JP6992586B2 - 貴金属の除去方法、及び化合物の製造方法 - Google Patents

貴金属の除去方法、及び化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、貴金属吸着剤、貴金属の除去方法及び化合物の製造方法に関する。
貴金属は、その触媒作用から、各種化学反応において用いられるが、中でも、パラジウムは、還元反応、不均化反応、カップリング反応等の多くの化学反応の触媒として用いられており、その触媒活性を維持する等の目的により、種々の物質に固定化(担持)されて用いられている。例えば、活性炭にパラジウムを担持させたパラジウム炭素は、副反応が少なく、触媒の保存や取り扱いが容易である等の理由から、主に接触還元反応やカップリング反応に広く用いられている。
一方、貴金属は、産出量が少ないことから高価であり、再利用することが求められている。また、貴金属を化学反応触媒として用いる場合、反応後に目的化合物を単離する際に貴金属を除去する必要がある。特に、医薬品用途に用いる場合、貴金属残留量を極限まで低減する必要がある。例えば、前記パラジウム炭素を用いてハロゲン化アリールと一置換アルキンとをクロスカップリングさせる反応において、パラジウム炭素に存在するパラジウム100質量%中、概ね10~30質量%が反応後に反応系に漏出することから、各種後処理工程を経てもなお相当量のパラジウムが残存することになり、これを低減させる方法が求められている。
パラジウムを含む貴金属の回収及び除去方法の1つに、貴金属に対する選択性の高い官能基を固定化した吸着剤を用いる方法があり、その吸着剤の担体としては主にシリカゲルが用いられている。しかしながら、シリカゲルは、使用中に微粉が発生する、酸やアルカリ条件に対する耐性が低い等、長期に亘る工業的使用に対する課題を有する。
このような課題を解決する方法として、特許文献1には、ポリアミン型キレート樹脂を用いて貴金属を除去する方法が開示されている。また、非特許文献1には、ポリスチレンにアミンを固定化した樹脂を用いて貴金属を除去する方法が開示されている。
特開2007-302938号公報
Organic Process Research & Development,7(2003),p191.
しかしながら、特許文献1や非特許文献1で開示されるようなアミンを固定化した樹脂では、ハロゲン化アリールと一置換アルキンとのクロスカップリング反応において、パラジウムの吸着性に劣るという課題を有する。
また、工業スケールにおいて、クロスカップリング反応に代表される化学反応後に、反応系から貴金属を効率よく除去する方法が知られていないという課題を有する。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、貴金属、特に、パラジウムの吸着性、除去性に優れた貴金属吸着剤、貴金属の除去方法、化合物の製造方法を提供することにある。
このように、工業スケールにおいて、クロスカップリング反応に代表される化学反応後に、反応系から貴金属を効率よく除去する方法が知られていなかったが、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、多孔性粒子にポリエチレンイミンが固定化された吸着剤が、貴金属、特に、パラジウムに対して、優れた吸着性、除去性を示すことを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の要旨は、以下の通りである。
[1] 多孔性粒子に、ポリエチレンイミンが固定化されてなる、貴金属吸着剤を用いて貴
金属を除去する、貴金属の除去方法であって、
前記ポリエチレンイミンの質量平均分子量が200以上であり、
前記貴金属が、化学反応の系内に漏出したものであり、
前記化学反応が、ハロゲン化アリールと一置換アルキンとのクロスカップリング反応であ
る、
貴金属の除去方法。
[2] 前記ポリエチレンイミンの質量平均分子量が、100000以下である、[1]
載の貴金属の除去方法
[3] 前記貴金属が、パラジウムである、[1]又は[2]に記載の貴金属の除去方法
[4] 前記多孔性粒子が、架橋構造を有する、[1]~[3]のいずれかに記載の貴金属の除
去方法
[5] 前記多孔性粒子が、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、イソシアヌル酸トリアリル
-酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含
む[1]~[4]のいずれかに記載の貴金属の除去方法
[6] 前記多孔性粒子が、アクリル系樹脂を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の貴金属
の除去方法
[7] 前記多孔性粒子が、スチレン系樹脂を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の貴金属
の除去方法
[8] 前記多孔性粒子が、ヒドロキシル基を含む、[1]~[7]のいずれかに記載の貴金属
の除去方法
[9] [1]~[8]のいずれかに記載の貴金属の除去方法を含む、化合物の製造方法。
本発明の貴金属吸着剤は、貴金属、特に、パラジウムの吸着性に優れる。また、本発明の貴金属の除去方法は、貴金属、特に、パラジウムの除去性に優れる。更に、本発明の化合物の製造方法は、貴金属、特に、パラジウムの除去性に優れる。
中でも、ハロゲン化アリールと一置換アルキンとのクロスカップリング反応において、本発明の貴金属吸着剤を用いることで、反応系に漏出するパラジウムを効率よく除去することができる。
以下に本発明について詳述するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。尚、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。また、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」、「メタクリル」又はその両者をいい、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」、「メタクリレート」又はその両者をいう。
(貴金属吸着剤)
本発明の貴金属吸着剤は、多孔性粒子に、ポリエチレンイミンが固定化されてなる。
本明細書において、貴金属は、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)及びオスミウム(Os)からなる群より選ばれる少なくとも1種をいう。これらの貴金属の中でも、ハロゲン化アリールと一置換アルキンとのクロスカップリング反応において、パラジウムが好ましい。
本明細書において、多孔性粒子は、多数の微細な細孔を有する粒子をいう。多孔性粒子の体積平均粒子径、比表面積、細孔直径、細孔容積の好ましい範囲は、後述する。
(多孔性粒子を構成する材料)
多孔性粒子を構成する材料としては、例えば、セルロース、アガロース等の多糖類、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、イソシアヌル酸トリアリル-酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂等が挙げられる。これらの多孔性粒子を構成する材料の中でも、機械的強度に優れることから、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、イソシアヌル酸トリアリル-酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂が好ましく、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂がより好ましい。多孔性粒子をアクリル系樹脂とすることで、多孔性粒子を容易に製造することができる。多孔性粒子をスチレン系樹脂とすることで、多孔性粒子を容易に製造することができ、酸やアルカリに対する耐久性に優れる。
本明細書において、アクリル系樹脂は、アクリル系樹脂を構成する全単量体単位100質量%中、(メタ)アクリレート由来の構成単位が50質量%以上であることをいい、80質量%以上が好ましい。アクリル系樹脂は、(メタ)アクリレート由来以外の構成単位を含んでもよい。
(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、4,5-エポキシブチル(メタ)アクリレート、9,10-エポキシステアリル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルキレンジ(メタ)アクリレート、N,N’-アルキレンビス(メタ)アクリルアミド、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の架橋性(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの(メタ)アクリレートの中でも、ポリエチレンイミンの導入が容易となり、種々の溶媒における耐溶解性に優れることから、エポキシ基含有(メタ)アクリレートと架橋性(メタ)アクリレートとの併用が好ましく、グリシジル(メタ)アクリレートとエチレングリコールジ(メタ)アクリレートとの併用がより好ましい。
本明細書において、スチレン系樹脂は、スチレン系樹脂を構成する全単量体単位100質量%中、芳香族ビニル単量体由来の構成単位が50質量%以上であることをいい、80質量%以上が好ましい。スチレン系樹脂は、芳香族ビニル単量体由来以外の構成単位を含んでもよい。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ブロモブチルスチレン等の芳香族モノビニル単量体;ジビニルベンゼン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ジビニルナフタレン、2,4,6-トリビニルエチルベンゼン等の架橋性芳香族ビニル単量体等が挙げられる。これらの芳香族ビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの芳香族ビニル単量体の中でも、ポリエチレンイミンの導入が容易となり、種々の溶媒における耐溶解性に優れることから、芳香族モノビニル単量体と架橋性芳香族ビニル単量体との併用が好ましい。
(多孔性粒子の製造方法)
多孔性粒子の製造方法としては、例えば、非架橋性単量体、架橋性単量体、多孔質化剤、重合開始剤等を含む有機層を、分散安定剤等を含む水層に分散させ、加熱等による重合反応を行う方法が挙げられる。この方法により、架橋構造を有する球状の多孔性粒子を得ることができる。より具体的には、特公昭58-058026号公報に開示されているような懸濁重合や乳化重合を行う方法が挙げられる。
多孔性粒子は、種々の溶媒における耐溶解性に優れることから、架橋構造を有することが好ましい。
架橋性単量体としては、例えば、前述した架橋性(メタ)アクリレート、前述した架橋性芳香族ビニル単量体等が挙げられる。
架橋性単量体の含有率は、全単量体100質量%中、3質量%~95質量%が好ましく、5質量%~90質量%がより好ましい。架橋性単量体の含有率が3質量%以上であると、細孔構造の形成が十分で、多孔性粒子の機械的強度に優れる。また、架橋性単量体の含有率が95質量%以下であると、ポリエチレンイミンの固定化反応が進行しやすく、ポリエチレンイミンの導入量も十分で、貴金属吸着剤の貴金属の吸着性に優れる。
非架橋性単量体としては、例えば、前述したアルキル(メタ)アクリレート、前述したヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、前述したエポキシ基含有(メタ)アクリレート、前述した(メタ)アクリルアミド類、前述したシアノ基含有(メタ)アクリレート、前述した芳香族モノビニル単量体等が挙げられる。
非架橋性単量体の含有率は、全単量体100質量%中、5質量%~97質量%が好ましく、10質量%~95質量%がより好ましい。非架橋性単量体の含有率が5質量%以上であると、ポリエチレンイミンの固定化反応が進行しやすく、ポリエチレンイミンの導入量も十分で、貴金属吸着剤の貴金属の吸着性に優れる。また、非架橋性単量体の含有率が97質量%以下であると、細孔構造の形成が十分で、多孔性粒子の機械的強度に優れる。
多孔性粒子は、ポリエチレンイミンを共有結合で固定化することが好ましい。多孔性粒子は、ポリエチレンイミンを共有結合で固定化するため、反応性官能基を有することが好ましい。
反応性官能基としては、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲン基、エポキシ基等が挙げられる。これらの反応性官能基の中でも、反応性官能基を導入しやすく、ポリエチレンイミンとの反応性に優れることから、ハロゲン基、エポキシ基が好ましい。
反応性官能基は、反応性官能基を有する単量体を含む単量体組成物を重合して多孔性粒子に導入してもよく、多孔性粒子を構築した後に反応性官能基を導入してもよい。
多孔性粒子を構築した後に反応性官能基を導入する方法としては、例えば、反応性官能基を有する化合物(リンカー)と反応可能な官能基を有する単量体を含む単量体組成物を重合して多孔性粒子を構築し、多孔性粒子と反応性官能基を有する化合物(リンカー)とを反応させる方法が挙げられる。
反応性官能基を有する単量体としては、例えば、クロロメチルスチレン、ブロモブチルスチレン等のハロゲン基含有単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、4-エポキシ-1-ブテン等のエポキシ基含有単量体等が挙げられる。これらの反応性官能基を有する単量体の中でも、ポリエチレンイミンの導入が容易となることから、ハロゲン基含有単量体、エポキシ基含有単量体が好ましく、クロロメチルスチレン、ブロモブチルスチレン、グリシジル(メタ)アクリレートがより好ましく、クロロメチルスチレン、グリシジルメタクリレートが更に好ましい。
(多孔性粒子の物性)
多孔性粒子の体積平均粒子径は、1μm~1000μmが好ましく、4μm~700μmがより好ましく、10μm~500μmが更に好ましい。多孔性粒子の体積平均粒子径が1μm以上であると、貴金属吸着剤をカラムに充填して通液したときの圧力損失を抑制し、通液速度を高めることができ、吸着処理の生産性に優れる。また、多孔性粒子の体積平均粒子径が1000μm以下であると、カラム効率に優れ、吸着量や除去性能に優れる。
本明細書において、多孔性粒子の体積平均粒子径は、光学顕微鏡を用いて任意の100個の多孔性粒子の粒子径を測定し、その分布から体積メジアン径を算出するものとする。
多孔性粒子の体積平均粒子径は、懸濁重合や乳化重合の重合条件、具体的には、単量体の種類や量、分散安定剤や乳化剤の種類や量、攪拌回転数等の設定により調整することができる。また、重合終了後の生成粒子を、篩網、水篩、風篩等の方法により分級して多孔性粒子の体積平均粒子径を揃えてもよい。
多孔性粒子の比表面積は、1m/g~1000m/gが好ましく、10m/g~500m/gがより好ましい。多孔性粒子の比表面積が1m/g以上であると、多孔性粒子の機械的強度に優れ、細孔内部に吸着に寄与しない空間の発生を抑制することができ、貴金属吸着剤の貴金属の吸着性に優れる。また、多孔性粒子の比表面積が1000m/g以下であると、固定化されるポリエチレンイミンが多孔性粒子の細孔中に入りやすく、ポリエチレンイミンの固定化反応が進行しやすく、ポリエチレンイミンの導入量も十分で、貴金属吸着剤の貴金属の吸着性に優れる。
本明細書において、多孔性粒子の比表面積は、窒素ガス吸着法(BET法)により測定するものとする。具体的には、窒素ガスの吸着前後の圧力変化から、BETの式により単分子層吸着量を算出し、窒素ガス1分子の断面積から多孔性粒子の比表面積を算出するものとし、ISO 9277を準用する。
多孔性粒子の比表面積は、多孔性粒子を製造する際の重合反応条件や架橋反応条件等の設定により調整することができる。
多孔性粒子の細孔直径は、10Å~10000Åが好ましく、20Å~5000Åがより好ましく、30Å~2000Åが更に好ましい。多孔性粒子の細孔直径が10Å以上であると、固定化されるポリエチレンイミンが多孔性粒子の細孔中に入りやすく、ポリエチレンイミンの固定化反応が進行しやすく、ポリエチレンイミンの導入量も十分で、貴金属吸着剤の貴金属の吸着性に優れる。多孔性粒子の細孔直径が10000Å以下であると、多孔性粒子の機械的強度に優れ、細孔内部に吸着に寄与しない空間の発生を抑制することができ、貴金属吸着剤の貴金属の吸着性に優れる。
本明細書において、多孔性粒子の細孔直径は、水銀圧入法により測定した最頻度直径とする。具体的には、多孔性粒子に圧力をかけて水銀を開孔部に侵入させ、圧力値と対応する侵入水銀体積とを用いて、細孔の形状を円柱状と仮定し、Washburnの式から算出する方法であり、ISO 15901-1を準用する。
多孔性粒子の細孔直径は、懸濁重合や乳化重合の重合条件、具体的には、単量体の種類や量、多孔質化剤の種類や量、重合開始剤の種類や量等の設定により調整することができる。
多孔性粒子の細孔容積は、0.1mL/g~3.0mL/gが好ましく、0.2mL/g~2.5mL/gがより好ましく、0.5mL/g~2.0mL/gが更に好ましい。多孔性粒子の細孔容積が0.1mL/g以上であると、貴金属吸着剤の貴金属の吸着性に優れる。多孔性粒子の細孔容積が3.0mL/g以下であると、多孔性粒子の機械的強度に優れる。
本明細書において、多孔性粒子の細孔容積は、水銀圧入法により測定するものとする。具体的には、多孔性粒子に圧力をかけて水銀を開孔部に侵入させ、圧力値と対応する侵入水銀体積とを用いて、細孔の形状を円柱状と仮定し、Washburnの式から算出する方法であり、ISO 15901-1を準用する。
多孔性粒子の細孔容積は、多孔性粒子を製造する際の重合反応条件や架橋反応条件等の設定により調整することができる。
(ポリエチレンイミン)
ポリエチレンイミンの質量平均分子量は、200~100000が好ましく、250~10000がより好ましい。ポリエチレンイミンの質量平均分子量が200以上であると、貴金属吸着剤の貴金属の吸着性に優れる。また、ポリエチレンイミンの質量平均分子量が100000以下であると、ポリエチレンイミンの固定化反応の反応性に優れる。
本明細書において、ポリエチレンイミンの質量平均分子量は、ゲル濾過クロマトグラフィー法により測定するものとする。
多孔性粒子にポリエチレンイミンを共有結合で固定化させる方法としては、例えば、ポリエチレンイミンをそのまま又はポリエチレンイミンを有機溶媒若しくは水に溶解させた溶液を、反応性官能基を有する多孔性粒子に供給し、共有結合反応させる方法が挙げられる。
ポリエチレンイミンを供給する方法は、ポリエチレンイミンをそのまま用いると粘度が高く、工業的に製造するには取り扱いが困難であることから、ポリエチレンイミンを有機溶媒又は水に溶解させた溶液を用いることが好ましく、反応性官能基としてエポキシ基を用いる場合、水溶液ではエポキシ基への水付加によるジオール生成反応が起こることから、ポリエチレンイミンを有機溶媒に溶解させた溶液を用いることがより好ましい。
有機溶媒は、ポリエチレンイミンを溶解することができれば特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの有機溶媒の中でも、アクリル系樹脂からなる多孔性粒子を膨潤させ、反応性官能基とポリエチレンイミンとの反応性が向上することから、エーテル類が好ましく、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、ジオキサンがより好ましい。
多孔性粒子にポリエチレンイミンを共有結合で固定化させる際の反応温度は、10℃~120℃が好ましく、20℃~100℃がより好ましい。反応温度が10℃以上であると、固定化反応を短時間とすることができる。また、反応温度が120℃以下であると、アクリル系樹脂からなる多孔性粒子を用いる場合、分解を抑制することができる。
多孔性粒子にポリエチレンイミンを固定化させた後、多孔性粒子に残存する反応性官能基を後処理により不活性化することが好ましい。不活性化せずに反応性官能基を残存させた場合、化学反応時に反応基質に存在する活性基と反応し、貴金属吸着剤の吸着量を低下させたり、吸着性を悪化させたりする場合がある。
反応性官能基としてエポキシ基を用いた際の後処理としては、例えば、水と反応させてジオール、即ち、ヒドロキシル基に変換する方法が挙げられる。
多孔性粒子は、反応性官能基としてエポキシ基を用いた場合に、貴金属吸着剤の吸着量の低下や吸着性の悪化を抑制することができることから、ヒドロキシル基を有することが好ましい。
エポキシ基と水とを反応させる際の触媒としては、例えば、リン酸、硫酸等の無機酸水溶液;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ類水溶液等が挙げられる。これらの触媒の中でも、反応性に優れることから、硫酸が好ましい。
エポキシ基と水とを反応させる際の触媒の濃度は、副反応を抑制することができることから、1質量%~30質量%が好ましく、3質量%~20質量%がより好ましい。
エポキシ基と水とを反応させる際の反応温度は、反応性に優れることから、10℃~90℃が好ましく、20℃~80℃がより好ましい。
エポキシ基と水とを反応させる際の反応時間は、副反応を抑制することができることから、0.1時間~24時間が好ましく、1時間~10時間がより好ましい。
(貴金属吸着剤の物性)
貴金属吸着剤の体積平均粒子径は、1μm~1000μmが好ましく、4μm~700μmがより好ましく、10μm~500μmが更に好ましい。貴金属吸着剤の体積平均粒子径が1μm以上であると、貴金属吸着剤をカラムに充填して通液したときの圧力損失を抑制し、通液速度を高めることができ、吸着処理の生産性に優れる。また、貴金属吸着剤の体積平均粒子径が1000μm以下であると、カラム効率に優れ、吸着量や除去性能に優れる。
本明細書において、貴金属吸着剤の体積平均粒子径は、光学顕微鏡を用いて任意の100個の貴金属吸着剤の粒子径を測定し、その分布から体積メジアン径を算出するものとする。
貴金属吸着剤の体積平均粒子径は、用いる多孔性粒子の体積平均粒子径に依存するが、ポリエチレンイミンを固定化するため、用いた多孔性粒子の体積平均粒子径より通常0.1%~20%程度大きくなる。また、生成した貴金属吸着剤を、篩網、水篩、風篩等の方法により分級して貴金属吸着剤の体積平均粒子径を揃えてもよい。
貴金属吸着剤の粒子径分布幅の指標である均一係数は、貴金属吸着剤をカラムに充填して通液したときの圧力損失を抑制することができることから、小さい方が好ましく、具体的には、1.0~2.0が好ましく、1.0~1.6がより好ましい。
本明細書において、貴金属吸着剤の均一係数は、貴金属吸着剤の体積分布において、粒子径の大きい方から40%となる粒子径を、粒子系の大きい方から90%となる粒子径で除した値とする。
貴金属吸着剤の比表面積は、1m/g~1000m/gが好ましく、10m/g~500m/gがより好ましい。貴金属吸着剤の比表面積が1m/g以上であると、多孔性粒子の機械的強度に優れ、細孔内部に吸着に寄与しない空間の発生を抑制することができ、貴金属吸着剤の貴金属の吸着性に優れる。また、貴金属吸着剤の比表面積が1000m/g以下であると、固定化されるポリエチレンイミンが多孔性粒子の細孔中に入りやすく、ポリエチレンイミンの固定化反応が進行しやすく、ポリエチレンイミンの導入量も十分で、貴金属吸着剤の貴金属の吸着性に優れる。
本明細書において、貴金属吸着剤の比表面積は、窒素ガス吸着法(BET法)により測定するものとする。具体的には、窒素ガスの吸着前後の圧力変化から、BETの式により単分子層吸着量を算出し、窒素ガス1分子の断面積から貴金属吸着剤の比表面積を算出するものとし、ISO 9277を準用する。
貴金属吸着剤の比表面積は、用いる多孔性粒子の比表面積に依存するが、ポリエチレンイミンを固定化するため、用いた多孔性粒子の比表面積より通常0.1%~50%程度変化する。
貴金属吸着剤の細孔直径は、10Å~10000Åが好ましく、20Å~5000Åがより好ましく、30Å~2000Åが更に好ましい。貴金属吸着剤の細孔直径が10Å以上であると、固定化されるポリエチレンイミンが多孔性粒子の細孔中に入りやすく、ポリエチレンイミンの固定化反応が進行しやすく、ポリエチレンイミンの導入量も十分で、貴金属吸着剤の貴金属の吸着性に優れる。貴金属吸着剤の細孔直径が10000Å以下であると、多孔性粒子の機械的強度に優れ、細孔内部に吸着に寄与しない空間の発生を抑制することができ、貴金属吸着剤の貴金属の吸着性に優れる。
本明細書において、貴金属吸着剤の細孔直径は、水銀圧入法により測定した最頻度直径とする。具体的には、貴金属吸着剤に圧力をかけて水銀を開孔部に侵入させ、圧力値と対応する侵入水銀体積とを用いて、細孔の形状を円柱状と仮定し、Washburnの式から算出する方法であり、ISO 15901-1を準用する。
貴金属吸着剤の細孔直径は、用いる多孔性粒子の細孔直径に依存するが、ポリエチレンイミンを固定化するため、用いた多孔性粒子の細孔直径より通常0.1%~50%程度変化する。
貴金属吸着剤の細孔容積は、0.1mL/g~3.0mL/gが好ましく、0.2mL/g~2.5mL/gがより好ましく、0.5mL/g~2.0mL/gが更に好ましい。貴金属吸着剤の細孔容積が0.1mL/g以上であると、貴金属吸着剤の貴金属の吸着性に優れる。貴金属吸着剤の細孔容積が3.0mL/g以下であると、多孔性粒子の機械的強度に優れる。
本明細書において、貴金属吸着剤の細孔容積は、水銀圧入法により測定するものとする。具体的には、貴金属吸着剤に圧力をかけて水銀を開孔部に侵入させ、圧力値と対応する侵入水銀体積とを用いて、細孔の形状を円柱状と仮定し、Washburnの式から算出する方法であり、ISO 15901-1を準用する。
貴金属吸着剤の細孔容積は、用いる多孔性粒子の細孔容積に依存するが、ポリエチレンイミンを固定化するため、用いた多孔性粒子の細孔容積より通常0.1%~50%程度変化する。
貴金属吸着剤中のポリエチレンイミンの固定化量は、窒素含有率や総交換容量により定量することができる。
貴金属吸着剤の窒素含有率は、貴金属吸着剤100質量%中、0.3質量%~30質量%が好ましく、0.5質量%~25質量%がより好ましい。貴金属吸着剤の窒素含有率が0.3質量%以上であると、貴金属吸着剤の貴金属の吸着性に優れる。また、貴金属吸着剤の窒素含有率が30質量%以下であると、貴金属が十分に拡散浸透できるほどの細孔容積を有するため、貴金属吸着剤の貴金属の吸着性に優れる。
本明細書において、貴金属吸着剤の窒素含有率は、元素分析により測定するものとする。具体的には、炭素・水素・窒素同時定量装置を用いて測定するものとする。
貴金属吸着剤の総交換容量は、0.1ミリ等量/g~20ミリ等量/gが好ましく、0.2ミリ等量/g~10ミリ等量/gがより好ましい。
本明細書において、貴金属吸着剤の総交換容量は、乾燥させた貴金属吸着剤0.5g~1.5gに相当する量を精秤し、0.2mol/Lの塩酸250mLに入れ、30℃で8時間振盪させた後、上澄みの塩酸濃度を滴定により測定し、その結果から算出するものとする。
(用途)
本発明の貴金属吸着剤は、貴金属、特に、パラジウムの吸着性に優れるため、貴金属、特に、パラジウムの除去に好適である。中でも、本発明の貴金属吸着剤は、ハロゲン化アリールと一置換アルキンとのクロスカップリング反応において、反応系に漏出するパラジウムを効率よく除去するのに、特に好適である。ハロゲン化アリールと一置換アルキンとのクロスカップリング反応において、反応系にパラジウムイオンの溶出とパラジウムパーティクルの漏出の少なくとも2種の漏出が起こるが、本発明の貴金属吸着剤は、その両者を吸着することができるため好ましい。
ハロゲン化アリールと一置換アルキンとのクロスカップリング反応は、触媒として活性炭にパラジウムを担持させたパラジウム炭素が通常用いられるが、更に触媒として銅が併用される場合(薗頭カップリング反応)がある。本発明の貴金属吸着剤の使用は、銅の併用の有無に限定されるものではない。
本発明の貴金属の除去方法としては、例えば、貴金属を含む反応系に本発明の貴金属吸着剤を入れ、貴金属を吸着後に貴金属吸着剤を濾過等により分離する方法;本発明の貴金属吸着剤をカラム等に充填し、反応液を通液することによりカラム内の貴金属吸着剤に貴金属を吸着させ、カラム出口より貴金属が除去された反応液を得る方法等が挙げられる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(体積平均粒子径)
実施例で用いた多孔性粒子及び実施例で得られた貴金属吸着剤の体積平均粒子径について、光学顕微鏡(機種名「SMZ1500」、株式会社ニコン製)を用い、任意の100個の多孔性粒子・貴金属吸着剤の粒子径を測定し、その分布から体積メジアン径を算出して得た。
(比表面積)
実施例で用いた多孔性粒子及び実施例で得られた貴金属吸着剤の比表面積について、乾燥させた多孔性粒子・貴金属吸着剤を秤量し、比表面積測定装置(機種名「フローソーブIII」、マイクロメリテックス社製)を用い、窒素ガス吸着法(BET法)により測定した。
(細孔直径・細孔容積)
実施例で用いた多孔性粒子及び実施例で得られた貴金属吸着剤の細孔直径・細孔容積について、自動ポロシメータ(機種名「オートポア9520」、マイクロメリテックス社製)を用い、水銀圧入法により測定した。
(窒素含有率)
実施例で得られた貴金属吸着剤の窒素含有率について、炭素・水素・窒素同時定量装置(機種名「2400II」、パーキンエルマー社製)を用い、元素分析により測定した。
(総交換容量)
実施例で得られた貴金属吸着剤の総交換容量について、乾燥させた貴金属吸着剤0.5g~1.5gに相当する量を精秤し、0.2mol/Lの塩酸250mLに入れ、30℃で8時間振盪させた後、上澄みの塩酸濃度を滴定により測定し、その結果から算出して得た。
(パラジウムの定量)
実施例・比較例で得られた水層のパラジウム濃度・パラジウム量について、ビーカーに適量採取し、硝酸と過酸化水素水にて有機物を分解し、蒸発乾固近くまで濃縮し、析出した塩を塩酸と硝酸と水の混合溶液に溶解し定容し、プラズマ発光光分析装置を用い測定した。
実施例・比較例で得られた有機層のパラジウム濃度・パラジウム量について、磁性るつぼに適量採取し、蒸発乾固後灼熱し、冷却後、残渣を2硫酸カリウムにて融解し、その塩を塩酸と硝酸と水の混合溶液にて抽出し定容し、プラズマ発光光分析装置を用い測定した。
パラジウム総残存量は、実施例・比較例で得られた水層と有機層中に含まれるパラジウムの総量を算出したものである。
パラジウム残存割合は、用いたパラジウム2.13mgに対する実施例・比較例で得られた水層と有機層中に含まれるパラジウムの総量を算出したものである。
[実施例1]
グリシジルメタクリレート由来の構成単位70質量%及びエチレングリコールジメタクリレート由来の構成単位30質量%からなり、比表面積38m/g、細孔直径1204Å、細孔容積1.07mL/gの多孔性粒子40質量部(40g)に、ジエチレングリコールジメチルエーテル140質量部及びポリエチレンイミン(分子量1200、純正化学株式会社製)60質量部を添加し、攪拌して懸濁状態とした。この懸濁液を80℃に昇温し、6時間反応させた。冷却後、得られた粒子を水洗した。この粒子に、10質量%の濃度の硫酸200質量部を添加し、撹拌して懸濁状態とした。この懸濁液を50℃に昇温し、5時間保持することにより未反応のエポキシ基への水付加によるジオール生成反応を行った。冷却後、得られた粒子を水洗し、2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液によりイオン交換基の再生を行い、篩網を用いて粒子径212μm~710μmの粒子を選別し、貴金属吸着剤(1)を得た。
得られた貴金属吸着剤(1)は、比表面積28m/g、細孔直径1504Å、細孔容積1.00mL/g、窒素含有率3.4質量%、総交換容量1.98ミリ等量/gであった。
[実施例2]
グリシジルメタクリレート由来の構成単位70質量%及びエチレングリコールジメタクリレート由来の構成単位30質量%からなり、比表面積36m/g、細孔直径1204Å、細孔容積0.93mL/gの多孔性粒子40質量部(40g)に、ジエチレングリコールジメチルエーテル140質量部及びポリエチレンイミン(分子量1200、純正化学株式会社製)60質量部を添加し、攪拌して懸濁状態とした。この懸濁液を80℃に昇温し、6時間反応させた。冷却後、得られた粒子を水洗した。この粒子に、10質量%の濃度の硫酸200質量部を添加し、撹拌して懸濁状態とした。この懸濁液を50℃に昇温し、5時間保持することにより未反応のエポキシ基への水付加によるジオール生成反応を行った。冷却後、得られた粒子を水洗し、2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液によりイオン交換基の再生を行い、篩網を用いて粒子径75μm~220μmの粒子を選別し、貴金属吸着剤(2)を得た。
得られた貴金属吸着剤(2)は、比表面積32m/g、細孔直径1204Å、細孔容積0.80mL/g、窒素含有率3.8質量%、総交換容量2.20ミリ等量/gであった。
[実施例3]
グリシジルメタクリレート由来の構成単位70質量%及びエチレングリコールジメタクリレート由来の構成単位30質量%からなり、比表面積37m/g、細孔直径942Å、細孔容積0.99mL/gの多孔性粒子40質量部(400g)に、ジエチレングリコールジメチルエーテル140質量部及びポリエチレンイミン(分子量600、純正化学株式会社製)60質量部を添加し、攪拌して懸濁状態とした。この懸濁液を80℃に昇温し、6時間反応させた。冷却後、得られた粒子を水洗した。この粒子に、10質量%の濃度の硫酸200質量部を添加し、撹拌して懸濁状態とした。この懸濁液を50℃に昇温し、5時間保持することにより未反応のエポキシ基への水付加によるジオール生成反応を行った。冷却後、得られた粒子を水洗し、2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液によりイオン交換基の再生を行い、篩網を用いて粒子径75μm~220μmの粒子を選別し、貴金属吸着剤(3)を得た。
得られた貴金属吸着剤(3)は、体積平均粒子径140μm、比表面積31m/g、細孔直径944Å、細孔容積0.85mL/g、総交換容量2.99ミリ等量/gであった。
[実施例4]
スチレン由来の構成単位90質量%及びジビニルベンゼン由来の構成単位10質量%からなり、比表面積17m/g、細孔直径782Å、細孔容積0.39mL/gの多孔性粒子をクロロメチル化したもの20質量部(20g)に、水38質量部、水酸化ナトリウム32質量部及びトルエン40質量部を添加し、攪拌して懸濁状態とした。この懸濁液に、ポリエチレンイミン(分子量300、純正化学株式会社製)60質量部を添加し、80℃に昇温し、4時間反応させた。反応後、水蒸気蒸留によりトルエンを留去し、冷却後、得られた粒子を水洗し、2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液によりイオン交換基の再生を行い、篩網を用いて粒子径300μm~1180μmの粒子を選別し、貴金属吸着剤(4)を得た。
得られた貴金属吸着剤(4)は、比表面積15m/g、細孔直径782Å、細孔容積0.34mL/g、総交換容量6.66ミリ等量/gであった。
[比較例1]
貴金属吸着剤(1’)として、市販の金属捕捉剤「QuadraSil TA」(和光純薬工業株式会社製、球状シリカにジエチレントリアミンが固定化されたもの)を用いた。
[実施例5]
100mLナスフラスコに、4’-ヨードアセトフェノン1.23g(5.0mmol)、3-ブチン-1-オール452μL(6.0mmol)、パラジウム炭素(10%パラジウム含有、Kタイプ新担体・dry)21.3mg(0.02mmol)及びリン酸3ナトリウム12水3.80g(10.0mmol)を添加し、水10mLとイソプロパノール10mLとの混合溶媒に懸濁し、脱気後アルゴンで置換し、オイルバス中80℃で攪拌した。薄層クロマトグラフィー分析にて、4’-ヨードアセトフェノンの消失を確認した後(2時間後)、パラジウム炭素をメンブレンフィルター(商品名「Millex-LH 0.45μm」、メルクミリポア社製)により濾過し、メンブレンフィルターを精製水20mLと酢酸エチル30mLとで洗浄した。
得られた水層と有機層のそれぞれに貴金属吸着剤(1)1gを添加し、23℃アルゴン雰囲気下で3時間攪拌した。その後、貴金属吸着剤(1)をメンブレンフィルター(商品名「Millex-LH 0.45μm」、メルクミリポア社製)により濾過した。水層の濾過に用いたメンブレンフィルターは精製水10mLで、有機層の濾過に用いたメンブレンフィルターは酢酸エチル10mLで洗浄した。得られた水層と有機層をそれぞれ50mLメスフラスコへ移し、対応する溶媒で50mLまでメスアップした。得られた水層と有機層のそれぞれについて、パラジウム濃度とパラジウム量とを測定した。測定結果を、表1に示す。
[実施例6]
貴金属吸着剤(1)を貴金属吸着剤(2)に変更した以外は、実施例5と同様に操作した。測定結果を、表1に示す。
[実施例7]
貴金属吸着剤(1)を貴金属吸着剤(3)に変更した以外は、実施例5と同様に操作した。測定結果を、表1に示す。
[実施例8]
貴金属吸着剤(1)を貴金属吸着剤(4)に変更した以外は、実施例5と同様に操作した。測定結果を、表1に示す。
[比較例2]
貴金属吸着剤(1)を添加しなかったこと以外は、実施例5と同様に操作した。測定結果を、表1に示す。
[比較例3]
貴金属吸着剤(1)を貴金属吸着剤(1’)に変更した以外は、実施例5と同様に操作した。測定結果を、表1に示す。
Figure 0006992586000001
ハロゲン化アリールと一置換アルキンとのクロスカップリング反応において、本発明の貴金属吸着剤を用いた実施例5~8は、パラジウムの残存量を大幅に低減することができた。一方、ハロゲン化アリールと一置換アルキンとのクロスカップリング反応において、貴金属吸着剤を用いなかった比較例2は、パラジウムの残存量を低減することができなかった。また、ハロゲン化アリールと一置換アルキンとのクロスカップリング反応において、アルキルアミンが固定化された貴金属吸着剤を用いた比較例3は、パラジウムの残存量を十分に低減することができなかった。
本発明の貴金属吸着剤は、貴金属、特に、パラジウムの吸着性に優れるため、貴金属、特に、パラジウムの除去に好適である。中でも、本発明の貴金属吸着剤は、ハロゲン化アリールと一置換アルキンとのクロスカップリング反応において、反応系に漏出するパラジウムを効率よく除去するのに特に好適であり、医薬品製造分野における実用上の価値は極めて高い。

Claims (9)

  1. 多孔性粒子に、ポリエチレンイミンが固定化されてなる、貴金属吸着剤を用いて貴金属
    を除去する、貴金属の除去方法であって、
    前記ポリエチレンイミンの質量平均分子量が200以上であり、
    前記貴金属が、化学反応の系内に漏出したものであり、
    前記化学反応が、ハロゲン化アリールと一置換アルキンとのクロスカップリング反応であ
    る、
    貴金属の除去方法。
  2. 前記ポリエチレンイミンの質量平均分子量が、100000以下である、請求項1に
    載の貴金属の除去方法
  3. 前記貴金属が、パラジウムである、請求項1又は2に記載の貴金属の除去方法
  4. 前記多孔性粒子が、架橋構造を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の貴金属の
    除去方法
  5. 前記多孔性粒子が、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、イソシアヌル酸トリアリル-酢
    酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、
    請求項1~のいずれか1項に記載の貴金属の除去方法
  6. 前記多孔性粒子が、アクリル系樹脂を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の貴金
    属の除去方法
  7. 前記多孔性粒子が、スチレン系樹脂を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の貴金
    属の除去方法
  8. 前記多孔性粒子が、ヒドロキシル基を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の貴金
    属の除去方法
  9. 請求項1~のいずれか1項に記載の貴金属の除去方法を含む、化合物の製造方法。
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