JP6979700B2 - ダンパー - Google Patents

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Description

本発明は、ダンパーに関する。
自動車の座席を支持するためのシートサスペンション、車輪と車体との間に配設されるサスペンション等においては、走行中の振動を吸収するための各種のダンパー(ショックアブソーバ)が配設されている。また、自動車などの乗物に限らず、各種産業機器、ロボットの関節部、ドアやノートパソコン等の開閉部やヒンジ部などにおいて、振動吸収、衝撃の緩衝等のため、様々なダンパーが用いられている。これらのダンパーとしては、特許文献1のように、シリンダ内に粘性流体を充填し、その内部をピストンが摺動することによって粘性抵抗を利用したダンパー(粘性ダンパーやオイルダンパー)、特許文献2のように、ピストンとシリンダとの間の摩擦力を利用した摩擦ダンパーなどが知られている。
特開2015−78725号公報 特開2015−117754号公報
特許文献1のような粘性流体の粘性抵抗を利用する場合、小ストローク、低速度の領域において十分な減衰力が得られない場合がある。また、特許文献2の摩擦ダンパーは、小ストローク入力では、大きな摩擦減衰力によりダンパーとして機能せずに剛体となる場合がある。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、簡易な構造でありながら、変位量が小さい場合、変位量がより大きな場合のいずれであっても適切な減衰力を発揮することができるダンパーを提供することを課題とし、さらに制御対象の構造体の共振(主共振)が生じる周波数付近と、二次共振が生じる周波数付近とにおいて、各振動周波数に応じた減衰力を発揮でき、制御対象の構造体の振動を効果的に除振できるダンパーを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明のダンパーは、
ケーシングと、前記ケーシング内で相対運動する可動体とを備えたダンパーであって、
前記可動体の外周面に巻き付けられ、前記相対運動時に、前記ケーシングとの間で摩擦減衰力を発揮する線状部材と、
前記ケーシングと前記可動体との相対運動により粘性減衰力を発揮する粘性減衰要素と
を有し、
前記線状部材が、前記相対運動に応じて張力が変化し、前記線状部材及び前記ケーシング間の摩擦減衰力と前記粘性減衰要素の粘性減衰力とを変化させ、両者を合わせた全体の減衰力を前記相対運動時の振幅及び速度に応じて変化させる機能を有していることを特徴とする。
前記ケーシング及び前記可動体の相対運動時の振幅及び速度が所定以下の領域における前記全体の減衰力が、前記粘性減衰要素を有していないことを除いて同じ構造の摩擦ダンパーの減衰力と実質的に同じか又はそれ以下になっている構成であることが好ましい。
前記線状部材は、前記可動体の外周面に密接して巻き付けられていることが好ましい。
前記線状部材は、前記可動体の外周面に、前記相対運動方向を基準として、30度以上傾斜させて巻き付けられていることが好ましい。
前記線状部材は、表面が起毛されているか短繊維が植毛されていることが好ましい。
前記粘性減衰要素が、前記線状部材に付着された粘性流体であることが好ましい。
前記粘性流体が、グリースであることが好ましい。
また、前記ケーシング及び前記可動体が、永久磁石と導体とを用いてなり、前記永久磁石と前記導体とにより形成される磁界が前記粘性減衰要素を構成している構造とすることもできる。
また、本発明は、前記ケーシングがシリンダであり、前記可動体が前記シリンダ内を軸方向に変位するピストンからなる伸縮式のダンパーに適用することができる。この場合、本発明のダンパーは、相対変位する2つの部材間に、前記シリンダ及び前記ピストンを略水平姿勢で配置することができる。さらに、本発明は、前記可動体が、前記ケーシング内に回転可能に配設されたローターからなる回転式のダンパーに適用することができる。
本発明は、可動体の外周面に巻き付けられた線状部材と、ケーシング及び可動体の相対運動時に粘性減衰力を発揮する粘性減衰要素とを有している。線状部材は、ケーシング及び可動体の相対運動によりいずれかの方向に移動し始めると、該線状部材自体が回転し並びに張力が生じて変形し、それにより、弾塑性体である線状部材は塑性変形せずに復元力(弾性力)を生じる。特に、振幅が小さいほど、巻き付けられた線状部材は、隣り合って巻き付けられた部位それぞれが該線状部材自体の円周方向に沿って回転が生じ、ねじれが発生する。一方、振幅が大きくなると、隣り合って巻き付けられた線状部材同士が一体となった状態ですべり変形しようとする傾向が強くなり、摩擦力が発生してくる。その結果、特許文献2のような摩擦ダンパーと異なり、振幅が小さい場合には、摩擦抵抗は低下し、可動体は弾性力を伴いながら運動することになり、線状部材に付着された粘性減衰要素(粘性流体)が発生する粘性減衰力により、全体として小さな変位量に応じた適切な減衰力が得られる。振幅が大きい場合には、上記のように線状部材の隣り合って巻き付けられた部位が一体的に変形しようとする傾向が高まるため、弾性力と粘性減衰力に摩擦減衰力が組み合わさり、全体としてより高い減衰力が得られる。すなわち、本発明のダンパーは、線状部材が、ねじり変形による減衰力を可変させる機能と、ねじり変形及び張力による弾性機能とを有しており、変位量が小さい場合、変位量がより大きな場合のいずれであっても系全体として、それに応じた適切な減衰力を発揮することができる。
また、ケーシング及び可動体として、永久磁石と導体とを用い、永久磁石と導体とにより形成される磁界によって粘性減衰要素を構成することもできる。この場合も粘性流体を用いた場合と同様の作用効果を奏すると共に、永久磁石の選択による磁力調整、ヨークの有無等によって速度依存の粘性減衰力を様々に調整することができ、ダンパーの適用範囲を広げることができる。
図1は、本発明の一の実施形態にかかるダンパーを示す平面図である。 図2は、図1のA−A線断面図である。 図3(a)〜(c)は、上記実施形態にかかるダンパーにおける線状部材の巻き付け方の例を示した図である。 図4(a),(b)は、上記実施形態にかかるダンパーの作用を説明するための図である。 図5は、上記実施形態にかかるダンパーについて、振幅±1mmで振動を与えた場合の周波数毎の減衰特性を示した図である。 図6は、上記実施形態にかかるダンパーについて、振幅±3mmで振動を与えた場合の周波数毎の減衰特性を示した図である。 図7は、上記実施形態にかかるダンパーについて、振幅±5mmで振動を与えた場合の周波数毎の減衰特性を示した図である。 図8は、上記実施形態にかかるダンパーについて、振幅±7mmで振動を与えた場合の周波数毎の減衰特性を示した図である。 図9は、比較例にかかるダンパーについて、振幅±1mmで振動を与えた場合の周波数毎の減衰特性を示した図である。 図10は、比較例にかかるダンパーについて、振幅±3mmで振動を与えた場合の周波数毎の減衰特性を示した図である。 図11は、比較例にかかるダンパーについて、振幅±5mmで振動を与えた場合の周波数毎の減衰特性を示した図である。 図12は、比較例にかかるダンパーについて、振幅±7mmで振動を与えた場合の周波数毎の減衰特性を示した図である。 図13は、上記実施形態にかかるダンパーと比較例のダンパーの周波数(横軸)と減衰力(縦軸)との関係を示したグラフである。 図14は、上記実施形態にかかるダンパーの速度0.3m/sでの減衰力の解析値と公知のオイルダンパーの0.3m/sの減衰力をあわせて示したグラフである。 図15は、図14において、上記実施形態にかかるダンパーのデータを拡大して示したグラフである。 図16は、上記実施形態にかかるダンパーの速度0.3m/s、0.1m/s、0.05m/sでの減衰力の解析値を周波数との関係で示したグラフである。 図17は、上記実施形態にかかるダンパーを配設したシートサスペンションの例を示す斜視図である。 図18は、図17の正面図である。 図19は、図17の平面図である。 図20は、図19のA−A線断面図である。 図21(a)〜(c)は、図17のシートサスペンション動きを説明するための図であり、図21(a)が中立位置から20mm上昇した状態を、図21(b)が中立位置における状態を、図21(c)が中立位置から20mm下降した状態をそれぞれ示す。 図22は、図17のシートサスペンションに設けた前後位置調整部のガイド部材として、上記実施形態のダンパーを適用した例を示した図である。 図23は、振動実験における振動伝達率を示した図である。 図24(a)は、他の態様に係るダンパーの外観を示す斜視図であり、図24(b)はその分解斜視図である。 図25(a)は、図24(a),(b)に係る態様のダンパーの外筒を示す断面図であり、図25(b)は、図24(a),(b)に係る態様に係るダンパーの断面図であり、図25(c)は、図24(a),(b)に係る態様のダンパーのピストンを示す側面図であり、図25(d)は、ピストンに線状部材を巻き付けた状態を示す側面図である。
以下、図面に示した実施形態に基づき本発明をさらに詳細に説明する。図1及び図2は、本実施形態のダンパー1を示した図である。本実施形態のダンパー1は、ケーシングに相当するシリンダ2と、可動体に相当するピストン3とを有する伸縮式のタイプである。
シリンダ2は、筒状体からなり、閉塞側の端部に、制御対象の機器のいずれかの部位に連結される連結部2aが設けられている。ピストン3は、シリンダ2の開口端2bからその内部に挿入される。ピストン3には、ピストンロッド31が連結されており、該ピストンロッド31の端部31aが、シリンダ2の開口端2bから外部に突出し、制御対象の機器において、シリンダ2の連結部2aが連結された部位に対応する部位に連結される。
ピストン3の外周面には、線状部材32が巻き付けられている。線状部材32は、図2に示したように、ピストン3の外周面に軸方向に隙間がほとんど生じないように密接させて巻き付けられていることが好ましい。また、ピストン3の相対運動方向を基準として、所定の角度に傾斜させて巻き付けることがより好ましい(図3(a),(b)参照)。この場合の傾斜角度θは、ピストン3の相対運動方向の軸線xと、線状部材32のピストン3の外周面に沿って隣接して巻き付けられたそれぞれの部位(巻き付け部位)32aとがなす鋭角側の角の角度で30度以上傾斜させて巻き付けることが好ましい(図3(a)はθ=約60度の例であり、図3(b)はθ=約90度の例である)。それにより、ピストン3の相対運動時の力が巻き付け部位32aに対してより直径方向に作用しやすくなり、線状部材32を構成する各巻き付け部位32aを変形させやすくなる。
線状部材32は、本実施形態では糸又は紐から形成される。その材質は限定されるものではなく、合成繊維、天然繊維等から形成される。また、糸は、モノフィラメント、マルチフィラメントのいずれでも用いることができるが、後述する粘性減衰要素である粘性流体4が付着しやすいことと、シリンダ2の内周面に対して多点で接触でき、高い摩擦減衰力を期待できること等から、繊維の束からなるマルチフィラメントで構成することが好ましい。なお、いずれの場合も線状部材32を構成する糸又は紐の表面に、短繊維を植毛したり、あるいは、線状部材32を構成する糸又は紐の表面を起毛させたりすることが好ましい。このように短繊維を植毛したり、起毛させたりすることにより、粘性流体4を付着させやすくなる。
線状部材32を構成する糸又は紐の線径(外径)も限定されるものではないが、ピストン3の外周面に巻き付け、シリンダ2及びピストン3間の相対運動時に、シリンダ2の内周面に対して所定の摩擦力を発揮できる程度のものが選択される。また、その線径によっては、ピストン3の外周面に二重、三重といったように複数層で巻き付けることも可能である。複数層で巻き付ける場合、上記のように、ピストン3の相対運動方向を基準として、所定の角度に傾斜させて巻き付けると共に、例えば、図3(c)に示したように、1層目と2層目でクロスするように巻き付けることも可能である(図3(c)はθ1及びθ2が共に約70度でクロスさせた例である)。なお、線状部材32を構成する糸や紐の素材、直径若しくは巻き付け回数、さらには、それらに植毛する短繊維の素材、長さ若しくは直径、起毛の程度、線状部材32の張力などは、ダンパー1に求められる減衰力、シリンダ2やピストン3の材質や大きさ等を考慮して適宜に設定される。
線状部材32には粘性減衰要素としての粘性流体4が付着されている(図4(a),(b)参照)。粘性流体4の種類は限定されるものではなく、ダンパー1に求められる減衰力に応じて、所定の特性のものを選択できる。但し、線状部材32に付着させるものであるため、オイルよりも流動性の低いもの、例えばグリースを用いることが好ましい。特に、JIS K 2220のちょう度が、25℃で、175〜340の範囲のものが好ましく、220〜250の範囲のものがより好ましい。付着方法としては、例えば、線状部材32の糸や紐を構成する繊維間で保持されるように含浸させたり、植毛手段や起毛手段により設けた短繊維間に保持されるように刷毛やへらを使って塗布したりする方法を用いることができる。
本実施形態のダンパー1は、ピストン3の外周面に線状部材32が巻き付けられている。そのため、ピストン3の移動に伴って、線状部材32にねじれ変形並びに張力が発生する。具体的には、ピストン3がシリンダ2内を相対変位すると、ピストン3の外周面に設けられた線状部材32がシリンダ2の内周面に摺接しつつ移動するため、軸方向(ピストン3の移動方向)に沿って引っ張られて張力が生じたり、小振幅、低速の入力では摩擦力が優勢となり、線状部材32にねじれ変形が生じたりする。それにより線状部材32には、ピストン3に巻き付けられた巻き付け部位32aのそれぞれに対して軸方向と回転方向に力が加わり、各巻き付け部位32aが略扁平形になるような変形を生じる。そのため、シリンダ2の内周面との摩擦力は減少していくが、線状部材32の変形を伴う張力の上昇によって復元力(弾性力)が生じる。また、摩擦力が減少するため、粘性流体4の粘性減衰力の作用が相対的に大きくなっていく。
具体的には、相対的にピストン3の変位量が小さい場合すなわち小振幅の場合は、線状部材32の各巻き付け部位32aは、図4(a)に示したように、隣接したもの同士がピストン3の変位に伴って、該各巻き付け部位32a自体の円周方向に沿って回転するようなねじれを生じ、若干略扁平形になるような変形も加わって張力が高くなる。それにより、線状部材32のシリンダ2の内周面に対する摩擦力は、ピストン3が動き始めると、線状部材32に付着された粘性流体4による摩擦係数の低下に伴い、ピストン3が速やかに動き始める。それと同時に、シリンダ2の内周面と線状部材32間は、粘性流体4の粘性減衰力が作用するため、ピストン3には、粘性減衰力と線状部材32のねじり変形と張力による弾性力という速度依存型の減衰力が主として作用する。もちろん、線状部材32は、上記の変形によって低下するものの所定の摩擦減衰力も作用する。
一方、相対的にピストン3の変位量の大きい場合すなわち大振幅の場合は、線状部材32の各巻き付け部位32aは、変位量の小さい間は、図4(a)と同様にそれぞれがトーションバーのようにねじられて回転しようとするものの、一方向又は逆方向へさらに大きく変位していくと、図4(b)に示したように、各巻き付け部位32a同士が一体的に同方向へ押されるような変形を示す。そのため、小振幅時よりも、線状部材32とシリンダ2の内周面との接触面積が大きくなり総和としての摩擦力は高くなる。よって、大振幅の場合には、小振幅時よりもねじり応力による弾性力も加わり摩擦減衰力が大きく作用する。もちろん、線状部材32に保持させた粘性流体の粘性減衰力もあわせて作用するため、全体として高い減衰力が発揮される。
例えば、従来、速度依存型の減衰特性と変位依存型の減衰特性を有するダンピングシステムを作ろうとする場合、ピストンとシリンダを複数組準備し、いずれかの組を速度依存型の特性を有する構成とし、他の組を変位依存型の特性を有する構成として、それら全体を一つの系と捉えて、複合型のダンピングシステムとしたものは知られている。しかしながら、そのようなダンピングシステムは、構成が複雑で、建物の耐震用システムなどに適用される大型のものとならざるを得ず、小型のダンパーとしては適切ではない。
しかるに、本発明のダンパー1は、ピストン3に線状部材32を巻き付け、それに粘性流体4を付着させることで、線状部材4が、上記のように、相対運動に応じてねじり応力による弾性力、張力が変化し、付着された粘性流体4の小さな摩擦係数が組み合わされ、摩擦減衰力を変化させ、速度依存の粘性減衰力と変位依存の弾性力がそれぞれに変化し、両者を合わせると、全体の減衰力を各依存性にあわせて変化させる機能を有している。そのため、シリンダ2及びピストン3を一組しか有していないにも拘わらず、小振幅においては、低速時では速度依存型の減衰特性により適切な減衰力を発揮させることができると共に、振幅が大きくなるほど摩擦力が加算されて全体の減衰力が高くなる変位・速度依存型の減衰特性を併有しており、複合型の減衰特性を有するものでありながら、小型化に適している。
(実験例1)
ダンパー1をサーボパルサー((株)島津製作所)にセットし、シリンダ2に対してピストン3を相対的に変位させた。振動周波数は、0.5Hzから8.0Hzまで0.5Hz刻みで変化させ、振幅は、±1mm、±3mm、±5mm、±7mmで行った。ダンパー1は、線状部材32として、ポリアミド(PA6)製、線径470dtexのマルチフィラメントの糸の表面に、ポリアミド(PA6.6)製、線径0.9dtex、長さ0.5mmの短繊維を植毛したものを、ピストン3の外周面に、図3(a),(b)に示した角度θ=約85度で一層密巻きにし、この線状部材32に、粘性流体4であるグリース、具体的には、商品名:バリアントグリースR2(昭和シェル石油(株)、増ちょう剤:リチウム石けん、基油:合成油(JIS K 2283の動粘度(100℃):19.3、JIS K 2220のちょう度236(不混和)、混和(274))をへらを使って付着させた。
図5〜図8は、本実施形態のダンパー1の実験結果の変位量(横軸)と減衰力(縦軸)の関係を示すリサージュ図形であり、図9〜図12は、本実施形態の線状部材32に粘性流体4を含浸させなかったことを除いて、本実施形態と同様の構造のダンパー(比較例:摩擦ダンパー)の実験結果の変位量(横軸)と減衰力(縦軸)の関係を示すリサージュ図形である。
両者を比較すると、振幅±1mmの場合、周波数1Hz以上において、本実施形態のダンパー1(図5参照)は、比較例のダンパー(図9参照)よりも減衰によるエネルギー吸収量が大きくなっている。そして、本実施形態のダンパー1では、リサージュ図形の全体形状が比較例よりも顕著に左肩上がりである。これは、線状部材32の張力による弾性力がピストン3の変位方向と同一方向に作用し、速度依存の粘性力が生じていることを示すものである。ところが、本実施形態のダンパー1の振幅±3mmのデータである図6からは、このばね特性が消失し、通常の粘性力、摩擦力により描かれるリサージュ図形となっている。また、比較例のダンパーの振幅±3mmのデータである図10は摩擦力のみのリサージュ図形である。この±1mmの振幅におる運動挙動が、線状部材32の位置エネルギーを利用した本実施形態のダンパー1の特徴である。また、本実施形態のダンパー1のデータである図7及び図8と、比較例のダンパーのデータである図11及び図12を比較すると、本実施形態では摩擦減衰に加え粘性減衰力が相乗的に作用し、比較例よりもエネルギー吸収量が大きく、しかも、周波数が高くなるほど、それが顕著に現れていることがわかる。
図13は、本実施形態のダンパー1及び比較例のダンパーについて、図5〜図12の実験結果を利用して、周波数と減衰力(ダンパー1全体の減衰力)との関係を、変位量(振幅)毎に折れ線グラフで示した図である。なお、図13において、「引張」は、ピストン3が、中立点を基準として、シリンダ2の底面から離間する方向に変位した場合の減衰力を示し、「圧縮」は、ピストン3が、中立点を基準として、シリンダ2の底面に接近する方向に変位した場合の減衰力を示す。
図13から、本実施形態のダンパー1は、振幅が小さいほど減衰力が低い一方、小振幅であっても、例えば、±3mmの場合であればそのいずれも、粘性流体を有していない比較例よりも減衰力が高くなっている。また、振幅±1mmを見ても、1Hz以上では、粘性流体を有していない比較例よりも減衰力が高くなっている。しかしながら、振幅±1mm、周波数0.5Hzの場合、「引張」側では、本実施形態は約11N、比較例は約10Nで約1Nの差(比較例の減衰力を基準として10%の違い)しかなく実質的に同じといえる。「圧縮」側では、減衰力が絶対値でみて比較例よりも小さくなっている。すなわち、本実施形態のダンパー1は、振幅及び速度が所定以下の領域、図13の実験結果では、振幅が±3mm未満(例えば±1mm)で、周波数1Hz未満(例えば0.5Hz)における全体の減衰力が、比較例の摩擦ダンパーと実質的に同じか又はそれ以下になっている。従って、本実施形態のダンパー1は、ピストン3の変位量が小さい場合においては、摩擦抵抗がほとんど生じず、スムーズに動き始める性質を有し、その上、粘性流体4の作用により、適切な減衰力を発揮できる。しかも、周波数が低いほど全体の減衰力が低く、振幅に拘わらず、周波数が高くなるほど、減衰力は高くなる傾向を示し、速度依存型の特性を有することがわかる。線状部材32の各巻き付け部位32aは、周波数が低い場合には、図4(a)のように個別に動きやすいが、周波数が高くなると、各巻き付け部位32aは図4(b)のように一体的となって動くため、摩擦減衰力が高くなり、かつ粘性減衰力が働くため、全体の減衰力が高くなっている。また、いずれの周波数においても、振幅が大きくなるほど減衰力は高くなり、変位依存型の減衰特性を有することがわかる。これに対し、粘性流体を有していない比較例は、周波数が変化しても減衰力はほとんど同じであり、また、振幅が大きくなっても、本実施形態のダンパー1と比較すると、発揮される減衰力は遙かに小さいことがわかる。
すなわち、本実施形態のダンパー1は、上記の線状部材32のねじり応力及び張力により、ピストン3の動き始めである振幅±1mmにおいては力が小さくなる負のばね特性を示し、その作用によって動きやすくなっていると共に、粘性流体4により低速度で摩擦力が急減するため、この特性もピストン3を動きやすくする要因になっている。これらの動き始めに示す感度により、本実施形態のダンパー1の図13の±1mmのグラフは、1Hzを境界として非線形特性を示している。また、ピストン3が高速になるに従い、高い粘性減衰力が作用する。このダンパー1は、例えれば、摩擦の小さなリンク機構の特性を備えた摺動構造体といえ、そのため、動き始めはスムーズで、大きな変位、速度になると高い減衰力を示すようになる。その結果、本実施形態のダンパー1が取り付けられる制御対象の構造体(例えば、シートサスペンション)は、共振周波数が減衰力の影響を受けにくく、構造体のばね機構のばね定数に応じた周波数となるが、ゲインはダンパー1の減衰力により小さく抑えられ、高い減衰効果が得られる。
ここで、図14は、図13のデータを、ピストン3の移動速度を0.3m/sとして換算した際の減衰力を、横軸を伸側減衰力とし、縦軸を圧縮側減衰力としてプロットしたグラフであり、従来公知の種々のオイルダンパーの特性をあわせて示したものである。図15は、図14中、本実施形態の減衰力が現れている範囲を拡大して示したグラフである。これらの図からも、本実施形態のダンパー1が、振幅によって異なる特性を示すことがわかる。±1mm及び±3mmの振幅の小さい場合には、±5mmや±7mmのような振幅の大きな場合よりも、高い減衰力を示している。これは、図13のデータと逆の関係であるが、0.3m/sと移動速度が速くなると、粘性流体4として塗布したグリースによって滑りが生じ、このような特性を示すものと考えられる。従って、本実施形態のダンパー1は、後述するような自動車に搭載するシートサスペンション100に用いた場合、通常小振幅となる高周波の領域(5〜10Hz付近の二次共振が生じる範囲)において高い減衰力を示し、それによって高周波領域における振動伝達率を低減し、大振幅となる低周波の領域(3〜4Hz付近の共振(主共振)が生じる範囲)において減衰力が小さくなり、そのためシートサスペンション100に備えられたばね機構による振動吸収機能が主となって、共振点付近の振動伝達率を低減するように利用されることになる。すなわち、本実施形態のダンパー1によれば、振動周波数に応じた減衰力で除振することができる。
また、±1mm及び±3mmの振幅の小さいデータを見ると、縦軸の切片が圧縮側減衰力で負の領域になっている。これは、小振幅で低周波ほど、すなわち、動き始めにおける抵抗がほとんど作用せず、スムーズに動くことを示している。参考に、従来公知の複数のオイルダンパーの減衰力特性を調べたところ、それらの減衰力は、A〜Dの4種類の直線付近にプロットされた。また、A〜Dの直線は、いずれも縦軸の切片が負になるものはなく、実際、いずれのオイルダンパーも、±1mmのような小振幅では非常に動きが悪かった。
また、図16は、図14のピストン3の移動速度0.3m/sの減衰力の解析値に加えて、0.1m/s、0.05m/sの減衰力の解析値を、いずれも周波数との関係で示したグラフである。図16から、いずれの速度においても、振幅に依存して減衰力が変化することがわかる。
本実施形態のダンパー1は、一方の部材に対して他方の部材が相対的に変位する制御対象の構造体に取り付けられる。例えば、図17〜図22は、自動車のシートを支持するシートサスペンション100を示し、上部フレーム110にシートが設定され、下部フレーム120が車体フロアに固定される。
上部フレーム110と下部フレーム120との間には、両サイドに、略直角三角形のリンク部材130,130が斜辺部131,131が後方斜め下方向を向く姿勢で配置されている。略直角三角形のリンク部材130,130の略直角の角部付近が下部フレーム120に軸支された回転中心132,132となっており、後部寄りに位置する角部133,133付近が上部フレーム110に軸支されている。回転中心132,132の下部寄りには、上部側パイプフレーム112が掛け渡されており、上部側パイプフレーム112の中央付近に、下方に延び、相互に所定間隔をおいた2枚のブラケット113,113が設けられている。この2枚のブラケット113,113間に、軸ピン114を介して、ピストンロッド31の端部31aが軸支されている。
一方、下部フレーム120の両サイドフレーム121,121における前後方向中央付近には、第2パイプフレーム122が掛け渡されている。第2パイプフレーム122の中央付近に、相互に所定間隔をおいた2枚のブラケット123,123が設けられており、この2枚のブラケット123,123間に、軸ピン124を介して、シリンダ2の連結部2aが軸支されている。
このとき、図20及び図21に示したように、一対のリンク部材130,130、上部フレーム110、ブラケット113,113及び軸ピン114を介してピストンロッド31を軸支することにより、ピストンロッド31の支持高さが、下部フレーム120付近となるように設定する。それにより、ダンパー1を、下部フレーム120付近に、例えば、スライダのロアレール125の若干上方の位置で略水平に配設することができる。
シートサスペンション100の減衰手段として、オイルダンパーを用いた場合、気泡の混入を防止する必要があることから、水平配置することはできず、上部フレーム110と下部フレーム120との間に斜めに傾斜して配置せざるを得ない。この配置姿勢の制限が、シートサスペンション100の更なる薄型化を阻害する要因の一つにもなっている。しかしながら、本実施形態のダンパー1は、粘性流体4を線状部材32に付着させ、好ましくは上記のちょう度を有するグリースを付着させている。そのため、配置姿勢に制限はなく、図17〜図22に示したように、略水平に配置することが可能であり、本実施形態のダンパー1を用いることにより、シートサスペンション100の更なる薄型化に貢献できる。
このシートサスペンション100によれば、一対のリンク部材130,130は、上部フレーム110が上下動することにより、下部フレーム120と連結されている回転中心132,132を中心に回転する。それにより、上部側パイプフレーム112及び下向きに延びる2枚のブラケット113,113が前後に回動し、図21(a)〜(c)に示したように、上部フレーム110の下部フレーム120に対する相対位置によって、ピストンロッド31が、シリンダ2に対して伸縮し、ピストン3のシリンダ2内の相対位置が変化する。このときの変位量の大小、変位速度の高低により、それぞれに対応した減衰特性が作用することは上記したとおりである。
ここで、図17〜図22のシートサスペンション100の上部フレーム110には、上部フレーム110に支持されるシートクッション用のクッション部材の前後位置を調整する前後位置調整部150が設けられている。前後位置調整部150は、図17に示したように、前後位置調整フレーム151と、幅方向に所定間隔離間して設けられた一対のガイド部材152,152等を有しており、このガイド部材152,152として、上記実施形態のダンパー1の機構を用いている。
すなわち、ダンパー1に相当するガイド部材152のシリンダ2を前縁フレーム115にブラケット115aを介して固定し、ピストンロッド31,310を前後位置調整フレーム151に連結する。なお、ガイド部材152は、図22に示したように、シリンダ2内に配置されるピストン3の両端部からピストンロッド31,310を突出させている点が上記実施形態のダンパー1の構成と異なる。これは、一方のピストンロッド31を前後位置調整フレーム151の後部に連結し、他方のピストンロッド310を前後位置調整フレーム152の前部に連結して、前後位置調整フレーム151を安定してガイドするためである。但し、ピストン3の周囲に、線状部材32が巻回され、粘性流体が含浸されていることは上記実施形態で説明したとおりである。
前後位置調整部150をこのような構成とすることにより、前後位置調整フレーム151を前後に動作させると、ピストンロッド31,310を介して、ピストン3がシリンダ2内を移動する。このとき、ピストン3の周囲に巻回された線状部材32が、上記のように変形し、張力が変化し、それに応じて、粘性流体の粘性減衰力と線状部材32による摩擦減衰力が作用する。すなわち、例えば従来公知の摩擦ダンパーを用いて前後位置調整フレーム151の動きを遅動させようとした場合、変位量が小さい場合には動作しにくい可能性があるが、本実施形態のダンパー1を用いた構成では、動作速度や調整量に応じた減衰力を機能させることができるため、例えればバターナイフでバターを切るような粘性が作用しながらも、動き始めはスムーズな高級感のある動きを動作速度や調整量に応じて実現できる。本実施形態のダンパー1は、上記のように水平配置が可能であることから、このような前後位置調整部のガイド部材152,152としての応用が可能である。
(実験例2)
図17〜図22のシートサスペンション100が組み付けられた自動車用シートを加振機にセットして、振動実験を行った。具体的には、JIS A 8304:2001(ISO 7096:2000)に基づいて、SEAT値(Seat Effective Amplitude Transmissibility factor)を求めた。「50,000kg以下のクローラ式トラクタドーザ」の基準である入力スペクトルクラスEM6(励振中心周波数7.6、PSDの最高値0.34(m/s/Hz)で、体重55kg、98kgの被験者2名について試験を行った。その結果、得られたSEAT値の平均値は、それぞれ0.54、0.52であった。EM6のSEAT値の基準が0.7未満であるため、基準を満たしていた。
自動車用シートの場合、シートクッション部として、ばね定数1〜3kg/mmのものを用いると、5〜8Hz近傍に二次共振が現れる特性となるものが多い。この二次共振を抑えるため、所定のシートサスペンションを採用して、シートクッション部のばね定数を0〜1kg/mmにすることも行われている。しかし、シートサスペンションとしてこのような機能を有するものは高価で重いものが多い。この点、本実施形態の粘性流体4を付着させた線状部材32を含んだダンパー1を採用したシートサスペンション100は、ダンパー1の構成が簡素であり、安価でかつ重量もあまり嵩まないという特徴を備えている。しかしながら、共振点は4〜5Hz近傍とやや高めになる傾向がある。その一方、上記のEM6での振動実験により得られるSEAT値は、5〜8Hz近傍の振動伝達率に相当するものであるが、上記のSEAT値から、当該領域における振動伝達率が低く、二次共振を低減できる構造であると言える。これは、小振幅でも高周波になると、上記ダンパー1が高い減衰力、減衰係数を発揮するという特性を有するためである。
図23は、上記の入力スペクトルクラスEM6で実施した振動実験の振動伝達率を示したグラフである。図23において、「本実施形態のシートサスペンション」は、本実施形態のダンパー1を採用した図17〜図22のシートサスペンション100のデータであり、「オイルダンパーを用いたシートサスペンション」は、本実施形態のダンパー1に代えて、上部フレームと下部フレームの間に斜めに掛け渡したオイルダンパーを用いたシートサスペンションのデータである。なお、ここで使用したオイルダンパーは、図14及び図15で示したB−3の減衰力を有するもの、すなわち、本実施形態のダンパー1と同程度の減衰力を有するものであり、いずれも、体重98kgの被験者を着座させて実施した。
図23から、「オイルダンパーを用いたシートサスペンション」は、共振点が3Hz近傍であるものの、7Hz近傍において二次共振点が存在している。これに対し、「本実施形態のシートサスペンション」は、「オイルダンパーを用いたシートサスペンション」と比較して、共振点が若干高周波側に移行して約4Hzであるが、5〜8Hz近傍に二次共振点が出現していないことがわかる。図23のデータからも、本実施形態のダンパー1が、小振幅、高周波の領域において、高い減衰力及び減衰係数を備えていることが裏付けられる。
ここで、図24及び図25は、ダンパー1のシリンダ2の構成を、外筒21及び内筒22とから構成した態様を示している。外筒21は強度を考慮してスチールから形成されているが、内筒22はアルミニウム合金の押し出し品から形成されている。また、外筒21内に内筒22が間隙23をもって配設されている。内筒22の長手方向各端部22a,22bは、外筒21の各端部に装着されたキャップ部材24,24により固定されている。そして、内筒22内に、ピストン3が摺動可能に配設されている。ピストン3の外周面3aには上記実施形態と同様に線状部材32が巻回されているが、この態様では、線状部材32の位置ずれを抑制するため、ピストン3の外周面3aにローレット加工等の滑り止め加工を施している。なお、線状部材32には粘性流体が付着されていること等、その他の構成は図1〜図4に示した態様と同様である。
図24及び図25に示した態様のダンパー1によれば、内筒22をアルミニウム合金の押し出し品から形成したため、内周面が滑らかで、該内周面に摺接する線状部材32の動作時における引っかかり等がなく、円滑な動きを達成できる。それにより、線状部材32による上記の各作用、すなわち、ピストン3の変位量が小振幅の場合に、線状部材32の各巻き付け部位32aのねじり変形が生じ(図4(a)参照)、ピストン3が速やかに動き始める作用、大振幅の場合に、各巻き付け部位32a同士が一体的に変形し(図4(b)参照)、それにより、小振幅時よりも、線状部材32とシリンダ2の内周面との接触面積が大きくなり総和としての摩擦力は高くなる作用等を有効に発揮できる。また、内筒22は、外筒21との間に間隙23をもって配設されている。仮に、アルミニウム合金製の内筒22がスチール製の外筒21に密着して設けられていたりとすると、ピストン3の摺動に伴う熱により該内筒22に熱膨張変化が生じた場合、該内筒22は長手方向両端部22a,22bがキャップ部材24,24によって規制されているため、長手方向中途部が内方に突出するような変形を生じる可能性がある。しかし、図24及び図25の態様では、外筒21との間に間隙23を有することにより、内筒22の熱膨張変形を該間隙23において吸収することができ、ピストン3の円滑な動作を妨げることがない。
上記実施形態では、粘性減衰要素として線状部材32に付着させた粘性流体4を用いているが、ケーシング及び可動体であるシリンダ2及びピストン3を、永久磁石と導体とを用いて構成し、永久磁石と導体とにより形成される磁界によって粘性減衰要素を構成することもできる。例えば、特開2011−241933に開示の磁気ダンパーの構成を適用することができる。この磁気ダンパーは、シリンダ2を銅等の導体から形成し、ピストン3を、軸方向に沿って同極同士が対向するように配置した永久磁石から構成している。また、シリンダ2の外周面はヨークで被覆し、ピストン3の各永久磁石間にもヨークを介在させた構造である。このような磁気ダンパーは、ピストン3がシリンダ2内を往復動することにより、磁界が変化し、導体に誘導電流を発生させて振動エネルギーを熱エネルギーに変換させて速度依存の粘性減衰力を発揮する。よって、永久磁石の材料選択や、ヨークの有無等によって粘性減衰要素である磁界を調整すれば、種々の粘性減衰力が得られる。
なお、このような磁気ダンパー構造を採用する場合も、ピストン3の周囲には線状部材32を巻回する。これにより、線状部材32とシリンダ2の内周面との間では、上記実施形態と同様に、摩擦減衰力が作用する。
本発明のダンパー、特に、伸縮式のダンパーは、乗物の座席を支持するためのシートサスペンション、車輪と車体との間に配設されるサスペンション等に用いることができる。また、乗物に限らず、各種産業機器において相対運動する部材間に配設して用いることができる。また、ロボットの関節部、ドアのヒンジ部やドアクローザー、ノートパソコン等のヒンジ部などにおいて、振動吸収、衝撃緩衝、あるいはドア等の制御対象の動きを遅動させる部材等として用いることができる。なお、回転動作するドアのヒンジ部やドアクローザー等に用いる場合には、回転式のダンパー構成とすることができる。この場合には、ケーシング内で回転可能に配設されたローターの外周面に線状部材を巻き付けることで上記実施形態と同様の機能を実現できる。
1 ダンパー
2 シリンダ
3 ピストン
31,310 ピストンロッド
32 線状部材
32a 巻き付け部位
4 粘性流体
100 シートサスペンション
110 上部フレーム
120 下部フレーム

Claims (9)

  1. ケーシングと、前記ケーシング内で相対運動する可動体とを備えたダンパーであって、
    前記可動体の外周面に巻き付けられ、前記相対運動時に、前記ケーシングとの間で摩擦減衰力を発揮する線状部材と、
    前記ケーシングと前記可動体との相対運動により粘性減衰力を発揮する粘性減衰要素と
    を有し、
    前記線状部材が、前記相対運動に応じて張力が変化し、前記線状部材及び前記ケーシング間の摩擦減衰力と前記粘性減衰要素の粘性減衰力とを変化させ、両者を合わせた全体の減衰力を前記相対運動時の振幅及び速度に応じて変化させる機能を有していることを特徴とするダンパー。
  2. 前記線状部材は、前記可動体の外周面に密接して巻き付けられている請求項記載のダンパー。
  3. 前記線状部材は、表面が起毛されているか短繊維が植毛されている請求項記載のダンパー。
  4. 前記粘性減衰要素が、前記線状部材に付着された粘性流体である請求項1〜のいずれか1に記載のダンパー。
  5. 前記粘性流体が、グリースである請求項記載のダンパー。
  6. 前記ケーシング及び前記可動体が、永久磁石と導体とを用いてなり、前記永久磁石と前記導体とにより形成される磁界が前記粘性減衰要素を構成している請求項1〜のいずれか1に記載のダンパー。
  7. 前記ケーシングがシリンダであり、前記可動体が前記シリンダ内を軸方向に変位するピストンからなる伸縮式である請求項1〜のいずれか1に記載のダンパー。
  8. 相対変位する2つの部材間に、前記シリンダ及び前記ピストンが略水平姿勢で配置される請求項記載のダンパー。
  9. 前記可動体が、前記ケーシング内に回転可能に配設されたローターからなる回転式である請求項1〜のいずれか1に記載のダンパー。
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