、窒素ガス吸着法(BET法)により測定するものとする。具体的には、窒素ガスの吸着前後の圧力変化から、BETの式により単分子層吸着量を算出し、窒素ガス1分子の断面積から分離剤の比表面積を算出するものとし、ISO 9277を準用する。
本明細書において、分離剤の細孔直径は、水銀圧入法により測定した最頻度直径とする。具体的には、分離剤に圧力をかけて水銀を開孔部に侵入させ、圧力値と対応する侵入水銀体積とを用いて、細孔の形状を円柱状と仮定し、Washburnの式から算出する方法であり、ISO 15901−1を準用する。
本明細書において、分離剤の細孔容積は、水銀圧入法により測定するものとする。具体的には、分離剤に圧力をかけて水銀を開孔部に侵入させ、圧力値と対応する侵入水銀体積とを用いて、細孔の形状を円柱状と仮定し、Washburnの式から算出する方法であり、ISO 15901−1を準用する。
本明細書において、分離剤の窒素含有率は、元素分析により測定するものとする。具体的には、炭素・水素・窒素同時定量装置を用いて測定するものとする。
本明細書において、分離剤の総交換容量は、乾燥させた分離剤0.5g〜1.5gに相当する量を精秤し、0.2mol/Lの塩酸250mLに入れ、30℃で8時間振盪させた後、上澄みの塩酸濃度を滴定により測定し、その結果から算出するものとする。
本発明の分離剤は、レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の分離に用いるものである。
本発明の分離方法は、本発明の分離剤により、レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を分離する方法であり、高純度のレバウジオシドDやレバウジオシドMを工業スケールで効率よく得ることができることから、以下の2つの分離方法が好ましい。
本明細書において、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和は、ステビオール配糖体及び色素成分等のステビオール配糖体以外の成分を含むクロマトグラムのピークの総面積に対するレバウジオシドD及びレバウジオシドMのクロマトグラムのピークの総面積の割合を表し、ステビオシド及びレバウジオシドAの総和は、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドD及びレバウジオシドMのクロマトグラムのピークの総面積に対するステビオシド及びレバウジオシドAのクロマトグラムのピークの総面積の割合を表す。
方法(1)は、レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む溶液を、本発明の分離剤に負荷し、前記分離剤に溶媒(A)を流通することにより、前記溶液中の前記化合物を分離する液体クロマトグラフィー工程を有する分離方法である。
前記溶解度パラメータは、ポリマーハンドブック第3版(WILEY社、1989年発行)に記載の値を参照した。
HPLC面積%の値は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用いて、紫外吸光検出器波長210nmにて分析して得られた値であり、ステビア葉からの抽出液は、波長210nmにおけるモル吸光係数が大きいステビオール配糖体以外の不純物を含むことから、HPLC面積%の値は、実際の固形分におけるステビオール配糖体の質量%の値よりも小さくなる傾向にある。
方法(2)は、レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と溶媒(B)とを含む溶液を通液し、前記化合物を本発明の分離剤に吸着させる吸着工程と、次いで溶媒(C)を用いて前記分離剤から前記化合物を溶離させる溶離工程とを含み、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上の画分と他の画分との少なくとも2以上の画分を得る分離方法である。
方法(2)は、バッチ処理法、カラム処理法等の方法が用いられるが、効率よく分離することができることから、カラム処理法が好ましい。
前記化合物を溶離させる前に前記分離剤から他の化合物を溶離させてもよく、前記化合物を溶離させた後に前記分離剤から他の化合物を溶離させてもよい。
溶媒(A)、溶媒(B)、溶媒(C)は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
溶解度パラメータは、極性の寄与度を含むため、溶媒の極性の判断指標として用いることができる。本明細書において、溶解度パラメータは、ポリマーハンドブック第3版(WILEY社、1989年発行)に記載の値を参照するものとする。
HPLC面積%の値は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用いて、紫外吸光検出器波長210nmにて分析して得られた値であり、ステビア葉からの抽出液は、波長210nmにおけるモル吸光係数が大きいステビオール配糖体以外の不純物を含むことから、HPLC面積%の値は、実際の固形分におけるステビオール配糖体の質量%の値よりも小さくなる傾向にある。
本発明の分離剤は、ポリエチレンイミンがアニオン交換能を有し、かつ、ステビア葉等から抽出される色素成分は、その化学構造中にカルボキシル基等のアニオン性官能基を有することから、方法(1)の液体クロマトグラフィー工程や方法(2)の溶離工程において、ステビア葉等から抽出された色素成分の脱色も同時に行うことができる。本発明の分離剤を用いる場合、色素成分は、方法(1)の液体クロマトグラフィー工程や方法(2)の溶離工程において、いずれもカラム内に留まるため、レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とする画分から、色素成分を除去することができる。カラム内に留まった色素成分は、別途溶離させることで、分離剤を再利用することができる。
本発明の化合物の製造方法は、本発明の分離方法により、前記化合物、即ち、レバウジオシドDやレバウジオシドMを分離する工程を有する。
一方、本発明の化合物の製造方法は、本発明の分離方法により、レバウジオシドDやレバウジオシドMをステビオシドやレバウジオシドAから分離させた後に結晶化することができるので、結晶化を誘起させる溶媒組成、添加方法、温度制御方法等の好適な条件の範囲が広くなり、その制御が容易になることから、製造再現性が高く、工業スケールでの生産が容易となる。
本発明の分離剤は、レバウジオシドDやレバウジオシドMに対して優れた吸着性を示し、レバウジオシドDやレバウジオシドMとステビオシドやレバウジオシドAとを分離させることができ、本発明の分離方法は、レバウジオシドDやレバウジオシドMとステビオシドやレバウジオシドAとを分離させることができ、高純度のレバウジオシドDやレバウジオシドMを工業スケールで効率よく得ることができ、かつ、ステビア葉等から抽出された色素成分の脱色も同時に行うことができることから、食品工業分野における実用上の価値が極めて高い。
実施例で用いた多孔性粒子及び実施例で得られた分離剤の体積平均粒子径について、光学顕微鏡(機種名「SMZ1500」、株式会社ニコン製)を用い、任意の100個の多孔性粒子・分離剤の粒子径を測定し、その分布から体積メジアン径を算出して得た。
実施例で用いた多孔性粒子及び実施例で得られた分離剤の比表面積について、乾燥させた多孔性粒子・分離剤を秤量し、比表面積測定装置(機種名「フローソーブIII」、マイクロメリテックス社製)を用い、窒素ガス吸着法(BET法)により測定した。
実施例で用いた多孔性粒子及び実施例で得られた分離剤の細孔直径・細孔容積について、自動ポロシメータ(機種名「オートポア9520」、マイクロメリテックス社製)を用い、水銀圧入法により測定した。
実施例で得られた分離剤の窒素含有率について、炭素・水素・窒素同時定量装置(機種名「2400II」、パーキンエルマー社製)を用い、元素分析により測定した。
実施例で得られた分離剤の総交換容量について、乾燥させた分離剤0.5g〜1.5gに相当する量を精秤し、0.2mol/Lの塩酸250mLに入れ、30℃で8時間振盪させた後、上澄みの塩酸濃度を滴定により測定し、その結果から算出して得た。
グリシジルメタクリレート由来の構成単位70質量%及びエチレングリコールジメタクリレート由来の構成単位30質量%からなり、比表面積37m2/g、細孔直径94.2nm、細孔容積0.99mL/gの多孔性粒子40質量部に、ジエチレングリコールジメチルエーテル140質量部及びポリエチレンイミン(分子量600、富士フイルム和光純薬株式会社株式会社製)60質量部を添加し、攪拌して懸濁状態とした。この懸濁液を80℃に昇温し、6時間反応させた。冷却後、得られた粒子を水洗した。この粒子に、10質量%の濃度の硫酸200質量部を添加し、撹拌して懸濁状態とした。この懸濁液を50℃に昇温し、5時間保持することにより未反応のエポキシ基への水付加によるジオール生成反応を行った。冷却後、得られた粒子を水洗し、2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液によりイオン交換基の再生を行い、分離剤(1)を得た。
得られた分離剤(1)は、体積平均粒子径140μm、比表面積31m2/g、細孔直径94.4nm、細孔容積0.85mL/g、総交換容量2.99ミリ等量/gであった。
グリシジルメタクリレート由来の構成単位20質量%及びエチレングリコールジメタクリレート由来の構成単位80質量%からなり、比表面積305m2/g、細孔直径120.4nm、細孔容積1.06mL/gの多孔性粒子40質量部に、ジエチレングリコールジメチルエーテル140質量部及びポリエチレンイミン(分子量600、富士フイルム和光純薬株式会社株式会社製)60質量部を添加し、攪拌して懸濁状態とした。この懸濁液を80℃に昇温し、6時間反応させた。冷却後、得られた粒子を水洗した。この粒子に、10質量%の濃度の硫酸200質量部を添加し、撹拌して懸濁状態とした。この懸濁液を50℃に昇温し、5時間保持することにより未反応のエポキシ基への水付加によるジオール生成反応を行った。冷却後、得られた粒子を水洗し、2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液によりイオン交換基の再生を行い、篩網を用いて粒子径75μm〜220μmの粒子を選別し、分離剤(2)を得た。
得られた分離剤(2)は、比表面積113m2/g、細孔直径38.2nm、細孔容積0.76mL/g、総交換容量3.09ミリ等量/gであった。
(クロマトグラフィーによる分離性評価1)
実施例1にて得られた分離剤1を、内径9mm、長さ100mmのポリカーボネート製カラムに充填した。これを高速液体クロマトグラフに接続し、85体積%2−プロピルアルコール水溶液を溶媒として、流速0.636mL/分にて高速液体クロマトグラフィー分析を行った。
ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドM及びレバウジオシドDの各化合物を、75体積%2−プロピルアルコール水溶液に1.67mg/mLの濃度となるように溶解させてサンプルを調製し、溶媒を流通させたカラムに各サンプル60μLを注入することで、カラム内の分離剤1に負荷し、紫外吸光検出器波長210nmにて、クロマトグラムを測定した。
得られたクロマトグラムを、図1に示す。保持時間30分の前後にて、レバウジオシドDやレバウジオシドMとステビオシドやレバウジオシドAとが分離されていることから、レバウジオシドDやレバウジオシドMの純度の高い画分を得ることが可能である。
(クロマトグラフィーによる分離性評価2)
実施例2にて得られた分離剤2を、内径9mm、長さ100mmのポリカーボネート製カラムに充填した。これを高速液体クロマトグラフに接続し、82.5体積%2−プロピルアルコール水溶液を溶媒として、流速0.636mL/分にて高速液体クロマトグラフィー分析を行った。
ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドM及びレバウジオシドDの各化合物を、75体積%2−プロピルアルコール水溶液に1.67mg/mLの濃度となるように溶解させてサンプルを調製し、溶媒を流通させたカラムに各サンプル60μLを注入することで、カラム内の分離剤2に負荷し、紫外吸光検出器波長210nmにて、クロマトグラムを測定した。
得られたクロマトグラムを、図2に示す。保持時間33.5分の前後にて、レバウジオシドDやレバウジオシドMとステビオシドやレバウジオシドAとが分離されていることから、レバウジオシドDやレバウジオシドMの純度の高い画分を得ることが可能である。
(吸着及び溶離による分離性評価1)
実施例1にて得られた分離剤1を、内径9mm、長さ100mmのポリカーボネート製カラムに充填した。これを高速液体クロマトグラフに接続し、92体積%2−プロピルアルコール水溶液にステビオシド1.00g/L、レバウジオシドA1.30g/L、レバウジオシドD0.46g/L、レバウジオシドM0.31g/Lの濃度となるように4種のステビオール配糖体を溶解させた溶液を、流速0.212mL/分にて130分通液した。
次いで、流速0.212mL/分にて2−プロピルアルコールを30分通液し、その後、流速0.212mL/分にて90体積%2−プロピルアルコール水溶液を60分通液し、流速0.212mL/分にて81体積%2−プロピルアルコール水溶液を90分通液した。
カラム:ODS−2(商品名、長良サイエンス株式会社製、内径4.6mm、長さ50mm)
カラム温度:30℃
溶離液A:20mmol/Lのリン酸ナトリウム緩衝液(pH:2.6)
溶離液B:アセトニトリル
流速:0.750mL/分
グラジエント:
0分→5分:75体積%溶離液A及び25体積%溶離液B
5分→7分:75体積%溶離液A及び25体積%溶離液B→50体積%溶離液A及び50体積%溶離液B
7分→8分:50体積%溶離液A及び50体積%溶離液B
8分→9分:50体積%溶離液A及び50体積%溶離液B→75体積%溶離液A及び25体積%溶離液B
9分→15分:75体積%溶離液A及び25体積%溶離液B
検出:紫外吸光検出器(波長210nm)
以上の結果から、レバウジオシドDやレバウジオシドMとステビオシドやレバウジオシドAとが分離されており、レバウジオシドDやレバウジオシドMの純度の高い画分を得ることができた。
(吸着及び溶離による分離性評価2)
実施例1にて得られた分離剤1を、内径9mm、長さ100mmのポリカーボネート製カラムに充填した。これを高速液体クロマトグラフに接続し、93体積%2−プロピルアルコール水溶液にステビオシド1.29g/L、レバウジオシドA1.66g/L、レバウジオシドD0.48g/L、レバウジオシドM0.35g/Lの濃度になるように4種のステビオール配糖体を溶解させた溶液を、流速0.152mL/分にて230分通液した。
高速液体クロマトグラフィー分析の条件は、実施例5と同様とした。
以上の結果から、レバウジオシドDやレバウジオシドMとステビオシドやレバウジオシドAとが分離されており、レバウジオシドDやレバウジオシドMの純度の高い画分を得ることができた。
Claims (22)
- 多孔性粒子に、ポリアルキレンポリアミンが固定化された、レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の分離に用いる分離剤。
- ポリアルキレンポリアミンが、ポリエチレンイミンを含む、請求項1に記載の分離剤。
- ポリエチレンイミンの質量平均分子量が、200以上である、請求項2に記載の分離剤。
- 窒素含有率が、0.3質量%〜30質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分離剤。
- 多孔性粒子の細孔直径が、1nm〜1000nmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の分離剤。
- 多孔性粒子が、架橋構造を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の分離剤。
- 多孔性粒子が、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、多糖類、シリカ及びガラスからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の分離剤。
- 多孔性粒子が、アクリル系樹脂を含む、請求項7に記載の分離剤。
- 多孔性粒子が、ヒドロキシル基を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の分離剤。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の分離剤により、レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を分離する、分離方法。
- レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む溶液を、請求項1〜9のいずれか1項に記載の分離剤に負荷し、前記分離剤に溶媒(A)を流通することにより、前記溶液中の前記化合物を分離する液体クロマトグラフィー工程を有する、分離方法。
- 前記液体クロマトグラフィー工程にて得られる画分の少なくとも1つが、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上の画分である、請求項11に記載のステビオール配糖体の分離方法。
- 前記液体クロマトグラフィー工程にて得られる画分の少なくとも1つが、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上、かつ、ステビオシド及びレバウジオシドAの総和が50HPLC面積%未満の画分である、請求項11に記載のステビオール配糖体の分離方法。
- 前記溶媒(A)が、アルコール類を含む、請求項11〜13のいずれか1項に記載のステビオール配糖体の分離方法。
- 前記液体クロマトグラフィー工程において、前記溶液中の色素成分の脱色も同時に行う、請求項11〜14のいずれか1項に記載のステビオール配糖体の分離方法。
- レバウジオシドD及びレバウジオシドMからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と溶媒(B)とを含む溶液を通液し、前記化合物を請求項1〜9のいずれか1項に記載の分離剤に吸着させる吸着工程と、次いで溶媒(C)を用いて前記分離剤から前記化合物を溶離させる溶離工程とを含み、レバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上の画分と他の画分との少なくとも2以上の画分を得る、分離方法。
- 前記溶媒(B)及び前記溶媒(C)が、アルコール類を含む、請求項16に記載の分離方法。
- 前記溶媒(C)が、前記溶媒(B)よりも極性が高い、請求項16又は17に記載の分離方法。
- 前記溶媒(B)が、プロピルアルコール、エチルアルコール又はメチルアルコールを含む、請求項16〜18のいずれか1項に記載の分離方法。
- 前記溶離工程において、前記溶液中の色素成分の脱色も同時に行う、請求項16〜19のいずれか1項に記載の分離方法。
- 請求項10〜20のいずれか1項に記載の分離方法により、前記化合物を分離する工程を有する、化合物の製造方法。
- 更に、前記分離する工程で得たレバウジオシドD及びレバウジオシドMの総和が10HPLC面積%以上の画分を結晶化する工程を有する、請求項21に記載の化合物の製造方法。
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